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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126265
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】凍結保存腫瘍浸潤リンパ球の再刺激
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/0783 20100101AFI20230831BHJP
   C12N 5/078 20100101ALI20230831BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230831BHJP
   C12Q 1/06 20060101ALI20230831BHJP
   A61K 35/15 20150101ALI20230831BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20230831BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230831BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230831BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
C12N5/0783
C12N5/078
C12N5/10
C12Q1/06
A61K35/15
A61K35/17
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 105
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023102781
(22)【出願日】2023-06-22
(62)【分割の表示】P 2019521434の分割
【原出願日】2017-10-26
(31)【優先権主張番号】62/415,452
(32)【優先日】2016-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/413,387
(32)【優先日】2016-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/413,283
(32)【優先日】2016-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519006377
【氏名又は名称】アイオバンス バイオセラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】フランク,イアン
(72)【発明者】
【氏名】ロッツェ,マイケル,ティー.
(57)【要約】
【課題】凍結保存腫瘍浸潤リンパ球の再刺激
【解決手段】本開示は、TILの表現型の改善及び代謝的健康の増加につながるTIL集団の再刺激方法を提供し、及び再刺激後に有効性の高い注入に適切かどうかを決定するためのTIL集団のアッセイ方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を治療用TIL集団に拡大培養する方法であって、
(i)患者から切除された腫瘍から第1のTIL集団を入手すること;
(ii)IL-2を含む細胞培養培地中で前記第1のTIL集団を培養することにより第1の拡大培養を実施して第2のTIL集団を生じさせること;及び
(iii)前記第2のTIL集団の前記細胞培養培地に追加的なIL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を添加することにより第2の拡大培養を実施して第3のTIL集団を生じさせることを含み、前記第3のTIL集団が前記第2のTIL集団より少なくとも100倍数が多く、及び前記第3のTIL集団を入手するために前記第2の拡大培養が少なくとも14日間実施され、前記第3のTIL集団が、前記第2のTIL集団と比べて増加したエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞サブ集団を含む治療用TIL集団である、方法。
【請求項2】
前記方法が、
(iv)前記第3のTIL集団の前記細胞培養培地に追加的なIL-2、追加的なOKT-3、及び追加的なAPCを添加することにより追加的な第2の拡大培養を実施することを更に含み、前記追加的な第2の拡大培養が、ステップ(iii)で入手されたものより大きい治療用TIL集団を入手するため少なくとも14日間実施され、前記より大きい治療用TIL集団は前記第3のTIL集団と比べて増加したエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞サブ集団を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(iii)の後、前記細胞が前記細胞培養物から取り出され、ステップ(iv)の実施前に貯蔵培地中に凍結保存される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記細胞がステップ(iv)の実施前に解凍される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記治療用TIL集団中に治療上有効な投薬量のTILとなるのに十分なTILを入手するため、ステップ(iv)が1~4回繰り返される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(i)~(iii)又は(iv)が約40日~約50日の期間内に実施される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(i)~(iii)又は(iv)が約42日~約48日の期間内に実施される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(i)~(iii)又は(iv)が約42日~約45日の期間内に実施される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(i)~(iii)又は(iv)が約44日以内に実施される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(iii)又は(iv)からの前記細胞が、CD4、CD8、及びTCRαβを新鮮採取細胞と同程度に発現する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記抗原提示細胞が末梢血単核球(PBMC)である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記PBMCがステップ(iii)において9~17日目のいずれかに前記細胞培養物に加えられる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(iv)の前記治療用TIL集団中の前記エフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞が、前記第3の細胞集団中のエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞と比べて、CD27の発現、CD28の発現、より長いテロメア、CD57発現の増加、及びCD56発現の減少からなる群から選択される1つ以上の特徴を呈する、請求項2~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記エフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞がCD57発現の増加及びCD56発現の減少を呈する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記APCが人工APC(aAPC)である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
高親和性T細胞受容体をコードする核酸を含む発現ベクターで前記第1のTIL集団を形質導入するステップを更に含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
T細胞シグナル伝達分子の少なくとも1つのエンドドメインに融合した単鎖可変断片抗体を含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸を含む発現ベクターで前記第1のTIL集団を形質導入するステップを更に含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記治療用TIL集団が患者に注入される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(iii)が、前記細胞培養培地から前記細胞を取り出すステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記治療用TIL集団中に治療上有効な投薬量のTILとなるのに十分なTILを入手するため、ステップ(iii)が1~4回繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
治療上有効な投薬量となるのに十分なTILの数が約2.3×1010~約13.7×1010個である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法により作成された拡大培養TIL集団。
【請求項23】
請求項1に記載の方法により作成された拡大培養TIL集団であって、前記拡大培養TILは、解凍した凍結保存TILと比較したとき基礎解糖が少なくとも2倍に増加している、TIL集団。
【請求項24】
請求項1に記載の方法により作成されたTIL細胞集団の代謝活性を評価する方法であって、前記細胞の基礎解糖を測定することを含む方法。
【請求項25】
請求項1に記載の方法により作成されたTIL細胞集団の代謝活性を評価する方法であって、前記細胞の基礎呼吸を測定することを含む方法。
【請求項26】
請求項1に記載の方法により作成されたTIL細胞集団の代謝活性を評価する方法であって、前記細胞の予備呼吸容量(SRC)を測定することを含む方法。
【請求項27】
請求項1に記載の方法により作成されたTIL細胞集団の代謝活性を評価する方法であって、前記細胞の解糖予備能を測定することを含む方法。
【請求項28】
腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を治療用TIL集団に拡大培養する方法であって、
(i)IL-2を含む細胞培養培地中で患者から切除された腫瘍からの第1のTIL集団を培養することにより第1の拡大培養を実施して第2のTIL集団を入手すること;及び
(ii)前記第2のTIL集団の前記細胞培養培地に追加的なIL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を添加することにより第2の拡大培養を実施して第3のTIL集団を入手することを含み、前記第3のTIL集団が前記第2のTIL集団より少なくとも100倍数が多く、及び前記第3のTIL集団を入手するために前記第2の拡大培養が少なくとも14日間実施され、前記第3のTIL集団が、前記第2のTIL集団と比べて増加したエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞サブ集団を含む治療用TIL集団である、方法。
【請求項29】
前記方法が、
(iii)前記第3のTIL集団の前記細胞培養培地に追加的なIL-2、追加的なOKT-3、及び追加的なAPCを添加することにより前記第3のTIL集団の追加的な第2の拡大培養を実施することを更に含み、前記追加的な第2の拡大培養が、ステップ(ii)で入手されたものより大きい治療用TIL集団を入手するため少なくとも14日間実施され、前記より大きい治療用TIL集団が前記第3のTIL集団と比べて増加したエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞サブ集団を呈する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
ステップ(ii)の前記細胞培養培地からの前記細胞が取り出され、ステップ(iii)の前に貯蔵培地中に凍結保存される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記細胞がステップ(iii)の前に解凍される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記治療用TIL集団中に治療上有効な投薬量のTILとなるのに十分なTILを入手するため、ステップ(ii)が1~4回繰り返される、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
治療上有効な投薬量となるのに十分なTILの数が約2.3×1010~約13.7×1010個である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記APCが末梢血単核球(PBMC)である、請求項28~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記エフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞が、前記第3の細胞集団中のエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞と比べて、CD27の発現、CD28の発現、より長いテロメア、CD57発現の増加、及びCD56発現の減少からなる群から選択される1つ以上の特徴を呈する、請求項29~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記エフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞がCD57発現の増加及びCD56発現の減少を呈する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
拡大培養した腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を投与することを含む癌を有する対象の治療方法であって、
(i)患者から切除された腫瘍から第1のTIL集団を入手すること;
(ii)IL-2を含む細胞培養培地中で前記第1のTIL集団を培養することにより第1の拡大培養を実施して第2のTIL集団を生じさせること;
(iii)前記第2のTIL集団の前記細胞培養培地に追加的なIL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を添加することにより第2の拡大培養を実施して第3のTIL集団を生じさせることであって、前記第3のTIL集団が前記第2のTIL集団より少なくとも100倍数が多く、及び前記第3のTIL集団を入手するために前記第2の拡大培養が少なくとも14日間実施され、前記第3のTIL集団が、前記第2のTIL集団と比べて増加したエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞サブ集団を含む治療用TIL集団であること;及び
(iv)治療上有効な投薬量の前記第3のTIL集団を前記患者に投与すること
を含む、方法。
【請求項38】
前記方法が、ステップ(iv)の前に、前記第3のTIL集団の前記細胞培養培地に追加的なIL-2、追加的なOKT-3、及び追加的なAPCを添加することにより追加的な第2の拡大培養を実施するステップを更に含み、前記追加的な第2の拡大培養が、ステップ(iii)で入手されたものより大きい治療用TIL集団を入手するため少なくとも14日間実施され、前記より大きい治療用TIL集団が前記第3のTIL集団と比べて増加したエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞サブ集団を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
ステップ(ii)の後、前記細胞培養培地から前記細胞が取り出され、請求項38に記載の追加的な第2の拡大培養の前に貯蔵培地中に凍結保存される、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記細胞が、請求項38に記載の追加的な第2の拡大培養の前に解凍される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記治療用TIL集団中に治療上有効な投薬量のTILとなるのに十分なTILを入手するため、ステップ(iii)が1~4回繰り返される、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
治療上有効な投薬量となるのに十分なTILの数が約2.3×1010~約13.7×1010個である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記APCが末梢血単核球(PBMC)である、請求項37~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記エフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞が、前記第3の細胞集団中のエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞と比べて、CD27の発現、CD28の発現、より長いテロメア、CD57発現の増加、及びCD56発現の減少からなる群から選択される1つ以上の特徴を呈する、請求項37~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記エフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞がCD57発現の増加及びCD56発現の減少を呈する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記癌が、黒色腫、子宮頸癌、頭頸部癌、膠芽腫、卵巣癌、肉腫、膵癌、膀胱癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、及び非小細胞肺癌からなる群から選択される、請求項37~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
拡大培養した腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を投与することを含む癌を有する対象の治療方法であって、
(i)IL-2を含む細胞培養培地中で患者から切除された腫瘍からの第1のTIL集団を培養することにより第1の拡大培養を実施して第2のTIL集団を入手すること;
(ii)前記第2のTIL集団の前記細胞培養培地に追加的なIL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を添加することにより第2の拡大培養を実施して第3のTIL集団を入手することであって、前記第3のTIL集団が前記第2のTIL集団より少なくとも100倍数が多く、及び前記第3のTIL集団を入手するために前記第2の拡大培養が少なくとも14日間実施され、前記第3のTIL集団が、前記第2のTIL集団と比べて増加したエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞サブ集団を含む治療用TIL集団であること;及び
(iii)治療上有効な投薬量の前記治療用TIL集団を前記患者に投与すること
を含む方法。
【請求項48】
前記方法が、ステップ(iii)の前に、前記第3のTIL集団の前記細胞培養培地に追加的なIL-2、追加的なOKT-3、及び追加的なAPCを添加することにより追加的な第2の拡大培養を実施するステップを更に含み、前記追加的な第2の拡大培養が、ステップ(ii)で入手されたものより大きい治療用TIL集団を入手するため少なくとも14日間実施され、前記より大きい治療用TIL集団が前記第3のTIL集団と比べて増加したエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞サブ集団を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
ステップ(ii)の前記細胞培養培地からの前記細胞が取り出され、請求項48に記載の追加的な第2の拡大培養の前に貯蔵培地中に凍結保存される、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記細胞が、請求項48に記載の追加的な第2の拡大培養の前に解凍される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記治療用TIL集団中に治療上有効な投薬量のTILとなるのに十分なTILを入手するため、ステップ(ii)が1~4回繰り返される、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
治療上有効な投薬量となるのに十分なTILの数が約2.3×1010~約13.7×1010個である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記APCが末梢血単核球(PBMC)である、請求項47~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記エフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞が、前記第3の細胞集団中のエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞と比べて、CD27の発現、CD28の発現、より長いテロメア、CD57発現の増加、及びCD56発現の減少からなる群から選択される1つ以上の特徴を呈する、請求項47~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記エフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞がCD57発現の増加及びCD56発現の減少を呈する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記癌が、黒色腫、子宮頸癌、頭頸部癌、膠芽腫、卵巣癌、肉腫、膵癌、膀胱癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、及び非小細胞肺癌からなる群から選択される、請求項47~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
TILのアッセイ方法であって、
(i)第1のTIL集団を入手すること;
(ii)IL-2を含む細胞培養培地中で前記第1のTIL集団を培養することにより第1の拡大培養を実施して第2のTIL集団を生じさせること;及び
(iii)前記第2のTIL集団の前記細胞培養培地に追加的なIL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を添加することにより第2の拡大培養を実施して第3のTIL集団を生じさせることであって、前記第3のTIL集団が前記第2のTIL集団より少なくとも50倍数が多いこと;
(iv)前記第3のTIL集団を回収し、洗浄し、及び凍結保存すること;
(v)前記凍結保存TILを極低温で貯蔵すること;
(vi)前記第3のTIL集団を解凍して解凍された第3のTIL集団を提供すること;及び
(vii)前記第3の集団の前記細胞培養培地にIL-2、OKT-3、及びAPCを添加することにより、前記解凍された第3のTIL集団の一部の追加的な第2の拡大培養を少なくとも3日のreREP期間にわたって実施することであって、前記第3の拡大培養を実施して第4のTIL集団を入手し、前記第4のTIL集団中のTIL数を前記第3のTIL集団中のTIL数と比較して比を求めること;
(viii)ステップ(vii)の前記比に基づき、前記解凍されたTIL集団が患者への投与に好適かどうかを決定すること;
(ix)ステップ(viii)において前記第4のTIL集団中のTIL数と前記第3のTIL集団中のTIL数との前記比が5:1より大きいと決定されるとき、前記患者に治療上有効な投薬量の前記解凍された第3のTIL集団を投与すること
を含む方法。
【請求項58】
前記reREP期間が、前記第4のTIL集団中のTIL数と前記第3のTIL集団中のTIL数との前記比が50:1より大きくなるまで実施される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
治療上有効な投薬量となるのに十分なTILの数が約2.3×1010~約13.7×1010個である、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
ステップ(i)~(vii)が約40日~約50日の期間内に実施される、請求項57~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
ステップ(i)~(vii)が約42日~約48日の期間内に実施される、請求項57~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
ステップ(i)~(vii)が約42日~約45日の期間内に実施される、請求項57~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
ステップ(i)~(vii)が約44日以内に実施される、請求項57~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
ステップ(iii)又は(vii)からの前記細胞が、CD4、CD8、及びTCRαβを新鮮採取細胞と同程度に発現する、請求項57~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記抗原提示細胞が末梢血単核球(PBMC)である、請求項57に記載の方法。
【請求項66】
前記PBMCがステップ(iii)において9~17日目のいずれかに前記細胞培養物に加えられる、請求項645に記載の方法。
【請求項67】
ステップ(iii)又は(vii)の前記より大きいTIL集団中の前記エフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞が、前記第3の細胞集団中のエフェクターT細胞、及び/又はセントラルメモリーT細胞と比べて、CD27の発現、CD28の発現、より長いテロメア、CD57発現の増加、及びCD56発現の減少からなる群から選択される1つ以上の特徴を呈する、請求項57~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記エフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞がCD57発現の増加及びCD56発現の減少を呈する、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記APCが人工APC(aAPC)である、請求項57~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
高親和性T細胞受容体をコードする核酸を含む発現ベクターで前記第1のTIL集団を形質導入するステップを更に含む、請求項57~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記形質導入ステップがステップ(i)の前に行われる、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
T細胞シグナル伝達分子の少なくとも1つのエンドドメインに融合した単鎖可変断片抗体を含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸を含む発現ベクターで前記第1のTIL集団を形質導入するステップを更に含む、請求項57~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記形質導入ステップがステップ(i)の前に行われる、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記TILがステップ(vii)の後に生存率に関してアッセイされる、請求項57~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
TILのアッセイ方法であって、
(i)第1の凍結保存TIL集団の一部を入手すること;
(ii)前記第1の凍結保存TIL集団の前記一部を解凍すること;
(iii)IL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を含む細胞培養培地中で前記第1のTIL集団の前記一部を少なくとも3日のreREP期間にわたって培養することにより第1の拡大培養を実施して第2のTIL集団を生じさせることであって、前記第1のTIL集団からの前記一部を前記第2のTIL集団と比較してTIL数の比を求め、前記第2のTIL集団中のTIL数と前記第1のTIL集団の前記一部のTIL数との前記比が5:1より大きいこと;
(iv)ステップ(iii)の前記比に基づき、前記第1のTIL集団が患者への治療的投与における使用に好適かどうかを決定すること;及び
(v)ステップ(iv)において前記第2のTIL集団中のTIL数と前記第1のTIL集団中のTIL数との前記比が5:1より大きいと決定されるとき、前記第1のTIL集団の残りを前記患者に治療的に投与すること
を含む方法。
【請求項76】
前記第2のTIL集団中のTIL数と前記第1のTIL集団の前記一部のTIL数との前記比が50:1より大きい、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
請求項1~76のいずれか一項に記載の方法によりステップ(i)からの前記第1の凍結保存TIL集団全体の拡大培養を実施することを更に含む、請求項75又は76に記載の方法。
【請求項78】
ステップ(i)からの前記第1の凍結保存TIL集団全体を前記患者に投与することを更に含む、請求項75又は76に記載の方法。
【請求項79】
前記第2のTIL集団の代謝的健康を評価するステップを更に含む、請求項75~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記第2のTIL集団の表現型を評価するステップを更に含む、請求項75~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記抗原提示細胞が同種異系末梢血単核球である、請求項75~79のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2016年10月26日に出願された、「Expansion of Tumor-Infiltrating Lymphocytes and Methods of Using the Same」と題される米国仮特許出願第62/413,283号及び同第62/413,387号、及び2016年10月31日に出願された、「RESTIMULATION OF CRYOPRESERVED TUMOR INFILTRATING LYMPHOCYTES」と題される米国仮特許出願第62/415,452号に対する優先権を主張するものであり、これらの仮特許出願は本明細書によって全体として参照により援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
[0002] 腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の養子移入を用いた大型の難治性癌の治療は、予後不良の患者に対する強力な治療手法を表す。Gattinoni, et al., Nat. Rev. Immunol. 2006, 6, 383-393。免疫療法の成功には多量のTILが必要であり、商業化に向けてロバストで信頼性のある方法が求められている。これは、細胞拡大培養に伴う技術上、物流上、及び規制上の問題に起因して、実現が課題となっている。IL-2ベースのTIL拡大培養と、それに続く「迅速拡大培養法」(REP:rapid expansion process)が、その速さ及び効率から、TIL拡大培養に好ましい方法となりつつある。Dudley, et al., Science 2002, 298, 850-54;Dudley, et al., J. Clin. Oncol. 2005, 23, 2346-57;Dudley, et al., J. Clin. Oncol. 2008, 26, 5233-39;Riddell, et al., Science 1992, 257, 238-41;Dudley, et al., J. Immunother. 2003, 26, 332-42。REPは14日の期間でTILの1,000倍の拡大をもたらすことができるが、それにはフィーダー細胞として、多くの場合に複数のドナーからの、大過剰の(例えば200倍の)照射した同種異系末梢血単核球(PBMC)、並びに抗CD3抗体(OKT3)及び高用量のIL-2が必要である。Dudley, et al., J. Immunother. 2003, 26, 332-42。
【0003】
[0003] REP手順を経たTILは、黒色腫患者において宿主免疫抑制後に養子細胞療法の成功を生み出している。現行の注入適合パラメータは、TILの組成(例えば、CD28、CD8、又はCD4陽性)の読み取り並びにREP産物の拡大倍数及び生存率に頼るものである。
【0004】
[0004] しかしながら、現行のREPプロトコル、並びに現行のTIL拡大培養プロトコルは、概して、患者に注入されることになるTILの健康に関しては見識をほとんど与えない。T細胞は、ナイーブT細胞からエフェクターT細胞へのその成熟の過程で顕著な代謝シフトを起こす(Chang, et al., Nat. Immunol. 2016, 17, 364(本明細書によって全体として明示的に援用される)、及び特に嫌気的及び好気的代謝の考察及びマーカーについて参照のこと)。例えば、ナイーブT細胞はATPの産生をミトコンドリア呼吸に頼る一方、TILなどの成熟した健康なエフェクターT細胞は高度に解糖性であり、それが増殖、遊走、活性化、及び抗腫瘍有効性に必要とするバイオエナジェティクス基質の供給を好気的解糖に頼る。
【0005】
[0005] 加えて、このような拡大培養された細胞集団は凍結保存することができ、使い易さ、再発性疾患を有する患者に複数回再注入するための長期貯蔵、及び他の考慮点につながる。しかしながら、現行の注入適合パラメータは、TILの組成の読み取り並びに拡大培養したTILベースの産物の拡大倍数及び生存率に頼る。これらの尺度は、患者に注入されることになるTILの健康に関しては見識をほとんど与えず、凍結保存がTIL集団に及ぼす影響についてはほとんど分かっていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006] 従って、本発明は、TILの表現型の改善及び代謝的健康の増加につながるTIL集団の拡大培養及び再刺激方法に関し、及び再刺激後に有効性の高い注入に適切かどうかを決定するためのTIL集団のアッセイ方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
[0007] 本発明は、任意選択の凍結保存と組み合わせた、大規模な、時に治療用の集団におけるTILの拡大培養方法を提供する。
【0008】
[0008] 本開示によれば、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を治療用TIL集団に拡大培養する方法であって、以下のステップ:
(i)患者から切除された腫瘍から第1のTIL集団を入手するステップ;
(ii)IL-2を含む細胞培養培地中で第1のTIL集団を培養することにより第1の拡大培養を実施して第2のTIL集団を生じさせるステップ;及び
(iii)第2のTIL集団の細胞培養培地に追加的なIL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を添加することにより第2の拡大培養を実施して第3のTIL集団を生じさせるステップ
を含む方法が提供され、ここで第3のTIL集団は第2のTIL集団より少なくとも50倍又は100倍数が多く、及び第3のTIL集団を入手するために第2の拡大培養は少なくとも14日間実施され、第3のTIL集団は、第2のTIL集団と比べて増加したエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞サブ集団を含む治療用TIL集団である。
【0009】
[0009] 一部の実施形態において、本方法は、
(iv)第3のTIL集団の細胞培養培地に追加的なIL-2、追加的なOKT-3、及び追加的なAPCを添加することにより追加的な第2の拡大培養を実施するステップ
を更に含み、ここで追加的な第2の拡大培養は、ステップ(iii)で入手されたよりも大きい治療用TIL集団を入手するため少なくとも14日間実施され、より大きい治療用TIL集団は第3のTIL集団と比べて増加したエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞サブ集団を含む。
【0010】
[0010] 一部の実施形態において、ステップ(iii)の後、細胞培養物から細胞が取り出され、ステップ(iv)の実施前に貯蔵培地中に凍結保存される。
【0011】
[0011] 一部の実施形態において、細胞はステップ(iv)の実施前に解凍される。
【0012】
[0012] 一部の実施形態において、治療用TIL集団中に治療上有効な投薬量のTILとなるのに十分なTILを入手するため、ステップ(iv)が1~4回繰り返される。
【0013】
[0013] 一部の実施形態において、ステップ(i)~(iii)又は(iv)は約40日~約50日の期間内に実施される。一部の実施形態において、ステップ(i)~(iii)又は(iv)は約42日~約48日の期間内に実施される。一部の実施形態において、ステップ(i)~(iii)又は(iv)は約42日~約45日の期間内に実施される。一部の実施形態において、ステップ(i)~(iii)又は(iv)は約44日以内に実施される。
【0014】
[0014] 一部の実施形態において、ステップ(iii)又は(iv)からの細胞は、CD4、CD8、及びTCRαβを新鮮採取細胞と同程度に発現する。
【0015】
[0015] 一部の実施形態において、抗原提示細胞は末梢血単核球(PBMC)である。一部の実施形態において、PBMCはステップ(iii)において9~17日目のいずれかに細胞培養物に加えられる。
【0016】
[0016] 一部の実施形態において、ステップ(iv)の治療用TIL集団中のエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞は、第3の細胞集団中のエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞と比べて、CD27の発現、CD28の発現、より長いテロメア、CD57発現の増加、及びCD56発現の減少からなる群から選択される1つ以上の特徴を呈する。
【0017】
[0017] 一部の実施形態において、エフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞はCD57発現の増加及びCD56発現の減少を呈する。
【0018】
[0018] 一部の実施形態において、APCは人工APC(aAPC)である。
【0019】
[0019] 一部の実施形態において、本方法は、高親和性T細胞受容体をコードする核酸を含む発現ベクターで第1のTIL集団を形質導入するステップを更に含む。
【0020】
[0020] 一部の実施形態において、本方法は、T細胞シグナル伝達分子の少なくとも1つのエンドドメインに融合した単鎖可変断片抗体を含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸を含む発現ベクターで第1のTIL集団を形質導入するステップを更に含む。
【0021】
[0021] 一部の実施形態において、治療用TIL集団は患者に注入される。
【0022】
[0022] 一部の実施形態において、ステップ(iii)は、細胞培養培地から細胞を取り出すステップを更に含む。
【0023】
[0023] 一部の実施形態において、治療用TIL集団中に治療上有効な投薬量のTILとなるのに十分なTILを入手するため、ステップ(iii)が1~4回繰り返される。
【0024】
[0024] 一部の実施形態において、治療上有効な投薬量となるのに十分なTILの数は約2.3×1010~約13.7×1010個である。
【0025】
[0025] 本開示はまた、請求項1に記載の方法により作成された拡大培養TIL集団も提供する。
【0026】
[0026] 本開示はまた、請求項1に記載の方法により作成された拡大培養TIL集団も提供し、ここで拡大培養TILは、解凍した凍結保存TILと比較したとき基礎解糖が少なくとも2倍に増加している。
【0027】
[0027] 本開示はまた、本明細書に記載される方法により作成されたTIL細胞集団の代謝活性を評価する方法も提供し、これは細胞の基礎解糖を測定することを含む。
【0028】
[0028] 本開示はまた、本明細書に記載される方法により作成されたTIL細胞集団の代謝活性を評価する方法も提供し、これは細胞の基礎呼吸を測定することを含む。
【0029】
[0029] 本開示はまた、本明細書に記載される方法により作成されたTIL細胞集団の代謝活性を評価する方法も提供し、これは細胞の予備呼吸容量(SRC)を測定することを含む。
【0030】
[0030] 本開示はまた、本明細書に記載される方法により作成されたTIL細胞集団の代謝活性を評価する方法も提供し、これは細胞の解糖予備能を測定することを含む。
【0031】
[0031] 本開示はまた、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を治療用TIL集団に拡大培養する方法も提供し、この方法は、
(i)IL-2を含む細胞培養培地中で患者から切除された腫瘍からの第1のTIL集団を培養することにより第1の拡大培養を実施して第2のTIL集団を入手すること;及び
(ii)第2のTIL集団の細胞培養培地に追加的なIL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を添加することにより第2の拡大培養を実施して第3のTIL集団を入手することを含み、ここで第3のTIL集団は第2のTIL集団より少なくとも50倍又は100倍数が多く、及び第3のTIL集団を入手するために第2の拡大培養は少なくとも14日間実施され、第3のTIL集団は、第2のTIL集団と比べて増加したエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞サブ集団を含む治療用TIL集団である。
【0032】
[0032] 一部の実施形態において、本方法は、
(iii)第3のTIL集団の細胞培養培地に追加的なIL-2、追加的なOKT-3、及び追加的なAPCを添加することにより第3のTIL集団の追加的な第2の拡大培養を実施することを更に含み、ここで追加的な第2の拡大培養は、ステップ(ii)で入手されたよりも大きい治療用TIL集団を入手するため少なくとも14日間実施され、より大きい治療用TIL集団は第3のTIL集団と比べて増加したエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞サブ集団を呈する。
【0033】
[0033] 一部の実施形態において、ステップ(ii)の細胞培養培地からの細胞が取り出され、ステップ(iii)の前に貯蔵培地中に凍結保存される。
【0034】
[0034] 一部の実施形態において、細胞はステップ(iii)の前に解凍される。
【0035】
[0035] 一部の実施形態において、治療用TIL集団中に治療上有効な投薬量のTILとなるのに十分なTILを入手するため、ステップ(ii)が1~4回繰り返される。
【0036】
[0036] 一部の実施形態において、治療上有効な投薬量となるのに十分なTILの数は約2.3×1010~約13.7×1010個である。
【0037】
[0037] 一部の実施形態において、APCは末梢血単核球(PBMC)である。
【0038】
[0038] 一部の実施形態において、エフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞は、第3の細胞集団中のエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞と比べて、CD27の発現、CD28の発現、より長いテロメア、CD57発現の増加、及びCD56発現の減少からなる群から選択される1つ以上の特徴を呈する。
【0039】
[0039] 一部の実施形態において、エフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞はCD57発現の増加及びCD56発現の減少を呈する。
【0040】
[0040] 本開示はまた、拡大培養した腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を投与することを含む癌を有する対象の治療方法も提供し、この方法は、
(i)患者から切除された腫瘍から第1のTIL集団を入手すること;
(ii)IL-2を含む細胞培養培地中で第1のTIL集団を培養することにより第1の拡大培養を実施して第2のTIL集団を生じさせること;
(iii)第2のTIL集団の細胞培養培地に追加的なIL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を添加することにより第2の拡大培養を実施して第3のTIL集団を生じさせることであって、第3のTIL集団が第2のTIL集団より少なくとも50倍又は100倍数が多く、及び第3のTIL集団を入手するために第2の拡大培養が少なくとも14日間実施され、第3のTIL集団が、第2のTIL集団と比べて増加したエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞サブ集団を含む治療用TIL集団であること;及び
(iv)治療上有効な投薬量の第3のTIL集団を患者に投与すること
を含む。
【0041】
[0041] 一部の実施形態において、本方法は、ステップ(iv)の前に、第3のTIL集団の細胞培養培地に追加的なIL-2、追加的なOKT-3、及び追加的なAPCを添加することにより追加的な第2の拡大培養を実施するステップを更に含み、ここで追加的な第2の拡大培養は、ステップ(iii)で入手されたよりも大きい治療用TIL集団を入手するため少なくとも14日間実施され、より大きい治療用TIL集団は第3のTIL集団と比べて増加したエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞サブ集団を含む。
【0042】
[0042] 一部の実施形態において、ステップ(ii)の後、細胞培養培地から細胞が取り出され、本明細書に記載される方法に係る追加的な第2の拡大培養の前に貯蔵培地中に凍結保存される。
【0043】
[0043] 一部の実施形態において、細胞は、本明細書に記載される方法に係る追加的な第2の拡大培養の前に解凍される。
【0044】
[0044] 一部の実施形態において、治療用TIL集団中に治療上有効な投薬量のTILとなるのに十分なTILを入手するため、ステップ(iii)が1~4回繰り返される。
【0045】
[0045] 一部の実施形態において、治療上有効な投薬量となるのに十分なTILの数は約2.3×1010~約13.7×1010個である。
【0046】
[0046] 一部の実施形態において、APCは末梢血単核球(PBMC)である。
【0047】
[0047] 一部の実施形態において、エフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞は、第3の細胞集団中のエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞と比べて、CD27の発現、CD28の発現、より長いテロメア、CD57発現の増加、及びCD56発現の減少からなる群から選択される1つ以上の特徴を呈する。
【0048】
[0048] 一部の実施形態において、エフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞はCD57発現の増加及びCD56発現の減少を呈する。
【0049】
[0049] 一部の実施形態において、癌は、黒色腫、子宮頸癌、頭頸部癌、膠芽腫、卵巣癌、肉腫、膵癌、膀胱癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、及び非小細胞肺癌からなる群から選択される。
【0050】
[0050] 本開示はまた、拡大培養した腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を投与することを含む癌を有する対象の治療方法も提供し、この方法は、
(i)IL-2を含む細胞培養培地中で患者から切除された腫瘍からの第1のTIL集団を培養することにより第1の拡大培養を実施して第2のTIL集団を入手すること;
(ii)第2のTIL集団の細胞培養培地に追加的なIL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を添加することにより第2の拡大培養を実施して第3のTIL集団を入手することであって、第3のTIL集団が第2のTIL集団より少なくとも50倍又は100倍数が多く、及び第3のTIL集団を入手するために第2の拡大培養が少なくとも14日間実施され、第3のTIL集団が、第2のTIL集団と比べて増加したエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞サブ集団を含む治療用TIL集団であること;及び
(iii)治療上有効な投薬量の治療用TIL集団を患者に投与すること
を含む。
【0051】
[0051] 一部の実施形態において、本方法は、ステップ(iii)の前に、第3のTIL集団の細胞培養培地に追加的なIL-2、追加的なOKT-3、及び追加的なAPCを添加することにより追加的な第2の拡大培養を実施するステップを更に含み、ここで追加的な第2の拡大培養は、ステップ(ii)で入手されたよりも大きい治療用TIL集団を入手するため少なくとも14日間実施され、より大きい治療用TIL集団は第3のTIL集団と比べて増加したエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞サブ集団を含む。
【0052】
[0052] 一部の実施形態において、ステップ(ii)の細胞培養培地からの細胞が取り出され、本明細書に記載されるとおりの追加的な第2の拡大培養の前に貯蔵培地中に凍結保存される。
【0053】
[0053] 一部の実施形態において、細胞は本明細書に記載されるとおりの追加的な第2の拡大培養の前に解凍される。
【0054】
[0054] 一部の実施形態において、治療用TIL集団中に治療上有効な投薬量のTILとなるのに十分なTILを入手するため、ステップ(ii)が1~4回繰り返される。
【0055】
[0055] 一部の実施形態において、治療上有効な投薬量となるのに十分なTILの数は約2.3×1010~約13.7×1010個である。
【0056】
[0056] 一部の実施形態において、APCは末梢血単核球(PBMC)である。
【0057】
[0057] 一部の実施形態において、エフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞は、第3の細胞集団中のエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞と比べて、CD27の発現、CD28の発現、より長いテロメア、CD57発現の増加、及びCD56発現の減少からなる群から選択される1つ以上の特徴を呈する。
【0058】
[0058] 一部の実施形態において、エフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞はCD57発現の増加及びCD56発現の減少を呈する。
【0059】
[0059] 一部の実施形態において、癌は、黒色腫、子宮頸癌、頭頸部癌、膠芽腫、卵巣癌、肉腫、膵癌、膀胱癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、及び非小細胞肺癌からなる群から選択される。
【0060】
[0060] 本発明はまた、TIL生存率を決定するためのアッセイ方法も提供する。本開示は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)をより大きいTIL集団に拡大培養することによりTILの生存率をアッセイする方法も提供し、この方法は、
(i)予め拡大培養された第1のTIL集団を入手すること;
(ii)IL-2を含む細胞培養培地中で第1のTIL集団を培養することにより第1の拡大培養を実施して第2のTIL集団を生じさせること;及び
(iii)第2のTIL集団の細胞培養培地に追加的なIL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を添加することにより第2の拡大培養を実施して第3のTIL集団を生じさせることを含み、ここで第3のTIL集団は第2のTIL集団より少なくとも50倍又は100倍数が多く、及び第3のTIL集団を入手するために第2の拡大培養は少なくとも14日間実施され、第3のTIL集団は第2のTIL集団と比べて増加したエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞サブ集団を含み、及び第3の集団は生存率に関して更にアッセイされる。
【0061】
[0061] 一部の実施形態において、本方法は、
(iv)第3のTIL集団の細胞培養培地に追加的なIL-2、追加的なOKT-3、及び追加的なAPCを添加することにより追加的な第2の拡大培養を実施すること
を更に含み、ここで追加的な第2の拡大培養は、ステップ(iii)で入手されたよりも大きいTIL集団を入手するため少なくとも14日間実施され、より大きいTIL集団は第3のTIL集団と比べて増加したエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞サブ集団を含み、及び第3の集団は生存率に関して更にアッセイされる。
【0062】
[0062] 一部の実施形態において、ステップ(i)の前に、細胞は凍結保存される。
【0063】
[0063] 一部の実施形態において、細胞はステップ(i)の実施前に解凍される。
【0064】
[0064] 一部の実施形態において、分析に十分なTILを入手するため、ステップ(iv)が1~4回繰り返される。
【0065】
[0065] 一部の実施形態において、ステップ(i)~(iii)又は(iv)は約40日~約50日の期間内に実施される。
【0066】
[0066] 一部の実施形態において、ステップ(i)~(iii)又は(iv)は約42日~約48日の期間内に実施される。
【0067】
[0067] 一部の実施形態において、ステップ(i)~(iii)又は(iv)は約42日~約45日の期間内に実施される。
【0068】
[0068] 一部の実施形態において、ステップ(i)~(iii)又は(iv)は約44日以内に実施される。
【0069】
[0069] 一部の実施形態において、ステップ(iii)又は(iv)からの細胞は、CD4、CD8、及びTCRαβを新鮮採取細胞と同程度に発現する。
【0070】
[0070] 一部の実施形態において、抗原提示細胞は末梢血単核球(PBMC)である。
【0071】
[0071] 一部の実施形態において、PBMCはステップ(iii)において9~17日目のいずれかに細胞培養物に加えられる。
【0072】
[0072] 一部の実施形態において、ステップ(iv)のより大きいTIL集団中のエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞は、第3の細胞集団中のエフェクターT細胞、及び/又はセントラルメモリーT細胞と比べて、CD27の発現、CD28の発現、より長いテロメア、CD57発現の増加、及びCD56発現の減少からなる群から選択される1つ以上の特徴を呈する。
【0073】
[0073] 一部の実施形態において、エフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞はCD57発現の増加及びCD56発現の減少を呈する。
【0074】
[0074] 一部の実施形態において、APCは人工APC(aAPC)である。
【0075】
[0075] 一部の実施形態において、本方法は、高親和性T細胞受容体をコードする核酸を含む発現ベクターで第1のTIL集団を形質導入するステップを更に含む。
【0076】
[0076] 一部の実施形態において、形質導入ステップはステップ(i)の前に行われる。
【0077】
[0077] 一部の実施形態において、本方法は、T細胞シグナル伝達分子の少なくとも1つのエンドドメインに融合した単鎖可変断片抗体を含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸を含む発現ベクターで第1のTIL集団を形質導入するステップを更に含む。
【0078】
[0078] 一部の実施形態において、形質導入ステップはステップ(i)の前に行われる。
【0079】
[0079] 一部の実施形態において、TILは生存率に関してアッセイされる。
【0080】
[0080] 一部の実施形態において、TILは凍結保存後に生存率に関してアッセイされる。
【0081】
[0081] 一部の実施形態において、TILは凍結保存後及びステップ(iv)の後に生存率に関してアッセイされる。
【0082】
[0082] 本開示によれば、TILの生存率をアッセイする方法及び/又は対象への投与における更なる使用。一部の実施形態において、腫瘍浸潤リンパ球(tumor infiltratitng lymphocyte)(TIL)のアッセイ方法は、
(i)第1のTIL集団を入手すること;
(ii)IL-2を含む細胞培養培地中で第1のTIL集団を培養することにより第1の拡大培養を実施して第2のTIL集団を生じさせること;及び
(iii)第2のTIL集団の細胞培養培地に追加的なIL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を添加することにより第2の拡大培養を実施して第3のTIL集団を生じさせることであって、第3のTIL集団が第2のTIL集団より少なくとも50倍数が多いこと;
(iv)第3のTIL集団を回収し、洗浄し、及び凍結保存すること;
(v)凍結保存TILを極低温で貯蔵すること;
(vi)第3のTIL集団を解凍して解凍された第3のTIL集団を提供すること;及び
(vii)第3の集団の細胞培養培地にIL-2、OKT-3、及びAPCを添加することにより、解凍された第3のTIL集団の一部の追加的な第2の拡大培養を少なくとも3日のreREP期間にわたって実施することであって、この第3の拡大培養を実施して第4のTIL集団を入手し、第4のTIL集団中のTIL数を第3のTIL集団中のTIL数と比較して比を求めること;
(viii)ステップ(vii)の比に基づき、解凍されたTIL集団が患者への投与に好適かどうかを決定すること;
(ix)ステップ(viii)において第4のTIL集団中のTIL数と第3のTIL集団中のTIL数との比が5:1より大きいと決定されるとき、治療上有効な投薬量の解凍された第3のTIL集団を患者に投与すること
を含む。
【0083】
[0083] 一部の実施形態において、reREP期間は、第4のTIL集団中のTIL数と第3のTIL集団中のTIL数との比が50:1より大きくなるまで実施される。
【0084】
[0084] 一部の実施形態において、治療上有効な投薬量となるのに十分なTILの数は約2.3×1010~約13.7×1010個である。
【0085】
[0085] 一部の実施形態において、ステップ(i)~(vii)は約40日~約50日の期間内に実施される。一部の実施形態において、ステップ(i)~(vii)は約42日~約48日の期間内に実施される。一部の実施形態において、ステップ(i)~(vii)は約42日~約45日の期間内に実施される。一部の実施形態において、ステップ(i)~(vii)は約44日以内に実施される。
【0086】
[0086] 一部の実施形態において、ステップ(iii)又は(vii)からの細胞は、CD4、CD8、及びTCRαβを新鮮採取細胞と同程度に発現する。一部の実施形態において細胞はTILである。
【0087】
[0087] 一部の実施形態において、抗原提示細胞は末梢血単核球(PBMC)である。一部の実施形態において、PBMCはステップ(iii)において9~17日目のいずれかに細胞培養物に加えられる。
【0088】
[0088] 一部の実施形態において、ステップ(iii)又は(vii)のより大きいTIL集団中のエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞は、第3の細胞集団中のエフェクターT細胞、及び/又はセントラルメモリーT細胞と比べて、CD27の発現、CD28の発現、より長いテロメア、CD57発現の増加、及びCD56発現の減少からなる群から選択される1つ以上の特徴を呈する。
【0089】
[0089] 一部の実施形態において、エフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞はCD57発現の増加及びCD56発現の減少を呈する。
【0090】
[0090] 一部の実施形態において、APCは人工APC(aAPC)である。
【0091】
[0091] 一部の実施形態において、高親和性T細胞受容体をコードする核酸を含む発現ベクターで第1のTIL集団を形質導入するステップ。
【0092】
[0092] 一部の実施形態において、形質導入ステップはステップ(i)の前に行われる。
【0093】
[0093] 一部の実施形態において、T細胞シグナル伝達分子の少なくとも1つのエンドドメインに融合した単鎖可変断片抗体を含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸を含む発現ベクターで第1のTIL集団を形質導入するステップ。
【0094】
[0094] 一部の実施形態において、形質導入ステップはステップ(i)の前に行われる。
【0095】
[0095] 一部の実施形態において、TILはステップ(vii)の後に生存率に関してアッセイされる。
【0096】
[0096] 本開示はまた、更なるTILのアッセイ方法も提供する。一部の実施形態において、本開示は、TILのアッセイ方法を提供し、この方法は、
(i)第1の凍結保存TIL集団の一部を入手すること;
(ii)第1の凍結保存TIL集団の一部を解凍すること;
(iii)IL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を含む細胞培養培地中で第1のTIL集団の一部を少なくとも3日のreREP期間にわたって培養することにより第1の拡大培養を実施して第2のTIL集団を生じさせることであって、第1のTIL集団からの一部を第2のTIL集団と比較してTIL数の比を求め、第2のTIL集団中のTIL数と第1のTIL集団の一部のTIL数との比が5:1より大きいこと;
(iv)ステップ(iii)の比に基づき、第1のTIL集団が患者への治療的投与における使用に好適かどうかを決定すること;
(v)ステップ(iv)において第2のTIL集団中のTIL数と第1のTIL集団中のTIL数との比が5:1より大きいと決定されるとき、第1のTIL集団が治療的投与における使用に好適であると決定すること
を含む。
【0097】
[0097] 一部の実施形態において、第2のTIL集団中のTIL数と第1のTIL集団の一部のTIL数との比は50:1より大きい。
【0098】
[0098] 一部の実施形態において、本方法は、本明細書に提供される任意の実施形態に記載されるとおりの方法によりステップ(i)からの第1の凍結保存TIL集団全体の拡大培養を実施することを更に含む。
【0099】
[0099] 一部の実施形態において、本方法は、ステップ(i)からの第1の凍結保存TIL集団全体を患者に投与することを更に含む。
【0100】
[00100] 本開示はまた、更なるTILのアッセイ方法も提供する。一部の実施形態において、本開示は、TILのアッセイ方法を提供し、この方法は、
(i)第1の凍結保存TIL集団の一部を入手すること;
(ii)第1の凍結保存TIL集団の一部を解凍すること;
(iii)IL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を含む細胞培養培地中で第1のTIL集団の一部を少なくとも3日のreREP期間にわたって培養することにより第1の拡大培養を実施して第2のTIL集団を生じさせることであって、第1のTIL集団からの一部を第2のTIL集団と比較してTIL数の比を求め、第2のTIL集団中のTIL数と第1のTIL集団の一部のTIL数との比が5:1より大きいこと;
(iv)ステップ(iii)の比に基づき、第1のTIL集団が患者への治療的投与における使用に好適かどうかを決定すること;及び
(v)ステップ(iv)において第2のTIL集団中のTIL数と第1のTIL集団中のTIL数との比が5:1より大きいと決定されるとき、第1のTIL集団の残りを患者に治療的に投与すること
を含む。
【0101】
[00101] 一部の実施形態において、第2のTIL集団中のTIL数と第1のTIL集団の一部のTIL数との比は50:1より大きい。
【0102】
[00102] 一部の実施形態において、本方法は、先行する請求項のいずれかの方法によりステップ(i)からの第1の凍結保存TIL集団全体の拡大培養を実施することを更に含む。
【0103】
[00103] 一部の実施形態において、本方法は、ステップ(i)からの第1の凍結保存TIL集団全体を患者に投与することを更に含む。
【0104】
[00104] 一部の実施形態において、本方法は、第2のTIL集団の代謝的健康を評価するステップを更に含んだ。
【0105】
[00105] 一部の実施形態において、本方法は、第2のTIL集団の表現型を評価するステップを更に含む。
【0106】
[00106] 一部の実施形態において、抗原提示細胞は同種異系末梢血(peripherial blood)単核球である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
図面の簡単な説明
図1】[00107]実施例1の結果を示す。この表が示すとおり、抗原再刺激迅速拡大培養プロトコル(「reREP」)の後、TILはその解糖系呼吸の著しい亢進を呈する。SRC=予備呼吸容量。
図2】[00108]新鮮TIL及び解凍TILの組成。TILをTCRαβ及びCD56について染色してT細胞及びNK集団を定義した。示されるデータは、6つの個別のTILの平均である。
図3】[00109]メモリー表現型はCD45RA及びCCR7発現によって定義される。CD4及びCD8 TILは、大部分がエフェクターメモリー(EM)である。これは解凍TILにおいても同じままである。各点が、分析した1つの試料である。ウィルコクソンの対応のある符号付き順位検定で有意な差は認められない。
図4】[00110]新鮮TILと解凍TILとの間のCD4、CD8、CD4+CD28+、及びCD8+CD28+頻度のピアソン相関。細胞を上記のマーカーで染色した。x軸上に新鮮の値及びy軸上に解凍の値として、各点が1個を表す。フィッティング線は線形回帰分析を用いて描いた。
図5】[00111]新鮮及び解凍TILに関する比較可能な活性化マーカー。ウィルコクソンの対応のある順位検定を用いて新鮮TILと解凍TILとで活性化状態に有意な差は認められなかった。各点が、分析した1つの試料を表し、平均値±SEMとして示される。
図6】[00112]凍結保存及び解凍後のLAG-3染色の維持。A:CD8 TILのLAG-3染色。B:新鮮及び解凍TILに関するCD4及びCD8集団の調節分子の%頻度。CD8+TIM-3+及びCD8+LAG-3+解凍TILは新鮮TILよりも%が低い。マン・ホイットニー統計検定。
図7】[00113]凍結保存後の注入表現型について著しく安定している腫瘍浸潤リンパ球(TIL)。
図8】[00114]reREP TILの表現型の特徴付けを示す散布図。Q1は19.0%CD45RA/CCR7を示す;Q2は0.066%CD45RA/CCR7を示す;Q4は80.6%CD45RA/CCR7を示す;及びQ3は0.36%CD45RA/CCR7を示す。
図9】[00115]第1及び第2の拡大培養段階の間のreREP TILの表現型の特徴付けを示す図及びデータ、14日目、第1の拡大培養後だが第2の拡大培養前に0.08%CD45RA/CCR7;0.03%CD45RA/CCR7;73.97%CD45RA/CCR7;及び25.91%CD45RA/CCR7。反復ReREPにおけるCM又はEM TILの増殖。反復ReREPを用いてセントラルメモリー(CM)TIL及びエフェクターメモリー(EM)TILの増殖能を試験した。簡潔に言えば、1.3×10個のポストREP TILを1.3×10個のPBMCフィーダー(CFSE標識)、OKT3(30ng/nl)及びrhIL-2(3000IU/ml)と共培養し、培養を14日間インキュベートした。14日目、セントラルメモリーTIL及びエフェクターメモリーTILを、それぞれ、L/D Aqua-/CFSE-/TCRα/β+/CD45RA-/CCR7+及びL/D Aqua-/CFSE-/TCRα/β+/CD45RA-/CCR7-集団にゲーティングし、フローサイトメトリーで選別した。細胞集団の純度は97%であった。次に、1×10個のフローサイトメトリーで選別したCM若しくはEM又は未選別のTILを1×10個のPBMCフィーダー、OKT3(30ng/nl)及びIL-2(3000IU/ml)とトリプリケートで7日間培養した。細胞をカウントし、記録した。セントラルメモリーTILはエフェクターメモリーTILと比較すると増殖性が高かった。本発明者らはより多くのポストREP TIL株でこの実験を繰り返しているところである。
図10】[00116]図10A及び図10B:ReREPの間のTILの表現型の特徴付け。セントラルメモリーTIL(CD45RACCR7)又はエフェクターメモリーTIL(CD45RACCR7)メモリー表現型を明らかにするため、細胞をAqua-/TCRα/β+/CD4+又はCD8+でゲーティングした。統計的有意性はスチューデント「t」を用いて計算した。p<0.05、ns 有意差なし。
図11】[00117]本明細書において1Cプロセスと称されることもあるTIL調製プロセスの例示的概略図。
図12】[00118]非黒色腫腫瘍からのTILの拡大培養成功。データは非黒色腫腫瘍におけるTIL(CD4+/CD8+)の分布を示す。
図13】[00119]非黒色腫TILは、幼若TILと一致して、CD27及びCD38を発現した。
図14】[00120]活性化TILはエフェクターメモリー集団の方に偏る。
図15】[00121]新鮮TIL表現型及びreREP TIL表現型。
【発明を実施するための形態】
【0108】
発明の詳細な説明
I.序論
[00122] 迅速拡大培養プロトコル(REP:Rapid Expansion Protocol)によってエキソビボで培養したTILを利用する養子細胞療法は、黒色腫患者において宿主免疫抑制後に養子細胞療法の成功を生み出している。現行の注入適合パラメータは、TILの組成(例えば、CD28、CD8、又はCD4陽性)の読み取り並びにREP産物の拡大倍数及び生存率の数値に頼っている。
【0109】
[00123] 現行のREPプロトコルは、患者に注入されることになるTILの健康に関しては見識をほとんど与えない。T細胞は、ナイーブT細胞からエフェクターT細胞へのその成熟の過程で顕著な代謝シフトを起こす(Chang, et al., Nat. Immunol. 2016, 17, 364(本明細書によって全体として明示的に援用される)、及び特に嫌気的及び好気的代謝の考察及びマーカーについて参照のこと)。例えば、ナイーブT細胞はATPの産生をミトコンドリア呼吸に頼る一方、TILなどの成熟した健康なエフェクターT細胞は高度に解糖性であり、それが増殖、遊走、活性化、及び抗腫瘍有効性に必要とするバイオエナジェティクス基質の供給を好気的解糖に頼る。
【0110】
[00124] 先行論文の報告によれば、重度に解糖に頼る細胞は養子移入時に栄養枯渇を被り、その結果、移入細胞の大部分が死滅することになるため、移入前にTILの解糖を制限し、ミトコンドリア代謝を促進することが望ましい。従って、当該技術分野では、ミトコンドリア代謝を促進すればインビボ寿命が促進される可能性があると教示され、実際、免疫応答の誘導前に解糖の阻害薬を使用することが提案されている。Chang et al.(Chang, et al., Nat. Immunol. 2016, 17(364), 574-582)を参照のこと。
【0111】
[00125] 本発明は、好ましい態様において、新鮮に採取したTIL又は再刺激TIL(本明細書において「reTIL」と称されることもある)用の解凍した凍結保存TILと比較したとき意外にもセントラルメモリー(CD45RACCR7)又はエフェクターメモリー(CD45RACCR7)表現型を含めたメモリーT細胞サブセットの拡大につながる、及び/又は解糖系呼吸の著しい亢進につながる、本明細書において「再刺激迅速拡大培養プロトコル」又は「reREP」と称されることもある追加的な再刺激プロトコルでREPを増強する新規方法に関する。即ち、凍結保存TILに対してreREP手順(即ち、第1の拡大培養と第2の拡大培養とを含む手順)を用いることにより、患者は高度に代謝的に活性で健康なTILを受け取ることができ、より良好な転帰につながり得る。
【0112】
[00126] 本発明は更に、一部の実施形態において、この代謝的健康の増加を判定及び定量化する方法に関する。従って、本発明は、限定はされないが、解糖の速度及び量、酸化的リン酸化、予備呼吸容量(SRC)及び解糖予備能を含めた1つ以上の一般的な代謝判定を用いてTIL集団の相対的健康をアッセイする方法を提供する。
【0113】
[00127] その上、本発明は更に、一部の実施形態において、この代謝的健康の増加を判定及び定量化する方法に関する。従って、本発明は、限定はされないが、解糖の速度及び量、酸化的リン酸化、予備呼吸容量(SRC)、及び解糖予備能を含めた1つ以上の一般的な代謝判定を用いてTIL集団の相対的健康をアッセイする方法を提供する。
【0114】
[00128] 加えて、任意選択の追加的な判定としては、限定はされないが、ATP産生、ミトコンドリア質量及びグルコース取込みが挙げられる。
【0115】
[00129] ある場合には、代謝的健康が増加したreREP細胞集団は、当該技術分野において概して公知のとおり患者に注入される。
【0116】
II.定義
[00130] 本明細書において「腫瘍浸潤リンパ球」又は「TIL」とは、対象の血流を離れて腫瘍中に遊走した、当初白血球細胞として得られた細胞の集団が意味される。TILとしては、限定はされないが、CD8+細胞傷害性T細胞(リンパ球)、Th1及びTh17 CD4+ T細胞、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞及びM1マクロファージが挙げられる。TILには、初代TIL及び二次TILの両方が含まれる。「初代TIL」は、本明細書に概説されるとおり患者組織試料から得られるものであり(「新鮮に採取された」と称されることもある)、及び「二次TIL」は、限定はされないが、バルクTIL、拡大培養TIL(「REP TIL」)並びに本明細書で考察するとおりの「reREP TIL」を含め、本明細書で考察するとおり拡大培養された又は増殖した任意のTIL細胞集団である。
【0117】
[00131] TILは、概して、細胞表面マーカーを使用して生化学的に定義することも、又は腫瘍に浸潤して治療を達成するその能力によって機能的に定義することもできる。TILは、概して、以下のバイオマーカー:CD4、CD8、TCRαβ、CD27、CD28、CD56、CCR7、CD45Ra、CD95、PD-1、及びCD25のうちの1つ以上の発現によって分類することができる。加えて、及び或いは、TILは、患者への再導入時に固形腫瘍に浸潤するその能力によって機能的に定義することができる。TILは、更に効力によって特徴付けられてもよく-例えば、TILは、例えばインターフェロン(IFN)遊離が約50pg/mLより高い、約100pg/mLより高い、約150pg/mLより高い、又は約200pg/mLより高い場合に効力があると見なすことができる。インターフェロンには、インターフェロンγ(IFNγ)が含まれ得る。
【0118】
[00132] 本明細書において「凍結保存TIL」とは、初代、バルク、又は拡大培養(REP TIL)のいずれかのTILが約-150℃~-60℃の範囲で処理及び保存されることを意味する。一般的な凍結保存方法はまた、実施例を含め、本明細書の他の部分にも記載される。明確にするために言えば、「凍結保存TIL」は、初代TILの供給源として用いられ得る凍結組織試料と区別可能なものである。
【0119】
[00133] 本明細書において「解凍した凍結保存TIL」とは、かつて凍結保存されていたが、次に処理により、限定はされないが細胞培養温度又はTILを患者に投与し得る温度を含め、室温以上に戻されたTIL集団を意味する。
【0120】
[00134] 本明細書において「細胞集団」(TILを含む)は、共通の形質を共有する多数の細胞を意味する。一般に、集団は、概して数が1×10~1×1010個の範囲であり、異なるTIL集団は異なる数を含む。例えば、IL-2の存在下での初代TILの初期成長は、およそ1×10個の細胞のバルクTIL集団をもたらす。REP拡大培養は、概して1.5×10~1.5×1010個の注入用の細胞集団が提供されるように行われる。
【0121】
[00135] 一般に、TILは初めは患者腫瘍試料から入手され(「初代TIL」)、次に本明細書に記載されるとおりの更なる操作のためより大きい集団へと拡大培養され、任意選択で凍結保存され、本明細書に概説されるとおり再刺激され、及び任意選択でTILの健康の指標として表現型及び代謝パラメータが判定される。
【0122】
[00136] 一般に、採取された細胞懸濁液は「初代細胞集団」又は「新鮮に採取した」細胞集団と呼ばれる。
【0123】
[00137] 一般に、本明細書で考察するとおり、TILは、初めは、本明細書で考察するとおり患者から切除された腫瘍から初代TIL集団を入手することにより調製される(「初代細胞集団」又は「第1の細胞集団」)。これに続き、細胞をIL-2と培養することを利用した初期バルク拡大培養が行われ、第2の細胞集団が形成される(本明細書において「バルクTIL集団」又は「第2の集団」と称されることもある)。
【0124】
[00138] 用語「細胞傷害性リンパ球」には、細胞傷害性T(CTL)細胞(CD8細胞傷害性Tリンパ球及びCD4 T-ヘルパーリンパ球を含む)、ナチュラルキラーT(NKT)細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。細胞傷害性リンパ球には、例えば、末梢血由来α/βTCR陽性T細胞又は腫瘍関連抗原によって活性化されるか、及び/又は腫瘍特異的キメラ抗原受容体又はT細胞受容体で形質導入されたα/βTCR陽性T細胞、及び腫瘍浸潤リンパ球(TIL)が含まれ得る。
【0125】
[00139] 用語「セントラルメモリーT細胞」は、ヒトではCD45RO+であり、且つCCR7(CCR7hi)及びCD62L(CD62hi)を構成的に発現するT細胞のサブセットを指す。セントラルメモリーT細胞の表面表現型にはまた、TCR、CD3、CD127(IL-7R)、及びIL-15Rも含まれる。セントラルメモリーT細胞の転写因子には、BCL-6、BCL-6B、MBD2、及びBMIIが含まれる。セントラルメモリーT細胞はTCR惹起後にエフェクター分子としてIL-2及びCD40Lを主に分泌する。セントラルメモリーT細胞は血中のCD4コンパートメントにおいて優勢であり、ヒトではリンパ節及び扁桃腺に比例的に高濃度化する。
【0126】
[00140] 用語「エフェクターメモリーT細胞」は、セントラルメモリーT細胞と同様にCD45R0+であるが、CCR7の構成的発現が欠損しており(CCR7lo)、且つCD62L発現が不均一であるか又は低い(CD62Llo)、ヒト又は哺乳類T細胞のサブセットを指す。セントラルメモリーT細胞の表面表現型にはまた、TCR、CD3、CD127(IL-7R)、及びIL-15Rも含まれる。セントラルメモリーT細胞の転写因子には、BLIMP1が含まれる。エフェクターメモリーT細胞は抗原刺激後に、インターフェロン-γ、IL-4、及びIL-5を含め、高レベルの炎症性サイトカインを急速に分泌する。エフェクターメモリーT細胞は血中のCD8コンパートメントにおいて優勢であり、ヒトでは肺、肝臓、及び腸に比例的に高濃度化する。CD8+ エフェクターメモリーT細胞は多量のパーフォリンを有する。用語「閉鎖系」は、外部環境に対して閉鎖されている系を指す。本発明の方法では、細胞培養方法に適切な任意の閉鎖系を用いることができる。閉鎖系としては、例えば、限定はされないが、閉鎖型Gコンテナが挙げられる。閉鎖系に腫瘍セグメントが加えられた後は、TILの患者への投与直前までこの系は外部環境に対して開放されない。
【0127】
[00141] 用語「末梢血単核球」及び「PBMC」は、リンパ球(T細胞、B細胞、NK細胞)及び単球を含めた、円形の核を有する末梢血細胞を指す。好ましくは、末梢血単核球は、照射された同種異系末梢血単核球である。
【0128】
[00142] 用語「迅速拡大培養」は、1週間の期間で少なくとも約3倍(又は4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、又は9倍)、より好ましくは1週間の期間で少なくとも約10倍(又は20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、又は90倍)、又は最も好ましくは1週間の期間で少なくとも約100倍の抗原特異的TIL数の増加を意味する。複数の迅速拡大培養プロトコルが本明細書に記載される。
【0129】
[00143] 一部の実施形態において、本開示の方法は、腫瘍組織又は腫瘍組織からの細胞を標準的な実験用培地(限定なしに、RPMIを含む)で成長させて、照射フィーダー細胞及び抗CD3抗体などの試薬で処理することにより、TIL数の増加及び/又は所望の細胞表面マーカー又は他の構造的、生化学的若しくは機能的特徴を含む細胞に関する集団のエンリッチメントなど、所望の効果を実現する「プレREP」段階を更に含む。プレREP段階は、TIL産生を改善するための代替戦略を取り入れ易くなるように、実験グレードの試薬を(実験グレードの試薬が後のREP段階の間に希釈されるという仮定の下に)利用してもよい。従って、一部の実施形態において、プレREP段階の間、培養培地中には、開示されるTLRアゴニスト及び/又はペプチド又はペプチドミメティクスが含まれ得る。プレREP培養は、一部の実施形態では、IL-2を含み得る。
【0130】
[00144] 本発明は、好ましい態様において、新鮮に採取したTIL又は再刺激TIL(本明細書において「reTIL」と称されることもある)用の解凍した凍結保存TILと比較したとき意外にもメモリーエフェクターT細胞サブセットを含めたメモリーT細胞サブセットの拡大につながる、及び/又は解糖系呼吸の著しい亢進につながる、本明細書において「再刺激迅速拡大培養プロトコル」又は「reREP」と称されることもある追加的な再刺激プロトコルでREPを増強する新規方法に関する。即ち、凍結保存TILに対してreREP手順を用いることにより、患者は高度に代謝的に活性で健康なTILを受け取ることができ、より良好な転帰につながり得る。かかる再刺激プロトコルは、本明細書では細胞集団の追加的な「拡大培養」とも称され、本明細書に更に詳細に記載される。
【0131】
[00145] 用語「断片化する」、「断片」、及び「断片化された」は、腫瘍の破壊プロセスを記載するために本明細書で使用されるとき、腫瘍組織を押しつぶす、スライスする、分割する、及び細切するなど、機械的断片化方法、並びに腫瘍組織の物理的構造を破壊する任意の他の方法を含む。用語「インビボ」は、対象の体内で起こる事象を指す。
【0132】
[00146] 用語「インビトロ」は、対象の体外で起こる事象を指す。インビトロアッセイは、生細胞又は死細胞を利用した細胞ベースのアッセイを包含し、また、インタクトな細胞を利用しない無細胞アッセイも包含し得る。
【0133】
[00147] 用語「抗CD3抗体」は、抗体又はその変異体、例えばモノクローナル抗体であって、成熟T細胞のT細胞抗原受容体におけるCD3受容体に対するヒト、ヒト化、キメラ又はマウス抗体を含むものを指す。抗CD3抗体には、ムロモナブとしても知られるOKT-3、及びUCHT-1が含まれる。他の抗CD3抗体には、例えば、オテリキシズマブ、テプリズマブ、及びビジリズマブが含まれる。
【0134】
[00148] 用語「OKT-3」(本明細書では「OKT3」とも称される)は、成熟T細胞のT細胞抗原受容体におけるCD3受容体に対する、ヒト、ヒト化、キメラ、若しくはマウス抗体を含めたモノクローナル抗体又はそのバイオシミラー若しくは変異体を指し、OKT-3(30ng/mL、MACS GMP CD3 pure、Miltenyi Biotech,Inc.、San Diego, CA, USA)及びムロモナブ又はその変異体、保存的アミノ酸置換、グリコフォーム、若しくはバイオシミラーなど、市販されている形態を含む。ムロモナブの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列を表1に提供する(配列番号1及び配列番号2)。OKT-3の産生能を有するハイブリドーマが米国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)に寄託されており、ATCC受託番号CRL 8001が付与されている。OKT-3の産生能を有するハイブリドーマはまた、欧州認証細胞培養株保存機関(ECACC:European Collection of Authenticated Cell Cultures)にも寄託されており、カタログ番号86022706が付与されている。
【0135】
【表1】
【0136】
[00149] 用語「IL-2」(本明細書では「IL2」とも称される)は、インターロイキン-2として知られるT細胞成長因子を指し、そのヒト及び哺乳類形態、保存的アミノ酸置換、グリコフォーム、バイオシミラー、及び変異体を含め、あらゆる形態のIL-2が含まれる。IL-2については、例えば、Nelson, J. Immunol. 2004, 172, 3983-88及びMalek, Annu. Rev. Immunol. 2008, 26, 453-79(これらの開示は参照により本明細書に援用される)に記載される。本発明での使用に好適な組換えヒトIL-2のアミノ酸配列を表2に提供する(配列番号3)。例えば、用語IL-2には、ヒトの組換え形態のIL-2、例えばアルデスロイキン(PROLEUKIN、使い捨てバイアル当たり2200万IUで複数の供給業者から市販されている)、並びにCellGenix, Inc.、Portsmouth, NH, USA(CELLGRO GMP)又はProSpec-Tany TechnoGene Ltd.、East Brunswick, NJ, USA(カタログ番号CYT-209-b)によって商業的に供給されている組換えIL-2の形態及び他の販売業者からの他の市販の均等物が包含される。アルデスロイキン(des-アラニル-1,セリン-125ヒトIL-2)は、分子量が約15kDaの非グリコシル化ヒト組換え形態のIL-2である。本発明での使用に好適なアルデスロイキンのアミノ酸配列を表2に提供する(配列番号4)。用語IL-2にはまた、Nektar Therapeutics、South San Francisco, CA, USAから入手可能なペグ化IL2プロドラッグNKTR-214を含め、本明細書に記載されるとおりの、ペグ化形態のIL-2も包含される。本発明での使用に好適なNKTR-214及びペグ化IL-2が米国特許出願公開第2014/0328791 A1号及び国際公開第2012/065086 A1号(これらの開示は参照により本明細書に援用される)に記載されている。本発明での使用に好適な別の形態のコンジュゲート型IL-2が、米国特許第4,766,106号、同第5,206,344号、同第5,089,261号及び同第4902,502号(これらの開示は参照により本明細書に援用される)に記載されている。本発明での使用に好適なIL-2の製剤が米国特許第6,706,289号(この開示は参照により本明細書に援用される)に記載されている。
【0137】
【表2】
【0138】
[00150] 用語「IL-4」(本明細書では「IL4」とも称される)は、インターロイキン4として知られるサイトカインを指し、これはTh2 T細胞によって産生され、並びに好酸球、好塩基球、及びマスト細胞によって産生される。IL-4は、ナイーブヘルパーT細胞(Th0細胞)のTh2 T細胞への分化を調節する。Steinke and Borish, Respir. Res. 2001, 2, 66-70。IL-4によって活性化されると、続いてTh2 T細胞はポジティブフィードバックループで更なるIL-4を産生する。IL-4はまた、B細胞増殖及びクラスII MHC発現も刺激し、B細胞からのIgE及びIgG1発現へのクラススイッチも誘導する。本発明での使用に好適な組換えヒトIL-4は、ProSpec-Tany TechnoGene Ltd.、East Brunswick, NJ, USA(カタログ番号CYT-211)及びThermoFisher Scientific, Inc.、Waltham, MA, USA(ヒトIL-15組換えタンパク質、カタログ番号Gibco CTP0043)を含め、複数の供給業者から市販されている。本発明での使用に好適な組換えヒトIL-4のアミノ酸配列を表2に提供する(配列番号5)。
【0139】
[00151] 用語「IL-7」(本明細書では「IL7」とも称される)は、インターロイキン7として知られるグリコシル化組織由来サイトカインを指し、これは間質及び上皮細胞、並びに樹状細胞から入手し得る。Fry and Mackall, Blood 2002, 99, 3892-904。IL-7はT細胞の発達を刺激することができる。IL-7は、IL-7受容体αと共通γ鎖受容体とからなるヘテロ二量体のIL-7受容体に結合し、それが胸腺内でのT細胞発達及び末梢内での生存にとって重要な一連のシグナルとなる。本発明での使用に好適な組換えヒトIL-4は、ProSpec-Tany TechnoGene Ltd.、East Brunswick, NJ, USA(カタログ番号CYT-254)及びThermoFisher Scientific, Inc.、Waltham, MA, USA(ヒトIL-15組換えタンパク質、カタログ番号Gibco PHC0071)を含め、複数の供給業者から市販されている。本発明での使用に好適な組換えヒトIL-7のアミノ酸配列を表2に提供する(配列番号6)。
【0140】
[00152] 用語「IL-15」(本明細書では「IL15」とも称される)は、インターロイキン-15として知られるT細胞成長因子を指し、そのヒト及び哺乳類形態、保存的アミノ酸置換、グリコフォーム、バイオシミラー、及び変異体を含め、あらゆる形態のIL-2が含まれる。IL-15については、例えば、Fehniger and Caligiuri, Blood 2001, 97, 14-32(この開示は参照により本明細書に援用される)に記載されている。IL-15はβ及びγシグナル伝達受容体サブユニットをIL-2と共有している。組換えヒトIL-15は、分子質量が12.8kDaの、114アミノ酸(及びN末端メチオニン)を含む単一の非グリコシル化ポリペプチド鎖である。組換えヒトIL-15は、ProSpec-Tany TechnoGene Ltd.、East Brunswick, NJ, USA(カタログ番号CYT-230-b)及びThermoFisher Scientific, Inc.、Waltham, MA, USA(ヒトIL-15組換えタンパク質、カタログ番号34-8159-82)を含め、複数の供給業者から市販されている。本発明での使用に好適な組換えヒトIL-15のアミノ酸配列を表2に提供する(配列番号7)。
【0141】
[00153] 用語「IL-21」(本明細書では「IL21」とも称される)は、インターロイキン-21として知られるプレイオトロピックサイトカインタンパク質を指し、そのヒト及び哺乳類形態、保存的アミノ酸置換、グリコフォーム、バイオシミラー、及び変異体を含め、あらゆる形態のIL-21が含まれる。IL-21については、例えば、Spolski and Leonard, Nat. Rev. Drug. Disc. 2014, 13, 379-95(この開示は参照により本明細書に援用される)に記載されている。IL-21は、主としてナチュラルキラーT細胞及び活性化ヒトCD4 T細胞によって産生される。組換えヒトIL-21は、分子質量が15.4kDaの、132アミノ酸を含む単一の非グリコシル化ポリペプチド鎖である。組換えヒトIL-21は、ProSpec-Tany TechnoGene Ltd.、East Brunswick, NJ, USA(カタログ番号CYT-408-b)及びThermoFisher Scientific, Inc.、Waltham, MA, USA(ヒトIL-21組換えタンパク質、カタログ番号14-8219-80)を含め、複数の供給業者から市販されている。本発明での使用に好適な組換えヒトIL-21のアミノ酸配列を表2に提供する(配列番号8)。
【0142】
[00154] 「抗腫瘍有効量」、「腫瘍阻害有効量」、又は「治療量」が指示されるとき、本発明の組成物の正確な投与量は、医師が、年齢、体重、腫瘍サイズ、感染又は転移の程度、及び患者(対象)の状態の個体差を考慮して決定することができる。概して、本明細書に記載される遺伝子修飾された細胞傷害性リンパ球を含む医薬組成物は10~1011細胞/kg体重(例えば、10~10、10~1010、10~1011、10~1010、10~1011,10~1011、10~1010、10~1011、10~1010、10~1011、又は10~1010細胞/kg体重)(これらの範囲内にある全ての整数値を含む)の投薬量で投与されてもよいと言うことができる。遺伝子修飾された細胞傷害性リンパ球組成物はまた、これらの投薬量で複数回投与されてもよい。遺伝子修飾された細胞傷害性リンパ球は、免疫療法で一般に公知の注入技法を用いることにより投与し得る(例えば、Rosenberg et al., New Eng. J. of Med. 319: 1676, 1988を参照のこと)。特定の患者に最適な投薬量及び治療レジームは、医学分野の当業者が疾患の徴候に関して患者をモニタし及びそれに応じて治療を調整することにより、容易に決定することができる。
【0143】
[00155] 用語「血液学的悪性腫瘍」は、限定はされないが、血液、骨髄、リンパ節、及びリンパ系の組織を含め、哺乳類における造血及びリンパ系組織の癌及び腫瘍を指す。血液学的悪性腫瘍は「液性腫瘍」とも称される。血液学的悪性腫瘍としては、限定はされないが、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性リンパ腫(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄球性白血病(CML)、急性単球性白血病(AMoL)、ホジキンリンパ腫、及び非ホジキンリンパ腫が挙げられる。用語「B細胞血液学的悪性腫瘍」は、B細胞を冒す血液学的悪性腫瘍を指す。
【0144】
[00156] 用語「固形腫瘍」は、通常嚢胞又は液体範囲を含まない異常な組織塊を指す。固形腫瘍は良性又は悪性であり得る。用語「固形腫瘍癌」は、悪性、新生物性、又は癌性の固形腫瘍を指す。固形腫瘍癌としては、限定はされないが、肺癌、乳癌、前立腺癌、結腸癌、直腸癌、及び膀胱癌など、肉腫、癌腫、及びリンパ腫が挙げられる。固形腫瘍の組織構造は、実質(癌細胞)と、癌細胞が分散するところであって支持微小環境をもたらし得る支持間質細胞とを含む相互依存的組織コンパートメントを含む。
【0145】
[00157] 用語「液性腫瘍」は、事実上流体である異常な細胞塊を指す。液性腫瘍癌としては、限定はされないが、白血病、骨髄腫、及びリンパ腫、並びに他の血液学的悪性腫瘍が挙げられる。液性腫瘍から入手されるTILはまた、本明細書において骨髄浸潤リンパ球(MIL)とも称され得る。
【0146】
[00158] 用語「微小環境」は、本明細書で使用されるとき、固形腫瘍又は血液学的腫瘍の微小環境全体又は微小環境内の個々の細胞サブセットを指し得る。腫瘍微小環境は、本明細書で使用されるとき、Swartz, et al., Cancer Res., 2012, 72, 2473に記載されるとおり、「新生物形質転換を促進し、腫瘍成長及び浸潤を支援し、腫瘍を宿主免疫から保護し、治療抵抗性を助長し、及び顕性転移が発育するためのニッチを提供する細胞、可溶性因子、シグナル伝達分子、細胞外マトリックス、及び機械的キュー」の複合混合物を指す。腫瘍は、T細胞によって認識されるはずの抗原を発現するが、微小環境による免疫抑制のため、免疫系による腫瘍クリアランスはまれである。
【0147】
[00159] ある実施形態において、本発明は、rTIL集団で癌を治療する方法を含み、ここで患者は本発明に係るrTILの注入前に骨髄非破壊的化学療法で前処置される。一部の実施形態において、rTIL集団はeTil集団と共に提供されてもよく、ここで患者は、本発明に係るrTIL及びeTilの注入前に骨髄非破壊的化学療法で前処置される。ある実施形態において、骨髄非破壊的化学療法は、2日間(rTIL注入前27日目及び26日目)のシクロホスファミド60mg/kg/日及び5日間(rTIL注入前27~23日目)のフルダラビン25mg/m2/日である。ある実施形態において、骨髄非破壊的化学療法及び本発明に係るrTIL注入(0日目)の後、患者は生理学的忍容量まで8時間毎に静脈内に720,000IU/kgのIL-2の静脈内注入を受ける。
【0148】
[00160] 実験的知見から、腫瘍特異的Tリンパ球の養子移入前のリンパ球枯渇が、調節性T細胞及び免疫系の競合エレメント(「サイトカインシンク」)の除去により、治療有効性の増強において重要な役割を果たすことが指摘される。従って、本発明の一部の実施形態は、本発明のrTILを導入する前に患者に対してリンパ球枯渇ステップ(「免疫抑制コンディショニング」とも称される)を利用する。
【0149】
[00161] 用語「共投与」、「共投与する」、「~と併用して投与される」、「~と併用して投与する」、「同時の」、及び「並行した」は、本明細書で使用されるとき、両方の医薬品有効成分及び/又はその代謝産物が対象に同じ時点で存在するような対象への2つ以上の医薬品有効成分(本発明の好ましい実施形態において、例えば、複数のTILとの併用での少なくとも1つのカリウムチャネル作動薬)の投与を包含する。共投与には、別個の組成物での同時投与、別個の組成物での異なる時点における投与、又は2つ以上の医薬品有効成分が存在する組成物での投与が含まれる。別個の組成物での同時投与及び両方の薬剤が存在する組成物での投与が好ましい。
【0150】
[00162] 用語「有効量」又は「治療有効量」は、限定はされないが疾患治療を含めた、意図した適用を達成するのに十分な本明細書に記載されるとおりの化合物又は化合物の組み合わせの量を指す。治療有効量は、意図した適用(インビトロ又はインビボ)、又は治療下の対象及び疾患病態(例えば、対象の体重、年齢及び性別)、疾患病態の重症度、又は投与方法に応じて異なり得る。この用語はまた、標的細胞において特定の応答(例えば、血小板粘着及び/又は細胞遊走の低減)を生じさせるであろう用量にも適用される。具体的な用量は、選択した詳細な化合物、従うべき投与レジメン、化合物が他の化合物と併用して投与されるかどうか、投与タイミング、その投与先の組織、及び化合物を運ぶ物理的デリバリーシステムに応じて異なることになる。
【0151】
[00163] 用語「治療」、「治療している」、「治療する」などは、所望の薬理学的及び/又は生理学的効果を達成することを指す。効果は、疾患又はその症状を完全に又は部分的に防ぐという意味で予防的であってもよく、及び/又は疾患及び/又は疾患に起因する有害作用を部分的に又は完全に治癒するという意味で治療的であってもよい。「治療」は、本明細書で使用されるとき、哺乳類、特にヒトにおける疾患の任意の治療を包含し、(a)疾患の素因があり得るが、まだそれを有するとは診断されてない対象において疾患の発生を防ぐこと;(b)疾患を阻害すること、即ちその発症又は進行を止めること;及び(c)疾患を軽減すること、即ち疾患の退縮を生じさせること及び/又は1つ以上の疾患症状を軽減することが含まれる。「治療」はまた、疾患又は病態がない場合であっても、薬理学的効果を提供するための薬剤の送達を包含することも意図される。例えば、「治療」は、例えばワクチンの場合に、疾患状態がない中で免疫応答を誘発し又は免疫を付与することのできる組成物の送達を包含する。
【0152】
[00164] 用語「異種」は、核酸又はタンパク質の一部分に関連して使用されるとき、その核酸又はタンパク質が、自然中では互いに同じ関係で見出されない2つ以上の部分配列を含むことを示す。例えば、核酸は、典型的には組換え産生されて、新規の機能性核酸を作り出すように編成された無関係の遺伝子からの2つ以上の配列、例えば、ある供給源からのプロモーターと別の供給源からのコード領域、又は異なる供給源からのコード領域を有する。同様に、異種タンパク質とは、タンパク質が、自然中では互いに同じ関係で見出されない2つ以上の部分配列(例えば、融合タンパク質)を含むことを示す。
【0153】
[00165] 2つ以上の核酸又はポリペプチドの文脈で用語「配列同一性」、「パーセント同一性」、及び「配列パーセント同一性」(又はこれらの同義語、例えば「99%同一」)は、いかなる保存的アミノ酸置換も配列同一性の一部として考慮せず、対応が最大となるように比較及びアラインメント(必要に応じてギャップを導入する)したときに同じである、又は同じであるヌクレオチド若しくはアミノ酸残基を特定の割合だけ有する2つ以上の配列又は部分配列を指す。パーセント同一性は、配列比較ソフトウェア又はアルゴリズムを用いるか、又は目視検査によって測定することができる。アミノ酸又はヌクレオチド配列のアラインメントを達成するために使用し得る様々なアルゴリズム及びソフトウェアが当該技術分野において公知である。パーセント配列同一性の決定に好適なプログラムとしては、例えば、米国政府の国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)BLASTウェブサイトから利用可能なBLASTプログラムスイートが挙げられる。2つの配列間の比較は、BLASTN又はBLASTPのいずれかのアルゴリズムを使用して行うことができる。BLASTNは核酸配列の比較に使用され、一方、BLASTPはアミノ酸配列の比較に使用される。ALIGN、ALIGN-2(Genentech、South San Francisco, California)又はDNASTARから利用可能なMegAlignが、配列のアラインメントに使用し得る更なる公的に利用可能なソフトウェアプログラムである。当業者は、特定のアラインメントソフトウェアによるアラインメントを最大化するための適切なパラメータを決定することができる。特定の実施形態では、アラインメントソフトウェアのデフォルトパラメータが使用される。
【0154】
[00166] 本明細書で使用されるとき、用語「変異体」は、限定はされないが、参照抗体のアミノ酸配列の範囲内の又はそれに隣接する特定の位置における1つ以上の置換、欠失及び/又は付加の点で参照抗体のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を含む抗体又は融合タンパク質を包含する。変異体は、参照抗体のアミノ酸配列と比較して、そのアミノ酸配列に1つ以上の保存的置換を含み得る。保存的置換は、例えば、同様の荷電又は非荷電アミノ酸の置換を含み得る。変異体は、参照抗体の抗原に特異的に結合する能力を保持している。変異体という用語はまた、ペグ化抗体又はタンパク質も含む。
【0155】
[00167] 用語「インビボ」は、対象の体内で起こる事象を指す。
【0156】
[00168] 用語「インビトロ」は、対象の体外で起こる事象を指す。インビトロアッセイは、生細胞又は死細胞を利用した細胞ベースのアッセイを包含し、また、インタクトな細胞を利用しない無細胞アッセイも包含し得る。
【0157】
[00169] 用語「迅速拡大培養」は、1週間の期間で少なくとも約3倍(又は4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、又は9倍)、より好ましくは1週間の期間で少なくとも約10倍(又は20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、又は90倍)、又は最も好ましくは1週間の期間で少なくとも約100倍の抗原特異的TIL数の増加を意味する。複数の迅速拡大培養プロトコルを以下に概説する。
【0158】
III.凍結保存(cyropreserved)TILの再刺激
[00170] 本明細書において考察されるとおり、本発明は、患者への移植前に凍結保存TILを再刺激することによりその代謝活性、ひいては相対的健康を増加させること、及び前記代謝的健康の試験方法に関する。概して本明細書に概説されるとおり、TILは概して患者試料から採取し、操作することにより、患者への移植前にその数が拡大される。一部の実施形態において、TILは任意選択で以下に考察するとおり遺伝的に操作され、次に凍結保存されてもよい。解凍後、次にTILは、患者への注入前に再刺激することによりその代謝が高められる。
【0159】
[00171] 以下の「ステップ」名A、B、C等は、図11を参照している。以下及び図11におけるステップの順序は例示であり、ステップの任意の組み合わせ又は順序、並びに追加的なステップ、ステップの繰り返し、及び/又はステップの省略が、本願及び本明細書に開示される方法によって企図される。
【0160】
A.ステップA:患者腫瘍試料を入手する
[00172] 一般に、TILは初めは患者腫瘍試料から入手され(「初代TIL」)、次に本明細書に記載されるとおりの更なる操作のためより大きい集団へと拡大培養され、任意選択で凍結保存され、本明細書に概説されるとおり再刺激され、及び任意選択でTILの健康の指標として表現型及び代謝パラメータが判定される。
【0161】
[00173] 患者腫瘍試料は当該技術分野において公知の方法を用いて、概して、外科的切除、針生検又はその他の、腫瘍とTIL細胞との混合物を含む試料を入手するための手段によって入手されてもよい。一般に、腫瘍試料は、原発腫瘍、浸潤性腫瘍又は転移性腫瘍を含めた任意の固形腫瘍からであってもよい。腫瘍試料はまた、血液学的悪性腫瘍から入手された腫瘍など、液性腫瘍であってもよい。固形腫瘍は、限定はされないが、乳癌、膵癌、前立腺癌、結腸直腸癌、肺癌、脳癌、腎癌、胃癌、及び皮膚癌(限定はされないが、扁平上皮癌、基底細胞癌、及び黒色腫を含む)を含めた任意の癌型のものであってもよい。一部の実施形態において、有用なTILは、特に高レベルのTILを有すると報告されていることに伴い悪性黒色腫腫瘍から入手される。
【0162】
[00174] 用語「固形腫瘍」は、通常嚢胞又は液体範囲を含まない異常な組織塊を指す。固形腫瘍は良性又は悪性であり得る。用語「固形腫瘍癌」は、悪性、新生物性、又は癌性の固形腫瘍を指す。固形腫瘍癌としては、限定はされないが、肺癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、前立腺癌、結腸癌、直腸癌、及び膀胱癌など、肉腫、癌腫、及びリンパ腫が挙げられる。一部の実施形態において、癌は、子宮頸癌、頭頸部癌、膠芽腫、卵巣癌、肉腫、膵癌、膀胱癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、及び非小細胞肺癌から選択される。固形腫瘍の組織構造は、実質(癌細胞)と、癌細胞が分散するところであって支持微小環境をもたらし得る支持間質細胞とを含む相互依存的組織コンパートメントを含む。
【0163】
[00175] 用語「血液学的悪性腫瘍」は、限定はされないが、血液、骨髄、リンパ節、及びリンパ系の組織を含め、哺乳類における造血及びリンパ系組織の癌及び腫瘍を指す。血液学的悪性腫瘍は「液性腫瘍」とも称される。血液学的悪性腫瘍としては、限定はされないが、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性リンパ腫(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄球性白血病(CML)、急性単球性白血病(AMoL)、ホジキンリンパ腫、及び非ホジキンリンパ腫が挙げられる。用語「B細胞血液学的悪性腫瘍」は、B細胞を冒す血液学的悪性腫瘍を指す。
【0164】
[00176] 入手後、腫瘍試料は概して鋭的剥離を用いて1~約8mmの小片に断片化され、約2~3mmが特に有用である。TILは酵素的腫瘍消化物を使用してこれらの断片から培養される。かかる腫瘍消化物は、酵素培地(例えば、ロズウェルパーク記念研究所(RPMI:Roswell Park Memorial Institute)1640緩衝液、2mMグルタミン酸塩、10mcg/mLゲンタマイシン、30単位/mLのDNアーゼ及び1.0mg/mLのコラゲナーゼ)中でのインキュベーションと、それに続く機械的解離(例えば、組織解離装置を用いる)によって作製されてもよい。腫瘍消化物は、腫瘍を酵素培地中に置き、腫瘍を約1分間機械的に解離した後、続いて5%CO下37℃で30分間インキュベートし、続いてごく小さい組織片しか存在しなくなるまで前述の条件下で機械的解離及びインキュベーションのサイクルを繰り返すことにより作製されてもよい。この処理の終了時、細胞懸濁液が多数の赤血球又は死細胞を含有する場合、FICOLL分枝状親水性多糖を使用した密度勾配分離を実施して、それらの細胞を除去し得る。米国特許出願公開第2012/0244133 A1号(この開示は参照により本明細書に援用される)に記載されるものなど、当該技術分野において公知の代替的な方法を用いてもよい。前述の方法のいずれも、TILの拡大培養方法又は癌の治療方法に関して本明細書に記載される任意の実施形態において用いることができる。
【0165】
[00177] 一部の実施形態において、断片化は、例えば剥離並びに消化を含めた物理的断片化を含む。一部の実施形態において、断片化は物理的断片化である。一部の実施形態において、断片化は剥離である。一部の実施形態において、断片化は消化による。一部の実施形態において、TILは初めに、患者から入手された酵素的腫瘍消化物及び腫瘍断片から培養することができる。
【0166】
[00178] 一部の実施形態において、腫瘍が固形腫瘍である場合、例えば図11のステップAにあるように、腫瘍試料の入手後に腫瘍は物理的断片化を受ける。一部の実施形態において、断片化は凍結保存前に行われる。一部の実施形態において、断片化は凍結保存後に行われる。一部の実施形態において、断片化は、腫瘍の入手後に、いかなる凍結保存もなしに行われる。一部の実施形態において、腫瘍は断片化され、第1の拡大培養用の各容器に2、3、又は4つの断片又は小片が置かれる。一部の実施形態において、腫瘍は断片化され、第1の拡大培養用の各容器に3又は4つの断片又は小片が置かれる。一部の実施形態において、腫瘍は断片化され、第1の拡大培養用の各容器に4つの断片又は小片が置かれる。
【0167】
[00179] 一部の実施形態において、TILは腫瘍断片から入手される。一部の実施形態において、腫瘍断片は鋭的剥離で入手される。一部の実施形態において、腫瘍断片は約1mm~10mmである。一部の実施形態において、腫瘍断片は約1mm~8mmである。一部の実施形態において、腫瘍断片は約1mmである。一部の実施形態において、腫瘍断片は約2mmである。一部の実施形態において、腫瘍断片は約3mmである。一部の実施形態において、腫瘍断片は約4mmである。一部の実施形態において、腫瘍断片は約5mmである。一部の実施形態において、腫瘍断片は約6mmである。一部の実施形態において、腫瘍断片は約7mmである。一部の実施形態において、腫瘍断片は約8mmである。一部の実施形態において、腫瘍断片は約9mmである。一部の実施形態において、腫瘍断片は約10mmである。
【0168】
[00180] 一部の実施形態において、TILは腫瘍消化物から入手される。一部の実施形態では、腫瘍消化物は、酵素培地中、例えば限定はされないが、RPMI 1640、2mM GlutaMAX、10mg/mLゲンタマイシン、30U/mL DNアーゼ、及び1.0mg/mLコラゲナーゼ中におけるインキュベーションと、それに続く機械的解離(GentleMACS、Miltenyi Biotec、Auburn, CA)によって作成した。腫瘍を酵素培地に置いた後、腫瘍を約1分間機械的に解離し得る。次に溶液を5%CO下37℃で30分間インキュベートし、次にそれを再び約1分間機械的に破壊し得る。再び5%CO下37℃で30分間インキュベートした後、腫瘍を3度目に約1分間機械的に破壊し得る。一部の実施形態において、3度目の機械的破壊後に大型の組織片が存在した場合、5%CO下37℃での更に30分間のインキュベーションを伴う又は伴わない1回又は2回の更なる機械的解離を試料に適用した。一部の実施形態において、最終回のインキュベーションの終了時に細胞懸濁液が多数の赤血球又は死細胞を含有した場合、Ficollを使用した密度勾配分離を実施して、そうした細胞を除去し得る。
【0169】
[00181] 一部の実施形態において、第1の拡大培養ステップ前の採取された細胞懸濁液は、「初代細胞集団」又は「新鮮に採取した」細胞集団と呼ばれる。
【0170】
[00182] 一部の実施形態において、細胞は、以下に更に詳細に記載するステップBに進む前に、任意選択で試料採取後に凍結され、凍結貯蔵されてもよい。
【0171】
B.ステップB:第1の拡大培養
[00183] 一部の実施形態において、TILの第1の拡大培養(第1の拡大培養又は第1のTIL拡大培養とも称される)は、以下及び本明細書に記載するとおりの初期バルクTIL拡大培養ステップ(例えば、図11に示されるとおりのステップB又は第1の拡大培養ステップ;これはプレREPと称される拡大培養ステップを含み得る)と、それに続く、以下及び本明細書に記載するとおりの第2の拡大培養ステップ(例えば、図11に示されるとおりのステップD;これは、例として、迅速拡大培養プロトコル(REP)ステップと称されるものを含み得る)と、それに続く任意選択の凍結保存(例えば、図11に示されるとおりのステップDの後)と、それに続く以下及び本明細書に記載するとおりの追加的な第2の拡大培養(例えば、図11に示されるとおりの第2のステップD、これは再刺激REPステップと称されることもあるものを含み得る)を用いて実施されてもよい。このプロセスによって得られたTILは、任意選択で、本明細書に記載されるとおり表現型特徴及び代謝パラメータが特徴付けられてもよい。一部の実施形態において、TILは第1の拡大培養(例えば、図11に示されるとおりのステップB)の後に凍結され(即ち、凍結保存され)、選択のためのフェノタイピングまで貯蔵され、次に1回以上の第2の拡大培養ステップ(例えば、図11に示されるとおりのステップDに係る1つ以上の拡大培養)に進む前に解凍される。
【0172】
[00184] 一部の実施形態において、腫瘍試料の入手後(例えば、図11に示されるとおりのステップAの間など)に細胞が凍結される場合、細胞は第1の拡大培養(例えば、図11に示されるとおりのステップB)の前に解凍される。
【0173】
[00185] 実施形態において、TIL培養が24ウェルプレートで、例えばCostar24ウェル細胞培養クラスター、平底(Corning Incorporated、Corning, NYを使用して開始される場合、各ウェルには、IL-2(6000IU/mL;Chiron Corp.、Emeryville, CA)を含む2mLの完全培地(CM)中、1×10個の腫瘍消化物細胞又は1個の腫瘍断片を播種することができる。一部の実施形態において、腫瘍断片は約1mm~10mmである。
【0174】
[00186] 腫瘍断片の調製後、得られた細胞(即ち断片)は、腫瘍及び他の細胞よりもTILの成長に有利な条件下で血清含有IL-2において培養される。一部の実施形態において、腫瘍消化物は、2mLウェルにおいて、不活性化ヒトAB血清を6000IU/mLのIL-2と共に含む培地中で(又は、ある場合には、本明細書に概説されるとおり、aAPC細胞集団の存在下で)インキュベートされる。この初代細胞集団は、数日、概して10~14日の期間にわたって培養され、それによりバルクTIL集団、概して約1×10個のバルクTIL細胞が得られる。一部の実施形態において、第1の拡大培養の間の成長培地はIL-2又はその変異体を含む。一部の実施形態において、ILは組換えヒトIL-2(rhIL-2)である。一部の実施形態においてIL-2ストック溶液は、1mgバイアルにつき20~30×10IU/mgの比活性を有する。一部の実施形態において、IL-2ストック溶液は1mgバイアルにつき20~×10IU/mgの比活性を有する。一部の実施形態においてIL-2ストック溶液は1mgバイアルにつき25×10IU/mgの比活性を有する。一部の実施形態においてIL-2ストック溶液は1mgバイアルにつき30×10IU/mgの比活性を有する。一部の実施形態において、IL-2ストック溶液は4~8×10IU/mgのIL-2の最終濃度を有する。一部の実施形態において、IL-2ストック溶液は5~7×10IU/mgのIL-2の最終濃度を有する。一部の実施形態において、IL-2ストック溶液は6×10IU/mgのIL-2の最終濃度を有する。一部の実施形態において、IL-2ストック溶液は実施例4に記載されるとおり調製される。一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は約10,000IU/mLのIL-2、約9,000IU/mLのIL-2、約8,000IU/mLのIL-2、約7,000IU/mLのIL-2、約6000IU/mLのIL-2又は約5,000IU/mLのIL-2を含む。一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は、約9,000IU/mLのIL-2、乃至約5,000IU/mLのIL-2を含む。一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は、約8,000IU/mLのIL-2、乃至約6,000IU/mLのIL-2を含む。一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は、約7,000IU/mLのIL-2、乃至約6,000IU/mLのIL-2を含む。一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は約6,000IU/mLのIL-2を含む。ある実施形態において、細胞培養培地はIL-2を更に含む。一部の実施形態において、細胞培養培地は約3000IU/mLのIL-2を含む。ある実施形態において、細胞培養培地は、約1000IU/mL、約1500IU/mL、約2000IU/mL、約2500IU/mL、約3000IU/mL、約3500IU/mL、約4000IU/mL、約4500IU/mL、約5000IU/mL、約5500IU/mL、約6000IU/mL、約6500IU/mL、約7000IU/mL、約7500IU/mL、又は約8000IU/mLのIL-2を含む。ある実施形態において、細胞培養培地は、1000~2000IU/mL、2000~3000IU/mL、3000~4000IU/mL、4000~5000IU/mL、5000~6000IU/mL、6000~7000IU/mL、7000~8000IU/mL、又は8000IU/mLの間のIL-2を含む。
【0175】
[00187] 一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は、培養培地(culture media)の略称である「CM」と称される。一部の実施形態において、これはCM1(培養培地1)と称される。一部の実施形態において、CMは、10%ヒトAB血清、25mMヘペス、及び10mg/mLゲンタマイシンを添加したGlutaMAX含有RPMI 1640からなる。培養が、40mL容量及び10cmガス透過性シリコン底のガス透過性フラスコ(例えば、G-Rex10;Wilson Wolf Manufacturing、New Brighton, MN)内で開始される実施形態では(図1)、各フラスコに、10~40mLのIL-2含有CM中の10~40×10個の腫瘍消化物生細胞又は5~30個の腫瘍断片をロードした。G-Rex10及び24ウェルプレートのいずれも、加湿インキュベーターにおいて5%CO下37℃でインキュベートし、培養開始から5日後に培地の半分を取り出して、新鮮なCM及びIL-2を補充し、5日目以降は2~3日毎に培地の半分を交換した。一部の実施形態において、CMは、実施例に記載されるCM1であり、実施例5を参照のこと。一部の実施形態において、第1の拡大培養は初期細胞培養培地又は第1の細胞培養培地中で行われる。一部の実施形態において、初期細胞培養培地又は第1の細胞培養培地はIL-2を含む。
【0176】
[00188] 一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、又は21日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は11日~21日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は12日~21日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は13日~21日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は14日~21日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は15日~21日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は16日~21日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は17日~21日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は18日~21日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は19日~21日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は20日~21日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は21日間続行され得る。
【0177】
C.ステップC:第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行
[00189] 一部の実施形態において、第1の拡大培養から(例えば、図11に示されるとおりのステップBから)入手されたTILは、選択のためのフェノタイピングまで貯蔵される。一部の実施形態において、第1の拡大培養から入手されたTILは、第1の拡大培養後、第2の拡大培養前に凍結保存される。一部の実施形態において、TILは、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行の一部として凍結保存される。例えば、一部の実施形態において、TILは、図11に示されるとおりのステップBの後、及びステップDの前に凍結保存される。一部の実施形態において、TILは、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行の一部として凍結保存され、解凍される。例えば、一部の実施形態において、TILはステップBの後に凍結保存され、次にステップD(図11に提供されるとおり)に進む前に解凍される。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから約22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、又は30日の時点で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから約22日~30日の時点で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから約24日~30日の時点で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから約26日~30日の時点で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから約28日~30日の時点で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから約30日の時点で行われる。
【0178】
D.ステップD:第2の拡大培養
[00190] 一部の実施形態において、TILの第2の拡大培養又は第2のTIL拡大培養(これはREPと称されることもある拡大培養を含み得る)は、当業者に公知の任意のTILフラスコ又は容器を使用して実施することができる。一部の実施形態において、第2のTIL拡大培養は14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、又は22日間続行し得る。一部の実施形態において、第2のTIL拡大培養は約14日~約22日間続行し得る。一部の実施形態において、第2のTIL拡大培養は約14日~約20日間続行し得る。一部の実施形態において、第2のTIL拡大培養は約14日~約18日間続行し得る。一部の実施形態において、第2のTIL拡大培養は約14日~約16日間続行し得る。一部の実施形態において、第2のTIL拡大培養は約14日間続行し得る。
【0179】
[00191] 一部の実施形態において、第2の拡大培養は添加細胞培養培地で行われる。一部の実施形態において、添加細胞培養培地は、IL-2、OKT-3、及び抗原提示フィーダー細胞を含む。一部の実施形態において、第2の細胞培養培地は、IL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC;抗原提示フィーダー細胞とも称される)を含む。
【0180】
[00192] 一部の実施形態において、TILの第2の拡大培養(これはREPと称される拡大培養を含み得る)は、先述のとおりT-175フラスコ及びガス透過性バッグ(Tran KQ, Zhou J, Durflinger KH, et al., 2008, J Immunother., 31:742-751及びDudley ME, Wunderlich JR, Shelton TE, et al. 2003, J Immunother., 26:332-342)又はガス透過性G-Rexフラスコを使用して実施することができる。一部の実施形態において、第2の拡大培養はフラスコを使用して実施される。一部の実施形態において、第2の拡大培養はガス透過性G-Rexフラスコを使用して実施される。T-175フラスコにおけるTILの第2の拡大培養については、約1×10個のTILを約150mLの培地中に懸濁し、これを各T-175フラスコに加える。TILは、「フィーダー」細胞としての照射(50Gy)された同種異系PBMCと1対100の比で培養し、及び細胞は、3000IU/mLのIL-2及び30ng/mLの抗CD3を添加したCMとAIM-V培地との1対1混合物(50/50培地)で培養した。T-175フラスコは5%CO下37℃でインキュベートする。一部の実施形態において、第2の拡大培養に入って5日で3000IU/mLのIL-2を含む50/50培地を使用して培地の半分を交換する。一部の実施形態において、7日目、2つのT-175フラスコからの細胞を3Lバッグに合わせ、その300mLのTIL懸濁液に、5%ヒトAB血清及び3000IU/mLのIL-2を含む300mLのAIM-Vを加える。毎日又は2日毎に各バッグの細胞数をカウントしてもよく、新鮮培地を加えて細胞数を約0.5~約2.0×10細胞/mLに保ち得る。
【0181】
[00193] 一部の実施形態において、TILの第2の拡大培養(これはREPと称される拡大培養を含み得る)は、100cmガス透過性シリコン底の500mL容量ガス透過性フラスコ(G-Rex 100、Wilson Wolf Manufacturing Corporation、New Brighton, MN, USAから市販されている)において実施することができ(図1)、3000IU/mLのIL-2及び30ng/mLの抗CD3(OKT3)を添加した400mLの50/50培地中で約5×10又は10×10個のTILを照射同種異系PBMCと1対100の比で培養する。G-Rex100フラスコを5%CO下37℃でインキュベートし得る。一部の実施形態において、第2の拡大培養に入って5日で、250mLの上清を取り出して遠心ボトルに入れ、1500rpm(491×g)で10分間遠心する。次に5%ヒトAB血清、3000IU/mLのIL-2を含む150mLの新鮮培地にTILペレットを再懸濁し、元のG-Rex100フラスコに加え戻し得る。TILがG-Rex100フラスコ内で連続的に拡大培養される実施形態では、7日目に各G-Rex100内のTILを各フラスコ内に存在する300mLの培地に懸濁し、及び細胞懸濁液を3つの100mLアリコートに分割しており、それらを3つのG-Rex100フラスコの播種に使用し得る。次に、各フラスコに、5%ヒトAB血清及び3000IU/mLのIL-2を含む150mLのAIM-Vを加え得る。G-Rex100フラスコを5%CO下37℃でインキュベートし、第2の拡大培養に入って4日後、各G-Rex100フラスコに3000IU/mLのIL-2を含む150mLのAIM-Vを加え得る。一部の実施形態において、細胞は培養14日目に回収する。
【0182】
[00194] 一部の実施形態において、TILの第2の拡大培養(これはREPと称される拡大培養を含み得る)は、ガス透過性容器において実施することができる。例えば、TILは、インターロイキン-2(IL-2)又はインターロイキン-15(IL-15)の存在下で非特異的T細胞受容体刺激を用いて迅速に拡大培養することができる。ある実施形態において、TIL数の拡大培養には約1×10~約1×1011個の抗原提示フィーダー細胞を使用する。非特異的T細胞受容体刺激としては、例えば、約30ng/mlのOKT3、マウスモノクローナル抗CD3抗体(Ortho-McNeil、Raritan, NJ又はMiltenyi Biotech、Auburn, CAから市販されている)を挙げることができる。TILは、任意選択で300IU/mL IL-2又はIL-15など、T細胞成長因子の存在下で、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)結合ペプチド、例えば、0.3μΜ MART-1:26-35(27L)又はgpl 00:209-217(210M)など、任意選択でベクターから発現させることのできる、1つ又は複数のエピトープなど、その抗原性部分を含めた癌の1つ以上の抗原によるインビトロでのTILの更なる刺激により、迅速に拡大培養することができる。他の好適な抗原としては、例えば、NY-ESO-1、TRP-1、TRP-2、チロシナーゼ癌抗原、MAGE-A3、SSX-2、及びVEGFR2、又はその抗原性部分を挙げることができる。TILはまた、HLA-A2発現抗原提示細胞にパルスした癌の同じ1つ又は複数の抗原による再刺激によっても迅速に拡大培養し得る。或いは、TILは、例えば照射自己リンパ球によるか、又は照射HLA-A2+同種異系リンパ球及びIL-2によって更に再刺激することができる。
【0183】
[00195] 一部の実施形態において、TILの第2の拡大培養(これはREPと称される拡大培養を含み得る)は、100cmガス透過性シリコン底の500mL容量ガス透過性フラスコ(G-Rex 100、Wilson Wolf Manufacturing Corporation、New Brighton, MN, USAから市販されている)において実施することができ、5%ヒトAB血清、3000IU/mLのIL-2及び30ng/mlの抗CD3(OKT3)を添加した400mLの50/50培地中で5×10又は10×10個のTILをaAPCと1対100の比で培養し得る。G-Rex 100フラスコは5%CO下37℃でインキュベートし得る。5日目、250mLの上清を取り出して遠心ボトルに入れ、1500rpm(491×g)で10分間遠心し得る。5%ヒトAB血清、3000IU/mLのIL-2を含む150mLの新鮮培地にTILペレットを再懸濁し、元のG-Rex 100フラスコに戻し加え得る。G-Rex 100フラスコ内でTILを連続的に拡大培養するときは、7日目に各G-Rex 100のTILを各フラスコ内に存在する300mLの培地に懸濁してもよく、及び細胞懸濁液を3つの100mLアリコートに分割してもよく、それらを3つのG-Rex 100フラスコの播種に使用し得る。次に、5%ヒトAB血清及び3000IU/mLのIL-2を含む150mLのAIM-Vを各フラスコに加え得る。G-Rex 100フラスコは5%CO下37℃でインキュベートしてもよく、4日後、各G-Rex100フラスコに3000IU/mLのIL-2を含む150mLのAIM-Vを加え得る。細胞は培養14日目に回収し得る。
【0184】
[00196] 一実施形態において、第2の拡大培養(REPと称される拡大培養を含む)は、バルクTILを150ml培地中の100倍又は200倍過剰の不活性化フィーダー細胞、30mg/mL OKT3抗CD3抗体及び3000IU/mL IL-2と混合してフラスコ内で実施される。細胞を別の成長チャンバに移すまで培地補充が行われる(概して新鮮培地による呼吸を介した3分の2の培地補充)。別の成長チャンバには、以下に更に十分に考察するとおりのGRexフラスコ及びガス透過性容器が含まれる。
【0185】
[00197] 別の実施形態において、第2の拡大培養(REPと称される拡大培養を含む)が実施され、これは優れた腫瘍応答性に関してTILを選択するステップを更に含む。当該技術分野において公知の任意の選択方法を用いることができる。例えば、米国特許出願公開第2016/0010058 A1号(この開示は参照により本明細書に援用される)に記載される方法が、優れた腫瘍応答性に関するTILの選択に用いられてもよい。
【0186】
[00198] 任意選択で、第2の拡大培養(REP拡大培養と称される拡大培養を含む)の後に、当該技術分野において公知の標準アッセイを用いて細胞生存率アッセイを実施することができる。例えば、バルクTILの試料に対してトリパンブルー色素排除アッセイを行うことができ、これは死細胞を選択的に標識して生存率の評価を可能にするものである。一部の実施形態では、Cellometer K2自動セルカウンター(Nexcelom Bioscience、Lawrence, MA)を使用してTIL試料をカウントし、生存率を決定することができる。一部の実施形態では、生存率は、例えば実施例2に記載されるCellometer K2 Image Cytometer自動セルカウンタープロトコルに従い決定される。
【0187】
[00199] 一部の実施形態において、細胞は、2つ以上の容器又はフラスコに分割する前に、7日、8日、9日、10日、又は11日の第2の拡大培養総時間にわたって成長させる。
【0188】
[00200] 一部の実施形態において、第2の拡大培養培地(例えば、CM2又は第2の細胞培養培地と称されることもある)は、以下で更に詳細に考察するとおり、IL-2、OKT-3、並びに抗原提示フィーダー細胞(APC)を含む。
【0189】
[00201] 一部の実施形態において、抗原提示フィーダー細胞はPBMCである。一部の実施形態において、抗原提示フィーダー細胞は人工抗原提示フィーダー細胞である。ある実施形態において、第2の拡大培養におけるTILと抗原提示フィーダー細胞との比は、約1対25、約1対50、約1対100、約1対125、約1対150、約1対175、約1対200、約1対225、約1対250、約1対275、約1対300、約1対325、約1対350、約1対375、約1対400、又は約1対500である。ある実施形態において、第2の拡大培養におけるTILと抗原提示フィーダー細胞との比は1対50~1対300である。ある実施形態において、第2の拡大培養におけるTILと抗原提示フィーダー細胞との比は1対100~1対200である。
【0190】
[00202] ある実施形態において、本明細書に記載されるTIL拡大培養手順には、第2の拡大培養(例えば、REP TIL拡大培養と称される拡大培養を含む)の間に過剰量のフィーダー細胞が必要である。多くの実施形態において、フィーダー細胞は、健常供血者からの標準的な全血ユニットから入手される末梢血単核球(PBMC)である。PBMCは、Ficoll-Paque勾配分離などの標準方法を用いて入手される。ある実施形態では、PBMCの代わりに人工抗原提示(aAPC)細胞が使用される。
【0191】
[00203] 一般に、同種異系PBMCは照射又は熱処理のいずれかで不活性化され、REP手順において使用される。
【0192】
[00204] 一部の実施形態において、第1の拡大培養における成長培地はIL-2又はその変異体を含む。一部の実施形態において、ILは組換えヒトIL-2(rhIL-2)である。一部の実施形態においてIL-2ストック溶液は1mgバイアルにつき20~30×10IU/mgの比活性を有する。一部の実施形態においてIL-2ストック溶液は1mgバイアルにつき20~×10IU/mgの比活性を有する。一部の実施形態においてIL-2ストック溶液は1mgバイアルにつき25×10IU/mgの比活性を有する。一部の実施形態においてIL-2ストック溶液は1mgバイアルにつき30×10IU/mgの比活性を有する。一部の実施形態において、IL-2ストック溶液は4~8×10IU/mgのIL-2の最終濃度を有する。一部の実施形態において、IL-2ストック溶液は5~7×10IU/mgのIL-2の最終濃度を有する。一部の実施形態において、IL-2ストック溶液は6×10IU/mgのIL-2の最終濃度を有する。一部の実施形態において、IL-2ストック溶液は実施例4に記載されるとおり調製される。一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は、約10,000IU/mLのIL-2、約9,000IU/mLのIL-2、約8,000IU/mLのIL-2、約7,000IU/mLのIL-2、約6000IU/mLのIL-2又は約5,000IU/mLのIL-2を含む。一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は約9,000IU/mLのIL-2、乃至約5,000IU/mLのIL-2を含む。一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は約8,000IU/mLのIL-2、乃至約6,000IU/mLのIL-2を含む。一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は約7,000IU/mLのIL-2、乃至約6,000IU/mLのIL-2を含む。一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は約6,000IU/mLのIL-2を含む。ある実施形態において、細胞培養培地はIL-2を更に含む。一部の実施形態において、細胞培養培地は約3000IU/mLのIL-2を含む。ある実施形態において、細胞培養培地は、約1000IU/mL、約1500IU/mL、約2000IU/mL、約2500IU/mL、約3000IU/mL、約3500IU/mL、約4000IU/mL、約4500IU/mL、約5000IU/mL、約5500IU/mL、約6000IU/mL、約6500IU/mL、約7000IU/mL、約7500IU/mL、又は約8000IU/mLのIL-2を含む。ある実施形態において、細胞培養培地は、1000~2000IU/mL、2000~3000IU/mL、3000~4000IU/mL、4000~5000IU/mL、5000~6000IU/mL、6000~7000IU/mL、7000~8000IU/mL、又は8000IU/mLの間のIL-2を含む。
【0193】
[00205] 一部の実施形態において、第2の拡大培養の細胞培養培地はまた、抗CD3抗体も含む。一部の実施形態において、細胞培養培地はOKT3抗体を含む。一部の実施形態において、細胞培養培地は約30ng/mLのOKT3抗体を含む。ある実施形態において、細胞培養培地は、約0.1ng/mL、約0.5ng/mL、約1ng/mL、約2.5ng/mL、約5ng/mL、約7.5ng/mL、約10ng/mL、約15ng/mL、約20ng/mL、約25ng/mL、約30ng/mL、約35ng/mL、約40ng/mL、約50ng/mL、約60ng/mL、約70ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約100ng/mL、約200ng/mL、約500ng/mL、及び約1μg/mLのOKT3抗体を含む。ある実施形態において、細胞培養培地は、0.1ng/mL~1ng/mL、1ng/mL~5ng/mL、5ng/mL~10ng/mL、10ng/mL~20ng/mL、20ng/mL~30ng/mL、30ng/mL~40ng/mL、40ng/mL~50ng/mL、及び50ng/mL~100ng/mLのOKT3抗体を含む。
【0194】
[00206] 一部の実施形態において、抗CD3抗体をIL-2と併用すると、TIL集団においてT細胞活性化及び細胞分裂が誘導される。この効果は完全長抗体並びにFab及びF(ab’)2断片で見ることができ、前者が概して好ましい;例えば、Tsoukas et al., J. Immunol. 1985, 135, 1719(本明細書によって全体として参照により援用される)を参照のこと。当業者は理解するであろうとおり、本発明において使用が見出される好適な抗ヒトCD3抗体は、限定はされないが、ネズミ科動物、ヒト、霊長類、ラット、及びイヌ科動物抗体を含めた、様々な哺乳類からの抗ヒトCD3ポリクローナル及びモノクローナル抗体を含め、幾つも存在する。詳細な実施形態では、OKT3抗CD3抗体が使用される(Ortho-McNeil、Raritan, NJ又はMiltenyi Biotech、Auburn, CAから市販されている)。
【0195】
[00207] 一部の実施形態において、第2の拡大培養における細胞は、当該技術分野において公知のとおり、高用量のサイトカイン、詳細にはIL-2を含む培養培地中で成長させる。
【0196】
[00208] 或いは、TILの第2の拡大培養にサイトカインの組み合わせを使用することが更に可能であり、IL-2、IL-15及びIL-21のうちの2つ以上の組み合わせについては、概して国際公開第2015/189356号及び国際公開第2015/189357号(本明細書によって全体として参照により明示的に援用される)に概説されるとおりである。従って、可能な組み合わせとしては、IL-2とIL-15、IL-2とIL-21、IL-15とIL-21とIL-2、IL-15とIL-21が挙げられ、後者には多くの実施形態において特定の使用が見出される。これらの明細書に記載されるとおり、サイトカインの組み合わせを使用することは、特にリンパ球、詳細にはT細胞の生成に有利である。
【0197】
E.任意選択でのステップD:第2の拡大培養の繰り返し
[00209] 一部の実施形態において、第2の拡大培養は1回以上実施され、即ち、第2の拡大培養は繰り返される。例えば、一部の実施形態において、図11に示されるとおりのステップDの第2の拡大培養は1回以上繰り返される。一部の実施形態において、第2の拡大培養は追加的な第2の拡大培養と称される。第2の拡大培養が2回以上実施される(即ち、第2の拡大培養が繰り返される)一部の実施形態において、これは、TIL迅速拡大培養プロトコルと称される手順を含み得る。一部の実施形態において、TIL細胞集団は採取及び第1の拡大培養後に数が拡大される。このプロセスは、概して当該技術分野では迅速拡大培養プロセス(REP:rapid expansion process)と称され、繰り返される第2の拡大培養は、reREPと称される拡大培養を含み得る。このプロトコル全体は、概して、フィーダー細胞、サイトカイン源、及び抗CD3抗体を含め、幾つもの成分を含むガス透過性容器内の培養培地を使用して達成することができる。一部の実施形態において、1回以上の後続の第2の拡大培養が、上記に記載したとおり実施される。一部の実施形態において、1回以上の第2の拡大培養が、図11のステップDの下に提供されるとおり、且つ図11に提供されるとおりのステップEの前に実施される。一部の実施形態において、1、2、3、4回又はそれ以上の第2の拡大培養が、上記に記載したとおり実施される。一部の実施形態において、1、2、3、4回又はそれ以上の第2の拡大培養が、図11のステップEの前に図11のステップDに提供されるとおり実施される。一部の実施形態において、2回の第2の拡大培養が、上記に記載したとおり実施される。一部の実施形態において、2回の第2の拡大培養が、図11のステップEの前に図11のステップDに提供されるとおり実施される。一部の実施形態において、3回の第2の拡大培養が、上記に記載したとおり実施される。一部の実施形態において、3回の第2の拡大培養が、図11のステップEの前に図11のステップDに提供されるとおり実施される。一部の実施形態において、4回の第2の拡大培養が、上記に記載したとおり実施される。一部の実施形態において、4回の第2の拡大培養が、図11のステップEの前に図11のステップDに提供されるとおり実施される。
【0198】
[00210] 一部の実施形態において、TILの第2の拡大培養(例えば図11のステップDにあるものなど)の繰り返しは、TILの再刺激と称することができる。一部の実施形態において、本発明は再刺激ステップ、即ち第2の拡大培養の繰り返し(例えば、図11のステップDからの第2の拡大培養の繰り返し)を含む。一部の実施形態において、繰り返される第2の拡大培養(これは再刺激ステップと称される拡大培養(「reREP」)を含み得る)は、凍結保存されていた細胞に対して実施される。一部の実施形態において、TILはステップDの後に凍結保存される。一部の実施形態において、ステップDにおける初回の第2の拡大培養後、細胞を通常の培地、例えば「静止」培地中で培養してもよく、次に1回以上の第2の拡大培養ステップが実施される。一部の実施形態において、静止培地はIL-2を含む。一部の実施形態において、静止培地はIL-2を含まない。一部の実施形態において、静止培地は、当該技術分野において公知の標準的な細胞培養培地である。一部の実施形態において、静止培地は、市販の培地を含め、AIM-V、DMEM、DMEM/F12、MEM、RPMI、OptiMEM、IMDM、又は当該技術分野において公知の任意の他の標準培地である。一部の実施形態において、静止培地はAIM-Vである。
【0199】
[00211] 一般に、本明細書で考察するとおり、TILは、初めは、本明細書で考察するとおり患者から切除された腫瘍から初代TIL集団を入手することにより調製される(「初代細胞集団」又は「第1の細胞集団」)。これに続き、細胞をIL-2と培養することを利用した初期バルク拡大培養が行われ、第2の細胞集団が形成される(本明細書において「バルクTIL集団」又は「第2の集団」と称されることもある)。一部の実施形態において、これは初期又は第1の拡大培養とも称される。
【0200】
[00212] 次に、バルクTIL集団(例えば、例えば図11のステップAから入手される集団)が、IL-2、OKT-3、及び抗原提示フィーダー細胞(APC)を含む細胞培養培地中で、第1の拡大培養(例えば、図11のステップBに記載されるとおりの第1の拡大培養)と称されることもあるREPステップに供され、ここでAPCは概して末梢血単核球(PBMC;又は、或いは本明細書で考察するとおり、抗原提示細胞を使用する)を含み、ここで迅速拡大培養(例えば、図11のステップDに提供されるとおりの第2の拡大培養)は少なくとも14日間実施される。本明細書で考察するとおり、培地はまた、IL-2単独でなく、むしろIL-2、IL-15及び/又はIL-23の組み合わせを含有してもよい。一部の実施形態において、この第2の拡大培養後(例えば、図11のステップD後)の拡大培養TIL集団は、第2のTIL集団(例えば、図11のステップBから入手されるTIL集団)より少なくとも50倍又は100倍数が多い。一部の実施形態において、図11のステップDにおける第2の拡大培養後に入手されるTIL集団は、図11のステップBにおける第1の拡大培養から入手されるTILより50倍又は100倍数が多い。TILは、実施例1、2、及び3を含め、本明細書と共に提供される実施例に記載される方法を含めた、当該技術分野において公知の細胞カウント方法によって測定される。一部の実施形態では、K2セルカウンターを用いてTILがカウントされる。一部の実施形態では、Cellometer IC2 Imageサイトメーターを用いてTILがカウントされる。
【0201】
[00213] 一部の実施形態において、本明細書で考察するとおり、第2の拡大培養後に入手されるTIL集団(第3のTIL集団又はREP細胞集団と称されることもある)は、添加細胞培養培地(例えば、図11のステップDで使用される培養培地又は実施例においてCM2と称される培地)から取り出され、任意選択で追加的な第2の拡大培養ステップの実施前に貯蔵培地(例えば、5%DMSOを含有する培地)に凍結保存される。
【0202】
[00214] 任意選択で、TILは、第2の拡大培養後、及び追加的な第2の拡大培養の前に凍結保存することができる。一部の実施形態において、TILは、図11のステップDの実施後、及び図11の追加的なステップDの実施前に凍結保存される。一部の実施形態において、凍結保存TILは、追加的な第2の拡大培養の実施前に解凍される。一部の実施形態において、凍結保存TILは、図11に提供されるとおりの追加的なステップDの実施前に解凍される。一部の実施形態において、TILは5%DMSO中に凍結保存される。一部の実施形態において、TILは細胞培養培地+5%DMSO中に凍結保存される。或いは、細胞は添加細胞培養培地(例えば、図11のステップDにおいて使用される培養培地)から取り出され、静止培地で培養される。かかる培地には、実施例1及び5、並びに本明細書と共に提供される他の実施例に記載されるものが含まれる。一部の実施形態において、静止培地は、IL-2を含む培地を含み得る。一部の実施形態において、静止培地は、実施例においてCM1と称される培地であってもよい。
【0203】
[00215] 追加的な第2の拡大培養(reREPと称される拡大培養を含む)は、解凍した細胞又は静止細胞のいずれかに対して、IL-2と、OKT-3と、概して末梢血単核球(PBMC;又は、或いは本明細書で考察するとおり、抗原提示細胞を使用する)を含むフィーダー細胞(例えば、抗原提示細胞)とを含む添加細胞培養培地(例えば、図11のステップDに提供されるとおりの培地)を使用して行われ、ここで追加的な第2の拡大培養は少なくとも14日間実施される。本明細書で考察するとおり、培地はまた、IL-2単独でなく、むしろIL-2、IL-15及び/又はIL-23の組み合わせを含有してもよい。
【0204】
[00216] これにより、これらの拡大培養TILが第2のTIL集団(例えば、バルク出発TIL)と比べて増加したエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞サブ集団を呈することを特徴とする拡大培養TIL集団が得られる。一部の実施形態において、これらの拡大培養TILは、図11のステップDから入手されるTILである。
【0205】
[00217] 一部の実施形態において、メモリーT細胞は、細胞(構成的にCCR7及びCD62L)である。Sallusto, et al., Annu. Rev. Immunol., 2004, 22:745-763を参照のこと;全体として参照により本明細書に援用される。
【0206】
[00218] 従って、本発明は、解糖及び呼吸などの代謝的健康の増加をもたらす解凍後方法に基づいた、凍結保存TILの解凍時における再刺激方法を提供する。一部の実施形態において、方法は、解凍した凍結保存TILの集団を提供することであって、次にはそれを処理してその代謝的健康を増加させることにより、患者への注入時に最適な治療を実現することを含む。
【0207】
F.ステップE:ステップDからTILを回収する
[00219] 第2の拡大培養ステップの後、細胞は回収することができる。一部の実施形態において、TILは、1、2、3、4回又はそれ以上の第2の拡大培養ステップの後に回収される。一部の実施形態において、TILは、図11に提供されるとおりのステップDに係る1、2、3、4回又はそれ以上の第2の拡大培養ステップの後に回収される。
【0208】
[00220] TILは、例えば遠心によることを含め、任意の適切な且つ無菌の方法で回収することができる。TIL回収方法は当該技術分野において周知であり、本プロセスと共に任意のかかる公知の方法を用いることができる。
【0209】
G.ステップF:最終的な製剤化及び/又は輸注バッグに移す
[00221] 図11に例示的順序で提供されるとおりの、且つ上記及び本明細書に詳細に概説されるとおりのステップA~Eが完了した後、細胞は患者への投与における使用のため容器に移される。一部の実施形態において、上記に記載される拡大培養方法を用いて治療上十分な数のTILが入手されると、TILは患者への投与における使用のため容器に移される。
【0210】
[00222] ある実施形態において、本開示のAPCを使用して拡大培養したTILは、医薬組成物として患者に投与される。ある実施形態において、医薬組成物は滅菌緩衝液中のTILの懸濁液である。本開示のPBMCを使用して拡大培養したTILは、当該技術分野において公知のとおりの任意の好適な経路によって投与されてよい。一部の実施形態において、T細胞は単回動脈内又は静脈内注入として投与され、これは好ましくは約30~60分間継続される。他の好適な投与経路としては、腹腔内、髄腔内、及びリンパ内が挙げられる。
【0211】
1.医薬組成物、投薬量、及び投与レジメン
[00223] ある実施形態において、本開示のAPCを使用して拡大培養したTILは、医薬組成物として患者に投与される。ある実施形態において、医薬組成物は滅菌緩衝液中のTILの懸濁液である。本開示のPBMCを使用して拡大培養したTILは、当該技術分野において公知のとおりの任意の好適な経路によって投与されてよい。一部の実施形態において、T細胞は単回動脈内又は静脈内注入として投与され、これは好ましくは約30~60分間継続される。他の好適な投与経路としては、腹腔内、髄腔内、及びリンパ内投与が挙げられる。
【0212】
[00224] 任意の好適な用量のTILを投与することができる。一部の実施形態において、好適な投薬量には、治療上十分な数のTILが必要である。一部の実施形態において、約2.3×1010~約13.7×1010個のTILが投与され、特に癌が黒色腫である場合、平均約7.8×1010個のTILである。ある実施形態において、約1.2×1010~約4.3×1010個のTILが投与される。一部の実施形態において、約3×1010~約12×1010個のTILが投与される。一部の実施形態において、約4×1010~約10×1010個のTILが投与される。一部の実施形態において、約5×1010~約8×1010個のTILが投与される。一部の実施形態において、約6×1010~約8×1010個のTILが投与される。一部の実施形態において、約7×1010~約8×1010個のTILが投与される。一部の実施形態において、治療上有効な投薬量は約2.3×1010~約13.7×1010個である。一部の実施形態において、治療上有効な投薬量は、特に癌が黒色腫である場合、約7.8×1010個のTILである。一部の実施形態において、治療上有効な投薬量は約1.2×1010~約4.3×1010個のTILである。一部の実施形態において、治療上有効な投薬量は約3×1010~約12×1010個のTILである。一部の実施形態において、治療上有効な投薬量は約4×1010~約10×1010個のTILである。一部の実施形態において、治療上有効な投薬量は約5×1010~約8×1010個のTILである。一部の実施形態において、治療上有効な投薬量は約6×1010~約8×1010個のTILである。一部の実施形態において、治療上有効な投薬量は約7×1010~約8×1010個のTILである。
【0213】
[00225] 一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるTILの数は、約1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×1010、2×1010、3×1010、4×1010、5×1010、6×1010、7×1010、8×1010、9×1010、1×1011、2×1011、3×1011、4×1011、5×1011、6×1011、7×1011、8×1011、9×1011、1×1012、2×1012、3×1012、4×1012、5×1012、6×1012、7×1012、8×1012、9×1012、1×1013、2×1013、3×1013、4×1013、5×1013、6×1013、7×1013、8×1013、及び9×1013個である。ある実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるTILの数は、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×1010、1×1010~5×1010、5×1010~1×1011、5×1011~1×1012、1×1012~5×1012、及び5×1012~1×1013個の範囲である。一部の実施形態において、治療上有効な投薬量は、約1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×1010、2×1010、3×1010、4×1010、5×1010、6×1010、7×1010、8×1010、9×1010、1×1011、2×1011、3×1011、4×1011、5×1011、6×1011、7×1011、8×1011、9×1011、1×1012、2×1012、3×1012、4×1012、5×1012、6×1012、7×1012、8×1012、9×1012、1×1013、2×1013、3×1013、4×1013、5×1013、6×1013、7×1013、8×1013、及び9×1013個である。
【0214】
[00226] 一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるTILの濃度は、例えば、医薬組成物の100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%又は0.0001%w/w、w/v又はv/v未満である。
【0215】
[00227] 一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるTILの濃度は、医薬組成物の90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19.75%、19.50%、19.25% 19%、18.75%、18.50%、18.25% 18%、17.75%、17.50%、17.25% 17%、16.75%、16.50%、16.25% 16%、15.75%、15.50%、15.25% 15%、14.75%、14.50%、14.25% 14%、13.75%、13.50%、13.25% 13%、12.75%、12.50%、12.25% 12%、11.75%、11.50%、11.25% 11%、10.75%、10.50%、10.25% 10%、9.75%、9.50%、9.25% 9%、8.75%、8.50%、8.25% 8%、7.75%、7.50%、7.25% 7%、6.75%、6.50%、6.25% 6%、5.75%、5.50%、5.25% 5%、4.75%、4.50%、4.25%、4%、3.75%、3.50%、3.25%、3%、2.75%、2.50%、2.25%、2%、1.75%、1.50%、125%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%又は0.0001%w/w、w/v、又はv/v超である。
【0216】
[00228] 一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるTILの濃度は、医薬組成物の約0.0001%~約50%、約0.001%~約40%、約0.01%~約30%、約0.02%~約29%、約0.03%~約28%、約0.04%~約27%、約0.05%~約26%、約0.06%~約25%、約0.07%~約24%、約0.08%~約23%、約0.09%~約22%、約0.1%~約21%、約0.2%~約20%、約0.3%~約19%、約0.4%~約18%、約0.5%~約17%、約0.6%~約16%、約0.7%~約15%、約0.8%~約14%、約0.9%~約12%又は約1%~約10%w/w、w/v又はv/vの範囲である。
【0217】
[00229] 一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるTILの濃度は、医薬組成物の約0.001%~約10%、約0.01%~約5%、約0.02%~約4.5%、約0.03%~約4%、約0.04%~約3.5%、約0.05%~約3%、約0.06%~約2.5%、約0.07%~約2%、約0.08%~約1.5%、約0.09%~約1%、約0.1%~約0.9%w/w、w/v又はv/vの範囲である。
【0218】
[00230] 一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるTILの量は、10g、9.5g、9.0g、8.5g、8.0g、7.5g、7.0g、6.5g、6.0g、5.5g、5.0g、4.5g、4.0g、3.5g、3.0g、2.5g、2.0g、1.5g、1.0g、0.95g、0.9g、0.85g、0.8g、0.75g、0.7g、0.65g、0.6g、0.55g、0.5g、0.45g、0.4g、0.35g、0.3g、0.25g、0.2g、0.15g、0.1g、0.09g、0.08g、0.07g、0.06g、0.05g、0.04g、0.03g、0.02g、0.01g、0.009g、0.008g、0.007g、0.006g、0.005g、0.004g、0.003g、0.002g、0.001g、0.0009g、0.0008g、0.0007g、0.0006g、0.0005g、0.0004g、0.0003g、0.0002g、又は0.0001g以下である。
【0219】
[00231] 一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるTILの量は、0.0001g、0.0002g、0.0003g、0.0004g、0.0005g、0.0006g、0.0007g、0.0008g、0.0009g、0.001g、0.0015g、0.002g、0.0025g、0.003g、0.0035g、0.004g、0.0045g、0.005g、0.0055g、0.006g、0.0065g、0.007g、0.0075g、0.008g、0.0085g、0.009g、0.0095g、0.01g、0.015g、0.02g、0.025g、0.03g、0.035g、0.04g、0.045g、0.05g、0.055g、0.06g、0.065g、0.07g、0.075g、0.08g、0.085g、0.09g、0.095g、0.1g、0.15g、0.2g、0.25g、0.3g、0.35g、0.4g、0.45g、0.5g、0.55g、0.6g、0.65g、0.7g、0.75g、0.8g、0.85g、0.9g、0.95g、1g、1.5g、2g、2.5、3g、3.5、4g、4.5g、5g、5.5g、6g、6.5g、7g、7.5g、8g、8.5g、9g、9.5g、又は10g超である。
【0220】
[00232] 本発明の医薬組成物中に提供されるTILは、広い投薬量範囲にわたって有効である。正確な投薬量は、投与経路、化合物の投与形態、治療対象の性別及び年齢、治療対象の体重、並びに主治医の優先的選択及び経験に依存することになる。臨床的に確立されたTILの投薬量もまた、適宜用いられ得る。TILの投薬量など、本明細書の方法を用いて投与される医薬組成物の量は、治療下のヒト又は哺乳類、障害又は病態の重症度、投与速度、医薬品有効成分の性質及び処方医師の裁量に依存することになる。
【0221】
[00233] 一部の実施形態において、TILは単回用量で投与されてもよい。かかる投与は、注射、例えば静脈内注射によってもよい。一部の実施形態において、TILは複数回用量で投与されてもよい。投与は、年1回、2回、3回、4回、5回、6回、又は6回超であってもよい。投与は、月1回、2週間に1回、週1回、又は隔日1回であってもよい。TILの投与は必要な限り継続されてもよい。
【0222】
[00234] 一部の実施形態において、TILの有効投薬量は、約1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×1010、2×1010、3×1010、4×1010、5×1010、6×1010、7×1010、8×1010、9×1010、1×1011、2×1011、3×1011、4×1011、5×1011、6×1011、7×1011、8×1011、9×1011、1×1012、2×1012、3×1012、4×1012、5×1012、6×1012、7×1012、8×1012、9×1012、1×1013、2×1013、3×1013、4×1013、5×1013、6×1013、7×1013、8×1013、及び9×1013個である。一部の実施形態において、TILの有効投薬量は、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×1010、1×1010~5×1010、5×1010~1×1011、5×1011~1×1012、1×1012~5×1012、及び5×1012~1×1013個の範囲である。
【0223】
[00235] 一部の実施形態において、TILの有効投薬量は、約0.01mg/kg~約4.3mg/kg、約0.15mg/kg~約3.6mg/kg、約0.3mg/kg~約3.2mg/kg、約0.35mg/kg~約2.85mg/kg、約0.15mg/kg~約2.85mg/kg、約0.3mg~約2.15mg/kg、約0.45mg/kg~約1.7mg/kg、約0.15mg/kg~約1.3mg/kg、約0.3mg/kg~約1.15mg/kg、約0.45mg/kg~約1mg/kg、約0.55mg/kg~約0.85mg/kg、約0.65mg/kg~約0.8mg/kg、約0.7mg/kg~約0.75mg/kg、約0.7mg/kg~約2.15mg/kg、約0.85mg/kg~約2mg/kg、約1mg/kg~約1.85mg/kg、約1.15mg/kg~約1.7mg/kg、約1.3mg/kgmg~約1.6mg/kg、約1.35mg/kg~約1.5mg/kg、約2.15mg/kg~約3.6mg/kg、約2.3mg/kg~約3.4mg/kg、約2.4mg/kg~約3.3mg/kg、約2.6mg/kg~約3.15mg/kg、約2.7mg/kg~約3mg/kg、約2.8mg/kg~約3mg/kg、又は約2.85mg/kg~約2.95mg/kgの範囲である。
【0224】
[00236] 一部の実施形態において、TILの有効投薬量は、約1mg~約500mg、約10mg~約300mg、約20mg~約250mg、約25mg~約200mg、約1mg~約50mg、約5mg~約45mg、約10mg~約40mg、約15mg~約35mg、約20mg~約30mg、約23mg~約28mg、約50mg~約150mg、約60mg~約140mg、約70mg~約130mg、約80mg~約120mg、約90mg~約110mg、又は約95mg~約105mg、約98mg~約102mg、約150mg~約250mg、約160mg~約240mg、約170mg~約230mg、約180mg~約220mg、約190mg~約210mg、約195mg~約205mg、又は約198~約207mgの範囲である。
【0225】
[00237] 有効量のTILは、鼻腔内及び経皮経路、動脈内注射によること、静脈内、腹腔内、非経口的、筋肉内、皮下、局所、移植によること、又は吸入によることを含め、同様の有用性を有する薬剤について一般に認められている任意の投与方式により、単回用量又は複数回用量のいずれで投与されてもよい。
【0226】
H.任意選択の細胞生存率分析
[00238] 任意選択で、ステップBの第1の拡大培養の後に、当該技術分野において公知の標準アッセイを用いて細胞生存率アッセイを実施することができる。例えば、バルクTILの試料に対してトリパンブルー色素排除アッセイを行うことができ、これは死細胞を選択的に標識して生存率の評価を可能にするものである。生存率の試験に用いられる他のアッセイとしては、限定はされないが、アラマーブルーアッセイ;及びMTTアッセイを挙げることができる。
【0227】
1.細胞数、生存率、フローサイトメトリー
[00239] 一部の実施形態において、細胞数及び/又は生存率が測定される。限定はされないが、CD3、CD4、CD8、及びCD56などのマーカー、並びに本明細書に開示又は記載される任意の他のものの発現を抗体によるフローサイトメトリー、例えば限定はされないが、FACSCanto(商標)フローサイトメーター(BD Biosciences)を使用してBD Bio-sciences(BD Biosciences、San Jose, CA)から市販されているものによって測定することができる。細胞は、ディスポーザブルc-chip血球計算盤(VWR、Batavia, IL)を使用して手動でカウントすることができ、及び生存率は、限定はされないがトリパンブルー染色を含め、当該技術分野において公知の任意の方法を用いて評価することができる。
【0228】
[00240] ある場合には、バルクTIL集団は、以下で考察するプロトコルを用いて直ちに凍結保存することができる。或いは、バルクTIL集団は、以下で考察するとおり、REPに供し、次に凍結保存してもよい。同様に、療法において遺伝子修飾TILが使用されることになる場合、バルク又はREP TIL集団を好適な治療のための遺伝子修飾に供してもよい。
【0229】
2.細胞培養
[00241] ある実施形態において、TILの拡大培養方法は、約5,000mL~約25,000mLの細胞培地、約5,000mL~約10,000mLの細胞培地、又は約5,800mL~約8,700mLの細胞培地を使用することを含み得る。ある実施形態において、TIL数の拡大には1種類以下の細胞培養培地が使用される。任意の好適な細胞培養培地、例えば、AIM-V細胞培地(L-グルタミン、50μM硫酸ストレプトマイシン、及び10μM硫酸ゲンタマイシン)細胞培養培地(Invitrogen、Carlsbad CA)を使用し得る。この点に関して、本発明の方法では有利には、TIL数の拡大に必要な培地の量及び培地の種類の数が減少する。ある実施形態において、TIL数の拡大は、2日又は3日おき以下の頻度で細胞に新鮮細胞培養培地を加える(細胞をフィードするとも称される)ことを含み得る。ガス透過性容器内で細胞の数を拡大すると、細胞の拡大培養に必要なフィーディング頻度が減少することにより細胞の数の拡大に必要な手順が簡便になる。
【0230】
[00242] ある実施形態において、第1及び/又は第2のガス透過性容器内の細胞培地はろ過されていない。ろ過されていない細胞培地を使用すると、細胞の数の拡大に必要な手順が簡便になり得る。ある実施形態において、第1及び/又は第2のガス透過性容器内の細胞培地はβ-メルカプトエタノール(BME)を含まない。
【0231】
[00243] ある実施形態において、哺乳類から腫瘍組織試料を入手すること;細胞培地が中に入った第1のガス透過性容器内で腫瘍組織試料を培養すること;腫瘍組織試料からTILを入手すること;aAPCを使用して細胞培地が中に入った第2のガス透過性容器内でTIL数を約14~約42日間、例えば約28日間拡大することを含む本方法の所要期間。
【0232】
[00244] ある実施形態において、TILはガス透過性容器内で拡大培養される。ガス透過性容器は、米国特許出願公開第2005/0106717 A1号(この開示は参照により本明細書に援用される)に記載されるものを含め、当該技術分野において公知の方法、組成物、及び装置を用いたPBMCを使用したTILの拡大培養に用いられている。ある実施形態において、TILはガス透過性バッグ内で拡大培養される。ある実施形態において、TILは、Xuri Cell Expansion System W25(GE Healthcare)など、ガス透過性バッグ内でTILを拡大培養する細胞拡大培養システムを使用して拡大培養される。ある実施形態において、TILは、Xuri Cell Expansion System W5(GE Healthcare)としても知られるWAVE Bioreactor Systemなど、ガス透過性バッグ内でTILを拡大培養する細胞拡大培養システムを使用して拡大培養される。ある実施形態において、細胞拡大培養システムは、約100mL、約200mL、約300mL、約400mL、約500mL、約600mL、約700mL、約800mL、約900mL、約1L、約2L、約3L、約4L、約5L、約6L、約7L、約8L、約9L、及び約10Lからなる群から選択される容積を有するガス透過性細胞バッグを含む。ある実施形態において、TILはG-Rexフラスコ(Wilson Wolf Manufacturingから市販されている)において拡大培養することができる。かかる実施形態は、細胞集団を約5×10細胞/cmから10×10~30×10細胞/cmへと拡大培養することを可能にする。ある実施形態において、この拡大培養は、細胞に新鮮な細胞培養培地を加える(細胞をフィードするとも称される)ことなく行われる。ある実施形態において、これは、GRexフラスコ内に約10cmの高さの培地がある限りフィーディングなしである。ある実施形態において、これにフィーディングはないが、1つ以上のサイトカインが加えられる。ある実施形態において、サイトカインは、サイトカインを培地と混合する必要は一切なしにボーラスとして加えることができる。かかる容器、装置、及び方法は当該技術分野において公知で、TILの拡大培養に用いられており、米国特許出願公開第2014/0377739A1号、国際公開第2014/210036 A1号、米国特許出願公開第2013/0115617 A1号、国際公開第2013/188427 A1号、米国特許出願公開第2011/0136228 A1号、米国特許第8,809,050 B2号、国際公開第2011/072088 A2号、米国特許出願公開第2016/0208216 A1号、米国特許出願公開第2012/0244133 A1号、国際公開第2012/129201 A1号、米国特許出願公開第2013/0102075 A1号、米国特許第8,956,860 B2号、国際公開第2013/173835 A1号、米国特許出願公開第2015/0175966 A1号(これらの開示は参照により本明細書に援用される)に記載されるものが含まれる。かかるプロセスはまた、Jin et al., J. Immunotherapy, 2012, 35:283-292にも記載されている。任意選択のTIL遺伝子改変
【0233】
[00245] 一部の実施形態において、TILは任意選択で、限定はされないが、高親和性T細胞受容体(TCR)、例えば、MAGE-1、HER2、若しくはNY-ESO-1などの腫瘍関連抗原を標的とするTCR、又は腫瘍関連細胞表面分子(例えばメソテリン)若しくは系統限定的細胞表面分子(例えばCD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を含め、追加的な機能性を含むように遺伝子改変される。
【0234】
I.任意選択のTIL凍結保存
[00246] 上記でステップA~Eにおいて考察したとおり、TIL拡大培養プロセス全体を通じて数々の時点で凍結保存を行うことができる。一部の実施形態において、ステップBに係る第1の拡大培養後のバルクTIL集団又はステップDに係る1回以上の第2の拡大培養後の拡大培養TIL集団が凍結保存されてもよい。凍結保存は、概して、凍結溶液、例えば85%補体不活性化AB血清及び15%ジメチルスルホキシド(DMSO)の中にTIL集団を置くことにより達成し得る。この溶液中の細胞を極低温バイアルに入れ、-80℃で24時間貯蔵し、任意選択で凍結保存のため気体窒素フリーザーに移す。Sadeghi, et al., Acta Oncologica 2013, 52, 978-986を参照のこと。一部の実施形態において、TILは5%DMSOに凍結保存される。一部の実施形態において、TILは細胞培養培地+5%DMSOに凍結保存される。一部の実施形態において、TILは、実施例8及び9に提供される方法に従い凍結保存される。
【0235】
[00247] 適切な場合、細胞をフリーザーから取り出し、37℃の水浴中で溶液の約5分の4が解凍されるまで解凍する。細胞は概して完全培地中に再懸濁され、任意選択で1回以上洗浄される。一部の実施形態では、当該技術分野において公知のとおり解凍TILをカウントし、生存率に関して評価することができる。
【0236】
J.拡大培養したTILの表現型特徴
[00248] 一部の実施形態において、TILは拡大培養後に、本明細書及び実施例に記載されるものを含め、多数の表現型マーカーの発現に関して分析される。ある実施形態では、1つ以上の表現型マーカーの発現が調べられる。一部の実施形態において、TILの表現型特徴は、ステップBの第1の拡大培養後に分析される。一部の実施形態において、TILの表現型特徴は、ステップCの移行中に分析される。一部の実施形態において、TILの表現型特徴は、ステップCに係る移行中且つ凍結保存後に分析される。一部の実施形態において、TILの表現型特徴は、ステップDに係る第2の拡大培養後に分析される。一部の実施形態において、TILの表現型特徴は、ステップDに係る2回以上の拡大培養後に分析される。一部の実施形態において、マーカーは、TCRab、CD57、CD28、CD4、CD27、CD56、CD8a、CD45RA、CD8a、CCR7、CD4、CD3、CD38、及びHLA-DRからなる群から選択される。一部の実施形態において、マーカーは、TCRab、CD57、CD28、CD4、CD27、CD56、及びCD8aからなる群から選択される。ある実施形態において、マーカーは、CD45RA、CD8a、CCR7、CD4、CD3、CD38、及びHLA-DRからなる群から選択される。一部の実施形態では、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14個のマーカーの発現が調べられる。一部の実施形態では、各群から1つ以上のマーカーからの発現が調べられる。一部の実施形態では、解凍TILと比較したとき新鮮TILにおいてHLA-DR、CD38、及びCD69発現のうちの1つ以上が維持される(即ち、統計的に有意な差を呈しない)。一部の実施形態では、解凍TILにおいてTILの活性化状態が維持される。
【0237】
[00249] ある実施形態において、1つ以上の調節マーカーの発現が測定される。一部の実施形態において、調節マーカーは、CD137、CD8a、Lag3、CD4、CD3、PD1、TIM-3、CD69、CD8a、TIGIT、CD4、CD3、KLRG1、及びCD154からなる群から選択される。一部の実施形態において、調節マーカーは、CD137、CD8a、Lag3、CD4、CD3、PD1、及びTIM-3からなる群から選択される。一部の実施形態において、調節マーカーは、CD69、CD8a、TIGIT、CD4、CD3、KLRG1、及びCD154からなる群から選択される。一部の実施形態において、調節分子発現は新鮮TILと比較したとき解凍TILにおいて低下する。一部の実施形態において、調節分子LAG-3及びTIM-3の発現は新鮮TILと比較したとき解凍TILにおいて低下する。一部の実施形態において、CD4、CD8、NK、TCRαβ発現に有意な差はない。一部の実施形態において、解凍TILと比較したとき新鮮TILにおいてCD4、CD8、NK、TCRαβ発現、及び/又はメモリーマーカーに有意な差はない。
【0238】
[00250] 一部の実施形態において、メモリーマーカーは、CCR7及びCD62Lからなる群から選択される。
【0239】
[00251] 一部の実施形態において、解凍TILと比較したときの新鮮TILの生存率は、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%である。一部の実施形態において、新鮮TIL及び解凍TILの両方の生存率が、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超、又は98%超である。一部の実施形態において、新鮮産物及び解凍産物の両方の生存率が、80%超、81%超、82%超、83%超、84%超、85%超、86%超、87%超、88%超、89%超、又は90%超である。一部の実施形態において、新鮮産物及び解凍産物の両方の生存率が86%超である。
【0240】
[00252] ある実施形態において、再刺激TILはまた、サイトカイン遊離アッセイを用いてサイトカイン遊離に関しても判定することができる。一部の実施形態において、TILは、OKT3か又は自己腫瘍消化物との共培養かのいずれかによる刺激に応答したインターフェロン-7(IFN-7)分泌に関して判定することができる。例えば、OKT3刺激を用いる実施形態では、TILを広範に洗浄し、リン酸緩衝生理食塩水で希釈した0.1又は1.0μg/mLのOKT3をプレコートした96ウェル平底プレートに0.2mL CM中1×10細胞でデュプリケートウェルを調製する。一晩インキュベートした後、上清を回収し、上清中のIFN-7をELISA(Pierce/Endogen、Woburn, MA)によって測定する。共培養アッセイについては、1×10個のTIL細胞を96ウェルプレートに自己腫瘍細胞と共に(1:1比)置く。24時間のインキュベーション後、上清を回収し、IFN-7遊離を例えばELISAによって定量化することができる。
【0241】
[00253] 細胞表面バイオマーカーのフローサイトメトリー分析:細胞表面マーカーのフローサイトメトリー分析のため、TIL試料をアリコートに分けた。例えば実施例7、8、及び9を参照のこと。
【0242】
[00254] 一部の実施形態において、TILは様々な調節マーカーに関して判定されるものである。一部の実施形態において、調節マーカーは、TCRα/β、CD56、CD27、CD28、CD57、CD45RA、CD45RO、CD25、CD127、CD95、IL-2R-、CCR7、CD62L、KLRG1、及びCD122からなる群から選択される。一部の実施形態において、調節マーカーはTCRα/βである。一部の実施形態において、調節マーカーはCD56である。一部の実施形態において、調節マーカーはCD27である。一部の実施形態において、調節マーカーはCD28である。一部の実施形態において、調節マーカーはCD57である。一部の実施形態において、調節マーカーはCD45RAである。一部の実施形態において、調節マーカーはCD45ROである。一部の実施形態において、調節マーカーはCD25である。一部の実施形態において、調節マーカーはCD127である。一部の実施形態において、調節マーカーはCD95である。一部の実施形態において、調節マーカーはIL-2R-である。一部の実施形態において、調節マーカーはCCR7である。一部の実施形態において、調節マーカーはCD62Lである。一部の実施形態において、調節マーカーはKLRG1である。一部の実施形態において、調節マーカーはCD122である。
【0243】
K.拡大培養したTILの代謝的健康
[00255] 再刺激したTILは、新鮮に採取したTIL及び/又は解凍後のTILのいずれと比較したときも、基礎解糖の有意な亢進によって特徴付けられる。
【0244】
[00256] aEM3 aAPCで拡大培養したTILについて、PBMCフィーダーと比較して予備呼吸容量(SRC)及び解糖予備能を判定することができる。Seahorse XF細胞ミトストレステストは、ミトコンドリアにおける電子伝達鎖の成分を標的にする呼吸調節因子を用いて細胞の酸素消費速度(OCR)を直接測定することによりミトコンドリア機能を測定する。試験化合物(オリゴマイシン、FCCP、及びロテノンとアンチマイシンAとの混合物、以下に記載する)を連続的に注入して、それぞれ、ATP産生、最大呼吸、及び非ミトコンドリア呼吸を測定する。次にこれらのパラメータ及び基礎呼吸を使用してプロトンリーク及び予備呼吸容量を計算する。各調節因子が電子伝達鎖の特異的成分を標的にする。オリゴマイシンはATPシンターゼ(複合体V)を阻害し、オリゴマイシン注射後のOCRの低下は、細胞性ATP産生に関連するミトコンドリア呼吸と相関する。カルボニルシアニド-4(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン(FCCP)は、プロトン勾配を破綻させてミトコンドリア膜電位を破壊する脱共役剤である。結果として、電子伝達鎖を通じた電子流が抑制されず、複合体IVによって酸素が最大限に消費される。ひいてはFCCPの刺激を受けたOCRを使用して、最大呼吸と基礎呼吸との差として定義される予備呼吸容量を計算することができる。予備呼吸容量(SRC)は、細胞がエネルギー要求の増加に応答する能力の尺度である。第3の注射は、複合体I阻害薬であるロテノンと、複合体III阻害薬であるアンチマイシンAとの混合物である。この組み合わせはミトコンドリア呼吸を遮断し、ミトコンドリア外部の過程によってドライブされる非ミトコンドリア呼吸の計算を可能にする。
【0245】
[00257] 一部の実施形態において、代謝アッセイは基礎呼吸である。一般に、第2の拡大培養TIL又は第2の追加的な拡大培養TIL(例えば、reREP TILと称されるTILを含め、図11のステップDに記載されるものなど)は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の基礎呼吸速度を有する。一部の実施形態において、基礎呼吸速度は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約50%~約99%である。一部の実施形態において、基礎呼吸速度は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約60%~約99%である。一部の実施形態において、基礎呼吸速度は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約70%~約99%である。一部の実施形態において、基礎呼吸速度は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約80%~約99%である。一部の実施形態において、基礎呼吸速度は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約90%~約99%である。一部の実施形態において、基礎呼吸速度は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約95%~約99%である。一部の実施形態において、第2の拡大培養又は第2の追加的な拡大培養TIL(例えば、reREP TILと称されるTILを含め、図11のステップDに記載されるものなど)は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度と統計的に有意な差のない基礎呼吸速度を有する。
【0246】
[00258] 一般に、第2の拡大培養TIL又は追加的な第2の拡大培養TIL、例えばステップDのもの(例えば、追加的な第2の拡大培養を受けた、reREPと称されるTILを含む)などのTILは、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の予備呼吸容量を有する。一部の実施形態において、予備呼吸容量は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約50%~約99%である。一部の実施形態において、予備呼吸容量は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約50%~約99%である。一部の実施形態において、予備呼吸容量は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約60%~約99%である。一部の実施形態において、予備呼吸容量は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約70%~約99%である。一部の実施形態において、予備呼吸容量は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約80%~約99%である。一部の実施形態において、予備呼吸容量は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約90%~約99%である。一部の実施形態において、予備呼吸容量は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約95%~約99%である。一部の実施形態において、第2の拡大培養TIL又は第2の追加的な拡大培養TIL(例えば、reREP TILと称されるTILを含め、図11のステップDに記載されるものなど)は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度と統計的に有意な差のない予備呼吸容量を有する。
【0247】
[00259] 一般に、第2の拡大培養TIL又は第2の追加的な拡大培養TIL(例えば、reREP TILと称されるTILを含め、図11のステップDに記載されるものなど)は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の予備呼吸容量を有する。一部の実施形態において、測定される代謝アッセイは解糖予備能である。一部の実施形態において、代謝アッセイは解糖予備能である。一部の実施形態において、代謝アッセイは予備呼吸容量である。細胞(呼吸)代謝を測定するため、細胞をミトコンドリア呼吸及び解糖の阻害薬で処理して、以下の尺度からなるTILの代謝プロファイルを決定した:ベースライン酸化的リン酸化(OCRによる測定時)、予備呼吸容量、ベースライン解糖活性(ECARによる測定時)、及び解糖予備能。代謝プロファイルは、ミトコンドリアATP産生の遮断時に細胞が解糖を遂行する能力を決定することが可能な、Seahorseコンビネーションミトコンドリア/解糖ストレステストアッセイ(Agilent(登録商標)から市販されているキットを含む)を用いて実施した。一部の実施形態において、細胞がグルコース飢餓状態にあり、次にグルコースを注入し、続いてストレス作用剤を注入する。一部の実施形態において、ストレス作用剤は、オリゴマイシン、FCCP、ロテノン、アンチマイシンA及び/又は2-デオキシグルコース(2-DG)、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される。一部の実施形態において、オリゴマイシンは10mMで加えられる。一部の実施形態において、FCCPは10mMで加えられる。一部の実施形態において、ロテノンは2.5mMで加えられる。一部の実施形態において、アンチマイシンAは2.5mMで加えられる。一部の実施形態において、2-デオキシグルコース(2-DG)は500mMで加えられる。一部の実施形態において、解糖能、解糖予備能、及び/又は非解糖酸性化が測定される。一般に、TILは、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の解糖予備能を有する。一部の実施形態において、解糖予備能は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約50%~約99%である。一部の実施形態において、解糖予備能は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約60%~約99%である。一部の実施形態において、解糖予備能は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約70%~約99%である。一部の実施形態において、解糖予備能は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約80%~約99%である。一部の実施形態において、解糖予備能は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約90%~約99%である。一部の実施形態において、解糖予備能は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約95%~約99%である。
【0248】
[00260] 一部の実施形態において、代謝アッセイは基礎解糖である。一部の実施形態において、第2の拡大培養TIL又は追加的な第2の拡大培養TIL、例えばステップDのもの(例えば、追加的な第2の拡大培養を受けた、reREPと称されるTILを含む)は、基礎解糖が少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、又は少なくとも10倍に増加する。一部の実施形態において、第2の拡大培養TIL又は追加的な第2の拡大培養、例えばステップDのもの(reREP TILと称されるTILを含む)は、基礎解糖が約2倍~約10倍に増加する。一部の実施形態において、第2の拡大培養TIL又は追加的な第2の拡大培養、例えばステップDのもの(reREP TILと称されるTILを含む)は、基礎解糖が約2倍~約8倍に増加する。一部の実施形態において、第2の拡大培養TIL又は追加的な第2の拡大培養、例えばステップDのもの(reREP TILと称されるTILを含む)は、基礎解糖が約3倍~約7倍に増加する。一部の実施形態において、第2の拡大培養TIL又は追加的な第2の拡大培養、例えばステップDのもの(reREP TILと称されるTILを含む)は、基礎解糖が約2倍~約4倍に増加する。一部の実施形態において、第2の拡大培養TIL又は追加的な第2の拡大培養、例えばステップDのもの(reREP TILと称されるTILを含む)は、基礎解糖が約2倍~約3倍に増加する。
【0249】
[00261] 一般に、第2の拡大培養TIL又は追加的な第2の拡大培養、例えばステップDのもの(例えば、追加的な第2の拡大培養を受けた、reREPと称されるTILを含む)TILは、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の解糖予備能を有する。一部の実施形態において、解糖予備能は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約50%~約99%である。一部の実施形態において、解糖予備能は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約60%~約99%である。一部の実施形態において、解糖予備能は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約70%~約99%である。一部の実施形態において、解糖予備能は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約80%~約99%である。一部の実施形態において、解糖予備能は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約90%~約99%である。一部の実施形態において、解糖予備能は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約95%~約99%である。一部の実施形態において、第2の拡大培養TIL又は第2の追加的な拡大培養TIL(例えば、reREP TILと称されるTILを含め、図11のステップDに記載されるものなど)は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度と統計的に有意な差のない予備呼吸容量を有する。
【0250】
[00262] グランザイムB産生:グランザイムBは、TILが標的細胞を死滅させる能力の別の尺度である。CD3、CD28、及びCD137/4-1BBに対する抗体を使用して上記に記載したとおり再刺激した培地上清について、そのグランザイムBレベルもまた、Human Granzyme B DuoSet ELISA Kit(R & D Systems、Minneapolis, MN)を製造者の指示に従い使用して評価した。一部の実施形態において、第2の拡大培養TIL又は第2の追加的な拡大培養TIL(例えば、reREP TILと称されるTILを含め、図11のステップDに記載されるものなど)はグランザイムB産生が増加する。一部の実施形態において、第2の拡大培養TIL又は第2の追加的な拡大培養TIL(例えば、reREP TILと称されるTILを含め、図11のステップDに記載されるものなど)は細胞傷害活性が増加する。
【0251】
[00263] 一部の実施形態において、本方法は、上記に記載したとおりの方法を用いた、TIL生存率を評価するためのアッセイを含む。一部の実施形態において、TILは、例えば図11に提供されるとおりのものを含め、上記で考察したとおり拡大培養される。一部の実施形態において、TILは、生存率の評価前に凍結保存される。一部の実施形態において、生存率評価は、第1の拡大培養、第2の拡大培養、及び追加的な第2の拡大培養の実施前にTILを解凍することを含む。一部の実施形態において、本方法は、TIL集団の細胞増殖、細胞毒性、細胞死、及び/又はその他の生存率に関連する事項を評価するためのアッセイを提供する。生存率は、上記に記載されるTIL代謝アッセイのいずれか並びに当該技術分野において公知の細胞生存率の評価について公知の任意の方法によって測定することができる。一部の実施形態において、本方法は、図11に例示されるものを含め、本明細書に記載される方法を用いて拡大培養されたTILの細胞増殖、細胞毒性、細胞死、及び/又はその他の生存率に関連する事項を評価するためのアッセイを提供する。
【0252】
[00264] 本発明はまた、TIL生存率を決定するためのアッセイ方法も提供する。本開示は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)をより大きいTIL集団に拡大培養することによりTILの生存率をアッセイする方法を提供し、この方法は、
(i)予め拡大培養された第1のTIL集団を入手すること;
(ii)IL-2を含む細胞培養培地中で第1のTIL集団を培養することにより第1の拡大培養を実施して第2のTIL集団を生じさせること;及び
(iii)第2のTIL集団の細胞培養培地に追加的なIL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を添加することにより第2の拡大培養を実施して第3のTIL集団を生じさせることであって、第3のTIL集団が第2のTIL集団より少なくとも50倍又は100倍数が多く、及び第3のTIL集団を入手するために第2の拡大培養が少なくとも14日間実施され、第3のTIL集団が第2のTIL集団と比べて増加したエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞サブ集団を含み、及び第3の集団が生存率に関して更にアッセイされること
を含む。
【0253】
[00265] 一部の実施形態において、本方法は、
(iv)第3のTIL集団の細胞培養培地に追加的なIL-2、追加的なOKT-3、及び追加的なAPCを添加することにより追加的な第2の拡大培養を実施することを更に含み、ここで追加的な第2の拡大培養は、ステップ(iii)で入手されたよりも大きいTIL集団を入手するため少なくとも14日間実施され、より大きいTIL集団は第3のTIL集団と比べて増加したエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞サブ集団を含み、及び第3の集団は生存率に関して更にアッセイされる。
【0254】
[00266] 一部の実施形態において、ステップ(i)の前に、細胞は凍結保存される。
【0255】
[00267] 一部の実施形態において、細胞はステップ(i)の実施前に解凍される。
【0256】
[00268] 一部の実施形態において、分析に十分なTILを入手するため、ステップ(iv)が1~4回繰り返される。
【0257】
[00269] 一部の実施形態において、ステップ(i)~(iii)又は(iv)は約40日~約50日の期間内に実施される。
【0258】
[00270] 一部の実施形態において、ステップ(i)~(iii)又は(iv)は約42日~約48日の期間内に実施される。
【0259】
[00271] 一部の実施形態において、ステップ(i)~(iii)又は(iv)は約42日~約45日の期間内に実施される。
【0260】
[00272] 一部の実施形態において、ステップ(i)~(iii)又は(iv)は約44日以内に実施される。
【0261】
[00273] 一部の実施形態において、ステップ(iii)又は(iv)からの細胞は、CD4、CD8、及びTCRαβを新鮮採取細胞と同程度に発現する。
【0262】
[00274] 一部の実施形態において、抗原提示細胞は末梢血単核球(PBMC)である。
【0263】
[00275] 一部の実施形態において、PBMCはステップ(iii)において9~17日目のいずれかに細胞培養物に加えられる。
【0264】
[00276] 一部の実施形態において、ステップ(iv)のより大きいTIL集団中のエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞は、第3の細胞集団中のエフェクターT細胞、及び/又はセントラルメモリーT細胞と比べて、CD27の発現、CD28の発現、より長いテロメア、CD57発現の増加、及びCD56発現の減少からなる群から選択される1つ以上の特徴を呈する。
【0265】
[00277] 一部の実施形態において、エフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞はCD57発現の増加及びCD56発現の減少を呈する。
【0266】
[00278] 一部の実施形態において、APCは人工APC(aAPC)である。
【0267】
[00279] 一部の実施形態において、本方法は、高親和性T細胞受容体をコードする核酸を含む発現ベクターで第1のTIL集団を形質導入するステップを更に含む。
【0268】
[00280] 一部の実施形態において、形質導入ステップはステップ(i)の前に行われる。
【0269】
[00281] 一部の実施形態において、本方法は、T細胞シグナル伝達分子の少なくとも1つのエンドドメインに融合した単鎖可変断片抗体を含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸を含む発現ベクターで第1のTIL集団を形質導入するステップを更に含む。
【0270】
[00282] 一部の実施形態において、形質導入ステップはステップ(i)の前に行われる。
【0271】
[00283] 一部の実施形態において、TILは生存率に関してアッセイされる。
【0272】
[00284] 一部の実施形態において、TILは凍結保存後に生存率に関してアッセイされる。
【0273】
[00285] 一部の実施形態において、TILは凍結保存後及びステップ(iv)の後に生存率に関してアッセイされる。
【0274】
[00286] 本開示によれば、TILの生存率をアッセイする方法及び/又は対象への投与における更なる使用。一部の実施形態において、腫瘍浸潤リンパ球(tumor infiltratitng lymphocyte)(TIL)をアッセイする方法は、
(i)第1のTIL集団を入手すること;
(ii)IL-2を含む細胞培養培地中で第1のTIL集団を培養することにより第1の拡大培養を実施して第2のTIL集団を生じさせること;及び
(iii)第2のTIL集団の細胞培養培地に追加的なIL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を添加することにより第2の拡大培養を実施して第3のTIL集団を生じさせることであって、第3のTIL集団が第2のTIL集団より少なくとも50倍数が多いこと;
(iv)第3のTIL集団を回収し、洗浄し、及び凍結保存すること;
(v)凍結保存TILを極低温で貯蔵すること;
(vi)第3のTIL集団を解凍して解凍された第3のTIL集団を提供すること;及び
(vii)第3の集団の細胞培養培地にIL-2、OKT-3、及びAPCを添加することにより、解凍された第3のTIL集団の一部の追加的な第2の拡大培養を少なくとも3日のreREP期間にわたって実施することであって、この第3の拡大培養を実施して第4のTIL集団を入手し、第4のTIL集団中のTIL数を第3のTIL集団中のTIL数と比較して比を求めること;
(viii)ステップ(vii)の比に基づき、解凍されたTIL集団が患者への投与に好適かどうかを決定すること;
(ix)ステップ(viii)において第4のTIL集団中のTIL数と第3のTIL集団中のTIL数との比が5:1より大きいと決定されるとき、治療上有効な投薬量の解凍された第3のTIL集団を患者に投与すること
を含む。
【0275】
[00287] 一部の実施形態において、reREP期間は、第4のTIL集団中のTIL数と第3のTIL集団中のTIL数との比が50:1より大きくなるまで実施される。
【0276】
[00288] 一部の実施形態において、治療上有効な投薬量となるのに十分なTILの数は約2.3×1010~約13.7×1010個である。
【0277】
[00289] 一部の実施形態において、ステップ(i)~(vii)は約40日~約50日の期間内に実施される。一部の実施形態において、ステップ(i)~(vii)は約42日~約48日の期間内に実施される。一部の実施形態において、ステップ(i)~(vii)は約42日~約45日の期間内に実施される。一部の実施形態において、ステップ(i)~(vii)は約44日以内に実施される。
【0278】
[00290] 一部の実施形態において、ステップ(iii)又は(vii)からの細胞は、CD4、CD8、及びTCRαβを新鮮採取細胞と同程度に発現する。一部の実施形態において細胞はTILである。
【0279】
[00291] 一部の実施形態において、抗原提示細胞は末梢血単核球(PBMC)である。一部の実施形態において、PBMCはステップ(iii)において9~17日目のいずれかに細胞培養物に加えられる。
【0280】
[00292] 一部の実施形態において、ステップ(iii)又は(vii)のより大きいTIL集団中のエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞は、第3の細胞集団中のエフェクターT細胞、及び/又はセントラルメモリーT細胞と比べて、CD27の発現、CD28の発現、より長いテロメア、CD57発現の増加、及びCD56発現の減少からなる群から選択される1つ以上の特徴を呈する。
【0281】
[00293] 一部の実施形態において、エフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞はCD57発現の増加及びCD56発現の減少を呈する。
【0282】
[00294] 一部の実施形態において、APCは人工APC(aAPC)である。
【0283】
[00295] 一部の実施形態において、高親和性T細胞受容体をコードする核酸を含む発現ベクターで第1のTIL集団を形質導入するステップ。
【0284】
[00296] 一部の実施形態において、形質導入ステップはステップ(i)の前に行われる。
【0285】
[00297] 一部の実施形態において、T細胞シグナル伝達分子の少なくとも1つのエンドドメインに融合した単鎖可変断片抗体を含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸を含む発現ベクターで第1のTIL集団を形質導入するステップ。
【0286】
[00298] 一部の実施形態において、形質導入ステップはステップ(i)の前に行われる。
【0287】
[00299] 一部の実施形態において、TILはステップ(vii)の後に生存率に関してアッセイされる。
【0288】
[00300] 本開示はまた、更なるTILのアッセイ方法も提供する。一部の実施形態において、本開示は、TILのアッセイ方法を提供し、この方法は、
(i)第1の凍結保存TIL集団の一部を入手すること;
(ii)第1の凍結保存TIL集団の一部を解凍すること;
(iii)IL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を含む細胞培養培地中で第1のTIL集団の一部を少なくとも3日のreREP期間にわたって培養することにより第1の拡大培養を実施して第2のTIL集団を生じさせることであって、第1のTIL集団からの一部を第2のTIL集団と比較してTIL数の比を求め、第2のTIL集団中のTIL数と第1のTIL集団の一部のTIL数との比が5:1より大きいこと;
(iv)ステップ(iii)の比に基づき、第1のTIL集団が患者への治療的投与における使用に好適かどうかを決定すること;
(v)ステップ(iv)において第2のTIL集団中のTIL数と第1のTIL集団中のTIL数との比が5:1より大きいと決定されるとき、第1のTIL集団が治療的投与における使用に好適であると決定すること
を含む。
【0289】
[00301] 一部の実施形態において、第2のTIL集団中のTIL数と第1のTIL集団の一部のTIL数との比は50:1より大きい。
【0290】
[00302] 一部の実施形態において、本方法は、本明細書に提供される任意の実施形態に記載されるとおりの方法によりステップ(i)からの第1の凍結保存TIL集団全体の拡大培養を実施することを更に含む。
【0291】
[00303] 一部の実施形態において、本方法は、ステップ(i)からの第1の凍結保存TIL集団全体を患者に投与することを更に含む。
【0292】
[00304] 一部の実施形態において、凍結保存TILを解凍し、第2の拡大培養を実施することにより、細胞が十分に拡大したかどうかが決定される。細胞が少なくとも5:1の比に拡大した場合、TILは、患者への投与が十分に実行可能である。細胞が少なくとも10:1の比に拡大した場合、TILは、患者への投与が十分に実行可能である。細胞が少なくとも15:1の比に拡大した場合、TILは、患者への投与が十分に実行可能である。細胞が少なくとも20:1の比に拡大した場合、TILは、患者への投与が十分に実行可能である。細胞が少なくとも25:1の比に拡大した場合、TILは、患者への投与が十分に実行可能である。細胞が少なくとも30:1の比に拡大した場合、TILは、患者への投与が十分に実行可能である。細胞が少なくとも35:1の比に拡大した場合、TILは、患者への投与が十分に実行可能である。細胞が少なくとも40:1の比に拡大した場合、TILは、患者への投与が十分に実行可能である。細胞が少なくとも45:1の比に拡大した場合、TILは、患者への投与が十分に実行可能である。細胞が少なくとも5:1の比に拡大した場合、TILは、患者への投与が十分に実行可能である。
【0293】
[00305] 本開示はまた、更なるTILのアッセイ方法も提供する。一部の実施形態において、本開示は、TILのアッセイ方法を提供し、この方法は、
(i)第1の凍結保存TIL集団の一部を入手すること;
(ii)第1の凍結保存TIL集団の一部を解凍すること;
(iii)IL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を含む細胞培養培地中で第1のTIL集団の一部を少なくとも3日のreREP期間にわたって培養することにより第1の拡大培養を実施して第2のTIL集団を生じさせることであって、第1のTIL集団からの一部を第2のTIL集団と比較してTIL数の比を求め、第2のTIL集団中のTIL数と第1のTIL集団の一部のTIL数との比が5:1より大きいこと;
(iv)ステップ(iii)の比に基づき、第1のTIL集団が患者への治療的投与における使用に好適かどうかを決定すること;及び
(v)ステップ(iv)において第2のTIL集団中のTIL数と第1のTIL集団中のTIL数との比が5:1より大きいと決定されるとき、第1のTIL集団の残りを患者に治療的に投与すること
を含む。
【0294】
[00306] 一部の実施形態において、第2のTIL集団中のTIL数と第1のTIL集団の一部のTIL数との比は50:1より大きい。
【0295】
[00307] 一部の実施形態において、本方法は、先行する請求項のいずれかの方法によりステップ(i)からの第1の凍結保存TIL集団全体の拡大培養を実施することを更に含む。
【0296】
[00308] 一部の実施形態において、本方法は、ステップ(i)からの第1の凍結保存TIL集団全体を患者に投与することを更に含む。
【0297】
[00309] 一部の実施形態において、本方法は、第2のTIL集団の代謝的健康を評価するステップを更に含んだ。
【0298】
[00310] 一部の実施形態において、本方法は、第2のTIL集団の表現型を評価するステップを更に含む。
【0299】
[00311] 一部の実施形態において、抗原提示細胞は同種異系末梢血(peripherial blood)単核球である。
【0300】
L.患者の治療方法
[00312] 治療方法は、最初のTIL収集及びTILの培養から始まる。かかる方法については、両方ともに当該技術分野において、例えばJin et al.(J. Immunotherapy, 2012, 35(3):283-292)(全体として参照により本明細書に援用される)により記載されている。また、以下の実施例のセクション全体を通じても記載されている。
【0301】
[00313] 本発明は、これまで記載されたことがない新規TIL生成方法、例えばステップA~Fにより作製されるTILを提供する。上記のステップA~Fにより作製される又は別様に本明細書に記載されるとおり作製されるとおりの拡大培養TILは、癌患者の治療に特定の使用が見出される。癌の治療にTILを使用する一般的な方法については、Goff, et al., J. Clinical Oncology, 2016, 34(20):2389-239、並びに補遺内容;全体として参照により本明細書に援用される)に記載されている。同様に、本発明により作製されるTILもまた、癌の治療に使用することができる。一部の実施形態では、TILは、先述のとおり転移性黒色腫の寄託切除物から成長させた(Dudley, et al., J Immunother., 2003, 26:332-342を参照のこと;全体として参照により本明細書に援用される)。新鮮腫瘍は無菌条件下で剥離し得る。正式な病理解析のため、代表試料を収集し得る。2mm~3mmの単一の断片。一部の実施形態において、患者1人当たり5、10、15、20、25又は30の試料を入手する。一部の実施形態において、患者1人当たり20、25、又は30の試料を入手する。一部の実施形態において、患者1人当たり20、22、24、26、又は28の試料を入手する。一部の実施形態において、患者1人当たり24の試料を入手する。試料を24ウェルプレートの個々のウェルに置き、高用量IL-2(6,000IU/mL)を含む成長培地中に維持し、腫瘍の破壊及び/又はTILの増殖に関してモニタし得る。処理後に生細胞が残っている任意の腫瘍を酵素消化して単一細胞懸濁液にし、本明細書に記載されるとおり凍結保存し得る。
【0302】
[00314] 一部の実施形態において、表現型分析(CD3、CD4、CD8、及びCD56)のため拡大培養TILをサンプリングし、利用可能な場合には自己腫瘍に対して試験し得る。TILは、一晩の共培養によりインターフェロンガンマ(IFN-γ)レベル>200pg/mL及びバックグラウンドの2倍となった場合に応答性であると見なすことができる。(Goff, et al., J Immunother., 2010, 33:840-847;全体として参照により本明細書に援用される)。一部の実施形態において、自己応答性又は十分な成長パターンのエビデンスを有する培養物が、迅速拡大培養(REP)と称されることもある第2の拡大培養を含め、第2の拡大培養(例えば、図11のステップDにおいて提供されるとおりの第2の拡大培養)に選択され得る。一部の実施形態において、高い自己応答性(例えば、第2の拡大培養中の高い増殖)を有する拡大培養TILが、追加的な第2の拡大培養に選択される。一部の実施形態において、自己応答性(例えば、図11のステップDに提供されるとおりの第2の拡大培養中の高い増殖)を有するTILが、図11のステップDに係る追加的な第2の拡大培養に選択される。
【0303】
[00315] 一部の実施形態において、患者はACT(養子細胞移入)に直接移されず、例えば、一部の実施形態において、腫瘍採取後及び/又は第1の拡大培養後、細胞はすぐには利用されない。かかる実施形態において、TILは凍結保存し、及び第2の拡大培養ステップの2日前に(例えば、一部の実施形態において、REPステップと称されるステップの2日前に)解凍することができる。かかる実施形態において、TILは凍結保存し、及び第2の拡大培養ステップの2日前に(例えば、一部の実施形態において、図11に提供されるとおりのステップDの2日前に)解凍することができる。本願全体を通じて様々な実施形態に記載されるとおり、第2の拡大培養(REPと称されるプロセスを含む)では、100:1比の照射フィーダー細胞(可能な場合には自己性)の存在下でOKT3(抗CD3)抗体(Miltenyi Biotech、San Diego, CA)及びIL-2(3,000IU/mL;Prometheus、San Diego, CA)を使用した(Dudley, et al., J Immunother., 2003, 26:332-342を参照のこと;全体として参照により本明細書に援用される)。一部の実施形態において、TILは凍結保存し、及び第2の拡大培養ステップの5日前に解凍することができる。一部の実施形態において、TILは凍結保存し、及び第2の拡大培養ステップの4日前に解凍することができる。一部の実施形態において、TILは凍結保存し、及び第2の拡大培養ステップの3日前に解凍することができる。一部の実施形態において、TILは凍結保存し、及び第2の拡大培養ステップの2日前に解凍することができる。一部の実施形態において、TILは凍結保存し、及び第2の拡大培養ステップの1日前に解凍することができる。一部の実施形態において、TILは凍結保存し、及び第2の拡大培養ステップの直前に解凍することができる。
【0304】
[00316] 輸注バッグTILの凍結保存試料の細胞表現型は、表面マーカーCD3、CD4、CD8、CCR7、及びCD45RA(BD BioSciences)に関するフローサイトメトリー(FlowJo)、並びに本明細書に記載される方法のいずれかによって分析することができる。血清サイトカインは標準的な酵素結合免疫吸着アッセイ法を用いることにより測定した。血清IFN-gの上昇は、>100pg/mL及び4 3ベースラインレベル超(greater than 4 3 baseline levels)と定義した。
【0305】
1.任意選択での患者のリンパ球枯渇プレコンディショニング
[00317] 実験的知見から、腫瘍特異的Tリンパ球の養子移入前のリンパ球枯渇が、調節性T細胞及び免疫系の競合エレメント(「サイトカインシンク」)の除去により、治療有効性の増強において重要な役割を果たすことが指摘される。従って、本発明の一部の実施形態は、本発明の第2の拡大培養TIL又は第2の追加的な拡大培養TIL(例えば、reREP TILと称されるTILを含め、図11のステップDに記載されるものなど)を導入する前に患者に対してリンパ球枯渇ステップ(「免疫抑制コンディショニング」とも称される)を利用する。
【0306】
[00318] 一般に、リンパ球枯渇はフルダラビン及び/又はシクロホスファミド(その活性型はマホスファミドと称される)及びこれらの組み合わせを使用して行われる。かかる方法については、Gassner et al. (Cancer Immunol Immunother. 2011, 60(1):75-85、Muranski, et al., Nat Clin Pract Oncol., 2006 3(12):668-681、Dudley, et al., J Clin Oncol 2008, 26:5233-5239、及びDudley, et al., J Clin Oncol. 2005, 23(10):2346-2357(これらは全て、本明細書において全体として参照により援用される)に記載されている。
【0307】
[00319] 一部の実施形態において、フルダラビンは0.5μg/ml~10μg/mlフルダラビン(Sigma-Aldrich、MO, USA)の濃度である。一部の実施形態において、フルダラビンは1μg/mlフルダラビン(Sigma-Aldrich、MO, USA)の濃度である。一部の実施形態において、フルダラビン処置は1日、2日、3日、4日、5日、6日、又は7日間又はそれ以上である。一部の実施形態において、フルダラビンは、10mg/kg/日、15mg/kg/日、20mg/kg/日、25mg/kg/日、30mg/kg/日、35mg/kg/日、40mg/kg/日、又は45mg/kg/日の投薬量で投与される。一部の実施形態において、フルダラビン処置は35mg/kg/日で2~7日間である。一部の実施形態において、フルダラビン処置は35mg/kg/日で4~5日間である。一部の実施形態において、フルダラビン処置は25mg/kg/日で4~5日間である。
【0308】
[00320] 一部の実施形態において、活性型のシクロホスファミドであるマホスファミドは0.5μg/ml~10μg/mlの濃度である。一部の実施形態において、活性型のシクロホスファミドであるマホスファミドは1μg/mlの濃度である。一部の実施形態において、シクロホスファミド処置は1日、2日、3日、4日、5日、6日、又は7日間又はそれ以上である。一部の実施形態において、シクロホスファミドは、100mg/m/日、150mg/m/日、175mg/m/日、200mg/m/日、225mg/m/日、250mg/m/日、275mg/m/日、又は300mg/m/日の投薬量で投与される。一部の実施形態において、シクロホスファミドは静脈内に(即ち、i.v.)投与される。一部の実施形態において、シクロホスファミド処置は35mg/kg/日で2~7日間である。一部の実施形態において、シクロホスファミド処置は250mg/m/日、i.v.で4~5日間である。一部の実施形態において、シクロホスファミド処置は250mg/m/日、i.v.で4日間である。
【0309】
[00321] 一部の実施形態において、フルダラビン及びシクロホスファミドは患者に一緒に投与される。一部の実施形態において、4日間にわたってフルダラビンは25mg/m/日、i.v.で投与され、シクロホスファミドは250mg/m/日、i.v.で投与される。
【0310】
[00322] このプロトコルは、フルダラビン(25mg/m/日、i.v.)及びシクロホスファミド(250mg/m/日、i.v.)の4日間にわたる投与を含む。
【0311】
2.例示的治療の実施形態
[00323] 一部の実施形態において、本開示は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)集団によって癌を治療する方法を提供し、この方法は、(a)患者から切除された腫瘍から第1のTIL集団を入手するステップ;(b)第1の細胞培養培地中で第1のTIL集団の初期拡大培養を実施することにより第2のTIL集団を入手するステップであって、第2のTIL集団が第1のTIL集団より少なくとも5倍数が多く、及び第1の細胞培養培地がIL-2を含むステップ;(c)第2の細胞培養培地中で骨髄系人工抗原提示細胞(骨髄系aAPC)集団を使用して第2のTIL集団の迅速拡大培養を実施することにより第3のTIL集団を入手するステップであって、迅速拡大培養の開始から7日後に第3のTIL集団が第2のTIL集団より少なくとも50倍数が多く;及び第2の細胞培養培地がIL-2及びOKT-3を含むステップ;(d)癌を有する患者に治療上有効な分量の第3のTIL集団を投与するステップを含む。一部の実施形態において、第2の細胞培養培地中にIL-2は約3000IU/mLの初期濃度で存在し、及びOKT-3抗体は約30ng/mLの初期濃度で存在する。一部の実施形態において、第1の拡大培養は14日以下の期間にわたって実施される。一部の実施形態において、第1の拡大培養はガス透過性容器を使用して実施される。一部の実施形態において、第2の拡大培養はガス透過性容器を使用して実施される。一部の実施形態において、迅速拡大培養における第2のTIL集団とaAPC集団との比は1対80~1対400である。一部の実施形態において、迅速拡大培養における第2のTIL集団とaAPC集団との比は約1対300である。一部の実施形態において、治療される癌は、黒色腫、卵巣癌、子宮頸癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺癌、膀胱癌、乳癌、ヒトパピローマウイルスによって引き起こされる癌、頭頸部癌、腎癌、及び腎細胞癌からなる群から選択される。一部の実施形態において、治療される癌は、黒色腫、卵巣癌、及び子宮頸癌からなる群から選択される。一部の実施形態において、治療される癌は黒色腫である。一部の実施形態において、治療される癌は卵巣癌である。一部の実施形態において、治療される癌は子宮頸癌である。一部の実施形態において、癌の治療方法は、患者に第3のTIL集団を投与する前に骨髄非破壊的リンパ球枯渇レジメンによって患者を処置するステップを更に含む。一部の実施形態において、骨髄非破壊的リンパ球枯渇レジメンは、60mg/m2/日の用量で2日間のシクロホスファミドの投与ステップと、それに続く25mg/m2/日の用量で5日間のフルダラビンの投与ステップを含む。一部の実施形態において、高用量IL-2レジメンは、忍容量まで8時間毎に15分ボーラス静脈内注入として投与される600,000又は720,000IU/kgのアルデスロイキン、又はそのバイオシミラー若しくは変異体を含む。
【0312】
3.共投与方法
[00324] 一部の実施形態において、本明細書のステップA~Fに記載されるとおり作製されるTILは、以下に記載する抗体など、1つ以上の免疫チェックポイント調節因子と併用して投与することができる。例えば、PD-1を標的とする、且つ本発明のTILと共投与し得る抗体としては、例えば、限定はされないが、ニボルマブ(BMS-936558、Bristol-Myers Squibb;Opdivo(登録商標))、ペンブロリズマブ(ランブロリズマブ、MK03475又はMK-3475、Merck;Keytruda(登録商標))、ヒト化抗PD-1抗体JS001(ShangHai JunShi)、モノクローナル抗PD-1抗体TSR-042(Tesaro, Inc.)、ピジリズマブ(抗PD-1 mAb CT-011、Medivation)、抗PD-1モノクローナル抗体BGB-A317(BeiGene)、及び/又は抗PD-1抗体SHR-1210(ShangHai HengRui)、ヒトモノクローナル抗体REGN2810(Regeneron)、ヒトモノクローナル抗体MDX-1106(Bristol-Myers Squibb)、及び/又はヒト化抗PD1 IgG4抗体PDR001(Novartis)が挙げられる。一部の実施形態において、PD-1抗体は、クローン:RMP1-14(ラットIgG)-BioXcellカタログ番号BP0146からのものである。本明細書に記載されるとおりのステップA~Fにより作製されるTILとの共投与方法における使用に好適な他の好適な抗体は、米国特許第8,008,449号(本明細書において参照により援用される)に開示される抗PD-1抗体である。一部の実施形態において、抗体又はその抗原結合部分はPD-L1に特異的に結合し、PD-1とのその相互作用を阻害し、それにより免疫活性を増加させる。PD-L1に結合してPD-1とPD-L1との間の相互作用を破壊し、且つ抗腫瘍免疫応答を刺激する当該技術分野において公知の任意の抗体が、本明細書に記載されるとおりのステップA~Fにより作製されるTILとの共投与方法における使用に好適である。例えば、PD-L1を標的とする臨床試験中の抗体としては、BMS-936559(Bristol-Myers Squibb)及びMPDL3280A(Genentech)が挙げられる。PD-L1を標的とする他の好適な抗体は、米国特許第7,943,743号(本明細書において参照により援用される)に開示される。当業者は、PD-1又はPD-L1に結合し、PD-1/PD-L1相互作用を破壊し、且つ抗腫瘍免疫応答を刺激する任意の抗体が、本明細書に記載されるとおりのステップA~Fにより作製されるTILとの共投与方法における使用に好適であることを理解するであろう。一部の実施形態において、ステップA~Fにより作製されるTILの組み合わせを投与される対象は、患者が抗PD-1抗体単独の投与に不応性の癌型を有するとき抗PD-1抗体と共投与される。一部の実施形態において、患者が難治性(refactory)黒色腫を有するとき、患者はTILを抗PD-1と併用して投与される。一部の実施形態において、患者が非小細胞肺癌(NSCLC)を有するとき、患者はTILを抗PD-1と併用して投与される。
【0313】
4.養子細胞移入
[0001] 養子細胞移入(ACT)は極めて有効な形態の免疫療法であり、抗腫瘍活性を有する免疫細胞を癌患者に移入することを含む。ACTは、抗腫瘍活性を有するリンパ球のインビトロ同定、それらの細胞の数を増やすインビトロ拡大培養、及び癌担持宿主へのその注入を伴う治療手法である。養子移入に使用されるリンパ球は、切除された腫瘍の間質に由来してもよい(腫瘍浸潤リンパ球又はTIL)。ACT用のTILは、本明細書に記載されるとおり調製することができる。一部の実施形態において、TILは、例えば図11に記載されるとおりの方法により調製される。TILはまた、抗腫瘍T細胞受容体(TCR)又はキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように遺伝子改変されている場合には血液から誘導されてもよく、混合リンパ球腫瘍細胞培養物(MLTC)でエンリッチされてもよく、又は自己抗原提示細胞及び腫瘍由来ペプチドを使用してクローニングされてもよい。注入しようとする癌担持宿主にリンパ球が由来するACTは、自家ACTと称される。米国特許出願公開第2011/0052530号は、主に転移性黒色腫に罹患している患者の治療に向けた、癌退縮を促進するため養子細胞療法を実施する方法に関する(これらの方法に関して全体として参照により援用される)。
【0314】
[0002] 一部の実施形態において、TILは、本明細書に記載されるとおり投与することができる。一部の実施形態において、TILは単回用量で投与することができる。かかる投与は、注射、例えば静脈内注射によってもよい。一部の実施形態において、TIL及び/又は細胞傷害性リンパ球は複数回用量で投与されてもよい。投与は、年1回、2回、3回、4回、5回、6回、又は6回超であってもよい。投与は、月1回、2週間に1回、週1回、又は隔日1回であってもよい。TIL及び/又は細胞傷害性リンパ球の投与は必要な限り継続されてもよい。
【0315】
I.例示的実施形態
[00325] ある実施形態において、本発明は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を拡大培養する方法を提供し、この方法は、
(a)患者から切除された腫瘍から第1のTIL集団を入手すること;
(b)第1の細胞培養培地中で第1のTIL集団の初期拡大培養を実施することにより第2のTIL集団を入手することであって、第1の細胞培養培地がIL-2を含むこと;
(c)第2のTIL集団の迅速拡大培養を実施することであって、第3のTIL集団が第2のTIL集団より少なくとも100倍数が多く;及び第2の細胞培養培地が、IL-2、OKT-3、及び末梢血単核球(PBMC)を含み、迅速拡大培養が少なくとも14日間実施されること;
(d)第2の細胞培養培地から細胞を取り出すこと、及び任意選択で細胞を貯蔵培地に凍結保存して第3の細胞集団を入手すること;
(e)任意選択で第3の細胞集団を解凍すること;及び
(f)第3の細胞培養培地中で第3のTIL集団の第2の迅速拡大培養を実施することであって、第3の細胞培養培地が、IL-2、OKT-3、及び末梢血単核球(PBMC)を含み、第2の迅速拡大培養が少なくとも14日間実施され、それにより第4のTIL集団を入手し、第4の細胞集団が第2のTIL集団と比べて増加したエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞サブ集団を呈すること;及び
g)任意選択で、ステップf)を1回以上繰り返すこと
を含む。
【0316】
[00326] ある実施形態において、本発明は、前記再刺激された細胞がCD4、CD8及びTCRαβを新鮮採取細胞と同程度に発現することを提供する。
【0317】
[00327] ある実施形態において、本発明は、前記reREP培地が末梢血単核球(PBMC)を含むことを提供する。
【0318】
[00328] ある実施形態において、本発明は、前記PBMCが9~17日目のいずれかにTILに加えられることを提供する。一部の実施形態において、本発明は、前記PBMCが9、10、11、12、13、14、15、16、及び/又は17日目にTILに加えられることを提供する。
【0319】
[00329] ある実施形態において、本発明は、前記reREP培地がaAPCを含むことを提供する。
【0320】
[00330] ある実施形態において、本発明は、凍結保存TILが、高親和性T細胞受容体をコードする核酸を含む発現ベクターで形質導入されたことを提供する。
【0321】
[00331] ある実施形態において、本発明は、凍結保存TILが、T細胞シグナル伝達分子のエンドドメインに融合した免疫グロブリン軽鎖を含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸を含む発現ベクターで形質導入されたことを提供する。
【0322】
[00332] ある実施形態において、本発明は、再刺激TILが患者に注入されることを提供する。
【0323】
[00333] ある実施形態において、本発明は、ステップd)が第2の細胞培養培地から細胞を取り出すことを更に含むことを提供する。
【0324】
[00334] ある実施形態において、本発明は、前記TILの治療投薬量に十分なTILを入手するために、ステップf)が十分な回数繰り返されることを提供する。
【0325】
[00335] ある実施形態において、本発明は、上記及び本明細書に記載される方法により作成される再刺激TIL集団を提供する。
【0326】
[00336] ある実施形態において、本発明は、請求項1に記載の方法により作成される再刺激TIL集団を提供し、ここで前記再刺激TILは、前記解凍した凍結保存TILと比較したとき基礎解糖が少なくとも2倍に増加している。
【0327】
[00337] ある実施形態において、本発明は、TIL細胞集団の代謝活性を評価する方法を提供し、これは前記細胞の基礎解糖を測定することを含む。
【0328】
[00338] ある実施形態において、本発明は、TIL細胞集団の代謝活性を評価する方法を提供し、これは前記細胞の基礎呼吸を測定することを含む。
【0329】
[00339] ある実施形態において、本発明は、TIL細胞集団の代謝活性を評価する方法を提供し、これは前記細胞の予備呼吸容量(SRC)を測定することを含む。
【0330】
[00340] ある実施形態において、本発明は、TIL細胞集団の代謝活性を評価する方法を提供し、これは前記細胞の解糖予備能を測定することを含む。
【0331】
[00341] ある実施形態において、本発明は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)集団によって患者の癌を治療する方法を提供し、この方法は、
a)前記患者から初代TIL集団を入手するステップ;
b)前記初代TIL集団を迅速拡大培養して拡大培養TIL集団を形成するステップ;
c)前記拡大培養した集団を凍結保存して凍結保存TIL集団を形成するステップ;
d)前記凍結保存TIL集団を解凍するステップ;
e)IL-2及び抗CD3抗体を含む培地中で前記凍結保存TIL集団を培養してreREP TIL集団を形成するステップ;及び
f)治療有効量のreREP TIL細胞を前記患者に投与するステップ
を含む。
【0332】
[00342] ある実施形態において、本発明は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を拡大培養する方法を提供し、この方法は、
(a)患者から切除された腫瘍から第1のTIL集団を入手すること
(b)第1の細胞培養培地中で第1のTIL集団の初期拡大培養を実施することにより第2のTIL集団を入手することであって、第1の細胞培養培地がIL-2を含むこと;
(c)第2のTIL集団の迅速拡大培養を実施することであって、第3のTIL集団が第2のTIL集団より少なくとも100倍数が多く;及び第2の細胞培養培地が、IL-2、OKT-3、及び末梢血単核球(PBMC)を含み、迅速拡大培養が少なくとも14日間実施されること;
(d)第2の細胞培養培地から細胞を取り出すこと、及び任意選択で細胞を貯蔵培地に凍結保存して第3の細胞集団を入手すること;
(e)任意選択で第3の細胞集団を解凍すること;
(f)第3の細胞培養培地中で第3のTIL集団の第2の迅速拡大培養を実施することであって、第3の細胞培養培地が、IL-2、OKT-3、及び末梢血単核球(PBMC)を含み、第2の迅速拡大培養が少なくとも14日間実施され、それにより第4のTIL集団を入手し、第4の細胞集団が第2のTIL集団と比べて増加したエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞サブ集団を呈すること;及び
(g)治療有効量のreREP TIL細胞を前記患者に投与すること
を含む。
【0333】
[00343] ある実施形態において、本発明は、ステップd)が第2の細胞培養培地から細胞を取り出すことを更に含むことを提供する。
【0334】
[00344] ある実施形態において、本発明は、前記TILの治療投薬量に十分なTILを入手するために、ステップf)が十分な回数繰り返されることを提供する。
【実施例0335】
実施例
実施例1:再刺激プロトコル
[00345] 本明細書で考察するとおり、REPで成長させたTILの回収又は解凍後の新鮮抗原再刺激を利用して再刺激プロトコル及びアッセイを開発した。
【0336】
[00346] 本実施例の目的は、再刺激アッセイにおけるポストREP腫瘍浸潤リンパ球の増殖/拡大を試験することであった。ポストREP TIL(図11に係るステップD後のTIL)を同種異系PBMCフィーダー細胞、抗CD3(クローンOKT3)抗体、及びインターロイキン-2(IL-2)で再刺激した。7日目に生細胞をカウントして記録した。
【0337】
[00347] インビボでのTIL生存及び拡大が促進されるように予めリンパ球枯渇させた患者にポストREP TIL(図11に係るステップD後のTIL)を注入した。TILが患者に再注入されると、TILが抗原に遭遇し、TILの活性化がもたらされたが、TILは最終的に短命であった。ACTにおいてTILが抗原接触を介して再刺激されるとともに、併せてIL-2に曝露されると、TIL増殖及び腫瘍制御がもたらされ得るか、又は適切な共刺激がないことに起因してアポトーシスを介した消去(活性化誘導性細胞死)又は非増殖性(アネルギー)状態の誘導につながり得る。理論によって拘束されないが、同種異系PBMCフィーダー細胞によるポストREP TILの再刺激(例えば図11に係るステップD後のTILの再刺激)は、TIL拡大のための抗原刺激及び必要なサイトカインを提供することにより、このインビボ過程を模倣し得る。ポストREP TIL(図11に係るステップD後のTIL)は、REPフラスコ内で抗CD3(クローンOKT3)抗体に結合し且つTILに架橋してTILが拡大するように刺激するフィーダーMNC上の膜受容体を介して活性化された。
【0338】
再刺激アッセイにおけるポストREP腫瘍浸潤リンパ球の増殖/拡大
[00348] ポストREP(図11に係るステップD後のTIL)TILを同種異系PBMCフィーダー細胞、抗CD3(クローンOKT3)抗体、及びインターロイキン-2(IL-2)で再刺激した。7日目に生細胞をカウントして記録した。
【0339】
[00349] 一部の実施形態において、この手順はまた、現行のREPプロトコルの試験又はバリデーションにも適用することができる。
【0340】
【表3】
【0341】
【表4】
【0342】
【表5】
【0343】
[00350] インビボでのTIL生存及び拡大が促進されるように事前にリンパ球枯渇させた患者にポストREP(図11に係るステップD後のTIL)TILを注入した。TILが患者に再注入されると、TILが抗原に遭遇し、TILの活性化がもたらされたが、TILは最終的に短命であった。ACTにおいてTILが抗原接触を介して再刺激されるとともに、併せてIL-2に曝露されると、TIL増殖及び腫瘍制御がもたらされ得るか、又は適切な共刺激がないことに起因してアポトーシスを介した消去(活性化誘導性細胞死)又は非増殖性(アネルギー)状態の誘導につながり得る。本発明者らの仮説は、同種異系PBMCフィーダー細胞によるポストREP TILの再刺激が、TIL拡大のための抗原刺激及び必要なサイトカインを提供することにより、このインビボ過程を模倣するというものであった。ポストREP TILは、REPフラスコ内で抗CD3(クローンOKT3)抗体に結合し且つTILに架橋してTILが拡大するように刺激するフィーダーMNC上の膜受容体を介して活性化された。
【0344】
手順
[00351] 新鮮ポストREP(図11に係るステップD後のTIL)又は解凍した凍結ポストREP(図11に係るステップD後のTIL)TILのいずれかをCM1培地で1回洗浄した。24ウェル組織培養プレートにCM2中2×10個のMNCフィーダー細胞、30ng/ml OKT3、1×10個のポストREP TIL+3,000IU/ml rhIL-2でRe-REP(図11に係るステップDの繰り返し)をセットアップした。5%CO、37℃の加湿インキュベーターにおいて培養物を7日間インキュベートし終えた時点で、生細胞回収率及び生存率を決定した。生細胞数に基づきTILの拡大倍数を計算した。
ReREP-0日目
TILを調製する
新鮮ポストREP又は凍結ポストREPからTILを入手した。TIL培養物をインキュベーターから取り出し、BSCに移した。次に、200μlを取り出し、Cellometer K2を使用して細胞をカウントした。カウントは記録した。
【0345】
フィーダー細胞を調製する
[00352] このプロトコルには最低20×10個のフィーダー細胞が必要であった。SDBBによって凍結された各1mlバイアルは、凍結時に100×10個の生細胞を有した。LN2貯蔵庫からの解凍時に50%回収率と仮定すると、各REPにつき推定100×10個の生細胞を所与として、1ロット当たり少なくとも2バイアルのフィーダー細胞を解凍することが推奨された。フィーダー細胞の解凍前に、試験する各フィーダーロットにつき約50mlのCM2をrhIL-2不含で予め加温した。指定のフィーダーロットバイアルをLN2貯蔵庫から取り出し、氷上に置いた。バイアルを組織培養室に移した。37℃の水浴中でバイアルを解凍した。バイアルをBSCに移し、70%EtOH又はIPAを噴霧するか、又はそれで拭き取った。ホールピペットを使用して、フィーダーバイアルの内容物を直ちに50mLコニカルチューブ内の50mLの温CM2中に移した。200μlを取り出し、Cellometer K2を使用して細胞をカウントした。カウントは記録した。細胞を350×gで10分間遠心した。温CM2+3000IU/ml rhIL-2中2×10細胞/mlで所望の容積の上清及び再懸濁細胞を吸引した。
【0346】
CM2+3000IU/ml作業溶液を調製する
[00353] 必要な条件について十分な量のCM2を調製した。各ウェルには2mlのCM2が入っていた。各ウェルに、3000IU/mLのrhIL-2を含むCM2を添加した。6×10IU/mLのストックから、各100mlのCM2につき50μlが必要であった。
【0347】
MACS(登録商標)GMP CD3 pure(OKT3)作業溶液を調製する
[00354] 4℃の冷蔵庫からOKT3(1mg/ml)のストック溶液を取り出した。REPにおいては30ng/mlの最終濃度のOKT3を使用した。各24ウェル内の2mlのCM2培地につき60ngのOKT3が必要であった。TIL+フィーダー、TIL単独及びフィーダー単独条件をトリプリケートで培養した。試験した各フィーダーロットについて、1μg/ml(1,000ng/ml)の作業濃度につき1000μlの1:1000希釈の1mg/ml OKT3を作成した。9ウェルについて、1000μlの1:1000希釈の1mg/ml OKT3。1μl 1mg/ml OKT3+999μlの3000IU/ml IL-2含有CM2を作成した。
【0348】
24ウェルプレートを調製し、共培養する
[00355] 試験する各ReREPについて、24ウェルプレートのうち9ウェルが必要であった。
【0349】
[00356] 各プレートに、実験名、フィーダーロット番号、ポストREP TIL名、日付、及び作業者イニシャルの表示を付した。各プレートに表8に掲載する構成成分を充填した。各構成成分を加え、各ウェルに合計2mlを充填し、プレートを37℃のインキュベーターに置いた。1mlピペットを使用してプレートを3回慎重に混合した。
【0350】
【表6】
【0351】
培地交換-5日目
[00357] CM2を3000IU/ml rhIL-2で調製した。10mlが必要であった。各ウェルから1mlの培地を取り出し、廃棄した。1mlピペットで、3000IU/mL rhIL-2を含む1mlの温CM2を各ウェルに移した。プレートをインキュベーターに戻した。
【0352】
回収-7日目
[00358] 1ml血清用ピペットを使用して各ウェルを混合することにより、細胞集塊を全て壊した。ピペッティングにより細胞懸濁液を完全に混合した後、200μlを取り出し、Cellometer K2を使用して細胞をカウントした。TIL+フィーダー+OKT3、TIL+OKT3、及びフィーダー+OKT3について、全ての条件をカウントし、記録した。
【0353】
[00359] 24ウェルReREPに加えて、4つの直立T25組織培養フラスコに、CM2中1.3×10個のMNCフィーダー細胞、30ng/ml OKT3、0.65×10個のプレREP TIL+3,000IU/ml rhIL-2で別のreREPをセットアップした。注記:「LN-144の迅速拡大培養プロトコルに関する照射同種異系フィーダー細胞の判定」(実施例6)を参照されたい。
【0354】
[00360] 機能アッセイへの細胞の割り付け:
【0355】
【表7】
【0356】
判定/適合基準
【0357】
【表8】
【0358】
参考手順-以下の実施例に含まれる
【0359】
【表9】
【0360】
実施例2:Cellometer K2セルカウンターを使用したTIL培養物の細胞数及び生存率の決定
[00361] 本例は、Cellometer K2 Image Cytometer自動セルカウンターの操作がどのように行われたかについての例示的説明を提供する。
【0361】
[00362] 適用範囲:細胞培養物の総細胞数及び生存率の決定。
【0362】
【表10】
【0363】
手順
細胞懸濁液調製
トリパンブルー調製
[00363] 最終トリパンブルー濃度は0.1%であった。製造者は0.2%のストック溶液を調製することを推奨した。Cellometer K2でトリパンブルーを使用するときは、ストック(0.4%)をPBSで0.2%に希釈した。トリパンブルーは0.2~0.4ミクロンフィルタでろ過し、少量ずつアリコートに分けて、表示を付したキャップ付きのチューブに入れた。細胞懸濁液を0.2%トリパンブルーと1:1で混合した。
【0364】
AOPI調製
[00364] Cellometer K2でAOPIを使用するときは、AOPI溶液を入手した。細胞試料をAOPI溶液によって1:1で染色した。注記:高濃度培養物をカウントする際は、トリパンブルー又はAOPIとの最終的な1:1希釈の前に細胞試料を細胞培養培地で希釈した。製造者の推奨するカウント範囲を使用して、使用するのに最良の希釈を決定した。
【0365】
Cellometer K2セットアップ
[00365] Cellometer K2装置の電源を入れた。関連するコンピュータモニタ上でCellometer Image Cytometerアイコンを選択した。ソフトウェアのメイン画面上で、ドロップダウンボックスのリストにあるアッセイ(Assay)のうちの1つを選択した。適切なアッセイ(Assay)を選択すると、細胞型(Cell Type)及びイメージモード(Image Mode)が自動で取り込まれた。「試料(Sample)」セクションで、ユーザ/試料IDを設定する(Set User/Sample ID)をクリックして、標本に作業者の情報を入力する別画面を開いた。「ユーザID(User ID)」を入力した。これはユーザの3文字のイニシャルからなった。「試料ID(Sample ID)」を入力した。試料IDは、受け取った標本情報に基づいた。
【0366】
希釈パラメータをセットアップする
[00366] 1:1の混合を除いて他の希釈を行わなかった場合、希釈係数は2であった。最終的な1:1混合の前に希釈を行った場合、希釈係数は前の希釈の2倍であった。希釈係数は使用した混合物に応じて更新した。
【0367】
細胞カウント
[00367] Cellometerカウントチャンバスライド(SD100)の両側からプラスチックの裏当て材を取り外し、清浄なリントフリーワイプの上に置いた。細胞懸濁液の調製後、試料の少量のアリコートを取り出し、マルチウェル細胞培養プレートのウェル又はチューブに移した。試料の希釈時、希釈は細胞培養培地を使用して実施した。マルチウェル細胞培養プレートのウェル又はチューブに20μlの細胞懸濁液を加えた。20μlの細胞懸濁液に20μlの0.2%トリパンブルー又はAOPI溶液を加え、試料を完全に混合した。20μlの1:1溶液を測定し、それをカウントチャンバの片側に移した。注記:スライドの透明な領域には触れなかった。必要に応じて、試料をスライドの他方の側で繰り返した。Cellometerの前面にあるスロットにチャンバを挿入した。AOPI細胞カウントについては、メイン画面上で「プレビュー蛍光(Preview Fl)」を選択して緑色蛍光像(生細胞)画像をプレビューした。トリパンブルーカウントについては、「プレビュー明視野(Preview Brightfield)」を選択した。ピント合わせホイールを使用して画像の焦点を最適にした。細胞は明るい中心及びはっきりと画定された輪郭線を有した。「カウント(Count)」を選択してカウントプロセスを開始した。コンピュータ画面上のカウント結果のポップアップボックス内に結果が表示され、それがカウントプロセスの結果を示した。
【0368】
実施例3:Cellometer IC2 Image Cytometer自動セルカウンター
[00368] 本例は、Cellometer K2 Image Cytometer自動セルカウンターの操作手順を説明する。
1.定義
μl マイクロリットル
AOPI アクリジンオレンジヨウ化プロピジウム(propidium iodine)
BSC 生物学的安全キャビネット
DPBS ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水
ml ミリリットル
MNC 単核血球
NA 該当なし
PBMC 末梢血単核球
PPE 個人用防護装備
プレREP 培養物の迅速拡大培養プロトコル前の初期TIL培養
REP 迅速拡大培養プロトコル
TIL 腫瘍浸潤リンパ球
7.手順
7.1 細胞懸濁液調製
7.1.1 トリパンブルー調製
最終トリパンブルー濃度は0.1%であった。製造者は0.2%のストック溶液を調製することを推奨した。
7.1.1.1 Cellometer K2でトリパンブルーを使用するときは、ストック(0.4%)をPBSで0.2%に希釈した。
7.1.1.2 トリパンブルーは0.2~0.4ミクロンフィルタでろ過し、少量ずつアリコートに分けて、表示を付したキャップ付きのチューブに入れた。
7.1.1.3 細胞懸濁液を0.2%トリパンブルーと1:1で混合した。
7.1.2 AOPI調製
7.1.2.1 Cellometer K2でAOPIを使用するときは、AOPI溶液を入手した。
7.1.2.2 細胞試料をAOPI溶液によって1:1で染色した。
注記:高濃度培養物をカウントする際は、トリパンブルー又はAOPIとの最終的な1:1希釈の前に細胞試料を細胞培養培地で希釈した。
製造者の推奨するカウント範囲を使用して、使用するのに最良の希釈を決定した。
7.2 Cellometer K2セットアップ
7.2.1 Cellometer K2装置の電源を入れた。
7.2.2 関連するコンピュータモニタ上でCellometer Image Cytometerアイコンを選択した。
7.2.3 ソフトウェアのメイン画面上で、ドロップダウンボックスのリストにあるアッセイ(Assay)のうちの1つを選択した。
7.2.3.1 適切なアッセイ(Assay)を選択すると、細胞型(Cell Type)及びイメージモード(Image Mode)が自動で取り込まれた。
7.2.3.2 「試料(Sample)」セクションで、ユーザ/試料IDを設定する(Set User/Sample ID)を選択して、標本に作業者の情報を入力する別画面を開いた。
7.2.3.2.1 「ユーザID(User ID)」を入力した。
7.2.3.2.2 「試料ID(Sample ID)」を入力した。試料IDは、受け取った標本情報に基づいた。
7.2.3.3 希釈パラメータをセットアップした。
7.2.3.3.1 1:1の混合を除いて他の希釈を行わなかった場合、希釈係数は2であった。
7.2.3.3.2 最終的な1:1混合の前に希釈を行った場合、希釈係数は前の希釈の2倍であった。
7.2.3.3.3 希釈係数は、画面の希釈セクションにおいて使用した混合物に応じて更新した。鉛筆のアイコンを選択してダイアログ画面を立ち上げた。
7.2.3.3.4 Fl画像(Fl Image)及びF2画像(F2 Image)セクションが互いに同じであることを確認した。
7.2.3.3.5 セットアップの完了後に「保存する(Save)」ボタンを選択した。
7.3 細胞カウント
7.3.1 Cellometerカウントチャンバスライド(SD100)の両側からプラスチックの裏当て材を取り外し、清浄なリントフリーワイプの上に置いた。
7.3.2 細胞懸濁液の調製後、試料の少量のアリコートを取り出し、マルチウェル細胞培養プレートのウェル又はチューブに移した。
7.3.3 試料の希釈時、希釈は細胞培養培地を使用して実施した。
7.3.4 マルチウェル細胞培養プレートのウェル又はチューブに20μlの細胞懸濁液を加えた。
7.3.5 20μlの細胞懸濁液に20μlの0.2%トリパンブルー又はAOPI溶液を加え、試料を完全に混合した。
7.3.6 20μlの1:1溶液を測定し、それをカウントチャンバの片側に移した。
注記:スライドの透明な領域には触れなかった。
7.3.7 必要に応じて、試料をスライドの他方の側で繰り返した。7.3.8.Cellometerの前面にあるスロットにチャンバを挿入した。
7.3.8 AOPI細胞カウントについては、メイン画面上で「プレビュー蛍光(Preview Fl)」を選択して緑色蛍光像(生細胞)画像をプレビューした。トリパンブルーカウントについては、「プレビュー明視野(Preview Brightfield)」を選択した。
7.3.9 ピント合わせホイールを使用して画像の焦点を最適にした。細胞は明るい中心及びはっきりと画定された輪郭線を有した。
7.3.10 「カウント(Count)」を選択してカウントプロセスを開始した。
7.3.11 コンピュータ画面上のカウント結果のポップアップボックス内に結果が表示され、それがカウントプロセスの結果を示した。
【0369】
実施例4:IL-2ストック溶液の調製(CellGenix)
[00369] 本例は、IL-2ストック溶液の例示的調製手順について説明する。
【0370】
[00370] 定義/略称
μL:マイクロリットル又はμl
BSC:生物学的安全キャビネット
BSL2:バイオセーフティレベル2
D-PBS:ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水
G:ゲージ
GMP:医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準(Good Manufacturing Processing)
HAc:酢酸
HSA:ヒト血清アルブミン
mL:ミリリットル
NA:該当なし
PPE:個人用防護装備
rhIL-2;IL-2:組換えヒトインターロイキン-2
COA:分析証明書
6.手順
6.1 0.2%酢酸溶液(HAc)を調製した。
6.1.1 29mL滅菌水を50mLコニカルチューブに移した。
6.1.2 50mLコニカルチューブに1mL 1N酢酸を加えた。
6.1.3 チューブを2~3回反転させることにより十分に混合した。
6.1.4 Steriflipフィルタを使用してろ過することによりHAc溶液を滅菌した。
6.1.5 キャップを閉め、日付を付し、溶液に「滅菌0.2%酢酸溶液」の表示を付した。
6.1.6 溶液は2ヵ月後に期限切れとした。室温で貯蔵した。
6.2 PBS中1%HSAを調製した。
6.2.1 150mL滅菌フィルタユニット内の96mL PBSに4mLの25%HSAストック溶液を加えた。
6.2.2 溶液をろ過した。
6.2.3 キャップを閉め、日付を付し、溶液に「PBS中1%HSA」の表示を付した。
6.2.4 溶液は2ヵ月後に期限切れとした。4℃で貯蔵した。
6.3 調製したrhIL-2の各バイアルについて、資料を作成した。
6.4 rhIL-2ストック溶液(6×10IU/mL最終濃度)を調製した
6.4.1 rh1L-2はロット毎に異なり、製造者の分析証明書(COA)に掲載されている以下のような情報が必要であった:
6.4.1.1 バイアル1本当たりのrhIL-2の質量(mg)
6.4.1.2 rhIL-2の比活性(IU/mg)
6.4.1.3 推奨される0.2%HAc再構成容積(mL)
6.4.2 rhIL-2ロットに必要な1%HSAの容積は、以下の式を用いて計算した:
【数1】
6.4.2.1 例えば、CellGenixのrhIL-2ロット10200121 COAによれば、1mgバイアルの比活性は25×10lU/mgであった。2mLの0.2%HAc中にrhIL-2を再構成することが推奨されている。
【数2】
6.4.3 IL-2バイアルのゴム栓をアルコールワイプで拭き取った。
6.4.4 3mLシリンジに取り付けた16G針を使用して、推奨容積の0.2%HAcをバイアルに注入した。針を引き抜くときに栓が外れないよう注意を払った。
6.4.5 バイアルを3回反転させて、粉末が全て溶解するまで回した。
6.4.6 栓を慎重に取り外し、アルコールワイプ上に置いておいた。
6.4.7 計算した容積の1%HSAをバイアルに加えた。
6.4.8 バイアルにゴム栓をした。
6.5 rhIL-2溶液の貯蔵
6.5.1 短期貯蔵(<72時間)については、バイアルを4℃で貯蔵した。
6.5.2 長期貯蔵(>72時間)については、バイアルを少量のアリコートに分け、使用直前まで-20℃でクライオバイアルに貯蔵した。凍結/解凍サイクルを避けた。調製日から6ヵ月後に期限切れとした。
6.5.3 rh-IL-2表示には、販売業者及びカタログ番号、ロット番号、有効期限、作業者イニシャル、アリコートの濃度及び容積が含まれた。
【0371】
実施例5:プレREP及びREPプロセス用の培地調製
[00371] 本例は、限定はされないが、転移性黒色腫、頭頸部扁平上皮癌、卵巣癌、トリプルネガティブ乳癌、及び肺腺癌を含めた様々な腫瘍型に由来する腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の培養が関わるプロトコルに用いられる組織培養培地の調製手順について説明する。多くの場合、本願及び実施例に記載される任意のTILの調製にこの培地を使用した。
【0372】
[00372] 定義
μg マイクログラム
μm マイクロメートル
μM マイクロモル濃度
AIM-V(登録商標) 無血清組織培養培地(Thermo Fisher Scientific)
BSC 生物学的安全キャビネット
CM1 完全培地#1
CM2 完全培地#2
CM3 完全培地#3
CM4 完全培地#4
IU又はU 国際単位
ml ミリリットル
mM ミリモル濃度
NA 該当なし
PPE 個人用防護装備
プレREP プレ迅速拡大培養プロセス
REP 迅速拡大培養プロセス
rhIL-2、IL-2 組換えヒトインターロイキン-2
RPMI1640 ロズウェルパーク記念研究所(Roswell Park Memorial Institute)培地、配合1640
SOP 標準実施要領
TIL 腫瘍浸潤リンパ球
7.手順
7.1 手順は全て、BSC(クラスII、タイプA2)において無菌法を用いて行った。
7.1.1 使用前にフードの表面に70%エタノールを噴霧した。
7.1.2 物品及び試薬は全て、組織培養フード内に置く前に70%エタノールを噴霧した。
7.2 200mM L-グルタミンのアリコート分注
7.2.1 L-グルタミンは、血清の調製に必要なよりも大きい容積で供給された(例えば、100ml又は500ml容積)。
7.2.2 L-グルタミンのボトルを37℃の水浴中で解凍した。
7.2.3 L-グルタミンは解凍後に沈殿するため、解凍後、L-グルタミンを十分に混合した。アリコートに分ける前に、沈殿物が全て溶液に戻ったことを確実にする。
7.2.4 L-グルタミンの5~10mlアリコートを滅菌15mlコニカルチューブに入れた。
7.2.5 チューブに、濃度、販売業者、ロット番号、アリコート分注日、及び有効期限の表示を付す。
7.2.6 チューブは-20℃で貯蔵し、必要に応じて培地調製のため抜き取った。
7.3 CM1の調製
7.3.1 低温貯蔵庫から以下の試薬を取り出し、37℃の水浴中で加温した:
7.3.1.1 RPMI1640
7.3.1.2 ヒトAB血清
7.3.1.3 200mM L-グルタミン
7.3.2 4℃の貯蔵庫からBMEを取り出し、組織培養フードに置いた。
7.3.3 ゲンタマイシンストック溶液を室温貯蔵庫から組織培養フードに入れた。
7.3.4 以下の表1に従い、ろ過される容積に適切な0.2μmフィルタユニットの上部に成分の各々を加えることによりCM1培地を調製した。
【0373】
【表11】
【0374】
7.3.5 CM1培地ボトルに、その名前、調製者のイニシャル、それがろ過/調製された日付、2週間の有効期限の表示を付し、組織培養に必要になるまで4℃で貯蔵した。必要に応じて培地をアリコートに分け、少容量ボトルに入れた。
7.3.6 残ったRPMI1640、ヒトAB血清、又はL-グルタミンは全て、次回の培地調製まで4℃で貯蔵した。
7.3.7 BMEのストックボトルは4℃の貯蔵庫に戻した。
7.3.8 ゲンタマイシンのストックボトルはその適切な室温貯蔵場所に戻した。
7.3.9 培地の緩衝能力は限られているため、CM1は調製後2週間以内に、又はフェノールレッドpH指示薬がpHの極端なシフトを示したこと(明るい赤色乃至ピンクの呈色)に伴い廃棄した。
7.3.10 使用当日、所要量のCM1を37℃の水浴中で加温し、6000IU/ml IL-2を加えた。
7.3.11 追加的な添加-必要に応じたもの
7.3.11.1 CM1にGlutaMAX(登録商標)を添加した
7.3.11.1.1 2mMグルタミン(最終濃度、表2を参照)の代わりに2mMのGlutaMAX(商標)を用いることによりCM1を調製した。それが終わったら、標準配合のCM1との混同を防ぐため、培地ボトルに「2mM GlutaMAX」を追加して表示を付した。
7.3.11.2 CM1に追加の抗生物質/抗真菌薬を添加した
7.3.11.2.1 一部のCM1配合物は、ある種の腫瘍型から成長させるプレREP TILの汚染を防ぐため、追加的な抗生物質又は抗真菌薬が必要であった。
7.3.11.2.2 以下の表2に示す最終濃度となるように抗生物質/抗真菌薬を加えた。
7.3.11.2.3 終わったら、標準配合のCM1との混同を防ぐため、追加的な抗生物質/抗真菌薬の名前を追加することにより培地ボトルに表示を付した。
【0375】
【表12】
【0376】
8.1 CM2の調製
8.1.1 冷蔵庫から調製済みのCM1を取り出した、又は上記の実施例に従い新鮮CM1を調製する。
8.1.2 冷蔵庫からAIM-V(登録商標)を取り出した。
8.1.3 滅菌培地ボトル内に調製済みCM1を等容積のAIM-V(登録商標)と混合することにより、必要な量のCM2を調製した。
8.1.4 使用当日、CM2培地に3000IU/ml IL-2を加えた。
8.1.5 使用当日、十分な量の3000IU/ml IL-2含有CM2を作成した。
8.1.6 CM2培地ボトルに、その名前、調製者のイニシャル、それがろ過/調製された日付、2週間の有効期限の表示を付し、組織培養に必要になるまで4℃で貯蔵した。必要に応じて培地をアリコートに分け、少容量ボトルに入れた。
8.1.7 IL-2を含まないCM2は全て冷蔵庫に戻し、そこで最長2週間にわたり、又はフェノールレッドpH指示薬がpHの極端なシフト(明るい赤色乃至ピンクの呈色)を示すまで貯蔵した。
8.2 CM3の調製
8.2.1 使用が必要になった当日に、CM3を調製した。
8.2.2 CM3はAIM-V(登録商標)培地と同じであり、使用当日に3000IU/ml IL-2を添加した。
8.2.3 AIM-Vのボトル又はバッグにIL-2ストック溶液を直接加えることにより、実験の必要上十分な量のCM3を調製した。軽く振盪することにより十分に混合した。AIM-Vに加えた後すぐに、ボトルに「3000IU/ml IL-2」の表示を付した。過剰なCM3がある場合、培地名、調製者のイニシャル、培地の調製日、及びその有効期限(調製後7日)を表示したボトルに4℃で貯蔵した。
8.2.4 IL-2を添加した培地は4℃で7日間の貯蔵後に廃棄した。
8.3 CM4の調製
8.3.1 CM4はCM3と同じであり、加えて2mMのGlutaMAX(商標)(最終濃度)を添加した。
8.3.1.1 1LのCM3につき10mlの200mM GlutaMAX(商標)を加えた。
8.3.2 AIM-Vのボトル又はバッグにIL-2ストック溶液及びGlutaMAX(商標)ストック溶液を直接加えることにより、実験の必要上十分な量のCM4を調製した。軽く振盪することにより十分に混合した。
8.3.3 AIM-Vに加えた後すぐに、ボトルに「3000IL/nil IL-2及びGlutaMAX」の表示を付した。
8.3.4 過剰なCM4がある場合、培地名、「GlutaMAX」、調製者のイニシャル、培地の調製日、及びその有効期限(調製後7日)を表示したボトルに4℃で貯蔵した。
8.3.5 IL-2を添加した培地は4℃で7日間の貯蔵後に廃棄した。
【0377】
実施例6:LN-144の迅速拡大培養プロトコルに関する照射同種異系フィーダー細胞の判定
[00373] 本実施例は、γ線照射した末梢単核球(PBMC、別名MNC)の個々のロットが本明細書に記載される例示的方法における同種異系フィーダー細胞としての使用に適格か判定するための新規簡略手順について説明する。
【0378】
[00374] 各照射MNCフィーダーロットは個別のドナーから調製した。精製抗CD3(クローンOKT3)抗体及びインターロイキン-2(IL-2)の存在下におけるREPでTILを拡大培養するその能力に関して各ロット又はドナーを個別にスクリーニングした。加えて、フィーダー細胞の各ロットをTILを加えずに試験して、受けたガンマ線線量がそれらを複製不能にするのに十分であったことを確認した。
定義
・AOPI-アクリジンオレンジ/ヨウ化プロピジウム(propidum iodide)
・BSC-生物学的安全キャビネット
・CD3-分化クラスター3;Tリンパ球の表面マーカータンパク質
・CF-遠心力
・CM1-TIL用の完全培地、#1
・CM2-TIL用の完全培地、#
・CMO-医薬品製造受託機関
・CO-二酸化炭素
・EtOH-エチルアルコール
・GMP-医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準
・Gy-グレイ
・IL-2-インターロイキン2
・IU-国際単位
・LN2-液体窒素
・ミニREP-ミニ迅速拡大培養プロトコル
・ml-ミリリットル
・MNC-単核球
・NA-該当なし
・OKT3-MACS GMP CD3 pure(クローンOKT3)抗体
・PPE-個人用防護装備
・プレREP-迅速拡大培養プロトコル前
・QS-適量;この量まで充填
・REP-迅速拡大培養プロトコル
・TIL-腫瘍浸潤リンパ球
・T25-25cm2組織培養フラスコ
・μg-マイクログラム
・μl-マイクロリットル
【0379】
装置、ソフトウェア、材料
[00375] 装置
・BSC(生物学的安全キャビネット)
・液体窒素フリーザー
・温度制御水浴
・スイングバケットロータ付き遠心機
・加湿組織培養インキュベーター
・ピペットエイド(Pipet Aid)
・2~20μlピペッター
・20~200μlピペッター
・100~1000μlピペッター
・自動セルカウンター
【0380】
[00376] 材料
・15mlコニカル遠心管、滅菌
・50mlコニカル遠心管、滅菌
・CM1
・CM2
・AIM V Medium CTS(治療用グレード)
・細胞対比染色溶液
・IL-2
・MACS GMP CD3 pure(クローンOKT3)抗体
・滅菌ディスポーザブル血清用ピペット
・滅菌ディスポーザブルホールピペット
・滅菌ピペットチップ
・24ウェル組織培養プレート
・T25フラスコ(Greiner #690175)
・5.3.14.ジッパー式貯蔵用バッグ
【0381】
手順
背景
[00377] TIL拡大培養のREP(ステップD)には、γ線照射した増殖が止まったMNCフィーダー細胞が必要であった。REP(ステップD)フラスコ内でフィーダーMNC上の膜受容体が抗CD3(クローンOKT3)抗体に結合し、TILに架橋することにより、TILが拡大するように刺激される。フィーダーロットは、個別のドナーから採取された全血の白血球アフェレーシスから調製した。白血球アフェレーシス産物をFicoll-Hypaqueで遠心に供し、洗浄し、照射し、及びGMP条件下で凍結保存した。
【0382】
[00378] 移植片対宿主病(GVHD)を引き起こし得るため、TIL療法を受ける患者が生細胞のフィーダー細胞を注入されないことが重要であった。従って、フィーダー細胞は、ガンマ線照射を細胞に与え、その結果二本鎖DNA切断が生じて再培養時にMNC細胞が細胞生存能力を失うことにより、増殖が止められた。
【0383】
判定基準及び実験セットアップ
[00379] フィーダーロットを2つの基準に関して判定した:1)共培養においてTILを>100倍に拡大するその能力、及び2)その複製不能性。
【0384】
[00380] 直立T25組織培養フラスコ内で成長させた2つの初代プレREP TIL株を利用するミニREPフォーマットでフィーダーロットを試験した。各TIL株がREPにおいて活性化に応答して増殖するその能力はユニークであったため、フィーダーロットは2つの異なるTIL株に対して試験した。対照として、1)及び2)の基準:(1)共培養においてTILを>100倍に拡大するその能力、及び(2)その複製不能性、に適合することが歴史的に示されている照射MNCフィーダー細胞のロットを試験ロットと並行して実行した。
【0385】
[00381] 単一の実験で試験した全てのロットが等価な試験を受けることを確実にするため、全ての条件及び全てのフィーダーロットの試験に同じプレREP TIL株の十分なストックを使用した。試験したフィーダー細胞の各ロットにつき、合計6つのT25フラスコがあった:
・プレREP TIL株#1(2フラスコ)
・プレREP TIL株#2(2フラスコ)
・フィーダー対照(2フラスコ)
・注記:TIL株#1及び#2が入ったフラスコは、フィーダーロットがTILを拡大させる能力を判定した。フィーダー対照フラスコは、フィーダーロットの複製不能性を判定した。
【0386】
実験プロトコル
-2/3日目、TIL株の解凍
[00382] 実施例5、プレREP及びREP培地調製に従いCM2培地を調製した。37℃の水浴中でCM2を加温した。3000IU/ml IL-2を添加した40mlのCM2を調製した。使用時まで保温した。使用したTIL株の名前の表示を付した2つの50mlコニカルチューブの各々に、IL-2を含まない20mlの予め加温したCM2を入れた。LN2貯蔵庫から2つの指定のプレREP TIL株を取り出し、バイアルを組織培養室に移した。TIL株識別フォームを記録した。残りの氷が少量になるまでバイアルを37℃の水浴中の密封されたジッパー式貯蔵用バッグの内部に置くことにより、バイアルを解凍した。解凍したバイアルは70%エタノールを噴霧するか、又はそれで拭き取り、バイアルをBSCに移した。滅菌ホールピペットを使用してバイアルの内容物を直ちに表示を付した調製済み50mlコニカルチューブ内の20mlのCM2中に移した。IL-2を含まないCM2を使用して40mlまでQS(この量まで充填)して細胞を洗浄した。400×CFで5分間遠心した。上清を吸引し、3000IU/ml IL-2を添加した5mlの温CM2に再懸濁した。少量のアリコート(20μl)をデュプリケートで取り出し、自動セルカウンターを使用して細胞をカウントした。カウントは記録した。カウントする一方で、TIL細胞が入った50mlコニカルチューブは、キャップを緩めてガス交換を可能にして、加湿した37℃、5%COインキュベーターに置いた。細胞濃度を決定し、3000IU/mlのIL-2を添加したCM2でTILを1×10細胞/mlに希釈した。加湿した37℃インキュベーター内で必要に応じた数のウェルにおいて24ウェル組織培養プレートのウェル当たり2mlでミニREPの0日目まで培養した。混同及び潜在的な交差汚染を避けるため、異なるTIL株は別個の24ウェル組織培養プレートにおいて培養した。
【0387】
0日目、ミニREPを開始する
[00383] 試験するフィーダーロットの数に十分なCM2培地を調製した(例えば、1回に4つのフィーダーロットを試験するために、800mlのCM2培地を調製する)。実施例5で調製したCM2の一部をアリコートに分け、細胞の培養のため、それに3000IU/ml IL-2を添加した(例えば、1回に4つのフィーダーロットを試験するために、500mlの3000IU/ml IL-2含有CM2培地を調製する)。IL-2を含まない残りのCM2は、以下に記載するとおり細胞の洗浄に使用した。
【0388】
TILを調製した
7.3.2.4.各TIL株を別々に作業して交差汚染を防ぎながら、TIL培養物が入った24ウェルプレートをインキュベーターから取り出し、BSCに移した。
7.3.2.5.滅菌ホールピペット又は100~1000μlピペッター及びチップを使用して、使用するTILの各ウェルから約1mlの培地を取り出し、24ウェル組織培養プレートの使用されていないウェルに入れた。これは洗浄ウェルに使用した。
7.3.2.6.新鮮な滅菌ホールピペット又は100~1000μlピペッター及びチップを使用して、ウェル内で残りの培地をTILと混合して細胞を再懸濁し、次にTIL名が表示された50mlコニカルチューブに細胞懸濁液を移し、容積を記録した。
7.3.2.7.確保しておいた培地でウェルを洗浄し、その容積を同じ50mlコニカルチューブに移した。
7.3.2.8.細胞を400×CFでスピンして細胞ペレットを収集した。
7.3.2.9.培地上清を吸引して取り除き、3000IU/ml IL-2を含有する2~5mlのCM2培地中に細胞ペレットを再懸濁した;使用した容積は、回収されるウェルの数及びペレットのサイズに基づいた-容積は>1.3×10細胞/mlの濃度を確保するのに十分であった。
7.3.2.10.血清用ピペットを使用して、細胞懸濁液を完全に混合し、容積を記録した。
7.3.2.11.200μlを取り出し、自動セルカウンターを使用して細胞をカウントした。
7.3.2.12.カウントする一方で、TIL細胞が入った50mlコニカルチューブは、キャップを緩めてガス交換を可能にして、加湿された5%CO2、37℃インキュベーターに置いた。
7.3.2.13.カウントを記録した。
7.3.2.14.TIL細胞が入った50mlコニカルチューブをインキュベーターから取り出し、3000IU/ml IL-2を添加した温CM2中にそれらの細胞を1.3×10細胞/mlの濃度で再懸濁した。キャップを緩めたまま、50mlコニカルチューブをインキュベーターに戻した。
7.3.2.15 必要に応じて、元の24ウェルプレートは残りのTILの再培養用にそのままにしておいた。
7.3.2.16.第2のTIL株についてステップ7.3.2.4~7.3.2.15を繰り返した。
7.3.2.17.実験用のT25フラスコにTILをプレーティングする直前に、TILは以下のステップ7.3.2.35に従い1.3×10細胞/mlの最終濃度に1:10希釈した。
【0389】
MACS GMP CD3 pure(OKT3)作業溶液を調製する
7.3.2.18.4℃の冷蔵庫からOKT3のストック溶液(1mg/ml)を取り出し、BSCに置いた。
7.3.2.19.ミニREPの培地中には30ng/ml OKT3の最終濃度を使用した。
7.3.2.20.実験の各T25フラスコ内の20mlにつき600ngのOKT3が必要であった;これは各20mlにつき60μlの10μg/ml溶液、又は各フィーダーロットについて試験する6つ全てのフラスコにつき360μlの相当量である。
7.3.2.21.試験する各フィーダーロットについて、10μg/mlの作業濃度に対して400μlの1:100希釈の1mg/ml OKT3を作成した(例えば、1回に4つのフィーダーロットを試験するために、1600μlの1:100希釈の1mg/ml OKT3:16μlの1mg/ml OKT3+1.584mlの3000IU/ml IL-2含有CM2培地を作成した)。
【0390】
T25フラスコを調製する
7.3.2.22.各フラスコに、試験したTIL株の名前、フラスコレプリケート番号、フィーダーロット番号、日付、及び分析者のイニシャルの表示を付した。
7.3.2.23.フィーダー細胞を調製する前にフラスコにCM2培地を充填した。
7.3.2.24.フラスコを37℃の加湿された5%CO2インキュベーターに置くことにより、残りの構成成分を加えるまでの間、培地を保温した。
7.3.2.25.フィーダー細胞を調製し終えたら、以下の表14、フラスコのセットアップに示されるとおり各フラスコ内のCM2に構成成分を加えた。
【0391】
【表13】
【0392】
フィーダー細胞を調製した
7.3.2.26.本プロトコルについては、試験したロット当たり最低78×10個のフィーダー細胞が必要であった。SDBBによって凍結された各1mlバイアルは、凍結時に100×10個の生細胞を有した。LN2貯蔵庫からの解凍時に50%回収率と仮定すると、各REPにつき推定100×10個の生細胞を所与として、ロット当たりフィーダー細胞の1mlバイアルを少なくとも2本解凍することが推奨された。或いは、1.8mlバイアルで供給される場合、1本のバイアルのみで十分なフィーダー細胞が提供されるであろう。
7.3.2.27.フィーダー細胞の解凍前に、試験しようとする各フィーダーロットにつき約50mlのIL-2不含CM2を予め加温した。
7.3.2.28.LN2貯蔵庫から指定のフィーダーロットバイアルを取り出し、ジッパー式貯蔵用バッグに入れ、氷上に置いた。バイアルを組織培養室に移した。
7.3.2.29.37℃の水浴に浸すことにより、閉じたジッパー式貯蔵用バッグ内でバイアルを解凍した。
7.3.2.30.ジッパー式バッグからバイアルを取り出し、70%EtOHを噴霧するか又はそれで拭き取り、バイアルをBSCに移した。
7.3.2.31.ホールピペットを使用して、フィーダーバイアルの内容物を50mlコニカルチューブ内の30mlの温CM2中に直ちに移した。バイアルを少量のCM2で洗浄してバイアル内に残った細胞を全て取り出した。
7.3.2.32.400×CFで5分間遠心した。
7.3.2.33.上清を吸引し、4ml温CM2+3000IU/ml IL-2に再懸濁した。
7.3.2.34.200μlを取り出し、自動セルカウンターを使用して細胞をカウントした。カウントを記録した。
7.3.2.35.細胞を温CM2+3000IU/ml IL-2中に1.3×10細胞/mlで再懸濁した。
【0393】
共培養をセットアップする
7.3.2.36.TIL細胞を1.3×10細胞/ml~1.3×10細胞/mlに希釈した。交差汚染を防ぐため、各TIL株は独立に作業した。
7.3.2.36.1.15mlコニカルチューブに4.5mlのCM2培地を加えた。
7.3.2.36.2.インキュベーターからTIL細胞を取り出し、10ml血清用ピペットを使用して十分に再懸濁した。
7.3.2.36.3.1.3×10細胞/ml TIL懸濁液から0.5mlの細胞を取り出し、15mlコニカルチューブ内の4.5mlの培地に加えた。TILストックバイアルをインキュベーターに戻した。
7.3.2.36.4.十分に混合した。
7.3.2.36.5.第2のTIL株についてステップ7.3.2.36.1~7.3.2.36.4を繰り返した。
7.3.2.36.6.1回に2つ以上のフィーダーロットを試験する場合、各フィーダーロットについてTILのプレーティング直前にTILをより低い濃度に希釈した。
7.3.2.37.単一のフィーダーロットについての予め加温した培地が入ったフラスコをインキュベーターからBSCに移した。
7.3.2.38.1mlピペットチップで上下に数回ピペッティングすることによりフィーダー細胞を混合し、1ml(1.3×10細胞)を当該のフィーダーロットの各フラスコに移した。
7.3.2.39.各フラスコに60μlのOKT3作業ストック(10μg/ml)を加えた。
7.3.2.40.2つの対照フラスコをインキュベーターに戻した。
7.3.2.41.1ml(1.3×10)の各TILロットを対応する表示のT25フラスコに移した。
7.3.2.42.フラスコをインキュベーターに戻し、直立でインキュベートした。5日目まで手を加えなかった。
7.3.2.43.試験した全てのフィーダーロットについて7.3.2.36~7.3.2.42を繰り返した。
【0394】
7.3.3.5日目、培地を交換した。
7.3.3.1.3000IU/ml IL-2を含むCM2を調製した。各フラスコにつき10mlが必要である。
7.3.3.2.交差汚染を防ぐため、一度に単一のフィーダーロットのフラスコを取り扱った。インキュベーターからフラスコを取り出してBSCに移し、及びフラスコの底にある細胞層を乱さないよう注意を払った。
7.3.3.3.フラスコから10mlの培地を静かに取り出し、廃棄した。
7.3.3.4.対照フラスコを含む全てのフラスコについて繰り返した。
7.3.3.5.10mlピペットで、3000IU/ml IL-2を含む10ml温CM2を各フラスコに移した。
7.3.3.6.フラスコをインキュベーターに戻し、7日目まで直立でインキュベートした。
7.3.3.7.試験した全てのフィーダーロットについて7.3.3.1~7.3.3.6を繰り返した。
【0395】
7.3.4.7日目、回収する
7.3.4.1.交差汚染を防ぐため、一度に単一のフィーダーロットのフラスコを取り扱った。
7.3.4.2.インキュベーターからフラスコを取り出してBSCに移し、及びフラスコの底にある細胞層を乱さないよう注意を払った。
7.3.4.3.フラスコの底に成長する細胞を乱すことなく、各試験フラスコから10mlの培地、及び対照フラスコの各々から15mlの培地を取り出した。
7.3.4.4.10ml血清用ピペットを使用して、残りの培地に細胞を再懸濁し、十分に混合して細胞集塊を全て壊した。
7.3.4.5.7日目に各フラスコの容積を記録した。
7.3.4.6.ピペッティングにより細胞懸濁液を完全に混合した後、200μlを取り出して細胞をカウントした。
7.3.4.7.適切な標準実施要領を自動セルカウンター装置と併せて用いてTILをカウントした。
7.3.4.8.7日目のカウントを記録した。
7.3.4.9.試験した全てのフィーダーロットについて7.3.4.1~7.3.4.8を繰り返した。
7.3.4.10.図2に挙げる基準に従い、フィーダー対照フラスコについて複製不能性を判定し、及びTILが入ったフラスコについて0日目からの拡大倍数を判定した。
【0396】
7.3.5.7日目、14日目までのフィーダー対照フラスコの継続
7.3.5.1.7日目にフィーダー対照フラスコをカウントし終えた後、対照フラスコの各々に、3000IU/ml IL-2を含有する新鮮CM2培地15mlを加えた。
7.3.5.2.対照フラスコをインキュベーターに戻し、14日目まで直立位置でインキュベートした。
【0397】
7.3.6.14日目、フィーダー対照フラスコの非増殖の延長
7.3.6.1 交差汚染を防ぐため、一度に単一のフィーダーロットのフラスコを取り扱った。
7.3.6.2 インキュベーターからフラスコを取り出してBSCに移し、及びフラスコの底にある細胞層を乱さないよう注意を払った。
7.3.6.3.フラスコの底に成長する細胞を乱すことなく、各対照フラスコから約17mlの培地を取り出した。
7.3.6.4.5ml血清用ピペットを使用して、残りの培地に細胞を再懸濁し、十分に混合して細胞集塊を全て壊した。
7.3.6.5.各フラスコの容積を記録した。
7.3.6.6.ピペッティングにより細胞懸濁液を完全に混合した後、200μlを取り出して細胞をカウントした。
7.3.6.7.適切な標準実施要領を自動セルカウンター装置と併せて用いてTILをカウントした。
7.3.6.8.14日目のカウントを記録した。
7.3.6.9.試験した全てのフィーダーロットについて、7.3.4.1~7.3.4.8を繰り返した。
【0398】
予想される結果及び適合基準
予想される結果
[00384] ガンマ線照射の線量はフィーダー細胞を複製不能にするのに十分であった。全てのロットが判定基準に適合するものと予想され、また、0日目と比較してREP培養の7日目に残る生存フィーダー細胞総数の減少も実証された。
【0399】
[00385] 全てのフィーダーロットが、REP培養の7日目までにTIL成長の100倍の拡大という判定基準に適合するものと予想された。
【0400】
[00386] フィーダー対照フラスコの14日目のカウントは、7日目に見られた非増殖傾向が続くものと予想された。
【0401】
適合基準
[00387] フィーダー細胞の各ロットについて試験した各レプリケートTIL株は、以下の適合基準を満たさなければならなかった。
【0402】
以下のとおり(図2、適合基準に概説する)、適合は二重であった:
[00388] 30ng/ml OKT3抗体及び3000IU/ml IL-2の存在下で培養したとき放射線量がMNCフィーダー細胞を複製不能にするのに十分であったかどうかを判定した。
【0403】
[00389] 複製不能かどうかは、REPの7日目及び14日目に自動細胞カウントによって決定したときの総生細胞数(TVC)によって判定した。
【0404】
[00390] 適合基準は「成長なし」であり、これは、REPの0日目に培養を開始した初期生細胞数から7日目及び14日目に総生細胞数が増加していなかったことを意味する。
【0405】
フィーダー細胞がTIL拡大培養を支持する能力を判定する
[00391] REPの0日目の培養開始からREPの7日目までの生細胞の拡大倍数の点でTIL成長を測定した。
【0406】
[00392] 7日目、自動細胞カウントによって判定したとき、TIL培養物は最低でも100倍の拡大(即ち、REP 0日目に培養を開始した総TIL生細胞数の100倍より多い)を実現した。
【0407】
[00393] 上記のこれら2つの基準に適合しなかったMNCフィーダーロットは、典型的には除外された。
【0408】
[00394] 適合基準を満たすが、当業者が判断するとき、同じプレREP TIL株で並行して試験したそれまでの他のフィーダーロットと比べてTILの拡大培養能力に関して性能が低いと判断される任意のMNCフィーダーロットは、除外された可能性がある。使用した適合基準については、以下の表15を参照のこと。
【0409】
【表14】
【0410】
[00395] 30ng/ml OKT3抗体及び3000IU/ml IL-2の存在下で培養したとき放射線量がMNCフィーダー細胞を複製不能にするのに十分であったかどうかを判定した。
10.2.2.1.1 複製不能かどうかは、REPの7日目及び14日目に自動細胞カウントによって決定したときの総生細胞数(TVC)によって判定した。
10.2.2.1.2 適合基準は「成長なし」であったが、これは、REPの0日目に培養を開始した初期生細胞数から7日目及び14日目に総生細胞数が増加しなかったことを意味した。
10.2.2.2 フィーダー細胞がTIL拡大培養を支持する能力を判定した。
10.2.2.2.1 REPの0日目の培養開始からREPの7日目までの生細胞の拡大倍数の点でTIL成長を測定した。
10.2.2.2.1 7日目、自動細胞カウントによって判定したとき、TIL培養物は最低でも100倍の拡大(即ち、REP 0日目に培養を開始した総TIL生細胞数の100倍より多い)を実現した。
10.2.2.3 ロットが上記の2つの基準に適合しなかった場合、そのロットは、以下のセクション10.3に概説するコンティンジェンシープランに従い再試験した。
10.2.2.4 不適合ロットの再試験後、当初の判定及びコンティンジェンシーテストの両方で2つの適合基準を満たさなかったMNCフィーダーロットはいずれも除外した。
10.2.2.5 適合基準を満たしたが、同じプレREP TIL株で並行して試験したそれまでの他のフィーダーロットと比べてTILの拡大培養能力に関して性能が低いと判断されたMNCフィーダーロットはいずれも適宜除外した。
【0411】
[00396] 適合基準を満たさないMNCフィーダーロットのコンティンジェンシーテスト
10.3.1 MNCフィーダーロットが上記のセクション10.2に概説される適合基準のいずれかを満たした場合、その原因として単純な実験者エラーを排除するため以下のステップを行ってロットを再試験した。
10.3.2 ロットのサテライトの(satellite)試験バイアルが2つ以上残っていた場合、そのロットを再試験することができた。ロットのサテライトの試験バイアルが1つ残っているか又は残っていなかった場合、上記のセクション10.2に挙げる適合基準に基づきそのロットは不適合とした。
10.3.3 問題のロットを判定した当初の人を含め、2人の訓練された担当者が、両者ともロットを同時に試験しなければならなかった。
10.3.4 セクション7.2~7.3の繰り返しを行い、問題のロットを再判定した。
10.3.5 各自が問題のロット並びに対照ロット(上記のセクション7.2.4に定義されるとおり)を試験することになり得た。
10.3.6 適格とされるには、コンティンジェンシーテストを行う担当者の両方について、問題のロット及び対照ロットがセクション10.2の適合基準を達成しなければならなかった。
10.3.7 これらの基準に適合すると、次にはそのロットは、上記のセクション10.2に概説したとおりのCMO使用にリリースすることができた。
【0412】
実施例7:γ線照射末梢血単核球の個々のロットの適格性を判定するための手順
[00397] 本実施例は、γ線照射末梢血単核球(PBMC)の個々のロットが本明細書に記載される例示的方法における同種異系フィーダー細胞としての使用に適格か判定するための新規簡略手順について記載する。本例は、臨床用TILロットの生産における使用に関する照射PBMC細胞ロットの判定プロトコルを提供する。個別のドナーから各照射PBMCロットを調製した。100を超える適格性判定プロトコルを通して、いずれの場合にも、SDBB(サンディエゴ血液バンク(San Diego Blood Bank))からの照射PBMCロットはREPの7日目にTILを>100倍に拡大し得ることが示されている。この改良された適格性判定プロトコルは、受けたガンマ線線量がそれらを複製不能にするのに十分であったことを確認するためなおも試験しなければならないSDBBからの照射ドナーPBMCロットに適用することが意図される。それが14日間にわたって複製不能を維持することが実証されたら、ドナーPBMCロットは、臨床用TILロットの生産への使用に「適格である」と見なした。
【0413】
[00398] キーワード及び定義
μg-マイクログラム
μl-マイクロリットル
AIM-V-市販の細胞培養培地、生物学的安全キャビネット
BSC-分化クラスター
CD-TIL用の完全培地#2
CM2-3000IU/ml IL-2を添加したCM2
CM2IL2-医薬品製造受託機関
CO-二酸化炭素
EtOH-エタノール
GMP-医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準
Gy-グレイ
IL-インターロイキン
IU-国際単位
LN2-液体窒素
MI-ミリリットル
NA-該当なし
OKT3-抗CD3モノクローナル抗体名
P20-2~20μlピペッター
P200-20~200μlピペッター
PBMC-末梢血単核球
P1000-100~1000μlピペッター
PPE-個人用防護装備
REP-迅速拡大培養プロトコル
SDBB-サンディエゴ血液バンク(San Diego Blood Bank)
TIL-腫瘍浸潤リンパ球
T25-25cm2組織培養フラスコ
×g-「重力の~倍」-相対遠心力の尺度
【0414】
[00399] 標本には照射ドナーPBMC(SDBB)が含まれた。
手順
背景
7.1.1 TILの現行の標準REPには、γ線照射した増殖が止まったPBMCが必要であった。培養下でPBMC上の膜受容体が抗CD3(クローンOKT3)抗体に結合し、TILに架橋することにより、TILが拡大するように刺激される。PBMCロットは、個別のドナーから採取された全血の白血球アフェレーシスから調製した。白血球アフェレーシス産物をFicoll-Hypaqueで遠心に供し、洗浄し、照射し、及びGMP条件下で凍結保存した。
移植片対宿主病(GVHD)を引き起こし得るため、TIL療法を受ける患者が生細胞PBMCを注入されないことが重要である。従ってドナーPBMCは、ガンマ線照射を細胞に与え、その結果二本鎖DNA切断が生じて再培養時にPBMCが細胞生存能力を失うことにより、増殖が止められた。
判定基準
7.2.1 照射PBMCロットの判定基準はその複製不能性であった。
実験セットアップ
7.3.1 直立T25組織培養フラスコを使用して、フィーダーロットをTILと共培養したかのようにミニREPフォーマットで試験した。
7.3.1.1 対照ロット:歴史的に7.2.1の基準に適合することが示されている照射PBMCの1つのロットを、対照として実験ロットと並行して実行した。
7.3.2 試験する照射ドナーPBMCの各ロットについて、デュプリケートのフラスコを実行した。
【0415】
実験プロトコル
[00400] 本プロトコルにおける全ての組織培養作業は、BSCにおいて無菌法を用いて行った。
0日目
7.4.1 試験しようとするドナーPBMCの各ロットにつき約90mlのCM2培地を調製した。CM2は37℃の水浴中に保温した。
7.4.2 6×10IU/ml IL-2のアリコートを解凍した。
7.4.3 CM2培地をBSCに戻し、70%EtOHで拭き取った後、フードに置いた。試験するPBMCの各ロットについて、約60mlのCM2を別個の滅菌ボトルに取り出した。解凍した6×10IU/mlストック溶液からのIL-2を3000IU/mlの最終濃度でこの培地に加えた。このボトルに「CM2/IL2」(又は類似)の表示を付して、それを無添加のCM2と区別した。
7.4.4 試験しようとするPBMCの各ロットにつき2つのT25フラスコに表示を付した。表示には最低限、以下が含まれた:
7.4.4.1 ロット番号
7.4.4.2 フラスコ番号(1又は2)
7.4.4.3 培養開始日(0日目)
OKT3を調製した
7.4.5 4℃の冷蔵庫から抗CD3(OKT3)のストック溶液を取り出し、BSCに置いた。
7.4.6 ミニREPの培地には、30ng/ml OKT3の最終濃度を用いた。
7.4.7 1mg/mlストック溶液からの抗CD3(OKT3)の10μg/ml作業溶液を調製した。必要になるまで冷蔵庫に置いた。
7.4.7.1 試験する各PBMCロットにつき、150μlの1:100希釈の抗CD3(OKT3)ストックを調製した。
例えば、1回に4つのPBMCロットを試験するには、3000IU/ml IL-2を添加した594μlのCM2に6μlの1mg/mlストック溶液を加えることにより、600μlの10μ/ml抗CD3(OKT3)を調製した。
フラスコを調製した
7.4.8 表示を付したT25フラスコに、フラスコ当たり19mlのCM2/IL-2を加え、細胞を調製する間、フラスコを37℃の加湿5%COインキュベーターに置いた。
照射PBMCを調製した
7.4.9 ロットの潜在的な交差汚染を防ぐため、ドナーPBMCロット毎に個別に作業した。
7.4.10 試験しようとするPBMCロットのバイアルをLN2貯蔵庫から取り出した。それらのバイアルは解凍時まで-80℃に置くか、又はドライアイス上に保った。
7.4.11 解凍しようとする各ロットにつき30mlのCM2(IL-2の添加なし)を50mlコニカルチューブに入れた。各チューブに解凍しようとするPBMCの異なるロット番号の表示を付した。使用時まで、チューブのキャップをしっかりと閉めて37℃の水浴中に置いた。必要に応じて、50mlコニカルチューブをBSCに戻し、70%EtOHで拭き取った後、フードに置いた。
7.4.12 低温貯蔵庫からバイアルPBMCを取り出し、37℃の水浴中のフローティングチューブラックに置いて解凍した。解凍は、バイアル内に少量の氷が残るまで進行させた。
7.4.13 解凍したバイアルは70%EtOHを噴霧するか又はそれで拭き取り、BSCに移した。
7.4.14 滅菌ホールピペットを使用して、バイアルの内容物を50mlコニカルチューブ内の30mlのCM2中に直ちに移した。チューブから約1mlの培地を取り出してバイアルをリンスした;リンス液を50mlコニカルチューブに戻した。キャップをしっかりと閉め、静かに回して細胞を洗浄した。
7.4.15 室温において400×gで5分間遠心した。
7.4.16 上清を吸引し、1000μlピペットチップを使用して1mlの温CM2/IL-2中に細胞ペレットを再懸濁した。或いは、培地を加える前に、キャップを閉めたチューブを空のチューブラックに沿って引きずることにより細胞ペレットを再懸濁した。細胞ペレットの再懸濁後、CM2/IL-2培地を使用して容積を4mlにした。容積を記録した。
7.4.17 少量のアリコート(例えば100μl)を取り出し、自動セルカウンターを使用して細胞をカウントした。
7.4.17.1 カウントは、詳細な自動セルカウンターSOPに基づきデュプリケートで実施した。多くの場合に、細胞カウントの実施前にPBMCの希釈を実施する必要があった。推奨される出発希釈は1:10であったが、これは使用するセルカウンターのタイプに応じて変わり得た。
7.4.17.2 カウントを記録した。
7.4.18 ステップ7.4.15.2に従いCM2/IL-2培地を使用してPBMCの濃度を1.3×10細胞/mlに調整した。静かに回すことによるか、又は血清用ピペットを使用して静かに上下に吸引することにより十分に混合した。
培養フラスコをセットアップした
7.4.19 2つの表示を付したT25フラスコを組織培養インキュベーターからBSCに戻した。
7.4.20 抗CD3/OKT3の10μ/mlバイアルをBSCに戻した。
7.4.21 各フラスコに1mlの1.3×10 PBMC細胞懸濁液を加えた。
7.4.22 各フラスコに60μlの10μg/ml抗CD3/OKT3を加えた。
7.4.23 キャップを閉めたフラスコを組織培養インキュベーターに戻し、手を加えることなく14日間成長させた。
7.4.24 次のロットに必要になるまで抗CD3/OKT3バイアルを冷蔵庫に入れ戻した。
7.4.25 判定しようとするPBMCのロット毎にステップ7.4.9~7.4.24を繰り返した。
14日目、PBMCの非増殖性の測定
7.4.26 ロット毎に独立に作業して、デュプリケートT25フラスコをBSCに慎重に戻した。
7.4.27 各フラスコについて、新鮮な10ml血清用ピペットを使用してフラスコの各々から約17mlを取り出し、次に残りの培地を慎重に抜き取って、フラスコ内に残る容積を測定した。容積を記録した。
7.4.28 同じ血清用ピペットを使用して上下にピペッティングすることにより試料を十分に混合した。
7.4.29 カウントのため各フラスコから200μl試料を取り出した。
7.4.30 自動セルカウンターを使用して細胞をカウントした。
7.4.31 判定しようとするPBMCのロット毎にステップ7.4.26~7.4.31を繰り返した。
結果及び適合基準
結果
10.1.1 ガンマ線照射の線量はフィーダー細胞を複製不能にするのに十分であった。全てのロットが判定基準に適合するものと予想され、0日目と比較してREP培養の14日目に残る生存フィーダー細胞総数の減少が実証された。
適合基準
10.2.1 試験した各照射ドナーPBMCロットについて、以下の適合基準が満たされた:
10.2.2 「成長なし」-14日目の総生細胞数が、REPの0日目に培養を開始した初期生細胞数より少なかったことを意味する。
10.2.3 ロットが上記の基準に適合しなかった場合、そのロットは、セクション10.4に概説するコンティンジェンシーテスト手順に従い再試験した。
10.2.4 不適合ロットの再試験後、当初の判定及びコンティンジェンシーテストの両方で適合基準を満たさなかったMNCフィーダーロットは、いずれも除外した。
適合基準を満たさなかったPBMCロットのコンティンジェンシーテスト
10.4.1 照射ドナーPBMCロットが上記の適合基準を満たさなかった場合、その不適合の原因として単純な実験者エラーを排除するため以下のステップを行ってロットを再試験した。
10.4.2 ロットのサテライトのバイアルが2つ以上残っていた場合、そのロットは再試験した。ロットのサテライトのバイアルが1つ残っているか又は残っていなかった場合、上記のセクション10.2の適合基準に基づきそのロットは不適合とした。
10.4.3 可能な場合は常に、2人の訓練された担当者(好ましくは問題のロットを判定した当初の人を含む)が2つの別個のバイアルの試験を独立に行った。これが好ましいコンティンジェンシーテスト方法であった。PBMCの別個のバイアルの他に、両方の担当者が同じ試薬を使用することもできる。
10.4.3.1.2人の担当者が利用可能でない場合、1人が不適合とされたロットについての2つのPBMCバイアルの試験を、各バイアルを独立に作業して行った。
10.4.4 セクション7.4「実験プロトコル」の繰り返しを行い、問題のロットを再判定した。
10.4.5 問題のロットに加えて、コンティンジェンシーテストの実行者各々が対照ロットを試験した。
10.4.5.1 2人の担当者がコンティンジェンシーテストを実施する場合、両方の担当者が対照ロットを独立に試験した。
10.4.5.2 コンティンジェンシーテストの実施に1人のみが利用可能であった場合、対照ロットについて必ずしもデュプリケートで実行する必要はない。
10.4.5.3 適格とされるには、コンティンジェンシーテストを受けるPBMCロットが、セクション10.2の適合基準への合格に達する対照ロットと問題のロットの両方のレプリケートとの両方を有していなければならない。
10.4.5.4 この基準を満たしたとき、次にはそのロットをセクション10.2に概説するとおりのCMO使用にリリースした。
【0416】
実施例8:凍結保存前及び凍結保存後TILの比較
[00401] 試料調製及び染色手順の開始前に試料及びFMOコントロールの抗体カクテルを作成した。これらのカクテルは暗所下4℃で最長60日間貯蔵した。以下のカクテル調製のセクションを参照のこと。
【0417】
【表15】
【0418】
【表16】
【0419】
【表17】
【0420】
【表18】
【0421】
【表19】
【0422】
コンペンセーションコントロール
1.1滴のBD Compビーズを11本のチューブに加えた。
2.チューブ1~7をDF1からの発色団で標識した
3.チューブ8~10をAPCy7、BV421、及びAx647で標識した。
4.チューブ11は非標識ビーズ用であった。
5.各チューブに5μLの抗体を加えた。
6.暗所下、室温で10~30分間インキュベートした。
7.3mL FACS緩衝液で洗浄した
8.500uL 1%PFAに再懸濁した。
9.各チューブに1滴のBD Compネガティブビーズを加えた。
10.暗所下4℃で貯蔵した。1週間使用可能であった。
Aquaコントロール:
1.Aquaと表示を付したチューブに1滴のArcポジティブコントロールを加えた。
2.チューブに3μLの解凍したaqua溶液を加えた。
3.上記のとおりステップ6~10を繰り返した。例外で、ステップ9にはネガティブArcビーズを使用した。
【0423】
【表20】
【0424】
実施例9:凍結保存後の注入表現型について著しく安定している腫瘍浸潤リンパ球(TIL)
要約背景:
[00402] 本実施例は、治療用TIL集団の開発を最終的な目標とした、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)をベースとする癌免疫療法の開発について考察する。TILを凍結保存すると、時間的制約が減り、最終細胞製品を安全に出荷することが可能になる(Axelsson S, Faresjo M, Hedman M, Ludvigsson J, Casas R: Cryopreserved peripheral blood mononuclear cells are suitable for the assessment of immunological markers in type 1 diabetic children. Cryobiology 2008, 57:201-8)
【0425】
[00403] ここで、個別の表現型マーカーの発現に関して新鮮TIL試料と凍結/解凍TIL試料を判定して、凍結保存TILに表現型の変化が起こるかどうかを評価した。(例えば、Sadeghi A, Ullenhag G, Wagenius G, Toetterman TH, Eriksson F: Rapid expansion of T cells: Effects of culture and cryopreservation and importance of short-term cell recovery. Acta Oncol. 2013,52:978-86を参照のこと)
【0426】
結果:
[00404] 新鮮TILを解凍TILと比較して、CD4、CD8、NK、TCRαβ発現、又はメモリーマーカーに有意な差は認められなかった。HLA-DR、CD38、及びCD69発現によって定義されるとおりのTILの活性化状態は維持された一方、調節分子LAG-3及びTIM-3は僅かな発現の低下を示した。加えて、新鮮産物及び解凍産物の両方とも、生存率は86%超であった。
【0427】
方法:
[00405] IL-2(6000IU/ml)中で黒色腫腫瘍断片を培養することによりプレREP TILを入手した。
【0428】
[00406] GREX-100フラスコ内で照射同種異系PBMCフィーダー細胞をOKT3及びIL-2と共に使用して迅速拡大培養プロトコル(REP)細胞を11~14日間惹起した。
【0429】
[00407] 5%DMSO中に培養細胞を凍結保存した。
【0430】
[00408] 系列、分化、活性化、及び調節マーカーからなる4つのパネルを使用して、IL-2に1~2時間静置した後の新鮮及び解凍TILのフローサイトメトリーによる評価を実施した。
【0431】
結論:
[00409] 一部の調節分子の僅かな変化を除き、凍結保存はTILの表現型特徴の測定に影響を与えなかった。本発明者らは、臨床セッティングで凍結保存TILを使用する可能性を調べている。
【0432】
実施例10:新鮮TIL集団とReREP TIL集団におけるメモリー細胞サブセット
[00410] 前出の実験では、新鮮TIL集団にセントラルメモリーサブセットは見られなかった(図8を参照)。しかしながら、ReREP後は、以下の表22に提供するとおり、ほぼ60%のセントラルメモリー細胞。
【0433】
[00411] 生の数値に基づけば、静止細胞は非静止細胞と比べて僅かに高いCD4集団を有した。予想どおり、総じてCD8の割合が高かった。CD8の中では、CM(セントラルメモリー-Q3)/EM(エフェクターメモリー-Q4)についておよそ60/40分割である。CD8+CD28+発現は興味深いように見える。静止細胞ではより高量である。図9及び図10A図10Bもまた参照のこと。図15もまた参照のこと。
【0434】
実施例11:黒色腫患者における自己腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の投与
[00412] 黒色腫患者における自己腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の投与は、NCIで55%、モフィット癌センター(Moffitt Cancer Center)で38%、MDアンダーソン癌センター(MD Anderson Cancer Center)で48%、及びエラ癌研究所(Ella Cancer Institute)、イスラエルのシェバ(Sheba)で40%の全奏効率を示している。ACTを使用して黒色腫患者に観察される持続的奏効は、他の固形腫瘍に対する幅広い適用を可能にし得る。本明細書に示されるとおり、TILを成長させて他の固形腫瘍に向けたTIL療法を開発することの実現可能性が実証される。本例は、「非黒色腫腫瘍からの腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の拡大培養及び特徴付けの成功」を示すデータを提供する。図12図14を参照のこと。
【0435】
[00413] 膀胱癌、子宮頸癌、及び肺癌からのTILの表現型の特徴付けは60~70%超のCD8+ T細胞であった一方、頭部からのTILは、CD8+及びCD4+ T細胞のばらつきのある分布を示した。TNBCから増殖したTILは80%超のCD4+ T細胞であった。腫瘍に関わらず、ほとんどの培養物はCD56+ NK細胞が20%未満であった。
【0436】
[00414] TILを以下によって調製した:
a.入手した腫瘍をHBSSで洗浄する;
b.腫瘍を角切りして断片化する(例えば、2~3mm3断片);
c.血清及びIL-2を含有する培地が入ったG-REX 10細胞培養フラスコに腫瘍断片を入れる;
d.7日目に、及び11日目から21日目までは4~5日毎に培地を交換する;及び
e.細胞数、生存率の評価、及びフェノタイピングと、それに続く、限定はされないが、本明細書に記載されるとおりの腫瘍の治療のための患者への更なる送達を含め、更なる目的のための凍結保存を行う。
【0437】
[00415] 本明細書において実証されるとおり、TILは、肺、膀胱、頭頸部、子宮頸部、及びTNBC患者腫瘍から成長させた。
【0438】
[00416] 更に、本明細書において実証されるとおり、肺、膀胱、及び子宮頸部腫瘍は、より大きい割合のCD8+ TILを示した。頭頸部及びTNBC腫瘍は大部分がCD4+ TILであった。加えて、CD4+及びCD8+ TILを更に特徴付けすると、CD27+及びCD28+でもあるエフェクターメモリー表現型細胞が実証された。
【0439】
[00417] 上記に示す例は、本発明の組成物、システム及び方法の実施形態をどのように作成及び使用すればよいかについて当業者に完全な開示及び説明を付与するために提供され、本発明者らがその発明と見なすものの範囲を限定することは意図されない。当業者には明らかな本発明を実施するための上述の態様の変形例は、以下の特許請求の範囲内にあることが意図される。本明細書において言及される全ての特許及び刊行物は、本発明が関係する技術分野の当業者の技能水準の指標である。本開示に引用される参考文献は全て、各々の参考文献が個別に全体として参照により援用されたものとみなすのと同程度に参照によって援用される。
【0440】
[00418] 全ての見出し及びセクション表示は、明確にするために、且つあくまでも参考として使用され、いかなる形であっても限定するものと考えられてはならない。例えば、当業者は、異なる見出し及びセクションからの様々な態様を本明細書に記載される本発明の趣旨及び範囲に従い適宜組み合わせることの有用性を理解するであろう。
【0441】
[00419] 本明細書に引用する全ての参考文献は、各個別の刊行物又は特許又は特許出願があらゆる目的から全体として参照により援用されると具体的且つ個別的に指示されたものとみなすのと同程度に、本明細書によって全体として及びあらゆる目的から参照により本明細書に援用される。
【0442】
[00420] 当業者には明らかであろうとおり、本願の多くの改良及び変形をその趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことができる。本明細書に記載される具体的な実施形態及び例は単に例として提供され、本願は、特許請求の範囲に認められる均等物の全範囲と共に、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2023-07-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【外国語明細書】