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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126570
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】表示方法
(51)【国際特許分類】
   A01B 33/16 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
A01B33/16
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117498
(22)【出願日】2023-07-19
(62)【分割の表示】P 2022066508の分割
【原出願日】2017-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】池田 幸治
(57)【要約】
【課題】圃場を作業しながらその作業の結果得られた圃場状態を評価すること。
【解決手段】判定方法は、圃場を走行する走行機体の後方に装着された作業機に備えられた前記圃場に接する接地部材の前記圃場に対する上下動の変化を検出し、前記上下動の変化に基づいて、前記作業機の作業によって得られた圃場状態を判定する。作業機は、フレームと、前記フレームに対して取り付けられ、作業爪を有するロータと、前記フレームに対して回動可能に接続されたカバー部材と、前記カバー部材に対して回動可能に接続され、圃場に対して接触可能な接地部材と、前記接地部材に接続され、前記接地部材の前記フレーム又は前記カバー部材に対する回動角度の変化を検出する検出部材と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部に接続された情報処理装置であって、圃場に接する作業機の接地部材の前記圃場に対する上下動の変化に基づいて、前記作業機の作業によって得られた、前記圃場の砕土状態又は均平状態を示す圃場状態の判定し、当該判定の結果を前記表示部に表示させる情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業機及び判定方法に関する。特に、トラクタの後部に装着される作業機及びその作業機を用いた圃場状態の判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、農作業の労働時間を軽減するために作業機のオートマチック化が進められ、様々な作業機が開発されている。特に、トラクタ等の走行機体の後方に装着され、耕耘や代かきなど、作業の種類に応じて交換可能な作業機(耕耘機や代かき機)は、トラクタ等の走行機体に対してアタッチメントのように交換するだけで様々な農作業に対応することが可能であり、農作業のコスト低減に大きく寄与している。
【0003】
また、従来の農作業は各農家の経験と勘に頼っていた。したがって、各農家によって農作業の効率にばらつきが生じていたため、農作物の収穫量および品質にもばらつきが生じていた。さらに、各農家が世代交代すると、新たな世代を担う農家は、その経験と勘のすべてを引き継ぐことは困難であり、農作業の経験の蓄積が活かされない。
【0004】
耕耘機や代かき機によって圃場に対して耕耘又は代かきの作業を行う場合、耕耘後又は代かき後の均平状態や土塊の大きさを把握する必要がある。しかし、圃場全ての均平状態や土塊の大きさを確認することはできないため、圃場の限られた領域だけの情報しか得ることができない。そのため、作業者は作業中の作業機に伝わる振動や作業後の圃場状態の目視によって均平状態や土塊の大きさを推測していた。耕耘後又は代かき後の圃場状態を評価する方法として、リヤカバー21の回動基部に角度センサー22を配置し、リヤカバー21の回動によって耕深を検知する手法が用いられている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-28109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された構造では、詳細な圃場の均平状態や土塊の大きさを評価することができない。本発明は、そのような課題に鑑みてなされたものであり、圃場を作業しながらその作業の結果得られた圃場状態を評価することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態による判定方法は、圃場を走行する走行機体の後方に装着された作業機に備えられた前記圃場に接する接地部材の前記圃場に対する上下動の変化を検出し、前記上下動の変化に基づいて、前記作業機の作業によって得られた圃場状態を判定する。
【0008】
前記圃場状態の判定は、圃場の作業区間毎に行われてもよい。
【0009】
さらに、前記作業区間毎の前記圃場状態の判定結果を、前記作業区間毎の前記上下動の変化に関する情報と関連付けて保存してもよい。
【0010】
さらに、作業者の判定基準変更指示に従って、保存された前記上下動の変化に関する情報に関連付けられた前記圃場状態を再判定してもよい。
【0011】
本発明の一実施形態による作業機は、圃場を走行する走行機体の後方に装着され、前記圃場に接する接地部材と、前記圃場の凹凸に起因する前記接地部材の上下動の変化を検出する検出器と、前記検出器によって検出された前記上下動の変化に関する情報を、圃場状態を判定する判定器に送信する制御部と、を備える。
【0012】
本発明の一実施形態による作業機は、圃場を走行する走行機体の後方に装着され、前記圃場に接する接地部材と、前記圃場の凹凸に起因する前記接地部材の上下動の変化を検出する検出器と、前記上下動の変化に基づいて、作業によって得られた圃場状態を判定する制御部と、を備える。
【0013】
前記制御部は、前記圃場の作業区間毎の前記上下動の変化に基づいて、前記圃場状態を判定してもよい。
【0014】
前記作業区間毎の前記圃場状態を、前記作業区間毎の前記上下動の変化に関する情報と関連付けて記憶する記憶部をさらに有してもよい。
【0015】
前記制御部は、作業者から判定基準変更指示を受け付け、前記判定基準変更指示に基づいて前記記憶部に記憶された前記作業区間毎の前記上下動の変化に関する情報を用いて前記作業区間毎の前記圃場状態を再判定してもよい。
【0016】
本発明の一実施形態による作業機は、フレームと、前記フレームに対して取り付けられ、作業爪を有するロータと、前記フレームに対して回動可能に接続されたカバー部材と、前記カバー部材に対して回動可能に接続され、圃場に対して接触可能な接地部材と、前記接地部材に接続され、前記接地部材の前記フレーム又は前記カバー部材に対する回動角度の変化を検出する検出部材と、を備える。
【0017】
前記検出部材は、角度検出器及び伸縮ロッドを有し、前記角度検出器は、前記フレーム又は前記カバー部材に設置され、前記伸縮ロッドは、前記角度検出器と前記接地部材とを連結してもよい。
【0018】
前記接地部材の回動によって、前記角度検出器が前記角度検出器の可動範囲を越えて回動しようとするときに前記伸縮ロッドが伸縮してもよい。
【0019】
前記伸縮ロッドは、第1アーム部、第2アーム部、及び弾性部を含み、前記第1アーム部及び前記第2アーム部は互いにスライド可能に接続されており、前記弾性部は、前記伸縮ロッドが伸びる方向及び縮む方向の両方向に対して、前記第1アーム部及び前記第2アーム部の各々に弾性力を付与してもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る作業機によれば、圃場を作業しながらその作業の結果得られた圃場状態を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る走行機体及び作業機の全体構成を示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る走行機体及び作業機の機能構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る作業機の全体構成を示す上面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る作業機のレベラ角度検出機構の全体構成を示す側面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る作業機を用いた圃場状態の判定方法の動作フローを示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る圃場状態の判定方法において、画面に表示されるインターフェースの一例を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る圃場状態の判定方法を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係る圃場状態の判定方法を示す図である。
図9】本発明の実施形態に係る圃場状態の判定方法を示す図である。
図10】本発明の実施形態に係る圃場状態の判定に用いられるルックアップテーブル(LUT)に関連するインターフェースを示す図である。
図11】本発明の実施形態に係る圃場状態の判定方法によって得られたデータの一例を示す図である。
図12】本発明の実施形態に係る圃場状態の判定結果をモニタに表示する一例を示す図である。
図13】本発明の実施形態に係る圃場状態の判定結果の基準を変更する方法の一例を示す図である。
図14】本発明の一実施形態に係る作業機のレベラ角度検出機構の詳細を示す側面図である。
図15】本発明の一実施形態に係る作業機のレベラ角度検出機構の詳細を示す上面図である。
図16】本発明の一実施形態に係る作業機において、伸縮ロッドが最も伸びた状態を示す側面図である。
図17】本発明の一実施形態に係る作業機において、伸縮ロッドが最も縮んだ状態を示す側面図である。
図18】本発明の実施形態に係る圃場状態の判定方法によって得られたデータの管理方法の一例を示す図である。
図19】本発明の実施形態に係る圃場状態の判定方法及び収量のマッピングデータの一例を示す図である。
図20】本発明の実施形態に係る収量のマッピングデータを圃場状態の判定方法のブロックの境界で区分した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明に係る作業機について説明する。但し、本発明の作業機は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の数字を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、説明の便宜上、上方(上部)又は下方(下部)という語句を用いて説明するが、上方(上部)又は下方(下部)は、作業機が圃場に対して作業をしている状態における上下方向を示す(図1参照)。また、同様に、前方(前側)又は後方(後側)という語句を用いて説明する場合、前方(前側)は作業機に対する作業機を牽引する走行機体の方向を示し、後方(後側)は走行機体に対する作業機の方向を示す(図1参照)。
【0023】
〈実施形態〉
本実施形態では、圃場状態を判定するための作業機として代かき機が用いられた構成について例示するが、この構成に限定されない。例えば、圃場状態を判定するための作業機として、代かき機以外に、作業中に圃場に対して接触可能な接地部材を備えた作業機を用いることができる。例えば、このような作業機として、耕耘機、砕土機、プラウなどが用いられてもよい。なお、本実施形態では作業機として代かき機が用いられるため、上記接地部材は均平部材(レベラ)に相当する。
【0024】
[全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る走行機体及び作業機の全体構成を示す概略図である。図1に示すように、圃場を走行する走行機体10の後方に作業機20が装着されている。
【0025】
走行機体10は、車体100、モニタ110、及び三点リンク機構120を備える。モニタ110は車体100の前方に設けられる。三点リンク機構120は車体100の後方に設けられる。後述するように、モニタ110には各種条件の設定画面、圃場に接する均平部材の回動角度、及び圃場状態の判定結果等の情報が表示される。なお、モニタ110はタッチセンサ付きディスプレイであることが好ましい。本実施形態では、モニタ110は走行機体10に備えられているが、モニタ110は作業者が保有する通信端末(例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレットPC、PDA、ノートPC、及びPHS)に置き換えることができる。作業機20は、三点リンク機構120に対して連結される。三点リンク機構120の構造は公知であるため、詳細な説明は省略する。
【0026】
本実施形態では、作業機20は代かき機である。作業機20はフレーム200、ロータ207、シールドカバー210、カバー部材(エプロン220)、及び均平部材(レベラ230)を備える。ロータ207はフレーム200に対して回転自在に取り付けられている。ロータ207は複数の作業爪を有しており、その作業爪を回転させながら圃場に作用させることで圃場を耕耘又は攪拌する。エプロン220はロータ207の後方において、フレーム200及びシールドカバー210に対して回転移動(回動)可能に設けられている。なお、シールドカバー210とフレーム200との位置関係は固定されているため、シールドカバー210をフレーム200の一部と見なすこともでき、上記の構成を、エプロン220はフレーム200に対して回動可能に接続されている、ということもできる。レベラ230はエプロン220に対して回動可能に設けられている。エプロン220及びレベラ230は、圃場に接触することで、ロータ207の作業によって荒れた圃場を均平化する。
【0027】
図2は、本発明の一実施形態に係る走行機体及び作業機の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、走行機体10は、制御部191、表示部193、及び位置検出部195を有する。作業機20は、制御部291及び検出部293を有する。制御部191と制御部291とは通信部121によって接続されている。制御部291は、通信部121を介して制御部191に対して各種情報を送受信する。通信部121は有線であってもよく、無線であってもよい。通信部121の通信方法として、例えばCAN(Controller Area Network)、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)を用いることができる。なお、モニタ110を作業者が保有する通信端末に置き換える場合、少なくとも制御部191及び表示部193は通信端末の中央演算処理装置(CPU)によって実現される。もちろん、位置検出部195が通信端末に設けられていてもよい。
【0028】
表示部193は制御部191によって制御され、作業者が視認できるようにモニタ110に画像を表示する。ただし、上記のように、表示部193は走行機体10に備えられたモニタ110に画像を表示する代わりに、作業者が保有する通信端末に画像を表示させてもよい。位置検出部195は走行機体10の現在位置を検出する。位置検出部195によって検出された位置情報は制御部191に送信される。位置検出部195として、例えば全球測位衛星システム(GNSS;Global Navigation Satellite System)を用いることができる。GNSSとして、GPS、GLONASS、Galileo、準天頂衛星(QZSS)等の衛星測位システムを用いることができる。ただし、位置検出部195はGNSSに限定されず、走行機体10の位置情報を検出する他の機器を用いることができる。制御部191、表示部193、及び位置検出部195は、上記と同様に有線又は無線で、CAN、Wi-Fi、又はBluetoothによ
って接続される。
【0029】
検出部293は、レベラ230のエプロン220に対する回動角度を検出する。換言すると、検出部293は、レベラ230の圃場に対する上下動の変化を検出する。検出部293によって検出されたレベラ230の上下動の変化は制御部291に送信される。検出部293として、詳細は後述するが、例えばポテンショメータを用いることができる。ただし、検出部293はポテンショメータに限定されず、レベラ230の上下動の変化を検出する他の機器を用いることができる。制御部291及び検出部293は、上記と同様に有線又は無線で、CAN、Wi-Fi、又はBluetoothによって接続される。
【0030】
制御部291に送信されたレベラ230の上下動の変化に関する情報は、通信部121を介して制御部191に送信される。そして、レベラ230の上下動の変化に関する情報は制御部191によって解析され、圃場状態を判定する。なお、圃場状態の判定方法の詳細は後述する。ただし、制御部291がレベラ230の上下動の変化に関する情報を解析し、圃場状態を判定してもよい。なお、制御部191及び制御部291は、ネットワークを介してサーバと通信してもよい。つまり、検出部293によって検出されたレベラ230の上下動の変化に関する情報が制御部191又は制御部291からサーバに送信され、サーバがその情報を解析して、圃場状態を判定してもよい。
【0031】
詳細は後述するが、位置検出部195によって検出された位置情報は走行機体10の現在位置を表示するために用いられるだけではなく、検出部293によって検出されたレベラ230の上下動の変化に基づいて得られた圃場状態の判定結果と併せてモニタ110に表示される。
【0032】
[作業機20の構成]
図3は、本発明の一実施形態に係る作業機の全体構成を示す上面図である。図3に示すように、作業機20は、フレーム200、中央作業部300、延長作業部400、レベラ拡張部490、レベラ角度検出機構500、及びレベラ制御部600を有する。作業機20は走行機体10の後方に装着される。詳細は図4で説明するが、中央作業部300及び延長作業部400のそれぞれの下方には複数の作業爪を有するロータ207が設けられる。
【0033】
フレーム200は、メインフレーム201、伝動フレーム(チェーンケース203が設けられた側のフレーム)、及びサイドフレーム205を有する。メインフレーム201は作業機20の長手方向(走行機体の進行方向に対して直交または単に交差する方向)に延びている。メインフレーム201の左右両端部にはチェーンケース203及びサイドフレーム205が配置される。チェーンケース203とサイドフレーム205との間にはロータ207がフレーム200に対して回転自在に支持される。具体的には、ロータ207は後述する中央シールドカバー310及び延長シールドカバー410のそれぞれの下方に取り付けられる。つまり、ロータ207に設けられた複数の作業爪は作業機20の長手方向に配列される。
【0034】
中央作業部300は、中央シールドカバー310、中央整地部材(中央エプロン320)、及び中央レベラ330を有する。中央シールドカバー310及び中央エプロン320は、第1接続部(図示せず)を回転移動の軸(回動軸)として接続される。また、中央エプロン320及び中央レベラ330は、第2接続部332を回動軸として接続される。第1接続部および第2接続部332は、蝶番状のヒンジを有する。つまり、第1接続部及び第2接続部332の各々は、円筒状部及び柱状部を有する。ここで、上記接続部の円筒状部は接続部によって接続される2つの部材の一方に固定されており、柱状部は円筒状部の内部を貫通し、柱状部の両端がこれらの部材の他方に固定される。
【0035】
中央シールドカバー310及び中央エプロン320はロータ207の作業によって飛散された飛散物が外部に放出されることを抑制する。つまり、中央シールドカバー310及び中央エプロン320をカバー部材ということができる。中央レベラ330はロータ207の作業によって耕耘又は撹拌された土壌を均平化する。つまり、中央レベラ330を均平部材又は接地部材ということができる。
【0036】
延長作業部400は中央作業部300の左右両端部に設けられ、中央作業部300の上方に折り畳まれた収納状態(図示せず)と、図3に示すように展開された作業状態とを切り替え可能に中央作業部300に接続される。
【0037】
延長作業部400は、中央作業部300と同様に延長シールドカバー410、延長エプロン420、及び延長レベラ430を有する。延長シールドカバー410及び延長エプロン420は、接続部422を回動軸として接続される。また、延長エプロン420及び延長レベラ430は、接続部432を回動軸として接続される。接続部422、432は、上記の第1接続部、第2接続部332と同様の構造を有する。
【0038】
延長シールドカバー410及び延長エプロン420は中央シールドカバー310及び中央エプロン320と同様に、延長作業部400に配置されたロータ207の作業によって飛散された飛散物が外部に放出されることを抑制する。つまり、延長シールドカバー410及び延長エプロン420をカバー部材ということができる。また、延長レベラ430は、中央エプロン320と同様に、延長作業部400に配置されたロータ207の作業によって耕耘又は撹拌された土壌を均平化する。つまり、延長レベラ430を均平部材又は接地部材ということができる。なお、図示しないが、延長シールドカバー410と延長エプロン420との間にはエプロン加圧機構が設けられている。当該エプロン加圧機構は、延長エプロン420が延長シールドカバー410に対して下方に回動するように延長エプロン420を加圧する。
【0039】
中央シールドカバー310と延長シールドカバー410とを特に区別しない場合、単にシールドカバー210という。中央エプロン320と延長エプロン420とを特に区別しない場合、単にエプロン220という。中央レベラ330と延長レベラ430とを特に区別しない場合、単にレベラ230という。
【0040】
延長レベラ430の端部には、整地可能な幅をさらに広げることができるレベラ拡張部490が設けられている。レベラ拡張部490は延長レベラ430に回動可能に接続される。また、レベラ拡張部490は作業機20の長手方向に対して走行機体側に傾斜した誘導面491を有する。
【0041】
レベラ角度検出機構500は、制御ボックス501に接続されている。制御ボックス501は中央シールドカバー310の上方に設けられている。制御ボックス501は、図2の制御部291の機能を有し、レベラ角度検出機構500によって検出された中央レベラ330の中央エプロン320に対する回動角度を走行機体10に設けられた制御部191に送信する。
【0042】
レベラ制御部600は、中央エプロン320に対する中央レベラ330の角度を制御する。延長レベラ430は中央レベラ330と連動して中央レベラ330の角度と同じ角度に制御される。例えば、作業状態において、レベラ制御部600が中央レベラ330を下方に押し込むことで、中央レベラ330及び延長レベラ430が中央エプロン320及び延長エプロン420に対して下方に回動した状態(土寄せ状態)を実現することができる。
【0043】
図4を用いて、レベラ角度検出機構500の詳細な構成について説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る作業機のレベラ角度検出機構の全体構成を示す側面図である。図4に示すように、検出部材(レベラ角度検出機構500)は、角度検出器(ポテンショメータ510)、第1アーム部520、第2アーム部530、第1弾性部540、及び第2弾性部550を有する。第1アーム部520、第2アーム部530、第1弾性部540、及び第2弾性部550を併せて伸縮ロッド590という場合がある。ポテンショメータ510は中央シールドカバー310に設けられた台座314に固定されている。ポテンショメータ510と第1アーム部520とは回動可能に接続されている。第2アーム部530は中央レベラ330に設けられた台座334に固定されている。第2アーム部530と台座334とは回動可能に接続されている。上記の構成を換言すると、伸縮ロッド590はポテンショメータ510と中央レベラ330とを連結する。
【0044】
第1アーム部520と第2アーム部530とは互いにスライド移動可能に接続されている。第1弾性部540は伸縮ロッド590が縮む方向に第1アーム部520及び第2アーム部530に弾性力を付与する。一方、第2弾性部550は伸縮ロッド590が伸びる方向に第1アーム部520及び第2アーム部530に弾性力を付与する。なお、レベラ角度検出機構500のより詳細な構造は後述する。
【0045】
第1弾性部540及び第2弾性部550のそれぞれの弾性率は、ポテンショメータ510の原点復帰用の弾性部の弾性率に比べて大きい。したがって、中央レベラ330が圃場の凹凸の影響を受けて中央エプロン320に対して回動したとき、中央レベラ330の回動に伴って第1アーム部520及び第2アーム部530を介してポテンショメータ510が動作する。上記のようにして、中央レベラ330の中央エプロン320に対する回動角度をポテンショメータ510で検出することができる。
【0046】
延長レベラ430は中央レベラ330と連結されており、中央レベラ330と共に回動するため、ポテンショメータ510によって中央レベラ330及び延長レベラ430(レベラ230)の回動角度を検出することができる。換言すると、レベラ角度検出機構500を用いてレベラ230の上下動の変化を検出することができる。
【0047】
図4では、中央レベラ330は中央エプロン320に対して回動し、中央エプロン320は中央シールドカバー310に対して回動するため、ポテンショメータ510は中央エプロン320及び中央レベラ330の両方の回動を検出することになる。しかし、ポテンショメータ510によって得られたデータに対して、中央エプロン320の回動による影響を排除する演算処理することで、中央レベラ330の回動のみを検出することができる。
【0048】
なお、本実施形態では、レベラ角度検出機構500がレベラ230(中央レベラ330)のエプロン220(中央エプロン320)に対する回動角度を検出する構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、圃場に接する接地部材がフレーム200又はシールドカバー210(例えば、中央シールドカバー310)に対して回動可能に接続された構成において、当該接地部材の回動角度を検出してもよい。なお、当該接地部材はフレーム200又はシールドカバー210に対して回動しなくてもよい。ただし、その場合は、ポテンショメータ510に代えて接地部材の上下動の変化を検出可能な検出器が設けられる。
【0049】
[圃場状態の判定方法]
図5図10を用いて、本実施形態の作業機20を用いた圃場状態の判定方法について説明する。図5は、本発明の一実施形態に係る作業機を用いた圃場状態の判定方法の動作
フローを示す図である。作業者がモニタ110を操作し、圃場状態の判定プログラムを起動することで、プログラム動作が開始する。
【0050】
プログラム動作が開始されると、モニタ110にメニュー画面が表示される(S601)。メニュー画面から『圃場登録』を選択し、圃場の位置及び大きさを登録する(S603)。圃場の情報を事前に登録することで、圃場の各位置における判定結果を表示することができる。『圃場登録』が選択されると、図6に示す画面がモニタ110に表示される。図6は、本発明の一実施形態に係る圃場状態の判定方法において、画面に表示されるインターフェースの一例を示す図である。図6に示すように、モニタ110には入力領域611及び位置選択領域613が表示される。
【0051】
入力領域611には、圃場の名称、長辺サイズ、及び短辺サイズを入力可能な入力枠615が設けられている。なお、圃場の名称、長辺サイズ、及び短辺サイズは互いに関連付けて保存され、例えば圃場の名称をプルダウン形式で選択することで、自動的に事前に登録された長辺サイズ及び短辺サイズが入力されてもよい。
【0052】
位置選択領域613には、長方形の圃場の模式図及び走行機体のアイコンが表示されている。作業者は走行機体10を圃場の角に移動した状態で、走行機体10と圃場の位置関係に相当する画像を選択する。画像が選択されると、走行機体10の備えられたGNSSによって、走行機体10の位置情報が検出され、当該位置情報及び入力枠615に入力された圃場のサイズに基づいて圃場の外縁の位置情報が登録される。なお、圃場の位置情報は走行機体10のメモリに記憶されてもよく、インターネットを介して本プログラムに関連するサーバの外部ストレージに登録されてもよい。このようにして、圃場の位置情報が登録される。
【0053】
図5に示すように、作業機20による作業を行いながらS603において登録された圃場を走行開始すると(S605)、レベラ230が圃場の凹凸に起因して上下動(エプロン220に対して回動)する。その上下動の変化(エプロン220に対するレベラ230の回動角度の変化)をポテンショメータ510を用いて検出し(S607)、その上下動の変化を解析することで、作業後の圃場状態を判定することができる(S609)。
【0054】
ここで、図7~10を用いて、S609においてレベラ230の上下動の変化に基づいて圃場状態を判定する方法について詳細に説明する。図7図9は、本発明の実施形態に係る圃場状態の判定方法を示す図である。図10は、本発明の実施形態に係る圃場状態の判定に用いられるルックアップテーブル(LUT)に関連するインターフェースを示す図である。まず、図7に示すように、走行機体10に設けられたGNSSによって検出された位置情報、及び作業機20に設けられたレベラ角度検出機構500によって検出されたレベラ230の上下動の変化に基づいて、走行機体10の位置に対するレベラ230の上下動の変化がプロットされる。図7に示すプロットデータは、圃場の作業区間L1、L2及びL3毎に解析される。図7に示す例では、一定の作業区間毎にプロットデータを解析する例が示されている。ただし、解析対象の作業区間の間隔は一定でなくてもよい。図7では、圃場が作業区間L1、L2及びL3に区分されている。本実施形態の圃場状態の判定方法は、プロットデータを作業区間L1、L2及びL3のそれぞれの区間で解析し、それぞれの区間に対して判定結果が導出される。
【0055】
図8を用いて、レベラ230の上下動を検出したプロットデータを解析する方法を説明する。圃場状態の判定は、凹凸の変化の大きさに基づいて行われる。具体的には、圃場状態の判定は、プロットデータにおいて検出された、隣接する山と谷の差に基づいて行われる。この隣接する山と谷の差を隣接PV(Peak to Valley)値という。1つの作業区間における各隣接PV値を算出し、これらの隣接PV値に対する統計値に基づ
いて圃場状態の判定が行われる。具体的に説明すると、1つめの山p1と1つめの谷v1との差(レベラ230の上下動の変化の大きさ)をPV1、1つめの谷v1と2つめの山p2との差をPV2、2つめの山p2と2つめの谷v2との差をPV3とする。そして、例えばPV1~3の平均値に基づいて判定を行う。この隣接PV値に基づく判定方法の詳細は後述する。
【0056】
上記の解析において山と谷を検出する際に、例えば微振動領域r1、r2を無視するようにフィルタ処理を行う。このフィルタ処理として、例えばローパスフィルタ処理を用いてもよい。また、その他のフィルタ処理として、隣接PV値が所定の値よりも小さい場合に、その隣接PV値に関連する山と谷を無視して処理を行ってもよい。
【0057】
図9を用いて、作業停止を検出する方法を説明する。作業機20が圃場を作業している間は、レベラ230は一定の範囲内で上下動するが、作業を停止して作業機20が上方に持ち上げられると、レベラ230はその可動範囲の限界まで下方に回動し、ほとんど上下動しなくなる。例えば、図9に示すように、作業機20が上方に持ち上げられると、プロットデータは下限付近まで落ち込み、ほとんど上下動しなくなる(図9の符号z1)。このようにプロットデータが特異的な挙動を示した場合に、作業が停止されたと判断してもよい。作業停止と判断された場合にプロットデータの取り込みを中断してもよい。また、作業停止と判断された状態が開始された位置(図9の符号z2)よりも前の情報だけを解析の対象としてもよい。
【0058】
図10を用いて、図8に示した隣接PV値の統計値(以下、隣接PV統計値という)に基づいて、圃場状態を判定する方法について説明する。図10に示すように、ルックアップテーブルに関連するインターフェース(LUT630に基づくインターフェース)は、判定結果631、選択633、及び隣接PV統計値判定範囲635の項目を有している。
【0059】
判定結果631は「不足」、「最適」、及び「過剰」の3つの項目の他に「良1」及び「良2」の項目が設けられている。「不足」は、まだ表面の土塊が大きく圃場表面の砕土性が悪い又は均平状態が悪い状態を指す。具体的には、隣接PV統計値の平均値及び標準偏差が相対的に大きい状態を「不足」と判定する。「過剰」は、表面の土塊が小さく圃場表面の砕土性が良い又は均平状態が良い状態を指すが、必要以上に土塊が小さい状態を指す。この「過剰」の状態に達するには、圃場に対する作業時間が長くなり、効率的ではない。したがって、「過剰」の状態になるまで作業を行う必要はない、という意味で「過剰」の項目が設けられる。具体的には、隣接PV統計値の平均値及び標準偏差が相対的に小さい状態を「過剰」と判断する。「最適」は「不足」と「過剰」との間の領域である。
【0060】
ここで、「良1」は、「最適」と「過剰」との間の状態を指してもよく、「過剰」の範囲の中で「最適」に近い状態を指してもよい。同様に、「良2」は、「最適」と「不足」との間の状態を指してもよく、「不足」の範囲の中で「最適」に近い状態を指してもよい。なお、「良1」及び「良2」の項目は、例えば走行機体10の速度を遅く又は早くするなど、作業条件を少し変更することで圃場状態を「最適」にすることができる状態を指す。
【0061】
判定結果が「良1」又は「良2」の場合に、モニタ110を介して作業者に「車速を速くしてください」又は「車速を遅くしてください」などの作業操作ガイダンスを表示してもよい。若しくは、判定結果が「良1」又は「良2」の場合に、モニタ110を介して作業者に「ロータの回転速度を下げてください」又は「ロータの回転速度を上げてください」などの作業操作ガイダンスを表示してもよい。走行機体10の車速を遅くする又はロータ207の回転速度を上げることで、ロータ207による圃場への作用が増加し、圃場表面の砕土性を向上させることができる。その結果、圃場状態を「良2」から「最適」に近
づけることができる。一方、走行機体10の車速を速くする又はロータ207の回転速度を下げることで、ロータ207による圃場への作業が減少し、圃場表面の砕土性を低下させることができる。その結果、圃場状態を「良1」から「最適」に近づけることができる。判定結果が「良1」の場合は速度を速くすることができるため、作業効率が向上する。
【0062】
上記とは異なる作業操作ガイダンスとして、判定結果が「良1」又は「良2」の場合に、モニタ110を介して作業者に「エプロンを加圧してください」又は「エプロンの加圧力を大きくしてください」、若しくは「エプロン加圧を解除してください」又は「エプロンの加圧力を小さくしてください」などの作業操作ガイダンスを表示してもよい。エプロンの加圧は、延長シールドカバー410と延長エプロン420との間に設けられたエプロン加圧機構によって行われる。エプロン220を加圧するとエプロン220はシールドカバー210に対して下方に回動するため、圃場の土等がエプロン220で滞留する。これによって、ロータ207による圃場への作用が増加し、圃場表面の砕土性を向上させることができる。一方、エプロン220の加圧を解除すると、土等は滞留しにくくなるため、ロータ207による圃場への作業が減少し、圃場表面の砕土性を低下させることができる。
【0063】
選択633は、判定結果631の各項目の判定結果を有効又は無効にする。例えば、図10に示すLUT630に基づくインターフェースでは、「過剰」、「不足」、及び「最適」の項目にチェックされているため、これらの3つの判定結果だけが有効となり、判定結果が「良1」及び「良2」になることはない。
【0064】
隣接PV統計値判定範囲635では、各判定結果に対する隣接PV統計値の範囲が規定されている。つまり、隣接PV統計値判定範囲635は判定基準である。「最適」、「良1」、及び「良2」の項目に対する隣接PV統計値判定範囲635では上限及び下限の両方が設定される。「過剰」の項目に対する隣接PV統計値判定範囲635では少なくとも上限が設定される。「不足」の項目に対する隣接PV統計値判定範囲635では少なくとも下限が設定される。隣接PV統計値判定範囲635は数値入力によって変更されてもよく、+ボタン及び-ボタンによってその値が変更されてもよい。なお、+ボタン又は-ボタンが選択されると、隣接PV統計値判定範囲635の上限及び下限が共に変化する。つまり、+ボタン又は-ボタンが選択された場合、その上限と下限との差(つまり、範囲の幅)は変わらないように上限及び下限が共に変化する。ただし、+ボタン又は-ボタンが選択された場合に範囲の幅が変更されながら上限及び下限が変化してもよく、上限又は下限だけが変化してもよい。
【0065】
例えば図8に示すようなプロットデータから隣接PV統計値が算出されると、その隣接PV統計値及び図10のLUT630に基づくインターフェースに表示された基準に基づいて判定結果が導出される。このようにして、図7に示す作業区間L1、L2及びL3のそれぞれに対して判定結果が導出される。そして、図5に示すように、導出された判定結果は走行機体10に備えられたモニタ110に表示される(S611)。なお、判定結果のモニタ110への表示方法の詳細は後述する。
【0066】
[判定結果及び判定結果に関連するデータ]
上記のようにして各作業区間に対して導出された判定結果は、図8のプロットデータ(測定データ)、及びプロットデータから算出された隣接PV統計値と関連付けられてデータテーブル640として記憶装置に記憶される(図11参照)。図11は、本発明の実施形態に係る圃場状態の判定方法によって得られたデータの一例を示す図である。なお、上記のプロットデータ及び隣接PV統計値を併せてレベラ230の圃場に対する「上下動の変化に関する情報」ということができる。つまり、上記を換言すると、作業区間毎の圃場状態の判定結果は、作業区間毎のレベラの上下動の変化に関する情報と関連付けて保存さ
れる。
【0067】
図11に示すように、データテーブル640は、区間641、プロットデータ643、隣接PV統計値645、及び判定結果647の項目を有している。区間641は、図7に示す作業区間L1、L2及びL3に対応する。なお、区間641の情報には、圃場を特定する情報が含まれる。つまり、区間641に基づいて、どの圃場のどの位置を示すのか、を認識することができる。プロットデータ643は走行機体10の走行距離に対するレベラ230の上下動を示す測定データである。隣接PV統計値645はプロットデータ643に基づいて算出された統計値である。図11では、統計値として平均値及び標準偏差が表示されているが、これら以外の統計値が用いられてもよい。判定結果647は図10のLUT630に基づいて導出される。
【0068】
図11では、データテーブル640に上記の4つの項目の情報が記憶された構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、これらの項目以外の情報が追加で記憶されていてもよい。又は、これらの項目の一部の情報だけが記憶されていてもよい。なお、上記の記憶装置は走行機体10の制御部191に接続された記憶装置であってもよく、作業機20の制御部291に接続された記憶装置であってもよく、ネットワークを介して走行機体10又は作業機20の通信部に接続されたサーバの記憶装置又はサーバにネットワークを介して接続された記憶装置(例えば、サーバの外部に設けられた外部ストレージ)であってもよい。
【0069】
[判定結果の表示方法]
上記のようにして導出された圃場状態の判定結果の表示方法について、図12及び図13を用いて説明する。図12は、本発明の実施形態に係る圃場状態の判定結果をモニタに表示する一例を示す図である。図13は、本発明の実施形態に係る圃場状態の判定結果の基準を変更する方法の一例を示す図である。
【0070】
図12に示すように、モニタ110には圃場マップ650、リアルタイム判定結果660、及び諸情報670が表示される。圃場マップ650は、図6に示す『圃場登録』によって登録された圃場の位置情報、及び別途設定された作業機幅などの情報に基づいて作業区間単位に区分される。圃場マップ650では、作業及び圃場状態の判定が完了した各作業区間に対して、目視で識別可能に模様又は色が付けられる。作業区間毎に付けられる模様又は色は、図11に示す判定結果を反映する。例えば、ブロック651は判定結果が「過剰」の作業区間である。ブロック653は判定結果が「不足」の作業区間である。ブロック655は判定結果が「最適」の作業区間である。圃場マップ650には、走行機体アイコン657が表示され、作業を行っている圃場における走行機体10の現在位置を認識することができる。なお、図11の圃場マップ650に表示される判定結果は、図10の選択633でチェックされた判定結果631である。つまり、図10の選択633では、「過剰」、「不足」、及び「最適」の3項目にチェックされているため、図11ではこれら3つの判定結果が表示される。
【0071】
圃場マップ650の左上には、リアルタイム判定結果660が表示されている。リアルタイム判定結果660には、判定結果がグラデーション表示されている。つまり、圃場マップ650には「最適」、「過剰」、及び「不足」の3種類の判定結果しか表示されないのに対して、リアルタイム判定結果660にはそれより多い段階の判定結果が表示される。例えば、上記の3種類の判定結果に加え、図10に示す「良1」及び「良2」の判定結果が表示されてもよい。なお、図10の選択633で「良1」及び「良2」がチェックされている場合に、「良1」及び「良2」の判定結果を表示する代わりに、モニタ110を介して作業者に「車速を速くしてください」又は「車速を遅くしてください」、「ロータの回転速度を下げてください」又は「ロータの回転速度を上げてください」、若しくは「
エプロンを加圧してください」又は「エプロン加圧を解除してください」などの作業操作ガイダンスを表示してもよい。
【0072】
圃場マップ650の右上には、諸情報670が表示されている。諸情報670には作業完了予測時刻、作業済み面積、及び残り作業面積が表示されている。ただし、図12に示された諸情報670は一例に過ぎず、上記の情報以外の情報が表示されてもよい。
【0073】
このようにして、作業者は、圃場を作業しながら、その作業の結果得られた圃場状態を評価することができる。さらに、圃場マップ650に判定結果が表示されることで、作業者は一目で作業が不足している領域、及びこれ以上作業する必要がない領域を認識することができる。
【0074】
図13は、本発明の実施形態に係る圃場状態の判定結果の基準を変更する方法の一例を示す図である。図13の(A)は判定基準変更前の表示画面であり、(B)は判定基準変更後の表示画面である。図13の(A)に示す表示画面は、図12の表示画面に類似しているが、圃場マップ650Aの左下に基準変更680Aが表示されている点において図12の表示画面と相違する。それ以外の点は、図12の表示画面と同じなので、説明を省略する。
【0075】
圃場状態の判定基準は図10に示すLUT630で規定され、図13の(A)に示すような判定結果が表示される。しかし、作業者によっては、LUT630で規定された判定結果とは異なる判定結果を望む場合がある。例えば、所定の判定基準では「過剰」と判定されていた圃場状態であっても、作業者はその圃場状態を好む場合がある。このような場合、以下に示す方法で判定基準を自動的に変更することができる。
【0076】
作業者が基準変更680Aを選択すると、現在作業中の圃場状態が「最適」の判定結果に含められるように、LUT630の隣接PV統計値判定範囲635の範囲が変更される。この変更において、「最適」の判定結果に関連付けられた隣接PV統計値判定範囲635の上限値と下限値との差、つまり「最適」と判断される隣接PV統計値判定範囲635の範囲は維持されたまま、上限値及び下限値が共に変更される。この変更に伴い、図11に示すデータテーブル640の隣接PV統計値645は再判定され、その再判定結果が判定結果647に反映される。この判定結果647の再判定結果に基づいて、図13の(B)に示す圃場マップ650Bが更新される。上記の圃場マップ650Bへの再判定結果の反映は、現在作業を行っている圃場に限定される。ただし、判定結果の反映は、現在作業を行っている圃場以外の圃場に適用されてもよい。なお、上記の判定基準の変更は、図2に示す制御部191又は制御部291によって行われる。上記のように、基準変更680Aが選択された場合に、隣接PV統計値645が再判定され、その結果が上書きされてもよく、基準変更680Aが選択される前の情報と併せて、基準変更680Aが選択された後の情報が保存されてもよい。
【0077】
圃場マップ650Aで「過剰」と判定されていた作業区間の一部は、圃場マップ650Bでは「最適」の判定に変更されている。また、圃場マップ650Aで「最適」と判定されていた作業区間の一部は、圃場マップ650Bでは「不足」の判定に変更されている。そして、基準変更680Aを選択した以降は、上記のように変更された判定基準に基づいた判定結果が表示される。このように、作業中であっても基準変更680Aを選択するだけで、LUT630の設定値を手動で変更することなく判定基準を変更することができる。
【0078】
本実施形態では、基準変更680Aを選択すると、それまでに判定された領域の判定結果が、基準変更680Aの選択によって変更された判定基準に基づいて更新される構成を
例示したが、基準変更680Aの選択より前に判定された判定結果の更新を行わなくてもよい。また、本実施形態では、基準変更680Aを選択すると、現在作業中の圃場状態が「最適」の判定結果に含められるようにLUT630が変更される構成を例示したが、基準変更680Aを選択した後に「最適」の判定結果に含めたい圃場条件の作業区間を選択することで、LUT630の変更が行われてもよい。
【0079】
[レベラ角度検出機構500の構成]
図14及び図15を用いてレベラ角度検出機構500の詳細な構成について説明する。図14は、本発明の一実施形態に係る作業機のレベラ角度検出機構の詳細を示す側面図である。図15は、本発明の一実施形態に係る作業機のレベラ角度検出機構の詳細を示す上面図である。なお、以下の説明において、説明の便宜上、ポテンショメータ510及び連結回動部材560を他の部材よりも太い線で描いた。
【0080】
まず、第1アーム部520と第2アーム部530との接続構造について詳細に説明する。図15に示すように、第1アーム部520には、第1アーム部520から第2アーム部530に延びる第1アーム連結部521が接続されている。第1アーム連結部521の先端には第2アーム連結部523が接続されている。第2アーム連結部523は筒状であり、その筒の中空部に第2アーム部530が挿入されている。このような構成によって、第1アーム部520と第2アーム部530とがスライド移動可能に接続される。
【0081】
第2アーム部530には、第1ストッパ531及び第2ストッパ533が設けられている。第1弾性部540は第1ストッパ531と第2アーム連結部523との間に設けられている。第2弾性部550は第2ストッパ533と第2アーム連結部523との間に設けられている。第1弾性部540及び第2弾性部550は共に縮められた状態でこれらの位置に配置されるため、第1弾性部540は伸縮ロッド590が縮む方向に第1アーム部520及び第2アーム部530に弾性力を付与し、第2弾性部550は伸縮ロッド590が伸びる方向に第1アーム部520及び第2アーム部530に弾性力を付与する。なお、第1弾性部540及び第2弾性部550を併せて弾性部という場合、当該弾性部は、伸縮ロッド590伸びる方向及び縮む方向の両方向に対して、第1アーム部520及び第2アーム部530の各々に弾性力を付与する、ということができる。
【0082】
図4の説明では省略したが、図14及び図15に示すように、レベラ角度検出機構500は、さらに連結回動部材560、ブラケット570、及び回動軸580を有する。連結回動部材560は回動軸580を介して第1アーム部520に対して回動可能に接続されている。また、連結回動部材560はブラケット570に対して回動可能に接続されている。ポテンショメータ510はブラケット570に取り付けられている。ブラケット570は固定部575によって台座314に取り付けられている。なお、ポテンショメータ510、連結回動部材560、ブラケット570、及び回動軸580を併せて角度検出器という場合がある。
【0083】
連結回動部材560は、第3アーム部561及び回動軸563を有する。第3アーム部561には開口565が設けられている。回動軸580が開口565を貫通することで、第3アーム部561が第1アーム部520に対して回動可能に接続される。ブラケット570は、第1ストッパ571及び第2ストッパ573を有する。また、ブラケット570には開口577が設けられている。なお、回動軸563が開口577を貫通することで、連結回動部材560がブラケット570に対して回動可能に接続される。第1ストッパ571は、連結回動部材560がR1方向に回動したときに、回動軸580と接触することで、連結回動部材560の回動を規制する。このように回動軸580が第1ストッパ571に係止することで、連結回動部材560の回動が規制された状態を第1回動限界という。第2ストッパ573は、連結回動部材560がR2方向に回動したときに、第3アーム
部561と接触することで、連結回動部材560の回動を規制する。このように第3アーム部561が第2ストッパ573に係止することで、連結回動部材560の回動が規制された状態を第2回動限界という。
【0084】
前述のように、第1弾性部540及び第2弾性部550のそれぞれの弾性率は、ポテンショメータ510の原点復帰用の弾性部の弾性率に比べて大きいため、第1回動限界と第2回動限界との間の連結回動部材560の回動範囲では、中央レベラ330の上下動に追従して連結回動部材560が回動する。一方で、連結回動部材560が第1回動限界又は第2回動限界を越えて回動するように中央レベラ330が上下動すると、以下に示すように、第1弾性部540又は第2弾性部550が伸縮することで伸縮ロッド590が伸縮し、レベラ角度検出機構500の破損が抑制される。
【0085】
図16は、本発明の一実施形態に係る作業機において、伸縮ロッドが最も伸びた状態を示す側面図である。図16に示す状態は、レベラの土寄せ状態に相当する。連結回動部材560が第1回動限界を越えて回動するように中央レベラ330が下方に回動すると、第1弾性部540が縮み、第2弾性部550が伸びることで伸縮ロッド590が伸びる。
【0086】
図17は、本発明の一実施形態に係る作業機において、伸縮ロッドが最も縮んだ状態を示す側面図である。図17に示す状態は、レベラが畦などに乗り上げた状態に相当する。連結回動部材560が第2回動限界を越えて回動するように中央レベラ330が上方に回動すると、第1弾性部540が伸び、第2弾性部550が縮むことで伸縮ロッド590が縮む。
【0087】
上記のように、連結回動部材560が第1回動限界又は第2回動限界を越えて回動するようにレベラが上下動するような場合であっても、レベラの回動を規制することなく、レベラ角度検出機構500が破損されることを抑制できる。
【0088】
本実施形態では、圃場状態の判定結果は登録された圃場の位置情報と共に記録されるようにしてもよい。つまり、圃場状態の判定結果はマッピングデータとして記録されてもよい。この場合の判定結果のマッピングデータは、その他のマッピングデータと関連付けられて記録される。
【0089】
上記のようにして得られた圃場状態の判定結果のマッピングデータは、その他のマッピングデータと関連付けられることで、圃場状態が当該圃場で作成される農作物にどのような影響を与えるのかを管理することができる。図18は、本発明の実施形態に係る圃場状態の判定方法によって得られたデータの管理方法の一例を示す図である。図18に示すように、図11に示す各種データに加えて、耕深691C、収量693C、及び施肥量695Cが互いに関連付けられてデータテーブル640Cに保存されている。なお、耕深691C、収量693C、及び施肥量695Cは、隣接PV統計値645Cと同様に区間641Cにおける平均値であってもよく、標準偏差であってもよい。
【0090】
耕深691Cは、例えば、走行機体10に対する作業機20の高さ、及びエプロン220のシールドカバー210に対する回動角度に基づいて得ることができる。また、耕深691Cは、上記の回動角度に加えてレベラ230のエプロン220に対する回動角度に基づいて得られてもよい。
【0091】
収量693Cは、例えば、収穫機を用いて農作物の収穫を行った際に取得したデータである。収量693Cのデータは、圃場状態の判定結果と同様にマッピングデータである。収量693Cを取得する装置は本実施形態の作業機20とは異なるため、判定結果647Cのブロックのサイズと収穫機によって得られた収量のブロックのサイズとが異なる場合
がある。その一例を図19及び図20に示す。図19の(A)は、判定結果647Cのマッピングデータが表示された圃場マップ650Cである。図19の(B)は、収量693Cのマッピングデータが表示された圃場マップ700Cである。
【0092】
図19の(A)において、ブロック651Cは判定結果が「過剰」の作業区間であり、ブロック653Cは判定結果が「不足」の作業区間であり、ブロック655Cは判定結果が「最適」の作業区間である。図19の(B)において、ブロック701Cは収量が「多い」の作業区間であり、ブロック703Cは収量が「少ない」の作業区間であり、ブロック705Cは収量が「普通」の作業区間である。なお、圃場マップ650C及び700Cは同じ圃場を示すものであり、同じ圃場サイズである。圃場マップ650Cは横:縦が8:6で区分されているが、圃場マップ700Cは横:縦が5:4で区分されている。つまり、圃場マップ650C及び圃場マップ700Cのそれぞれの1ブロックのサイズは異なる。
【0093】
このように、異なる圃場マップにおいて、1ブロックのサイズが異なる場合、図20に示すように、収量693Cのマッピングデータを判定結果647Cのブロックの境界(図20の点線)で区分する。図20の場合、ブロック651Cの判定結果647Cに対応する収量693Cのデータとして、ブロック703Cの収量データがデータテーブル640Cに記録される。ブロック653Cの判定結果647Cに対応する収量693Cのデータとして、ブロック703C及びブロック705Cの収量データの平均値がデータテーブル640Cに記録される。なお、収量データの平均値は、ブロック653Cにおけるブロック703Cの収量データの占有面積、及びブロック705Cの収量データの占有面積の比を加重した加重平均であってもよい。
【0094】
上記のように、判定結果647Cに対応するブロックが、複数の収量のデータを含む場合は、それらの収量データの平均値又は加重平均値を当該ブロックの収量データとして扱う。ただし、上記のように1つのブロックが複数の収量データを含む場合、複数の収量データのうちいずれか1つの収量データを当該ブロックの収量データとして扱ってもよい。複数の収量データのうち、1つの収量データを選定する方法として、当該ブロックにおいて最も占有面積が大きい収量データを採用してもよく、最も収量が多い又は少ない収量データを採用してもよい。
【0095】
上記のように、1つの圃場に対するマッピングデータが複数存在する場合、作業者の要求に応じて、それらの情報が作業者に表示される。これらの情報を作業者に表示する場合、図19の(A)及び(B)のように並べて表示されてもよく、図20のように重ねて表示されてもよい。作業者は上記の表示を確認し、例えば収量が多いブロックの圃場状態の判定結果が「最適」に含まれるように、図13に示す例のように判定基準を変更してもよい。
【0096】
上記では、収量693Cについて説明したが、耕深691C及び施肥量695Cについても、上記と同様に処理することができる。
【0097】
図18に示すデータテーブル640Cに関連するデータは、走行機体10の制御部191に接続された記憶装置に記憶されてもよく、作業機20の制御部291に接続された記憶装置に記憶されてもよく、ネットワークを介して走行機体10又は作業機20の通信部に接続されたサーバの記憶装置又はサーバにネットワークを介して接続された外部ストレージに記憶されてもよい。
【0098】
収穫機又はその他の作業機で圃場のマッピングデータを取得する際に、図5及び図6に示す圃場登録によって登録された圃場の情報を用いることができる。例えば、登録された
圃場の情報には圃場の位置情報が含まれているため、収穫機又はその他の作業機の現在位置に基づいて、これから作業を行う圃場が特定される、又は圃場の候補が作業者に表示されてもよい。
【0099】
図18に示すデータテーブル640Cに関連するデータは、次回圃場を作業する際に読み出されてもよい。上記のような判定基準の変更がされていない場合、例えば、判定結果は「最適」であるが、収量が「普通」又は「少ない」のブロック(収量が最も良い結果ではないブロック)を作業しているときに、そのブロックの判定結果を収量が「多い」ブロックの判定結果に近づけるように、作業者に「車速を速くしてください」又は「車速を遅くしてください」、「ロータの回転速度を下げてください」又は「ロータの回転速度を上げてください」、若しくは「エプロンを加圧してください」又は「エプロン加圧を解除してください」などの作業操作ガイダンスを表示してもよい。
【0100】
以上、本発明について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0101】
10:走行機体、 20:作業機、 100:車体、 110:モニタ、 120:三点リンク機構、 121:通信部、 191:制御部、 193:表示部、
195:位置検出部、 200:フレーム、 201:メインフレーム、 203:チェーンケース、 205:サイドフレーム、 207:ロータ、 210:シールドカバー、 220:エプロン、 230:レベラ、 291:制御部、
293:検出部、 300:中央作業部、 310:中央シールドカバー、 314、334:台座、 320:中央エプロン、 330:中央レベラ、 332:第2接続部、 400:延長作業部、 410:延長シールドカバー、 420:延長エプロン、 422、432:接続部、 430:延長レベラ、 490:レベラ拡張部、 500:レベラ角度検出機構、 501:制御ボックス、 510:ポテンショメータ、 520:第1アーム部、 521:第1アーム連結部、
523:第2アーム連結部、 530:第2アーム部、 531:第1ストッパ、 533:第2ストッパ、 540:第1弾性部、 550:第2弾性部、 560:連結回動部材、 561:第3アーム部、 563:回動軸、 565:開口、 570:ブラケット、 571:第1ストッパ、 573:第2ストッパ、 575:固定部、 577:開口、 580:回動軸、 590:伸縮ロッド、 611:入力領域、 613:位置選択領域、 615:入力枠、 630:LUT、 631:判定結果、 633:選択、 635:隣接PV統計値判定範囲、 640:データテーブル、 641:区間、 643:プロットデータ、 645:隣接PV統計値、 647:判定結果、 650、700C:圃場マップ、 651、653、655、701C、703C、705C:ブロック、 657:走行機体アイコン、 660:リアルタイム判定結果、 670:諸情報、
680A:基準変更、 691C:耕深、 693C:収量、 695C:施肥量
図1
図2
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