IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 石川 泰男の特許一覧

特開2023-126330プラズマ反応方法及びプラズマ反応装置
<>
  • 特開-プラズマ反応方法及びプラズマ反応装置 図1
  • 特開-プラズマ反応方法及びプラズマ反応装置 図2
  • 特開-プラズマ反応方法及びプラズマ反応装置 図3
  • 特開-プラズマ反応方法及びプラズマ反応装置 図4
  • 特開-プラズマ反応方法及びプラズマ反応装置 図5
  • 特開-プラズマ反応方法及びプラズマ反応装置 図6
  • 特開-プラズマ反応方法及びプラズマ反応装置 図7
  • 特開-プラズマ反応方法及びプラズマ反応装置 図8
  • 特開-プラズマ反応方法及びプラズマ反応装置 図9
  • 特開-プラズマ反応方法及びプラズマ反応装置 図10
  • 特開-プラズマ反応方法及びプラズマ反応装置 図11
  • 特開-プラズマ反応方法及びプラズマ反応装置 図12
  • 特開-プラズマ反応方法及びプラズマ反応装置 図13
  • 特開-プラズマ反応方法及びプラズマ反応装置 図14
  • 特開-プラズマ反応方法及びプラズマ反応装置 図15
  • 特開-プラズマ反応方法及びプラズマ反応装置 図16
  • 特開-プラズマ反応方法及びプラズマ反応装置 図17
  • 特開-プラズマ反応方法及びプラズマ反応装置 図18
  • 特開-プラズマ反応方法及びプラズマ反応装置 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126330
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】プラズマ反応方法及びプラズマ反応装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/24 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
H05H1/24
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112721
(22)【出願日】2023-07-10
(62)【分割の表示】P 2020051098の分割
【原出願日】2020-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2019058416
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】502030271
【氏名又は名称】石川 泰男
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 泰男
(57)【要約】
【課題】 炭酸ガスの気体から水素を採集して地球温暖化防止に寄与する。
【解決手段】ステンレスの反応炉70の底部を500℃以上に加熱し、この炉の底部内にLi、Na、K等のアルカリ金属を入れて溶融させ熱振動により微粒子をその上部のプラズマ空間74に充填せしめてレーザ媒質とし、容器壁から第1電磁波を放射せしめ、この第1電磁波を反応空間のレーザ媒質に放射して増幅された第2電磁波を放射せしめ、この第2電磁波と炉内に供給された炭酸ガスの気体の原子の原子核から陽子を分離して水素を採集し、これにより、地球温暖化防止に寄与する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも耐熱性、導電性を有する材質からなる反応炉の炉壁を加熱して振動数の異なる複数の第1電磁波を放出し、前記反応炉内に第1電磁波のエネルギーを増幅させるための増幅材を供給し、この増幅材自身と第1電磁波との相互作用により増幅材を気化して微粒子にするとともにこの微粒子を電離させて反応炉内にプラズマ空間を形成し、前記第1電磁波をプラズマ空間の微粒子に照射してエネルギーが増幅された第2電磁波を放射し、この第2電磁波と反応炉内に供給されるCO 2 との相互作用により核子を気体元素の原子核から分離するようにしたプラズマ反応方法。
【請求項2】
前記反応炉はステンレス又は鉄からなり、前記増幅材は、アルカリ金属のリチウム、ナトリウム、カリウム及びこれらのフッ化物の少なくとも一種からなり処理すべき気体の供給は、窒素ガス、炭酸ガス、アルゴンガス、水蒸気(重水素水、トリチウム水の蒸気)である請求項1記載のプラズマ反応方法。
【請求項3】
前記増幅材は、ナトリウム又はカリウムにステンレス粉末又は亜鉛を加えたものである請求項2記載のプラズマ反応方法。
【請求項4】
前記反応炉の増幅材を収納する部分の加熱温度は400~600℃であり、前記プラズマ空間は空冷状態で200~300℃の温度である請求項1乃至3のいずれかに記載のプラズマ反応方法。
【請求項5】
本発明のプラズマ反応装置は、耐熱性、耐食性及び導電性の材質からなり、加熱によりその壁面から振動数の異なる複数種類の第1電磁波を放射する反応炉と、この反応炉内に収納され、前記第1電磁波と相互作用して第1電磁波のエネルギーを増大させて第2電磁波を放射する少なくともアルカリ金属の1種からなる増幅材と、前記反応炉を加熱して前記増幅材を気化せしめるとともに反応炉の壁面から前記第1電磁波を放射せしめて反応炉内にプラズマ空間を形成する加熱装置とからなり、CO 2 を反応炉内に供給してその原子の原子核から核子を分離するようにしたプラズマ反応装置。
【請求項6】
前記反応炉はステンレス又は鉄材からなり、前記増幅材は、アルカリ金属の少なくとも一種にステンレス粉又はFe粉又は亜鉛粉を加えたものからなる請求項5記載のプラズマ反応装置。
【請求項7】
前記加熱装置は、反応炉内に配置された内部加熱筒を備え、この内部加熱筒は、反応炉内で発生した水素が送られてバーナにより加熱される請求項5記載のプラズマ反応装置。
【請求項8】
前記反応は、加熱部分と空冷部分とを有し、前記空冷部分に対応してプラズマ空間が形成される請求項5記載のプラズマ反応装置。
【請求項9】
前記反応炉内の内壁には、黒鉛膜が付着されている請求項5のプラズマ反応装置。
【請求項10】
前記加熱装置は、反応炉内に配置された内部加熱筒を備え、この内部加熱筒と反応炉の本体内壁間に増幅材を内蔵した交換可能なカセット筒を複数配置し、これらカセット筒内に処理すべき気体の気体通路を形成した請求項1記載のプラズマ反応装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ反応を利用して、炭酸ガスの気体の原子核から核子を分離するプラズマ反応方法及びプラズマ反応装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本件発明者は水から水素を取り出す方法として、ステンレスの反応炉としての密閉容器内に反応材を入れ、反応炉を500~600℃に加熱していた。この反応材としてカセイソーダ又は水酸化カリウムを使用し、これを加熱して微粒子として反応炉内に飛散せしめ、供給される水の分子と微粒子を衝突せしめ、水素と酸素を分離していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6034550号
【特許文献2】特許第6005331号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1、2においては、水から水素を分離でき、気体の酸素は水素とともに排出せず、酸化物として反応炉内に残留し、しかも注入した水の中の水素量より多くの水素が出てくるが、これらの現象の因が不明であった。
【0005】
また、反応材として触媒としてカセイソーダ(NaOH)又は水酸化カリウム(KOH)を使用しており、これらの反応材は酸素成分を含むため、反応炉の準備段階において、真空引き後に加熱しても反応炉内に酸化物が生じてしまい反応効率が低下し、反応時間も減少してしまう。更に、反応の原理の解明が不十分であり、実用化の上で問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発明方法は、少なくとも耐熱性、導電性を有する材質からなる反応炉の炉壁を加熱して振動数の異なる複数の第1電磁波を放出し、前記反応炉内に第1電磁波のエネルギーを増幅させるための増幅材を供給し、この増幅材自身と第1電磁波との相互作用により増幅材を気化して微粒子にするとともにこの微粒子を電離させて反応炉内にプラズマ空間を形成し、前記第1電磁波をプラズマ空間の微粒子に照射してエネルギーが増幅された第2電磁波を放射し、この第2電磁波と反応炉内に供給されるCO 2 の相互作用により核子を気体元素の原子核から分離するようにした
また、前記反応炉はステンレス又は鉄からなり、前記増幅材は、アルカリ金属のリチウム、ナトリウム、カリウム及びこれらのフッ化物の少なくとも一種からなり処理すべき気体の供給は、窒素ガス、炭酸ガス、アルゴンガス、水蒸気(重水素水、トリチウム水の蒸気)であることが好ましい。
【0007】
また、更に、前記増幅材は、ナトリウム又はカリウムにステンレス粉末又は亜鉛を加えたものであることが好ましい。
【0008】
また、更に、前記反応炉の増幅材を収納する部分の加熱温度は400~600℃であり、前記プラズマ空間は空冷状態で200~300℃の温度であることが好ましい。
【0009】
本発明のプラズマ反応装置は、耐熱性、耐食性及び導電性の材質からなり、加熱によりその壁面から振動数の異なる複数種類の第1電磁波を放射する反応炉と、この反応炉内に収納され、前記第1電磁波と相互作用して第1電磁波のエネルギーを増大させて第2電磁波を放射する少なくともアルカリ金属の1種からなる増幅材と、前記反応炉を加熱して前記増幅材を気化せしめるとともに反応炉の壁面から前記第1電磁波を放射せしめて反応炉内にプラズマ空間を形成する加熱装置とからなり、CO 2 を反応炉内に供給してその原子の原子核から核子を分離するようにした。
【0010】
また、前記反応炉はステンレス又は鉄材からなり、前記増幅材は、アルカリ金属の少なくとも一種にステンレス粉又はFe粉又は亜鉛粉を加えたものからなることが好ましい。
【0011】
また、更に、前記加熱装置は、反応炉内に配置された内部加熱筒を備え、この内部加熱筒には、反応炉内で発生した水素が送られてバーナにより加熱されることが好ましい。
【0012】
また、更に、前記反応は、加熱部分と空冷部分とを有し、前記空冷部分に対応してプラズマ空間が形成されることが好ましい。
【0013】
また、更に前記反応炉内の内壁には、黒鉛膜が付着されている。
【0014】
また、更に前記加熱装置は、反応炉内に配置された内部加熱筒を備え、この内部加熱筒と反応炉の本体内壁間に増幅材を内蔵した交換可能なカセット筒を複数配置し、これらカセット筒間にCO 2 気体通路を形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
空気(酸素)が侵入しない密閉反応筒体内(反応炉)を鉄又はステンレス材(Niを含んだオーステナイト系が好ましい)で構成し、反応炉の内部に炉壁から放出される電磁波のエネルギーを増幅するエネルギー増幅材を供給し、この増幅材をアルカリ金属又はアルカリフッ化物で構成し、400℃以上に反応炉を加熱すると、炉壁の金属組織の結晶格子が格子振動を起こし、更に電子も振動し金属特有の波長を有する電磁波を発生し、この電磁波と増幅材との相互作用により、局部的に高温となり、これにより前記増幅材は気化して、軽い元素のために微粒子として反応炉内に飛散する。この微粒子はレーザ光を発生するレーザ媒質をなし、炉壁から発生した電磁波と相互作用をして増幅された第2電磁波を誘導放出する。反応炉内にCO 2 気体を供給すると、CO 2 分子と前記微粒子が近接して第2電磁波が気体原子内の原子核内に入り込んで核力の源であるゲージ粒子としてのグルーオンと(相方波動であるため)干渉して色荷の交換を瞬間的に妨害したり、その作用を復帰させたりする。このようにして陽子-陽子、陽子-中性子、中性子-中性子間の核力が遮断されることが確率的に生起し、特に、陽子-陽子間の核力が切れた場合には、電磁力による反発力で陽子が核外に飛び出して電子と結合して水素ガスとなる。
【0016】
反応炉の準備段階において、真空引きされ、しかも炉内には酸素成分が一切ないので、炉壁に格子熱振動により発生する第1電磁波を吸収する酸化膜が生じることがなく、素粒子の不確定性原理に基づいて、第1電磁波のエネルギーは、瞬間的には熱振動の理論的エネルギーは保存されず、それ以上に高まることがあり、また第2電磁波も瞬間的に増幅材の持つエネルギーとこれと相互作用をする第1電磁波のエネルギーより高いエネルギーを発生させることが確率的に存在し、瞬間的(たとえば10-10秒間)に核力を遮断し、核子を原子核から放出する。これにより、分子が自由に運動している気体から陽子と中性子を分離することが出来、炭酸ガスは無害化され、地球温暖化防止に寄与でき、中性子を取り除くことにより原子炉から生じるトリチウム水を無害化できるし、窒素から水素を採集できるので、地球上至る所(特に砂漠)で水素発電が可能で水素の燃焼により発電と水が得られ砂漠の緑化に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の水素生成装置(反応炉)を組み込んだ水素発電システムの概略図である。
図2図1の反応炉内に設けられた増幅材ケースの部分斜視図である。
図3図1の反応炉のIII-III線断面図である。
図4】本発明の他の実施例を示す反応炉の構成図である。
図5】本発明の更に他の実施例を示す反応炉の構成図である。
図6】反応炉の他の実施例を示す部分断面図である。
図7図6の反応炉の横断面図である。
図8】核反応材を収納したカセット筒の斜視図である。
図9図8のカセット筒の横断面図である。
図10】本発明の原理を示すための反応炉の縦断面図である。
図11】金属の結晶格子を示す斜視図である。
図12】発生電磁波の振動数とエネルギーとの関係を示すグラフである。
図13】反応炉の底部の拡大断面図である。
図14】反応炉内のプラズマ空間の作用説明図である。
図15】核子間に作用する電磁力と核力との関係説明図である。
図16】反応空間内の窒素ガスの分離作用説明図である。
図17】反応炉の他の実施例を示す横形反応炉の断面図である。
図18】反応炉の並設実験の説明図である。
図19】第2電磁波のエネルギーの大きさについての実験の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施態様について説明する。
【0019】
図10において、本発明のプラズマ反応装置Mは、円筒体をなす反応炉70を有し、この反応炉70は、鉄又はステンレス製であり、特にステンレスでは、オーステナイト系のSUS304、310、316が好ましく、耐蝕性と耐熱性と導電性が良いものが適する。また、酸素を炉内に入れるのを完全に防止できれば鉄製のものでもよい。前記反応炉70の内壁には、ステンの酸化防止と電磁波放射(空洞放射)のために、黒鉛膜71が塗装されている。前記反応炉70の下半部外周には、面状加熱装置(ヒータ)72が係合し、この加熱装置72は、反応炉70内を400~700℃程度に加熱する能力を有している。前記反応炉70の上面には、気体供給のための供給管73が設けられ、この供給管73は、反応炉70上半部に形成されるプラズマ空間74内で開口するようにその内部に伸びている。また、反応炉70の上面には、プラズマ空間74内で反応生成されたガス体を排出するための排出管75が設けられている。前記反応炉70の底部には、電磁波放射面積を増加させるための複数の放射板75、75…75からなる放射補助体76が載置され、これとともに電磁波増幅材77が収納されている。前記放射補助体76は反応炉70の同一の材質からなり、この代わりに同質材料の粉体でもよく、例えば、70μ程度の鉄、ステンレス粉末が使用される。
【0020】
前記電磁波増幅材77としては、アルカリ金属単体(リチウム(7Li リチウム7)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)のうち少なくとも一種か、この代わりにアルカリ金属単体のフッ化物(LiF、NaF、KF)が用いられる。これらアルカリ金属にステンレス粉、鉄粉又は亜鉛粉を一対一の割合で加えると、反応効率が向上する。この電磁波増幅材77は、その単体は最外殻電子が一つで、化学的に活性の強い金属であり、熱により内殻電子が外殻軌道に飛び移り易い。また、これら金属単体、そのフッ化物は、融点が比較的低く(Li:180℃、Na:98℃、K:64℃、LiF:460℃)加熱すると容易に溶融して液体となり、例えば、400℃以上に加熱すると、増幅材のエネルギー増幅作用により高温となり分子の熱振動により微粒子となって飛び出し前記プラズマ空間に充満する。
【0021】
一方、反応炉壁をなす金属は、図11のような結晶格子80をなし、各元素81からなる格子構造は、加熱されると、その格子特有の振動数を有する電磁波を放射する。この電磁波は、反応炉内での空洞放射であり、図12に示すように、温度に応じて強度の異なる電磁波が放射される。すなわち、温度が高くなる程電磁波の強度(光子数)は大きくなり、そのピークは振動数の大きい方向法(右)にずれて行き、ある温度における電磁波の振動数は小さいものから大きいものまで無数にあり、そのエネルギーhν(h:ブランク定数;ν:振動数)は、連続的でなく、量子化されて飛び飛びに変化する。
【0022】
増幅材としてナトリウム(Na)を使用した場合、Naは100℃以下で溶融液化し、図13に示すように、その表面張力により放射板75の表面に沿って、やや上昇し、300~400℃になると、熱振動が激しくなりこの電磁波とNaとの相互作用により局部的に高温となり、気化し、微粒子としてプラズマ空間74内に飛び出す。この微粒子は、炉壁からの電磁波により図14に示すように外殻電子e-がその軌道から弾き出されて、いわゆる電離作用が起こり、Na+イオンと電子e-が混在したプラズマ雰囲気ができる。この現象はLi又はKでも起こる。これと同時にプラズマ雰囲気中の金属ナトリウムイオンは励起されて第2電磁波を放射し、この第2電磁波は、図14に示すように、炉壁の炭素膜で反射してレーザ生成作用により増幅される(エネルギーと光子数が増加している。)。この増幅された第2電磁波が、反応炉内に供給されるCO 2 プラズマ作用を行って、核子を原子核から分離させる。なお、前記反応炉70の上半部が大気に開放され空冷状態を作っているのは、プラズマ空間74のプラズマ反応としてレーザ媒質の相転移を起こすためである。プラズマ空間74は、例えば、200~400℃に保持する必要があり、反応炉下部で増幅材の微粒子を多数発生させるためには、その部分は400℃以上に維持するのが好ましく、増幅材の微粒子発生部(炉底部)の温度とプラズマ空間の温度に差を設ける必要がある。すなわち、反応炉70の下半部は加熱部を上半部は空冷部をなし、空冷部にプラズマ空間74が対応する。
【0023】
前述したように、プラズマ反応により原子核から陽子又は中性子(核子)を分離させるためには、原子核内の核力以上(統合エネルギーに対応)のエネルギーを核子に作用させる必要があるが、第1電磁波の発生及び第2電磁波の発生において、図12に示すように、空洞放射において周波数(振動)の高い電磁波が存在し、しかもエネルギーと時間間隔の積はブランク定数以上である(△E△t≧h)という不確定性原理に基づけば、瞬間的、例えば10億分の1秒の時間間隔においては、エネルギー保存の原則は破られ極端に大きなエネルギーがある確率で生じている。例えば、窒素の原子核の核子間の核力は6~7MeVであるが、このエネルギーは振動数1020以上のガンマー(γ)線であれば確保でき、第2増幅電磁波が瞬間的にこの波動エネルギーを核力の源である素粒子のグルーオンの波動に作用せしめ、瞬間的に核力を遮断し、陽子又は中性子を原子核から分離する。原子核内の陽子、中性子はそれぞれの軌道上を振動しながら移動しており、それら相互の離間距離は増減しており、特に、熱エネルギーが加えられたときには振動が激しくなり、それぞれ質量X速度(mv)の運動エネルギーを与えられる。2つの陽子間の核力が遮断されたときは、図15に示すようにそれらの間に電磁反発力により陽子Pが勢いよく飛び出して、反応空間内の電子と結合して水素原子となって一定の容積を持つ。これに対し、核力(陽子と中性子間、中性子と中性子間)の遮断により中性子が原子核から分離した時には、熱振動による運動エネルギーは持っているが、電磁力は作用しないので、陽子が分離する場合に比較して分離力が小さく、殆どの場合に、電磁力が作用しないので反応炉内を運動しており、中には、炉壁に捕捉されるものもあり、単独の中性子nは時間の経過とともに用紙にβ崩壊する。すなわち、プラズマ空間内では、ある確率で生じるエネルギー保存の法則に従わない増大エネルギーの発生により瞬間的に高温となり発熱し、これに伴って核子の分離が起こり、これにより瞬間的に吸熱が生じる。温度低下は温度計で数回確認されており(2~3秒間に加熱中であっても250℃以下に下降する)、温度上昇は、増幅材としての径1mmのステンレス粉が完全に昇華してしまって全く残っていない状態が観察されており、このことから、3000℃以上の温度上昇が存在したと思われ、また、炉壁のアルモファス組織が観察されることからすると極端に高い温度から極端に低い温度に短時間で急降下しているものと思われる。
【0024】
具体的に、図16を参照して反応炉70内に供給された窒素原子核90について説明する。原子核90には、7個の陽子Pと7個の中性子nが存在し、第2電磁波の増幅エネルギーにより高エネルギー(7~8Mev以上)が生じ、原子核90からは7個の陽子Pがプラズマ空間74に飛び出し1個の電子と結合して水素原子となるが、この陽子Pは他の陽子Pからの電磁力による反発力で大きな運動エネルギーを有して飛び出しても電子との結合により一定の体積を有してエネルギーは小さくなるし、例え炉壁70aに衝突しても、壁内のステン原子の電磁力により反発され捕捉されることがない。しかしながら、7つの中性子nが核力を遮断された時の運動エネルギー(mv)は、電磁場の反発力がないので陽子より小さく、空間に飛散している微粒子(Na+、e-等)と衝突してエネルギーを失ってβ崩壊により陽子となるか、炉壁70a内に捕捉されるかである。このように、陽子の原子核からの分離と高エネルギーの発生により瞬間的な放熱と吸熱が繰り返される。
【0025】
本発明においては、発熱と吸熱とのバランスを取りつつ反応を継続させているので、安全に反応を継続できる。すなわち、陽子の分離作用のみであれば、著しい吸熱反応になり、直ちに絶対零度まで炉温が下降して反応が継続しないし、発熱反応のみでは、炉壁が直ちに溶融してしまい反応を継続させることが出来ない。本発明では吸熱作用の確率を発熱作用の確率がほぼバランスし、僅かに吸熱作用が上回るように調整されており、これにより安全に反応が続けられ、炉外に中性子が飛び出していく危険性も少なく、反応炉70の近傍に常時中性子測定器を設置して測定したが、測定器は顕著に中性子を検出することはなかった。
【0026】
以上は縦形の炉について説明したが、図17に示すように、横形の反応炉100についても同様の反応を起こすことが出来る。前記反応炉100は、横形のステンレス又は鉄からなる円筒体をなす本体101を有し、この本体101の内壁は黒鉛膜102が塗布されている。本体101の左端部には、気体供給管103が、その右端部には水素排出管104が形成されている。前記本体101の中心軸方向に左側から加熱管105が本体101の中央近傍まで伸びており、この加熱管105はステンレス製(SUS304)である。この加熱管105内には内部加熱装置としての電熱ヒータ106が収納され、本体101の内部を加熱するようになっている。一方、本体101の左半分外側壁は外部加熱ヒータとしての面状ヒータ107で被覆されて加熱部を形成し、本体101の右半分は外気に露出され、空冷されて空冷部を形成し、空冷部に対応してプラズマ空間107を形成している。前記本体101の右半分の下面には増幅材収納体108が収納され、この中に増幅材である金属リチウム、ナトリウム等が収納されている。このように、内外部の両方のヒータ106、107によって加熱すれば、増幅材の微粒子が十分に飛び出して反応空間108を満たし、空冷されている反応空間で確実に相転移を起こすことが可能となる。
【0027】
本件発明者は、11年間に亘り実験を重ねており、以下にその実験の書類とその実験に基づく見解について述べる。
1.反応炉の材質の種類についての実験
増幅材として従来カセイソーダを入れ、反応炉をセラミック、銅、ニッケル、鉄、SUS304、310,316で構成したところ、セラミック、ニッケル、銅では水を入れて
も水素はほとんど出ず、ステンレスでは、オーステナイト系のSUS304、316が良好であり、フェライト系のSUSは反応が劣っていた。また、鉄でも反応が良好であった
が、短時間で反応効果が落ちた。なお、当初は増幅材としてカセイソーダを使用しており、現在は酸化防止の観点から酸素成分を有しないアルカリ金属単体を使用している。
【0028】
2.増幅材の種類についての実験
当初はカセイソーダ(NaOH)又は水酸化カリウム(KOH)とステンレス片(SUS304)を使用し、水を供給して水素を採集していたが、この代わりにチタン酸ナトリウム(NaTiO3)、チタン酸カリウム(KTiO2)も使用したところ、水素が採集できた。なお、増幅材を入れることなく、SUS304の反応炉に水を入れたところ水素は若干採取されたが、温度を650℃以上に上昇させなければ十分な反応は起きなかった。また、SUS304の反応炉にNaTiO2又はKTiO2のみを入れ、水を供給することなく加熱(500℃以上)するのみで、長時間(1週間程度)水素が発生することが明確に確認された。反応炉は実験前に600℃で数時間ベーキングし、炉壁からの水素の発生が停止した後の実験であり、加熱による熱振動により増幅材の表面には、チタン酸ナトリウムの場合において、プラズマ雰囲気(Na+、Ti3+、O22-、電子e-)が生じ、これら原子の少なくとも一種から陽子が核分離しているものと思料する。これら3種の原子のうち結合エネルギーの一番小さい酸素から水素が発生している可能性が高い。
【0029】
3.反応炉内のプラズマ空間の状態についての実験
増幅材としてNaを使用し、反応炉内に気体(たとえば、窒素ガス、アルゴンガス等)を入れると反応炉の気体排出管から出た水素中には、Naの炎焼反応が顕著に観察でき、これにより反応炉のプラズマ空間には、微粒子のNaが飛行していることが判る。また、反応炉を電気的に浮上させると、反応炉のプラズマ空間に対応する外壁側面とアース間に電位差が確認できるので、反応空間内には電子が充満しているものと思料できる。更に、図18に示すように2つの反応炉200、200を並列設置し、両反応炉のプラズマ空間201、201をパイプ202でつなぎ、パイプの中間の肉部分に絶縁体203を入れ、その内部は連通させてプラズマ空間同士を接続した場合に、両反応炉は電気的に導通し両反応炉に電位差が生じるのを確認できた。すなわち、プラズマ空間内は電離気体となっており、電子が飛行していることが判る。一般に、ナトリウムはレーザ媒質をなすことは公知であり、プラズマ空間はプラズマレーザ機能を有するものと思われる。
【0030】
4.プラズマ空間の最適位置についての実験
反応炉内に増幅材のNaと、ステンレス粉(SUS304;φ70μ)を入れ、図1に示すような縦形炉において、面状ヒータで反応炉の底面と全側面を被った場合に、反応炉の上面から突出する空冷されている気体排出管の付け根部分の温度が急激に低下し、図1に示す空冷された部分の温度の変動が大きかった。すなわち、プラズマ反応は、ある一定温度範囲で起こり、各種実験を総合すると、200~300℃の範囲内で起きたことが多かった。この範囲でプラズマの相転移が起こるものと思われる。また、この温度範囲では、固形の水素化ナトリウム(NaH)が炉の内壁に生成される。また、気体供給管を炉底部まで伸ばし、一気に2cc(通常は0.5cc分)の水を供給して炉底部を冷却すると、気体分離反応が活発になり、質量2の水素に加えて質量18前後の質量15~24の気体が多く発生し、通常の5倍程度の水素が採集された。この反応は40日以上続いていたが、それ以降は停止した。質量15~24の気体はCHガスと思われ、大量の水素は、水に入っている水素に加えて酸素から分離して出てきたものと思われる。この反応は炉壁を高温度に加熱して第1電磁波を強くし、炉壁に溶融付着している増幅材から微粒子を多数生ぜしめるところに大量の水蒸気で雰囲気を冷却すると相転移が起こり第2電磁波も強くなり、陽子分離が多く生じて大量の水素発生になってものと思われる。
【0031】
5.反応時の核子の挙動についての実験
ステンレス製の反応炉内に増幅材としてカセイソーダとステンレス片を入れ、内部ヒータで加熱し、重水(D2O)を注入したところ、殆どH2ガスとなり、D2ガスは消滅し、
炉壁を分析したところ、質量の大きな同位体比率が大きくなっていた。特にFeの同位体比率において顕著であった。これは、中性子が各金属に吸収されたためであると思われる。
【0032】
また、トリチウム水(T2O)を注水したところ、70%以上のトリチウムが消失していた。これは、β線量の測定により判明し、ここでも中性子が原子核から分離したものと思料できる。
【0033】
6.発生する電磁波のエネルギーについての実験
図19に示すように、反応炉300を内管302と径の大きな外管301とで構成し、内管302内にカセイソーダとステンレス片を入れ、更に、内管内に電熱ヒータ303を収納し、内管内を550℃程度に加熱した。内管302と外管301との絶縁空間304内には、絶縁のためにアルゴンガスを封入した。注入気体は軽水であった。この実験においては、絶縁空間304内の温度を一定にした後のアルゴンガスが3日間位の間に膨張して3気圧以上になったが、ガス成分を分析したところ、殆ど水素ガスに変化していた。これは、内管302内の第2電磁波が内管302の炉壁を透過してアルゴンガスを水素ガスに変換したか又は、内管302の外側面からの第1電磁波の放射によるものと思われる。前記内管302の炉壁の成分分析を行ったところ、フッ素(F)が多く検出され、これは、第2電磁波の影響により何らかの核変換が起こっているものと思われる。したがって、第2電磁波は、透過力の強いX線かγ線の領域の振動数を瞬間的に有したものと思われる。この知見に基づいて、図6から図8のカセット式の反応炉が考えられる。
【0034】
次に、本発明のプラズマ反応変換装置を組み込んだ水素発電システムについて説明する。図1に示す水素発電システムSは、反応炉1を備え、この反応炉1には、公知の分離膜を利用した窒素、酸素分離装置2により空気から分離された窒素N2が経路l1を通り、酸素O2が経路l2を通ってそれぞれ反応炉1に供給される。前記反応炉1によって、窒素の一部(50%以上)が水素(H2)に変換され、この水素(H2)と変換されなかった窒素(N2)が経路l3を通って水素窒素分離装置3に供給される。ここで分離された窒素(N2)が経路l4を通って反応炉1に送られて再度水素に変換される。一方、ここで分離された水素(H2)は経路l5を通って反応炉1に送られて燃焼ガスとして使用される。
【0035】
前記反応炉1は、円筒状のステンレス製(SUS304、SUS310、SUS16:オーステナイト系が適する)の本体4を備え、この本体4内には、その内部を加熱するための内部加熱筒5が設けられ、これら本体4及び加熱筒5は、それらの一端が固定フレーム6によって支持されている。前記加熱筒5は二重構造をなし、外筒5aと内筒5bとからなり、内筒5bの固定フレーム6側には、バーナ7が設置され、内筒5bの固定フレーム6の反対側端(先端側)は開放され、閉じている外筒5aの先端面(右端)に沿って、バーナ7からの燃焼ガスは反転し外内筒5a、5b間の排気空間8を通って通路11に送られる。前記バーナ7には、固定フレーム6の通路9を通って水素ガスが供給されるとともに通路10を通って経路l2からの酸素ガスが供給され、両者はバーナ7で燃焼され、高温水蒸気となって内筒5bを通ってその先端で反転し、前記通路11を通って経路l6に至り、この経路l6からの水蒸気は蒸気タービンを回転させて発電する公知の発電装置12に送られて発電する。この後の水蒸気は復水器13により復水され(経路l7)、水タンク14に貯溜される(経路l8)。
【0036】
前記反応炉1の本体4内の下部には、図2、3に示すように増幅材Rを収納したケース15が内蔵され、このケース15は樋形状をなし、その両端には端板15aが設けられ、この端板15aの上端縁には、加熱筒5に係合する円形凹み15bが形成されている。なお、ケース15の外壁面には、ケース15の本体4内壁での摺動をサポートするための複数のスライド片15C、15C…15Cが形成されている。ケース15の材質は、反応炉1の材質と同一である。
【0037】
前記加熱筒5は高温に耐えられるセラミック材で形成され、外筒5aの下部はケース15に収納された増幅材Rに接触して直接それを加熱する。
【0038】
前記増幅材Rは、微粒子となり、反応空間200内でプラズマレーザ媒質を形成し、炭酸ガス(CO2)からH 2ガスを生成することが出来る。
【0039】
図4は反応炉の変形例を示すもので、円筒形の本体4の外周面には、補助電気ヒータ40が設けられ、このヒータ40は、前記加熱筒5の加熱を補助するためのものであり、本体4内に供給された窒素ガスをケーシング4の外部と内部の両側から加熱して増幅材Rの微粒子化の増進と第1電磁波のエネルギーの増大を図る。この場合、増幅材Rとしてフッ化リチウム70%とフッ化ベリリウム30%を使用し、その消費に応じて溶融塩を本体内と外部に設けた化学処理装置42間をポンプ41により循環せしめ、化学処理装置42においてその補給を行う。また、溶融塩に不純物として窒化物、炭化物が生じた場合に、化学処理装置42は、それらを取り除き、これにより長時間の連続運転が可能となる。なお、増幅材Rには、添加剤としてα波を放射するラジウム又はポロニウムを添加すれば、窒素の崩壊が著しく増大し、生成水素量が増大する。なお、本体4の内壁には黒鉛膜43が形成され、ステンレス壁の内面が腐食するのを防止している。また、本体4内の右半分にプラズマ空間49が形成される。
【0040】
また、図5に示すように、本体4から内部加熱筒5を除去し、増幅材Rを外部に設けた加熱装置43により加熱し、本体4内に設けた噴射管44により噴射して増幅材Rを供給された窒素ガスとの接触の効率を上昇させてもよい。なお、本体4の中央部分はヒータ40で加熱される。
【0041】
次に、増幅材Rを交換容易なようにカセット方式にセットする実施例について説明する。
【0042】
図6乃至図9において、図19の実験の知見に基づいて本体4内の内部加熱筒5の外周面と本体4の内壁面間には、複数の細径の円筒状のカセット筒50、50…50がその間に気体通路51を形成しつつ着脱自在に配置され、これらのカセット筒50は、図6に示すように、ケーシング4の端板52を取り外し可能にすることにより交換し得る。
【0043】
前記カセット筒50は、耐熱性のステンレス材(SUS310、SUS316)からなり、その中に増幅材Rが密封されている。
【0044】
増幅材Rとしては、にアルカリ金属としても、Na,K、LiにSUS粉、Fe粉、Zn粉を加えたものが好ましく、アルカリ金属単体に代えて酸素を含まないNaH(水素化ナトリウム)を加えてもよい。前記カセット筒50の内壁には黒鉛膜62が塗布形成され、その外周面にはα波を射出するラジウム、ポロニウムの粉末をバインダーとともに塗装するか、溶射してα波膜60を形成している。また、加熱筒5の外周面にも同様のα波膜61が形成されている。
【0045】
前記カセット筒50内は真空ポンプ63(図9)によって真空にされることにより、カセット筒50の内部に酸化反応は生じることがなく500℃以上に加熱されることにより、カセット筒からは第1電磁波がその内部空間Iはレーザ媒質を形成して第2電磁波を放射し、この第2電磁波の一部は振動数が大きいので、その波はステンレス壁を透過する。なお、これらα波膜60、61からはα波が本体4内に放射される。第2電磁波は、窒素ガスの原子中の電子を跳ね飛ばして電離作用させるとともに原子核の核力を遮断する。前記α波はその作用を増大させる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明によれば、炭酸ガスの出ない発電ができるとともに水が生成できるので、地球上至る所で発電できるばかりでなく、水生成による砂漠の緑化にも最適であり、発生した炭酸ガスを水素に変換できるので既存の燃料の使用が可能となる。
【符号の説明】
【0047】
1、70…反応炉
4…本体
5…加熱筒
43…黒鉛膜
50…カセット筒
60、61…α波膜
71…黒鉛膜
72…ヒータ
74…プラズマ空間
76…放射補助体
77…電磁波増幅材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19