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特開2023-12656掘削用ビット設置体、拡底アースドリルバケット、拡底アースドリルバケットのアダプタおよび拡底孔の施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012656
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】掘削用ビット設置体、拡底アースドリルバケット、拡底アースドリルバケットのアダプタおよび拡底孔の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E21B 11/00 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
E21B11/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116222
(22)【出願日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】502347146
【氏名又は名称】株式会社郡産業
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】郡 修三
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 義孝
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 元二
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129AA05
2D129BA10
2D129BB01
2D129CA12
2D129DA12
2D129DC11
2D129EB24
(57)【要約】
【課題】地盤に掘られた縦孔の底部を拡径するときに、縦孔の底部が硬質層で形成されていても、拡径を可能にし、拡径に要する時間を短縮する。
【解決手段】地盤15に掘られた縦孔17の底部19を拡径するために第1の中心軸C1を回転中心にして回転する拡幅翼5に設置される掘削用ビット設置体13であって、第2の中心軸C2を回転中心にして回転するように、拡幅翼5に支持される掘削用ビット設置体本体部21と、前記掘削用ビット設置体本体部21に設けられ、第1の掘削用ビット25が設置される複数の掘削用ビット設置部23とを有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に掘られた縦孔の底部を拡径するために第1の中心軸を回転中心にして回転する拡幅翼に設置される掘削用ビット設置体であって、
第2の中心軸回転中心にして回転するように、前記拡幅翼に支持される掘削用ビット設置体本体部と、
前記掘削用ビット設置体本体部に設けられ、第1の掘削用ビットが設置される複数の掘削用ビット設置部と、
を有する掘削用ビット設置体。
【請求項2】
前記複数の掘削用ビット設置部は、前記掘削用ビット設置体本体部の外周部で延伸している螺旋に沿ってならんでおり、前記螺旋は複数あり、前記複数の螺旋は前記掘削用ビット設置体本体部の周方向でならんでいる請求項1に記載の掘削用ビット設置体。
【請求項3】
前記掘削用ビット設置体本体部は、一対の環状部材と、複数の螺旋状部材とを備えて構成されており、
前記一対の環状部材は、これらの中心軸がお互いに一致しているとともにこれらの中心軸に延伸方向で所定の距離だけ離れており、
前記複数の螺旋状部材のそれぞれは、長手方向の一方の端部が、前記一対の環状部材のうちの一方の環状部材に接合されており、長手方向の他方の端部が、前記一対の環状部材のうちの他方の環状部材に接合されており、
前記複数の螺旋状部材は、前記環状部材の周を等分配する位置に配置されており、
前記複数の掘削用ビット設置部は、前記複数の螺旋状部材のそれぞれに設けられているとともに、前記螺旋状部材の延伸方向で所定の間隔をあけてならんでいる請求項2に記載の掘削用ビット設置体。
【請求項4】
スタビライザと、
一対のアーム状部材で構成されており、前記一対のアーム状部材のうちの一方のアーム状部材である第1のアーム状部材が、この長手方向の上端部で、前記スタビライザに回動自在に係合し、前記一対のアーム状部材のうちの他方のアーム状部材である第2のアーム状部材が、この長手方向の上端部で、前記スタビライザに回動自在に係合しており、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の掘削用ビット設置体が設置される掘削用ビット設置体設置部が設けられている前記拡幅翼と、
前記一対のアーム状部材を前記スタビライザに対して回動させる拡幅翼駆動部と、
を有する拡底アースドリルバケット。
【請求項5】
前記縦孔の壁部を形成している掘削用ケーシングに固定される拡底アースドリルバケット固定部と、
前記拡底アースドリルバケット固定部に支持されており、前記拡底アースドリルバケット固定部が前記掘削用ケーシングに固定されている状態で前記掘削用ケーシングに対して前記拡幅翼を回転駆動し、もしくは、前記拡底アースドリルバケット固定部が前記掘削用ケーシングに固定されている状態で前記掘削用ケーシングに対して前記拡幅翼が回転することを阻止する拡底アースドリルバケット回転支持部と、
を有する請求項4に記載の拡底アースドリルバケット。
【請求項6】
前記拡幅翼の下端に設けられている第2の掘削用ビットを備えており、
前記縦孔を掘削するときには、前記第1の掘削用ビットが設置されている前記拡幅翼を閉じておき、前記拡底アースドリルバケット固定部を前記掘削用ケーシングに固定しておくとともに、前記拡底アースドリルバケット回転支持部で前記掘削用ケーシングに対する前記拡幅翼の回転を阻止しておき、前記掘削用ケーシングを回転するともに下方に移動し、
前記縦孔の掘削をし終えた後に、前記拡底アースドリルバケット固定部を前記掘削用ケーシングに固定しておくとともに、前記拡底アースドリルバケット回転支持部で前記掘削用ケーシングに対して前記拡幅翼を回転させつつ、前記拡幅翼駆動部で前記拡幅翼を次第に開くように構成されている請求項5に記載の拡底アースドリルバケット。
【請求項7】
スタビライザと、
複数のアーム状部材で構成されており、前記一対のアーム状部材のうちの一方のアーム状部材である第1のアーム状部材が、この長手方向の上端部で、前記スタビライザに回動自在に係合し、前記一対のアーム状部材のうちの他方のアーム状部材である第2のアーム状部材が、この長手方向の上端部で、前記スタビライザに回動自在に係合しており、外周部に第1の掘削用ビットが設置され、底部に第2の掘削用ビットが設置され、第1の中心軸を回転中心にして回転する拡幅翼と、
前記複数のアーム状部材を前記スタビライザに対して回動させる拡幅翼駆動部と、
地盤に掘られた縦孔の壁部を形成している掘削用ケーシングに固定される拡底アースドリルバケット固定部と、
前記拡底アースドリルバケット固定部に支持されており、前記拡底アースドリルバケット固定部が前記掘削用ケーシングに固定されている状態で前記掘削用ケーシングに対して前記拡幅翼を回転駆動し、もしくは、前記拡底アースドリルバケット固定部が前記掘削用ケーシングに固定されている状態で前記掘削用ケーシングに対して前記拡幅翼が回転することを阻止する拡底アースドリルバケット回転支持部と、
を有する拡底アースドリルバケット。
【請求項8】
回転推進体と、拡底アースドリルバケットのスタビライザとを接続する拡底アースドリルバケットのアダプタであって、
アダプタ本体部と、
前記アダプタ本体部の上側で前記アダプタ本体部に一体的に設けられ、前記回転推進体の被嵌合部に嵌合されて、前記回転推進体が発する回転力を前記アダプタ本体部に伝達する第1の嵌合部と、
前記アダプタ本体部の下側で前記アダプタ本体部に一体的に設けられ、前記スタビライザの被嵌合部に嵌合されて、前記回転推進体が発する回転力を前記スタビライザに伝達する第2の嵌合部と、
一方の端部が前記アダプタ本体部に一体的に接合されており、他方の端部が前記スタビライザに一体的に接合される補強部材と、
を有する拡底アースドリルバケットのアダプタ。
【請求項9】
請求項7に記載の拡底アースドリルバケットであって、前記拡幅翼の下端に第2の掘削用ビットが設けられている拡底アースドリルバケットを用いた拡底孔の施工方法であって、
前記第1の掘削用ビットが設置されている前記拡幅翼を閉じておき、前記拡底アースドリルバケット固定部を前記掘削用ケーシングに固定しておくとともに、前記拡底アースドリルバケット回転支持部で前記掘削用ケーシングに対する前記拡幅翼の回転を阻止しておき、前記掘削用ケーシングを回転するともに下方に移動することで、地盤を掘削して縦孔を設けて縦孔掘削工程と、
前記縦孔掘削工程で前記縦孔の掘削をし終えた後に、前記拡底アースドリルバケット固定部を前記掘削用ケーシングに固定しておくとともに、前記拡底アースドリルバケット回転支持部で前記掘削用ケーシングに対して前記拡幅翼を回転させつつ、前記拡幅翼駆動部で前記拡幅翼を次第に開くことで、前記縦孔の底部を拡径する縦孔底部拡径工程と、
を有することを特徴とする拡底孔の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掘削用ビット設置体、拡底アースドリルバケット、拡底アースドリルバケットのアダプタおよび拡底孔の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図8で示すような中堀掘削機301が知られている(特許文献1参照)。中堀掘削機301は、オールケーシング工法に用いる掘削用ケーシング303の内方に装着されるようになっている。
【0003】
中堀掘削機301は、掘削用ケーシング303の内側に着脱自在に固定される駆動装置305と、駆動装置305に連動連結される拡底バケット307とを備えている。駆動装置305は、ケーシング本体309と駆動用シャフト311と回転駆動部313とフィーダ装置315とチャック装置317とを備えている。
【0004】
駆動用シャフト311は、ケーシング本体309の中心部に回転自在且つ昇降自在に配設されており、駆動用シャフト311の下端部には、拡底バケット307が連結されている。回転駆動部313は、駆動用シャフト311を回転駆動するようになっている。フィーダ装置315は、駆動用シャフト311を昇降動させるようになっている。チャック装置317は、掘削用ケーシング303の内壁面に圧接して中堀掘削機301自体を掘削用ケーシング303の内壁面に固定するようになっている。
【0005】
拡底バケット307は、掘削用ケーシング303で囲まれていない縦孔(たとえば円柱状の縦孔)の底部を円錐台状に拡径するようになっている。拡幅翼319には、掘削用ビット321が一体的に設けられている。そして、拡幅翼319を回転しつつ拡幅翼319を広げることで、掘削用ビット321で地盤が削られ、縦孔の底部が円錐台状に拡径されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-114543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、地盤が柔らかい一般土砂になっている場合は、従来の中堀掘削機301を用いた縦孔の底部の拡径を容易に行うことができる。しかし、柔らかい一般土砂の下側には、硬質層(レキ、玉石、土丹等)が存在しており、縦孔の底部の拡径が、硬質層でなされる場合が多々ある。
【0008】
従来の中堀掘削機301を用いた縦孔の底部の拡径を地盤の硬質層で行おうとすると、掘削用ビット321が拡幅翼319に固定されているので、拡径に時間がかかり、もしくは、拡径することができない事態が発生することがある。
【0009】
本発明は、地盤に掘られた縦孔の底部を拡径するときに、縦孔の底部が硬質層で形成されていても、拡径を可能にすることができ、また、拡径に要する時間を短縮することができるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様に係る掘削用ビット設置体は、地盤に掘られた縦孔の底部を拡径するために第1の中心軸を回転中心にして回転する拡幅翼に設置される掘削用ビット設置体であって、第2の中心軸を回転中心にして回転するように、前記拡幅翼に支持される掘削用ビット設置体本体部と、前記掘削用ビット設置体本体部に設けられ、第1の掘削用ビットが設置される複数の掘削用ビット設置部とを有する掘削用ビット設置体である。
【0011】
また、本発明の態様に係る掘削用ビット設置体では、前記複数の掘削用ビット設置部が、前記掘削用ビット設置体本体部の外周部で延伸している螺旋に沿ってならんでおり、前記螺旋が複数あり、前記複数の螺旋が前記掘削用ビット設置体本体部の周方向でならんでいる。
【0012】
また、本発明の態様に係る掘削用ビット設置体では、前記掘削用ビット設置体本体部が、一対の環状部材と、複数の螺旋状部材とを備えて構成されており、前記一対の環状部材が、これらの中心軸がお互いに一致しているとともにこれらの中心軸に延伸方向で所定の距離だけ離れており、前記複数の螺旋状部材のそれぞれが、長手方向の一方の端部が、前記一対の環状部材のうちの一方の環状部材に接合されており、長手方向の他方の端部が、前記一対の環状部材のうちの他方の環状部材に接合されており、前記複数の螺旋状部材が、前記環状部材の周を等分配する位置に配置されており、前記複数の掘削用ビット設置部が、前記複数の螺旋状部材のそれぞれに設けられているとともに、前記螺旋状部材の延伸方向で所定の間隔をあけてならんでいる。
【0013】
本発明の態様に係る拡底アースドリルバケットは、スタビライザと、一対のアーム状部材で構成されており、前記一対のアーム状部材のうちの一方のアーム状部材である第1のアーム状部材が、この長手方向の上端部で、前記スタビライザに回動自在に係合し、前記一対のアーム状部材のうちの他方のアーム状部材である第2のアーム状部材が、この長手方向の上端部で、前記スタビライザに回動自在に係合しており、前記掘削用ビット設置体が設置される掘削用ビット設置体設置部が設けられている前記拡幅翼と、前記一対のアーム状部材を前記スタビライザに対して回動させる拡幅翼駆動部とを有する拡底アースドリルバケットである。
【0014】
また、本発明の態様に係る拡底アースドリルバケットは、前記縦孔の壁部を形成している掘削用ケーシングに固定される拡底アースドリルバケット固定部と、前記拡底アースドリルバケット固定部に支持されており、前記拡底アースドリルバケット固定部が前記掘削用ケーシングに固定されている状態で前記掘削用ケーシングに対して前記拡幅翼を回転駆動し、もしくは、前記拡底アースドリルバケット固定部が前記掘削用ケーシングに固定されている状態で前記掘削用ケーシングに対して前記拡幅翼が回転することを阻止する拡底アースドリルバケット回転支持部とを有する。
【0015】
また、本発明の態様に係る拡底アースドリルバケットは、前記拡幅翼の下端に設けられている第2の掘削用ビットを備えており、前記縦孔を掘削するときには、前記第1の掘削用ビットが設置されている前記拡幅翼を閉じておき、前記拡底アースドリルバケット固定部を前記掘削用ケーシングに固定しておくとともに、前記拡底アースドリルバケット回転支持部で前記掘削用ケーシングに対する前記拡幅翼の回転を阻止しておき、前記掘削用ケーシングを回転するともに下方に移動し、前記縦孔の掘削をし終えた後に、前記拡底アースドリルバケット固定部を前記掘削用ケーシングに固定しておくとともに、前記拡底アースドリルバケット回転支持部で前記掘削用ケーシングに対して前記拡幅翼を回転させつつ、前記拡幅翼駆動部で前記拡幅翼を次第に開くように構成されている。
【0016】
本発明の態様に係る拡底アースドリルバケットは、スタビライザと、複数のアーム状部材で構成されており、前記一対のアーム状部材のうちの一方のアーム状部材である第1のアーム状部材が、この長手方向の上端部で、前記スタビライザに回動自在に係合し、前記一対のアーム状部材のうちの他方のアーム状部材である第2のアーム状部材が、この長手方向の上端部で、前記スタビライザに回動自在に係合しており、外周部に第1の掘削用ビットが設置され、底部に第2の掘削用ビットが設置され、第1の中心軸を回転中心にして回転する拡幅翼と、前記複数のアーム状部材を前記スタビライザに対して回動させる拡幅翼駆動部と、地盤に掘られた縦孔の壁部を形成している掘削用ケーシングに固定される拡底アースドリルバケット固定部と、前記拡底アースドリルバケット固定部に支持されており、前記拡底アースドリルバケット固定部が前記掘削用ケーシングに固定されている状態で前記掘削用ケーシングに対して前記拡幅翼を回転駆動し、もしくは、前記拡底アースドリルバケット固定部が前記掘削用ケーシングに固定されている状態で前記掘削用ケーシングに対して前記拡幅翼が回転することを阻止する拡底アースドリルバケット回転支持部とを有する。
【0017】
本発明の態様に係る拡底アースドリルバケットのアダプタは、回転推進体と、拡底アースドリルバケットのスタビライザとを接続する拡底アースドリルバケットのアダプタであって、アダプタ本体部と、前記アダプタ本体部の上側で前記アダプタ本体部に一体的に設けられ、前記回転推進体の被嵌合部に嵌合されて、前記回転推進体が発する回転力を前記アダプタ本体部に伝達する第1の嵌合部と、前記アダプタ本体部の下側で前記アダプタ本体部に一体的に設けられ、前記スタビライザの被嵌合部に嵌合されて、前記回転推進体が発する回転力を前記スタビライザに伝達する第2の嵌合部と、一方の端部が前記アダプタ本体部に一体的に接合されており、他方の端部が前記スタビライザに一体的に接合される補強部材とを有する。
【0018】
本発明の態様に係る拡底孔の施工方法は、前記拡底アースドリルバケットであって、前記拡幅翼の下端に第2の掘削用ビットが設けられている拡底アースドリルバケットを用いた拡底孔の施工方法であって、前記第1の掘削用ビットが設置されている前記拡幅翼を閉じておき、前記拡底アースドリルバケット固定部を前記掘削用ケーシングに固定しておくとともに、前記拡底アースドリルバケット回転支持部で前記掘削用ケーシングに対する前記拡幅翼の回転を阻止しておき、前記掘削用ケーシングを回転するともに下方に移動することで、地盤を掘削して縦孔を設けて縦孔掘削工程と、前記縦孔掘削工程で前記縦孔の掘削をし終えた後に、前記拡底アースドリルバケット固定部を前記掘削用ケーシングに固定しておくとともに、前記拡底アースドリルバケット回転支持部で前記掘削用ケーシングに対して前記拡幅翼を回転させつつ、前記拡幅翼駆動部で前記拡幅翼を次第に開くことで、前記縦孔の底部を拡径する縦孔底部拡径工程とを有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、地盤に掘られた縦孔の底部を拡径するときに、縦孔の底部が硬質層で形成されていても、拡径を可能にすることができ、また、拡径に要する時間を短縮することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る拡底アースドリルバケットの正面図であって、拡幅翼が閉じている状態(拡幅翼の閉じ状態)を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る拡底アースドリルバケットの正面図であって、拡幅翼が最大に開いている状態(拡幅翼の最大開き状態)を示す図である。
図3】地盤と、掘削用ケーシングと、本発明の実施形態に係る拡底アースドリルバケットと、底部が拡径している縦孔との正面図である。
図4】本発明の実施形態に係る掘削用ビット設置体を示す図であって、(b)は(a)におけるIVB矢視図である。
図5】本発明の実施形態に係る拡底アースドリルバケットで、縦孔の底部を拡径するときの作用を模式的に示す図である。
図6】(a)は図1図3で示す拡底アースドリルバケットを概略的に示す図であり、(b)は変形例に係る拡底アースドリルバケットを概略的に示す図である。
図7】(a)は、本発明の実施形態に係る拡底アースドリルバケットで使用されるアダプタ等を示す図である。(b)は、(a)におけるVIIB-VIIB矢視図である。
図8】従来の中堀掘削機を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明実施形態に係る拡底アースドリルバケット(拡底バケット)1は、図1図3で示すように、スタビライザ3と拡幅翼5と拡幅翼駆動部7とを備えて構成されている。
【0022】
スタビライザ3の外形は、大雑把にいうと背の低い円柱状に形成されている。スタビライザ3と拡幅翼5とは、第1の中心軸C1を回転中心にして回転するようになっている。なお、スタビライザ3の中心軸は、第1の中心軸C1と一致している。第1の中心軸C1は上下方向に延びているが、第1の中心軸C1が上下方向に対して斜めに傾いている方向もしくは横方向に延びていてもよい。
【0023】
拡幅翼5は、複数の(たとえば一対の)アーム状部材9(9A、9B)を備えて構成されている。一対のアーム状部材9のうちの一方のアーム状部材である第1のアーム状部材9Aは、概ね直線的な棒状に形成されている。第1のアーム状部材9Aは、この長手方向の上端部で、スタビライザ3に回動自在に係合している。
【0024】
一対のアーム状部材9のうちの他方のアーム状部材である第2のアーム状部材9Bは、第1のアーム状部材9Aと同様な状に形成されている。第2のアーム状部材9Bも、この長手方向の上端部で、スタビライザ3に回動自在に係合している。
【0025】
また、拡幅翼5(アーム状部材9A、9B)には、掘削用ビット設置体13(図4等参照)が設置される掘削用ビット設置体設置部11が設けられている。掘削用ビット設置体13の詳細については後述する。
【0026】
第1のアーム状部材9Aは、スタビライザ3の外周近傍でスタビライザ3に係合しており、第2のアーム状部材9Bは、スタビライザ3の外周近傍であって第1のアーム状部材9Aとは異なる箇所でスタビライザ3に係合している。第1のアーム状部材9Aと第2のアーム状部材9Bとはスタビライザ3から下側に延びている。
【0027】
図2で示すように、スタビライザ3に対する第1のアーム状部材9Aの回動中心軸C3と、スタビライザ3に対する第2のアーム状部材9Bの回動中心軸C4とはお互いが平行になっており、概ね水平方向に延びている。また、第2のアーム状部材9Bは、第1の中心軸C1に対して、第1のアーム状部材9Aとは対称に配置されている。
【0028】
拡幅翼駆動部7によって、一対のアーム状部材9(9A、9B)がスタビライザ3に対し回動中心軸C3、C4を回動中心にして回動するようになっている。さらに、拡幅翼駆動部7によって、第1のアーム状部材9Aと第2のアーム状部材9Bとが、第1の中心軸C1に対して対称な形態で、スタビライザ3に対して同時に回動するようになっている。
【0029】
第1のアーム状部材9Aと第2のアーム状部材9Bとが、第1の中心軸C1と平行になってスタビライザ3から下側に延出している状態を、拡幅翼5の閉じ状態(図1参照)とする。拡幅翼5の閉じ状態では、第1のアーム状部材9Aと第2のアーム状部材9Bとが、スタビライザ3から、たとえば、真下に延伸している。
【0030】
第1のアーム状部材9Aが、スタビライザ3から第1の中心軸C1に対して交差する方向に延びており、第2のアーム状部材9Bが、スタビライザ3から第1の中心軸C1に対して交差する方向に延びている状態を、拡幅翼5の開き状態とする。拡幅翼5の開き状態では、第1のアーム状部材9Aと第2のアーム状部材9Bとの間の距離(水平方向の距離)が、第1のアーム状部材9Aおよび第2のアーム状部材9Bの下側に向かうにしたがって次第に大きくなっている。
【0031】
また、拡幅翼5の開き状態とは、拡幅翼5の閉じ状態以外の状態である。拡幅翼5の開き状態では、拡幅翼5の開き角度が大きくなるにしたがって、第1のアーム状部材9Aの延出方向と第1の中心軸C1との交差角度が次第に大きくなる。さらに、第2のアーム状部材9Bの延出方向と第1の中心軸C1との交差角度も次第に大きくなる。
【0032】
第1のアーム状部材9Aの延出方向と第1の中心軸C1との交差角度が最大値になり、第2のアーム状部材9Bの延出方向と第1の中心軸C1との交差角度が最大値になった状態を、拡幅翼5の最大開き状態(図2図3図6参照)とする。
【0033】
拡幅翼5の最大開き状態では、第1のアーム状部材9Aの延出方向(回動中心軸C3から下側に延出している部位)と第1の中心軸C1との交差角度が20°程度になっている。また、拡幅翼5の最大開き状態では、第2のアーム状部材9Bの延出方向(回動中心軸C4から下側に延出している部位)と第1の中心軸C1との交差角度も20°程度になっている。なお、上記「20°」の角度はあくまでも例示である。また、拡幅翼5を最大開き状態まで開くことで、地盤15に掘られた縦孔17の底部19を拡径が終了するようになっている。
【0034】
掘削用ビット設置体13について、図3図4等を参照しつつ詳しく説明する。
【0035】
掘削用ビット設置体13は、拡幅翼5(アーム状部材9)の掘削用ビット設置体設置部11(図1図2等参照)に設置されて使用されるものである。拡幅翼5は、地盤15に掘られた縦孔(たとえば、円柱状の縦孔)17の底部19を拡径するために第1の中心軸C1を回転中心にして回転するようになっている。縦孔17の中心軸と第1の中心軸C1とはお互いが一致している。
【0036】
拡幅翼5の掘削用ビット設置体設置部11は、複数設けられている。複数の掘削用ビット設置体設置部11は、アーム状部材9A(アーム状部材9B)の外側(第1の中心軸C1とは反対側)で、アーム状部材9A(アーム状部材9B)の延出方向(長手方向)に所定の間隔をあけてならんでいる。また、複数の掘削用ビット設置体設置部11のそれぞれには、掘削用ビット設置体13が着脱自在に設置されるようになっている。
【0037】
掘削用ビット設置体13には、掘削用ビット設置体本体部21と複数の掘削用ビット設置部23とが設けられている。
【0038】
掘削用ビット設置体本体部21は、拡幅翼5の外側で(第1の中心軸C1とは反対側)で、拡幅翼5に支持されている。さらに説明すると、掘削用ビット設置体本体部21は、掘削用ビット設置体支持体24を介して、アーム状部材9に設置されている。掘削用ビット設置体支持体24はボルト等の締結具によって、アーム状部材9に一体的に設置されている。
【0039】
拡幅翼5(アーム状部材9)に支持されている掘削用ビット設置体本体部21は、第2の中心軸C2を回転中心にして拡幅翼5に対し回転するようになっている。第2の中心軸C2はたとえば拡幅翼5(アーム状部材9)の長手方向に対して平行な方向に延びている。さらに説明すると、掘削用ビット設置体本体部21は、アーム状部材9に一体的に設けられている掘削用ビット設置体支持体24に対し第2の中心軸C2を回転中心にして回転するようになっている。
【0040】
なお、拡幅翼5の長手方向(アーム状部材9の長手方向;第2の中心軸C2の延伸方向)は、掘削用ビット設置体13が拡幅翼5に設置され拡幅翼5が閉じている状態では、第1の中心軸C1の延伸方向と一致している。掘削用ビット設置体13が拡幅翼5に設置されている状態で拡幅翼5が開き状態になると、拡幅翼5が開くにしたがって、拡幅翼5の長手方向と第1の中心軸C1との交差角度が次第に大きくなるようになっている。
【0041】
掘削用ビット設置体本体部21は大雑把にいえば円柱状もしくは円筒状に形成されており、これらの円柱や円等の中心軸と第2の中心軸C2とはお互いが一致している。
【0042】
複数の掘削用ビット設置部23のそれぞれは、掘削用ビット設置体本体部21の外周部に設けられている。複数の掘削用ビット設置部23のそれぞれには、掘削用ビット(第1の掘削用ビット)25が一体的に設置されるようになっている。
【0043】
地盤15(図3参照)に掘られた縦孔17の底部19の拡径は、掘削用ビット設置体本体部21の掘削用ビット設置部23に設けられた第1に掘削用ビット25で地盤15を削ることでされるようになっている。
【0044】
地盤15を削っているときには、図5等で示すように、拡幅翼5が第1の中心軸C1を回転中心にしてたとえば一方向に回転(自転)している(矢印A1参照)。また、地盤15を削っているときには、掘削用ビット設置体13が第2の中心軸C2を回転中心にしてたとえば一方向(拡幅翼5とは逆向きな方向)に回転(自転)している(矢印A2参照)。さらに、地盤15を削っているときには、掘削用ビット設置体13が第1の中心軸C1を回転中心にして、第1の中心軸C1まわりを公転していると言える。
【0045】
拡径された縦孔17の底部19の形状は、図3で示すように、下面の直径が上面の直径よりも大きい円錐台状になっている。拡径された縦孔17の底部19の円錐台の中心軸は、円柱状の縦孔17の中心軸と一致しており、拡径された縦孔17の底部19の円錐台の上面の直径は、円柱状の縦孔17の直径と一致している。
【0046】
図4で示すように、複数の掘削用ビット設置部23のそれぞれは、螺旋(第1の螺旋)に沿って所定の間隔をあけてならんでいる。上記第1の螺旋は、掘削用ビット設置体本体部21の外周部で延伸している。すなわち、上記第1の螺旋は、掘削用ビット設置体本体部21の外周に巻き付くようにして延びている。
【0047】
上記第1の螺旋は複数(例えば4本)存在している。複数の上記第1の螺旋は、掘削用ビット設置体本体部21の周方向で所定の間隔をあけてならんでいる。上記第1の螺旋の中心軸は、第2の中心軸C2と一致している。
【0048】
複数の掘削用ビット設置部23のそれぞれに複数の第1の掘削用ビット25のそれぞれが設置された状態では、複数の第1の掘削用ビット25の刃部27のそれぞれが、複数の第2の螺旋のそれぞれに沿ってならんでいる。
【0049】
第2の螺旋の中心軸も、第2の中心軸C2と一致している。複数の上記第2の螺旋のそれぞれは、複数の上記第1の螺旋の外側で複数の上記第1の螺旋のそれぞれと平行になって延びている。
【0050】
上記第1の螺旋や上記第2の螺旋の巻数は、たとえば「1」以下であって「0.1」以上になっている。より具体的には、上記第1の螺旋や上記第2の螺旋の巻数は、1/4程度になっている。
【0051】
また、上記第1の螺旋の本数は、上記第1の螺旋の巻数の逆数と概ね等しくなっている。たとえば、上記第1の螺旋の巻数が「1/4」である場合、上記第1の螺旋の本数は4本になっている。すでに理解されるように、上記第1の螺旋の巻数と上記第2の螺旋の巻数とはお互いが一致しており、上記第1の螺旋の本数と上記第2の螺旋の本数とはお互いが一致している。
【0052】
掘削用ビット設置体本体部21は、一対の環状部材(たとえば円環状の部材)29(29A、29B)と、複数の(たとえば4つの)螺旋状部材31とを備えて構成されている。螺旋状部材31と、上記第1の螺旋(第2の螺旋)の数とはお互いが一致しており、螺旋状部材31は、上記第1の螺旋や上記第2の螺旋に沿って延びている。
【0053】
一対の環状部材29(29A、29B)は、これらの中心軸がお互いに一致しているとともにこれらの中心軸に延伸方向で所定の距離だけ離れている。一対の環状部材29(29A、29B)の中心軸は、第2の中心軸C2と一致している。なお、環状部材29Bの高さ寸法(第2の中心軸C2の延伸方向における寸法)の値は、環状部材29Aの高さ寸法の値よりも大きくなっている。
【0054】
複数の螺旋状部材31のそれぞれは、長手方向の一方の端部(第1の端部)が、一対の環状部材29のうちの一方の環状部材(第1の環状部材)29Aに接合されている。また、複数の螺旋状部材31のそれぞれは、長手方向の他方の端部(第2の端部)が、一対の環状部材29のうちの他方の環状部材(第2の環状部材)29Bに接合されている。さらに、複数の螺旋状部材31は、環状部材29の周を等分配する位置に配置されている。
【0055】
複数の掘削用ビット設置部23は、複数の螺旋状部材31のそれぞれに設けられているとともに、螺旋状部材31の螺旋の延伸方向で所定の間隔をあけてならんでいる。
【0056】
拡底アースドリルバケット1には、図3で示すように、拡底アースドリルバケット固定部33と拡底アースドリルバケット回転支持部35とが設けられている。
【0057】
拡底アースドリルバケット固定部33は、縦孔17の壁部(地盤15と縦孔17の空間37とを仕切っている壁部)を形成している掘削用ケーシング(たとえば円筒状の鋼管)39内に入り込んで、掘削用ケーシング39に固定されるようになっている。
【0058】
拡底アースドリルバケット回転支持部35は、拡底アースドリルバケット固定部33に支持されている。拡底アースドリルバケット固定部33が掘削用ケーシング39に固定されている状態で、拡底アースドリルバケット回転支持部35が、掘削用ケーシング39に対してスタビライザ3と拡幅翼5を、たとえば油圧によって回転駆動するようになっている。または、拡底アースドリルバケット固定部33が掘削用ケーシング39に固定されている状態で、拡底アースドリルバケット回転支持部35が、掘削用ケーシング39に対してスタビライザ3と拡幅翼5が回転することを阻止するようになっている。
【0059】
拡底アースドリルバケット固定部33が掘削用ケーシング39に固定されており、しかも、掘削用ケーシング39に対してスタビライザ3と拡幅翼5が回転することを阻止するようになっている状態を固定状態とする。この固定状態では、拡幅翼5とスタビライザ3とが掘削用ケーシング39に固定されて掘削用ケーシング39と一体化している。
【0060】
また、拡底アースドリルバケット1は、拡幅翼5の下端に設けられている第2の掘削用ビット41を備えて構成されている。
【0061】
縦孔17の掘削は次のようにしてなされる。拡幅翼5を閉じておく。なお、拡幅翼5には、掘削用ビット設置体13を用いて第1の掘削用ビット25が設置されている。また、縦孔17を掘削するときには、拡底アースドリルバケット固定部33を掘削用ケーシング39に固定しておくとともに、拡底アースドリルバケット回転支持部35で掘削用ケーシング39に対する拡幅翼5の回転を阻止しておく。さらに、アースドリル43に設置されている掘削用ケーシング39をアースドリル43によって回転するともに下方に移動する。
【0062】
縦孔17の掘削をし終えた後に、アースドリル43による掘削用ケーシング39の回転を停止し、掘削用ケーシング39の下方への移動を停止する。これにより、掘削用ケーシング39と地盤15とが一体化している。
【0063】
縦孔17の掘削をし終えた後の、縦孔17の底部19の拡径は次のようにしてなされる。拡底アースドリルバケット固定部33を掘削用ケーシング39に固定しておく。拡底アースドリルバケット回転支持部35で掘削用ケーシング39に対して拡幅翼5を回転させつつ、拡幅翼駆動部7で拡幅翼5を次第に開く。
【0064】
なお、このような縦孔17の掘削と縦孔17の底部19の拡径とを、掘削用ビット設置体13を用いないでするようにしてもよい。すなわち、第1の掘削用ビット25を拡幅翼5のアーム状部材9に直接固定しておいて、縦孔17の掘削と縦孔17の底部19の拡径とをするようにしてもよい。
【0065】
また、図3図7(a)(b)等で示すように、拡底アースドリルバケット1は、拡底アースドリルバケットのアダプタ45を備えている。拡底アースドリルバケットのアダプタ(アダプタ)45は、スタビライザ3と拡底アースドリルバケット回転支持部35と間に設けられており、スタビライザ3と拡底アースドリルバケット回転支持部35とをつないでいる。
【0066】
アダプタ45によって、拡底アースドリルバケット回転支持部35によるスタビライザ3の回転方向での、スタビライザ3と拡底アースドリルバケット回転支持部35と間におけるガタツキを極力抑えるようになっている。
【0067】
アダプタ45についてさらに説明する。アダプタ45は、図7等で示すように、アースドリル43の回転推進体(ケリーバ)47と、拡底アースドリルバケット1のスタビライザ3との接続に使用される。
【0068】
アダプタ45は、図7等で示すように、アダプタ本体部49と筒状の第1の嵌合部51とを備えて構成されている。第1の嵌合部51は、アダプタ本体部49の上側でたとえば溶接によってアダプタ本体部49に一体的に設けられている。また、第1の嵌合部51は、回転推進体47の被嵌合部53に嵌合されて、回転推進体47が発する回転力(回転トルク)を、アダプタ本体部49に伝達するようになっている。
【0069】
たとえば、第1の嵌合部51は、筒の中心軸の延伸方向で見た筒の内部の空間が正方形状になっている矩形な筒状に形成されている。第1の嵌合部51の内径はたとえば□160mm程度になっている。すなわち、第1の嵌合部51の筒の中心軸の延伸方向で見た筒の内部の空間の縦横寸法のそれぞれが160mm程度になっている。
【0070】
回転推進体47の被嵌合部53は、底面の形状が正方形状である四角柱状になっている。そして、回転推進体47の被嵌合部53の外径も□160mm程度になっている。ただし、被嵌合部53の外径の値は、第1の嵌合部51の内径の値よりも僅かに小さくなっている。これにより、第1の嵌合部51と被嵌合部53とは、僅かな隙間を備えた隙間嵌め状態でお互いが係合するようになっている。
【0071】
なお、第1の嵌合部51と被嵌合部53とにおいて、第1の嵌合部51が底面の形状が正方形状である四角柱状になっており、被嵌合部53が矩形な筒状に形成されていてもよい。
【0072】
固定ピン55は、アダプタ45の第1の嵌合部51に回転推進体47の被嵌合部53が嵌合している状態での、アダプタ45の回転推進体47からの抜け止めをしているものである。
【0073】
また、拡底アースドリルバケット1のアダプタ45には、第2の嵌合部57が設けられている。第2の嵌合部57は、アダプタ本体部49の下側でたとえば溶接によってアダプタ本体部49に一体的に設けられている。また、第2の嵌合部57は、スタビライザ3の被嵌合部59に嵌合されて、アダプタ本体部49が回転推進体47から伝達された回転力(回転トルク)をスタビライザ3に伝達するようになっている。
【0074】
第2の嵌合部57は、被嵌合部53と同様に、底面の形状が正方形状である四角柱状になっている。そして、回転推進体47の被嵌合部53の外径は140mm程度になっている。被嵌合部59は、第1の嵌合部51と同様に、矩形な筒状に形成されている。被嵌合部59の内径も、140mm程度になっている。ただし、被嵌合部59の内径の値は、第2の嵌合部57の外径の値よりも僅かに大きくなっている。これにより、第2の嵌合部57と被嵌合部59とは、僅かな隙間を備えた隙間嵌め状態でお互いが係合するようになっている。また、第2の嵌合部57と被嵌合部59とにも、固定ピン55が設置されている。
【0075】
なお、第2の嵌合部57と被嵌合部59とにおいて、第2の嵌合部57が矩形な筒状に形成されており、被嵌合部59が底面の形状が正方形状である四角柱状になっていてもよい。
【0076】
ここで、拡底アースドリルバケット1等についてさらに詳しく説明する。
【0077】
地盤15は、図3で示すように、レキ、玉石、土丹等からなる軟質層63と、この軟質層63の上にかぶさっている一般土砂からなる軟質層63とからなる。たとえば、縦孔17は軟質層63を貫通しており、縦孔17の底部19の総てが硬質層65のところに位置している。したがって、拡底アースドリルバケット1を用いた拡径は、硬質層65のところでされるようになっている。
【0078】
アースドリル43は、地盤15の上に設置され、たとえば円筒状の鋼管(掘削用ケーシング)39の上端部を保持し、この保持した掘削用ケーシング39を回転させつつ下側に移動するようになっている。
【0079】
第1の掘削用ビット25と第2の掘削用ビット41とが設置されている拡幅翼5を閉じ状態にしておき、拡底アースドリルバケット固定部33と拡底アースドリルバケット回転支持部35とで拡底アースドリルバケット1を掘削用ケーシング39に固定しておく。そして、掘削用ケーシング39を回転させつつ下側に移動することで、縦孔17が得られるようになっている。
【0080】
拡幅翼駆動部7は、図2等で示すように、油圧シリンダ67等のアクチュエータと中央部材69と係合部材71と一対の連結部材73(73A、73B)とを備えて構成されている。中央部材69は、概ね円柱状等の柱状に形成されており、スタビライザ3の中央下部から下側に延出している。中央部材69の中心軸は、第1の中心軸C1と一致している。中央部材69は、スタビライザ3に一体的に設けられている。中央部材69の下端には、第2の掘削用ビット41が一体的に設けられている。
【0081】
係合部材71は環状に形成されており、環の内側を中央部材69が貫通するようにして、中央部材69に設けられている。係合部材71は、中央部材69に対し上下方向(中央部材69の長手方向;中心軸C1の延伸方向)で移動できるように、中央部材69に係合している。
【0082】
一対の連結部材73のうちの一方の連結部材である第1の連結部材73Aは、棒状に形成されている。一対の連結部材73のうちの他方の連結部材である第2の連結部材73Bも、第1の連結部材73Aと同様な棒状に形成されている。
【0083】
第1の連結部材73Aは長手方向の一方の端部は係合部材71に係合している。この係合によって、水平方向に延びている中心軸C5を中心にして、係合部材71に対し第1の連結部材73Aが回動するようになっている。
【0084】
また、第1の連結部材73Aは長手方向の他方の端部は、第1のアーム状部材9Aの長手方向の中間部で第1のアーム状部材9Aに係合している。この係合によって、水平方向に延びている中心軸C6を中心にして、第1のアーム状部材9Aに対し第1の連結部材73Aが回動するようになっている。
【0085】
第2の連結部材73Bの長手方向の一方の端部は係合部材71に係合している。この係合によって、水平方向に延びている中心軸C7を中心にして、係合部材71に対し第2の連結部材73Bが回動するようになっている。
【0086】
また、第2の連結部材73Bは長手方向の他方の端部は、第2のアーム状部材9Bの長手方向の中間部で第2のアーム状部材9Bに係合している。この係合によって、水平方向に延びている中心軸C8を中心にして、第2のアーム状部材9Bに対し第2の連結部材73Bが回動するようになっている。
【0087】
油圧シリンダ67は、筒状のシリンダ本体75とピストン77(図7参照)とピストンロッド79とを備えて構成されている。そして、油圧シリンダ67に作動油に流入させ、また、油圧シリンダ67から作動油を流出させることで、シリンダ本体75からのピストンロッド79の突出長さが変化するようになっている。
【0088】
シリンダ本体75の端部は、第1のアーム状部材9Aの長手方向の中間部で第1のアーム状部材9Aに係合している。この係合によって、水平方向に延びている中心軸C9を中心にして、第1のアーム状部材9Aに対しシリンダ本体75が回動するようになっている。
【0089】
ピストンロッド79の端部は、第2のアーム状部材9Bの長手方向の中間部で第2のアーム状部材9Bに係合している。この係合によって、水平方向に延びている中心軸C10を中心にして、第2のアーム状部材9Bに対しピストンロッド79が回動するようになっている。
【0090】
このように構成されていることで、スタビライザ3と中央部材69と係合部材71と連結部材73と油圧シリンダ67とで限定連鎖機構が形成されている。そして、ピストンロッド79のシリンダ本体75からの突出量が最小値になっているときに、拡幅翼5が閉じ状態になり、ピストンロッド79のシリンダ本体75からの突出量が最大値になっているときに、拡幅翼5が最大開き状態になる。
【0091】
ところで、図1図3図6(a)では、掘削用ビット設置体13がアーム状部材9の長手方向にならんで、拡幅翼5(アーム状部材9)下側の部位のみに掘削用ビット設置体13が設置されている。これに対して、図6(b)で示すように、掘削用ビット設置体13がアーム状部材9の長手方向にならんで、拡幅翼5(アーム状部材9)の全長にわたり、掘削用ビット設置体13が設置されていてもよい。なお、図2等に参照符号26で示すものは、アーム状部材9に直接かつ一体的に設けられた掘削用ビットである。
【0092】
拡底アースドリルバケット固定部33は、本体部81と一対のパッド部83と延出部85とを備えて構成されている。延出部85は、本体部81から下側に延出している。パッド部83は、本体部81に支持されており、本体部81によって、一対のパッド部83のそれぞれが、掘削用ケーシング39の内面に押圧力をもって接するようになっている。一対のパッド部83のそれぞれが掘削用ケーシング39の内面に押圧力をもって接している状態では、掘削用ケーシング39とパッド部83と本体部81と延出部85とが一体化している。
【0093】
拡底アースドリルバケット回転支持部35は、本体部87と延出部89とを備えて構成されている。本体部87には、拡底アースドリルバケット固定部33の延出部85の下端部が接合されている。延出部89は、本体部87から下側に延出している。延出部89の下端部はアダプタ45に接合されている。
【0094】
そして、本体部87によって、延出部89が本体部87に対して回転駆動する状態と、延出部89が本体部87に対して回転せず本体部87と一体化している状態とを切り替えることができるようになっている。
【0095】
一対のパッド部83のそれぞれが掘削用ケーシング39の内面に押圧力をもって接しており、延出部89が本体部87と一体化している状態では、スタビライザ3と掘削用ケーシング39とが一体化している。一方、一対のパッド部83のそれぞれが掘削用ケーシング39の内面に押圧力をもって接しており、延出部89が本体部87に対して回転駆動する状態を回転駆動状態とする。この回転駆動状態では、掘削用ケーシング39に対してスタビライザ3等が、第1の中心軸C1を回転中心にして回転するようになっている。
【0096】
アダプタ45には、図7で示すように、アダプタ本体部49と第1の嵌合部51と第2の嵌合部57とに加えて、複数の(たとえば2つの)補強部材(補強部位;ガタツキ低減部)91が設けられている。補強部材91は、「L」字状に形成されている。補強部材91の一方の端部は、筒状の51の外周の所定の部位やアダプタ本体部49にたとえば溶接によって一体的に接合されている。補強部材91の他方の端部は、ボルト93等の締結部材を用いて、スタビライザ3に一体的に接合されるようになっている。
【0097】
これにより、補強部材91が設けられていない場合に比べて、回転推進体47やスタビライザ3の回転方向での、回転推進体47とスビライザ3との間のガタツキを少なくすることができる。すなわち、補強部材91が設けられていないとすると、上記ガタツキが、第1の嵌合部51と被嵌合部53との間、および、第2の嵌合部57と被嵌合部59との間で発生してしまう。これに対して、補強部材91が設けられていることで、第2の嵌合部57と被嵌合部59との間でのガタツキが無くなっている。また、補強部材91を設けたことで、回転推進体47と拡底アースドリルバケット1(スタビライザ3)との接合強度を向上させることができる。
【0098】
また、第1の中心軸C1の延伸方向で見ると、複数の補強部材91は、筒状の51の外周を等倍する箇所に配置されている。すなわち、図7(a)で示すように、補強部材91は一対で設けられており、一方の補強部材91が、第1の嵌合部51の左側に配置されており、他方の補強部材91が、第1の嵌合部51の右側に配置されている。なお、補強部材91には、補強部材91の剛性を高めるためのリブ113が設けられている。
【0099】
掘削用ビット設置体13の環状部材29は、断面(環の延伸方向に対して直交する平面による断面)の形状が矩形になっている円環状に形成されている。掘削用ビット設置体13の螺旋状部材31は、断面(螺旋の延伸方向に対して直交する平面による断面)の形状が矩形になっている。
【0100】
掘削用ビット設置体13では、複数の螺旋状部材31の間に、螺旋状の間隙95が形成されている。間隙95の体積は、螺旋状部材31の体積よりも大きくなっている。
【0101】
次に、縦孔17の形成と縦孔17の底部19と拡径とにおける拡底アースドリルバケット1等の動作について説明する。
【0102】
初期状態では、拡幅翼5に第1の掘削用ビット25が設置された掘削用ビット設置体13が設置されており、拡底アースドリルバケット1に第2の掘削用ビット41が設置されており、地盤15の上にアースドリル43が配置されている。初期状態では、拡底アースドリルバケット固定部33と拡底アースドリルバケット回転支持部35とで拡底アースドリルバケット1が掘削用ケーシング39に一体的に設置されている。初期状態では、拡底アースドリルバケット1のスタビライザ3が掘削用ケーシング39と一体化している。また、初期状態では、拡幅翼5が閉じ状態になっており、掘削用ケーシング39と拡底アースドリルバケット1とが地盤15の上に位置しており、掘削用ケーシング39がアースドリル43に設置されている。
【0103】
上記初期状態で、アースドリル43により、掘削用ケーシング39を回転させつつ下側に移動する。そして、掘削用ケーシング39を所定の距だけ移動し終えたとき、底部19の拡径がされていない円柱状の縦孔17が得られる。
【0104】
この後、縦孔17の底部19の拡径をする。この拡径では、拡底アースドリルバケット固定部33を掘削用ケーシング39に固定しておき、拡底アースドリルバケット回転支持部35で拡幅翼5を回転させつつ、拡幅翼駆動部7で拡幅翼5を次第に開く。拡幅翼5を最大開き状態まで開くことで、縦孔17の底部19の拡径が終了する。
【0105】
ここで拡底アースドリルバケット1を用いた縦孔17の底部19の拡径の原理について、拡径を模式的に示した図5を参照しつつさらに詳しく説明する。
【0106】
部材97と部材99とは油圧シリンダ67で接続されている。掘削用ビット設置体13は、第2の中心軸C2まわりで回転するように、部材97の先端部に設けられている(矢印A2参照)。部材99は、第1の中心軸C1まわりで回転するようになっている(矢印A1参照)。
【0107】
油圧シリンダ67の1つ目の内部空間101には、油圧源105から作動油が供給されている。1つ目の内部空間101に供給される作動油の圧力は、圧力調整弁107とリリーフ弁109とによって、ピストン77やピストンロッド79(掘削用ビット設置体13)が移動して、1つ目の内部空間101の容積が変化しても一定値を保つようになっている。油圧シリンダ67の2つ目の内部空間103は、ドレインになっている。
【0108】
部材97、99を矢印A1の方向に回転させると、掘削用ビット設置体13や第1の掘削用ビット25が矢印A2の方向に回転し、地盤15の被切削部位111が切削されて、縦孔17の底部19の拡径がされる。
【0109】
なお、上記説明では、底部19を拡径する前の縦孔17の形成と、底部19の拡径とを、拡底アースドリルバケット1を用いて行っている。これに対して、底部19を拡径する前の縦孔17の形成をドリル等の掘削工具を用いて行い、この後、拡底アースドリルバケット1を用いて縦孔17の底部19の拡径を行ってもよい。
【0110】
拡底アースドリルバケット1では、掘削用ビット(第1の掘削用ビット)25が掘削用ビット設置体13を用いて拡底アースドリルバケット1の拡幅翼5に設置されている。掘削用ビット設置体13は、第2の中心軸C2を中心にして回転するように拡幅翼5に支持される掘削用ビット設置体本体部21と、掘削用ビット設置体本体部21に設けられ第1の掘削用ビット25が設置される複数の掘削用ビット設置部23とを備えている。
【0111】
そして、地盤15に掘られた縦孔17の底部19を拡径するときに掘削用ビット(第1の掘削用ビット)25が第2の中心軸C2まわりで自転するとともに第1の中心軸C1まわりでも公転するようになっている。したがって、地盤15に対する掘削用ビット25の運動の自由度が、従来の中堀掘削機301の拡底バケット307に比べて高くなっている。
【0112】
これにより、縦孔17の底部19が硬質層65で形成されていても、掘削用ビット25が硬質層65に引っ掛かりにくくなり、拡幅翼5の第1の中心軸C1まわりでの回転が停止する事態の発生することを極力回避することができる。そして、縦孔17の底部19が硬質層65で形成されていても、硬質層65での拡径を可能にすることができ、また、硬質層65での拡径に要する時間を短縮することができる。
【0113】
また、拡底アースドリルバケット1では、複数の掘削用ビット設置部23が、掘削用ビット設置体本体部21の外周部で延伸している複数の第1の螺旋に沿ってならんでおり、複数の第1の螺旋が掘削用ビット設置体本体部21の周方向でならんでいる。
【0114】
これにより、1つの掘削用ビット設置体13についてみると、たとえば、複数の掘削用ビット25のそれぞれが時間差をもってかつ連続的に地盤15の硬質層65を掘削するようになっている。すなわち、硬質層65を掘削している状態では、複数の掘削用ビット25のうちの少なくとも1つの掘削用ビット25が硬質層65を掘削している。そして、縦孔17の底部19が硬質層65で形成されていても、掘削用ビット設置体13が第2の中心軸C2まわりでスムーズに回転し、拡径に要する時間を一層短縮することができる。
【0115】
また、拡底アースドリルバケット1では、掘削用ビット設置体本体部21が環状部材29と複数の螺旋状部材31とを備えて構成されている。複数の螺旋状部材31のそれぞれは、第1の端部が第1の環状部材29Aに接合されており、第2の端部が第2の環状部材29Bに接合されている。の螺旋状部材31のそれぞれは、環状部材29の周を等分配する位置に配置されている。また、複数の掘削用ビット設置部23が、複数の螺旋状部材31のそれぞれに設けられている。そして、掘削用ビット設置体13の内部が空洞化されている。これより、掘削用ビット25での掘削で生成され細かくなった土砂の排出がしやすくなっている。
【0116】
また、拡底アースドリルバケット1では、縦孔17を掘削するときには、第1の掘削用ビット25が設置されている拡幅翼5を閉じておき、拡底アースドリルバケット固定部33を掘削用ケーシング39に固定しておく。さらに、縦孔17を掘削するときには、拡底アースドリルバケット回転支持部35で掘削用ケーシング39に対する拡幅翼5の回転を阻止しておき、掘削用ケーシング39をアースドリル43によって回転するともに下方に移動するようになっている。
【0117】
また、拡底アースドリルバケット1では、縦孔17の掘削をし終えた後に、拡底アースドリルバケット固定部33を掘削用ケーシングに固定しておくとともに、拡底アースドリルバケット回転支持部35で掘削用ケーシング39に対して拡幅翼5を回転させる。このときに、拡幅翼駆動部7で拡幅翼5を次第に開くようにしている。
【0118】
これにより、拡底アースドリルバケット1による縦孔17」の掘削と、この掘削された縦孔17の底部19の拡径とをすることができる。
【0119】
また、アダプタ45が、アダプタ本体部49と第1の嵌合部51とを備えて構成されている。第1の嵌合部51は、アダプタ本体部49の上側でアダプタ本体部49に一体的に設けられており、回転推進体47の被嵌合部53に嵌合されて回転推進体47が発する回転力を、ガタツキを減らした状態でアダプタ本体部49に伝達するようになっている。
【0120】
ここで、第1の嵌合部51や第2の嵌合部57の寸法を変えたアダプタ45を複数種類準備しておく。そして、アースドリル43の回転推進体47の被嵌合部53の寸法やスタビライザ3の被嵌合部59の寸法が変わった場合、複数種類のアダプタ45から適宜選択したアダプタ45を用いることで、アースドリル43の回転推進体47に拡底アースドリルバケット1をガタツキのほぼ無い状態で接合するようにしてもよい。
【0121】
さらに、アースドリル43の回転推進体47の回転中心軸に対する拡底アースドリルバケット1の芯ずれを極力無くすことができ、正確な形状の縦孔17とこの縦孔17の底部19を正確な形状に拡径とをすることができる。
【0122】
ここで、上記記載内容を、拡底孔の施工方法として把握してもよい。
【0123】
すなわち、拡底アースドリルバケット1であって拡幅翼5の下端に掘削用ビット41が設けられている拡底アースドリルバケット1を用いた拡底孔の施工方法であって、前記第1の掘削用ビットが設置されている前記拡幅翼を閉じておき、前記拡底アースドリルバケット固定部を前記掘削用ケーシングに固定しておくとともに、前記拡底アースドリルバケット回転支持部で前記掘削用ケーシングに対する前記拡幅翼の回転を阻止しておき、前記掘削用ケーシングを回転するともに下方に移動することで、地盤を掘削して縦孔を設けて縦孔掘削工程と、前記縦孔掘削工程で前記縦孔の掘削をし終えた後に、前記拡底アースドリルバケット固定部を前記掘削用ケーシングに固定しておくとともに、前記拡底アースドリルバケット回転支持部で前記掘削用ケーシングに対して前記拡幅翼を回転させつつ、前記拡幅翼駆動部で前記拡幅翼を次第に開くことで、前記縦孔の底部を拡径する縦孔底部拡径工程とを有する拡底孔の施工方法として把握してもよい。
【0124】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0125】
1 拡底アースドリルバケット
3 スタビライザ
5 拡幅翼
7 拡幅翼駆動部
9、9A、9B アーム状部材
11 掘削用ビット設置体設置部
13 掘削用ビット設置体
15 地盤
17 縦孔
19 底部
21 掘削用ビット設置体本体部
23 掘削用ビット設置部
25 第1の掘削用ビット
29、29A、29B 環状部材
31 螺旋状部材
33 拡底アースドリルバケット固定部
35 拡底アースドリルバケット回転支持部
39 掘削用ケーシング
41 第2の掘削用ビット
45 アダプタ
47 回転推進体(ケリーバ)
49 アダプタ本体部
51 第1の嵌合部
53 被嵌合部(回転推進体の被嵌合部)
57 第2の嵌合部
59 被嵌合部(スタビライザの被嵌合部)
91 補強部材
C1 第1の中心軸
C2 第2の中心軸
図1
図2
図3
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図7
図8