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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126628
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】すれ違いビーム前照灯
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/265 20180101AFI20230831BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20230831BHJP
   F21S 41/43 20180101ALI20230831BHJP
   F21W 102/155 20180101ALN20230831BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230831BHJP
【FI】
F21S41/265
F21S41/143
F21S41/43
F21W102:155
F21Y115:10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023118426
(22)【出願日】2023-07-20
(62)【分割の表示】P 2021519537の分割
【原出願日】2019-10-08
(31)【優先権主張番号】102018217215.3
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】500242786
【氏名又は名称】フラウンホファー ゲセルシャフト ツール フェールデルンク ダー アンゲヴァンテン フォルシュンク エー.ファオ.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・シュライバー
(72)【発明者】
【氏名】チェン・リ
(72)【発明者】
【氏名】ディルク・ミヒャエリス
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ヴェヒター
(72)【発明者】
【氏名】シュテファニー・フィッシャー
(57)【要約】
【課題】高い光/エネルギー効率で短い設置長さを達成することを可能にするすれ違いビームまたはすれ違いビーム前照灯を提供する。
【解決手段】設置長さが小さくかつ光/エネルギー出力が高く得ることができるすれ違いビーム前照灯が記載される。光源配列が提供され、第1の横断方向において、第1の横断方向に垂直な第2の横断方向においてよりも発散しない光の光円錐を発生させ、そしてこの光源配列は、第2の横断方向に沿って互いの隣に配置される3つのレンズアレイを照明するために使用され、したがってこれらは、第2の横断方向に互いの隣に配置される光円錐のセグメントの中の関連する1つによって入力側が各々照射され、そして出力側において光度角度分布が光円錐に関して変更されるすれ違いビームを出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の横断方向(y)において、前記第1の横断方向に垂直な第2の横断方向(x)においてよりも発散しない光の光円錐(12)を発生させるための光源配列(10)と、
前記第2の横断方向に互いの隣に配置される前記光円錐(12)のセグメント(12a、12b、12c)のうちの関連するセグメントによって入力側が照射されるために、及び出力側において光度角度分布が前記光円錐(12)に関して変更されるすれ違いビーム(102)を出力するために、前記第2の横断方向(x)に沿って互いの隣に配置される第1、第2及び第3のレンズアレイ(4a、4b、4c)と、
を備える、すれ違いビーム前照灯。
【請求項2】
前記第2の横断方向(x)が水平線に対応するように自動車両に設置するための、請求項1に記載のすれ違いビーム前照灯。
【請求項3】
前記光源配列(10)が、前記第1及び第2の横断方向(y、x)に発散して放射する光源(1)ならびに前記光源(1)からの発散光を、前記第2の横断方向(x)に対して前記第1の横断方向(y)にコリメーション度を増加させてコリメートするためのコリメータ(3)を備える、請求項1または2に記載のすれ違いビーム前照灯。
【請求項4】
前記光源配列(10)が事前コリメーションのための光源(1)とコリメータ(3)との間の非球面レンズ(2)を備える、請求項3に記載のすれ違いビーム前照灯。
【請求項5】
前記コリメータ(3)が円柱レンズコリメータまたは非円柱コリメータまたはトロイダルコリメータから成る、請求項3または4に記載のすれ違いビーム前照灯。
【請求項6】
前記光源配列(10)が、前記光円錐(12)の前記光が前記第1の横断方向(y)においてよりも前記第2の横断方向(x)において10倍以上大きい発散を含むように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載のすれ違いビーム前照灯。
【請求項7】
前記第2のレンズアレイ(4c)が前記第1及び第3のレンズアレイ(4a、4b)間に配置され、前記第1及び第3のレンズアレイ(4a、4b)が、前記第1及び第3のレンズアレイ(4a、4b)の各々に対して、それぞれの前記第1及び第3のレンズアレイ(4a、4b)に照射する前記光円錐(12)の前記セグメント(12a、12b)が、前記出力側において、前記第2の横断方向(x)に沿ってそれぞれの前記セグメント(12a、12b)の直線延長に相当する前記すれ違いビーム(102)の部分(14a、14b)を照らすように、円柱レンズアレイとして構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載のすれ違いビーム前照灯。
【請求項8】
前記第2のレンズアレイ(4c)が前記第1及び第3のレンズアレイ(4a、4b)間に配置され、前記第1及び第3のレンズアレイ(4a、4b)の各々が、入射側及び出射側円柱ハニカムレンズ(5、6)を有するハニカム集光器として構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載のすれ違いビーム前照灯。
【請求項9】
前記第2のレンズアレイ(4c)が前記第1及び第3のレンズアレイ(4a、4b)間に配置され、前記第1及び第3のレンズアレイ(4a、4b)の各々が、前記第1の横断方向に沿って延在する入射側円柱ハニカムレンズ(5)の第1の一次元のアレイ及び前記第1の横断方向に沿って延在する出射側円柱ハニカムレンズの第2の一次元のアレイを備えるハニカム集光器として構成される、請求項1から8のいずれか一項に記載のすれ違いビーム前照灯。
【請求項10】
前記第1の横断方向(y)への前記出射側円柱ハニカムレンズ(6)に関する前記入射側円柱ハニカムレンズ(5)の配列の相互オフセットが、前記第1の横断方向(y)に前記第1のレンズアレイ(4a)に照射する前記光円錐(12)の前記セグメント(12a)の光度角度分布の変化が前記第1の横断方向(y)に前記第3のレンズアレイ(4b)に照射する前記光円錐(12)の前記セグメント(12b)の光度角度分布の変化と異なるように、レンズ口径及び/またはレンズ頂点に関して前記第1及び第3のレンズアレイ(4a、4b)に対して異なる、請求項9に記載のすれ違いビーム前照灯。
【請求項11】
前記第1及び第3のレンズアレイ(4a、4b)に対して、前記出射側円柱ハニカムレンズ(6)が、前記第1の横断方向(y)に互いに関して等サイズのレンズ口径を有し、互いに一定の繰返し距離で配置される、請求項10に記載のすれ違いビーム前照灯。
【請求項12】
前記第2のレンズアレイ(4c)が前記第1及び第3のレンズアレイ(4a、4b)間に配置され、かつ入射側及び出射側ハニカムレンズ(7、9)を伴うハニカム集光器として構成され、前記第2の横断方向のハニカムレンズ間距離が、前記入射側ハニカムレンズ(9)に対してより前記出射側ハニカムレンズ(7)に対して大きい、請求項1から11のいずれか一項に記載のすれ違いビーム前照灯。
【請求項13】
前記第2のレンズアレイ(4c)の前記ハニカム集光器が、前記光源配列から見て前記入射側ハニカムレンズ(9)の後ろに埋め込まれる開口アレイ(8)を備え、前記出射側ハニカムレンズ(7)によるその写像が前記すれ違いビーム(102)の中央部分(14c)に明/暗縁(18)を構築する、請求項12に記載のすれ違いビーム前照灯。
【請求項14】
前記第2のレンズアレイ(4c)の前記ハニカム集光器が開口なしで構成される、請求項12に記載のすれ違いビーム前照灯。
【請求項15】
前記第2のレンズアレイ(4c)の前記ハニカム集光器が、開口なしで、前記出射側ハニカムレンズ(7)による前記入射側ハニカムレンズ(9)のレンズ縁の写像が前記すれ違いビーム(102)の中央部分(14c)に明/暗縁(18)を発生させるように構成される、請求項12に記載のすれ違いビーム前照灯。
【請求項16】
前記第1のレンズアレイ(4a)に照射する前記光円錐(12)の前記セグメント(12a)によって照らされる第1の部分(14a)における前記すれ違いビーム(102)の前記光度角度分布が、前記第1のレンズアレイ(4a)を通して前記第1の横断方向(y)において、前記第2の横断方向(x)に延びる第1の明/暗縁(16)を含み、
前記第3のレンズアレイ(4b)に照射する前記光円錐(12)の前記セグメント(12b)によって照らされる第2の部分(14b)における前記すれ違いビーム(102)の前記光度角度分布が、前記第3のレンズアレイを通して前記第1の横断方向(y)において、前記第1の明/暗縁(16)とは前記第1の横断方向(y)に異なる位置で前記第2の横断方向に延びる第3の明/暗縁(16)を含み、
前記第2のレンズアレイ(4c)に照射する前記光円錐(12)の前記セグメント(12c)によって照らされる第3の部分(14c)における前記すれ違いビーム(102)の前記光度角度分布が、前記第2のレンズアレイ(4c)を通して前記第1の横断方向(y)において、前記第1及び第2の横断方向(x、y)に関して斜めに延び、前記第1から前記第3の明/暗縁に走る第2の明/暗縁(18)を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載のすれ違いビーム前照灯。
【請求項17】
前記第1、第2及び第3のレンズアレイが共通基板上にモノリシックに形成される、請求項1から16のいずれか一項に記載のすれ違いビーム前照灯。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載のすれ違いビーム前照灯を有する自動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両のためのすれ違いビーム前照灯またはすれ違いビームに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車両のためのすれ違いビームの光度の角度分布の本質的特性は、半値幅が略8~10°の水平方向の略対称分布、及び対向車両を眩惑することを回避するために高コントラストで上方へ急激な明/暗境界を伴う半値幅が略2~3°の非対称垂直分布である。
【0003】
明/暗境界は、右側通行の場合、進行方向左側に垂直高さが略0.6°の水平線を形成する。進行方向の右に、境界は、例えば交通標識の照明を改善するために上方へずらされる。頻繁に、右にも水平明/暗境界が向けられる。境界がずらされる領域はエルボと称され、かつ進行方向の放射の中央範囲に設けられる。この複雑な強度分布を発生させるには、比較的低伝達の大きな前照灯システムを必要とする。
【0004】
従来のすれ違いビーム前照灯では、明/暗境界に従って整形される開口がビーム形の光源(通常LEDまたはハロゲンランプ)によって照明され、次いで投影光学系によって無限に向けて車道上へ写像される。要求される低発散を達成するために、可能な限りの最小開口寸法を達成しようとすることにより、それに応じて投影光学系の小さな焦点距離を可能にする。しかしながら、寸法の減少は、光源の利用可能な輝度及び前照灯の要求最小光度によって制限される。
【0005】
小寸法を達成するために、高輝度の光源(例えばLED)が自由曲面の反射器及びレンズを伴う高効率ビーム整形光学系と組み合わされて高伝達を達成する。結果的なシステムは、それでも光伝搬方向に優に10cmを超える伸長を有する。
【0006】
レンズアレイを使用する代替手法が[1]に開示された。多重の個々にコリメートされたLEDが光源としての機能を果たして、集光マイクロレンズアレイに続いて開口アレイ及び投影レンズアレイを照明する。従来の単一開口光学系から多開口光学系に移行することによって、投影光学系の焦点距離及び、したがって前照灯の設置長さを大いに減少させることができる。しかしながら、開口アレイはシステムの伝達を低下させる。更には、開口は照明ビーム経路の中間結像面の近くに設けられており、吸収開口での高エネルギー密度及び、したがって微小光学システムへの顕著な入熱を生じさせる。
【0007】
したがって、短い設置長さを達成する一方、それでも有効エネルギー活用を達成することを可能にするすれ違いビームのための概念の要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】[1]墺国特許第514967号明細書
【特許文献2】[3]独国公開特許第102009024894号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】[2] C. Li、P. Schreiber、D. Michaelis、Ch. Wachter、St. Fischer、U. D. Zeitner:「Etendue conserving light shaping using microlens arrays with irregular lenslets」、SPIE 10693 (2018) 1069304.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
それゆえに、本発明の目的は、高い光/エネルギー効率で短い設置長さを達成することを可能にするすれ違いビームまたはすれ違いビーム前照灯を構築することである。この目的は独立請求項の対象によって解析される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、第1の横断方向において、第1の横断方向に垂直な第2の横断方向においてよりも発散しない光の円錐を発生させる光源配列を提供することによって、設置長さが小さくかつ光/エネルギー効率が高いすれ違いビーム前照灯を得ることができるという着想に基づいており、そしてこの光源配列は、第2の横断方向に沿って互いの隣に配置され、したがって第2の横断方向に互いの隣に配置される光円錐のセグメントの関連する1つによって入力側が各々照射される3つのレンズアレイを照明するために、及び出力側において光度角度分布が光円錐に関して変更されるすれ違いビームを出力するために使用される。光源配列内に使用される光学系は、したがって単レンズ光学系として構成でき、すなわちその中の各レンズまたは光学系は、すれ違いビームに関与する光全体によって照射される。それは、したがって短い設置長さだけでなく低コストでも提供できる。加えて、光源配列は、2つの横断方向への異なる発散によりビーム整形作業の一方を既に行っている。本出願の実施形態によれば、第2の横断方向への発散は、例えば、すれ違いビームの水平開口角度の定義を引き継ぐ。光源配列による様々な発散準備は、次いでレンズアレイにおいて、特にすれ違いビームのそれぞれの部分に対して横断方向への異なる発散を有効に使用するために、及び所望の放射を達成するために使用される。
【0012】
実施形態によれば、例えば、2つの外側レンズアレイは、それらが第1の横断方向にビーム整形の作業を行うだけであるように円柱レンズアレイとして構成される一方、これらのレンズアレイによって照らされるすれ違いビームの部分は、各場合にそれに照射する光源配列の光円錐のセグメントの直線延長に相当する。特に、2つの外側レンズアレイは、入射側に及び出射側に円柱ハニカムレンズを伴うハニカム集光器として構成できる。レンズアレイは、したがって光源アレイによる事前発散低減を利用する。第1の横断方向への出射側ハニカムレンズに関する入射側ハニカムレンズの配列の相互オフセットが、第1のレンズアレイによって第1の横断方向に第1のレンズアレイを通して放射する光円錐のセグメントの光度角度分布の変化が第3のレンズアレイを通して第1の横断方向に第3のレンズアレイに照射する光円錐のセグメントの光度分布の変化と異なるように、レンズ口径及び/またはレンズ頂点の配列に関して第1及び第3のレンズアレイに対して異なってよい。特に、2つのレンズアレイは、第2の横断方向に最外であり、かつ第2の横断方向に沿って異なる位置にあるすれ違いビームの2つの部分に明/暗縁、すなわち2つの水平縁を生成でき、その一方は反対側の一方より対向交通のために低く位置付けられる。
【0013】
第2の横断方向のすれ違いビームの中央部分を処理する第2のまたは中央レンズアレイも、入射側及び出射側ハニカムレンズを伴うハニカム集光器として形成されてよい。第2の横断方向のそのハニカムレンズ間間隔は、入射側ハニカムレンズに対してより出射側ハニカムレンズに対して大きくてよい。サイズの増大は、第2の横断方向に沿った光源配列からの光円錐の光のより高い発散に対応し得る。このハニカム集光器は、光源配列から見て入射側ハニカムレンズの直後に埋め込まれて中央部分にエルボを形成する開口アレイを有してよく、その写像が次いで出射側ハニカムレンズを通して以上言及したエルボを画定する。開口のない構成も可能であり、それによればエルボは、1つまたは複数の入射側ハニカムレンズのレンズ縁、例えば下側レンズ縁を対応する出射側ハニカムレンズを通して、すなわち以上言及したエルボへ写像して後者を画定することによって、画定される。この目的で、入射側ハニカムレンズのレンズ口径のこれらの写像される縁は、それに応じて入射側ハニカムレンズのレンズ口径のさもなければ矩形の基本形状から逸脱して構成される。
【発明の効果】
【0014】
したがって、実質的に損失なく以上記載したようなすれ違いビームを設計することが可能である。特に、上述したハニカム集光器のハニカムレンズのレンズ口径を連続的に結合できる。上述したハニカム集光器の出射側ハニカムレンズのレンズ口径は第1の横断方向に等距離ピッチを有してよい。第2のレンズアレイのハニカム集光器に開口アレイを使用する場合にさえ、光損失は比較的小さい。開口のない構成の場合には、射出成形技術によるなど、プラスチックでのレンズアレイの構成さえ可能である。
【0015】
本出願の好適な実施形態が図面を参照しつつ以下より詳細に説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本出願の一実施形態に係るすれ違いビームの構成要素の空間表現を示す図である。
図2】一実施形態に係るすれ違いビームの2つの外側レンズアレイの構成を示す図である。
図3】一実施形態に係る中央レンズアレイの2つの側断面図を図示する上面図である。
図4図3と対照的に、開口のない構成が存在する変形例に係る中央レンズアレイの上面図及び2つの側断面図である。
図5】すれ違いビームの簡略斜視空間図及びそれがすれ違いビームに対応する光分布で発生させる光を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の実施形態は、不規則なハニカム集光器を用いて連続光度分布を発生させるための新規なエタンデュ保存手法[2]に従っており、設置長さが短くかつ伝達が増加したすれ違いビームを可能にするために開口を大部分または完全にさえ不要とする。図1は、すれ違いビーム100の、またはすれ違いビーム前照灯100の、またはすれ違いビーム102(図5参照)を発生させるための装置100の第1の実施形態を図示する。
【0018】
光源は好ましくはLEDまたはLEDクラスタ(1)であり、-要求出力ビームのアスペクト比に従って-好ましくは垂直方向においてよりも水平において大きな伸長を有する。LEDの典型的なランバート放射は二次光学系によって整形される。ここで、垂直方向にコリメーションが起こる一方、前照灯の要求水平分布と同様に水平方向への発散が低減されるだけである。好ましくは、これらの二次光学系は、発散低減のための放射対称非球体(2)及び後続の円柱レンズコリメータ(3)から成る。LEDまたはLEDクラスタが一次光学系(ドーム)を備え、そしてそれが、前照灯の要求水平光度分布と同様の放射分布を既に生成している場合、発散低減のための非球体(2)は省略できる。
【0019】
図1において、光源1、円柱コリメータ3、及びその間に設けられる非球面レンズ2は、したがって第1の横断方向yにおいて、第1の横断方向yに垂直である第2の横断方向xにおいてよりも発散しない光から光円錐12を発生させるための光源配列10を形成する。図1のすれ違いビームが自動車両に設置されるとき、第2の横断方向xは水平線に対応し、以下ではこれが前提とされることになる。しかしながら、図1の光源配列10の構成が単に例証であり、代替例も存在することが留意されるべきである。例えば、円柱レンズコリメータ3の代わりに、非円柱コリメータまたはトロイダルコリメータが使用され得る。全体として、光源配列は、光円錐12の光が垂直yにおいてよりも水平xにおいて10倍以上大きい発散を有するように構成できる。非対称発散は、以下に記載されることになるように、光円錐12によって照明されるレンズアレイによって使用される。例えば、水平方向への発散は、光円錐12の開口角度が20及び50度間であるようなものでよい。
【0020】
ビーム整形のための後続の微小光学系は、3つの水平に隣接するセグメント4a~4c、すなわちレンズアレイから成り、図5に図示されるように、進行方向の左右の範囲14a及び14bと、ならびに進行方向の範囲14cと関連付けられる、またはそれらを照明するために設けられる。
【0021】
進行方向の左右の必要連続垂直分布を達成するために、投影明/暗境界16の軸yに沿って各々様々な垂直高さの不規則なハニカム集光器、好ましくは円柱レンズハニカム集光器4a及び4bが本実施形態に従って使用される。yに様々な開口高さまたは様々なサイズのレンズ口径の、一部が偏心円柱レンズセグメントから成る、不規則な入力レンズレットまたはハニカムレンズ5がこの目的で使用される。出力レンズレット6は、図2に図示されるように、一定の開口高さを有するが、部分的に偏心レンズセグメントから成ることもできる。入力アレイに対する出力アレイの制御された偏心によって、明/暗境界16の高さは、進行方向の左右の範囲14a、14bに対して異なって設定できる。進行方向の左右の所望の水平光度分布は、それぞれ非球体2及び光源配列10のビーム整形によって達成される。
【0022】
言い換えれば、すれ違いビーム100は、第1のレンズアレイ4a、第2のレンズアレイ4c及び第3のレンズアレイ4bを含み、これらは、光円錐が水平線に沿ってセグメント化される光円錐12の関連するセグメントによって入力側が照射されるように、水平線xに沿って互いの隣に配置される。出力側において、レンズアレイは、光度角度分布が光円錐12に関して変更される、図5に図示されるようなすれ違いビームを出力する。図2に図示されるように、2つの外側レンズアレイ4a及び4bは、それらが照射される光円錐12のそれぞれの光セグメント12a及び12bが水平方向xに偏向されずに通過するのをそれらが許容するように円柱レンズアレイとして構成でき、これは逆に、水平軸xに沿ったレンズアレイ4a及び4bによって照射されるすれ違いビームの部分または範囲14b及び14aがそれぞれの光円錐セグメント12a及び12bの直線延長に、すなわち光円錐12の水平線発散に相当することを意味する。特に、レンズアレイ4a及び4bは、入射側及び出射側円柱ハニカムレンズ5及び6を伴うハニカム集光器として構成できる。入射側及び出射側円柱ハニカムレンズは、レンズレットとも称され、各々y方向に一次元アレイを形成する。ハニカムレンズ5及び6のレンズ口径は、図2に図示されるように、形状が矩形であり、かつ連続的に結合できる。方向yに沿った出射側レンズレット6に関する入射側レンズレットまたはハニカムレンズ5の配列の相互オフセットに関する限り、そのオフセットは、それぞれ関連するすれ違いビーム部分14a及び14b、すなわち特に明/暗境界16における光度角度分布を決定する機能を果たす。その目的で、その相互オフセットは、2つのレンズアレイ4a及び4bに対して異なって設計される。出射側円柱レンズレット6は、互いに関してyに同じサイズのレンズ口径を有してよく、かつ図示されるように互いに関して一定の繰返し距離で配置されてよい。したがって、出射側円柱ハニカムレンズレット6は規則的なアレイを形成してよい。しかしながら、図示されるように、出射側円柱レンズレット6の幾つかまたは一部が、yに偏心されるレンズ頂点を有してよい。好ましくは、各レンズアレイ4a及び4bに対して、入力側レンズレット5と出力側レンズレット6との間には、各入力レンズレット5が方向yに沿って関連する出力レンズレット6へそれぞれのセグメント12a及び12bの入射光をコリメートするように対の関連性が存在する。yにおいてより小さい出力レンズレット6へyにおいてより伸長される入力レンズレット5をコリメートすることにより発散の増加を生じさせ、そして逆の場合には、y方向への発散の減少が達成される。出力レンズレット6は入力レンズレット5の焦点面に設けられる。したがって、ケーラー照明が達成される。
【0023】
微小光学系の中央セグメント(4c)は、図3に図示されるように、進行方向に最大光度を及び明/暗境界の傾斜部またはエルボ18を発生させる不規則な矩形レンズレットのタンデムアレイから成る。入力アレイ及び出力アレイは、各々水平方向に一定であるが異なるレンズレットサイズ及び距離を有する。個々のアレイチャネルの光軸の水平方向は、それぞれのアレイチャネルに対する光源の水平照射方向に対応する。出力アレイのレンズレット7の水平距離またはピッチは、それゆえに入力アレイのレンズレット9のそれより大きい。
【0024】
垂直方向において、入力アレイは様々なレンズレットサイズを有する。入力レンズレットの開口は対応する出力レンズレットに対して偏心できる。この場合にもケーラー照明を可能にするために、入力レンズレットは、それゆえ光源が常に関連する出力レンズレットの中央に写像されるように偏心レンズセグメントとして構成される。出力アレイは、幅及び高さが一定の矩形レンズレット口径を有する。しかしながら、所望の遠方界分布を達成するために、レンズレットは、ここでも偏心レンズセグメントとして形成できる。
【0025】
入力レンズレット9の下に埋め込まれる開口構造8の境界は、出力レンズレット7によって明/暗境界として道上へ写像される。この動作モードは、無限への多チャネルプロジェクタマッピングに相当する。更なる詳細に関しては、[3]が参照される。
【0026】
言い換えれば、第2の中央レンズアレイ4cも、入射側レンズレット9及び出射側レンズレット7を伴うハニカム集光器として構成できる。この場合、水平線xにおいて、出射側レンズレット7のハニカムレンズ間距離は、その方向xへの入射光円錐12の光の発散に対応して、入射側レンズレット9に対するより大きくてよい。中央レンズアレイ4cを形成するハニカム集光器は、入射側にハニカムレンズまたはレンズレット9の二次元アレイ及び出射側にハニカムレンズまたはレンズレット7の対応する二次元アレイを伴う二次元ハニカム集光器である。また、レンズレット7及び9間に対または1対1割当てがあってよい。入力レンズレット7及び出力レンズレット9の各対がチャネルを形成して、入力レンズレット9がそれぞれの出力レンズレットへ入射光をコリメートする。したがって、ケーラー照明となる。出力レンズレット7のアレイはx及びyに規則的でよく、すなわち、出力側レンズレットは、等幅の列にかつ等幅の行に配置されるように連続的に結合される矩形レンズ口径を有してよい。出力側レンズレット7は、図3に図示されるように中心レンズ口径を有し得るが、但し、それが偏心レンズ口径を有する代替例が存在する。出射側レンズレット7は入射側レンズレット9への焦点距離に設けられ、そしてその逆にも同じことが当てはまる、すなわち入射側レンズレット9は出射側レンズレット7の焦点面に設けられる。開口アレイ8の開口部分はこの面にも設けられる。開口縁が出射側レンズレット7によって無限に写像されて、そこにエルボ18を画定する。
【0027】
輪郭がエルボの幾何形状に相当する不規則な入力レンズレット(10)を伴う埋込み開口-または図3からの開口構造-のない中央セグメントの代替実現例も可能である。図4は、相当する実現例を図示する。
【0028】
言い換えれば、図4は、開口8を省略することが可能である代替例を図示する。ここで、エルボ18は、非矩形的に入射側レンズレットのレンズ口径を構成することによって実現される。特に、入射側レンズレット9のレンズ口径の底縁は、これらの下側レンズ縁が対応する出射側レンズレット7によって無限に写像されるときにそれらがエルボ18を画定するように形成される。開口の欠如は、光出力が最大化されるのを許容するだけでなく、入熱減によりレンズアレイ4cが、プラスチックなどの弱耐熱材料から生産されるのも許容する。
【0029】
記載される照明システムは、要求光度を達成するために、個々に車の前照灯へ内蔵できる、または幾つかのサブモジュールから成ることができる。
【0030】
ビーム整形のための多開口システムとしての微小光学系実現例は、従来のシステムと比較して設置長さの大幅な減少を許容する。中央範囲にだけ設けられ、その上最小面積だけを占める開口により、提案された設計は、[1]と比較して開口アレイの伝達増加及び熱負荷軽減を可能にする。
【0031】
図示されるすれ違いビームは、自動車両すれ違いビームとして、または前照灯のために任意の遠方界分布を発生させるために使用できる。
【0032】
上記実施形態は、したがって特に、例えばzにまたはビーム形の光源と、各々が右の、左の及び進行方向の範囲をそれぞれ照明する、互いの隣に水平に配置される3つの不規則なマイクロレンズアレイから成る後続のビーム整形光学系とから成るビーム方向に沿って設置長さが減少された、すれ違いビームを含む。タンデムアレイ構成が可能である。光源のビーム整形は垂直方向へのコリメーションを含んでよい。光源のビーム整形は、非球体及び後続の円柱レンズコリメータによる水平方向の発散低減及び垂直方向のコリメーションを含んでよい。特に、ビーム整形は、図示されるように非球体及び非円柱コリメータによって実装されてよい。しかしながら、非球面及びトロイダルコリメータを通してのビーム整形も可能であろう。2つの外側レンズアレイは不規則な円柱レンズアレイとして形成できる。入力アレイに対する出力アレイの垂直偏心が異なる2つの外側レンズアレイのレンズレットの同一構成が可能である。2つの外側レンズアレイは、矩形レンズレットを伴う不規則なレンズアレイとしても構成でき、ここでは出力アレイのレンズレットの水平距離が入力アレイのレンズレットの距離より大きい。中央レンズアレイを矩形レンズレットの不規則アレイとして構成することが可能であり、ここでは出力アレイのレンズレットの水平距離が入力アレイのそれより大きくなることができる。この場合、入力アレイの下に埋め込まれる開口アレイにより、出力アレイを用いてそれを写像することによって明/暗境界の中央範囲を発生させることができる。適切な輪郭の入力レンズレット及びこれらのレンズレット輪郭を写像することを用いて、明/暗境界の中央範囲は開口なしでも発生できる。レンズアレイはタンデムアレイとして発生できる。共通基板上のモノリシック素子としての3つのタンデムアレイの実現例が可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 光源
2 非球面レンズ
3 コリメータ
4a~4c レンズアレイ
5 入射側円柱ハニカムレンズ
6 出射側円柱ハニカムレンズ
7 出射側ハニカムレンズ
8 開口アレイ
9 入射側ハニカムレンズ
10 光源配列
12 光円錐
12a~12c セグメント
14a 第1の部分
14b 第2の部分
14c 第3の部分
16 明/暗境界
18 エルボ
100 すれ違いビーム前照灯
102 すれ違いビーム
x 第2の横断方向
y 第1の横断方向
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-08-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の横断方向(y)において、前記第1の横断方向に垂直な第2の横断方向(x)においてよりも発散しない光の光円錐(12)を発生させるための光源配列(10)と、
前記第2の横断方向に互いの隣に配置される前記光円錐(12)のセグメント(12a、12b、12c)のうちの関連するセグメントによって入力側が照射されるために、及び出力側において光度角度分布が前記光円錐(12)に関して変更されるすれ違いビーム(102)を出力するために、前記第2の横断方向(x)に沿って互いの隣に配置される第1、第2及び第3のレンズアレイ(4a、4b、4c)と、
を備える、すれ違いビーム前照灯。
【外国語明細書】