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特開2023-126215視覚情報およびサンプリングを領域ごとに変化させるための光制御デバイスおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126215
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】視覚情報およびサンプリングを領域ごとに変化させるための光制御デバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61H 5/00 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
A61H5/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023096374
(22)【出願日】2023-06-12
(62)【分割の表示】P 2020554385の分割
【原出願日】2018-12-17
(31)【優先権主張番号】15/903,923
(32)【優先日】2018-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/608,039
(32)【優先日】2017-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520223789
【氏名又は名称】アパーチャー・イン・モーション・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】オリビア・セルダレビック
(72)【発明者】
【氏名】エドワード・ヤヴィツ
(57)【要約】
【課題】視覚情報およびサンプリングを領域ごとに変化させるための光制御デバイスおよび方法を提供する。
【解決手段】
例示的な光制御デバイスおよび方法は、眼球視野の視覚情報およびサンプリング(「V-VIS」)を領域ごとに変化させ、それによって、視野を改善または安定化し、視覚症状を軽減し、視力障害率を低下させ、眼疾患もしくは神経学的状態、疾患、損傷、または障害の進行を低減させる。V-VISデバイスおよび方法は、網膜の前方の1つまたは複数の開口を、網膜の前方において瞳の中心と非同軸上の1つまたは複数の位置と網膜の前方において瞳の中心と同軸上の位置との間を50ヘルツから50キロヘルツの間のサンプリング速度で光学的に移動させる。これらのV-VISデバイスおよび方法のうちのいくつかのデバイスおよび方法は、拡張または仮想現実、視力測定、視力監視、または限定はしないが、薬剤、遺伝治療、網膜置換、および幹細胞療法を含む他の療法と併用されてもよい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光制御デバイスであって、
眼の網膜の前方に配置された1つまたは複数の透過層と、
前記1つまたは複数の透過層の表面上または前記1つまたは複数の透過層内に配置された
1つまたは複数の光学活性素子と、
電源に結合されたコントローラであって、導電層を介して前記1つまたは複数の光学活性素子に電気的に結合され、時間シーケンスに従って制御信号を生成して前記1つまたは複数の光学活性素子に転送するように構成されたコントローラとを備え、
前記網膜の前方は、眼球外配置、角膜内配置、または眼球内配置のうちの1つを含み、
前記1つまたは複数の光学活性素子は、前記制御信号を受信すると、前記1つまたは複数の透過層内に低下させた透過度を有する1つまたは複数の領域を形成し、前記低下させた透過度を有する前記1つまたは複数の領域は、対応する透過領域を含む1つまたは複数の開口を囲み画定し、
前記1つまたは複数の開口は、前記時間シーケンスに従って前記1つまたは複数の透過層内の空間的に分離されるかまたは重なり合った位置に光学的に出現し、前記1つまたは複数の開口は、50ヘルツから50キロヘルツの間のサンプリング速度で眼球視野から環境光をサンプリングして前記網膜に送る可動開口効果をもたらす光制御デバイス。
【請求項2】
前記コントローラに電気的に結合された少なくとも1つのセンサーをさらに備え、前記少なくとも1つのセンサーは、(i)被験者において、サンプリングされ前記可動開口効果によって前記被験者の前記眼の前記網膜に送られた前記眼球視野の知覚を生じさせる最大サンプリング速度、または(ii)被験者において、サンプリングされ前記可動開口効果によって前記被験者の前記眼の前記網膜に送られた前記眼球視野のストロボ効果またはファントムアレイ効果のうちの1つまたは複数をもたらさずに前記知覚を生じさせる最小サンプリング速度のうちの少なくとも一方において測定を行う、請求項1に記載の光制御デバイス。
【請求項3】
前記コントローラは、追加の制御信号を生成し転送して、(i)前記1つまたは複数の開口、または(ii)前記1つまたは複数の開口を含む境界のある領域の外側の領域の少なくとも一方の透過度、色、色度、サイズ、または形状のうちの少なくとも1つを調整する、請求項1に記載の光制御デバイス。
【請求項4】
前記光制御デバイスは、前記コントローラに電気的に結合されたディスプレイユニットをさらに備え、
前記コントローラは、追加の制御信号を生成して前記ディスプレイユニットに転送し、
前記ディスプレイユニットは、前記追加の制御信号に応答して、拡張現実画像、仮想現実画像、またはカメラ由来の画像のうちの少なくとも1つを被験者によって視覚的に認知されるように表示し、
前記カメラ由来の画像は、視覚情報を含み、前記視覚情報は、前記被験者の前記眼、他眼、または両眼の周囲、上方、下方、または後方のうちの少なくとも1つから外部に取り付けられた1つまたは複数のカメラによって取り込まれた環境光を含む、請求項1に記載の光制御デバイス。
【請求項5】
リモートにアクセス可能なデバイスの観察面は、前記眼球視野内に配置され、前記観察面は、文字、数字、または物体のうちの少なくとも1つを含むディスプレイを提示する、
請求項1に記載の光制御デバイス。
【請求項6】
光制御デバイスであって、
投影ユニットと、
眼の網膜の前方に配置された1つまたは複数の透過層と、
前記1つまたは複数の透過層の表面上または前記1つまたは複数の透過層内に配置された光学活性粒子と、
電源に結合されたコントローラであって、前記投影ユニットに電気的に結合され、時間シーケンスに従って制御信号を生成して前記投影ユニットに転送するように構成されたコントローラとを備え、
前記網膜の前方は、眼球外配置、角膜内配置、または眼球内配置のうちの1つを含み、
前記投影ユニットは、前記制御信号の各々を受信すると、前記1つまたは複数の透過層の一部上に励起光を投影し、前記1つまたは複数の透過層の表面上または一部内に配置された前記光学活性粒子は、前記励起光を吸収して、低下させた透過度を有する1つまたは複数の領域を形成し、前記低下させた透過度を有する前記1つまたは複数の領域は、対応する透過領域を含む1つまたは複数の開口を囲み画定し、
前記1つまたは複数の開口は、前記時間シーケンスに従って前記1つまたは複数の透過層内の空間的に分離されるかまたは重なり合った位置に光学的に出現し、前記1つまたは複数の開口は、50ヘルツから50キロヘルツの間のサンプリング速度で眼球視野から環境光をサンプリングして前記網膜に送る可動開口効果をもたらす光制御デバイス。
【請求項7】
前記コントローラに電気的に結合された少なくとも1つのセンサーをさらに備え、前記少なくとも1つのセンサーは、(i)被験者において、サンプリングされ前記可動開口効果によって前記被験者の前記眼の前記網膜に送られた前記眼球視野の知覚を生じさせる最大サンプリング速度、または(ii)被験者において、サンプリングされ前記可動開口効果によって前記被験者の前記眼の前記網膜に送られた前記眼球視野のストロボ効果またはファントムアレイ効果のうちの1つまたは複数をもたらさずに前記知覚を生じさせる最小サンプリング速度のうちの少なくとも一方において測定を行う、請求項6に記載の光制御デバイス。
【請求項8】
前記コントローラは、追加の制御信号を生成し転送して、(i)前記1つまたは複数の開口、または(ii)前記1つまたは複数の開口を含む境界のある領域の外側の領域の少なくとも一方の透過度、色、色度、サイズ、または形状のうちの少なくとも1つを調整する、請求項6に記載の光制御デバイス。
【請求項9】
前記光制御デバイスは、前記コントローラに電気的に結合されたディスプレイユニットをさらに備え、
前記コントローラは、追加の制御信号を生成して前記ディスプレイユニットに転送し、
前記ディスプレイユニットは、前記追加の制御信号に応答して、拡張現実画像、仮想現実画像、またはカメラ由来の画像のうちの少なくとも1つを被験者によって視覚的に認知されるように表示し、
前記カメラ由来の画像は、視覚情報を含み、前記視覚情報は、前記被験者の前記眼、他眼、または両眼の周囲、上方、下方、または後方のうちの少なくとも1つから外部に取り付けられた1つまたは複数のカメラによって取り込まれた環境光を含む、請求項6に記載の光制御デバイス。
【請求項10】
リモートにアクセス可能なデバイスの観察面は、前記眼球視野内に配置され、前記観察面は、文字、数字、または物体のうちの少なくとも1つを含むディスプレイを提示する、
請求項6に記載の光制御デバイス。
【請求項11】
光制御デバイスであって、
眼の網膜の前方に配置された透過導波管と、
電源に結合されたコントローラであって、前記透過導波管に結合され、時間シーケンスに従って制御信号を生成して転送するように構成されたコントローラとを備え、
前記網膜の前方は、眼球外配置、角膜内配置、または眼球内配置のうちの1つを含み、
前記透過導波管は、前記制御信号に応じて、前記透過導波管内の1つまたは複数の領域の透過度を低下させる画像データを提示し、前記低下させた透過度を特徴とする前記1つまたは複数の領域は、対応する透過領域を含む1つまたは複数の開口を囲み画定し、
前記1つまたは複数の開口は、前記時間シーケンスに従って前記透過導波管内の空間的に分離されるかまたは重なり合った位置に光学的に出現し、前記1つまたは複数の開口は、50ヘルツから50キロヘルツの間のサンプリング速度で眼球視野から環境光をサンプリングして前記網膜に送る可動開口効果をもたらす光制御デバイス。
【請求項12】
前記コントローラに電気的に結合された少なくとも1つのセンサーをさらに備え、前記少なくとも1つのセンサーは、(i)被験者において、サンプリングされ前記可動開口効果によって前記被験者の前記眼の前記網膜に送られた前記眼球視野の知覚を生じさせる最大サンプリング速度、または(ii)被験者において、サンプリングされ前記可動開口効果によって前記被験者の前記眼の前記網膜に送られた前記眼球視野のストロボ効果またはファントムアレイ効果のうちの1つまたは複数をもたらさずに前記知覚を生じさせる最小サンプリング速度のうちの少なくとも一方において測定を行う、請求項11に記載の光制御デバイス。
【請求項13】
前記コントローラは、追加の制御信号を生成し転送して、(i)前記1つまたは複数の開口、または(ii)前記1つまたは複数の開口を含む境界のある領域の外側の領域の少なくとも一方の透過度、色、色度、サイズ、または形状のうちの少なくとも1つを調整する、請求項11に記載の光制御デバイス。
【請求項14】
前記光制御デバイスは、前記コントローラに電気的に結合されたディスプレイユニットをさらに備え、
前記コントローラは、追加の制御信号を生成して前記ディスプレイユニットに転送し、
前記ディスプレイユニットは、前記追加の制御信号に応答して、拡張現実画像、仮想現実画像、またはカメラ由来の画像のうちの少なくとも1つを被験者によって視覚的に認知されるように表示し、
前記カメラ由来の画像は、視覚情報を含み、前記視覚情報は、前記被験者の片眼、他眼、または両眼の周囲、上方、下方、または後方のうちの少なくとも1つから外部に取り付けられた1つまたは複数のカメラによって取り込まれた環境光を含む、請求項11に記載の光制御デバイス。
【請求項15】
リモートにアクセス可能なデバイスの観察面は、前記眼球視野内に配置され、前記観察面は、文字、数字、または物体のうちの少なくとも1つを含むディスプレイを提示する、
請求項11に記載の光制御デバイス。
【請求項16】
光制御デバイスを使用して、眼の網膜の前方に可動開口効果をもたらすステップであって、時間シーケンスに従って、低下させた透過度を特徴とする1つまたは複数の領域を前記眼の眼球視野内に形成するステップを含み、前記低下させた透過度を特徴とする前記1つまたは複数の領域は、対応する透過領域を含む1つまたは複数の開口を囲み画定し、前記1つまたは複数の開口は、前記時間シーケンスに従って前記眼球視野内の空間的に分離されるかまたは重なり合った位置に出現する、可動開口効果をもたらすステップと、
もたらされた可動開口効果に基づいて、前記光制御デバイスを使用して、50ヘルツから50キロヘルツの間のサンプリング速度で前記眼球視野から環境光をサンプリングして前記網膜に送るステップとを含む方法。
【請求項17】
前記光制御デバイスを使用して、(i)被験者において、サンプリングされ前記可動開口効果によって前記被験者の前記眼の前記網膜に送られた前記眼球視野の知覚を生じさせる最大サンプリング速度、または(ii)被験者において、サンプリングされ前記可動開口効果によって前記被験者の前記眼の前記網膜に送られた前記眼球視野のストロボ効果またはファントムアレイ効果のうちの1つまたは複数をもたらさずに前記知覚を生じさせる最小サンプリング速度のうちの少なくとも一方において測定を行うステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記光制御デバイスを使用して、(i)前記1つまたは複数の開口、または(ii)前記1つまたは複数の開口を含む境界のある領域の外側の領域の少なくとも一方の透過度、色、色度、サイズ、または形状のうちの少なくとも1つを調整するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記光制御デバイスを使用して、拡張現実画像、仮想現実画像、またはカメラ由来の画像のうちの少なくとも1つを被験者によって視覚的に認知されるように表示するステップをさらに含み、前記カメラ由来の画像は、視覚情報を含み、前記視覚情報は、前記被験者の片眼、他眼、または両眼の周囲、上方、下方、または後方のうちの少なくとも1つから外部に取り付けられた1つまたは複数のカメラによって取り込まれた環境光を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記環境光を前記網膜に送る前記ステップは、前記眼球視野からの前記環境光を前記少なくとも1つの形成された開口を通して0.1mmから4mmの範囲の一定の網膜直径、調整可能な直径、または最大直径のうちの少なくとも1つを有する網膜領域上に送るステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記環境光を前記網膜に送る前記ステップは、前記可動開口効果によって、前記眼球視野からの前記環境光を前記少なくとも1つの形成された開口を通して0.2mmから10mmの範囲の一定の網膜直径、調整可能な網膜直径、または最大網膜直径のうちの少なくとも1つの範囲内に送るステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記光制御デバイスを使用して、前記眼球視野からの近似的に視準された光を前記少なくとも1つの形成された開口を通して送るステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記網膜における近視輻輳を低減させるステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記網膜における遠視輻輳を低減させるステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
中央網膜内または前記中央網膜の外側における少なくとも1つの網膜領域上の焦点ぼけ
を低減させるステップであって、前記中央網膜の中心が小窩上に位置し、前記中央網膜が中心窩、傍中心窩、または黄斑のうちの少なくとも1つを含み、前記中央網膜の直径が6mm以下である、ステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
前記眼球視野からの前記環境光をサンプリングし、遺伝的、光遺伝的、非遺伝的に変更されるか、または相乗的に光を送るように神経再生薬もしくは神経保護薬を用いて修正された前記網膜の部分に前記眼球視野からの前記環境光を送るステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項27】
光を相乗的に送れるように、前記眼球視野からの前記環境光をサンプリングして、網膜移植、埋め込まれた網膜細胞、埋め込まれた幹細胞、または埋め込まれた補綴物のうちの少なくとも1つを含む網膜の部分に送るステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項28】
リモートにアクセス可能なデバイスの観察面が前記眼球視野内に配置され、前記観察面は、文字、数字、または物体のうちの少なくとも1つを含むディスプレイを提示する、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年12月20日に出願され、すべての目的に関して参照により全体が本明細書に組み込まれている、「LIGHT CONTROL DEVICES AND METHODS FOR NOVEL REGIONAL VARIATION OF VISUAL INFORMATION AND SAMPLING」と題する米国仮出願第62/608,039号の優先権の利益を主張する。
【0002】
開示された実施形態は、視覚情報およびサンプリングを領域ごとに変化させるための光制御デバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
網膜は、眼球視野からの光に応答し、眼球視野からの光を信号に変換して画像処理を開始する眼の部分である。視力処理は脳において継続し、網膜視覚情報は空間的、時間的に眼球運動と統合され、眼球視野の視覚が実現される。光軸は、眼の前部に垂直であり、本明細書では同軸として定義される瞳の中心を通って延びる直線である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの例では、光制御デバイスは、眼の網膜の前方の1つまたは複数の開口を、網膜の前方において瞳の中心と非同軸上の1つまたは複数の位置と、網膜の前方において瞳の中心と同軸上の位置との間を光学的に移動させるように構成される。1つまたは複数の開口を50ヘルツから50キロヘルツの間の速度で移動させ、光制御デバイスは、眼球視野の視覚情報およびサンプリングを領域ごとに変化させる。
【0005】
さらなる例では、網膜の前方は、眼球外配置、角膜内配置、または眼球内配置のうちの1つを含むことができる。さらに、光制御デバイスは、1つまたは複数の開口を、網膜の前に配置された1つまたは複数のシースルー型ディスプレイを電気光学的に通過させることができる。V-VISデバイスの1つまたは複数のシースルー型ディスプレイは、拡張現実画像、仮想現実画像、または拡張現実画像と仮想現実画像との組合せのうちの少なくとも1つを表示するようにさらに構成することができる。
【0006】
光デバイスは、1つまたは複数の導波管を含むこともでき、光制御デバイスは、1つまたは複数の導波管を使用して1つまたは複数の開口を移動させることができる。さらなる例では、1つまたは複数の導波管は、単一の層内で互いに隣接するかまたはホログラフ的に多重化された垂直積層のうちの少なくとも1つに配置することができる。
【0007】
いくつかの例では、1つまたは複数のシースルー型ディスプレイは、1つまたは複数の透過キャリア層を含むことができ、透過キャリア層の各々は、1つまたは複数の活性光学素子を含むことができる。光制御デバイスはまた、透過キャリア層の各々に結合された電気構成要素を含むことができる。電気構成要素は、電流を透過キャリア層の各々を通過して送ることができ、送られた電流は、1つまたは複数の活性光学素子を帯電させて1つまたは複数の開口を形成し移動させることができる。いくつかの例では、透過キャリア層のうちの2つ以上を複数の平面内に垂直に積層することができ、2つ以上の透過キャリア層の各透過キャリア層内の1つまたは複数の活性光学素子は、帯電すると開口よりも透過度が低くなることができる。1つまたは複数の開口は、(i)1つまたは複数の活性光学素子を含む各透過キャリア層内の領域によって囲まれる1つまたは複数の活性光学素子を含まない領域、または(ii)1つまたは複数の活性光学素子が活性化する各透過キャリア層内の領域によって囲まれる、1つまたは複数の活性光学素子が活性化しない領域の少なくとも一方によって定義することができる。各キャリア層内の1つまたは複数の開口の各々の空間位置を互いにずらすことができる。
【0008】
さらなる例では、光制御デバイスは、軸外投影によって1つまたは複数の開口を移動させるように構成することができる。さらに、光制御デバイスを利用して、視力、スクリーニング、カスタム化、較正、視力測定、または視力監視のうちの少なくとも1つに関して眼球視野の視覚情報およびサンプリングを領域ごとに変化させることができる。
【0009】
さらに、いくつかの例では、眼球視野の視覚情報およびサンプリングを領域ごとに変化させることによって、(i)被験者の片眼または両眼における視力の向上、(ii)被験者の片眼または両眼における視力の安定化、(iii)眼疾患または神経学的状態の矯正、(iv)眼疾患もしくは神経学的状態、病気、損傷、または障害を有する被験者の片眼または両眼における視力症状の改善、(v)眼疾患もしくは神経学的状態、病気、損傷、または障害によって視力障害を有する被験者の片眼または両眼における視力障害率の低下、(vi) 眼疾患もしくは神経学的状態、病気、または障害を有する被験者の片眼または両眼における眼疾患もしくは神経学的状態、病気、または障害の進行速度の低下、(vii) 被験者の片眼または両眼の視力測定または監視のうちの少なくとも1つを実現することができる。
【0010】
光制御デバイスはまた、1つまたは複数のカメラと、1つまたは複数のカメラに機能的に結合された少なくとも1つのプロセッサとを含むことができる。少なくとも1つのプロセッサは、被験者の片眼、他眼、または両眼の周囲、上方、下方、または後方の少なくとも1つから光を取り込み、被験者の片眼、他眼、または両眼の網膜に光を送るソフトウェア命令を実行するように構成することができる。
【0011】
さらに、光制御デバイスはまた、1つまたは複数のマイクロフォンと、1つまたは複数のマイクロフォンに結合された少なくとも1つのプロセッサとを含むことができる。少なくとも1つのプロセッサは、音声を好ましい言語におけるテキストに変換し、被験者の視野内にテキストを表示するソフトウェア命令を実行するように構成することができる。いくつかの例では、光制御デバイスはまた、視野の周囲に配置された1つまたは複数の発光ダイオードを含むことができ、プロセッサは、1つまたは複数の発光ダイオードを選択的に通電して音声が生成される方向を示すソフトウェア命令を実行するようにさらに構成する
ことができる。
【0012】
さらなる例では、方法が、光制御デバイスを利用するステップを含む。デバイスは、眼の網膜の前方の1つまたは複数の開口を、網膜の前方において瞳の中心と非同軸上の1つまたは複数の位置と、網膜の前方において瞳の中心と同軸上の位置との間を光学的に移動させるように構成される。1つまたは複数の開口は、50ヘルツから50キロヘルツの間の速度で移動させられ、光制御デバイスは、眼球視野の視覚情報およびサンプリング(V-VIS)を領域ごとに変化させる。
【0013】
さらに、いくつかの例では、網膜の前方は、眼球外配置、角膜内配置、または眼球内配置のうちの1つを含むことができ、光制御デバイスは、網膜の前方に配置された1つまたは複数のシースルー型ディスプレイを通して1つまたは複数の開口を電気光学的に移動させて、視力、スクリーニング、カスタム化、較正、視力測定、または視力監視のうちの少なくとも1つに関して眼球視野の視覚情報およびサンプリングを領域ごとに変化させるように構成することができる。光制御デバイスはまた、被験者の片眼または両眼における視力の向上、被験者の片眼または両眼における視力の安定化、眼疾患または神経学的状態の矯正、眼疾患もしくは神経学的状態、病気、損傷、または障害を有する被験者の片眼または両眼における視力症状の改善、眼疾患もしくは神経学的状態、病気、損傷、または障害によって視力障害を有する被験者の片眼または両眼における視力障害率の低下、眼疾患もしくは神経学的状態、病気、または障害を有する被験者の片眼または両眼における眼疾患もしくは神経学的状態、病気、または障害の進行速度の低下、被験者の片眼または両眼の視力測定、あるいは被験者の片眼または両眼の視力監視のうちの少なくとも1つを実現するように構成することができる。
【0014】
この方法はまた、光制御デバイスを利用して拡張現実画像、仮想現実画像、または拡張現実画像と仮想現実画像との組合せのうちの少なくとも1つを生成するステップを含むことができる。他の例では、この方法はまた、光制御デバイスを使用して眼を治療するステップと、治療の前、治療中、または治療後の時間に、眼疾患もしくは神経学的状態、疾患、損傷、または障害を治療するための遺伝子治療、非遺伝子治療、光遺伝子治療、網膜置換療法、または幹細胞療法のうちの少なくとも1つを施すステップとを含むことができる。
【0015】
さらなる例では、方法は、光制御デバイスを使用して眼を治療するステップと、治療の前、治療中、または治療後の時間に、硝子体内注射、経口投与、局所投与、網膜内投与、インプラント、またはイオン導入のうちの少なくとも1つを介して投与される治療的に有効な量の抗血管新生剤を投与するステップであって、併用療法が、血管新生眼疾患、疾患、損傷、または障害の症状を治療または軽減するためである、ステップとを含むことができる。
【0016】
この方法は、光制御デバイスを使用して眼を治療するステップと、光制御デバイスを使用した治療の前、治療の間、または治療の後の時間に、局所投与、網膜内投与、硝子体内注射、インプラント、またはイオン導入を介して、眼疾患、神経学的状態、疾患、損傷、または障害を治療するために、治療的に有効な量の、(i)縮瞳薬、αまたはα/βアドレナリン作動薬、βブロッカー、Ca2+チャネルブロッカー、炭酸脱水酵素阻害薬、コリンエステラーゼ阻害剤、プロスタグランジン作動薬、プロスタグランジン、プロスタミド、またはカンナビノイドを含む眼球内降圧剤、(ii)rhoキナーゼ阻害剤、アデノシン受容体作動薬、グルタミン酸拮抗薬、神経栄養因子、または神経栄養因子調整剤を含む網膜細胞もしくは皮質細胞神経保護薬または神経再生薬、あるいは(iii)眼球内降圧剤と網膜細胞もしくは皮質細胞神経保護薬または神経再生薬との組合せのうちの少なくとも1つを投与するステップとを含むことができる。眼疾患もしくは神経学的状態、疾患、損傷、または障害は、緑内障、黄斑変性、視神経萎縮症、視神経損傷、自己免疫性神経変性障害、または脳血管事故を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】いくつかの例による視覚をもたらす神経処理を示すフローチャートである。
図2】いくつかの例による、軸外投影によって可動開口を形成することができる透過反射ディフューザディスプレイを備える光制御デバイスの一例を示す図である。
図3A】いくつかの例による、単一のサンプリング時間間隔の間に単一の位置において可動開口を示す、実質的に透過的な液晶または本明細書ではキャリア層もしくは キャリア層ユニットとして定義される薄膜に含まれる他の光学活性化される材料を含む光制御デバイスの図である。
図3B】各々が光学活性材料を含む図3Aの複数のキャリア層ユニットの垂直積層を備え、いくつかの例による、可動開口効果を形成するために使用される5つの可能な開口位置を示す、光制御デバイスの図である。
図4A】眼鏡と導波管と、いくつかの例による単一のサンプリング時間間隔の間の1つの位置における可動開口とを備える光制御デバイス内の図3Bの本発明のキャリア層を示す、眼の側面図および上面図である。
図4B】いくつかの例による、ここでは単一のサンプリング時間間隔の間の1つの位置に示された可動開口を形成する、図2のコンタクトレンズと軸外投影システムとを備える光制御デバイスを含む、眼の側面図である。
図4C】いくつかの例による単一のサンプリング時間間隔の間の1つの位置における可動開口を示す、角膜インレーを備える光制御デバイスを含む眼の側面図である。
図4D】いくつかの例による単一のサンプリング時間間隔の間の例示的な一構成における複数の可動開口を示す眼球内レンズインプラントを備える光制御デバイスを含む、眼の側面図である。
図5】いくつかの例による、それぞれに異なる時点で見える眼鏡を備える光制御デバイスを示す図である。
図6】いくつかの例によるリモートにアクセス可能なデバイスを備える光制御デバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書で開示される利益および改良のうちで、例示的な実施形態の他の目的および利点は、以下の説明を添付の図とともに検討したときに明らかにすることができる。本明細書では詳細な例示的な実施形態を開示するが、これらの開示される例示的な実施形態は例示的なものに過ぎず、様々な形態で具現化されてもよいことを理解されたい。さらに、様々な実施形態に関連して示す例の各々は例示的なものであり、制限的なものではない。本明細書に示す特徴の任意の変更およびさらなる修正、ならびに本明細書に示す原則のうちの1つまたは複数の原則の任意のさらなる適用は、当技術分野における本開示を有する当業者が通常構想できるものであり、開示される例示的な実施形態の範囲内と見なすべきである。本明細書の説明は、様々な実施形態に適用される特定の特徴を教示するが、本開示の趣旨から逸脱せずに、例示されるデバイスまたは方法の形態および詳細に様々な省略、置換、および変更を施せることが理解されよう。認識されるように、本明細書で説明する例示的な実施形態のうちのいくつかの実施形態は本明細書に記載された特徴および利益のすべてを実現するとは限らない形態内で具現化することができ、いくつかの特徴は、他の特徴とは別に使用または実現することができる。特許請求の範囲の意味および均等の範囲内のすべての変更は、特許請求の範囲内に包含されるものである。
【0019】
明細書全体にわたって、以下の語は、文脈上明白に他の意味に解釈する場合を除いて本明細書に明示的に関連する意味を有する。本明細書で使用される句「一実施形態では」および「いくつかの実施形態では」は必ずしも、同じ実施形態を指すものではない。ただし、同じ実施形態を指す場合もある。さらに、本明細書で使用される句「別の実施形態」および「いくつかの他の実施形態では」は、必ずしも異なる実施形態を指すものではない。ただし、異なる実施形態を指す場合もある。したがって、後述のように、様々な例示的な実施形態を、例示的な実施形態の範囲または趣旨から逸脱せずに容易に組み合わせてもよい。
【0020】
さらに、本明細書で使用されるように、語「または」は包括的な「または」演算子であり、文脈上明白に他の意味に解釈する場合を除いて語「および/または」と等価である。語「基づく」は、排他的ではなく、文脈上明白に他の意味に解釈する場合を除いて、説明に含まれないさらなる因子に基づくことを許容する。さらに、明細書全体にわたって、「a」、「an」、および「the」の意味は複数形の参照を含む。「内の」の意味は「内の」と「上の」を含む。
【0021】
A.はじめに
本明細書では、特に、網膜の前方の1つまたは複数の開口を、網膜の前方において瞳の中心と非同軸上の1つまたは複数の位置と、網膜の前方において瞳の中心と同軸上の位置との間を光学的に移動させることによって眼球視野の視覚情報およびサンプリング(たとえば、V-VIS)の領域ごとの変化を実施する例示的なデバイスおよび方法について説明する。本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスは、視覚情報およびサンプリングを領域ごとに変化させる光制御デバイスに対応し、そのような光制御デバイスとして機能する。さらに、本明細書で説明するように、「網膜の前方」は、眼球外配置、角膜内配置、または眼球内配置のうちの1つを含み、1つまたは複数の開口は50ヘルツから50キロヘルツの間の速度で移動させられる。
【0022】
例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちのいくつかのデバイスおよび方法は、V-VISを使用するためのスクリーニング、V-VISのカスタム化、V-VISの較正、V-VIS視力測定、V-VIS視力監視、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つに使用することができる。例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法は、被験者の片眼または両眼における視力を改善しならびに/または安定化させ、ならびに/あるいは眼疾患もしくは神経学的状態を矯正することができる。いくつかの実施形態では、眼球視野から網膜への視覚情報の(たとえば、本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスおよび方法を使用した)V-VIS供給はまた、視覚症状を軽減するか、あるいは視力障害率を低下させるか、あるいは視力障害の進行を低減させるか、あるいは限定はしないが、眼疾患もしくは神経学的状態、疾患、損傷、または障害の視覚処理効果を含め、視力を機能的に測定するか、あるいは視力を監視する。
【0023】
さらに、本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法は、眼球視野から網膜のそれぞれに異なる領域に、従来の光制御デバイスの制限ならびに自然な視覚処理および視覚の制限を解消するのに十分な速度で新規の方法によって視覚情報を供給し、視力が低下するか、または眼疾患もしくは神経学的状態を有するか、またはその組合せを有する被験者における視力を改善することができる。眼球視野から網膜へ視覚情報を供給するための従来のデバイスおよび方法と対照的に、例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法は、単眼および/もしくは両眼の視覚結果を改善し、ならびに/または視覚的悪影響を低減させ、ならびに/または患者の便宜を向上させ、ならびに/または眼疾患もしくは神経学的状態の治療に適合することができる。さらに、網膜プロステーゼなどのいくつかの従来のデバイスと対照的に、例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちのいくつかのデバイスおよび方法は、網膜および/または脳内の既存のおよび/または自然な神経回路とともに利用することができ、自然な神経回路の置換を必要とせず、通常の自然な視力処理機構に干渉しない。
【0024】
本明細書で説明するV-VISデバイスおよび方法の例には、限定はしないが、眼鏡、眼鏡の付属デバイス、ヘッドアップディスプレイ、バイザー、コンタクトレンズ、コンタクトレンズの付属デバイスなどの眼球外デバイス、ならびに限定はしないが、リモートにアクセス可能なテレビジョン、コンピュータ、およびモバイルデバイス、角膜インレー、眼球内デバイス、眼球内レンズ、およびV-VIS光制御デバイスとして構成された眼球内レンズ付属装置などの観察面が含まれる。本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスおよび方法は、拡張現実および/または仮想現実と組み合わせてV-VISを生成することができ、または拡張および/または仮想現実システムの一部とすることができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法は、限定はしないが、遺伝子治療、非遺伝子治療、光遺伝子治療、網膜置換療法、幹細胞療法、および/または限定はしないが、抗血管新生剤、眼球内降圧剤、神経保護薬、および神経再生薬などの薬理学薬剤を含む、網膜疾患および/もしくは神経学的状態、疾患、損傷、および障害用の他の療法と併用することができる。
【0026】
本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスおよび方法は、被験者の片眼または両眼における視力を改善しならびに/または安定化するように構成される。本明細書で説明する例示的なデバイスおよび方法のうちのいくつかの実施形態は、眼疾患もしくは神経学的状態を矯正する。いくつかの実施形態では、眼球視野から網膜への視覚情報のV-VIS供給によって、限定はしないが、年齢による黄斑変性(AMD)、スターガルト病、ベスト卵黄様黄斑変性、光誘起網膜損傷、錐体ジストロフィー、逆網膜色素変性、近視黄斑変性、黄斑瘢痕、遺伝性網膜障害、糖尿病性網膜症(DR)、黄斑浮腫、黄斑円孔、黄斑剥離、黄斑パッカー、網膜血管障害(限定はしないが、網膜静脈閉塞およびコーツ病を含む)、網膜色素変性、栄養網膜障害、炎症性網膜障害、緑内障またはその他の神経網膜障害もしくは神経節細胞障害、自己免疫障害(限定はしないが、多発性硬化症および全身性エリテマトーデスを含む)、脳血管障害、失読症、弱視(限定はしないが、屈折異常、内側の不透過度もしくは障害物、または眼球運動状態、またはそれらの任意の組合せを含む状態を原因とする)、老眼、および屈折異常を含む、眼疾患もしくは神経学的状態、疾患、損傷、または障害の視覚症状を軽減する。
【0027】
本明細書で説明する例示的なデバイスおよび方法のいくつかの実施形態は、治療しない対照群と比較して、眼疾患もしくは神経学的状態、疾患、損傷、または障害によって視力障害が生じた被験者の片眼または両眼における視力障害率を低下させる。本明細書で説明する例示的なデバイスおよび方法のいくつかの実施形態は、治療しない対照群と比較して、眼疾患もしくは神経学的状態、疾患、または障害の進行を低減させる。本明細書で説明する例示的なデバイスおよび方法のいくつかの実施形態は、限定はしないが、視覚処理および/またはV-VISのための被験者の補助スクリーニングおよび/またはV-VISのカスタム化および/またはV-VISの較正に対する眼疾患もしくは神経学的状態、疾患、または障害の影響を含め、視力を測定または監視する。
【0028】
B.視覚情報およびサンプリングを領域ごとに変化させるための例示的なデバイスおよび方法
図1は、いくつかの例による視覚システムの様々な構成要素の統合を概略的に示す。眼球視野からの視覚情報を搬送する光が、眼を通過し、感光網膜細胞に送られ、感光網膜細胞は光を吸収して視覚情報の処理を開始する。感光網膜細胞は光エネルギーを信号に変換し、信号は他の網膜細胞および脳に送られ、そこで、限定はしないが、コーディング、フィルタ処理、および統合を含むさらなる処理が、網膜および脳内ならび眼球外筋肉との間のフィードフォワードループおよびフィードバックループと組み合わされ、視覚がもたらされる。
【0029】
本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスおよび方法のいくつかの実施形態は、新規の方法で光を網膜に送る。例示的なデバイスおよび方法のいくつかの方法は、眼球視野内の光のサンプリングを変化させる。いくつかの例示的な実施形態では、1つまたは複数の開口が網膜の前方において瞳の中心と非同軸上の1つまたは複数の位置と瞳の中心と同軸上の網膜の前方の位置との間を移動することによって、眼球視野および/または眼球視野が提示される網膜領域(または複数の領域)が領域ごとに変化する。いくつかの例示的な実施形態では、眼球視野および/または1つまたは複数の例示的なV-VISデバイスおよび方法によって眼球視野が生成される網膜領域(複数可)は、1つまたは複数の開口の直径、選択的な波長に対する1つまたは複数の開口の透過度、開口の数、1つまたは複数の開口を移動させる領域の直径、開口を移動させる位置、開口をそれぞれに異なる位置に移動させる順序、1つまたは複数の開口の外側の領域またはその一部の、選択的な波長に対する透過度、および1つまたは複数の開口を移動させる50ヘルツから50キロヘルツの間の速度のうちの少なくとも1つによって決定される。
【0030】
いくつかの例示的な実施形態では、例示的なV-VISデバイスおよび方法は、実質的に円形または六角形または楕円形または卵形または方形または矩形または任意の所望の形状またはそれらの組合せである1つまたは複数の開口を移動させる。いくつかの実施形態では、例示的なV-VISデバイスおよび方法は、0.1mmから4mmまでの範囲の、一定のもしくは調整可能な直径、および/または最大直径を有するように構成された1つまたは複数の開口を移動させる。いくつかの実施形態では、例示的なV-VISデバイスは、1つまたは複数の開口を、0.2mmから10mmまでの範囲の、一定のもしくは調整可能な直径、および/または最大直径を有する領域内を移動させるように構成される。いくつかの実施形態では、例示的なV-VISデバイスおよび方法は、部分的に重なり合うか、または重なり合わないか、またはそれらの任意の組合せである位置に1つまたは複数の開口を移動させるように構成される。
いくつかの実施形態では、開口を移動させる位置は、明所もしくは薄明もしくは暗所照明条件またはそれらの任意の組合せの下では瞳の外側の領域と重なり合う。いくつかの実施形態では、薄明および/または暗所条件などの低照度条件の下では、当業者に知られている電子照明拡張方法が使用される。例示的なV-VISデバイスのいくつかの実施形態は、すべての位置において交互、無作為、順次、または任意の他の所望の順序、またはそれらの任意の組合せを含む所定の順序で1つまたは複数の開口の各開口を移動させるように構成される。
【0031】
いくつかの実施形態では、例示的なV-VISデバイスおよびシステムは、本明細書ではV-VISサンプリング間隔(「SI」)と呼ばれる、網膜および脳でのさらなる処理の後で眼球視野の知覚を可能にするのに十分な持続時間である提示持続時間にわたって、1つまたは複数の開口を通して眼球視野から網膜細胞まで、視覚情報を含む光を送る。いくつかの実施形態では、V-VISは、1つまたは複数の開口の位置を50ヘルツから50キロヘルツの間の速度で変化させ、開口をどの1つの位置でも複数のV-VIS SIにわたって持続させないことによって実現される。本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスおよび方法のいくつかの実施形態では、SIは、0.02msから20msの間だけ持続する時間間隔である。
【0032】
1つまたは複数の開口のV-VISサンプリングレート(「SR」)は、本明細書では、1秒当たりに各SIが完了する回数、すなわち、1秒当たりに各開口または1つもしくは複数の開口を選択された各位置まで移動させる回数として定義される。いくつかの実施形態では、SRは、50ヘルツから50キロヘルツの間の速度である。本明細書では、V-VISサンプリングサイクル(「SC」)が一連の開口位置として定義される。いくつかの実施形態では、V-VISサンプリングサイクルは、サンプリングサイクルの間に各開口または1つまたは複数の開口を複数回数移動させるいくつかの選択された位置を含む。
【0033】
本明細書で説明するいくつかの実施形態では、例示的なV-VIS方法およびデバイスは、限定はしないが、マイクロサッケード、ドリフト、およびトレマーを含む固視眼球移動の
速度に基づくSRまたは可変SRを生成するように構成される。固視眼球移動の速度は、眼疾
患および/もしくは神経学的状態、疾患、損傷、または障害によって修正されることが多
い。
【0034】
いくつかの実施形態では、例示的なV-VISデバイスおよび方法は、安定した知覚を可能にするのに十分な速度であるSR速度で1つまたは複数の開口を移動させる。例示的なV-VIS方法およびデバイスのいくつかの実施形態は、被験者の片眼または両眼に関してカスタム化された提示持続時間にわたって眼球視野から網膜細胞まで、視覚情報を含む光を送る。
いくつかの実施形態では、例示的なV-VISデバイスおよび方法は、それぞれに異なる眼および/または被験者に関してそれぞれに異なる速度で1つまたは複数の開口を移動させて、被験者によるフリッカーを知覚せずに安定した知覚を可能にする。いくつかの実施形態では、例示的なV-VISデバイスおよび方法は、それぞれに異なる眼および/または被験者に関してそれぞれに異なる速度で1つまたは複数の開口を移動させて、ストロボ効果および/またはファントムアレイ効果なしで安定した知覚を可能にする。いくつかの実施形態では、例示的なV-VISデバイスおよび方法は、それぞれに異なる眼および/または被験者に関してそれぞれに異なる速度で1つまたは複数の開口を移動させて、限定はしないが、頭痛、片頭痛、認知障害、および/または光過敏性発作を含む悪影響を生じさせずに安定した知覚を可能にする。
【0035】
いくつかの実施形態では、例示的なV-VISデバイスおよび方法は、眼疾患および/もしくは神経学的状態、疾患、損傷、または障害の年齢および/または種類および/または重大度、ならびに/あるいはその他の因子に応じて、それぞれに異なる眼および/または被験者に関してそれぞれに異なる速度で1つまたは複数の開口を移動させる。いくつかの実施形態では、例示的なV-VIS方法およびデバイスによる光の供給は、調整可能であるように構成される。いくつかの実施形態では、例示的なV-VIS方法およびデバイスは、最初は速すぎて被験者の片眼および/または両眼による視覚を可能にできない、SRを調整可能にするように構成される、1つまたは複数の開口の各々による提示持続時間によって眼球視野から網膜細胞まで、視覚情報を含む光を送り、それによって、SRの低速時に、視覚が初めて可能になるSRを被験者の所与の片眼および/または両眼に関して決定することができ、このSRは、限定はしないが、被験者の年齢および虚弱の種類または段階を含む様々な因子に依存する。いくつかの実施形態では、例示的なV-VIS方法およびデバイスは、眼疾患もしくは神経学的状態、疾患、損傷、または障害を有する被験者の片眼および/または両眼のV-VIS療法およびステージングの較正に関して構成される。いくつかの実施形態では、例示的なV-VIS方法およびデバイスは、V-VIS療法の後または従来の療法の後またはそれらの組合せの後に眼疾患もしくは神経学的状態、疾患、損傷、または障害を有する片眼および/または両眼における改善を監視するように構成される。たとえば、いくつかの実施形態では、特定の状態、疾患、損傷、または障害を有する眼における視覚に必要な平均SRは、特定の状態、疾患、損傷、または障害を有さない対応する対照眼球における視覚に必要な平均SRよりも遅く、V-VIS療法の後または他の療法の後またはそれらの組合せの後に視覚が改善するのとともに速くなる。
【0036】
いくつかの実施形態では、V-VISデバイスおよび方法は、限定はしないが、視力試験、コントラスト感度試験、または視野測定を含む視覚試験の当業者に知られている視覚試験用の方法またはデバイスと組み合わせて、網膜における光の視覚的に顕著な焦点ぼけによって生じる視力問題を、限定はしないが、機能または構造上の原因を含む他の原因に起因する視力問題から区別することができる。網膜焦点ぼけおよび/または屈折異常および/または調節異常に関する視力問題は、屈折異常および/または調節異常を有するが他の眼疾患もしくは神経学的状態、疾患、損傷、または障害を有さない被験者に正常な速度範囲内の速度で本明細書において説明する例示的なV-VIS方法およびデバイスのいくつかの実施形態を利用することによって矯正および/または軽減される。いくつかの実施形態では、例示的なV-VIS方法またはデバイスは、限定はしないが、視力試験、コントラスト感度試験、または視野測定を含む視覚試験の当業者に知られている視覚試験用の方法またはデバイスと組み合わせて、眼における、網膜または脳内の視覚処理の欠陥によって生じる視力障害の重大度を経時的に定量化および/または監視することができる。網膜および/または脳内の視覚処理における欠陥に関する視力障害は、本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスおよび方法のいくつかの実施形態を利用し、たとえば、網膜および/または脳内の視覚処理における欠陥を有さない他の被験者に適用される速度とは異なる速度の範囲内の速度で被験者に適用することによって矯正および/または軽減される。本明細書で説明する方法は、他の医療または外科治療と組み合わされたV-VISを含む。
【0037】
本明細書で説明する例示的なV-VIS方法およびデバイスのいくつかの実施形態は、網膜における近視および/または遠視輻輳開散運動が少なくなるように網膜に光を送るように構成される。例示的なV-VIS方法およびデバイスのいくつかの実施形態は、1つまたは複数の可動開口を通して近似的に視準された光を送るように構成される。例示的なV-VIS方法およびデバイスのいくつかの実施形態は、屈折異常を有する被験者の片眼における屈折異常を軽減するうえで有効な直径を有する1つまたは複数の開口を移動させる。例示的なV-VIS方法およびデバイスのいくつかの実施形態は、老眼を有する被験者の片眼における焦点深度を大きくするうえで有効な直径を有する1つまたは複数の開口を移動させる。例示的なV-VIS方法およびデバイスのいくつかの実施形態は、屈折異常を低減させるかまたは焦点深度を大きくするかまたはそれらの任意の組合せを実施し、それによって、屈折異常または老眼またはそれらの任意の組合せの症状を軽減する。例示的なV-VIS方法およびデバイスのいくつかの実施形態は、限定はしないが、視野制限、網膜に達する光の量の減少、コントラスト感度障害、立体視の低減、および回折ぼけを含む、小さい固定開口を組み込んだ従来のデバイスの制限を解消する。固定開口は、光を視準できるほど十分に小さく、かつ網膜の前に配置される場合、周辺光線が網膜に送られるのを制限する。網膜黄斑病変を有する眼では、固定された小さい開口は視力を改善しないことが多く、網膜の機能不全領域への光を制限することによって視力を低下させることが少なくない。固定された小さい開口は、総照度を低減させ、網膜に達する光を少なくし、それによって低照度条件の下で視力を低下させる。被験者の一方の眼のみにおける固定された小さい開口は瞳孔不同を発症させ、相対移動の危険な歪みをもたらす視覚遅延における有害な両眼差を生じさせる。本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスおよびシステムのいくつかの実施形態は、戦略的な新規の方法で1つまたは複数の開口を50ヘルツから50キロヘルツの間で位置決めし移動させることによって固定された小さい開口の制限を解消し、眼疾患もしくは神経学的状態、疾患、損傷、または障害を有する眼において、固定された小さい開口を有する従来のデバイスよりも高い照度およびより高い視力をもたらす。
【0038】
本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスおよびシステムのいくつかの実施形態では、波長を選択するための1つまたは複数の開口の透過度は一定であるかまたは調整可能である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の開口を移動させる領域の外側の領域の波長を選択するための透過度は一定であるかまたは調整可能である。
【0039】
いくつかの例では、光のある範囲の波長が各種類の網膜受容体を様々な程度に刺激する。黄色がかった緑色の光は、L錐体とM錐体の両方を同等に強く刺激するが、S錐体は弱く刺激するに過ぎない。赤色光は、L錐体をM錐体よりもずっと強く刺激し、S錐体はほとんど刺激しない。青-緑光は、M錐体をL錐体よりも強く刺激し、S錐体をそれよりも少し強く刺激し、また棒状体細胞についてはピーク刺激物である。青色光は、赤色または緑色光よりも強くS錐体を刺激し、赤色または緑色光よりも弱くLおよびM錐体を刺激する。脳は、各種類の受容体からの情報を組み合わせて光のそれぞれに異なる波長のそれぞれに異なる知覚を生じさせる。例示的なV-VIS方法およびデバイスのいくつかの実施形態は、1つもしくは複数の開口および/または1つもしくは複数の開口を移動させる領域の外側の領域の波長を選択するための透過度を変化させ、有益な効果が得られるように被験者の片眼または両眼におけるそれぞれに異なる種類の網膜光受容体の刺激の量を修正する。
【0040】
例示的なV-VIS方法およびデバイスのいくつかの実施形態は、1つもしくは複数の開口および/または1つもしくは複数の開口を移動させる領域の外側の領域の、約400nmから700nmの範囲の視覚スペクトルにおける波長に対する透過度を選択的に修正する。さらに、いくつかの例では、波長分散によって、視覚スペクトルにおける波長が約2.25ジオプターの焦点範囲を有することがある。屈折率は、波長に反比例し、青色光線(短波長)は、赤色光線(長波長)よりも強く屈折する。例示的なV-VIS方法およびデバイスのいくつかの実施形では、1つもしくは複数の開口および/または1つもしくは複数の開口を移動させる領域の外側の領域の可視波長に対する透過度を選択的に修正して、被験者の片眼または両眼における網膜に対する焦点ぼけを変化させる。
【0041】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明する例示的なV-VIS方法およびデバイスは、網膜のそれぞれに異なる領域において網膜における近視および/または遠視輻輳開散運動の少なくなるように網膜に光を送り、眼の正規化プロセスおよび/または視力発達を効果的に修正するように構成することができる。例示的なV-VISデバイスおよび方法のいくつかの実施形態は、中央網膜内の網膜領域上または中央網膜の外側またはそれらの任意の組合せにおける焦点ぼけを低減させ、治療しない対照群と比較して、限定はしないが、中央網膜の中心が小窩上に位置する近視を含む屈折異常の進行度を低下させ、窩または傍中心窩または黄斑またはそれらの任意の組合せを含むことがあり、1.5mmから6mmの間の任意の直径を有することがある。いくつかの実施形態では、本明細書で説明する例示的なV-VIS方法およびデバイスは、可動開口のうちの1つもしくは複数の可動開口、可動開口を含まない1つもしくは複数の領域、またはそれらの任意の組合せの直径、位置、色度、またはそれらの任意の組合せによって網膜領域における焦点ぼけを低減させるように構成することができる。
【0042】
本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法は、被験者の片眼または両眼における視力を改善しならびに/または安定化するように構成することができる。視力の改善および/または安定化は、限定はしないが、視力(距離に対する未矯正視力および最高眼鏡矯正視力、中間および近見視力の少なくとも1つを含む)、超視力、立体視力、副尺視力、コントラスト感度、焦点深度、色覚、視野、周辺視力、夜間視力、顔認識、明順応、暗順応、視力に関連する生活の質、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つの改善および/または安定化を含む。
【0043】
さらに、本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスおよび方法のいくつかの実施形態は、限定はしないが、神経コーディングおよび/または統合および/またはフィルタ処理および/または神経適応および/または眼球視野の知覚を含む視覚処理を修正することによって視力を改善する。例示的なV-VISデバイスおよび方法のいくつかの実施形態は、新規の方法で光を網膜細胞に送り、(i)視覚情報のサンプリングを修正してより正しい網膜視覚情報を、複数の網膜領域内の機能網膜細胞によって符号化し、適応および/または予想感作および/または統合を改善しつつ網膜から脳に伝達するのを可能にすること、(ii)より多くの視覚情報の統合の効果的でならびに/または自発的な探索を増大させること、(iii)不安定固視および/または視線選択不良の影響を最低限に抑えること、(iv)神経注意変調の有利な修正を行うこと、(v)限定はしないが、1つまたは複数の視路における興奮性および抑制性入力を修正し集束させることを含め、両眼および脳における視覚システムの興奮性/抑制性バランスの有利な修正を行うこと、(vi)眼および脳においてまだ利用されていないかまたは利用度の低い感覚系、運動系、および認知系の有利な活性化を行うこと、ならびに(vii)残余眼球運動および/または感覚可塑性を使用した有利な神経適応を行うことのうちの少なくとも1つを行わせる。いくつかの実施形態では、本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスおよび方法は、限定はしないが、光受容体および/もしくは神経節細胞および/もしくは無軸索細胞および/もしくは双極細胞および/もしくは水平細胞および/もしくはミュラー細胞またはそれらの任意の組合せを伴う視覚処理における結合機能を含む網膜回路の機能を改善することができる。いくつかの実施形態では、例示的なV-VISデバイスおよび方法は、限定はしないが、網膜および脳における代替的で、潜在的で、および/または新しい自然な視路を使用することを含む神経適応の特定のプロセスを改善および/またはトリガすることができる。例示的なV-VISデバイスおよび方法のいくつかの実施形態は、網膜および/または脳における既存のおよび/または自然な神経回路を置換する必要なしに、および正常な自然な視力処理機構を干渉することなしに、視覚処理および/または知覚を改善することができる。
【0044】
例示的なV-VISデバイスおよび方法のいくつかの実施形態は、視覚情報およびサンプリングを、拡張現実および/もしくは仮想現実と組み合わせて領域ごとに変化させてもよく、または拡張および/もしくは仮想現実システムの一部もしくは構成要素として実現されてもよい。本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスおよび方法のいくつかの実施形態は、視覚情報およびサンプリングを、拡張現実画像、仮想現実画像、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つに関連して、領域ごとに変化させ、視力を改善しならびに/または安定化しならびに/または復元することができる。本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスおよび方法のいくつかの実施形態は、網膜への新規のV-VIS供給を、特定の映像、グラフィカルおよび/もしくは有彩色および/もしくは無彩色の追加、削除、および/または自然なシーンのビューに重畳される空間、時間、および/もしくは明るさパターンを変化させることによる光の減衰の網膜への提示と組み合わせる。例示的なV-VISデバイスおよび方法のいくつかの実施形態は、光を網膜細胞に送る前に、領域の有彩色および/または無彩色のハイライティングおよび/またはフィルタ処理および/またはブロッキングによって、眼球視野内で光の有彩色および/または無彩色の空間および/または時間および/またはコントラスト情報を複数の領域ごとに変化させる。例示的なV-VISデバイスおよび方法のいくつかの実施形態は、状態、疾患、損傷、または障害から低視力または視力障害を有する被験者における視力を改善し、および/または視力を回復するために、被験者が通常の日常活動の間に眼球視野内で自然な視覚シーンを見ている間、一方または両方の眼に領域ごとの視覚的な有彩色および/または無彩色興奮性および/または抑制性刺激を与える。本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスおよび方法のいくつかの実施形態は、視覚情報およびサンプリングを、少なくとも1つの仮想現実画像または少なくとも1つの仮想現実画像(またはそれらの任意の組合せ)に関連して領域ごとに変化させ、網膜および/または脳における神経コーディング、フィルタ処理、統合、および/または適応を修正および/または改善し、自然な視覚シーンのより完全なおよび/またはより正しい知覚をもたらす。
【0045】
例示的なV-VIS方法およびデバイスのいくつかの実施形態では、光を1つまたは複数の可動開口を通して網膜細胞に送ることによって、1つまたは複数の開口の各サンプリングサイクルの一部のみの間受光する網膜細胞の経時的な累積的な光に対する曝露を、本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法によって光を送ることなしにサンプリングサイクルのより長い部分の間またはサンプリングサイクル全体の間または両眼において受光する網膜細胞と比較して低減させる。
【0046】
例示的なV-VIS方法およびデバイスのいくつかの実施形態では、光を送ることによって、1つもしくは複数の可動開口を通して受光する網膜細胞および/または1つもしくは複数の開口が移動する領域の外側の網膜細胞への選択的な波長減衰によって、経時的に光の波長を選択するための累積的な曝露が低減する。本明細書で説明するいくつかの実施形態では、例示的なV-VISデバイスの1つまたは複数のデバイスは、限定はしないが、UV波長または415nmから455nmの間の青色波長もしくは青色および紫色波長または他の所定の波長またはそれらの任意の組合せを含む選択的な波長を遮断するように構成され、これらの波長は、明所もしくは薄明もしくは暗所照明条件またはそれらの任意の組合せの間、可動開口のうちの1つもしくは複数の可動開口または可動開口を含まない領域またはそれらの任意の組合せを通して網膜に送られる。
【0047】
例示的なV-VISデバイスおよび方法のいくつかの実施形態では、選択的な波長減衰を行うかどうかにかかわらず、光に対する網膜細胞の経時的で累積的な曝露が低減することによって、網膜細胞における光ストレスおよび/または代謝ストレスおよび/または光毒性が低減する。例示的なV-VISデバイスおよび方法のいくつかの実施形態では、選択的な波長減衰を行うかどうかにかかわらない光に対する網膜細胞の経時的で累積的な曝露の低減は、数か月から数年の範囲の期間にわたって継続することができる。限定はしないが、加齢による黄斑変性を有する網膜を含む疾患を有する網膜における網膜細胞の数か月から数年の範囲の期間にわたる光に対する累積的な曝露が低減することによって、網膜細胞の損傷の進行またはアポトーシス、壊死、パイロトーシス、およびオートファジーのうちの1つまたは複数に起因するドルーゼン形成を防止することができる。例示的なV-VISデバイスおよび方法のいくつかの実施形態では、生存網膜細胞への光を選択的に強調することによって、損傷した網膜領域における修復および再生プロセスの活性化を増強することができ、それによってまた、網膜修復および再生プロセスが刺激される。例示的なV-VISデバイスおよび方法のいくつかの実施形態では、本明細書で説明する視覚情報およびサンプリングを領域ごとに変化させると、生存細胞を刺激することができ、損傷した網膜細胞または網膜領域内の細胞修復、細胞再生、またはそれらの任意の組合せが生じる。
【0048】
本明細書で説明するV-VISデバイスの例には、限定はしないが、集合的または個々にV-VIS光制御デバイスとして構成された、眼球外デバイス、眼鏡、眼鏡付属装置、コンタクトレンズ、コンタクトレンズ付属装置角膜インレー、眼球内デバイス、眼球内レンズ、および眼球内レンズ付属装置が含まれる。本明細書で説明する例示的なV-VIS光制御デバイスおよび方法のいくつかの実施形態は、視覚情報およびサンプリングを拡張現実および/もしくは仮想現実と組み合わせて領域ごとに変化させることができ、あるいは拡張現実および/もしくは仮想現実システムの一部とするかまたは拡張現実および/もしくは仮想現実システム内に組み込むことができる。
【0049】
例示的なV-VISデバイスおよび方法のいくつかの実施形態は、網膜の前方に配置された1つもしくは複数のシースルー型ディスプレイを通して1つまたは複数の開口を電気光学的に移動させる動作を実行することができる。説明の都合上、開示する実施形態の基本原則を曖昧にしないように、光学技術の公知の特徴を省略または簡略化している。いくつかの実施形態では、例示的なV-VISデバイスのうちのいくつかのデバイスは、限定はしないが、光源、光学系、光学機械装置、または視覚システム-光学系インターフェースのうちの少なくとも1つを含むシースルー型マイクロディスプレイの構成要素によって構成される。
【0050】
図2は、いくつかの例による、可動開口を形成するための例示的なV-VIS光制御デバイスおよび方法を示す。図2を参照するとわかるように、観察者の眼10の網膜は、透過ディスプレイ12を通して眼球視野11を観察する。透過ディスプレイは、ヘッドアップディスプレイ、バイザー、ヘッドマウントディスプレイ、クリップオンレンズ、眼鏡レンズ、または眼鏡付属デバイスのうちの1つまたは複数とすることができる。たとえば、自然環境において木17を見る間、観察者の網膜の領域も、たとえば、透過反射ディヒューザディスプレイシステムまたはプロジェクタ13によって活性化される発光粒子16を含むかまたは発光粒子16で被覆された他の透過ディスプレイの軸外投影を使用して、透過ディスプレイの表面上または材料内に形成された可動開口14に暴露される。プロジェクタ13は、限定はしない
が、UVまたはIR光を含む励起光15を放出する。
【0051】
いくつかの例では、プロジェクタ13は、コントローラ(図2には示されていない)に機能的に結合されてもよい。コントローラは、ソフトウェア命令(たとえば、有形の非一時メモリ内にコントローラによってローカルに記憶されるかまたは受信信号内に含まれる)が実行されたときに、コントローラに制御信号を生成してプロジェクタ13に送信させる1つまたは複数のプロセッサを含んでもよい。プロジェクタ13は、受信された制御信号に基づいて、励起光15を選択的に放出して透過反射ディヒューザディスプレイシステムまたは上述の他の透過ディスプレイ上に投影してもよい。
【0052】
UV源は、限定はしないが、固体レーザ、半導体レーザダイオード、ガスレーザ、色素レーザ、エキサイマレーザ、および他の適切なUV光源を含む。IRレーザは、限定はしないが、固体レーザ、半導体レーザダイオード、および他の適切なIR光源を含む。光源からの励起光線強度を変調して色度、強度、またはグレースケールが変化する可視蛍光を生成することができる。励起光は、可視光を放出する発光粒子によって観察者の眼の網膜に吸収される。1つまたは複数のプロジェクタ、たとえばプロジェクタ13の出力の強度および配置は、1つまたは複数の可動開口を視野内に現れるように形成するように変調される。
【0053】
透過ディスプレイ12に組み込まれた発光粒子16は有彩色であっても、または無彩色であってもよい。発光粒子はナノ粒子または分子であってもよく、したがって、可視光の波長よりも小さく光の散乱を解消し、活性化されると、直径が0.2mmから10mmの範囲であり、直径が0.1mmから4mmの範囲の透過開口14を囲み画定するより透過度が低いかまたは不透過の領域18を形成する。
【0054】
図3Aおよび図3B図4A図4D、および図5は、視覚情報の領域ごとの変化を使用して視覚情報を眼球視野から網膜に送り、眼の網膜細胞による視覚情報のサンプリングを制御するためのデバイスおよび方法の追加の例示的な実施形態を示す。視覚情報およびサンプリング(たとえば、V-VIS)のこのような変化は、以下の図に示すデバイスおよび方法のうちの1つもしくは複数によって実施されるが、範囲を図示の実施形態に制限または限定すべきではない。
【0055】
図3Aは、本明細書ではキャリア層ユニットとして定義される、例示的なV-VISデバイスの基本構成要素の部分断面図および上面図を示す。例示的なV-VISデバイスの部分断面が示されており、2つ透過層20Aおよび20Bは、1つまたは複数の活性光学素子24が部分的に充填された空間22を形成する。いくつかの例では、透過層20Aおよび20Bは、平坦にすることもまたは湾曲させることもでき、ガラスまたはプラスチックで構成することができ、限定はしないが、ポリスルフォン、ポリエーテルアミド、および/または屈折率が約1.67であり、したがって、光強度を有さない他の熱可塑性材料を含むことができる。さらに、1つまたは複数の活性光学素子24は、限定はしないが、ポリマー発光ダイオード(PLED)、双安定液晶、表面安定化強誘電性液晶(SSFLF)、透過および色調整可能有機発光ダイオード(OLED)、強誘電性液晶、超ねじれ液晶、または液晶流電気材料などの、屈折率が約1.67である材料から形成することができる。
【0056】
透過外側層20Aおよび20Bの各々の内面は、限定はしないが、酸化インジウムスズ(ITO)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルフォネート)などの導電有機材料、および/またはカーボンナノチューブなどの導電材料で作られた光学的に透過性の導電層21Aおよび21Bで裏打ちされる。さらに、導電材料はまた、導電性を向上させるために銀またはアルミニウムなどの金属のトレースを含んでもよい。導電層21Aおよび21Bは、電源25およびドライブボックス26に接続することができ、ドライブボックス26は、1つのユニットに収納されてもまたは複数のユニットに分割されてもよく、オン/オフスイッチ、電源、および駆動ソフトウェアを有し、所望の電圧を導電層の1つまたは複数の領域を通して活性光学材料24に印加してもよく、それによって、活性光学材料24は、電圧に応じて光学特性を透過性から様々な不透過度に変化させる。色、ならびに不透過領域および透過領域の位置およびサイズの多重変化は、例示的なV-VISデバイスのいくつかの実施形態をキャリア層の透過外側層20A、20B間の空間22内にそれぞれに異なるパターンおよび密度の活性光学材料を有するように構成し、ならびに/または導電層を介して電気刺激のパターンを構成することによって実現することができる。
【0057】
例示的なV-VISデバイスおよび方法のいくつかの実施形態では、キャリア層は、限定はしないが、網膜光傷害を防止するための415nmから455nmの間の青色および紫色波長ならびに/またはUV波長を含む、特定の範囲の光の有害な波長を遮断する光学フィルタを組み込むことができる。
【0058】
例示的なV-VISデバイスのいくつかの実施形態では、キャリア層は、キャリア層に塗布されてゴースティングを最小限に抑える広帯域反射防止(AR)コーティングを備える。ARコーティングは、単一層MgF2または多層コーティングのいずれかとすることができる。様々な材料ならびに様々な絶対厚さおよび相対厚さの多層コーティングを使用してAR機能を実現することができる。
【0059】
本明細書で説明する例示的なV-VIS方法およびデバイスのいくつかの実施形態では、各キャリア層ユニットは、活性光学材料を含まない領域23を囲む活性光学材料24の配置を有する。これらの例示的なV-VISデバイスおよび方法の開口は、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の活性光学素子を有する各キャリア層内の領域によって囲まれる1つまたは複数の活性光学素子を含まない領域によって画定されてもよい(たとえば、各キャリア層内の1つまたは複数の活性光学素子は、通電すると開口の領域よりも透過度が低くなる)。
開口は、直径が0.1mmから4mmの範囲になるように構成することができ、一方、周囲領域は、直径が0.2mmから10mmの範囲になるように構成される。開口および/または周囲領域の不透過度は、活性光学材料の密度および配置によって決定される。
【0060】
複数の開口は、単一の層内に、活性光学材料がその層内のどこに配置されるかによって形成することができる。いくつかの実施形態では、開口および/または周囲領域のサイズ、位置、および不透過度は、(たとえば、ローカルに記憶または受信されたソフトウェア命令を実行するプロセッサを有するコントローラによって生成される制御信号に基づいて)導電層を介した電気刺激のパターンを修正することによって決定される。いくつかの実施形態では、キャリア層における1つまたは複数の開口は、1つまたは複数の活性光学素子の活性化を特徴とするキャリア層内の領域によって囲まれる1つまたは複数の活性光学素子の活性化を行わない領域として定義される。1つまたは複数の開口の位置は、キャリア層のうちの1つもしくは複数に電気エネルギーを選択的に印加することによって決定されてもよい。1つまたは複数の開口の位置は、50ヘルツから50キロヘルツの間の速度で変化する。1つまたは複数の開口の1つの位置は、瞳の中心の同軸上であり、一方、1つまたは複数の開口の1つまたは複数の他の位置は、瞳の中心と非同軸上である。
【0061】
図3Bは、いくつかの例による、可動開口効果を形成するための図3Aの複数のキャリア層ユニットの垂直積層の図である。電源25に接続されたプログラム可能なコントローラ26は、電流を、直接接続を通して、またはリモートに無線周波数アンテナ27を通して、キャリア層ユニット29の各々における活性光学材料24に送る。いくつかの例では、プログラム可能なコントローラ26は、(たとえば、有形の非一時メモリ内にコントローラによってローカルに記憶されるか、または受信信号内に含まれる)ソフトウェア命令が実行されたときに、プログラム可能なコントローラ26に、本明細書で説明するプロセスのいずれかを使用してキャリア層ユニット29の各々内の活性光学材料24に電流を(たとえば、制御信号として)選択的に送らせる1つまたは複数のプロセッサを含んでもよい。
【0062】
各キャリア層ユニットは、活性光学材料を含まない領域23を囲む活性光学材料24の配置を有する。例示的なV-VISデバイスおよび方法の開口は、1つまたは複数の活性光学素子を含まない領域が、1つまたは複数の活性光学素子を含む各層内の領域によって囲まれることによって形成され、キャリア層内の1つまたは複数の活性光学素子は、たとえば受け取られた電流によって通電されたときに開口の領域よりも透過度が低くなる。例示的なV-VISデバイスのいくつかの実施形態では、2つ以上の透過キャリア層が垂直積層され、それによって、2つ以上の透過キャリア層の各々における1つまたは複数の活性光学素子は、通電されたときに開口よりも透過度が低くなる。
【0063】
本明細書で説明するいくつかの例では、1つまたは複数の活性光学素子を含む各キャリア層内の領域によって囲まれた1つまたは複数の活性光学素子を含まない領域うちの少なくとも1つによって画定することができる。他の例では、1つまたは複数の開口は、1つまたは複数の活性光学素子の活性化を行う各キャリア層内の領域によって囲まれた1つまたは複数の活性光学素子の活性化を行わない領域によって画定することができる。さらなる例では、各キャリア層における1つまたは複数の開口の各々の空間位置を各キャリア層における他の開口の各々に対してずらすことができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の開口の位置および位置の数、位置の並び、位置の変化間の間隔が、特定の人または特定の条件、疾患、損傷、または障害についてカスタム化されてもよい。
【0064】
図4A図4Dは、眼の網膜の前方におけるV-VISデバイスについての様々な例示的な配置を示す眼の断面を示す。図4Aにおいて、眼は、虹彩31を覆う角膜30を有する。いくつかの例では、図2および図3で示された例示的なV-VISデバイスなどのV-VISデバイスは、眼鏡レンズ33内に配置するかもしくは眼鏡レンズ33に留めるか、または眼鏡フレーム32に接続された1つまたは複数の導波管34内に配置することができる。フレーム32は、電源25とプログラム可能なコントローラ26とを収納し、プログラム可能なコントローラ26は、眼鏡レンズ内の1つまたは複数のキャリア層29に接続されるかまたは適切な取付け方法もしくは機構を使用して眼鏡レンズに取り付けられる。活性化された各キャリア層は、たとえば、プログラム可能なコントローラ26によって制御信号を介して選択的に送られる電流に基づいて、前述のように1つまたは複数の開口23を形成する。いくつかの例では、プログラム可能なコントローラ26は、入力データ、たとえば、センサーまたはリモートにアクセス可能なデバイス(図4Aには示されていない)からのフィードバックを受信してもよく、受信された入力に基づいて較正または構成プロセスを実行してもよい。
【0065】
図4Aは、単一のサンプリング間隔の間の1つの位置における単一の開口を示す。可動開
口およびSIの選択された位置並びは、網膜による光のサンプリングを決定する。図4Aの例示的なV-VISデバイスは、網膜の前方の開口を、網膜の前方において瞳の中心と非同軸上の1つまたは複数の位置と、瞳の中心と同軸上の網膜の前方の位置との間を光学的に移動するように構成される。
【0066】
図4Aに示す透過導波管34は、たとえば、シースルー型ディスプレイとして働くことができる。いくつかの実施形態では、本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスおよび方法は、単一の層内で互いに隣接するか、ホログラフ的に多重化されるか、またはそれらの任意の組合せである垂直積層の少なくとも1つに配置された複数の導波管を含むことができる。図2図3A、および図3Bにおいて説明するような開口および周囲の不透過領域を導波管を通して網膜に投影することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスおよび方法のシースルー型ディスプレイは、少なくとも1つの拡張現実画像、少なくとも1つの仮想現実画像、またはそれらの任意の組合せを表示するようにさらに構成することができる。一例では、プログラム可能なコントローラ26は、有形の非一時メモリ内の少なくとも1つの仮想および/または拡張現実画像を特徴付けるローカルデータを維持してもよく、ソフトウェア命令が実行されたときに、制御信号を生成してもよく、制御信号は、V-VISデバイスに、少なくとも1つの仮想および/または拡張現実画像を生成させ、たとえば透過導波管34上に表示させる。
【0068】
他の例では、プログラム可能なコントローラ26は、Bluetooth(登録商標)通信プロトコルまたは近距離通信(NFC)プロトコルを使用した短距離通信ネットワークなどの1つまたは複数の通信ネットワークを介して仮想現実または拡張現実(VR/AR)システムまたはデバイスに通信可能に結合されてもよい。プログラム可能なコントローラ26は、VR/ARシステムまたはデバイスによって送信されたデータを受信し、データに応じて、制御信号を生成してもよく、制御信号は、本明細書で説明するように、V-VISデバイスに、少なくとも1つの仮想および/または拡張現実画像を生成させ、表示させる(図4Aには示されていない)。
【0069】
拡張現実を使用する例示的な実施形態は、高齢の患者、ならびにアルポート症候群、アッシャー症候群、マーシャル症候群、スティックラー症候群、デュアン症候群、レーバー病、およびノリエ症候群などのいくつかの遺伝症候群または障害、ならびにサイトメガロウイルスおよび風疹などの感染症では共存症となることが多い、視力と聴力の両方の障害を伴う被験者の場合である。本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスのうちの1つまたは複数は、視力を改善する可動開口を、VR/ARシステムもしくはデバイスに接続されたヘッドマウントまたは眼鏡フレームに組み込まれた複数の指向性マイクロフォン35と組み合わせるように構成されてもよい。いくつかの例では、1つまたは複数のアプリケーションプログラムが実行されたときに、VR/ARシステムまたはデバイスは、指向性マイクロフォン35のうちの1つもしくは複数によって取り込まれた音声データを受信する動作を実行することができる。VR/ARシステムまたはデバイスは、取り込まれた音声データに基づいて、音声の発生源位置を検知し、検知された音声を好ましい言語のテキストに変換し、拡大されたテキスト(たとえば、「お母さんが呼んでいます」)36を視力および聴力に障害のある被験者の視野内に導波管34上の拡張現実画像または層として表示することができる。さらに、いくつかの実施形態では、聴力に障害のある被験者に音声が生成された方向を示すために、視野の周囲(たとえば導波管34の周囲)に配置された1つまたは複数の発光ダイオードによって、追加方向キューが与えられる。いくつかの実施形態では、本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスのうちの1つまたは複数は、1つまたは複数のマイクロフォンを含むことができ、音声を好ましい言語のテキストに変換し、例示的なV-VISデバイスを使用して被験者の視野内にテキストを表示するアプリケーションプログラムまたはソフトウェア命令を実行する1つもしくは複数のプロセッサまたは処理ユニットを含むことができ、あるいはそのようなプロセッサまたは処理ユニットと通信することができる。さらに、本明細書で説明するように、例示的なV-VISデバイスのうちの1つまたは複数のV-VISデバイスは、音声が生成された方向を示すために視野の周囲に配置された1つまたは複数の発光ダイオードをさらに備えてもよい。アプリケーションプログラムおよびソフトウェア命令は、着信テキストおよび電話呼について視覚的アラート、ならびに他のアラートおよび通知を作成するためのアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を含んでもよく、音声を電話から視認可能なテキストに変換することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、例示的なV-VISデバイスのうちの1つまたは複数は、眼球追跡または視線インタラクティブ支援技術と併用することができ、その例には、限定はしないが、言語および/または運動障害を有する被験者に対してTobii Dynavox(ペンシルバニア州ピッツバーグ)から市販されている技術が含まれる。例示的なV-VISデバイスおよび方法は視力障害を有する被験者の視力を改善することができるので、眼球追跡および視線インタラクティブ支援技術は、言語または運動障害も有する被験者が、視線を言葉、文字、およびコマンドにより良好に合わせるのを可能にし、それによってそのような被験者が通信し、個人の自立を回復し、他者およびコンピュータを学習して対話し、コンピュータを用いてeメールを作成し、ソーシャルネットワーキングサイトにアクセスし、新しい技術を取得し、創造性を推進するのを可能にし、それによって健康および幸福を向上させる。
【0071】
別の例示的な実施形態では、ヘッドマウントフレームまたは眼鏡フレーム(たとえば、Bluetooth(登録商標)によって、本明細書で説明するプロセッサに接続される)を、たとえば、一過性の半盲、四分の一盲、または片側視野障害の被験者などの、正常な視野が部分的に失われた被験者を治療するために周辺に向けられたカメラと組み合わせることができる。AR技法を現在の視野の間欠V-VISディスプレイと同時に使用すると、全視野のうちの失われた部分からの情報を搬送する光が、網膜-脳複合体の残りの機能部分に送られ、解釈、統合、および視認が行われる。V-VISの間欠性によって、従来のピクチャ内ピクチャ技術において視野の失われた部分が常に表示された場合に生じる混乱および注意散漫が防止される。
【0072】
いくつかの実施形態では、例示的なV-VISデバイスのうちの1つまたは複数を(たとえば、対応する導波管上などの)拡張現実コンテンツの同時ディスプレイと組み合わせることができ、拡張現実をV-VISと一緒に使用すると、被験者の片眼、他眼、または両眼の視野よりも大きい視野から光が取り込まれ、光が網膜に送られる。眼の視野は通常、側頭方向に90°よりも大きく拡張し、鼻側および上方に60°拡張し、および下方に約70°拡張する。いくつかの実施形態では、本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスおよび方法は、被験者の片眼、他眼、または両眼の視野を、一定または可変とし、被験者の片眼、他眼、または両眼の周りに360°までの選択された度数を包含するように構成することができる全視野について被験者の片眼、他眼、または両眼の視野を拡張することができる。さらなる実施形態では、本明細書で説明する例示的なプロセッサを片眼、他眼、または両眼の周囲および/または上方および/または下方および/または後方に向けられたカメラと組み合わせることができる。さらなる実施形態では、V-VISデバイスのうちの1つまたは複数は、同時拡張現実ディスプレイと組み合わせることができ、拡張現実をV-VISと一緒に使用すると、V-VISデバイス単独またはARデバイス単独の視野よりも大きい視野から光が取り込まれ、被験者に拡張された視野がもたらされる。いくつかの実施形態では、V-VISデバイスとARデバイスの組合せは、3D検出および/または高速追跡を含む。V-VISをARと併用するように構成されたデバイスおよび方法のいくつかの実施形態では、V-VIS開口によって視準された光を被験者の片眼または両眼の周りに360°までの視野から網膜に送ることができる。いくつかの実施形態では、例示的なV-VISデバイスのうちの1つまたは複数は、被験者の片眼、他眼、または両眼の周囲、上方、下方、および後方の少なくとも一方から光を取り込み、光を被験者の片眼、他眼、または両眼の網膜に送るための1つまたは複数のカメラおよびソフトウェアを含むようにさらに構成することができる。
【0073】
図4Bは、角膜30および虹彩31を覆うコンタクトレンズ40を含む例示的なV-VISデバイスの2つの異なる実施形態を示す。コンタクトレンズ40は、角膜用または強膜用、またはそれらの任意の組合せである。1つの例示的な実施形態は、図2に示すように軸外投影を利用する。たとえば、プロジェクタ13がコンタクトレンズ40の外部に取り付けられ、コンタクトレンズ40は発光粒子を含む。プロジェクタからの励起光15は、図2において説明するような、本明細書で説明する例示的なプロセスのいずれかを使用してコンタクトレンズ表面内またはコンタクトレンズ表面上に可動開口効果を形成する。
【0074】
同じく図4Bに示す別の実施形態では、コンタクトレンズ40は、図3Aおよび図3Bにおいて説明したように1つまたは複数のキャリア層29を有し、各キャリア層29は、1つまたは複数の開口23を画定する活性光学材料24を含む。アンテナ27などの1つもしくは複数のアンテナは、開口の活性化の順序、持続時間、および間隔に関する命令を含む信号を受信する。図4Bは、単一のサンプリング期間の間の1つの位置における可動開口を示す。
【0075】
一例では、受信信号は、無線周波数信号を含んでもよく、アンテナ27は、無線周波数信号を受信することができる無線周波数アンテナを含んでもよい。開示された例示的な実施形態は、無線周波数信号およびアンテナに制限されず、他の例では、アンテナ27は、本明細書で説明する通信プロトコルのような、任意の追加または代替の通信プロトコルに従ってフォーマットされた送信信号を受信することが可能であってもよい。
【0076】
さらに、いくつかの例では、アンテナ27は、被験者の着用する眼鏡内に含まれる(眼鏡上に配置される)か、被験者もしくは医師によって操作されるモバイルデバイス内に含まれる対応する送信機ユニットから、または任意の他の適切なデバイスもしくはシステムから、たとえば、本明細書で説明する通信ネットワークのいずれかを介して、信号を受信してもよい。ソフトウェア命令はたとえば、医師によって生成または指定され、眼鏡、モバイルデバイス、または他の適切なデバイスもしくはシステムの1つまたは複数の有形の非一時メモリ内に記憶されてもよい。
【0077】
図4Cでは、例示的なV-VISデバイスは、角膜内インレー45を含み、角膜内インレー45は、送信信号を受信することができる、アンテナ27などの1つまたは複数の内蔵アンテナを含む。送信信号の例には、限定はしないが、無線周波数信号、または本明細書で説明する通信プロトコルのような、任意の追加または代替の通信プロトコルに従ってフォーマットされた信号を含む。
【0078】
角膜インレーは、虹彩31を覆う角膜30内に配置される。角膜インレー45内部の1つまたは複数の透過キャリア層29内の活性光学材料24は、(アンテナ27によって受信された信号に基づいて)活性化されると、1つまたは複数の可動開口23を形成する。図4Cは、単一のサンプリング期間の間の1つの位置における可動開口を示す。
【0079】
図4Dでは、例示的なV-VISデバイスは、眼球内インプラント46を備え、眼球内インプラント46は、ヒト水晶体レンズに置き換わり、通常は虹彩31の後方の眼の水晶体嚢47の内側に配置される。ただし、眼球内インプラント46は、いくつかの実施形態では水晶体嚢の上方または虹彩31の上方に配置することができる。例示的なV-VISデバイスは、眼球内デバイス、眼球内レンズ(IOL)、眼球内レンズ付属デバイス(IOLAD)、または水晶体眼、無水晶体眼、もしくは偽水晶体眼に挿入されるそれらの任意の組合せを含むことができ、前室、溝固定、虹彩固定、水晶体嚢固定、もしくは経強膜縫合IOLもしくはIOLADのうちの少なくとも1つを含む。インプラント内部の1つまたは複数の透過キャリア層29内の活性光学材料24は、(アンテナ27などの1つまたは複数の内蔵アンテナによって受信された信号に基づいて)活性化されると、1つまたは複数の可動開口23を形成する。図4Dは、単一のサンプリング期間の間の1つの位置における複数の可動開口を示す。例示的なV-VISデバイスは、1つまたは複数の活性光学素子を含む1つまたは複数の透過キャリア層の各々を通して(たとえば、アンテナ27よって受信された信号由来の)電流を送ることによって1つまたは複数の開口を移動させる。
【0080】
いくつかの実施形態では、屈折異常の矯正用の適切なレンズを、限定はしないが、眼鏡、コンタクトレンズ、角膜インレー、または眼球内レンズなどの、本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスのうちの1つまたは複数に組み込むことによって眼の屈折異常を矯正することができる。
【0081】
例示的な実施形態では、コンタクトレンズ、角膜インレー、または眼球内インプラントの内側のキャリア層ごとの電源は、例示的なV-VISデバイスのうちの対応するデバイスに内蔵されてもよい再充電可能な太陽光マイクロバッテリーによって補助される無線周波数(RF)伝送であってもよい。たとえば、ミクロンサイズ太陽光発電マイクロバッテリーは、無線周波数(RF)電源の範囲をそのRFアンテナまで拡張するために追加の電力を供給し、こ
れらの例示的なV-VISデバイスのうちの1つまたは複数に組み込むことができる。
【0082】
図5は、5つの考えられる開口位置を有する6つの異なる瞬間(たとえば、瞬間A~F)を示す。図5に示すように、瞳の中心と同軸上に位置する透過開口51Aは、それぞれに異なるサンプリングサイクルの間、各レンズにおける瞳の中心と同軸上に位置する不透過開口50Dと交互に現れる。さらに、図5において、例示的なV-VISデバイスは、弱視を有する被験者を治療するように構成された眼鏡を含む。例示的なV-VISデバイスは、眼鏡フレーム32のレンズ33に組み込まれてもよい。
【0083】
弱視を治療する例示的なV-VISデバイスのいくつかの実施形態では、少なくとも1つのサンプリングサイクルの間、眼の前の中央視野全体が妨害される(たとえば、50Aおよび50D)、同時に、瞳の中心と同軸上の中央透過開口は他眼の前に位置する(たとえば、51Aおよび51D)。完全に妨害される中央視野は、サンプリングサイクルごとまたは数サンプリングサイクルごとに2つの眼の間で交互に現れる。各サンプリングサイクルの間の他のサンプリング間隔(SI)では、たとえば、52B、52C、52E、および52Fにおいて透過開口は両眼の前で瞳の中心と非同軸上の位置に現れる。開口および周囲の不透過領域は、例示的なV-VISデバイスの1つまたは複数のキャリア層に配置された光学活性材料の密度および種類に応じて、有色とすることも、または10%不透過から100%不透過までの所望の密度の不透過性を有することもできる。開口位置は、50ヘルツから50キロヘルツの間の所定のサンプリングレート(SR)で変化する。弱視の重症度および種類に応じて、提示持続時間、色、および/または中心不透過度の密度、たとえば、50Aおよび50Dを、視路および弱視の眼(複数可)の知覚を強化および/または改善するようにより長く持続するかまたはより密度が高くなるように調整することができる。
【0084】
本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスおよび方法のいくつかの実施形態は、限定はしないが、視路の集中的な両側からの刺激がないことに起因する視覚機能の不適切な改善および/または周囲視野の妨害および/または適合性問題を含む弱視の従来の治療の制限を解消する。視覚周辺は、弱視における視力障害を比較的免れることが立証されている。
弱視の従来の治療は、これらの例示的なV-VISデバイスおよび方法のいくつかの実施形態とは異なり、特に周辺において、視覚情報の正確な統合に利用できる空間サンプルの数を減少させ、両眼視機能に障害が生じ、ならびに/または治療時に両眼視機能を改善することができなくなるとともに、視覚野において周辺視覚情報を統合する能力が損なわれることが多い。周辺視野を遮断する弱視用の従来のシャッター眼鏡またはフリッカー眼鏡とは異なり、弱視用の例示的なV-VISデバイスのいくつかの実施形態は、周辺視野の視覚表現を維持する。その理由は周辺視野が妨害されることはないからである。拡張現実(VR)ディスプレイを含む従来の電子デバイスを使用した弱視用の従来の視覚トレーニングは、通常の活動の間に使用することができず、短時間のトレーニングセッションにのみ使用され、視力に障害を有する被験者が自然なシーンにおいてまたは通常の視覚的業務中に対象を見ている間視力は改善しない。(たとえば、本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つもしくは複数のデバイスおよび方法を利用する)弱視用のV-VIS療法のいくつかの実施形態は、従来の弱視治療とは異なり、集中的な両眼視刺激を可能にし、この刺激は図1の視路全体において可塑性機構を実現する。弱視の眼ではジストロフィー網膜細胞を有する場合がある。弱視用の従来の眼鏡とは異なり、弱視用の例示的なV-VISデバイスのいくつかの実施形態は、可動開口、ならびにいくつかの構成では例示的なV-VIS方法およびデバイスのうちの1つもしくは複数の方法およびデバイスとARまたはVRとの組合せに起因してそれぞれに異なる網膜領域の刺激を増大または低減させるように構成することができる。弱視用の有利な刺激は、例示的なV-VIS方法およびデバイスのいくつかの実施形態では、中央不透過領域に赤色、緑色、または青色を追加して錐体光受容体の個々のセットの励起を分離することによって強化されてもよい。
【0085】
眼鏡、眼鏡付属デバイス、ヘッドアップディスプレイ、バイザー、コンタクトレンズ、および限定はしないがリモートにアクセス可能なテレビジョン、コンピュータ、またはモバイルデバイスを含む観察面などの、前の図に示す角膜外V-VISデバイスのうちの1つもしくは複数は、V-VIS効果のスクリーニング、V-VISのカスタム化、V-VISの較正、視力測定、視力監視、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つに利用されてもよい。本明細書で説明する例示的なV-VIS方法およびデバイスの一実施形態では、SRは、知覚を可能にするには速すぎる速度に設定され、被験者が初めて視覚目標を知覚するまで徐々に低下させる。いくつかの実施形態では、このSRは、患者によるフィードバックに基づいてV-VIS療法のカスタム化を可能にするだけでなく、年齢および基礎眼疾患または神経疾患に応じて被験者間で異なる、その人の視覚処理能力の機能測定を定義する。したがって、V-VISデバイスおよび方法を診断に利用することができる。
【0086】
例示的なV-VIS方法およびデバイスの別の実施形態を図6に示す。図6では、本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスのうちの1つもしくは複数のデバイス(たとえば、リモートにアクセス可能なテレビジョン、コンピュータ、またはモバイルデバイスなど)の観察面が、1つまたは複数の可動露出開口によって網膜に送られる様々な位置、サイズ、および/またはコントラストを有する文字、数字、および/または物体を含むディスプレイ61を被験者に提示してもよい。一例として、ディスプレイ61は、視力検査表の一部を含んでもよく、視力検査表は可動開口によって選択的にかつ可変的に曖昧にされてもよい。
【0087】
いくつかの例では、被験者は、電話(たとえば、無料電話をダイヤルすることによる)、インスタントメッセージング、または他のインターネットベースの通信機構もしくは電子通信機構による試験、診断、監視、または試験施設との通信チャネルを確立してもよい。
図6を参照するとわかるように、被験者は、瞳の中心と同軸上の目標(たとえば、図6の目
標62)を、場合によっては暗いディスプレイ61に(たとえばコントラストによって)固視するように方向を定められてもよい。少なくとも1つの露出開口63を、ディスプレイ上の網膜の前方において瞳の中心と非同軸上の1つまたは複数の位置64(たとえば、視力検査表内の露出文字「Z」および「N」)と、ディスプレイ61上の網膜の前方において瞳の中心と同軸上の位置65(たとえば、視力検査表の露出文字「H」)との間において、50ヘルツから50キロヘルツの間の速度で移動させる。図6に示すように、(たとえば、位置64および65における)少なくとも1つの露出開口63は、場合によっては暗い画面によって曖昧にされるディスプレイ61の全視野の一部を網膜に送り、ディスプレイ61の全視野は試験画像を含む。
【0088】
試験画像の被験者の視覚は、当業者に知られている記録およびデータ収集方法を使用して被験者の応答によって測定され監視される。たとえば、被験者は、ディスプレイ61内に見える文字または数字の各々を識別する情報を確立された通信チャネルを介して施設に提供してもよく、施設によって維持されるコンピューティングシステムは、与えられた情報を(たとえば、1つもしくは複数のプログラマチックインターフェースを通じてまたは施設のエージェントもしくは従業員によって与えられる入力に基づいて)受信してもよい。
【0089】
コンピュータは、いくつかの例では、特定された文字および数字のレコードを生成し(かつ記憶し)、特定されたレコードとテキスト画像に対する少なくとも1つの露出開口の移動および位置を特徴付ける情報との比較に基づいて被験者が特定できなかった1つまたは複数の文字または数字を判定する記憶されたソフトウェア命令を実行してもよい。判定に基づいて、コンピュータは、本明細書で説明する例示的なV-VIS方法のうちのいずれかを使用して被験者の視野全体のマップを生成する動作を実行してもよい。たとえば、生成されたマップは、被験者によって示された暗点の位置もしくはサイズ、追加または代替として、被験者によって示される変形視の領域を特定するものであってもよい。さらに、提示された文字または数のサイズの変動は、生成されるマップに基づいて被験者の潜在的な視力の判定を容易にしてもよい。本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスおよび方法のいくつかの実施形態は、従来のデバイスおよび方法よりもより好都合にならびに/またはより正確に視覚および/または視力を測定し監視する。
【0090】
本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法は、網膜の前方の1つまたは複数の開口を、網膜の前方において瞳の中心と非同軸上の1つまたは複数の位置と網膜の前方において瞳の中心と同軸上の位置との間を移動させるための光制御デバイスを含むかまたは利用する。1つまたは複数の開口を、たとえば、50ヘルツから50キロヘルツの間の速度で移動させてもよく、それによって、眼球視野の視覚情報およびサンプリング(V-VIS)が領域ごとに変化する。さらに、「網膜の前方において」という句は、眼球外配置、角膜内配置、または眼球内配置のうちの1つを含み、デバイスは、1つまたは複数の開口を網膜の前方に配置された1つまたは複数のシースルー型ディスプレイを通して電気光学的に移動させることができる。
【0091】
さらなる実施形態では、光制御デバイスは、被験者によるV-VISの少なくとも1つ、V-VISの使用のスクリーニングの少なくとも1つ、V-VISのカスタム化、V-VISの較正、V-VIS視力測定、V-VIS視力監視、またはそれらの任意の組合せに利用することができる。いくつかの例では、V-VISデバイスは、被験者の片眼または両眼における視力の安定化、眼疾患または神経学的状態の矯正、眼疾患もしくは神経学的状態、疾患、損傷、または障害を有する被験者の片眼または両眼における視覚症状の軽減、眼疾患もしくは神経学的状態、疾患、損傷、または障害による視力障害が生じた被験者の片眼または両眼における治療しない対照群と比較した視力障害率の低下、眼疾患、疾患、または障害を有する被験者の片眼または両眼における治療しない対照群と比較した眼疾患、疾患、または障害の進行速度の低下、被験者の片眼または両眼の視力測定、あるいは被験者の片眼または両眼の視力監視、あるいはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを実現するように構成すること
ができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法は、V-VIS教示を眼科治療および神経学的治療と併用する。いくつかの治療実施形態は、V-VISデバイスの利用を、眼疾患もしくは神経学的状態、疾患、損傷、または障害用の別の療法の実施とともに含む方法によって眼を治療することを含む。V-VISデバイスは、1つまたは複数の開口を網膜の前方において瞳の中心と非同軸上の1つまたは複数の位置と網膜の前方において瞳の中心と同軸上の位置との間を光学的に(たとえば、本明細書で説明するプロセスのいずれかに従って)移動させるように構成することができ、1つまたは複数の開口を50ヘルツから50キロヘルツの間の速度で移動させる。いくつかの実施形態では、例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法を、限定はしないが、薬理学および/または栄養補助および/またはレーザおよび/または放射線および/または網膜置換および/または幹細胞移植および/または非遺伝子および/または遺伝子および/または光遺伝子および/または網膜補綴および/または他の治療(以下では他の治療と呼ぶ)を含む他の眼科治療および神経学的治療と併用し、限定はしないが、黄斑変性および/または糖尿病性網膜症および/または緑内障および/または軸性近視および/または他の新生血管および/または萎縮および/または炎症性および/または遺伝性および/または栄養および/または加齢による網膜状態、疾患、損傷、または障害(以下では「眼疾患」と呼ぶ)および/または神経学的疾患、傷害、または状態(以下では「神経学的状態」と呼ぶ)を含む、眼疾患、疾患、損傷、または障害の治療を改善することができる。本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちのいくつかのデバイスおよび方法は、視覚サンプリングならびに/または視覚処理ならびに/または視覚ならびに/または眼疾患および/もしくは神経疾患に関連する網膜修復プロセスおよび/もしくは神経修復プロセスの様々な機構を導入することによって従来の治療の欠点および欠陥を解消する。さらに、例示的なV-VISデバイスおよび方法のいくつかのデバイスおよび方法は、V-VISと相乗的に併用することによって他の治療の欠点および欠陥を解消して視覚的および/または解剖学的結果を改善し、それによってまた、他の治療との患者の適合性を改善する。V-VISとの併用療法では、他の療法をV-VISの前、間、または後に実施することができる。併用療法のいくつかの実施形態では、非V-VIS療法の前または非V-VIS療法を開始してからしばらくしてからV-VIS治療が実施される。
【0093】
いくつかの実施形態では、V-VIS治療は、限定はしないが、フォトバイオモジュレーション、レーザ光凝固、レーザ光線力学的療法、サブスレッショルドマイクロパルスレーザ療法、緑内障レーザ療法(限定はしないが、レーザ線維柱帯形成術および毛様体光凝固を含む)、緑内障濾過手術(限定はしないが、線維柱帯切除術、マイクロ線維柱帯切除術、内部または外部チューブシャント埋め込み、脈絡膜上シャント埋め込み)、視力矯正(限定はしないが、屈折矯正手術、レーザ視力矯正、および遺伝子治療を含む)、視神経手術(限定はしないが、減圧および修復手術を含む)、網膜補綴、幹細胞移植、および放射線療法(限定はしないが、焦点眼内ストロンチウム90ベータ放射線を含む)を含むレーザ療法を含む、眼疾患および神経学的疾患用の他の療法と併用することができる。
【0094】
いくつかの実施形態は、V-VISの前、V-VISの間、V-VISの後、またはそれらの任意の組合せの時点で、眼疾患を治療するための遺伝子治療、非遺伝子治療、光遺伝子治療、網膜置換療法、または幹細胞療法のうちの少なくとも1つを実施することと組み合わせて(たとえば、本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法の利用に基づいて)V-VISで眼を治療することを含む。さらなる実施形態では、眼を治療するための療法または治療方法(たとえば、「併用」法)は、V-VISの前、V-VISの間、V-VISの後、またはそれらの任意の組合せの時点で、眼疾患または神経学的疾患を治療するための遺伝子治療、非遺伝子治療、光遺伝子治療、網膜置換療法、または幹細胞療法のうちの少なくとも1つの実施とともにV-VISデバイスを利用することを含むことができる。本明細書で説明するように、デバイスは、眼の網膜の前方の1つまたは複数の開口を、網膜の前方において瞳の中心と非同軸上の1つまたは複数の位置と網膜の前方において瞳の中心と同軸上の領域との間で光学的に(たとえば、本明細書で説明するプロセスのいずれかに従って)移動させるように構成することができ、1つまたは複数の開口を50ヘルツから50キロヘルツの間の速度で移動させる。
【0095】
併用療法のいくつかの実施形態では、V-VIS治療は、遺伝子治療、非遺伝子治療、光遺
伝子治療、網膜置換療法、または幹細胞療法の後で、限定はしないが、神経結合、神経統合、視覚サンプリング、または視覚のうちの少なくとも1つを含む視覚機能の回復および/または復元を改善および/または推進および/または促進する。いくつかの実施形態では、V-VISを網膜置換および/または幹細胞療法と併用すると、限定はしないが、幹細胞または他の網膜細胞の目標とされる供給が不正確または不適切であることを含む、網膜置換および/または幹細胞療法の制限が解消される。いくつかの実施形態では、網膜ジストロフィーおよび/または変性の治療をV-VIS治療と併用すると、網膜補綴および光遺伝子治療単独の場合とは異なり、限定はしないが、網膜内結合の異常リモデリングおよびジストロフィー性網膜における病理学的自発的多動を含むジストロフィー性網膜における制限が解消される。いくつかの実施形態では、網膜ジストロフィーおよび/または変性の治療をV-VIS治療と併用すると、限定はしないが、網膜神経節細胞が中心窩から変位すること、色符号化が困難であること、神経節細胞がどの色チャネルを符号化するかについての知見が不十分であることに起因する、中央暗点形成を含む、ジストロフィー性網膜における網膜補綴および光遺伝子治療の制限が解消される。
【0096】
さらなる実施形態では、本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法は、限定はしないが、黄斑変性、脈絡膜血管新生、および糖尿病性網膜症を含む、神経学的眼疾患、疾患、損傷、または障害の症状を治療または軽減するための血管新生抑制療法と併用することができる。いくつかの実施形態は、V-VISの前、V-VISの間、V-VISの後、またはそれらの任意の組合せの時点で、硝子体内注射、経口投与、局所投与、網膜内投与、インプラントを介して、またはイオン導入を介して投与される治療的に有効な量の血管新生抑制剤の投与と併用して(たとえば、本明細書で説明する例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つもしくは複数のデバイスおよび方法を利用して)V-VISで眼を治療することを含む。本明細書で用いられているように、「軽減する」または「治療する」または「補償する」という用語は、実行された処置の結果として眼障害(たとえば、黄斑変性)に関連する臨床兆候および/または症状が弱められることを意味する。監視すべき兆候または症状は、眼障害の特徴を有し、兆候、症状、および状態を監視するための方法とともに、当業者における医師には公知である。V-VISを血管新生抑制療法と一緒に利用する併用療法は、血管新生抑制単独またはV-VIS単独よりも有利である。その理由は、併用療法は視機能をさらに改善し、視機能をさらに安定化し、治療負荷を低減させ、ならびに/または患者の適合性を向上させるからである。
【0097】
本明細書で説明するいくつかの実施形態は、限定はしないが、アフリベルセプト、ラニビズマブ、ベバシズマブ、およびブロルシズマブを含む、限定はしないが、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)拮抗薬(VEGF活動の抑制剤)を含む、治療的に有効な量の血管新生抑制剤の投与と併用して(たとえば、例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法を利用して)V-VISで眼を治療することによって新生血管眼疾患、疾患、損傷、または障害を軽減または治療する方法を提供する。
【0098】
本明細書で説明するいくつかの実施形態は、限定はしないが、ボロシキシマブおよびP200を含む、限定はしないが、血小板由来増殖因子(PDGF)拮抗薬を含む、治療的に有効な量の血管新生抑制剤の投与と併用して(たとえば、例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法を利用して)V-VISで眼を治療することによって新生血管眼疾患、疾患、損傷、または障害を軽減または治療する方法を提供する。
【0099】
いくつかの実施形態はまた、限定はしないが、RG7716を含む、限定はしないが、アンジオポエチン-2拮抗薬を含む、限定はしないが、アンジオポエチン拮抗薬を含む、治療的に有効な量の血管新生抑制剤の投与を併用して(たとえば、例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法を利用して)V-VISで眼を治療することによって新生血管眼疾患、疾患、損傷、または障害を治療または軽減する方法を提供する。
【0100】
本明細書で説明するいくつかの実施形態は、限定はしないが、カロツキシマブを含む、限定はしないが、エンドグリン拮抗薬を含む、治療的に有効な量の血管新生抑制剤の投与と併用して(たとえば、例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法を利用して)V-VISで眼を治療することによって新生血管眼疾患、疾患、損傷、または障害を軽減または治療する方法を提供する。
【0101】
本明細書で説明するいくつかの実施形態は、限定はしないが、バタラニブまたはパゾパニブを含む、限定はしないが、チロジンキナーゼ抑制剤を含む、限定はしないが、VEGFおよびPDGF受容体のリン酸化の抑制剤を含む、治療的に有効な量の血管新生抑制剤の投与と併用して(たとえば、例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法を利用して)V-VISで眼を治療することによって新生血管眼疾患、疾患、損傷、または障害を軽減または治療する方法を提供する。
【0102】
本明細書で説明するいくつかの実施形態は、限定はしないが、ルミネートを含む、限定はしないが、抗インテグリンペプチド、α5β1インテグリン活動の抑制剤、およびインテグリン受容体部位に結合するオリゴペプチドを含む、限定はしないが、インテグリン拮抗薬を含む、治療的に有効な量の血管新生抑制剤の投与と併用して(たとえば、例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法を利用して)V-VISで眼を治療することによって新生血管眼疾患、疾患、損傷、または障害を軽減または治療する方法を提供する。
【0103】
本明細書で説明するいくつかの実施形態は、限定はしないが、任意のVEGF拮抗薬、任意のPDGF拮抗薬、任意のアンジオポイエチン拮抗薬、任意のエンドグリン拮抗薬、および任意のインテグリン拮抗薬を含む、治療的に有効な量の2つ以上の血管新生抑制剤をV-VISの前、V-VISの間、V-VISの後、またはそれらの任意の組合せの時点で投与し、この場合に、2つ以上の血管新生抑制剤を同時にまたは順次送ることと併用して(たとえば、例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法を利用して)V-VISで眼を治療することによって新生血管眼疾患、疾患、損傷、または障害を軽減または治療する方法を提供する。
【0104】
他の実施形態では、限定はしないが、被験者における新生血管眼疾患および/または滲出型黄斑変性および/または糖尿病網膜症などの眼疾患を治療または軽減する方法は、限定はしないが、フルオシノロンアセトニドを含む、治療的に有効な量の抗炎症性薬剤を投与し、この場合に、抗炎症剤を硝子体内注射、経口投与、局所投与、網膜内投与、インプラントを介して、またはイオン導入を介して投与することと併用して(たとえば、例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法を利用して)V-VISで治療することを含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、限定はしないが、被験者における地図状萎縮および/または乾燥型黄斑変性などの眼疾患を治療または軽減する方法は、硝子体内注射、経口投与、局所投与、網膜内投与、インプラントを介して、またはイオン導入を介して、限定はしないが、アバシンキャプタドペゴル、LEG316、POT-4、エクリズマブ、JPE-1375、ARC1905を含む、限定はしないが、補体3または5活性の抑制剤を含む、治療的に有効な量の補体の抑制剤、あるいは限定はしないが、ドキシサイクリンを含む、限定はしないが、テトラサイクリンクラスの抗体を含む、治療的に有効な量の抗炎症薬、あるいは限定はしないが、酢酸グラチラマーを含む、限定はしないが、Tヘルパー2インデューサーを含む、治療的に有効な量の免疫調節薬を投与することと併用して(たとえば、例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法を利用して)V-VISで治療することを含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、限定はしないが、被験者における地図状萎縮および/または
乾燥型黄斑変性などの眼疾患を治療または軽減する方法は、治療的に有効な量のOT551、またはタンパク質複合体核因子(NF-B)の過剰発現に対する任意の他のダウンレギュレータ、または限定はしないが、たとえば、Age-Related Eye Disease Study(AREDS)およびAREDS 2調査のようなビタミンC、ビタミンE、ベータカロテンもしくはルテインおよびゼアキサンチン、およびオメガ3脂肪酸の組合せを含む抗酸化剤の組合せを投与することと併用して(たとえば、例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法を利用して)V-VISで治療することを含む。
【0107】
いくつかの実施形態では、限定はしないが、被験者における地図状萎縮および/または乾燥型黄斑変性などの眼疾患を治療または軽減する方法は、限定はしないが、ニコチンアミドリボシドまたはニコチンアミドモノヌクレオチドを含む、治療的に有効な量のニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)またはNADの任意の前駆体を投与することと併用して(たとえば、例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法を利用して)V-VISで治療することを含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、限定はしないが、被験者における地図状萎縮および/または
乾燥型黄斑変性などの眼疾患を治療または軽減する方法は、限定はしないが、色素上皮由来因子(PEDF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、およびレンズ上皮由来増殖因子(LEDGE)を含む、治療的に有効な量の栄養因子を投与することと併用して(たとえば、例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法を利用して)V-VISで治療することを含む。
【0109】
いくつかの実施形態は、限定はしないが、緑内障、黄斑変性、視神経萎縮、自己免疫神経変性疾患、または脳血管障害を含む、眼疾患もしくは神経学的状態、疾患、損傷、または障害を治療するための、治療的に有効な量の以下の薬剤の少なくとも1つを、V-VISの前、V-VISの間、V-VISの後、またはそれらの任意の組合せの時点で、局所投与、網膜内投与、硝子体内投与を介して、インプラントを介してまたはイオン導入を介して投与することと併用して(たとえば、例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法を利用して)V-VISで眼を治療することを含み、薬剤には、i.限定はしないが、縮瞳薬、αまたはα/βアドレナリン作動薬、βブロッカー、Ca2+チャネルブロッカー、炭酸脱水酵素阻害剤、コリンエステラーゼ抑制剤、プロスタグランジン拮抗薬、プロスタグランジン、プロスタアミド、カンナビノイド、またはそれらの任意の組合せを含む眼球内降圧剤、ii.限定はしないが、rhoキナーゼ阻害剤、アデノシン受容体作動薬、グルタミン酸拮抗薬、神経栄養因子、または神経栄養因子調整剤を含む、網膜細胞もしくは皮質細胞神経保護薬または神経再生薬、あるいはiii.それらの任意の組合せが含まれる。そのような併用療法は、視機能をさらに改善し、視機能をさらに安定化し、治療負荷を低減させ、ならびに/または患者の適合性を向上させる。
【0110】
いくつかの実施形態では、限定はしないが、被験者における地図状萎縮および/または乾燥型黄斑変性および/または緑内障などの眼疾患または神経学的状態を治療または軽減する方法は、治療的に有効な量の毛様体神経栄養因子(CNTF)または任意の他の神経栄養因子または視細胞アポトーシスに対する任意の他の抑制剤を投与することと併用して(たとえば、例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法を利用して)V-VISで治療することを含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、限定はしないが、被験者における地図状萎縮および/または乾燥型黄斑変性および/または緑内障などの眼障害または神経学的障害を治療または軽減する方法は、限定はしないが、ブリモジニンを含む、治療的に有効な量の神経保護薬を投与することと併用して(たとえば、例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法を利用して)V-VISで治療することを含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、限定はしないが、被験者における地図状萎縮および/または乾燥型黄斑変性などの眼障害または神経学的障害を治療または軽減する方法は、治療的に有効な量のFas抑制剤または網膜細胞を細胞死から保護するように設計された他の薬剤を投与することと併用して(たとえば、例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法を利用して)V-VISで治療することを含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、限定はしないが、被験者における地図状萎縮および/または乾燥型黄斑変性および/または新生血管黄斑変性および/または緑内障などの眼障害または神経学的障害を治療または軽減する方法は、限定はしないが、アトルバスタチン、ロバスタチン、ロスバスタチン、フルバスタチン、またはシンバスタチンを含む、治療的に有効な量のスタチンを投与することと併用して(たとえば、例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法を利用して)V-VISで治療することを含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、限定はしないが、被験者における緑内障または高眼圧症などの眼障害を治療または軽減する方法は、限定はしないが、縮瞳薬、αまたはα/βアドレナリン作動薬、βブロッカー、Ca2+チャネルブロッカー、炭酸脱水酵素阻害剤、コリンエステラーゼ抑制剤、プロスタグランジン拮抗薬、プロスタグランジン、プロスタミド、カンナビノイド、およびそれらの組合せを含む、治療的に有効な量の眼球内(IOP)降圧剤を投与することと併用して(たとえば、例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法を利用して)V-VISで治療することを含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、限定はしないが、被験者における緑内障などの眼障害を治療または軽減する方法は、虚血または興奮毒性に関する、網膜神経節細胞機能不全および/または病変を低減させる薬剤を治療的に有効な量投与することと併用して(たとえば、例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法を利用して)V-VISで治療することを含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、限定はしないが、被験者における緑内障などの眼障害を治療または軽減する方法は、限定はしないが、グルタミン酸拮抗薬および/またはグルタミン酸拮抗薬と少なくとも1つのIOL降圧剤の任意の組合せを含む過剰興奮性アミノ酸(EAA)刺激を低減させる薬剤を治療的に有効な量だけ投与することと併用して(たとえば、例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法を利用して)V-VISで治療することを含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、限定はしないが、被験者における緑内障などの眼障害を治療または軽減する方法は、rho-キナーゼ(ROCK)抑制剤またはアデノシン受容体刺激薬を含む、網膜神経節細胞の神経保護および/または神経再生を可能にする薬剤を治療的に有効な量だけ投与することと併用して(たとえば、例示的なV-VISデバイスおよび方法のうちの1つまたは複数のデバイスおよび方法を利用して)V-VISで治療することを含む。
【符号の説明】
【0118】
10 観察者の眼
11 眼球視野
12 透過ディスプレイ
13 プロジェクタ
14 可動開口
15 励起光
16 発光粒子
17 木
18 不透過領域
20A、20B 透過外側層
21A、21B 透過導電層
22 空間
23 領域
24 活性光学素子
25 電源
26 ドライブボックス
27 無線周波数アンテナ
29 キャリア層ユニット
30 角膜
31 虹彩
32 眼鏡フレーム
33 眼鏡レンズ
34 導波管
35 指向性マイクロフォン
36 拡大されたテキスト
40 コンタクトレンズ
45 角膜インレー
46 眼球内インプラント
47 水晶体嚢
50A~52F 眼
61 ディスプレイ
63 露出開口
64、65 位置
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼球外光制御デバイスであって、
1つまたは複数の透過層であって、前記1つまたは複数の透過層の表面上または前記1つまたは複数の透過層内に1つまたは複数の活性光学素子の配列を有し、前記1つまたは複数の活性光学素子は、前記活性光学素子のない1つまたは複数の領域を囲む、1つまたは複数の透過層と、
電源に接続されたコントローラとを備え、
前記コントローラは、透過導電層を介して前記1つまたは複数の活性光学素子に電気的に結合され、50ヘルツから50キロヘルツの間のレートで前記活性光学素子へ前記透過導電層を通して所望の電圧を印加するために記憶または受信された命令を実行するプロセッサを有し、
前記1つまたは複数の活性光学素子は、前記電圧に応答して透過から可変の不透過度まで光学特性を変化させ、
透過から可変の不透過度まで光学特性を変化させる前記1つまたは複数の活性光学素子は、前記活性光学素子のない前記1つまたは複数の領域を囲むことによって1つまたは複数の開口を画定し、
前記1つまたは複数の開口は、0.1mm以上かつ4mm以下の範囲の直径を有し、
それによって、50ヘルツから50キロヘルツの間のレートで眼球視野内の光のサンプリングの変動を生み出す、眼球外光制御デバイス
【請求項2】
レンズをさらに組み込む、請求項1に記載の光制御デバイス
【請求項3】
光制御デバイスであって、
網膜の前方に置かれるように構成された1つまたは複数の透過層であって、前記1つまたは複数の透過層は、前記1つまたは複数の透過層の表面上または前記1つまたは複数の透過層内に1つまたは複数の活性光学素子の配列を有し、前記1つまたは複数の活性光学素子は、前記活性光学素子のない1つまたは複数の領域を囲む、1つまたは複数の透過層と、
電源に接続されたコントローラとを備え、
前記コントローラは、透過導電層を介して前記1つまたは複数の活性光学素子に電気的に結合され、50ヘルツから50キロヘルツの間のレートで前記活性光学素子へ前記透過導電層を通して所望の電圧を印加するために記憶または受信された命令を実行するプロセッサを有し、
前記1つまたは複数の活性光学素子は、前記所望の電圧に応答して光学特性を変化させ、
前記活性光学素子の前記電気的に変化させられる光学特性は、ディオプター単位で測定される、より少ない近視輻輳またはより少ない遠視輻輳とともに前記網膜に光を送るように構成され、
前記活性光学素子の前記電気的に変化させられる光学特性は、前記活性光学素子のない前記1つまたは複数の領域を囲むことによって1つまたは複数の開口を画定し、前記1つまたは複数の開口は、光を平行にするのに十分小さい直径を有し、
それによって、50ヘルツから50キロヘルツの間のレートで眼球視野内の光のサンプリングの変動を生み出す、光制御デバイス
【請求項4】
レンズをさらに組み込む、請求項3に記載の光制御デバイス
【請求項5】
網膜の前方に置かれるように構成された1つまたは複数の透過層であって、前記1つまたは複数の透過層は開口の配列を有し、前記開口は光を平行にするのに十分小さい直径を有し、前記開口は、ディオプター単位で測定される、前記開口より少ない近視輻輳または遠視輻輳とともに前記網膜に光を送るように構成される前記1つまたは複数の透過層の領域によって囲まれ、
ディオプター単位で測定される、前記開口より少ない近視輻輳または遠視輻輳とともに前記網膜に光を送るように構成される前記1つまたは複数の透過層の前記領域は、囲むことによって前記開口を画定し、
前記開口は、固視眼球運動の速さに基づく50ヘルツから50キロヘルツの間のレートで眼球視野内の光のサンプリングの変動を生み出す、光制御デバイス。
【請求項6】
レンズをさらに組み込む、請求項5に記載の光制御デバイス。
【外国語明細書】