(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126549
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】重要物収納装置
(51)【国際特許分類】
E05B 19/00 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
E05B19/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117145
(22)【出願日】2023-07-18
(62)【分割の表示】P 2019201224の分割
【原出願日】2019-11-06
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 克彦
(57)【要約】
【課題】鍵管理機は、既存の錠機構に対応しない形状のキーホルダの収納状態を確認するためには、新たな錠機構を設ける必要があるなどの手作業を要し、キーホルダ毎に固有の錠機構を備える必要があるため、大量のキーホルダの収納は困難である。
【解決手段】重要物収納装置は、RFIDタグを装着した重要物の収納ができる収納筐体と、収納筐体に収納されている重要物のRFIDタグから、当該RFIDタグに記録されている識別情報を示す信号を受け取る内部アンテナと、内部アンテナから信号を受信して、信号に基づいて識別情報を特定する内部情報特定部を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重要物の収納ができる複数の収納筐体を備える重要物収納装置であって、
前記重要物収納装置のユーザを示すユーザ情報と、前記重要物を示す情報である重要物情報とを、収納筐体毎に関連付けられた情報である収納情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部の前記収納情報を廃棄する入力である廃棄入力を受け入れる入力部と、
前記廃棄入力を受取った場合に前記記憶部が記憶している前記収納情報を更新する更新部と、
を備える重要物収納装置。
【請求項2】
前記重要物はRFIDタグを備え、
前記重要物収納装置は前記RFIDタグに記録されている識別情報を示す信号を受け取る外部アンテナと、
前記外部アンテナから前記信号を受信して、前記信号に基づいて前記識別情報を特定する外部情報特定部と、
をさらに備え、
前記外部情報特定部により特定した前記外部アンテナより受け取った前記識別情報を前記廃棄入力とする
請求項1に記載の重要物収納装置。
【請求項3】
前記廃棄入力に係る廃棄入力の理由の入力を受入れる操作表示部をさらに備え、
前記更新部は当該廃棄入力が示す前記識別情報を前記収納情報から削除すると共に、当該削除の旨と、前記廃棄入力の理由とを関連付けた廃棄履歴を前記記憶部に記憶させる
請求項2に記載の重要物収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、重要物収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の鍵を連結した固有のキーホルダが収納される複数の錠機構を備える鍵管理機であって、当該鍵を交換する鍵交換操作が可能な特殊操作部と、特殊操作部での操作の履歴を記憶する記憶部と、記憶部が記憶した履歴を印字するプリンタを備えることにより、使い勝手が良く、設定間違いなどを防止できる鍵管理機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の鍵を連結した固有のキーホルダに対応する錠機構を備えることで鍵を管理する鍵管理機は、キーホルダの収納状態を確認することが可能であっても、複数の鍵を個々に識別することはできず、よって、キーホルダから複数の鍵の少なくとも一部を交換する際には、特殊操作部で鍵交換操作を行う必要があった。
また、当該鍵管理機は、キーホルダ毎に固有の錠機構を備えるが、一つのキーホルダに連結できる鍵の数は限られ、よって、大量の鍵の収納は困難である。
本発明の目的は、上述した課題を解決する重要物収納装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る重要物収納装置は、重要物の収納ができる複数の収納筐体を備える重要物収納装置であって、前記重要物収納装置のユーザを示すユーザ情報と、前記重要物を示す情報である重要物情報とを、収納筐体毎に関連付けられた情報である収納情報を記憶する記憶部と、前記記憶部の前記収納情報を廃棄する入力である廃棄入力を受け入れる入力部と、前記廃棄入力を受取った場合に前記記憶部が記憶している前記収納情報を更新する更新部と、を備える構成とした。
【発明の効果】
【0006】
上記態様によれば、多様な態様に係る重要物の収納状態を確認するための手作業を削減でき、大量の重要物の収納状態が確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る重要物収納装置を示す図である。
【
図2】一実施形態に係る重要物収納装置の重要物の一例を示す図である。
【
図3】一実施形態に係る重要物収納装置の重要物の一例を示す図である。
【
図4】一実施形態に係る重要物収納装置の重要物の一例を示す図である。
【
図5】一実施形態に係る重要物収納装置の収納筐体の形状の一例を示した図である。
【
図6】一実施形態に係る重要物収納装置の収納筐体の形状の一例を示した図である。
【
図7】一実施形態に係る重要物収納装置の一部分の側断面図である。
【
図8】一実施形態に係る重要物収納装置の一部分の側断面図である。
【
図10】一実施形態に係る重要物情報の一例である。
【
図11】一実施形態に係る重要物収納装置の構成を示す図である。
【
図12】一実施形態に係る重要物収納装置の動作を示すフローチャートである。
【
図13】一実施形態に係る重要物収納装置の構成を示す図である。
【
図14】一実施形態に係る重要物収納装置を示す図である。
【
図15】一実施形態に係る重要物収納装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〈第1の実施形態〉
《重要物収納装置の構成》
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
図1は、第1の実施形態に係る重要物収納装置10を示す図である。
【0009】
重要物収納装置10は、多様な態様に係る重要物40の収納状態を確認するための手作業を削減でき、大量の重要物40の収納状態が確認できるものである。
重要物収納装置10は、収納装置本体11と、収納筐体110と、撮影部250と、外部アンテナ300と、操作表示部400と、制御装置500を備える。
【0010】
重要物40の例としては、鍵40Aと、鍵を連結したキーホルダ40Bと、カード40C、印鑑などが挙げられる。RFIDタグ50は、重要物40の内部に埋め込まれても良いし、重要物40の外部に取り付けられても良い。ここで、RFIDタグ50は、他と重複しない識別情報が記録されている。
【0011】
図2は、重要物40の一例を示す図である。
図2の鍵40Aは、鍵前を解錠するための道具であり、RFIDタグ50Aが内部に組み込まれているものである。鍵40Aの例としては、金属やプラスチックから構成されるものが挙げられる。鍵40Aは、外部にRFIDタグ50が取り付けられても良い。
【0012】
図3は、重要物40の一例を示す図である。
図3の鍵を連結したキーホルダ40Bは、キーホルダ43と、1つの鍵45と、により構成される。キーホルダ43は、連結具41と番号札42により構成される。連結具41は、番号札42と鍵45を連結するものである。連結具41の例としては、紐、リングなどが挙げられる。番号札42は、鍵45を連結したキーホルダ40Bを識別できる鍵番号44が記載される札である。
【0013】
番号札42は、鍵番号44の代わりに、鍵を連結したキーホルダ40Bを識別できる文字や記号が記載されても良い。また、番号札42は、鍵番号44が記載されず、色が付けられて、複数の番号札42が相互に識別できるようにしても良い。番号札42の内部には、RFIDタグ50Aが組み込まれている。鍵を連結したキーホルダ40Bは、番号札42の外部にRFIDタグ50が取り付けられたものでも良い。
【0014】
すなわち、(1)
図2に示すように、鍵40Aが、単体で他の鍵と確実に且つ容易に識別できるものであって、RFIDタグ50Aが内部に組み込まれるもの、または、外部に取り付けられるものについては、
図3のような番号札42は不要であり、他方、(2)鍵40Aが、単体で他の鍵と確実に識別できるか否かに関わらず、RFIDタグ50Aを内部に組み込めないもの、または、外部に取り付けにくいものの場合には、
図3に示すように、内部にRFIDタグ50Aを備えた番号札42を連結させ、さらに、(3)RFIDタグ50Aが内部に組み込まれる鍵40A、または、外部に取り付けられる鍵40Aであって、鍵40A単体では他の鍵と確実にまたは容易に識別できないものについては、内部にRFIDタグ50Aを備えていない番号札42を連結することで、これら一つ一つの鍵40Aについては、特異な外観形状または番号札42による目視での識別と、鍵40Aの内外または番号札42に内蔵されたRFIDタグ50Aによる電子的な識別が可能なものとなっていて、鍵40A一つには、必ず一つのRFIDタグ50Aが割り当てられることになる。
【0015】
図4は、重要物40の一例を示す図である。
カード40Cは、RFIDタグ50に記録されている識別情報に基づいて、機器の操作を可能とする道具であったり、ロック装置の解錠を行う道具であったりするもので、RFIDタグ50Bが内部に組み込まれている、いわゆるICカードと言われるものである。ここで、カード40Cは、この実施形態においては、重要物収納装置10で管理される他の機器等のための重要物40であるICカード(本重要物収納装置10を操作するためのICカードであるが、ユーザ未設定のICカードを含む)と、重要物収納装置10を操作するためのICカードの少なくとも二種に大きく区分することができる。前者のICカードについては被管理対象ICカードと称し、後者のICカードについては操作用ICカードと称す。また、このカード40Cは、その表面に、種々の印刷や、印字、シール貼り付けや、文字等の記録を行うことで、それ単体で他のカードとの目視での識別が確実且つ容易に行われるものである。
【0016】
図1における収納装置本体11は、略直方体で形成され、重要物収納装置10のユーザ20による複数の収納筐体110の引き出しができるように形成される。すなわち、収納装置本体11の前面には、収納筐体110の挿入を受け入れる複数の凹部が設けられる。
【0017】
上記の凹部に設けられる壁面は、通信遮断性を有する材料で構成される。上記の通信遮断性を有する材料の例としては、金属が挙げられる。収納筐体110が備える壁面のうち、収納装置本体11と接する壁面が通信遮断性を有する材料で構成される場合は、収納装置本体11の凹部に設けられる壁面を、通信遮断性を有しない構成にしても良い。
【0018】
収納筐体110は、RFID(Radio Frequency IDentifier)タグ50を装着した重要物40の収納ができる筐体である。収納筐体110は、収納装置本体11の凹部に挿入可能に構成される。第1の実施形態に係る重要物収納装置10は、収納筐体110を30個備えるが、異なる数の複数の収納筐体110を備えても良い。また、収納筐体110は、重要物40の態様に合わせて、相互に異なる大きさを有する複数の収納筐体110を備えても良い。
【0019】
収納筐体110は、収納装置本体11から引き出しできるように形成され、重要物収納装置10のユーザ20の引き出しにより、外部から開閉できるように構成される。なお、他の実施形態においては、収納筐体110は、収納装置本体11に固定され、収納筐体110の前面が開閉できるように構成されても良い。すなわち、他の実施形態に係る収納筐体110は、収納装置本体11の凹部を構成する複数の壁面と、凹部の開口部に設けられた開閉可能な蓋部とによって構成されるものであってもよい。
【0020】
収納筐体110の前面の上部には、番号板111が設けられる。番号板111には、当該番号板111を備える収納筐体110が識別できる筐体番号112が記載される。番号板111は、筐体番号112の代わりに、当該番号板111を備える収納筐体110が識別できる文字や記号を記載されても良い。また、番号板111は、筐体番号112が記載されず、当該番号板111収納筐体110が識別できるように、色が付けられても良い。
【0021】
筐体番号112は、鍵を連結したキーホルダ40Bの番号札42の鍵番号44と関連付けられても良い。例えば、鍵番号44が、1-1、1-2、1-3の場合、それぞれの数字1は筐体番号112が1であることと関連付けられている。これにより、ユーザ20は、鍵を連結したキーホルダ40Bの鍵番号44を視認することで、当該鍵を連結したキーホルダ40Bを収納すべき収納筐体110の筐体番号112を特定することができる。
【0022】
図5は、収納筐体110の形状の一例を示した図である。
収納筐体110Aは、上面が開口した直方体の形を成しており、両側面、底面、前面、および後面をなす5つの壁面を備える。他の実施形態において、収納筐体110Aが引き出しにより開閉できるものではない場合、収納筐体110Aは上面をなす壁面を備えても良い。
【0023】
収納筐体110Aの両側面をなす壁面には、内部アンテナ120Aが設けられる。収納筐体110Aの後面をなす壁面には内部アンテナ120Bが設けられる。収納筐体110Aの前面をなす壁面には、内部アンテナ120Cが設けられる。収納筐体110Aの底面をなす壁面には内部アンテナ120Dが設けられる。収納筐体110Aは、
図5に示すような態様だけでなく、少なくとも1つの壁面に内部アンテナ120が設けられるものであれば、内部アンテナ120の個数はこれに限られない。
【0024】
収納筐体110の壁面は、透明樹脂材で構成される。
また、1つ以上のアンテナの接続端子109が収納筐体110Aの後面に設けられ、収納筐体110Aが収納装置本体11の各凹部の最奥部に挿入されたときに、収納装置本体11の各凹部側の図示しない接続端子と接続されて、制御装置500と接続される。
【0025】
収納筐体110に重要物40が収納され、収納筐体110Aが収納装置本体11の各凹部の最奥部に挿入されると、当該収納筐体110の内部アンテナ120は、収納筐体110Aのアンテナの接続端子109と収納装置本体11の各凹部側の接続端子とが接続されることで、当該重要物40のRFIDタグ50から、RFIDタグ50に登録されている識別情報を示す信号を受け取ることができる状態となる。
【0026】
収納筐体110には、1つまたは複数の重要物40を収納することができる。収納筐体110の態様は、当該収納筐体110に収納される重要物40の個数や大きさなどにより多様な態様を有し得る。
【0027】
図7は、係止部116に取り付けられたソレノイドが駆動される場合の、
図1のAに係る部分の側断面図である。また、
図8は、係止部116に取り付けられたソレノイドが駆動されていない場合であり、収納筐体110が係止されているときの
図1のAに係る部分の側横断面である。
【0028】
被係止部114が後方に突出して、収納装置本体11の各凹部の後壁側に突出した被係止部114を、収納装置本体11の後方に取り付けられた係止部116が係脱する。また、係止部116と被係止穴115との係脱においては、ソレノイド駆動され、係止状態が解除される。収納筐体110が収納装置本体11の各凹部の最奥部に挿入される際に、機械的に非係止状態から係止状態となる。
【0029】
収納装置本体11の後方には、2種類のセンサが取り付けられる。当該センサは、収納筐体110が収納装置本体11の各凹部の最奥部に挿入されたことを検出する収納センサ108と、係止部116が被係止穴115に係止しうる状態にあることを検出する係止センサ107である。これらにより、収納センサ108が被係止部114を検出し、係止センサ107が、係止部116が被係止穴115に係止したときと同じ位置にあることを検出することで、収納筐体110が収納装置本体11の各凹部の最奥部に挿入されて係止(ロック)状態になる。よって、収納センサ108が被係止部114を検出しない限り、係止センサ107が、係止部116が被係止穴115に係止したときと同じ位置にあることを検出しても、収納筐体110が収納装置本体11の各凹部の最奥部に挿入されておらず、且つ、係止(ロック)解除状態になる。
【0030】
収納筐体110が収納装置本体11から引き出されるときには、
図7に示すように、ソレノイド駆動され、係止部116が上方向に持ち上げられる。係止部116が持ち上げられることにより、係止部116が被係止穴115から係脱されると、収納筐体110が引き出しできる状態となる。重要物収納装置10のユーザが収納筐体110を引き出すと、収納センサ108が被係止部114を検出できないことで、収納センサ108が収納筐体110の引き出しを検知する。当該収納筐体110の引き出しの検知により、係止部116のソレノイドの駆動が止まり、係止部116は係止部116に取り付けられたバネ105により、係止部116は下方向に移動し、ストッパ106により、固定される。
【0031】
重要物収納装置10のユーザが収納筐体110を押し込んで、収納装置本体11の各凹部の最奥部に挿入するとき、係止部116はソレノイド駆動しない。押し込まれた収納筐体110の後方に取り付けられた被係止部114により、係止部116のバネ105が縮まり、係止部116が上方向に持ち上げられた後、被係止穴115に、係止部116が挿入されることで、係止状態となる。すなわち、収納筐体110が引き出されるときは、ソレノイド駆動が行われるが、収納筐体110が収納装置本体11の各凹部の最奥部に押し込まれるときは、上記のように、ソレノイド駆動はせず、バネ105などにより、収納筐体110が係止状態となる。
【0032】
収納装置本体11は、収納筐体110の壁面と対向する凹部の内側に発光素子(図示せず)を備える。発光素子は、制御装置500から受け入れた信号により異なる色を発光する。発光素子が発光する光は、透明樹脂材で形成された収納筐体110の内部で散乱する。これにより、重要物収納装置10のユーザ20には、収納筐体110の全体が発光しているように見える。これにより、重要物収納装置10のユーザ20は、複数の収納筐体110がそれぞれ備える発光素子が発光した色を視認できる。
また、発光素子は、制御装置500から受け入れた信号により、発光を止める。
【0033】
図6は、収納筐体110の形状の一例を示した図である。
収納筐体110は、
図6の収納筐体110Bのように、仕切板113を備えても良い。仕切板113は、収納筐体110Bの内部に複数が存在しても良い。また、仕切板113は、
図6の態様とは異なり、例えば、収納筐体110の前面と後面の壁面に接するように、収納筐体110に備えられても良い。
【0034】
仕切板113により仕切られた収納筐体110Bには、仕切られた空間に異なる重要物40を収納しても良い。例えば、仕切板113と収納筐体110Bの前面の壁面により囲まれた空間には、鍵を連結したキーホルダ40Bが収納され、仕切板113と収納筐体110Bの後面の壁面により囲まれた空間には、被管理対象ICカードであるカード40Cが収納されても良い。
【0035】
仕切板113は、
図6に示すように、内部アンテナ120Eを備えても良い。内部アンテナ120Eは収納筐体110Bの前面の壁面に対向するように設けられる。内部アンテナ120Eは、対向する収納筐体110Bの前面の壁面の間の空間に収納されている重要物40のRFIDタグ50から、RFIDタグ50に登録されている識別情報を示す信号を受け取る。内部アンテナ120Eは、収納筐体110Bの後面の壁面に対向するように設けられ、対向する収納筐体110Bの後面の壁面の間の空間に収納されている重要物40のRFIDタグ50から、RFIDタグ50に登録されている識別情報を示す信号を受け取っても良い。
【0036】
内部アンテナ120Eは、他の内部アンテナ120A~120Dと同様に、仕切板113及び収納筐体110Bが備える回線を通じて、収納筐体110Aの後面に設けられた接続端子109まで導かれ、収納筐体110Aが収納装置本体11の各凹部の最奥部に挿入されたときに、収納装置本体11の各凹部側の図示しない接続端子と接続されて、制御装置500と接続する。
【0037】
内部アンテナ120Aと内部アンテナ120Dは、
図6に示すように、仕切板113より仕切られた収納筐体110の内部区間の裏側に設けられているが、当該内部空間の前側に設けられても、当該内部空間の裏側及び前側の両方に設けられても良い。
【0038】
撮影部250は、制御装置500から信号を受信し、重要物40の画像を撮影する。撮影部250の例としては、ウェブカメラが挙げられる。また、撮影部250は、重要物収納装置10が置かれている机上などを含む前面周辺空間を撮影し、この撮影空間に入り込んだ重要物40を認識して重要物40の画像を特定または切り出すようにしても良い。
【0039】
外部アンテナ300は、RFIDタグ50を装着した物の当該RFIDタグ50から、当該RFIDタグ50に記録されている識別情報を読み出すもので、外部アンテナ300にかざしたものが操作用ICカードであるカード40Cの場合には、読み出した識別情報に基づいて、記憶部220に予め登録されたユーザ情報をさらに読み出す。これに対して、外部アンテナ300にかざしたものが本重要物収納装置10で管理される重要物40の場合には、読み出した識別情報に基づいて、記憶部220に予め登録された当該重要物40を示す重要物情報をさらに読み出す。
図1に示すように、外部アンテナ300は収納装置本体11の前面の壁面に設けられる。
【0040】
図9は、記憶部220に記憶される、ユーザ情報の一例を示すテーブルを示す図である。ユーザ情報とは、重要物収納装置10のユーザ20を示す情報であり、ユーザ20毎の固有の情報である。ユーザ情報には、ユーザ20を識別できる4桁程度のID(IDentification)が含まれる。また、ユーザ情報には、ユーザ20毎に固有に与えられる識別情報が含まれ、この識別情報は、当該ユーザ20に与えられた操作用ICカードであるカード40Cに搭載されるRFIDタグ50に記録される識別情報であって、重要物40のRFIDタグ50にも記録される識別情報と同種・同等のものである。また、ユーザ情報には、識別情報に関連付けられたユーザ20の氏名と、当該ユーザ20の管理権限の有無を示す区分が含まれる。
【0041】
アクセス権Sとは、当該ユーザ20から認証を受けることで、当該ユーザ20の収納筐体110の操作を許容する収納筐体110の筐体番号112を示す。アクセス権Wとは、当該ユーザ20から認証を受けるだけでなく、ユーザ情報のうち、区分が管理者であるユーザ20からの認証も受けたときに、当該ユーザ20の収納筐体110の操作を許容する収納筐体110の筐体番号を示す。例えば、ユーザ情報のうち、IDが1903のユーザ20は、筐体番号が3の収納筐体110を操作するためには、IDが1903のユーザ20の認証が必要である。他方、当該ユーザが、筐体番号112が21の収納筐体110を操作するためには、IDが1300のユーザ20若しくはIDが1588のユーザ20である管理者からの認証も必要となる。なお、ここでは、ユーザ20と管理者二人による認証を、便宜上、ダブル認証と称す。また、二人目は管理者である必要は無く、異なるユーザ20であっても良い。
【0042】
なお、重要物収納装置10にユーザ20の生体認証ができる装置を設け、ユーザ情報として、ユーザ20の識別情報に生体情報を関連付けても良い。生体情報の例としては、指静脈に係る生体情報と、掌静脈に係る生体情報と、顔認証に係る生体情報と、が挙げられる。
【0043】
操作表示部400は、タッチパネル式のディスプレイ装置である。操作表示部400は、ユーザ20から、ユーザ情報や暗証番号の入力と、ユーザ20が操作しようとする収納筐体110の入力と、RFIDタグ50に記憶された識別情報に関連付けて記憶させるユーザ情報や重要物情報の入力と、を受け入れる。
【0044】
また、操作表示部400は、出力部の一例として、差分特定部170により特定された差分識別情報と、記憶部220が記憶する収納情報をユーザ20に表示する。収納情報とは、ユーザ情報と、重要物情報とを、収納筐体110毎に関連付けられた情報である。
【0045】
図10は、記憶部220に記憶される、重要物情報の一例を示すテーブルを示す図である。重要物情報とは、重要物40を示す情報であり、重要物40毎の固有の情報である。重要物情報は、重要物40に貼り付けられたり、内蔵されたり、番号札42などのようにして連結されたものに設けられたRFIDタグ50固有の識別情報と、重要物適用情報と、当該重要物40が収納される収納筐体110の筐体番号112が記載される保管場所と、画像情報と、により構成される。重要物適用情報は、操作表示部400に表示される情報であり、ユーザ20が当該重要物適用情報により、重要物を認識できるようになる。他方、重要物40の重要物情報の例としては、当該重要物40によって操作可能な機器名称や機器号機番号であったり、車輌種別や車両番号等であったり、重要物保管ロッカー名や書庫名情報などが挙げられる。
【0046】
操作表示部400は、重要物収納装置10のユーザ20から、新たな収納情報を追加する入力である追加入力と、既存の収納情報を削除する入力である削除入力を受け入れる。操作表示部400は、ユーザ20から、撮影部250により、画像を撮影する旨の入力を受け入れる。
【0047】
図11は、制御装置500の構成を示す概略ブロック図である。
制御装置500は、内部情報特定部125と、差分特定部170と、記憶部220、更新部240と、指示部280と、を備える。
【0048】
内部情報特定部125は、収納筐体110の係止が一旦解除され、その後再び収納筐体110が係止状態となった後に、内部アンテナ120から、RFIDタグ50に記録されている識別情報を示す信号を受信して、当該信号に基づいて、識別情報及び、当該識別情報が示すRFIDタグ50を装着した重要物40を特定する。この際、収納筐体110に内部アンテナ120が複数設けられている場合には、これらを順番に走査する・複数回走査することで、収納される重要物40に装着されたRFIDタグ50の読み取り漏れを回避する。
【0049】
例えば、
図1の重要物収納装置10は、収納筐体110を30個備える。
図5に示すように、各収納筐体110は、内部アンテナ120を5個備える。これにより、内部情報特定部125は、各収納筐体110が収納装置本体11の各凹部に収納されているとき、内部アンテナ120の150個と有線で繋がっている。他方、収納装置本体11の凹部から一旦引き出されて再び収納される収納筐体110は原則一つずつに限定されるので、当該一つの収納筐体110に設けられた5個の内部アンテナ120から受信した信号に基づいて、識別情報を特定する。つまり、収納筐体110の引き出し押し込み動作を原則一つに限定することで、内部情報特定部125は、識別情報を受信する内部アンテナ120を特定できることにより、対象となる収納筐体110のRFIDタグ50を装着した重要物40のみを特定することができる。なお、一つの収納筐体110に複数の内部アンテナ120が設けられる場合には、さらに、複数の内部アンテナ120を、タイミングをずらして走査する。
【0050】
記憶部220は、収納情報を記憶する記憶装置である。すなわち、ユーザ情報は、操作表示部400によって入力されたIDまたは外部アンテナ300によって操作用ICカードから読み取られた識別情報に加えて、操作表示部400によって入力されたパスワードで特定されるユーザ20ごとに、ユーザ20自身を特定する氏名などの情報に加えて、当該ユーザ20にアクセス権限が与えられた収納筐体110の情報である。また、重要物情報は、重要物40に取り付けられたRFIDタグ50の識別情報毎に、当該重要物40の、例えば、名称や使用される機器名・号機などの重要物情報と、当該重要物40が収納されるべき収納筐体110情報、例えば、筐体番号112である。そしてこれらの情報から、収納筐体110ごとに、その筐体番号112を基準として、収納されるべき重要物40がいずれであるかと、アクセスできるユーザ20は誰であるかを確認できることになる。
【0051】
加えて、記憶部220は、重要物収納装置10にユーザ20がアクセスしてから、アクセス解除(操作終了)するまでのすべての操作、及び、当該操作によって検出される重要物40の取り出しまたは収納(返却)結果状況を、その処理時刻情報とともに、検索可能に履歴として記憶する。以下、個々の操作、検出動作等の説明においては、明記しないが、個々の操作情報、検出結果情報等は、その処理時刻情報とともに、検索可能に記憶部220に履歴として記憶されるものとする。
記憶部220の例としては、ハードディスク、オンプレミスストレージ、クラウドストレージが挙げられる。
【0052】
差分特定部170は、ユーザ20がアクセスした収納筐体110に対して、内部情報特定部125が特定した識別情報が変化した場合、変化前後で相違する識別情報を示す差分識別情報を特定する。すなわち、差分特定部170は、収納筐体110が開けられた後であって、さらにその後に収納筐体110閉められたときに、収納筐体110が収納している重要物40の識別情報が変化した場合は、内部情報特定部125が特定する識別情報が変化するため、差分識別情報を特定する。
【0053】
例えば、重要物収納装置10の一つの収納筐体110に、重要物40である鍵40Aまたは重要物40である鍵を連結したキーホルダ40Bが収納されており、当該鍵40Aまたはキーホルダ40Bがユーザ20により、重要物収納装置10の一つの収納筐体110から取り出された場合、鍵40Aまたはキーホルダ40Bの識別情報が変化するため、すなわち、収納筐体110の引き出し直前には鍵40Aまたはキーホルダ40Bの識別情報が収納されているものとして記憶されていたものが、収納筐体110が閉められた直後には、鍵40Aまたはキーホルダ40Bの識別情報が検出できないことから、取り出されたものとして記憶することとなり、差分特定部170は、鍵40Aまたはキーホルダ40Bの識別情報を取り出された差分識別情報として特定する。
【0054】
また、重要物収納装置10の収納筐体110に、重要物40である鍵40Aまたは重要物40である鍵を連結したキーホルダ40Bが収納(返却)された場合、この重要物40に関わる識別情報が変化するため、すなわち、当該識別情報が、存在しない状態から存在する状態に変わることで、差分特定部170は、重要物40である鍵40Aまたは鍵を連結したキーホルダ40Bの識別情報を収納(返却)された差分識別情報として特定する。
【0055】
同様に、被管理対象ICカードであるカード40Cの出し入れがあった場合も、取り出し後、または、収納後において、差分があるものとして、差分特定部170はこれを特定する。
【0056】
更新部240は、撮影部250が撮影した画像及び操作表示部400が受け入れた追加入力及び削除入力に基づいて、記憶部220が記憶している収納情報を更新する。
【0057】
外部情報特定部290は、外部アンテナ300から、外部アンテナ300が受け取った重要物40またはユーザ20に関わるRFIDタグ50の識別情報を示す信号を受信し、当該信号に基づいて当該識別情報を特定する。
【0058】
例えば、外部情報特定部290が、重要物40のRFIDタグ50の識別情報を特定し、操作表示部400が、重要物40の重要物情報(そのものの名称、用途、装置などであれば号機情報など)および当該重要物40を収納すべき収納筐体110の筐体番号112の入力を受け入れた場合、更新部240は、上記識別情報や、重要物情報、筐体番号112により、記憶部220に記憶されている収納情報を更新する。また、更新部240は、撮影部250により、重要物40の画像情報を受け入れた場合、当該画像情報を用いて、記憶部220に記憶されている収納情報を更新する。また、操作表示部400が、収納情報の削除の入力を受け入れた場合、当該入力に基づいて、記憶部220が記憶している収納情報を更新する。
【0059】
収納筐体特定部260は、ユーザ情報が入力されると、当該ユーザ情報と当該ユーザ情報に係るユーザによる操作を許容する前記収納筐体が関連付けられた情報である筐体権限情報に、当該ユーザ情報を照らし合わせて、当該ユーザ情報に係るユーザによる操作を許容する収納筐体110を特定する。
【0060】
指示部280は、ユーザ20が、当該ユーザ20にアクセス権限が与えられた収納筐体110の一つ以上を操作表示部400により選択したときに、選択した一つ以上の収納筐体110の係止状態を解除する。具体的には、指示部280は、収納筐体110の係止部116のソレノイドを駆動するように指示をすることにより、収納筐体110の係止状態を解除する。また、指示部280は、係止センサ107が係止部116を検出できないことで、収納筐体110の係止が解除された場合、収納筐体110に係る発光素子が白色に発光するように指示する。また、指示部280は、収納筐体110が収納装置本体11に挿入され、収納センサ108が被係止部114を検出し、且つ、係止センサ107が係止部116を検出した場合、白色で発光している発光素子が発光を止めるように指示する。さらに、指示部280は、操作表示部400から、撮影部250に撮影する旨の入力を受け入れて、撮影部250が撮影するように指示する。
【0061】
認証部291は、ユーザ20のIDと、暗証番号とが関連付けられた情報である認証情報を照らし合わせて、ユーザ20を認証する。認証情報は記憶部220に記憶される。
【0062】
記録部292は、重要物収納装置10に入力された内容を記憶部220に記録する。例えば、記録部292は、ユーザ20が操作表示部400に入力した内容を記憶部220に記録する。
【0063】
《重要物収納装置の動作》
以下、重要物収納装置10の動作について説明する。
図12は、第1実施形態に係る重要物収納装置10の動作を示すフローチャートである。
【0064】
ユーザ20がユーザ20のIDを操作表示部400に入力し、その後、暗証番号を入力する(ステップS1)。
【0065】
認証部291は、ステップS1において操作表示部400が受け入れたID及び暗証番号を、記憶部220が記憶している認証情報に照らし合わせて、ユーザ20を認証する(ステップS2)。暗証番号が正しくないことで、認証部291が認証できない場合、操作表示部400は、エラーの旨を表示する。また、記録部292は、ステップS1及びステップS2におけるユーザ20の入力や、認証部291の認証の内容を記憶部220に記録する。なお、ID及び暗証番号による認証の代わりに、生体情報による認証や、外部アンテナ300に、ユーザ20がIDカードをかざすことで、外部情報特定部290が特定したユーザ情報での認証が行われても良い。
【0066】
収納筐体特定部260が、ユーザ20のユーザ情報を、記憶部220が記憶している筐体権限情報に照らし合わせて、ユーザ20が選択できる収納筐体110を特定する。操作表示部400は、記憶部220が記憶しているユーザ情報を参照して、ステップS2で認証されたユーザ20に関連付けられたアクセス権Sの内容を示す画面を表示する(ステップS3)。つまり、当該画面により、ユーザ20は、シングル認証により、操作できる筐体番号112を把握できる。当該画面は、例えば、アクセス権Sに係る筐体番号112は強調表示(濃い表示)され、アクセス権Sが関連付けられていない筐体番号は、非強調表示(薄い表示)される。
【0067】
また、ユーザ20に関連付けられたアクセス権Wに係る筐体番号は、上記強調表示及び非強調表示とは異なる態様の表示をする。また、色分けにより、アクセス権Sに係る筐体番号112を表示しても良い。なお、指示部280が、ユーザ20に関連付けられたアクセス権Sに係る筐体番号112の収納筐体110の発光素子が点滅するように、発光素子に指示しても良い。
【0068】
ユーザ20が、ステップS3の画面でアクセス権Sに係る筐体番号112を選択する(ステップS4)。ユーザ20が、ステップS3の画面でアクセス権Wに係る筐体番号112を選択した場合は、操作表示部400がさらに、区分が管理者であるユーザ20のID及び暗証番号の入力を求める旨のメッセージを表示し、当該管理者の入力及び認証部291の認証が行われる。また、ステップS4におけるユーザの選択も、記録部292が記憶部220に記録する。
【0069】
指示部280は、ステップS4で選択された収納筐体110の係止部116にソレノイド駆動を指示することで、当該収納筐体110の係止を解除し、発光素子を白色に発光させる(ステップS5)。ステップS4において、ユーザ20が選択した筐体番号112が1つである場合は、操作表示部400が、当該筐体番号112に係る収納筐体110に収納されている重要物40の一覧を表示しても良い。また、ステップS4において、ユーザ20が選択した筐体番号112が複数である場合は、ユーザ20が、当該選択に係る筐体番号112に係る収納筐体110に収納されている重要物40の一覧を参照できるように、操作表示部400が、表示アイコンを画面に表示しても良い。当該一覧の表示で重要物40が多い場合は、スクロールを用いて表示しても良い。
【0070】
ユーザ20が、一定時間以内にステップS4で選択した収納筐体110を引き出す(ステップS6)。この後、収納センサ108が、被係止部114が検出できないことで、収納筐体110の引き出しを検出すると、指示部280は、係止部116のソレノイド駆動を止める。また、ユーザ20が一定時間以内に、ステップS4で選択した収納筐体110を引き出していない場合は、指示部280は、係止部116のソレノイド駆動を止めるとともに発光素子による白色発光も止め、操作表示部400は、再度ステップS1に戻り、ユーザ20がID及び暗証番号を入力するようにメッセージを表示する。
【0071】
ユーザ20が、ステップS6で引き出した収納筐体110から重要物40を取り出す。又は、ユーザ20が、ステップS6で引き出した収納筐体110に重要物40を収納する(ステップS7)。
【0072】
ユーザ20は、ステップS6で引き出した収納筐体110を収納装置本体11に押し込み、挿入する(ステップS8)。これにより、収納筐体110の係止部116が被係止部114の被係止穴115に挿入されることにより係止される。また、収納センサ108が被係止部114を検出し、且つ、係止センサ107が係止部116を検出することで、収納筐体110の係止を検出する。
【0073】
ステップS8で挿入された収納筐体110の内部アンテナ120が、重要物40を走査し、重要物40のRFIDタグから識別情報の信号を受け取る(ステップS9)。
【0074】
内部情報特定部125は、ステップS9で受け取った信号により、識別情報を特定する(ステップS10)。
【0075】
差分特定部170は、ステップS6で収納筐体110が引き出される前に内部情報特定部125が特定していた識別情報、より正確には、当該収納筐体110がそれ以前の引き出し・収納を行ったときに特定して記憶した識別情報と、ステップS10で内部情報特定部125が特定した識別情報とを照らし合わせて、差分識別情報を特定する(ステップS11)。ステップS6で収納筐体110が引き出される前に内部情報特定部125が特定した識別情報には存在し、ステップS10で内部情報特定部125が特定した識別情報には存在しない差分識別情報については、操作表示部400は、例えば、当該識別情報に係る重要物が取り出された旨のメッセージを表示する。
【0076】
他方、ステップS6で収納筐体110が引き出される前に内部情報特定部125が特定した識別情報には存在しなく、ステップS10で内部情報特定部125が特定した識別情報には存在する差分識別情報については、操作表示部400は、記憶部220の重要物情報に照らし合わせて、(1)ステップS6で引き出された収納筐体110が、当該差分識別情報に係る重要物40に関連付けられた収納筐体110である場合は、当該重要物40が収納された旨のメッセージを操作表示部400が表示し、(2)ステップS6で引き出された収納筐体110が、当該差分識別情報に係る重要物40に関連付けられた収納筐体110でなく、他の収納筐体110である場合は、当該重要物40が誤って収納された旨のメッセージを操作表示部400が表示し、(3)ステップS6で引き出された収納筐体110が、当該差分識別情報に係る重要物40に関連付けられた収納筐体110でなく、他の収納筐体110でもない場合は、当該重要物40が非管理対象物である旨のメッセージを操作表示部400が表示する。また、ステップS11で特定された差分識別情報は、記録部292が記憶部220に記録する。
【0077】
また、上記(2)や(3)の場合は、そのまま、重要物40が収納されないように、指示部280が、警告音を出すように指示する他、発光素子を警告色で発光させる。この場合、誤収納に関わる重要物40等を取り出す制御が行われることになる。
【0078】
また、上記(2)や(3)の場合、ステップS5の動作に戻り、指示部280は、ステップS4で選択された収納筐体110の係止部116にソレノイド駆動を指示することで、当該収納筐体110の係止を再度解除し、発光素子を白色に発光させても良いし、警告色のままで点滅発光に変えても良い。これにより、重要物収納装置10は、ユーザ20に、正しく操作するように喚起することができる。
【0079】
また、上記(2)の場合に重要物収納装置10は、重要物40が誤って収納された旨のメッセージを操作表示部400が表示してから予め設定された時間が経過した場合、又は当該重要物40が誤って収納された旨のメッセージを予め設定された回数の以上に操作表示部400が表示した場合、重要物収納装置10の動作を中止させて、取り扱い中止のメッセージを表示しても良い。
【0080】
また、上記(3)の場合に重要物収納装置10は、重要物40が非管理対象物である旨のメッセージを操作表示部400が表示してから予め設定された時間が経過した場合、又は重要物40が非管理対象物である旨のメッセージを予め設定された回数の以上に操作表示部400が表示した場合、重要物収納装置10の動作を中止させて、取り扱い中止のメッセージを表示しても良い。
【0081】
また、重要物収納装置10は、記憶部220に重要物40の画像を記録して、当該画像と、撮影部250が撮影した重要物40の画像を照らし合わせて、CNN(Convolutional Neural Network)などの手法により類似度を算出し、当該類似度が予め設定された閾値以上の場合は、撮影部250が撮影した画像を重要物40の画像として特定しても良い。重要物40の画像として特定された場合、重要物収納装置10は、ユーザ20が操作する収納筐体110を特定しても良い。これにより、ユーザ20は、重要物40の収納(返却)動作を自動的に進めることができる。
【0082】
また、重要物収納装置10は、外部アンテナ300からRFIDタグ50に記録されている識別情報を示す信号を受け取って、外部情報特定部290が識別情報を特定するようにしても良い。この場合、重要物収納装置10は、外部情報特定部290が特定した当該識別情報により、当該識別情報に係る重要物40が収納されるべき収納筐体110を特定しても良い。
【0083】
《作用・効果》
このように、第1の実施形態によれば、重要物収納装置10は、重要物40の一つ一つにRFIDタグ50を装着した上で、RFIDタグ50を装着した重要物40の収納ができる収納筐体110と、収納筐体110に収納されている重要物40のRFIDタグ50から、当該RFIDタグ50に記録されている識別情報を示す信号を受け取る内部アンテナ120と、内部アンテナ120から信号を受信して、信号に基づいて識別情報を特定する内部情報特定部125を備える。
【0084】
上記の構成の重要物収納装置10によれば、重要物収納装置10は、RFIDタグ50を装着した重要物40の収納ができる収納筐体110を備え、当該重要物40一つ一つの識別情報を特定できる。このため、重要物収納装置10のユーザ20は、多様な態様に係る重要物40の収納状態を確認するための手作業を削減でき、大量の重要物40の収納状態が確認できる。
【0085】
また、第1の実施形態によれば、重要物収納装置10は、複数の前記収納筐体110と、複数の収納筐体110それぞれに対応して設けられる複数の内部アンテナ120を備え、内部アンテナ120は、対応する収納筐体110に収納されている重要物40のRFIDタグ50から、信号を受け取り、内部情報特定部125は、内部アンテナ120から信号を受信して、信号に基づいて識別情報を特定する。特定された重要物40については、識別情報に関連付けて記憶部220に記憶された重要物情報を操作表示部400に表示できる。
【0086】
このように構成すると、重要物収納装置10のユーザ20は、取り出した重要物40または収納(返却)した重要物40の一つ一つを確実に表示できる。
【0087】
また、第1の実施形態によれば、収納筐体110は、外部からの開閉が可能に構成され、内部情報特定部125は、収納筐体110が開けられた後に再び収納筐体110が閉められた後に識別情報を特定する。
【0088】
このように構成すると、重要物収納装置10は、重要物収納装置10の収納筐体110が開けられた後であって再び閉じられた度に、重要物収納装置10に収納されている重要物40が装着したRFIDタグ50に記憶されている識別情報を特定する。これにより、重要物収納装置10のユーザ20は、重要物収納装置10の収納に係る上記識別情報を漏れなく取得することができ、より厳密に重要物40を管理できる。すなわち、アクセスされて開閉された収納筐体110に対してのみ、重要物40に装着されたRFIDタグ50に記憶されている識別情報を特定するだけで良く、効率性が良い。
【0089】
また、重要物収納装置10は、重要物収納装置10のユーザ20を示すユーザ情報が入力されると、当該ユーザ情報と当該ユーザ情報に係るユーザによる操作を許容する前記収納筐体が関連付けられた情報である筐体権限情報に、当該ユーザ情報を照らし合わせて、当該ユーザ情報に係るユーザによる操作を許容する収納筐体110を特定する収納筐体特定部260と、を備える。
【0090】
これにより、ユーザ20は、重要物収納装置10に重要物40を収納又は取り出す場合における操作に係る手間を削減でき、操作性を向上できる。
【0091】
また、第1の実施形態によれば、重要物収納装置10は、内部情報特定部125が特定した識別情報が変化した場合、変化前後で相違する識別情報を示す差分識別情報の特定を行う差分特定部170と、差分識別情報に基づいた重要物情報を出力する出力部を備える。
【0092】
このように構成すると、重要物収納装置10のユーザ20は、ユーザ20が重要物収納装置10に収納し、または取り出した重要物40の識別番号に基づいた重要物情報を確認することができるため、誤認による収納または取り出しを減らすことができる。
【0093】
また、重要物収納装置10は、ユーザ情報と、重要物情報とを、収納筐体110毎に関連付けられた情報である収納情報を記憶する記憶部220を備え、出力部は、収納情報を出力する。
【0094】
このように構成すると、重要物収納装置10のユーザ20は、記憶部220に記憶されている収納情報を確認することができるため、誤認による重要物収納装置10への重要物40の収納または取り出しを減らすことができる。
【0095】
また、重要物収納装置10は、収納筐体110に収納されていない重要物40のRFIDタグ50から、当該RFIDタグ50に記録されている識別情報を示す信号を受け取る外部アンテナ300と、外部アンテナ300から信号を受信して、信号に基づいて識別情報を特定する外部情報特定部290と、を備える。
【0096】
これにより、ユーザ20が外部アンテナ300を用いて識別情報を入力することができ、重要物40の収納に係る手間を削減することができる。
【0097】
また、重要物収納装置10は、新たな前記収納情報を追加する入力である追加入力または、既存の収納情報を削除する入力である削除入力を受け入れ、記憶部220が記憶している収納情報を更新する更新部240と、を備える。
【0098】
このように構成すると、重要物収納装置10のユーザ20は、記憶部220に記憶されている収納情報を簡単に更新することができる。
【0099】
また、重要物収納装置10は、重要物40が写る画像を撮影する撮影部250を備え、重要物情報には、撮影部250が撮影した画像と重要物40とが関連付けられた情報が含まれる。
【0100】
このように構成すると、重要物収納装置10のユーザ20は、ユーザ20が確認できる収納情報に、重要物40の画像を加えることができるため、誤認による重要物40の収納及び取り出しを減らすことができる。また、撮影部250が撮影した画像をトリガとした、重要物40の収納(返却)動作を自動的に進めることができる。
【0101】
また、第1の実施形態に係る重要物収納装置10によれば、記録部292は、重要物収納装置10にユーザ20がアクセスしてから、アクセス解除(操作終了)するまでのすべての操作、及び、当該操作によって検出される重要物40の取り出しまたは収納(返却)結果状況を、その処理時刻情報とともに、検索可能に記憶部220に記録する。
このように構成すると、個々の操作情報、検出結果情報等は、その処理時刻情報とともに、検索可能に記憶部220に記憶される。
【0102】
なお、第1実施形態に係る重要物収納装置10に、遠隔操作部を設けても良い。当該遠隔操作部は、移動体通信端末またはパーソナルコンピューターであり、操作表示部400と同様の機能を有する。上記の移動体通信端末の例としては、スマートフォンやタブレット端末が挙げられる。また、当該遠隔操作部には、種々のRFIDタグ50に記憶された識別情報の入力を受け入れる、ハンディのRFIDタグリーダを設けても良い。また、当該遠隔操作部に、撮影部250を設け、重要物40の撮影を可能にしても良い。そして、遠隔操作部は、特に、新たな重要物40の追加入力や不要となった重要物40の削除入力に行うことのみならず、管理者を含むユーザ20についても、新たなユーザ20の追加入力や不要となったユーザ20の削除入力を可能とすべく、主として、管理者が操作できるように制御される。なお、重要物40の削除入力またはユーザ20の削除入力を行ったとしても、履歴においてはこれらの記録は残る。
【0103】
なお、収納筐体110に内部アンテナ120を設けず、収納筐体110が収納される収納装置本体11の凹部の壁面に内部アンテナ120を設けて、重要物40を走査するようにしても良い。さらには、これらを組み合わせて、収納筐体110の5面と収納装置本体11の凹部の壁面5面のいずれかに内部アンテナ120が都合6面、すなわち、収納筐体110の全6面を囲むように配置して、重要物40を走査するようにしても良い。
【0104】
〈第2の実施形態〉
以下、第2の実施形態に係る重要物収納装置10について説明する。
図13は、第2の実施形態に係る重要物収納装置10の制御装置500を示す図である。第2の実施形態に係る重要物収納装置10の制御装置500の構成は、第1の実施形態に係る重要物収納装置10の制御装置500の構成に加えて、重要物指定部270と、指定差分確認部293と、を備える。
【0105】
ユーザ情報が入力されると、当該ユーザ情報と当該ユーザ情報に係るユーザ20による操作を許容する筐体権限情報に従って、当該ユーザ20による操作を許容する収納筐体110及び当該収納筐体110に収納されている重要物40が特定される。ここにおいて、ユーザ20は、操作表示部400を操作することにより、これから取り出したい重要物40を指定することができる。
【0106】
すなわち、第1実施形態に係る重要物収納装置10のフローチャートのステップS4前においては、筐体番号112の選択前であるので、当該ユーザ20による操作を許容するすべての収納筐体110に収納されるすべての重要物40の一覧が、操作表示部400に指定可能に表示される。また、同ステップS4後においては、筐体番号112の選択後であるので、当該ユーザ20による操作を許容する選択された収納筐体110に収納される重要物40の一覧が、操作表示部400に指定可能に表示され、一以上の重要物40がこれから取り出すべき重要物40として指定される。重要物指定部270は指定された上記重要物40を記憶する。その際、一般的に、ステップS4後に表示される重要物40の一覧数は、ステップS4前に表示される重要物40の一覧数よりも少ないが、画面スクロールなどにより、適宜、表示と選択指定を可能とする。
【0107】
《重要物の取り出しの動作》
以下、重要物40を取り出す場合の動作について説明する。
【0108】
第1実施形態に係る重要物収納装置10のフローチャート(
図12)に基づいて、特に、その変更点を中心に説明する。ステップS1からステップS3までは、第1実施形態に係る重要物収納装置10と同様である。
【0109】
ステップS4前後のいずれにおいても、重要物指定部270により、ユーザ20が取り出そうとする重要物40を指定できるように、操作表示部400において、当該重要物40に係る重要物適用情報を表示する。そして、取り出そうとする重要物40を指定することで、重要物指定部270は指定された重要物40を記憶するとともに、この指定操作がステップS4前であっても、当該重要物40が収納される収納筐体110が自ずと特定されることになる。これにより、ステップS4後に進む。
【0110】
ステップS5からステップS11までは、第1実施形態に係る重要物収納装置10と同様である。ステップS11後において、指定差分確認部293は、重要物指定部270が記憶している重要物40の識別情報と、ステップS11において特定された差分識別情報と、を照らし合わせて、当該重要物40の識別情報と、差分識別情報と、が同一であるか否かを判定する。
【0111】
指定差分確認部293が、上記したステップS4前後で重要物指定部270が記憶した指定された重要物40の識別情報と、ステップS11で特定された差分識別情報とが異なると判定した場合は、ステップS5に戻り、指示部280は警告音を発生させ、発光素子を警告色で光らせる。また、操作表示部400が、当該異なる差分識別情報に関わる重要物40を再度取り出し・収納して、指定した重要物40を正しく取り出すようにメッセージを表示する。加えて、規定時間または規定回数エラーが解消されない場合は、本装置の動作を中止する。
【0112】
《作用・効果》
重要物収納装置10は、ユーザ情報が入力されると、当該ユーザ情報と当該ユーザ情報に係るユーザ20による操作を許容する筐体権限情報に従って、当該ユーザ20による操作を許容する収納筐体110及び当該収納筐体110に収納されている重要物40を指定する重要物指定部270を備える。そして、指定された重要物40と、取り出し操作後の差分識別情報とを比較することにより、これから取り出したい重要物40として指定したものが、正しく取り出されたかを確認する。
【0113】
これにより、ユーザ20は、重要物収納装置10から重要物40を取り出す場合において、目的を持った取り出し操作と、その確認動作を行うことができ、より厳格な取り扱いを行うことができる。
【0114】
〈第2の実施形態の変形例〉
上記の第2の変形例においては、これから取り出したい重要物40として指定したものが、正しく取り出されたかを確認できるとともに、取り出し操作後の差分識別情報とが異なる場合(指定差分識別情報)は、これらが一致する(指定差分識別情報が無くなる)まで、収納・取り出しを繰り返すように説明したが、これに限るものではなく、取り出そうとする重要物40を指定する際に、指定間違いや、指定漏れなどがあることを鑑みて、指定したものとは異なるものとして特定された指定差分識別情報については、これらを正しいものとして、編集する機能を持たせるようにしても良い。例えば、操作表示部400に表示される指定差分識別情報に関わる重要物40について、正しく取り出すものだった旨、または、指定自体が誤りであった旨の入力または確認ができるようにしても良い。
【0115】
〈第3の実施形態〉
《重要物収納装置の構成》
図14は、第3の実施形態に係る重要物収納装置10を示す図である。
【0116】
第3の実施形態に係る重要物収納装置10は、特に、ダブル認証に関わる重要物40の収納(返却)に際して、ユーザ情報のうちの特に管理者情報が入力できない場合でも、重要物40の収納(返却)ができるものである。第2の実施形態に係る重要物収納装置10は、第1の実施形態に係る重要物収納装置10の構成に加え、収納ポスト117を備える。
【0117】
収納ポスト117は、RFIDタグ50を装着した重要物40の収納ができるポストであり、ポスト開口118を備える。ユーザ20は、ポスト開口118を通じて、重要物収納装置10に、重要物40を収納できる。ポスト開口118の態様は、収納される重要物40の態様により多様に変形できる。
【0118】
収納ポスト117は、収納筐体110とは異なり、収納装置本体11から引き出しできない構成となっており、収納装置本体11に固定される。但し、管理者のみが、図示せぬ機構によって、収納ポスト117内に収納された重要物40を回収して、本来の収納筐体110に収納し直せるようになっている。
収納ポスト117は、収納筐体110と同様に、但し、ポスト開口118近傍にも内部アンテナ120を備える。内部情報特定部125は、当該内部アンテナ120から識別情報を示す信号を受信して、当該信号に基づいて識別情報を特定する。当該識別情報に基づいた重要物情報は、操作表示部400により、ユーザ20が確認できる。
【0119】
重要物収納装置10が、収納ポスト117を備えることにより、ユーザ20は、ユーザ情報、特にダブル認証に関わる管理者情報が入力できない場合でも、重要物40の収納ができる。
【0120】
重要物収納装置10が排出口を備え、ポスト開口118から収納された重要物40が、予め設定された識別情報が記録されたRFIDタグ50を装着した重要物40ではない場合、ポスト開口118から、または収納ポスト117から、上記排出口を介して収納ポスト117外に排出させるようにしても良い。
加えて、ポスト開口118には、ロック及びロック解除可能なシャッタを設けて、ポスト開口118を介した重要物40の収納ポスト117内への投入可否を制御するようにしても良い。
【0121】
つまり、上記排出口は、収納ポスト117のポスト開口118の下方に設けられる。ポスト開口118から続く通路は、収納ポスト117に続く通路と排出口に続く通路とに分岐しており、分岐点にはフラップが取り付けられている。RFIDタグ50を読み取って収納情報に存在する重要物40であると判定される場合は、フラップを駆動させて収納ポスト117に続く通路を開き、排出口に続く通路をふさぐ。RFIDタグ50を読み取って収納情報に存在しない重要物40であると判定される場合は、フラップを駆動させて排出口に続く通路を開き、収納ポスト117に続く通路をふさぐ。
また、ポスト開口118にロック及びロック解除可能なシャッタを設けて、ユーザ20による操作が、ダブル認証に関わる重要物40の収納(返却)であること、且つ、ダブル認証に関わる管理者入力がなされないことが明らかとなった段階で、ポスト開口118を介したダブル認証に関わる重要物40の収納ポスト117内への投入を可能とすべく、ポスト開口118のシャッタのロックを解除する。これにより、それ以外の時には、ポスト開口118を介しての重要物40の投入がなされないこととなり、不要な投入を抑えることができる。
【0122】
《特に、ダブル認証に関わる重要物の収納(返却)の動作》
以下、ダブル認証に関わる重要物40を収納(返却)する場合の動作について説明する。
【0123】
なお、第1実施形態に係る重要物収納装置10のフローチャート(
図12)を援用して、特に、その変更点を中心に説明する。
【0124】
まず始めに、ダブル認証に関わる重要物40を収納(返却)する場合の、通常の操作について説明する。
【0125】
第1の実施形態のステップS1とステップS2までの動作の後、管理者によるステップS1とステップS2までの動作を行い、ダブル認証を要する重要物40に関わる操作であることを重要物収納装置10に入力する。通常、当該ユーザ20を基準として、ダブル認証に関わる重要物40の取り出し記録が残っており、ステップS3において、その収納(返却)であるかを確認する画面とその収納(返却)先を示す当該重要物40の収納筐体110の筐体番号112を操作表示部400に表示する。その後のステップS4からステップS11までの動作は、第1の実施形態のステップS3からステップS11と同様である。
【0126】
次に、ダブル認証に関わる重要物40を収納(返却)する場合の、管理者不在の場合の収納(返却)操作について説明する。
【0127】
第1の実施形態のステップS1とステップS2までの動作の後、管理者不在のため、ダブル認証を要する重要物40に関わる操作であることを重要物収納装置10に入力できず、よって、ダブル認証に関わる収納筐体110を選択できない状態になる。ここで、第1の実施形態のステップS4以降に代えて、ユーザ20は、ダブル認証を要する重要物40を、収納ポスト117のポスト開口118に投入する。ポスト開口118に投入された重要物40は、その識別情報がポスト開口118近傍の内部アンテナ120によって検出され、投入操作したユーザ20を基準とした取り出し記録を参照して、一致を確認できた場合、収納ポスト117への収納を確定すべく、そのまま収納を許容する。これに対して、ポスト開口118に投入された重要物40が、ユーザ20を基準とした取り出し記録と一致しない場合、収納ポスト117への収納はできないとして、収納させないよう、あるいは、排出口に排出するように制御する。
【0128】
《作用・効果》
重要物収納装置10は、ダブル認証に関わる重要物40の収納(返却)を受け付ける収納ポスト117と、を備える。
【0129】
これにより、ユーザ20は、特に、ダブル認証に関わる重要物40の収納(返却)に際して、管理者不在の場合であっても、これを収納ポスト117に収納(返却)でき、安全面、管理面及び操作性を向上できる。
【0130】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。
【0131】
例えば、第1の実施形態においては、重要物収納装置10に対する取り出し・収納(返却)の操作前後の差分に関し、差分に関わる重要物40は、正しく取り出したもの、または正しく収納(返却)したものとして記録することになり、第2の実施形態においては、これから取り出そうとする重要物40を事前に指定することで、正しく取り出したことを確認して記録することになっているが、一度の多数の重要物40を取り出しまたは収納(返却)するような場合には、収納筐体110全取り出しを指定することで、全取り出しを可能とするようにしても良い。そして、全取り出し指定があったときには、全取り出しの収納筐体110への収納(返却)は、全収納(全返却)を基本とするようにしても良い。そしてさらに、この全取り出しまたは全収納(全返却)操作においては、次のような設計変更の適用が可能である。
【0132】
図15は、他の実施形態に係る重要物収納装置10aを示す図である。当該重要物収納装置10は、携帯が可能が態様のものである。当該重要物収納装置10aの例としては、警備会社向けの携帯用鍵保管庫が挙げられる。
【0133】
図15に示す重要物収納装置10aは、蓋121を備え、C方向へ開閉できるように構成される。また、当該重要物収納装置10aは、収納取手119を10個備え、重要物40を当該収納取手119にかけて収納できるように構成される。収納取手119の下部には内部アンテナ120が備えられる。なお、内部アンテナ120は、収納取手119毎に必ずしも必要ではなく、当該重要物収納装置10a内に1個以上あれば良く、好ましくは、前記実施形態の収納筐体110のように、収納空間を形成する各壁6面に1個ずつあれば良い。また、収納取手119は必ずしも必要ではないが、収納取手119を設けて、重要物40を1個1個吊り下げ収納する、すなわち区分け収納ことで、重要物40が個々に離間して収納することが可能なときには、これにより、内部アンテナ120が一つであっても、収納する重要物40を確実に検出しやすくなる。
【0134】
図15に示す重要物収納装置10aの操作表示部400にセットモードを選択できるようにし、ユーザ20が当該モードを選択した場合、上記選択のときに重要物収納装置10aに収納されている重要物40の識別情報にて収納情報として記憶部220に記憶させる。
【0135】
上記のセットモードは、ユーザ20とは異なるユーザであり、重要物収納装置10aの管理者である管理者25がユーザ情報を入力した場合のみ、選択できるようにしても良い。
【0136】
あるいは、前記したように、重要物収納装置10において、一の収納筐体110の重要物40を、全取り出し指定することで、有線または無線により、当該重要物収納装置10aの制御装置500内の記憶部220に収納されるべき重要物40としての収納情報を記憶させるようにしても良い。これにより、重要物収納装置10の一の収納筐体110に収納されていたすべての重要物40は、これから取り出されるものとして管理され、且つ、重要物収納装置10aにおいては、これらの重要物40がこれから収納されるものとして管理され、それぞれ、重要物収納装置10においては、当該一の収納筐体110が閉じられた際には、重要物40がすべて取り出されたことを確認し、他方、重要物収納装置10aにおいては、蓋121が閉じられた際に、記憶された収納情報に基づいて、すべての重要物40が収納されたか否かを管理することになる。
【0137】
これらの操作は、さらに、ノートパソコンやスマートフォンやタブレット端末などの遠隔操作部を設けて、行わせるようにしても良い。
【0138】
加えて、上記の全取り出し指定に対して、通常、取り出したすべてを収納(返却)するときになるので、全収納(全返却)と称して、当該重要物収納装置10a内の重要物40をすべて重要物収納装置10に収納(返却)する操作を行うこととなり、重要物収納装置10では該当する収納筐体110への全収納(全返却)が確認される一方、当該重要物収納装置10aにおいては、蓋121が閉じられた時点で、当該重要物収納装置10a内を内部アンテナ120によって走査する。そして、この走査で、重要物40が残っていないことを確認すると、当該重要物収納装置10aでは、当該重要物収納装置10aの制御装置500内の記憶部220に記憶した収納情報を消去する。なお、履歴は記録し続けるか、重要物収納装置10へ転送する。これに対して、内部アンテナ120の走査で、重要物40を検出した場合、重要物収納装置10への戻し忘れとして、操作表示部400に表示ないしはアラーム報知する。
【0139】
なお、当該重要物収納装置10aの持ち出し先においては、操作表示部400を操作することで、都度、取り出し操作を行って必要な重要物40を使用し、また、収納(返却)操作を行って取り出した重要物40を回収し、これらの履歴を記録する。
【0140】
図15に示す重要物収納装置10aがスピーカーを備え、ユーザ20の重要物40の収納及び取り出した後、差分特定部170が特定した重要物40の本数を音声でユーザ20に知らせる構成でも良い。上記の音声の例としては、ユーザ20へのメッセージの音声、アラームなどが挙げられる。
【0141】
重要物収納装置10aは、操作表示部400が表示する内容に合わせて、操作表示部400を、異なる色に発光させても良い。
【0142】
重要物収納装置10aは、収納情報に存在しない識別情報を内部アンテナ120によって受け取った場合、操作表示部400に、注意を促すメッセージをユーザ20に表示しても良い。
【0143】
重要物収納装置10は、追加入力及び削除入力の他に、廃棄入力を受け入れても良い。削除入力は、当該重要物収納装置10からの削除であり、当該重要物収納装置10では管理する必要が無くなったが、他の重要物収納装置10での管理に委ねる場合に選択される。特に、複数の重要物収納装置10が設けられて、LANなどの回線等によって互いに通信可能に接続される場合に一元管理しやすくなっている。これに対して、上記の廃棄入力とは、重要物40を廃棄する場合の入力を言い、他の重要物収納装置10でも管理することなく、処分する場合に選択される。
【0144】
上記の廃棄入力の場合、ユーザ20は、操作表示部400、遠隔操作部に廃棄に係る情報を入力する他、外部アンテナ300に当該廃棄に係る重要物40をかざして、外部アンテナ300が当該重要物40が装着したRFIDタグ50の識別情報を受け取るようにするようにしても良い。
【0145】
更新部240が上記の廃棄入力を受け取った場合、当該廃棄入力が示す識別情報などを収納情報から削除する。
上記の廃棄入力は、管理者25など、特定のユーザに限られて操作できるようにしても良い。また、操作表示部400と遠隔操作部は、上記の廃棄入力を受け取る際に、当該廃棄入力の理由の入力を受け入れても良い。この場合、更新部240は、重要物収納装置10が上記の廃棄入力を受け取った場合、当該廃棄入力が示す識別情報などを収納情報から削除すると共に、当該削除の旨と、上記の廃棄入力の理由とを関連付けてた情報とである廃棄履歴を記憶部220に記憶させても良い。
【0146】
重要物収納装置10を複数設けて、当該複数の重要物収納装置10の相互に有線または無線の通信で繋げることにより、当該複数の重要物収納装置10の記憶部220に記憶させる収納情報、情報履歴を相互に共有しても良い。
上記の場合、ユーザ20が、当該複数の重要物収納装置10のうち、何れかの重要物収納装置10から、重要物40を取り出して、当該複数の重要物収納装置10のうち、当該重要物40が取り出された重要物収納装置10ではない重要物収納装置10へ収納する場合、当該収納が一定時間以内に行われていない場合は、当該複数の重要物収納装置10の操作表示部400と遠隔操作部に、注意を促すメッセージを表示しても良い。
【0147】
上記の一の実施形態に係る制御装置500は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶装置を有している。
すべての実施形態において、ユーザ20の特定にあっては、ユーザ情報のIDを操作表示部400で入力したり、操作用ICカードを外部アンテナ300で読み込ませた後、暗証番号を操作表示部400で入力することで、ユーザ認証を行う説明としたが、これに限るものではなく、例えば、指静脈認証などのような生体認証機器を設け、ユーザ20の指静脈認証を行うだけで、ユーザ20の特定と認証を行うようにしても良い。
【0148】
本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内でなしうるさまざまな変更、改良が含まれる。
【符号の説明】
【0149】
10 重要物収納装置 11 収納装置本体 20 ユーザ 40 重要物 50 RFIDタグ 110 収納筐体 300 外部アンテナ 400 操作表示部 500 制御装置