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特開2023-126178スパイク付きソールプレートを有する履物具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126178
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】スパイク付きソールプレートを有する履物具
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/14 20060101AFI20230831BHJP
   A43B 5/06 20220101ALI20230831BHJP
   A43B 5/04 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
A43B13/14 A
A43B5/06
A43B5/04 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023027734
(22)【出願日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】17/682,692
(32)【優先日】2022-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511264353
【氏名又は名称】プーマ エス イー
【氏名又は名称原語表記】PUMA SE
【住所又は居所原語表記】Puma Way 1,91074 Herzogenaurach Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ジーギスムント, アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ジラード, ロメイン
(72)【発明者】
【氏名】ボナン, マウロ
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050BA14
4F050HA56
4F050JA01
4F050LA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】レース中のランニング性能の改善を提供する。
【解決手段】履物具のソール構造体は、アッパーと、アウトソールと、ソールプレートと、ミッドソール構造体とを含む。露出した足先領域は、アウトソールまたはミッドソール構造体によって覆われていないソールプレートの底壁を有する。前方の位置および後方の位置は、ソールプレートの底壁に沿って配置されている。前方の位置は足先領域の前部に配置され、後方の位置は前方の位置から最も離れた踵領域に配置される。前方の位置と後方の位置とは、主軸線を形成する。最も深い位置は、中足領域におけるアウトソールの外側に配置され、ミッドソール構造体またはアウトソールによって妨げられない点であって、最も高い角度で主軸線に対して前方の位置への傾斜線を形成するように延長することができる。その角度は2度と30度との間の角度である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッパー、足先領域、中足領域、踵領域、内側面、および外側面を有する履物具のソール構造体であって、
前記履物具のソール構造体は、さらに、
アウトソールの外側に沿って配置され、地面と接する表面となるように構成されたアウトソール壁を有する前記アウトソールと、
前記アッパーに隣接して配置され、底壁、前端部、露出した足先領域、前部、および複数のスパイクを有するソールプレートと、
前記ソールプレートと前記アウトソールの間に配置されたミッドソール構造体と、
を含み、
前記前端部は、前記足先領域において前記踵領域から最も離れている位置に配置され、
前記前部は前記前端部に配置され、
前方の位置は、前記前部において前記底壁に沿って配置され、
後方の位置は、前記底壁に沿って配置され、前記前方の位置から最も離れており、
主軸線は、前記前方の位置および前記後方の位置に交差する線として定義され、
前記露出した足先領域は、前記足先領域に配置され、前記アウトソールまたは前記ミッドソール構造体によって覆われておらず、
前記アウトソール壁は、前記中足領域に最も深い位置を有し、
前記最も深い位置は、前記主軸線と、前記前方の位置と前記ミッドソール構造体または前記アウトソールによって妨げられていない前記アウトソール壁上の位置と交差する線として定義される傾斜線との間で最大の角度を形成する位置として定義され、
傾斜角度は、前記主軸線と前記傾斜線との間に形成される角度として定義され、
前記傾斜角度は約2度と約30度との間の角度である、
履物具のソール構造体。
【請求項2】
前記傾斜角度は約3度と約20度との間の角度である、請求項1に記載のソール構造体。
【請求項3】
前記傾斜角度が約4度と約15度との間の角度である、請求項1に記載のソール構造体。
【請求項4】
前記傾斜角度が約5度と約10度との間の角度である、請求項1に記載のソール構造体。
【請求項5】
前記傾斜角度が約6度と約8度との間の角度である、請求項1に記載のソール構造体。
【請求項6】
アッパー、足先領域、中足領域、踵領域、内側面、および外側面を有する履物具のソール構造体であって、
前記履物具のソール構造体は、さらに、
アウトソールの外側に沿って配置され、地面と接する表面となるように構成されたアウトソール壁を有する前記アウトソールと、
前記アッパーに隣接して配置され、底壁、前端部、露出した足先領域、前部、および複数のスパイクを有するソールプレートと、
前記ソールプレートと前記アウトソールの間に配置されたミッドソール構造体と、
を含み、
前記露出した足先領域は、前記足先領域に配置され、前記アウトソールまたは前記ミッドソール構造体によって覆われておらず、
前記複数のスパイクが、前記露出した足先領域に配置され、
露出した足先端は、前記露出した足先領域と前記ミッドソール構造体または前記アウトソールとの間の端を定義し、
前記前端部は、前記足先領域において前記踵領域から最も離れた位置に配置され、
前記前部は前記前端部に配置され、
前方の位置は、前記前部において前記底壁に沿って配置され、
前記複数のスパイクのうちの少なくとも1つは、前記内側面および前記露出した足先端に隣接して配置され、
前記複数のスパイクのうち少なくとも1つが、前記外側面と前記露出した足先端に隣接して配置され、
前記複数のスパイクのうち少なくとも1つは、前記前方の位置に隣接して配置される、
履物具のソール構造体。
【請求項7】
前記複数のスパイクは、第1のスパイク、第2のスパイク、第3のスパイク、および第4のスパイクを有する、請求項6に記載のソール構造体。
【請求項8】
前記第3のスパイク、および前記第4のスパイクが、前記前方の位置に隣接して配置されている、請求項7に記載のソール構造体。
【請求項9】
前記露出した足先領域が複数のバーブを備え、前記複数のバーブの各々が前記複数のスパイクの各々より短い、請求項6に記載のソール構造体。
【請求項10】
前記前部が前記底壁から離れ、アッパーに向かって突出している、請求項6に記載のソール構造体。
【請求項11】
前記複数のスパイクの各々が、前記底壁から突出し、前記複数のスパイクの各々を同心円状に取り囲むエンボスを有する、請求項6に記載のソール構造体。
【請求項12】
前記中足領域または前記踵領域が、前記底壁が前記ミッドソール構造体または前記アウトソールによって覆われていないカットアウト部分を有する、請求項6に記載のソール構造体。
【請求項13】
前記アッパー、前記足先領域、中足領域、踵領域、内側面、および外側面を有する履物具のソール構造体であって、
前記履物具のソール構造体は、さらに、
アウトソールの外側に沿って配置され、地面と接する表面となるように構成されたアウトソール壁を有するアウトソールと、
前記アッパーに隣接して配置され、底壁、前端部、露出した足先領域、前部、および複数のスパイクを有するソールプレートと、
前記ソールプレートと前記アウトソールの間に配置されたミッドソール構造体と、
を含み、
前記露出した足先領域は、前記足先領域に配置され、前記アウトソールまたは前記ミッドソール構造体によって覆われておらず、
露出した足先端は、前記露出した足先領域と前記ミッドソール構造体または前記アウトソールとの間の端を定義し、
前記前端部は、前記足先領域において前記踵領域から最も離れた位置に配置され、
前記前部は前記前端部に配置され、
前方の位置は、前記前部において前記底壁に沿って配置され、
後方の位置は、前記底壁に沿って配置され、前記前方の位置から最も離れており、
主軸線は、前記前方の位置および前記後方の位置に交差する線として定義され、
前記アウトソール壁は、前記中足領域に最も深い位置を有し、
前記最も深い位置は、前記主軸線と、前記前方の位置と前記ミッドソール構造体または前記アウトソールによって妨げられていない前記アウトソール壁上の位置と交差する線として定義される傾斜線との間で最大の角度を形成する位置として定義され、
転移線は、前記底壁に沿って配置され、前記主軸線に対して垂直に突出し、前記外側面から前記内側面に向かって延び、最も深い位置に最も近く、
起伏部分は、前記転移線および前記露出した足先端によって囲まれ、前記内側面から前記外側面へ延びる領域として定義され、
前記起伏部分内の前記ソール構造体は、前記底壁に向かって傾斜していることを特徴とする、
履物具のソール構造体。
【請求項14】
前記前部が前記底壁から離れ、前記アッパーに向かって突出している、請求項13に記載のソール構造体。
【請求項15】
前記露出した足先端の形状は、波状の連続した線状である、請求項13に記載のソール構造体。
【請求項16】
前記複数のスパイクが前記ソールプレートと一体的に形成されている、請求項13に記載のソール構造体。
【請求項17】
前記複数のスパイクが、第1のスパイク、第2のスパイク、第3のスパイク、および第4のスパイクを含む、請求項13に記載のソール構造体。
【請求項18】
前記第1のスパイクが、前記露出した足先端と前記外側面に隣接して配置され、前記第2のスパイクが、前記露出した足先端と前記内側面に隣接して配置される、請求項17に記載のソール構造体。
【請求項19】
前記第3のスパイクおよび前記第4のスパイクが、前記前方の位置に隣接して配置される、請求項18に記載のソール構造体。
【請求項20】
傾斜角度が、前記主軸線と前記傾斜線との間に形成される角度として定義され、
前記傾斜角度は約2度と約30度との間の角度である、請求項19に記載のソール構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、スパイク付きソールプレート(sole plate)を含む履物具に関し、より詳細には、ランナーの足踏みの様々な段階における性能を向上させる、足先領域にスパイクを有するソールプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの従来の靴または他の履物具は、一般に、アッパーと、アッパーの下端に取り付けられたソールとからなる。従来の靴は、足に靴を固定する前にユーザの足を受けいれる内部空間、すなわち、アッパーとソールの内面によって形成される空隙または空洞をさらに含む。ソールは、アッパーの下面または境界に取り付けられ、アッパーと地面との間に配置される。その結果、ソールは、通常、靴が着用されているときに、ユーザに安定性とクッション性を提供する。いくつかの例では、ソールは、アウトソール、ミッドソール、およびインソールなどの複数の構成要素を含むことがある。アウトソールはソールの底面に牽引力を提供し、ミッドソールはアウトソールの内面に取り付けられ、ソールにクッション性または追加の安定性を提供することができる場合がある。例えば、ソールは、ソールに沿った1つ以上の所望の位置で安定性を高める可能性のある特定の発砲材料、または、ユーザが走っているとき、歩いているとき、または、別の活動に従事しているときに、足または脚にかかるストレスまたは衝撃エネルギーを低減する可能性のある発砲材料を含むことができる。ソールは、ソールの全体的な剛性を高め、使用中のエネルギー損失を低減するために、ソールに埋め込まれたプレートなどの追加の構成要素を含むこともできる。
【0003】
アッパーは、一般にソールから上方に延び、足を完全にまたは部分的に包む内部空洞を規定する。多くの場合、アッパーは足の甲とつま先の領域、および内側と外側の側面を横切って延びている。また、多くの履物具には、甲の領域を横切って延び、アッパーの内側と外側の端の間のギャップを埋めるべろ(tongue)が含まれることがあり、これらは空洞への開口を規定する。べろは、また、靴の締め付けを調整できるように、紐締めシステムの下方で、アッパーの内側面と外側面の間に配置されてもよい。べろはさらに、内部空間や空洞への足の出入りを可能にするために、ユーザによって操作であってよい。さらに、紐締めシステムは、ユーザによってアッパーやソールを特定の寸法に調整することを可能にし、それによってアッパーが様々なサイズや形状を持つ様々な足のタイプ(type)に対応することを可能にする。
【0004】
多くの靴のアッパーは、アッパーを形成するために利用され、靴の1つ以上の意図された用途に基づいて使用するために選択される多種多様な材料から構成されてよい。アッパーは、また、アッパーの特定の領域に固有な様々な材料からなる部分を含んでもよい。例えば、より高い抵抗力や剛性を提供するために、アッパーの前部やヒール部分に隣接して、安定性を追加することが望ましい場合がある。その一方、靴の他の部分には、伸縮抵抗性、柔軟性、通気性、または、吸湿発散性を備えた領域を提供するために、柔らかく織られた織物を含んでよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多くのランナーは、ランニング中に靴の影響でエネルギー損失やエネルギーの非効率を経験している。ランナーの靴が最初に地面に接するとき、靴の前部にあるミッドソールが圧縮されることでエネルギーが失われることがある。ランナーの靴が地面と接触しているとき、靴が牽引力を失うとエネルギーが失われることがある。ランナーの靴が地面と完全に接触しているとき、靴と地面との接触が強くない場合、エネルギーが失われることがある。また、ランナーの靴はランナーの傾斜角度に影響を与えることがあり、これもエネルギー損失を生むことがある。
【0006】
しかし、多くの場合、履物具は、靴の前方または足先領域の露出部分から突出するスパイクを有するソールプレートを有することによって利益を得ることができる。靴の足先領域の露出部分は、ランナーの靴が最初に地面に接触するときに、エネルギー損失をより少なくできる。ランナーの靴の足先領域の露出部は、また、より前方への傾斜角度を容易にし、ランナーのエネルギー効率を向上させることができる。スパイクは、地面と靴の接触を強くし、牽引力を失わないようにすることで、エネルギー損失を減らすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に記載される履物具は、様々な構成を有してよい。当該履物具は、アッパーと、アッパーに接続されたソール構造体とを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、本開示は、アッパー、足先領域、中足領域、踵領域、内側面、および外側面を有する履物具のためのソール構造体を提供できる。ソール構造体は、地面と噛み合う表面となるように構成された、アウトソールの外側に沿って配置されたアウトソール壁を有するアウトソールを備える。ソール構造体は、アッパーに隣接して配置され、底壁と、前端部と、露出した足先領域と、前部と、複数のスパイクと、ソールプレートとアウトソールの間に配置されたミッドソール構造体とを有する。前端部は、足先領域において、踵領域から最も離れている位置(point)に配置される。前部は、前端部に配置され、前方の位置(point)は、底壁に沿って配置され、前部に配置される。後方の位置(point)は、底壁に沿って配置され、前方の位置から最も離れている位置(point)である。主軸線は、前方の位置と後方の位置とが交差する線として定義される。露出した足先領域は、足先領域に位置し、アウトソールまたはミッドソール構造体によって覆われていない領域である。
【0009】
アウトソール壁は、中足領域に最も深い位置(point)を有する。最も深い位置は、主軸線と傾斜線との間の最大の角度を形成する点として定義される。当該傾斜線は、前方の位置と交差する線、並びに、ミッドソール構造体またはアウトソールによって妨げられないアウトソール壁上の位置として定義される。傾斜角度は、主軸線と傾斜線との間に形成される角度として定義され、その角度は、2度と30度の間である。いくつかの実施形態では、傾斜角度は、3度と20度の間、または、4度と15度の間、または、5度と10度の間、または、6度と8度の間である。
【0010】
いくつかの実施形態では、履物具のソール構造体は、アッパーと、足先領域と、中足領域と、踵領域と、内側面と、外側面と、を備える。ソール構造体は、地面と接する表面となるように構成されたアウトソールの外側に沿って配置されたアウトソール壁を有するアウトソールを備える。ソール構造体は、アッパーに隣接して配置され、底壁と、前端部と、露出した足先領域と、前部と、複数のスパイクと、ソールプレートとアウトソールの間に配置されたミッドソール構造体とを有するソールプレートを備える。露出した足先領域は、足先領域に配置され、アウトソールまたはミッドソール構造体によって覆われることはない。複数のスパイクは、露出した足先領域に配置される。
【0011】
露出した足先端は、露出した足先領域とミッドソール構造体またはアウトソールとの間の端を定義する。前端部は足先領域に位置し、踵領域から最も離れている。前部は、前端部に配置され、前方の位置は、底壁に沿って配置され、前部に位置する。複数のスパイクの少なくとも1つは、内側面および露出した足先端に隣接して配置され、複数のスパイクの少なくとも1つは、外側面および露出した足先端に隣接して配置され、複数のスパイクの少なくとも1つは、前方の位置に隣接して配置される。いくつかの実施形態において、複数のスパイクは、第1のスパイク、第2のスパイク、第3のスパイク、および第4のスパイクを有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、第3のスパイクおよび第4のスパイクは、前方の位置に隣接して配置される。いくつかの実施形態において、露出した足先領域は、複数のバーブ(barb)を有し、複数のバーブの各々は、複数のスパイクの各々よりも短い。いくつかの実施形態では、前部は、底壁から離れ、アッパーに向かって突出している。いくつかの実施形態では、複数のスパイクの各々は、底壁から突出し、複数のスパイクの各々を同心円状に取り囲むエンボス(embossment)を有する。いくつかの実施形態では、中足領域または踵領域は、底壁がミッドソール構造体またはアウトソールによって覆われていないカットアウト部分を有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、履物具のソール構造体は、アッパーと、足先領域と、中足領域と、踵領域と、内側面と、外側面と、を備える。ソール構造体は、地面と接する表面となるように構成されたアウトソールの外側に沿って配置されたアウトソール壁を有するアウトソールを備える。ソール構造体は、アッパーに隣接して配置され、底壁と、前端部と、露出した足先領域と、前部と、複数のスパイクと、ソールプレートとアウトソールの間に配置されたミッドソール構造体とを有するソールプレートを備える。露出した足先領域は、足先領域に位置し、アウトソールまたはミッドソール構造体によって覆われていない。露出した足先端は、露出した足先領域とミッドソール構造体またはアウトソールとの間の端を定義する。前端部は、足先領域に位置し、踵領域から最も離れている。前部は、前端部に配置され、前方の位置は底壁に沿って配置され、前部に配置される。後方の位置は、底壁に沿って配置され、前方の位置から最も離れている。
【0014】
主軸線とは、前方の位置と後方の位置と交差する線と定義される。アウトソール壁は、中足領域の最も深い位置を有する。最も深い位置は、主軸線と、前方の位置とアウトソール壁上のミッドソール構造体またはアウトソールによって妨害されていない点と交差する線として定義される傾斜線との間に最大の角度を形成する位置として定義される。転移線は、底壁に沿って、主軸線に対して垂直に突出し、外側面から内側面に向かって延び、最も深い位置に最も近い。起伏部分は、転移線と露出した足先端とで囲まれ、内側面から外側面まで延びる領域として定義される。起伏部分内のソール構造体は、底壁に向かって傾斜している。
【0015】
いくつかの実施形態では、前部は、底壁から離れ、アッパーに向かって突出している。いくつかの実施形態では、露出した足先端は、波状の連続する線である。いくつかの実施形態では、複数のスパイクは、ソールプレートと一体的に形成されている。いくつかの実施形態では、第1のスパイクは、露出した足先端および外側面に隣接して配置され、第2のスパイクは、露出した足先端および内側面に隣接して配置される。いくつかの実施形態において、第3のスパイク、および第4のスパイクは、前方の位置に隣接して配置される。
【0016】
その特徴および利点を含む履物具の他の態様は、本明細書の図および詳細な説明を検討することで、当業者には明らかである。したがって、履物具のそのような態様はすべて、詳細な説明および本要約に含まれることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の一実施形態によるアッパーおよびソール構造体を含む左靴として構成された履物具の側方側面図である。
図2図1の靴の内側面図である。
図3図1の靴の底面図である。
図4図1の靴の第2実施形態を示す底面図である。
図5図1の履物具を示す上面図であり、アッパーが取り外され、その上にユーザの足の骨格構造が重ねられた状態を示す図である。
図6図1の靴の下側を示す底面斜視図である。
図7図1の靴の下側を示す側面図である。
図8】特定のグループのランナー(runner)の傾斜角度に応じた、グループのランナーの垂直方向および水平方向の平均的な力ベクトルを示すグラフである。
図9】足踏みの第1段階におけるランナーのシーケンス(sequence)における画像である。
図10】足踏みの第2段階におけるランナーのシーケンスにおける画像である。
図11】足踏みの第3相におけるランナーのシーケンスにおける画像である。
図12】ランナーまたはウォーカー(walker)によって行われる足踏みの様々なフェーズを示す図である。
図13】足踏みの第1段階、第2段階、および第3段階のための図1の靴の底の様々なゾーン(zone)を示す。
図14図3の線14-14を通って取得された断面図である。
図15図3の線15-15を通って取得された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の議論および添付の図は、例えば、ランニングシューズ、テニスシューズ、バスケットボールシューズなどの様々な靴または履物具の実施形態を開示し、靴およびそのソール構造体の実施形態に関連する概念は、例えばクロストレーニングシューズ、サッカーシューズ、ライフスタイルシューズ、ゴルフシューズ、ハイキングシューズ、ハイキングブーツ、スキーおよびスノーボードブーツ、サッカーシューズおよびクリート(cleats)、歩行靴、トラッククリート(track cleats)などの広範囲の履物および履物スタイル(styles)に適用されてよい。本明細書に記載の靴またはソール構造体の概念は、ドレスシューズ、サンダル、ローファー、スリッパ、およびヒールを含む非運動用とみなされる履物具に適用することもできる。
【0019】
本明細書で使用される「約(about)」という用語は、数的な量のばらつきを意味し、このようなばらつきは、例えば、ここで開示される実施形態を含み得る履物具または他の製造物で用いられる典型的な測定や製造手順を通して、これらの手順における不注意によるエラーを通して、製品、原料、または組成物若しくは混合物を作製するため、またはその方法を行うために用いる材料の純度の相違などを通して発生する。本開示を通し、「おおよそ」と「約」という用語は、この用語に先行される数値の±5%の範囲を意味する。
【0020】
本明細書で使用される「重量パーセント」、「wt-%」、「重量による百分率」、「重量による%」とういう用語、およびそれらの変化形は、当該物質または成分の濃度として参照され、当該物質または成分の重量を総重量、例えば、組成物または組成物の特定の成分の総重量で割って100を掛けたものとして参照される。本明細書で使用される「パーセント」、「%」などは、「重量パーセント」および「wt-%」と同義であることが理解される。
【0021】
本開示は、例えば、履物具および/または履物具の特定の構成要素、例えば、アッパーおよび/またはソールまたはソール構造体を対象とする。アッパーは、ニット構成要素(knitted component)、織られた織物、および/または不織布から構成され得る。ニット構成要素は糸の編み立てによって、織られた織物は糸の織りによって、不織物は一体の不織物ウェブ(web)の製造によって製造され得る。織られた織物は、たて編み、よこ編み、平編み、丸編み、および/または他の適切な編み方によって形成された織物を含む。織られた織物は、例えば、プレーンニット構造、メッシュニット構造、および/またはリブニット構造を有することができる。織られた織物は、例えば、平織り、綾織り、サテン織り、ドビン織り、ジャカード織り、二重織り、および/またはダブルクロス織りなどの多数の織り方によって形成される織物を含むが、これらに限定されない。不織布には、例えば、エアレイド法および/またはスパンレイド法によって作られた織物を含む。アッパーは、第1のヤーン、第2のヤーン、および/または第3のヤーンなどの様々な材料から構成されてよく、これらは、様々な特性または様々な視覚特性を有することができる。
【0022】
本明細書で使用する「ランナー」という言葉は、狭義に解釈されるべきではなく、シャッフリング(Shuffling)、ウォーキング、ホッピング、ジャンピング、リーピング(leaping)、スキッピング、ジョギング、ランニング、スプリント(sprinting)などを含むが、これらに限定されない活動を包含する。本明細書において、「ランナー」とは、例えば、水平方向の速度に関係なく、足踏みをする人と定義する。足踏みは、例えば、靴が地面に接触したときに始まり、靴が地面との接触から離れたときに終わる。次に、ランナーは歩幅をとり、靴を前方に移動して次の足踏みを開始する。
【0023】
図1および図2は、アッパー32およびソール構造体34を含み、左靴として構成された履物具または靴30の一実施形態を示す。アッパー32はソール構造体34に取り付けられ、一緒になって、足が挿入され得る内部空洞36を規定する。履物具30は、また、図1に図示されるような外側面38と、図2に図示されるような内側面40を含む。ユーザが履物具30を履いているとき、外側面38は、履物具30の外側に面する部分に対応する。換言すると、外側面38は、他方の靴30から最も遠ざかる一方の靴30の側面である。内側面40は、履物具30の内側に面する部分に対応する。換言すると、内側面40は、他方の靴と対面している一方の靴の面である。このように、左右の履物具は、対向する外側面および内側面を有し、ユーザが履物具30を履いているときに内側面40が互いに最も近づくように、一方、外側面38は、履かれている間に互いに最も離れる側面として定義されている。内側面40および外側面38は、履物具30の対向する遠位端で互いに隣接している。
【0024】
単一の履物具30、すなわち、ユーザの左足に着用される靴のみが示されるが、本明細書に開示される概念は、ユーザの左足および右足をそれぞれ受け入れるサイズおよび形状である左靴および右靴を含む一対の靴(図示は省略)に適用可能である。本開示を容易に説明するために、単一の靴30を参照して、本開示の態様を説明する。履物具30を参照して以下に示される本開示は、左靴と右靴の両方に適用可能である。しかし、いくつかの実施形態では、左/右の構成以外に、左靴と右靴との間に相違があり得る。さらに、いくつかの実施形態では、左靴は、右靴が含まない1つまたは複数の追加要の素を含んでよく、または、その逆であってもよい。
【0025】
図5は、足先領域42、中足領域44、および踵領域46を画定する履物具30の上面の概略図を示している。足先領域42は、一組の足指または指骨50、足48の母指球52、および一組の中足骨56を一組の足指50と接続する関節54を含む足48の部分を包む履物品30の部分に概ね対応している。中足領域44は、足先領域42に隣接し、足48のブリッジ(bridge)60と共に足48のアーチ58を包む履物品30の部分に概ね対応する。踵領域46は、中足領域44に隣接しており、一般に、踵または踵骨62、足首(図示は省略)、および/またはアキレス腱(図示は省略)を含む足48の後部分を包む履物品30の部分概ね対応している。
【0026】
特に指定しない限り、足先領域42、中足領域44、踵領域46(図5参照)、内側面40、および外側面38(図1および図2参照)は、履物具30の境界または領域を規定することを意図している。そのために、足先領域42、中足領域44、踵領域46、内側面40、および外側面38は、一般に、履物具30のセクション(section)を特徴付ける。さらに、アッパー32およびソール構造体34の両方は、足先領域42、中足領域44、踵領域46内、ならびに、内側面40および外側面38上の部分を有するものとして特徴付けられ得る。したがって、アッパー32およびソール構造体34(図1および図2参照)、ならびに/またはアッパー32およびソール構造体34の個々の部分は、足先領域42、中足領域44、踵領域46内、および内側面40および外側面38上に配置されるその部分を含むことができる。
【0027】
再び図1および図2を参照すると、ソール構造体34は、アウトソール64と、ミッドソール構造体66と、複数のスパイク70を有するソールプレート68とを含む。いくつかの実施形態では、ミッドソール構造体66とアッパー32の間にインソール(図示は省略)が配置される。アウトソール64は、アウトソール64の外面に配置されると共に、地面または走行面に接するように構成された外壁または底壁72を有する。いくつかの実施形態では、ミッドソール構造体66は、アウトソール64に隣接する第1のミッドソール部材74と、第1のミッドソール部材74およびソールプレート68に隣接する第2のミッドソール部材76とを含み得る。ソールプレート68は、ミッドソール構造体66とアッパー32の間に概ね位置し、アッパー32に隣接している。いくつかの実施形態では、インソールは、ソールプレート68とアッパー32の間に配置される。いくつかの実施形態では、アッパー32は、全体または一部がインソールに固定され得る。
【0028】
多くの従来の履物具のアッパーは、縫い目での結合または縫合によって接合される複数の要素(例えば、織物、ポリマーフォーム、ポリマーシート、革、および合成革)から形成されている。いくつかの実施形態では、履物具30のアッパー32は、ニット構造またはニット構成要素から形成されている。様々な実施形態において、ニット構成要素は、アッパーに異なる特性を提供し得る様々なタイプのヤーン(yarn)を組み込むことができる。例えば、アッパー32のある領域は、第1の特性のセットを付与する第1のタイプのヤーンから形成されてもよく、アッパー32の別の領域は、第2の特性のセットを付与する第2のタイプのヤーンから形成されてもよい。この構成を用いると、アッパー32の異なる領域に対して特定のヤーンを選択することにより、アッパー32の特性をアッパー32全体で変化させることができる。別の例では、上部メッシュ層はたて編みであってよく、メッシュ裏打ち層(mesh backing layer)は丸編みで構成されていてもよい。
【0029】
さらに、図1および図2を参照すると、アッパー32は全体または一部をソールプレート68に固定することができる。図1のソールプレート68は、足先領域42のソールプレート68の前端部80でアッパー32に向かって突出する丸みを帯びた前部78(図1および図4参照)をさらに含む。前端部80は、踵領域から最も離れた位置(または複数の点)である。別の表現では、前端部80は、ソールプレート68の踵領域46に対して最も離れている部分であり、点、縁、端、または1つもしくは複数の領域からなり得る。第1のミッドソール部材74は、例えばポリウレタン(PU)プラスチックなどの熱可塑性材料から構成されてよく、第2のミッドソール部材76は、エチレン-酢酸ビニル(EVA)、そのコポリマー、または同様のタイプの材料から構成されてもよい。他の実施形態では、第1のミッドソール部材74および第2のミッドソール部材76の各々は、同じ材料から構築されてもよい。他の実施形態では、第1のミッドソール部材74および/または第2のミッドソール部材76は、EVA-Solid-Sponge(「ESS」)材料、EVAフォーム(例えば、PUMA(登録商標)ProFoam LiteTM、IGNITE Foam)、ポリウレタン、ポリエーテル、オレフィンブロックコポリマー、熱可塑性材料(例えば、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリオレフィンなど)または超臨界フォーム(foam)でも良い。第1のミッドソール部材74および/または第2のミッドソール部材76は、単一のポリマー材料であってよく、EVAコポリマー、熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)コポリマー、および/またはオレフィンブロックコポリマーなどの、材料のブレンド(blend)であってもよい。
【0030】
引き続き、図1および図2を参照すると、いくつかの実施形態では、ソールプレート68は、例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)材料などのポリウレタン(PU)プラスチックを含む。ソールプレート68は、例えば、他の熱可塑性エラストマーや、ブロックコポリマーからなる繊維強化熱可塑性プラスチックであってもよい。他の実施形態では、ソールプレート68は、例えば、炭素繊維を含むことができる。いくつかの実施形態では、これらおよび他の剛性、半剛性、またはバネ状の材料およびそれらの組み合わせが、ソールプレート68を構成してよい。ソールプレート68は、ソールプレート68の長さに沿って変化した剛性および形状を有することができる。たとえば、ソールプレート68の足先領域42(足先領域42、中足領域44、および踵領域46は、明瞭化のために図3~5に示されている)における剛性は、ソールプレート68の中足領域44よりおおよそ柔軟であってもよく、ソールプレート68の踵領域46よりおおよそ柔軟であってもよい。あるいは、ソールプレート68は、均一な剛性を含むことができる。さらに、ソールプレート68は、例えば、ノッチ、曲線、突起、空洞、角度のあるエッジ、カットアウト(cutout)などの追加または代替の幾何学的形状を含んでよい。いくつかの実施形態では、ソールプレート68は、衝撃保護を付与し、脚の筋肉の緊張を促進し、それによってユーザの踵、足首、脛、膝、腰、および/または背中のストレスを緩和するためのショックプレートとして構成され得る。ソールプレート68を作るために選択された材料のバネ状の特徴により、ソールプレート68は、ソールプレート68が最初に圧縮され、その後、足踏みの衝撃から解放されるため、各足踏みの間に戻り力または跳ね返る力を提供することに適している。
【0031】
ソールプレート68は、ランニング時のより速い離陸を促進することができる剛性のあるソールを提供する。特に、ソールプレート68の形状および剛性は、着用者の中足領域44と踵領域46との間の推進てことして作用し、着用者がより速く加速し、着用者の足先領域42が着用者を前方に推進するつま先を離す動作を作り出すことができる。さらに、本明細書に記載のソール構造体の実施形態は、着用者の脚および足の筋肉全体を強化し、一定の筋緊張を促進する前傾位置にランニング姿勢を調整するために使用できるトレーニング補助器具またはツールを提供することができる。
【0032】
さらに、図1および図2を参照すると、ソール構造体34は、アッパー32に接続または固定され、履物具30がユーザによって着用されたときにユーザの足と地面との間に延在する。ソール構造体34は、アウトソール64、ミッドソール構造体66、ヒール(heel)(図示は省略)、バンプ(vamp)(図示は省略)、および/またはインソール(図示は省略)を含み得る1つ以上の構成要素を含んでよい。例えば、いくつかの実施形態では、ソール構造体34は、ユーザの牽引力とともにソール構造体34に構造的完全性を提供するアウトソール64、クッションシステムを提供するミッドソール構造体66、およびユーザの土踏まず58を指示するインソールを含み得る(図5参照)。本明細書でさらに説明するように、本実施形態のソール構造体34は、ソール構造体34に好ましいバネ特性および減衰特性を提供する1つ以上の構成要素を含む。さらに、本実施形態のソール構造体34は、足踏みをしている間のランナーの傾斜角度を改善するために、より良い牽引力および構造のための複数のスパイク70を有するソールプレート68を構成している。
【0033】
図3および図4は、履物具30のソールプレート68、したがってソール構造体34の第1および第2の実施形態を示す。図4は、ソールプレート68の前端部80における丸みを帯びた前部78を図示する。丸みを帯びた前部78は、アッパー32(図7参照)の方向に延び、ソールプレート68の底壁82から離れている。前方の位置84は、底壁82に沿って、丸みを帯びた前部78に最も近い位置として定義される。換言すると、前方の位置84は、一般に、足先領域42における底壁82の最も前方に位置する。後方の位置86は、ソールプレート68の底壁82上で、前方の位置84から最も離れて配置され、または、最も遠位に位置する点として定義される。換言すると、後方の位置は、一般に、踵領域46における底壁82の最も後方に位置する。
【0034】
図3は、尖った前部88を示す図である。図3の尖った前部88および図4の丸みを帯びた前部78は、それぞれソールプレート68と一体に形成されている。主軸90は、前方の位置84と後方の位置86(図3参照)とを交差させる線として定義される。尖った前部88は、カーブやターンが少ないレース(race)に適しており、丸みを帯びた前部78は、カーブやターンが多いレースにより適している。図3および図4を参照すると、ミッドソール構造体66およびアウトソール64は、一般に、中足領域44および踵領域46において、底壁82に沿ってソールプレート68を覆う。いくつかの実施形態では、中足領域44、踵領域46、または両方の領域は、ソールプレート68の底壁82がミッドソール構造体66またはアウトソール64によって覆われていないカットアウト部分92を有してよい。ミッドソール構造体66は、カットアウト部分92を定義する。ソールプレート68の底壁82は、カットアウト部分92で露出される。アウトソール64は、ソール構造体34に耐久性、耐摩耗性、耐摩耗性、または牽引力を付与するために、1つ以上の材料から形成されてよい。いくつかの実施形態では、アウトソール64は、例えば、ゴムから形成されてもよい。
【0035】
図3図4、および図7を参照すると、底壁72は、中足領域44に最も深い位置94を有する。最も深い位置94は、主軸90に関して前方の位置84に対して最大の角度を形成し、前方の位置84から最も遠くに位置し、最も深い位置94と前方の位置84の間に形成される線に沿ってミッドソール構造体66またはアウトソール64によって妨害されない中足領域44の底壁72上の位置として定義される(図15を参照)。最も深い位置94は、中足領域44の底壁72上の最も低い箇所であってもよいが、本実施形態では、最も深い位置94が底壁72上の最も低い箇所に隣接するように示されている。ソールプレート68の底壁82は、平坦な面であることに限定されず、輪郭、起伏または他の構成を含んでよい。
【0036】
図3および図4を参照すると、丸みを帯びた前部78または尖った前部88から足先領域42の少なくとも一部まで、ソールプレート68の底壁82は、ミッドソール構造体66またはアウトソール64によって覆われない。足先領域42におけるソールプレート68の底壁82における、この露出した領域は、露出した足先領域96として定義される。露出した足先領域96が終わり、ソールプレート68の底壁82がアウトソール64、ミッドソール構造体66のいずれか、または両方によって覆われ始める境界は、露出した足先端98として定義される。露出した足先端98は、直線、波線、ギザギザ線、輪郭線、または靴30の内側面40から靴30の外側面38に達する任意の形式の連続線であってよい。転移線100は、ソールプレート68の底壁82に沿って靴30の内側面40から外側面38まで延び、主軸90に対して垂直に突出し、最も深い位置94に最も近い位置に配置される。換言すると、転移線100は、上方から見たときに、最も深い位置94を通って靴30の外側面38から内側面40まで延びている。
【0037】
中足領域44および足先領域42は、遷移ゾーン102によってさらに規定される。転移ゾーン102は、第1の端で露出した足先端98によって、第2の端で転移線100によって境界を定められる領域である。図3では、外側面38に近い転移ゾーン102は、露出した足先端98が転移線100よりも前方の位置84から遠く離れている。しかし、内側面40に近い転移ゾーン102は、転移線100よりも前方の位置84に近い位置に露出した足先端98を有している。換言すると、転移ゾーン102は様々なセグメント(segment)を有することができ、各セグメントはソールプレート68の底壁82に向かって傾斜している。転移ゾーン102は、靴30の内側面40から靴30の外側面38まで広がっている。最も深い位置94は、(前方の位置84から引いた線に対して)中足領域44のアウトソール64の底壁72に沿った点であり、前方の位置84はソールプレート68の底壁82上に位置しているため、転移ゾーン102のソール構造体34は底壁82に向かって(図に応じて上または下)傾斜してアウトソール64およびミッドソール構造体66の前端の起伏部分104を定める。
【0038】
図4図3とを比較すると、最も深い位置94は、図3よりも図4の方が前方の位置84から遠く離れている。最も深い位置94の位置のこの差は、図3図4のそれぞれの転移ゾーン102の差をもたらす。図4では、転移ゾーン102は、転移線100が前方の位置84にあるよりも前方の位置84に近い露出した足先端98によって境界付けられ、外側面38および内側面40によって側面に沿って境界付けられた単一セグメントである。ここでも、転移ゾーン102は、起伏部分104に沿ってソールプレート68の底壁82に向かって傾斜している。図3および図4は、最も深い位置94の位置が転移ゾーン102の大きさおよび形状にどのように影響し得るかを示す。
【0039】
図1~5を参照すると、起伏部分104および複数のスパイク70(図3および図4参照)は、ランナーの動作を改善可能な点で有用である。図1に示す履物具30は、特に高速レース中(例えば、10キロメートルレース中)にランナーがより速く走ることを助けるように設計された特性を有する。まず、足先領域42の複数のスパイク70は、図6~13を説明するときにさらに詳しく説明するように、ランナーの足踏みの異なる局面において地面へのグリップを向上させる。複数のスパイク70の各々の位置は、ランナーの足踏みの異なる局面においてランナーの動作を向上させるように選択または特定される。第2に、ソールプレート68が中足領域44のソール構造体34よりも浅い深さを有するため、靴30は、ランナーの傾斜角度の増加を自然に促進し、これによりランニングパフォーマンスも向上する。一般論として、ランナーが速く動くほど、ある範囲内で傾斜角度を高くすることは、ランナーの加速度が向上し、速度が向上します(後述の図8の説明を参照)。
【0040】
図3および図4を具体的に参照すると、複数のスパイク70は、足先領域42の露出した足先領域96に配置されている。複数のスパイク70は、ソールプレート68の底壁82に沿ってアッパー32から離れるように突出している。複数のスパイク70は、深いテーパ形状またはスパイク形状を有する突起であり、ソールプレート68と一体的に形成されてよく、対応する複数の開口(図示は省略)にオーバーモールド(overmolded)(図示は省略)されてよく、対応する複数の開口内の対応するねじ山(図示は省略)に固定されるねじ山付き端(図示は省略)を有してもよい。複数のスパイク70は、剛性プラスチック材料または金属材料で作ることができる。いくつかの実施形態では、複数のスパイク70は、第1のスパイク106、第2のスパイク108、第3のスパイク110、および第4のスパイク112を含む。いくつかの実施形態では、複数のスパイク70の各々は、同一である。他の実施形態では、複数のスパイク70のうちの1つ、いくつか、またはすべては、形状、サイズ、または材料において互いに変えることができる。
【0041】
さらに、図3および図4を参照すると、露出した足先領域96の複数のスパイク70に加えて、露出した足先領域96は、複数のバーブ(barb)114(図6および図7を参照)だけでなく、あるいは代わりに複数の歯状部(図示は省略)を有してよい。複数のバーブ114は、ソールプレート68の底壁82と一体的に形成されている。複数のバーブ114の各々は、複数のスパイク70の各々よりも高さが短く、これにより、地面に対するグリップおよび牽引力がトータルとして強化される。複数のバーブ114は、底壁82と平行にとられた断面が概ね円形であり、複数の歯状部は、断面が概ね楕円形である。
【0042】
図3に示すように、ソールプレート68は、中足領域44を少なくとも部分的に通って延びている。いくつかの実施形態では、ソールプレート68は、足先領域42の露出した足先領域96だけでなく、カットアウト部分92でも露出する。いくつかの実施形態では、ソールプレート68は、履物具30のアーチ状部分116に隣接して配置される。他の実施形態では、地面に接する表面は、履物具30の中足領域44の内側面40に沿って連続的ではない。例えば、図3に示されるように、アウトソール64はアーチ状部分116を部分的に取り囲み、ミッドソール構造体66はアーチ状部分116を部分的に画定している。アーチ状部分116は、カットアウト部分92から底壁72への転移領域と見なすことができる。
【0043】
図6では、足先領域42が、中足領域44の一部とともに、その全体が示されている。露出した足先領域96および露出した足先端98は、ソールプレート68の底壁82を露出している、または、覆っていない。前方の位置84、最も深い位置94、および転移線100がすべて示されている。転移線100、露出した足先端98、内側面40、および外側面38は、トータルで転移ゾーン102を画定している。図6では、転移線100は、露出した足先端98の靴30の内側面40から外側面38までよりも、前方の位置84から遠く離れている。第1スパイク106、第2スパイク108、第3スパイク110、および第4スパイク112を含む複数のスパイク70は、底壁82に沿ってまたはその中に配置されていることが示されている。本実施形態では、露出した足先端98は直線ではなく、代わりに、第1のスパイク106および第2のスパイク108を収容するための2つの曲線を有する波線である。波線は3つの変曲点を定義するが、2つ、または4つ、または5つ、または6つ、またはそれ以上の変曲点を定義してもよい。第1のスパイク106は、靴30の外側面38に配置され、露出した足先端98に隣接している。第2のスパイク108は、靴30の内側面40に配置され、露出した足先端98に隣接している。第3のスパイク110および第4のスパイク112は、前方の位置84に隣接して配置されている。第4のスパイクは112は、靴30の内側面40よりも靴30の外側面38に近い(図3図4、および図6を参照)。
【0044】
引き続き、図6を参照すると、複数のスパイク70の各々は、底壁82からわずかに突出し、複数のスパイク70の各々を同心円状に取り囲むエンボ118を有する。いくつかの実施形態では、複数のスパイク70は、対応するエンボス118を有していない。いくつかの実施形態では、エンボス118は、円形、正方形、六角形、ダイヤモンド形、星形、または別の形状であってよい。エンボス118は、複数のスパイク70のいずれよりも大きく突出しない。底壁82は、また、底壁82からアッパー32(図1参照)から離れるように突出する複数のバーブ114を有するが、複数のスパイク70のうちのいずれかの突出部ほどには突出しない。複数のバーブ114の各々は、底壁82に平行な平面において、概ね円形の断面を有する。いくつかの実施形態では、底壁82は、アッパー32から離れて、底壁82から突出するが、複数のスパイク70のいずれかの突出ほどではない複数の歯状部(図示は省略)を有する。複数の歯状部の各々は、底壁82に平行な平面において、概ね楕円形の断面を有する。複数のバーブ114および/または複数の歯状部は、存在する場合には、ソールプレート68の底壁82と一体的に形成されている。複数のバーブ114および/または複数の歯状部は、存在する場合には、地面との牽引力を改善するように構成される。いくつかの実施形態では、複数のバーブ114および複数の歯状部のいずれも存在しない。いくつかの実施形態では、複数のスパイク70は最も深い位置94を越えて延在し、いくつかの実施形態では、複数のスパイク70は最も深い位置94を越えて延在しない。
【0045】
図7を参照すると、足先領域42が、中足領域44の一部とともに、その全体が示されている。露出した足先領域96および露出した足先端98は、ソールプレート68の底壁82を露出している、または、覆っていない。前方の位置84および最も深い位置94は、両方示されている。丸みを帯びた前部78は、前方の位置84の近くでアッパー32(図1参照)に向かって突出して示されている。複数のバーブ114と複数のスパイク70のうちの2つ、すなわち第2のスパイク108と第3のスパイク110が示されている。さらに、主軸90は、前方の位置84から突出し、前方の位置84と交差している。傾斜線120は、最も深い位置94および前方の位置84と交差する(図7および図15参照)。傾斜角度122は、前方の位置84において、傾斜線120と主軸90との間に配置されている。
【0046】
傾斜角度122は、どの程度、靴30がランナーの傾斜角度の増加を促進するように構成されているかを、測定する方法を提供する。露出した足先領域96のソール構造体34(図1参照)は、中足領域44およびアウトソール64のソール構造体34ほど深くないため、靴30は、足踏み時にランナーが前傾するのを容易にする構造である。換言すると、靴30の構造および形状は、ランナーの傾斜角度を増加させる傾向がある。最も深い位置94が中足領域44より前方にあり、露出した足先領域96が小さくなると、傾斜角度122は大きくなる。最も深い位置94が中足領域44より後方にあり、露出した足先領域96が大きくなると、傾斜角度122は小さくなる。傾斜角度122は、ランナーの傾斜角度を操作する方法を提供する。傾斜角度122は、約2度と約30度との間、または、約3度と約20度との間、または、約4度と約15度との間、または、約5度と約10度との間、または、約6度と約8度との間であり得る。傾斜角度122は、存在する露出した足先領域96の量の指標も提供する。露出した足先領域96にアウトソール64およびミッドソール構造体66がないことも、足踏み時の損失を減らすことに役立つ(図9および以下の図9の考察を参照)。
【0047】
図8は、特定のグループのランナーの傾斜角度に応じた、垂直方向および水平方向の、グループのランナーの平均的な力ベクトルを示すグラフである。4つのグループのランナーが観察され、測定された。それぞれ力ベクトル線として示される、ランナーの第1グループ124、第2グループ126、第3グループ128、および第4グループ130は、異なる傾斜角度で走行しながら測定されたランナーのグループを表す。例えば、第1グループ124は、測定された傾斜角度が0.2度であるランナーのグループである。このことは、第1グループ124のランナーは、他のグループ126、128、130と比較して、走行中に前傾姿勢がほとんどなかったことを意味する。横のX軸は、発生した水平方向の力の大きさを表し、縦のY軸は、様々なグループ124、126、128、130によって発生された垂直方向の力の大きさを表しています。第1グループ124によって発生された水平方向の力の量、すなわち前方に移動する力の量が、第1グループ124によって発生された垂直方向の力の量、すなわち上下に移動する力の量の大きさと比較される。当該発生された水平方向の力に対する当該発生された垂直方向の力の比は、図8において、第1のグループ124を表すベクトルとして示される。
【0048】
第2グループ126は0.5度と測定された傾斜角度を有し、第3グループ128は0.8度と測定された傾斜角度を有し、第4グループ130は1.1度と測定された傾斜角度を有する。このことは、第2グループ126は第1グループ124よりも前傾しているが、第3グループ128と第4グループ130よりも前傾していないことを意味している。各グループに対して、前傾姿勢が強いほど、発生された垂直方向の力の量と比較して、発生された水平方向の力の量がより多く発生する。その結果、図8のグラフにおいて、第1グループ124の力ベクトルは最も左に示されており、第4グループ130の力ベクトルは最も右に示されている。このことは、ランナーの傾斜角度が大きくなるにつれて、水平方向の力、したがって、速度がより効率的に発生されることを示している。したがって、図8に示されるグラフは、傾斜角度が大きいランナーが一般に効率よく走るという一般的な結論を支持している。靴30(図1参照)の傾斜角度122(図7および図15参照)は、ランナーの傾斜角度を増加させることに役立つ方法を提供する。
【0049】
図9図11は、足踏みの第1段階132(図9)、第2段階134(図10)、および第3段階136(図11)の間のランナーの画像のシーケンスを示す。図9を参照すると、第1または着地段階132は、ランナーが足踏みをする様子を示しており、靴30は地面と最初の接触をしている。靴30が最初に地面に接触するとき、ランナーからのエネルギーは靴30を圧縮することに費やされる。ランナーは、第1段階132の間、水平方向により速く移動することはなく、代わりに減速する。この減速は、ランナーの運動量を減少させる。その結果、第1段階132の間のこのエネルギーの損失を低減することができる靴30の任意の構成は、ランナーのレース中の動作を改善する。
【0050】
図1の履物具30は、第1段階132から失われる運動量の量を低減する4つの特徴を有する。第1に、アウトソール64およびミッドソール構造体66は、露出した足先領域96に存在しないため、ミッドソール構造体66およびアウトソール64が受ける圧縮の量を減少させる。第2に、ソールプレート68は、靴30が足先領域42で地面に接触するときの第1段階132の大部分を吸収する。ソールプレート68は比較的硬いため、ソールプレート68は圧縮後に跳ね返る(spring back)。足先領域42でソールプレート68が経験した圧縮力の多くは、ソールプレート68が跳ね返るときに、元に戻される(図1および図2の説明において、上記のソールプレート68の材料の説明を参照)。第3に、靴30の傾斜角度122(図7および図15参照)は、ランナーの傾斜角度の増加を容易にする。上述の図8に関して述べたように、ランナーの傾斜角度のこのような増加は、無駄になる垂直方向の力を減らし、より価値のある水平方向の力を発生させることにつながる。第4に、足先領域42(図3参照)の複数のスパイク70は、複数のスパイク70を地面と確実に接触せるために、第1段階132の力を集中させて、それによって第1段階132の間に靴30と地面とのより強い接触を提供する。複数のスパイク70を地面に確実に接触させることは、第1段階より後の段階でも有益である。
【0051】
図10において、第2段階または推進段階134は、靴30が地面に接触している状態で、ランナーが足踏みをし、ランナーが靴30の位置に対して前方に推進される様子を示している。足踏みの際に発生される水平方向の力の大部分、したがって速度の大部分は、第2段階134で発生する。図9図10を比較すると、靴30はランナーの身体の前方に位置する第1段階132を開始するが、第2段階134の間に、靴30はランナーの身体の後ろに位置して終了する。靴30は、第1段階132から第2段階134に移動しない。その代わりに、ランナーの身体は靴30に対して前方に移動する。ランナーの身体は、前方への運動量と、第2段階134の間にランナーによって生み出される追加の水平方向の力との組み合わせにより、第2段階134の間に前方に移動する。その結果、第2段階134の間に追加の水平方向の力を増加させる靴30の任意の構成は、ランナーの動作を改善する。
【0052】
図1の履物具30は、第2段階134(図10参照)の間に生じる追加の水平方向の力増加させるいくつかの特徴を有する。第1に、複数のスパイク70および複数のバーブ114(図3参照)は、地面との接触が強いことを保証する。そのため、ランナーは牽引力を失うことなくランナーが望むだけ強く押すことができる。第2に、傾斜角度122(図7および図15参照)は、第2段階134の接触の大部分を靴30の露出した足先領域96に集中させ、それにより踵領域46および中足領域44との接触を減少させる。踵領域46および中足領域44との接触が減少するため、圧縮されるミッドソール構造体66の量は減少する。さらに、この第2段階134の間、ソールプレート68は、ソールプレート68の圧縮前の元の形状に跳ね返り、そのエネルギーは、ランナーを前方に進ませることを支援するために使用される。第3に、傾斜角度122は、また、第2段階134の間、ランナーが自然に大きな傾斜角度を持つことを促進することを支援し、より価値のある水平方向の力と、より無駄な垂直方向の力を低減する(上記の図8の説明を参照)。第4に、傾斜角度122のために靴30の底部が効果的に傾斜しているため、第2段階134の歩幅は、第2段階134の終了でわずかに延ばされ、より多くの水平方向の力を発生する機会を提供する。
【0053】
図11を参照すると、第3段階またはつま先を離す段階136は、ランナーが足踏みをしている様子を示し、靴30が地面との接触を断ち始めている様子を示している。ランナーは、靴30が地面との接触を断つ瞬間まで、靴30の位置に対して身体を前方に推進し続ける。第3段階136は比較的短い段階であるが、この段階は、足踏みの間に生じる水平方向の力を最大限に増加させる絶好の機会である。靴30が地面に対する牽引力を失うとき、または、失うと、エネルギーが失われる可能性がある。さらに、靴30が牽引力を失うと、ランナーの次の足踏みは、前方への運動量の損失とともに、僅かなバランスの損失により、影響を受ける可能性がある。0.1秒が1位と最下位の差になるレースでは、第3段階136における靴30の牽引力の低下がその差になる可能性がある。その結果、第3段階136を通じて良好な牽引力を維持することは、ランナーの動作を大幅に改善することができる。
【0054】
靴30は、ランナーの身体の後ろに位置される第2段階134(図10参照)を開始し、第3段階136の間、靴30は依然としてランナーの身体の後ろに位置される。靴30は、地面と接触したままである。第2段階134と第3段階136との間の靴30の動きは、靴30が地面との接触を断つために上昇するときの靴30のピボット(pivot)または回転に関連している(図11参照)。その結果、第3段階136での牽引力の損失を回避し、第3段階136の間に発生される水平方向の力を増加させることに役立つ靴30の任意の構成が、ランナーのレース中の動作を改善する。
【0055】
図1の履物具30は、第3段階136(図11参照)の間に地面との良好な牽引力を生み出し、第3段階136の間に発生される水平方向の力を増加させるいくつかの特徴を有する。第1に、複数のスパイク70および複数のバーブ114(図3参照)は、地面との接触が強いことを保証するため、ランナーは、滑って地面との接触を失う恐れが少なく、ランナーが望むだけ強く押すことができる。第2に、傾斜角度122(図7および図15参照)は、第3段階136の接触の大部分を靴30の露出した足先領域96に集中させる。ソールプレート68は、第3段階136の間、ソールプレート68の元の(圧縮前の)形状に跳ね返るか、または、既に跳ね返っており、複数のスパイク70が地面との強い接触を可能な限り維持するように位置される。第3に、傾斜角度122はまた、ランナーが第3段階136の間により大きな傾斜角度を利用することを容易にし、これはより価値のある水平方向の力を発生させ、より無駄な垂直方向の力を低減する(上記の図8の説明を参照)。
【0056】
図12は、足踏みの様々な段階を示す図である。図12に示された足は、一般的な足であり、図1の靴30と同様ではない。レースを走るランナーのための第1段階132の始まりは、ゆったりとした散歩の間にゆっくりとしたペースで歩くウォーカーの第1段階132の始まりとは異なる。速度がより遅い場合の最初の接触は、第1またはヒールポイント(heel point)138であり得る。より速いスピードの場合、最初の接触は、第2または中足点(midfoot point)140であってよく、最も速い速度の場合、最初の接触は、第3または足先点(forefoot point)142であってよい。これは、部分的には、ランナーのバランスを保つことに関する。ランナーが水平方向に速く移動するほど、ランナーはバランスを保ちながら前傾姿勢をとることができる。しかし、速度が遅いと、ランナーが発生する水平方向の力は小さくなり、バランスを保つためにランナーの傾斜角度は自然に減少する。したがって、動きの速いランナーの最初の接触は、動きの遅い歩行者よりも一般的に足の前方にある。図12には、第2段階134の間の足の角度が示されており、第1段階132の間、ランナーの身体は靴30(したがって足)の後ろにあるが、第2段階134の後半部分の間は靴30の前にあることを補強している。第3段階136の間に足が回転するにつれて、足は垂直に持ち上がり始める。第3段階136の間の足の向きに基づいて、1つ以上の複数のスパイク70(図3参照)は、第3段階136の間の地面と靴30との間の接触を改善する。
【0057】
図13は、図1の(左の)靴30の底面上の第1段階132(図12参照)、第2段階134(図12参照)、および第3段階136(図12参照)のためのゾーン(zone)を示す。これらのゾーンは、望ましい結果を発生するために、複数のスパイク70のそれぞれをどこに配置するかをトータルで示唆する。まず、足先領域42の外側面38において、第1段階132が靴30と最も接触する着地ゾーン144が特定されている。第1段階132の間に靴30が過剰な牽引力(すなわち、過剰な制動力)を受けないようにするために、この着地ゾーン144は、過剰な牽引力または制動力を生じさせずに第1段階132の間に地面との十分な接触を発生することに十分な牽引力を提供ために存在するスパイクが少ないことによって、最適に動作する。第2に、推進ゾーン146が、足先領域42の内側面40に特定されており、ここで、第2段階134は最も前方への力を発生する。この推進ゾーン146の牽引力は、第2段階134の間に最大の水平方向の力が生じるように、比較的高く保つ必要がある。この増加された牽引力は、複数のスパイク70のうちの少なくとも1つが推進ゾーン146に存在することによって作り出すことができる。第3に、前方の位置84に近い足先領域42の前部に、第3段階136の間の接触が、最も多い接触ゾーン148が特定されている。この接触ゾーン148の牽引力は、地面と靴30との間の十分な接触が第3段階136の間に維持されるように、比較的高く維持されるべきであり、そうでない場合には、再び第3段階136の間に生じる水平方向の力が減少し得る。この増加した牽引力は、複数のスパイク70の少なくとも1つが接触ゾーン148に存在することによって発生される可能性がある。
【0058】
図3および図13を参照すると、これらの知見に基づいて、少なくとも一実施形態における複数のスパイク70の位置は、推進ゾーン146および接触ゾーン148が十分な牽引力を有すること、および着地ゾーン144が過度の家人力を有することなく第1段階132の間に十分な牽引力を有することを保証することに向けられる。第1のスパイク106は、靴30の外側面38上で、露出した足先端98に隣接して配置される。この位置は、上述した第1段階132の着地ゾーン144に対応する。第1のスパイク106は、着地ゾーン144に複数のスパイク70の多くを配置することによって過剰な量の牽引力を発生することなく、第1段階132の間、靴30と地面との間の接触を維持することに十分な牽引力を提供する。第2のスパイク108は、靴30の内側面40に配置され、露出した足先端98に隣接している。これは、上述した第2段階134の推進ゾーン146に対応する。第2のスパイク108は、第2段階134が可能な限り多くの水平方向の力を発生することができるように、推進ゾーン146が十分な牽引力を有することを保証する。第3のスパイク110および第4のスパイク112は、前方の位置84に隣接して配置される。これは、上述した第3段階136の接触ゾーン148に対応する。第3のスパイク110および第4のスパイク112は、第3段階136の間に靴30と地面との間に強い接触を生じさせ、可能な限り多くの水平方向の力を提供することを支援するために、可能な限り多くの牽引力を提供する。
【0059】
図14は、図3の線14-14を通って取得された断面であり、図15は、図3の線15-15を通って取得された断面である。図14および図15の両方は、底壁72、アウトソール64、第1のミッドソール部材74、第2のミッドソール部材76、ソールプレート68、ソールプレート68の底壁82、丸みを帯びた前部78、ならびに足先領域42、中足領域44、踵領域46(後者の3つの要素については図15参照)および露出された足先領域96を示す。さらに、図14および図15は、前方の位置84、後方の位置86、最も深い位置94、起伏部分104および転移ゾーン102を示す。さらに、主軸90、転移線100(見易くするために、図6を参照)、傾斜線120(図15を参照)および傾斜角度122(図15を参照)も示されている。図14および図15は、また、最も深い位置94が必ずしも最も下の点ではなく、転移ゾーン102の斜面の形状によっては、第1のミッドソール部材74、第2のミッドソール部材76、またはアウトソール64によって妨げられない短い点であってもよいことを示している。第2のスパイク108および第3のスパイク110は図14に示されており、第1のスパイク106は図15に示されている。第4のスパイク112は、傾斜角度122をより明確にするために、図15では取り除かれている(4つのスパイク106、108、110、112のすべてのより明確な図については図3を参照)。
【0060】
図14および図15は、露出した足先領域96における複数のスパイク70の位置および傾斜角度122(図15参照)が、靴30が提供可能な利点を生じることにどのように役立つのかをまとめて示している。レース中のランナーは、傾斜角度122(図15参照)、複数のスパイク70の位置、およびソールプレート68(図3参照)の跳ね返りの特徴によって促進される傾斜角度の増加の結果として、本明細書に開示される靴30を着用して第1段階132(図9参照)の間に失うエネルギーが少なく、第2段階134(図10参照)の間により多くのエネルギーまたはより速い速度を得ることができる。さらに、複数のスパイク70の位置は、第3段階136(図11参照)において、より水平方向の力を発生する方法を提供することを支援する。また、露出した足先領域96におけるミッドソール構造体66およびアウトソール64の減少は、同様に靴30の重量を減少させる。これらすべての理由から、本明細書に開示される靴30の実施形態のすべては、レース中のランニング性能の改善を提供する。
【0061】
本明細書に記載された実施形態のいずれもが、異なる実施形態に関連して開示された構造または方法論のいずれかを含むように変更されてよい。さらに、本開示は、具体的に示されたタイプの履物具に限定されない。本明細書に開示された実施形態のいずれかの履物具の態様は、任意のタイプの履物、アパレル、または他の運動用具と連携するように変更されてもよい。
【0062】
先に述べたように、本発明を特定の実施形態および実施例に関連して説明したが、本発明は必ずしもそのように限定されず、多数の他の実施形態、実施例、使用、変更および実施形態、実施例および使用からの逸脱が、ここに添付した請求項に包含されることを意図していることが当業者によって理解される。本明細書で引用した各特許および刊行物の開示全体は、そのような各特許または刊行物が個別に参照により本明細書に組み込まれるように、参照として組み込まれる。本発明の様々な特徴および利点は、以下の特許請求の範囲に記載されている。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明に対する様々な変更は、前述の説明を考慮し、当業者には明らかである。従って、この説明は、例示的なものとしてのみ解釈され、当業者が本発明を製造し、使用することを可能とする目的で提示される。添付の特許請求の範囲に含まれるすべての変更に対する排他的権利は留保される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【外国語明細書】