(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126097
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】ヒンジキャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/08 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
B65D47/08 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156935
(22)【出願日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2022029358
(32)【優先日】2022-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100186358
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100191145
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 整博
(72)【発明者】
【氏名】小賀坂 優太
(72)【発明者】
【氏名】桑原 和仁
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA03
3E084CA01
3E084CB01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB01
3E084DB05
3E084DB09
3E084DB13
3E084DC03
3E084EA04
3E084EC03
3E084GA06
3E084GA08
3E084GB06
3E084GB08
3E084GB17
3E084KA12
3E084KB01
3E084LA07
3E084LA18
3E084LB02
3E084LB10
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】 キャップ本体と上蓋との間に封緘部材を設け、必要なときに簡単に封緘部材を取り除くことで、上蓋を開蓋すると同時に移行栓を開封できるヒンジキャップを提供すること。
【解決手段】 容器本体Eに装着され、注出筒6を有するキャップ本体Aと、キャップ本体AにヒンジCを介して連設された上蓋Bとからなるヒンジキャップであって、キャップ本体Aは、注出筒6の内周を閉鎖する隔壁5と、隔壁5に破断可能な薄肉弱化部8によって画成され、上蓋Bの開蓋時に薄肉弱化部8が破断され、キャップ本体A側から上蓋B側に移行される移行栓10と、外周面のヒンジCと反対側に連結され、水平回動軸線hを中心に回動する封緘部材Dとを備え、上蓋Bは、頂壁30と、頂壁30の周縁から垂設された側周壁31と、側周壁31のヒンジCと反対側に突設された封緘把手部32とを備え、封緘部材Dは、上蓋Bの封緘把手部32と係合してセットされることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体に装着され、注出筒を有するキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して連設された上蓋とからなるヒンジキャップであって、
キャップ本体は、注出筒の内周を閉鎖する隔壁と、隔壁に破断可能な薄肉弱化部によって画成され、上蓋の開蓋時に薄肉弱化部が破断され、キャップ本体側から上蓋側に移行される移行栓と、外周面のヒンジと反対側に連結され、水平回動軸線を中心に回動する封緘部材とを備え、
上蓋は、頂壁と、頂壁の周縁から垂設された側周壁と、側周壁のヒンジと反対側に突設された封緘把手部とを備え、
封緘部材は、上蓋の封緘把手部と係合してセットされることを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項2】
封緘部材は、キャップ本体の外周面と上蓋の側周壁の外周面とに沿うように湾曲した封緘壁と、封緘壁の端部とキャップ本体の外周面を連結し、水平回動軸線を中心に回動する破断可能な弱化ヒンジ部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のヒンジキャップ。
【請求項3】
封緘把手部は、上面から突設された係止突部を備え、
封緘部材は、封緘把手部の係止突部と係合する係止開口部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のヒンジキャップ。
【請求項4】
封緘壁は、弱化ヒンジ部と反対側に開口された係止開口部と、弱化ヒンジ部の水平回動軸線に沿った方向に延設された摘み片とを備えることを特徴とする請求項2に記載のヒンジキャップ。
【請求項5】
封緘壁は、弱化ヒンジ部と反対側に開口された係止開口部と、弱化ヒンジ部の水平回動軸線に沿った方向に延設された摘み片とを備えることを特徴とする請求項3に記載のヒンジキャップ。
【請求項6】
封緘壁は、係止開口部を挟んで弱化ヒンジ部と反対側に形成される周方向枠の幅と、係止開口部を挟んで摘み片と反対側に形成される軸方向枠の幅とを、それぞれ3mm以上とすることを特徴とする請求項4に記載のヒンジキャップ。
【請求項7】
封緘壁は、係止開口部を挟んで弱化ヒンジ部と反対側に形成される周方向枠の幅と、係止開口部を挟んで摘み片と反対側に形成される軸方向枠の幅とを、それぞれ3mm以上とすることを特徴とする請求項5に記載のヒンジキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体に装着して使用されるヒンジキャップに関し、とくに、開封されたことを簡単に視認できる機構を備えるヒンジキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、容器本体に装着されるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して連設された上蓋とからなるヒンジキャップにおいて、容器本体の密封性を確保するため、キャップ本体の隔壁に注出口の開口予定部として、破断可能な薄肉弱化部によって画成され、プルリングなどを設けた開栓部を形成していた。
【0003】
このため、開栓部を開封するには、上蓋を開けた後、プルリングなどを引っ張り上げて開栓部を除去する作業が必要となり、手間がかかるとともに、力の弱い利用者にとっては開封に苦労するという問題があった。
このため、プルリングを省略し、開栓部としての移行栓に立設された引上壁を上蓋から垂設された係合壁に係合させて、上蓋の開蓋とともに、引上壁ごと移行栓を引っ張り上げて薄肉弱化部を破断し、開封するヒンジキャップが従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のヒンジキャップでは、最初の開蓋と同時に移行栓が開封されるため、不正開封されても、再度閉蓋された場合には、ヒンジキャップを開封したか否かを視認できないという問題があった。
使用前の不正開封を防止するために、キャップ本体と上蓋との間にシュリンクラベルなどを設ける必要であるが、容器本体がガラスびんの場合には、シュリンクラベルを設けないことが多かった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、キャップ本体と上蓋との間に封緘部材を設け、必要なときに簡単に封緘部材を取り除くことで、上蓋を開蓋すると同時に移行栓を開封できるヒンジキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、ヒンジキャップとして、容器本体に装着され、注出筒を有するキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して連設された上蓋とからなるヒンジキャップであって、キャップ本体は、注出筒の内周を閉鎖する隔壁と、隔壁に破断可能な薄肉弱化部によって画成され、上蓋の開蓋時に薄肉弱化部が破断され、キャップ本体側から上蓋側に移行される移行栓と、外周面のヒンジと反対側に連結され、水平回動軸線を中心に回動する封緘部材とを備え、上蓋は、頂壁と、頂壁の周縁から垂設された側周壁と、側周壁のヒンジと反対側に突設された封緘把手部とを備え、封緘部材は、上蓋の封緘把手部と係合してセットされることを特徴とする構成を採用する。
【0008】
ヒンジキャップの実施形態として、封緘部材は、キャップ本体の外周面と上蓋の側周壁の外周面とに沿うように湾曲した封緘壁と、封緘壁の端部とキャップ本体の外周面を連結し、水平回動軸線を中心に回動する破断可能な弱化ヒンジ部と、を備えることを特徴とする構成を採用し、また、封緘把手部は、上面から突設された係止突部を備え、封緘部材は、封緘把手部の係止突部と係合する係止開口部を備えることを特徴とする構成を採用し、また、封緘壁は、弱化ヒンジ部と反対側に開口された係止開口部と、弱化ヒンジ部の水平回動軸線に沿った方向に延設された摘み片とを備えることを特徴とする構成を採用し、封緘壁は、係止開口部を挟んで弱化ヒンジ部と反対側に形成される周方向枠の幅と、係止開口部を挟んで摘み片と反対側に形成される軸方向枠の幅とを、それぞれ3mm以上とすることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のヒンジキャップは、上記構成を採用することにより、封緘部材をセットすることで、ヒンジキャップを開蓋しないようにできるとともに、必要なときにヒンジキャップから封緘部材を簡単に取り除き、ヒンジキャップを開蓋することができ、さらに、封緘部材の有無で開封したか否かを視認できる。
また、本発明のヒンジキャップは、充填温度より10~20℃高い温度でシャワー殺菌した場合に、封緘壁の周方向枠の幅と軸方向枠の幅とをそれぞれ3mm以上とすることにより、上蓋が持ち上がる(開蓋する)ことがないので、ヒンジキャップ内にシャワー水を吸い込むことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例1のヒンジキャップを容器本体に装着した開封前の状態を示す図で、(a)は側面断面図で、(b)は正面図である。
【
図2】本発明の実施例1のヒンジキャップの閉蓋時の状態を示す図で、(a)は上面図で、(b)は
図1(a)の要部拡大図である。
【
図3】本発明の実施例1のヒンジキャップを成形した開蓋状態を示す図で、(a)は上面図で、(b)は側面断面図である。
【
図4】本発明の実施例1のヒンジキャップの開封後の状態を示す正面図である。
【
図5】本発明の実施例2のヒンジキャップを容器本体に装着した開封前の状態を示す図で、(a)は側面断面図で、(b)は正面図である。
【
図6】本発明の実施例2のヒンジキャップを成形した開蓋状態を示す図で、(a)は上面図で、(b)は側面断面図である。
【
図7】本発明の実施例2のヒンジキャップの閉蓋時の状態を示す図で、(a)は上面図で、(b)は
図5(a)の要部拡大図である。
【
図8】本発明の実施例3のヒンジキャップを、容器本体に装着した開封前の状態を示す図で、(a)は側面断面図で、(b)は正面図である。
【
図9】本発明の実施例3のヒンジキャップを成形した開蓋状態を示す図で、(a)は上面図で、(b)は側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明のヒンジキャップについて、以下の実施例に示した図面を参照して説明する。
なお、以下の説明において、
図1(a)でみて、左方向を「正面側(ヒンジと反対側)」とし、右方向を「背面側(ヒンジ側)」とし、上方向を「上」とし、下方向を「下」とし、
図5(b)でみて、上下方向を「軸方向」とし、左右方向を「周方向」とする。
【実施例0012】
図1において、Aは容器本体Eに装着されるキャップ本体、Bはキャップ本体AにヒンジCを介して開閉自在に連設された上蓋、Dはキャップ本体Aの正面側外周面に連設され、上蓋Bと嵌合する封緘部材である。
容器本体Eは、上部に口部1を備え、口部1の外周には、係合突条2が設けられている。
本実施例では、容器本体Eは、ガラスびんを想定している。なお、容器本体Eは、後述する第3実施例のように、合成樹脂(PET等)製の容器形態でもよい。
【0013】
図1~
図3に示すように、キャップ本体Aは、容器本体Eの口部1を封鎖する隔壁5と、隔壁5の上面から立設された注出筒6と、口部1に装着され、内方に隔壁5が形成された装着部7とから構成されている。
【0014】
隔壁5は、注出筒6の内周側に、使用時に注出口を開口するため、破断可能な薄肉弱化部8によって画成された移行栓10が設けられている。
移行栓10は、薄肉弱化部8を介して隔壁5に連結された底壁11を備え、底壁11の上面には、正面側に略円筒状の引上部12が立設され、引上部12を除き、薄肉弱化部8の内側に沿って保持立壁13が立設されている。
なお、本実施例においては、
図3(a)に示すように、正面側の底壁11の先端部の形状は、薄肉弱化部8の破断が容易となるように、尖った形状をしており、引上部12についても、同様に正面側は、尖った形状に形成されている。
【0015】
引上部12の背面側には、その上部から底壁11上面に向けて補強リブ14が設けられている。
本実施例では、引上部12の上面には、引上部12を覆うように、段部15を介して上方に山形状の係着突部16が設けられている。
【0016】
装着部7は、隔壁5の外周縁から垂設され、外周が容器本体Eの口部1の内周に挿入される内筒20と、内周が口部1の外周に係合する容器装着部19と、内筒20と容器装着部19の上端部で連設された環状の上壁22とを備え、容器装着部19の内周下部には、口部1の外周に設けられた係合突条2と係合する係合突部24が突設され、上壁22の上部には、蓋係合部23が立設され、蓋係合部23の上部から外方に突出する膨出部23aが設けられている。
【0017】
さらに、キャップ本体Aは、装着部7の外周から一定の間隙をおいて連設された外筒21を備えている。
外筒21の外周には、正面側の所定位置に封緘部材Dと、背面側の上端部周辺にヒンジCとが連設されている。
【0018】
外筒21には、
図3(a)に示すように、ヒンジCから見て左側の近傍の外周面に平面視で略V字状の外周切り込み部25が上方から切り込まれ、外周切り込み部25の内周側の上部の薄肉部を隔てた位置を起点として背面側の円周方向に所定の範囲(本実施例では350°程)延びるように、スリット溝26が上下を貫くように設けられ、外周切り込み部25とスリット溝26の終点との間が連結部27となっている。
スリット溝26の下端は、少なくとも、背面側のヒンジCがある範囲と、連結部27側の所定範囲の弱化底壁28と、弱化底壁28と連結部27との間の所定範囲に間隔を開けて複数配設される弱化片29とで連結されている。
【0019】
このため、本実施例のヒンジキャップは、容器の廃棄時に、ヒンジCを介して上蓋Bを引き上げると、背面側の弱化底壁28を介して内方を持ち上げ、または、ヒンジCを介して上蓋Bを引き下げると、外周切り込み部25が縦方向引き裂きライン、スリット溝26下端の弱化底壁28および弱化片29が周方向引き裂きラインとなり、外筒21は、外周切り込み部25を起点に周方向に破断され、最後に連結部27で容器装着部19と連結されたひも状となり、連結部27の部分が集中して引っ張られ、容器装着部19の係合突部24と容器本体Eの口部1との係合が外されていき、簡単にヒンジキャップを容器本体Eから引き離し、分別して廃棄することができる。
【0020】
上蓋Bは、
図1~
図3に示すように、平坦な頂壁30と、頂壁30の周縁から垂下された側周壁31とを備え、側周壁31の外周には、背面側の下端にヒンジCが連設され、正面側の下部に封緘部材Dが係合する封緘把手部32が突設されている。
【0021】
頂壁30は、下面から密封筒35と、密封筒35の内側に保持受壁36と、保持受壁36の内周の背面側中央に当接リブ37と、が垂設され、また、密封筒35内の正面側に、係合穴部38が開口され、係合穴部38内周は、下部に段部を設けて、引上部12の上部の係着突部16と係合する係着部39が設けられている。
密封筒35は、閉蓋時に、外周がキャップ本体Aの注出筒6の内周に密接するように設けられ、また、保持受壁36は、下端が移行栓10の保持立壁13の上端と係合または当接するように、少なくとも、保持立壁13が立設された範囲に設けられ、当接リブ37は、先端部外側が保持立壁13の内側上端に近接または当接するように設けられている。
【0022】
本実施例では、
図1(a)に示すように、閉蓋時において、係着突部16の上部は、係合穴部38を突き抜けており、溶融等による抜け止め加工によって、係着突部16の上部は、係合穴部38を埋めるように拡げられ、係着突部16は、係着部39上面に係着される。
なお、本実施例では、引上部12の上方に係着突部16を設け、さらに上蓋Bに係合穴部38を開口し、成形後の閉蓋時に、係着突部16の上部を抜け止め加工によって係着部39に係着させているが、引上部12と上蓋Bの係着部39とを係着させる方法によっては、上蓋Bに係合穴部38を開口しなくてもよいし、また、別部材の挿入体を係合穴部38から挿入して引上部12と係合させる形態でもよく、さらに、上蓋Bから垂下される係着突部を引上部12に開口された穴部に挿入して嵌合または溶着させる形態でもよく、要は、両者をしっかり係着できるものであれば、どのような方法でもよい。
【0023】
側周壁31の内周には、キャップ本体Aの蓋係合部23および膨出部23aと係合して閉蓋状態を維持する係合凹部40が周設されている。
封緘把手部32は、正面側中央から両側に所定の範囲で正面側に突出し、円弧状に形成され、上面外縁には係止突部41が突設されている。
【0024】
封緘部材Dは、
図2に示すように、内側面がキャップ本体Aの外筒21外周面に沿うとともに、正面側の所定の範囲(少なくとも上蓋Bの封緘把手部32の幅より大きく)で高さが上蓋Bの下部を覆う封緘壁45と、封緘壁45の内周下端と外筒21の外周面とを連設し、水平回動軸線hを中心に回動可能な弱化ヒンジ部46とからなり、封緘壁45の上部(弱化ヒンジ部46と反対側)には、封緘時に上蓋Bの封緘把手部32が先端から貫通する係止開口部47が開口され、封緘壁45の左右いずれかの側に、先端が外側に湾曲して延び、摘み易くした摘み片48が形成され、摘み片48は、弱化ヒンジ部46の水平回動軸線hに沿った方向に延設されている。また、摘み片48の外面の縦方向に滑り止めリブ48aが間隔をおいて複数形成されている。
【0025】
封緘時には、
図1および
図2に示すように、弱化ヒンジ部46の水平回動軸線hを中心に回動して起き上がった封緘壁45は、キャップ本体Aの外筒21と上蓋Bの側周壁31の正面側下部を覆うとともに、係止開口部47に封緘把手部32が貫通し、係止突部41の内側が封緘壁45の係止開口部47の外縁側に当接して係止されるようになっている。
また、弱化ヒンジ部46は、
図1(b)の正面視で、縦方向の力では、軸変形するが破断はせず、横方向の力では、端部に力が掛かり、端部から破断して切り離されるようになっている。
【0026】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
本実施例のヒンジキャップは、金型を用いた射出成形によって一体成形で製造する。
その際、
図3に示すように、上蓋Bがキャップ本体Aに対して開蓋した状態で、かつ、封緘部材Dがキャップ本体Aに対して先端部が正面側に倒れた状態で一体成形される。
【0027】
次に、キャップ本体Aに連設された上蓋BをヒンジCを介して回動することにより、キャップ本体Aにセットして
図1に示す閉蓋状態にする。
その際、キャップ本体Aの移行栓10の引上部12に形成された係着突部16は、上蓋Bの頂壁30に形成された係着部39内に挿入され、係着突部16の上部は、係合穴部38に達するとともに、係着突部16の下部外周は、係着部39内周に収まる。
移行栓10の保持立壁13の上端が上蓋Bの保持受壁36の下端と係合または当接するとともに、保持立壁13の内周に当接リブ37の外周が当接または近接する。
【0028】
上蓋Bの密封筒35は、キャップ本体Aの注出筒6に密接してシール部を形成するとともに、キャップ本体Aの蓋係合部23と、上蓋Bの係合凹部40とが嵌合して閉蓋状態となる。
閉蓋状態で、係着突部16の上部は、溶融等により抜け止め加工が施され、係着突部16は、係着部39に係着され、上蓋Bの頂壁30にキャップ本体Aの移行栓10が装着される。
【0029】
閉蓋後に、キャップ本体Aの外筒21に対して正面側に倒れた封緘部材Dの封緘壁45の先端部を持ち上げ、弱化ヒンジ部46を支点に回動させると、封緘部材Dの封緘壁45は、弱化ヒンジ部46を支点に先端部を起き上がっていき、係止開口部47内に上蓋Bの封緘把手部32が先端から挿入され、係止突部41が係止開口部47内を乗り越えていく。
最後は、
図1および
図2に示すように、起き上がった封緘壁45は、キャップ本体Aの外筒21と上蓋Bの側周壁31の正面側に沿って当接し、封緘把手部32の係止突部41の内側が封緘壁45の係止開口部47の外縁側に当接して係止されるので、封緘部材Dは、閉蓋した上蓋Bとキャップ本体Aとを固定し、封緘する。
【0030】
封緘部材Dで封緘された本実施例のヒンジキャップは、上蓋Bを開蓋しようとしても、封緘部材Dで封緘把手部32を隠し、封緘把手部32の先端部しか露出しないため、指を掛けにくく、また、封緘把手部32が封緘部材Dの係止開口部47に係合するとともに、封緘部材Dが弱化ヒンジ部46でキャップ本体Aの外筒21に連結されているので、上蓋Bが開蓋してしまうことを防止している。
【0031】
次に、閉蓋されたヒンジキャップは、内容液が充填された容器本体Eの口部1に打栓して装着され、ヒンジキャップを装着した容器となる。
なお、本実施例では、ヒンジキャップの容器本体Eへの装着を打栓としているが、ねじによる螺着であっても構わない。
【0032】
本実施例のヒンジキャップは、打栓後に殺菌や洗浄のために温水シャワー等を掛けることもあるが、上蓋B内の空気が暖められ内圧が高くなっても、上蓋Bとキャップ本体Aとの係合の他に、キャップ本体Aに連設された封緘部材Dと上蓋Bの封緘把手部32との係合による封緘によって固定されるので、上蓋Bが浮き上がって開蓋してしまうことを防止できる。
【0033】
本実施例のヒンジキャップを最初に使用する際には、まず、封緘部材Dの摘み片48を指で滑り止めリブ48aの上から摘み、封緘壁45を外側に向けて横方向に引っ張る。
摘み片48を引っ張ると、封緘壁45が摘み片48側から横方向外側に引っ張られ、引っ張られた側の端部から弱化ヒンジ部46が破断されていき、それに伴い、封緘把手部32と係止開口部47との係合が外されていく。
最後は、弱化ヒンジ部46が完全に破断するとともに、封緘把手部32から封緘壁45が外され、
図4に示すように、封緘部材Dがヒンジキャップから完全に取り除かれる。
【0034】
封緘部材Dが取り除かれたヒンジキャップの上蓋Bの封緘把手部32に指を掛け持ち上げると、上蓋Bは、ヒンジCを支点に正面側から持ち上げられ、上蓋Bの蓋係合部23とキャップ本体Aの係合凹部40との嵌合が外され、開蓋していく。
さらに、上蓋Bの開蓋を継続することによって、キャップ本体Aの隔壁5に設けられた薄肉弱化部8が破断し、移行栓10は、隔壁5から除去された後、上蓋Bに移行して支持される一方、キャップ本体Aは、隔壁5から除去された移行栓10の跡が注出口となって、容器本体E内の内容液の注出が可能となる。
【0035】
本実施例では、引上部12の背面側に補強リブ14が設けられているため、正面側の薄肉弱化部8に応力が集中し、薄肉弱化部8の破断が容易となる。
さらに、本実施例では、正面側の底壁11の先端部は、尖った形状になっており、正面側の薄肉弱化部8への応力が集中し易くなっている。
【0036】
内容液の使用後は、上蓋Bをキャップ本体Aに再び閉蓋することで、上蓋Bの密封筒35と注出筒6とでシール部が形成されるとともに、キャップ本体Aの蓋係合部23と、上蓋Bの係合凹部40とが嵌合して、ヒンジキャップ内を再度密封することができ、繰り返し上蓋Bを開閉して使用することができる。
また、移行栓10は、保持立壁13の外周が上蓋Bの保持受壁36の内周と係合または当接して保持されるので、移行栓10の底壁11によってキャップ本体Aの隔壁5の注出口が閉鎖される。
【0037】
本実施例のヒンジキャップは、
図1に示すように、最初に封緘部材Dをセットすることで上蓋Bが開蓋しないようにすることができ、また、摘み片48を横方向外側に引っ張ることで、封緘部材Dをヒンジキャップから簡単に取り除くとともに、上蓋Bを開蓋できる。
封緘部材Dを取り除いた後は、
図4に示すように、弱化ヒンジ部46が破断されるので、再度、封緘部材Dをヒンジキャップにセットすることができず、また、弱化ヒンジ部46の破断した跡が残るので、封緘部材Dの有無および弱化ヒンジ部46の破断した跡で、開封したことを簡単に視認することができ、不正開封を防止することができる。
第1実施例のヒンジキャップでは、打栓後に高温でシャワー殺菌した場合、上蓋B内の空気が暖められ内圧が高くなることにより上蓋Bが浮き上がり易くなっても、キャップ本体Aに連設された封緘部材Dと上蓋Bの封緘把手部32との係合による封緘によって、ある程度抑制できた。
しかし、容器本体Eに充填される内容液の温度より10~20℃高い温度でシャワー殺菌した場合には、封緘壁45が変形して上蓋Bの浮き上がりを完全に抑制できないという問題があった。
そこで、本実施例では、封緘部材Daの封緘壁50について、係止開口部52を挟んで弱化ヒンジ部51と反対側に形成される周方向枠55の幅αと、係止開口部52を挟んで摘み片53と反対側に形成される軸方向枠54の幅βとを所定以上の幅とすることにより問題を解決している。
以上の実験結果から、封緘壁50の周方向枠55の幅αを3mm以上、軸方向枠54の幅βを3mm以上にすれば、内容液を60℃で充填後、78℃のシャワー水を掛けても上蓋Bが開蓋しないことを確認できた。
以上のように、本実施例のヒンジキャップは、充填温度より10~20℃高い温度でシャワー殺菌した場合に、封緘壁50の周方向枠55の幅αと軸方向枠54の幅βとをそれぞれ3mm以上とすることにより、上蓋Bが開蓋することがないので、ヒンジキャップ内にシャワー水を吸い込むことを防止できる。
なお、封緘壁50の周方向枠55の幅αと軸方向枠54の幅βは、実用上、それぞれ3~5mmにすることが好ましい。