IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケモセントリックス,インコーポレイティドの特許一覧

<>
  • 特開-C3腎症を処置する方法 図1
  • 特開-C3腎症を処置する方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126235
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】C3腎症を処置する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/451 20060101AFI20230831BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230831BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230831BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
A61K31/451
A61P13/12
A61P43/00 121
A61K45/00
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023100664
(22)【出願日】2023-06-20
(62)【分割の表示】P 2018536408の分割
【原出願日】2017-01-12
(31)【優先権主張番号】62/278,788
(32)【優先日】2016-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/347,450
(32)【優先日】2016-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/280,346
(32)【優先日】2016-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/397,527
(32)【優先日】2016-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507416218
【氏名又は名称】ケモセントリックス,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(72)【発明者】
【氏名】ペトラス ベッカー
(57)【要約】
【課題】C3腎症に罹患しているヒトまたはC3腎症に感受性であるヒトを処置する。
【解決手段】ヒトに有効量のC5aRアンタゴニストを投与することを含む方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
C3腎症に罹患しているヒトまたはC3腎症に感受性であるヒトを処置する方法であって、該ヒトに対して、式(Ie):
【化1】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩の有効量を投与することを含む方法(式中、
各R1は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rc、-CO2Ra、-CONRaRb、C(O)Ra、-OC(O)NRaRb、-NRbC(O)Ra、-NRbC(O)2Rc、-NRaC(O)NRaRb、-NRaRb、-ORa、及び-S(O)2NRaRbからなる群から選択され;各Ra及びRbは、独立に、水素、C1-8アルキル、及びC1-8ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、又はSから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み;各Rcは、独立に、C1-8アルキル、C1-8 ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され、Ra、Rb、Rcの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、及びジアルキルアミノ基で置換されており;任意に2つのR1置換基が隣接した原子上に存在するときには、組み合わさって融合した5員または6員の炭素環を形成し;
各R2は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rf、-CO2Rd、-CONRdRe、C(O)Rd、-OC(O)NRdRe、-NReC(O)Rd、-NReC(O)2Rf、-NRdC(O)NRdRe、-NRdC(O)NRdRe、-NRdRe、-ORd、及び-S(O)2NRdReからなる群から選択され、各Rd及びReは、独立に、水素、C1-8アルキル、及びC1-8ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、又はSから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み;各Rfは、独立に、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され、Rd、Re、Rfの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基でさらに置換されており;
各R3は、独立に、ハロゲン、-CN、-Ri、-CO2Rg、-CONRgRh、C(O)Rg、-OC(O)NRgRh、-NRhC(O)Rg、-NRhC(O)2Ri、-NRgC(O)NRgRh、-NRgRh、-ORg、-S(O)2NRgRh、-X4-Rj、-X4-NRgRh、-X4-CONRgRh、-X4-NRhC(O)Rg、-NHRj、及び-NHCH2Rjからなる群から選択され、X4はC1-4アルキレンであり;各Rg及びRhは、独立に、水素、C1-8アルキル、C3-6シクロアルキル、及びC1-8 ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、又はSから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み、任意に1個または2個のオキソで置換されており;各Riは、独立に、C1-8アルキル、C1-8 ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され;各Rjは、C3-6シクロアルキル、ピロリニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロピラニルからなる群から選択され、Rg、Rh、Ri、及びRjの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、メチル基、CF3基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、及びジアルキルアミノ基でさらに置換されており;
pは0、1、又は2のいずれかである)。
【請求項2】
各R1は、ハロゲン、-CN、-Rc、-NRaRb、及び-ORaからなる群から選択され;各Ra及びRbは、独立に、水素、C1-8アルキル、及びC1-8ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさってピロリジン環を形成し;各Rcは、独立に、C1-8アルキル、C1-8 ハロアルキル、及びC3-6シクロアルキルからなる群から選択され、Ra、Rb、及びRcの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、及びジアルキルアミノ基で置換されており;任意に2つのR1置換基が隣接した原子上に存在するときには、組み合わさって融合した5員または6員の炭素環を形成し;
各R2は、独立に、ハロゲン、-Rf、及び-ORdからなる群から選択され;各Rdは、独立に、水素、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキルから選択され、各Rfは、独立に、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールからなる群から選択され、RdとRfの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、及びジアルキルアミノ基でさらに置換されており;
各R3は、独立に、-Ri、-CO2Rg、-CONRgRh、-NRhC(O)Rg、-NRhC(O)2Ri、-NRgRh、-ORg、-X4-Rj、-X4-NRgRh、-X4-CONRgRh、-X4-NRhC(O)Rg、-NHRj、及び-NHCH2Rjからなる群から選択され、X4はC1-4アルキレンであり;各Rg及びRhは、独立に、水素、C1-8アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-8 ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、又はSから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み、任意に1個または2個のオキソで置換されており;各Riは、独立に、C1-8アルキル、C1-8 ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され;各Rjは、C3-6シクロアルキル、ピロリニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロピラニルからなる群から選択され、Rg、Rh、Ri、及びRjの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、メチル基、CF3基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、及びジアルキルアミノ基でさらに置換されており;
pは1である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各R1は、独立に、C1-8アルキル及びC1-8 ハロアルキルからなる群から選択され;各R2は、独立に、ハロゲン及びC1-8アルキルからなる群から選択され;各R3は-NRgRhであり、各Rg及びRhは、独立に、水素及びC3-6シクロアルキルから選択され;
pは1である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
各R1は、独立に、C1-3アルキル及びC1-3 ハロアルキルからなる群から選択され;各R2は、独立に、ハロゲン及びC1-3アルキルからなる群から選択され;各R3は-NRgRhであり、各RgとRhは、独立に、水素及びC4-6シクロアルキルから選択され;
pは1である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記化合物が、
【化2-1】
【化2-2】
【化2-3】
【化2-4】
からなる群、またはその医薬として許容される塩から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記化合物が、
【化3】
またはその医薬として許容される塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記化合物が、
【化4】
またはその医薬として許容される塩である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
C3腎症に罹患しているヒトまたはC3腎症に感受性であるヒトにおける推算糸球体濾過量(eGFR)の低下速度を遅くする方法であって、該ヒトに、以下の式:
【化5】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩の有効量を投与することを含む方法。
【請求項9】
C3腎症に罹患しているヒトまたはC3腎症に感受性であるヒトにおける推算糸球体濾過量(eGFR)の低下速度を遅くする方法であって、該ヒトに、以下の式:
【化6】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩の有効量を投与することを含む方法。
【請求項10】
C3腎症に罹患しているヒトまたはC3腎症に感受性であるヒトにおける糸球体腎炎を軽減する方法であって、該ヒトに、以下の式:
【化7】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩の有効量を投与することを含む方法。
【請求項11】
C3腎症に罹患しているヒトまたはC3腎症に感受性であるヒトにおける糸球体毛管内増殖を除去する方法であって、該ヒトに、以下の式:
【化8】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩の有効量を投与することを含む方法。
【請求項12】
C3腎症に罹患しているヒトまたはC3腎症に感受性であるヒトにおける糸球体腎炎マクロファージを低減する方法であって、該ヒトに、以下の式:
【化9】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩の有効量を投与することを含む方法。
【請求項13】
C3腎症に罹患しているヒトまたはC3腎症に感受性であるヒトにおけるタンパク尿を低減する方法であって、該ヒトに、以下の式:
【化10】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩の有効量を投与することを含む方法。
【請求項14】
前記ヒトが、補体3糸球体腎炎に罹患している、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記ヒトが、進行性補体3糸球体腎炎に罹患している、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記ヒトが、腎移植後に再発性補体3糸球体腎炎に罹患している、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記ヒトが、高密度沈着物疾患に罹患している、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記補体3腎症が他の治療に対して抵抗性である、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記ヒトが、免疫抑制薬に対する抵抗性疾患を有する、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記ヒトが、リツキシマブ、シクロホスファミド、ミコフェノール酸モフェチル、タクロリムス、ステロイドのうちの1つ以上に対する抵抗性疾患を有する、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記ヒトが、健康に関連した生活の質の改善を示す、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記健康に関連した生活の質が、Short Form-36バージョン2(SF-36 v2)評価またはEuroQOL-5D-5L(EQ-5D-5L)評価に基づく、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記化合物を1日に2回投与する、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記化合物を1日に1回投与する、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記化合物を経口投与する、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記ヒトが、30 mgの前記化合物を1日に2回摂取する、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記ヒトが、20 mgの前記化合物を1日に2回摂取する、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記ヒトが、10 mgの前記化合物を1日に2回摂取する、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記ヒトが、補体因子H関連タンパク質5(CFHR5)変異を有する、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記ヒトが12週間にわたって処置を受ける、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記ヒトが26週間にわたって処置を受ける、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記ヒトが52週間にわたって処置を受ける、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記ヒトが長期処置を受ける、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記ヒトに、1種類以上の追加の治療薬の治療的有効量を投与することをさらに含む、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記1つ以上の追加治療薬の選択が、免疫抑制薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシンIIタイプ1受容体ブロッカー(ARB)、コルチコステロイドからなされる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記1つ以上の追加の治療薬が、シクロホスファミド、ミコフェノール酸モフェチル、リツキシマブ、エクリズマブ、タクロリムス、ベリムマブ、OMS721、ACH-4471、AMY-101、Actharゲル、SAND-5、コルチコトロピン、CDX-1135、ラミプリル、ペリンドプリル、リシノプリル、ペリンドプリルアルギニン、カプトプリル、スピラプリル、キナプリル、エナラプリル、イミダプリル、フォシノプリル、ゾフェノプリル、ベナゼプリル、トランドラプリル、ベラパミル、ベナゼプリル、アムロジピン、トランドラプリル、P-003、シラザプリル、デラプリル、モエキシプリル、テモカプリル、ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、テルミサルタン、オルメサルタン、バルサルタン、アジルサルタン、フィマサルタン、EMA-401、アジルサルタンメドキソミルカリウム、スパルセンタン、カンデサルタンシレキセチル、オルメサルタンメドキソミル、TRV-027、ロサルタンカリウム、YH-22189、アジルサルタントリメチルエタノールアミン、アリサルタンイソプロキシル、及びエプロサルタンからなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連する出願の相互参照
本出願は、35 U.S.C.§119(e)のもとで、2016年1月14日に出願されたアメリカ合衆国仮出願第62/278,788号;2016年1月19日に出願されたアメリカ合衆国仮出願第62/280,346号;2016年6月8日に出願されたアメリカ合衆国仮出願第62/347,450号;2016年9月21日に出願されたアメリカ合衆国仮出願第62/397,527号の優先権の恩恵を主張する出願であり、その各全体が、あらゆる目的で、参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
連邦が資金提供する研究開発のもとでなされる発明の権利に関する宣言
適用なし
【0003】
コンパクトディスクで提出される「配列リスト」、または表、またはコンピュータプログラムリストの参照
適用なし
【0004】
C3腎症(C3G)は、腎臓の稀な疾患である(C3Gの有病率は人口100万人につき2~3人と推定されている)。C3Gは、腎臓の濾過ユニット(糸球体)の中にC3(身体の補体系の1つの成分)として知られるタンパク質が沈着することを特徴としており、腎臓の損傷を引き起こすのに補体が関与することを示唆している。C3腎症は、代わりの補体が活性化されるという、糸球体内のC3の沈着に基づく証拠によって特徴づけられる。この疾患には2つの形態が存在する。すなわち高密度沈着疾患(DDD、以前は膜性増殖性糸球体腎炎[MPGN]II型と呼ばれていた)と、C3糸球体腎炎(C3GN、以前は特発性MPGNと呼ばれていた)である。補体調節の欠陥につながる遺伝子の損傷(補体因子H(CFH)の変異が含まれる)が、これらの患者で報告されている。C3腎症の患者では、タンパク尿と腎臓機能の進行性悪化が見られることがしばしばある。C3腎症(C3GNを含む)の患者のための認可されている処置法は存在しない。C3Gには処置法がないため、必ず腎不全に至り、腎移植が唯一の選択肢であることがしばしばある。新たな腎臓は、移植後でさえ、この疾患の再発が原因でしばしば機能しなくなる。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、C3腎症に罹患しているヒトまたはC3腎症に感受性であるヒトを処置する方法に関するものであり、この方法は、該ヒトに有効量のC5aRアンタゴニストを投与することを含んでいる。
【0006】
一実施態様では、C5aRアンタゴニストは、式(I):
【化1】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩である(ただしこの式において、
C1は、任意に1~3個のR1置換基で置換されたフェニルであり;
C2は、任意に1~3個のR2置換基で置換されたフェニルであり;
C3は、C3-8シクロアルキルとフェニルからなる群から選択され、C3は、任意に1~3個のR3置換基で置換され;
各R1は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rc、-CO2Ra、-CONRaRb、C(O)Ra、-OC(O)NRaRb、-NRbC(O)Ra、-NRbC(O)2Rc、-NRaC(O)NRaRb、-NRaRb、-ORa、-S(O)2NRaRbからなる群から選択され;その中の各RaとRbは、独立に、水素、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、Sから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み;各Rcは、独立に、C1-8アルキル、C1-8 ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され、Ra、Rb、Rcの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基で置換されており;任意に2つのR1置換基が隣接した原子上に存在するときには、組み合わさって融合した5員または6員の炭素環を形成し;
各R2は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rf、-CO2Rd、-CONRdRe、C(O)Rd、-OC(O)NRdRe、-NReC(O)Rd、-NReC(O)2Rf、-NRdC(O)NRdRe、-NRdC(O)NRdRe、-NRdRe、-ORd、-S(O)2NRdReからなる群から選択され、その中の各RdとReは、独立に、水素、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、Sから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み;各Rfは、独立に、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され、Rd、Re、Rfの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基でさらに置換されており;
各R3は、独立に、ハロゲン、-CN、-Ri、-CO2Rg、-CONRgRh、C(O)Rg、-OC(O)NRgRh、-NRhC(O)Rg、-NRhC(O)2Ri、-NRgC(O)NRgRh、-NRgRh、-ORg、-S(O)2NRgRh、-X4-Rj、-X4-NRgRh、-X4-CONRgRh、-X4-NRhC(O)Rg、-NHRj、-NHCH2Rjからなる群から選択され、その中のX4はC1-4アルキレンであり;各RgとRhは、独立に、水素、C1-8アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-8 ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、Sから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み、任意に1個または2個のオキソで置換されており;各Riは、独立に、C1-8アルキル、C1-8 ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され;各Rjは、C3-6シクロアルキル、ピロリニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニルからなる群から選択され、Rg、Rh、Ri、Rjの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、メチル基、CF3基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基でさらに置換されており;
Xは水素またはCH3である)。
【0007】
いくつかの実施態様では、C5aRアンタゴニストは、式:
【化2】
を有する化合物である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、化合物1で処置する前後の患者の推算糸球体濾過量(eGFR)を表わしている。
【0009】
図2図2は、化合物1を用いた処置後の病理組織学的改善を表わしている。
【0010】
発明の詳細な説明
略号と定義
「アルキル」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、特に断わらない限り、指定された数の炭素原子(すなわちC1-8は1~8個の炭素原子を意味する)を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素基を意味する。アルキル基の例に含まれるのは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、s-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどである。「アルケニル」という用語は、1つ以上の二重結合を有する不飽和アルキル基を意味する。同様に、「アルキニル」という用語は、1つ以上の三重結合を有する不飽和アルキル基を意味する。そのような不飽和アルキル基に含まれるのは、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-プロピニル、3-プロピニル、3-ブチニルと、より高次の同族体と異性体である。「シクロアルキル」という用語は、環に指定された数の原子を持っていて(例えばC3-6シクロアルキル)、完全に飽和しているか、環の頂点間に二重結合を2つ以上は持たない炭化水素環を意味する。「シクロアルキル」は二環炭素環と多環炭素環も意味し、例えばビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタンなどがある。「ヘテロシクロアルキル」という用語は、N、O、Sから選択された1~5個のヘテロ原子を含有するシクロアルキル基を意味する(窒素原子とイオウ原子は任意に酸化されており、窒素原子は任意に四級化されている)。ヘテロシクロアルキルとして、単環系、二環系、多環系が可能である。ヘテロシクロアルキル基の非限定的な例に含まれるのは、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ブチロラクタム、バレロラクタム、イミダゾリジノン、ヒダントイン、ジオキソラン、フタルイミド、ピペリジン、1,4-ジオキサン、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリン-S-オキシド、チオモルホリン-S,S-オキシド、ピペラジン、ピラン、ピリドン、3-ピロリン、チオピラン、 ピロン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、キヌクリジンなどである。ヘテロシクロアルキル基は、環の炭素またはヘテロ原子を通じて分子の残部に結合させることができる。
【0011】
「アルキレン」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、アルカンに由来する2価の基を意味し、-CH2CH2CH2CH2-がその例である。典型的には、アルキル(またはアルキレン)基は、1~24個の炭素原子を持つが、本開示では10個以下の炭素原子を持つ基が好ましい。「低級アルキル」または「低級アルキレン」は、より短いアルキル基またはアルキレン基であり、一般に4個以下の炭素原子を有する。同様に、「アルケニレン」と「アルキニレン」は、「アルキレン」の不飽和形態を意味し、それぞれ二重結合または三重結合を持つ。
【0012】
「ヘテロアルキル」という用語は、それ自体で、または別の用語との組み合わせの中で、特に断わらない限り、指定された数の炭素原子と、O、N、Si、Sからなる群から選択された1~3個のヘテロ原子とからなる安定な直鎖または分岐鎖の炭化水素基、または環式炭化水素基、またはこれらの組み合わせを意味し、窒素原子とイオウ原子は任意に酸化されていてもよく、窒素へテロ原子は任意に四級化されていてもよい。ヘテロ原子O、N、Sは、ヘテロアルキル基内の任意の位置に配置することができる。ヘテロ原子Siは、ヘテロアルキル基の任意の位置(アルキル基が分子の残部に結合している位置を含む)に配置することができる。例に含まれるのは、-CH2-CH2-O-CH3、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-CH2-N(CH3)-CH3、-CH2-S-CH2-CH3、-CH2-CH2,-S(O)-CH3、-CH2-CH2-S(O)2-CH3、-CH=CH-O-CH3、-Si(CH3)3、-CH2-CH=N-OCH3、-CH=CH-N(CH3)-CH3である。例えば-CH2-NH-OCH3や-CH2-O-Si(CH3)3のように、ヘテロ原子は2個まで連続させることができる。同様に、「ヘテロアルケニル」と「ヘテロアルキニル」という用語は、それ自体で、または別の用語との組み合わせの中で、特に断わらない限り、指定された数の炭素原子を含有するとともに、O、N、Si、Sからなる群から選択された1~3個のヘテロ原子を有するアルケニル基またはアルキニル基をそれぞれ意味し、窒素原子とイオウ原子は任意に酸化されていてもよく、窒素へテロ原子は任意に四級化されていてもよい。ヘテロ原子O、N、Sは、ヘテロアルキル基内の任意の位置に配置することができる。
【0013】
「ヘテロアルキレン」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、ヘテロアルキルに由来する、飽和した、または一不飽和の、または多不飽和の2価の基を意味し、その例は、-CH2-CH2-S-CH2CH2-、-CH2-S-CH2-CH2-NH-CH2-、-O-CH2-CH=CH-、-CH2-CH=C(H)CH2-O-CH2-、-S-CH2-C≡C-である。ヘテロアルキレン基では、ヘテロ原子は鎖の末端の一方または両方を占めることもできる(例えばアルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。
【0014】
「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、「アルキルチオ」(またはチオアルコキシ)という用語は、通常使われている意味で用いられ、それぞれ酸素原子、アミノ基、イオウ原子を通じて分子の残部に結合したアルキル基を意味する。それに加え、ジアルキルアミノ基では、2つのアルキル部分は互いに同じでも異なっていてもよく、それぞれが結合している窒素原子とで3~7員の環を形成することもできる。したがってNRaRbで表わされる基には、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、アゼチジニルなどが含まれることを意味する。
【0015】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、特に断わらない限り、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかを意味する。それに加え、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキルとポリハロアルキルを含むことを意味する。例えば「C1-4ハロアルキル」という用語は、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピルなどを含むことを意味する。
【0016】
「アリール」という用語は、特に断わらない限り、多不飽和(典型的には芳香族)炭化水素基を意味する。炭化水素基は、単環、または互いに融合するか共有結合した多環(環は3つまで)が可能である。「ヘテロアリール」という用語は、N、O、Sから選択された1~5個のヘテロ原子を含有するアリール基(またはアリール環)を意味し、窒素原子とイオウ原子は任意に酸化されており、窒素原子は任意に四級化されている。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を通じて分子の残部に結合させることができる。アリール基の非限定的な例に含まれるのは、フェニル、ナフチル、ビフェニルであり、ヘテロアリール基の非限定的な例に含まれるのは、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ベンゾトリアジニル、プリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、イソベンゾフリル、イソインドリル、インドリジニル、チエノピリジニル、チエノピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、イミダゾピリジン、ベンゾチアキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、キノリル、イソキノリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、インダゾリル、プテリジニル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、ピロリル、チアゾリル、フリル、チエニルなどである。上記のアリール環系とヘテロアリール環系のそれぞれに関する置換基は、下記の許容可能な置換基の群から選択される。
【0017】
簡潔にするため、「アリール」という用語は、他の用語と組み合わせて用いるとき(例えばアリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)、上に定義したアリール環とヘテロアリール環の両方を含む。したがって「アリールアルキル」という用語は、アリール基がアルキル基に付着した基(例えばベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)を含むことを意味する。
【0018】
上記の用語(例えば「アルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」)は、いくつかの実施態様では、示されている基の飽和形態と不飽和形態の両方を含む。各タイプの基に対する好ましい置換基を下に示す。簡潔にするため、アリールとヘテロアリールという用語は、下に示すように、置換されたバージョンまたは置換されていないバージョンを意味するのに対し、「アルキル」という用語とそれに関連する脂肪族基は、置換されていることが示されている場合を除き、置換されていないバージョンを意味する。
【0019】
アルキル基(アルキレン、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルと呼ばれることがしばしばある基を含む)に対する置換基として多彩な基が可能であり、その基の選択は、-ハロゲン、-OR’、-NR’R”、-SR’、-SiR’R”R”’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-CO2R’、-CONR’R”、-OC(O)NR’R”、-NR”C(O)R’、-NR’-C(O)NR”R”’、-NR”C(O)2R’、-NH-C(NH2)=NH、-NR’C(NH2)=NH、-NH-C(NH2)=NR’、-S(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-NR’S(O)2R”、-CN、-NO2からなされ、その個数は0~(2m'+1)個の範囲である(ただしm'はそのような基に含まれる炭素原子の合計数である)。R’、R”、R”’は、それぞれ独立に、水素、置換されていないC1-8アルキル基、置換されていないヘテロアルキル基、置換されていないアリール基、1~3個のハロゲンで置換されたアリール基、置換されていないC1-8アルコキシ基、置換されていないC1-8チオアルコキシ基、置換されていないアリール- C1-4アルキル基を意味する。R’とR”が同じ窒素原子に結合しているときには、R’とR”は窒素原子と合わさって、3員、または4員、または5員、または6員、または7員の環を形成することができる。例えば-NR’R”は、1-ピロリジニルと4-モルホリニルを含むことを意味する。「アシル」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、その基の結合点に最も近い炭素上の2つの置換基が置換基=Oで置換されているアルキル基(例えば-C(O)CH3、-C(O)CH2CH2OR’など)を意味する。
【0020】
同様に、アリール基とヘテロアリール基に対する置換基はさまざまであり、一般に、-ハロゲン、-OR’、-OC(O)R’、-NR’R”、-SR’、-R’、-CN、-NO2、-CO2R’、-CONR’R”、-C(O)R’、-OC(O)NR’R”、-NR”C(O)R’、-NR”C(O)2R’、-NR’-C(O)NR”R”’、-NH-C(NH2)=NH、-NR’C(NH2)=NH、-NH-C(NH2)=NR’、-S(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-NR’S(O)2R”、-N3、ペルフルオロ(C1-C4)アルコキシ、ペルフルオロ(C1-C4)アルキルから選択され、その個数は、0個から芳香族環系上の空いている原子価の合計数までの範囲であり、R’、R”、R”’は、独立に、水素、C1-8アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-8アルケニル、C2-8アルキニル、置換されていないアリール、置換されていないヘテロアリール、(置換されていないアリール)-C1-4アルキル、置換されていないアリールオキシ- C1-4アルキルから選択される。他の適切な置換基には、1~4個の炭素原子からなるアルキレン架橋によって環の原子に結合した上記のアリール置換基のそれぞれが含まれる。
【0021】
アリール環またはヘテロアリール環の隣接した原子上の置換基のうちの2つは、任意に式-T-C(O)-(CH2)q-U-の置換基で置換することができる(ただしTとUは、独立に、-NH-、-O-、-CH2-、単結合のいずれかであり、qは0~2の整数である)。
【0022】
あるいはアリール環またはヘテロアリール環の隣接した原子上の置換基のうちの2つは、任意に式-A-(CH2)r-B-の置換基で置換することができる(ただしAとBは、独立に、-CH2-、-O-、-NH-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2NR’-、単結合のいずれかであり、rは1~3の整数である)。このようにして形成された新たな環の単結合の1つは、任意に二重結合で置換することができる。あるいはアリール環またはヘテロアリール環の隣接した原子上の置換基のうちの2つは、任意に式の-(CH2)s-X-(CH2)t-の置換基で置換することができる(ただしsとtは、独立に、0~3の整数であり、Xは、-O-、-NR’-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2NR’-のいずれかである。-NR’-と-S(O)2NR’-の中の置換基R’は、水素と、置換されていないC1-6アルキルから選択される。
【0023】
本明細書では、「ヘテロ原子」という用語は、酸素(O)、窒素(N)、イオウ(S)、ケイ素(Si)を含むことを意味する。
【0024】
「イオン性液体」という用語は、主にイオンを含有する任意の液体を意味する。本開示では、「イオン性液体」は、融点が比較的低い(例えば250℃未満の)塩を意味することが好ましい。イオン性液体の非限定的な例に含まれるのは、テトラフルオロホウ酸1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1-オクチル-3-メチルイミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1-ノニル-3-メチルイミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1-デシル-3-メチルイミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムブロミドなどである。
【0025】
本明細書では、「処置する」または「処置」という用語は、疾患を変化させる処置と症状の処置の両方を包含し、そのどちらも予防的処置(すなわち症状が現われる前の処置、症状が重くなるのを予防するため、遅延させるため、軽減するための処置)または治療的処置(すなわち症状が現われた後の処置、症状の重さを軽減するため、および/または症状の継続期間を短くするための処置)が可能である。本明細書に提示する処置法には、一般に、患者に、本明細書に提示する1種類以上の化合物を有効量投与することが含まれる。適した患者には、本明細書で特定した異常または疾患に罹患している患者、またはその異常または疾患を患う可能性のある患者(すなわち予防的処置)が含まれる。本明細書に記載した処置のための典型的な患者には、哺乳動物、特に霊長類、特にヒトが含まれる。適した他の患者には、飼いならしてペットになった動物(例えばイヌ、ネコ、ウマなど)や、家畜(例えばウシ、ブタ、ヒツジなど)が含まれる。
【0026】
「医薬として許容される塩」という用語は、本明細書に記載した化合物で見られる具体的な置換基に応じてどちらかといえば非毒性の酸または塩基を用いて調製される活性化合物の塩を含むことを意味する。本開示の化合物がどちらかといえば酸性の官能基を含有する場合には、中性形態のそのような化合物を十分な量の望む塩基と接触させることによって塩基添加塩を得ることができる。医薬として許容可能な無機塩基に由来する塩の例に含まれるのは、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第二鉄塩、第一鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、第二マンガン塩、第一マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩などである。医薬として許容可能な有機塩基に由来する塩の例には、第一級アミンの塩、第二級アミンの塩、第四級アミンの塩が含まれ(そこには置換されたアミン、環式アミン、天然のアミンなどが含まれる)、具体的には、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペラジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどがある。本開示の化合物がどちらかといえば塩基性の官能基を含有する場合には、中性形態のそのような化合物を十分な量の望む酸(そのままの酸、または適切な不活性溶媒の中の酸)と接触させることによって酸添加塩を得ることができる。医薬として許容可能な酸添加塩に含まれるのは、無機酸(例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸など)に由来する塩と、どちらかといえば非毒性の有機酸(例えばプロピオン酸、イソ酪酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸など)に由来する塩である。アミノ酸の塩(アルギン酸塩など)と有機酸(グルクロン酸やガラクツロン酸など)の塩も含まれる(例えばBerge, S.M.他「医薬塩」、Journal of Pharmaceutical Science、1977年、第66巻、1~19ページを参照されたい)。本開示のいくつかの特別な化合物は、塩基性官能基と酸性官能基の両方を含有しているため、その化合物を塩基添加塩または酸添加塩に変換することができる。
【0027】
中性形態の化合物は、一般的なやり方で塩を塩基または酸と接触させて親化合物を単離することによって再生させることができる。親形態の化合物は、いくつかの物理的特性(例えば極性溶媒への溶解度)がさまざまな塩形態の化合物と異なっているが、それ以外はその塩形態の化合物は、本開示の目的にとって親形態の化合物と同等である。
【0028】
下記の実施態様に記載した化合物は、WO 2010/075257、WO 2011/163640、WO 2016/053890に記載されている方法に従って得ることができる。
【0029】
実施態様
本開示は、補体3腎症に罹患しているヒトまたは補体3腎症を患う可能性のあるヒトを処置する方法に関するものであり、この方法は、該ヒトに、式(I):
【化3】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩を有効量投与することを含んでいる。ただしこの式において、
C1は、任意に1~3個のR1置換基で置換されたフェニルであり;
C2は、任意に1~3個のR2置換基で置換されたフェニルであり;
C3は、C3-8シクロアルキルとフェニルからなる群から選択され、C3は、任意に1~3個のR3置換基で置換され;
各R1は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rc、-CO2Ra、-CONRaRb、C(O)Ra、-OC(O)NRaRb、-NRbC(O)Ra、-NRbC(O)2Rc、-NRaC(O)NRaRb、-NRaRb、-ORa、-S(O)2NRaRbからなる群から選択され;その中の各RaとRbは、独立に、水素、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、Sから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み;各Rcは、独立に、C1-8アルキル、C1-8 ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され、Ra、Rb、Rcの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基で置換されており;任意に2つのR1置換基が隣接した原子上に存在するときには、組み合わさって融合した5員または6員の炭素環を形成し;
各R2は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rf、-CO2Rd、-CONRdRe、C(O)Rd、-OC(O)NRdRe、-NReC(O)Rd、-NReC(O)2Rf、-NRdC(O)NRdRe、-NRdC(O)NRdRe、-NRdRe、-ORd、-S(O)2NRdReからなる群から選択され、その中の各RdとReは、独立に、水素、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、Sから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み;各Rfは、独立に、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され、Rd、Re、Rfの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基でさらに置換されており;
各R3は、独立に、ハロゲン、-CN、-Ri、-CO2Rg、-CONRgRh、C(O)Rg、-OC(O)NRgRh、-NRhC(O)Rg、-NRhC(O)2Ri、-NRgC(O)NRgRh、-NRgRh、-ORg、-S(O)2NRgRh、-X4-Rj、-X4-NRgRh、-X4-CONRgRh、-X4-NRhC(O)Rg、-NHRj、-NHCH2Rjからなる群から選択され、その中のX4はC1-4アルキレンであり;各RgとRhは、独立に、水素、C1-8アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-8 ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、Sから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み、任意に1個または2個のオキソで置換されており;各Riは、独立に、C1-8アルキル、C1-8 ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され;各Rjは、C3-6シクロアルキル、ピロリニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニルからなる群から選択され、Rg、Rh、Ri、Rjの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、メチル基、CF3基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基でさらに置換されており;
Xは水素またはCH3である。
【0030】
いくつかの実施態様では、化合物は、式(Ia):
【化4】
を持つ。
【0031】
いくつかの実施態様では、化合物は、式(Ib):
【化5】
を持つ。ただしこの式において、
X1は、CHとCR1からなる群から選択され;
下添字nは0~2の整数であり;
X2は、CHとCR2からなる群から選択され;
下添字mは0~2の整数である。
【0032】
いくつかの実施態様では、化合物は、式(Ic):
【化6】
を持つ。ただしこの式において、
X1は、CHとCR1からなる群から選択され;
下添字nは0~2の整数であり;
X2は、CHとCR2からなる群から選択され;
下添字mは0~2の整数である。
【0033】
いくつかの実施態様では、化合物は、(Id):
【化7】
を持つ。ただしこの式において、
下添字pは0~3の整数であり;
X1は、CHとCR1からなる群から選択され;
下添字nは0~2の整数であり;
X2は、CHとCR2からなる群から選択され;
下添字mは0~2の整数である。
【0034】
いくつかの実施態様では、化合物は、(Ie):
【化8】
を持つ。ただしこの式において、pは0、1、2のいずれかである。
【0035】
いくつかの実施態様では、化合物は、
【化9-1】
【化9-2】
【化9-3】
からなる群、またはその医薬として許容される塩から選択される。
【0036】
いくつかの実施態様では、化合物は、
【化10】
またはその医薬として許容される塩である。
【0037】
C3腎症に罹患しているヒトまたはC3腎症に感受性であるヒトにおける推算糸球体濾過量(eGFR)の低下速度を遅くする方法が提供され、この方法は、該ヒトに、式(I):
【化11】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩を有効量投与することを含んでいる。ただしこの式において、
C1は、任意に1~3個のR1置換基で置換されたフェニルであり;
C2は、任意に1~3個のR2置換基で置換されたフェニルであり;
C3は、C3-8シクロアルキルとフェニルからなる群から選択され、C3は、任意に1~3個のR3置換基で置換され;
各R1は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rc、-CO2Ra、-CONRaRb、C(O)Ra、-OC(O)NRaRb、-NRbC(O)Ra、-NRbC(O)2Rc、-NRaC(O)NRaRb、-NRaRb、-ORa、-S(O)2NRaRbからなる群から選択され;その中の各RaとRbは、独立に、水素、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、Sから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み;各Rcは、独立に、C1-8アルキル、C1-8 ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され、Ra、Rb、Rcの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基で置換されており;任意に2つのR1置換基が隣接した原子上に存在するときには、組み合わさって融合した5員または6員の炭素環を形成し;
各R2は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rf、-CO2Rd、-CONRdRe、C(O)Rd、-OC(O)NRdRe、-NReC(O)Rd、-NReC(O)2Rf、-NRdC(O)NRdRe、-NRdC(O)NRdRe、-NRdRe、-ORd、-S(O)2NRdReからなる群から選択され、その中の各RdとReは、独立に、水素、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、Sから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み;各Rfは、独立に、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され、Rd、Re、Rfの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基でさらに置換されており;
各R3は、独立に、ハロゲン、-CN、-Ri、-CO2Rg、-CONRgRh、C(O)Rg、-OC(O)NRgRh、-NRhC(O)Rg、-NRhC(O)2Ri、-NRgC(O)NRgRh、-NRgRh、-ORg、-S(O)2NRgRh、-X4-Rj、-X4-NRgRh、-X4-CONRgRh、-X4-NRhC(O)Rg、-NHRj、-NHCH2Rjからなる群から選択され、その中のX4はC1-4アルキレンであり;各RgとRhは、独立に、水素、C1-8アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-8 ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、Sから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み、任意に1個または2個のオキソで置換されており;各Riは、独立に、C1-8アルキル、C1-8 ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され;各Rjは、C3-6シクロアルキル、ピロリニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニルからなる群から選択され、Rg、Rh、Ri、Rjの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、メチル基、CF3基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基でさらに置換されており;
Xは水素またはCH3である。
【0038】
いくつかの実施態様では、化合物は、式(Ie):
【化12】
を持つ(ただしpは0、1、2のいずれかである)。
【0039】
いくつかの実施態様では、化合物は、
【化13】
またはその医薬として許容される塩である。
【0040】
C3腎症に罹患しているヒトまたはC3腎症に感受性であるヒトにおける糸球体腎炎を軽減する方法が提供され、この方法は、該ヒトに、式(I):
【化14】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩を有効量投与することを含んでいる。ただしこの式において、
C1は、任意に1~3個のR1置換基で置換されたフェニルであり;
C2は、任意に1~3個のR2置換基で置換されたフェニルであり;
C3は、C3-8シクロアルキルとフェニルからなる群から選択され、C3は、任意に1~3個のR3置換基で置換され;
各R1は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rc、-CO2Ra、-CONRaRb、C(O)Ra、-OC(O)NRaRb、-NRbC(O)Ra、-NRbC(O)2Rc、-NRaC(O)NRaRb、-NRaRb、-ORa、-S(O)2NRaRbからなる群から選択され;その中の各RaとRbは、独立に、水素、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、Sから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み;各Rcは、独立に、C1-8アルキル、C1-8 ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され、Ra、Rb、Rcの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基で置換されており;任意に2つのR1置換基が隣接した原子上に存在するときには、組み合わさって融合した5員または6員の炭素環を形成し;
各R2は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rf、-CO2Rd、-CONRdRe、C(O)Rd、-OC(O)NRdRe、-NReC(O)Rd、-NReC(O)2Rf、-NRdC(O)NRdRe、-NRdC(O)NRdRe、-NRdRe、-ORd、-S(O)2NRdReからなる群から選択され、その中の各RdとReは、独立に、水素、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、Sから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み;各Rfは、独立に、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され、Rd、Re、Rfの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基でさらに置換されており;
各R3は、独立に、ハロゲン、-CN、-Ri、-CO2Rg、-CONRgRh、C(O)Rg、-OC(O)NRgRh、-NRhC(O)Rg、-NRhC(O)2Ri、-NRgC(O)NRgRh、-NRgRh、-ORg、-S(O)2NRgRh、-X4-Rj、-X4-NRgRh、-X4-CONRgRh、-X4-NRhC(O)Rg、-NHRj、-NHCH2Rjからなる群から選択され、その中のX4はC1-4アルキレンであり;各RgとRhは、独立に、水素、C1-8アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-8 ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、Sから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み、任意に1個または2個のオキソで置換されており;各Riは、独立に、C1-8アルキル、C1-8 ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され;各Rjは、C3-6シクロアルキル、ピロリニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニルからなる群から選択され、Rg、Rh、Ri、Rjの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、メチル基、CF3基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基でさらに置換されており;
Xは水素またはCH3である。
【0041】
いくつかの実施態様では、化合物は、式(Ie):
【化15】
を持つ。
【0042】
いくつかの実施態様では、化合物は、
【化16】
またはその医薬として許容される塩である。
【0043】
C3腎症に罹患しているヒトまたはC3腎症に感受性であるヒトにおけるC3沈着物および/またはC5b-9沈着物を低減する方法が提供され、この方法は、該ヒトに、式(I):
【化17】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩を有効量投与することを含んでいる。ただしこの式において、
C1は、任意に1~3個のR1置換基で置換されたフェニルであり;
C2は、任意に1~3個のR2置換基で置換されたフェニルであり;
C3は、C3-8シクロアルキルとフェニルからなる群から選択され、C3は、任意に1~3個のR2置換基で置換され;
各R1は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rc、-CO2Ra、-CONRaRb、C(O)Ra、-OC(O)NRaRb、-NRbC(O)Ra、-NRbC(O)2Rc、-NRaC(O)NRaRb、-NRaRb、-ORa、-S(O)2NRaRbからなる群から選択され;その中の各RaとRbは、独立に、水素、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、Sから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み;各Rcは、独立に、C1-8アルキル、C1-8 ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され、Ra、Rb、Rcの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基で置換されており;任意に2つのR1置換基が隣接した原子上に存在するときには、組み合わさって融合した5員または6員の炭素環を形成し;
各R2は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rf、-CO2Rd、-CONRdRe、C(O)Rd、-OC(O)NRdRe、-NReC(O)Rd、-NReC(O)2Rf、-NRdC(O)NRdRe、-NRdC(O)NRdRe、-NRdRe、-ORd、-S(O)2NRdReからなる群から選択され、その中の各RdとReは、独立に、水素、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、Sから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み;各Rfは、独立に、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され、Rd、Re、Rfの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基でさらに置換されており;
各R3は、独立に、ハロゲン、-CN、-Ri、-CO2Rg、-CONRgRh、C(O)Rg、-OC(O)NRgRh、-NRhC(O)Rg、-NRhC(O)2Ri、-NRgC(O)NRgRh、-NRgRh、-ORg、-S(O)2NRgRh、-X4-Rj、-X4-NRgRh、-X4-CONRgRh、-X4-NRhC(O)Rg、-NHRj、-NHCH2Rjからなる群から選択され、その中のX4はC1-4アルキレンであり;各RgとRhは、独立に、水素、C1-8アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-8 ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、Sから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み、任意に1個または2個のオキソで置換されており;各Riは、独立に、C1-8アルキル、C1-8 ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され;各Rjは、C3-6シクロアルキル、ピロリニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニルからなる群から選択され、Rg、Rh、Ri、Rjの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、メチル基、CF3基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基でさらに置換されており;
Xは水素またはCH3である。
【0044】
いくつかの実施態様では、化合物は、式(Ie):
【化18】
を持つ(ただしpは0、1、2のいずれかである)。
【0045】
いくつかの実施態様では、化合物は、
【化19】
またはその医薬として許容される塩である。
【0046】
いくつかの実施態様では、ヒトは補体3糸球体腎炎に罹患している。いくつかの実施態様では、ヒトは進行性補体3糸球体腎炎に罹患している。いくつかの実施態様では、ヒトは、腎移植後に再発性補体3糸球体腎炎に罹患している。いくつかの実施態様では、ヒトは高密度沈着物疾患に罹患している。
【0047】
C3腎症に罹患しているヒトまたはC3腎症に感受性であるヒトにおける糸球体毛管内増殖を除去する方法が提供され、この方法は、該ヒトに、一般式(I):
【化20】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩を有効量投与することを含んでいる。ただしこの式において、
C1は、任意に1~3個のR1置換基で置換されたフェニルであり;
C2は、任意に1~3個のR2置換基で置換されたフェニルであり;
C3は、C3-8シクロアルキルとフェニルからなる群から選択され、C3は、任意に1~3個のR3置換基で置換され;
各R1は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rc、-CO2Ra、-CONRaRb、C(O)Ra、-OC(O)NRaRb、-NRbC(O)Ra、-NRbC(O)2Rc、-NRaC(O)NRaRb、-NRaRb、-ORa、-S(O)2NRaRbからなる群から選択され;その中の各RaとRbは、独立に、水素、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、Sから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み;各Rcは、独立に、C1-8アルキル、C1-8 ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され、Ra、Rb、Rcの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基で置換されており;任意に2つのR1置換基が隣接した原子上に存在するときには、組み合わさって融合した5員または6員の炭素環を形成し;
各R2は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rf、-CO2Rd、-CONRdRe、C(O)Rd、-OC(O)NRdRe、-NReC(O)Rd、-NReC(O)2Rf、-NRdC(O)NRdRe、-NRdC(O)NRdRe、-NRdRe、-ORd、-S(O)2NRdReからなる群から選択され、その中の各RdとReは、独立に、水素、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、Sから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み;各Rfは、独立に、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され、Rd、Re、Rfの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基でさらに置換されており;
各R3は、独立に、ハロゲン、-CN、-Ri、-CO2Rg、-CONRgRh、C(O)Rg、-OC(O)NRgRh、-NRhC(O)Rg、-NRhC(O)2Ri、-NRgC(O)NRgRh、-NRgRh、-ORg、-S(O)2NRgRh、-X4-Rj、-X4-NRgRh、-X4-CONRgRh、-X4-NRhC(O)Rg、-NHRj、-NHCH2Rjからなる群から選択され、その中のX4はC1-4アルキレンであり;各RgとRhは、独立に、水素、C1-8アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-8 ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、Sから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み、任意に1個または2個のオキソで置換されており;各Riは、独立に、C1-8アルキル、C1-8 ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され;各Rjは、C3-6シクロアルキル、ピロリニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニルからなる群から選択され、Rg、Rh、Ri、Rjの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、メチル基、CF3基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基でさらに置換されており;
Xは水素またはCH3である。
【0048】
いくつかの実施態様では、化合物は、式(Ie):
【化21】
を持つ(ただしpは0、1、2のいずれかである)。
【0049】
いくつかの実施態様では、化合物は、
【化22】
またはその医薬として許容される塩である。
【0050】
C3腎症に罹患しているヒトまたはC3腎症に感受性であるヒトにおける糸球体腎炎マクロファージを低減する方法が提供され、この方法は、該ヒトに、一般式(I):
【化23】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩を有効量投与することを含んでいる。ただしこの式において、
C1は、任意に1~3個のR1置換基で置換されたフェニルであり;
C2は、任意に1~3個のR2置換基で置換されたフェニルであり;
C3は、C3-8シクロアルキルとフェニルからなる群から選択され、C3は、任意に1~3個のR3置換基で置換され;
各R1は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rc、-CO2Ra、-CONRaRb、C(O)Ra、-OC(O)NRaRb、-NRbC(O)Ra、-NRbC(O)2Rc、-NRaC(O)NRaRb、-NRaRb、-ORa、-S(O)2NRaRbからなる群から選択され;その中の各RaとRbは、独立に、水素、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、Sから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み;各Rcは、独立に、C1-8アルキル、C1-8 ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され、Ra、Rb、Rcの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基で置換されており;任意に2つのR1置換基が隣接した原子上に存在するときには、組み合わさって融合した5員または6員の炭素環を形成し;
各R2は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rf、-CO2Rd、-CONRdRe、C(O)Rd、-OC(O)NRdRe、-NReC(O)Rd、-NReC(O)2Rf、-NRdC(O)NRdRe、-NRdC(O)NRdRe、-NRdRe、-ORd、-S(O)2NRdReからなる群から選択され、その中の各RdとReは、独立に、水素、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、Sから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み;各Rfは、独立に、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され、Rd、Re、Rfの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基でさらに置換されており;
各R3は、独立に、ハロゲン、-CN、-Ri、-CO2Rg、-CONRgRh、C(O)Rg、-OC(O)NRgRh、-NRhC(O)Rg、-NRhC(O)2Ri、-NRgC(O)NRgRh、-NRgRh、-ORg、-S(O)2NRgRh、-X4-Rj、-X4-NRgRh、-X4-CONRgRh、-X4-NRhC(O)Rg、-NHRj、-NHCH2Rjからなる群から選択され、その中のX4はC1-4アルキレンであり;各RgとRhは、独立に、水素、C1-8アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-8 ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、Sから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み、任意に1個または2個のオキソで置換されており;各Riは、独立に、C1-8アルキル、C1-8 ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され;各Rjは、C3-6シクロアルキル、ピロリニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニルからなる群から選択され、Rg、Rh、Ri、Rjの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、メチル基、CF3基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基でさらに置換されており;
Xは水素またはCH3である。
【0051】
いくつかの実施態様では、化合物は、式(Ie):
【化24】
を持つ(ただしpは0、1、2のいずれかである)。
【0052】
いくつかの実施態様では、化合物は、
【化25】
またはその医薬として許容される塩である。
【0053】
C3腎症に罹患しているヒトまたはC3腎症に感受性であるヒトにおけるタンパク尿を低減する方法が提供され、この方法は、該ヒトに、一般式(I):
【化26】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩を有効量投与することを含んでいる。ただしこの式において、
C1は、任意に1~3個のR1置換基で置換されたフェニルであり;
C2は、任意に1~3個のR2置換基で置換されたフェニルであり;
C3は、C3-8シクロアルキルとフェニルからなる群から選択され、C3は、任意に1~3個のR3置換基で置換され;
各R1は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rc、-CO2Ra、-CONRaRb、C(O)Ra、-OC(O)NRaRb、-NRbC(O)Ra、-NRbC(O)2Rc、-NRaC(O)NRaRb、-NRaRb、-ORa、-S(O)2NRaRbからなる群から選択され;その中の各RaとRbは、独立に、水素、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、Sから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み;各Rcは、独立に、C1-8アルキル、C1-8 ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され、Ra、Rb、Rcの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基で置換されており;任意に2つのR1置換基が隣接した原子上に存在するときには、組み合わさって融合した5員または6員の炭素環を形成し;
各R2は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rf、-CO2Rd、-CONRdRe、C(O)Rd、-OC(O)NRdRe、-NReC(O)Rd、-NReC(O)2Rf、-NRdC(O)NRdRe、-NRdC(O)NRdRe、-NRdRe、-ORd、-S(O)2NRdReからなる群から選択され、その中の各RdとReは、独立に、水素、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、Sから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み;各Rfは、独立に、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され、Rd、Re、Rfの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基でさらに置換されており;
各R3は、独立に、ハロゲン、-CN、-Ri、-CO2Rg、-CONRgRh、C(O)Rg、-OC(O)NRgRh、-NRhC(O)Rg、-NRhC(O)2Ri、-NRgC(O)NRgRh、-NRgRh、-ORg、-S(O)2NRgRh、-X4-Rj、-X4-NRgRh、-X4-CONRgRh、-X4-NRhC(O)Rg、-NHRj、-NHCH2Rjからなる群から選択され、その中のX4はC1-4アルキレンであり;各RgとRhは、独立に、水素、C1-8アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-8 ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、Sから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み、任意に1個または2個のオキソで置換されており;各Riは、独立に、C1-8アルキル、C1-8 ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され;各Rjは、C3-6シクロアルキル、ピロリニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニルからなる群から選択され、Rg、Rh、Ri、Rjの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、メチル基、CF3基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基でさらに置換されており;
Xは水素またはCH3である。
【0054】
いくつかの実施態様では、化合物は、式(Ie):
【化27】
を持つ。
【0055】
いくつかの実施態様では、化合物は、
【化28】
またはその医薬として許容される塩である。
【0056】
いくつかの実施態様では、ヒトは補体3糸球体腎炎に罹患している。いくつかの実施態様では、ヒトは進行性補体3糸球体腎炎に罹患している。いくつかの実施態様では、ヒトは、腎移植後に再発性補体3糸球体腎炎に罹患している。いくつかの実施態様では、ヒトは高密度沈着物疾患に罹患している。いくつかの実施態様では、ヒトは、免疫抑制薬に対する抵抗性疾患を持っていた。
【0057】
C3腎症に罹患しているヒトまたはC3腎症に感受性であるヒトを処置する方法が提供され、この方法は、該ヒトに、式(Ie):
【化29】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩を有効量投与することを含んでいる。ただしこの式において、
各R1は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rc、-CO2Ra、-CONRaRb、C(O)Ra、-OC(O)NRaRb、-NRbC(O)Ra、-NRbC(O)2Rc、-NRaC(O)NRaRb、-NRaRb、-ORa、-S(O)2NRaRbからなる群から選択され;その中の各RaとRbは、独立に、水素、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、Sから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み;各Rcは、独立に、C1-8アルキル、C1-8 ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され、Ra、Rb、Rcの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基で置換されており;任意に2つのR1置換基が隣接した原子上に存在するときには、組み合わさって融合した5員または6員の炭素環を形成し;
各R2は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rf、-CO2Rd、-CONRdRe、C(O)Rd、-OC(O)NRdRe、-NReC(O)Rd、-NReC(O)2Rf、-NRdC(O)NRdRe、-NRdC(O)NRdRe、-NRdRe、-ORd、-S(O)2NRdReからなる群から選択され、その中の各RdとReは、独立に、水素、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、Sから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み;各Rfは、独立に、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され、Rd、Re、Rfの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基でさらに置換されており;
各R3は、独立に、ハロゲン、-CN、-Ri、-CO2Rg、-CONRgRh、C(O)Rg、-OC(O)NRgRh、-NRhC(O)Rg、-NRhC(O)2Ri、-NRgC(O)NRgRh、-NRgRh、-ORg、-S(O)2NRgRh、-X4-Rj、-X4-NRgRh、-X4-CONRgRh、-X4-NRhC(O)Rg、-NHRj、-NHCH2Rjからなる群から選択され、その中のX4はC1-4アルキレンであり;各RgとRhは、独立に、水素、C1-8アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-8 ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、Sから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み、任意に1個または2個のオキソで置換されており;各Riは、独立に、C1-8アルキル、C1-8 ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され;各Rjは、C3-6シクロアルキル、ピロリニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニルからなる群から選択され、Rg、Rh、Ri、Rjの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、メチル基、CF3基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基でさらに置換されており;
pは0、1、2のいずれかである。
【0058】
いくつかの実施態様では、
各R1は、独立に、ハロゲン、-CN、-Rc、-NRaRb、-ORaからなる群から選択され;その中の各RaとRbは、独立に、水素、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさってピロリジン環を形成し;各Rcは、独立に、C1-8アルキル、C1-8 ハロアルキル、C3-6シクロアルキルからなる群から選択され、Ra、Rb、Rcの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基で置換されており;任意に2つのR1置換基が隣接した原子上に存在するときには、組み合わさって融合した5員または6員の炭素環を形成し;
各R2は、独立に、ハロゲン、-Rf、-ORdからなる群から選択され、その中の各Rdは、独立に、水素、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキルから選択され、各Rfは、独立に、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールからなる群から選択され、RdとRfの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基でさらに置換されており;
各R3は、独立に、ハロゲン、-Ri、-CO2Rg、-CONRgRh、-NRhC(O)Rg、-NRhC(O)2Ri、-NRgRh、-ORg、-X4-Rj、-X4-NRgRh、-X4-CONRgRh、-X4-NRhC(O)Rg、-NHRj、-NHCH2Rjからなる群から選択され、その中のX4はC1-4アルキレンであり;各RgとRhは、独立に、水素、C1-8アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-8 ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と組み合わさって5員または6員の環を形成し、その環のメンバーとして、N、O、Sから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を含み、任意に1個または2個のオキソで置換されており;各Riは、独立に、C1-8アルキル、C1-8 ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群から選択され;各Rjは、C3-6シクロアルキル、ピロリニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニルからなる群から選択され、Rg、Rh、Ri、Rjの脂肪族部分及び環部分は、任意に1~3個のハロゲン基、メチル基、CF3基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基でさらに置換されており;
pは1である。
【0059】
いくつかの実施態様では、
各R1は、独立に、C1-8アルキルとC1-8 ハロアルキルからなる群から選択され;
各R2は、独立に、ハロゲンとC1-8アルキルからなる群から選択され;
各R3は-NRgRhであり、その中の各RgとRhは、独立に、水素とC3-6シクロアルキルから選択され;
pは1である。
【0060】
いくつかの実施態様では、
各R1は、独立に、C1-3アルキルとC1-3 ハロアルキルからなる群から選択され;
各R2は、独立に、ハロゲンとC1-3アルキルからなる群から選択され;
各R3は-NRgRhであり、その中の各RgとRhは、独立に、水素とC4-6シクロアルキルから選択され;
pは1である。
【0061】
いくつかの実施態様では、化合物は、
【化30-1】
【化30-2】
【化30-3】
からなる群、またはその医薬として許容される塩から選択される。
【0062】
いくつかの実施態様では、化合物は、
【化31】
またはその医薬として許容される塩である。
【0063】
いくつかの実施態様では、化合物は、
【化32】
またはその医薬として許容される塩である。
【0064】
いくつかの実施態様では、本開示の方法は、ヒトにおける推算糸球体濾過量(eGFR)の低下速度を遅くすること、ヒトにおける糸球体腎炎を軽減すること、ヒトにおける糸球体毛管内増殖をなくすこと、ヒトにおける糸球体腎炎マクロファージを減らすこと、ヒトにおけるタンパク尿を減らすこと、ヒトにおける腎臓疾患の進行を遅らせること、ヒトにおける腎臓疾患の進行を停止させること、ヒトにおける最終段階の腎臓疾患を遅延させること、ヒトにおける腎臓組織学を改善すること、ヒトにおけるタンパク尿の増加を遅延させることのうちの1つ以上を含んでいる。いくつかの実施態様では、改善は、腎生検によってサポートすることができる。
【0065】
C3腎症に罹患しているヒトまたはC3腎症に感受性であるヒトにおける推算糸球体濾過量(eGFR)の低下速度を遅くする方法が提供され、この方法は、該ヒトに、以下の式:
【化33】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩を有効量投与することを含んでいる。
【0066】
C3腎症に罹患しているヒトまたはC3腎症に感受性であるヒトにおける推算糸球体濾過量(eGFR)の低下速度を遅くする方法が提供され、この方法は、該ヒトに、以下の式:
【化34】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩を有効量投与することを含んでいる。
【0067】
C3腎症に罹患しているヒトまたはC3腎症に感受性であるヒトにおける糸球体腎炎を軽減する方法が提供され、この方法は、該ヒトに、以下の式:
【化35】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩を有効量投与することを含んでいる。
【0068】
C3腎症に罹患しているヒトまたはC3腎症に感受性であるヒトにおける糸球体腎炎を軽減する方法が提供され、この方法は、該ヒトに、以下の式:
【化36】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩を有効量投与することを含んでいる。
【0069】
C3腎症に罹患しているヒトまたはC3腎症に感受性であるヒトにおけるC3沈着および/またはC5b-9沈着を低減する方法が提供され、この方法は、該ヒトに、以下の式:
【化37】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩を有効量投与することを含んでいる。
【0070】
C3腎症に罹患しているヒトまたはC3腎症に感受性であるヒトにおけるC3沈着および/またはC5b-9沈着を低減する方法が提供され、この方法は、該ヒトに、以下の式:
【化38】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩を有効量投与することを含んでいる。
【0071】
C3腎症に罹患しているヒトまたはC3腎症に感受性であるヒトにおける糸球体毛管内増殖を除去する方法が提供され、この方法は、該ヒトに、以下の式:
【化39】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩を有効量投与することを含んでいる。
【0072】
C3腎症に罹患しているヒトまたはC3腎症に感受性であるヒトにおける糸球体毛管内増殖を除去する方法が提供され、この方法は、該ヒトに、以下の式:
【化40】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩を有効量投与することを含んでいる。
【0073】
C3腎症に罹患しているヒトまたはC3腎症に感受性であるヒトにおける糸球体腎炎マクロファージを低減する方法が提供され、この方法は、該ヒトに、以下の式:
【化41】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩を有効量投与することを含んでいる。
【0074】
C3腎症に罹患しているヒトまたはC3腎症に感受性であるヒトにおける糸球体腎炎マクロファージを低減する方法が提供され、この方法は、該ヒトに、以下の式:
【化42】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩を有効量投与することを含んでいる。
【0075】
C3腎症に罹患しているヒトまたはC3腎症に感受性であるヒトにおけるタンパク尿を低減する方法が提供され、この方法は、該ヒトに、以下の式:
【化43】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩を有効量投与することを含んでいる。
【0076】
C3腎症に罹患しているヒトまたはC3腎症に感受性であるヒトにおけるタンパク尿を低減する方法が提供され、この方法は、該ヒトに、以下の式:
【化44】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩を有効量投与することを含んでいる。
【0077】
いくつかの実施態様では、ヒトは補体3糸球体腎炎に罹患している。いくつかの実施態様では、ヒトは進行性補体3糸球体腎炎に罹患している。いくつかの実施態様では、ヒトは、腎移植後に再発性補体3糸球体腎炎に罹患している。いくつかの実施態様では、ヒトは高密度沈着物疾患に罹患している。
【0078】
いくつかの実施態様では、補体3腎症は処置に対して抵抗性である。いくつかの実施態様では、補体3糸球体腎炎は、他の処置に対して抵抗性である。いくつかの実施態様では、ヒトは、免疫抑制薬に対する抵抗性疾患を有する。いくつかの実施態様では、ヒトは、リツキシマブ、シクロホスファミド、ミコフェノール酸モフェチル、タクロリムス、ステロイドのうちの1つ以上に対する抵抗性疾患を有する。いくつかの実施態様では、ヒトは、リツキシマブ、シクロホスファミド、ミコフェノール酸モフェチル、タクロリムス、グルココルチコステロイドのうちの1つ以上に対する抵抗性疾患を有する。いくつかの実施態様では、ヒトは、健康に関連した生活の質の変化が改善する。いくつかの実施態様では、健康に関連した生活の質は、Short Form-36バージョン2(SF-36 v2)評価またはEuroQOL-5D-5L(EQ-5D-5L)評価に基づいている。いくつかの実施態様では、健康に関連した生活の質は、Short Form-36バージョン2(SF-36 v2)評価に基づいている。いくつかの実施態様では、健康に関連した生活の質は、EuroQOL-5D-5L(EQ-5D-5L)評価に基づいている。
【0079】
いくつかの実施態様では、化合物を1日に2回投与する。いくつかの実施態様では、化合物を1日に1回投与する。いくつかの実施態様では、化合物を2日に1回投与する。いくつかの実施態様では、化合物を3日に1回投与する。いくつかの実施態様では、化合物を1日に3回投与する。いくつかの実施態様では、化合物を1日に4回投与する。
【0080】
いくつかの実施態様では、ヒトは、化合物を毎日30 mg摂取する。いくつかの実施態様では、ヒトは、化合物を毎日20 mg摂取する。いくつかの実施態様では、ヒトは、化合物を毎日10 mg摂取する。いくつかの実施態様では、ヒトは、化合物を毎日40 mg摂取する。いくつかの実施態様では、ヒトは、化合物を毎日60 mg摂取する。いくつかの実施態様では、ヒトは、化合物を毎日50 mg、または70 mg、または80 mg、または90 mg、または100 mg、または150 mg、または200 mg摂取する。
【0081】
いくつかの実施態様では、ヒトは、30 mgの化合物を1日に2回摂取する。いくつかの実施態様では、ヒトは、20 mgの化合物を1日に2回摂取する。いくつかの実施態様では、ヒトは、10 mgの化合物を1日に2回摂取する。
【0082】
いくつかの実施態様では、化合物は経口投与される。
【0083】
いくつかの実施態様では、ヒトは、補体因子H関連タンパク質5(CFHR5)変異を有する。
【0084】
いくつかの実施態様では、ヒトは、12週間にわたって処置を受ける。いくつかの実施態様では、ヒトは、26週間にわたって処置を受ける。いくつかの実施態様では、ヒトは、52週間にわたって処置を受ける。いくつかの実施態様では、ヒトは、長期処置を受ける。いくつかの実施態様では、ヒトは、連続処置を受ける。
【0085】
いくつかの実施態様では、本開示の方法は、ヒトに、1種類以上の追加の治療剤の治療的有効量を投与することを含んでいる。いくつかの実施態様では、その1種類以上の追加治療剤は、順番に、または同じ組成物の中で同時に、または異なる組成物の中で同時に投与される。
【0086】
いくつかの実施態様では、その1種類以上の追加治療剤は、免疫抑制薬、アンジオテンシン変化酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシンIIタイプ1受容体ブロッカー(ARB)、コルチコステロイドから選択される。
【0087】
いくつかの実施態様では、その1種類以上の追加治療剤の選択は、シクロホスファミド、ミコフェノール酸モフェチル、リツキシマブ、エクリズマブ、タクロリムス、ベリムマブ、OMS721、ACH-4471、AMY-101、Actharゲル、SAND-5、コルチコトロピン、CDX-1135、ラミプリル、ペリンドプリル、リシノプリル、ペリンドプリルアルギニン、カプトプリル、スピラプリル、キナプリル、エナラプリル、イミダプリル、フォシノプリル、ゾフェノプリル、ベナゼプリル、トランドラプリル、ベラパミル、ベナゼプリル、アムロジピン、トランドラプリル、P-003、シラザプリル、デラプリル、モエキシプリル、テモカプリル、ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、テルミサルタン、オルメサルタン、バルサルタン、アジルサルタン、フィマサルタン、EMA-401、アジルサルタンメドキソミルカリウム、スパルセンタン、カンデサルタンシレキセチル、オルメサルタンメドキソミル、TRV-027、ロサルタンカリウム、YH-22189、アジルサルタントリメチルエタノールアミン、アリサルタンイソプロキシル、エプロサルタンからなる群からなされる。いくつかの実施態様では、その1種類以上の追加治療剤の選択は、シクロホスファミド、ミコフェノール酸モフェチル、リツキシマブ、エクリズマブ、タクロリムスからなる群からなされる。
【0088】
いくつかの実施態様では、その1種類以上の追加治療剤の選択は、コルチコステロイド、ステロイド、免疫抑制剤、免疫グロブリンGアゴニスト、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、リンパ球機能抗原-3受容体アンタゴニスト、インターロイキン-2リガンド、インターロイキン-1βリガンド阻害剤、IL-2 受容体αサブユニット阻害剤、HGF遺伝子刺激剤、IL-6アンタゴニスト、IL-5アンタゴニスト、α1アンチトリプシン刺激剤、カンナビノイド受容体アンタゴニスト、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、AKTプロテインキナーゼ阻害剤、CD20阻害剤、Ablチロシンキナーゼ阻害剤、JAKチロシンキナーゼ阻害剤、TNF αリガンド阻害剤、ヘモグロビンモジュレータ、TNFアンタゴニスト、プロテアソーム阻害剤、CD3モジュレータ、Hsp 70ファミリー阻害剤、免疫グロブリンアゴニスト、CD30アンタゴニスト、チューブリンアンタゴニスト、スフィンゴシン-1-リン酸受容体-1アゴニスト、結合組織増殖因子リガンド阻害剤、カスパーゼ阻害剤、副腎皮質刺激ホルモンリガンド、Btkチロシンキナーゼ阻害剤、補体C1副成分阻害剤、エリスロポエチン受容体アゴニスト、B-リンパ球刺激リガンド阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ-2阻害剤、P-セレクチン糖タンパク質リガンド-1 刺激剤、mTOR 阻害剤、伸長因子2阻害剤、細胞接着分子阻害剤、因子XIIIアゴニスト、カルシニューリン阻害剤、免疫グロブリンG1アゴニスト、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤、補体C1s副成分阻害剤、チミジンキナーゼモジュレータ、細胞障害性T-リンパ球プロテイン-4モジュレータ、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アンジオテンシンII受容体モジュレータ、TNF スーパーファミリー受容体12Aアンタゴニスト、CD52アンタゴニスト、アデノシンデアミナーゼ阻害剤、T細胞分化抗原CD6阻害剤、FGF-7リガンド、ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ阻害剤、CCR5ケモカインアンタゴニスト、CCR2ケモカインアンタゴニスト、Syk チロシンキナーゼ阻害剤、インターフェロンI型受容体アンタゴニスト、インターフェロンα リガンド阻害剤、マクロファージ移動抑制因子阻害剤、インテグリンα-V/ β-6アンタゴニスト、システインプロテアーゼ刺激剤、p38 MAPキナーゼ阻害剤、TP53遺伝子阻害剤、志賀様毒素I阻害剤、フコシルトランスフェラーゼ6刺激剤、インターロイキン22リガンド、CXCR1ケモカインアンタゴニスト、CXCR4ケモカインアンタゴニスト、IRS1遺伝子阻害剤、プロテインキナーゼC刺激剤、プロテインキナーゼCα阻害剤、CD74アンタゴニスト、免疫グロブリンγFc受容体IIBアンタゴニスト、T細胞抗原CD7阻害剤、CD95アンタゴニスト、Nアセチルマンノサミンキナーゼ刺激剤、カルジオトロフィン-1リガンド、白血球エラスターゼ阻害剤、CD40リガンド受容体アンタゴニスト、CD40リガンドモジュレータ、IL-17アンタゴニスト、TLR-2アンタゴニスト、補体因子D阻害剤、補体因子B阻害剤、補体C5阻害剤、MASP-2阻害剤、MASP-3阻害剤、C3阻害剤、ペグ化されたAPL-1、C1s阻害剤、C6阻害剤、T細胞受容体アンタゴニストからなる群からなされる。
【0089】
いくつかの実施態様では、その1種類以上の追加治療剤の選択は、オビヌツズマブ、リツキシマブ、オクレリズマブ、シクロホスファミド、プレドニゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、ピバル酸チキソコルトール、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンアルコール、モメタゾン、アムシノニド、ブデゾニド、デゾニド、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、ハルシノニド、ベータメタゾン、ベータメタゾンリン酸ナトリウム、デキサメタゾン、デキサメタゾンリン酸ナトリウム、フルオコルトロン、17-吉草酸ヒドロコルチゾン、ハロメタゾン、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、ベクロメタゾン、吉草酸ベータメタゾン、ジプロピオン酸ベータメタゾン、プレドニカルベート、17-酪酸クロベタゾン、17-プロピオン酸クロベタゾール、カプロン酸フルオコルトロン、ピバル酸フルオコルトロ、酢酸フルプレドニデン、17-酪酸ヒドロコルチゾン、17-アセポン酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン-17-ブテプレート、シクレソニドとプレドニカルベート、GB-0998、immuglo、ベゲロマブ、アレファセプト、アルデスロイキン、ゲボキズマブ、ダクリズマブ、バシリキシマブ、イノリモマブ、ベペルミノゲンペルプラスミド、シルクマブ、トシリズマブ、クラザキズマブ、メポリズマブ、フィンゴリモド、パノビノスタット、トリシリビン、ニロチニブ、イマチニブ、トファシチニブ、モメロチニブ、ペフィシチニブ、イタシチニブ、インフリキシマブ、PEG-bHb-CO、エタネルセプト、イクサゾミブ、ボルテゾミブ、ムロモナブ、オテリキシズマブ、グスペリムス、ブレンツキシマブベドチン、ポネシモド、KRP-203、FG-3019、エムリカサン、コルチコトロピン、イブルチニブ、cinryze、コネスタット、メトキシポリエチレングリコール-エポエチンβ、ベリムマブ、ブリシビモド、アタシセプト、セリシクリブ、ネイフリズマブ、エベロリムス、シロリムス、デニロイキンディフティトックス、LMB-2、ナタリズマブ、カトリデカゴグ、シクロスポリン、タクロリムス、ボクロスポリン、カナキヌマブ、ミコフェノール酸塩、ミゾリビン、CE-1145、TK-DLI、アバタセプト、ベラタセプト、オルメサルタンメドキソミル、スパルセンタン、TXA-127、BIIB-023、アレムツズマブ、ペントスタチン、イトリズマブ、パリフェルミン、レフルノミド、PRO-140、セニクリビロック、フォスタマチニブ、アニフロルマブ、シファリムマブ、BAX-069、BG-00011、ロスマピモド、QPI-1002、志賀mAbs、TZ-101、F-652、レパリキシン、ラダリキシン、PTX-9908、アガニルセン、APH-703、ソトラスタウリン、ミラツズマブ、SM-101、T-ガード、APG-101、DEX-M74、カルジオトロフィン-1、チプレレスタット、ASKP-1240、BMS-986004、HPH-116、KD-025、OPN-305、TOL-101、デフィブロチド、ポマリドミド、サイモグロブリン、ラキニモド、レメステムセル-L、ウマ抗胸腺免疫グロブリン、Stempeucel、LIV-γ、オクタガム10%、t2c-001、99mTc-セスタミビ、ClairYg、プロソルバ、ポマリドミド、テプリズマブ、FCRx、ソルナチド、フォラルマブ、ATIR-101、BPX-501、ACP-01、ALLO-ASC-DFU、イルベサルタン+プロパゲルマニウム、ApoCell、カンナビジオール、RGI-2001、サラチン、抗CD3二価抗体-ジフテリア毒素共役体、OMS-721、エクリズマブ、コベルシン、ACH-4471、ALN-CC5、 AMY-101、IFX-1、IFX-2、IFX-3、LFG316、ベリナート、CB 2782、ANX005、APL-2、APL-1、PEG-Cp40、ALXN1007、ビカシノマブ、NOX-D20、NOX-D19、OMS906、ムボジナ、ALXN1210、ルコネスト、TNT009、SOBI005、SHP623、ランパリズマブ、レゲネマブ、RA101495、RA101295、ジムラ、NOX-100、LT-1951、CD4+ CD25+制御性T細胞からなる群からなされる。
【0090】
本開示のいくつかの化合物は、非溶媒和物と溶媒和物(水和物が含まれる)の形態で存在することができる。一般に、溶媒和物形態は非溶媒和物形態と同等であり、本開示の範囲に包含されることを想定している。本開示のいくつかの化合物は、多結晶の形態またはアモルファスの形態で存在することができる。一般に、本開示で考える用途に関してはあらゆる物理的形態が同等であり、本開示の範囲に包含されることを想定している。
【0091】
本開示のいくつかの化合物は、不斉炭素(光学中心)または二重結合を有する。ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体、位置異性体、個別の異性体(例えば別々の鏡像異性体)はすべて、本開示の範囲に包含されることを想定している。本開示の化合物は、そのような化合物を構成する1つ以上の原子の位置に自然の割合ではない原子同位体を含有することもできる。例えば化合物は、放射性同位体(例えば三重水素(3H)、ヨウ素-125(125I)、炭素-14(14C))で放射性標識することができる。本開示の化合物の同位体によるあらゆるバリエーションは、放射性であるかないかに関係なく、本開示の範囲に包含されることを想定している。
【0092】
本明細書に開示した化合物は、医薬として許容可能な式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)の化合物と化合物1であって、原子量または質量数が異なる原子で置き換えられた1個以上の原子を含むことで同位体標識されているものをすべて包含することも意味する。開示されている化合物に組み込むことのできる同位体の例に含まれるのは、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素、ヨウ素の同位体、例えばそれぞれ2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I、125Iである。放射性標識されたこれら化合物は、例えば作用部位または作用様式を特徴づけたり、薬理学的に有用な作用部位への結合親和性を特徴づけたりすることによって化合物の有効性を求めたり測定したりするのに役立つ可能性がある。同位体で標識された式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)のいくつかの化合物と化合物1(例えば放射性同位体を組み込んだ化合物)は、組織への薬および/または基質の分布の研究において有用である。放射性同位体である三重水素(すなわち3H)と炭素-14(すなわち14C)が、組み込みの容易さと検出手段の準備を考えると、この目的で特に有用である。
【0093】
より重い同位体(例えば重水素、すなわち2H)で置換すると、代謝安定性がより大きいことに起因するいくつかの利点が治療にもたらされる可能性がある。例えば生体内半減期が長くなったり、必要な用量が減ったりする可能性がある。したがっていくつかの状況では、より重い同位体が好ましい可能性がある。
【0094】
陽電子放射同位体(11C、18F、15O、13N)による置換は、基質受容体の占有を調べるための陽電子放射断層撮影法(PET)での研究において有用である可能性がある。同位体で標識した式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)の化合物と化合物1は、一般に、以前に使用されていた標識していない試薬の代わりに同位体で標識した適切な試薬を用い、当業者に知られている通常の技術によって、または下記の実施例に記載したのと類似の方法によって調製することができる。
【0095】
本明細書に提示した方法、組成物、キット、製品は、炭素原子に結合している1~n個の水素原子を重水素原子すなわちDで置換できる化合物(例えば(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)と化合物1)、またはその医薬として許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物を利用するか含んでいる(ただしnは分子内の水素原子の数である)。本分野で知られているように、重水素原子は水素原子の非放射性同位体である。このような化合物は代謝に対する抵抗性を増大させることができるため、哺乳動物に投与するとき、化合物、またはその医薬として許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物の半減期を長くするのに有用である可能性がある。例えばFoster「薬代謝の研究における重水素同位体効果」Trends Pharmacol. Sci.、第5巻(12):524~527ページ(1984年)を参照されたい。このような化合物は、例えば1個以上の水素原子が重水素で置換された出発材料を用いることにより、本分野で周知の手段によって合成される。
【0096】
本明細書に提示する処置法は、一般に、本明細書に提示した化合物の有効量を患者に投与することを含んでいる。適した患者に含まれるのは、C3糸球体腎炎に罹患している患者またはC3糸球体腎炎を患う可能性のある患者(すなわち予防的処置)である。
【0097】
一般に、本明細書に提示する処置法は、本明細書に提示した化合物の有効量を患者に投与することを含んでいる。好ましい一実施態様では、本開示の化合物は、患者(例えばヒト)に経口投与または局所投与することが好ましい。別の一実施態様では、本開示の化合物は、患者(例えばヒト)に全身投与(静脈内投与または皮下投与)される。有効量は、C5a受容体の活性を変化させるのに十分な量、および/または患者の症状を軽減または緩和するのに十分な量が可能である。投与する量は、化合物(その化合物がプロドラッグである場合には、その活性な代謝産物)の血漿濃度を、白血球細胞(例えば好中球)の走化性抑制をインビトロで検出できるようにするのに十分な量である。処置計画は、使用する化合物と処置する具体的な疾患に応じて変わる可能性がある。たいていの疾患の処置に関しては、1日に4回以下の投与頻度が好ましい。一般に、1日に2回という投与計画がより好ましく、1日に1回の投与が特に好ましい。しかし特定の患者に関する具体的な用量レベルと処置計画は、さまざまな因子(例えば使用する具体的な化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食事、投与時期、投与経路、排出速度、薬の組み合わせ(すなわちその患者に投与されている他の薬)、治療を受けている具体的な疾患の重篤度)のほか、処方する医療者の判断に依存することが理解されよう。一般に、効果的な治療を提供するのに十分な最少用量を用いることが好ましい。患者は、一般に、処置または予防する疾患に適した医学的基準または獣医学的基準を用いて治療の有効性をモニタすることができる。
【0098】
1日に体重1 kg当たり約0.1 mg~約140 mgの用量レベルが、病気を引き起こすD5a活性が関与する疾患の処置または予防に有用である(ヒト患者では1日に約0.5 mg~約7 g)。単位剤形を製造するために基剤材料と組み合わせることのできる活性成分の量は、処置する宿主と具体的な投与様式に応じて異なるであろう。単位剤形は、一般に、活性成分を約1 mg~約500 mg含むことになろう。経口投与、経皮投与、静脈内投与、皮下投与される化合物については、血清1 ml当たり5 ng(ナノグラム)~10μg(マイクログラム)の血清濃度、より好ましくは血清1 ml当たり20 ng~1μgの血清濃度、最も好ましくは50 ng~200 ngの血清濃度を実現するのに十分な量の化合物を投与することが好ましい。(関節炎の処置を目的として)滑膜に直接注射するためには、約1マイクロモルという局所濃度を実現するのに十分な化合物を投与すべきである。
【0099】
投与頻度は、使用する化合物と、処置する具体的な疾患によっても異なる可能性がある。しかしたいていの疾患の処置では、1日に4回、または1日に3回、またはそれより少ない頻度の投与計画が好ましく、1日に1回、または1日に2回が特に好ましい。しかし特定の患者の具体的な用量レベルは、さまざまな因子(例えば使用する具体的な化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食事、投与時期、投与経路、排出速度、薬の組み合わせ(すなわちその患者に投与されている他の薬)、治療を受けている具体的な疾患の重篤度)と、他の因子(例えば処方する医療者の判断)に依存することが理解されよう。
【0100】
医薬組成物
本明細書に提示した化合物は、典型的には医薬用の基剤または希釈剤を含有することになる組成物として投与することができる。
【0101】
本明細書では、「組成物」という用語は、指定された諸成分を指定された量で含む製品と、指定された諸成分の指定された量の組み合わせから直接的または間接的に得られるあらゆる製品を包含することを想定している。
【0102】
いくつかの実施態様では、医薬組成物はさらに、1種類以上の追加治療剤を含んでいる。
【0103】
本開示の化合物を投与するための医薬組成物は、単位剤形で提示できると便利であり、薬学と薬送達の分野で周知の任意の方法で調製することができる。すべての方法に、活性成分を、1つ以上の補助成分を構成する基剤と組み合わせる工程が含まれる。一般に、医薬組成物は、活性成分を、液体基剤と細かく分割した固体基剤の一方または両方と一様かつ密に組み合わせた後、必要に応じて製品を成形することによって調製されて、望む製剤になる。医薬組成物には、対象とする活性な化合物が、疾患のプロセスまたは状態に対して望む効果を生じさせるのに十分な量で含まれる。
【0104】
活性成分を含有する医薬組成物は、経口で使用するのに適した形態(例えば錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性懸濁液、油性懸濁液、分散可能な粉末、分散可能な顆粒、アメリカ合衆国特許出願第2002-0012680号に記載されている乳液と自己乳化液、硬質カプセル、軟質カプセル、シロップ、エリキシル、溶液、口腔パッチ、口腔ゲル、チューインガム、咀嚼錠、発泡粉末、発泡錠剤)にすることができる。経口用の組成物は、医薬組成物の製造に関してよく知られている任意の方法に従って調製することができ、そのような組成物は、エレガントで口当たりのよい医薬組成物を提供するため、甘味剤、香味剤、着色剤、抗酸化剤、保存剤から選択された1種類以上の薬剤を含むことができる。錠剤は、医薬として許容可能で錠剤の製造に適した非毒性の賦形剤と混合された活性成分を含有する。そのような賦形剤として、例えば、不活性な希釈剤(例えばセルロース、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、グルコース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム)、顆粒化剤と崩壊剤(例えば、コーンスターチ、アルギン酸)、結合剤(例えば、PVP、セルロース、PEG、デンプン、ゼラチン、アラビアゴム)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク)が可能である。錠剤は、胃腸管での崩壊と吸収を遅延させて作用を長期にわたって持続させるため、既知の技術によって腸溶性コーティングなどのコーティングをされていてもいなくてもよい。例えば遅延材料(例えばモノステアリン酸グリセリルやジステアリン酸グリセリル)を用いることができる。錠剤は、アメリカ合衆国特許第4,256,108号、第4,166,452号、第4,265,874号に記載されている技術によってコーティングし、制御放出のための治療用徐放錠剤を形成することもできる。
【0105】
経口で用いる製剤は、活性成分を、不活性な固体希釈剤(例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カオリン)、さまざまな平均サイズのポリエチレングリコール(PEG)(例えばPEG400、PEG4000)、いくつかの界面活性剤(例えばクレモフォールやソルトール)と混合した硬質ゼラチンカプセルとして、または活性成分を水性媒体または油性媒体(例えば、ピーナツ油、液体パラフィン、オリーブ油)と混合した軟質カプセル提示することもできる。それに加え、水と混和しない成分(例えば油)を用いて乳液を調製することや、界面活性剤(例えばモノグリセリド、ジグリセリド、PEGエステルなど)を用いて乳液を安定化させることができる。
【0106】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合された活性な材料を含有している。そのような賦形剤は、懸濁剤(例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシ-プロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル-ピロリドン、トラガカントゴム、アラビアゴム)である。分散剤または湿潤剤として、天然のホスファチド(例えばレシチン)、長鎖脂肪族アルコール(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール)とエチレンオキシドの縮合生成物、脂肪酸とヘキシトールに由来する部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物(例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール)、脂肪酸と無水ヘキシトールに由来する部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物(例えばモノオレイン酸ポリエチレンソルビタン)が可能である。水性懸濁液は、1種類以上の保存剤(例えばエチル、n-プロピル、p-ヒドロキシ安息香酸塩)、1種類以上の着色剤、1種類以上の香味剤、1種類以上の甘味剤(例えばショ糖やサッカリン)も含有することができる。
【0107】
油性懸濁液は、活性成分を植物油(例えばピーナツ油、オリーブ油、ゴマ油、ココナツ油)または鉱物油(例えば液体パラフィン)の中に懸濁させることによって製剤化することができる。油性懸濁液は、増粘剤(例えば蜜蝋、硬質パラフィン、セチルアルコール)を含有することができる。上に示したような甘味剤と香味剤を添加して口当たりがよい経口調製物を提供することができる。これら組成物は、抗酸化剤(例えばアスコルビン酸)の添加によって保存が可能になる。
【0108】
水を添加して水性懸濁液を調製するのに適した分散可能な粉末と顆粒は、分散剤または湿潤剤と、懸濁剤と、1種類以上の保存剤との混合物に含まれた状態で活性成分を提供する。適切な分散剤または湿潤剤と懸濁剤は、すでに上に例示してある。追加の賦形剤(例えば甘味剤、香味剤、着色剤)が存在していてもよい。
【0109】
本開示の医薬組成物は、水中油乳液の形態にすることもできる。油相として、植物油(例えばオリーブ油やピーナツ油)、または鉱物油(例えば液体パラフィン)、またはこれらの混合物が可能である。適切な乳化剤として、天然ゴム(例えばアラビアゴム、トラガカントゴム)、天然のホスファチド(例えばダイズのレシチン)、エステル、または脂肪酸と無水ヘキシトールに由来するエステルまたは部分エステル(例えばモノオレイン酸ソルビタン)、その部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物(例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)が可能である。乳液は、甘味剤と香味剤も含有することができる。
【0110】
シロップとエリキシルは、甘味剤(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、ショ糖)とともに製剤化することができる。このような製剤は、緩和剤、保存剤、香味剤、着色剤も含有することができる。経口溶液は、例えばシクロデキストリン、PEG、界面活性剤と組み合わせて調製することができる。
【0111】
医薬組成物は、注射可能な水性または油性の滅菌懸濁液の形態にすることができる。懸濁液は、上記の適切な分散剤または湿潤剤と、懸濁剤とを用いて公知の方法に従って製剤化することができる。注射可能な滅菌調製物として、非経口投与が許容されている非毒性の希釈剤または溶媒の中の注射可能な滅菌溶液または滅菌懸濁液(例えば1,3-ブタンジオールの中の溶液)も可能である。使用できる許容可能なビヒクルと溶媒には、水、リンゲル溶液、塩化ナトリウム等張溶液がある。それに加え、滅菌不揮発性油が、溶媒または分散媒体として通常用いられる。その目的で、任意の非刺激性不揮発性油(例えば合成モノグリセリド、合成ジグリセリド)を用いることができる。それに加え、脂肪酸(例えばオレイン酸)が、注射可能な調製物で使用される。
【0112】
本開示の化合物は、薬を直腸に投与するため、座薬の形態で投与することもできる。これら組成物は、常温では固体だが直腸温では液体になるため直腸で溶解して薬を放出する適切な非刺激性賦形剤を薬と混合することによって調製できる。このような物質には、カカオバターおよびポリエチレングリコールが含まれる。それに加え、化合物は、溶液または軟膏によって目に送達して投与することができる。さらに、イオントフォレシス用パッチなどの手段により、対象とする化合物の経皮送達を実現することができる。局所的使用に関しては、本開示の化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液、懸濁液などが使用される。本明細書では、局所塗布は、口内洗浄液やうがい薬の使用も含むことを意味する。
【0113】
本開示の化合物は、基剤とカップルさせることもできる。その基剤は、薬を標的に向かわせる担体として適切なポリマーである。そのようなポリマーに含まれるのは、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシ-プロピル-メタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチル-アスパルタミド-フェノール、パルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシド-ポリリシンである。さらに、本開示の化合物は、薬の制御放出を実現する上で有用な生物分解性ポリマーの1つのクラスである基剤(例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマー、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、ヒドロゲルの架橋ブロックコポリマー、ヒドロゲルの両親媒性ブロックコポリマー)とカップルさせることができる。ポリマーと半透過性ポリマーマトリックスは、成形された製品(例えば弁、ステント、チューブ、プロテーゼなど)にすることができる。本開示の一実施態様では、本開示の化合物をポリマーまたは半透過性ポリマーマトリックスとカップルさせ、ステント装置またはステント-グラフト装置を形成する。
【0114】
キットとパッケージ
「キット」、「医薬キット」という用語は、1つ以上の適切な容器の中に、1種類以上の医薬組成物とそれを使用するための指示を含む、市販のキットまたはパッケージを意味する。一実施態様では、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)の化合物、または化合物1、またはその医薬として許容される塩と、それを投与するための指示を含むキットが提供される。一実施態様では、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)の化合物、または化合物1、またはその医薬として許容される塩を、1種類以上(例えば1種類、2種類、3種類、1または2種類、1~3種類)の追加治療薬およびそれを投与するための指示と組み合わせて含むキットが提供される。
【0115】
一実施態様では、本開示の化合物は、投与単位に製剤化されて、単一のパッケージの中に包装される。単一パッケージの非限定的な例に含まれるのは、瓶、子どもが開けられない瓶、アンプル、チューブである。一実施態様では、本開示の化合物と任意に追加される治療剤が投与単位に製剤化されて、すべての単独の投与単位が個別に単一パッケージの中に包装される。そのように個別に包装された単位は、任意の形態(その非限定的な例に含まれるのは、液体形態、固体形態、粉末形態、顆粒形態、発泡粉末、発泡錠剤、硬質カプセル、軟質カプセル、乳液、懸濁液、シロップ、座薬、錠剤、トローチ、ロゼンジ、溶液、口腔パッチ、薄膜、経口ゲル、咀嚼錠、チューインガム、使い捨て注射器である)の医薬組成物を含有することができる。このように個別に包装された単位は、紙、ボール紙、板紙、金属ホイル、プラスチックホイルのうちの1つ以上で製造されたパッケージ(例えばブリスターパック)の中で組み合わせることができる。1つ以上の投与単位は、1日に1回または数回投与することができる。1つ以上の投与単位を1日に3回投与することができる。1つ以上の投与単位を1日に2回投与することができる。1つ以上の投与単位を初日に投与し、1つ以上の投与単位を後日投与することができる。
【0116】
化合物1は、式:
【化45】
を有する。
【実施例0117】
実施例1:進行性補体3糸球体腎炎の1人の患者における化合物1の研究
連合王国における「特別な必要性のある計画」(アメリカ合衆国におけるコンパッショネート使用プロトコルに類似)のもとで、C3糸球体腎炎の患者は、下に詳述するプロトコルに従って補体阻害化合物1を経口投与する処置を受けた。患者は、腎移植を受けるとともに、さまざまな免疫抑制薬リツキシマブ、シクロホスファミド、ミコフェノール酸モフェチル、タクロリムス、ステロイドを用いた処置を以前に受けているにもかかわらず、抵抗性疾患を持っていた。治療中には、投薬前と、2ヶ月、7ヶ月の時点で移植腎生検サンプルを採取した。
【0118】
結果:
化合物1を用いた処置に反応して患者の状態は改善した。この患者で化合物1を用いた処置で見られた改善は、処置中の腎生検組織学的知見に基づいており、処置前と比較して、糸球体毛管内増殖の消失と、糸球体腎炎マクロファージの顕著な減少を示した。タンパク尿は、化合物1を用いた処置で約80%低下した。
【0119】
推算糸球体濾過量(eGFR)は、化合物1を用いた処置の14ヶ月前は83 ml/分/1.73 m2であり、化合物1を用いた処置を開始したときには46 ml/分/1.73 m2に悪化していた。化合物1を用いた処置によってeGFRの悪化が緩やかになるか、停止した。
【0120】
1ヶ月処置をした後、eGFRの悪化はすでに緩やかになっていた(図1は、化合物1を用いた処置の前後のeGFRを示している)。繰り返して採取した生検サンプルから、糸球体毛管内細胞増多の解決と、糸球体マクロファージの減少がわかった。化合物1はeGFRを安定にし、糸球体腎炎を軽減した。
【0121】
【表1】
【0122】
図2は、化合物1を用いた処置後の組織学的改善を示す。
(A)化合物1を用いて処置する前のヘマトキシリンとエオシン(H&E)染色は、フィブリノイド壊死と多数の炎症性細胞を示している。
(C)化合物1を用いて処置した後の過ヨウ素酸シッフ(PAS)染色は、毛管内細胞増多と糸球体腎炎の減少を示している。
(B)化合物1を用いて処置する前のCD68染色。
(D)化合物1を用いて処置した後のCD68染色は、糸球体マクロファージの減少を示している。
【0123】
研究のプロトコル:
目的
この研究の目的は、進行性補体3(C3)糸球体腎炎の患者における化合物1の効率、安全性、忍容性を評価することである。
【0124】
目標
この研究の安全性の主目標は、化合物1の安全性と忍容性を評価することである。
【0125】
効率の主目標は、eGFR(MDRD、推算糸球体濾過量)とタンパク尿のベースラインからの変化に基づいて化合物1の効率を評価することである。
【0126】
この研究の二次的目標に含まれるのは、
1.血漿と尿の中の薬物動態マーカー(例えばMCP-1、C3a、C5a、プロペルジン、sC5b-9)のベースラインからの変化の評価;
2.腎生検に基づく糸球体の病態のベースラインからの変化の評価;
3.C3糸球体腎炎における化合物1の血漿濃度の評価である。
【0127】
方法
これは、腎移植での再発性C3GNの患者における化合物1の安全性、忍容性、効率を調べる臨床研究である。
【0128】
患者は、投薬開始前に生検によって再発性C3GNであることが証明され、包含基準と除外基準に基づき、選ばれる資格があると見なされることになる。スクリーニング手続きは、人口統計学的属性、病歴、薬歴、身体検査、バイタルサイン、血清化学、血液学、尿分析(UPCR測定を含む)、ウイルススクリーニング(過去12週間以内に実施していない場合)、血清クレアチニンに基づく推算糸球体濾過量(eGFR)評価の記録を含むことになる。eGFRのベースラインは、研究に選ばれる資格があるためには、少なくとも25 ml/分/1.73 m2である必要がある。
【0129】
1日目に患者は化合物1を用いた処置を開始する。患者は、最初の84日間の期間にわたって化合物1を1日に2回経口で30 mg摂取する。患者は、1日目、8日目、15日目、29日目、57日目、85日目に研究センターを訪問する。化合物1の用量を、朝は朝食後1時間以内に摂取することが最適であり、晩は夕食後1時間以内に摂取することが最適である。患者の臨床状態が安定するか改善するとともに、さらなる処置を妨げる有害事象が存在しない場合には、患者はさらに84日間の処置サイクルの間、処置を受けることができる。84日間のサイクルは、このプロトコルのもとで合計4サイクルまで繰り返すことができる。最初のサイクルの後の84日間のサイクルの間、患者は研究センターを4週間ごとに訪問する。患者が化合物1を用いた処置を停止した後に4週間のフォローアップ期間がある。
【0130】
1日目と1日目の後の研究センター訪問時に血液サンプルと尿サンプルを回収して安全性、効率、薬物動態を測定する。身体検査とバイタルサインの評価を研究の全期間を通じて実施する。研究センターを訪問するたびに、併用薬と有害事象の評価を行なう。もし可能であれば、適切なフォローアップ期間の後に腎生検を実施して腎臓組織学の変化を評価する。
【0131】
研究期間(能動的処置期間またはフォローアップ)中はC3GNの新たな処置を追加することはできないが、そうすることが患者の利益に最も合致すると調査者が判断するほど患者の状態が悪化した場合は別である。
【0132】
化合物1を用いた処置の期間:84日間であり、84日間のサイクルを3回まで、合計で336日間まで繰り返す。
【0133】
研究薬を用いた処置が終了した後のフォローアップ期間:4週間。
【0134】
患者の状態を調査者が研究終了時に評価し、必要に応じて医学的ケア処置の適切な基準を提供する。
【0135】
主な包含基準
1.スクリーニングの時点から過去8週間以内の腎生検に基づいてC3GNであると証明されること;
2.(MDRDの式による)eGFRが25 ml/分/1.73 m2以上であること;
3.妊娠の可能性があるパートナーがいる場合には、研究期間全体と、投薬終了後の少なくとも3ヶ月間は十分な避妊をせねばならない;十分な避妊は、1年に1%未満の失敗率と定義される(エストロゲンとプロゲステロンの組み合わせ[経口、膣内、経皮]、またはプロゲステロンだけのホルモン式避妊(経口、注射、埋め込み)、子宮内装置、子宮内ホルモン放出系、卵管結紮、精管切除したパートナー、禁欲);
4.書面によるインフォームドコンセントを提出する意思があってそれが可能であり、研究プロトコルの条件に合致していること;
5.病歴、身体検査、臨床検査に基づいて他の面では健康であると調査者により判断されること。(除外基準に特定されている以外の)正常値の限界の外側にある臨床検査値、および/または調査者によって臨床上重要ではないと判断された他の異常な臨床的知見がある臨床検査値は許容される可能性がある。
【0136】
主な除外基準
1. 8 g超/日(またクレアチニン1g当たり8 g超)のタンパク尿;
2.投薬の時点から過去26週間以内にエクリズマブを使用したこと;
3.スクリーニングの時点から過去5年以内に何らかの形のがんの既往歴または存在(ただし、切除された皮膚の基底細胞癌または扁平上皮癌や、完全に切除されていて局所的再発または転移の証拠がない非浸潤性の癌(例えば非浸潤性の子宮頸癌や乳癌)は除く);
4.HBCウイルス、HCVウイルス、HIVウイルスのスクリーニング試験で陽性であること;
5.1日目に化合物1を用いた処置を開始する前に治癒していなくて抗生剤を用いた処置を必要とする何らかの感染症にかかっていること;
6.WBCのカウント数が4000/μl未満、または好中球のカウント数が2000/μl未満、またはリンパ球のカウント数が1000/μl未満であること;
7.スクリーニング時にヘモグロビンが9 g/dl(または5.56ミリモル/l)未満であること;
8.肝臓疾患の証拠;AST、ALT、アルカリホスファターゼ、ビリルビンが、正常値の上限の3倍超であること;
9.スクリーニングの時点から過去30日以内に、または最後に薬を摂取してから半減期の5倍の期間以内に、研究製品の何らかの臨床試験に参加したこと;
10.研究に参加する上で患者に許容できないリスクをもたらす可能性があると調査者が判断する何らかの医学的症状または疾患の既往歴または存在。
【0137】
処置と観察の期間
患者は、1日目の時点から遡って21日間を超えない期間以内にスクリーニングされる。化合物1を用いた処置期間は少なくとも84日間かつ336日間までであり、患者は投薬を停止した後に4週間(28日間)にわたってフォローアップを受ける。
【0138】
可能な範囲で、研究薬に関係すると見なされていて解決に向けて進行中のあらゆる有害事象を追跡して解決するか、未解決の事象が安定であると判断されるまで追跡する。調査者は研究の終了時に患者の状態を評価し、適切な医学的ケア基準を必要に応じて提供する。
【0139】
安全性評価
安全性評価には、有害事象、身体検査の異常、バイタルサイン、臨床検査(血液化学、血液学、尿分析が含まれる)が含まれる。
【0140】
効率評価
効率評価に含まれるのは、
1.初日の朝の尿PCR;
2.血清クレアチニンに基づく腎臓疾患における食事の変更(MDRD)式によるeGFR;
3.血漿と尿の薬物動態マーカー(例えばMCP-1、C3a、C5a、プロペルジン、sC5b-9);
4.フォローアップ腎生検サンプルでの糸球体腎炎(例えば半月体、炎症細胞浸潤、毛管内増殖)とC3沈着である。
【0141】
薬物動態評価
8日目、15日目、29日目、57日目、85日目にEDTA管の中に回収した2 mlの血液サンプルに由来する血清で、化合物1の濃度と可能な代謝産物を求める。化合物1を測定するためサンプルを回収する前に最後に化合物1を投薬した日時を記録する。サンプルは-70℃以下で凍結させた状態にし、アッセイのためドライアイスに載せて輸送する。
【0142】
その後のすべての84日間のサイクルの間、4週間ごとに血漿サンプルを回収し続ける。
【0143】
薬物動態マーカー
1日目(投薬前)、8日目、15日目、29日目、57日目、85日目に血漿サンプルを回収し、薬物動態マーカー(例えば補体断片、炎症性のサイトカインとケモカインのレベル)を測定する。1日目(投薬前)、8日目、15日目、29日目、57日目、85日目に尿サンプルも回収し、バイオマーカー(例えばMCP-1、補体断片、炎症性のケモカインとサイトカインのレベル)を評価する。
【0144】
その後のすべての84日間のサイクルの間、4週間ごとに血漿サンプルと尿サンプルを回収し続ける。
【0145】
腎臓組織学
過ヨウ素酸シッフ(PAS)染色と、C3、C5b-9と可能な他のマーカーに関する免疫蛍光染色により、腎生検サンプルを分析する。電子顕微鏡法も実施することができる。
【0146】
統計的方法
人口統計学的属性とベースライン特性
研究にエントリーした時点における全患者のベースライン特性と人口統計学的属性データ(年齢、性別、人種、民族、体重、身長、ボディマスインデックス、喫煙状況、ウイルス試験の結果、(腎生検に基づく最初の診断からの)C3GN疾患の期間、腎移植歴、eGFR、タンパク尿(PCR)、尿MCP-1:クレアチニン比、身体検査の異常、病歴、以前(スクリーニングの時点から過去6ヶ月以内)と現在の投薬(C3GNに対する別の処置を含む))をリストにする。
【0147】
安全性分析
安全性の主なエンドポイントは、患者での有害事象の発生である。
【0148】
安全性の他のエンドポイントに含まれるのは、
1.あらゆる安全性検査パラメータにおけるベースラインからの変化;
2.バイタルサインにおけるベースラインからの変化である。
【0149】
臨床でのあらゆる安全性データと忍容性データをリストにする。処置によって生じる有害事象を、器官大分類ごと、関係性ごと、最大重症度ごとにリストにする。重大な有害事象と、脱落につながる有害事象をリストにする。バイタルサインと、バイタルサインのベースラインからの変化を、研究センター訪問ごとにリストにする。検査データ(実際の値とベースラインからの変化)を、研究センター訪問ごとにリストにする。異常な検査値に印を付ける。
【0150】
効率分析
効率の主なエンドポイントは、eGFRにおける全処置期間にわたるベースラインからの変化と初日の朝の尿PCRである。
【0151】
効率の他のエンドポイントは、
1.血漿バイオマーカーと尿バイオマーカー(例えばMCP-1、C3a、C5a、プロペルジン、sC5b-9)におけるベースラインからの変化率;
2.糸球体腎炎(半月体、炎症細胞浸潤、毛管内増殖)、C3沈着物、C5b-9沈着物におけるベースラインからフォローアップ生検への変化である。
【0152】
4週間にわたるフォローアップ期間中の効率パラメータの変化と変化率も評価して処置外効果を明らかにする。
【0153】
薬物動態分析
8日目、15日目、29日目、57日目、85日目に血漿サンプルを回収し、化合物1(と代謝産物)の血漿濃度を求める。研究センター訪問時に化合物1の血漿濃度をリストにしてプロットする。
【0154】
実施例2:C3腎炎の患者における化合物1の安全性と効率を評価するためのランダム化二重盲検プラセボ対照第2相試験
計画した研究のプロトコル
目的
この研究の目的は、補体3腎炎(C3GN)の患者において、化合物1を用いた処置が腎臓疾患活性に及ぼす効果を評価することである。これらの患者での化合物1を用いた処置により腎臓疾患を遅延させるか改善することを意図している。
【0155】
目標
主目標は、処置前と処置中に採取した腎生検サンプルに由来するC3Gの病態の組織学的変化に基づき、化合物1の効率をプラセボと比較することである。
【0156】
この研究の二次的目標に含まれるのは、
1.有害事象の発生、臨床検査測定値の変化、バイタルサインに基づいてプラセボと比較した化合物1の安全性の評価;
2.プラセボと比較して化合物1を用いた場合の腎臓疾患の検査パラメータ(推算糸球体濾過量(eGFR)、タンパク尿、単球走化性タンパク質-1(MCP-1)の尿中排泄が含まれる)の変化の評価;
3.プラセボと比較して化合物1を用いた場合のShort Form-36バージョン2(SF-36 v2)評価またはEuroQOL-5D-5L(EQ-5D-5L)に基づく健康関連の生活の質の変化の評価;
4.C3腎症の患者における化合物1の薬物動態プロファイルの評価である。
【0157】
それに加え、血漿/血清または尿の中で、関与する代わりの補体経路のマーカー(例えばC3、C3d、C3c、C3adesArg、C5、C5a、C5b-9、C5adesArg)と他の炎症マーカーにおけるベースラインからの変化を、処置期間全体を通じて評価することができる。
【0158】
方法
これは、C3Gの患者(C3GNとDDDが含まれる)における化合物1の効率、安全性、忍容性をテストする第2相試験である。選択される資格がある患者を、2つの因子、すなわち
1.C3GNまたはDDDと、
2.ランダム化前に腎移植を受けたかどうか
に基づいて層化する。
【0159】
次に、患者は、1:1にランダム化された後、二重盲検プラセボ対照試験のやり方で、30 mgの化合物1または対応するプラセボを、1日に2回、26週間にわたって摂取する。26週間の二重盲検期間の後に、すべての患者が化合物1を用いた処置を受ける26週間の期間がある。
【0160】
登録のための患者のスクリーニングは、生検によって証明されたC3腎症(すなわち、IgG、IgM、IgA、C1qのどの組み合わせよりもC3の染色が2レベル以上大きい)と、白血球浸潤および/または毛管内増殖に基づく炎症の証拠に基づいて実施する。
【0161】
スクリーニング期間は28日間までである。スクリーニング手続きに含まれるのは、書面によるインフォームドコンセント、人口統計学的属性、病歴、薬歴、身体検査、バイタルサイン、12誘導ECG、妊娠の可能性のある女性での血清妊娠検査、血清化学(血清クレアチニンを含む)、血液学、尿分析、尿タンパク質:クレアチニン比(PCR)、ウイルスとTBのスクリーニングである。患者が過去12週間以内に腎生検を受けていない場合には、投薬前に腎生検を受ける必要がある。薬で処置する研究を始める前に血液サンプルを回収して以下の測定:
1.C3、C3d、C3c、C3adesArg、C4;
2.C3腎炎因子;
3.C5、C5a、C5b-9、C5adesArg;
4.血清中の補体因子Hと因子B;
5.血清中の異常タンパク質検出;
6.補体因子H関連タンパク質5(CFHR5)変異
を行ない、すべての患者でベースラインのプロファイルを作成する。
【0162】
包含基準に合致する患者は、1日目に薬で処置する研究を始める。患者は、30 mgの化合物1または対応するプラセボを、1日に2回摂取する。処置期間は52週間(364日間)である。研究薬は、朝は食事と一緒に摂取することが好ましく、晩は、朝の投薬の約12時間後に食事と一緒に摂取することが好ましい。最初の26週間にわたってプラセボを摂取した患者は、二重盲検交差法で化合物1を摂取する。364日間にわたる処置期間の終了後、すべての患者を、研究薬を用いた処置なしで8週間(56日間)にわたって追跡する。
【0163】
1日目の後の研究センター訪問時に血液サンプルと尿サンプルを回収し、安全性、効率、薬物動態、バイオマーカーを測定する。妊娠する可能性のある女性では、血清妊娠検査を52週間にわたる処置期間中に定期的に実施するとともに、8週間のフォローアップ期間終了時に実施する。研究の全期間を通じて身体検査とバイタルサイン評価を実施する。EQ-5D-5L調査とSF-36 v2調査を利用し、研究の全期間を通じて健康関連の生活の質を定期的に評価する。研究薬を配布し、治験薬使用記録をつける。研究センターを訪問するごとに、併用薬と有害事象の評価を実施する。フォローアップ腎生検を、以下の時点で実施する:
1.26週間にわたるプラセボ対照処置期間の後;
2.患者が初期に研究から脱落した場合;
3.52週間にわたる処置期間の後。
【0164】
患者が投薬開始時に他の免疫抑制処置を受けている場合には、研究中は併用している免疫抑制薬の用量を増やすことができない。患者の状態が許すなら、研究中は他のこれらの薬を用いた処置を減らすか停止することができる。研究期間中は新たな処置を追加しないが、その新たな処置が患者の利益になると調査者が判断する程度まで患者の状態が悪化した場合は別である。これは処置の失敗と見なされる。
【0165】
52週間の処置期間中に、血清クレアチニンが少なくとも50%増加し(2週間後に再度実施する測定で確認)、それが他の理由(例えば脱水、新たな薬の投与)で説明できないこと、またはタンパク尿が増加し、ベースラインからクレアチニン1 g当たり3 g超増えるか、クレアチニン1 g当たり8 g超のレベルになっていること(2週間後に再度実施する測定で確認)に基づき腎臓機能が悪化しつつある患者は、本研究の処置相から除外され、担当医の判断で処置を受ける。その患者はフォローアップと転帰の記録のため本研究に残される。その患者は、処置の失敗と見なされる。
【0166】
青少年(12~17歳)の登録が認められている研究センターでは、スクリーニング時の体重に基づいて化合物1またはプラセボを初回に投与する。その用量は、下記の表に示してあるように、化合物1の血漿レベルに基づいて調節する。
【0167】
12~17歳の患者だけが、投与前と、1日目の最初の化合物1の投与の0.5時間後、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、6時間後に血液サンプルを採取され、血漿サンプルが中央検査室に送られてこれら患者における化合物1とその代謝産物が迅速に測定される。下記の表に示してあるように、AUC0-6に基づいて用量調節を行なう。これらAUC0-6の閾値は、AAVを用いた第2相試験CL002_168からの成人患者における化合物1血漿曝露の平均値(525 ng時間/ml)と、平均値の±1標準偏差(174 ng時間/ml)に基づいている。
【表2】
【0168】
患者が研究センターを訪問するのは、スクリーニング中と、1日目(ベースライン)と、1週目、2週目、4週目、8週目、12週目、16週目、20週目、26週目、32週目、38週目、44週目、52週目、60週目である。
【0169】
化合物1またはプラセボを用いた二重盲検処置の期間:26週間。
【0170】
二重盲検処置期間の後の化合物1を用いた処置の期間:26週間。
【0171】
研究薬を用いた処置が終了した後のフォローアップの期間:8週間。
【0172】
患者は、60週目のあらゆる訪問手続きが完了したとき、研究から解放される。臨床試験の終了時(60週目)に調査者が患者の状態を評価し、医学的ケア処置の適切な基準を必要なすべての患者に提供する。
【0173】
患者の数
C3腎症の男性または女性の患者約44人が本研究に登録される。26週目の訪問よりも前に脱落する患者は置き換えることができる。
【0174】
主な包含基準
1.スクリーニングの時点から過去12週間以内に、またはスクリーニング中に採取した腎生検サンプルにおいて、IgG、IgM、IgA、C1qのどの組み合わせよりもC3の染色が2レベル以上大きいことと、白血球浸潤または毛管内増殖に基づく炎症の証拠が観察されたことに基づきC3腎症(DDDまたはC3GN)であると証明されること; 腎移植を受けた患者は研究に選ばれる資格がある;
2.血漿C5b-9が、中央検査室の参照範囲の上限を超えていること;
3.年齢が少なくとも18歳である男性または女性の患者;認められる場合には青少年(12~17歳)も登録できる;妊娠の可能性がある女性患者は、研究中と、投薬終了後の少なくとも3ヶ月間は十分な避妊をする場合に参加できる;妊娠の可能性があるパートナーがいる男性患者は、ランダム化の少なくとも6ヶ月前に精管結紮しているか、研究中と、研究終了後少なくとも3ヶ月間は十分な避妊をする場合に研究に参加できる;十分な避妊は、1年に1%未満の失敗率と定義される(エストロゲンとプロゲステロンの組み合わせ[経口、膣内、経皮]、またはプロゲステロンだけのホルモン式避妊(経口、注射、埋め込み)、子宮内装置、子宮内ホルモン放出系、卵管結紮、精管切除したパートナー、禁欲);
4.書面によるインフォームドコンセントを提出する意思があってそれが可能であり、研究プロトコルの条件に合致していること;年齢が12~17歳の患者については、書面によるインフォームドコンセントを地域の法律または規則に従って法定後見人から入手する必要がある;
5.病歴、身体検査、臨床検査に基づいて他の面では健康であると調査者により判断されること。(除外基準に特定されている以外の)正常値の限界の外側にある臨床検査値、および/または調査者によって臨床上重要ではないと判断された他の異常な臨床的知見がある臨床検査値を持つ患者は、研究に入ることができる。
【0175】
主な除外基準
1.妊娠しているか、授乳中であること;
2.8 g超/日(またクレアチニン1g当たり8 g超)のタンパク尿;
3.腎臓組織学で50%超の間質性線維症;
4.投薬の時点から過去26週間以内にエクリズマブを使用したこと;
5.二次的C3疾患(例えば感染症関連疾患)、または別の全身性疾患または自己免疫疾患と関連した二次的C3疾患;
6.現在透析を受けているか、7日以内に透析を必要とする可能性が大きいこと;
7.スクリーニングの時点から過去5年以内に何らかの形のがんの既往歴または存在(ただし、皮膚の切除された基底細胞癌または扁平上皮癌や、完全に切除されていて局所的再発または転移の証拠がない非浸潤性の癌(例えば非浸潤性の子宮頸癌や乳癌)は除く);
8.HBCウイルス、HCVウイルス、HIVウイルスのスクリーニング試験で陽性であること;
9.スクリーニングのとき、またはスクリーニングの時点から過去6週間以内に実施したインターフェロンγ放出アッセイ(IGRA)、またはツベルクリン精製タンパク質誘導体(PPD)皮膚試験、または胸部X線撮影に基づく結核の証拠;
10.投薬開始前にWBCのカウント数が3500/μl未満、または好中球のカウント数が1500/μl未満、またはリンパ球のカウント数が800/μl未満であること;
11.肝臓疾患の証拠;AST、ALT、アルカリホスファターゼ、ビリルビンが、正常値の上限の3倍超であること;
12.化合物1または不活性な成分に対して過敏であるとわかっていること;
13.スクリーニングの時点から過去30日以内に、または最後に薬を摂取してから半減期の5倍の期間以内に、研究製品の何らかの臨床試験に参加したこと;
14.研究に参加する上で患者に許容できないリスクをもたらす可能性があると調査者が判断する何らかの医学的症状または疾患の既往歴または存在。
【0176】
処置と観察の期間
患者は、1日目よりも前の28日間を超えない期間内にスクリーニングされる。処置期間は52週間(364日間)であり、すべての患者が投薬期間の後8週間(56日間)にわたって追跡される。
【0177】
可能な範囲で、研究薬に関係すると見なされていて解決に向けて進行中のあらゆる有害事象を追跡して解決するか、未解決の事象が安定であると判断されるまで追跡する。臨床試験の終了時に調査者が患者の状態を評価し、医学的ケア処置の適切な基準を必要なすべての患者に提供する。
【0178】
安全性評価
安全性評価には、有害事象、身体検査の異常、バイタルサイン、臨床検査検査(血液化学、血液学、尿分析が含まれる)が含まれる。
【0179】
効率評価
効率評価に含まれるのは、
1.疾患の活性と慢性度に関するC3G組織学的指数(CHI)を求めるための腎臓組織学;
2.血清クレアチニンから腎臓疾患における食事の変更(MDRD)式によって計算したeGFR;
3.初日の朝の尿PCR;
4.初日の朝の尿MCP-1:クレアチニン比;
5.EQ-5D-5LとSF-36 v2である。
【0180】
薬物動態評価
時間・イベント表に従って血漿中の化合物1と代謝産物の濃度を求める。
【0181】
薬物動態マーカー
時間・イベント表に従って血漿/血清サンプルを回収し、薬物動態マーカー(例えば補体断片、炎症性のサイトカインとケモカインのレベルが含まれる)を測定する。尿サンプルも時刻・イベント表に従って回収し、バイオマーカー(例えば補体断片、sCD163、炎症性のサイトカインとケモカインのレベル)を評価する。
【0182】
腎臓組織学
選択される資格の有無を評価するため、腎生検サンプルをC3と免疫グロブリンに関する免疫蛍光染色によって評価する。患者は、スクリーニングの時点から過去12週間以内、またはスクリーニング中に採取した腎生検サンプルにおいてIgG、IgM、IgA、C1qのどの組み合わせよりもC3の染色が2レベル以上大きいことと、白血球浸潤または毛管内増殖に基づく炎症の証拠が観察されたことに基づいてC3腎症(DDDまたはC3GN)であることが証明されなければならない。
【0183】
すべての腎生検サンプルについて、ヘマトキシリン-エオシン(H&E)染色、過ヨウ素酸シッフ(PAS)染色、トリクローム、ジョーンズメセナミン銀染色に基づく分析も行なう。これら腎生検サンプルは、どの処置に割り当てられたか知らない中央の読み取り者が、スライドまたは高解像度電子画像から評価する。
【0184】
中央の読み取り者は、疾患の活性度と慢性度を判断する。
【0185】
統計的方法
人口統計学的属性とベースライン特性
研究にエントリーした時点での全患者のベースライン特性と人口統計学的属性的データ(年齢、性別、人種、民族、体重、身長、ボディマスインデックス、喫煙状況、ウイルス試験の結果、(腎生検に基づく最初の診断からの)C3腎疾患の期間、腎移植歴、eGFR、タンパク尿(PCR)、尿MCP-1:クレアチニン比、身体検査の異常、病歴、以前(スクリーニングの時点から過去6ヶ月以内)の薬と併用薬(C3腎症に関する別の処置を含む))を研究センター訪問と患者数によってリストにし、まとめも行なう。
【0186】
効率分析
効率の主なエンドポイントは、疾患活性に関する26週目までのC3G組織学的指数(CHI)のベースラインからの変化率である。処置群とランダム化層(C3GNまたはDDDと、腎移植の有無)を因子とし、ベースラインを共変量として、化合物1群とプラセボ群をANCOVAによって比較する。化合物1群とプラセボ群の間の差について、点推定と、対応する95%信頼区間を推定する。
【0187】
プラセボ群は化合物1を研究の後半の26週間に摂取するため、プラセボ対照群における26週から52週までのCHIの変化を、この群の26週までのベースラインからの変化と比較する。この分析は、対応のあるt検定によって実施する。点推定と、対応する95%信頼区間は、後半の26週間(化合物1で処置)と前半の26週間(プラセボで処置)の間の差について推定する。
【0188】
CHIの52週目までのベースラインからの変化も、効率の主なエンドポイントに関して記載したのと同様の方法を用い、プラセボ対照群における26週目のベースラインからの変化と比較する。
効率の他のエンドポイントに含まれるのは、
1.26週間にわたるプラセボ対照処置期間の疾患慢性度に関するCHIのベースラインからの変化率;
2.26週間にわたるプラセボ対照処置期間のeGFRのベースラインからの変化と変化率;
3.26週間にわたるプラセボ対照処置期間の尿PCRのベースラインからの変化率;
4.26週間にわたるプラセボ対照処置期間の尿MCP-1:クレアチニン比のベースラインからの変化率;
5.26週間にわたるプラセボ対照処置期間のEQ-5D-5LとSF-36 v2(分野と成分スコア)のベースラインからの変化である。
【0189】
処置群、訪問、訪問による処置の相互作用、ランダム化層(C3GNまたはDDDと、腎移植の有無)を因子とし、ベースラインを共変量として、反復測定に関する混合効果モデル(MMRM)を用いて連続変数(eGFR、尿PCR、尿MCP-1:クレアチニン比、EQ-5D-5L、SF-36 v2が含まれる)を分析する。患者は、すべての訪問を通じて反復測定単位であると見なされる。点推定と、対応する95%信頼区間は、モデルからの単純な対比較を利用し、26週間の化合物1群と対照群の間の差について推定する。主なエンドポイントと同様、プラセボ群で後半の26週間を前半の26週間と比較する。
【0190】
8週間のフォローアップ期間中の効率パラメータの変化と変化率も評価して処置外効果を明らかにする。
【0191】
代替補体経路活性化のマーカーのベースラインからの変化を記録する。
【0192】
効率のエンドポイントのそれぞれについてまとめの統計を計算する。連続変数について、数、平均値、中央値、範囲、標準偏差、標準誤差、95%信頼区間を計算する。尿PCR、MCP-1:クレアチニン比、正規分布していない他の測定値について幾何平均を計算する。
【0193】
安全性分析
安全性のエンドポイントに含まれるのは、
1.患者における、処置によって生じた重大な有害事象、有害事象、有害事象に起因する脱落の発生;
2.安全性に関するあらゆる検査パラメータのベースラインからの変化とベースラインからのシフト;
3.バイタルサインのベースラインからの変化である。
【0194】
ランダム化されて研究薬を少なくとも1回投与されたすべての患者が安全性集団に含まれる。
【0195】
安全性と忍容性に関する全臨床データを、処置群ごと、患者ごとにリストにし、処置群ごとにまとめる。
【0196】
報告されたすべての有害事象を、MedDRAを用いてコード化し、器官大分類ごとに、好ましいタームごとに、逐語的タームごとにリストにする。
【0197】
処置によって生じた有害事象を、処置群ごと、器官大分類ごと、関係性ごと、最大重症度ごとにリストにしてまとめる。
【0198】
処置によって生じた重大な有害事象と、脱落につながる有害事象を、処置群ごとにまとめる。
【0199】
個々のバイタルサインと、バイタルサインのベースラインからの変化を、処置群ごと、患者ごと、研究センター訪問ごとにリストにし、処置群ごとにまとめる。
【0200】
検査データ(実際の値と、ベースラインからの変化)を、処置群ごと、患者ごと、研究センター訪問ごとにリストにする。異常な検査値に印を付ける。検査データは、処置群ごと、研究センター訪問ごとにもまとめる。検査パラメータのシフトについて、研究センター訪問ごとにシフト表を作成する。
【0201】
薬物動態と薬物動態マーカーの分析
研究期間全体を通じて血漿サンプルを回収し、化合物1(と代謝産物)のPKプロファイルを求める。化合物1(と代謝産物)の個々の血漿濃度をリストにし、プロットし、文章とグラフにまとめる。研究薬の直近の用量の投与時期と関連するサンプル回収時の化合物1の濃度に基づいてPKパラメータを計算する。重要な代謝産物のPKパラメータも計算することができる。
【0202】
血漿マーカーと尿PDマーカーをまとめ、効率パラメータと同様の方法を用いて分析することができる。以下のパラメータ:
Cmax 最大血漿濃度
tmax 最大血漿濃度になる時間
AUC0-6 1日目の時間0~時間6時間までの血漿濃度-時間曲線よりも下の面積
Cmin 1日目の後の訪問時の血漿トラフ濃度
を、可能であれば12~17歳の患者で求める。
【0203】
eGFRに基づいてPKパラメータと腎機能の間の関係を評価する。データは、化合物1を用いた処置のPK/PDの関係を評価するのにも使用できる。その目的で、尿PCR、eGFR、尿MCP-1:クレアチニン比と、他のバイオマーカーのベースラインからの変化および/または変化率を、PDマーカーとして用いることができる。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-07-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
補体3腎症に罹患しているヒトを処置するための医薬組成物であって、前記医薬組成物が、以下の式:
【化1】
を有する化合物、またはその医薬として許容される塩の有効量を含む、医薬組成物。
【請求項2】
前記ヒトが、補体3糸球体腎炎に罹患している、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記ヒトが、腎移植後に再発性補体3糸球体腎炎に罹患している、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記ヒトが、高密度沈着物疾患に罹患している、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記補体3腎症が他の治療に対して抵抗性である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記ヒトが、免疫抑制薬に対する抵抗性疾患を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記ヒトが、リツキシマブ、シクロホスファミド、ミコフェノール酸モフェチル、タクロリムス、ステロイドのうちの1つ以上に対する抵抗性疾患を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記医薬組成物で処置されたヒトが、健康に関連した生活の質の改善を示す、請求項1~7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記健康に関連した生活の質が、Short Form-36バージョン2(SF-36 v2)評価またはEuroQOL-5D-5L(EQ-5D-5L)評価に基づく、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記医薬組成物を1日に2回投与する、請求項1~9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物を1日に1回投与する、請求項1~9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記医薬組成物を経口投与する、請求項1~9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記ヒトが、30 mgの前記化合物を含む前記医薬組成物を1日に2回摂取する、請求項1~9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記ヒトが、20 mgの前記化合物を含む前記医薬組成物を1日に2回摂取する、請求項1~9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記ヒトが、10 mgの前記化合物を含む前記医薬組成物を1日に2回摂取する、請求項1~9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記ヒトが、補体因子H関連タンパク質5(CFHR5)変異を有する、請求項1~15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記ヒトが12週間にわたって処置を受ける、請求項1~16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記ヒトが26週間にわたって処置を受ける、請求項1~16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記ヒトが52週間にわたって処置を受ける、請求項1~16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記ヒトが長期処置を受ける、請求項1~16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記ヒトに、1種類以上の追加の治療薬の治療的有効量が投与される、請求項1~20のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記1種類以上の追加の治療薬の選択が、免疫抑制薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシンIIタイプ1受容体ブロッカー(ARB)、コルチコステロイドからなされる、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記1種類以上の追加の治療薬が、シクロホスファミド、ミコフェノール酸モフェチル、リツキシマブ、エクリズマブ、タクロリムス、ベリムマブ、OMS721、ACH-4471、AMY-101、Actharゲル、SAND-5、コルチコトロピン、CDX-1135、ラミプリル、ペリンドプリル、リシノプリル、ペリンドプリルアルギニン、カプトプリル、スピラプリル、キナプリル、エナラプリル、イミダプリル、フォシノプリル、ゾフェノプリル、ベナゼプリル、トランドラプリル、ベラパミル、ベナゼプリル、アムロジピン、トランドラプリル、P-003、シラザプリル、デラプリル、モエキシプリル、テモカプリル、ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、テルミサルタン、オルメサルタン、バルサルタン、アジルサルタン、フィマサルタン、EMA-401、アジルサルタンメドキソミルカリウム、スパルセンタン、カンデサルタンシレキセチル、オルメサルタンメドキソミル、TRV-027、ロサルタンカリウム、YH-22189、アジルサルタントリメチルエタノールアミン、アリサルタンイソプロキシル、及びエプロサルタンからなる群から選択される、請求項21に記載の医薬組成物。
【外国語明細書】