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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126439
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】無線通信装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/0453 20230101AFI20230831BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20230831BHJP
【FI】
H04W72/0453
H04W84/18
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115200
(22)【出願日】2023-07-13
(62)【分割の表示】P 2018157167の分割
【原出願日】2018-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】槌田 直
(72)【発明者】
【氏名】石川 浩由
(57)【要約】
【課題】送信元のノードへの返信がブロードキャスト通信によるメッセージの送信によって妨害を受けないようにする。
【解決手段】実施形態に係る無線通信装置は、マルチホップ通信によって情報の伝送を行う無線メッシュネットワークを構成する無線通信装置である。前記無線通信装置は、通信部と、制御部とを備える。前記通信部は、自装置とは異なる無線通信装置に宛てられたメッセージを第1の周波数チャネルでのブロードキャスト通信によって送信する。前記制御部は、前記通信部による前記メッセージの送信に応じて、前記通信部の通信チャネルを前記第1の周波数チャネルから前記メッセージに対応する応答信号の通信用の第2の周波数チャネルへ変更する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチホップ通信によって情報の伝送を行う無線メッシュネットワークを構成する無線通信装置であって、
自装置とは異なる無線通信装置に宛てられたメッセージを第1の周波数チャネルでのブロードキャスト通信によって送信する通信部と、
前記通信部による前記メッセージの送信に応じて、前記通信部の通信チャネルを前記第1の周波数チャネルから前記メッセージに対応する応答信号の通信用の第2の周波数チャネルへ変更する制御部と、
を備える無線通信装置。
【請求項2】
前記通信部は、前記応答信号を受信し、前記応答信号を前記第2の周波数チャネルでのユニキャスト通信によって自装置とは異なる無線通信装置へ送信し、
前記制御部は、前記通信部による前記応答信号の送信に応じて、前記通信部の通信チャネルを前記第2の周波数チャネルから前記第1の周波数チャネルへ変更する、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記通信部による前記第1の周波数チャネルでの前記メッセージの送信後、前記通信部への前記応答信号の到達前に、前記通信部の通信チャネルを前記第1の周波数チャネルから前記第2の周波数チャネルへ変更する、請求項1または2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記応答信号の通信チャネルが前記第2の周波数チャネルであることを示す情報を前記メッセージに付加し、
前記通信部は、前記情報が付加された前記メッセージを送信する、
請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項5】
マルチホップ通信によって情報の伝送を行う無線メッシュネットワークを構成する無線通信装置であって、
自装置に宛てられたメッセージを受信し、前記メッセージに対応する応答信号を送信する通信部と、
前記通信部による前記メッセージの受信に応じて前記通信部の通信チャネルを前記メッセージの通信用の第1の周波数チャネルから前記応答信号の通信用の第2の周波数チャネルへ変更し、前記通信部による前記第2の周波数チャネルでの前記応答信号の送信に応じて、前記通信部の通信チャネルを前記第2の周波数チャネルから前記第1の周波数チャネルへ変更する制御部と、
を備える無線通信装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無線メッシュネットワークを構成する無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケット等の店舗において、POS(Point Of Sales)端末が使用されている。POS端末は、取引に係る各種処理を実行するため、高い信頼性が要求され、保守・管理が重要となる。保守・管理の方法として、例えば、特許文献1のように複数のPOS端末間でメッシュネットワークを構築し、保守に関連した情報を伝送する方法が考えられている。
【0003】
ところで、メッシュネットワークでは、メッセージのヘッダに自身のアドレスを追加してブロードキャスト通信を行う方法が知られている(特許文献2)。この方法では、メッセージを受信したノードは、同様に自身のアドレスを追加してブロードキャスト通信を繰り返し、目的のノードにメッセージを伝送する。目的のノードは、ヘッダに記憶されたアドレスを参照して、逆に辿るように送信元のノードへの返信を転送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-036981号公報
【特許文献2】特開2006-191519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2記載の方法では、目的のノードにメッセージが到達した以降も、他のノードがブロードキャスト通信を繰り返してしまう。そのため、ブロードキャスト通信によるメッセージの送信は、送信元のノードへの返信の妨げになってしまうという課題がある。
【0006】
上記の課題を解決するために、送信元のノードへの返信がブロードキャスト通信によるメッセージの送信によって妨害を受けないようにする無線通信装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る無線通信装置は、マルチホップ通信によって情報の伝送を行う無線メッシュネットワークを構成する無線通信装置である。前記無線通信装置は、通信部と、制御部とを備える。前記通信部は、自装置とは異なる無線通信装置に宛てられたメッセージを第1の周波数チャネルでのブロードキャスト通信によって送信する。前記制御部は、前記通信部による前記メッセージの送信に応じて、前記通信部の通信チャネルを前記第1の周波数チャネルから前記メッセージに対応する応答信号の通信用の第2の周波数チャネルへ変更する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る保守用ネットワークシステムの一例を示す図である。
図2】実施形態に係るPOS端末のハードウェア構成の一例を示すハードウェアブロック図である。
図3】実施形態に係るゲートウェイのハードウェア構成の一例を示すハードウェアブロック図である。
図4】実施形態に係る保守用ネットワークシステムにおけるデータパケット及び応答信号パケットの伝送を例示する図である。
図5】実施形態に係る保守用ネットワークシステムにおけるデータパケット及び応答信号パケットの伝送を例示する図である。
図6】実施形態に係る保守用ネットワークシステムにおけるデータパケット及び応答信号パケットの伝送を例示する図である。
図7】実施形態に係る保守用ネットワークシステムにおけるデータパケット及び応答信号パケットの伝送を例示する図である。
図8】実施形態に係る保守用ネットワークシステムにおけるデータパケット及び応答信号パケットの伝送を例示する図である。
図9】実施形態に係る保守用ネットワークシステムにおけるデータパケット及び応答信号パケットの伝送を例示する図である。
図10】実施形態に係る保守用ネットワークシステムにおけるデータパケット及び応答信号パケットの伝送を例示する図である。
図11】実施形態の変形例となるデータパケットの構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、POS端末で構成された保守用ネットワークシステム1の構成例である。 保守用ネットワークシステム1は、POS端末100乃至150及びゲートウェイ200で構成される。なお、「端末」は、「装置」と読み替えることもできる。
【0010】
POS端末100乃至150のそれぞれは、無線メッシュネットワーク400によって隣接する1以上のPOS端末またはゲートウェイ200と無線通信する。POS端末100乃至150のそれぞれは、マルチホップ通信によって情報(信号)の伝送を行う無線メッシュネットワークを構成する端末である。POS端末100乃至150のそれぞれは、無線通信装置の一例である。
【0011】
なお、保守用ネットワークシステム1を構成するPOS端末の数は、図1に示されるように5台に限定されるものではなく、適宜増減可能である。以下では、POS端末100乃至150のうちの少なくとも何れか1つを指すことを意図して、単に、「POS端末」というものとする。
【0012】
ゲートウェイ200は、無線メッシュネットワーク400によって隣接する1以上のPOS端末と無線通信する。また、ゲートウェイ200は、LTE(登録商標)(Long Term Evolution)通信や無線LAN(Local Area Network)などの通信によってネットワーク300に接続する。ゲートウェイ200は、POS端末からの情報(例えば、保守情報)をネットワーク300へ転送する。また、ゲートウェイ200は、ネットワーク300からの情報をPOS端末へ伝送してもよい。ゲートウェイ200は、マルチホップ通信によって情報の伝送を行う無線メッシュネットワーク400を構成する端末である。ゲートウェイ200は、無線通信装置の一例である。
【0013】
ネットワーク300は、他の端末へ情報を伝送するための通信網である。例えば、ネットワーク300は、インターネットである。
【0014】
無線メッシュネットワーク400は、近接した位置にあるPOS端末及びゲートウェイ200が相互に通信することによって網目状の通信経路を形成するネットワーク構成である。例えば、POS端末100乃至150及びゲートウェイ200は、IEEE802.15.4g国際標準規格に準拠した920MHz帯の無線通信によって接続される。
【0015】
次に、POS端末100の構成について説明する。
図2は、POS端末100のハードウェア構成の一例を示すハードウェアブロック図である。
【0016】
POS端末100は、制御部101と、記憶部102と、操作部103と、表示部104と、通信部105と、I/F(インターフェース)部106と、通知部107とを備える。これらの各部は、データバスを介して互いに接続される。なお、POS端末100は、図2が示すような構成の他に必要に応じて構成を具備したり、特定の構成を除外したりしてもよい。
【0017】
制御部101は、POS端末100の全体の動作を制御する機能を有する。制御部101は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを備える。CPUは、POS端末100の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムを一時的に記憶したり、アプリケーションプログラムの実行に必要なデータや実行結果などを格納したりする記憶媒体である。そして、CPUは、RAMを作業領域としてROMまたは記憶部102等に格納されたプログラムを実行する。
【0018】
また、制御部101は、データパケットを無線メッシュネットワーク400によって接続された他のPOS端末またはゲートウェイ200に、通信部105を介して送信する。データパケットは、記憶部102に記憶された保守情報などのデータを含む。例えば、保守情報は、プログラムのバージョン情報やエラー情報、メンテナンス情報などの情報である。データパケットは、メッセージともいう。さらに、制御部101は、無線メッシュネットワーク400によって接続された他のPOS端末またはゲートウェイ200から通信部105を介して受信したデータパケットまたは他のパケットを処理する。
【0019】
記憶部102は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶装置で構成される。記憶部102は、制御プログラムや保守情報、無線メッシュネットワーク400による通信で用いる自端末のアドレス情報を記憶する。
【0020】
操作部103は、POS端末100のオペレータによって、種々の操作指示が入力される装置である。操作部103は、オペレータによって入力された操作指示の信号を制御部101に送信する。例えば、操作部103は、キーボードやタッチパネルなどである。
【0021】
表示部104は、制御部101の制御により種々の情報を表示する装置である。例えば、表示部104は、液晶モニタなどである。なお、操作部103がタッチパネルなどで構成される場合、表示部104は、操作部103と一体的に形成されてもよい。
【0022】
通信部105は、無線メッシュネットワーク400によって接続された他のPOS端末及びゲートウェイ200と通信するためのインターフェースである。通信部105は、制御部101からの信号に従って所定のデータパケットまたは他のパケットを他のPOS端末またはゲートウェイ200へ送信する。また、通信部105は、他のPOS端末またはゲートウェイ200から受信したデータパケットまたは他のパケットを制御部101へ送信する。
【0023】
通信部105は、制御部101からの信号に基づいて、周波数が異なる複数の通信チャネルのうちから選択された1つの通信チャネルを設定する。通信部105は、設定された通信チャネル以外の通信チャネルの信号を送受信しない。すなわち、通信部105に設定された通信チャネルと他のPOS端末の通信部に設定された通信チャネルが異なる場合は、通信が成立しない。
【0024】
例えば、通信部105は、IEEE802.15.4g国際標準規格に準拠した920MHz帯の無線通信や無線LANなどをサポートするものである。
【0025】
I/F部106は、スキャナやプリンタなどの周辺機器と接続するためのインターフェースである。周辺機器との接続は、有線接続であっても、無線接続であってもよい。有線接続は、USB(Universal Serial Bus)接続などである。無線接続は、無線LANまたはBluetooth(登録商標)などである。また、I/F部106は、通信部105と同様の無線通信規格であってもよい。その場合には、通信部105とI/F部106は、共通の構成であってもよい。
【0026】
通知部107は、制御部101の信号に従って、POS端末100の状態をオペレータに通知する装置である。例えば、通知部107は、LED(Light Emitting Diode)やスピーカである。
【0027】
なお、POS端末110、POS端末120、POS端末130、POS端末140及びPOS端末150もPOS端末100と同様に構成されている。
【0028】
次に、ゲートウェイ200のハードウェア構成について説明する。
図3は、ゲートウェイ200のハードウェア構成の一例を示すハードウェアブロック図である。
【0029】
ゲートウェイ200は、制御部201と、記憶部202と、通知部203と、I/F(インターフェース)部204と、第1通信部205と、第2通信部206とで構成される。これらの各部は、データバスを介して互いに接続される。なお、ゲートウェイ200は、図3が示すような構成の他に必要に応じて構成を具備したり、特定の構成を除外したりしてもよい。
【0030】
制御部201は、ゲートウェイ200の全体の動作を制御する機能を有する。制御部201は、CPUとROMと、RAMとを備える。CPUは、ゲートウェイ200の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムを一時的に記憶したり、アプリケーションプログラムの実行に必要なデータや実行結果などを格納したりする記憶媒体である。そして、CPUは、RAMを作業領域としてROMまたは記憶部202等に格納されたプログラムを実行する。
【0031】
また、制御部201は、第1通信部205で受信したデータパケットを必要に応じて加工し、第2通信部206から送信する。この例では、制御部201は、第1通信部205で受信したデータパケットに含まれるアドレス情報などのヘッダ部を消去する。そして、制御部201は、第2通信部206で送信するためのデータフォーマットに合わせてデータパケットを加工し、送信する。
【0032】
また、制御部201は、第2通信部206で受信したデータパケットを必要に応じて加工し、第1通信部205から送信する。この例では、制御部201は、第2通信部206で受信したデータパケットを解釈する。そして、制御部201は、第1通信部205で送信するためのデータフォーマットに合わせてデータパケットを加工し、送信する。
【0033】
記憶部202は、HDDやSSD等の記憶装置で構成される。記憶部102は、制御プログラムや第1通信部205及び第2通信部206の通信で用いる自端末のアドレス情報などを記憶する。
【0034】
通知部203は、制御部201の信号に従って、ゲートウェイ200の状態を通知する装置である。例えば、通知部203は、LEDやスピーカである。
【0035】
I/F部204は、マウスやキーボードなどの入力機器や液晶モニタなどの表示機器と接続するためのインターフェースである。接続は、有線接続であっても、無線接続であってもよい。有線接続は、USB接続などである。無線接続は、無線LANまたはBluetoothなどである。I/F部204に入力機器が接続された場合は、I/F部204は、入力機器に入力された信号を制御部201に送信し、制御部201は、入力信号に応じて処理を行う。また、I/F部204に表示機器が接続された場合は、表示機器は、制御部201の信号に応じて表示を行う。
【0036】
第1通信部205は、無線メッシュネットワーク400によって接続された任意のPOS端末と通信するためのインターフェースである。第1通信部205は、制御部201からの信号に従って所定のパケットを任意のPOS端末へ送信する。また、第1通信部205は、POS端末から受信したデータパケットを制御部201へ送信する。
【0037】
第1通信部205は、制御部201からの信号に基づいて、周波数が異なる複数の通信チャネルのうちから選択された1つの通信チャネルを設定する。第1通信部205は、設定された通信チャネル以外の通信チャネルの信号を送受信しない。第1通信部205は、POS端末100の通信部105と同様の無線通信をサポートする。第1通信部205と通信部105は、通信チャネルが同一の場合に、通信が可能である。
【0038】
第2通信部206は、ネットワーク300に接続するための通信インターフェースである。例えば、第2通信部206は、LTE通信インターフェースである。第2通信部206は、制御部201からの信号に従って所定のデータをネットワーク300に接続されたサーバにアップロードする。また、第2通信部206は、ネットワーク300に接続されたサーバからデータをダウンロードする。
【0039】
次に、POS端末がデータパケットをゲートウェイ200へ伝送し、このPOS端末がデータパケットに対応するACK(ACKnowledgemnt)を含む応答信号パケットを受け取るまでの動作について説明する。応答信号パケットは、データパケットに対する返信となるパケットである。応答信号パケットは、データパケットがゲートウェイ200に届いたことを示す。応答信号パケットは、応答信号ともいう。
【0040】
図4図10は、保守用ネットワークシステム1におけるデータパケット及び応答信号パケットの伝送を例示する図である。ここでは、図1に示すネットワーク構成において、POS端末100がゲートウェイ200にデータパケットを伝送する状況を例にして説明する。また、ゲートウェイ200がPOS端末100に応答信号を返信する状況を例にして説明する。この例では、POS端末100がデータパケットの送信元であるが、データパケットの送信元は、POS端末100に限定されるものではない。
【0041】
まず、図4を用いてPOS端末100の動作を説明する。
図4(a)は、POS端末100がデータパケットをブロードキャスト通信によって送信する際のネットワーク図である。矢印410は、POS端末100からPOS端末110にデータパケットが伝送されることを表している。同様に、矢印411は、POS端末100からPOS端末130にデータパケットが伝送されることを表している。
【0042】
図4(b)は、POS端末100乃至150及びゲートウェイ200のアドレス及び通信チャネルを表した表である。各POS端末及びゲートウェイ200は、個別のアドレスが割り当てられている。
【0043】
chA及びchBは、互いに周波数の異なる通信チャネルである。chAは、データパケットの通信用の周波数チャネルである。chAは、第1の周波数チャネルともいう。chBは、応答信号パケットの通信用の周波数チャネルである。chBは、第2の周波数チャネルともいう。
【0044】
POS端末100がデータパケットをブロードキャスト通信によって送信する前は、各POS端末及びゲートウェイ200の通信チャネルは、chAに設定されている。なお、各POS端末の記憶部102及びゲートウェイ200の記憶部202は、予めchAの情報及びchBの情報を記憶している。
【0045】
図4(c)は、POS端末100から送信されるデータパケットである。データパケットは、POS端末100からゲートウェイ200に宛てられているものとする。データパケットは、宛先に関する領域、送信元に関する領域、最終宛先に関する領域、データに関する領域及び転送履歴に関する領域を含む。
【0046】
宛先は、POS端末100から送信されるデータパケットを次に受信する端末を示す。POS端末100はデータパケットをブロードキャスト通信によって送信するので、制御部101は宛先に関する領域にブロードキャスト通信を示す「FFFF」を格納する。
【0047】
送信元は、データパケットの送信元の端末を示す。制御部101は、送信元に関する領域に自端末のアドレスである「0100」を格納する。
【0048】
最終宛先は、POS端末100から送信されるデータパケットの最終的な到達先となる端末を示す。制御部101は、最終宛先に関する領域にゲートウェイ200のアドレスである「0200」を格納する。
【0049】
データは、POS端末100が最終宛先のゲートウェイ200に宛てた任意のデータである。制御部101は、データに関する領域に「Data」を格納する。
【0050】
転送履歴は、送信元の端末と最終宛先の端末との間で、マルチホップ通信によって経由した全ての端末のアドレスを示す。POS端末100は送信元の端末であるので、制御部101は、転送履歴に関する領域を空のままにしておく。
【0051】
POS端末100は以下に例示するように動作する。
POS端末100の制御部101は、図4(c)に示すように、自端末とは異なる端末であるゲートウェイ200に宛てられたデータパケットを作成する。ゲートウェイ200に宛てられたデータパケットは、ゲートウェイ200を最終宛先とするデータパケットということもできる。
【0052】
POS端末100の通信部105の通信チャネルは、chAに設定されている。そのため、POS端末100の通信部105は、図4(a)に示すように、データパケットをchAでのブロードキャスト通信によって送信する。
【0053】
POS端末100から送信されるデータパケットは、POS端末100に隣接し、無線メッシュネットワーク400で接続されたPOS端末110及びPOS端末130に到達する。POS端末110の通信チャネルは、図4(b)に示すように、POS端末100と同一のchAに設定されている。そのため、POS端末110は、POS端末100からchAでのブロードキャスト通信によって送信されるデータパケットを受信する(矢印410)。
【0054】
同様に、POS端末130の通信チャネルは、図4(b)に示すように、POS端末100と同一のchAに設定されている。そのため、POS端末130は、POS端末100からchAでのブロードキャスト通信によって送信されたデータパケットを受信する(矢印411)。
【0055】
POS端末100では、制御部101は、通信部105によるchAでのデータパケットの送信に応じて、通信部105の通信チャネルをchAからchBへ変更する。これにより、POS端末100の通信部105の通信チャネルは、図4(b)に示すように、chBに設定される。
【0056】
POS端末100では、制御部101は、通信部105によるchAでのデータパケットの送信後、通信部105への応答信号パケットの到達前に、通信部105の通信チャネルをchAからchBへ変更する。これは、POS端末100が応答信号パケットを受信することができなくなるのを防ぐためである。
【0057】
例えば、POS端末100がデータパケットを送信した後から応答信号パケットを受信するまでの時間は、以下のように推定可能である。無線メッシュネットワーク400の構成により、データパケットがPOS端末100からゲートウェイ200に到達するまでに経由する端末の数は、予め推定可能である。POS端末100からゲートウェイ200までのデータパケットの伝送時間は、経由する端末の数に基づいて推定可能である。同様に、ゲートウェイ200からPOS端末100までの応答信号パケットの伝送時間は、経由する端末の数に基づいて推定可能である。これにより、POS端末100とゲートウェイ200との間のパケットの往復時間は、推定可能である。POS端末100では、制御部101は、データパケットの送信後の往復時間の経過前に、通信部105の通信チャネルをchAからchBへ変更すればよい。
【0058】
なお、POS端末100において制御部101が通信部105の通信チャネルをchAからchBへ変更するタイミングは、上述の範囲内であればよく、特に限定されない。
【0059】
次に、図5を用いてPOS端末110の動作を説明する。
図5(a)は、POS端末110がPOS端末100から受信したデータパケットをブロードキャスト通信によって転送する際のネットワーク図である。矢印420は、POS端末110からPOS端末100にデータパケットが伝送されることを表している。同様に、矢印421は、POS端末110からPOS端末130にデータパケットが伝送されることを表している。同様に、矢印422は、POS端末110からPOS端末120にデータパケットが伝送されることを表している。
【0060】
図5(b)は、POS端末100乃至150及びゲートウェイ200のアドレス及び通信チャネルを表した表である。
【0061】
図5(c)は、POS端末110がブロードキャスト通信によって送信するデータパケットである。
【0062】
POS端末110は以下に例示するように動作する。
POS端末110の通信部105は、POS端末100からchAでのブロードキャスト通信によって送信されたデータパケットを受信する。POS端末110の制御部101は、データパケットに格納されている宛先及び最終宛先のアドレスと自端末のアドレスを比較する。宛先及び最終宛先のアドレスは、POS端末110のアドレスと異なっている。POS端末110の制御部101は、自端末に宛てられたデータパケットではないと判断する。自端末に宛てられたデータパケットは、自端末を最終宛先とするデータパケットということもできる。
【0063】
POS端末110の制御部101は、POS端末100から受信したデータパケットを加工する。POS端末110の制御部101は、図5(c)に示すように、データパケットの転送履歴に関する領域に自端末のアドレスである「0110」を追加する。POS端末110の制御部101が加工したデータパケットは、転送履歴を除いて、POS端末110がPOS端末100から受信したデータパケットと同一である。
【0064】
POS端末110の通信部105は、ゲートウェイ200に宛てられたデータパケットの受信に応じて、上述のように自端末のアドレスが追加されたデータパケットを送信する。POS端末110の通信部105の通信チャネルは、chAに設定されている。そのため、POS端末110の通信部105は、図5(a)に示すように、データパケットをchAでのブロードキャスト通信によって送信する。
【0065】
POS端末110から送信されるデータパケットは、POS端末110に隣接し、無線メッシュネットワーク400で接続されたPOS端末100、POS端末130及びPOS端末120に到達する。
【0066】
POS端末100の通信チャネルは、POS端末110と異なるchBに設定されている。そのため、POS端末100は、POS端末110からchAでのブロードキャスト通信によって送信されたパケットを受信することができない(矢印420)。
【0067】
POS端末130の通信チャネルは、POS端末100と同一のchAに設定されている。そのため、POS端末130は、POS端末110からchAでのブロードキャスト通信によって送信されたパケットを受信する(矢印421)。なお、POS端末130がPOS端末110から受信したデータパケットは、転送履歴を除いて、POS端末130がPOS端末100から受信したデータパケットと同一である。そのため、POS端末130は、POS端末110から受信したデータパケットを破棄してもよい。
【0068】
POS端末120の通信チャネルは、POS端末110と同一のchAに設定されている。そのため、POS端末120は、POS端末110からchAでのブロードキャスト通信によって送信されたパケットを受信する(矢印422)。
【0069】
POS端末110では、制御部101は、通信部105によるchAでのデータパケットの送信に応じて、通信部105の通信チャネルをchAからchBへ変更する。これにより、POS端末110の通信部105の通信チャネルは、図5(b)に示すように、chBに設定される。
【0070】
POS端末110では、制御部101は、通信部105によるchAでのデータパケットの送信後、通信部105への応答信号パケットの到達前に、通信部105の通信チャネルをchAからchBへ変更する。なお、POS端末110における制御部101が通信部105の通信チャネルをchAからchBへ変更するタイミングは、上述の範囲内であればよく、特に限定されない。
【0071】
次に、図6を用いてPOS端末130の動作を説明する。
図6(a)は、POS端末130がPOS端末100から受信したデータパケットをブロードキャスト通信によって転送する際のネットワーク図である。矢印430は、POS端末130からPOS端末100にデータパケットが伝送されることを表している。同様に、矢印431は、POS端末130からPOS端末110にデータパケットが伝送されることを表している。同様に、矢印432は、POS端末130からPOS端末150にデータパケットが伝送されることを表している。同様に、矢印433は、POS端末130からPOS端末140にデータパケットが伝送されることを表している。
【0072】
図6(b)は、POS端末100乃至150及びゲートウェイ200のアドレス及び通信チャネルを表した表である。
【0073】
図6(c)は、POS端末130がブロードキャスト通信によって送信するデータパケットである。
【0074】
POS端末130は以下に例示するように動作する。
POS端末130の通信部105は、POS端末100からchAでのブロードキャスト通信によって送信されたデータパケットを受信する。POS端末130の制御部101は、POS端末110と同様に、自端末に宛てられたデータパケットではないと判断する。POS端末130の制御部101は、図6(c)に示すように、データパケットの転送履歴に関する領域に自端末のアドレスである「0130」を追加する。POS端末130の制御部101が加工したデータパケットは、転送履歴を除いて、POS端末130がPOS端末100から受信したデータパケットと同一である。
【0075】
POS端末130の通信部105は、ゲートウェイ200に宛てられたデータパケットの受信に応じて、上述のように自端末のアドレスが追加されたデータパケットを送信する。POS端末130の通信部105の通信チャネルは、chAに設定されている。そのため、POS端末130の通信部105は、POS端末110と同様に、図6(a)に示すように、データパケットをchAでのブロードキャスト通信によって送信する。
【0076】
POS端末130から送信されるデータパケットは、POS端末130に隣接し、無線メッシュネットワーク400で接続されたPOS端末100、POS端末110、POS端末140及びPOS端末150に到達する。
【0077】
POS端末100の通信チャネルは、POS端末130と異なるchBに設定されている。そのため、POS端末100は、POS端末130からchAでのブロードキャスト通信によって送信されたデータパケットを受信することができない(矢印430)。POS端末110の通信チャネルは、POS端末130と異なるchBに設定されている。そのため、POS端末110は、POS端末130からchAでのブロードキャスト通信によって送信されたデータパケットを受信することができない(矢印431)。
【0078】
POS端末140の通信チャネルは、POS端末130と同一のchAに設定されている。そのため、POS端末140は、POS端末130からchAでのブロードキャスト通信によって送信されたデータパケットを受信する(矢印433)。POS端末150の通信チャネルは、POS端末130と同一のchAに設定されている。そのため、POS端末150は、POS端末130からchAでのブロードキャスト通信によって送信されたデータパケットを受信する(矢印432)。POS端末140及びPOS端末150は、自端末に宛てられたデータパケットではないと判断し、データパケットを転送する。POS端末140及びPOS端末150の動作は、上述のPOS端末110及びPOS端末130と同様であるので、説明を省略する。
【0079】
POS端末130では、制御部101は、通信部105によるchAでのデータパケットの送信に応じて、通信部105の通信チャネルをchAからchBへ変更する。これにより、POS端末130の通信部105の通信チャネルは、図6(b)に示すように、chBに設定される。POS端末130では、制御部101は、通信部105によるchAでのデータパケットの送信後、通信部105への応答信号パケットの到達前に、通信部105の通信チャネルをchAからchBへ変更する。
【0080】
次に、図7を用いてPOS端末120及びゲートウェイ200の動作を説明する。 図7(a)は、POS端末120がPOS端末110から受信したデータパケットをブロードキャスト通信によって転送する際のネットワーク図である。矢印440は、POS端末120からPOS端末110にデータパケットが伝送されることを表している。同様に、矢印441は、POS端末120からPOS端末150にデータパケットが伝送されることを表している。同様に、矢印442は、POS端末120からゲートウェイ200にデータパケットが伝送されることを表している。
【0081】
図7(b)は、POS端末100乃至150及びゲートウェイ200のアドレス及び通信チャネルを表した表である。
【0082】
図7(c)は、POS端末120がブロードキャスト通信によって送信するデータパケットである。
【0083】
POS端末120は以下に例示するように動作する。
POS端末120の通信部105は、POS端末110からchAでのブロードキャスト通信によって送信されたデータパケットを受信する。POS端末120の制御部101は、POS端末110と同様に、自端末に宛てられたデータパケットではないと判断する。POS端末120の制御部101は、図7(c)に示すように、データパケットの転送履歴に関する領域に自端末のアドレスである「0120」を追加する。そのため、データパケットの転送履歴に関する領域には、「0110」及び「0120」のアドレスが転送順に並べて格納されている。
【0084】
POS端末120の通信部105は、ゲートウェイ200に宛てられたデータパケットの受信に応じて、上述のように自端末のアドレスが追加されたデータパケットを送信する。POS端末120の通信部105の通信チャネルは、chAに設定されている。そのため、POS端末120の通信部105は、POS端末110と同様に、図7(a)に示すように、データパケットをchAでのブロードキャスト通信によって送信する。
【0085】
POS端末120から送信されるデータパケットは、POS端末120に隣接し、無線メッシュネットワーク400で接続されたPOS端末110、POS端末150及びゲートウェイ200に到達する。
【0086】
POS端末110の通信チャネルは、POS端末120と異なるchBに設定されている。そのため、POS端末110は、POS端末120からchAでのブロードキャスト通信によって送信されたデータパケットを受信することができない(矢印440)。
【0087】
POS端末150の通信チャネルは、POS端末120と同一のchAに設定されている。そのため、POS端末150は、POS端末120からchAでのブロードキャスト通信によって送信されたデータパケットを受信する(矢印441)。POS端末150は、自端末に宛てられたデータパケットではないと判断し、データパケットを転送する。
【0088】
ゲートウェイ200の通信チャネルは、POS端末120と同一のchAに設定されている。そのため、ゲートウェイ200は、POS端末120からchAでのブロードキャスト通信によって送信されたデータパケットを受信する(矢印442)。
【0089】
POS端末120では、制御部101は、通信部105によるchAでのデータパケットの送信に応じて、通信部105の通信チャネルをchAからchBへ変更する。これにより、POS端末120の通信部105の通信チャネルは、図7(b)に示すように、chBに設定される。POS端末120では、制御部101は、通信部105によるchAでのデータパケットの送信後、通信部105への応答信号パケットの到達前に、通信部105の通信チャネルをchAからchBへ変更する。
【0090】
ゲートウェイ200は以下に例示するように動作する。
第1通信部205は、POS端末120からchAでのブロードキャスト通信によって送信されたデータパケットを受信する。制御部201は、データパケットに格納されている宛先及び最終宛先のアドレスと自端末のアドレスを比較する。最終宛先のアドレスと自端末のアドレスは同一である。制御部201は、POS端末120からのデータパケットが自端末に宛てられたデータパケットであると判断する。
【0091】
制御部201は、第1通信部205による自端末に宛てられたデータパケットの受信に応じて、第1通信部205の通信チャネルをchAからchBへ変更する。これにより、ゲートウェイ200の第1通信部205の通信チャネルは、図7(b)に示すように、chBに設定される。
【0092】
制御部201は、第2通信部206を介して、ネットワーク300にPOS端末100で作成されたデータパケットに含まれる保守情報をアップロードすることができる。
【0093】
次に、図8を用いてゲートウェイ200の動作を説明する。
図8(a)は、ゲートウェイ200が応答信号パケットをユニキャスト通信によって送信する際のネットワーク図である。矢印450は、ゲートウェイ200からPOS端末120に応答信号パケットが伝送されることを表している。
【0094】
図8(b)は、POS端末100乃至150及びゲートウェイ200のアドレス及び通信チャネルを表した表である。
【0095】
図8(c)は、ゲートウェイ200がユニキャスト通信によってPOS端末120に送信する応答信号パケットである。応答信号パケットは、データパケットとは逆に、ゲートウェイ200からPOS端末100に宛てられているものとする。応答信号パケットは、宛先に関する領域、送信元に関する領域、データに関する領域及び転送情報に関する領域を含む。
【0096】
宛先は、ゲートウェイ200から送信される応答信号パケットを次に受信する端末を示す。ここで、ゲートウェイ200は、応答信号パケットをデータパケットの経路の逆順で返送する。制御部201は、データパケットに格納されている転送履歴のアドレスを参照する。制御部201は、ゲートウェイ200がデータパケットをPOS端末120から受信したと判断する。制御部201は、宛先に関する領域にPOS端末120のアドレスである「0120」を格納する。
【0097】
送信元は、応答信号パケットの送信元の端末を示す。制御部201は、送信元に関する領域に自端末のアドレスである「0200」を格納する。
【0098】
データは、データパケットに対してゲートウェイ200がPOS端末100に宛てた応答である。制御部201は、データに関する領域に「ACK」を格納する。
【0099】
転送情報は、ゲートウェイ200からPOS端末100までの間で、応答信号パケットを送信または受信する全ての端末のアドレスを示す。制御部201は、データパケットに格納されている送信元、最終宛先及び転送履歴のアドレスを参照し、POS端末100からゲートウェイ200までの間の経路を把握する。制御部201は、ゲートウェイ200からPOS端末100に応答信号パケットを返送するための転送情報を作成する。
【0100】
典型例では、制御部201は、データパケットに格納されている転送順に並べられた転送履歴のアドレスを逆順に並べる。この例では、制御部201は、転送情報に関する領域に「0200」、「0120」、「0110」、「0100」の順に並べて格納する。POS端末100は、応答信号パケットの最終宛先である。
【0101】
ゲートウェイ200は以下に例示するように動作する。
制御部201は、図8(c)に示すように、自端末とは異なる端末であるPOS端末100に宛てられた応答信号パケットを作成する。POS端末100に宛てられた応答信号パケットは、POS端末100を最終宛先とするデータパケットということもできる。
【0102】
第1通信部205の通信チャネルは、chBに設定されている。そのため、第1通信部205は、通信チャネルのchAからchBへの変更に応じて、POS端末100に宛てられた応答信号パケットを送信する。第1通信部205は、図8(a)に示すように、応答信号パケットをchBでのユニキャスト通信によってPOS端末120に送信する。
【0103】
ゲートウェイ200から送信される応答信号パケットは、POS端末120に到達する。POS端末120の通信チャネルは、図8(b)に示すように、ゲートウェイ200と同一のchBに設定されている。そのため、POS端末120は、ゲートウェイ200からchBでのユニキャスト通信によって送信された応答信号パケットを受信する(矢印450)。
【0104】
制御部201は、第1通信部205によるchBでの応答信号パケットの送信に応じて第1通信部205の通信チャネルをchBからchAへ変更する。これにより、第1通信部205の通信チャネルは、図8(b)に示すように、chAに設定される。
【0105】
次に、図9を用いてPOS端末120の動作を説明する。
図9(a)は、POS端末120が応答信号パケットをユニキャスト通信によって転送する際のネットワーク図である。矢印460は、POS端末120からPOS端末110に応答信号パケットが伝送されることを表している。
【0106】
図9(b)は、POS端末100乃至150及びゲートウェイ200のアドレス及び通信チャネルを表した表である。
【0107】
図9(c)は、POS端末120がユニキャスト通信によってPOS端末110に送信する応答信号パケットである。
【0108】
POS端末120は以下に例示するように動作する。
POS端末120の通信部105は、ゲートウェイ200からchBでのユニキャスト通信によって送信された応答信号パケットを受信する。POS端末120の制御部101は、応答信号パケットに格納されている転送情報のアドレスを参照し、応答信号パケットの最終宛先のアドレスを「0100」と判断する。これにより、POS端末120の制御部101は、自端末に宛てられた応答信号パケットではないと判断する。自端末に宛てられた応答信号パケットは、自端末を最終宛先とする応答信号パケットということもできる。POS端末120の制御部101は、応答信号パケットに格納されている転送情報のアドレスを参照し、応答信号パケットの次の転送先のアドレスを「0110」と判断する。
【0109】
POS端末120の制御部101は、ゲートウェイ200から受信した応答信号パケットを加工する。POS端末120の制御部101は、図9(c)に示すように、宛先に関する領域にPOS端末110のアドレスである「0110」を格納する。POS端末120の制御部101は、図9(c)に示すように、送信元に関する領域に自端末のアドレスである「0120」を格納する。POS端末120が加工した応答信号パケットは、宛先及び送信元を除いて、POS端末120がゲートウェイ200から受信した応答信号パケットと同一である。
【0110】
POS端末120の通信部105は、POS端末100に宛てられた応答信号パケットの受信に応じて、上述のように加工された応答信号パケットを送信する。POS端末120の通信部105の通信チャネルは、chBに設定されている。そのため、POS端末120の通信部105は、応答信号パケットをchBでのユニキャスト通信によってPOS端末110に送信する。
【0111】
POS端末120から送信される応答信号パケットは、POS端末110に到達する。POS端末110の通信チャネルは、図9(b)に示すように、POS端末110と同一のchBに設定されている。そのため、POS端末110は、POS端末120からchBでのユニキャスト通信によって送信された応答信号パケットを受信する(矢印460)。
【0112】
POS端末120では、制御部101は、通信部105によるchBでの応答信号パケットの送信に応じて通信部105の通信チャネルをchBからchAへ変更する。これにより、POS端末120の通信部105の通信チャネルは、図9(b)に示すように、chAに設定される。
【0113】
次に、図10を用いてPOS端末110及びPOS端末100の動作を説明する。 図10(a)は、POS端末110が応答信号パケットをユニキャスト通信によって転送する際のネットワーク図である。矢印470は、POS端末110からPOS端末100に応答信号パケットが伝送されることを表している。
【0114】
図10(b)は、POS端末100乃至150及びゲートウェイ200のアドレス及び通信チャネルを表した表である。
【0115】
図10(c)は、POS端末110がユニキャスト通信によってPOS端末100に送信する応答信号パケットである。
【0116】
POS端末110は以下に例示するように動作する。
POS端末110の通信部105は、POS端末120からchBでのユニキャスト通信によって送信された応答信号パケットを受信する。POS端末110の制御部101は、応答信号パケットに格納されている転送情報のアドレスを参照し、応答信号パケットの最終宛先のアドレスを「0100」と判断する。これにより、POS端末110の制御部101は、自端末に宛てられた応答信号パケットではないと判断する。POS端末110の制御部101は、応答信号パケットに格納されている転送情報のアドレスを参照し、応答信号パケットの次の転送先のアドレスを「0100」と判断する。
【0117】
POS端末110の制御部101は、POS端末120から受信した応答信号パケットを加工する。POS端末110の制御部101は、図10(c)に示すように、宛先に関する領域にPOS端末100のアドレスである「0100」を格納する。POS端末120の制御部101は、図10(c)に示すように、送信元に関する領域に自端末のアドレスである「0110」を格納する。POS端末110が加工した応答信号パケットは、宛先及び送信元を除いて、POS端末110がPOS端末110から受信した応答信号パケットと同一である。
【0118】
POS端末110の通信部105は、POS端末100に宛てられた応答信号パケットの受信に応じて、上述のように加工された応答信号パケットを送信する。POS端末110の通信部105の通信チャネルは、chBに設定されている。そのため、POS端末110の通信部105は、応答信号パケットをchBでのユニキャスト通信によってPOS端末100に送信する。
【0119】
POS端末110から送信される応答信号パケットは、POS端末100に到達する。POS端末100の通信チャネルは、図10(b)に示すように、POS端末110と同一のchBに設定されている。そのため、POS端末100は、POS端末110からchBでのユニキャスト通信によって送信された応答信号パケットを受信する(矢印470)。
【0120】
POS端末110では、制御部101は、通信部105によるchBでの応答信号パケットの送信に応じて通信部105の通信チャネルをchBからchAへ変更する。これにより、POS端末110の通信部105の通信チャネルは、図10(b)に示すように、chAに設定される。
【0121】
POS端末100は以下に例示するように動作する。
POS端末100の通信部105は、POS端末110からchBでのユニキャスト通信によって送信された応答信号パケットを受信する。POS端末100の制御部101は、応答信号パケットに格納されている転送情報のアドレスを参照する。POS端末100の制御部101は、応答信号パケットの最終宛先のアドレスが自端末のアドレスであると判断する。これにより、POS端末100の制御部101は、ゲートウェイ200で作成された応答信号パケットが自端末に宛てられた応答信号パケットであると判断する。
【0122】
POS端末100では、制御部101は、通信部105による自端末に宛てられた応答信号パケットの受信に応じて、通信部105の通信チャネルをchBからchAへ変更する。これにより、POS端末100の通信部105の通信チャネルは、図10(c)に示すように、chAに設定される。
【0123】
POS端末100は、自端末に宛てられた応答信号パケットを受信することで、ゲートウェイ200に保守情報を含むデータパケットが届いたことを確認することができる。
【0124】
なお、POS端末130は、応答信号パケットを受信しない。そのため、POS端末130の通信部105の通信チャネルは、図10(b)に示すように、chBのままである。POS端末130では、制御部101は、通信部105による応答信号パケットの受信前であって、通信部105によるchAでのデータパケットの送信後から所定時間経過後に、通信部105の通信チャネルをchBからchAへ変更する。他のPOS端末についても同様である。
【0125】
例えば、chBからchAへ変更されるまでの時間は、ゲートウェイ200から最も離れたPOS端末がゲートウェイ200にデータパケットを伝送する際に要する時間の2倍であってもよい。chBからchAへ変更されるまでの時間は、ブロードキャスト送信の転送回数が制限されている場合には、制限した回数分の転送に要する時間の2倍などであってもよい。
【0126】
これにより、POS端末130は、応答信号パケットを必要以上に長時間待ち続けることはないので、次のデータパケットの受信に備えることができる。
【0127】
本実施形態によれば、POS端末は、自端末とは異なる端末に宛てられたデータパケットをchAでのブロードキャスト通信によって送信(転送)する。
これにより、POS端末は、目的の端末にデータパケットを伝送することができる。
【0128】
さらに、POS端末は、データパケットの送信(転送)に応じて、通信部105の通信チャネルをchAからchBへ変更する。
これにより、POS端末は、データパケットの送信後に、別のデータパケットの不要な受信を抑えることができる。そのため、POS端末は、データパケットの送信後に、別のデータパケットをブロードキャスト通信によって送信し続けることはない。その結果、POS端末は、送信元の端末への応答信号パケットがブロードキャスト通信によるデータパケットの送信によって妨害を受けないようにすることができる。
【0129】
さらに、POS端末は、chAでのデータパケットの送信(転送)後、応答信号パケットの到達前に、通信部105の通信チャネルをchAからchBへ変更する。
これにより、POS端末は、応答信号パケットを受信することができなくなるのを防ぐことができる。
【0130】
さらに、POS端末は、応答信号パケットをchBでのユニキャスト通信によって送信(転送)する。
これにより、POS端末は、保守情報を含むデータパケットの送信元のPOS端末に保守情報が届いたことを示す応答信号パケットを返すことができる。また、POS端末は、ブロードキャスト通信ではなくユニキャスト通信によって応答信号パケットを送信するので、応答信号パケットの不要な送信を抑えることができる。また、POS端末は、chAとは異なるchBで応答信号パケットを送信するので、ブロードキャスト通信のデータパケットと応答信号パケットの衝突を防ぐことができる。その結果、POS端末は、送信元の端末への応答信号パケットがブロードキャスト通信によるデータパケットの送信によって妨害を受けないようにすることができる。
【0131】
さらに、POS端末は、応答信号パケットの送信(転送)に応じて、通信部105の通信チャネルをchBからchAへ変更する。
これにより、POS端末は、次のデータパケットの受信に備えることができる。例えば、POS端末は、別のPOS端末が新規に保守情報などを含むデータパケットを送信した際に、そのデータパケットを受信した後に送信することができる。
【0132】
さらに、データパケットの送信元のPOS端末は、ユニキャスト通信による応答信号パケットの受信に応じて、通信部105の通信チャネルをchBからchAへ変更する。 これにより、POS端末は、次のデータパケットの受信に備えることができる。例えば、POS端末は、別のPOS端末が新規に保守情報などを含むデータパケットを送信した際に、そのデータパケットを受信した後に送信することができる。
【0133】
さらに、POS端末は、応答信号パケットの受信前であって、chAでのデータパケットの送信後から所定時間経過後に、通信部105の通信チャネルをchBからchAへ変更する。
これにより、POS端末は、応答信号パケットを必要以上に長時間待ち続けることはないので、次のデータパケットの受信に備えることができる。例えば、POS端末は、別のPOS端末が新規に保守情報などを含むデータパケットを送信した際に、そのデータパケットを受信した後に送信することができる。
【0134】
さらに、POS端末は、ブロードキャスト通信によってデータパケットを転送する際に、データパケットの転送履歴に関する領域に自端末のアドレスを格納する。
これにより、ゲートウェイ200は、転送履歴に基づいてデータパケットの経路を把握することができる。また、ゲートウェイ200は、応答信号パケットを伝送する経路(転送情報)を作成することができる。
【0135】
さらに、ゲートウェイ200は、自端末に宛てられたデータパケットの受信に応じて、第1通信部205の通信チャネルをchAからchBへ変更する。
これにより、ゲートウェイ200は、データパケットの受信後の不要な受信を抑えることができる。
【0136】
さらに、ゲートウェイ200は、chBでの応答信号パケットの送信に応じて、第1通信部205の通信チャネルをchBからchAへ変更する。
これにより、ゲートウェイ200は、chAとは異なるchBで応答信号パケットを送信するので、ブロードキャスト通信のデータパケットと応答信号パケットの衝突を防ぐことができる。その結果、ゲートウェイ200は、送信元の端末への応答信号パケットがブロードキャスト通信によるデータパケットの送信によって妨害を受けないようにすることができる。また、ゲートウェイ200は、次のデータパケットの受信に備えることができる。例えば、ゲートウェイ200は、POS端末が新規に保守情報などを含むデータパケットを送信した際に、そのデータパケットを受信することができる。
【0137】
本実施形態の変形例について説明する。
本実施形態では、応答信号パケットの通信用の周波数チャネルは、記憶部102及び記憶部202に記憶されているとしたが、これに限定さない。応答信号パケットの通信用の周波数チャネルは、データパケットの送信元となるPOS端末によって指定されてもよい。
【0138】
図11は、変形例となるデータパケットの構成を例示する図である。
データパケットは、チャネルに関する領域を含む。
【0139】
チャネルに関する領域は、応答信号パケットの通信チャネルを指定する情報を含む。例えば、データパケットの送信元となるPOS端末では、制御部101は、応答信号パケットの通信チャネルがchBであることを示す情報をデータパケットに付加する。通信部105は、応答信号パケットの通信チャネルがchBであることを示す情報が付加されたデータパケットを送信する。
【0140】
このデータパケットを受信したPOS端末では、制御部101は、データパケットを参照し、応答信号パケットの通信チャネルを用いる。例えば、制御部101は、応答信号パケットの通信チャネルとして、chBを用いる。このデータパケットを受信したゲートウェイ200についても同様である。
【0141】
これにより、応答信号パケットの通信用の周波数チャネルは、予め固定されることなく、周囲の環境に応じて適宜変更して用いることができる。
【0142】
本発明のいくつかの実施形態を説明したがこれらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0143】
1・・・保守用ネットワークシステム
100、110、120、130、140、150・・・POS端末
101・・・制御部
102・・・記憶部
103・・・操作部
104・・・表示部
105・・・通信部
106・・・I/F(インターフェース)部
107・・・通知部
200・・・ゲートウェイ
201・・・制御部
202・・・記憶部
203・・・通知部
204・・・I/F部
205・・・第1通信部
206・・・第2通信部
300・・・ネットワーク
400・・・無線メッシュネットワーク

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-07-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチホップ通信によって情報の伝送を行う無線メッシュネットワークを構成する無線通信装置であって、
ブロードキャスト通信によるメッセージを受信し、前記メッセージに格納されているアドレスに基づいて自装置に宛てられたものではないと判断された前記メッセージを第1の周波数チャネルでのブロードキャスト通信によって送信する通信部と、
前記通信部による前記第1の周波数チャネルでの前記メッセージの送信前記無線メッシュネットワークの構成による時間の経過前に、前記通信部の通信チャネルを前記第1の周波数チャネルから前記メッセージに対応する応答信号の通信用の第2の周波数チャネルへ変更する制御部と、
を備える無線通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記通信部による前記第1の周波数チャネルでの前記メッセージの送信後、前記無線通信装置と前記応答信号の送信元の他の無線通信装置との間の推定されたパケットの往復時間の経過前に、前記通信部の通信チャネルを前記第1の周波数チャネルから前記第2の周波数チャネルへ変更する、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記通信部は、前記応答信号を受信し、前記応答信号を前記第2の周波数チャネルでのユニキャスト通信によって自装置とは異なる無線通信装置へ送信し、
前記制御部は、前記通信部による前記応答信号の送信に応じて、前記通信部の通信チャネルを前記第2の周波数チャネルから前記第1の周波数チャネルへ変更する、
請求項1又は2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記応答信号は、前記無線通信装置とは異なる他の無線通信装置が送信元となる信号である、請求項1から請求項3のうちの何れか一項に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記制御部は、自装置に宛てられたものではないと判断された前記メッセージの転送履歴に関する領域に自装置のアドレスを追加し、
前記通信部は、自装置のアドレスを追加された前記メッセージを前記第1の周波数チャネルでのブロードキャスト通信によって送信する、
請求項1から請求項4のうちの何れか一項に記載の無線通信装置。
【請求項6】
マルチホップ通信によって情報の伝送を行う無線メッシュネットワークを構成する無線通信装置のコンピュータに、
通信部を介して、ブロードキャスト通信によるメッセージを受信し、前記メッセージに格納されているアドレスに基づいて自装置に宛てられたものではないと判断された前記メッセージを第1の周波数チャネルでのブロードキャスト通信によって送信する機能と、
前記通信部による前記第1の周波数チャネルでの前記メッセージの送信後、前記無線メッシュネットワークの構成による時間の経過前に、前記通信部の通信チャネルを前記第1の周波数チャネルから前記メッセージに対応する応答信号の通信用の第2の周波数チャネルへ変更する機能と、
を実行させることが可能なプログラム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
実施形態に係る無線通信装置は、マルチホップ通信によって情報の伝送を行う無線メッシュネットワークを構成する無線通信装置である。前記無線通信装置は、通信部と、制御部とを備える。前記通信部は、ブロードキャスト通信によるメッセージを受信し、前記メッセージに格納されているアドレスに基づいて自装置に宛てられたものではないと判断された前記メッセージを第1の周波数チャネルでのブロードキャスト通信によって送信する。前記制御部は、前記通信部による前記第1の周波数チャネルでの前記メッセージの送信前記無線メッシュネットワークの構成による時間の経過前に、前記通信部の通信チャネルを前記第1の周波数チャネルから前記メッセージに対応する応答信号の通信用の第2の周波数チャネルへ変更する。