(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126540
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】エンドキシフェンを製造および使用する方法
(51)【国際特許分類】
C07C 217/60 20060101AFI20230831BHJP
A61K 31/138 20060101ALI20230831BHJP
A61P 15/08 20060101ALI20230831BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20230831BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230831BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230831BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20230831BHJP
A61K 9/52 20060101ALI20230831BHJP
A61K 9/22 20060101ALI20230831BHJP
A61P 43/00 20060101ALN20230831BHJP
A61K 31/343 20060101ALN20230831BHJP
A61K 31/4525 20060101ALN20230831BHJP
A61K 31/135 20060101ALN20230831BHJP
A61K 31/496 20060101ALN20230831BHJP
【FI】
C07C217/60 CSP
A61K31/138
A61P15/08
A61P15/00
A61P35/00
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/52
A61K9/22
A61P43/00 121
A61K31/343
A61K31/4525
A61K31/135
A61K31/496
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023116961
(22)【出願日】2023-07-18
(62)【分割の表示】P 2020511956の分割
【原出願日】2018-09-10
(31)【優先権主張番号】62/556,799
(32)【優先日】2017-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/556,884
(32)【優先日】2017-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/624,787
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/693,885
(32)【優先日】2018-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520063004
【氏名又は名称】アトッサ セラピューティクス,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン シー. クウェイ
(72)【発明者】
【氏名】スン ヤオリン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ルンフ
(72)【発明者】
【氏名】ウー チャンジュン
(72)【発明者】
【氏名】フアン チュアンデル
(57)【要約】
【課題】 疾患を処置する方法を提供すること
【解決手段】 本開示は、(Z)-エンドキシフェンあるいはその塩、エンドキシフェンの結晶形態、および、それらを含む組成物を製造する産業上拡張可能な方法を提供する。本開示はさらに、ホルモン依存性乳房障害とホルモン依存性生殖器系障害を処置するための方法を提供する。本開示は、ホルモン依存性の乳房と生殖器系(婦人科医学)の病気の処置および/または予防のための組成物と方法を提供することによってこの必要性に対処する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2017年9月11日に出願された米国仮特許出願62/556,799号
;2017年9月11日に出願された米国仮特許出願第62/556,884号;201
8年1月31日に出願された米国仮特許出願第62/624,787号;および、201
8年7月3日に出願された米国仮特許出願第62/693,885号の利益を主張し、各
々は、その全体が引用によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
乳癌は、女性の癌で突出して最も一般的な形態であり、ヒトにおける癌による死の2番
目に主要な原因である。乳癌の診断および処置の進歩にもかかわらず、この疾患の罹患率
は、1940年以降1年ごとに約1%の割合で着実に上昇している。今日、北米に暮らす
女性が生涯において乳癌を進行させる可能性は、8人に1人である。乳癌に加えて、多く
の女性に影響する他の乳房障害としては、良性であるがしばしば前癌性の病変、例えば、
乳管過形成、小葉過形成、異型乳管過形成、および異型小葉過形成が挙げられる。
【0003】
乳癌の処置のための現行の最良の実施は、マンモグラフィーにより乳癌を診断し、その
後、手術、放射線治療、および化学療法で患者を処置することである。現行のマンモグラ
フィーの広範囲の使用の結果、乳癌の検出の改善がもたらされた。乳癌は女性と比べて男
性の方が約100倍少ないが、乳癌に罹る男性の生涯リスクは1,000分の1である。
侵襲性の乳癌の約2,470の新しい症例が男性で診断され、約460人が乳癌で死亡す
る。アメリカ癌協会は、2017年に、乳癌の255,180の新しい症例が男性と女性
の両方で診断され、41,070の被験体が乳癌で死亡すると予測している。それにもか
かわらず、乳癌による死亡率は、女性100,000人あたり約21人が、男性100,
000人あたり約0.4人が死亡するという状況で比較的変化のないままである。たいて
いは、治療の選択肢と生存率があまりにも制限されていると、乳癌は極端に進行したステ
ージで発見される。
【0004】
乳癌は、乳腺細胞の任意の悪性腫瘍を含む。いくつかのタイプの乳癌がある。典型的な
乳癌は、限定されないが、非浸潤性乳管癌、非浸潤性小葉癌、侵襲性(または浸潤性)乳
管癌、侵襲性(または浸潤性)小葉癌、炎症性乳癌、トリプルネガティブ乳癌、ER+乳
癌、HER2+乳癌、腺様嚢胞癌(または腺嚢癌腫)、低悪性度腺扁平上皮癌、髄様癌、
粘液性(または膠様)癌、乳頭癌、管状癌、化生性癌、および微小乳頭癌を含む。単一の
乳房腫瘍は、これらの型の組み合わせであり得るか、または浸潤癌と上皮内癌の混合であ
り得る。
【0005】
タモキシフェンは、内分泌反応性の乳癌、つまり、ホルモン依存性あるいはホルモン感
受性の乳癌)を患う女性の処置に使用される選択的エストロゲン受容体モジュレーターで
ある。主としてタモキシフェンの経口送達によるアジュバント療法は、血管運動症状、例
えば、ほてりと、生殖器系(婦人科)癌などの重い副作用があることが知られている。患
者のコンプライアンスは、タモキシフェン治療に関しては依然として問題となっている。
さらに、アジュバントタモキシフェン治療における個体の大部分は薬物に反応せず、患者
の30-50%はその後、その疾患で死亡する。
【0006】
いくつかのシトクロムP450(CYP)突然変異は、タモキシフェンの、その活性代
謝物、エンドキシフェンに対する転換の減少を引き起こし、かつ、タモキシフェンの有効
性を減少させ、薬物に対する耐性を増大させることが提唱されている。これまでに、CY
P2D6の140以上の対立遺伝子変異が記述されており、これらのかなりの部分がコー
ドされた酵素の活性の減少あるいは不在に関連付けられる。保有される対立遺伝子の組み
合わせに基づいて、個々の被験体はそれぞれ、4つの表現型のグループ:血清エンドキシ
フェンのレベルの変動を反映する、30nM未満の血漿エンドキシフェンレベルの低代謝
群(PM)、中程度の代謝物(IM)、高代謝群(EM)、および超高速代謝群(UM)
の1つに分類され得る。しかしながら、CYP遺伝子型の変動は、複数の被験体で観察さ
れたタモキシフェン抵抗と減少したエンドキシフェンレベルを完全に説明するものではな
い。
【0007】
したがって、タモキシフェンの複数の代替物は、乳癌の処置のために開発され、低用量
のタモキシフェン(Lazzeroni M et al. Breast Cance
r Res. 2012 Oct 29; 14(5):214)とタモキシフェンの活
性代謝物であるアフィモキシフェン(U.S. Patent Nos.7,485,6
23)7,507,769;7,704,516;7,786,172;7,968,5
32;および、8,048,927;Mansel R et al. Breast
Cancer Res Treat. 2007 Dec; 106(3):389-9
7. PubMed PMID: 17351746; Rouanet P et a
l. J ClinOncol. 2005 May 1;23(13):2980-7
. PubMed PMID: 15860853)エンドキシフェン(US93331
90; U.S. Patent Nos. 9,220,680; 9,090,64
0; および、9,200,045; U.S. Publication Nos.
2009/0291134、および、US20100112041を参照)、および、そ
れらの誘導体(U.S. Patent Nos. 8,063,249; U.S.
Publication Nos. 2015/0080339;および、2014/0
193334を参照)を含む。(Z)-エンドキシフェンがタモキシフェンの臨床的有効
性の責任を追う主たる活性代謝物であることは広く受け入れられている。
【0008】
エンドキシフェンの塩酸塩とクエン酸塩の塩(例えば、Fauq et al., B
ioorganic & Medicinal Chemistry Letters.
20 (2010) 3036-3038; Stearns et al., J.
Natl. Cancer Inst. Vol 95, No. 23, 2003
; US Publication Nos. 2009/0291134 and 2
010/0112041; Clinical Trials Gov. Identi
fier Nos. NCT01273168 and NCT02311933; G
oetz et al., 2015, San Antonio Cancer Sy
mposium; Ahmad et al., Clinical Pharmaco
logy & Therapeutics. 88(6) 814-817, 2010
; and J Clin. Oncol. 30, 2012 (suppl; ab
str 3089); Ahmad et al. Breast Cancer Re
search and Treatment 2010, 122, 579-584を
参照)は、当該技術分野で知られており、現在、転移性癌について評価段階にあるが、新
規な組成物用の未解決の医学的ニーズ、およびホルモン依存性の乳房と生殖器系(婦人科
医学)の病気の処置および/または予防のための新しい組成物と方法に対する医学的な必
要性は満たされないままである。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、ホルモン依存性の乳房と生殖器系(婦人科医学)の病気の処置および/また
は予防のための組成物と方法を提供することによってこの必要性に対処する。ある態様で
は、本開示は、Z-エンドキシフェンあるいはその塩、エンドキシフェンの結晶形態、お
よび、それらを含む組成物を作る新規の産業的に拡張可能な方法を提供する。ある態様で
は、本開示は、他の結晶形態または非晶質形態と比較して、改善されたバイオアベイラビ
リティおよび安定性を含む利点を提供しうるエンドキシフェンの新規な結晶形態を提供す
る。
【0010】
特定の態様では、本開示は、式(III)の化合物の結晶形態を含む組成物を提供する
:
【0011】
【0012】
いくつかの実施形態において、組成物中の式(III)の化合物の少なくとも90重量
%は、(Z)-異性体である。いくつかの実施形態において、結晶形態は式(III)の
化合物の形態Iである。結晶形態Iは、16.8 ± 0.3°、17.1 ± 0.3
°、および21.8 ± 0.3°2θにおける主ピークを含み、随意に、16.0 ±
0.3°、18.8 ± 0.3°、および26.5 ± 0.3°2θから選択され
た少なくとも1つのピークを随意に含む、X線粉末回折パターンを特徴とし得る。いくつ
かの実施形態において、X線粉末回折パターンはさらに、12.3±0.3°、28.0
±0.3°、および29.0±0.3°2θから選択された少なくとも1つのピークを含
む。X線粉末回折パターンはさらに、12.3±0.3°、16.0±0.3°、18.
8±0.3°、26.5±0.3°、28.0±0.3°、および29.0±0.3°2
θにおけるピークを含み得る。いくつかの実施形態において、結晶形態Iは、
図9あるい
は
図10に実質的に記載されるX線粉末回折パターンを特徴とする。組成物中の式(II
I)の化合物の90重量%、95重量%、あるいは99重量%が、結晶形態Iであり得る
。いくつかの実施形態において、組成物は、0.01mgから200mgの結晶形態、例
えば、約1mg、2mg、4mg、6mg、10mg、あるいは20mgの結晶形態Iを
含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、組成物は、式(III)の化合物の(E)-異性体と(
Z)-異性体を、0.9から1.3の間のE/Z比率、例えば、約1.1で含む。いくつ
かの実施形態において、結晶形態は式(III)の化合物の形態IIである。結晶形態I
Iは、7.0±0.3°、11.9±0.3°、14.0±0.3°、および18.4±
0.3°2θにおける主ピークを含み、随意に22.0±0.3°2θにおけるピークを
さらに含む、X線粉末回折パターンを特徴とし得る。いくつかの実施形態において、X線
粉末回折パターンはさらに、6.6±0.3°、13.3±0.3°、および20.0±
0.3°2θから選択された少なくとも1つのピークを含む。X線粉末回折パターンはさ
らに、6.6±0.3°、13.3±0.3°、20.0±0.3°、および22.0±
0.3°2θにおけるピークを含み得る。いくつかの実施形態において、結晶形態IIは
、
図11あるいは
図12に実質的に記載されるX線粉末回折パターンを特徴とする。組成
物中の式(III)の化合物の90重量%、95重量%、あるいは99重量%が、結晶形
態IIであり得る。いくつかの実施形態において、組成物は、0.01mgから200m
gの結晶形態II、例えば、約1mg、2mg、4mg、6mg、10mg、あるいは2
0mgの結晶形態IIを含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、組成物は、式(III)の化合物の(E)-異性体と(
Z)-異性体を、0.9から1.3の間のE/Z比率、例えば、約1.1で含む。いくつ
かの実施形態において、結晶形態は式(III)の化合物の形態IIIである。結晶形態
IIIは、11.9±0.3°、13.9±0.3°、17.1±0.3°、および17
.7±0.3°2θにおける主ピークを含み、随意に25.3±0.3°2θにおけるピ
ークをさらに含む、X線粉末回折パターンを特徴とし得る。いくつかの実施形態において
、X線粉末回折パターンはさらに、18.2±0.3°、22.5±0.3°、および2
6.8±0.3°2θから選択された少なくとも1つのピークを含む。X線粉末回折パタ
ーンはさらに、18.2±0.3°、22.5±0.3°、25.3±0.3°、および
26.8±0.3°2θにおけるピークを含み得る。いくつかの実施形態において、結晶
形態IIIは、
図13に実質的に記載されるX線粉末回折パターンを特徴とする。組成物
中の式(III)の化合物の90重量%、95重量%、あるいは99重量%が、結晶形態
IIIであり得る。いくつかの実施形態において、組成物は、0.01mgから200m
gの結晶形態III、例えば、約1mg、2mg、4mg、6mg、10mg、あるいは
20mgの結晶形態IIIを含む。
【0015】
ある態様では、本開示は、薬学的に許容可能な担体または希釈剤と、式(III)の化
合物の結晶形態を含む組成物とを含む医薬組成物を提供する。本開示の組成物は、経口、
非経口、局所、あるいは管内の送達のために製剤化され得る。いくつかの実施形態におい
て、組成物は、錠剤、カプレット、カプセル、あるいは丸剤として経口送達のために製剤
化される。いくつかの実施形態において、組成物を用いて処置された被験体のエンドキシ
フェンの平均半減期は、30時間から60時間である。式(III)の化合物の結晶形態
を含む組成物は、腸溶錠剤、腸溶カプレット、腸溶カプセル、遅延放出錠剤、遅延放出カ
プレット、あるいは遅延放出カプセルとして、経口送達のために製剤化され得る。いくつ
かの実施形態において、組成物は、被験体におけるホルモン依存性乳房障害、ホルモン依
存性生殖器系障害、あるいはその両方の処置または予防のために被験体に投与される。
【0016】
ある態様では、本開示は、被験体へ投与される式(III)の化合物の結晶形態を含む
、単位投与量当たり1mgから200mgの組成物を含む経口組成物を提供し、ここで、
経口組成物の毎日の投与は、被験体において以下を達成する:
7~21日以内のエンドキシフェンの定常状態の血漿レベル;
25nMから300nMに及ぶエンドキシフェンの定常状態の血漿レベル;
30nMよりも大きいエンドキシフェンの定常状態の血漿レベル;
投与後の2~10時間以内のエンドキシフェンの最大の血漿レベル;または、
これらの組み合わせ。
【0017】
いくつかの実施形態において、式(III)の化合物の結晶形態を含む組成物を用いて
処置された被験体のエンドキシフェンの平均半減期は、40時間から55時間である。い
くつかの実施形態において、組成物は、腸溶錠剤、腸溶カプレット、腸溶カプセル、遅延
放出錠剤、遅延放出カプレット、あるいは遅延放出カプセルとして製剤化される。いくつ
かの実施形態において、組成物中のエンドキシフェンの少なくとも40%、少なくとも5
0%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、あるいは少なくとも9
0%は、腸で放出される。いくつかの実施形態において、式(III)の化合物の結晶形
態を含む組成物は、200hr*ng/mL~10000hr*ng/mL、300hr
*ng/mL~8000hr*ng/mL、400hr*ng/mL~6000hr*n
g/mL、あるいは、700hr*ng/mL~6000hr*ng/mLのエンドキシ
フェンの時間無限(AUC0-inf)に対して外挿された曲線下での平均面積を示す。
【0018】
ある態様では、本開示は、被験体を処置する方法を提供し、上記方法は、式(III)
の化合物の結晶形態を含む組成物を被験体に投与する工程を含む。いくつかの実施形態に
おいて、被験体は、ホルモン依存性乳房障害、ホルモン依存性生殖器系障害、あるいはそ
の両方を患っているか、患うリスクがある。ホルモン依存性乳房障害あるいはホルモン依
存性生殖器系障害は、良性の乳房障害、過形成、異型性、異型乳管過形成、異型小葉過形
成、増加した乳房密度、女性化乳房、DCIS、LCIS、乳癌、性早熟症、マックーン
-オルブライト症候群、子宮内膜癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頚癌、膣癌、あるいは外陰癌
であり得る。いくつかの実施形態において、被験体は前立腺癌を患っているか、女性化乳
房を患うリスクがある。被験体は、タモキシフェン抵抗性あるいはタモキシフェン耐性の
ホルモン依存性乳房障害あるいはホルモン依存性生殖器系障害を患い得る。いくつかの実
施形態において、被験体は、シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、パロキ
セチン、セルトラリン、およびビラゾドンからなる群から選択されたSSRI薬物で処置
されているか、処置される。
【0019】
主題の方法のいずれかを実施する際、組成物は、0.01mg~200mgの(Z)-
エンドキシフェンを含み得る。いくつかの実施形態において、被験体は、約1mg、2m
g、4mg、6mg、10mg、あるいは20mgの(Z)-エンドキシフェンを毎日投
与される。いくつかの実施形態において、被験体のエンドキシフェンの定常状態の血漿レ
ベルは、30nMよりも大きい。エンドキシフェンの定常状態の血漿レベルは、組成物の
最初の投与の7~21日以内に達成され得る。いくつかの実施形態において、エンドキシ
フェンの最大血漿レベルまでの時間は、組成物の投与後、2時間~10時間あるいは4時
間~8時間に及ぶ。
【0020】
ある態様では、本開示は、ホルモン依存性乳房障害、ホルモン依存性生殖器系障害、あ
るいはその両方を患っている、あるいは、患うリスクがある被験体を処置する方法を提供
し、上記方法は、式(III)の化合物の結晶形態を含む組成物を投与する工程を含み、
ここで、組成物の投与は以下を達成する:
投与後30~60時間までの範囲の被験体のエンドキシフェンの平均半減期;
投与後4~8時間までの範囲のエンドキシフェンの最大血漿レベルまでの時間;
30nMよりも大きいエンドキシフェンの定常状態の血漿レベル。
【0021】
いくつかの実施形態では、ホルモン依存性乳房障害あるいはホルモン依存性生殖器系障
害は、良性の乳房障害、過形成、異型性、異型乳管過形成、異型小葉過形成、増加した乳
房密度、女性化乳房、DCIS、LCIS、乳癌、性早熟症、マックーン-オルブライト
症候群、子宮内膜癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頚癌、膣癌、および、外陰癌からなる群から
選択される。
【0022】
主題の方法のいずれかを実施する際、組成物は、0.01mg~200mgの(Z)-
エンドキシフェンを含み得る。いくつかの実施形態において、被験体は、約1mg、2m
g、4mg、6mg、10mg、あるいは20mgの(Z)-エンドキシフェンを投与さ
れる。エンドキシフェンの時間無限(AUC0-inf)に対して外挿された曲線下での
平均面積は、200hr*ng/mL~10000hr*ng/mL、300hr*ng
/mL~8000hr*ng/mL、400hr*ng/mL~6000hr*ng/m
L、あるいは、700hr*ng/mL~6000hr*ng/mLであり得る。いくつ
かの実施形態において、組成物は、腸溶錠剤、腸溶カプレット、腸溶カプセル、遅延放出
錠剤、遅延放出カプレット、あるいは遅延放出カプセルとして製剤化される。いくつかの
実施形態において、組成物中のエンドキシフェンの少なくとも40%、少なくとも50%
、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、あるいは少なくとも90%
は、腸で放出される。組成物は1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、一日おき、週
に2回、毎週、2週に1回、月に2回、毎月、年に4回、6ヶ月に1回、あるいは毎年、
投与され得る。
【0023】
一態様では、本開示は、以下の工程を含む、(Z)-エンドキシフェンあるいはその塩
を製造する産業上拡張可能なプロセスを提供する:(a)第1の結晶性固体と第1の結晶
性の母液を形成するために、(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混
合物、
【0024】
【化2】
で表される式(III)の化合物を、第1の溶剤からの分別結晶にさらす工程であって、
第1の母液は、(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物のE/Z
比率と比較して、少なくとも50%高い(Z)エンドキシフェンのE/Z比率を有する、
工程;(b)第2の結晶性固体と第2の母液を形成するために、第1の母液を濃縮するこ
とによって、あるいは、第1の母液からの第1の溶剤を1回以上、第2の溶剤と取り替え
ることによって、第2の溶剤からの再結晶化に第1の母液をさらす工程であって、第2の
結晶性固体が、≧90%(Z)-エンドキシフェンである、工程;および、(c)随意に
、第3の結晶性固体を形成するために、第2の結晶性固体を、第3の溶剤からの再結晶化
あるいはクロマトグラフィー処理に1回以上さらす工程。いくつかの実施形態において、
第1の溶剤、第2の溶剤、および第3の溶剤のいずれか1つ以上が、40°Cから80°
Cまでの範囲の温度に予熱される。
【0025】
いくつかの態様では、本開示は、以下の工程を含む、式(III)の化合物の結晶形態
Iを製造するための産業上拡張可能なプロセスを提供する:(a)第1の結晶性固体と第
1の母液を形成するために、(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混
合物、
【0026】
【化3】
で表される式(III)の化合物を、第1の溶剤からの分別結晶にさらす工程であって、
第1の母液は、(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物のE/Z
比率と比較して、少なくとも50%高い(Z)エンドキシフェンのE/Z比率を有する、
工程;(b)第2の結晶性固体と第2の母液を形成するために、第1の母液を濃縮するこ
とによって、あるいは、第1の母液からの第1の溶剤を1回以上、第2の溶剤と取り替え
ることによって、第2の溶剤からの再結晶化に第1の母液をさらす工程であって、第2の
結晶性固体が、≧90%(Z)-エンドキシフェンである、工程;および、(c)第3の
結晶性固体を形成するために、第2の結晶性固体を、第3の溶剤からの再結晶化あるいは
クロマトグラフィー処理に1回以上さらす工程であって、第3の結晶性固体が式(III
)の化合物の結晶形態Iである、工程。
【0027】
ある態様では、本開示は、本明細書に記載された方法に従って生成された式(III)
の化合物の結晶形態を提供する。いくつかの実施形態において、結晶形態は式(III)
の化合物の形態Iである。いくつかの実施形態において、結晶形態は式(III)の化合
物の形態IIである。いくつかの実施形態において、結晶形態は式(III)の化合物の
形態IIIである。
【0028】
他の態様では、本開示は、工程aにおける(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンド
キシフェンの混合物、式(III)の化合物が、6NのHClで前処理され、8NのNa
OHで中和されるということを与える。
【0029】
他の態様では、産業上拡張可能なプロセスはさらに、(E)-エンドキシフェンと(Z
)-エンドキシフェンの混合物を形成するために、不活性な有機溶剤中でのチタン塩と還
元剤によるマクマリー反応によって媒介されたプロピオフェノンに、式(II)の化合物
、(4-ヒドロキシフェニル)(4-(2-(メチルアミノ)エトキシ)フェニル)メタ
ノンを結合することにより、(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混
合物を調製する工程を含み;ここで、式(II)の化合物は、
【0030】
【0031】
さらに別の態様では、産業上拡張可能なプロセスはさらに、[4-[2-(ジメチルア
ミノ)エトキシ]フェニル](4-ヒドロキシフェニル)メタノン、式(I)の化合物、
を脱メチル化することにより、式(II)の化合物を調製する工程を含み、式(I)の化
合物は、式(II)の化合物を形成するために、不活性な有機溶剤中において脱メチル化
剤とプロトン受容体とともに、以下の構造
【0032】
【0033】
本開示は、以下の工程を含む、(Z)-エンドキシフェンおよびその塩を製造するため
の産業上拡張可能なプロセスを提供する:(a)第1の結晶性固体と第1の結晶性の母液
を形成するために、(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物、
【0034】
【化6】
で表される式(III)の化合物を、酢酸エチルからの分別結晶にさらす工程であって、
第1の母液は、(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物のE/Z
比率と比較して、少なくとも30%高い(Z)エンドキシフェンのE/Z比率を有する、
工程;(b)第2の結晶性固体と第2の母液を形成するために、第1の母液を濃縮するこ
とによって、あるいは、第1の母液からの酢酸エチルを1回以上、IPAあるいはIPA
/PPW(1:1 v/v)と取り替えることによって、IPAあるいはIPA/PPW
からの再結晶化に第1の母液をさらす工程であって、第2の結晶性固体が、≧90%(Z
)-エンドキシフェンである、工程;および、(c)随意に、第3の結晶性固体を形成す
るために、第2の結晶性固体を、エタノールからの再結晶化あるいはカラムクロマトグラ
フィー処理に1回以上さらす工程。
【0035】
いくつかの実施形態において、(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェン
の混合物、式(III)の化合物は、(a)不活性な有機溶剤(1:1~1:20wt/
wt)中で式(II)の化合物をプロピオフェノン(1:0.01~1.5wt/wt)
と反応させる工程;(b)不活性な有機溶剤(1:1~1:20wt/wt)中でチタン
塩(1:0.1~1:12wt/wt)と還元剤(1:0.01~1:10wt/wt)
を調製する工程;および、(c)(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェン
の混合物を形成するために、工程(a)の式(II)の化合物を、工程(b)の不活性な
有機溶剤中でチタン塩と還元剤と反応させる工程を含む、マクマリー反応によって媒介さ
れたプロピオフェノンに、式(II)の化合物、(4-ヒドロキシフェニル)(4-(2
-(メチルアミノ)エトキシ)フェニル)メタノンを結合する工程によって調製され;w
t/wtは式(II)の化合物に対するものである。
【0036】
他の実施形態において、(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合
物、式(III)の化合物は、(a)THF(1:1~1:20wt/wt)中で式(I
I)の化合物をプロピオフェノン(1:0.01~1:5wt/wt)と反応させる工程
;(b)THF(1:1~1:20wt/wt)中でTiCl4(0.1~4wt/wt
)とZn(0.01~1:2wt/wt)を調製する工程;および、(c)(E)-エン
ドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物を形成するために、工程(a)の式(
II)の化合物を、工程(b)のTHF中のTiCl4とZnと反応させる工程を含む、
マクマリー反応によって媒介されたプロピオフェノンに、式(II)の化合物、(4-ヒ
ドロキシフェニル)(4-(2-(メチルアミノ)エトキシ)フェニル)メタノンを結合
する工程によって調製され;wt/wtは式(II)の化合物に対するものである。
【0037】
いくつかの実施形態において、式(II)の化合物は、式(II)の化合物を形成する
ために、式(I)の化合物を、不活性な有機溶剤(1:1~1:20wt/wt)中で脱
メチル化剤(1:0.5~1:10wt/wt)とプロトン受容体(1:0.5~1:1
0wt/wt)で脱メチル化することによって生成され、wt/wtは式(I)の化合物
に対するものである。
【0038】
いくつかの実施形態において、式(II)の化合物は、式(II)の化合物を形成する
ために、式(I)の化合物を、THF中の1-クロロエチルクロロホルメートとDIPE
Aで脱メチル化することにより調製され、(a)THF(1:20wt/wt)中で式(
I)の化合物をDIPEA(1:0.5~1:10wt/wt)と反応させる工程;(b
)1-クロロエチルクロロホルメート(1:0.5~1:10wt/wt)を追加する工
程;(c)メタノール(1:1~1:10wt/wt)で1回以上蒸留する工程;(d)
メタノール(1:1~1:5wt/wt)/HCl(1:1~1:10wt/wt)と反
応させる工程;および、(e)NaOH(1:1~1:10wt/wt)で中和させる工
程を含み;wt/wtが式(I)の化合物に対するものである。
【0039】
他の態様では、本開示は、(Z)-エンドキシフェンL-グルコネートあるいは(Z)
-エンドキシフェンD-グルコネートを形成するために、(Z)-エンドキシフェンを、
D-グルコネートあるいはL-グルコネートと反応させることにより、(Z)-エンドキ
シフェングルコン酸塩を作るプロセスを提供する。
【0040】
さらに別の態様では、本開示は、(Z)-エンドキシフェン、(E)-エンドキシフェ
ン、 本明細書に記載されるようなプロセスのいずれかによって調製される式(III)
の化合物、式(II)の化合物、および、その塩が安定していることを提供している。特
別の態様では、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基は少なくとも9ヶ月間、周囲温度で安
定している。
【0041】
いくつかの態様では、本開示は、以下を含む、式(III)の化合物の結晶形態IIあ
るいはIIIを製造するための産業上拡張可能なプロセスを提供し、以下を含む:(a)
酢酸エチル(1:1~1:20wt/wt)中の6NのHCL(1:1~1:5wt/w
t)に、99:1~40:60の範囲のE/Z比率を有する(E)-エンドキシフェンと
(Z)-エンドキシフェンの出発混合物を反応させる工程;(b)8NのNaOH(1:
1~1:20wt/wt)で中和させる工程;(c)酢酸エチルで1回以上洗浄する工程
;(d)酢酸エチルとn-ヘプタンの混合物で1回以上洗浄する工程;および、(e)式
(III)の化合物の結晶形態IIあるいはIIIを回収する工程を含み、wt/wtは
、(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの出発混合物に対するものであ
る。
【0042】
さらに別の態様では、本開示は、本明細書に記載されるプロセスのいずれかに従って調
製された(Z)-エンドキシフェン遊離塩基あるいはその塩を含む組成物を提供する。組
成物は経口、非経口、局所、および管内の送達のために製剤化される。組成物は錠剤、カ
プレット、カプセル、あるいは丸剤として経口送達のために製剤化される。いくつかの実
施形態において、組成物は、腸溶錠剤、腸溶カプレット、腸溶カプセル、遅延放出錠剤、
遅延放出カプレット、および遅延放出カプセルとしての経口送達錠剤向けに製剤化される
。
【0043】
ある態様では、本開示は、特定の薬物動態プロフィールを有する組成物を提供する。1
つの態様では、本開示は、組成物中のエンドキシフェンの少なくとも40%、少なくとも
50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%が
腸で放出されることを提供する。他の態様では、本開示は、組成物中のエンドキシフェン
が、被験体において投与後30~60時間の範囲の平均半減期を有することを提供する。
いくつかの実施形態において、被験体におけるエンドキシフェンの平均半減期は、投与後
40~55時間の範囲である。別の態様において、本開示は、エンドキシフェンの時間無
限(AUC0-inf)に対して外挿された曲線下での平均面積が200hr*ng/m
L~10000hr*ng/mL、300hr*ng/mL~8000hr*ng/mL
、400hr*ng/mL~6000hr*ng/mL、あるいは、700hr*ng/
mL~6000hr*ng/mLであることを提供する。
【0044】
他の態様では、本開示は、被験体への投与のための、単位投与量当たり1mgから20
0mgの(Z)-エンドキシフェン遊離塩基あるいはその塩を含む経口組成物を提供し、
ここで、経口組成物の毎日の投与は、被験体において以下を達成する:(i)7~21日
以内のエンドキシフェンの定常状態の血漿レベル;あるいは、(ii)25nMから30
0nMに及ぶエンドキシフェンの定常状態の血漿レベル;あるいは、(iii)30nM
よりも大きいエンドキシフェンの定常状態の血漿レベル;あるいは、(iv)投与後の2
~10時間以内のエンドキシフェンの最大の血漿レベル;あるいは、(v)これらの任意
の組み合わせ。本開示はさらに、組成物が、被験体におけるホルモン依存性乳房障害、ホ
ルモン依存性生殖器系障害、あるいはその両方の処置または予防のために、必要としてい
る被験体に投与されることを提供する。
【0045】
ある態様では、本開示は、被験体を処置する方法を提供し、上記方法は、本明細書に開
示されるような経口組成物を被験体に投与する工程を含む。いくつかの実施形態において
、被験体は、ホルモン依存性乳房障害、ホルモン依存性生殖器系障害、あるいはその両方
を患っているか、患うリスクがある。さまざまな実施形態において、ホルモン依存性乳房
障害あるいはホルモン依存性生殖器系障害は、良性の乳房障害、過形成、異型性、異型乳
管過形成、異型小葉過形成、増加した乳房密度、女性化乳房、DCIS、LCIS、乳癌
、性早熟症、マックーン-オルブライト症候群、子宮内膜癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頚癌
、膣癌、あるいは外陰癌である。
【0046】
いくつかの実施形態において、被験体は前立腺癌を患っており、被験体はさらに女性化
乳房を患っているか、患うリスクがある。
【0047】
ある態様では、本開示は、上記の処置方法から利益を得ることになる特定の患者集団を
提供する。いくつかの実施形態において、患者集団はタモキシフェン抵抗性あるいはタモ
キシフェン耐性の集団である。ある実施形態において、被験体は、タモキシフェン抵抗性
あるいはタモキシフェン耐性のホルモン依存性乳房障害あるいはホルモン依存性生殖器系
障害を患っている。他の実施形態において、患者集団は、シタロプラム、エスシタロプラ
ム、フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、およびビラゾドンからなる群から選
択されたSSRI薬物で処置されているか、処置される被験体を含む。
【0048】
一態様では、本開示は、必要としている被験体に投与される(Z)-エンドキシフェン
の特定の投与量を提供する。様々な実施形態において、被験体は、0.01mg~200
mgの(Z)-エンドキシフェンが投与される。特定の実施形態において、被験体は、1
mg、2mg、4mg、6mg、10mg、あるいは20mgの(Z)-エンドキシフェ
ンを毎日投与される。
【0049】
他の態様では、本開示は被験体の処置を提供し、被験体におけるエンドキシフェンの定
常状態の血漿レベルは、組成物の投与時30nMよりも大きい。いくつかの実施形態では
、こうしたエンドキシフェンの定常状態の血漿レベルは、組成物の最初の投与の7~21
日以内に達成される。いくつかの実施形態において、エンドキシフェンの最大血漿レベル
までの時間は、組成物の投与後2時間~10時間あるいは4時間~8時間に及ぶ。
【0050】
別の態様では、本開示は、ホルモン依存性乳房障害、ホルモン依存性生殖器系障害、あ
るいはその両方を患っている、あるいは、患うリスクがある被験体を処置する方法を提供
し、上記方法は、(Z)-エンドキシフェンあるいはその塩を含む経口組成物を投与する
工程を含み、ここで、組成物の投与は以下を達成する:(i)投与後30~60時間まで
の範囲の被験体のエンドキシフェンの平均半減期;(ii)投与後4~8時間までの範囲
のエンドキシフェンの最大血漿レベルまでの時間;および、(iii)30nMよりも大
きいエンドキシフェンの定常状態の血漿レベル。特定の実施形態において、被験体は、1
mg、2mg、4mg、6mg、10mg、あるいは20mgの(Z)-エンドキシフェ
ンを投与される。他の態様において、エンドキシフェンの時間無限(AUC0-inf)
に対して外挿された曲線下での平均面積は、200hr*ng/mL~10000hr*
ng/mL、300hr*ng/mL~8000hr*ng/mL、400hr*ng/
mL~6000hr*ng/mL、あるいは、700hr*ng/mL~6000hr*
ng/mLである。いくつかの実施形態において、組成物は、腸溶錠剤、腸溶カプレット
、腸溶カプセル、遅延放出錠剤、遅延放出カプレット、あるいは遅延放出カプセルとして
製剤化される。いくつかの実施形態において、エンドキシフェンの少なくとも40%、少
なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも
90%は、腸で放出される。いくつかの実施形態において、組成物は1日1回、1日2回
、1日3回、1日4回、一日おき、週に2回、毎週、2週に1回、月に2回、毎月、年に
4回、6ヶ月に1回、あるいは毎年、投与され得る。いくつかの実施形態では、ホルモン
依存性乳房障害あるいはホルモン依存性生殖器系障害は、良性の乳房障害、過形成、異型
性、異型乳管過形成、異型小葉過形成、増加した乳房密度、女性化乳房、DCIS、LC
IS、乳癌、性早熟症、マックーン-オルブライト症候群、子宮内膜癌、卵巣癌、子宮癌
、子宮頚癌、膣癌、および、外陰癌からなる群から選択される。引用による組み込み
【0051】
本明細書で言及されるすべての公報、特許、および特許出願は、個々の公報、特許、ま
たは特許出願が、それぞれ、明確にかつ個々に、引用によって組み込まれると示されるの
と同じ程度まで、引用によって本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
本発明の新しい特徴は、特に、添付の特許請求の範囲内に明記される。本発明の特徴お
よび利点のより良い理解は、本発明の原理が用いられる例示的実施形態を説明する以下の
詳細な説明と、以下の添付図面とを引用することによって得られるであろう。
【
図1】エンドキシフェンと他の代謝産物へのタモキシフェンの代謝経路を描くスキームである。4-ヒドロキシタモキシフェンの血漿濃度は、N-デスメチルタモキシフェンの血漿濃度と比較して低く、親薬物の代謝のための主要な経路が、シトクロムP450 3A4(CYP3A4)によるN-デスメチルタモキシフェンへのN-脱メチル化と、その後の、シトクロムP450 2D6(CYP2D6)によるエンドキシフェンへのヒドロキシル化を介することを示唆している。
【
図2】本明細書に開示される方法を用いて調製された(Z)-エンドキシフェン遊離塩基の代表的な赤外線スペクトルである。
【
図3】プラセボあるいは1mg、2mg、または4mgのエンドキシフェンカプセルを用いる処置後のエンドキシフェンの最大の血中濃度(nM)までの時間を示す。
【
図4】1日目と21日目のプラセボあるいは1mg、2mg、または4mgのエンドキシフェンカプセルを用いる処置後のエンドキシフェンの最大の血中濃度までの時間を示す。投与後の時間(時間)はX軸上でプロットされ、平均血清濃度(ng/mL)はY軸上でプロットされる。
【
図5】0日目(0日目はX軸上の8日目を指す)から21日目までのプラセボあるいは1mg、2mg、あるいは4mgのエンドキシフェンカプセルを用いる処置後のエンドキシフェンカプセルの定常状態の血中濃度を達成するための時間を示す。X軸は日数(8日目から21日目)における時間であり、Y軸はng/mLでの平均血清濃度である。血液は0日目から臨床試験期間の終わりまで毎日採取された。被験体は1日目に投薬され、血漿エンドキシフェンレベルは表17に示されるように測定された。被験体はその後、8日目に始まって(
図5では8日目と表示される)試験期間の終わりまで毎日投薬された。
【
図6】1日目と21日目のプラセボあるいは1mg、2mg、または4mgのエンドキシフェンカプセルを用いる処置後の経時的な平均血清濃度(ng/mL)を示す(線形)。
【
図7】1日目と21日目のプラセボあるいは1mg、2mg、または4mgのエンドキシフェンカプセルを用いる処置後の経時的な平均血清濃度(ng/mL)を示す(片対数)。
【
図8】1日目と21日目のプラセボあるいは1mg、2mg、または4mgのエンドキシフェンカプセルを用いる処置後の経時的な平均血清濃度(nM)を示す(線形)。
【
図9】式(III)の化合物の形態Iのサンプルから得られたXRPDパターンである。
【
図10】式(III)の化合物の形態Iのサンプルから得られたXRPDパターンである。
【
図11】式(III)の化合物の形態IIのサンプルから得られたXRPDパターンである。
【
図12】式(III)の化合物の形態IIのサンプルから得られたXRPDパターンである。
【
図13】式(III)の化合物の形態IIIのサンプルから得られたXRPDパターンである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
化合物は正式名称を使用して記載されている。他に定義されない限り、本明細書で使用
される全ての技術的用語および科学的用語はすべて、本発明の属する技術分野における当
業者によって一般に理解されるものと同じ意味である。
【0054】
本明細書で使用されるように、用語「a」、「an」、および「the」は、別段記述
のない限り、複数形の参照物を含む。
【0055】
本明細書で使用されるように、用語「有効な医薬成分」、「有効成分」、「API」、
「薬物」、「活性な」、「活性物」、または「治療薬」は、医薬組成物中の薬学的に活性
な化合物を参照するために交換可能に使用され得る。これは、実質的または完全に薬学的
に不活性である賦形剤などの組成物中の他の成分とは対照的である。本開示に基づく適切
なAPIは、特定の疾患、疾病、または障害を処置することに対する患者のコンプライア
ンスの諸問題がある、または存在する可能性がある、APIである。本明細書で使用され
るような治療薬は、活性化合物と、その塩、プロドラッグ、および代謝産物を含む。本明
細書で使用されるように、「薬物」との用語は、ヒトまたは他の動物の疾患の診断、治癒
、緩和、処置、および/または予防で用いることを意図した化合物を意味する。
【0056】
本明細書で使用されるように、「アジュバント療法」は、一次療法に続いて、再発する
リスクのある被験体に施される治療を指す。乳癌または生殖器系癌の場合、例えば、タモ
キシフェンを用いるアジュバント全身療法は通常、再発を遅らせるか、生存を延ばすか、
あるいは被験体を治癒するために、一次療法の直後に始まる。
【0057】
本明細書で使用されるように、「タモキシフェン」との用語は、(Z)-2-[4-(
1,2-ジフェニル-1-ブテニル)フェノキシ]-N,N-ジメチルエタンアミンを指
す。タモキシフェンはさらに、E-異性体、あるいはE-異性体とZ異性体の組み合わせ
を指すこともある。
【0058】
本明細書で使用されるように、交換可能に使用される「4-ヒドロキシタモキシフェン
」、「アフィモキシフェン」、および、「4-OHT」との用語は、4-1-[4-[2
-(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]-2-フェニルブト-1-エニル]フェノー
ルを指し、タモキシフェンの活性代謝産物を構成する。4-OHTはZ-異性体、E-異
性体、あるいはこれらの組み合わせを指すことがある。
【0059】
本明細書で使用されるように、「エンドキシフェン」との用語は、4-ヒドロキシ-N
-デスメチル-タモキシフェンを指す。それはタモキシフェンの第2の活性代謝物である
。
【0060】
明細書全体にわたって式(I)、式(II)、式(III)、および式(IV)の化合
物などの「化合物」を言及する実施形態は、本明細書に開示される式および/または化合
物の多形、塩、遊離塩基、共結晶、および溶媒和物の形態を含む。したがって、「化合物
」、「式(I)の化合物」、「式(II)の化合物」、「式(III)の化合物」、およ
び「式(IV)の化合物」の出現は、本明細書に記載されるような式(IV)の化合物の
形態I、式(III)の化合物の形態II-III、式(IV)の化合物の遊離塩基、式
(III)の化合物の遊離塩基、および/または、グルコン酸塩を含む。
【0061】
「結晶形態」、「多形体」、および「形態」との用語は、本明細書で交換可能に使用さ
れてもよく、特定の結晶形態あるいは非晶質形態について言及されない限り、例えば、多
形体、偽多形体、塩、溶媒和物、水和物、非溶媒和多形体(無水物を含む)、立体配座多
形体、および非晶質形態、ならびに、それらの混合物を含む、化合物の結晶形態と非晶質
形態をすべて含むことを意味する。本開示の化合物は、例えば、化合物の多形体、偽多形
体、塩、溶媒和物、水和物、非溶媒和多形体(無水物を含む)、立体配座多形体、および
非晶質形態、ならびにこれらの混合物を含む、こうした化合物の結晶形態と非晶質形態と
を含む。
【0062】
本明細書に開示されるすべての化合物はさらに、化合物中で生じる原子のあらゆる起こ
りうる同位体を含むものと理解される。同位体は、同じ原子番号であるが異なる質量数を
有する原子を含む。例として、および、限定されないが、水素の同位体はトリチウムと重
水素を含み、炭素の同位体は11C、13C、および14Cを含む。
【0063】
本明細書や請求項で使用されるように、「含む(comprising)」、「含有す
る(containing)」、「含む(including)」との用語は包括的であ
り、制約がなく、および、列挙されていない元素、構成成分、または方法の工程を除外し
ない。これに応じて、「含む(「comprising」および「including」
)」との用語は、より限定的な用語「~からなる」また「~から本質的になる」を包含す
る。
【0064】
本明細書で使用されるように、「併用療法」との用語は、1つ以上の追加の処理と組み
合わせて本明細書に記載される組成物の使用を指す。併用療法中の処置は、任意の予防薬
、治療剤(化学療法など)、放射線療法、手術などの任意の処置であり得る。組み合わせ
は、本明細書に開示される組成物と同じ組成物(例えば、同じカプセル、錠剤、軟膏など
)、あるいは別個の組成物(例えば、2つの別々のカプセル)での治療薬または予防薬の
包含を指すことがある。別個の組成物は異なる剤形であり得る。「併用療法」および「と
組み合わせて」との用語の使用は、本明細書に記載される組成物と予防薬および/または
治療薬および/または処置が、それを必要とする被験体に投与される順序を限定しない。
本開示の組成物は、被験体に対する1つ以上の予防薬および/または治療薬および/また
は処置の投与の前(例えば、1分(min)、5分、15分、30分、45分、1時間(
h)、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、24時間、36時間、4
8時間、72時間、96時間、1週(wk)、2週、3週、4週、5週、6週、8週、1
2週、6ヶ月(m)、9ヶ月、あるいは1年前)に、上記投与と同時に、あるいは、上記
投与の後(例えば、1分(min)、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、
4時間、6時間(h)、8時間、10時間、12時間、24時間、36時間、48時間、
72時間、96時間、1週(wk)、2週、3週、4週、5週、6週、8週、12週、6
ヶ月(m)、9ヶ月、あるいは1年後)に、投与され得る。本明細書で使用されるような
併用療法はさらに、単一疾患あるいは多発性疾患、例えば、男性の前立腺癌と女性化乳房
を患う被験体の処置を指すことがある。
【0065】
本明細書で使用されるように、用語「試験サンプル」とは、被験体から得られた血液サ
ンプルを意味する。血液サンプルが被験体から得られる場合、被験体の血液は、被験体の
エンドキシフェンレベルおよび/または、測定あるいは試験され得る他のバイオマーカー
を判定するために使用されることが理解されよう。本明細書で使用されるように、「血漿
エンドキシフェン」とは、試験が全血、血漿、あるいは血清上で行なわれても、被験体の
試験サンプル中のエンドキシフェンレベルを指すために使用される。
【0066】
本明細書で使用されるように、用語「剤形」とは、本開示の化合物または組成物が患者
に送達される形態を意味する。
【0067】
本明細書で使用されるように、「薬学的に許容可能な」あるいは「薬理学的に許容可能
な」との用語は、製剤の他の成分と適合する材料、組成物、あるいはビヒクルを意味し、
および、被験体に投与時に、それらが副作用、例えば、毒性反応、アレルギー反応、ある
いは免疫反応をほとんど引き起こさないことを意味する。それらは、例えば、米国連邦ま
たは州政府の、あるいは米国の薬局方、または動物、とりわけ人間への使用のための他の
一般に認められている薬局方で列挙される、規制当局によって承認され得る。
【0068】
本明細書で使用されるように、「薬学的に許容可能な担体」あるいは「担体」との用語
は、身体の1つの組織、臓器、あるいは一部分、あるいは皮膚全体から本開示の化合物の
1つ以上を運ぶか輸送することに関与する、薬学的に許容可能な材料、組成物、ビヒクル
、例えば、液体または固体の充填剤、希釈液、賦形剤、溶剤、あるいは封入材料を意味す
る。
【0069】
本明細書で使用されるように、「薬学的に可能な塩」との用語は、被験体(例えば、哺
乳動物、および/または、インビボ、エクスビボ、インビトロの細胞、組織、あるいは臓
器)において生理学的に許容される本開示の化合物の任意の塩(例えば、酸または塩基と
の反応により得られる)を指す。本開示の化合物の「塩」は、無機または有機の酸および
塩基に由来し得る。適切なアニオン塩は、リン酸塩/二リン酸塩含む、アレコリン、ベシ
レート、ビカーボネート、ビタルタレート、ブチルブロミド、シトレート、カンシラート
(camysylate)、グルコネート、グルタミネート、グリコリルアルサニレート
、ヘキシルレゾルシネート(hexylresorcinate)、ヒドラバミン、臭化
水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフタノエート、イセチオネート、マレート、マンデレー
ト、メシレート、臭化メチル、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、ムケート(muc
ate)、ナプシレート、ニトレート、パモエート(pamaoate)(エンボネート
(Embonate))、パントテネート、ポリガラクツロネート、サリチラート、ステ
アレート、サルフェート、タンニネート、テオクレート、脂肪酸アニオン、および、トリ
エチオダイドを含む。
【0070】
適切なカチオンは、ベンザチン、クレミゾール、クロロプロカイン、コリン、ジエチル
アミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、ピペラジン、プロカイン
、アルミニウム、バリウム、ビスマス、リチウム、マグネシウム、カリウム、および亜鉛
を含む。
【0071】
本出願のために、本開示の化合物の塩は、治療的な用途に対して薬学的に許容可能であ
ると企図される。しかしながら、薬学的に許容可能ではない酸と塩基の塩は、例えば、薬
学的に許容可能な化合物の調製または精製でも有用であり得る。
【0072】
本明細書で使用されるように、「医薬組成物」との用語は、組成物を、とりわけ、イン
ビトロ、インビボ、あるいはエクスビボでの診断的あるいは治療的な用途に適したものに
する、活性薬剤(例えば、活性な医薬品化合物あるいは成分、API)、不活性または活
性な担体(例えば、リン脂質)との組み合わせを意味する。
【0073】
本明細書で使用されるように、「一次治療」は、被験体におけるホルモン依存性乳房障
害、ホルモン依存性生殖器系障害、あるいはその両方の初期診断時の第一選択処置を指す
。例示的な一次治療は、手術、広範囲の化学療法、および放射線療法を含み得る。
【0074】
本明細書で使用されるように、「被験体」、「患者」、および「個体」との用語は、本
明細書では交換可能に使用され得、ヒトなどの哺乳動物を指す。哺乳動物はさらに、イヌ
、ネコなどのペット動物、ラット、マウスなどの実験動物、および、ウシやウマなどの家
畜を含む。別段の定めがない限り、哺乳動物は任意の性別あるいは性であり得る。
【0075】
本明細書で使用されるように、「タモキシフェン抵抗性」との用語は、少なくとも2日
間毎日タモキシフェンを投薬され、30nM未満(例えば、20nM未満、25nM未満
、あるいは30nM未満)の血漿エンドキシフェンのレベルを有する、被験体を指す。本
明細書で使用されるように、「タモキシフェン耐性」との用語は、2つのクラスの抵抗性
:(a)デノボ抵抗性、つまり、処置の開始からのタモキシフェン治療に対する非応答性
、あるいは、(b)獲得された抵抗性、つまり、初期の応答後のタモキシフェン治療に対
する非応答性、または、エストロゲン受容体を示し続ける間のタモキシフェン依存性の成
長/刺激された成長を指す。タモキシフェンに対する獲得された抵抗性は、早くて3ヶ月
から1年で、遅くても5~10年で発生し得る。本明細書で使用されるように、「基準血
漿エンドキシフェンレベル」との用語は、30nMの値を指す。
【0076】
本明細書で使用されるように、「単位剤形」との用語は、被験体に対する単位投与量に
適している物理的に分離した単位を指し、各単位は適切な医薬品賦形剤において、所望の
治療効果を生み出すと計算されたあらかじめ定められた量の活性物質を含んでいる。
【0077】
本明細書で引用される任意の数値は、低い値から高い値までのすべての値を含み、つま
り、列挙された最低値と最高値との間の数値のすべての起こり得る組み合わせが本出願で
明確に記載されているものと考えられ、すべての範囲のエンドポイントはその範囲内に含
まれ、独立的に組み合わせ可能である。例えば、濃度範囲または有益な範囲が1%から5
0%と記載されている場合、2%から40%、10%から30%、1%から3%などの値
は、本明細書で明らかに列挙されるものと意図される。さらに、濃度あるいは投与量が1
mgあるいは10mgなどの特定の値として記述される場合、それは10%のばらつきを
含むことを意図している。別の例として、20%の規定された濃度は、±10%の値を含
むように意図される。またさらなる別の例では、10:1~1:10の比率が記載されて
いる場合、1:9から9:1、1:8から8:1、1:7から7:1、1:6から6:1
、1:5から5:1、1:4から4:1、1:3から3:1、1:2から2:1、1:1
から2:1、あるいは2:5から3:5までの比率が特に意図される。特に意図されるも
のの例は数例しかない。他の方法で指定されない限り、組成物の構成要素または要素の値
は要素中の各成分の重量パーセントで表現される。
【0078】
本明細書で他に示されない限り、またはそれ以外の方法で文脈に明確に反していない限
り、本明細書に記載された方法はすべて、適切な順序で実行され得る。あらゆるすべての
例あるいは例示的な用語(例えば、「など(「such as」および「the lik
e」)の使用は、本発明を例示することを意図しているにすぎず、他に要求されない限り
、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる言語も、本明細書で使用
される本発明の実施に不可欠な任意の主張されていない要素を示すものとして解釈されて
はならない。
【0079】
本明細書で使用されるように、「ホルモン依存性乳房障害」、「ホルモン依存性生殖器
系障害」、「ホルモン依存性乳房および生殖器系障害」という用語は、それぞれおよびま
とめて、限定されないが、減少させる必要のある高いエストロゲンあるいは正常なエスト
ロゲンレベルに関連付けられるか高感受性であるあらゆる乳房あるいは生殖器系(婦人科
)の障害、エストロゲン受容体陽性(ER+)および/またはプロゲステロン受容体陽性
(PR+)の障害、例えば、乳房障害、子宮内膜症、子宮筋腫など(平滑筋腫とも呼ばれ
る)などを含む。生殖器系障害は、子宮内膜、卵巣、頚部、子宮、膣、および外陰の癌を
含む。「エストロゲン関連障害」および「エストロゲン受容体関連障害」という用語を交
換可能に用いて、前述のホルモン依存性障害を指すこともある。障害は、主にあるいは二
次的に、基礎疾患、例えば、前立腺癌または他の癌、例えば、肝疾患に対して提示され得
る。ホルモン依存性の乳房および生殖器系の障害は、例えば、マックーン-オルブライト
症候群を含み、これは、骨、皮膚、および、複数のホルモン産生(内分泌性)組織に影響
を与える、GNAS遺伝子中の突然変異によって引き起こされる障害であり、多発性線維
性骨形成異常と呼ばれる疾病である骨中の異常な瘢痕様(線維状)組織、そのような突然
変異を保有する個体における甲状腺機能亢進症、および、少女では性早熟症をしばしば引
き起こす。
【0080】
本明細書で使用されるように、「乳房障害」は乳房中の任意の異常または一連の異常を
意味する。そのような異常は、増殖性、非増殖性、良性、あるいは悪性であり得る。乳房
障害は、乳房(例えば、過形成)、乳房密度の増加、女性化乳房、乳腺痛、および乳癌の
良性の病変を含む。良性の乳房病変としては、限定されないが、過形成、異型性、乳管過
形成、小葉過形成、異型乳管過形成(ADH)、および異型小葉過形成(ALH)が挙げ
られる。癌ではないが、ADHとALHは乳癌の素因を示すことがある。
【0081】
乳房密度は、マンモグラフィーなどの視覚的な技術によって特定された乳房障害であり
、乳房内の線維腺組織の増加、つまり、乳房中の間質細胞と上皮細胞の過剰成長を反映す
る。乳房密度は、密度の重症度の程度に基づいて、4つのクラス、クラスA、B、C、お
よびDで分類される。それは、乳癌を進行させる独立危険因子である。アメリカの少なく
とも23州では、被験体がデンスブレストを有する場合には、被験体に通知することをに
医師に要求している。被験体は健全なライフスタイルを選択し、乳房の変化をモニタリン
グするために規則的にマンモグラムを受けるよう促されるが、デンスブレストの処置方法
は現在存在しない。
【0082】
女性化乳房は上皮過形成を含む乳房組織の過形成の増加を反映した一般的な男性の乳房
疾病であり、無症状の女性化乳房の有病率は、新生児で60%~90%、青少年で50%
~60%、50-69歳の男性で最大70%である(Therapeutics and
Clinical Risk Management 2011:7, 145-14
8)。新生児の女性化乳房は通常、生後4週間以内に解決し、思春期の男性の少なくとも
半数が女性化乳房を経験し、典型的な発症は13~14歳である(タナー段階3あるいは
4)。女性化乳房は男性の乳癌の危険因子であると提唱されている。
【0083】
さらに、女性化乳房はしばしば、前立腺癌、肝硬変と肝疾患、男性性腺機能低下症、甲
状腺機能亢進症、腎不全などの基礎疾患に続発して、および、血液透析、I型糖尿病を経
験した患者において現れる。さらに、抗アンドロゲン薬物あるいは特定の抗精神病薬など
の薬物は、女性化乳房のケースの最大25%を引き起こすと報告されており、そのホルモ
ン様作用によって分類され得る。例えば、前立腺癌の処置に使用される非ステロイド性抗
アンドロゲンであるビカルタミドに起因する最も一般的な副作用は、女性化乳房および乳
房痛である。
【0084】
本明細書で使用されるように、「乳癌」は乳房細胞の任意の悪性腫瘍を意味する。乳癌
は、前癌、初期段階の癌、非転移性癌、前転移性癌、局所進行癌、および転移性癌のステ
ージを含む乳癌の任意のステージであり得る。いくつかのタイプの乳癌がある。典型的な
乳癌としては、限定されないが、腺管上皮内癌(DCIS)、上皮内小葉癌(LCIS)
、侵襲性(または浸潤性)小葉癌(ILC)、侵襲性(または浸潤性)腺管癌(IDC)
、微侵襲性乳癌(MIC)、炎症性乳癌、ER陽性(ER+)乳癌、ER陰性(ER-)
乳癌、HER2+乳癌、三種陰性乳癌(TNBC)、アデノイド嚢胞性(腺嚢胞性)癌腫
、低悪性度の腺扁平上皮癌、髄様癌、粘液性(またはコロイド性)癌、乳頭状癌、管状腺
癌、化生性癌、または微小乳頭癌が挙げられる。単一の乳癌腫瘍は、こうしたタイプの組
み合わせ、または侵襲性の上皮内癌の混合物であり得る。
【0085】
DCISは最も一般的な非侵襲性の乳癌である。これは乳管の内側を覆う細胞を含んで
いる。DCISでは、細胞は乳管の壁を越えて周囲の乳房組織までは広がっていない。5
件の新しい乳癌の症例につき約1件がDCISである。LCISは前癌性の腫瘍形成であ
る。これは浸潤癌の素因を示すことがある。LCISは、上皮内(乳管または小葉状の)
乳癌の約15%のみを占める。
【0086】
IDCは最も侵襲的な乳癌である。名前が当てはまるように、乳管で始まり、その後、
周囲の脂肪組織に侵入するのは癌腫である。約8~10の侵襲性の乳癌は浸潤性の乳管の
癌である。IDCはしばしば、癌組織を切除する手術と放射線療法によって処置される。
加えて、免疫療法(例えばタモキシフェンとトラスツズマブ)と組み合わせた化学療法は
、IDCを処置するためにしばしば使用される。腫瘍が4cmよりも大きい場合、根治的
乳房切除術が行われ得る。
【0087】
ILCは、乳房の小葉において進行し、周囲の組織に浸潤した癌である。侵襲性の乳癌
の10例中約1例はILCである。ILCは、癌組織を切除する手術と放射線療法によっ
て処置される。加えて、化学療法と免疫療法の組み合わせ(例えばタモキシフェンとトラ
スツズマブ)は、ILCを処置するためにアジュバント療法としてしばしば使用される。
【0088】
炎症性乳癌は、すべての乳癌の約1%から3%を占める。炎症性乳癌では、癌細胞は皮
膚のリンパ管を塞ぎ、乳房を赤くして暖かく感じさせる。罹患した乳房は大きくなるか固
くなることもあれば、柔らかくなることもあり、またはかゆくなることもある。炎症性乳
癌は、化学療法、免疫療法、放射線療法、場合によっては、外科手術で処置される。
【0089】
エストロゲン受容体陽性(ER+)乳癌は、癌細胞の表面上のエストロゲン受容体の存
在を特徴とする。ER+癌細胞の成長は、エストロゲン(ホルモン依存性あるいはホルモ
ン感受性乳癌)の利用可能性に関連付けられる。すべての乳癌のおよそ80%がER+乳
癌である。ER+乳癌に対する処置のオプションは、エストロゲン(例えばタモキシフェ
ン)を阻む化学療法剤を含んでいる。
【0090】
本開示は、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基の安定した調製物、(E)-エンドキシ
フェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物(E/Z-ミックス)、およびその塩を製造
する方法と、その使用に関する。本開示はさらに、(Z)-エンドキシフェンあるいはそ
の塩を含む経口組成物と、被験体を処置する方法に関する。本開示はさらに、(Z)-エ
ンドキシフェン、E/Zミックス、あるいはその塩を含む経口組成物を被験体に投与する
事によって、ホルモン依存性乳房障害、ホルモン依存性生殖器系(婦人科)障害、あるい
はその両方を患っているか患うリスクがある被験体を処置する方法を提供する。
【0091】
一態様では、本開示は、エンドキシフェンあるいはその塩を含む経口組成物に関する。
本開示の組成物中で構成されたエンドキシフェンは、(Z)-エンドキシフェン、(E)
-エンドキシフェン、あるいはその組み合わせであり得る。一態様では、本開示は、安定
した(Z)-エンドキシフェン遊離塩基を含む組成物に関する。
【0092】
一態様では、本開示は、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、(E)-エンドキシフェ
ンと(Z)-エンドキシフェンの混合物(E/Zミックス)、および、その塩を製造する
産業上拡張可能な方法を提供する。一態様では、産業上拡張可能な方法は、安定した(Z
)-エンドキシフェン遊離塩基、E/Zミックス、およびその塩を製造する合成方法であ
る。別の態様では、本開示は、安定した(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、E/Zミッ
クス、およびその塩を含む組成物を作る方法を提供する。
【0093】
ある態様では、本開示は、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基の結晶形態、および(E
)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物の結晶形態、ならびに、本明
細書に記載される結晶形態を含むエンドキシフェンの医薬組成物を提供する。
【0094】
(Z)-エンドキシフェン遊離塩基の合成
エンドキシフェンの合成調製物のための複数の方法が当該技術分野で知られている。例
えば、エンドキシフェンの合成調製物およびそのプロドラッグと塩の方法は、U.S.
Patent No. 9,333,190 (Ahmad, Jina Pharma
ceuticals);WO 2008/070463 (Ahmad, Jina P
harmaceuticals)、U.S. Pub. No. 2010/01120
41 (Ahmad, Jina Pharmaceuticals)、WO 2012
/050263 (Ahmad, Jina Pharmaceuticals)、WO
2014/141292 (Desai, Intas Pharmaceutica
ls)、WO 2017/070651 (USA/Alchem Lab. Corp
.);WO 2009/120999A2 (Kushner)、U.S. Paten
t No. 8,063,249 (Kushner, Olema Pharmace
uticals)、U.S. Patent Nos. 7,531,578および8,
119,695 (Forman and Yu)、ならびにWO 2012/0502
63 (Song, CJ Cheiljedang Corp)に記載される。
【0095】
エンドキシフェンの合成調製物の方法は研究文献で公開されている(Gauthier
et al., J. Org. Chem, 61, 3890-3893 (19
96), Fauq et al., Bioorg Med Chem Lett.
2010 May 15;20(10):3036-3038); Stearns e
t al., J. Natl. Cancer Inst. Vol 95, No.
23, 2003; Johnson et al., Breast Cancer
Research and Treatment. 85:151-159, 200
4; Ogawa, et al. Chem. Pharm. Bull. 39,
911-916, 1991)。しかしながら、大規模な拡張可能な製造に対するニーズ
は依然として満たされていない。安定した(Z)-エンドキシフェン遊離塩基は、以下と
実施例1~9にさらに記載されたスキーム1に従って調製され得る。
【0096】
【0097】
脱メチル化
一態様では、本開示は、実質的に精製された(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、E/
Zミックス、あるいはその塩を作る産業上拡張可能なプロセスに関し、上記プロセスは、
式(II)の化合物を形成するために、式(I)の化合物、[4-[2-(ジメチルアミ
ノ)エトキシ]フェニル](4-ヒドロキシフェニル)メタノン(中国のAstaTec
h Pharmaceuticals, Inc.から入手可能)を脱メチル化する工程
を含む。これに応じて、いくつかの実施形態では、産業上拡張可能なプロセスは、式(I
I)の化合物を形成するために、不活性な有機溶剤中の脱メチル化剤およびプロトン受容
体を用いて[4-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル](4-ヒドロキシフェ
ニル)メタノンを脱メチル化することにより、式(II)の化合物を調製する工程を含む
。式(II)の化合物、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、E/Zミックス、あるいは
その塩を製造するための産業上拡張可能なプロセスは、1回の反応当たり1mgから10
00kgの範囲の量の式(I)の化合物を脱メチル化する工程を含む。
【0098】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(I)の化合物を脱メチル化剤
と反応させることにより脱メチル化され得る。脱メチル化剤は目的に適した任意の薬剤で
ある。適切な脱メチル化剤の例としては、N-ヨードスクシンアミド(NIS)、エチル
クロロホルメート(1-クロロエチルクロロホルメート、ジクロロエチルクロロホルメー
ト、トリクロロエチルクロロホルメート、α-クロロエチルクロロホルメート(ACE-
Cl))、ビニルクロロホルメート(VO-Cl)、臭化シアン(BrCN:フォンブラ
ウン反応)、ジエチルアゾジカルボキシラート、ピリジニウム塩化物などが挙げられる。
【0099】
いくつかの実施形態において、脱メチル化剤は、1-クロロエチルクロロホルメート、
ジクロロエチルクロロホルメート、トリクロロエチルクロロホルメート、α-クロロエチ
ルクロロホルメート(ACE-Cl)、およびビニルクロロホルメート(VO-Cl)か
らなる群から選択されたクロロホルメートである。他の実施形態では、脱メチル化剤は、
1-クロロエチルクロロホルメート、ジクロロエチルクロロホルメート、トリクロロエチ
ルクロロホルメート、および、α-クロロエチルクロロホルメート(ACE-Cl)など
のエチルクロロホルメートからなる群から選択されたエチルクロロホルメートである。少
なくとも1つの実施形態では、脱メチル化剤は1-クロロエチルクロロホルメートである
。
【0100】
いくつかの実施形態において、脱メチル化剤は、1:0.5~1:10の範囲の脱メチ
ル化剤に対する式(I)の化合物のwt/wt比率で反応混合物に添加される。他の実施
形態では、脱メチル化剤は、1:2~1:5の範囲の脱メチル化剤に対する式(I)の化
合物の比率(wt/wt)で存在する。少なくとも1つの実施形態では、脱メチル化剤は
、1:2の脱メチル化剤に対する式(I)の化合物の比率(wt/wt)で存在する。少
なくとも1つの実施形態では、脱メチル化剤は、1:3.3の脱メチル化剤に対する式(
I)の化合物の比率(wt/wt)で存在する。他の実施形態では、脱メチル化剤、1-
クロロエチルクロロホルメートは、1:0.5~1:10の範囲の脱メチル化剤に対する
式(I)の化合物の比率(wt/wt)で存在する。
【0101】
脱メチル化反応は、プロトン受容体の存在下において脱メチル化反応に適した不活性な
有機溶剤中で実行可能である。そのような無機溶剤は、ジクロロメタン、ジクロロエタン
、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン
、tert-ブチルメチルエーテル(TBME)、テトラヒドロフラン(THF)、N,
N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)、ジグリム、ニ
トロメタン、1,2-ジメトキシエタン(DME)、ピリジン、アセトン、アセトニトリ
ル、ベンゼン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、キシレン、ヘキサン、シク
ロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、および、デカン、あるいはこれらの組み合わ
せを含む。一態様では、産業上拡張可能なプロセスは、1:1~1:50の範囲の不活性
な有機溶剤に対する式(I)の化合物の比率(wt/wt)で脱メチル化のための1つ以
上の不活性な有機溶剤を含む。いくつかの実施形態において、脱メチル化溶剤は、1:1
~1:50の範囲のTHFに対する式(I)の化合物の比率(wt/wt)のTHFであ
る。他の実施形態では、THFは、1:1~1:20の範囲のTHFに対する式(I)の
化合物の比率(wt/wt)で存在する。
【0102】
本開示の目的に適したプロトン受容体としては、限定されないが、カーボネート、例え
ば、炭酸ナトリウムと炭酸カリウム、および、ビカーボネート、例えば、炭酸水素ナトリ
ウムと炭酸水素カリウム、プロトンスポンジ、およびエチルジイソプロピルアミン(N’
、N-ジイソプロピルアミン、「DIPEA」)が挙げられる。一態様では、産業上拡張
可能なプロセスは、1:0.5~1:10の範囲の、プロトン受容体に対する式(I)の
化合物のwt/wt比率で反応混合物に添加されたプロトン受容体を含む。いくつかの実
施形態では、プロトン受容体は、1:1:8のプロトン受容体に対する式(I)の化合物
の比率(wt/wt)で存在する
【0103】
当業者は、本開示の脱メチル化反応に適している当該技術分野で知られている他の溶剤
およびプロトン受容体を容易に決定することができる。
【0104】
脱メチル化剤、脱メチル化反応のための溶剤、および式(I)の化合物は、任意の順序
に添加され得る。試薬はそれぞれ、単一のボーラスあるいは複数のボーラスで適切な反応
装置に添加され、撹拌され得る。
【0105】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は適切な反応装置に入れられ、その反
応装置に、不活性な有機溶剤THFとプロトン受容体DIPEAが脱メチル化反応のため
に添加され、0°C~20°Cに冷やされ、その後、1つ以上の脱メチル化剤が添加され
る。THFは、1:1~1:20のwt/wt比率で添加され、プロトン受容体DIPE
Aは、脱メチル化反応混合物に対して1:10~1:0.5のwt/wt比率で添加され
、wt/wtは式(I)の化合物に対するものである。いくつかの実施形態において、反
応混合物は15°C以下(NMT)に冷やされ、その後、1つ以上の脱メチル化剤がゆっ
くりと添加される。反応は窒素またはアルゴン下などの不活性条件下で実行され得る。
【0106】
1つ以上の不活性な有機溶剤中の式(I)の化合物、1つ以上の脱メチル化剤(例えば
、1-クロロエチルクロロホルメート)を含む反応混合物は、20°Cから250°C、
例えば、40°C~80°C、50°Cから230°C、50°C~120°C、および
150°C~200°Cの範囲の温度で加熱され得る。いくつかの実施形態では、反応混
合物は還流下で加熱される。他の実施形態では、式(I)の化合物を、5時間以上(NL
T)、8時間以上、12時間以上、24時間以上、36時間以上、48時間以上、および
、72時間以上、脱メチル化剤とプロトン受容体と反応させる。少なくとも1つの実施形
態では、反応は、12時間以上、還流下で加熱される。反応は次に使用されるまで保持お
よび保存され得る。いくつかの実施形態において、反応混合物は、撹拌しながら還流条件
下で24時間以下保持される。
【0107】
混合物は1回以上の減圧蒸留にさらされ得る。蒸留は、酢酸エチル、低級アルコール(
非限定的な例は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、およびイソプロパノール
を含む)、ベンゼン、アセトン、アセトニトリル、トルエン、ジクロロメタン、1,2-
ジクロロエタン、およびクロロホルムなどの蒸留に適した溶剤を用いて、100°C以下
、95°C以下、90°以下、85°C以下、80°C以下、あるいは70°C以下で実
行され得る。当業者は目的に役立つ追加の適切な溶剤を容易に決定することができる。
【0108】
少なくとも1つの実施形態では、蒸留に使用された溶剤はメタノールである。非限定的
な例として、メタノールは、2~5回の減圧蒸留のための溶剤交換に使用されてもよい。
【0109】
メタノールなどの溶剤は、1回の蒸留当たり1:1から1:10の範囲の溶剤に対する
式(I)の化合物の比率(wt/wt)で蒸留に使用され得る。
【0110】
その後、混合物は、還流下で撹拌および加熱する間に、溶剤に対する酸(1:1から1
:10の範囲の酸に対する式(I)の化合物のwt/wt比率)の添加によって、溶剤/
酸混合物と反応可能である。酸は任意の適切な酸であり得る。HClは本開示の目的に適
切な酸の一例である。適切な溶剤/酸混合物の非限定的な例としては、メタノール/HC
l、エタノール/HCl、プロパノール/HCl、イソプロパノール/HCl、メタノー
ル/硫酸、メタノール/リン酸、エタノール/硫酸、エタノール/リン酸、プロパノール
/硫酸、プロパノール/リン酸、イソプロパノール/硫酸、イソプロパノール/リン酸、
メタノール/酢酸、エタノール/酢酸、プロパノール/酢酸、イソプロパノール/酢酸、
メタノール/ギ酸、エタノール/ギ酸、プロパノール/ギ酸、およびイソプロパノール/
ギ酸が挙げられる。少なくとも1つの実施形態では、溶剤/酸混合物はメタノール/6N
のHClである。非限定的な例として、メタノール/HCl混合物中のHClは、1:3
.2の溶剤/酸混合物中のメタノールに対する式(I)の化合物のwt/wt比率で添加
され得、その一方で、メタノール/HCl混合物中のメタノールは、1:4の溶剤/酸混
合物中のHClに対する式(I)の化合物のwt/wt比率であり得る。少なくとも1つ
の実施形態では、メタノール/6NのHCl混合物は、1:1~1:10、例えば、1:
1~1:5の範囲のメタノール/6NのHClに対する式(I)の化合物のwt/wt比
率で添加される。
【0111】
蒸留は、減圧下で、5時間以上、8時間以上、10時間以上、12時間以上、14時間
以上実行され得る。蒸留は、70°C以下、75°C以下、80°C以下、85°C以下
、90°C以下、および、90°C以下で実行され得る。
【0112】
反応混合物は次に使用されるまで保持および保存され得る。いくつかの実施形態におい
て、反応混合物は、撹拌しながら還流条件下で24時間以下保持され得る。
【0113】
反応混合物は、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化アンモニウム、アミノメチルプ
ロパノールなど中和剤を用いて中和され得、および、濾過され得る。結果として生じるウ
ェットケーキは、(4-ヒドロキシフェニル)(4-(2-(メチルアミノ)エトキシ)
フェニル)メタノン、式(II)の化合物を得るために、水、および、有機溶剤、例えば
、酢酸エチル(EtOAc)で洗浄され得る。
【0114】
中和剤は、1:1~1:10の範囲の中和剤に対する式(I)の化合物のwt/wt比
率であり得る。いくつかの実施形態において、中和剤は、1:1~1:10の範囲の比率
の8Nの水酸化ナトリウムである。他の実施形態では、中和剤は、1:2~1:8の範囲
の比率の8Nの水酸化ナトリウムである。
【0115】
他の態様では、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、E/Zミックス、あるいはその塩
を製造するための産業上拡張可能なプロセスは、濾過された生成物(式(II)の化合物
)を、精製水(1:1~1:5wt/wt)と有機溶剤、例えば、酢酸エチル(EtOA
c)(1:0.5~1:10wt/wt)で洗浄する1つ以上の工程を含み、wt/wt
は式(I)の化合物に対するものである。ウェットケーキは減圧/真空下で乾燥される。
温度は、25°Cから60°Cまで変動し得る。いくつかの実施形態において、乾燥は5
0°C以下の温度で行われる。
【0116】
マクマリー反応
他の態様では、本開示は、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、E/Zミックス、およ
びその塩を製造する産業上拡張可能なプロセスに関し、上記プロセスは、E/Zミックス
(つまり、(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェン遊離塩基の混合物)、
式(II)の化合物を得るために、式(III)の化合物をマクマリー反応にさらす工程
を含む。
【0117】
マクマリー反応はタモキシフェンを調製するために使用されてきた(欧州特許出願16
8175号)。本開示は産業上拡張可能なプロセスに関し、ここで、式(II)の化合物
、(4-ヒドロキシフェニル)(4-(2-(メチルアミノ)エトキシ)フェニル)メタ
ノンは、式(III)の化合物のE/Zミックスを形成するために、不活性な有機溶剤に
おいてチタン塩、例えば、チタンの塩化物(例えば、三塩化チタンおよび四塩化チタン(
TiCl4))と還元剤を介するマクマリー反応によって媒介されたプロピオフェノンに
結合される。
【0118】
本開示に役立つチタンの塩は、チタンハロゲン化物(三塩化チタン(TiCl3)、四
塩化チタン(TiCl4)、チタンヨウ化物、チタン臭化物、およびチタンフッ化物)、
チタン(IV)トリクロリドイソプロポキシド、ならびにチタンイソプロポキシドを含む
。いくつかの実施形態において、チタン塩はTiCl4である。TiCl4などのチタン
塩は、1:0.1~1:12の範囲のチタン塩に対する式(II)の化合物のwt/wt
比率で添加される。
【0119】
還元剤は、亜鉛、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、モリブデン、タングステン、ア
ルミニウム、マグネシウム、カリウム、銅-亜鉛カップル、アルカリとアルカリ土類金属
、ブチルイウム、リチウム、および水素化アルミニウムリチウムを含む。少なくとも1つ
の実施形態では、還元剤は亜鉛である。マクマリー合成は、1:0.1~1:10の範囲
の還元剤に対する式(II)の化合物のwt/wt比率で亜鉛などの還元剤を用いて都合
よく行われる。いくつかの実施形態において、還元剤の比率はチタン塩と比較して過剰で
ある。
【0120】
マクマリー合成は1つ以上の不活性な有機溶剤中で実行可能である。マクマリー合成に
有用な不活性な有機溶剤は、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭
素、クロロベンゼン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、tert-ブチルメチル
エーテル(TBME)、テトラヒドロフラン(THF)、N,N-ジメチルホルムアミド
(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)、ジグリム、ニトロメタン、1,2-ジメ
トキシエタン(DME)、ピリジン、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、o-キシレ
ン、m-キシレン、p-キシレン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オ
クタン、ノナン、および、デカン、あるいはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施
形態において、不活性な有機溶剤は、1:1~1:50の範囲の溶剤に対する式(II)
の化合物のwt/wt比率である。他の実施形態では、不活性な有機溶剤は、1:1~1
:20の範囲の溶剤に対する式(II)の化合物のwt/wt比率である。いくつかの実
施形態において、マクマリー反応に使用された不活性な有機溶剤はTHFである。いくつ
かの実施形態において、THFは、1:1~1:20の範囲のTHFに対する式(II)
の化合物のwt/wt比率である。
【0121】
プレミックスを作製するために、不活性な有機溶剤中でチタン塩と還元剤を組み合わせ
ることは有利である。チタン塩は、75°C以下、例えば、65°C以下、55°C以下
、45°C以下、40°C以下、35°C以下、30°C以下、25°C以下、20°C
以下、および15°C以下の内部温度を維持するために上記速度で還元剤と不活性な有機
溶剤に添加される。これに応じて、不活性な有機溶剤中のチタン塩と還元剤は、プレミッ
クスを作製するために組み合わされる。いくつかの実施形態において、Zn、TiCl4
、およびTHFは、Zn/TiCl4/THF混合物を作製するために組み合わされる。
少なくとも1つの実施形態では、TiCl4はZnとTHFに添加され、混合され、10
分間以上にわたって内部温度を20°C以下に保つ。
【0122】
不活性な有機溶剤中のチタン塩と還元剤の調製はさらに、20°Cから250°Cまで
、例えば、40°Cから80°Cまで、50°Cから230°Cまで、50°Cから12
0°C、および150°Cから200°Cまでの範囲の温度まで、不活性な有機溶剤中の
チタン塩と還元剤を加熱することを含み得る。いくつかの実施形態において、不活性な有
機溶剤に存在するチタン塩と還元剤は、60°C以上で加熱される。いくつかの実施形態
において、不活性な有機溶剤中のチタン塩と還元剤の調製はさらに、還流下で不活性な有
機溶剤中のチタン塩と還元剤を加熱することを含む。不活性な有機溶剤中のチタン塩と還
元剤は、N2またはアルゴン下などの不活性な条件下で、30分以上、例えば、1時間以
上、2時間以上、4時間以上、6時間以上、および8時間以上にわたって還流下で加熱さ
れる。
【0123】
さらに、(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物、式(III
)の化合物を形成するために、式(II)の化合物を、不活性な有機溶剤、例えば、TH
Fやプロピオフェノンとあらかじめ混合し、その後、式(II)の化合物を、あらかじめ
混合された還元剤/チタン塩/溶剤混合液、例えば、Zn/TiCl4/THF混合物と
反応させることも有利である。プロピオフェノンは、1:0.01~1:5の範囲のプロ
ピオフェノンに対する式(II)の化合物のwt/wt比率で添加され得る。不活性な有
機溶剤は、1:1~1:20の範囲の溶剤に対する式(II)の化合物のwt/wt比率
であり得る。工程(a)の式(II)の化合物を、0.5時間以上、1時間以上、2時間
以上、4時間以上、6時間以上、8時間以上、12時間以上、24時間以上、および48
時間以上にわたって還流下で有機溶剤中のチタン塩と還元剤と反応させる。少なくとも1
つの実施形態では、式(II)の化合物を、THFとプロピオフェノンと混合し、Zn、
TiCl4、THFのプレミックスと反応させ、2時間以上にわたって還流下で加熱する
。別の実施形態では、式(II)の化合物を、THFおよびプロピオフェノンと混合し、
上に記載されるようにZn/THF/TiCl4混合物と反応させ、8時間以上にわたっ
て還流下で加熱する。その後、反応混合物を0°C~35°Cまで冷ます。
【0124】
その後、反応混合物中の(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合
物は、(Z)-エンドキシフェンと(E)-エンドキシフェンの精製された混合物を得る
ために、抽出精製、蒸留、および結晶化にさらされ得る。反応混合物中の(E)-エンド
キシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物は、THFとMeTHFなどの不活性な
有機溶剤による抽出、あるいは、炭酸カリウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、水
酸化ナトリウムなどの塩の反応混合物への追加による抽出精製、および、THFやMeT
HFなどの不活性な有機溶剤を用いる抽出にさらされ得る。
【0125】
いくつかの実施形態において、反応混合物は、塩化アンモニウム、例えば、25%の塩
化アンモニウム(1:1~1:30wt/wt);シリカ(Celite(登録商標)ベ
ッド;(1:0.01~1:5wt/wt)および/または、溶剤、例えば、THF(1
:1、1:10wt/wt)を用いて1回以上抽出される。他の実施形態では、反応混合
物は、40%のK2CO3(1:1~1:10wt/wt)およびMeTHF(1:1~
1:10wt/wt)などの炭酸カリウム(K2CO3)を用いる1回以上抽出される。
いくつかの実施形態において、E/Z混合物は、1NのNaOH(1:1~1:20wt
/wt)などのNaOHを用いてさらに抽出され得る。少なくとも1つの実施形態では、
NaCl(1:0.1~1:0.5wt/wt)は、抽出工程のために、1NのNaOH
に添加され得る。
【0126】
いくつかの実施形態において、反応混合物は、THFまたはMeTHFを用いてさらに
1回以上抽出され得る。少なくとも1つの実施形態では、反応混合物は、MeTHFを用
いて3回以上抽出される。出願人は、高い収率の(E)-エンドキシフェンと(Z)-エ
ンドキシフェンの精製混合物を得るために、(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンド
キシフェンの混合物の抽出の工程に驚くほど適したMeTHFを発見した。少なくとも1
つの実施形態では、混合物はまださらに、20%の塩化ナトリウム(1:1~1:10w
t/wt)で抽出され得る。
【0127】
反応混合物は次に、適切な溶剤、例えば、酢酸エチル、IPA、およびIPA/PPW
(式(III)の化合物に対して1:1~1:10wt/wt)を用いて、2~5回の溶
剤交換と蒸留にさらされ得る。蒸留は30°Cから90°Cの範囲の温度で減圧/真空下
で実行され得る。いくつかの実施形態において、蒸留は、30°C以下、35°C以下、
40°C以下、45°C以下、50°C以下、55°C以下、60°C以下、65°C以
下、70°C以下、75°C以下、80°C以下、および、90°C以下の温度で実施さ
れ、濾過され得る。濾過された生成物は、EtOAc、IPA、IPA/PPW、あるい
はn-ヘプタンなどの溶剤で洗浄され、その後、1:1~1:20の範囲のEtOAc/
n-ヘプタンあるいはIPA/n-ヘプタンに対する式(III)の化合物のwt/wt
比率のEtOAc/n-ヘプタン(1:2v/v)あるいはIPA/n-ヘプタン(1:
2.7v/v)などの結晶化系を用いる結晶化され、例えば、60°C以下で乾燥される
ことで、(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェン遊離塩基の結晶固体混合
物、式(III)の化合物が得られ得る。
【0128】
さらに別の態様では、本開示は、およそ1:1(45:55~55:45に)のE/Z
比率を有するE/Zミックスを製造あるいは再平衡化する産業上拡張可能な方法に関する
。適切な反応装置には、上に記載されているようなマクマリー反応で調製された、酢酸エ
チルなどの不活性な有機溶剤に溶解した式(III)の化合物が入れられてもよい。式(
III)の化合物は、99:1~60:40のE/Z比率を持つことができる。混合物は
40°C~85°Cの範囲の温度で濃縮され得る。いくつかの実施形態において、混合物
は、量が5volに達するまで、75°C以下の温度で濃縮される。混合物は還流するま
で加熱され、その後、40°C~60°Cの範囲の温度に冷まされる。いくつかの実施形
態において、混合物の温度は50±5°Cまで冷まされる。n-ヘプタンは、1:1~1
:20の範囲のn-ヘプタンに対する式(III)の化合物の比率で、混合物にゆっくり
添加され得、混合物は0±5°Cまで冷やされ得る。混合物は、0.5時間以上、例えば
、1時間以上、2時間以上、4時間以上、8時間以上、12時間以上、あるいは24時間
以上にわたって、0±5°Cで撹拌され得る。混合物は濾過され、1:1~1:10の範
囲の酢酸エチル/n-ヘプタンに対する式(III)の化合物のwt/wt比率で酢酸エ
チル/n-ヘプタン(1:2v/v)を用いて洗浄され得る。ウェットケーキは、およそ
1:1のE/Z比率を有するE/Zエンドキシフェン混合物を得るために、減圧下で乾燥
され得る。乾燥は30°C~70°Cの範囲の温度で行われ得る。いくつかの実施形態で
は、およそ1:1(45:55~55:45)のE/Z比率を有するE/Zエンドキシフ
ェン混合物を得るために、ウェットケーキを、60°C以下で減圧あるいは真空下で乾燥
させる。
【0129】
さらに別の態様では、以下に記載されるような実質的に純粋な(Z)-エンドキシフェ
ンを得るために、式(III)の化合物は、さらに精製されるか、富化されるか、あるい
は、再平衡化され得る。
【0130】
(Z)-エンドキシフェン遊離塩基の濃縮精製
さらに他の態様において、本開示は、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基の濃縮および
精製によって産業上拡張可能な製造方法に関する。(Z)-エンドキシフェンの産業上拡
張可能な濃縮および精製は、例示的なスキーマ1の工程3の方法を使用して、本明細書に
記載されるように、ならびに、実施例1、2、4および9にさらに記載されるように実施
され得る。分別結晶に使用される(E)-エンドキシフェンおよび(Z)-エンドキシフ
ェンの出発混合物は、任意のE/Z比、例えば、99:1~1:10の範囲に及ぶE/Z
比を有し得る。いくつかの実施形態において、出発(Z)/(E)-エンドキシフェン混
合物のE/Z比は、30:70~70:30の範囲である。いくつかの実施形態において
、出発(Z)/(E)-エンドキシフェン混合物のE/Z比は、99:1~1:99の範
囲である。いくつかの実施形態において、出発(Z)/(E)-エンドキシフェン混合物
のE/Z比は、51:1、1:1.8または1:5.6である。
【0131】
E/Z混合物は、上記のように得られた式(III)の化合物であり得るか、あるいは
、(例えば、Sigma-Aldrichから)商業的に供給され得る。(E)-エンド
キシフェンおよび(Z)-エンドキシフェンの混合物(E/Z混合)を分別結晶化して、
(Z)-エンドキシフェン遊離塩基で強化された第1の結晶性固体および第1の母液を得
る(実施例1)。(Z)-エンドキシフェンが濾液中に残りやすいように、エンドキシフ
ェンおよびその誘導体を粉砕することができる第1の溶媒を使用して、分別結晶化が行わ
れる。適切な第1の溶媒は、エンドキシフェン異性体を特異的に可溶化し、および、限定
されないが、酢酸エチル、イソプロパノール、イソプロパノール/PPW、アセトニトリ
ル、アセトニトリル/PPW、およびジクロロメタンを含むものである。いくつかの実施
形態では、第1の溶媒は酢酸エチルである。第1の溶媒、例えば、酢酸エチルは、1:1
~1:20の範囲の式(III)の化合物対第1の溶媒のwt/wt比で加えられる。い
くつかの実施形態において、式(III)の化合物は、第1の溶媒において溶解され、お
よび、50°C~80°Cの範囲の温度に加熱され、35°C以下に冷却される。
【0132】
混合物の酸性化が(E)-エンドキシフェンの(Z)-エンドキシフェンへの変換を増
強することは、驚くべき発見であった。従って、いくつかの実施形態では、式(III)
の化合物は酸で前処理され、その後、塩基で中和される。
【0133】
非限定的な例として、適切な反応装置に式(III)の化合物を充填し、それに第1の
溶媒を加えて、0°C~5°Cに冷却する。次に、HClまたはTFAなどの酸がゆっく
りと加えられ得る。いくつかの実施形態において、酸は、1:1~1:5の範囲の式(I
II)の化合物対酸のwt/wt比で、E/Z-エンドキシフェン混合物に加えられる。
その後、反応混合物を撹拌しながら、50°C~70°Cの範囲の温度に加熱する場合も
ある。いくつかの実施形態において、上記反応が還流下で行なわれる。上記反応は、4時
間以上、例えば、6時間以上、12時間以上、24時間以上、および48時間以上にわた
って行なわれ得る。反応混合物は0°C~5°Cに冷却され、中和剤で中和される。
【0134】
いくつかの実施形態において、中和剤は、1:1~1:5の範囲の式(III)の化合
物対中和剤のwt/wt比で反応混合物に加えられる。適切な中和剤は、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、アミノメチルプロパノールなどを含む。いく
つかの実施形態において、中和剤は8Nの水酸化ナトリウムである。反応混合物のpHは
、好ましくはアルカリ性である。いくつかの実施形態において、pHは≧10、例えば、
≧11または≧12である。
【0135】
いくつかの実施形態において、(Z)-エンドキシフェンを、有機質層へと抽出して収
集し、および、水相を、酢酸エチルなどの第1の溶媒(1:1~1:10の範囲の式(I
II)の化合物対第1の溶媒のwt/wt比で添加)で1回以上洗浄する。有機質層をプ
ールして、ブライン(20%のNaCl;1:1~1:10の範囲の式(III)の化合
物対NaClのwt/wt比で添加)で1回以上洗浄する。有機質層は活性炭で処理され
、二酸化ケイ素(Celite(登録商標))ベッド(1.01~1:0.1の範囲の式
(III)の化合物対シリカのwt/wt比で添加)上で濾過される。生成物を、第1の
溶媒(1:1~1:10の範囲の式(III)の化合物対第1の溶媒のwt/wt比で添
加)でさらに1回以上洗浄して、蒸留する。蒸留は50°C~80°Cの範囲の温度で実
施され得る。いくつかの実施形態において、温度は75°C以下であってもよい。
【0136】
第1の母液は、実施例1、表2および3で見られるように、(Z)-エンドキシフェン
が豊富である。いくつかの実施形態において、第1の母液は、E-エンドキシフェンおよ
びZ-エンドキシフェンの混合物のE/Z比の場合と比較して、少なくとも50%富化さ
れる。他の実施形態では、第1の母液は、E-エンドキシフェンおよびZ-エンドキシフ
ェンの混合物のE/Z比と比較して、(Z)-エンドキシフェンが少なくとも70%富化
される。
【0137】
第1の母液を濃縮するか、あるいは第1の母液からの第1の溶媒を1回以上交換するこ
とによって、第1の母液を再結晶化にさらして、第2の結晶性固体および第2の母液を得
ることができる(表5)。再結晶化は、交換用の第2の溶媒を使用して実施される。第2
の溶媒を、1:1~1:10の範囲の式(III)の化合物対第2の溶媒のwt/wt比
で加えて、スラリーを作る。適切な第2の溶媒は、IPA、IPA/PPW、アセトン、
アセトン/MTBE、エタノール、EtOAc、EtOAc/n-ヘプタンを含む。いく
つかの実施形態では、第2の溶媒はIPAである。驚くべきことに、IPAは、EtOA
cよりも高いレベルで(Z)-エンドキシフェンを固形分へと粉砕することが分かってい
る。従って、いくつかの実施形態では、第1の溶媒がEtOAcである場合、第2の溶媒
はIPAまたはIPA/PPWである。これは、(Z)-エンドキシフェンを初めにEt
OAcから濾液(第1の母液)へと向け、その後、IPAまたはIPA/PPWから固形
分へと向けるのに有用である。少なくとも1つの実施形態において、第2の溶媒はIPA
/PPWである(表7)。さらに他の実施形態において、第2の溶媒はアセトン/MTB
Eである。第2の結晶性固体は、(Z)-エンドキシフェン、(Z)-4-(1-(4-
(2-(メチルアミノ)エトキシ)フェニル)-2-フェニルブト-1-エニル)フェノ
ール、式(IV)の化合物である。分子量 373.49;分子式:C25H27NO2
;融点139°C-143°C。第2の結晶性固体は、≧70%の(Z)-エンドキシフ
ェン、例えば、≧75%の(Z)-エンドキシフェン、≧80%の(Z)-エンドキシフ
ェン、または≧90%の(Z)-エンドキシフェンである。いくつかの実施形態において
、第2の結晶性固体は、≧90%の(Z)-エンドキシフェンである。
【0138】
第2の結晶性固体を随意に再結晶化にさらして、第3の結晶性固体、(Z)-エンドキ
シフェンを得ることができる(表5)。第3の結晶性固体は、≧90%の(Z)-エンド
キシフェン、例えば、≧91%の(Z)-エンドキシフェン、≧92%の(Z)-エンド
キシフェン、≧93%の(Z)-エンドキシフェン、≧94%の(Z)-エンドキシフェ
ン、≧95%の(Z)-エンドキシフェン、≧96%の(Z)-エンドキシフェン、≧9
7%の(Z)-エンドキシフェン、≧98%の(Z)-エンドキシフェン、または≧99
%の(Z)-エンドキシフェンであってもよい。いくつかの実施形態において、第3の結
晶性固体は、≧90%の(Z)-エンドキシフェンである。いくつかの実施形態において
、第3の結晶性固体は、≧95%の(Z)-エンドキシフェンである。この随意の再結晶
化は第3の溶媒を使用して実行される。第3の溶媒は、エタノール、メタノール、酢酸エ
チル、IPA、IPA/PPW、アセトン、アセトン/MTBEおよびEtOAc/n-
ヘプタンからなる群から選択される。
【0139】
一態様において、本開示は、第1の溶媒、第2の溶媒、および第3の溶媒を、使用前に
予熱することに関する(表2)。いくつかの実施形態において、第1の溶媒、第2の溶媒
、および第3の溶媒の1つ以上は、それぞれ独立して、40°C~80°Cの範囲の温度
に予熱され得る。分別結晶化および再結晶化の工程は、60°C~80°Cで蒸留する工
程、および/または、結果として生じる溶液を0°C~35°Cの範囲の温度に冷却する
工程も含み得る。
【0140】
いくつかの実施形態では、上記のように得られる第1、第2、および第3の結晶性固体
、ならびに第2の母液を、上記のように1回以上さらに分別結晶化および再結晶化にさら
して、精製された(Z)-エンドキシフェンを得ることが可能であることが理解されるべ
きである。第1、第2、および/または第3の結晶性固体は、カラムクロマトグラフィー
技術を使用して随意に再処理され、より多くの(Z)-エンドキシフェンを得ることがで
きることも理解されるべきである。
【0141】
特定の実施形態において、本明細書に記載される産業上拡張可能な方法は、独立して、
本明細書の例に記載される追加の工程または処置(例えば、反応副産物を取り除くこと、
または反応生成物をワークアップするか、単離するか、または精製すること)を含む。い
くつかの実施形態において、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基は、<2%、<1%、お
よび<0.5%の不純物を有する。他の実施形態では、式(III)の化合物は<2%、
<1%、および<0.5%の不純物を有する。
【0142】
当業者は、所望の結果を得るために変更され得る前述のプロセスのいくつかのパラメー
タを認識するだろう。これらのパラメータは、例えば、反応成分および溶媒の精製の方法
ならびに手段;前記反応成分および溶媒の反応混合物への添加の順序、前記反応成分およ
び溶媒の反応の持続期間;ならびに、反応中の反応成分および溶媒の撹拌、混合、かき混
ぜの温度と速度を含む。
【0143】
本明細書の方法によって具体化されたプロセス(特定のプロセス工程を含む)は、以下
の基準の1つ以上を満たすことが分かった:式(II)、(III)および(IV)の化
合物を製造するための既知のプロセスと比較した場合に、より優れた安定性、より安全、
より単純、より高い収率、より経済的であること。以下に開示されるプロセスによって調
製される(Z)-エンドキシフェンは、5°Cおよび25°Cで、60%の相対湿度(2
5°C/60%のRH)で、少なくとも9ヶ月間、ならびに40°C/75%のRHで少
なくとも3ヵ月間安定している(実施例9)。高温での安定性は長期安定性を示す。した
がって、本開示のプロセスによって調製される(Z)-エンドキシフェン遊離塩基は、少
なくとも6ヶ月間、例えば、少なくとも9ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、または少なく
とも18ヶ月間安定している。さらに、本明細書に記載されるプロセスは、マルチキログ
ラム操作(multi-kilogram operations)で拡張可能であると
考慮され、商業生産に適している。
【0144】
エンドキシフェン塩
さらに他の態様において、本出願は、エンドキシフェン塩、およびエンドキシフェン塩
を製造する方法を提供する。当該技術分野で既知のエンドキシフェン塩は、塩酸塩(Fa
uq et al., Bioorg Med Chem Lett. 2010 Ma
y 15;20(10):3036-3038)およびエンドキシフェンのクエン酸塩(
米国特許第9333190号;米国特許出願公開第2010/0112041号)を含み
、ならびに、被験体への経口投与について評価されている。
【0145】
特定の実施形態において、本開示は、アレコリン、ベシレート、重炭酸塩、重酒石酸塩
、ブチルブロミド、クエン酸塩、カンシラート(camysylate)、グルコネート
、グルタメート、グリコリルアルサニレート(glycollylarsanilate
)、ヘキシルレゾルシネ-ト、ヒドラバミン(hydrabamine)、臭化水素酸塩
、塩酸塩、ヒドロキシナフトエート(hydroxynapthanoate)、イセチ
オネート(isethionate)、マレート、マンデレート、メシレート、メチルブ
ロマイド、メチルブロマイド、メチルニトラート、メチルスルファート、ムカート(mu
cate)、ナプシレート(napsylate)、ニトラート、パマオエート(pam
aoate)(エンボネート(Embonate))、パントテナート、フォスフェート
/ジホスフェート、ポリガラクツロネート(polygalacuronate)、サリ
チラート、ステアレート、サルフェート、タンニン酸塩、テオクレート(Teoclat
e)、およびリエチオジド(triethiodide)からなる群から選択される、エ
ンドキシフェンのアニオン塩を提供する。
【0146】
他の実施形態では、本開示は、ベンザチン、クレミゾール、クロロプロカイン、コリン
、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、ピペラジン、
プロカイン、アルミニウム、バリウム、ビスマス、リチウム、マグネシウム、カリウム、
および亜鉛からなる群から選択される、エンドキシフェンのカチオン塩を提供する。
【0147】
本開示のエンドキシフェン塩は、上記のように調製された化学式(I)、(II)、(
III)および(IV)の化合物のいずれかを使用して製造され得る。
【0148】
エンドキシフェングルコネート
いくつかの実施形態において、本開示は、エンドキシフェンのグルコン酸塩、またはそ
の化学的同等物を提供する。従って、少なくとも1つの実施形態において、本開示の組成
物に含まれるエンドキシフェンは、エンドキシフェングルコネートまたはその化学的同等
物である。特に明記されない限り、本明細書のエンドキシフェングルコネートに言及する
場合、その化学的同等物も含まれるであろうことが理解されるだろう。
【0149】
本開示の目的ために、エンドキシフェングルコネートの化学的同等物は、エンドキシフ
ェン分子とグルコネート部分との間のアニオン性、カチオン性、および非イオン性の反応
複合体のすべてを含む。そのような複合体は、典型的には、エンドキシフェン分子のヒド
ロキシル基と反応する。グルコネート部分は、D-グルコン酸、グルコン酸、グリコーゲ
ン酸(glycogenic acid)、グリカン-Δ-ラクトンなどを含む。いくつ
かの実施形態において、グルコネート部分は、薬学的に許容可能なグルコン酸塩である。
そのような塩は、グルコン酸カルシウム、グルコン酸ナトリウム、ならびにアルカリ金属
およびアルカリ土類金属の塩、例えば、グルコン酸カリウム、グルコン酸マグネシウム、
グルコン酸リチウムなどを含む。
【0150】
グルコレートの両方の立体異性体であるD型およびL型が本開示に包含される。いくつ
かの実施形態において、本開示の組成物中に含まれるエンドキシフェングルコネートは、
(Z)-エンドキシフェン D-グルコネート、(Z)-エンドキシフェン L-グルコ
ネート、(E)-エンドキシフェン D-グルコネート、(E)-エンドキシフェン L
-グルコネート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施
形態において、医薬組成物は、(Z)-エンドキシフェン L-グルコネートを含む。特
定の実施形態において、医薬組成物は、(Z)-エンドキシフェン D-グルコネートを
含む。特に明記されない限り、組成物は、ラセミ混合物、純粋な立体異性体(例えば、鏡
像体およびジアステレオ異性体)、立体が豊富な混合物などとして存在し得る。特定の立
体異性体が本明細書に示されるか指定される場合、全体としての組成物の有用性がそのよ
うな他の異性体の存在によって排除されないことを条件に、少量の他の立体異性体が本開
示の組成物中に存在し得ることが当業者によって理解されるだろう。個別の異性体は、適
切なキラルの固定相または支持体を使用したキラルのクロマトグラフィーを含む、当技術
分野で周知の多数の方法によって、あるいは、それらを化学的にジアステレオ異性体に変
換し、クロマトグラフィーあるいは再結晶化などの従来の手段によってジアステレオ異性
体を分離し、その後、元の立体異性体を再生成することによって得ることができる。
【0151】
本開示は、エンドキシフェングルコネートまたはその化学的同等物を製造する方法も含
み、上記方法は、エンドキシフェングルコネートを得るために、エンドキシフェンをグル
コレート部分と混合する工程を含む。治療剤のグルコン酸塩を製造する方法は、当技術分
野において既知である(例えば、米国特許出願公開第2002/0127665号)。
【0152】
いくつかの実施形態において、エンドキシフェン Dグルコレート(例えば、(Z)-
エンドキシフェン Dグルコレート)塩は、遊離塩基としてのエンドキシフェン(例えば
、上記方法によって調製された(Z)-エンドキシフェン)のエタノール性のスラリーを
、水中のD-グルコノラクトンの20%w/vの溶液を70°Cで15~30分間加熱す
ることによって加水分解することにより得られた、D-グルコネートの水溶液と混合する
ことによって得ることができる。いくつかの実施形態において、最少量のエタノールが使
用され、1gのエンドキシフェン遊離塩基につき5mlの水性D-グルコン酸溶液が加え
られる。その後、透明な溶液が得られるまで撹拌を継続する。次に、必要な量のこの溶液
を1つ以上の他の賦形剤に加えて、「活性成分」が(Z)-エンドキシフェン D-グル
コネートまたは(Z)-エンドキシフェン L-グルコネートである製剤を生成する。塩
は、本明細書に開示される当該技術分野で既知の方法のいずれかによって精製され得る。
【0153】
精製された(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、または(E)/(Z)-エンドキシフ
ェンの混合物の両方が、エンドキシフェングルコン酸塩の調製物の目的に有用である。(
Z)-エンドキシフェン Dグルコレートまたは(Z)-エンドキシフェン L-グルコ
レートの溶液は、分別結晶化または再結晶化(実施例1-3)によって、本明細書に記載
される(E)/(Z)-エンドキシフェングルコン酸塩の混合物から精製されて、固形の
精製された(Z)-エンドキシフェン塩を得ることもできる。固形塩は、次に使用される
までN2下で-5°Cで保存される。
【0154】
グルコレート部分またはグルコン酸塩を有する出発原料として他のエンドキシフェン塩
を使用して、エンドキシフェングルコネートまたはその化学的等価物を得ることができる
ことが、当業者によって理解されるだろう。
【0155】
エンドキシフェングルコネートまたはその化学的等価物は、上記のように調整された(
Z)-エンドキシフェンを使用して、または容易に入手可能な出発反応物を用いて調製さ
れ得る。例えば、粗製のエンドキシフェン HCl(≧98%)およびグルコン酸ナトリ
ウムは、Sigma-Aldrich, USAから容易に入手可能である。
【0156】
いくつかの実施形態において、エンドキシフェングルコネートまたはその化学的同等物
を得るために、エンドキシフェン HClおよびグルコン酸ナトリウムを適切な溶媒にお
いて溶解する。少なくとも1つの実施形態において、エンドキシフェングルコネートを含
む組成物は、エンドキシフェン HClも含む。他の実施形態では、エンドキシフェング
ルコネートまたはその化学的同等物を得るために、(E)/(Z)-エンドキシフェン混
合物(式(III)の化合物)およびグルコン酸ナトリウムは、適切な溶媒において溶解
される。
【0157】
エンドキシフェングルコネートまたはその化学的同等物を製造するために適している溶
媒としては、限定されないが、有機溶媒、例えば、アルコール類、アセトン、DMSO、
ポリエチレングリコール、脂肪酸および脂肪族アルコール、およびそれらの誘導体、ヒド
ロキシル酸、ピロリドン、尿素、植物油、魚油などの動物油、芳香油などまたはそれらの
混合物、および、水混和性アルコールなどの水混和性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメ
チルホルムアミド、水混和性エーテル、例えば、テトラヒドロフラン、水混和性ニトリル
、例えば、アクリロニトリル、水混和性ケトン、例えば、アセトンまたはメチルエチルケ
トン、ジメチルアセトアミドなどのアミド、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエ
チレングリコール400、グリコフロール(glycofurol)、テトラグリコール
(tetraglycol)など、あるいはそれらの混合物が挙げられる。
【0158】
エンドキシフェングルコネートの調製に有用な水混和性溶媒は、グリセリン、エタノー
ル、プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール
、またはそれらの混合物である。有用な追加の溶媒は、ジグリコールモノエチルエーテル
(transcutol);アルキレングリコール、例えば、ジプロピレングリコール、
プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、例えば、PEG 300、400、3
395、4450など;ジメチルイソソルビド;および無水アルコールを含む。いくつか
の実施形態において、溶媒は、無水アルコール(absolute alcohol)な
どの無水アルコール(dehydrated alcohol)である。特定の実施形態
において、溶媒は、エンドキシフェン(遊離塩基、塩)およびグルコン酸塩を溶解するの
に十分な量である。溶媒の濃縮も必要に応じて調整することができる。その反応は、室温
で、および大気圧で実行することができる。
【0159】
エンドキシフェングルコネートまたはその化学的同等物を作るために使用することがで
きるエンドキシフェン遊離塩基またはエンドキシフェン塩(エンドキシフェン HClな
ど)、およびグルコン酸塩(グルコン酸ナトリウムなど)の量は、使用される反応物の量
に応じて変えることができる。結果として生じるエンドキシフェングルコネートは、1:
1比のエンドキシフェン:グルコレート部分を有する。
【0160】
いくつかの実施形態において、エンドキシフェングルコネートの製造のために使用され
るエンドキシフェンまたはエンドキシフェン塩の量は、総組成物の0.01~40(例え
ば、1%~10%、または3%~5%)重量%(wt/wt)である。いくつかの実施形
態において、エンドキシフェングルコネートの製造のために使用されるグルコン酸塩は、
0.01%~40%(wt/wt)(例えば、1%~10%(wt/wt)、または3%
~5%(wt/wt))である。当業者は、限定されないが、所望の収率を達成するのに
有効な反応物の量を含む、当該分野および本開示において技能および知識によって導かれ
るだろう。
【0161】
結晶形態
特定の態様において、本開示は、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基の結晶形態、なら
びに、(E)-エンドキシフェンと(Z)エンドキシフェンの混合物の結晶形態を含む、
結晶形態を提供する。本開示は、本明細書に記載される結晶形態を含むエンドキシフェン
の医薬組成物をさらに提供する。エンドキシフェンの結晶形態は、医薬組成物における活
性成分としての使用に適している、生物学的利用能および安定性の利点を提供することが
できる。医薬品原薬または活性成分の結晶構造における変化は、医薬品薬物製品あるいは
活性成分の溶出速度(生物学的利用能などに影響を与え得る)、製造可能性(例えば、取
扱い易さ、および既知の強度の用量を一貫して調製する能力)および安定性(例えば、熱
安定性、保存可能期間など)に影響を与える場合がある。そのような変化は、異なる用量
、または錠剤およびカプセル剤を含む固形経口剤形などの送達形態における医薬組成物の
調製物または製剤に影響を与える可能性もある。非晶質または無晶性の形態などの他の形
態と比較して、結晶形態は、所望のまたは適切な、吸湿性、粒度制御、溶出速度、溶解度
、純度、物理的および化学的安定性、製造可能性、収率、および/またはプロセス制御を
提供することができる。したがって、エンドキシフェンの結晶形態は、活性薬剤の製造工
程、あるいは化合物または活性成分の医療品形態の安定性または貯蔵性を改善し、および
/または、活性薬剤としての適切な生物学的利用能および/または安定性を有するなどの
利点を提供することができる。
【0162】
特定の溶媒および分別結晶方法の使用は、多形形態I、IIおよびIIの任意の1つ以
上を含む、エンドキシフェンの異なる多形形態を生成することが分かっており、それは、
上記の1つ以上の好ましい特徴を示す可能性がある。本明細書に記載される多形の調製の
プロセス、およびこれらの多形体の特徴づけは、さらに詳細に以下に記載される。
【0163】
式III、形態I
特定の態様において、本開示は、式(III)の化合物の多形形態Iを提供し、ここで
、組成物中の式(III)の化合物の少なくとも90重量%が、(Z)-異性体(すなわ
ち、(Z)-エンドキシフェン)である。いくつかの実施形態において、多形形態Iは、
図9または
図10に実質的に示されるようなX線粉体回折(XRPD)パターンを示す。
いくつかの実施形態において、多形形態Iは、
図9または
図10に実質的に示されるよう
なXRPDパターンとしての主要なピークの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくと
も4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つを含む、XRPDパターンを含む。
【0164】
例えば、XRPDパターンに言及する際の用語「実質的に示されるような」とは、本明
細書に表されるものと必ずしも同一である必要はないが、当業者によって考慮される際に
、実験誤差または偏差の範囲内にあるパターンを含む。XRPDピークの相対強度は、粒
子径、サンプル調製技術、サンプル取り付け処置、および利用される特定の器機に応じて
変えることができる。さらに、器機の変化および他の要因は2つのシータ(2θ)値に影
響を与える場合がある。従って、特定の2つのシータ角度が提供される場合、特定の2つ
のシータ角度は、特定の値±0.5°、例えば、±0.4°、±0.3°、±0.2°、
または±0.1°だけ変動する可能性があることが理解される。本明細書で使用されるよ
うに、「主要ピーク」とは、30%より大きい、例えば、35%より大きい相対強度を有
するXRPDピークを指す。相対強度は、XRPDパターンにおいて最大ピークのピーク
強度に対する対象のピークのピーク強度の比率として算出される。
【0165】
特定の実施形態において、多形形態Iは、16.8±0.3°、17.1±0.3°、
および21.8±0.3°の2シータにおいて主要ピークを含む、X線粉対回折パターン
を特徴とする。いくつかの実施形態において、多形形態Iは、16.0±0.3°、18
.8±0.3°、および26.5±0.3°の2シータにおいてピークを含む、X線粉体
回折パターンを特徴とする。いくつかの実施形態において、多形形態Iは、16.8±0
.3°、17.1±0.3°、および21.8の±0.3°の2シータにおいて主要ピー
ク、ならびに、16.0±0.3°、18.8±0.3°、および26.5±0.3°の
2シータから選択される少なくとも1つのピークを含む、X線粉体回折パターンを特徴と
する。いくつかの実施形態において、多形形態Iは、12.3±0.3°、28.0±0
.3°、および29.0±0.3°の2シータにおいてピークを含む、X線粉体回折パタ
ーンを特徴とする。いくつかの実施形態において、多形形態Iは、16.8±0.3°、
17.1±0.3°、および21.8±0.3°の2シータにおいて主要ピーク、ならび
に、12.3±0.3°、28.0±0.3°、および29.0±0.3°の2シータか
ら選択される少なくとも1つのピークを含む、X線粉体回折パターンを特徴とする。いく
つかの実施形態において、多形形態Iは、16.8±0.3°、17.1±0.3°、お
よび21.8±0.3°の2シータにおいて主要ピーク、ならびに、12.3±0.3°
、16.0±0.3°、18.8±0.3°、26.5±0.3°、28.0±0.3°
、および29.0±0.3°の2シータから選択される少なくとも1つのピーク含む、X
線粉体回折パターンを特徴とする。いくつかの実施形態において、多形形態Iは、16.
8±0.3°、17.1±0.3°、および21.8±0.3°の2シータにおいて主要
ピーク、ならびに、12.3±0.3°、16.0±0.3°、18.8±0.3°、2
6.5±0.3°、28.0±0.3°、および29.0±0.3°の2シータにおいて
ピークを含む、X線粉末体回折パターンを特徴とする。
【0166】
特定の実施形態において、本開示は、多形形態Iを含む組成物を提供する。組成物中の
式(III)の化合物の90%、95%、または99重量%以上が多形形態であってもよ
い。いくつかの実施形態において、組成物は、0.01mg~200mgの多形形態Iを
含む。いくつかの実施形態において、組成物は、約1mg、2mg、4mg、6mg、1
0mg、または20mgの多形形態Iを含む。
【0167】
式III、形態II
特定の態様において、本開示は、式(III)の化合物の多形形態IIを提供し、ここ
で、組成物は、0.9~1.3の間、例えば、約1.1のE/Z比で、式(III)の化
合物の(E)-異性体および(Z)-異性体(すなわち、(E)-エンドキシフェンおよ
び(Z)-エンドキシフェン)を含む。いくつかの実施形態において、多形形態IIは、
図11または
図12に実質的に示されるようなX線粉体回折(XRPD)パターンを示す
。いくつかの実施形態において、多形形態IIは、
図11または
図12に実質的に示され
るようなXRPDパターンとして、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、
少なくとも5つ、または少なくとも6つの主要ピークを含む、XRPDパターンを有する
。
【0168】
特定の実施形態において、多形形態IIは、7.0±0.3°、11.9±0.3°、
14.0±0.3°、および18.4±0.3°の2シータにおいて主要ピークを含む、
X線粉体回折パターンを特徴とする。いくつかの実施形態において、多形形態IIは、2
2.0±0.3°の2シータにおいてピークを含む、X線粉体回折パターンを特徴とする
。いくつかの実施形態において、多形形態IIは、7.0±0.3°、11.9±0.3
°、14.0±0.3°、および18.4±0.3°の2シータにおいて主要ピーク、な
らびに、22.0±0.3°の2シータにおいてピークを含む、X線粉体回折パターンを
特徴とする。いくつかの実施形態において、多形形態IIは、6.6±0.3°、13.
3±0.3°、および20.0±0.3°の2シータから選択される少なくとも1つのピ
ークを含む、X線粉体回折パターンを特徴とする。いくつかの実施形態において、多形形
態IIは、7.0±0.3°、11.9±0.3°、14.0±0.3°、および18.
4±0.3°の2シータにおいて主要ピーク、ならびに、6.6±0.3°、13.3±
0.3°、および20.0±0.3°の2シータから選択される少なくとも1つのピーク
を含む、X線粉体回折パターンを特徴とする。いくつかの実施形態において、多形形態I
Iは、7.0±0.3°、11.9±0.3°、14.0±0.3°、および18.4±
0.3°の2シータにおいて主要ピーク、ならびに、6.6±0.3°、13.3±0.
3°、20.0±0.3°、および22.0±0.3°の2シータから選択される少なく
とも1つのピークを含む、X線粉体回折パターンを特徴とする。いくつかの実施形態にお
いて、多形形態IIは、7.0±0.3°、11.9±0.3°、14.0±0.3°、
および18.4±0.3°の2シータにおいて主要ピーク、ならびに、6.6±0.3°
、13.3±0.3°、20.0±0.3°、および22.0±0.3°の2シータにお
いてピークを含む、X線粉体回折パターンを特徴とする。
【0169】
特定の実施形態において、本開示は、多形形態IIを含む組成物を提供する。式(II
I)の化合物の組成物の90%、95%、または99重量%以上が多形形態IIであって
もよい。いくつかの実施形態において、組成物は、0.01mgから200mgの多形形
態IIを含む。いくつかの実施形態において、組成物は、約1mg、2mg、4mg、6
mg、10mg、または20mgの多形形態IIを含む。
【0170】
式III、形態III
特定の態様において、本開示は、式(III)の化合物の多形形態IIIを提供し、こ
こで、組成物は、0.9~1.3の間、例えば、約1.1のE/Z比で、式IIIの化合
物の(E)-異性体および(Z)-異性体(すなわち、(E)-エンドキシフェンおよび
(Z)-エンドキシフェン)を含む。いくつかの実施形態において、多形形態IIIは、
図13に実質的に示されるようなX線粉体回折(XRPD)パターンを示す。いくつかの
実施形態において、多形形態IIIは、
図13に実質的に示されるようなXRPDパター
ンとして、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または
少なくとも6つの主要ピークを含む、XRPDパターンを有する。
【0171】
特定の実施形態において、多形形態IIIは、11.9±0.3°、13.9±0.3
°、17.1±0.3°、および17.7±0.3°の2シータにおいて主要ピークを含
む、X線粉体回折パターンを特徴とする。いくつかの実施形態において、多形形態III
は、25.3±0.3°の2シータにおいてピークを含む、X線粉体回折パターンを特徴
とする。いくつかの実施形態において、多形形態IIIは、11.9±0.3°、13.
9±0.3°、17.1±0.3°、および17.7±0.3°の2シータにおいて主要
ピーク、ならびに、25.3±0.3°の2シータにおいてピークを含む、X線粉体回折
パターンを特徴とする。いくつかの実施形態において、多形形態IIIは、18.2±0
.3°、22.5±0.3°、および26.8±0.3°の2シータから選択される少な
くとも1つのピークを含む、X線粉体回折パターンを特徴とする。いくつかの実施形態に
おいて、多形形態IIIは、11.9±0.3°、13.9±0.3°、17.1±0.
3°、および17.7±0.3°の2シータにおいて主要ピーク、ならびに、18.2±
0.3°、22.5±0.3°、および26.8±0.3°の2シータから選択される少
なくとも1つのピークを含む、X線粉体回折パターンを特徴とする。いくつかの実施形態
において、多形形態IIIは、11.9±0.3°、13.9±0.3°、17.1±0
.3°、および17.7±0.3°の2シータにおいて主要ピーク、ならびに、18.2
±0.3°、22.5±0.3°、25.3±0.3°、および26.8±0.3°の2
シータから選択される少なくとも1つのピークを含む、X線粉体回折パターンを特徴とす
る。いくつかの実施形態において、多形形態IIIは、11.9±0.3°、13.9±
0.3°、17.1±0.3°、および17.7±0.3°の2シータにおいて主要ピー
ク、ならびに、18.2±0.3°、22.5±0.3°、25.3±0.3°、および
26.8±0.3°の2シータにおいてピークを含む、X線粉体回折パターンを特徴とす
る。
【0172】
特定の実施形態において、本開示は、多形形態IIIを含む組成物を提供する。式(I
II)の化合物の組成物の90%、95%、または99重量%以上が多形形態IIIであ
ってもよい。いくつかの実施形態において、組成物は、0.01mgから200mgの多
形形態IIIを含む。いくつかの実施形態において、組成物は約1mg、2mg、4mg
、6mg、10mg、または20mgの多形形態IIIを含む。
【0173】
エンドキシフェン遊離塩基組成物
一態様において、本開示は、安定した(Z)-エンドキシフェン遊離塩基またはその塩
、および(Z)-エンドキシフェン遊離塩基またはその塩を含む組成物を提供する。いく
つかの実施形態において、医薬組成物は、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基としてエン
ドキシフェンを主に含む。
【0174】
特定の実施形態において、組成物は、組成物中の総エンドキシフェンの少なくとも0.
1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.
5%、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なく
とも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60
%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少な
くとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも9
6%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%
、少なくとも99.99%、または100%の(Z)-エンドキシフェン遊離塩基のwt
/wtとしてエンドキシフェンを含む。少なくとも1つの組成物において、組成物は、組
成物中の総エンドキシフェンの≧90%の(Z)-エンドキシフェン遊離塩基のwt/w
tを含む。別の実施形態では、組成物は、組成物中の総エンドキシフェンの≧95%の(
Z)-エンドキシフェン遊離塩基のwt/wtを含む。さらに他の実施形態において、組
成物は、組成物中の総エンドキシフェンの≧96%、≧97%、≧98%、≧99%、ま
たは≧99.5%の(Z)-エンドキシフェン遊離塩基のwt/wtを含む。
【0175】
他の実施形態では、エンドキシフェンを含む組成物は、組成物の0.01%~20%、
0.05%~15%、または0.1%~10%の(Z)-エンドキシフェンのwt/wt
またはw/vを含む。少なくとも1つの実施形態において、エンドキシフェンを含む組成
物は、組成物の0.01%~20%の(Z)-エンドキシフェンwt/wtまたはw/v
を含む。様々な他の実施形態において、エンドキシフェンを含む組成物は、組成物の0.
01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、
0.08%、0、09%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6
%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、10%、または2
0%の(Z)-エンドキシフェンのwt/wtを含む。
【0176】
一態様において、(Z)-エンドキシフェンを含む組成物は(E)-エンドキシフェン
をさらに含む。いくつかの実施形態において、組成物中のエンドキシフェンは、1:99
;5:95;10:90、15:85;20:80、25:75;30:70;40:7
0、45:55;50:50;55:45;60:40;65:45;および70:30
の(E)-エンドキシフェン対(Z)-エンドキシフェンの比(E/Z比率)を有する。
他の実施形態では、組成物は、10:90~70:30の範囲のE/Z比を有するエンド
キシフェンを含む。さらに別の実施形態において、組成物は、45:55~55:45の
範囲のE/Z比を有するエンドキシフェンを含む。
【0177】
接頭辞(Z)、(E)、または(E/Z)によって特に言及されない限り、接頭辞を用
いることなく一般的に使用されるエンドキシフェンは、任意のあるいは全てのエンドキシ
フェンアイソフォームを含むように本明細書で使用される。
【0178】
エンドキシフェン塩組成物
いくつかの実施形態において、本開示は、エンドキシフェンの塩を含む組成物を提供す
る。いくつかの実施形態において、本開示は、エンドキシフェンの薬学的に許容可能な塩
を含む組成物を提供する。特定の実施形態において、エンドキシフェン塩の1%、5%、
10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、
95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.99%、または100%
を含む組成物が本明細書で提供される。
【0179】
いくつかの実施形態において、塩は、アレコリン、ベシレート、重炭酸塩、重酒石酸塩
、ブチルブロミド、クエン酸塩、カンシラート、グルコネート、グルタメート、グリコリ
ルアルサニレート)、ヘキシルレゾルシノール、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、
ヒドロキシナフトエート、イセチオネート、マレート、マンデレート、メシレート、メチ
ルブロマイド、メチルブロマイド、メチルニトラート、メチルスルファート、ムカート、
ナプシレート(napsylate)、ニトラート、パマオエート(エンボネート(Em
bonate))、パントテナート、フォスフェート/ジホスフェート、ポリガラクツロ
ネート、サリチラート、ステアレート、サルフェート、タンニン酸塩、テオクレート、お
よびリエチオジド、ベンザチン、クレミゾール、クロロプロカイン、コリン、ジエチルア
ミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、ピペラジン、プロカイン、
アルミニウム、バリウム、ビスマス、リチウム、マグネシウム、カリウム、および亜鉛か
らなる群から選択される。いくつかの実施形態では、塩はエンドキシフェングルコネート
である。エンドキシフェングルコネートは、(Z)-エンドキシフェン Dグルコネート
、(E)-エンドキシフェン Dグルコネート、(Z)-エンドキシフェン L-グルコ
ネート、(E)-エンドキシフェン L-グルコネート、またはそれらの組み合わせから
なる群から選択され得る。
【0180】
いくつかの実施形態において、エンドキシフェングルコネートを含む組成物は、組成物
中の総エンドキシフェングルコネートのwt/wtベースで、10%~100%の(Z)
-エンドキシフェン Dグルコネートで構成される。いくつかの実施形態において、エン
ドキシフェングルコネートを含む組成物は、組成物中の総エンドキシフェンのwt/wt
ベースで10%~100%の(Z)-エンドキシフェン L-グルコネートを含む。
【0181】
他の実施形態では、エンドキシフェングルコネートを含む組成物は、総エンドキシフェ
ングルコネートに対して、10% 20% 30%、40%、50%、60%、65%、
70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、
96%、97%、98%、99%、99.5%、99.75%、99.99%、または1
00%の(Z)-エンドキシフェン Dグルコネートまたは(Z)-エンドキシフェン
L-グルコネートを含む。いくつかの実施形態において、組成物は、少なくとも80%、
少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくと
も93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%
、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも99
.99%の(Z)-エンドキシフェン Dグルコネート、(Z)-エンドキシフェン L
-グルコネート、またはそれらの組み合わせを含む。
【0182】
いくつかの実施形態において、(Z)-エンドキシフェン Dグルコネートおよび(E
)-エンドキシフェン Dグルコネートを含む組成物が本明細書で提供される。(Z)-
エンドキシフェン Dグルコネートおよび(E)-エンドキシフェン Dグルコネートは
、10:90~99:1のwt/wtまたはv/vの比で組成物に存在し得る。いくつか
の実施形態において、(Z)-エンドキシフェン Dグルコネート対(E)-エンドキシ
フェン Dグルコネートの比(wt/wtまたはv/v)は、それぞれ10:90~99
:1(例えば、45:55、50:50、60:40、70:30、80:20、90:
10;91:9;92:8;93:7;94:8;95:5、96:4、97:3、98
:2、99:1、99.5:0.5、または99.99:0.01)である。ある実施形
態において、(Z)-エンドキシフェン Dグルコネート対(E)-エンドキシフェン
Dグルコネート(wt/wtまたはv/v)の比は、90:10;91:9;92:8;
93:7;94:8;95:5、96:4、97:3、98:2、99:1、99.5:
0.5、または99.99:0.01である。当業者は、エンドキシフェングルコネート
異性体の他の組み合わせが本開示に含まれることを認識するだろう。
【0183】
いくつかの実施形態において、エンドキシフェングルコネートを含む組成物は、組成物
の0.01%、0.05%、0.01% 0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0
.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、1
2%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、または20%のエン
ドキシフェングルコネート(wt/wt)または(w/v)を含む。いくつかの実施形態
において、エンドキシフェングルコネートを含む組成物は、組成物の0.01%、0.0
5% 0.01% 0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、2%、
3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%
、15%、16%、17%、18%、19%、または20%の(Z)-エンドキシフェン
グルコネート(wt/wt)または(w/v)を含む。
【0184】
本開示の化合物および組成物は、限定されないが、経口、非経口、局所、および管内の
送達を含む、当技術分野において既知の任意の経路によって、それらを必要とする被験体
に投与することができる。従って、本明細書に開示される組成物は、意図した投与経路に
適合するように製剤化される。
【0185】
いくつかの実施形態において、エンドキシフェンを含む組成物は賦形剤をさらに含む。
そのような賦形剤は意図した投与経路と適合し得る。
【0186】
エンドキシフェン多形組成物
一態様において、本開示は、1つ上の多形形態、例えば、エンドキシフェンの本明細書
に記載される形態I、形態II、または形態IIIを含む組成物を提供する。いくつかの
実施形態において、医薬組成物は、主に多形形態Iとしてエンドキシフェンを含む。いく
つかの実施形態において、医薬組成物は、主に多形形態IIとしてエンドキシフェンを含
む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、主に多形形態IIIとしてエンドキシ
フェンを含む。
【0187】
特定の実施形態において、組成物は、組成物中の総エンドキシフェンの少なくとも0.
1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.
5%、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なく
とも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60
%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少な
くとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも9
6%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%
、少なくとも99.99%、または100%のエンドキシフェンの単一の多形形態、例え
ば、形態I、形態II、あるいは形態IIIのwt/wtとして、エンドキシフェンを含
む。少なくとも1つの組成物において、組成物は、組成物中の総エンドキシフェンの≧9
0%のエンドキシフェンの単一の多形形態、例えば、形態I、形態II、あるいは形態I
IIのwt/wtを含む。別の実施形態では、組成物は、組成物中の総エンドキシフェン
の≧95%のエンドキシフェンの単一の多形形態、例えば、形態I、形態II、あるいは
形態IIIのwt/wtを含む。まだ他の実施形態において、組成物は、組成物中の総エ
ンドキシフェンの≧96%、≧97%、≧98%、≧99%、または≧99.5%のエン
ドキシフェンの単一の多形形態、例えば、形態I、形態II、あるいは形態IIIのwt
/wtを含む。エンドキシフェンの特定の重量パーセントが単一の多形形態である場合、
組成物中のエンドキシフェンの残りは、無晶性エンドキシフェンおよび/または単一の多
形形態を除いたエンドキシフェンの1つ以上の多形形態のいくつかの組み合わせである。
多形体のエンドキシフェンがエンドキシフェンの1つの特定の形態として定義される場合
、残りは、無晶性エンドキシフェンおよび/または特定された特定の形態とは別の1つ以
上の多形形態から構成される。単一の多形形態の例は、エンドキシフェンの形態I、II
、およびIII、ならびに、本明細書に記載される1つ以上の特性を特徴とする単一の多
形形態を含む。
【0188】
他の実施形態では、エンドキシフェンを含む組成物は、組成物の0.01%~20%、
0.05%~15%、または0.1%~10%のエンドキシフェンの単一の多形形態、例
えば、形態I、形態II、あるいは形態IIIのwt/wtまたはw/vを含む。少なく
とも1つの実施形態において、エンドキシフェンを含む組成物は、組成物の0.01%~
20%のエンドキシフェンの単一の多形形態、例えば、形態I、形態II、あるいは形態
IIIのwt/wtまたはw/vを含む。様々な他の実施形態において、エンドキシフェ
ンを含む組成物は、組成物の0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.0
5%、0.06%、0.07%、0.08%、0、09%、0.1%、0.2%、0.3
%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%
、4%、5%、10%、または20%のエンドキシフェンの単一の多形形態、例えば、形
態I、形態II、形態IIIのwt/wtを含む。一態様において、エンドキシフェンの
単一の多形形態、例えば、形態I、形態II、あるいは形態IIIを含む組成物は、エン
ドキシフェンの第2の多形形態をさらに含む。
【0189】
経口製剤
いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物は経口送達のために製剤化される。
経口使用を意図した組成物は、固体または流体の単位剤形で調製され得る。少なくともい
くつかの実施形態において、組成物は、錠剤、カプレット、カプセル剤、丸剤、粉末、ト
ローチ、エリキシル剤、懸濁液、シロップ剤、ウェハ、チューインガム、ドラジェ、ロゼ
ンジなどとして、経口送達用に製剤化される。
【0190】
いくつかの実施形態において、経口剤形は、錠剤、カプレット、およびカプセル剤など
の固体の経口剤形である。いくつかの実施形態では、カプセルは、硬カプセルまたは軟カ
プセルである。他の実施形態では、カプセル剤は、ゼラチンカプセル剤、ゼラチンを含ま
ないカプセル剤、「キャップ・イン・キャップ」のカプセル剤、アルギン酸カプセル剤、
ヒドロキシプロピルメチル・セルロース(HPMC)カプセル剤、ポリビニルアルコール
(PVA)カプセル剤、ヒプロメロースカプセル剤、またはデンプンカプセル剤である。
【0191】
賦形剤
いくつかの実施形態では、(Z)-エンドキシフェンまたはその塩を含む経口組成物は
、1つ以上の賦形剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、エンドキシフェンまたはそ
の多形形態を含む経口組成物は、1つ以上の賦形剤をさらに含む。従って、経口投与のた
めに設計された組成物は、本明細書に開示される不活性あるいは活性の賦形剤または食用
担体を用いて製造することができる。
【0192】
様々な実施形態において、本明細書で提供される組成物は、約1~約99.99重量%
、約5~約95重量%、約5~約90重量%、約10~約80重量%、約15~約70重
量%、約20~約60重量%、約30~約95重量%、約50~約90重量%、約60~
約90重量%、約60~約80重量%、または約70~約80重量%の1つ以上の賦形剤
を含む。特定の実施形態において、本明細書で提供される組成物は、約99.99重量%
、約95重量%、約90重量%、約85重量%、約80重量%、約75重量%、約70重
量%、約65重量%、約60重量%、約55重量%、または約50重量%の1つ以上の賦
形剤を含む。特定の実施形態において、本明細書で提供される組成物は、約99.99重
量%、約99重量%、約98重量%、約97重量%、約96重量%、約95重量%、約9
4重量%、約93重量%、約92重量%、約91重量%、約90重量%、約89重量%、
約88重量%、約87重量%、約86重量%、または約85重量%の1つ以上の賦形剤を
含む。特定の実施形態において、本明細書で提供される組成物は、約85重量%、約84
重量%、約83重量%、約82重量%、約80重量%、約79重量%、約78重量%、約
77重量%、約76重量%、約75重量%、約74重量%、約73重量%、約72重量%
、約71重量%、約70重量%、約69重量%、約68重量%、約67重量%、約66重
量%、または約65重量%の1つ以上の賦形剤を含む。特定の実施形態において、本明細
書で提供される組成物は、約55重量%、約54重量%、約53重量%、約52重量%、
約51重量%、約50重量%、約49重量%、約48重量%、約47重量%、約46重量
%、または約45重量%の1つ以上の賦形剤を含む。特定の実施形態において、本明細書
で提供される組成物は、約30重量%、約29重量%、約28重量%、約27重量%、約
26重量%、約25重量%、約24重量%、約23重量%、約22重量%、約21重量%
、または約20重量%の1つ以上の賦形剤を含む。
【0193】
経口投与用に製剤化される組成物において使用され得る賦形剤の例が本明細書で提供さ
れ、限定されないが、充填剤、結合剤、注入剤、崩壊剤、潤滑剤、滑剤、制御放出剤、腸
溶コーティング、皮膜剤、可塑剤、着色剤、甘味料、香料などの1つ以上、またはそれら
の任意の組み合わせを含む。
【0194】
本明細書で提供される医薬組成物において使用するのに適している結合剤としては、限
定されないが、スクロース、デンプン、例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデン
プン、またはデンプンペーストなどのデンプン、α化デンプン、およびデンプン1500
、PEG 6000、メトセル、ワロセル(walocel) HM、ルビテック(Lu
vitec)、Luvicaparolactam、アビセル(Avicel)、SMC
C、UNIPURE、ゼラチン、天然および合成ゴム、例えば、アカシア、アルギン酸ナ
トリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、トラガント、グアーガム、セルロースおよび
その誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロース
カルシウム、カルボキシルメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチ
ルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、
番号2208、2906、2910)、微結晶性セルロース、およびそれらの混合物が挙
げられる。微結晶性セルロースの適切な形態は、限定されないが、AVICEL PH
101、AVICEL pH 103 AVICEL RC 581、AVICEL P
H 105(FMC Corporation, American Viscose
Division, Avicel Sales, Marcus Hook, Pa.
から入手可能)およびそれらの混合物として販売される物質を含む。いくつかの実施形態
において、結合剤は、微結晶性セルロースとカルボキシルメチルセルロースナトリウムの
混合物である。適切な無水または低水分の賦形剤あるいは添加剤は、AVICEL PH
103およびデンプン1500 LMを含む。
【0195】
本明細書で提供される医薬組成物に使用するのに適している充填剤の例としては、限定
されないが、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒剤または粉末)、糖、例えば、デキ
ストロース、スクロース、ラクトース、塩、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム
、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、デンプン、微結晶性セルロース、粉末セルロース
、セルロースの塩基、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースデキスト
レート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、α化デンプン、お
よびそれらの混合物が挙げられる。
【0196】
組成物中の1つ以上の結合剤または充填剤は、典型的には、組成物または剤形の約10
%~約99%(wt/wt)に存在する。いくつかの実施形態において、組成物中の結合
剤および/または充填剤は、組成物の約15%~99%、約20%~60%、約25%~
55%、約30%~50%、約35%~60%、約50%~99%(wt/wt)を含む
。
【0197】
崩壊剤を組成物において使用して、水性環境にさらされたときに崩壊する錠剤を提供す
ることができる。あまりにも多くの崩壊剤を含んでいる錠剤は保管中に崩壊する可能性が
あり、崩壊剤をほとんど含んでいない錠剤は、所望の速度で、または所望の条件下で崩壊
しない可能性がある。したがって、活性成分の放出を不利益に変化させるのに多すぎず、
あるいは少なすぎない十分な量の崩壊剤が、固形の経口剤形を形成するために使用されな
ければならない。いくつかの実施形態において、崩壊剤は、崩壊を遅らせるために経口の
固形剤形の深いところにある。使用される崩壊剤の量は、製剤のタイプに基づいて変わり
、当業者に容易に識別可能であり得る。
【0198】
典型的な組成物は、0.5%~15%(wt/wt)の崩壊剤を含む。いくつかの実施
形態において、組成物は、1%~5%(wt/wt)の組成物中の崩壊剤を含む。別の実
施形態では、崩壊剤は、組成物の1%~25%、2%~20%、5%~15%、8%~1
2%、または約10%(wt/wt)である。
【0199】
本明細書で提供される医薬組成物において使用され得る崩壊剤としては、限定されない
が、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナト
リウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、ナトリウムデンプングリコレート、ジ
ャガイモまたはタピオカのデンプン、予めゼラチン化されたデンプン、他のデンプン、粘
土、他のアルギン、他のセルロース、ガム、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0200】
本明細書で提供される医薬組成物において使用され得る潤滑剤としては、限定されない
が、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽油、グリセリン、ソ
ルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、
ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化植物油(例えば、落花生油、綿実油、ヒマワリ
油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、および大豆油)、ステアリン酸亜鉛、ステア
リン酸マグネシウムあるいはステアリン酸カリウム、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチ
ル、寒天、およびそれらの混合物が挙げられる。追加の潤滑剤は、例えば、シロイドシリ
カゲル(syloid silica gel)(AEROSIL 200, W.R.
Grace Co. of Baltimore, Md.によって製造される)、合
成シリカの凝固エアロゾル(Degussa Co. of Plano, Tex.に
よって販売される)、CAB O SIL(Cabot Co. of Boston,
Mass.によって販売される発熱性の二酸化ケイ素生成物)、Q7-9120(Do
w Corning)、およびそれらの混合物を含む。少しでも使用される場合、潤滑剤
は、典型的には、それが組み込まれる組成物または剤形の1%(wt/wt)未満の量で
使用される。さらに他の実施形態において、潤滑剤は、組成物の0.1%~3%、例えば
、0.5%から1%(wt/wt)である。
【0201】
可塑剤を添加して、カプセル剤のシェル、カプレットまたは錠剤などの経口剤形の柔ら
かさまたは柔軟性を制御することができ、したがって、経口剤形のコーティングのpH感
応物質の機械的特性を改善することができる。適切な可塑剤としては、限定されないが、
石油系油(例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、および芳
香族系プロセスオイル)、スクアレン、スクアラン、植物油(例えば、オリーブ油、ツバ
キ油、ヒマシ油、トール油、および落花生油)、シリコン油、二塩基酸エステル(例えば
、フタル酸ジブチル、およびフタル酸ジオクチル)、液状ゴム(例えば、ポリブテンおよ
び液体イソプレンゴム)、液体脂肪酸エステル(例えば、イソプロピルミリステートIS
M)、イソプロピルミリステート、ジエチルセバケート、およびジイソプロピルセバケー
ト、トリエチルシトレート、トリアセチン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、フタレート、ソルビトール、グリコールサリチレート
、クロタミトン、ならびにグリセリンまたはそれらの混合物が挙げられる。可塑剤の量は
、製剤の化学組成物に基づいて変わり得る。一実施形態では、少なくとも1つの可塑剤は
、ソルビトール、ジメチルイソソルビド、またはグリセロールである。別の実施形態では
、可塑剤は、組成物の1%~10%、例えば、3%~5%(wt/wt)である。
【0202】
滑剤の例としては、限定されないが、コロイド状二酸化ケイ素、セルロース、リン酸カ
ルシウム、二塩基または三塩基(di or tri-basic)などが挙げられる。
【0203】
甘味料または甘味剤の例は、スクロース、サッカリン、デキストロース、マルトース、
代替糖、アスパルテーム、キシリトール、マンニトール、シクラメート、スクラロース、
マルチトール、ソルビトール、アセスルファム Kなどを含む。
【0204】
香料の例は、ペパーミント、メチルサリシレート、ペパーミント、スペアミント(sp
earment)、メチルサリシレート、ラズベリー、レッドベリー、イチゴ、パイナッ
プル、オレンジ、サクランボなどを含む。
【0205】
本明細書に記載される経口送達用の製剤化された組成物、例えば、錠剤、カプレット、
およびカプセル剤は、胃腸管においてエンドキシフェンまたはその塩を含む組成物の崩壊
および吸収を制御するか、あるいは遅らせ、それにより、より長時間にわたって持続作用
を提供するために、1つ以上の腸溶コーティング剤、制御放出剤、あるいは皮膜剤でコー
ティングされ得る。従って、いくつかの実施形態では、錠剤は腸溶錠剤であり得、カプレ
ットは腸溶カプレットであり得、または、カプセル剤は腸溶カプセルであり得る。本開示
の腸溶錠剤、腸溶カプレット、または腸溶カプセルは、当該技術分野で既知の技術によっ
て調製され得る。
【0206】
本明細書に開示される製剤は、制御放出剤を含み得る。使用に適している制御放出剤の
例としては、限定されないが、pH依存性ポリマーおよび酸性の酸不溶性ポリマー、メチ
ルクリレート・メタクリル酸コポリマー、セルロースアセテートフタレート(CAP)、
セルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、
ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(ヒプロメロースアセテー
トサクシネート)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、メチルメタクリレー
ト・メタクリル酸コポリマー、セラック、セルロースアセテートトリメリテート(cel
lulose acetate trimellitate, sodium algi
nate)、アルギン酸ナトリウム、ゼイン、合成ワックス、マイクロクリスタリンワッ
クス、パラフィンワックス、カルナバワックスおよびミツロウを含むワックス;ポリエト
キシ化ヒマシ油誘導体、硬化油、グリセリルモノベネート、ジベンベネート、トリベネー
ト(tribenate)、モノステアリン酸グリセリン、ジステアリン酸グリセリル、
長鎖アルコール、例えば、ステアリルアルコール、セチルアルコール、およびポリエチレ
ングリコール;およびそれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、モノ
ステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリンなどの時間遅延物質が使用され
てもよい。他の実施形態において、制御放出試薬は、固形パラフィンワックスなどの消化
性ワックス状物質である。
【0207】
いくつかの実施形態において、組成物は、酸不溶性ポリマーなどのpH依存性ポリマー
の1つ以上を含む。pH依存性ポリマーは、pH5.0を超えると次第に浸透性になるが
、pH5.0下回ると不浸透性になり、一方で、酸不溶性ポリマーは中性~弱アルカリ性
条件で可溶性になる。そのような制御放出ポリマーは上部小腸および結腸を標的とする。
酸不溶性ポリマーの非限定的な例は、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセ
テートブチレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、アルギン酸、例え
ば、アルギン酸ナトリウムあるいはアルギン酸カリウム、セラック、ペクチン、アクリル
酸・メタクリル酸コポリマー(Rohm America Inc., Piscata
way, NJから、粉末または30%の水分散液として、EUDRAGIT(登録商標
)LおよびEUDRAGIT(登録商標)Sの商品名で市販されているか;または、Ea
stman Chemical Co., Kingsport, TNから、30%の
分散体として、EASTACRYL(登録商標)の商品名で市販されている)を含む。追
加の例は、EUDRAGIT(登録商標)L100-55、EUDRAGIT(登録商標
)L30D-55、EUDRAGIT(登録商標)L100、EUDRAGIT(登録商
標)L100 12、5、EUDRAGIT(登録商標)S100、EUDRAGIT(
登録商標)S12、5、EUDRAGIT(登録商標)FS 30D、EUDRAGIT
(登録商標)E100、EUDRAGIT(登録商標)E 12、5、およびEUDRA
GIT(登録商標)POを含む。少なくとも1つの実施形態において、組成物はEUDR
AGIT(登録商標)L100-55を含む。EUDRAGIT(登録商標)RSならび
にRL、およびEUDRAGIT(登録商標)NEならびにNMは、本開示の目的のため
に有用なポリマーである。いくつかの実施形態において、組成物はEUDRAGIT(登
録商標)L30D 55を含む。別の実施形態では、その調製物はEUDRAGIT(登
録商標)FS 30Dを含む。当業者は、本明細書に表記された少なくともいくつかの酸
不溶性ポリマーが、生物分解性であることも認識するだろう。
【0208】
経口剤形の時間遅延または遅延放出製剤に関しては、モノステアリン酸グリセリン、ジ
ステアリン酸グリセリン、および酸不溶性ポリマー、例えば、ポリメタクリラートpH感
応ポリマーベースのコーティングが使用されてもよい(例えば、コーティング材料、すな
わち、カプセル剤、カプレット、および錠剤の腸溶コーティングのための腸溶コーティン
グ剤として)。遅延放出経口剤形の商業的供給源、例えば、Capsugel, USA
からヒプロメロース(HPMC)で作られたDRCapsが利用可能である。そのような
遅延放出経口剤形の形態は耐酸性であり、少なくとも30分、例えば、少なくとも1時間
、少なくとも1.5時間、または少なくとも2時間、胃において見られるような酸性度に
耐えることができる。そのような遅延放出経口剤形は、エンドキシフェンまたはその塩の
少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくと
も80%、または少なくとも90%を腸(小腸、大腸/結腸など)において放出すること
ができる。
【0209】
本開示の一態様において、腸溶錠剤、腸溶カプレット、および腸溶カプセルは、コーテ
ィングされなくてもよい。本質的に腸溶カプセル剤の技術(例えば、Capsugelか
ら入手可能なEnTrinsic薬物送達)を使用した、腸溶性能力を有するハードコー
ティングされてないカプセル剤は、本開示の目的のために適切である。
【0210】
様々な実施形態において、腸溶錠剤は、(Z)-エンドキシフェンまたはその塩の流動
性粉末で作られたハード錠剤である。様々な実施形態において、腸溶カプセルは、(Z)
-エンドキシフェンまたはその塩の流動性粉末で作られたカプセル剤である。様々な実施
形態において、腸溶錠剤は、エンドキシフェンの流動性粉末で作られたハード錠剤または
それらの多形体である。様々な実施形態において、腸溶カプセルは、エンドキシフェンま
たはその多形の流動性粉末で作られたカプセル剤である。
【0211】
いくつかの実施形態において、腸溶カプセルは、ヒプロメロースカプセル剤(例えば、
市販されている自己ゲル化性Vcaps、VCaps Plus、腸溶性VCaps、C
apsugelからのXcellodose、ENCODEの結腸送達技術、およびEn
Trinsic(商標)薬物送達技術を使用して製造された他の腸溶カプセル、)などの
非動物ベースのカプセル剤である。経口の固形剤形の腸溶形態を製剤するための、当該技
術分野において既知であり、市販されている他の技術(例えば、Qualicaps,
USA, Nutrascience, USAなど)も利用することができる。少なく
とも1つの実施形態において、カプセル剤はカプセル内のAPI(API-in-cap
sule)であり、これは、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基またはその塩がカプセル
剤にきちんと充填されることを意味する。そのようなカプセル内のAPIの経口剤形にお
いて、活性成分、(Z)-エンドキシフェンまたはその塩は、流動性粉末あるいは微粒子
化した粉末であってもよい。剤形がカプセル剤である場合、少なくとも1つの実施形態に
おいて、カプセル剤は、シームレスカプセルまたは結合されたカプセル剤(banded
capsule)であってもよい。
【0212】
癌の成長速度をさらに低下することができる、エンドキシフェンなどの抗癌治療法の迅
速な吸収および生物学的利用能が非常に望ましい。一態様において、本開示では、組成物
は、特定の薬物動態(PK)特性のために製剤化される。
【0213】
一態様において、エンドキシフェンの最大レベルおよび定常状態の血漿レベルの迅速な
達成は、本開示の特定の態様である。本開示は、組成物の投与後2~30時間以内、3~
20時間以内、2~10時間以内、または4~8時間以内の範囲で、エンドキシフェンの
最大の血漿レベルを達成する組成物を提供する。従って、いくつかの実施形態では、エン
ドキシフェンの最大の(ピーク)血漿レベルまで時間は、組成物の投与後2~10時間の
範囲である。いくつかの実施形態では、エンドキシフェンの最大の血漿レベルまでの時間
は、本明細書に開示される組成物の投与後4~8時間の範囲である。
【0214】
また、エンドキシフェンの定常状態の血漿レベルの迅速な達成が非常に望ましく、本開
示の組成物は、定常状態を迅速に達成する、エンドキシフェン、(Z)-エンドキシフェ
ンまたはそれらの塩の多形形態を含む組成物が投与された被験体における、エンドキシフ
ェンの血漿レベルを提供することができる。定常状態の血漿レベルは、7日~21日目に
達成することができる。いくつかの実施形態において、定常状態の血漿レベルは、本明細
書に開示される組成物の毎日投与に際して、7日目までに達成することができる(
図5)
。
【0215】
一態様において、本開示は、本明細書に開示される組成物から放出された循環エンドキ
シフェン(circulating endoxifen)は、タモキシフェンよりも速
く除去され得る。タモキシフェンの最終消失半減期は5-7日(Jordan C. S
teroids. 2007 Nov; 72(13): 829-842)であると言
われており、タモキシフェンのピーク濃度時間は投与後およそ5時間である。本明細書に
開示される組成物から放出されたエンドキシフェンは、タモキシフェンよりも有意に短い
、30~60時間の範囲の最終消失半減期を有し得る。いくつかの実施形態において、平
均半減期は40~53時間の範囲である。1mg~4mgの(Z)-エンドキシフェンま
たはその塩を含む組成物について、AUC24hr(21日目)/AUC0-inf(1
日目)の平均比は、典型的には、0.7~1.2の範囲である。したがって、本明細書に
開示される組成物から放出されるエンドキシフェンの蓄積は、継続的な処置にわたって有
意に変化しない。
【0216】
他の態様では、本明細書に記載されたる組成物は、治療上有効なエンドキシフェンの吸
収を達成する。
【0217】
曲線下面積AUC(0-24hr)(「AUC24hr」)は、投与(0hr)の時間
から24時間の期間にわたる、薬物への被験体の総曝露を記載する。(Z)-エンドキシ
フェンまたはその塩を含む組成物は典型的に、1mg~4mgの(Z)-エンドキシフェ
ンを含む組成物の初回(第1の)量の1日目に、150時間*ng/mL~600時間*
ng/mLの平均(AUC24hr)を達成する。(Z)-エンドキシフェンまたはその
塩を含む組成物は典型的に、1mg~4mgの(Z)-エンドキシフェンを含む組成物の
初回(第1の)量の21日目に、400時間*ng/mL~2500時間*ng/mLの
平均AUC24hrを達成する。
【0218】
AUC0-inf(「AUC0-inf」)、つまり、分析された体液(通常、血漿、
血液、または血清)中を循環する薬物の時間平均濃縮は、薬物への被験体の総曝露を記載
する。本開示では、エンドキシフェンへの曝露(AUC0-inf)は用量比例性であり
得る。いくつかの実施形態において、AUC0-infは、200時間*ng/mL~1
0000時間*ng/mLの範囲である。他の実施形態において、AUC0-infは、
300時間*ng/mL~8000時間*ng/mLの範囲である。特定の実施形態にお
いて、AUC0-infは、1mg~4mgの(Z)-エンドキシフェンの用量範囲にわ
たって400時間*ng/mL~6000時間*ng/mLの範囲である(例えば、表1
7を参照)。
【0219】
本明細書に開示される経口剤形の溶解は、USP 711の現行方法の溶出試験によっ
て試験される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される経口剤形は、胃の酸
性環境から保護され、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なく
とも5時間、6時間、少なくとも7時間、または少なくとも8時間溶解しない。少なくと
も1つの実施形態において、経口剤形は少なくとも6時間エンドキシフェンを放出しない
。別の実施形態では、経口剤形は、エンドキシフェン又その塩を少なくとも2時間放出し
ない。
【0220】
他の実施形態では、本明細書に開示されるエンドキシフェンまたはその塩を含む組成物
における(Z)-エンドキシフェンの10%未満が、投与の2時間後に胃において放出さ
れ;またはここで、(Z)-エンドキシフェンの40%未満が、投与の4時間後に胃にお
いて放出され;あるいは、USP 711の方法によって試験されるように、(Z)-エ
ンドキシフェンの50%未満は、投与の6時間後に胃において放出される。
【0221】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、投与の4時間後に(Z)-エンド
キシフェンの40%未満、投与の2時間後に10%未満の(Z)-エンドキシフェン;お
よび、USP 711の方法によって試験されるように、投与の6時間後に(Z)-エン
ドキシフェンの50%未満を胃において放出する。
【0222】
さらに他の実施形態において、USP 711の方法によって試験されるように、エン
ドキシフェンの少なくとも10%が投与の4時間後に放出され;または、エンドキシフェ
ンの少なくとも30%が投与の6時間後に放出され;または、エンドキシフェンの少なく
とも40%が投与の7時間後に放出され;または、エンドキシフェンの少なくとも50%
が投与の8時間後に放出されるように、組成物が小腸において放出するように製剤化され
る。
【0223】
さらなる実施形態において、USP 711の方法によって決定されるように、組成物
は、投与の8時間後に結腸において、エンドキシフェンの少なくとも50%を放出するよ
うに製剤化される。
【0224】
さらなる実施形態において、組成物は、投与の4時間後に結腸において、エンドキシフ
ェンの少なくとも20%;投与の6時間後にエンドキシフェンの少なくとも40%;投与
の7時間後にエンドキシフェンの少なくとも60%;または投与の8時間後にエンドキシ
フェンの少なくとも80%を放出するように製剤化される。
【0225】
経口剤形は経口投与に適した任意の形状、例えば、球状(0.05-5mL)、楕円形
(0.05-7mL)、楕円体、洋梨形(0.3-5mL)、円柱状、立方体、規則形状
および/または不規則形状であってもよい。経口剤形は、経口投与に適した任意のサイズ
、例えば、サイズ0、サイズ2のものであってもよい。
【0226】
当業者は、本明細書に開示される組成物は、当技術分野において既知の賦形剤および本
明細書に開示される賦形剤の1つ以上を、所望の製剤または調製物に適切な任意の組み合
わせで含み得ることがさらに認識されるだろう。追加の賦形剤は、一般的に、Remin
gtonのThe Science and Practice of Pharmac
y, Meade Publishing Co., United States P
harmacopeia/National Formulary」で見られる。当業者
は自身のスキルおよび当技術分野の知識ならびに本明細書の開示に基づいて、投与経路に
適合する製剤および適切な剤形の調製物に必要な、適切な賦形剤を選択することができる
だろう。すべての場合において、最終的な剤形は、製造および使用の条件下で、無菌であ
り、かつ安定していなければならない。
【0227】
本明細書に開示される固形剤の組成物の製剤に関しては、水分活性(Aw)が0.75
未満であるため、典型的に、一般生菌数(TAC)およびUSP指標生物を試験する必要
はない。出版物“Microbial Bioburden on Oral Soli
d Dosage Form,by Jose E. Martinez, Pharm
aceutical Technology, February 2002, pag
es 58 to 70”が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0228】
さらに、本明細書に開示される組成物の製剤も0.75未満の水分活性を有するため、
典型的に、詳細な微生物試験を必要としない。TACは、原料、中間材料、または最終生
成物のサンプルに存在する全ての生存好気性菌の推定である。サンプルは、最新のUSP
39 <61>、「非無菌製品の微生物学的試験:生菌数試験(Microbiolo
gical Examination of Nonsterile Products
: Microbial Enumeration Tests)」に従って分析される
。
【0229】
経口の固形剤形(OSDF)の容認可能なTACは、警告および対策レベルの観点から
独創的な組成物の製剤のために確立され、それらのレベルは、それぞれ1000cfuの
g/mL、および10,000cfuのg/mLであり得る。20,000cfuのg/
mLであるTACは、容認できないとみなされる可能性がある。
【0230】
0.75未満の水分活性を有する液体または流体の製剤などの他の製剤に関しては、特
定の微生物(黄色ブドウ球菌、シュードモナス・エルギノーサ(Ps.aerugino
sa)、サルモネラ、カンジダ・アルビカンス(C.albicans)、クロストリジ
ウム、大腸菌および胆汁酸抵抗性グラム陰性菌)についての検査は、USPガイドライン
の62章に従って実行される必要がない場合もある。
【0231】
使用方法
化学式(I)、(II)、(III)、および(IV)の化合物、本明細書に開示され
るエンドキシフェン塩 本明細書に開示されるエンドキシフェンの多形形態、ならびに、
それらを含む組成物は、それらを必要とする被験体、例えば、ホルモン依存性乳房障害、
ホルモン依存性生殖器系障害、または両方を患っているか、あるいは患うリスクがある被
験体の処置に使用するための薬剤の製造において使用することができる。
【0232】
ホルモン依存性乳房障害、ホルモン依存性生殖器系障害、またはその両方を患っている
か、あるいは患うリスクがある被験体を寛解するか、治すことが意図される場合、本開示
の組成物は、一次療法として、ネオアジュバント療法(一次療法に対する)の一部として
、またはアジュバント療法レジメンの一部として、使用することができる。
【0233】
特定の実施形態において、障害はホルモン依存性乳房障害である。他の実施形態では、
障害はホルモン依存性生殖器系障害である。さらに別の実施形態において、被験体は、ホ
ルモン依存性乳房障害およびホルモン依存性生殖器系障害の両方を患っている。いくつか
の実施形態において、ホルモン依存性障害は、良性乳房障害、過形成、非定型性、異型乳
管過形成、異型小葉過形成、乳房密度の増加、女性化乳房、DCIS、LCIS、乳癌、
子宮内膜癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頚癌、膣癌または外陰癌である。
【0234】
いくつかの実施形態では、乳房障害は乳房密度の増加である。例えば、乳房障害は、ク
ラスB(以前はクラスII)、クラスC(以前はクラスIII)、またはクラスD(以前
はクラスIV)の乳房密度である。
【0235】
いくつかの実施形態において、ホルモン依存性乳房障害またはホルモン依存性生殖器系
障害は、思春期早発症である。他の実施形態では、ホルモン依存性乳房障害またはホルモ
ン依存性生殖器系障害は、マックーン-オルブライト症候群である。
【0236】
いくつかの実施形態において、乳房障害は女性化乳房である。いくつかの実施形態にお
いて、女性化乳房は、基礎疾患に二次的に現れる。従って、いくつかの実施形態では、被
験体は、また前立腺癌、肝硬変および肝疾患、男性性腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、
腎不全、血液透析を受けている患者、またはI型糖尿病から成る群から選択される基礎疾
患も患っている。特定の実施形態において、被験体は、基礎疾患として前立腺癌を患って
おり。ここで、被験体は女性化乳房を有しているか、あるいは有するリスクがある。
【0237】
特定の実施形態において、乳癌は、DCIS、LCIS、ILC、IDC、MIC、炎
症性乳癌、ER陽性(ER+)乳癌、HER2+乳癌、腺様嚢胞癌、軽度の腺扁平上皮癌
、髄様癌、粘液癌(または膠様癌)、乳頭癌、管状癌、化生癌、または微小乳頭癌である
。少なくとも1つの実施形態において、単一の乳癌腫瘍は、前述のものの組み合わせであ
るか、あるいは浸潤性癌と上皮内癌の混合である場合がある。
【0238】
本開示は、腫瘍の発生および進行の様々な段階における本明細書で開示される化合物お
よび組成物の使用を企図し、進行性および/または侵襲性腫瘍、すなわち、手術または放
射線療法などの処置の局所的な様式によって治すのに適していない被験体の明らかな疾患
、転移性疾患、あるいは、局所進行性疾患の処置を含む。従って、いくつかの実施形態で
は、乳癌は、前癌、初期段階の癌、非転移性癌、前転移性癌、または局所進行癌である。
少なくとも1つの実施形態において、乳房障害は転移性癌である。いくつかの実施形態で
は、被験体は前立腺癌をさらに患っている。
【0239】
重篤な副作用、低い患者コンプライアンス、および被験体に見られる低い血漿エンドキ
シフェンレベルによる薬物への抵抗性にもかかわらず、そのような障害の治療法の現在の
選択は、タモキシフェンのままである。そのような被験体は、例えば、CYP2D6、C
YP3A4、またはCYP2C9においてCYP遺伝子突然変異を有するなどのいくつも
の理由、例えば、その活性代謝物、エンドキシフェン、または低機能または機能障害のエ
ストロゲン受容体に対して、タモキシフェンを代謝させることができなくして、十分なタ
モキシフェン摂取を妨げる(あるいは減少させる)などの理由のために、まだ特定されて
いない他の理由のために、タモキシフェンを投与する際に低いエンドキシフェンレベルを
有する可能性がある。20mgの経口でタモキシフェンを投与された被験体の血漿タモキ
シフェンの報告された治療レベルは≧30nMである((Lyon et al. Ge
net Med. 2012 Dec;14(12):990-1000)。被験体にお
ける低い血漿エンドキシフェンの根底にあるメカニズムにもかかわらず、本開示の組成物
はあらゆる疾病に有用であり、ここで、被験体は、低いエンドキシフェンを有するか、あ
るいは、被験体は、ホルモン依存性乳房障害またはホルモン依存性生殖器系障害を患って
いるか、あるいは患うリスクがある。したがって、本開示の組成物は、タモキシフェン抵
抗性の、ホルモン依存性乳房障害またはホルモン性生殖器系障害の処置においてとりわけ
重要であり得る。
【0240】
特定の実施形態において、医薬組成物がとりわけ有用である患者集団が本明細書で提供
される。本開示の組成物はさらに、ホルモン依存性乳房障害またはホルモン依存性生殖器
系障害を患っているタモキシフェン抵抗性の被験体の処置において、とりわけ重要である
。従って、いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、ホルモン依存性乳
房障害、ホルモン依存性生殖器系障害、またはその両方を患っているか、あるいは患うリ
スクがある、タモキシフェン耐性またはタモキシフェン抵抗性の被験体の処置に有用であ
る。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される投与量でそのような被験体に投
与される、エンドキシフェングルコネートなどのエンドキシフェン塩を含む組成物が有利
であろう。
【0241】
さらに、Donneyongらは、タモキシフェンと、プロザックおよびパキシル(パ
ロキセチン)などの選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)の薬物との間に薬理
相互作用が存在し、乳癌被験体に有害であることを示した(Donneyong et
al. BMJ 2016;354:i5014)。SSRI薬物は、SSRI薬物を服
用している被験体のタモキシフェンからエンドキシフェンへの肝臓代謝を低下させるか、
あるいは止める。したがって、特定の実施形態では、本開示の組成物での処置によって利
益を得るであろうSSRI薬物で処置されているか、あるいは処置される患者集団が本明
細書で提供される。
【0242】
経口的に投与される本明細書に開示される組成物は、30nMより大きい定常状態レベ
ル、例えば、30nM~80nMの範囲のレベル、または30nM~300nMの範囲レ
ベルで、被験体の血漿エンドキシフェンを維持する。いくつかの実施形態において、血漿
の定常状態のエンドキシフェンレベルは>40nMに維持される。30nMより大きい定
常状態レベルのそのような血漿エンドキシフェンの維持は、30nM未満の血漿エンドキ
シフェンレベルで、ホルモン依存性乳房障害またはホルモン依存性生殖器系障害、とりわ
け、乳癌の再発の可能性を減少させるという点で効果的である。本明細書に開示される組
成物を投与することは、タモキシフェン(16nM未満の血漿エンドキシフェンレベルを
有する)、タモキシフェンの中間代謝物(27nM未満の血漿エンドキシフェンレベルを
有する)の代謝活性欠損者である被験体にとって特に有利である。このことは、SSRI
薬物などの抗うつ剤、例えば、シタロプラム(セレクサ)、エスシタロプラム(レクサプ
ロ)、フルオキセチン(プロザック)、パロキセチン(パキシル、Pexeva)、セル
トラリン(ゾロフト)、ビラゾドン(Viibryd)などで処置されている、あるいは
処置される被験体、例えば、うつを有するか、あるいは有する可能性が高い被験体に有利
である。
【0243】
被験体にタモキシフェンの初回量を投与し、被験体の血漿エンドキシフェンの定常状態
レベルを決定することによって、被験体がタモキシフェン抵抗性であるか否かを判定する
ことができる。タモキシフェンを投与された被験体における血漿エンドキシフェンの定常
状態レベルは、タモキシフェン抵抗性のある被験体のバイオマーカーとして役立つ。血漿
エンドキシフェンレベル(急性および/または定常状態)は、タモキシフェンを投与後の
被験体から収集された試験サンプル(血液サンプルであり得る)を被験体から得ることに
よって決定することができる。血漿または血清は、バイオマーカーのエンドキシフェンレ
ベルを試験するための血液サンプルから得ることができる。初回量は、少なくとも1日、
2日、3日、15日、1週間、2週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ
月、または6ヶ月にわたり、タモキシフェンを毎日投与することを含む。被験体はまた、
少なくとも1日、2日、3日、15日、1週間、2週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ
月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年、4年、5年、または10年にわたり、
タモキシフェンを含む第1の組成物を毎日投与され得る。
【0244】
被験体の血漿エンドキシフェンの定常状態レベルは、試験サンプルにおいてエンドキシ
フェンを測定することによって判定することができる。被験体の血漿エンドキシフェンの
定常状態レベルは、基準血漿エンドキシフェンレベルと比較される。本開示の目的ために
、基準血漿レベルは30nMである。被験体の血漿エンドキシフェンレベルが30nM未
満であると判定される場合、被験体はタモキシフェン抵抗性であると定義される。ホルモ
ン依存性乳房障害またはホルモン依存性生殖器系障害を患っている、あるいは患うリスク
があるそのようなタモキシフェン抵抗性の被験体は、本明細書に開示される(Z)-エン
ドキシフェンまたはその塩を含む経口組成物、または本明細書に開示されるエンドキシフ
ェンの多形形態を被験体に投与することによって、処置される。いくつかの実施形態にお
いて、そのような被験体に投与された組成物は(Z)-エンドキシフェン遊離塩基を含む
。いくつかの実施形態において、そのような被験体に投与された組成物は、多形形態、例
えば、エンドキシフェンの形態I、形態II、または形態IIIを含む。他の実施形態で
は、そのような被験体に投与された組成物は、(Z)-エンドキシフェン Dグルコネー
ト、(Z)-エンドキシフェン L-グルコネート、(E)-エンドキシフェン Dグル
コネート、(E)-エンドキシフェン L-グルコネート、またはそれらの組み合わせか
らなる群から選択される、エンドキシフェングルコネートを含む。他の実施形態では、エ
ンドキシフェンを含む組成物は、エンドキシフェン HClまたはエンドキシフェンシト
ラートである。本開示はまた、被験体の血漿エンドキシフェンレベルが、定期的にまたは
必要に応じて、追跡あるいはモニタリングされることを企図する。必要な場合、タモキシ
フェンの初回量を投与された被験体は、試験結果に基づいて、エンドキシフェンを含む組
成物を継続的に投与することによって、自身の血漿エンドキシフェンの定常状態レベルを
調整することができる。
【0245】
いくつかの実施形態において、被験体のタモキシフェン抵抗性の状態は、対照または正
常な被験体において見られるような基準タモキシフェン代謝産物プロファイルと比較され
る、被験体のタモキシフェン代謝産物プロファイルを決定することによって決定すること
ができる。基準タモキシフェン代謝産物プロファイルと比較して、被験体のタモキシフェ
ン代謝産物プロファイルにおける低い血漿エンドキシフェンレベルを有する被験体は、エ
ンドキシフェンまたはその塩を含む経口組成物を処理される。そのような組成物は、合成
的に調製されたエンドキシフェンを含んでもよい。
【0246】
血漿エンドキシフェンは、当技術分野において既知の方法のいずれかによって測定され
てもよい。試験サンプルにおける血漿エンドキシフェンのレベルは、被験体の遺伝子、D
NA、RNA、タンパク質、タモキシフェン代謝産物プロファイル、またはそれらの組み
合わせに基づいて決定することができる。タモキシフェン代謝産物プロファイルは、少な
くともタモキシフェン、4-OHT、N-デスメチルタモキシフェン(desmethy
ltamoxifen)、および/またはエンドキシフェンを含み得る。いくつかの実施
形態において、試験サンプルにおける血漿エンドキシフェンおよび/またはタモキシフェ
ン代謝産物プロファイルのレベルは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスク
ロマトグラフィー質量分析法(GC-MS)、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC
-MS)、液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析法(LC-MS/MS)、免疫組
織化学的検査(IHC)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量PCR(qPCR)な
どによって測定される。いくつかの実施形態において、タモキシフェン代謝産物プロファ
イルは、被験体の遺伝組成に基づいて予測される。いくつかの実施形態において、被験体
のCYP遺伝子型は、限定されることなく、CYP2D6、CYP3A4、CYP2C9
遺伝子の分析を含む。いくつかの実施形態において、被験体のエストロゲン受容体レベル
が分析され得る。他の実施形態では、血漿エンドキシフェンの決定は、第三者試験所によ
って行われてもよい。
【0247】
従って、エンドキシフェンまたはその塩を含む組成物を被験体に投与することによって
、被験体において30nMより大きいレベルで血漿エンドキシフェンを維持する方法が本
明細書で提供される。いくつかの実施形態において、被験体の血漿エンドキシフェンレベ
ルは、30nMより大きい定常状態レベルで維持される。いくつかの実施形態において、
被験体の血漿エンドキシフェンレベルは、30nM~300nM(例えば、30nM~2
00nM、または30nm~80nM)の範囲の定常状態レベルで維持される。いくつか
の実施形態において、被験体の血漿エンドキシフェンレベルは、>40nMの定常状態レ
ベルで維持される。
【0248】
他の態様では、被験体は、ホルモン依存性乳房障害、ホルモン依存性生殖器系障害、ま
たはその両方を示すか、あるいはモニタリングすることができる自身のバイオマーカープ
ロファイルに関して試験された試験サンプルを試験することができる。そのようなバイオ
マーカーは当技術分野において既知であり、非限定的な例として、バイオマーカー、例え
ば、CYP2D6、BRCA-1、BRCA-2、ER、PR、Her2、uPA、PA
I、Tf、p53、Ki67、サイトケラチン、癌腫瘍抗原、およびMammaprin
t、OncotypeDx、PAM50、EndoxPredict、MammoStr
at、および他の診断試験および予測試験によって測定される他のバイオマーカーを含む
。被験体がホルモン依存性乳房障害、ホルモン依存性生殖器系障害、またはその両方を患
っているか、あるいは患うリスクがあることを示す、バイオマーカープロファイルを有す
る被験体は、本明細書に開示される組成物を投与されることができる。一態様において、
本開示は、ホルモン依存性乳房障害、ホルモン依存性生殖器系障害、またはその両方を患
っているか、あるいは患うリスクがある被験体を処置する方法を提供し、上記方法は、被
験体のタモキシフェン抵抗性またはタモキシフェン耐性の状態を判定し、本明細書に記載
される組成物を被験体に投与する工程を含む。
【0249】
いくつかの態様では、タモキシフェン抵抗性またはタモキシフェン耐性の被験体を処置
する方法が本明細書で提供され、上記方法は、エンドキシフェン、またはその塩あるいは
多形形態を含む組成物を被験体に投与する工程を含む。
【0250】
いくつかの実施形態において、ホルモン感受性乳房障害、ホルモン感受性生殖器系障害
、またはその両方を患っているか、あるいは患うリスクがある、タモキシフェン抵抗性の
被験体を処置する方法が本明細書に開示され、上記方法は、エンドキシフェンまたはその
塩を含む経口組成物を被験体に投与する工程を含み、ここで、被験体は、30nM未満、
25nM未満、20nM未満、15nM未満、10nM未満、5nM未満、または1nM
未満の血漿エンドキシフェンレベルを有する。特定の実施形態において、エンドキシフェ
ン塩を含む組成物は、エンドキシフェングルコネート、エンドキシフェン HCl、また
はエンドキシフェンシトラートである。他の実施形態では、少なくとも90%の(Z)-
エンドキシフェンまたはその塩を含む経口の固形剤形が投与される。他の実施形態では、
エンドキシフェンの多形形態I、形態II、または形態IIIの少なくとも90%を含む
経口の固形剤形が投与される。
【0251】
タモキシフェン抵抗性の被験体を処置する方法が本明細書でさらに提供され、上記方法
は:(a)被験体から得られた試験サンプルにおける血漿エンドキシフェンレベルを決定
するか、あるいは決定している工程と;(b)基準血漿エンドキシフェンレベルを有する
試験サンプルにおける血漿エンドキシフェンのレベルを比較するか、比較しているか、あ
るいは決定している工程と;(c)基準血漿エンドキシフェンレベルと比較して、試験サ
ンプルにおける血漿エンドキシフェンレベルの低下を決定する工程と;(d)エンドキシ
フェンまたはその塩あるいは多形形態を含む組成物を被験体に投与する工程と、を含む。
エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形形態を含む組成物の投与は、被験体における
血漿エンドキシフェンのレベルを、30nMより大きい定常状態レベルに維持する。いく
つかの実施形態において、被験体における血漿エンドキシフェンのレベルは、30nM~
80nMの範囲の定常状態レベルで維持される。
【0252】
ホルモンの依存性乳房障害またはホルモンの依存性生殖器系障害を患っているか、ある
いは患うリスクがある被験体を処置する方法が本明細書で提供され、上記方法は:(a)
被験体にエンドキシフェンを含む第1の組成物を投与する工程と;(b)被験体から得ら
れた試験サンプルにおける血漿エンドキシフェンのレベルを決定するか、決定している工
程と;(c)基準レベルの血漿エンドキシフェンと比較して、試験サンプルにおける血漿
エンドキシフェンレベルの低下を決定するか、あるいは決定している工程と;(d)被験
体に本明細書に開示される経口組成物を投与する工程と、を含む。被験体は、少なくとも
1日、2日、3日、15日、1週間、2週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月
、5ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年、4年、5年、または10年にわたって、タモキシ
フェンを含む第1組成物を毎日投与され得る。いくつかの実施形態において、エンドキシ
フェンまたはその塩あるいは多形形態を含む経口組成物の投与は、30nM以上のレベル
で被験体の血漿エンドキシフェンを維持する。他の実施形態では、エンドキシフェンまた
はその塩あるいは多形形態を含む経口組成物の投与は、30nM~300nM(例えば、
30nM~200nM、または30nM~80nM)の範囲のレベルで被験体の血漿エン
ドキシフェンを維持する。いくつかの実施形態において、被験体は、(Z)-エンドキシ
フェン グルコネート、(Z)-エンドキシフェン L-グルコネート、(E)-エンド
キシフェン D-グルコネート、(E)-エンドキシフェン L-グルコネート、または
それらの組み合わせを含む経口組成物を投与される。他の実施形態では、エンドキシフェ
ン塩を含む経口組成物は、エンドキシフェン HClまたはエンドキシフェンシトラート
である。いくつかの実施形態において、被験体は、本明細書に開示されるエンドキシフェ
ンの多形形態I、形態II、または形態IIIを含む経口組成物を投与される。
【0253】
ホルモン依存性乳房障害またはホルモン依存性生殖器系障害を患っている被験体を処置
する方法が本明細書で提供され、上記方法は:(a)タモキシフェンを含む第1の組成物
を被験体に投与する工程と;(b)被験体から得られた試験サンプルにおける被験体のタ
モキシフェン代謝産物プロファイルを決定するか、あるいは決定している工程と;(c)
基準タモキシフェン代謝産物プロファイルにおける基準血漿エンドキシフェンレベルを比
較するために、被験体のタモキシフェン代謝産物プロファイルに基づいて、被験体の血漿
エンドキシフェンレベルの低下を判定する工程と;(d)エンドキシフェンまたはその塩
あるいは多形形態を含む経口組成物を被験体に投与する工程と、を含む。特定の実施形態
において、エンドキシフェンを含む組成物は、エンドキシフェングルコネート、エンドキ
シフェン HCl、またはエンドキシフェンシトラートである。いくつかの実施形態にお
いて、組成物は、エンドキシフェンの多形形態I、形態II、または形態IIIを含む。
【0254】
ホルモン依存性乳房障害またはホルモン依存性生殖器系障害を処置されている被験体に
おける血漿エンドキシフェンレベルを調整する方法が本明細書で提供され、上記被験体は
、1つ以上のCYP2D6またはCYP3A4突然変異を有するか、あるいは以前にタモ
キシフェンの初回量を投与されたことがあり、および基準血漿エンドキシフェンレベル未
満の血漿エンドキシフェンレベルを有し、上記方法は:(a)タモキシフェンの初回量投
与の後に被験体の血漿エンドキシフェンレベルを測定する工程と;(b)被験体の血漿エ
ンドキシフェンレベルを基準血漿エンドキシフェンレベルと比較する工程と;(c)30
nMより大きいレベルで被験体の血漿エンドキシフェンレベルを維持するために、エンド
キシフェンまたはその塩あるいは多形形態を含む経口組成物を被験体に投与する工程と、
を含む。いくつかの実施形態において、エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形形態
を含む経口組成物の投与は、30nM~300nM(例えば、30nM~200nM、ま
たは30nM~80nM)の範囲のレベルで被験体の血漿エンドキシフェンを維持する。
いくつかの実施形態において、被験体の血漿エンドキシフェンレベルは、定常状態レベル
で維持される。被験体は、少なくとも1日、2日、3日、15日、1週間、2週間、4週
間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、または6ヶ月にわたって、タモキシフェ
ンの初回量を毎日投与され得る。
【0255】
以前にタモキシフェン初回量を投与されたことがあり、および30nM未満の血漿エン
ドキシフェンレベルを有する、ホルモン依存性乳房障害またはホルモン性生殖器系障害を
処置されている被験体における血漿エンドキシフェンレベルを調整するための方法が本明
細書で提供され、上記方法は:(a)タモキシフェンの初回量投与の後に、被験体の血漿
タモキシフェン代謝産物のエンドキシフェンレベルを測定する工程と;(b)タモキシフ
ェン代謝産物のエンドキシフェンの血漿レベルを、正常なタモキシフェン代謝産物エンド
キシフェンレベルの基準レベルと比較する工程と;(c)合成的に調製されたエンドキシ
フェンを含む組成物の調整用量を投与する工程であって、ここで、合成的に調製されたエ
ンドキシフェンの調節用量は、被験体の血漿エンドキシフェンを30nMより大きいレベ
ルに維持するのに十分である、工程と、を含む。いくつかの実施形態において、合成的に
調製されたエンドキシフェンを含む第2の組成物の投与は、30nM~300nM(例え
ば、30nM~200nM、30nM~80nM)の範囲のレベルで被験体の血漿エンド
キシフェンを維持する。いくつかの実施形態において、被験体がエンドキシフェンの所望
の血漿レベルを示すまで、工程(a)~(c)が繰り返され得る。
【0256】
一態様において、本開示は、ホルモン依存性乳房障害、ホルモン依存性生殖器系障害、
またはその両方を患っているか、あるいは患うリスクがある被験体を処置する方法を企図
し、上記方法は、被験体の乳房組織を切除するか、被験体に対して放射線療法を行うか、
あるいは、本明細書に開示されるエンドキシフェンまたはその塩あるいは多形形態を含む
経口組成物を投与する工程を含む。他の態様では、本開示は、ホルモン依存性乳房障害、
ホルモン依存性生殖器系障害、またはその両方を患っているか、あるいは患うリスクがあ
る被験体を処置する方法を企図し、上記方法は、被験体の乳房組織を切除する前、または
被験体に対して放射線療法を行う前に、本明細書に開示される経口組成物を投与する工程
を含む。
【0257】
被験体に投与される用量は通常、単位剤形であり得る。各投与単位形態におけるエンド
キシフェンの範囲の例は、0.01mg~200mgである。用量は、一般的に、所望の
薬理学的および生理学的効果を達成するための活性遊離薬物の代謝放出の際の、投与製剤
によって生成される薬理学的に活性な(Z)遊離型の、モルベースでの有効な量および当
量であるものとする。いくつかの実施形態において、エンドキシフェンまたはエンドキシ
フェン塩あるいは多形形態を含む組成物は、0.01mg~200.0mgの用量で被験
体に投与される。他の実施形態において、エンドキシフェンまたはエンドキシフェン塩あ
るいは多形形態を含む経口組成物は、1mg~200.0mgの用量で被験体に投与され
る。いくつかの実施形態において、エンドキシフェンまたはエンドキシフェン塩あるいは
多形形態を含む経口組成物は、単位用量当たり、0.01mg、0.05mg、0.1m
g、0.25mg、0.5mg、0.75mg、1.0mg、1.5mg、2.0mg、
4.0mg、6mg、8mg、10mg、20mg、40mg、50mg、100mgま
たは200mgの用量で被験体に投与される。特定の実施形態において、エンドキシフェ
ンの少なくとも90%の(Z)-エンドキシフェン(wt/wt)を含む経口組成物は、
単位用量当たり、1mg、2.0mg、4.0mg、6mg、8mg、10mg、20m
g、40mg、50mg、100mgまたは200mgの用量で投与される。いくつかの
実施形態において、エンドキシフェングルコネートを含む組成物は、0.01~20mg
の範囲の用量で投与される。いくつかの実施形態において、(Z)-エンドキシフェン
D-グルコネートを含む組成物は、単位用量当たり、0.5mg、1mg、2mg、4.
0mg、6mg、8mg、10mg、20mg、40mg、50mg、100mg、およ
び200mgで投与される。いくつかの実施形態において、1mgの(Z)-エンドキシ
フェン D-グルコネートを含む組成物が投与される。他の実施形態において、1mgの
(Z)-エンドキシフェン L-グルコネートを含む組成物が投与される。さらに他の実
施形態において、2mgの(Z)-エンドキシフェン D-グルコネートおよび(E)-
エンドキシフェン D-グルコネートを含む組成物が投与される。特定の実施形態におい
て、多形体、例えば、エンドキシフェン(wt/wt)の多形形態I、形態II、または
形態IIIの少なくとも90%を含む経口組成物が、単位用量当たり、1mg、2.0m
g、4.0mg、6mg、8mg、10mg、20mg、40mg、50mg、100m
g、または200mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、多形形態、例
えば、エンドキシフェンの形態I、形態II、または形態IIIを含む組成物が、0.0
1~20mgの範囲の用量で投与される。
【0258】
乳癌を患う被験体のマンモグラフィ検診を用いた乳癌の成長速度試験は、50~59歳
の女性の第25のパーセンタイルにおける乳癌の成長速度が、治療法への被験体の迅速な
曝露の満たされていない必要性を示すということを明らかにした(Weeden-Fek
jaer et al. Breast Cancer Research200810
:R41)。癌の成長速度をさらに減少することができるエンドキシフェンなどの抗癌の
治療薬の迅速な吸収および生物学的利用能が非常に望ましい。
【0259】
一態様において、エンドキシフェンの最大レベルおよび定常状態の血漿レベルの迅速な
達成は、本開示の特定の態様である。本開示は、本明細書に開示される組成物の被験体へ
の投与は、組成物の投与後2~30時間以内、3~20時間以内、2~10時間以内、ま
たは4~8時間以内でエンドキシフェンの最大の血漿レベルを達成する。従って、いくつ
かの実施形態では、エンドキシフェンの最大の(ピーク)血漿レベルまでの時間は、組成
物の投与後2~10時間の範囲である。いくつかの実施形態では、エンドキシフェンの最
大の血漿レベルまでの時間は、本明細書に開示される組成物の投与後4~8時間の範囲で
ある。
【0260】
エンドキシフェンの定常状態の血漿レベルの迅速な達成もまた非常に望ましい。(Z)
-エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形形態を含む、本明細書に開示される組成物
を投与された被験体におけるエンドキシフェンの血漿レベルは、迅速に定常状態を達成す
る。定常状態の血漿レベルは、7日目~21日目に達成することができる。いくつかの実
施形態において、定常状態の血漿レベルは、本明細書に開示される組成物の毎日の投与後
、7日目までに達成することができる(
図5)。
【0261】
一態様において、本開示では、本明細書に開示される組成物から放出された循環エンド
キシフェンが、タモキシフェンよりも速く除去され得る。タモキシフェンの最終消失半減
期は5-7日(Jordan C. Steroids. 2007 Nov; 72(
13): 829-842)であると言われており、タモキシフェンのピーク濃度時間は
投与後およそ5時間である。本明細書に開示される組成物から放出されたエンドキシフェ
ンは、タモキシフェンよりも有意に短い、30~60時間の範囲の最終消失半減期を有し
得る。いくつかの実施形態において、平均半減期は40~53時間の範囲である。1mg
~4mgの(Z)-エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形形態を含む組成物につい
て、AUC24hr(21日目)/AUC0-inf(1日目)の平均比率は、典型的に
は、0.7~1.2の範囲である。したがって、本明細書に開示される組成物から放出さ
れるエンドキシフェンの蓄積は、継続的な処置にわたって有意に変化しない。
【0262】
他の態様では、本開示では、本明細書に開示される組成物の投与が、治療上有効なエン
ドキシフェンの吸収を達成する。
【0263】
曲線下面積AUC(0-24hr)(「AUC24hr」)は、投与(0時間)の時間
から24時間の期間にわたる、薬物への被験体の総曝露を記載する。(Z)-エンドキシ
フェンまたはその塩を含む組成物は典型的に、1mg~4mgの(Z)-エンドキシフェ
ンを含む組成物の初回(第1の)量の1日目に、150時間*ng/mL~600時間*
ng/mLの平均(AUC24hr)を達成する。(Z)-エンドキシフェンまたはその
塩を含む組成物は典型的に、1mg~4mgの(Z)-エンドキシフェンを含む組成物の
初回(第1の)量の21日目に、400時間*ng/mL~2500時間*ng/mLの
平均AUC24hrを達成する。
【0264】
AUC(0-inf)(「AUC0-inf」)、つまり、分析された体液(通常、血
漿、血液、または血清)中を循環する薬物の時間平均濃縮は、薬物への被験体の総曝露を
記載する。本開示では、被験体へのエンドキシフェンへの曝露(AUC0-inf)は用
量比例性であり得る。いくつかの実施形態において、AUC0-infは、200時間*
ng/mL~10000時間*ng/mLの範囲である。他の実施形態において、AUC
0-infは、300時間*ng/mL~8000時間*ng/mLの範囲である。特定
の実施形態において、AUC0-infは、1mg~4mgの(Z)-エンドキシフェン
の用量範囲にわたって400時間*ng/mL~6000時間*ng/mLの範囲である
(例えば、表17を参照)。
【0265】
主治医などの医療従事者は、被験体における組成物の薬物動態プロファイルに基づいて
投与計画を調整してもよい。
【0266】
一態様において、本開示の組成物は、単独でまたは併用療法で使用することができる。
例えば、本明細書に開示される組成物は、一次療法、ネオアジュバント治療、またはアジ
ュバント療法の一部として、1つ以上の治療剤と組み合わせて使用されてもよい。本開示
の組成物が、ネオアジュバントまたはアジュバント療法としての手術および放射などの他
の治療と組み合わせて使用することができることを、本開示の態様は開示する。組成物の
組み合わせは、治療剤の効果を改善するように作用することができ、したがって、標準的
な癌治療薬を改善するために使用することができる。例えば、被験体が前立腺癌を患って
おり、前立腺癌の処置のためのビカルタミドまたはエンザルタミド治療を受けている場合
、治療の結果として、被験体は女性化乳房を発症する可能性が高い。本明細書に開示され
る組成物は、女性化乳房を処置および/または予防するために、前立腺癌を患っている被
験体に併用療法として投与することができる。別の例として、ER+/Her2+陽性乳
癌を患っている被験体は、トラスツズマブまたは抗腫瘍性または免疫療法などの他の腫瘍
薬物との併用療法を受けており、ならびに、本明細書に開示される組成物は、そのような
ER+/Her2+陽性乳癌を患っている被験体を処置するために使用することができる
。従って、いくつかの実施形態では、組成物は、ビカルタミド、エンザルタミドまたは抗
癌薬、例えば、トラスツズマブ、抗悪性腫瘍薬、例えば、カペシタビン(Xeloda)
、カルボプラチン(パラプラチン)、シスプラチン(Platinol)、シクロホスフ
ァミド(Neosar)、ドセタセル(Docefrez、タキソテール)、ドキソルビ
シン(アドリアマイシン)、ペグ化リポソームドキソルビシン(Doxil)、エピルビ
シン(Ellence)、フルオロウラシル(5-FU、Adrucil)、ゲムシタビ
ン(ジェムザール)、メトトレキサート(複数の商品名)、パクリタキセル(タキソール
)、タンパク質結合パクリタキセル(Abraxane)、ビノレルビン(ナベルビン)
、エリブリン(ハラヴェン)、イキサベピロン(Ixempra)、およびATPカセッ
ト結合タンパク質阻害剤を含む。
【0267】
他の態様では、本明細書に開示される組成物は、被験体におけるエンドキシフェンの生
物学的利用能を増大する治療剤を含み得る。P-糖タンパク質(P-gp、ABCB1)
は、脳、肝臓、および小腸だけでなく、癌細胞においても発現された非常に効率的な薬物
排出ポンプであり、それは、薬物動態に影響を及ぼし、多くの抗癌薬に対して治療抵抗性
を与える。従って、いくつかの実施形態では、組成物は、乳癌耐性タンパク質(BCRP
タンパク質)およびP-gpの阻害剤などの、ATP結合カセット(ABCファミリー)
輸送体の阻害剤をさらに含む。BCRPタンパク質およびP-Gpのいくつかの阻害剤は
、当技術分野において既知である。例えば、BCRPタンパク質の阻害剤は、シクロスポ
リン、オメプラゾール、パントプラゾール、サキナビル、およびタクロリムスを含む。
【0268】
P-gp阻害剤の非限定的な例は、第一世代の阻害剤、例えば、ベラパミル、サイクロ
スポリンA、レセルピン、キニジン、ヨヒンビン、タモキシフェンおよびトレミフェン、
第二世代の阻害剤、例えば、デクスベラパミル、デクスニグルジピン(dexnigul
dipine)、バルスポダール(valspodar)(PSC 833)、およびド
フェキダールフマレート(Dofequidar fumarate)(MS-209)
、第3の生成P-gp阻害剤、例えば、シクロプロピルベンゾスベラン ゾスキダル(C
yclopropyldibenzosuberane zosuquidar)(LY
335979)、ラニクイダル(laniquidar)(R101933)、マイトテ
イン(NSC-38721)、ビリコダル(biricodar)(VX-710)、エ
ラクリダル(elacridar)(GF120918/GG918)、ONT-093
、タリキダル(tariquidar)(XR9576)、ならびにHM30181およ
び抗P-gpモノクローナル抗体、例えば、MRK-16を含む。
【0269】
本開示は、ホルモン依存性乳房障害、ホルモン依存性生殖器系障害、またはその両方を
患っている、あるいは患うリスクがある被験体の処置に使用するための組成物の1つ以上
を含有する治療キットをさらに提供する。本開示のキットは、本明細書に開示される経口
組成物、経口組成物を収容するための密封容器、および経口投与される組成物の使用説明
書を含み得る。一態様において、本開示のキットは第2の治療剤を含むことができる。そ
のような第2治療剤は、ビカルタミド、エンザルタミドまたは抗癌薬、例えば、トラスツ
ズマブ、抗悪性腫瘍薬、例えば、カペシタビン(ゼローダ)、カルボプラチン(パラプラ
チン)、シスプラチン(Platinol)、シクロホスファミド(Neosar)、ド
セタセル(Docefrez、タキソテール)、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、
ペグ化リポソームドキソルビシン(Doxil)、エピルビシン(Ellence)、フ
ルオロウラシル(5-FU、Adrucil)、ゲムシタビン(ジェムザール)、メトト
レキサート(複数の商品名)、パクリタキセル(タキソール)、タンパク質結合パクリタ
キセル(Abraxane)、ビノレルビン(ナベルビン)、エリブリン(ハラヴェン)
、イキサベピロン(Ixempra)、およびATP結合カセット(ABCの輸送体)阻
害剤、例えば、P-gp阻害剤を含む。
【0270】
例示的な組成物
例示的な非限定的な組成物が以下に提供される。上述のように、パーセンテージ(%)
は、組成物の全重量(wt/wt)に基づいた重量による量(amounts by w
eight)を指す。組成物の異なる構成成分の合計は、組成物全体の最大100%(w
t/wt)になる。少なくとも90%(≧90%)の(Z)-エンドキシフェン遊離塩基
は、任意の組成物におけるエンドキシフェンの総重量と比較した、(Z)-エンドキシフ
ェン異性体のパーセント重量を指す。
【0271】
一態様において、本開示は、(Z)-エンドキシフェン、式(I)の化合物、式(II
)の化合物、およびそれらの塩ならびに多形形態を製造するための産業上拡張可能なプロ
セスに関する。
【0272】
一態様において、本開示は、(Z)-エンドキシフェンを製造する産業上拡張可能なプ
ロセスに関し、上記プロセスは:(a)(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシ
フェンの混合物、式(III)の化合物を、EtOAc(1:1、1:20wt/wt)
中の6NのHCL(1:1、1:5wt/wt)に対して反応させる工程;(b)8Nの
NaOH(1:1、1:20wt/wt)で中和する工程;(c)EtOAc(1:1~
1:10wt/wt)で1回以上洗浄する工程;(d)20%のNaCl(1:1~1:
5wt/wt)で抽出する工程;(e)活性炭(1:0.01~1:1)と反応させる工
程;(f)IPA(1:1=1:10wt/wt)で1回以上洗浄し、MeOH/PPW
(1:1~1:10wt/wt)で抽出する工程を含み、ここで、wt/wtは、(E)
-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物、例えば、式(III)の化合
物に対するものである。
【0273】
一態様において、本開示は、以下のものを含む(E)-エンドキシフェンと(Z)-エ
ンドキシフェンの混合物(式(III)の化合物)を製造するための産業上拡張可能なプ
ロセスに関し、上記プロセスは:(a)式(II)の化合物を、THF(4.4wt/w
t)中のプロピオフェノンと反応させること;(b)THF(8.9wt/wt)中のT
iCl4(1.4wt/wt)およびZn(0.9wt/wt)の溶液を調製すること;
および、(c)(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物を形成す
るために、工程(a)の式(II)の化合物を、工程(b)からのTHF中のTiCl4
およびZnと反応させること、を含み、ここで、wt/wtは式(II)の化合物に対す
るものである。
【0274】
一態様において、本開示は、(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの
混合物、式(III)の化合物を製造する産業上拡張可能なプロセスに関し、上記プロセ
スは:(a)25%の塩化アンモニウム(1:20wt/wt)およびシリカ(セライト
)(1:1wt/wt)で抽出する工程;(b)THF(1:1~1:5wt/wt)で
1回以上洗浄する工程;(c)20%の塩化ナトリウム(1:3wt/wt)で1回以上
洗浄する工程;(c)EtOAc(1:4.5wt/wt)を用いて蒸留する工程;およ
び(d)(1:2v/v)EtOAc/n-ヘプタン(1:3.8wt/wt)を用いて
結晶化する工程、の1つ以上の工程を含み、ここで、wt/wtは、式(II)の化合物
に対するものである。
【0275】
一態様において、本開示は、(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの
混合物、式(III)の化合物を製造する産業上拡張可能なプロセスに関し、上記プロセ
スは:(a)40%のK2CO3(1:2wt/wt)で1回以上抽出する工程;(b)
1N NaOH(1:10wt/wt)およびMeTHF(1:1~1:10wt/wt
)で抽出する工程;(c)MeTHF(1:1~1:20wt/wt)でさらに2回抽出
する工程;(d)20%の塩化ナトリウム(1:5wt/wt)で抽出する工程;(e)
IPA(1:4.5wt/wt)を用いて蒸留する工程;および、(f)(1:2.7v
/v)IPA/n-ヘプタン(1:3.4wt/wt)を用いて結晶化する工程、の1つ
以上の工程を含み、ここで、wt/wtは式(II)の化合物に対するものである。
【0276】
一態様において、本開示は、含む式(II)の化合物を製造するための産業上拡張可能
なプロセスに関し、上記プロセスは:(a)式(I)(1当量)の化合物を、THF(4
.9wt/wt)中のDIPEA(3wt/wt)と反応させる工程;(b)1-クロロ
エチル クロロホルメート(3.3wt/wt)を加える工程;(c)メタノール(4.
0wt/wt)を用いて1~5回蒸留する工程;(d)メタノール(3.2wt/wt)
を用いて蒸留する工程;(e)メタノール(3.2wt/wt)/6NのHCl(4wt
/wt)と反応させる工程;および、(f)8NのNaOH(5wt/wt)を用いて中
和する工程を含み、ならびに、ここで、wt/wtは式(I)の化合物に対するものであ
る。
【0277】
一態様において、本開示は、本明細書に記載されるプロセスに従って調製された(Z)
-エンドキシフェン、(E)-エンドキシフェン、式(III)の化合物、式(II)の
化合物、およびそれらの塩に関する。一態様において、本開示は、本明細書に開示される
プロセスに従って調製された(Z)-エンドキシフェンに関し、ここで、(Z)-エンド
キシフェンは、少なくとも6ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも12ヶ月、または少な
くとも18ヶ月間、周囲温度で安定している。
【0278】
本明細書に開示されるプロセスに従って調製された(Z)-エンドキシフェン遊離塩基
は、<1%の不純物を有する。さらに他の態様において、本明細書に開示されるプロセス
に従って調製された(E)/(Z)-エンドキシフェン遊離塩基は<1%の不純物を有す
る。
【0279】
一態様において、本開示は、本明細書に開示される方法のいずれか従って調製された(
Z)-エンドキシフェン遊離塩基またはその塩を含む組成物に関する。
【0280】
他の態様では、本開示は、本明細書に開示される方法のいずれかに従って調製された(
Z)-エンドキシフェン遊離塩基またはその塩を含む組成物に関し、ここで、(Z)-エ
ンドキシフェンは、組成物における総エンドキシフェンの少なくとも90%の(Z)-エ
ンドキシフェン遊離塩基wt/wtである。
【0281】
さらに他の態様において、組成物は(E)-エンドキシフェンをさらに含み、ここで、
(E)-エンドキシフェン対(Z)-エンドキシフェンの比(E/Z比)は、1:99;
5:95;10:90、15:85;20:80、25:75;30:70;40:70
、45:55;50:50;55:45;60:40;65:45;または70:30で
ある。
【0282】
さらなる態様において、組成物は(E)-エンドキシフェンを含み、ここで、E/Z比
は45:55~55:45の範囲であるか、あるいはおよそ1:1である。
【0283】
一態様において、組成物は、本明細書に開示される方法のいずれかに従って調製された
(Z)-エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形形態を含み、ここで、(Z)-エン
ドキシフェンは、少なくとも6ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも12ヶ月、または少
なくとも18ヶ月間、周囲温度で安定している。
【0284】
他の態様では、組成物は、本明細書に開示される方法のいずれかに従って調製された(
Z)-エンドキシフェンまたはその塩を含み、ここで、
a.上記組成物は20,000g/mL以下の一般生菌数を有し;
b.USP 921の方法Icによって試験されるように、組成物の含水量は1.0%
以下であり;
c.組成物の水分活性(Aw)は0.9未満であり;
d.USP 281の方法によって試験されるように、強熱残分が0.1%以下であり
;
e.USP 231の方法IIによって試験されるように、重金属は20ppm以下で
あり;または、
f.メタノールは3000ppm以下であり、テトラヒドロフランは720ppm以下
であり、イソプロパノールは5000ppm以下であり、酢酸エチルは5000ppm以
下であり;n-ヘプタンは5000ppm以下であり、および、検証済みのHPLC方法
によって試験されるように、エタノールは5000ppm以下である。
【0285】
さらに他の態様において、本明細書に開示される方法のいずれかに従って調製された(
Z)-エンドキシフェンまたはその塩を含む組成物は、単位用量当たり、0.01mg~
200mgの(Z)-エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形形態を含む。
【0286】
さらに他の態様において、本明細書に開示される方法のいずれかに従って調製された(
Z)-エンドキシフェンまたはその塩を含む組成物は、単位用量当たり、1mg~20m
gの(Z)-エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形形態を含む。
【0287】
さらなる態様において、本明細書に開示される方法のいずれかに従って調製された(Z
)-エンドキシフェンまたはその塩を含む組成物は、0.01%~20%(wt/wt)
のエンドキシフェンまたはそれらの塩あるいは多形形態を含む。
【0288】
さらなる態様において、本開示は、本明細書に開示される方法のいずれかに従って調製
された(Z)-エンドキシフェンまたはその塩を含む組成物に関し、ここで、上記組成物
は、0.1%~10%(wt/wt)の(Z)-エンドキシフェンまたはその塩あるいは
多形形態を含む。
【0289】
他の態様では、本開示は、本明細書に開示される方法のいずれかに従って調製された(
Z)-エンドキシフェンその塩を含む組成物に関し、上記組成物は1つ以上の賦形剤をさ
らに含む。
【0290】
さらに他の態様において、本開示は、本明細書に開示される方法のいずれか従って調製
された(Z)-エンドキシフェンまたはその塩を含む組成物に関し、上記組成物は、1つ
以上の賦形剤をさらに含み、ここで、上記賦形剤は、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、
滑剤、制御放出剤、腸溶コーティング剤、皮膜剤、可塑剤、甘味料、香料、またはそれら
の組み合わせである。
【0291】
さらに他の態様において、本開示は、本明細書に開示される方法のいずれかに従っても
調製された(Z)-エンドキシフェンまたはその塩を含む組成物に関し、上記組成物は、
1つ以上の賦形剤をさらに含み、ここで、上記賦形剤は、組成物の約0.1%~約99%
のwt/wtである。
【0292】
さらなる態様において、本開示は、本明細書に開示される方法のいずれかに従って調製
された(Z)-エンドキシフェンまたはその塩を含む組成物に関し、ここで、上記組成物
は、酸不溶性ポリマー、メチルクリレート・メタクリル酸コポリマー、セルロースアセテ
ートフタレート(CAP)、セルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネー
ト(ヒプロメロースアセテートサクシネート)、ポリビニルアセテートフタレート(PV
AP)、メチルメタクリレート・メタクリル酸コポリマー、セラック、セルロースアセテ
ートトリメリテート(cellulose acetate trimellitate
, sodium alginate)、アルギン酸ナトリウム、ゼイン、合成ワックス
、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックスおよびミツロ
ウを含むワックス、ポリエトキシ化ヒマシ油誘導体、硬化油、グリセリルモノベネート、
ジベネート、トリベネート、モノステアリン酸グリセリン、ジステアリン酸グリセリル、
長鎖アルコール、例えば、ステアリルアルコール、セチルアルコール、およびポリエチレ
ングリコール、ならびにその混合物からなる群から選択される1つ以上の制御放出剤を含
む。
【0293】
一態様において、本開示は、本明細書に開示される方法のいずれかに従って調製された
(Z)-エンドキシフェンまたはその塩を含む組成物に関し、ここで、上記組成物は、経
口、非経口、局所、および管内の送達のために製剤化される。
【0294】
他の態様では、本開示は、本明細書に開示される方法のいずれかに従って調製された(
Z)-エンドキシフェンまたはその塩を含む組成物に関し、ここで、経口送達のために製
剤化された上記組成物は、錠剤、カプレット、カプセル剤、丸剤、粉末、トローチ、エリ
キシル剤、懸濁液、シロップ、ウェハ、チューインガム、ドラジェ、およびロゼンジであ
る。
【0295】
さらに他の態様において、本開示は、本明細書に開示される方法のいずれかに従っても
調製された(Z)-エンドキシフェンまたはその塩を含む組成物に関し、ここで、経口送
達のために製剤化された上記組成物は、腸溶錠剤として製剤化された錠剤、腸溶カプレッ
トとして製剤化されたカプレット、および腸溶カプセルとして製剤化されたカプセル剤で
ある。
【0296】
さらに他の態様において、本開示は、本明細書に開示される方法のいずれかに従って調
製された(Z)-エンドキシフェンまたは塩を含む組成物に関し、ここで、経口送達のた
めに製剤化された上記組成物は、遅延放出錠剤として製剤された錠剤、遅延放出カプレッ
トとして製剤化されたカプレット、または遅延放出カプセル剤として製剤化されたカプセ
ル剤である。
【0297】
さらに他の態様において、本開示は、本明細書に開示される方法のいずれかに従って調
製された(Z)-エンドキシフェンまたはその塩を含む組成物に関し、ここで、上記組成
物は、経口の送達のために製剤化され、およびここで、USP 711または701の方
法によって試験されるように、上記組成物は:
a.投与後2時間でエンドキシフェンの10%未満;
b.投与後2時間でエンドキシフェンの20%未満;
c.投与後2時間でエンドキシフェンの30%未満;
d.投与後4時間でエンドキシフェンの40%未満;または、
e.投与後6時間でエンドキシフェンの50%未満
を、胃において放出する。
【0298】
さらに他の態様において、本開示は、本明細書に開示される方法のいずれかに従って調
製された(Z)-エンドキシフェンまたはその塩を含む組成物に関し、ここで、上記組成
物は、経口送達のために製剤化され、およびここで、USP 711または701の方法
によって試験されるように、上記組成物は:
a.投与後2時間で(Z)エンドキシフェンの10%未満;
b.投与後2時間で(Z)エンドキシフェンの20%未満;
c.投与後4時間で(Z)エンドキシフェンの40%未満;または、
d.投与後6時間で(Z)エンドキシフェンの50%未満
を、胃において放出する。
【0299】
他の態様では、本開示は、本明細書に開示される方法のいずれかに従って調製された(
Z)-エンドキシフェンまたはその塩を含む組成物に関し、ここで、上記組成物は、経口
送達のために製剤化され、およびここで、USP 711または701の方法によって試
験されるように、上記組成物は、エンドキシフェンの少なくとも40%、少なくとも50
%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%
を腸において放出する。
【0300】
他の態様では、本開示は、本明細書に開示される方法のいずれかに従って調製された(
Z)-エンドキシフェンまたはその塩を含む組成物に関し、ここで、上記組成物は、経口
送達のために製剤化され、およびここで、USP 711または701の方法によって試
験されるように、上記組成物は、投与後2時間で、エンドキシフェンの少なくとも40%
、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または
少なくとも90%を、腸において放出する。
【0301】
他の態様では、本開示は、本明細書に開示される方法のいずれかに従って調製された(
Z)-エンドキシフェンまたはその塩を含む組成物に関し、ここで、上記組成物は、経口
送達のために製剤化され、およびここで、USP 711または701の方法によって試
験されるように、上記組成物は、投与後3時間で、エンドキシフェンの少なくとも40%
、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または
少なくとも90%を腸において放出する。
【0302】
他の態様では、本開示は、本明細書に開示される方法のいずれかに従って調製された(
Z)-エンドキシフェンまたはその塩を含む組成物に関し、ここで、上記組成物は、経口
送達のために製剤化され、およびここで、USP 711または701の方法によって試
験されるように、上記組成物は、投与後4時間で、エンドキシフェンの少なくとも40%
、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または
少なくとも90%を腸において放出する。
【0303】
他の態様において、本開示は、本明細書に開示される方法のいずれかに従って調製され
た(Z)-エンドキシフェンまたはその塩を含む組成物に関し、ここで、上記組成物は、
経口送達のために製剤化され、およびここで、USP 711または701の方法によっ
て試験されるように、上記組成物は:
a.投与の4時間後にエンドキシフェンの少なくとも10%;
b.投与の6時間後にエンドキシフェンの少なくとも30%;
c.投与の7時間後にエンドキシフェンの少なくとも40%;
d.投与の8時間後にエンドキシフェンの少なくとも50%;
e.投与の2時間後にエンドキシフェンの少なくとも50%;
f.投与の2時間後にエンドキシフェンの少なくとも60%;
g.投与の2時間後にエンドキシフェンの少なくとも70%;
h.投後の2時間後にエンドキシフェンの少なくとも80%;または
i.投与の2時間後にエンドキシフェンの少なくとも90%
を、小腸において放出する。
【0304】
他の態様では、本開示は、本明細書に開示される方法のいずれかに従って調製された(
Z)-エンドキシフェンまたはその塩を含む組成物に関し、ここで、上記組成物は、経口
送達のために製剤化され、およびここで、USP 711の方法によって試験されるよう
に、上記組成物は、投与の8時間後にエンドキシフェンの少なくとも50%を結腸におい
て放出するように製剤化される。
【0305】
他の態様では、本開示は経口投与のために製剤化された組成物に関し、上記組成物は:
単位用量当たり1mg~200mgのエンドキシフェンを含み;およびここで、上記組成
物は少なくとも6ヶ月間安定している。
【0306】
他の態様では、本開示は経口投与のために製剤化された組成物に関し、上記組成物は:
単位用量当たり1mg~200mgのエンドキシフェンを含み;ここで、エンドキシフェ
ンは、少なくとも90%の(Z)-エンドキシフェン遊離塩基であり;および
ここで:
上記組成物は、20,000g/ml以下の一般生菌数を有し;
USP 921の方法Icによって決定されるように、(Z)-エンドキシフェンの含
水量は1%以下であり;
USP 281の方法によって試験されるように、(Z)-エンドキシフェンの強熱残
分は0.10%以下であり;または、
USP 231の方法IIによって試験されるように、重金属は20ppm以下である
。
【0307】
他の態様では、本開示は経口投与のために製剤化された組成物に関し、上記組成物は:
単位用量当たり1mg~200mgのエンドキシフェンを含み、
ここで、上記組成物は、腸溶錠剤、腸溶カプレット、および腸溶カプセルとして製剤さ
れ;
ここで、USP 711の方法によって決定されるように、上記組成物は:
投与の4時間後のエンドキシフェンの少なくとも25%;
投与の6時間後のエンドキシフェンの少なくとも30%;
投与の7時間後のエンドキシフェンの少なくとも40%;または、
投与の8時間後のエンドキシフェンの少なくとも50%;
が小腸において放出されるように製剤化され、あるいは、
ここで、USP 711の方法によって決定されるように、上記組成物は、結腸におい
て少なくとも50%のエンドキシフェンを放出するように製剤化される。
【0308】
他の態様では、本開示は経口の固形剤形の組成物に関し、上記組成物は:単位用量当た
り1mg~200mgのエンドキシフェンを含み;
ここで、エンドキシフェンは、少なくとも90%の(Z)-エンドキシフェン遊離塩基
を有し;および、
上記組成物は、20,000g/ml以下の一般生菌数を有し;
USP 921の方法Icによって決定されるように、(Z)-エンドキシフェンの含
水量は1%以下であり;
USP 281の方法によって試験されるように、(Z)-エンドキシフェンの強熱残
分は0.10%以下であり;または、
USP 231の方法IIによって試験されるように、重金属は20ppm以下であり
;および、
上記組成物は、腸溶錠剤、腸溶カプレットおよび腸溶カプセルとして製剤化され;なら
びに、
エンドキシフェンはニート(neat)であり;または、
上記組成物は、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、滑剤、制御放出剤、腸溶コーティン
グ剤、皮膜剤、可塑剤、着色剤、甘味料、および香料、またはそれらの組み合わせからな
る群から選択される賦形剤を含む。
【0309】
他の態様では、本開示は、本明細書に記載されるプロセスによって調製された(Z)-
エンドキシフェン遊離塩基を含む腸溶カプセルに関する。
【0310】
他の態様では、本開示は、単位用量当たり、ニートエンドキシフェンを1mg~200
mg含む腸溶カプセルに関し:
ここで、エンドキシフェンは、少なくとも90%の(Z)-エンドキシフェン遊離塩基
を有し;および、
上記組成物は、20,000g/ml以下の一般生菌数を有し;
USP 921の方法Icによって決定されるように、(Z)-エンドキシフェンの含
水量は1%以下であり;
USP 281の方法によって試験されるように、(Z)-エンドキシフェンの強熱残
分は0.10%以下であり;ならびに、
USP 231の方法IIによって試験されるように、重金属は20ppm以下である
。
【0311】
他の態様では、本開示は、本明細書に記載されるプロセスのいずれかよって調製された
(Z)-エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形形態を含む組成物に関し、ここで、
エンドキシフェン塩は、アレコリン、ベシレート、重炭酸塩、重酒石酸塩、ブチルブロミ
ド、クエン酸塩、カンシラート、グルコネート、グルタメート、グリコリルアルサニレー
ト、ヘキシルレゾルシノール、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフト
エート、イセチオネート、マレート、マンデレート、メシレート、メチルブロマイド、メ
チルブロマイド、メチルニトラート、メチルスルファート、ムカート、ナプシレート、ニ
トラート、パマオエート(エンボネート)、パントテナート、フォスフェート/ジホスフ
ェート、ポリガラクツロネート、サリチラート、ステアレート、サルフェート、タンニン
酸塩、テオクレート、およびリエチオジド、ベンザチン、クレミゾール、クロロプロカイ
ン、コリン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジエタノールアミン、エチレンジア
ミン、メグルミン、ピペラジン、プロカイン、アルミニウム、バリウム、ビスマス、リチ
ウム、マグネシウム、カリウム、および亜鉛からなる群から選択される。
【0312】
さらに他の態様において、本開示は、本明細書に記載されるプロセスのいずれかによっ
て調製された(Z)-エンドキシフェンまたはそれらの塩あるいは多形形態を含む組成物
に関し、ここで、エンドキシフェン塩はエンドキシフェングルコネートである。
【0313】
さらに他の態様において、本開示は、本明細書に記載されるプロセスのいずれかによっ
て調製された(Z)-エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形形態を含む組成物に関
し、ここで、エンドキシフェン塩は、(Z)-エンドキシフェン Dグルコネート、(E
)-エンドキシフェン Dグルコネート、(Z)-エンドキシフェン L-グルコネート
、および(E)-エンドキシフェン L-グルコネート、またはそれらの組み合わせから
なる群から選択されるエンドキシフェングルコネートである。
【0314】
さらに他の態様において、本開示は、本明細書に記載されるプロセスのいずれかによっ
て調製された(Z)-エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形形態を含む組成物に関
し、ここで、エンドキシフェン塩は、エンドキシフェングルコネートであり、および、エ
ンドキシフェングルコネートは、1%、5%、10%、20%、25%、30%、40%
、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%
、99.5%、99.99%、または100%(wt/wt)の(Z)-エンドキシフェ
ン Dグルコネートあるいは(Z)-エンドキシフェン L-グルコネートを含む。
【0315】
さらに他の態様において、本開示は、本明細書に記載されるプロセスのいずれかよって
調製された(Z)-エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形形態を含む組成物に関し
、ここで、エンドキシフェン塩は、エンドキシフェングルコネートであり、および、エン
ドキシフェングルコネートは、10:90、20:80、30:70;40:60;50
:50、60:40、70:30、80:20、90:10;91:9;92:8;93
:7;94:8;95:5、96:4、97:3、98:2、99:1;99.5:0.
5;または、99.99:0.01のZ/E-比で、(Z)-エンドキシフェン Dグル
コネートおよび(E)-エンドキシフェン Dグルコネート(wt/wt)を含む。
【0316】
さらに他の態様において、本開示は、ホルモン依存性乳房障害、ホルモン依存性生殖器
系障害、またはその両方の処置および予防のために、本明細書に記載されるプロセスのい
ずれかよって調製された(Z)-エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形形態を含む
組成物に関する。
【0317】
さらに他の態様において、本開示は、ホルモン依存性乳房障害、ホルモン依存性生殖器
系障害、またはその両方の処置および予防のために、本明細書に記載されるプロセスのい
ずれかによって調製された(Z)-エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形形態を含
む組成物に関し、ここで、ホルモン依存性乳房障害またはホルモン依存性生殖器系障害は
、良性乳房障害、過形成、非定型性、異型乳管過形成、異型小葉過形成、乳房密度の増加
、女性化乳房、DCIS、LCIS、乳癌、思春期早発症、マックーン-オルブライト症
候群、子宮内膜癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頚癌、膣癌、または外陰癌である。
【0318】
さらに他の態様において、本開示は、ホルモン依存性乳房障害、ホルモン依存性生殖器
系障害、またはその両方の処置および予防のために、本明細書に記載されるプロセスのい
ずれかによって調製された(Z)-エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形形態を含
む組成物に関し、ここで、ホルモン依存性乳房障害は乳癌である。
【0319】
さらに他の態様において、本開示は、ホルモン依存性乳房障害、ホルモン依存性生殖器
系障害、またはその両方の処置および予防のために、本明細書に記載されるプロセスのい
ずれかによって調製された(Z)-エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形形態を含
む組成物に関し、ここで、ホルモン依存性乳房障害は、乳癌であり、ならびに、乳癌は、
前癌、初期段階の癌、非転移性癌、前転移性癌、局所進行癌、または転移性癌である。
【0320】
さらに他の態様において、本開示は、ホルモン依存性乳房障害、ホルモン依存性生殖器
系障害、またはその両方の処置および予防のために、本明細書に記載されるプロセスのい
ずれかによって調製された(Z)-エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形形態を含
む組成物に関し、ここで、ホルモン依存性乳房障害またはホルモン依存性生殖器系障害は
、タモキシフェン抵抗性あるいはタモキシフェン耐性である。
【0321】
また別の態様において、本開示は、本明細書に記載されるプロセスの何れかにより調製
される、(Z)-エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形体を含む、組成物に関する
ものであり、前記組成物は必要とする被験体に投与される。
【0322】
また別の態様において、本開示は、本明細書に記載されるプロセスの何れかにより調製
される、(Z)-エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形体を含む、組成物に関する
ものであり、前記組成物は必要とする被験体に投与され、前記被験体は、ホルモン依存性
乳房障害、ホルモン依存性生殖器障害、またはその両方を抱えている、あるいはそれらを
抱えるリスクがある。
【0323】
また別の態様において、本開示は、本明細書に記載されるプロセスの何れかにより調製
される、(Z)-エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形体を含む、組成物に関する
ものであり、前記組成物は必要とする被験体に投与され、前記被験体のホルモン依存性乳
房障害またはホルモン依存性生殖器障害は、良性乳房障害、過形成、非定型性、異型乳管
過形成、非定型小葉過形成、乳房密度の増加、女性化乳房、DCIS、LCIS、乳癌、
性早熟症、マックーン-オルブライト症候群、子宮内膜癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頚癌、
膣癌、または外陰癌である。
【0324】
また別の態様において、本開示は、本明細書に記載されるプロセスの何れかにより調製
される、(Z)-エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形体を含む、組成物に関する
ものであり、前記組成物は必要とする被験体に投与され、前記被験体は乳癌を抱え、乳癌
は、前癌、初期段階の癌、非転移性癌、前転移性癌、局所的に進行した癌、または転移性
癌である。
【0325】
また別の態様において、本開示は、本明細書に記載されるプロセスの何れかにより調製
される、(Z)-エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形体を含む、組成物に関する
ものであり、前記組成物は必要とする被験体に投与され、前記被験体は前立腺癌を抱え、
および前記被験体は前立腺癌治療を受けている、またはそれを開始する予定がある。
【0326】
また別の態様において、本開示は、本明細書に記載されるプロセスの何れかにより調製
される、(Z)-エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形体を含む、組成物に関する
ものであり、前記組成物は必要とする被験体に投与され、前記被験体は前立腺癌を抱え、
前記被験体は女性化乳房を抱えている、またはそのリスクがある。
【0327】
また別の態様において、本開示は、本明細書に記載されるプロセスの何れかにより調製
される、(Z)エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形体を含む、組成物に関するも
のであり、前記組成物は、ホルモン依存性乳房障害、ホルモン依存性生殖器障害、または
その両方を抱えているあるいはそれらを抱えるリスクがある被験体に投与され、被験体の
ホルモン依存性乳房障害またはホルモン依存性生殖器障害には、タモキシフェン抵抗性ま
たはタモキシフェン耐性がある。
【0328】
また別の態様において、本開示は、本明細書に記載されるプロセスの何れかにより調製
される、(Z)エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形体を含む、組成物に関するも
のであり、前記組成物は被験体に、0.01mg、0.05mg、0.1mg、0.25
mg、0.5mg、0.75mg、1.0mg、1.5mg、2.0mg、4mg、5m
g、10mg、20mg、25mg、50mg、または200mgの単位投与量の(Z)
-エンドキシフェンにおいて投与される。
【0329】
また別の態様において、本開示は、本明細書に記載されるプロセスの何れかにより調製
される、(Z)エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形体を含む、組成物に関するも
のであり、前記組成物は被験体に、0.01mg、0.05mg、0.1mg、0.25
mg、0.5mg、0.75mg、1.0mg、1.5mg、2.0mg、4mg、5m
g、10mg、20mg、25mg、50mg、または200mgの投与量の(Z)-エ
ンドキシフェンにおいて投与される。
【0330】
本明細書に記載されるプロセスの何れかにより調製される、(Z)エンドキシフェンま
たはその塩あるいは多形体を含む、組成物に関するものであり、前記組成物は被験体に、
1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、隔日、週に2回、毎週、隔週、月に2回、4
ヶ月に1回、6ヶ月に1回、または毎年投与される。
【0331】
また別の態様において、本開示は、本明細書に記載されるプロセスの何れかにより調製
される、(Z)エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形体を含む、組成物に関するも
のであり、前記組成物の経口投与は、被験体の血漿エンドキシフェンを、30nMを超え
るレベルに維持する。
【0332】
また別の態様において、本開示は、本明細書に記載されるプロセスの何れかにより調製
される、(Z)-エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形体を含む、組成物に関する
ものであり、前記組成物は被験体に併用療法薬として投与される。
【0333】
また別の態様において、本開示は、本明細書に記載されるプロセスの何れかにより調製
される、(Z)エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形体を含む、組成物に関するも
のであり、前記組成物は被験体に、一時治療薬、ネオアジュバント療法薬、またはアジュ
バント療法薬として投与される。
【0334】
また別の態様において、本開示は、本明細書に記載されるプロセスの何れかにより調製
される、(Z)-エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形体を含む、組成物に関する
ものであり、前記組成物は被験体に単独で、または第2の治療薬と組み合わせて投与され
る。
【0335】
また別の態様において、本開示は、本明細書に記載されるプロセスの何れかにより調製
される、(Z)-エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形体を含む、組成物に関する
ものであり、前記組成物は被験体に単独で、または第2の治療薬と組み合わせて投与され
、第2の治療薬は、ビカルタミド、エンザルタミド、または抗癌薬、例えばトラスツズマ
ブ、抗悪性腫瘍剤、例えばカペシタビン(ゼローダ)、カルボプラチン(パラプラチン)
、シスプラチン(プラチノール)、シクロホスファミド(Neosar)、ドセタセル(
Docefrez、タキソテール)、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ペグ化リポ
ソームドキソルビシン(ドキシル)、エピルビシン(Ellence)、フルオロウラシ
ル(5-FU、アドルシル)、ゲムシタビン(ジェムザール)、メトトレキサート(複数
の商標)、パクリタキセル(タキソール)、タンパク質結合パクリタキセル(アブラキサ
ン)、ビノレルビン(ナベルビン)、エリブリン(ハラヴェン)、イクサベピロン(イグ
ゼンプラ)、またはATP結合カセット輸送体の阻害剤である。
【0336】
また別の態様において、本開示は被験体を処置する方法に関し、該方法は、本明細書に
開示されるプロセスの何れか1つに従い調製された組成物を投与する工程を含む。
【0337】
また別の態様において、本開示は被験体を処置する方法に関し、該方法は、本明細書に
開示されるプロセスの何れか1つに従い調製された、(Z)-エンドキシフェンまたはそ
の塩あるいは多形体を含む組成物を投与する工程を含む。
【0338】
また別の態様において、本開示は被験体を処置する方法に関し、該方法は、本明細書に
開示されるプロセスの何れか1つに従い調製された、(Z)-エンドキシフェンまたはそ
の塩あるいは多形体を含む組成物を投与する工程を含み、前記被験体は、ホルモン依存性
乳房障害、ホルモン依存性生殖器障害、またはその両方を抱えている、あるいはそれらを
抱えるリスクがある。
【0339】
また別の態様において、本開示は被験体を処置する方法に関し、該方法は、本明細書に
開示されるプロセスの何れか1つに従い調製された、(Z)-エンドキシフェンまたはそ
の塩あるいは多形体を含む組成物を投与する工程を含み、前記被験体は、ホルモン依存性
乳房障害、ホルモン依存性生殖器障害、またはその両方を抱えている、あるいはそれらを
抱えるリスクがあり、ホルモン依存性乳房障害またはホルモン依存性生殖器障害は、良性
乳房障害、過形成、非定型性、異型乳管過形成、非定型小葉過形成、乳房密度の増加、女
性化乳房、DCIS、LCIS、乳癌、性早熟症、マックーン-オルブライト症候群、子
宮内膜癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頚癌、膣癌、または外陰癌である。
【0340】
また別の態様において、本開示は被験体を処置する方法に関し、該方法は、本明細書に
開示されるプロセスの何れか1つに従い調製された、(Z)-エンドキシフェンまたはそ
の塩あるいは多形体を含む組成物を投与する工程を含み、前記被験体は乳癌を抱えている
。
【0341】
また別の態様において、本開示は被験体を処置する方法に関し、該方法は、本明細書に
開示されるプロセスの何れか1つに従い調製された、(Z)-エンドキシフェンまたはそ
の塩あるいは多形体を含む組成物を投与する工程を含み、前記被験体は乳癌を抱え、乳癌
は、前癌、初期段階の癌、非転移性癌、前転移性癌、局所的に進行した癌、または転移性
癌である。
【0342】
また別の態様において、本開示は被験体を処置する方法に関し、該方法は、本明細書に
開示されるプロセスの何れか1つに従い調製された、(Z)-エンドキシフェンまたはそ
の塩あるいは多形体を含む組成物を投与する工程を含み、前記被験体は前立腺癌を抱え、
前記被験体は更に女性化乳房を抱える、またはそのリスクがある。
【0343】
また別の態様において、本開示は被験体を処置する方法に関し、該方法は、本明細書に
開示されるプロセスの何れか1つに従い調製された、(Z)-エンドキシフェンまたはそ
の塩あるいは多形体を含む組成物を投与する工程を含み、前記被験体は、タモキシフェン
抵抗性またはタモキシフェン耐性のあるホルモン依存性乳房障害、あるいはホルモン依存
性生殖器障害を抱える。
【0344】
また別の態様において、本開示は被験体を処置する方法に関し、該方法は、本明細書に
開示されるプロセスの何れか1つに従い調製された、(Z)-エンドキシフェンまたはそ
の塩あるいは多形体を含む組成物を投与する工程を含み、前記組成物は被験体に、0.0
1mg、0.05mg、0.1mg、0.25mg、0.5mg、0.75mg、1.0
mg、1.5mg、2.0mg、4mg、5mg、6mg、8mg、10mg、20mg
、25mg、50mg、100mg、または200mgの単位投与量において投与される
。
【0345】
また別の態様において、本開示は被験体を処置する方法に関し、該方法は、本明細書に
開示されるプロセスの何れか1つに従い調製された、(Z)-エンドキシフェンまたはそ
の塩あるいは多形体を含む組成物を投与する工程を含み、前記組成物は被験体に、1日1
回、1日2回、1日3回、1日4回、隔日、週に2回、毎週、隔週、月に2回、4ヶ月に
1回、6ヶ月に1回、または毎年投与される。
【0346】
また別の態様において、本開示は被験体を処置する方法に関し、該方法は、本明細書に
開示されるプロセスの何れか1つに従い調製された、(Z)-エンドキシフェンまたはそ
の塩あるいは多形体を含む組成物を投与する工程を含み、前記組成物の経口投与は、被験
体の血漿エンドキシフェンを、30nMを超える定常状態レベルに維持する。
【0347】
また別の態様において、本開示は被験体を処置する方法に関し、該方法は、本明細書に
開示されるプロセスの何れか1つに従い調製された、(Z)-エンドキシフェンまたはそ
の塩あるいは多形体を含む組成物を投与する工程を含み、前記組成物の経口投与は、最初
の投与量の投与(1日目)後14日までに30nMを超える定常状態レベルの被験体の血
漿エンドキシフェンを達成する。
【0348】
また別の態様において、本開示は被験体を処置する方法に関し、該方法は、(Z)-エ
ンドキシフェンまたはその塩あるいは多形体を含む組成物を投与する工程を含み、前記組
成物の経口投与は、最初の投与量の投与(1日目)後14日までに30nMを超える定常
状態レベルの被験体の血漿エンドキシフェンを達成する。
【0349】
また別の態様において、本開示は被験体を処置する方法に関し、該方法は、本明細書に
開示されるプロセスの何れか1つに従い調製された、(Z)-エンドキシフェンまたはそ
の塩あるいは多形体を含む組成物を投与する工程を含み、前記組成物の経口投与は、投与
後(投与後(post-dose))2~10時間までの被験体におけるエンドキシフェ
ンの最大血漿レベルまでの時間を達成する。
【0350】
また別の態様において、本開示は被験体を処置する方法に関し、該方法は、(Z)-エ
ンドキシフェンまたはその塩あるいは多形体を含む組成物を投与する工程を含み、前記組
成物の経口投与は、投与後(投与後(post-dose))2~10時間までの被験体
におけるエンドキシフェンの最大血漿レベルまでの時間を達成する。
【0351】
また別の態様において、本開示は被験体を処置する方法に関し、該方法は、(Z)-エ
ンドキシフェンまたはその塩あるいは多形体を含む組成物を投与する工程を含み、被験体
におけるエンドキシフェンの平均末端排出半減期は、投与後30~60時間に及ぶ。
【0352】
また別の態様において、本開示は被験体を処置する方法に関し、該方法は、(Z)-エ
ンドキシフェンまたはその塩あるいは多形体を含む組成物を投与する工程を含み、被験体
におけるエンドキシフェンの平均末端排出半減期は、投与後40~55時間に及ぶ。
【0353】
別の態様において、本開示は、ホルモン依存性乳房障害、ホルモン依存性生殖器障害、
またはその両方を抱えている、あるいはそのリスクがある被験体を処置する方法に関し、
該方法は、(Z)-エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形体を含む経口組成物を投
与する工程を含み、前記組成物の投与は:
a.投与後30時間~60時間に及ぶ被験体におけるエンドキシフェンの平均半減期;
b.投与後2時間~10時間に及ぶエンドキシフェンの最大血漿レベルまでの時間;お
よび
c.30nMを超えるエンドキシフェンの定常状態血漿レベル、を達成する。
【0354】
別の態様において、本開示は、良性乳房障害、過形成、非定型性、異型乳管過形成、非
定型小葉過形成、乳房密度の増加、女性化乳房、DCIS、LCIS、乳癌、性早熟症、
マックーン-オルブライト症候群、子宮内膜癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頚癌、膣癌、およ
び外陰癌から成る群から選択されるホルモン依存性乳房障害またはホルモン依存性生殖器
障害を抱えている、あるいはそのリスクがある被験体を処置する方法に関し、該方法は、
(Z)-エンドキシフェンまたはその塩あるいは多形体を含む経口組成物を投与する工程
を含み、前記組成物の投与は:
a.投与後30時間~60時間に及ぶ被験体におけるエンドキシフェンの平均半減期;
b.投与後2時間~10時間に及ぶエンドキシフェンの最大血漿レベルまでの時間;お
よび
c.30nMを超えるエンドキシフェンの定常状態血漿レベル、を達成する。
【0355】
別の態様において、本開示は、良性乳房障害、過形成、非定型性、異型乳管過形成、非
定型小葉過形成、乳房密度の増加、女性化乳房、DCIS、LCIS、乳癌、性早熟症、
マックーン-オルブライト症候群、子宮内膜癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頚癌、膣癌、およ
び外陰癌から成る群から選択されるホルモン依存性乳房障害またはホルモン依存性生殖器
障害を抱えている、あるいはそのリスクがある被験体を処置する方法に関し、該方法は、
腸溶錠剤、腸溶カプレット、腸溶カプセル、遅延放出錠剤、遅延放出カプレット、あるい
は遅延放出カプセルとして製剤化される、(Z)-エンドキシフェンまたはその塩あるい
は多形体を含む経口組成物を投与する工程を含み、前記組成物の投与は:
a.投与後30時間~60時間に及ぶ被験体におけるエンドキシフェンの平均半減期;
b.投与後2時間~10時間に及ぶエンドキシフェンの最大血漿レベルまでの時間;お
よび
c.30nMを超えるエンドキシフェンの定常状態血漿レベル、を達成する。
【0356】
別の態様において、本開示は、良性乳房障害、過形成、非定型性、異型乳管過形成、非
定型小葉過形成、乳房密度の増加、女性化乳房、DCIS、LCIS、乳癌、性早熟症、
マックーン-オルブライト症候群、子宮内膜癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頚癌、膣癌、およ
び外陰癌から成る群から選択されるホルモン依存性乳房障害またはホルモン依存性生殖器
障害を抱えている、あるいはそのリスクがある被験体を処置する方法に関し、該方法は、
腸溶錠剤、腸溶カプレット、腸溶カプセル、遅延放出錠剤、遅延放出カプレット、あるい
は遅延放出カプセルとして製剤化される、(Z)-エンドキシフェンまたはその塩あるい
は多形体を含む経口組成物を投与する工程を含み、前記組成物の投与は:
a.投与後30時間~60時間に及ぶ被験体におけるエンドキシフェンの平均半減期;
b.投与後2時間~10時間に及ぶエンドキシフェンの最大血漿レベルまでの時間;お
よび
c.30nMを超えるエンドキシフェンの定常状態血漿レベル、を達成し;および
ここで、エンドキシフェンの少なくとも50%、エンドキシフェンの少なくとも60%、
少なくとも70%、少なくとも80%、あるいは少なくとも90%は、腸に放出される。
【0357】
別の態様において、本開示は、良性乳房障害、過形成、非定型性、異型乳管過形成、非
定型小葉過形成、乳房密度の増加、女性化乳房、DCIS、LCIS、乳癌、性早熟症、
マックーン-オルブライト症候群、子宮内膜癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頚癌、膣癌、およ
び外陰癌から成る群から選択されるホルモン依存性乳房障害またはホルモン依存性生殖器
障害を抱えている、あるいはそのリスクがある被験体を処置する方法に関し、該方法は、
腸溶錠剤、腸溶カプレット、腸溶カプセル、遅延放出錠剤、遅延放出カプレット、あるい
は遅延放出カプセルとして製剤化される、0.01mg~200mgの(Z)-エンドキ
シフェンまたはその塩あるいは多形体を含む経口組成物を投与する工程を含み、前記組成
物の投与は:
a.投与後30時間~60時間に及ぶ被験体におけるエンドキシフェンの平均半減期;
b.投与後2時間~10時間に及ぶエンドキシフェンの最大血漿レベルまでの時間;お
よび
c.30nMを超えるエンドキシフェンの定常状態血漿レベル、を達成し;および
ここで、エンドキシフェンの少なくとも50%、エンドキシフェンの少なくとも60%、
少なくとも70%、少なくとも80%、あるいは少なくとも90%は、腸に放出される。
【0358】
別の態様において、本開示は、良性乳房障害、過形成、非定型性、異型乳管過形成、非
定型小葉過形成、乳房密度の増加、女性化乳房、DCIS、LCIS、乳癌、性早熟症、
マックーン-オルブライト症候群、子宮内膜癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頚癌、膣癌、およ
び外陰癌から成る群から選択されるホルモン依存性乳房障害またはホルモン依存性生殖器
障害を抱えている、あるいはそのリスクがある被験体を処置する方法に関し、該方法は、
腸溶錠剤、腸溶カプレット、腸溶カプセル、遅延放出錠剤、遅延放出カプレット、あるい
は遅延放出カプセルとして製剤化される、0.01mg~200mgの(Z)-エンドキ
シフェンまたはその塩あるいは多形体を含む経口組成物を投与する工程を含み、前記組成
物の投与は:
a.投与後30時間~60時間に及ぶ被験体におけるエンドキシフェンの平均半減期;
b.投与後2時間~10時間に及ぶエンドキシフェンの最大血漿レベルまでの時間;お
よび
c.30nMを超えるエンドキシフェンの定常状態血漿レベル、を達成する。
【0359】
別の態様において、本開示は、良性乳房障害、過形成、非定型性、異型乳管過形成、非
定型小葉過形成、乳房密度の増加、女性化乳房、DCIS、LCIS、乳癌、性早熟症、
マックーン-オルブライト、子宮内膜癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頚癌、膣癌、および外陰
癌から成る群から選択されるホルモン依存性乳房障害またはホルモン依存性生殖器障害を
抱えている、あるいはそのリスクがある被験体を処置する方法に関し、該方法は、腸溶錠
剤、腸溶カプレット、腸溶カプセル、遅延放出錠剤、遅延放出カプレット、あるいは遅延
放出カプセルとして製剤化される、0.01mg~200mgの(Z)-エンドキシフェ
ンまたはその塩あるいは多形体を含む経口組成物を投与する工程を含み、前記組成物の投
与は以下を達成する:
a.投与後30時間~60時間に及ぶ被験体におけるエンドキシフェンの平均半減期;
b.投与後2時間~10時間に及ぶエンドキシフェンの最大血漿レベルまでの時間;お
よび
c.30nMを超えるエンドキシフェンの定常状態血漿レベル、を達成し;および
ここで、エンドキシフェンの少なくとも50%、エンドキシフェンの少なくとも60%、
少なくとも70%、少なくとも80%、あるいは少なくとも90%は、腸に放出される。
【0360】
別の態様において、本開示は、良性乳房障害、過形成、非定型性、異型乳管過形成、非
定型小葉過形成、乳房密度の増加、女性化乳房、DCIS、LCIS、乳癌、性早熟症、
マックーン-オルブライト、子宮内膜癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頚癌、膣癌、および外陰
癌から成る群から選択されるホルモン依存性乳房障害またはホルモン依存性生殖器障害を
抱えている、あるいはそのリスクがある被験体を処置する方法に関し、該方法は、腸溶錠
剤、腸溶カプレット、腸溶カプセル、遅延放出錠剤、遅延放出カプレット、あるいは遅延
放出カプセルとして製剤化される、0.01mg~200mgの(Z)-エンドキシフェ
ンまたはその塩あるいは多形体を含む経口組成物を投与する工程を含み、前記組成物の投
与は:
a.投与後30時間~60時間に及ぶ被験体におけるエンドキシフェンの平均半減期;
b.投与後2時間~10時間に及ぶエンドキシフェンの最大血漿レベルまでの時間;お
よび
c.30nMを超えるエンドキシフェンの定常状態血漿レベル、を達成し;
ここで、無限時間まで外挿される平均曲線下面積(AUC0-inf)は、200hr*
ng/mL~10000hr*ng/mL、300hr*ng/mL~8000hr*n
g/mL、400hr*ng/mL~6000hr*ng/mL、または700hr*n
g/mL~6000hr*ng/mLであり;および
ここで、エンドキシフェンの少なくとも50%、エンドキシフェンの少なくとも60%、
少なくとも70%、少なくとも80%、あるいは少なくとも90%は、腸に放出される。
【0361】
また別の態様において、本開示は被験体を処置する方法に関し、該方法は、本明細書に
開示されるプロセスの何れか1つに従い調製された、(Z)-エンドキシフェンまたはそ
の塩あるいは多形体を含む組成物を投与する工程を含み、前記方法は、一次治療、ネオア
ジュバント療法、またはアジュバント療法である。
【0362】
また別の態様において、本開示は被験体を処置する方法に関し、該方法は、本明細書に
開示されるプロセスの何れか1つに従い調製された、(Z)-エンドキシフェンまたはそ
の塩あるいは多形体を含む組成物を投与する工程を含み、組成物は被験体に併用療法薬と
して投与される。
【0363】
また別の態様において、本開示は被験体を処置する方法に関し、該方法は、本明細書に
開示されるプロセスの何れか1つに従い調製された、(Z)-エンドキシフェンまたはそ
の塩あるいは多形体を含む組成物を投与する工程を含み、組成物は被験体に単独で、また
は第2の治療薬と組み合わせて投与される。
【0364】
また別の態様において、本開示は被験体を処置する方法に関し、該方法は、本明細書に
開示されるプロセスの何れか1つに従い調製された、(Z)-エンドキシフェンまたはそ
の塩あるいは多形体を含む組成物を投与する工程を含み、組成物は被験体に第2の治療薬
と共に投与され、前記第2の治療薬は、ビカルタミド、エンザルタミド、または抗癌薬、
例えばトラスツズマブ、抗悪性腫瘍剤、例えばカペシタビン(ゼローダ)、カルボプラチ
ン(パラプラチン)、シスプラチン(プラチノール)、シクロホスファミド(Neosa
r)、ドセタセル(Docefrez、タキソテール)、ドキソルビシン(アドリアマイ
シン)、ペグ化リポソームドキソルビシン(ドキシル)、エピルビシン(Ellence
)、フルオロウラシル(5-FU、アドルシル)、ゲムシタビン(ジェムザール)、メト
トレキサート(複数の商標)、パクリタキセル(タキソール)、タンパク質結合パクリタ
キセル(アブラキサン)、ビノレルビン(ナベルビン)、エリブリン(ハラヴェン)、イ
クサベピロン(イグゼンプラ)、およびATPカセット結合タンパク質輸送体阻害剤から
成る群から選択される。
【0365】
また別の態様において、本開示は、被験体におけるホルモン依存性乳房障害、ホルモン
依存性生殖器障害、またはその両方の処置および予防のための使用に関し、前記使用は、
タモキシフェンを含む第1の組成物を被験体に投薬すること;
被験体から得た試験サンプルに中の被験体のタモキシフェン代謝産物プロファイルを決
定すること;
基準タモキシフェン代謝産物プロファイルにおける血漿エンドキシフェンのレベルと比
較して、被験体のタモキシフェン代謝産物プロファイルに基づいて被験体の血漿エンドキ
シフェンのレベルの低下を判定すること;および
被験体に本開示の組成物を投与すること、を含む。
【0366】
また別の態様において、本開示は、被験体におけるホルモン依存性乳房障害、ホルモン
依存性生殖器障害、またはその両方の処置および予防のための使用に関し、前記使用は、
タモキシフェンを含む第1の組成物を被験体に投薬すること;
被験体から得た試験サンプルに中の被験体のタモキシフェン代謝産物プロファイルを決
定すること;
基準タモキシフェン代謝産物プロファイルにおける血漿エンドキシフェンのレベルと比
較して、被験体のタモキシフェン代謝産物プロファイルに基づいて被験体の血漿エンドキ
シフェンのレベルの低下を判定すること;および
被験体に本開示の組成物を投与すること、を含み;
ここで、組成物は、被験体の血漿エンドキシフェンを、30nMを超える定常状態レベル
に維持するのに十分な投与量において経口投与され;
ここで、タモキシフェン代謝産物プロファイルは、少なくともタモキシフェン、4-ヒド
ロキシタモキシフェン、n-デスメチルタモキシフェン、またはエンドキシフェンのパネ
ルを含み;
ここで、ホルモン依存性乳房障害またはホルモン依存性生殖器障害は、良性乳房障害、過
形成、非定型性、異型乳管過形成、非定型小葉過形成、乳房密度の増加、女性化乳房、D
CIS、LCIS、乳癌、性早熟症、マックーン-オルブライト症候群、子宮内膜癌、卵
巣癌、子宮癌、子宮頚癌、膣癌、または外陰癌;ここで、ホルモン依存性乳房障害は、前
癌、初期段階の癌、非転移性癌、前転移性癌、局所的に進行した癌、または転移性癌であ
り;
ここで、ホルモン依存性乳房障害は非転移性癌であり;
ここで、被験体は前立腺癌を抱え、前記被験体は更に女性化乳房を抱えている、またはそ
のリスクがあり;または
ここで、ホルモン依存性乳房障害またはホルモン依存性生殖器障害は、タモキシフェン抵
抗性またはタモキシフェン耐性である。
【0367】
また別の態様において、本開示は、ホルモン依存性乳房障害、ホルモン依存性生殖器障
害、またはその両方を抱えている、またはそのリスクがある被験体を処置するためのキッ
トに関し、前記キットは、以下を含む:(a)本開示の組成物;(b)組成物を収容する
ための密閉容器;および(c)経口投与される組成物の使用説明書。
【0368】
また別の態様において、本開示は、ホルモン依存性乳房障害、ホルモン依存性生殖器障
害、またはその両方を抱えている、またはそのリスクがある被験体を処置するためのキッ
トに関し、前記キットは、以下を含む:(a)本開示の組成物;(b)組成物を収容する
ための密閉容器;および(c)経口投与される組成物の使用説明書、ここで、前記キット
は第2の治療薬を含み、前記第2の治療薬は、ビカルタミド、エンザルタミド、および抗
癌薬、例えばトラスツズマブ、抗悪性腫瘍剤、例えばカペシタビン(ゼローダ)、カルボ
プラチン(パラプラチン)、 シスプラチン(プラチノール)、シクロホスファミド(N
eosar)、ドセタセル(Docefrez、タキソテール)、ドキソルビシン(アド
リアマイシン)、ペグ化リポソームドキソルビシン(ドキシル)、エピルビシン(Ell
ence)、フルオロウラシル(5-FU、アドルシル)、ゲムシタビン(ジェムザール
)、メトトレキサート(複数の商標)、パクリタキセル(タキソール)、タンパク質結合
パクリタキセル(アブラキサン)、ビノレルビン(ナベルビン)、エリブリン(ハラヴェ
ン)、イクサベピロン(イグゼンプラ)、およびATPカセット結合タンパク質輸送体阻
害剤から成る群から選択される。
【0369】
また別の態様において、本開示は、本明細書に記載されるプロセスの何れかに従い調製
された組成物を、必要とする被験体へ、前記組成物を含むキットに含まれる使用説明書に
従って投与する方法に関連する。
【実施例0370】
本明細書に使用される略語
ACN/PPW=アセトニトリル/プロセス精製水
NaHCO3=炭酸水素ナトリウム
HCl=塩酸
THF=テトラヒドロフラン
MeTHF=2-メチルテトラヒドロフラン
CH2Cl2=ジクロロメタン
EtOH=エタノール
MeOH=メタノール
EtOAc=酢酸エチル
IPA=イソプロピルアルコール;イソプロパノール
TFA=トリフルオロ酢酸
TCA=トリクロロ酢酸
PPW=プロセス精製水
IPA/PPW=イソプロピルアルコール/プロセス精製水
【0371】
実施例1:(Z)-エンドキシフェン遊離塩基の富化および調製
A.分別結晶
(Z)-エンドキシフェン遊離塩基(製剤原料)は、(E)-エンドキシフェンと(Z
)-エンドキシフェンとの混合物から、本明細書に記載される分別結晶により調製可能で
ある。簡単に、市販で入手可能な、(E)-エンドキシフェンアイソフォームと(Z)-
エンドキシフェンアイソフォームとの粗製エンドキシフェン混合物(Astatech
Ltd. China)を出発物質として使用することで、(Z)-エンドキシフェンを
遊離塩基として調製した。
【0372】
i.E/Z-エンドキシフェン溶液を、各々10倍の容量の溶媒、即ちイソプロパノー
ル(IPA)中にある、51/1、1/1.8、および1/5.8の比率(E/Z比率)
において、(E)-エンドキシフェンおよび(Z)-エンドキシフェンを含む1gのエン
ドキシフェンを懸濁することにより、調製した。溶液の第2のセットを、10倍の容量の
溶媒EtOAc中にある51/1、1/1.8、および1/5.8のE/Z比率において
1gの各エンドキシフェンを懸濁することにより調製した。溶液を第1の温度50°Cに
加熱し、熱いスラリーを作成して、50°Cで一晩撹拌した。熱いスラリーサンプルを、
孔径0.5μmのセルロースフィルターを使用して濾過した。その後、混合物を第2の温
度、即ち室温23°Cに冷却しつつ12時間撹拌して、結晶化を達成した。冷却サンプル
のアリコートを、孔径0.5μmのセルロースフィルターを使用して濾過した。固形物お
よび濾液のアリコートを、50°Cおよび23°Cの各温度において得て、HPLC-U
Vによってモニタリングして、それらのE/Z-エンドキシフェン比率を判定した。(Z
)-エンドキシフェンが豊富な濾液、および(E)-エンドキシフェンが豊富な濾液を、
それら各々の母液に戻した。
【0373】
サンプルのHPLC-UV解析を、Lunaのフェニル-ヘキシルカラム(粒子径4.
6mm×150mm×3μm)を使用して実行した。カラム温度は40°Cであり、サン
プル区画温度を周囲温度で維持した。サンプルを、サンプル緩衝液としてメタノール中の
0.2mg/mlのサンプルにおける固形物および濾液を溶解することにより調製した。
その後、サンプルをカラムへと20μlの注入容量で注入した。同様に、勾配溶離を伴う
移動相における軽度に酸性(pH4.3)のギ酸アンモニウム緩衝液/メタノールを使用
した。移動相系は以下から構成される:移動相A(MPA)緩衝液は水中の0.03%の
HCOOH緩衝液を有する10mMのHCOONH4であり、移動相B(MBP)緩衝液
は勾配プログラムが使用されるメタノール中の10mMのHCOONH4であった。
【0374】
【0375】
実行時間は30分であり、流量は1.0mL/mであり、遅延時間は5分であった。サ
ンプルをUV検出により243nmにて検出した。保持時間は典型的に、(E)-エンド
キシフェンでは12.95~13.20分、および(Z)-エンドキシフェンでは14.
0~14.33分であった。(E)-エンドキシフェンに対する相対保持時間(RRT)
は0.4~0.9であり、(Z)-エンドキシフェンでは1.0であった。
【0376】
【0377】
結果(表2)は、Z-エンドキシフェンが、IPAおよびEtOAcにより作成された
エンドキシフェン混合物の熱いスラリーからの市販の粗製E/Zエンドキシフェン出発物
質を使用して富化可能であることを示す。Z-エンドキシフェンは、1:1のE/Zを有
するE/Z-エンドキシフェン混合物から精製可能であり、混合物中ではZ-エンドキシ
フェンのレベルの方が高く、例えば1:8および1:5.8であった。実質的なZ-エン
ドキシフェン富化を、単一工程において分別結晶方法を使用して達成し、例えば、E/Z
比率は、本明細書に記載される実施例1Aでは1:90であった。(Z)-エンドキシフ
ェンは、EtOAc中の(E)-エンドキシフェンよりも可溶性であることが分かった。
(Z)-エンドキシフェンはまた、IPAと比較して多くの量でEtOAcの濾液の中に
残る傾向があった。固形物および濾液の両方は、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基の調
製に有用である。濾液を第1の濾液(第1の母液)に戻すことによるZ-エンドキシフェ
ンの連続富化も、実行可能である。
【0378】
同様に、E-エンドキシフェンは、E/Z混合物中に高いE-エンドキシフェンレベル
を有するE/Z-エンドキシフェン混合物から精製可能である。
【0379】
ii.E/Zエンドキシフェン混合物を、IPA/PPW(1:1 v/v)の混合物
により調製した熱いスラリー中に懸濁させ、抽出し、事前冷却したIPA/PPW(1:
1)により洗浄して、富化された(Z)-エンドキシフェンを含む結晶固形物および濾液
を形成する実験において、同様の結果を得た。
【0380】
B.固形物画分からの再結晶
(Z)-エンドキシフェンの連続富化は、51:1、1:1.8、および1:5.6の
E/Z-エンドキシフェン比率を伴うエンドキシフェン混合物、および、分別結晶から得
た固形物および母液を、1回以上の再結晶にさらすことにより実行可能である。
【0381】
(Z)-エンドキシフェンは、本明細書に記載されるような条件下で、溶媒、例えばエ
タノール、酢酸エチル/n-ヘプタン、アセトン/MTBE、IPA、IPA/PPWな
どによる再結晶により、粗製E/Z-エンドキシフェン混合物、(Z)が豊富な結晶固形
物、および(Z)が豊富な母液から実質的に精製された形態において富化可能である。
【0382】
エタノール。上記のE/Z-エンドキシフェンの熱いIPAスラリー混合物から得た結
晶固形物を使用し、更に精製されたZ-エンドキシフェンを得た。23°Cに冷却後、上
記表2におけるサンプル2の固形物画分(80g)およびサンプル3の固形物画分(79
g)を組み合わせ、1000mL(1L)のEtOHを使用して再結晶化した。エタノー
ル混合物を加熱還流した。溶解点は75°Cであった。加熱した溶液を、セルロースフィ
ルター(孔径0.5μm)を使用して濾過し、研磨濾過(polish filtrat
ion)により綿繊維などの外部不純物を取り除いた。濾液溶液をその後、最初に70°
Cで30分間撹拌した。その後、溶液を0°C~5°Cに冷却し、断続的に0°C~5°
Cで5時間撹拌した。溶液を再び濾過した。フィルター上の結晶を200mLのEtOH
により洗浄した。
【0383】
結果は、エンドキシフェンの固形物結晶には≧1/100(0.22%/99.48%
)のE/Z比率があり、濾液中のエンドキシフェンにはEtOHによる再結晶ときに1/
5.9(13.93%/82.48%)のE/Z比率があったことを示す。この方法によ
り実行された少なくとも3つの異なる実験のHPLC分析は、(Z)エンドキシフェンの
保持時間が14.00分であり、(E)-エンドキシフェンの保持時間が13.14mで
あったことを示した。(Z)-エンドキシフェンのレベルは97%~99.48%におよ
び、一方で(E)-エンドキシフェンのレベルは0.22%~2.14%に及んだ。他の
不純物は<1%であった。
【0384】
酢酸エチル/n-ヘプタン。EtOAc/n-ヘプタンによる再結晶の実現可能性を後
述のように研究した。
【0385】
5gのエンドキシフェン(E/Z比率 1/5.8)を、EtOAc/n-ヘプタン(
140mL、1/1 v/v)に加え、加熱還流(~82°C)しつつ、一晩撹拌するこ
とで透明な溶液を得た。混合物の曇点は30°Cであった。その後、混合物を室温に冷却
して生成物を沈殿させ、濾過した。上述のような単離後、固形生成物のエンドキシフェン
は、HPLCによって、66%(3.3g)の製品収率を持つ1/8.1(10.9%:
88.60%)のE/Z比率を有すると判定された。濾液中の(Z)-エンドキシフェン
を、1:3(23.94%:74.47%)のE/Z比率により富化した。EtOAc/
n-ヘプタンを使用する再結晶はまた、表3に示されるような熱いIPAスラリーと同様
の比率において精製されたZ-エンドキシフェンを提供することができる。
【0386】
【0387】
アセトン/MTBE。0.5gのエンドキシフェン(E/Z比率 1/1.8)をアセ
トン(10v;5mL)溶媒に加え、逆溶媒MTBE(9mL)を溶液に加えて、加熱還
流(~82°C)しつつ一晩撹拌して、透明な溶液を得た。混合物の曇点は~22°Cで
あった。その後、混合物を室温に冷却して生成物を沈殿させ、濾過した。固形生成物中の
エンドキシフェンはHPLCにより39/1のE/Z比率を有すると判定され、一方で濾
液は1:2.6のE/Z比率を有する(Z)-エンドキシフェンにより富化された。アセ
トン/MTBE溶媒系は濾液中の(Z)-エンドキシフェンからE-エンドキシフェンを
固形物へと分離するのに有用である。
【0388】
C.母液からの再結晶
精製された(Z)-エンドキシフェンは、以下の表4および5に示されるように(Z)
-エンドキシフェンにより富化された母液から回収可能である。
【0389】
i.粗製E/Z-エンドキシフェン混合物の出発物質を、第1の溶媒、酢酸エチル中で
溶解することで、第1の母液を形成することができ、そこから、(Z)-エンドキシフェ
ンを、表4に示されるようなn-ヘプタンまたはエタノールなどの第2の溶媒を追加する
第2の工程により回収することができる。
【0390】
【0391】
ii.(Z)-エンドキシフェンを、以下を含むプロセスにより調製した:E/Z-エ
ンドキシフェン混合物を第1の溶媒、酢酸エチル中で溶解し、(Z)-エンドキシフェン
を第1の母液へと富化する、第1の工程;第2の溶媒、IPAを加えて、結晶性(Z)-
エンドキシフェンおよび第2の母液を形成する、第2の工程;および第3の溶媒であるエ
タノールを加えて、第2の母液から(Z)-エンドキシフェンを再結晶化し且つ回収する
、工程。
【0392】
簡単に、エンドキシフェン(E/Z=1/1.8、30g)および(E/Z=1.2/
1、50gの非GMP)をそれぞれ300mLおよび500mLのEtOAc中で溶解し
、溶解するまで加熱した(~70°C)。その後、混合物を25°Cに冷却しつつ、沈降
反応のために一晩撹拌した。懸濁液を濾過し、固形物および濾液のE/Z比率をHPLC
により判定した。
【0393】
次に、濾液を濃縮乾固し、IPA230mLおよび900mLをそれぞれ加えて、熱い
スラリー(50°C)を形成しつつ撹拌した。熱いスラリーを継続的に、50°Cで一晩
撹拌した。その後、スラリーをそれぞれ0.5時間および1時間かけて25°Cに冷却し
、濾過した。固形物および濾液中のZ-エンドキシフェンを再び判定した。
【0394】
各サンプル(14.8gおよび21.6g)の固形物は148mLおよび220mLの
EtOHから、70°C以下で加熱溶解し、且つそれぞれ0.5時間および1時間かけて
25°Cに冷却することによって更に再結晶化された。サンプルを更に1時間かけて0°
C~5°Cに冷却し、濾過した。固形物および濾液のE/Z比率をHPLCにより再び判
定した。各サンプルのE/Z比率および純度を下記表5に提供する。
【0395】
【0396】
結果は、90%を超える精製された結晶性(Z)-エンドキシフェンが、E/Z-エン
ドキシフェン混合物を第1の溶媒、酢酸エチルによる分別結晶にさらすことで結晶固形物
および第1の母液を形成すること、第1の母液を第2の溶媒、例えば熱いIPAなどによ
る結晶化にさらすことで第2の結晶固形物および第2の母液を形成すること、およびその
後、固形物をエタノールなどの第3の溶媒から再結晶化することにより、取得可能である
ことを示している。95%を超える(Z)-エンドキシフェンの収率も実現可能である。
(E)/(Z)-エンドキシフェンの比率は、~1.2:1および1:1.8から、1:
51~1:118超まで改善され得る。(Z)-エンドキシフェンの不純物プロファイル
を、上述のようなHPLC方法により分析して、<2%未満であることが分かった。(Z
)-エンドキシフェンおよび(E)-エンドキシフェンの保持時間はそれぞれ14.19
分および13.2分であった。
【0397】
実施例2:(E)-エンドキシフェンが豊富なE/Z混合物の再平衡化(Reequil
ibriation)
(E)-エンドキシフェンが豊富なE/Zエンドキシフェン混合物も、Z-エンドキシ
フェン遊離塩基の調製に有用である(加えて、精製された(E)-エンドキシフェンの調
製にも有用である)。(E)-エンドキシフェンが豊富なE/Z-エンドキシフェン混合
物を、≧1.5:1のE/Z比率(例えば51:1のE/Z比率)から約~1:1の混合
物へと再平衡化する。本開示は、再平衡化が、あらゆるE/Z比率、例えば99:1~1
:99を有する出発E/Z-エンドキシフェン混合物により実行され得るという観念を包
含する。このような再平衡化は、安定した(E)/(Z)-エンドキシフェンの~1:1
混合物の調製の他、上記実施例1に記載されるようなZ-エンドキシフェン遊離塩基の更
なる富化および精製にも有用である。
【0398】
簡単に、(E)-エンドキシフェンは、酸、例えば塩酸、トリクロロ酢酸、またはトリ
フルオロ酢酸などの存在下で、不活性溶媒、例えばアセトニトリル/水(8:1)または
ジクロロメタンなどにおいて粗製E/Z-エンドキシフェンを溶解することにより、(Z
)-エンドキシフェンへと変換される。ACN/PPWを有する反応混合物を60°Cで
1時間撹拌し、一方でジクロロメタンおよびTFAを有する反応混合物を室温で1時間撹
拌した。ワークアップを表6に記載されるように行った後、生成物のE/Z比率は、90
%を超える純度を有するE/Z-エンドキシフェン(約1:1の比率)であると判定され
た。
【0399】
【0400】
実施例3:(E)-エンドキシフェンの精製
(E)-エンドキシフェンを同様に、反応混合物を70°C以下に加熱することで透明
な溶液を得ることによるEtOH(500mL)中の再結晶によって精製し、0°C~5
°Cに冷却し、生成物を沈殿させた。本明細書に記載される方法による精製後、38.1
gの(E)-エンドキシフェンを、76%の収率、97.6%の純度と共に得た。
【0401】
実施例4:スケールアップ
本明細書に開示される合成および精製の方法も、工業用の薬物製品の剤形、例えば、経
口、経皮/局所、経鼻、管内非経口の剤形を被験体における臨床的使用のために製造する
ための(Z)-エンドキシフェンの調製物をスケールアップするのに有用である。5g、
100g、および110gのE/Zエンドキシフェン混合物、式(III)の化合物を1
/5.8のE/Z比率において使用した結晶化の実行可能性調査を、E/Zエンドキシフ
ェン混合物を10倍の容量のIPAにおいて懸濁させ、50°Cに加熱し、50°Cで4
時間撹拌することにより実行した。サンプルを、孔径0.5μmのセルロースフィルター
を使用して濾過し、E/Z比率を固形物において判定した。濾過後、サンプルを23°C
に冷却し、継続的に23°Cで4時間撹拌した。サンプルを再び濾過した。固形物および
濾液を、上述のようなHPLCにより(E)-エンドキシフェンおよび(Z)-エンドキ
シフェンのレベルについてモニタリングし、結果を以下表7に提供する。
【0402】
【0403】
結果は、Z-エンドキシフェンを、結晶固形物として≧90%を超える濃度にてIPA
溶媒からのE/Z-エンドキシフェンの他、濾液中の≧65%の(Z)-エンドキシフェ
ンから得ることができることを示す。IPAは故に、第1の溶媒、第2の溶媒、またはそ
の両方として有用である。
【0404】
実施例5:[4-[2-(メチルアミノ)エトキシ]フェニル](4-ヒドロキシフェニ
ル)メタノンの産業上スケーラブルな(Industrially Scalable)
調製
【0405】
【0406】
適切な10Lの反応装置に出発物質[4-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニ
ル](4-ヒドロキシフェニル)メタノン、式(I)の化合物(0.5kg、1.0当量
)、DIPEA(1.5kg、6.65当量、3.0wt./wt.)、およびテトラヒ
ドロフラン(5L、10vol./wt.、8.9wt./wt.)をN2雰囲気下で充
填した。クロロぎ酸1-クロロエチル(1.7kg、6.65当量、3.3wt./wt
.)をゆっくり加え、一方で内部温度を20°C以下に維持する。混合物を加熱還流し、
還流において12時間以上かけて撹拌した。容量が最低の撹拌可能な容量に達するまで、
混合物を75°C以上にて減圧下で蒸発させた。メタノール(2.5L、5vol./w
t、4.0wt./wt.)をゆっくり加え、容量が最低の撹拌可能な容量に達するまで
、混合物を75°C以上にて減圧下で蒸留させた。メタノール(2.5L、5vol./
wt、4.0wt./wt.)を加え、容量が最低の撹拌可能な容量に達するまで、混合
物を75°C以上にて減圧下で蒸留させた。メタノール(2.5L、5vol./wt、
4.0wt./wt.)を再び1回加え、容量が再び最低の撹拌可能な容量に達するまで
、混合物を75°C以上にて減圧下で更に蒸留させた。メタノール(2L、4vol./
wt.、3.2wt./wt.)および6N HCl(2L、4vol./wt.、4.
0wt./wt.)を混合物に加えて、混合物を加熱還流した。混合物を還流において1
2時間以上かけて撹拌した。反応の完了後、MeOHの大半が取り除かれるまで、混合物
を75°C以上にて減圧下で蒸発させた。混合物を25±5°Cに冷却し、混合物のpH
が11-12になるまで、8N NaOH(2.5L、5vol./wt.、5.0wt
./wt.)をゆっくり加えた。混合物を0~5°Cで2時間以上かけて撹拌した。混合
物を濾過し、H2O(1L、2vol./wt.)および酢酸エチル(1L、2vol.
/wt.、1.8wt./wt.)により洗浄した。湿潤ケークを減圧下で50°C以下
にて乾燥させ、(4-ヒドロキシフェニル)(4-(2-(メチルアミノ)エトキシ)フ
ェニル)メタノンである式(II)の化合物を得た。収率:297gm、63%;純度:
100%(予想収率-60-90%)
【0407】
実施例6:[4-[2-(メチルアミノ)エトキシ]フェニル](4-ヒドロキシフェニ
ル)メタノンの産業上スケーラブルな調製
【0408】
【0409】
適切な2Lの反応装置に出発物質[4-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル
](4-ヒドロキシフェニル)メタノンである式(I)の化合物(70gm、1.0当量
)、N-エチルジイソプロピルアミン(126gm、4.0当量、1.8wt.)および
テトラヒドロフラン(700mL、10.0vol.、8.9wt.)をN2雰囲気下で
充填した。混合物を60°C以上に加熱し、クロロぎ酸1-クロロエチル(140gm、
4.0当量、2.0wt.)に加熱した。混合物を加熱還流し、12時間以上かけて撹拌
した。容量が3vol.に到達するまで混合物を濃縮した。メタノール(350mL、5
.0vol.、4.0wt.)をゆっくり加え、容量が3vol.(210mL)に到達
するまで混合物を濃縮した。次に、メタノール(350mL、5.0vol.、4.0w
t.)を加え、容量が4vol.(280mL)に到達するまで混合物を濃縮した。6N
HCl(280mL、4.0vol.、4.0wt.)を加え、混合物を加熱還流した
。混合物を還流において12時間以上かけて撹拌した。反応の完了後、容量が~4vol
.(280mL)に到達するまで混合物を濃縮した。混合物を周囲温度に冷却し、混合物
のpHが13以上になるまで8N NaOH(350mL以上、5.0vol.、5.0
wt.)をゆっくり加えた。酢酸エチル(280mL、4.0vol.、3.6の重量)
を、抽出のために混合物に加えた。相分離の後、pHが8-10になるまで、水層に6N
HCl(42mL以上、0.6vol.、0.6wt.)を加えた。混合物を0±5°
Cに冷却し、2時間以上かけて撹拌した。混合物を濾過し、精製水(140mL以上、2
.0vol.、2.0wt.)および酢酸エチル(140mL以上、2、vol.、1.
8wt.)により洗浄した。湿潤ケークを減圧下で60°C以上にて乾燥させ、(4-ヒ
ドロキシフェニル)(4-(2-(メチルアミノ)エトキシ)フェニル)メタノンである
式(II)の化合物を得た。収率:55.2gm、83%;純度:100%(予想収率-
70%以上)
【0410】
実施例7:マクマリー反応におけるE/Z-エンドキシフェン混合物の産業上スケーラブ
ルな調製
【0411】
【0412】
適切な10Lの反応装置に、Zn粉末(0.27kg、4.0当量、0.9wt./w
t.)およびテトラヒドロフラン(1.5L、5vol./wt.、4.4wt./wt
.)をN2雰囲気下で充填した。TiCl4(0.42kg、2.0当量、1.4wt.
/wt.)をゆっくり加え、一方で内部温度を15°C以下に維持する。反応物を加熱還
流し、還流において2時間以上かけて撹拌した。テトラヒドロフラン(3.0L、10v
ol./wt.、8.9wt./wt.)における(4-ヒドロキシフェニル)(4-(
2-(メチルアミノ)エトキシ)フェニル)メタノン、工程1から得た式(II)の化合
物(0.297kg、1.0当量)、およびプロピオフェノン(0.21kg、1.5当
量、0.7wt./wt.)の懸濁液を加え、還流を8時間以上にわたり継続させた。混
合物を20-30°Cに冷却し、Sigma Aldrichの混合物(0.3kg、1
.0wt./wt.)から入手可能な25%の塩化アンモニウム(5.9L、20vol
./wt.、20wt./wt.)/シリカ(珪藻土/二酸化ケイ素;商標名Celit
e(登録商標)S)へと加えた。混合物を濾過し、テトラヒドロフラン(0.9L、3v
ol./wt.、2.7wt./wt.)により洗浄した。
【0413】
混合物を相分離のために固定した。有機質層を集め、水層をテトラヒドロフラン(0.
9L、3vol./wt.、2.7wt./wt.)により洗浄した。有機質層を再び集
め、第1の有機質層と組み合わせた。組み合わせた有機質層を、40%のK2CO3(1
.2L、4vol./wt.、5.6wt./wt.)により洗浄した。容量が最低の撹
拌可能な容量に達するまで、有機質層を減圧下で75°C以上にて濃縮した。酢酸エチル
(1.5L、5vol./wt、4.5wt./wt.)を加え、容量が最低の撹拌可能
な容量に達するまで、混合物を75°C以上にて減圧下で蒸留させた。酢酸エチル(1.
5L、5vol./wt、4.5wt./wt.)を加え、容量が5vol.(1.5L
)に達するまで、混合物を75°C以上にて減圧下で蒸留させた。混合物を加熱溶解し、
n-ヘプタン(3.0L、10vol./wt、6.8wt./wt.)を加えた。混合
物を0±5°Cに冷却し、0±5°Cで2時間以上かけて撹拌した。混合物を濾過し、残
留物を酢酸エチル/n-ヘプタン=1/2(v/v、1.5L、5vol./wt.、3
.7wt./wt.)により洗浄した。残留物である湿潤ケークを減圧下で60°C以下
にて乾燥させ、(Z)-エンドキシフェンおよび(E)-エンドキシフェンの混合物、(
E/Z)-4-[1-[4-[2-(メチルアミノ)エトキシ]フェニル]-2-フェニ
ル-1-ブテン-1-イル]-フェノール、式(III)の化合物を得た。収率:176
g、42%;純度:81.96%。E/Z比率:3.1:1(予想収率-40-60%)
【0414】
適切な10Lの反応装置に、上記の(E/Z)-エンドキシフェン(0.250kg、
1.0wt.)、イソプロパノール(1.25L、5vol./wt.、3.9wt./
wt.)、および精製水(1.25L、5vol./wt.、5.0wt./wt.)を
充填した。混合物を70±5°Cに加熱し、70±5°Cで2時間以上かけて撹拌した。
混合物を0±5°Cに冷却し、0-5°Cで2時間以上かけて撹拌した。混合物を濾過し
、事前冷却したイソプロパノール/精製水=1/1(0.5L、2vol./wt.、3
.6wt./wt.)により洗浄した。残留物である湿潤ケークを60°C以下にて乾燥
させ、(Z)-エンドキシフェンおよび(E)-エンドキシフェンの混合物、(E/Z)
-4-[1-[4-[2-(メチルアミノ)エトキシ]フェニル]-2-フェニル-1-
ブテン-1-イル]-フェノール、式(III)の化合物を得た。収率:105g、41
%;純度:96.79%。E/Z比率:48.61(予想収率-40-60%)
【0415】
実施例8:マクマリー反応におけるE/Z-エンドキシフェン混合物の産業上スケーラブ
ルな調製
【0416】
【0417】
適切な反応装置に、亜鉛粉末(10gm、4.0当量、1.0wt.)およびテトラヒ
ドロフラン(50mL、5.0vol.、4.3wt.)を充填した。塩化チタン(IV
)(14gm、2.0当量、1.4wt.)をゆっくり加え、一方で内部温度を45°C
以下に維持した。反応物を65±5°Cに加熱し、2時間以上かけて撹拌した。テトラヒ
ドロフラン(100mL、10.0vol.、8.5wt.)における(4-ヒドロキシ
フェニル)(4-(2-(メチルアミノ)エトキシ)フェニル)メタノン、実施例5から
得た式(II)の化合物(10gm、1.0当量)、およびプロピオフェノン(5gm、
1.0当量、0.5wt.)の懸濁液を上記混合物に加えて、65±5°Cで8時間以上
かけて撹拌した。混合物を30°C以下に冷まし、40%のK2CO3(20mL、2.
0vol.、2.0wt.)を加える。混合物を1時間以上かけて撹拌した。混合物を濾
過し、Me-THF(40mL、4.0vol.、3.5wt.)により洗浄した。濾液
を40%のK2CO3(30mL、3.0vol.、3.0wt.)に加え、30分以上
かけて撹拌した。混合物を濾過し、Me-THF(20mL、2.0vol.、1.7w
t.)により洗浄した。濾液を相分離のために固定し、容量が3vol.(30mL)に
達するまで有機質層を濃縮する。混合物を1N NaOH(100mL、10.0vol
.、10.0wt.)により抽出し、有機質層を捨てた。水層に塩化ナトリウム(1gm
、0.10wt.)を加え、その後、Me-THF(50mL、5.0vol.、4.3
wt.)により4回抽出した。4つの有機質層を組み合わせ、容量が5vol.に達する
まで濃縮した。混合物を20%のNaCl(50mL、5.0vol.、5.0wt.)
により抽出する。有機質層にイソプロパノール(50mL、5.0vol.、3.9wt
.)を加え、容量が3vol.に達するまで混合物を濃縮した。イソプロパノール(50
mL、5.0vol.、4.5wt.)を加え、容量が3vol.(30mL)に達する
まで混合物を濃縮した。混合物を65±5°Cに加熱し、n-ヘプタン(120mL、1
2.0vol.、8.2wt.)を加えた。混合物を5°C以下に冷却し、5°C以下で
2時間以上かけて撹拌した。混合物を濾過し、n-ヘプタン(50mL、5vol.、3
.4wt.)により洗浄した。湿潤ケークを70°C以下にて減圧下で乾燥させ、(Z)
-エンドキシフェンおよび(E)-エンドキシフェンの混合物、(E/Z)-4-[1-
[4-[2-(メチルアミノ)エトキシ]フェニル]-2-フェニル-1-ブテン-1-
イル]-フェノール、式(III)の化合物を得た。収率:6.7g、45%;純度:9
6.79%。E/Z比率:48.6:1(予想収率-30%以上)。
【0418】
実施例9:Z-エンドキシフェンの産業上スケーラブルな富化
【0419】
【0420】
適切な反応装置に、(Z)-エンドキシフェンおよび(E)-エンドキシフェンの混合
物、式(III)の化合物(0.105kg、1.0wt.)、および第1の溶媒である
酢酸エチル(1.1L、10vol./wt.、9.0wt./wt.)を充填した.混
合物を0-5°Cに冷却し、6N HCl(0.3L、3vol./wt.、3.0wt
./wt.)を混合物にゆっくり加えた。混合物を60±5°Cに加熱し、60±5°C
で6時間以上かけて撹拌した。混合物を0±5°Cに冷却し、混合物のpHが≧12にな
るまで、8N NaOH(0.3L、3.0vol./wt.、3.0wt./wt.)
をゆっくり加えた。
【0421】
混合物を相分離のために固定し、有機質層を集め、水層を第1の溶媒である酢酸エチル
(0.5L、5vol./wt.、4.5wt./wt.)により洗浄した。有機質層を
集めた。組み合わせた有機質層を、20%のNaCl(0.3L、3vol./wt.、
3.0wt./wt.)により洗浄した。有機質層を活性炭(チャコール)(0.005
kg、0.05wt.)により処理し、50±5°Cで1時間以上かけて撹拌した。混合
物を珪藻土/シリカのベッド(Celite(登録商標)S)に通して濾過し、酢酸エチ
ル(0.5L、5vol./wt.、4.5wt./wt.)により洗浄した。容量が1
0vol.(1.1L)に達するまで、濾液を75°C以上で濃縮した。混合物を0-5
°Cに冷却し、0-5°Cで2時間以上かけて撹拌した。混合物を濾過し、濾液を集めた
。容量が最低の撹拌可能な容量に達するまで、濾液を75°C以上で濃縮した。
【0422】
第2の溶媒であるイソプロパノール(1.1L、10vol./wt、7.9wt./
wt.)を加え、容量が最低の撹拌可能な容量に達するまで、混合物を75°C以上で濃
縮した。イソプロパノール(1.1L、10vol./wt、7.9wt./wt.)を
再び加え、容量が最低の撹拌可能な容量に達するまで、混合物を75°C以上で濃縮した
。イソプロパノール(1.1L、10vol./wt、7.9wt./wt.)を加え、
容量が5vol.(0.5L)に達するまで、混合物を75°C以上で濃縮した。懸濁液
を50±5°Cで6時間以上かけて撹拌した。混合物を20±5°Cに冷まし、20±5
°Cで4時間以上かけて撹拌した。混合物を濾過し、イソプロパノール(0.2L、2v
ol./wt.、1.6wt./wt.)により洗浄した。湿潤ケークを60°C以下で
乾燥させて、式(IV)の精製された(Z-エンドキシフェン)固形化合物をオフホワイ
ト固形物として得た。収率:39.5g、36%、(E)/(Z)比率:1/12.2;
純度(Z):HPLCにより89.59%、予想収率(20-40%)。
【0423】
適切な1Lの反応装置に、上記式(IV)のZ-エンドキシフェン(39g)固形化合
物および第3の溶媒であるイソプロパノール(390mL、10vol./wt.)を充
填した。懸濁液を50±5°Cで6時間以上かけて撹拌した。混合物を20±5°Cに冷
まし、20±5°Cで4時間以上かけて撹拌した。混合物を濾過し、イソプロパノール(
78mL、2vol/wt.)により洗浄した。湿潤ケークを60°C以下で乾燥させて
、式(IV)の精製された(Z-エンドキシフェン)固形化合物をオフホワイト固形物と
して得た。収率:25g、61%、(E)/(Z)比率:1/55.1;純度(Z):9
5.81%、予想収率(50-70%)。
【0424】
このように、エンドキシフェンの多形形態Iを調製した。結果として生じた多形体の2
つのバッチに対するXRPDパターンを
図9および10に提供する。
図9および10のX
RPDピークを表8に提供する。
【0425】
【0426】
実施例10:~1:1のE-エンドキシフェン/Z-エンドキシフェン混合物の産業上ス
ケーラブルな富化
適切な反応装置に、(Z)-エンドキシフェンおよび(E)-エンドキシフェンの混合
物、式(III)の化合物(0.420kg、1.0wt.)、および酢酸エチル(4.
2L、10vol./wt.、9.0wt./wt.)を充填した。混合物を0-5°C
に冷却し、6N HCl(1.3L、3vol./wt.、3.0wt.wt.)をゆっ
くり加えた。混合物を60±5°Cに加熱し、60±5°Cで6時間以上かけて撹拌した
。混合物を0±5°Cに冷却し、混合物のpHが≧12になるまで、8N NaOH(1
.3L、3.0vol./wt.、3.0wt./wt.)をゆっくり加えた。
【0427】
混合物を相分離のために固定し、有機質層を集め、水層を酢酸エチル(2.0L、5v
ol./wt.、4.5wt./wt.)により洗浄した。有機質層を集めた。組み合わ
せた有機質層を、20%のNaCl(1.3L、3vol./wt.、3.0wt./w
t.)により洗浄した。有機質層を活性炭(チャコール)(0.02kg、0.05wt
.)により処理し、50±5°Cで1時間以上かけて撹拌した。混合物を珪藻土/シリカ
のベッド(Celite(登録商標)S)に通して濾過し、酢酸エチル(2.0L、5v
ol./wt.、4.5wt./wt.)により洗浄した。容量が5vol.(2.0L
)に達するまで、濾液を75°C以上で濃縮した。混合物を加熱還流し、その後、50±
5°Cに冷ました。n-ヘプタンを50±5°Cでゆっくり加えた。混合物を0±5°C
に冷却し、0±5°Cで2時間以上かけて撹拌した。混合物を濾過し、EtOAc/n-
ヘプタン=1/2(v/v)により洗浄した。湿潤ケークを60°C以下にて減圧下で乾
燥させて、実質的に純粋な~1:1のE/Z-エンドキシフェンを得た。[収率:106
g、25%;(E)/(Z)比率:1.1/1;純度(E/Z):97.94%、予想収
率(20-40%)]。
【0428】
このように、エンドキシフェンの多形形態IIとIIIを調製した。多形形態IIおよ
びIIIの調製に対する詳細なパラメータを表9に提供し、XRPDパターンを
図11-
13に提供する。
図11-13のXRPDピークを表10に提供する。
【0429】
【0430】
【0431】
実施例11:Z-エンドキシフェン遊離塩基の安定性
営利上、エンドキシフェンは、E/Z異性体遊離塩基混合物の他、≧98%の(Z)-
エンドキシフェンHClおよび(Z)-エンドキシフェンクエン酸塩として利用可能であ
る。水性形態および固体形態のZ-エンドキシフェンHCl塩の安定性は、以前に公開さ
れている(Elkins et al. J Pharm Biomed Anal.
2014 January; 88: 174-179)。Elkinsらは、25°C
/60%RHでは53ヶ月、および40°C/75%RHでは4.3ヶ月の固形状態にお
ける(Z)-エンドキシフェンHClの(E)-エンドキシフェンへの10%変換に関す
る予測されたt90値を提供している。変換は、溶液環境中でより迅速であると推測され
る。水性培地において、Elkinsらは、室温で149日、および45°Cで9日の(
Z)-エンドキシフェンHClのt90値を提供している。例えば周囲温度の他、より高
い温度および湿度にて、被験体への投与に適切な医薬組成物の調製に十分に適している(
Z)-エンドキシフェン遊離塩基調製物の必要性が依然として存在している。
【0432】
本開示に提供されものは、実質的に純粋、即ち少なくとも90%の(Z)-エンドキシ
フェン遊離塩基であり、且つ、周囲および高い温度と湿度の条件下で少なくとも9ヶ月間
適切である、エンドキシフェン遊離塩基の調製物である。安定性は、本開示の目的のため
に、少なくとも6ヶ月間にわたり組成物中に少なくとも90%の(Z)-エンドキシフェ
ンの連続的な存在として定義され、および、合成の日から始めて(E)-エンドキシフェ
ンへの(Z)-エンドキシフェンの変換により測定可能である。
【0433】
A.(Z)-エンドキシフェン遊離塩基に関する加速的な10日間の安定性研究
表11のサンプル1である(Z)-エンドキシフェン遊離塩基の安定性を、様々な温度
での個体形態およびエタノール(EtOH)溶液における保管時に調べた。(E)-エン
ドキシフェンおよび(Z)-エンドキシフェンのレベルを、乾燥N2の下で180mLの
HDPEボトル中の精製された(Z)-エンドキシフェン遊離塩基の1gアリコートの配
置後2日目、7日目、および10日目に測定し、その後、前記アリコートを二重LDPE
バッグに入れた。各サンプルを包含している二重バッグのHDPEボトルをアルミニウム
箔バッグに個々に包装して、サンプルの安定性の試験のために開かれるまで熱密封した。
エンドキシフェンの(E)-異性体および(Z)-異性体を、上記に開示されるようなH
PLCによりモニタリングした。固体形態での(Z)-エンドキシフェンの純度は、40
°C、60°C、および80°Cで、最大10日間、約97%にとどまった。加速的な1
0日間の研究の結果は、固体形態での(Z)-エンドキシフェンが試験温度にて最大10
日間、(E)-エンドキシフェンへと相互変換しないことを示す。
【0434】
【0435】
【0436】
結果は、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基が、10日にわたって高温(40°C)お
よびより高い濃度でも、アルコール性(例えばエタノールおよびイソプロパノール(図示
せず))溶液において驚くほど安定していることを示す。より高い温度での加速的な安定
性は一般的に、周囲温度での長期(少なくとも18m)の安定性の予測と考慮される。
【0437】
B.バルク原薬安定性試験
本明細書に開示される方法により調製された本開示の(Z)-エンドキシフェン遊離塩
基は、バルク形態において驚くほど安定している。バルク安定性試験に関して、(Z)-
エンドキシフェン遊離塩基の~1gのアリコートが、ナイロン・ケーブル・タイにより結
ばれた二重LDPEバッグの内部に個々に入れられた。その後、LDPEバッグをアルミ
ニウム箔バッグに入れ、熱密封した。安定性に関するサンプルを、きつくキャップをした
180mLのHDPEボトルの中に、不活性条件(乾燥窒素)下で、5°Cおよび25°
C/60%RHにて12ヶ月間、および40°C/75%RHにて3ヶ月間入れた。サン
プルを、0日目、10日、1m、および3mの時点での、(E)-エンドキシフェンおよ
び(Z)-エンドキシフェンの濃度と不純物、カール・フィッシャー滴定による湿気また
は含水量、好気性細菌コロニー形成単位、および外観について試験した。下記の表13は
、様々な保存条件でのエンドキシフェン遊離塩基の9mでのバルク原薬安定性データを提
供する。
【0438】
【0439】
結果は、固形Z-エンドキシフェン遊離塩基が少なくとも9ヶ月間、5°Cおよび25
°C/60%RHにて安定していることを示す。高温での加速的な安定性は、周囲温度で
の長期(少なくとも18m)の安定性を予測すると考慮される。(Z)から(E)へのエ
ンドキシフェン相互変換は、研究された保存条件では最小限であり、含水量は1%以下で
あり、好気性細菌プレートカウントTAC(cfu)は20,000cfu g/mL未
満であった。最大の個々の不純物を各時点にて判定し、0.10%~0.11%に及んで
いた。
【0440】
実施例12:精製された固形Z-エンドキシフェン遊離塩基の特徴
本明細書に開示される方法により生成した(Z)-エンドキシフェン遊離塩基は白色~
オフホワイト粉末であった。そのような粉末の含水量は、USP921の方法1c(カー
ル・フィッシャー滴定)を使用して判定されるように1%以下であった。残留溶媒を測定
した。メタノールは3000ppm以下(NMT)であり、テトラヒドロフランは720
ppm以下であり、イソプロパノール、酢酸エチル、n-ヘプタン、およびエタノールは
各々5000ppmであった。
【0441】
(Z)-エンドキシフェンの強熱残分は、USP281の方法IIにより判定されるよ
うに0.1%以下であった。(Z)-エンドキシフェンの強熱残分は0.02%~0.0
99%に及んだ。いくつかの実施形態において、強熱残分は、0.02%、0.03%、
0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、および0
.1%以下である。別の態様において、重金属は、USP231の方法IIにより試験さ
れるように20ppm以下であった。
【0442】
固形物(Z)-エンドキシフェン遊離塩基中の要素のレベルを、USP232およびU
SP40の試験方法を使用して試験する。
【0443】
故に、本明細書に記載されるプロセス、およびこれらプロセスを使用して調製されたエ
ンドキシフェンは、臨床的および商業上の等級の(Z)-エンドキシフェンの製造に適し
ている。
【0444】
Z-エンドキシフェンのFTIRスペクトル
【0445】
(Z)-エンドキシフェンを、標準光源およびTGS検出器を伴うフーリエ変換赤外分
光法(器機のタイプ:FT/IR4600Type A;Jasco:S/N比 25,
000:1、最大分解能0.7cm
-1)を使用して分析した。赤外線スペクトルを、A
gBr窓を使用して、硫酸トリグリシン(TGS)検出器およびKBrビームスプリッタ
ーを搭載したFTIR光度計(モデルFT/IR4600 Type A;製造者Jas
co)上に記録した。約10mgの(Z)-エンドキシフェン遊離塩基をATRクリスタ
ル上へと配して、圧力を先端に加えて、サンプルスペクトルを集めた。水和フィルムを使
用して、2mm/secまでの走査速度によりスペクトルを集めた。インターフェログラ
ムを、0.4cm
-1および32のスキャンの名目上の分解能を伴うスペクトル領域40
00-650cm
-1にわたって蓄積した。
図2は(Z)-エンドキシフェン遊離塩基の
代表的なIRスペクトルを示す。
【0446】
図2は、精製された(Z)-エンドキシフェンが702.0、730.9、794.5
、825.4、907.3、1027.9、1167.7、1238.1、1278.6
、1508.1、1575.6、1607.4、3310.2の波長cm
-1+/-0.
4cm
-1にてピークを有することを示す。遊離エンドキシフェンの以前に公開されたF
T/IRスペクトルは、ピークが706、831、1053、1171、1240、14
65、1507、および1604の波長cm
-1にあることを示した(Agudelo
et al. PLoS ONE 8(3): e60250. doi:10.137
1/journal.pone.0060250)。
【0447】
【0448】
実施例13:Z-エントリーの経口組成物
カプセル中のAPI(API-in-Capsule)。≧90%のZ-エンドキシフ
ェン遊離塩基を上記の開示のように調製した。乾燥した白色~オフホワイトの粉末を、安
定した流動性の良い粉末として製剤化し、カプセル中の薬物(DIC、カプセル中のAP
I、AICとも呼ばれる)の経口固形剤形としてカプセルへと適切に充填した。1mg、
2mg、および4mgのエンドキシフェンは少なくとも90%の(Z)-エンドキシフェ
ンであり、Xcellodose技術(Capsugel)を使用してVCaps(登録
商標)Plus腸溶カプセルに適切に充填された。AICはサイズ0であり、色はスウェ
ーデンオレンジ(Swedish orange)であった。
【0449】
VCaps(登録商標)Plus腸溶カプセル(Capsugel)を、(Z)-エン
ドキシフェンなどの湿気に敏感な成分に適した低含水量を伴うグルテンフリーの非動物性
の自己ゲル化生成物であるヒプロメロース(セルロースのメチルおよびヒドロキシプロピ
ル混合エーテル)により製造される。カプセルを、コールらの方法(Cole et a
l., Int. Journal of Pharmaceutics Vol. 2
31 83-95, 2002)によって、腸の標的化(上位GIおよび結腸)を達成す
るべく設計された腸溶コーティングで覆う。Eudragit FS D30を、結腸を
標的とした放出のための腸溶コーティングとして使用し、Eudragit L30 D
55を、上位胃腸管を標的とした放出のための腸溶コーティングとして使用する。
【0450】
AIC中の(Z)-エンドキシフェン遊離塩基は、腸(上位GIおよび結腸)において
顕著に放出され、少なくとも6時間にわたり胃の中の酸性環境から保護される。USP7
11の方法により試験されるように、カプセルの腸溶コーティングは、少なくとも6時間
にわたり胃の中の(Z)-エンドキシフェンの放出を防ぐ。
【0451】
本明細書に開示される腸溶性AICは少なくとも6ヶ月にわたり安定している。
【0452】
本開示の経口固形剤形の微生物汚染に対する標準および試験。本明細書に開示される固
形剤形組成物の製剤について、含水量が1%以下であり且つ水分活性(Aw)が0.75
未満であると、TACおよびUSPの指標生物の試験は必要ではない。Jose E.
Martinez, Pharmaceutical Technologyによる20
02年2月付の公報「Microbial Bioburden on Oral So
lid Dosage Form」の58~70ページが、その全体を引用することによ
り本明細書に組み込まれる。
【0453】
更に、明細書に開示される組成物の製剤には0.75未満の水分活性があるので、それ
に対する詳細な微生物試験を行う必要はない。総好気性プレートカウント(TAC)は、
原料、中間材料、または最終製品のサンプルに存在する全体的な生存可能な好気性菌の推
定値である。サンプルは、最新のUSP Guidelines Chapter 61
(Microbial Limits Tests)に従って分析される。
【0454】
経口固形剤形(OSDF)に対して許容可能なTACは、警戒レベルと作用レベルの観
点において本発明の組成物の製剤に対して確立され、それぞれ1000cfu g/ml
および10,000cfu g/mLであり得る。20,000cfu g/mLである
TACは、許容不能と考慮される。
【0455】
実施例14:(Z)-エンドキシフェン塩の調製
(Z)-エンドキシフェン・D-グルコン酸塩は、(Z)-エンドキシフェンのエタノ
ール性スラリーを遊離塩基としてD-グルコン酸の水溶液と混合し、その後、水中のD-
グルコノラクトンの20%w/v溶液を加水分解し且つ70°Cで15~30分間加熱す
ることにより、調製される。最少量のエタノールを使用し、5mlの水性D-グルコン酸
溶液を、エンドキシフェン遊離塩基1gごとに加える。その後、透明な溶液を得るまで撹
拌を継続させる。(Z)-エンドキシフェン・D-グルコネートを、上記実施例1乃至4
に開示される方法を用いて結晶化し、(Z)-エンドキシフェン・D-グルコン酸塩を得
る。
【0456】
1mg、2mg、5mg、10mg、20mg、および40mgのAIC腸溶カプセル
を上述のように調製する。同様に、1mg~50mgの錠剤を、腸溶コーティングである
EUDRAGIT(登録商標)FS D30およびEUDRAGIT(登録商標)L30
D 55と共に(Z)-エンドキシフェン・D-グルコン酸塩を使用して調製して、小腸
および結腸を標的とする。
【0457】
【0458】
実施例15:経口(Z)-エンドキシフェンのプラセボ制御した用量漸増安全性の薬物動
態研究
研究の目的は、健康な女性ボランティアへの乳房の局所適用として、または経口カプセ
ルとして投与した時の経口(Z)-エンドキシフェンの安全性および耐容性を評価するこ
とであった。2つ目の目的は、被験体における経口(Z)-エンドキシフェンの複数回投
与の薬物動態を評価することであった。
【0459】
一般的に、健康な女性で≧18歳~≦65歳のボランティアを登録した。24人の参加
者を3つのコホートに登録し、治験薬を経口投与する。経口投与した(Z)-エンドキシ
フェンの3つの投与量レベルを3つのコホートにおいて調べた。各コホートにおいて、参
加者を無作為化させて、経口(Z)-エンドキシフェンまたはプラセボを盲検様式で投与
した。研究に使用される腸溶耐性カプセルを遅延放出カプセルとして設計することで、少
なくとも30分間ではあるが典型的には約2時間にわたり胃の条件下で破裂に対する耐性
を持ち、その後、腸液中で完全に開く(DRCaps; Capsugel, a Lo
nza Company, USA)。GMP要件に遵守して適切な1、2、または4m
gの(Z)-エンドキシフェンを手動で充填された腸溶耐性(Swedish Oran
ge size Zero (0); Capsugel, USA)DRCapsカプ
セルを使用した。プラセボカプセルには微結晶性セルロース、不活性な一般的なカプセル
および錠剤賦形剤が含まれていた。
【0460】
各コホートに登録した8人の参加者のうち、6人の参加者は、1mg(コホート1)、
2mg(コホート2)、または4mg(コホート3)の投与量で(Z)-エンドキシフェ
ン1mgのカプセルの経口投与を受け、2人の参加者は対応するプラセボカプセルを受け
る。
コホート1(投与量レベル=1mg)において、2人の参加者(センチネル(senti
nels))には、残りの参加者の24時間前に投与を行った。一方のセンチネルには(
Z)-エンドキシフェンを、他方にはプラセボを投与した。安全性への懸念がセンチネル
参加者において確認されなくなると、コホート1における残り6人の参加者に投与を行っ
た。コホート1における非センチネル参加者は、センチネル患者よりも少なくとも1日遅
く臨床調査施設に受け入れられた。コホート2および3にはセンチネル参加者はなかった
。
【0461】
この研究における参加者の契約は56日間であった。この期間には、28日のスクリー
ニング期間、および薬物動態(PK)サンプリングのための7日の後処置期間が含まれて
いた。2つの制約期間が存在し、一方は投薬期間の始め、もう一方は投薬期間の終わりで
あった。参加者は、-1日目~2日目、21日目、および22日目に臨床施設に閉じ込め
られた。参加者は、研究中に何らかの臨床的に有意な有害事象を経験していた場合、主任
研究員(PI)の判断において更なる観察のために臨床施設にとどまることを要求される
。
【0462】
健康な女性ボランティアを、投薬開始前の28日以内にスクリーニングした。参加者は
、最大3日間、-1日目に臨床施設に受け入れられた。(Z)-エンドキシフェンまたは
プラセボカプセル第1の投与量を1日目に投与した。PK解析のために全ての安全性評価
およびサンプリングを完了した後、参加者は2日目に臨床施設から解放された。1日目の
第1の投与の後、6日の処置無し期間(2-7日目)を設けた。各参加者は臨床施設に戻
り、研究4日目と6日目に処置無し期間中にPK採血および安全性評価を受けた。8日目
に、参加者は、14日連続(8-21日目)にわたり(Z)-エンドキシフェンカプセル
またはプラセボカプセルの毎日の投与を始めた。参加者に治験薬カプセルを提供し、毎日
自身で投与することを求めた。参加者は、PK採血および安全性評価のために、投与前に
11日目、14日目、および17日目に臨床施設を訪れた。21日目の朝に、各参加者は
臨床施設に戻った後に投与を受け、22日目まで施設に閉じ込められて、PK採血および
安全性評価の収集が可能となった。21日目の投与量は治験薬の最後の投与であった。参
加者は22日目に臨床施設から解放され、研究24日目、26日目、および28日目にP
K採血および安全性評価のために施設に戻った。
【0463】
研究評価には被験体の病歴の取得が挙げられ、あらゆる研究時の有害事象および併用薬
使用;身長および体重;身体検査;周期的なバイタルサイン(体温、心拍数、呼吸数、血
圧);周期的な12誘導心電図の評価が含まれている。検体検査には、血液学、凝結、尿
検査、血清化学、およびバイオマーカー解析(例えばCYP2D6、BRCA1/2、K
i67、タモキシフェン代謝産物など)が含まれていた。処置の安全性を評価するための
特異的な評価には、以下が挙げられる:有害事象、臨床検査室試験、12誘導心電図、お
よびバイタルサインの頻度およびタイプ。修飾されたFACT-ESRスコアリングのア
ンケートを用いて総体症状を評価した。
【0464】
PK解析のための採血を1日目と21日目に、投与前(10分以内に)、および、治験
薬投与の0.5、1、2、3、4、6、8、10、12、および24時間後に集めた。他
の全ての研究日のPKサンプルを、投与前10分以内に集めた。PKサンプルを4日目と
6日目に、処置無し期間中に得た。追加のPKサンプルを、8、11、14、および17
日目に、(投与前10分以内に)毎日の投与期間中に集めた。処置の完了後のPKサンプ
ルを、24日目、26日目、および28日目に集める。AUC(inf)を1日目に採血
サンプルに対して測定した。定常状態血漿レベルの判定を、この判定のために8日目以降
(0日目として機能する)から始めた。
【0465】
安全性および耐容性
安全性エンドポイントを投与量コホートごとに要約し、プラセボをコホートにわたりプ
ールした。処置で発現したAEは、逐語的な用語から分類される、器官別大分類(SOC
)および優先語によるMedDRAの最新版を使用してコードされる。AEおよびSAE
の発生および頻度を、SOCおよび優先語に従いコホートごとに、および重症度および関
連性ごとに要約した。AEの持続期間を判定し、得られた作用と結果と共にリストに含め
た。バイタルサイン、ECG、および安全性検査のパラメータを、記述的統計を使用して
予定された時点それぞれにおいて要約した。投与後の評価をベースライン測定と比較した
。検査異常の発生を要約した。身体検査所見をリストに提示した。
【0466】
(おそらくまたは潜在的に)治験薬に関連すると認められる、処置で発現したAEが、
(Z)-エンドキシフェンを受けた18人の被験体のうち15人に(83%、41のAE
)、およびプラセボを受けた6人の被験体のうち4人に(67%、20のAE)報告され
た。最も処置に関連したAEは重症度において軽度であり、中程度の重症度である処置関
連のAEは、(Z)-エンドキシフェンを受けた18人の被験体のうち5人に(28%、
6のAE)、およびプラセボを受けた6人の被験体のうち2人に(33%、2のAE)報
告された。
【0467】
全てのAEを、重症度において軽度(84のAEのうち75)、または中程度(84の
AEのうち9)として分類し、重度のものとしては分類されなかった。緊張性頭痛、頭痛
、腹痛、吐き気、月経困難症、および疲労の一般的な有害事象は、経口(Z)-エンドキ
シフェンを受けた被験体、およびプラセボを受けた被験体の両方において報告された。上
気道感染、顔面潮紅、腹部膨満、口内乾燥症、および月経遅延は、(Z)-エンドキシフ
ェンを受けた被験体にのみ報告された。
【0468】
局所または経口で(Z)-エンドキシフェンを受けた被験体における、臨床検査により
評価されるような安全性、バイタルサイン、ECG評価、FACT-ES反応には、プラ
セボを受けた被験体と比べて明らかな差はなく、(Z)-エンドキシフェンを受けた被験
体におけるこれら安全性評価において用量相関性の傾向はなかった。
【0469】
薬物動態
平均および個々の(Z)-エンドキシフェン血清濃度-時間曲線を、各投与量コホート
に対して作表し、等分目盛および対数目盛上に表示された濃度と共にグラフ式に提示した
。薬物動態パラメータを各参加者に対して判定し、記述的統計(算術平均、標準偏差、変
動係数、サンプルサイズ、最小値、最大値、および中央値)を使用してコホートごとに要
約した。加えて、幾何平均をAUCおよびCmaxに対して算出した。線形モデルを使用
する解析を実行して、用量比例性(単回投与および複数回投与両方の後)、時間の依存お
よび蓄積(経口での複数回投与)、および定常状態の達成(複数回投与)を評価した。
【0470】
最初および最後の投与量(1日目および21日目)に対して判定されたパラメータは、
最大濃度までの時間(Tmax)、最大濃度(Cmax)、薬物投与後0~24時間の濃
度-時間曲線下面積(AUC0-24h)、末端消失速度定数(kel)、末端半減期(
t1/2)、末端クリアランス(CL/F)、および分布容積(Vd/F)を含んでいた
。時間0から無限までの濃度-時間曲線下面積(AUC0-inf)も、1日目の最初の
投与に対して判定した。
【0471】
薬物動態パラメータを、非コンパートメント方法を使用して判定した。薬物動態パラメ
ータの記述的統計には、平均、標準偏差(SD)、および変動係数(CV)、最小値(m
in)、および最大値(max)が含まれていた。薬物動態パラメータにおける投与量に
関連する傾向を評価した。
【0472】
平均および個々のエンドキシフェン血清濃度-時間曲線を、各投与量コホートに対して
作表した。薬物動態パラメータを各参加者に対して判定し、記述的統計(算術平均、SD
、CV、サンプルサイズ[N]、min、max、および中央値)を使用してコホートご
とに要約した。加えて、幾何平均をAUCおよびCmaxに対して算出した。線形モデル
を使用した解析を実行して、用量比例性(単回投与(経口)および複数回投与(局所およ
び経口)両方の後)を評価した。統計分析を、SAS v9.3およびPhoenix
WinNonLinのバージョン7.0以上を使用して薬物動態パラメータに対して実行
した。
【0473】
使用される略語:
CV 変動係数
Tmax 最大濃度までの時間
Cmax 最大濃度
AUC0-24h (「AUC24hr」)薬物投与後0~24時間の濃度-時間曲線
下面積
kel 末端消失速度定数、およびその容量
t1/2 末端半減期
CL/F 末端クリアランス
Vd/F 分布
AUC0-inf (「AUC0-inf」)時間0から無限までの濃度-時間曲線下
面積も1日目に最初の投与に対して判定される。
【0474】
(Z)-エンドキシフェンの末端半減期、末端排出半減期、Tmax、Cmax、およ
びAUCを伴う薬物動態パラメータの概要を以下表16に提供する。
【0475】
【0476】
1日1回の遅延放出(酸耐性)(Z)-エンドキシフェンカプセルの経口投与では、研
究に使用される3つの投与量レベルにわたってエンドキシフェンのCmaxおよびAUC
24hrに用量比例性(線形用量応答)が存在した。Cmaxは、1日目の1mg~4m
gの投与量では9.6ng/mL~32.5ng/mL、および21日目では24.6n
g/mL~115.0ng/mL増大した。1日目と21日目の投与量レベルごとの中央
Tmaxは4~8時間に及んだ。投与量ごとの明らかな末端半減期(t1/2)は42~
53時間におよび、定常状態は約7日後に到達すると考えられた(
図5-8日目での投薬
、および14日目でのCss)。最大血中濃度に達する時間は4~8時間に及んだ(
図4
)。
【0477】
【0478】
【0479】
【0480】
【0481】
【0482】
【0483】
【0484】
【0485】
【0486】
【0487】
【0488】
21日目と1日目のパラメータの比率を比較したように、平均蓄積比率はCmaxでは
2.74~3.56におよび、AUC24hrでは3.04~3.47に及んだ。1日目
および21日目でのクリアランス(Cl/F)および分布容積(Vd/F)において投与
量レベルごとに著しい傾向は存在しなかった。
【0489】
最大血清エンドキシフェンレベルまでの時間は約10時間までに達成され、血清エンド
キシフェンレベルには投与量に関連した増加が存在した(
図3および
図4)。血清エンド
キシフェンレベルは約25nM~約80nMに及んだ。
【0490】
8日目~21日目の投与前トラフ濃度の薬物動態評価(
図4)は、14日目の後に直線
の到達を示した。血清エンドキシフェンの定常状態レベルは、毎日の投薬により7日目ま
でに達成されると考えられる。投与前血清濃度は、4mgの(Z)-エンドキシフェンで
は17日後に蓄積をほとんど示さない。
【0491】
【0492】
【0493】
公開文献
1. Wu X et al. Cancer Res. 2009 Mar 1;
69(5):1722-7. PubMed PMID: 19244106
2. Ahmad A et al. Breast Cancer Res Tre
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3. Ahmad A et al. J Clin Oncol 30, 2012
(suppl; abstr 3089)
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onference 2013 [PD3-4]
5. Goetz MP et al. San Antonio Breast C
onference 2015. [PD203]
6. Ahmad A et al. Clin Transl Sci. 2016
Jun 27. doi:10.1111/cts.12407. PubMed P
MID: 27346789
7. Lee O et al. Cancer Chemother Pharma
col. 2015 Dec; 76(6):1235-46
【0494】
故に、この研究からのデータは、経口エンドキシフェンの安全性および耐容性が全体的
に経口タモキシフェンに匹敵すること、および、(Z)-エンドキシフェン組成物を投与
された被験体には、乳癌の女性におけるアジュバント設定において治療効果があると示さ
れた範囲内にある血漿エンドキシフェンレベルがあることを示唆している。(Z)-エン
ドキシフェンは急速に吸収され、全身で利用可能であり、血清中のピーク薬物濃度(C(
max))、および投与量範囲1mg-4.0mgにわたり0から無限まで外挿された濃
度-時間曲線下面積(AUC0-inf)における投与量比例性を示すものである。
【0495】
実施例16:Z-エンドキシフェン遊離塩基の経口投与によるタモキシフェン耐性のある
乳癌の治療的処置
研究の目的は、安定し且つ治療的な(Z)-エンドキシフェンレベルが、タモキシフェ
ンに(Z)-エンドキシフェンを補足することによりタモキシフェン耐性のある患者にお
いて達成可能であることを実証することである。血漿エンドキシフェンレベルをサロゲー
トエンドポイントとして使用して、臨床的な利益のほか、この集団における再発率を予測
し、且つ、タモキシフェンと比較した場合の(Z)-エンドキシフェン投与の安全性およ
び耐容性を確認する。
【0496】
初期段階のエストロゲン受容体陽性乳癌を抱える全体的に健康な被験体は、少なくとも
30日間タモキシフェンのアジュバント治療を受け、最大6ヶ月間この研究に登録される
。少なくとも75のタモキシフェン耐性のある乳癌被験体をこの研究に登録することで、
少なくとも25のタモキシフェンおよび25の(Z)-エンドキシフェン被験体で構成さ
れる評価可能な集団が達成されることを確実にする。追加の被験体を登録することで、タ
モキシフェン耐性のある被験体の所望の集団を達成する。これら被験体は乳癌と診断され
、乳房切除術または乳腺腫瘤摘出を受ける。
【0497】
少なくとも30日間経口タモキシフェンの投与後、エンドキシフェン血漿レベルを測定
する。エンドキシフェンレベルが30または40nM未満の場合、1mgの経口(Z)-
エンドキシフェンを経口タモキシフェンアジュバント・レジメンに加える。少なくとも4
0nMであるが80nM以下の安定したエンドキシフェンが達成されるまで、追加の(Z
)-エンドキシフェン投与量が加えられる。エンドポイントは、少なくとも6ヶ月間、タ
モキシフェン+エンドキシフェンの群において治療上安定したエンドキシフェンレベルを
確立することである。
【0498】
実施例17:Z-エンドキシフェン-D-グルコネートの経口投与によるエストロゲン受
容体陽性乳癌の手術前処置
目的は、Z-エンドキシフェン-D-グルコネートが手術前のエストロゲン受容体陽性
乳癌患者における腫瘍活性を減少させるかどうかを判定することである。ER+乳癌の初
期診断に際して、8人の患者が3つの群のうち1つに割り当てられ、そこでは各患者は、
1、2、または4mgの(Z)-エンドキシフェン-D-グルコネートを21日間、手術
前に受ける。
【0499】
腫瘍のバイオマーカーKI-67レベルは初期生検の時間から比較され、外科サンプル
は、3つの投与量のうち1つが腫瘍活性の減少をもたらすかどうかを判定するために比較
される。
【0500】
実施例18:(Z)-エンドキシフェンD-グルコネートの経口投与による乳癌の治療的
処置
研究の目的は、被験体の血漿中の治療的(Z)-エンドキシフェンレベルはアジュバン
ト乳癌治療を開始するタモキシフェン耐性のある患者において達成可能であることを実証
することである。血漿エンドキシフェンレベルをサロゲートエンドポイントとして使用し
て、臨床的な利益の他、この集団における再発率を予測し、且つ、タモキシフェンと比較
した場合の経口(Z)-エンドキシフェンD-グルコネート投与の安全性および耐容性を
確認する。
【0501】
エストロゲン受容体陽性乳癌を抱える全体的に健康な被験体は、タモキシフェンが完全
な処置レジメンの一部として示され、最大6ヶ月間研究に登録される。少なくとも75の
タモキシフェン耐性のある乳癌被験体をこの研究に登録することで、少なくとも25のタ
モキシフェンおよび25の(Z)-エンドキシフェン被験体で構成される評価可能な集団
が達成されることを確実にする。追加の被験体を登録することで、タモキシフェン耐性の
ある被験体の所望の集団を達成する。これら被験体は乳癌と診断され、乳房切除術または
乳腺腫瘤摘出を受ける。
【0502】
乳房切除術または乳腺腫瘤摘出直後に、25人の被験体をタモキシフェン群に割り当て
、3ヶ月の期間にわたり20mgの経口タモキシフェンを毎日投与する。更に25人の被
験体を(Z)-エンドキシフェン群に割り当て、3ヶ月の期間にわたり(Z)-エンドキ
シフェンD-グルコネートの10mgの経口錠剤を毎日投与する。血液を各被験体から、
0日目(ベースライン)、および7日目、14日目、21日目、28日目、60日目、お
よび90日目に採取する。血漿(Z)-エンドキシフェンレベル、血液学、化学、および
凝結のパラメータを、両方の処置セットに対して、0日目(ベースライン測定)の他、7
日目、14日目、21日目、28日目、60日目、および90日目に採取する。
【0503】
2つの処置セットの血漿(Z)-エンドキシフェンレベルを互いに比較する。タモキシ
フェンにより処置された被験体の血漿エンドキシフェンレベルが30nM未満の場合、被
験体は(Z)-エンドキシフェン治療群へと移されて、処置が更に6ヶ月間継続する。タ
モキシフェンにより処置された被験体の血漿エンドキシフェンレベルが30nMを超える
場合、被験体はタモキシフェンによる処置を継続される。血液サンプルをこの研究が終わ
るまで毎週採取し続けて、被験体の血漿(Z)-エンドキシフェンレベル、血液学、化学
、および凝結のパラメータをモニタリングする。被験体における癌の再発をモニタリング
し、処置群間で比較する。安全性および効果を、研究が終わるまで3ヶ月毎に評価する。
【0504】
本発明の好ましい実施形態が本明細書中で示され且つ記載されてきたが、このような実
施形態はほんの一例として提供されるものであることは、当業者に明らかであろう。多数
の変形、変更、および置き換えは、本発明から逸脱することなく、当業者によって現在想
到されるものである。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代案が、本発明の
実施において利用されるかもしれないことを理解されたい。以下の特許請求の範囲は本発
明の範囲を定義するものであり、この特許請求の範囲およびその同等物の範囲内の方法お
よび構造は、それにより包含されることが、意図されている。
【0505】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
式(III)の化合物の結晶形態を含む組成物。
【化1】
(項2)
組成物中の式(III)の化合物の少なくとも90重量%は、(Z)-異性体である、
上記項1に記載の組成物。
(項3)
結晶形態は式(III)の化合物の形態Iである、上記項2に記載の組成物。
(項4)
結晶形態は、16.8±0.3°、17.1±0.3°、および21.8±0.3°2
θにおいて主ピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、上記項3に記載の組成物
。
(項5)
X線粉末回折パターンはさらに、16.0±0.3°、18.8±0.3°、および2
6.5±0.3°2θから選択された少なくとも1つのピークを含む、上記項4に記載の
組成物。
(項6)
X線粉末回折パターンはさらに、12.3±0.3°、28.0±0.3°、および2
9.0±0.3°2θから選択された少なくとも1つのピークを含む、上記項4または5
に記載の組成物。
(項7)
X線粉末回折パターンはさらに、12.3±0.3°、16.0±0.3°、18.8
±0.3°、26.5±0.3°、28.0±0.3°、および29.0±0.3°2θ
におけるピークを含む、上記項4に記載の組成物。
(項8)
結晶形態は、図9あるいは図10に実質的に記載されるX線粉末回折パターンを特徴と
する、上記項3-7のいずれか1つに記載の組成物。
(項9)
組成物中の式(III)の化合物の90重量%、95重量%、あるいは99重量%が、
結晶形態Iである、上記項3-8のいずれか1つに記載の組成物。
(項10)
組成物は0.01mg~200mgの結晶形態Iを含む、上記項3-9のいずれか1つ
に記載の組成物。
(項11)
組成物は、約1mg、2mg、4mg、6mg、10mg、あるいは20mgの結晶形
態Iを含む、上記項10に記載の組成物。
(項12)
組成物は、式(III)の化合物の(E)-異性体と(Z)-異性体を、0.9から1
.3の間のE/Z比率で含む、上記項1に記載の組成物。
(項13)
E/Z比率は約1.1である、上記項12に記載の組成物。
(項14)
結晶形態は式(III)の化合物の形態IIである、上記項12または13に記載の組
成物。
(項15)
結晶形態は、7.0±0.3°、11.9±0.3°、14.0±0.3°、および1
8.4±0.3°2θにおいて主ピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、上記
項14に記載の組成物。
(項16)
X線粉末回折パターンはさらに、22.0±0.3° 2θにおいてピークを含む、上記項15に記載の組成物。
(項17)
X線粉末回折パターンはさらに、6.6±0.3°、13.3±0.3°、および20
.0±0.3°2θから選択された少なくとも1つのピークを含む、上記項15または1
6に記載の組成物。
(項18)
X線粉末回折パターンはさらに、6.6±0.3°、13.3±0.3°、20.0±
0.3°、および22.0±0.3°2θにおけるピークを含む、上記項15に記載の組
成物。
(項19)
結晶形態は、図11あるいは図12に実質的に記載されるX線粉末回折パターンを特徴
とする、上記項14-18のいずれか1つに記載の組成物。
(項20)
組成物中の式(III)の化合物の90重量%、95重量%、あるいは99重量%が、
結晶形態IIである、上記項14-19のいずれか1つに記載の組成物。
(項21)
組成物は0.01mg~200mgの結晶形態IIを含む、上記項14-20のいずれ
か1つに記載の組成物。
(項22)
組成物は、約1mg、2mg、4mg、6mg、10mg、あるいは20mgの結晶形
態IIを含む、上記項21に記載の組成物。
(項23)
結晶形態は式(III)の化合物の形態IIIである、上記項12または13に記載の
組成物。
(項24)
結晶形態は、11.9±0.3°、13.9±0.3°、17.1±0.3°、および
17.7±0.3°2θにおいて主ピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、上記項23に記載の組成物。
(項25)
X線粉末回折パターンはさらに、25.3±0.3°2θにおいてピークを含む、上記
項24に記載の組成物。
(項26)
X線粉末回折パターンはさらに、18.2±0.3°、22.5±0.3°、および2
6.8±0.3°2θから選択された少なくとも1つのピークを含む、上記項24または
25に記載の組成物。
(項27)
X線粉末回折パターンはさらに、18.2±0.3°、22.5±0.3°、25.3
±0.3°、および26.8±0.3°2θにおけるピークを含む、上記項24に記載の
組成物。
(項28)
結晶形態は、図13に実質的に記載されるX線粉末回折パターンを特徴とする、上記項
23-27のいずれか1つに記載の組成物。
(項29)
組成物中の式(III)の化合物の90重量%、95重量%、あるいは99重量%が、
結晶形態IIIである、上記項23-28のいずれか1つに記載の組成物。
(項30)
組成物は0.01mg~200mgの結晶形態IIIを含む、上記項23-29のいず
れか1つに記載の組成物。
(項31)
組成物は、約1mg、2mg、4mg、6mg、10mg、あるいは20mgの結晶形
態IIIを含む、上記項30に記載の組成物。
(項32)
薬学的に許容可能な担体あるいは希釈剤、および、上記項1-31のいずれか1つの組
成物を含む、医薬組成物。
(項33)
組成物は経口、非経口、局所、あるいは、管内の送達のために製剤化される、上記項1
-32のいずれか1つに記載の組成物。
(項34)
組成物は、錠剤、カプレット、カプセル、あるいは丸剤として経口送達のために製剤化
される、上記項1-33のいずれか1つに記載の組成物。
(項35)
組成物を用いて処置された被験体のエンドキシフェンの平均半減期は、30時間から6
0時間である、上記項1-34のいずれか1つに記載の組成物。
(項36)
組成物は、腸溶錠剤、腸溶カプレット、腸溶カプセル、遅延放出錠剤、遅延放出カプレ
ット、あるいは遅延放出カプセルとして製剤化される、上記項1-35のいずれか1つに
記載の組成物。
(項37)
組成物は、被験体におけるホルモン依存性乳房障害、ホルモン依存性生殖器系障害、あ
るいはその両方の処置または予防のために被験体に投与される、上記項1-36のいずれ
か1つに記載の組成物。
(項38)
被験体への投与のための、1単位投与量当たり1mg~200mgの上記項1-37の
いずれか1つの組成物を含む経口組成物であって、
経口組成物の毎日の投与は、被験体において:
7~21日以内のエンドキシフェンの定常状態の血漿レベル;
25nMから300nMに及ぶエンドキシフェンの定常状態の血漿レベル;
30nMよりも大きいエンドキシフェンの定常状態の血漿レベル;
投与後の2~10時間以内のエンドキシフェンの最大の血漿レベル;または、
これらの組み合わせ、
を達成する、経口組成物。
(項39)
組成物を用いて処置された被験体のエンドキシフェンの平均半減期は、40時間から5
5時間である、上記項38に記載の経口組成物。
(項40)
組成物は、腸溶錠剤、腸溶カプレット、腸溶カプセル、遅延放出錠剤、遅延放出カプレ
ット、あるいは遅延放出カプセルとして製剤化される、上記項38または39に記載の経
口組成物。
(項41)
組成物中のエンドキシフェンの少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60
%、少なくとも70%、少なくとも80%、あるいは少なくとも90%は、腸で放出され
る、上記項1-40のいずれか1つに記載の組成物。
(項42)
200hr
*
ng/mL~10000hr
*
ng/mL、300hr
*
ng/mL~8
000hr
*
ng/mL、400hr
*
ng/mL~6000hr
*
ng/mL、あるい
は、700hr
*
ng/mL~6000hr
*
ng/mLのエンドキシフェンの時間無限
(AUC
0-inf
)に対して外挿された曲線下での平均面積を有する、上記項1-41
のいずれか1つに記載の組成物。
(項43)
被験体を処置する方法であって、前記方法は、上記項1~42のいずれか1つの組成物
を被験体に投与する工程を含む、方法。
(項44)
被験体は、ホルモン依存性乳房障害、ホルモン依存性生殖器系障害、あるいはその両方
を患っているか、患うリスクがある、上記項43に記載の方法。
(項45)
ホルモン依存性乳房障害あるいはホルモン依存性生殖器系障害は、良性の乳房障害、過
形成、異型性、異型乳管過形成、異型小葉過形成、増加した乳房密度、女性化乳房、DC
IS、LCIS、乳癌、性早熟症、マックーン-オルブライト症候群、子宮内膜癌、卵巣
癌、子宮癌、子宮頚癌、膣癌、あるいは外陰癌である、上記項44に記載の方法。
(項46)
被験体は前立腺癌を患っており、被験体はさらに女性化乳房を患っているか、患うリス
クがある、上記項43-45のいずれか1つに記載の方法。
(項47)
被験体は、タモキシフェン抵抗性あるいはタモキシフェン耐性のホルモン依存性乳房障
害あるいはホルモン依存性生殖器系障害を患っている、上記項43-46のいずれか1つ
に記載の方法。
(項48)
被験体は、シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、パロキセチン、セルト
ラリン、およびビラゾドンからなる群から選択されたSSRI薬物で処置されているか、
処置される、上記項43-47のいずれか1つに記載の方法。
(項49)
組成物は、0.01mg~200mgの(Z)-エンドキシフェンを含む、上記項43
-48のいずれか1つに記載の方法。
(項50)
被験体は、約1mg、2mg、4mg、6mg、10mg、あるいは20mgの(Z)
-エンドキシフェンを毎日投与される、上記項43-49のいずれか1つに記載の方法。
(項51)
被験体のエンドキシフェンの定常状態の血漿レベルは、30nMよりも大きい、上記項
43-50のいずれか1つに記載の方法。
(項52)
エンドキシフェンの定常状態の血漿レベルは、組成物の最初の投与の7~21日以内に
達成される、上記項43-51のいずれか1つに記載の方法。
(項53)
エンドキシフェンの最大血漿レベルまでの時間は、組成物の投与後、2時間~10時間
あるいは4時間~8時間に及ぶ、上記項43-52のいずれか1つに記載の方法。
(項54)
ホルモン依存性乳房障害、ホルモン依存性生殖器系障害、あるいはその両方を患ってい
るか、患うリスクがある被験体を処置する方法であって、
前記方法は、上記項1-42のいずれか1つに記載の組成物を投与する工程を含み、
組成物の投与は:
投与後30~60時間までの範囲の被験体のエンドキシフェンの平均半減期;
投与後4~8時間までの範囲のエンドキシフェンの最大血漿レベルまでの時間;
30nMよりも大きいエンドキシフェンの定常状態の血漿レベル、
を達成する、方法。
(項55)
ホルモン依存性乳房障害あるいはホルモン依存性生殖器系障害は、良性の乳房障害、過
形成、異型性、異型乳管過形成、異型小葉過形成、増加した乳房密度、女性化乳房、DC
IS、LCIS、乳癌、性早熟症、マックーン-オルブライト症候群、子宮内膜癌、卵巣
癌、子宮癌、子宮頚癌、膣癌、および、外陰癌からなる群から選択される、上記項54に
記載の方法。
(項56)
組成物は、0.01mg~200mgの(Z)-エンドキシフェンを含む、上記項54
または55に記載の方法。
(項57)
被験体は、約1mg、2mg、4mg、6mg、10mg、あるいは20mgの(Z)
-エンドキシフェンを投与される、上記項56に記載の方法。
(項58)
エンドキシフェンの時間無限(AUC
0-inf
)に対して外挿された曲線下での平均
面積は、200hr
*
ng/mL~10000hr
*
ng/mL、300hr
*
ng/m
L~8000hr
*
ng/mL、400hr
*
ng/mL~6000hr
*
ng/mL、
あるいは、700hr
*
ng/mL~6000hr
*
ng/mLである、上記項43-5
7のいずれか1つに記載の方法。
(項59)
組成物は、腸溶錠剤、腸溶カプレット、腸溶カプセル、遅延放出錠剤、遅延放出カプレ
ット、あるいは遅延放出カプセルとして製剤化される、上記項43-58のいずれか1つ
に記載の方法。
(項60)
組成物中のエンドキシフェンの少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60
%、少なくとも70%、少なくとも80%、あるいは少なくとも90%は、腸で放出され
る、上記項43-59のいずれか1つに記載の方法。
(項61)
組成物は1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、一日おき、週に2回、毎週、2週
に1回、月に2回、毎月、年に4回、6ヶ月に1回、あるいは毎年、投与される、上記項
43-60のいずれか1つに記載の方法。
(項62)
(Z)-エンドキシフェンを製造するための産業上拡張可能なプロセスであって、前記
プロセスは:
(a)第1の結晶性固体と第1の母液を形成するために、(E)-エンドキシフェンと
(Z)-エンドキシフェンの混合物、
【化2】
で表される式(III)の化合物を、第1の溶媒からの分別結晶にさらす工程であって、
第1の母液は、(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物のE/Z
比率と比較して、少なくとも50%高い(Z)エンドキシフェンのE/Z比率を有する、
工程;
(b)第2の結晶性固体と第2の母液を形成するために、第1の母液を濃縮することに
よって、あるいは、第1の母液からの第1の溶剤を1回以上、第2の溶剤と取り替えるこ
とによって、第2の溶剤からの再結晶化に第1の母液をさらす工程であって、第2の結晶
性固体が、≧90%(Z)-エンドキシフェンである、工程;および、
(c)随意に、第3の結晶性固体を形成するために、第2の結晶性固体を、第3の溶剤
からの再結晶化あるいはクロマトグラフィー処理に1回以上さらす工程、
を含む、プロセス。
(項63)
上記項1~11のいずれか1つの結晶形態を製造するための産業上拡張可能なプロセス
であって、
(a)第1の結晶性固体と第1の母液を形成するために、(E)-エンドキシフェンと
(Z)-エンドキシフェンの混合物、
【化3】
で表される式(III)の化合物を、第1の溶媒からの分別結晶にさらす工程であって、
第1の母液は、(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物のE/Z
比率と比較して、少なくとも50%高い(Z)エンドキシフェンのE/Z比率を有する、
工程;
(b)第2の結晶性固体と第2の母液を形成するために、第1の母液を濃縮することに
よって、あるいは、第1の母液からの第1の溶剤を1回以上、第2の溶剤と取り替えるこ
とによって、第2の溶剤からの再結晶化に第1の母液をさらす工程であって、第2の結晶
性固体が、≧90%(Z)-エンドキシフェンである、工程;および、
(c)第3の結晶性固体を形成するために、第2の結晶性固体を、第3の溶剤からの再
結晶化あるいはクロマトグラフィー処理に1回以上さらす工程であって、第3の結晶性固
体が、上記項1~11のいずれか1つの結晶形態である、工程、
を含む、プロセス。
(項64)
(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物を形成するために、(
E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物は、不活性な有機溶剤中で
のチタン塩と還元剤によるマクマリー反応によって媒介されたプロピオフェノンに、式(
II)の化合物、(4-ヒドロキシフェニル)(4-(2-(メチルアミノ)エトキシ)
フェニル)メタノンを結合することにより、調製され、
ここで、式(II)の化合物は、
【化4】
で表される構造を有する、上記項62または63に記載のプロセス。
(項65)
[4-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル](4-ヒドロキシフェニル)メ
タノン、式(I)の化合物、を脱メチル化することにより、式(II)の化合物を調製す
る工程をさらに含み、式(I)の化合物は、式(II)の化合物を形成するために、不活
性な有機溶剤中において脱メチル化剤とプロトン受容体とともに、以下の構造
【化5】
を有する、上記項64に記載のプロセス。
(項66)
第1の溶剤は、酢酸エチル、IPA、IPA/PPW、ACN、ACN/PPW、ある
いはアセトンである、上記項62-65のいずれか1つに記載のプロセス。
(項67)
第2の溶剤は、IPA、IPA/PPW、アセトン、エタノール、酢酸エチル、あるい
はアセトン/MTBEである、上記項62-66のいずれか1つに記載のプロセス。
(項68)
第3の溶剤は、エタノール、メタノール、酢酸エチル、IPA、IPA/PPW、n-
ヘプタン、あるいはアセトンである、上記項62-67のいずれか1つに記載のプロセス
。
(項69)
第1の溶剤、第2の溶剤、および第3の溶剤のいずれか1つ以上を、40°Cから80
°Cまでの範囲の温度に予熱する工程をさらに含む、上記項62-68のいずれか1つに
記載のプロセス。
(項70)
分別結晶と再結晶化の工程はそれぞれ独立して、50°C~80°Cにおける蒸留の工
程と、0°Cから35°C以下の範囲の温度まで溶液を冷やす工程とを含む、上記項62
-69のいずれか1つに記載のプロセス。
(項71)
(a)不活性な有機溶剤中でプロピオフェノンと式(II)の化合物を反応させる工程
;
(b)不活性な有機溶剤中でチタン塩と還元剤を調製する工程;および、
(c)(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物を形成するため
に、工程(a)の式(II)の化合物を、工程(b)の不活性な有機溶剤中のチタン塩と
還元剤と反応させる工程をさらに含む、上記項64~70のいずれか1つに記載のプロセ
ス。
(項72)
(a)不活性な有機溶剤(1:1~1:20wt/wt)中で式(II)の化合物をプ
ロピオフェノン(1:0.01~1:5wt/wt)と反応させる工程;
(b)不活性な有機溶剤(1:1~1:20wt/wt)中でチタン塩(1:0.1~
1:12wt/wt)と還元剤(1:0.01~1:10wt/wt)を調製する工程;
および、
(c)(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物を形成するため
に、工程(a)の式(II)の化合物を、工程(b)の不活性な有機溶剤中のチタン塩と
還元剤と反応させる工程をさらに含み、
wt/wtが式(II)の化合物に対するものである、上記項64~71のいずれか1つ
に記載のプロセス。
(項73)
チタン塩は、チタンハロゲン化物(三塩化チタン(TiCl
3
)、四塩化チタン(Ti
Cl
4
)、チタンヨウ化物、チタン臭化物、およびチタンフッ化物など)、チタン(IV
)トリクロリドイソプロポキシド、ならびにチタンイソプロポキシドからなる群から選択
される、上記項64-72のいずれか1つに記載のプロセス。
(項74)
還元剤は、亜鉛、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、モリブデン、タングステン、ア
ルミニウム、マグネシウム、カリウム、銅-亜鉛カップル、アルカリとアルカリ土類金属
、ブチルイウム、リチウム、および水素化アルミニウムリチウムからなる群から選択され
る、上記項64-73のいずれか1つに記載のプロセス。
(項75)
不活性な有機溶剤は、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、
クロロベンゼン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、tert-ブチルメチルエー
テル、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、ジ
グリム、ニトロメタン、1,2-ジメトキシエタン、ピリジン、アセトン、アセトニトリ
ル、ベンゼン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、キシレン、ヘキサン、シク
ロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、および、デカン、あるいはこれらの組み合わ
せからなる群から選択される、上記項64-74のいずれか1つに記載のプロセス。
(項76)
工程(b)における不活性な有機溶剤中でのチタン塩と還元剤の調製はさらに、チタン
塩が還元剤と不活性な有機溶剤に添加される場合、75°C以下、65°C以下、55°
C以下、50°C以下、45°C以下、40°C以下、35°C以下、30°C以下、2
5°C以下、20°C以下、あるいは15°C以下の温度で反応の温度を維持することを
含む、上記項64-75のいずれか1つに記載のプロセス。
(項77)
不活性な有機溶剤中でのチタン塩と還元剤の調製はさらに、チタン塩が還元剤と不活性
な有機溶剤に添加される場合、75°C以下、70°C以下、65°C以下、60°C以
下、55°C以下、50°C以下、あるいは45°C以下の温度で反応の温度を維持する
ことを含む、上記項64-76のいずれか1つに記載のプロセス。
(項78)
工程(b)における不活性な有機溶剤中でのチタン塩と還元剤の調製はさらに、20°
Cから250°C、40°Cから70°Cまで、50°Cから230°Cまで、50°C
から120°C、および150°Cから200°Cまでの範囲の温度まで、不活性な有機
溶剤中のチタン塩と還元剤を加熱することを含む、上記項64-77のいずれか1つに記
載のプロセス。
(項79)
工程(b)における不活性な有機溶剤中でのチタン塩と還元剤の調製はさらに、N
2
ま
たはアルゴン下で、30分以上、1時間以上、2時間以上、4時間以上、6時間以上、あ
るいは8時間以上にわたって還流下で不活性な有機溶剤中のチタン塩と還元剤を加熱する
ことを含む、上記項64-78のいずれか1つに記載のプロセス。
(項80)
(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物を形成するために、工
程(a)の式(II)の化合物は、還流下において工程(b)の不活性な有機溶剤中のチ
タン塩と還元剤と反応させられる、上記項64-79のいずれか1つに記載のプロセス。
(項81)
工程(a)の式(II)の化合物は、4時間以上、6時間以上、8時間以上、12時間
以上、24時間以上、あるいは48時間以上にわたって、(E)-エンドキシフェンと(
Z)-エンドキシフェンの混合物を形成するために、40°C~80°Cの範囲の温度で
、工程(b)における不活性な有機溶剤中のチタン塩と還元剤と反応させられる、上記項
64-80のいずれか1つに記載のプロセス。
(項82)
0°C~30°Cの範囲の温度まで(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフ
ェンの混合物を冷やす工程をさらに含む、上記項64-81のいずれか1つに記載のプロ
セス。
(項83)
(a)(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物の抽出;
(b)(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物の洗浄;
(c)(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物の蒸留;および
、
(d)(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの結晶性固体混合物を得
るための結晶化、
の1つ以上の工程をさらに含む、上記項64-82のいずれか1つに記載のプロセス。
(項84)
抽出はMeTHFまたはTHF中で1回以上実行される、上記項83に記載のプロセス
。
(項85)
式(II)の化合物を形成するために、式(I)の化合物を、不活性な有機溶剤(1:
1~1:20wt/wt)中で脱メチル化剤(1:0.5~1:10wt/wt)とプロ
トン受容体(1:0.5~1:10wt/wt)で脱メチル化することによって、式(I
I)の化合物を生成する工程をさらに含み、
wt/wt比率が式(I)の化合物に対するものである、上記項65-84のいずれか1
つに記載のプロセス。
(項86)
プロトン受容体は、炭酸ナトリウムと炭酸カリウムなどのカーボネート、および、炭酸
水素ナトリウムと炭酸水素カリウムなどのビスカーボネート、プロトンスポンジ、および
DIPEAからなる群から選択される、上記項65-85のいずれか1つに記載のプロセ
ス。
(項87)
脱メチル化剤は、N-ヨードスクシンアミド、エチルクロロホルメート(1-クロロエ
チルクロロホルメート、ジクロロエチルクロロホルメート、トリクロロエチルクロロホル
メート、α-クロロエチルクロロホルメート)、ビニルクロロホルメート、臭化シアン、
ジエチルアゾジカルボキシラート、およびピリジニウム塩化物からなる群から選択される
、上記項65-86のいずれか1つに記載のプロセス。
(項88)
式(I)の化合物は、20°Cから250°C、40°Cから80°C、50°Cから
230°C、50°Cから120°C、および150°Cから200°Cの範囲の温度で
脱メチル化剤とプロトン受容体と反応させられる、上記項65-87のいずれか1つに記
載のプロセス。
(項89)
式(I)の化合物は、還流下において脱メチル化剤とプロトン受容体と反応させられる
、上記項65-88のいずれか1つに記載のプロセス。
(項90)
式(I)の化合物は、5時間以上、8時間以上、12時間以上、24時間以上、36時
間以上、48時間以上、あるいは、72時間以上にわたって、脱メチル化剤とプロトン受
容体と反応させられる、上記項65-89のいずれか1つに記載のプロセス。
(項91)
(a)蒸留;
(b)溶剤/酸混合物を用いる反応;
(c)中和剤を用いる中和;および、
(d)減圧下での乾燥
の1つ以上の工程をさらに含む、上記項3または85~90のいずれか1つに記載のプロ
セス。
(項92)
蒸留工程は、酢酸エチル、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパ
ノール、およびイソプロパノール、ベンゼン、アセトン、アセトニトリル、トルエン、ジ
クロロメタン、1,2-ジクロロエタン、ならびにクロロホルムからなる群から選択され
た有機的な蒸留溶剤を用いる1回以上の溶剤の交換を含む、上記項91に記載のプロセス
。
(項93)
溶剤/酸混合物は、メタノール/HCl、エタノール/HCl、プロパノール/HCl
、イソプロパノール/HCl、メタノール/硫酸、メタノール/リン酸、エタノール/硫
酸、エタノール/リン酸、プロパノール/硫酸、プロパノール/リン酸、イソプロパノー
ル/硫酸、イソプロパノール/リン酸、メタノール/酢酸、エタノール/酢酸、プロパノ
ール/酢酸、イソプロパノール/酢酸、メタノール/ギ酸、エタノール/ギ酸、プロパノ
ール/ギ酸、およびイソプロパノール/ギ酸からなる群から選択される、上記項91また
は92に記載のプロセス。
(項94)
中和剤は、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、あるいはアミノ
メチルプロパノールである、上記項91-93のいずれか1つに記載のプロセス。
(項95)
溶剤(1:1~1:20wt/wt)中で酸(1:1~1:5wt/wt)に対して(
E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物を反応させることによって
、(E)-エンドキシフェンを(Z)-エンドキシフェンに変換する工程をさらに含み、
wt/wt比率が式(III)の化合物に対するものである、上記項62-94のいずれ
か1つに記載のプロセス。
(項96)
酸はHCl、TCA、あるいはTFAである、上記項95に記載のプロセス。
(項97)
溶剤は、アセトニトリル、アセトニトリル/PPW、IPA、IPA/PPW、ジクロ
ロメタン、あるいは酢酸エチルである、上記項95または96に記載のプロセス。
(項98)
(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物は、還流下において溶
剤中で酸を用いて加熱され、4時間以上、6時間以上、12時間以上、24時間以上、あ
るいは48時間以上にわたって撹拌される、上記項95-97のいずれか1つに記載のプ
ロセス。
(項99)
(a)中和剤を用いる中和;
(b)抽出;
(c)1回以上の洗浄;および、
(d)活性炭素を用いる処置、
の1つ以上の工程をさらに含む、上記項95-98のいずれか1つに記載のプロセス。
(項100)
(Z)-エンドキシフェンを製造するための産業上拡張可能なプロセスであって、
前記プロセスは、
(a)第1の結晶性固体と第1の結晶性の母液を形成するために、(E)-エンドキシ
フェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物、
【化6】
で表される式(III)の化合物を、酢酸エチルからの分別結晶にさらす工程であって、
第1の母液は、(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物のE/Z
比率と比較して、少なくとも50%高い(Z)エンドキシフェンのE/Z比率を有する、
工程;
(b)第2の結晶性固体と第2の母液を形成するために、第1の母液を濃縮することに
よって、あるいは、第1の母液から酢酸エチルを1回以上、IPAあるいはIPA/PP
W(1:1 v/v)と取り替えることによって、IPAあるいはIPA/PPWからの
再結晶化に第1の母液をさらす工程であって、第2の結晶性固体が、≧90%(Z)-エ
ンドキシフェンである、工程;および、
(c)随意に、第3の結晶性固体を形成するために、第2の結晶性固体を、エタノール
からの再結晶化あるいはカラムクロマトグラフィー処理に1回以上さらす工程、
を含む、プロセス。
(項101)
工程(a)における(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物、
式(III)の化合物は6NのHClで前処理され、8NのNaOHで中和される、上記
項99または100に記載のプロセス。
(項102)
(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物、式(III)の化合
物は、(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物を形成するために
、THF中のTiCl
4
とZnによるマクマリー反応で触媒されたプロピオフェノンに、
式(II)の化合物、(4-ヒドロキシフェニル)(4-(2-(メチルアミノ)エトキ
シ)フェニル)メタノンを結合することによって、調製され、
ここで、式(II)の化合物は、
【化7】
で表される構造を有する、上記項99-101のいずれか1つに記載のプロセス。
(項103)
(a)THF中でプロピオフェノンと式(II)の化合物を反応させる工程;
(b)THF中でTiCl
4
とZnを調製する工程;および、
(c)(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物を形成するため
に、工程(a)の式(II)の化合物を、工程(b)のTHF中のTiCl
4
とZnと反
応させる工程、を含む、上記項102に記載のプロセス。
(項104)
(a)THF(1:1~1:20wt/wt)中でプロピオフェノンと式(II)の化
合物を反応させる工程;
(b)THF(1:1~1:20wt/wt)中でTiCl
4
(0.1~12wt/w
t)とZn(0.01~1:10wt/wt)を調製する工程;および、
(c)(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物を形成するため
に、工程(a)の式(II)の化合物を、工程(b)のTHF中のTiCl
4
とZnと反
応させる工程を含み、
wt/wtが式(II)の化合物に対するものである、上記項102または103に記
載のプロセス。
(項105)
THF中でのTiCl
4
とZnの調製はさらに、N
2
下で2時間以上にわたって還流下
で加熱することを含む、上記項102-104のいずれか1つに記載のプロセス。
(項106)
抽出精製、蒸留、および結晶化の工程をさらに含む、上記項102-105のいずれか
1つに記載のプロセス。
(項107)
(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物は、
(a)塩化アンモニウム、二酸化ケイ素、40%K
2
CO
3
、およびTHFを用いる1
回以上の抽出;
(b)K
2
CO
3
とMeTHFを用いる1回以上の抽出;
(c)NaOH、NaCl、およびMeTHFを用いる1回以上の抽出;
(d)MeTHFまたはTHFを用いる1回以上の抽出;
(e)20%のNaClを用いる1回以上の抽出;あるいは、
(f)これらの組み合わせ、
の工程を含む抽出精製にさらされる、上記項102-106のいずれか1つに記載のプロ
セス。
(項108)
(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物は、
(a)40%のK
2
CO
3
(1:1~1:10wt/wt)とMeTHF(1:1~1
:10wt/wt)を用いる1回以上の抽出;
(b)1NのNaOH(1:1~1:20wt/wt)、NaCl(1:0.01~1
:0.5wt/wt)、およびMeTHF(1:1~1:10wt/wt)を用いる1回
以上の抽出;
(c)MeTHF(1:1~1:5wt/wt)を用いる1回以上の抽出;および、
(d)20%のNaCl(1:1~1:10wt/wt)を用いる抽出;
の工程を含む抽出精製にさらされ、
wt/wtは式(I)の化合物に対するものである、上記項102-107のいずれか1
つに記載のプロセス。
(項109)
(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物は、
(a)25%の塩化アンモニウム(1:10~1:30wt/wt)、二酸化ケイ素(
1:0.01~1:5wt/wt)、およびTHF(1:1~1:5wt/wt)を用い
る抽出;
(b)THF(1:1~1:5wt/wt)を用いる1回以上の洗浄;および、
(c)40%のK
2
CO
3
(1:1~1:10wt/wt)を用いる1回以上の洗浄;
の工程を含む抽出精製にさらされ、
wt/wtは式(I)の化合物に対するものである、上記項102-108のいずれか1
つに記載のプロセス。
(項110)
蒸留の工程は、EtOAc(1:1~1:10wt/wt)あるいはIPA(1:1~
1:10wt/wt)を用いて1~5回実行される、上記項108または109に記載の
プロセス。
(項111)
蒸留の工程は30°Cから90°Cの範囲の温度で実行される、上記項106-110
のいずれか1つに記載のプロセス。
(項112)
蒸留は75°C以下で実行される、上記項106-111のいずれか1つに記載のプロ
セス。
(項113)
式(II)の化合物は[4-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル](4-ヒ
ドロキシフェニル)メタノン、式(I)の化合物を脱メチル化することにより調製され、
式(I)の化合物は、式(II)の化合物を形成するために、THF中に1-クロロエチ
ルクロロホルメートとDIPEAとともに、
【化8】
の構造を有する、上記項102-112のいずれか1つに記載のプロセス。
(項114)
(a)テトラヒドロフラン中でDIPEAと式(I)の化合物を反応させる工程;
(b)1-クロロエチルクロロホルメートを追加する工程;
(c)メタノールを用いて蒸留する工程;
(d)メタノール/6NのHClと反応させる工程;および、
(e)8NのNaOHを用いて中和する工程、
を含む、上記項113に記載のプロセス。
(項115)
(a)THF(1:20wt/wt)中で式(I)の化合物をDIPEA(1:1~1
:10wt/wt)と反応させる工程;
(b)1-クロロエチルクロロホルメート(1:1~1:10wt/wt)を追加する
工程;
(c)メタノール(1:1~1:10wt/wt)で1回以上蒸留する工程;
(d)メタノール(1:1~1:5wt/wt)/6NのHCl(1:1~1:10w
t/wt)と反応させる工程;および、
(e)8NのNaOH(1:1~1:10wt/wt)で中和させる工程を含み、
wt/wtが式(I)の化合物に対するものである、上記項113または114に記載の
プロセス。
(項116)
(a)精製水(1:1~1:5vol/wt)を用いて式(II)の化合物を洗浄する
工程;
(b)酢酸エチル(1:1~1:5wt/wt)を用いて式(II)の化合物を洗浄す
る工程;および、
(c)50°C以下において減圧下で式(II)の化合物を乾燥させる工程;
の1つ以上の工程をさらに含み、
wt/wtが式(I)の化合物に対するものである、上記項113-115のいずれか1
つに記載のプロセス。
(項117)
EtOAc(1:1~1:20wt/wt)中で6NのHCl(1:1~1:5wt/
wt)に対して、(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物を反応
させることによって、(E)-エンドキシフェンを(Z)-エンドキシフェンへ変換する
工程をさらに含み、ここで、wt/wtは、(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンド
キシフェンの混合物に対するものである、上記項62-116のいずれか1つに記載のプ
ロセス。
(項118)
(a)8NのNaOH(1:1~1:20wt/wt)を用いて中和する工程;
(b)酢酸エチル(1:1~1:10wt/wt)を用いる抽出工程;
(c)20%のNaCl(1:1~1:10wt/wt)を用いる1回以上の洗浄工程
;および、
(d)活性炭素(1:0.01~1:0.1wt/wt)を用いる処置工程をさらに含
み、
wt/wtが式(I)の化合物に対するものである、上記項117に記載のプロセス。
(項119)
上記項62~118のいずれか1つの方法に従って生成された式(III)の化合物の
結晶形態。
(項120)
結晶形態は式(III)の化合物の形態Iである、上記項119に記載の結晶形態。
(項121)
45:55~55:45の範囲のE/Z比率を有する(E)-エンドキシフェンと(Z
)-エンドキシフェンの混合物を再平衡化する産業上拡張可能なプロセスであって、
(a)酢酸エチル(1:1~1:20wt/wt)中の6NのHCL(1:1~1:5
wt/wt)に対して、99:1~60:40の範囲のE/Z比率を有する(E)-エン
ドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの出発混合物を反応させる工程;
(b)8NのNaOH(1:1~1:20wt/wt)を用いて中和する工程;
(c)酢酸エチルを用いて1回以上洗浄する工程;および、
(d)IPAを用いて1回以上洗浄する工程、
を含み、
wt/wtは、(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの出発混合物に対
するものである、プロセス。
(項122)
上記項12~31のいずれか1つの結晶形態を製造するための産業上拡張可能なプロセ
スであって、
(a)酢酸エチル(1:1~1:20wt/wt)中の6NのHCL(1:1~1:5
wt/wt)に対して、99:1~40:60の範囲のE/Z比率を有する(E)-エン
ドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの出発混合物を反応させる工程;
(b)8NのNaOH(1:1~1:20wt/wt)を用いて中和する工程;
(c)酢酸エチルを用いて1回以上洗浄する工程;
(d)酢酸エチルとn-ヘプタンの混合物で1回以上洗浄する工程;および、
(e)上記項12~31のいずれか1つの結晶形態を回収する工程を含み、
wt/wtは、(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの出発混合物に対
するものである、プロセス。
(項123)
上記項121または122の方法に従って生成された式(III)の化合物の結晶形態
。
(項124)
結晶形態は式(III)の化合物の形態IIあるいは形態IIIである、上記項123
に記載の結晶形態。
(項125)
(Z)-エンドキシフェンは、(Z)-エンドキシフェンL-グルコネートあるいは(
Z)-エンドキシフェンD-グルコネートを形成するために、D-グルコネートあるいは
L-グルコネートと反応させられる、上記項62-122のいずれか1つに記載のプロセ
ス。
(項126)
(Z)-エンドキシフェン遊離塩基は<1%の不純物を有する、上記項62-125の
いずれか1つに記載のプロセス。
(項127)
(Z)-エンドキシフェン遊離塩基は少なくとも9ヶ月間、周囲温度で安定している、
上記項62-126のいずれか1つに記載のプロセス。
(項128)
上記項62~127のいずれか1つのプロセスによって調製された、(Z)-エンドキ
シフェン、(E)-エンドキシフェン、式(III)の化合物、式(II)の化合物、あ
るいはその塩。
(項129)
上記項62~127のいずれか1つのプロセスによって調製された、(Z)-エンドキ
シフェン遊離塩基あるいはその塩を含む組成物。
(項130)
組成物は経口、非経口、局所、あるいは管内の送達のために製剤化される、上記項12
9に記載の組成物。
(項131)
組成物は、錠剤、カプレット、カプセル、あるいは丸剤として経口送達のために製剤化
される、上記項129または130に記載の組成物。
(項132)
投与後30~60時間までの範囲の被験体のエンドキシフェンの平均半減期を有する、
上記項131に記載の組成物。
(項133)
組成物は、腸溶錠剤、腸溶カプレット、腸溶カプセル、遅延放出錠剤、遅延放出カプレ
ット、あるいは遅延放出カプセルとして経口送達のために製剤化される、上記項129-
132のいずれか1つに記載の組成物。
(項134)
組成物は、被験体におけるホルモン依存性乳房障害、ホルモン依存性生殖器系障害、あ
るいはその両方の処置または予防のために被験体に投与される、上記項129-133の
いずれか1つに記載の組成物。
(項135)
被験体への投与のための、単位投与量当たり1mgから200mgの(Z)-エンドキ
シフェン遊離塩基あるいはその塩を含む経口組成物であって、
ここで、経口組成物の毎日の投与は、被験体において:
(a)7~21日以内のエンドキシフェンの定常状態の血漿レベル;
(b)25nMから300nMに及ぶエンドキシフェンの定常状態の血漿レベル;
(c)30nMよりも大きいエンドキシフェンの定常状態の血漿レベル;
(d)投与後の2~10時間以内のエンドキシフェンの最大の血漿レベル;または、
(e)これらの任意の組み合わせ、
を達成する、経口組成物。
(項136)
投与後40~55時間までの範囲の被験体のエンドキシフェンの平均半減期を有する、
上記項135に記載の経口組成物。
(項137)
組成物は、腸溶錠剤、腸溶カプレット、腸溶カプセル、遅延放出錠剤、遅延放出カプレ
ット、あるいは遅延放出カプセルとして製剤化される、上記項135または136に記載
の経口組成物。
(項138)
エンドキシフェンの少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なく
とも70%、少なくとも80%、あるいは少なくとも90%が腸で放出される、上記項1
33または137に記載の経口組成物。
(項139)
200hr
*
ng/mL~10000hr
*
ng/mL、300hr
*
ng/mL~8
000hr
*
ng/mL、400hr
*
ng/mL~6000hr
*
ng/mL、あるい
は、700hr
*
ng/mL~6000hr
*
ng/mLの時間無限(AUC
0-inf
)に対して外挿された曲線下での平均面積を有する、上記項129~138のいずれか1
つに記載の組成物あるいは経口組成物。
(項140)
被験体を処置する方法であって、上記項129~139のいずれか1つの経口組成物を
被験体に投与する工程を含む、方法。
(項141)
被験体は、ホルモン依存性乳房障害、ホルモン依存性生殖器系障害、あるいはその両方
を患っているか、患うリスクがある、上記項140に記載の方法。
(項142)
ホルモン依存性乳房障害あるいはホルモン依存性生殖器系障害は、良性の乳房障害、過
形成、異型性、異型乳管過形成、異型小葉過形成、増加した乳房密度、女性化乳房、DC
IS、LCIS、乳癌、性早熟症、マックーン-オルブライト症候群、子宮内膜癌、卵巣
癌、子宮癌、子宮頚癌、膣癌、あるいは外陰癌である、上記項141に記載の方法。
(項143)
被験体は前立腺癌を患っており、被験体はさらに女性化乳房を患っているか、患うリス
クがある、上記項141または142に記載の方法。
(項144)
被験体は、タモキシフェン抵抗性あるいはタモキシフェン耐性のホルモン依存性乳房障
害あるいはホルモン依存性生殖器系障害を患っている、上記項141-143のいずれか
1つに記載の方法。
(項145)
被験体は、シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、パロキセチン、セルト
ラリン、およびビラゾドンからなる群から選択されたSSRI薬物で処置されているか、
処置される、上記項141-144のいずれか1つに記載の方法。
(項146)
被験体は、0.01mg~200mgの(Z)-エンドキシフェンが投与される、上記
項141-145のいずれか1つに記載の方法。
(項147)
被験体は、1mg、2mg、4mg、6mg、10mg、あるいは20mgの(Z)-
エンドキシフェンを毎日投与される、上記項141-146のいずれか1つに記載の方法
。
(項148)
被験体のエンドキシフェンの定常状態の血漿レベルは、30nMよりも大きい、上記項
141-147のいずれか1つに記載の方法。
(項149)
エンドキシフェンの定常状態の血漿レベルは、組成物の最初の投与の7~21日以内に
達成される、上記項141-148のいずれか1つに記載の方法。
(項150)
エンドキシフェンの最大血漿レベルまでの時間は、組成物の投与後、2時間~10時間
あるいは4時間~8時間に及ぶ、上記項141-149のいずれか1つに記載の方法。
(項151)
ホルモン依存性乳房障害あるいはホルモン依存性生殖器系障害、あるいはその両方を患
っているか、あるいは、患うリスクのある被験体を処置する方法であって、
前記方法は、(Z)-エンドキシフェンあるいはその塩を含む経口組成物を投与する工程
を含み、
ここで、組成物の投与は:
(a)投与後30~60時間までの範囲の被験体のエンドキシフェンの平均半減期;
(b)投与後4~8時間までの範囲のエンドキシフェンの最大血漿レベルまでの時間;
および、
(c)30nMよりも大きいエンドキシフェンの定常状態の血漿レベル、
を達成する、方法。
(項152)
被験体は、1mg、2mg、4mg、6mg、10mg、あるいは20mgの(Z)-
エンドキシフェンを投与される、上記項151に記載の方法。
(項153)
時間無限(AUC
0-inf
)に対して外挿された曲線下での平均面積は、200hr
*
ng/mL~10000hr
*
ng/mL、300hr
*
ng/mL~8000hr
*
ng/mL、400hr
*
ng/mL~6000hr
*
ng/mL、あるいは、700h
r
*
ng/mL~6000hr
*
ng/mLである、上記項151または152に記載の
方法。
(項154)
組成物は、腸溶錠剤、腸溶カプレット、腸溶カプセル、遅延放出錠剤、遅延放出カプレ
ット、あるいは遅延放出カプセルとして製剤化される、上記項151-153のいずれか
1つに記載の方法。
(項155)
エンドキシフェンの少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なく
とも70%、少なくとも80%、あるいは少なくとも90%は、腸で放出される、上記項
151-154のいずれか1つに記載の方法。
(項156)
組成物は1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、一日おき、週に2回、毎週、2週
に1回、月に2回、毎月、年に4回、6ヶ月に1回、あるいは毎年、投与される、上記項
151または155に記載の方法。
(項157)
ホルモン依存性乳房障害あるいはホルモン依存性生殖器系障害は、良性の乳房障害、過
形成、異型性、異型乳管過形成、異型小葉過形成、増加した乳房密度、女性化乳房、DC
IS、LCIS、乳癌、性早熟症、マックーン-オルブライト症候群、子宮内膜癌、卵巣
癌、子宮癌、子宮頚癌、膣癌、および、外陰癌からなる群から選択される、上記項151
-156のいずれか1つに記載の方法。