(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126325
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】表示制御装置、制御方法、プログラム、及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20230831BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20230831BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20230831BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/0969
G09B29/10 A
G09B29/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112170
(22)【出願日】2023-07-07
(62)【分割の表示】P 2022014122の分割
【原出願日】2013-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500403929
【氏名又は名称】パイオニアシステムテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】賀田 寛夫
(72)【発明者】
【氏名】河村 宙
(72)【発明者】
【氏名】中村 昭裕
(72)【発明者】
【氏名】小川 喬人
(72)【発明者】
【氏名】柴尾 徹練
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勇治
(57)【要約】
【課題】施設の案内情報をユーザに対し適切なタイミングで提示し、かつ消去することが可能な表示制御装置を提供する。
【解決手段】表示制御装置は、取得部と、表示制御部とを有する。取得部は、移動体の現在位置を取得する。表示制御部は、施設の案内画像を表示部に表示させ、第1表示制御と、第2表示制御とを行う。第1表示制御では、表示制御部は、移動体が第1道路及び第2道路に分岐する分岐点から所定の範囲内に進入したときに、第1道路に隣接する施設の案内画像を表示部に表示させる。第2表示制御では、表示制御部は、移動体が分岐点を通過したのちに第2道路を移動していると認識した場合には、所定時間は案内画像を表示させ、当該所定時間の経過後に案内画像の表示を消去させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の現在位置を取得する取得部と、
施設の案内画像を表示部に表示させる表示制御部と、
を備え、
前記表示制御部は、
前記移動体が第1道路及び第2道路に分岐する分岐点から所定の範囲内に進入したときに、前記第1道路に隣接する施設の案内画像を表示部に表示させる第1表示制御と、
前記移動体が前記分岐点を通過したのちに前記第2道路を移動していると認識した場合には、所定時間は前記案内画像を表示させ、当該所定時間の経過後に前記案内画像の表示を消去させる第2表示制御と、
を行うことを特徴とする表示制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設の案内画像を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車に搭載されるナビゲーション装置などにおいて、パーキングエリアやサービスエリアなどの高速道路に付随する施設(「高速道路施設」とも呼ぶ。)の情報を表示する技術が知られている。例えば、特許文献1には、高速道路を模擬した直線図形上に、現在位置に近い施設から順に、各施設の案内情報を示す案内ボックスを所定の数だけ表示する技術が開示されている。さらに、特許文献1には、インターチェンジやジャンクションの案内情報を表示する際には、これらの地点に近付いた場合に案内情報を表示する点についても記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高速道路施設の案内情報については、ある程度まで当該施設に接近した際に表示させ、その後適当なタイミングで消去することが好ましい。しかしながら、特許文献1には、案内情報の消去タイミングについては何ら記載及び示唆がない。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、施設の案内情報をユーザに対し適切なタイミングで提示し、かつ消去することが可能な表示制御装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項に記載の発明は、表示制御装置であって、移動体の現在位置を取得する取得部と、施設の案内画像を表示部に表示させる表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記移動体が第1道路及び第2道路に分岐する分岐点から所定の範囲内に進入したときに、前記第1道路に隣接する施設の案内画像を表示部に表示させる第1表示制御と、前記移動体が前記分岐点を通過したのちに前記第2道路を移動していると認識した場合には、所定時間は前記案内画像を表示させ、当該所定時間の経過後に前記案内画像の表示を消去させる第2表示制御と、を行うことを特徴とする。
【0007】
また、請求項に記載の発明は、表示制御装置が実行する制御方法であって、移動体の現在位置を取得する取得工程と、施設の案内情報を表示部に表示させる表示制御工程と、を有し、前記表示制御工程では、前記表示制御装置は、前記移動体が第1道路及び第2道路に分岐する分岐点から所定の範囲内に進入したときに、前記第1道路に隣接する施設の案内画像を表示部に表示させる第1表示制御と、前記移動体が前記分岐点を通過したのちに前記第2道路を移動していると認識した場合には、所定時間は前記案内画像を表示させ、当該所定時間の経過後に前記案内画像の表示を消去させる第2表示制御と、を行うことを特徴とする。
【0008】
また、請求項に記載の発明は、コンピュータが実行するプログラムであって、移動体の現在位置を取得する取得部と、施設の案内情報を表示部に表示させる表示制御部として前記コンピュータを機能させ、前記表示制御部は、前記移動体が第1道路及び第2道路に分岐する分岐点から所定の範囲内に進入したときに、前記第1道路に隣接する施設の案内画像を表示部に表示させる第1表示制御と、前記移動体が前記分岐点を通過したのちに前記第2道路を移動していると認識した場合には、所定時間は前記案内画像を表示させ、当該所定時間の経過後に前記案内画像の表示を消去させる第2表示制御と、を行うことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】サービスエリア「○×SA」に近付いたと判断する直前の表示例を示す。
【
図4】サービスエリア「○×SA」に近付いたと判断した場合の表示例を示す。
【
図5】リンクとノードにより車両の現在位置を簡略的に表した概念図である。
【
図6】施設マップ画像の表示を消去する場合の現在位置の遷移を示す。
【
図7】
図5及び
図6の例において分岐角度を明示した図である。
【
図8】
図7の例において現在位置を通る垂線を明示した図である。
【
図11】分岐案内画像を表示中にSA/PAに近付いた場合の表示例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好適な実施形態によれば、表示制御装置は、移動体の現在位置を取得する取得部と、施設の案内画像を表示部に表示させる表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記移動体が第1道路及び第2道路に分岐する分岐点から所定の範囲内に進入したときに、前記第1道路に隣接する施設の案内画像を表示部に表示させる第1表示制御と、前記移動体が前記分岐点を通過したのちに前記第2道路を移動していると認識した場合には、所定時間は前記案内画像を表示させ、当該所定時間の経過後に前記案内画像の表示を消去させる第2表示制御と、を行う。
【0011】
上記表示制御装置は、取得部と、表示制御部とを有する。取得部は、移動体の現在位置を取得する。表示制御部は、施設の案内画像を表示部に表示させ、第1表示制御と、第2表示制御とを行う。第1表示制御では、表示制御部は、移動体が第1道路及び第2道路に分岐する分岐点から所定の範囲内に進入したときに、第1道路に隣接する施設の案内画像を表示部に表示させる。第2表示制御では、表示制御部は、移動体が分岐点を通過したのちに第2道路を移動していると認識した場合には、所定時間は案内画像を表示させ、当該所定時間の経過後に案内画像の表示を消去させる。
【0012】
この態様では、表示制御装置は、施設と隣接する第1道路とは異なる第2道路を走行中と判断した場合であっても、誤認識の可能性を勘案し、所定時間は案内画像を表示させ、当該所定時間の経過後に案内画像の表示を消去させる。この場合、「所定時間」は、例えば誤認識が生じる可能性がある時間に設定される。このようにすることで、表示制御装置は、走行道路の誤認識に起因して案内画像の表示を誤って消去するのを好適に抑制することができる。
【0013】
上記表示制御装置の一態様では、前記表示制御部は、前記所定時間が経過するまでの間に、前記移動体が前記第1道路を移動していると認識した場合には、前記所定時間経過後も前記案内画像の表示を維持させる。この態様により、表示制御装置は、施設と隣接する第1道路の移動時には案内画像をユーザに適切に視認させることができる。
【0014】
上記表示制御装置の他の一態様では、前記所定時間は、前記第1道路と前記第2道路とのなす角によって設定される。一般に、第1道路と第2道路とのなす角が大きいほど、第1道路と第2道路とが離れる方向に分岐し、現在位置に基づき走行道路がいずれであるかを早期に断定することが可能である。従って、表示制御装置は、この態様により、所定時間が必要最小限となるように好適に定めることが可能である。
【0015】
上記表示制御装置の他の一態様では、前記表示制御部は、前記所定時間を含む前記分岐点の通過前後での前記移動体の速度変化に基づき、前記所定時間の経過後に前記案内画像の表示を消去させるか否かを決定する。一般に、施設に隣接する第1道路に向かう場合と、第2道路に向かう場合とで移動体の速度変化が異なる。従って、表示制御装置は、この態様により、案内画像の表示を消去させるか否かを好適に決定することができる。
【0016】
上記表示制御装置の他の一態様では、前記表示制御部は、前記所定時間を含む前記分岐点の通過前後での前記移動体の速度低下が所定の閾値未満の場合に前記案内画像の表示を消去させ、かつ、前記閾値を、前記第1道路と前記第2道路とのなす角に基づき設定する。一般に、第1道路と第2道路とのなす角が大きいほど、施設に隣接する第1道路に進入する場合に移動体の速度を低下させる必要が生じる。従って、表示制御装置は、この態様により、案内画像の表示を消去させるか否かを好適に決定することができる。
【0017】
上記表示制御装置の他の一態様では、前記所定時間は、前記移動体が所定の距離を走行するまでの時間である。この態様によっても、表示制御装置は、好適に所定時間を定めることができる。
【0018】
上記表示制御装置の他の一態様では、前記施設は、サービスエリア又はパーキングエリアであり、前記表示制御部は、前記分岐点から所定の範囲内に進入したときに、前記サービスエリア又はパーキングエリア内のマップを、前記案内画像として自動的に前記表示部に表示させる。この態様により、表示制御装置は、サービスエリア又はパーキングエリア内のマップを適切なタイミングで表示し、利便性を好適に向上させることができる。
【0019】
本発明の他の実施形態によれば、表示制御装置が実行する制御方法であって、移動体の現在位置を取得する取得工程と、施設の案内情報を表示部に表示させる表示制御工程と、を有し、前記表示制御工程では、前記表示制御装置は、前記移動体が第1道路及び第2道路に分岐する分岐点から所定の範囲内に進入したときに、前記第1道路に隣接する施設の案内画像を表示部に表示させる第1表示制御と、前記移動体が前記分岐点を通過したのちに前記第2道路を移動していると認識した場合には、所定時間は前記案内画像を表示させ、当該所定時間の経過後に前記案内画像の表示を消去させる第2表示制御と、を行う。表示制御装置は、この制御方法を実行することで、走行道路の誤認識に起因して案内画像の表示を誤って消去するのを好適に抑制することができる。
【0020】
本発明のさらに別の実施形態によれば、コンピュータが実行するプログラムであって、移動体の現在位置を取得する取得部と、施設の案内情報を表示部に表示させる表示制御部として前記コンピュータを機能させ、前記表示制御部は、前記移動体が第1道路及び第2道路に分岐する分岐点から所定の範囲内に進入したときに、前記第1道路に隣接する施設の案内画像を表示部に表示させる第1表示制御と、前記移動体が前記分岐点を通過したのちに前記第2道路を移動していると認識した場合には、所定時間は前記案内画像を表示させ、当該所定時間の経過後に前記案内画像の表示を消去させる第2表示制御と、を行う。コンピュータは、このプログラムを実行することで、走行道路の誤認識に起因して案内画像の表示を誤って消去するのを好適に抑制することができる。好適には、上記プログラムは、記憶媒体に記憶される。
【実施例0021】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0022】
[全体構成]
図1は、本発明に係る表示制御装置が適用された端末装置100の正面図を示す。端末装置100は、利用者が持ち運び可能な携帯型端末であって、タッチパネル120が積層されたディスプレイ110を有する。端末装置100は、歩行者や車両等を対象にして、指定された目的地への経路案内を行う。
【0023】
図2は、端末装置100の概略構成を示す。
図2に示すように、端末装置100は、出力部11と、入力部12と、記憶部13と、通信部14と、カメラ15と、GPS受信機16と、制御部17と、を備える。端末装置100の各要素は、バス10を介して相互に接続され、各要素間で必要な情報が伝送可能なように構成されている。
【0024】
出力部11は、ディスプレイ110や音声を出力するスピーカ111などを備え、制御部17の制御に基づき、端末装置100の利用者の操作に応答するための情報を出力する。入力部12は、タッチパネル120を備え、端末装置100に対して端末利用者が行う必要な命令や情報の入力、即ち操作を受け付けるインタフェースである。例えば、入力部12は、目的地を指定する入力や、経路探索の条件を指定する入力などを受け付ける。なお、入力部12は、タッチパネル120に加え、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、音声入力装置等を有してもよい。
【0025】
記憶部13は、端末装置100の動作を制御するためのプログラムを保存したり、端末装置100の動作に必要な情報を保持したりする。例えば、記憶部13は、地図データなどのナビゲーション処理に用いられる各種データを記憶する。地図データは、道路に相当するリンクと、道路の接続部分(交差点)に相当するノードとにより表された道路データや、サービスエリア及びパーキングエリア(これらを総称して「SA/PA」とも呼ぶ。)などの各施設に関する施設情報などを含む。また、記憶部13は、SA/PAごとに、高速道路の本線から当該SA/PAへと接続する道路(「側線」とも呼ぶ。)を示すリンクIDと、当該側線と接続する本線を示すリンクIDとを関連付けて記憶している。また、記憶部13は、道路データのパラメータとして、上述の側線や本線等を区別することが可能な道路種別の情報を記憶する。なお、側線は、本発明における「第1道路」の一例であり、本線は、本発明における「第2道路」の一例である。
【0026】
通信部14は、所定のプロトコルに従い、他の装置とデータの送受信を行う。例えば、通信部14は、制御部17の制御に基づき、インターネット等のネットワークを介してサーバ装置からディスプレイ110に表示させる画面情報等を受信する。
【0027】
カメラ15は、制御部17の制御に基づき撮影した画像を生成し、制御部17に送信する。GPS受信機16は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波を受信することで、端末装置100の現在位置の情報を生成し、制御部17に送信する。
【0028】
制御部17は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などを備え、端末装置100内の各構成要素に対して種々の制御を行う。
【0029】
例えば、制御部17は、GPS受信機18が出力する現在位置を基点として地図を表示すると共に、地図中に存在する施設の情報を表示する。また、制御部17は、入力部12により目的地を指定する入力を受け付け、指定された目的地までのルート(「案内ルート」とも呼ぶ。)を設定し、案内ルートに基づく案内を行う。制御部17は、本発明における「取得部」、「表示制御部」、及び「コンピュータ」の一例である。
【0030】
[施設表示の基本説明]
制御部17は、高速道路の走行時に、SA/PAの施設マップを示す画像(「マップ画像Im」とも呼ぶ。)の表示制御を行う。以下では、マップ画像Imの表示タイミングと表示を消去するタイミングに関する基本説明を行う。なお、マップ画像Imは、本発明における「案内画像」の一例である。
【0031】
(表示タイミング)
制御部17は、高速道路の走行時にSA/PAに近付いたと判断した場合に、近づいたSA/PAの施設マップを自動的にディスプレイ110上に表示させる。これにより、ユーザ操作を必要とすることなく、立ち寄る可能性があるSA/PAの詳細情報を好適にユーザに視認させる。
【0032】
図3は、下り車線用のサービスエリア「○×SA」に近付いたと判断する前のディスプレイ110の表示例を示す。また、
図4は、下り車線用のサービスエリア「○×SA」に近付いたと判断した場合のディスプレイ110の表示例を示す。
図3及び
図4の例では、現在位置マーク21が示す車両は、下り車線用のサービスエリア「○×SA」と接続する下り車線の道路20上を走行しているものとする。
【0033】
図3では、制御部17は、GPS受信機16が測定した現在位置に基づき、地図データを参照して、現在位置の周辺地図を表示すると共に、表示された地図中に存在する下り車線用のサービスエリア「○×SA」の位置を指し示す吹き出し22をディスプレイ110上に表示させている。制御部17は、吹き出し22内において、下り車用の「○×SA」に存在する施設を表す施設アイコン25を並べて表示している。
【0034】
そして、
図4では、制御部17は、車両が下り車線用のサービスエリア「○×SA」に近付いたことを検知し、下り車線用のサービスエリア「○×SA」の概要を示すマップ画像Imをディスプレイ110の下部に表示している。マップ画像Imは、下り車線用のサービスエリア「○×SA」内の各施設の配置を施設マークと共に簡略的に示している。これにより、ユーザは、下り車線用のサービスエリア「○×SA」内の各施設の位置を好適に把握することができる。
【0035】
ここで、下り車線用のサービスエリア「○×SA」に近付いたことを検知する方法について例示する。例えば、制御部17は、地図データを参照し、SA/PAに関連付けられた本線のリンクIDと、車両が現在走行中の道路のリンクIDとが一致した場合、SA/PAに近付いたと判断する。これについて、
図5を参照して説明する。
【0036】
図5は、リンク「L1」~「L6」とノード「N1」~「N3」により
図4における車両の現在位置を簡略的に表した概念図である。この場合、記憶部13は、本線から下り車線用のサービスエリア「○×SA」へと接続する側線を示すリンクL4と、当該側線に接続する本線を示すリンクL2とを下り車線用のサービスエリア「○×SA」と関連付けて予め記憶している。そして、制御部17は、車両がリンクL2に対応する道路上を走行中の場合に、SA/PAに関連付けられた本線のリンクIDと、車両が現在走行中の道路のリンクIDとが一致すると判断し、下り車線用のサービスエリア「○×SA」に近付いたと判断する。
【0037】
(消去のタイミング)
制御部17は、SA/PAへの側線と本線との分岐地点(「分岐地点Pb」とも呼ぶ。)を通過して本線を直進したと判断した場合、又は、側線と本線との合流地点(「合流地点Pj」とも呼ぶ。)を通過して車両が本線に進入したと判断した場合、原則的にマップ画像Imの表示を消去する。これについて、
図6(A)、(B)を参照して説明する。
【0038】
図6(A)、(B)は、マップ画像Imの表示を消去する場合の現在位置の遷移を示す。
【0039】
図6(A)の例では、車両は、下り車線用のサービスエリア「○×SA」への入り口となる側線に差し掛かる直前の本線の道路を示すリンクL2から、当該側線と分岐後の本線の道路を示すリンクL3へ移動している。この場合、制御部17は、リンクL3が示す本線の道路を走行中であると認識し、マップ画像Imの表示を消去する。このように、下り車線用のサービスエリア「○×SA」への入り口となる側線を通らずノードN2により示される分岐地点Pbを通過して車両が本線を直進した場合、制御部17は、マップ画像Imの表示を消去することで、不要にマップ画像Imを表示するのを好適に防ぐ。なお、後述するように、制御部17は、走行車線の誤認識の可能性を勘案し、リンクL3が示す本線道路を走行中であると最初に判断した時から所定期間の間は、マップ画像Imの表示を消去しない。これについては、[猶予期間の設定]のセクションで詳しく説明する。
【0040】
図6(B)の例では、下り車線用のサービスエリア「○×SA」からの出口となる側線を示すリンクL5から、当該側線と合流した本線の道路を示すリンクL6へ移動している。この場合、制御部17は、リンクL6が示す本線に車両が進入したとき、即ち、ノードN3が示す合流地点Pjを車両が通過後に、マップ画像Imの表示を消去する。このように、制御部17は、SA/PA内で端末装置100をユーザが持ち歩く可能性等も勘案し、車両が本線に復帰するまではマップ画像Imを表示する。これにより、SA/PAに立ち寄る際のユーザの利便性を向上させることができる。
【0041】
[猶予期間の設定]
制御部17は、本線と側線との分岐地点である分岐地点Pbを通過後の所定期間(「猶予期間Tex」とも呼ぶ。)は本線を走行中と判断した場合であってもマップ画像Imを継続して表示させ、猶予期間Tex経過後にマップ画像Imを適宜消去する。これにより、走行車線の誤認識に起因して、側線の走行中にマップ画像Imの表示を消去してしまうのを確実に抑制する。
【0042】
以下では、具体的な本線と側線との具体的な猶予期間Texの設定方法を示す第1~第4設定方法について詳しく説明する。なお、猶予期間Texは、本発明における「所定時間」の一例である。
【0043】
(第1設定方法)
第1設定方法では、制御部17は、猶予期間Texを予め定められた所定時間幅に定め、記憶部13等に予め記憶しておく。上述の所定時間幅は、例えば走行車線の誤認識が発生する可能性がある時間幅に、実験等に基づき予め定められる。
【0044】
この場合、制御部17は、分岐地点Pbを通過後、GPS受信機16の出力等に基づき車両が側線又は本線のいずれを走行中であるか判定する。そして、制御部17は、分岐地点Pbの通過後、所定時間幅に設定された猶予期間Texが経過するまでに、走行車線が本線であると継続して認識した場合にはマップ画像Imを消去する。それ以外の場合、即ち、分岐地点Pbの通過後、所定時間幅に設定された猶予期間Texが経過するまでに、走行車線が側線であると認識した場合、制御部17は、車両が合流地点Pjを通過して本線に戻るまでマップ画像Imを継続して表示する。
【0045】
なお、制御部17は、分岐地点Pbの通過後、所定時間幅に設定された猶予期間Texが経過した時点でのGPS受信機16の出力等に基づき走行車線が本線であると判断した場合、猶予期間Tex中に走行車線が本線であると継続して認識したか否かに関わらず、マップ画像Imを消去してもよい。
【0046】
(第2設定方法)
第2設定方法では、第1設定方法に代えて、制御部17は、猶予期間Texを、車両が所定距離走行するまでに要する時間幅に定める。上述の所定距離は、例えば走行車線の誤認識が発生する可能性がある分岐地点Pbからの距離に、実験等に基づき予め定められる。
【0047】
この場合、制御部17は、分岐地点Pbから所定距離車両が走行するまでマップ画像Imの表示を継続し、分岐地点Pbから所定距離走行するまで継続して走行車線が本線であると認識した場合には、マップ画像Imを消去する。一方、分岐地点Pbの通過後所定距離走行するまでに走行車線が側線であると認識した場合、制御部17は、車両が合流地点Pjを通過して本線に戻るまでマップ画像Imを継続して表示する。
【0048】
なお、制御部17は、分岐地点Pbの通過後、所定距離走行した時点で走行車線が本線であると判断した場合、所定距離の走行中に走行車線が本線であると継続して認識したか否かに関わらず、マップ画像Imを消去してもよい。
【0049】
(第3設定方法)
第3設定方法では、制御部17は、第1設定方法及び第2設定方法で用いた所定時間幅又は所定距離を、分岐地点Pbでの本線と側線とがなす角度(「分岐角度Db」とも呼ぶ。)に基づき定める。これについて、
図7を参照して説明する。
【0050】
図7は、分岐地点Pbを示すノードN2での分岐角度Dbを明示した図である。この場合、分岐角度Dbが大きいほど、分岐地点Pbを示すノードN2からの距離に応じて、リンクL3が示す本線とリンクL4が示す側線とが離れる方向に延びる。従って、GPS受信機16による現在位置の測定精度を一定とした場合、分岐角度Dbが大きいほど、制御部17は、走行車線が本線であるか側線であるかを分岐地点Pb通過後の早い段階で断定することが可能である。
【0051】
以上を勘案し、制御部17は、分岐角度Dbが大きいほど、第1設定方法及び第2設定方法における所定時間幅又は所定距離を短くし、猶予期間Texを短くする。言い換えると、制御部17は、分岐角度Dbが小さいほど、上述の所定時間幅又は所定距離を長くし、猶予期間Texを長くする。この場合、例えば、制御部17は、各分岐角度Dbに対して設定すべき所定時間幅又は所定距離のマップを予め記憶部13に記憶しておき、分岐地点Pbを通過する際に道路データ等を参照して分岐角度Dbを算出後、上述のマップを参照して所定時間又は所定距離を定める。これにより、制御部17は、猶予期間Texを必要最小限の長さにしつつ、マップ画像Imの表示及び非表示を的確に切り替えることができる。
【0052】
(第4設定方法)
第4設定方法では、第1~第3設定方法に代えて、制御部17は、猶予期間Texを、分岐地点Pbで分岐する側線から本線へ引いた現在位置を通る垂線(「垂線VL」とも呼ぶ。)の長さが所定の長さとなるまでの期間に設定する。これについて、
図8を参照して説明する。
【0053】
図8は、
図7の例において現在位置を通る垂線VLを明示した図である。
図8に示すように、分岐地点PbであるノードN2からの走行距離が長くなるに従い、垂線VLは長くなる。また、一般に、垂線VLが長い現在位置にいるほど、車両が存在しない方の本線又は側線までの距離が長くなり、GPS受信機16の出力に基づく走行車線の認識精度が高くなる。
【0054】
以上を勘案し、制御部17は、垂線VLが所定の長さになるまでマップ画像Imを表示し、垂線VLが所定の長さとなる時のGPS受信機16の出力に基づき走行車線が本線であると判断した場合にはマップ画像Imを消去する。一方、制御部17は、垂線VLが所定の長さとなる時のGPS受信機16の出力に基づき走行車線が側線であると判断した場合には、車両が合流地点Pjを通過して本線に戻るまでマップ画像Imを継続して表示する。これにより、制御部17は、第3設定方法と同様、猶予期間Texを必要最小限の長さにしつつ、マップ画像Imの表示及び非表示を的確に切り替えることができる。
【0055】
[猶予期間設定による効果]
ここで、猶予期間Texを設けることの効果について補足説明する。
【0056】
一般に、通常のナビゲーション装置は、マップマッチング技術によって、GPS等から取得した自車位置情報に基づいて、自車がどの道路(即ちリンク)上を走行しているのかを認識している。このとき、案内ルートが設定されている場合には、ルート上における道路にマッチングするように補正がなされる場合がある。通常、SA/PA等の高速道路施設はルートの経由地には設定されていないため、施設に向かうための側線と本線が近い場合などでは、実際には側線を走行しているのにも関わらずルート上の本線を走行していると誤認してしまう虞がある。また、GPS以外の自立測位装置を有していない携帯端末をナビゲーション装置として用いた場合、角速度センサなどの各種の自立測位装置を有する据置型のナビゲーション装置と比較して、マップマッチングの精度が低く、側線を走行しているのにも関わらずルート上の本線を走行していると誤認してしまう可能性が高くなる。このように、本線を走行しているのにも関わらずルート上の本線を走行していると誤認する可能性がある状況で、側線を通らずに本線を直進したと判断した場合に直ちにマップ画像Imの表示を消去した場合、誤認識に起因してSA/PAに向かっている途中でマップ画像Imの表示を不当に消去してしまう可能性がある。
【0057】
以上を勘案し、本実施形態では、制御部17は、猶予期間Texを設け、側線を通らずに本線を直進したと判断した場合であっても、直ちにマップ画像Imの表示を消去しない。これにより、走行車線の誤認識に起因して、側線の走行中にマップ画像Imの表示を不当に消去してしまうのを確実に抑制することができる。
【0058】
[変形例]
以下、上述の実施例に好適な各変形例について説明する。なお、これらの各変形例は、任意に組み合わせて上述の各実施例に適用することが可能である。
【0059】
(変形例1)
端末装置100に代えて、ネットワークを介して接続したサーバ装置が制御部17の処理の一部を実行してもよい。
【0060】
図9は、変形例に係るシステムの構成例を示す。
図9に示すように、端末装置100は、ネットワーク150を介してサーバ装置200と接続している。そして、端末装置100は、サーバ装置200から経路案内に必要な情報を受信することで経路案内等を行う。
【0061】
図10は、サーバ装置200の概略構成を示す。
図10に示すように、サーバ装置200は、通信部202と、記憶部203と、制御部204とを有する。通信部202、記憶部203、及び制御部204は、バスライン201を介して相互に接続されている。
【0062】
通信部202は、制御部204の制御に基づき、ネットワーク150を介し、各種データの送信及び受信を行う。記憶部203は、例えば、HDDなどにより構成され、地図データなどの経路探索等に必要なデータを記憶する。制御部204は、CPUやROM及びRAMなどのメモリを有し、メモリに記憶されたプログラムを実行することで、サーバ装置200の全般的な制御を行う。
【0063】
この場合、制御部204は、例えば、端末装置100から送信される現在位置情報等に基づき、[施設表示の基本説明]及び[猶予期間の設定]の各セクションで述べたマップ画像Imの表示及び非表示の決定処理を行い、端末装置100にマップ画像Imの表示及び非表示を指示する情報を送信する。この場合、制御部204は、ディスプレイ110に表示すべき画面の表示情報を生成して端末装置100に送信することで、
図4等に示される各表示画面をディスプレイ110に表示させてもよい。
【0064】
このように、サーバ装置200が制御部17の処理の一部を実行した場合であっても、端末装置100は、マップ画像Imを適切なタイミングで表示することができる。なお、サーバ装置200の処理を、複数のサーバ装置からなるサーバシステムが実行してもよい。そして、本変形例では、サーバ装置200は、本発明における「表示制御装置」として機能し、制御部204は、本発明における「コンピュータ」として機能する。
【0065】
(変形例2)
制御部17は、GPS受信機16が測定した現在位置に基づき走行車線が本線か側線かを識別するのに代えて、猶予期間Texにおける車速の変化に基づき、走行車線が本線か側線かを識別してもよい。
【0066】
具体的には、制御部17は、猶予期間Texにおける車速の減速度合いが所定の閾値以上である場合には、側線への進行に起因した速度低下が発生したと判断し、車両が側線を走行中であるとみなし、マップ画像Imの表示を継続する。一方、制御部17は、猶予期間Texにおける車速の減速度合いが所定の閾値未満である場合、即ち速度上昇があった場合や速度変化が殆どない場合等には、車両が引き続き本線を走行中であるとみなし、マップ画像Imの表示を消去する。なお、上述の減速度合いは、猶予期間Texの始期と終期とでの速度差であってもよく、猶予期間Tex内における車速の平均の低下率であってもよい。この場合、猶予期間Texは、例えば、車速変化に基づき走行車線が側線か本線かを判断するのに好適な時間幅に実験等に基づき予め定められる。
【0067】
なお、好適には、制御部17は、上述の閾値を、分岐角度Dbに基づき定めるとよい。具体的には、制御部17は、分岐角度Dbが大きいほど、側線の進入による速度低下が大きいと判断し、閾値を大きくする。言い換えると、制御部17は、分岐角度Dbが小さいほど、側線の進入による速度低下が小さいと判断し、閾値を小さくする。これにより、制御部17は、上述の閾値を的確に定めることができる。
【0068】
なお、制御部17は、分岐地点Pb通過後の猶予期間Texに加えて、分岐地点Pb通過前の所定時間についても、車速の減速度合いを測定する期間の対象に加えてもよい。この場合、制御部17は、猶予期間Texを含む分岐地点Pb通過前後の所定期間での車速の減速度合いが所定の閾値未満である場合に、マップ画像Imを消去する。これにより、制御部17は、側線に進入する直前での減速を好適に考慮することができる。
【0069】
(変形例3)
制御部17は、GPS受信機16が測定した現在位置に基づき走行車線が本線か側線かを識別するのに代えて、車両の前方に向けられたカメラ15が撮影した画像に基づき、走行車線が本線か側線かを識別してもよい。
【0070】
この場合、制御部17は、カメラ15から得られた画像を対象に画像認識処理を行い、分岐地点Pbを通過する前後において、側線への車線変更があるか否かを判断する。そして、分岐地点Pbの通過前後に側線への車線変更を認識した場合、制御部17は、マップ画像Imの表示を継続し、分岐地点Pbの通過前後に側線への車線変更を認識しない場合、制御部17は、マップ画像Imの表示を消去する。
【0071】
ここで、カメラ15が撮影した画像に基づく側線への車線変更の認識方法について補足説明する。例えば、制御部17は、地図データに基づき認識した本線の車線数と、カメラ15の画像に基づき認識した走行中の道路の車線数とを比較し、後者の車線数が1本多いと判断したときに、最左の車線が側線であると認識する。そして、制御部17は、カメラ15から供給される時系列の画像に基づき、最左の車線への車線変更を認識した場合、車両が側線に移動したと判断する。
【0072】
(変形例4)
図5で説明したマップ画像Imの消去タイミングに加えて、制御部17は、ジャンクション(JCT)やインターチェンジ(IC)などの分岐点での進行方向を示す画像(「分岐案内画像Ib」とも呼ぶ。)を表示すべき場合では、分岐案内画像Ibを優先表示させるためにマップ画像Imの表示を消去してもよい。具体的には、制御部17は、マップ画像Imを表示中に分岐案内画像Ibを表示するタイミングになった場合には、マップ画像Imを消去して分岐案内画像Ibを表示させる。また、制御部17は、分岐案内画像Ibを表示中に、マップ画像Imを表示すべきタイミングになった場合であっても、分岐案内画像Ibを継続表示し、分岐案内画像Ibの表示を消去すべきタイミングまで、マップ画像Imを表示しない。
【0073】
図11は、分岐案内画像Ibを表示中にSA/PAに近付いた場合のディスプレイ110の表示例を示す。
図11の例では、車両は、吹き出し28により示される下り車線用のサービスエリア「××SA」及び吹き出し29により示される分岐地点「○○JCT」の両方に近付いており、下り車線用のサービスエリア「××SA」に対応するマップ画像Im及び分岐地点「○○JCT」に対応する分岐案内画像Ibの両方とも表示すべきタイミングとなっている。この場合、制御部17は、
図11に示すように、分岐案内画像Ibを優先させて表示し、マップ画像Imを表示しない。これにより、制御部17は、分岐地点での進行方向を確実に運転者に認識させることができる。
【0074】
(変形例5)
端末装置100は、
図1に示すようなスマートフォンなどの携帯型端末に限らず、車両に設置される据置型のナビゲーション装置であってもよい。この場合、ナビゲーション装置の制御部は、ナビゲーション装置のディスプレイに対し、制御部17と同様の表示制御を行う。