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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126136
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】プリント配線板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20230831BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20230831BHJP
   H05K 1/11 20060101ALI20230831BHJP
   H05K 3/40 20060101ALI20230831BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
H05K3/46 T
H05K3/46 E
H05K3/46 N
H05K1/02 C
H05K1/11 H
H05K3/40 E
H05K1/03 610L
H05K1/03 610R
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000806
(22)【出願日】2023-01-06
(31)【優先権主張番号】P 2022028787
(32)【優先日】2022-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122622
【弁理士】
【氏名又は名称】森 徳久
(72)【発明者】
【氏名】酒井 純
(72)【発明者】
【氏名】伊西 拓弥
【テーマコード(参考)】
5E316
5E317
5E338
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA04
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA32
5E316AA43
5E316BB02
5E316CC09
5E316CC32
5E316DD17
5E316DD24
5E316DD33
5E316DD47
5E316EE33
5E316FF03
5E316FF07
5E316FF14
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG23
5E316HH31
5E316HH40
5E317AA24
5E317BB02
5E317BB12
5E317CC25
5E317CC33
5E317CD01
5E317CD15
5E317CD18
5E317CD25
5E317CD27
5E317GG03
5E338AA03
5E338AA16
5E338BB14
5E338BB25
5E338CC01
5E338EE27
(57)【要約】
【課題】高い品質を有するプリント配線板の提供。
【解決手段】プリント配線板は、第1導体層と、前記第1導体層上に形成されていて、前記第1導体層を露出するビア導体用の開口を有する樹脂絶縁層と、前記樹脂絶縁層上に形成されている第2導体層と、前記開口内に形成されていて、前記第1導体層と前記第2導体層とを接続するビア導体、とを有する。前記第2導体層と前記ビア導体は、シード層と前記シード層上の電解めっき層で形成されている。前記樹脂絶縁層は無機粒子と樹脂によって形成されている。前記無機粒子は前記開口の内壁面を形成する第1無機粒子と前記樹脂絶縁層内に埋まっている第2無機粒子を含む。前記第1無機粒子の形状は前記第2無機粒子の形状と異なる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導体層と、
前記第1導体層上に形成されていて、前記第1導体層を露出するビア導体用の開口を有する樹脂絶縁層と、
前記樹脂絶縁層上に形成されている第2導体層と、
前記開口内に形成されていて、前記第1導体層と前記第2導体層とを接続するビア導体、とを有するプリント配線板であって、
前記第2導体層と前記ビア導体は、シード層と前記シード層上の電解めっき層で形成されており、
前記樹脂絶縁層は無機粒子と樹脂によって形成されており、
前記無機粒子は前記開口の内壁面を形成する第1無機粒子と前記樹脂絶縁層内に埋まっている第2無機粒子を含み、前記第1無機粒子の形状は前記第2無機粒子の形状と異なる。
【請求項2】
請求項1のプリント配線板であって、前記内壁面は前記第1無機粒子と前記樹脂によって形成されており、前記第1無機粒子は平坦部を有し、前記平坦部が前記内壁面を形成する。
【請求項3】
請求項1のプリント配線板であって、前記内壁面の算術平均粗さは1.0μm以下である。
【請求項4】
請求項1のプリント配線板であって、前記第1導体層の上面と前記内壁面との間の角度は70°以上85°以下である。
【請求項5】
請求項1のプリント配線板であって、前記樹脂絶縁層の上面と前記内壁面との間の角度は95°以上110°以下である。
【請求項6】
請求項2のプリント配線板であって、前記内壁面は前記樹脂と前記平坦部で形成されている。
【請求項7】
請求項6のプリント配線板であって、前記平坦部と前記内壁面を形成する前記樹脂の面は、ほぼ共通な面を形成する。
【請求項8】
請求項1のプリント配線板であって、前記樹脂は熱硬化性樹脂である。
【請求項9】
請求項1のプリント配線板であって、前記樹脂は光硬化性樹脂である。
【請求項10】
請求項2のプリント配線板であって、前記第2無機粒子の形は球である。
【請求項11】
請求項2のプリント配線板であって、前記第1無機粒子の形状は球を平面で切断することで得られる。
【請求項12】
請求項10のプリント配線板であって、前記第1無機粒子の形状は前記第2無機粒子を平面で切断することで得られる。
【請求項13】
請求項1のプリント配線板であって、前記開口を形成することは、前記開口の前記内壁面を形成する前記樹脂から突出する突出部分を有する前記無機粒子を形成することを含み、前記第1無機粒子は前記無機粒子の前記突出部分を除去することで形成される。
【請求項14】
請求項1のプリント配線板であって、前記開口を形成することは、前記第2無機粒子から突出部分を有する前記無機粒子を形成することを含み、前記開口の前記内壁面は前記突出部分を除去することで形成される前記第1無機粒子の露出面を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、プリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、第1導体層と、第1導体層上に形成されている絶縁層と、絶縁層上に形成されている第2導体層とを有するプリント配線板を開示している。絶縁層は第1導体層を露出するビア導体用の貫通孔を有する。貫通孔内に第1導体層と第2導体層を接続するビア導体が形成されている。ビア導体は無電解めっき層および電解めっき層で形成されている。絶縁層は樹脂と無機粒子を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-126103号公報
【発明の概要】
【0004】
[特許文献1の課題]
特許文献1の図17に示されるように、特許文献1は貫通孔の壁面(内周面)上に中間層を有する。中間層は、無機粒子間に形成されている隙間により、複雑な凹凸面を有する。中間層に含まれる無機粒子は絶縁層に含まれる無機粒子と同じである。特許文献1の図18に示されるように、特許文献1は、貫通孔内に無電解めっき膜を形成する。無電解めっき膜は中間層に形成されている凹凸に追従している。もしくは、中間層に形成されている隙間が無電解めっき膜で充填される。しかしながら、凹凸が複雑であると、隙間を無電解めっき膜で完全に充填することは難しいと考えられる。無電解めっき膜が析出する時、反応により発生するガスが隙間を充填することを阻害すると考えらえる。隙間が無電解めっき膜で完全に充填されないと、貫通孔の壁面と無電解めっき膜との間にボイドが発生すると考えられる。熱でボイドが膨張すると、無電解めっき膜が貫通孔の壁面から剥がれると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のプリント配線板は、第1導体層と、前記第1導体層上に形成されていて、前記第1導体層を露出するビア導体用の開口を有する樹脂絶縁層と、前記樹脂絶縁層上に形成されている第2導体層と、前記開口内に形成されていて、前記第1導体層と前記第2導体層とを接続するビア導体、とを有する。前記第2導体層と前記ビア導体は、シード層と前記シード層上の電解めっき層で形成されている。前記樹脂絶縁層は無機粒子と樹脂によって形成されている。前記無機粒子は前記開口の内壁面を形成する第1無機粒子と前記樹脂絶縁層内に埋まっている第2無機粒子を含む。前記第1無機粒子の形状は前記第2無機粒子の形状と異なる。
【0006】
本発明の実施形態のプリント配線板では、第1無機粒子が開口の内壁面を形成する。そして、第1無機粒子の形状と樹脂絶縁層内に埋まっている第2無機粒子の形状は異なる。例えば、第1無機粒子の形状を変えることで、内壁面の形状を制御することができる。内壁面はビア導体と接する面である。そのため、内壁面の形状を制御することにより、ビア導体と樹脂絶縁層間の密着力を高くすることができる。ビア導体がシード層を含むと、シード層は内壁面上に形成される。そのため、内壁面の形状を制御することにより、シード層の厚みを薄くすることができる。シード層の厚みのバラツキを小さくすることができる。第2導体層内の各導体回路の幅を目標値に近くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態のプリント配線板を模式的に示す断面図。
図2】実施形態のプリント配線板の一部を模式的に示す拡大断面図。
図3A】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図3B】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図3C】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図3D】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す拡大断面図。
図3E】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図3F】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図4】実施形態の別例2のプリント配線板の製造方法を模式的に示す拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態]
図1は実施形態のプリント配線板2を示す断面図である。図2は実施形態のプリント配線板2の一部を示す拡大断面図である。図1に示されるように、プリント配線板2は、絶縁層4と第1導体層10と樹脂絶縁層20と第2導体層30とビア導体40とを有する。
【0009】
絶縁層4は樹脂を用いて形成される。絶縁層4はシリカ等の無機粒子を含んでもよい。絶縁層4は、ガラスクロス等の補強材を含んでもよい。絶縁層4は、第3面6(図中の上面)と第3面6と反対側の第4面8(図中の下面)を有する。
【0010】
第1導体層10は絶縁層4の第3面6上に形成されている。第1導体層10は信号配線12とパッド14を含む。図に示されていないが、第1導体層10は信号配線12とパッド14以外の導体回路も含んでいる。第1導体層10は主に銅によって形成される。第1導体層10は、絶縁層4上のシード層10aとシード層10a上の電解めっき層10bで形成されている。シード層10aは第3面6上の第1層11aと第1層11a上の第2層11bで形成されている。第1層11aは銅合金で形成されている。第2層11bは銅で形成されている。電解めっき層10bは銅で形成されている。第1層11aは絶縁層4に接している。
【0011】
樹脂絶縁層20は絶縁層4の第3面6と第1導体層10上に形成されている。樹脂絶縁層20は第1面22(図中の上面)と第1面22と反対側の第2面24(図中の下面)を有する。樹脂絶縁層20の第2面24は第1導体層10と対向する。樹脂絶縁層20はパッド14を露出する開口26を有している。樹脂絶縁層20は樹脂80と樹脂80内に分散されている多数の無機粒子90で形成されている。樹脂80はエポキシ系樹脂である。樹脂の例は熱硬化性樹脂と光硬化性樹脂である。無機粒子90は、例えば、シリカやアルミナである。
【0012】
図1図2に示されるように、無機粒子90は、開口26の内壁面27を形成する第1無機粒子91と、樹脂80内に埋まっている第2無機粒子92を含む。第2無機粒子92の形は球である。第1無機粒子91の形状は球を平面で切断することで得られる。第1無機粒子91の形状は第2無機粒子92を平面で切断することで得られる。第1無機粒子91の形状と第2無機粒子92の形状は異なる。
【0013】
図1に示されるように、樹脂絶縁層20の第1面22は樹脂80のみで形成されている。第1面22から無機粒子90(第2無機粒子92)は露出しない。第1面22は第2無機粒子92の表面を含まない。樹脂絶縁層20の第1面22には凹凸が形成されていない。第1面22は荒らされていない。第1面22は平滑に形成されている。
【0014】
図2に示されるように、開口26の内壁面27は樹脂80と第1無機粒子91で形成されている。第1無機粒子91は平坦部91aを有する。平坦部91aは内壁面27を形成する。内壁面27は樹脂80と平坦部91aで形成されている。平坦部91aと内壁面27を形成する樹脂80の面は、ほぼ共通な面を形成する。内壁面27を形成する樹脂80上に凹凸が形成されない。内壁面27を形成する樹脂80の面は平滑である。平坦部91aの露出面(内壁面27を形成する面)上に凹凸が形成されない。平坦部91aの露出面は平滑である。内壁面27は平滑に形成される。内壁面27の算術平均粗さ(Ra)は1.0μm以下である。
【0015】
第1無機粒子90の平坦部91aは第1無機粒子91の周りに形成されている樹脂80の面(内壁面27を形成する面)80aを延長することで得られる面とほぼ一致する。図1図2中に実質的な直線で描かれている平坦部91aは平面を意味している。図1図2に示される断面において平坦部91aは平面である。平坦部91aは完全な平面でなくてもよい。平坦部91aは実質的な平面であってほぼ平滑な面である。
【0016】
図2に示されるように、開口26の内壁面27は傾斜している。パッド14の上面と内壁面27との間の角度(傾斜角度)θ1は70°以上85°以下である。パッド14の上面は第1導体層10の上面に含まれる。樹脂絶縁層20の第1面(上面)22と内壁面27との間の角度(傾斜角度)θ2は95°以上110°以下である。
【0017】
図1図2に示される断面では、開口26の形状は略逆台形に示されている。しかしながら、実際の開口26の形状は略逆円錐台形状である。そのため実際の開口26の内壁面(側壁)27は略曲面である。すなわち、平坦部91aと樹脂80で形成される共通な面は略曲面で形成される内壁面(側壁)27を含む。
【0018】
図1に示されるように、第2導体層30は樹脂絶縁層20の第1面22上に形成されている。第2導体層30は第1信号配線32と第2信号配線34とランド36を含む。図に示されていないが、第2導体層30は第1信号配線32と第2信号配線34とランド36以外の導体回路も含んでいる。第1信号配線32と第2信号配線34はペア配線を形成している。第2導体層30は主に銅によって形成される。第2導体層30は、第1面22上のシード層30aとシード層30a上の電解めっき層30bで形成されている。シード層30aは第1面22上の第1層31aと第1層31a上の第2層31bで形成されている。第1層31aは銅合金で形成されている。第2層31bは銅で形成されている。電解めっき層30bは銅で形成されている。第1層31aは第1面22に接している。
【0019】
ビア導体40は開口26内に形成されている。ビア導体40は第1導体層10と第2導体層30を接続する。図1ではビア導体40はパッド14とランド36を接続する。ビア導体40はシード層30aとシード層30a上の電解めっき層30bで形成されている。ビア導体40を形成するシード層30aと第2導体層30を形成するシード層30aは共通である。第1層31aは内壁面27に接している。
【0020】
[実施形態のプリント配線板2の製造方法]
図3A図3Fは実施形態のプリント配線板2の製造方法を示す。図3A図3C図3E図3Fは断面図である。図3Dは拡大断面図である。図3Aは絶縁層4と絶縁層4の第3面6上に形成されている第1導体層10を示す。第1導体層10はセミアディティブ法によって形成される。第1層11aと第2層11bはスパッタで形成される。電解めっき層10bは電解めっきで形成される。
【0021】
図3Bに示されるように、絶縁層4と第1導体層10上に樹脂絶縁層20と保護膜50が形成される。樹脂絶縁層20の第2面24が絶縁層4の第3面6と対向している。樹脂絶縁層20の第1面22上に保護膜50が形成されている。樹脂絶縁層20は樹脂80と無機粒子90(第2無機粒子92)を有する。無機粒子90は樹脂80内に埋まっている。
【0022】
保護膜50は樹脂絶縁層20の第1面22を完全に覆っている。保護膜50の例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムである。保護膜50と樹脂絶縁層20との間に離型剤が形成されている。
【0023】
図3Cに示されるように、保護膜50の上からレーザ光Lが照射される。レーザ光Lは保護膜50と樹脂絶縁層20を同時に貫通する。第1導体層10のパッド14に至るビア導体用の開口26が形成される。レーザ光Lは例えばUVレーザ光、CO2レーザ光である。開口26によりパッド14が露出される。開口26が形成される時、第1面22は保護膜50で覆われている。そのため、開口26が形成される時、樹脂が飛散しても、第1面22に樹脂が付着することが抑制される。
【0024】
図3Dは、レーザ光照射後の開口26の内壁面27bを示す。内壁面27bは樹脂80と樹脂80から突出している無機粒子90で形成されている。内壁面の形状を制御するため、レーザ光照射後の内壁面27bは処理される。樹脂80から突出している無機粒子90を選択的に除去することが好ましい。これにより、無機粒子90から第1無機粒子91が形成される。例えば、レーザ光照射後の内壁面27bを薬品で処理することで、樹脂80から突出している無機粒子90が選択的に除去される。あるいは、レーザ光照射後の内壁面27bをプラズマで処理することで、樹脂80から突出している無機粒子90が選択的に除去される。選択的に除去することは、無機粒子90のエッチング速度が樹脂80のエッチング速度より大きいことを含む。例えば、両者のエッチング速度差は10倍以上である。あるいは、両者のエッチング速度差は50倍以上である。あるいは、両者のエッチング速度差は100倍以上である。レーザ光照射後の内壁面27bを処理することで、平坦部91a(図2参照)を有する第1無機粒子91が得られる。レーザ光照射後の内壁面27bを処理するための条件を制御することで、内壁面27bの形状を制御することができる。条件の例は、温度、濃度、時間、ガスの種類や圧力である。無機粒子90のエッチング速度と樹脂のエッチング速度が制御される。
【0025】
樹脂絶縁層20にレーザ光Lを照射することで、樹脂80に埋まっている第2無機粒子92の一部がレーザ光照射後の内壁面27bを形成する。レーザ光照射後の内壁面27bを形成する第2無機粒子92は、樹脂80から突出している突出部分Pと樹脂80に埋まっている部分Eで形成される。レーザ光照射後の内壁面27bが処理される。例えば、四フッ化メタンを含むガスのプラズマで内壁面27bが処理される。突出部分Pが選択的に除去され、実施形態の内壁面27(図1図2)が形成される。第2無機粒子92から第1無機粒子91が形成される。突出部分Pを選択的に除去することで、平坦部91aを有する第1無機粒子91が形成される。平坦部91aは平面である。球の形を持つ第2無機粒子92が平面で切断されると、第1無機粒子91の形状が得られる。内壁面27は平坦部91aと樹脂80の面80aで形成され、平坦部91aの露出面91bと樹脂80の面80aはほぼ同一平面上に位置する。例えば、スパッタで内壁面27b上にシード層30aが形成されると、突出部分Pはスパッタ膜の成長を阻害する。例えば、内壁面27b上に連続しているシード層30aが形成されない。あるいは、シード層30aの厚みを大きくしなければならない。微細な導体回路を形成することができない。実施形態では、突出部分Pが除去される。スパッタで形成されるシード層30aの厚みを薄くできる。スパッタで形成されるシード層30aの厚みが薄くても、連続しているシード層30aが得られる。
【0026】
開口26を形成することは、突出部分Pを有する無機粒子(第2無機粒子92)90を形成することを含む。突出部分Pは開口26の内壁面27を形成する樹脂80から突出している。第1無機粒子91は無機粒子(第2無機粒子92)90の突出部分Pを除去することで形成される。開口26の内壁面27は第1無機粒子91の露出面91bを含む。第1無機粒子91の露出面91bは突出部分Pを除去することで形成される。
【0027】
球の形を持つ第2無機粒子92を平面で切断することで第1無機粒子91の形状を得ることは、無機粒子90の突出部分Pを除去することを含む。実際の開口26の内壁面27は略曲面である。突出部分Pを除去することで平坦部91aが形成されるので、平坦部91aの露出面91bは曲面を含む。すなわち、平坦部91aと樹脂80で共通な面を形成することは実質的な曲面で形成される内壁面27を形成することを含む。
【0028】
内壁面27上に凹凸が形成されない。内壁面27は平滑に形成される。レーザ光照射後の内壁面27bを処理するための条件を制御することで、凹凸の大きさが制御される。
【0029】
開口26内が洗浄される。開口26内を洗浄することにより開口26形成時に発生する樹脂残渣が除去される。開口26内の洗浄はプラズマによって行われる。即ち洗浄はドライプロセスで行われる。洗浄はデスミア処理を含む。樹脂絶縁層20の第1面22は保護膜50で覆われているためプラズマの影響を受けない。樹脂絶縁層20の第1面22には凹凸が形成されない。第1面22は荒らされない。
【0030】
レーザ光照射後の内壁面27bを処理することが開口26内を洗浄することを含む場合、開口26内を洗浄することを削除することができる。
【0031】
図3Eに示されるように、開口26内を洗浄することの後に、樹脂絶縁層20から保護膜50が除去される。レーザ光照射後の内壁面27bを処理することが開口26内を洗浄することを含む場合、レーザ光照射後の内壁面27bを処理することの後に、樹脂絶縁層20から保護膜50が除去される。レーザ光照射後の内壁面27bが処理される時、保護膜50は樹脂絶縁層20の第1面22を覆っている。保護膜50除去後、樹脂絶縁層20の第1面22を荒らすことは行われない。
【0032】
図3Fに示されるように、樹脂絶縁層20の第1面22上にシード層30aが形成される。シード層30aはスパッタによって形成される。シード層30aの形成はドライプロセスで行われる。第1層31aが第1面22上にスパッタで形成される。同時に、開口26から露出する内壁面27とパッド14上に第1層31aがスパッタで形成される。その後、第1層31a上に第2層31bがスパッタで形成される。シード層30aは開口26から露出するパッド14の上面と開口26の内壁面27にも形成される。第1層31aは銅合金で形成される。第2層31bは銅で形成される。
【0033】
シード層30a上にめっきレジスト(図示しない)が形成される。めっきレジストは、第1信号配線32と第2信号配線34とランド36(図1)を形成するための開口を有する。
【0034】
めっきレジストから露出するシード層30a上に電解めっき層30bが形成される。電解めっき層30bは銅で形成される。電解めっき層30bは開口26を充填する。第1面22上のシード層30aと電解めっき層30bによって、第1信号配線32と第2信号配線34とランド36が形成される。第2導体層30が形成される。開口26内のシード層30aと電解めっき層30bによって、ビア導体40が形成される。ビア導体40は、パッド14とランド36を接続する。第1信号配線32と第2信号配線34はペア配線を形成する。
【0035】
めっきレジストが除去される。電解めっき層30bから露出するシード層30aが除去される。第2導体層30とビア導体40は同時に形成される。実施形態のプリント配線板2(図1)が得られる。
【0036】
実施形態のプリント配線板2(図1図2)では、開口26の内壁面27は第1無機粒子91の平坦部91aと樹脂80によって形成される。平坦部91aと内壁面27を形成する樹脂80の面80aはほぼ共通な面を形成する。内壁面27は平滑に形成される。そのため、開口26の内壁面27上に均一な厚みのシード層30aが形成される。シード層30aは薄く形成される(図3F)。シード層30aが除去される時、エッチング量が少ない。そのため、電解めっき層30bのエッチング量が少ない。第1信号配線32と第2信号配線34を有する第2導体層30が設計値通りの幅を有する。高い品質を有するプリント配線板2が提供される。
【0037】
実施形態のプリント配線板2では樹脂絶縁層20の第1面22は樹脂80で形成されている。第1面22には無機粒子90が露出しない。第1面22には凹凸が形成されない。樹脂絶縁層20の第1面22近傍部分の比誘電率の標準偏差が大きくなることが抑制される。第1面22の比誘電率は場所によって大きく変わらない。第1信号配線32と第2信号配線34が第1面22に接していても、第1信号配線32と第2信号配線34間の電気信号の伝搬速度の差を小さくすることができる。そのため、実施形態のプリント配線板2ではノイズが抑制される。実施形態のプリント配線板2にロジックICが実装されても、第1信号配線32で伝達されるデータと第2信号配線34で伝達されるデータがロジックICにほぼ遅延なく到達する。ロジックICの誤動作を抑制することができる。第1信号配線32の長さと第2信号配線34の長さが5mm以上であっても、両者の伝搬速度の差を小さくすることができる。第1信号配線32の長さと第2信号配線34の長さが10mm以上、20mm以下であっても、ロジックICの誤動作を抑制することができる。高い品質を有するプリント配線板2が提供される。
【0038】
[実施形態の別例]
実施形態の別例ではレーザ光照射後の内壁面27bを処理するための条件が制御される。そのため、図4に示されるように、平坦部91aと内壁面27を形成する樹脂80の面80aは実質的に同一平面を形成する。図4は処理後の内壁面27を示す拡大断面図である。平坦部91aの露出面91bと樹脂80の面80aとの間の距離は5μm以下である。そのため、第1無機粒子91と第1無機粒子91の周りに形成されている樹脂80間に隙間100があっても、隙間100内にシード層30aを形成することができる。この場合、シード層30aは内壁面27上と隙間100内に形成される。平坦部91aの露出面91bと隙間100の底との間の距離は5μm以下であると、スパッタで形成されるシード層30aが内壁面27から剥がれ難い。平坦部91aの露出面91bと樹脂80の面80aとの間の距離は3μm以下であることが好ましい。平坦部91aと隙間100の底との間の距離は3μm以下であることが好ましい。内壁面27上のシード層30aの厚みのバラツキを小さくすることができる。
【0039】
本明細書内では、平面は内壁面27の形状と平坦部91aの形状、第1無機粒子91の形状に対し用いられている。これらに対し用いられている平面の意味は図1図2に示されている。すなわち、図1図2では、内壁面27はほぼまっすぐに描かれている。図1図2中の内壁面27の形状はほぼ直線である。本明細書内の平面は、断面中に示されている実質的な直線を含む。図1図2の第1無機粒子91の断面に示されるように、断面では、平面で切断することは直線で切断することを含む。本明細書内の平面は完全な平面を意味せず実質的な平面を含む。実質的な平面は小さな凹凸を含んでもよい。
【符号の説明】
【0040】
2 :プリント配線板
4 :絶縁層
10 :第1導体層
20 :樹脂絶縁層
26 :開口
27 :内壁面
30 :第2導体層
30a :シード層
30b :電解めっき層
32 :第1信号配線
34 :第2信号配線
36 :ランド
40 :ビア導体
80 :樹脂
90 :無機粒子
91 :第1無機粒子
91a :平坦部
91b :露出面
92 :第2無機粒子
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4