IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コベルコ建機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-建設機械 図1
  • 特開-建設機械 図2
  • 特開-建設機械 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012663
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/02 20060101AFI20230119BHJP
   F15B 11/08 20060101ALI20230119BHJP
   F15B 11/028 20060101ALI20230119BHJP
   F15B 11/00 20060101ALI20230119BHJP
   E02F 9/00 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
F15B11/02 W
F15B11/08 A
F15B11/02 C
F15B11/028 G
F15B11/00 H
E02F9/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116238
(22)【出願日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100214961
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 洋三
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀典
(72)【発明者】
【氏名】上田 浩司
【テーマコード(参考)】
2D015
3H089
【Fターム(参考)】
2D015BA04
2D015GB02
2D015HA03
3H089AA60
3H089BB11
3H089CC01
3H089CC08
3H089CC11
3H089DA03
3H089DA13
3H089DB03
3H089DB46
3H089DB49
3H089GG02
3H089JJ02
(57)【要約】
【課題】油圧回路のリリーフ弁に滞留するエアをリリーフ弁から効果的に排出することが可能な建設機械を提供する。
【解決手段】建設機械100は、メインポンプ22と方向切替弁31との間のラインであるポンプ吐出ライン91の圧力を制限するように開弁するリリーフ弁40と、タンク21につながるラインであるリターンライン92に配置され、リターンライン92に背圧を発生させる背圧発生機構67と、リリーフ弁40とリターンライン67における背圧発生機構67よりも下流側の部分92bとを接続するエア抜きライン90と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械であって、
作動油を貯留するタンクと、
前記タンクから吸い込んだ作動油を吐出する油圧ポンプであるメインポンプと、
前記メインポンプからの作動油の供給を受けて作動する油圧アクチュエータと、
前記メインポンプと前記油圧アクチュエータとの間の作動油の給排を制御する方向切替弁と、
前記メインポンプと前記方向切替弁との間のラインであるポンプ吐出ラインの圧力を制限するように開弁するリリーフ弁と、
前記タンクにつながるラインであるリターンラインに配置され、前記リターンラインに背圧を発生させる背圧発生機構と、
前記リリーフ弁と前記リターンラインにおける前記背圧発生機構よりも下流側の部分とを接続するエア抜きラインと、を備える、建設機械。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械であって、
前記リリーフ弁からの作動油が前記エア抜きラインを通じて前記タンクに流れることを許容する状態である許容状態と、前記リリーフ弁からの作動油が前記エア抜きラインを通じて前記タンクに流れることを阻止する状態である阻止状態と、の間で切り替わることが可能なエア抜き切替弁をさらに備える、建設機械。
【請求項3】
請求項2に記載の建設機械であって、
前記油圧アクチュエータを動作させるための操作が与えられる操作レバーと、
前記操作レバーに与えられる前記操作に対応するように前記油圧アクチュエータが動作することを許容する状態であるアンロック状態と前記操作レバーに与えられる前記操作に対応するように前記油圧アクチュエータが動作することを阻止する状態であるロック状態との間で油圧回路の状態を切り替えるための操作が入力されるロック機構と、
コントローラと、をさらに備え、
前記コントローラは、前記油圧回路の状態が前記ロック状態から前記アンロック状態に切り替えられた場合に、前記エア抜き切替弁が前記許容状態から前記阻止状態に切り替わるような指令信号を出力する、建設機械。
【請求項4】
請求項3に記載の建設機械であって、
前記メインポンプは、可変容量形の油圧ポンプであり、
前記コントローラは、前記エア抜き切替弁が前記許容状態であるときに前記メインポンプの容量を増加させるための指令信号を出力する、建設機械。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の建設機械であって、
前記エア抜き切替弁は、電磁切替弁であり、
前記コントローラは、前記油圧回路の状態が前記ロック状態であるときに前記メインポンプから作動油を吐出させることを伴う自動負荷運転を実行する場合に、前記エア抜き切替弁を前記阻止状態に切り替えるための指令信号である阻止信号を前記エア抜き切替弁に出力する、建設機械。
【請求項6】
請求項5に記載の建設機械であって、
前記ポンプ吐出ラインの圧力を検出する圧力センサをさらに備え、
前記コントローラは、前記圧力センサにより検出される圧力が予め定められた閾値を超えた場合に、前記阻止信号を前記エア抜き切替弁に出力する、建設機械。
【請求項7】
請求項3~6の何れか1項に記載の建設機械であって、
前記メインポンプから吐出された作動油が前記油圧アクチュエータに供給されることなく前記リターンラインに流れることを許容するように開弁するアンロード弁をさらに備え、
前記コントローラは、前記油圧回路の状態が前記ロック状態であるときに、前記アンロード弁を開弁させるための指令信号を出力する、建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、パイロットポンプやその接続配管のエア抜きを行うための建設機械の油圧駆動装置を開示している。この油圧駆動装置は、パイロットポンプの吐出油路と作動油タンクとの間で接続されたエア抜き用油路と、エア抜き用油路に介装されたエア抜き弁と、を備え、エア抜き弁は、ロックレバーがロック解除位置にある場合に、エア抜き用油路を遮断し、ロックレバーがロック位置にある場合に、エア抜き用油路を連通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5277201号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の油圧駆動装置では、パイロットポンプやその接続配管のエア抜きを行うことはできたとしても、油圧回路に配置されるリリーフ弁に滞留するエアを効果的に排出することはできない。具体的には、一般に、建設機械における油圧回路は、油圧ポンプと方向切替弁との間のラインであるポンプ吐出ラインの圧力を制限するように開弁するリリーフ弁を備える。このリリーフ弁は、エアが滞留しやすい構造を備える。従って、油圧回路のリリーフ弁に滞留するエアをリリーフ弁から効果的に排出することが望まれる。
【0005】
本開示は、上記のような問題を踏まえてなされたものであり、油圧回路のリリーフ弁に滞留するエアをリリーフ弁から効果的に排出することが可能な建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
提供される建設機械は、作動油を貯留するタンクと、前記タンクから吸い込んだ作動油を吐出する油圧ポンプであるメインポンプと、前記メインポンプからの作動油の供給を受けて作動する油圧アクチュエータと、前記メインポンプと前記油圧アクチュエータとの間の作動油の給排を制御する方向切替弁と、前記メインポンプと前記方向切替弁との間のラインであるポンプ吐出ラインの圧力を制限するように開弁するリリーフ弁と、前記タンクにつながるラインであるリターンラインに配置され、前記リターンラインに背圧を発生させる背圧発生機構と、前記リリーフ弁と前記リターンラインにおける前記背圧発生機構よりも下流側の部分とを接続するエア抜きラインと、を備える。
【0007】
この建設機械では、ポンプ吐出ラインの圧力とリターンラインにおける背圧発生機構よりも下流側の部分との圧力差を利用することで、油圧回路のリリーフ弁に滞留するエアをリリーフ弁から効果的に排出することができる。具体的には、リリーフ弁は、上部旋回体などの機体に搭載するときの向きによってはリリーフ弁の内部にエアが溜まりやすい場合がある。この構成では、リリーフ弁の向きにかかわらず、油圧回路のリリーフ弁に滞留するエアをリリーフ弁から効果的に排出することができるので、リリーフ弁の向きがリリーフ弁以外の要因で決まる場合であってもリリーフ弁にエアが滞留するリスクを低減することができる。
【0008】
前記建設機械は、前記リリーフ弁からの作動油が前記エア抜きラインを通じて前記タンクに流れることを許容する状態である許容状態と、前記リリーフ弁からの作動油が前記エア抜きラインを通じて前記タンクに流れることを阻止する状態である阻止状態と、の間で切り替わることが可能なエア抜き切替弁をさらに備えることが好ましい。この構成では、エア抜き切替弁を阻止状態にセットすることでリリーフ弁の本来の機能であるポンプ吐出ラインの圧力を制限する機能をリリーフ弁に発揮させることができる一方で、エア抜き切替弁を許容状態にセットすることで、エア抜きが必要とされるタイミングでリリーフ弁のエア抜きを行うことができる。具体的には、リリーフ弁のエア抜きは、例えば、オペレータが建設機械による作業を開始する直前などに行われることが好ましい。
【0009】
前記建設機械は、前記油圧アクチュエータを動作させるための操作が与えられる操作レバーと、前記操作レバーに与えられる前記操作に対応するように前記油圧アクチュエータが動作することを許容する状態であるアンロック状態と前記操作レバーに与えられる前記操作に対応するように前記油圧アクチュエータが動作することを阻止する状態であるロック状態との間で油圧回路の状態を切り替えるための操作が入力されるロック機構と、コントローラと、をさらに備え、前記コントローラは、前記油圧回路の状態が前記ロック状態から前記アンロック状態に切り替えられた場合に、前記エア抜き切替弁が前記許容状態から前記阻止状態に切り替わるような指令信号を出力することが好ましい。この構成では、ロック状態ではリリーフ弁のエア抜きを行うことができ、ロック状態からアンロック状態への切り替えに連動してリリーフ弁によるポンプ吐出ラインの圧力の制限を行うことができる。
【0010】
前記メインポンプは、可変容量形の油圧ポンプであり、前記コントローラは、前記エア抜き切替弁が前記許容状態であるときに前記メインポンプの容量を増加させるための指令信号を出力することが好ましい。この構成では、リリーフ弁のエア抜きを行うときにメインポンプの容量を増加させることにより前記圧力差が増加するので、リリーフ弁のエア抜きをより短時間で行うことができる。
【0011】
前記エア抜き切替弁は、電磁切替弁であり、前記コントローラは、前記油圧回路の状態が前記ロック状態であるときに前記メインポンプから作動油を吐出させることを伴う自動負荷運転を実行する場合に、前記エア抜き切替弁を前記阻止状態に切り替えるための指令信号である阻止信号を前記エア抜き切替弁に出力することが好ましい。建設機械では、コントローラは、エンジンが始動されたときの暖機運転、DPF(Diesel Particulate Filter)の堆積煤を燃焼させるための堆積煤燃焼運転などの自動負荷運転を実行する場合がある。これらの自動負荷運転のそれぞれでは、コントローラは、油圧回路の状態がロック状態であるときに、メインポンプから作動油を吐出させるような制御を行う。このような自動負荷運転では、リリーフ弁の本来の機能であるポンプ吐出ラインの圧力を制限する機能をリリーフ弁に発揮させる必要がある。この構成では、コントローラは、自動負荷運転を実行する場合に、エア抜き切替弁を阻止状態に切り替えるための指令信号である阻止信号をエア抜き切替弁に出力するので、油圧回路の状態がロック状態である場合であっても、自動負荷運転を確実に実行することができる。
【0012】
前記建設機械は、前記ポンプ吐出ラインの圧力を検出する圧力センサをさらに備え、前記コントローラは、前記圧力センサにより検出される圧力が予め定められた閾値を超えた場合に、前記阻止信号を前記エア抜き切替弁に出力することが好ましい。自動負荷運転が開始されると、メインポンプから作動油が吐出されるので、ポンプ吐出ラインの圧力が上昇する。従って、油圧回路の状態がロック状態であるときにポンプ吐出ラインの圧力が上昇することは、自動負荷運転が開始されたことを示す指標になり得る。そこで、この構成では、コントローラは、圧力センサにより検出されるポンプ吐出ラインの圧力が前記閾値を超えた場合に阻止信号をエア抜き切替弁に出力することにより、自動負荷運転においてポンプ吐出ラインの圧力を制限する機能をリリーフ弁に発揮させることができる。
【0013】
前記建設機械は、前記メインポンプから吐出された作動油が前記油圧アクチュエータに供給されることなく前記リターンラインに流れることを許容するように開弁するアンロード弁をさらに備え、前記コントローラは、前記油圧回路の状態が前記ロック状態であるときに、前記アンロード弁を開弁させるための指令信号を出力することが好ましい。油圧回路の状態がロック状態であるときには、リリーフ弁のエアが十分に抜けていなくても、例えば自動負荷運転が自動的に開始されることがある。通常、アンロード弁は、操作レバーに操作が与えられていない時である無操作時には開弁しており、自動負荷運転時には閉弁される。この場合、リリーフ弁のエア抜きが不十分である状態で自動負荷運転が開始されると、リリーフ弁において異音が発生するなどの不具合が生じることがある。この構成では、油圧回路の状態が前記ロック状態であるときに自動負荷運転が自動的に開始されたとしてもアンロード弁の開弁を強制的に保持するため、リリーフ弁において異音が発生することを回避することができる。コントローラは、油圧回路の状態が前記ロック状態であるときに、予め定められた時間が経過するまで前記アンロード弁を開弁させた状態に維持するような指令信号を出力することがより好ましい。この場合、前記予め定められた時間は、リリーフ弁のエア抜きが完了するのに要する時間よりも長い時間に設定されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、油圧回路のリリーフ弁に滞留するエアをリリーフ弁から効果的に排出することが可能な建設機械が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の実施形態に係る建設機械を示す側面図である。
図2】前記実施形態に係る建設機械の油圧回路及びこれに関連する装置を示す図である。
図3】前記実施形態の変形例1に係る建設機械の油圧回路及びこれに関連する装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、実施形態に係る油圧ショベル100を示す側面図である。油圧ショベル100は、建設機械の一例である。
【0017】
図1に示すように、油圧ショベル100は、地盤上を走行可能な下部走行体1と、上下方向に向く旋回中心軸Xの回りに旋回可能に下部走行体1に支持された上部旋回体2と、上部旋回体2に支持された作業装置3と、を備える。下部走行体1及び上部旋回体2は機体の一例である。
【0018】
下部走行体1は、一対のクローラ走行装置と、これらの走行装置をつなぐ下部フレームと、を備える。上部旋回体2は、下部フレームに旋回可能に支持された上部フレームと、上部フレームの前部に支持されたキャビンと、上部フレームの後部に支持されたカウンタウエイトと、を備える。本実施形態では、作業装置3は、ブーム4と、アーム5と、バケット6と、を備える。
【0019】
ブーム4は、上部旋回体2の上部フレームに対して起伏可能となるように上部フレームに支持されている。アーム5は、ブーム4に対して回動可能となるようにブーム4に支持されている。バケット6は、アーム5に対して回動可能となるようにアーム5に支持されている。
【0020】
油圧ショベル100は、作業装置3を油圧により動かすための複数の油圧アクチュエータをさらに備える。複数の油圧アクチュエータは、ブームシリンダ7と、アームシリンダ8と、バケットシリンダ9と、旋回モータ11と、を含む。
【0021】
図2は、本実施形態に係る油圧ショベル100の油圧回路及びこれに関連する装置を示す図である。図2に示すように、油圧ショベル100は、タンク21と、メインポンプ22を含む複数のメインポンプと、パイロットポンプ23と、コントロールバルブユニット30と、ブーストチェック弁67(チェック弁)と、バイパスチェック弁68(チェック弁)と、フィルター62と、複数の操作レバー69と、複数のパイロット弁65と、レバーロック81と、レバーロック弁64と、アンロード用電磁比例弁51と、エア抜き切替弁63と、コントローラ70と、をさらに備える。
【0022】
コントローラ70は、CPU、メモリなどを含む。コントローラ70は、レバーロック弁64、アンロード用電磁比例弁51などに指令信号を出力する指令出力部を備え、当該指令出力部は、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。
【0023】
コントロールバルブユニット30は、コントロールバルブ本体と、リリーフ弁40と、アンロード弁50と、を含む。前記コントロールバルブ本体は、複数の方向切替弁を含む。複数の方向切替弁は、ブームシリンダ方向切替弁31と、アームシリンダ方向切替弁と、バケットシリンダ方向切替弁と、旋回モータ方向切替弁と、を含む。コントロールバルブユニット30は、複数の方向切替弁と、リリーフ弁40及びアンロード弁50を含む種々の機能部品と、を含み、これらが一体となるように構成されている。すなわち、リリーフ弁40及びアンロード弁50は、コントロールバルブ本体に搭載されている。
【0024】
リリーフ弁40は、設定圧を変更可能な電磁リリーフ弁である。リリーフ弁40は、メインポンプ22とタンク21との間に介在し、メインポンプ22と、ブームシリンダ方向切替弁31を含むコントロールバルブ本体と、の間のラインであるポンプ吐出ライン91の圧力が前記設定圧に上昇するまでは閉弁し、前記設定圧に達したときに開弁することによりポンプ吐出ライン91の圧力を前記設定圧以下に制限する。リリーフ弁40は、ポンプ吐出ライン91から分岐したリリーフライン95に配置されている。リリーフライン95は、リターンライン92に接続されている。リターンライン92は、タンク21につながるラインである。
【0025】
リリーフ弁40は、リリーフ弁本体41と、ソレノイドを有する圧力調整機構部42と、を備える。リリーフ弁本体41の設定圧は、圧力調整機構部42のソレノイドにコントローラ70から入力される設定圧指令信号に応じて変化する。従って、当該設定圧指令信号の変更(当該設定圧の変更)により、ポンプ吐出ライン91の圧力の上限値を変動させることが可能である。リリーフ弁40は、エア抜きポート43を有する。エア抜きポート43は、例えば圧力調整機構部42に形成されている。
【0026】
リリーフ弁40がコントロールバルブ本体に搭載される位置及び向きなどの搭載方法は、コントロールバルブユニット30が上部旋回体2に搭載されるときのコントロールバルブ本体の位置及び向きの制約を受ける。このため、コントロールバルブユニット30が上部旋回体2に搭載されるときのリリーフ弁40の配置の自由度は小さい。また、リリーフ弁40は、その内部にエアが滞留しやすい構造を有する。特に、リリーフ弁40の圧力調整機構部42は、エアが滞留しやすい構造を有する。従って、圧力調整機構部42がリリーフ弁本体41よりも上方に位置するような姿勢でリリーフ弁40が上部旋回体2において配置される場合には、リリーフ弁40の圧力調整機構部42にエアが特に滞留しやすい。
【0027】
アンロード弁50は、メインポンプ22から吐出された作動油を、ブームシリンダ7を含む複数の油圧アクチュエータに供給することなく、リターンライン92に流すためのバルブである。アンロード弁50は、ポンプ吐出ライン91から分岐してリターンライン92に接続されたアンロードライン94に配置されている。
【0028】
アンロード弁50は、パイロットポートを有する。アンロード弁50は、パイロットポートにパイロット圧が与えられていない状態では、アンロードライン94を介してメインポンプ22とリターンライン92とを連通するように開弁し、パイロットポートに所定のパイロット圧が与えられた状態では、アンロードライン94を介したメインポンプ22とリターンライン92との連通を阻止する。アンロード弁50は、そのパイロットポートに入力されるパイロット圧に応じて開度を変える。コントローラ70は、アンロード用電磁比例弁51に対して指令信号を出力し、アンロード用電磁比例弁51は、指令信号に対応するパイロット圧をアンロード弁50のパイロットポートに出力する。これにより、アンロード弁50の開度がパイロット圧に応じた大きさに調節される。
【0029】
図2では、前記複数のメインポンプのうち、メインポンプ22のみが図示され、他のメインポンプの図示は省略されている。また、図2では、複数の油圧アクチュエータのうち、ブームシリンダ7のみが図示され、他の油圧アクチュエータの図示は省略されている。また、図2では、複数の方向切替弁のうち、ブームシリンダ方向切替弁31のみが図示され、他の方向切替弁の図示は省略されている。
【0030】
タンク21は、作動油を貯留する。メインポンプ22を含む複数のメインポンプのそれぞれは、図略のエンジンにより駆動され、タンク21から吸い込んだ作動油を吐出する油圧ポンプである。複数のメインポンプのそれぞれは、複数の油圧アクチュエータのうちの少なくとも一つの油圧アクチュエータに作動油を供給する。本実施形態では、メインポンプ22は、可変容量形の油圧ポンプであるが、固定容量形の油圧ポンプであってもよい。パイロットポンプ23は、図略のエンジンにより駆動され、タンク21から吸い込んだ作動油を吐出する油圧ポンプである。パイロットポンプ23は、複数の方向切替弁のそれぞれのパイロットポート、アンロード弁50のパイロットポート、複数のパイロット弁などに作動油のパイロット圧を供給する。エンジンが始動すると、複数のメインポンプ及びパイロットポンプ23のそれぞれは作動油を吐出する。
【0031】
ブームシリンダ7は、メインポンプ22から吐出される作動油の供給を受けることにより伸縮動作する油圧シリンダである。ブームシリンダ7は、当該ブームシリンダ7の伸縮に伴なってブーム4が上部旋回体2に対して起伏するように上部旋回体2とブーム4とに取り付けられている。
【0032】
アームシリンダ8は、前記複数のメインポンプの何れかから吐出される作動油の供給を受けることにより伸縮動作する油圧シリンダである。アームシリンダ8は、当該アームシリンダ8の伸縮に伴なってアーム5がブーム4に対して回動するようにブーム4とアーム5とに取り付けられている。
【0033】
バケットシリンダ9は、前記複数のメインポンプの何れかから吐出される作動油の供給を受けることにより伸縮動作する油圧シリンダである。バケットシリンダ9は、当該バケットシリンダ9の伸縮によりバケット6がアーム5に対して回動するようにアーム5とバケット6とに取り付けられている。
【0034】
旋回モータ11は、下部走行体1に対して上部旋回体2を油圧により旋回させるための油圧モータである。旋回モータ11は、出力軸を有し、当該出力軸が図略の減速機を介して上部旋回体2の上部フレームに連結されている。旋回モータ11は、前記複数のメインポンプの何れかから吐出される作動油の供給を受けることによりその供給の方向に対応した方向に前記出力軸が回転するように動作し、これにより、上部旋回体2を左旋回方向及び右旋回方向のそれぞれに旋回させることが可能である。
【0035】
ブームシリンダ方向切替弁31は、ブームシリンダ7に対する作動油の給排を制御する。具体的に、ブームシリンダ方向切替弁31は、一対のパイロットポートを有し、中立位置と、メインポンプ22からの作動油をブームシリンダ7のヘッド側室に導くためのブーム上げ位置と、メインポンプ22からの作動油をブームシリンダ7のロッド側室に導くためのブーム下げ位置と、の間で切替可能である。
【0036】
ブームシリンダ方向切替弁31は、一対のパイロットポートの何れにもパイロット圧が供給されないときには前記中立位置に保たれてメインポンプ22とブームシリンダ7との間を遮断する。ブームシリンダ方向切替弁31は、一対のパイロットポートの一方にパイロット圧が供給されたときには、前記ブーム上げ位置に切替えられて、メインポンプ22からブームシリンダ7のヘッド側室への作動油の供給を許容し、一対のパイロットポートの他方にパイロット圧が供給されたときには、前記ブーム下げ位置に切替えられて、メインポンプ22からブームシリンダ7のロッド側室への作動油の供給を許容する。
【0037】
ブームシリンダ7から排出され、ブームシリンダ方向切替弁31を通った作動油は、排出ライン96に排出される。排出ライン96は、リターンライン92に接続されている。従って、ブームシリンダ7から排出された作動油は、リターンライン92を通じてタンク21に戻る。
【0038】
アームシリンダ方向切替弁は、アームシリンダ8に対する作動油の給排を制御し、バケットシリンダ方向切替弁は、バケットシリンダ9に対する作動油の給排を制御し、旋回モータ方向切替弁は、旋回モータ11に対する作動油の給排を制御する。アームシリンダ方向切替弁、バケットシリンダ方向切替弁及び旋回モータ方向切替弁のそれぞれの基本的な構造と機能は、ブームシリンダ方向切替弁31と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。
【0039】
ブーストチェック弁67は、リターンライン92に予め設定された圧力(背圧)を発生させる背圧保持弁(背圧弁)である。ブーストチェック弁67は、リターンライン92に配置され、リターンライン92が所定圧以上になると開いてタンク21に作動油が流出する。
【0040】
フィルター62は、タンク21に戻る前の作動油をリターンライン92において濾過するためのものである。フィルター62は、リターンライン92において、例えばブーストチェック弁67の上流側に配置されている。
【0041】
バイパスチェック弁68は、ブーストチェック弁67と並列に設けられブーストチェック弁67よりも高い圧力になると開弁するバイパス弁であり、フィルター62において目詰まりが生じた場合にタンク21に作動油をバイパスして流出させるものである。バイパスチェック弁68は、リターンライン92から分岐するバイパスライン93に配置されている。
【0042】
複数の操作レバー69は、オペレータが着座する運転席80(図2参照)の左右に配置された右側操作レバー及び左側操作レバーを含む。右側操作レバーは、例えば、前後方向に操作された場合にブーム操作レバーとして機能し、左右方向に操作された場合にバケット操作レバーとして機能してもよい。左側操作レバーは、前後方向に操作された場合にアーム操作レバーとして機能し、左右方向に操作された場合に旋回操作レバーとして機能してもよい。左右の操作レバーの機能は、上記の具体例に限られず、例えば、オペレータの指示によって任意に変更可能なように構成されていてもよい。
【0043】
ブーム操作レバーには、ブームシリンダ7を動作させるための操作がオペレータによって与えられる。アーム操作レバーには、アームシリンダ8を動作させるための操作がオペレータによって与えられる。バケット操作レバーには、バケットシリンダ9を動作させるための操作がオペレータによって与えられる。旋回操作レバーには、旋回モータ11を動作させるための操作がオペレータによって与えられる。
【0044】
複数のパイロット弁65は、ブーム操作パイロット弁と、アーム操作パイロット弁と、バケット操作パイロット弁と、旋回操作パイロット弁と、を含む。ブーム操作パイロット弁は、パイロットポンプ23とブームシリンダ方向切替弁31との間に介在し、ブームシリンダ方向切替弁31の動作を制御する。ブーム操作パイロット弁は、ブーム操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を、ブームシリンダ方向切替弁31の一対のパイロットポートのうち、ブーム操作レバーの操作方向に対応するパイロットポートに供給するように作動する。これにより、ブームシリンダ7に供給される作動油の流量及び作動油の供給方向が調節される。
【0045】
アーム操作パイロット弁は、パイロットポンプ23とアームシリンダ方向切替弁との間に介在し、アームシリンダ方向切替弁の動作を制御する。バケット操作パイロット弁は、パイロットポンプ23とバケットシリンダ方向切替弁との間に介在し、バケットシリンダ方向切替弁の動作を制御する。旋回操作パイロット弁は、パイロットポンプ23と旋回モータ方向切替弁との間に介在し、旋回モータ方向切替弁の動作を制御する。アーム操作パイロット弁、バケット操作パイロット弁及び旋回操作パイロット弁のそれぞれの基本的な構造と機能は、ブーム操作パイロット弁と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。
【0046】
レバーロック81は、複数の操作レバー69の操作の有効(アンロック状態)と無効(ロック状態)とを切り替えることが可能な操作部材を含む。レバーロック81は、ロック機構の一例である。レバーロック81には、複数の操作レバー69に与えられる操作に対応するようにシリンダ7,8,9及び旋回モータ11が動作することを許容する状態であるアンロック状態と、複数の操作レバー69に与えられる操作に対応するようにシリンダ7,8,9及び旋回モータ11が動作することを阻止する状態であるロック状態と、の間で油圧回路の状態を切り替えるための操作が入力される。
【0047】
レバーロック81の操作部材は、例えば運転席80の左側に配置されており、オペレータがキャビンに出入りする際にオペレータが例えば上げ下げ操作可能なように構成される。レバーロック81は、レバーロック81の操作部材がロック位置に配置されたときに、ロック状態に対応する電気信号であるロック信号をコントローラ70に入力する。これにより、複数の操作レバー69の操作が無効になる。一方、レバーロック81は、レバーロック81の操作部材がアンロック位置に配置されたときに、アンロック状態に対応する電気信号であるアンロック信号をコントローラ70に入力する。これにより、複数の操作レバー69の操作が有効になる。
【0048】
レバーロック弁64は、コントローラ70から出力される指令信号を受けるソレノイドを有する電磁弁であり、コントローラ70から入力される指令信号を受けて、パイロットポンプ23からの作動油がエア抜き切替弁63及び複数のパイロット弁65にそれぞれ供給されるように開弁する電磁弁である。レバーロック81がアンロック信号をコントローラ70に入力すると、コントローラ70は、レバーロック弁64のソレノイドに指令信号を入力する。これにより、レバーロック弁64が開弁し、パイロットポンプ23からの作動油がエア抜き切替弁63及び複数のパイロット弁65にそれぞれ供給される。
【0049】
本実施形態に係る油圧ショベル100の油圧回路は、リリーフ弁40の圧力調整機構部42とリターンライン92とをつなぐエア抜きライン90を備える。エア抜きライン90は、リリーフ弁40に滞留するエアを作動油とともに当該エア抜きライン90を通じてタンク21に回収するための配管である。
【0050】
エア抜きライン90の上流側端部は、リリーフ弁40のエア抜きポート43に接続され、エア抜きライン90の下流側端部は、リターンライン92におけるブーストチェック弁67とタンク21との間の部分に接続されている。また、エア抜きライン90の下流側端部は、リターンライン92のうち、バイパスライン93よりもタンク21側の部分に接続されている。
【0051】
メインポンプ22が作動油を吐出しているときには、リターンライン92のうちブーストチェック弁67よりも上流側の部分92aの圧力は、リターンライン92のうちブーストチェック弁67よりも下流側の部分92bの圧力よりも大きくなる。リリーフライン95は、リターンライン92の上流側の部分92aに接続されている。従って、メインポンプ22が作動油を吐出しているときには、リリーフライン95に配置されているリリーフ弁40における圧力は、リターンライン92の下流側の部分92bの圧力よりも大きくなる。このようなリリーフ弁40における圧力とリターンライン92の下流側の部分92bの圧力との圧力差を利用することにより、リリーフ弁40に滞留するエアを含む作動油は、リリーフ弁40のエア抜きポート43からエア抜きライン90に流出し、エア抜きライン90を通じてタンク21に向かって流れ、タンク21に回収される。これにより、リリーフ弁40に滞留するエアのエア抜きを行うことができる。
【0052】
エア抜き切替弁63は、リリーフ弁40からの作動油がエア抜きライン90を通じてタンク21に流れることを許容する状態である許容状態と、リリーフ弁40からの作動油がエア抜きライン90を通じてタンク21に流れることを阻止する状態である阻止状態と、の間で切り替わることが可能なバルブである。エア抜き切替弁63は、エア抜きライン90に配置されている。
【0053】
エア抜き切替弁63は、パイロットポートを有する。エア抜き切替弁63は、パイロットポートにパイロット圧が与えられていない状態では、リリーフ弁40からの作動油がエア抜きライン90を通じてタンク21に流れることを許容するように開弁して許容状態になる。一方、エア抜き切替弁63は、パイロットポートに所定のパイロット圧が与えられた状態では、阻止状態となり、リリーフ弁40からの作動油がエア抜きライン90を通じてタンク21に流れることを阻止する。エア抜き切替弁63は、そのパイロットポートに入力されるパイロット圧に応じて開度を変える。
【0054】
レバーロック81がアンロック信号をコントローラ70に入力すると、コントローラ70は、レバーロック弁64のソレノイドに指令信号を入力する。これにより、レバーロック弁64が開弁し、パイロットポンプ23からの作動油がエア抜き切替弁63のパイロットポートに供給され、エア抜き切替弁63は、阻止状態に切り替わる。一方、レバーロック81がロック信号をコントローラ70に入力すると、コントローラ70は、レバーロック弁64のソレノイドに対して、パイロットポンプ23とエア抜き切替弁63のパイロットポートとのラインを連通するための指令信号を入力しない。この場合、パイロットポンプ23からの作動油はエア抜き切替弁63のパイロットポートに供給されないので、エア抜き切替弁63は許容状態となる。そして、メインポンプ22が作動油を吐出すると、リリーフ弁40における圧力とリターンライン92の下流側の部分92bの圧力との間に上述したような圧力差が生じる。これにより、リリーフ弁40に滞留するエアを含む作動油は、リリーフ弁40のエア抜きポート43からエア抜きライン90に流出し、エア抜きライン90を通じてタンク21に向かって流れ、タンク21に回収される。
【0055】
本実施形態に係る油圧ショベル100では、ポンプ吐出ライン91の圧力と、リターンライン92におけるブーストチェック弁67よりも下流側の部分92bと、の圧力差を利用することで、油圧回路のリリーフ弁40に滞留するエアをリリーフ弁40から効果的に排出することができる。従って、上部旋回体2においてリリーフ弁40が配置される向きにかかわらず、リリーフ弁40に滞留するエア、特にリリーフ弁40の圧力調整機構部42に滞留するエアをリリーフ弁から効果的に排出することができる。これにより、リリーフ弁40の向きが前記コントロールバルブ本体の配置の制約を受ける場合であっても、リリーフ弁40にエアが滞留するリスクを低減することができる。このことは、コントロールバルブユニット30が上部旋回体2に搭載されるときのコントロールバルブユニット30の配置の自由度を高めるので、コストダウンにもつながる。
【0056】
また、本実施形態では、エア抜き切替弁63を阻止状態にセットすることでリリーフ弁40の本来の機能であるポンプ吐出ライン91の圧力を制限する機能をリリーフ弁40に発揮させることができる一方で、エア抜き切替弁63を許容状態にセットすることで、エア抜きが必要とされるタイミングでリリーフ弁40のエア抜きを行うことができる。リリーフ弁40のエア抜きは、例えば、オペレータが油圧ショベル100による作業を開始する直前などに行われる。
【0057】
本実施形態では、コントローラ70は、油圧回路の状態が前記ロック状態から前記アンロック状態に切り替えられた場合に、エア抜き切替弁63が前記許容状態から前記阻止状態に切り替わるような指令信号を出力する。従って、ロック状態ではリリーフ弁40のエア抜きを行うことができ、ロック状態からアンロック状態への切り替えに連動してリリーフ弁40によるポンプ吐出ライン91の圧力の制限を行うことができる。
【0058】
本実施形態では、コントローラ70は、エア抜き切替弁63が前記許容状態であるときにメインポンプ22の容量を増加させるための指令信号である傾転指示電流を出力する。具体的には、レバーロック81がロック信号をコントローラ70に入力すると、コントローラ70は、レバーロック弁64のソレノイドに対して、パイロットポンプ23とエア抜き切替弁63のパイロットポートとのラインを連通するための指令信号を入力しないことによってエア抜き切替弁63を許容状態とするとともに、メインポンプ22に対して、例えば予め設定された傾転指示電流を、予め設定された時間が経過するまで出力することによってメインポンプ22の容量が増加した状態を維持する。前記予め設定された時間は、例えば、リリーフ弁40のエア抜きが完了するのに要する時間よりも長い時間に設定される。このようにリリーフ弁40のエア抜きを行うときにメインポンプ22の容量を増加させることにより前記圧力差が増加するので、リリーフ弁40のエア抜きをより短時間で行うことができる。
【0059】
油圧回路の状態がロック状態であるときには、リリーフ弁40のエアが十分に抜けていなくても、例えば自動負荷運転が自動的に開始されることがある。自動負荷運転のそれぞれでは、コントローラ70は、油圧回路の状態がロック状態であるときに、メインポンプ22から作動油を吐出させアンロード弁50を閉弁させるような制御を行う。通常、アンロード弁50は無操作時には開弁しており自動負荷運転時には閉弁される。この場合、リリーフ弁40のエア抜きが不十分である状態で自動負荷運転が開始されると、リリーフ弁40において異音が発生するなどの不具合が生じることがある。
【0060】
本実施形態では、コントローラ70は、油圧回路の状態が前記ロック状態であるときに、アンロード弁50を開弁させるための指令信号をアンロード用電磁比例弁51に出力する。これにより、油圧回路の状態が前記ロック状態であるときにアンロード弁50が開弁するので、仮に自動負荷運転が自動的に開始されたとしても、リリーフ弁40において異音が発生することを回避することができる。自動負荷制御としては、エンジンが始動されたときの暖機運転、DPF(Diesel Particulate Filter)の堆積煤を燃焼させるための堆積煤燃焼運転などを例示できる。
【0061】
具体的には、エンジンの始動後に(具体的には例えばエンジンの始動直後に)、レバーロック81がロック信号をコントローラ70に入力すると、コントローラ70は、レバーロック弁64のソレノイドに対して、パイロットポンプ23とエア抜き切替弁63のパイロットポートとのラインを連通するための指令信号を入力しないことによってエア抜き切替弁63を許容状態とするとともに、アンロード用電磁比例弁51に対して、アンロード弁50を開弁させる指示電流を、予め設定された時間が経過するまで出力する。前記予め定められた時間は、リリーフ弁のエア抜きが完了するのに要する時間よりも長い時間に予め設定される。前記指示電流は、例えば、アンロード弁50が最大開口となるような値であってもよい。このように油圧回路の状態が前記ロック状態であるときにアンロード弁50が開弁するので、仮に自動負荷運転が自動的に開始されたとしても、リリーフ弁40において異音が発生することを回避することができる。
【0062】
図3は、本実施形態の変形例1に係る油圧ショベル100の油圧回路及びこれに関連する装置を示す図である。この変形例1に係る油圧ショベル100の油圧回路は、圧力センサ61をさらに備える点、エア抜き切替弁63が電磁切替弁である点で、図2に示す油圧回路と相違し、その他の点は図2に示す油圧回路と同様である。
【0063】
圧力センサ61は、メインポンプ22の吐出圧を検出し、検出した圧力に対応する検出信号をコントローラ70に入力する。圧力センサ61は、例えば、メインポンプ22と前記コントロールバルブ本体との間のポンプ吐出ライン91に配置されている。
【0064】
コントローラ70は、油圧回路の状態が前記ロック状態であるときにメインポンプ22から作動油を吐出させることを伴う自動負荷運転を実行する場合に、エア抜き切替弁63を前記阻止状態に切り替えるための指令信号である阻止信号を前記エア抜き切替弁63に出力する。前記自動負荷運転では、リリーフ弁40の本来の機能であるポンプ吐出ライン91の圧力を制限する機能をリリーフ弁40に発揮させる必要がある。本実施形態では、コントローラ70は、自動負荷運転を実行する場合に、エア抜き切替弁63を阻止状態に切り替えるための指令信号である阻止信号をエア抜き切替弁に出力するので、油圧回路の状態がロック状態である場合であっても、自動負荷運転を確実に実行することができる。
【0065】
具体的には、本実施形態では、コントローラ70は、圧力センサ61により検出される圧力が予め定められた閾値を超えた場合に、前記阻止信号をエア抜き切替弁63に出力する。自動負荷運転が開始されると、メインポンプ22から作動油が吐出されるので、ポンプ吐出ライン91の圧力が上昇する。従って、油圧回路の状態がロック状態であるときにポンプ吐出ライン91の圧力が上昇することは、自動負荷運転が開始されたことを示す指標になり得る。そこで、本実施形態では、コントローラ70は、圧力センサ61により検出されるポンプ吐出ライン91の圧力が前記閾値を超えた場合に阻止信号をエア抜き切替弁63に出力することにより、自動負荷運転においてポンプ吐出ライン91の圧力を制限する機能をリリーフ弁に発揮させることができる。
【0066】
[変形例]
以上、本開示の実施形態に係る建設機械について説明したが、本開示は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例を含む。
【0067】
(A)建設機械について
前記実施形態では、建設機械は、油圧ショベル100であるが、例えばクレーン、ブルドーザなどの他の建設機械であってもよい。
【0068】
(B)コントロールバルブユニットについて
コントロールバルブユニット30は、コントロールバルブ本体と、リリーフ弁40と、アンロード弁50と、を含むが、リリーフ弁40及びアンロード弁50の少なくとも一方は、コントロールバルブ本体に搭載されていなくてもよい。
【0069】
(C)ロック機構について
前記実施形態では、ロック機構がレバーロック81であるが、オペレータの操作が入力されることが可能な他の機構であってもよい。他の機構としては、オペレータの入力を受けることが可能なスイッチなどを例示できる。この場合、エア抜き切替弁は、ロック機構としてのスイッチに対してオペレータが入力操作を与えたことに連動して前記許容状態と前記阻止状態との間で切り替わるように構成される。
【0070】
(D)背圧発生機構について
前記実施形態では、背圧発生機構としてチェック弁が用いられているが、背圧発生機構は、リリーフ弁であってもよく、絞りであってもよい。
【符号の説明】
【0071】
7 :ブームシリンダ
21 :タンク
22 :メインポンプ
23 :パイロットポンプ
30 :コントロールバルブユニット
31 :ブームシリンダ方向切替弁
40 :リリーフ弁
41 :リリーフ弁本体
42 :圧力調整機構部
43 :エア抜きポート
50 :アンロード弁
51 :アンロード用電磁比例弁
61 :圧力センサ
63 :エア抜き切替弁
64 :レバーロック弁
67 :ブーストチェック弁(背圧発生機構の一例)
69 :操作レバー
70 :コントローラ
81 :レバーロック(ロック機構の一例)
90 :エア抜きライン
91 :ポンプ吐出ライン
92 :リターンライン
92a :リターンラインのうちブーストチェック弁よりも上流側の部分
92b :リターンラインのうちブーストチェック弁よりも下流側の部分
93 :バイパスライン
94 :アンロードライン
95 :リリーフライン
96 :排出ライン
100 :油圧ショベル
図1
図2
図3