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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126708
(43)【公開日】2023-09-08
(54)【発明の名称】POL1阻害剤の新規な結晶形態
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/14 20060101AFI20230901BHJP
   A61K 31/551 20060101ALI20230901BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
C07D471/14 102
C07D471/14 CSP
A61K31/551
A61P35/00
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022201582
(22)【出願日】2022-12-16
(62)【分割の表示】P 2019552849の分割
【原出願日】2018-03-28
(31)【優先権主張番号】62/477,746
(32)【優先日】2017-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/491,635
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519340558
【氏名又は名称】ピメラ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハダッチ,ムスタファ
【テーマコード(参考)】
4C065
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA04
4C065AA18
4C065BB09
4C065CC02
4C065DD03
4C065EE03
4C065HH01
4C065JJ07
4C065KK08
4C065LL01
4C065PP01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB09
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA02
4C086NA03
4C086ZB26
(57)【要約】      (修正有)
【課題】取扱い特性の改善、凝集傾向の低下、凝集性固体形態(錠剤)の形成に対する適合性の改善、長期保存の安定性の改善、より良好な溶解度、および/または、溶解度プロファイルの改善がなされた、特定の生物学的活性を有する化合物の結晶形態を提供する。
【解決手段】約10.0°および20.7°(±0.2°2θ)に2-シータの粉末X線回折(PXRD)パターンのピークを有する、化学式(I)に示す化合物N-メチル-2-(4-メチル-1,4-ジアゼパン-1-イル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a][1,8]ナフチリジン-6-カルボキサミドの結晶形態を提供する。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物(I):
【化1】
の結晶形態であって、2-シータの粉末X線回折(PXRD)パターンのピークが、
(a)約10.0°および20.7°であり、結晶形態は結晶形態1であり;
(b)約20.3°および26.4°であり、結晶形態は結晶形態2であり;
(c)約6.4°および13.5°であり、結晶形態は結晶形態3であり;
(d)約7.0°および11.4°であり、結晶形態は結晶形態4であり;または
(e)約9.2°および10.3°であり、結晶形態は結晶形態5である
ことを特徴とする、結晶形態。
【請求項2】
結晶形態1が、約6.7°、8.6°、10.0°、11.2°、16.2°、20.7°、22.7°、25.6°、および27.6°(±0.2°2θ)に2シータの粉末X線回折パターンピークを有することを特徴とする、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項3】
結晶形態1が、実質的に図81に示される粉末X線回折パターンを有することを特徴とする、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項4】
結晶形態1が、DSCにより示されるように、約212~216℃に吸熱ピークを有するとしてさらに特徴付けられる、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項5】
結晶形態1が、DSCにより示されるように、約209~212℃で吸熱開始するとしてさらに特徴付けられる、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項6】
結晶形態1が、室温での7日間の貯蔵後にその型を維持している、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項7】
請求項1に記載の結晶形態および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の結晶形態から本質的になる医薬組成物。
【請求項9】
結晶形態が結晶形態1である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
実質的に精製されている、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項11】
治療有効量の請求項7に記載の組成物を、治療的に投与することを含む、被験体において癌を治療する方法。
【請求項12】
癌が、乳房、肺、結腸直腸、肝臓、膵臓、リンパ節、結腸、前立腺、脳、頭頸部、皮膚、肝臓、腎臓、血液または心臓の癌である、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2017年3月28日に出願された米国仮特許出願第62/477,746号および2017年4月28日に出願された米国仮特許出願第62/491,635号の優先権を主張し、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、部分的に、細胞増殖の阻害および/または細胞アポトーシスの誘導を含むがこれらに限定されない特定の生物学的活性を有する、N-メチル-2-(4-メチル-1,4-ジアゼパン-1-イル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a][1,8]ナフチリジン-6-カルバキソミドの新規な結晶形態に関する。本発明はまた、そのような形態を使用する方法、それらの調製方法、およびそれらの組成物にも部分的に関する。
【発明の概要】
【0003】
一態様において、化合物(I):
【0004】
【化1】
の固体形態が提供される。
【0005】
1つのバリエーションにおいて、固体形態は結晶形態である。1つのバリエーションにおいて、結晶形態は本明細書に具体的に記載されている(例えば、形態1~5)。
【0006】
本明細書に記載の特定の結晶形態は、取扱い特性の改善、凝集傾向の低下、凝集性固体形態(錠剤)の形成に対する適合性の改善、長期保存の安定性の改善、より良好な溶解度、および/または、溶解度プロファイルの改善によって、化合物(I)の既知の固体形態よりも有利であり得る。
【0007】
(結晶形態)
(形態1)
1つのバリエーションにおいて、化合物(I)の結晶形態は形態1の結晶形態である。特定の実施形態において、結晶形態1は一貫して調製できるので有利であるが、他の結晶形態は貯蔵または取り扱いの際に結晶形態1に変換できる。実際、いくつかの他の形態は、結晶形態1に容易に変換され得る。このような相互変換の条件については、本明細書で説明される。一貫した物理的性質により、生産規模での固形製剤の取り扱いと調製が大幅に容易になる。したがって、通常の取り扱い条件下で安定な結晶形態を使用することが有利でである。したがって、一実施形態において、結晶形態1が利用される。
【0008】
いくつかの実施形態において、結晶形態1は、約10.0°および20.7°に2シータのピークを含む粉末X線回折パターンを有することにより特徴付けられる。
【0009】
いくつかの実施形態において、結晶形態1は、約6.7°、8.6°、10.0°、11.2°、16.2°、20.7°、22.7°、25.6°および27.6°(±0.2°2θ)に2シータの粉末X線回折パターンピークのいずれか1つまたは組み合わせを有することを特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形態1は、実質的に図81に示される粉末X線回折パターンを有することにより特徴付けられる。
【0010】
いくつかの実施形態において、結晶形態1は、示差走査熱量測定により示されるように、約212~216℃に吸熱ピークを有することにより特徴付けられる。いくつかの実施形態において、結晶形態1は、実質的に図22に示される示差走査熱量測定を有することを特徴とする。
【0011】
いくつかの実施形態において、結晶形態1は、実質的に図21に示されるような熱重量分析を有することを特徴とする。
【0012】
(形態2)
1つのバリエーションでは、化合物(I)の結晶形態は、形態2の結晶形態である。いくつかの実施形態では、結晶形態2は、約20.3°および26.4°に2シータのピークを含む粉末X線回折パターンを有することを特徴とする。
【0013】
いくつかの実施形態では、結晶形態2は、約6.7°、11.2°、17.5°、19.5°、20.3°、21.7°および26.4°(±0.2)に2θのピークを含む粉末X線回折パターンを有することを特徴とする。一部の実施形態では、結晶形態2は、実質的に図82に示されるような粉末X線回折パターンを有することを特徴とする。
【0014】
一部の実施形態において、結晶形態2は、実質的に図29に示される示差走査熱量測定を有することを特徴とする。
【0015】
一部の実施形態では、結晶形態2は、実質的に図28に示されるような熱重量分析を有することを特徴とする。
【0016】
(形態3)
一つのバリエーションにおいて、化合物(I)の結晶形態は形態3の結晶形態である。いくつかの実施形態において、結晶形態3は、約6.4°および13.5°に2シータのピークを含む粉末X線回折パターンを有することを特徴とする。
【0017】
いくつかの実施形態において、結晶形態3は、約6.4°、9.3°、9.7°、13.5°、19.1°、23.7°および28.0°(±0.2 2θ)に2シータのピークを含む粉末X線回折パターンを有することを特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形態3は、実質的に図83に示される粉末X線回折パターンを有することを特徴とする。
【0018】
いくつかの実施形態では、結晶形態3は、実質的に図37に示される示差走査熱量測定を有することを特徴とする。
【0019】
いくつかの実施形態では、結晶形態3は、実質的に図36に示されるような熱重量分析を有することを特徴とする。
【0020】
(形態4)
一つのバリエーションにおいて、化合物(I)の結晶形態は、形態4の結晶形態である。いくつかの実施形態では、結晶形態4は、約7.0°および11.4°に2θのピークを含む粉末X線回折パターンを有することを特徴とする。
【0021】
いくつかの実施形態において、結晶形態4は、約6.3°、7.0°、9.3°、9.7°、11.4°、19.1°、25.6°および27.9°に2θのピークを含む粉末X線回折パターンを有することを特徴とする(±0.2°2θ)。一部の実施形態では、結晶形態4は、実質的に図84に示される粉末X線回折パターンを有することを特徴とする。
【0022】
一部の実施形態では、結晶形態4は、実質的に図43に示される示差走査熱量測定を有することを特徴とする。
【0023】
一部の実施形態では、結晶形態4は、実質的に図42に示されるような熱重量分析を有することを特徴とする。
【0024】
(形態5)
1つのバリエーションにおいて、化合物(I)の結晶形態は結晶形態5である。いくつかの実施形態では、結晶形態5は、約9.2°および10.3°に2シータのピークを含む粉末X線回折パターンを有することを特徴とする。
【0025】
いくつかの実施形態において、結晶形態5は、約9.2°、10.3°、11.2°、18.1°、19.7°、21.2°、23.6°、および25.8°に2シータのピーク(±0.2°2θ)を含む粉末X線回折パターンを有することを特徴とする。一部の実施形態では、結晶形態5は、実質的に図85に示される粉末X線回折パターンを有することを特徴とする。
【0026】
いくつかの実施形態において、結晶形態5は、示差走査熱量測定によって示されるように、約212~213.5℃の吸熱ピークによって特徴付けられる。一部の実施形態では、結晶形態5は、実質的に図49に示される示差走査熱量測定を有することを特徴とする。
【0027】
いくつかの実施形態において、結晶形態5は、実質的に図48に示されるような熱重量分析を有することを特徴とする。
【0028】
(製造方法)
1つの態様において、化合物(I)の結晶形態を生成するプロセスが提供される。1つのバリエーションにおいて、化合物(I)の結晶形態は、本明細書に記載の任意の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)である。特定の態様では、化合物(I)の結晶形態は、結晶形態1または結晶形態5である。
【0029】
(形態1)
1つのバリエーションにおいて、アセトン中の多相化合物(I)の混合物(例えば、スラリー)を調製することを含む、結晶形態1の製造プロセスが提供される。いくつかの実施形態において、混合物は温度サイクルされる(例えば、約5℃から約25℃で約72時間の時間)。
【0030】
(形態2)
1つのバリエーションにおいて、1,4-ジオキサン中の化合物(I)の混合物(例えば、スラリー)を調製することを含む、結晶形態2の製造プロセスが提供される。いくつかの実施形態において、混合物は温度サイクルされる(例えば、約5℃から約25℃で約72時間の時間)。
【0031】
(形態3)
1つのバリエーションにおいて、ジクロロメタン中の化合物(I)の混合物(例えば、スラリー)を調製することを含む、結晶形態3を生成するための製造プロセスが提供される。いくつかの実施形態において、混合物は温度サイクルされる(例えば、約5℃から約25℃で約72時間の時間)。
【0032】
(形態4)
1つのバリエーションにおいて、化合物(I)をジクロロメタンに溶解することを含む、結晶形態4の製造プロセスが提供される。いくつかの実施形態では、得られた懸濁液は、濾過され、キャップを外したバイアル内において周囲条件下で蒸発結晶化される。
【0033】
(形態5)
1つのバリエーションにおいて、化合物(I)をジクロロメタンに溶解することを含む結晶形態5の製造プロセスが提供される。いくつかの実施形態において、得られた懸濁液にヘプタンが加えられて、溶液から材料を沈殿させる。
【0034】
(組成物)
一態様において、本明細書に記載の化合物(I)の結晶形態を含む組成物が提供される。1つのバリエーションにおいて、本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)、および薬学的に許容される担体が提供される。いくつかの実施形態では、組成物は、有効量の結晶形態および薬学的に許容される担体を含む。
【0035】
(処理の方法)
一態様において、細胞を有効量の化合物(I)の形態と接触させることを含む、細胞増殖を阻害する方法が提供され、この形態は化合物(I)の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)である。いくつかの実施形態では、細胞は癌細胞株である。いくつかの実施形態では、癌細胞株は、乳癌、前立腺癌、膵臓癌、肺癌、造血組織癌、結腸直腸癌、皮膚癌、卵巣癌細胞株である。いくつかの実施形態では、細胞は対象の腫瘍内にある。いくつかの実施形態では、細胞との接触は細胞アポトーシスを誘導する。
【0036】
一態様では、異常な細胞増殖に関連する状態を治療する方法が提供され、この方法は、それを必要とする個体に、本明細書に記載の有効量の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)を投与することを含む。いくつかの実施形態では、細胞増殖状態は腫瘍関連癌である。いくつかの実施形態では、癌は、乳房、前立腺、膵臓、肺、結腸直腸、皮膚、または卵巣の癌である。いくつかの実施形態では、細胞増殖状態は非腫瘍癌である。いくつかの実施形態では、非腫瘍癌は造血組織癌である。
【0037】
一態様において、本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)の有効量を個体に投与することを含む、それを必要とする個体において血管新生を阻害する方法が提供される。
【0038】
一態様では、本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4および5)の有効量を個体に投与すること、および追加の医薬品、追加の治療様式、またはそれらの組み合わせを投与することを含む、それを必要とする個体の癌または炎症性障害を治療する方法が提供される。
【0039】
一部の実施形態では、結晶形態および追加の医薬品は、1つの医薬組成物に組み合わされる。いくつかの実施形態では、追加の医薬品、追加の治療様式、またはそれらの組み合わせの投与は、結晶形態の投与と同時に実行される。いくつかの実施形態において、追加の医薬品、追加の治療様式、またはそれらの組み合わせの投与は、結晶形態の投与後に行われる。いくつかの実施形態では、結晶形態を投与する前に、追加の医薬品、追加の治療法、またはそれらの組み合わせが投与される。
【0040】
(キット)
一態様では、本明細書に記載の化合物(I)の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)および包装を含む、癌を有する個体の治療または予防のためのキットが提供される。
【0041】
1つのバリエーションでは、本明細書に記載の結晶形態の組成物および包装を含む、癌を有する個体における治療または予防のためのキットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
さらなる目的および利点は、説明、図面、および実施例を考慮することにより明らかになる。
図1図1は、多相型のN-メチル-2-(4-メチル-1,4-ジアゼパン-1-イル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a][1,8]ナフチリジン-6-カルバキソミド(化合物(I))の粉末X線回折パターン(PXRD)を示す。
図2図2は、多相型のN-メチル-2-(4-メチル-1,4-ジアゼパン-1-イル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a][1,8]ナフチリジン-6-カルバキソミド(化合物(I))の偏光顕微鏡(PLM)結果を示す図である。
図3図3は、多相型のN-メチル-2-(4-メチル-1,4-ジアゼパン-1-イル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a][1,8]ナフチリジン-6-カルバキソミド(化合物(I))の熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。
図4図4は、多相型のN-メチル-2-(4-メチル-1,4-ジアゼパン-1-イル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a][1,8]ナフチリジン-6-カルバキソミド(化合物(I))の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム(第1の加熱サイクル)を示す。
図5図5は、多相型のN-メチル-2-(4-メチル-1,4-ジアゼパン-1-イル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a][1,8]ナフチリジン-6-カルバキソミド(化合物(I))の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム(第2の加熱サイクル)を示す。
図6図6は、多相型のN-メチル-2-(4-メチル-1,4-ジアゼパン-1-イル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a][1,8]ナフチリジン-6-カルバキソミド(化合物(I))の重量蒸気吸着(GVS)データを示す。
図7図7は、実施例4に記載された溶解度スクリーンからの未溶解材料の粉末X線回折パターン(PXRD)を示す。
図8図8は、形態1を生成した多相型のN-メチル-2-(4-メチル-1,4-ジアゼパン-1-イル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a][1,8]ナフチリジン-6-カルバキソミド(化合物(I))の溶媒スラリーの粉末X線回折パターン(PXRD)を示す。
図9図9は、多相型(出発物質);1,4-ジオキサンスラリー中に生成された形態2;およびジクロロメタンスラリー中に生成された形態3のN-メチル-2-(4-メチル-1,4-ジアゼパン-1-イル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a][1,8]ナフチリジン-6-カルバキソミド(化合物(I))の粉末X線回折パターン(PXRD)を示す。
図10図10は、多相型(出発物質);およびジクロロメタン蒸発結晶化プロセスにより生成される形態4のN-メチル-2-(4-メチル-1,4-ジアゼパン-1-イル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a][1,8]ナフチリジン-6-カルバキソミド(化合物(I))の粉末X線回折パターン(PXRD)を示す。
図11図11は、多相型(出発物質);およびジクロロメタン/ヘプタン貧溶媒の組み合わせプロセスによって生成される形態5のN-メチル-2-(4-メチル-1,4-ジアゼパン-1-イル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a][1,8]ナフチリジン-6-カルバキソミド(化合物(I))の粉末X線回折パターン(PXRD)を示す。
図12図12は、N-メチル-2-(4-メチル-1,4-ジアゼパン-1-イル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a][1,8]ナフチリジン-6-カルバキソミド(化合物(I))の多相型(出発物質);および蒸発させたジクロロメタン冷却結晶からの形態3の粉末X線回折パターン(PXRD)を示す。
図13図13は、ジクロロメタン蒸発結晶化実験を繰り返した後の多相形態のN-メチル-2-(4-メチル-1,4-ジアゼパン-1-イル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-a][1,8]ナフチリジン-6-カルバキソミド(化合物(I))の粉末X線回折パターン(PXRD)を示す。
図14図14は、一次スクリーンからの形態3の熱重量分析(TGA)および示差熱分析(DTA)を示す。
図15図15は、一次結晶形態スクリーンからの形態3の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム(第1の加熱サイクル)を示す。
図16図16は、一次結晶形態スクリーンからの形態3の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム(冷却サイクル)を示す。
図17図17は、一次結晶形態スクリーンからの形態3の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム(第2の加熱サイクル)を示す。
図18図18は、一次結晶形態スクリーン(上)のアセトンスラリーからの形態1の粉末X線回折パターン(PXRD);および二次結晶形態スクリーン中のアセトンスラリーからの形態1の粉末X線回折パターン(PXRD)(下)を示す。
図19図19は、乾燥前の形態1の偏光顕微鏡(PLM)結果を示す。
図20図20は、乾燥後の形態1の偏光顕微鏡(PLM)結果を示す。
図21図21は、形態1の熱重量分析(TGA)および示差熱分析(DTA)を示す。
図22図22は、形態1の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム(第1の加熱サイクル)を示す。
図23図23は、形態1の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム(第2の加熱サイクル)を示す。
図24図24は、形態1のH核磁気共鳴(NMR)分析(CDCl、500MHz)を示す。
図25図25は、一次結晶形態スクリーン(上)からの形態2の粉末X線回折パターン(PXRD);スラリー化72時間後の形態2の粉末X線回折パターン(PXRD)(中央);スラリー化144時間後の形態2の粉末X線回折パターン(PXRD)(下)を示す。
図26図26は、乾燥前の形態2の偏光顕微鏡(PLM)結果を示す。
図27図27は、乾燥後の形態2の偏光顕微鏡(PLM)結果を示す。
図28図28は、形態2の熱重量分析(TGA)および示差熱分析(DTA)を示す。
図29図29は、形態2の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム(第1の加熱サイクル)を示す。
図30図30は、形態2の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム(第2の加熱サイクル)を示す。
図31図31は、形態2のH NMR分析(CDCl、500MHz)を示す。
図32図32は、一次スクリーン(上)のDCMスラリーから生成された形態3の粉末X線回折パターン(PXRD);および二次スクリーンのDCMスラリーから生成された形態3の粉末X線回折パターン(PXRD)(下)を示す。
図33図33は、乾燥前の形態3の偏光顕微鏡(PLM)結果を示す。
図34図34は、乾燥後の形態3の偏光顕微鏡(PLM)結果を示す。
図35図35は、乾燥後の形態3の偏光顕微鏡(PLM)結果を示す。
図36図36は、形態3のTG/DTAサーモグラムである。
図37図37は、形態3の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム(第1の加熱サイクル)を示す。
図38図38は、形態3の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム(第2の加熱サイクル)を示す。
図39図39は、形態3のH NMR分析(CDCl、500MHz)を示す。
図40図40は、一次スクリーンおよび反復するDCM蒸発から生成された形態4の粉末X線回折パターン(PXRD)(上3);および二次スクリーンのDCMスラリーから生成された形態4の粉末X線回折パターン(PXRD)(下)を示す。
図41図41は、形態4の偏光顕微鏡(PLM)結果を示す。
図42図42は、形態4の熱重量分析(TGA)および示差熱分析(DTA)を示す。
図43図43は、形態4の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム(第1の加熱サイクル)を示す。
図44図44は、形態4の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム(第2の加熱サイクル)を示す。
図45図45は、形態4のH NMR分析(CDCl、500MHz)を示す。
図46図46は、DCM貧溶媒一次スクリーンおよび反復(上部)から生成された形態5の粉末X線回折パターン(PXRD);DCM貧溶媒二次スクリーンから生成された形態5の粉末X線回折パターン(PXRD)(中央);および、翌日、DCM貧溶媒二次スクリーンから生成された形態5の粉末X線回折パターン(PXRD)(下)を示す。
図47図47は、乾燥後の形態5の偏光顕微鏡(PLM)結果を示す。
図48図48は、形態5の熱重量分析(TGA)および示差熱分析(DTA)を示す。
図49図49は、形態5の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム(第1の加熱サイクル)を示す。
図50図50は、形態5の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム(第2の加熱サイクル)を示す。
図51図51は、形態5のH NMR分析(CDCl、500MHz)を示す。
図52図52は、安定性試験前後の形態1~5の粉末X線回折パターン(PXRD)を示す。
図53図53は、形態1および形態5の競合スラリーからの粉末X線回折パターン(PXRD)を示す。
図54図54は、競合スラリー材料が室温のヘプタンである場合の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。
図55図55は、競合スラリー材料が60℃のヘプタンである場合の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。
図56図56は、競合スラリー材料が室温でメタノールである場合の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。
図57図57は、競合スラリー材料が60℃のメタノールである場合の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。
図58図58は、競合スラリー材料が室温のジクロロメタン(DCM)である場合の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。
図59図59は、競合スラリー材料が35℃のジクロロメタン(DCM)である場合の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。
図60図60は、乾燥前の室温のジクロロメタン競合スラリーの粉末X線回折パターン(PXRD)(一番上);乾燥後の室温のジクロロメタン競合スラリー(上から3番め);ならびに参照としての結晶形態1、3および5(それぞれ、下から2番目、上から2番目、および一番下)を示す。
図61図61は、二次スクリーン(上)および大規模スケールアップ(下)からの形態1の粉末X線回折パターン(PXRD)を示す。
図62図62は、乾燥後の大規模スケールアップからの形態1の偏光顕微鏡(PLM)結果を示す。
図63図63は、大規模スケールアップからの形態1の熱重量分析(TGA)および示差熱分析(DTA)を示す。
図64図64は、大規模スケールアップからの形態1の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム(第1の加熱サイクル)を示す。
図65図65は、大規模スケールアップからの形態1の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム(冷却サイクル)を示す。
図66図66は、大規模スケールアップからの形態1の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム(第2の加熱サイクル)を示す。
図67図67は、大規模スケールアップからの形態1のH NMR分析(CDCl、500MHz)を示す。
図68図68は、0週目の時点(一番上);40℃、相対湿度75%で2週間後(上から2番目);40℃、相対湿度75%で4週間後(上から3番目);50℃で2週間後(上から4番目と5番目);室温で2週間後(上から6番目);および室温で4週間後(上から7番目、すなわち一番下)における形態1の粉末X線回折パターン(PXRD)を示す。
図69図69は、40℃および相対湿度75%で2週間保存した後の形態1のH NMR分析(CDCl、500MHz)を示す。
図70図70は、40℃および相対湿度75%で4週間保存した後の形態1のH NMR分析(CDCl、500MHz)を示す。
図71図71は、50℃で2週間保存した後の形態1のH NMR分析(CDCl、500MHz)を示す。
図72図72は、50℃で4週間保存した後の形態1のH NMR分析(CDCl、500MHz)を示す。
図73図73は、室温で2週間保存した後の形態1のH NMR分析(CDCl、500MHz)を示す。
図74図74は、室温で4週間保存した後の形態1のH NMR分析(CDCl、500MHz)を示している。
図75図75は、室温で2週間後の形態1の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)純度分析を示す。
図76図76は、室温で4週間後の形態1の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)純度分析を示す。
図77図77は、40℃および相対湿度75%で2週間後の形態1の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)純度分析を示す。
図78図78は、40℃および相対湿度75%で4週間後の形態1の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)純度分析を示す。
図79図79は、50℃で2週間後の形態1の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)純度分析を示す。
図80図80は、50℃で4週間後の形態1の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)純度分析を示す。
図81図81は、形態1の粉末X線回折パターン(PXRD)を示す。
図82図82は、形態2の粉末X線回折パターン(PXRD)を示す。
図83図83は、形態3の粉末X線回折パターン(PXRD)を示す。
図84図84は、形態4の粉末X線回折パターン(PXRD)を示す。
図85図85は、形態5の粉末X線回折パターン(PXRD)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
(発明の詳細な説明)
本明細書に記載の化合物、方法および組成物の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかし、詳細な説明および特定の例は、特定の実施形態を示しているが、例示のみを目的としていることを理解されたい。なぜなら、本開示の精神および範囲内の様々な変更および修正は、この詳細な説明から、当業者には明らかになるからである。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態は、以下で詳細に議論される。実施形態を説明する際に、明確にするために特定の用語が使用される。しかし、本発明は、そのように選択された特定の用語に限定されることを意図していない。当業者は、本発明の広範な概念から逸脱することなく、他の同等の構成要素を使用でき、他の方法を開発できることを認識する。本明細書のどこかに引用されているすべての参考文献は、あたかもそれぞれが個別に組み込まれたかのように、参照により組み込まれる。
【0045】
本明細書には、化合物(I):
【0046】
の結晶形態が記載されている:
【0047】
化合物(I)は、細胞増殖の阻害および/または細胞アポトーシスの誘導を含むがこれらに限定されない特定の生物学的活性を有する。化合物(I)および薬学的に許容される塩、プロドラッグ、活性代謝物、共結晶およびその薬学的に許容される溶媒和物は、POL1転写を阻害することにより、リボソーム生合成を阻害することができる。
【0048】
化合物(I)の新規結晶形態を調製する方法およびその使用方法もまた提供される。また、上記の形態の化合物(I)を他の薬剤(例えば、1つ以上の追加の医薬品)と組み合わせて含む組成物、およびそれを他の薬剤と組み合わせて使用する方法も提供される。
【0049】
当業者に周知のように、製剤原料の塩形態および/または結晶構造の変動は、特に固体経口剤形で製剤化された場合の、溶解速度(バイオアベイラビリティなどに影響する可能性がある)、製造可能性(例えば、取り扱いの容易さ、既知の強度の用量を一貫して調製する能力)および、医薬品製品の安定性(例えば、熱安定性、貯蔵寿命など)にしばしば影響を与える。
【0050】
多数の結晶化条件(例えば、様々な溶媒、溶媒混合物、様々な冷却速度など)での実験により、本明細書に記載の特定の結晶形態の生成は予測不可能であり、したがって、これらの結晶形態を一貫して生成する特定のプロセスを開発した。これらの方法により、本明細書に開示された新規な結晶形態の調製および特徴付けが可能になった。これらの形態の調製および特性評価のプロセスについては、以下により詳細に説明される。
化合物(I)のこれらの結晶形態は、溶解速度、吸収および安定性などの固体形態で特に望ましい特性を有し得る。
【0051】
例えば、特定の結晶形態は、他のものよりも高い固有の溶解度および/またはより速い溶解速度を示し、これは取り扱いおよび製剤目的のために有利であり得る。
【0052】
別の態様では、化合物(I)の結晶形態、すなわち、結晶形態1、2、3、4、および5が提供される。これらのそれぞれは、化合物(I)の結晶形態である。化合物(I)のこれらの結晶形態は、本明細書で議論される増殖性障害の治療の有効性を含む、化合物(I)の生物学的活性を示す医薬組成物の固体剤形の調製のために有用である。新規の結晶形態は、化合物(I)の多相型またはアモルファス型よりも安定であり得る。
【0053】
別の態様では、本発明は、本明細書でさらに説明されるように、化合物(I)の塩の特定の結晶形態を作製する方法を提供する。
【0054】
別の態様では、本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)を使用して化合物(I)に反応する状態を治療する方法が提供される。そのような状態には、痛み、炎症、血管新生、および細胞増殖(例えば、癌)が含まれる。
【0055】
一態様において、本明細書に記載される化合物(I)の結晶形態、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、または溶媒和物の治療有効量を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の癌を治療または予防する方法が、本明細書に記載される。別の態様において、本明細書に記載される化合物(I)の結晶形態、またはその薬学的に許容される塩、共結晶もしくは溶媒和物の治療有効量を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の炎症性疾患を治療または予防する方法が本明細書に記載される。
【0056】
さらに別の態様において、本明細書に記載される化合物(I)の結晶形態または薬学的に許容される塩、共結晶、またはその溶媒和物の治療有効量を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の増殖性障害を治療または予防する方法が本明細書に記載される。別の態様において、本明細書に記載される化合物(I)の結晶形態の治療有効量を投与することを含む、哺乳動物の疾患または障害を治療または予防する方法が本明細書に記載される。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法、化合物(I)の結晶形態および組成物は、これらの結晶の2つ以上の混合物として使用することができ;結晶形態の混合物が時折有用である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される方法および組成物は、本明細書に記載されるように、これらの結晶形態の1つ以上と追加の医薬品との混合物として使用できる。
【0058】
本明細書に記載の結晶形態のキット、組成物、併用療法および単位剤形も提供される。
【0059】
(略語と定義)
本明細書に記載されるいくつかの化合物の命名法は、CambridgeSoft(登録商標)から入手可能なChemDraw Ultraバージョン10.0を使用して特定することができる。
【0060】
本明細書で使用される「アモルファス(非晶質)」とは、PXRDまたは他の回折技術によって識別可能なパターンを生成するには結晶含有量が少なすぎる材料を指す。ガラス質材料はアモルファスであると考えられる。アモルファス材料は真の結晶格子を持たないため、結果として真の固体ではなくガラス質であり、技術的には非常に粘性の高い非結晶液体に似ている。真の固体ではなく、ガラスは準固体アモルファス材料としてより良好に説明されるかもしれない。したがって、アモルファス材料とは、準固体のガラス状材料を指す。溶液からの化合物の沈殿は、多くの場合、溶媒の急速な蒸発の影響を受け、アモルファス型の化合物になりやすい場合がある。
【0061】
本明細書で使用される「結晶性」とは、水和および/または溶媒和され得る、または共結晶の形態あり得る特定の化合物を含み、粉末X線回折(PXRD)またはその他の回折技術によって識別可能な回折パターンを示すのに十分な結晶含有量を有する材料を指す。結晶材料は、赤外線スペクトル(フーリエ変換IR(FTIR)、示差走査熱量測定(DSC)、密度、結晶グループ、溶解度など)を含む多くの追加の分析手法によって特徴付けられる。溶液に溶解した化合物の直接結晶化または異なる結晶化条件下で得られた結晶の相互変換によって溶媒から得られる結晶性物質は、溶媒を含む結晶を有する場合がある。集合的に結晶化条件と呼ばれる特定の溶媒組成と結晶化の物理的特性(例えば、結晶化速度、温度)は、1つの結晶形態を支配し、結晶化条件に固有の物理的および化学的特性を有する結晶材料をもたらす可能性がある。
【0062】
本発明の塩形態は、親化合物のイオン化可能な基により、親化合物、すなわち化合物(I)から形成することができる。これらの塩は、無機酸または有機酸を含む酸付加塩であってもよく、または本発明の親化合物の酸性形態の場合、無機塩基または有機塩基から調製されてもよい。しばしば、塩は、薬学的に許容される酸または塩基の付加生成物として調製される薬学的に許容される塩として調製または使用される。酸付加塩を形成するための塩酸、硫酸、臭化水素酸、酢酸、乳酸、クエン酸、または酒石酸、および、塩基塩を形成するための水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、カフェイン、様々なアミンなど、適切な薬学的に許容される酸および塩基は当該技術分野で周知である。適切な塩の調製方法は、当該技術分野で十分に確立されている。場合によっては、化合物は酸性官能基と塩基性官能基の両方を含んでもよく、その場合、これらは、2つのイオン化基を持ちながら正味電荷を持たないことがある。薬学的に許容される塩およびそれらの製剤の標準的な調製方法は、当技術分野で周知であり、例えば、「“Remington: The Science and Practice of Pharmacy”, A. Gennaro, ed., 20th edition, Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia, Pa; P. Heinrich Stahl, Camille G. Wermuth, Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use, Edition 2」を含む様々な参考文献に開示されている。
【0063】
さらに、本塩形態は、無水であっても、水などの溶媒を含んでもよい。いくつかの実施形態では、本塩形態は、水和物などの溶媒和物を含む。
【0064】
本明細書で使用される「溶媒和物」は、溶媒和(溶媒分子と溶質の分子またはイオンとの組み合わせ)により形成される化合物、または溶質イオンまたは分子からなる凝集体、すなわち、1つ以上の溶媒分子を伴う本発明の化合物を意味する。水が溶媒の場合、対応する溶媒和物は「水和物」である。水和物の例には、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物、六水和物などが含まれるがこれらに限定されない。本塩形態の薬学的に許容される塩、および/またはプロドラッグも溶媒和物を含むように存在し得ることを当業者は理解すべきである。溶媒和物は、典型的には、本塩形態の調製物の一部である水和により、または本発明の無水塩形態による水分の自然吸収を通してのいずれかで形成される。
【0065】
本明細書で使用される「投与する」、「投与すること」、「投与」などの用語は、生物学的作用の所望の部位への化合物/組成物の送達を可能にするために使用できる方法を指す。これらの方法には、経口経路、十二指腸内経路、非経口注射(静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、血管内または注入を含む)、局所および直腸投与が含まれるがこれらに限定されない。当業者は、使用可能な投与技術に精通している。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物および組成物は経口投与される。
【0066】
本明細書で使用される「共結晶」とは、一般に化学量論比で溶媒和物でも単純塩でもない2つ以上の異なる分子および/またはイオン化合物から構成される結晶単相材料である固体を指す。本明細書で使用される場合、共結晶という用語は、水和物、溶媒和物および包接化合物を包含することができる。
【0067】
本明細書で使用される「治療」、「治療すること」、または「治療する」は、臨床結果を含む有益または望ましい結果を得るためのアプローチである。本明細書における目的のために、有益または望ましい結果には、以下のうちの1つまたは複数が含まれるが、これらに限定されない:状態(例えば、癌)から生じるもう1つの症状の減少、疾患の程度の減少、状態の安定化(例えば、癌などの状態の悪化の予防または遅延)、状態の進行の遅延または遅延、疾患状態の改善、状態の治療に必要な1つまたは複数の他の医薬の投与量の減少、病状を有するかもしくはそのことが疑われている個人の生活の質を高めること、および/または延命(全生存および無増悪生存を含む)。癌の病理学的結果の低減もまた、「治療」に含まれる。本明細書に記載の方法は、治療のこれらの態様のいずれか1つまたは複数を想定している。
【0068】
本明細書で使用する場合、状態に関する「遅延」とは、状態の1つ以上の症状(例えば、癌)の発生を延ばすこと、妨害、減速、遅延、安定化、および/または延期することを意味する。この遅延は、疾患の履歴および/または治療されている個人に応じて、さまざまな時間の長さであり得る。当業者に明らかなように、十分なまたは有意な遅延は、個体が状態(例えば、癌)を発症しないという点で、実際には予防を包含することができる。癌の発生を「遅らせる」方法とは、この方法を使用しない場合と比較して、特定の時間枠での疾患発症の可能性を減らす方法、および/または特定の時間枠での状態の程度を減らす方法である。このような比較は通常、統計的に有意な数の被験体を使用した臨床研究に基づいている。癌の発生は、定期的な身体検査やX線などの標準的な方法を使用して検出できる。発生はまた、最初は検出できない可能性がある疾患の進行を指す場合があり、発生と発症を含む。
【0069】
本明細書で使用される場合、状態に関して「リスクがある」個体は、状態(例えば、癌)を発症するリスクがある個体である。「リスクのある」個体は、検出可能な状態にある場合とない場合があり、本明細書に記載の治療方法の前に、検出可能な状態に関連する症状を示していてもいなくてもよい。「リスクがある」とは、個人が1つ以上のいわゆるリスク要因を持っていることを意味し、これは、状態の進展と相関する測定可能なパラメータである。これらのリスク要因の1つ以上を持っている個体は、これらのリスク要因を持たない個人よりも状態を発症する可能性が高くなる。
【0070】
本明細書で使用される場合、材料に関して「薬学的に許容される」とは、生物学的またはその他の点で不適切ではない材料を指し、例えば、材料は、有意な望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく、またはそれが含まれる組成物の他の成分のいずれかと有害な様式で相互作用することなく、個体に投与される医薬組成物に組み込まれ得る(例えば、製造時または投与時)。本明細書で使用する用語「薬学的に許容される担体」とは、例えば、個体(例えば、ヒト)への投与に適した当業者に知られている溶媒、安定剤、pH調整剤、張性調整剤、アジュバント、結合剤、希釈剤などを指す。2つ以上のキャリアの組み合わせもまた意図される。本明細書に記載の薬学的に許容される担体および任意の追加の成分は、特定の剤形の意図された投与経路(例えば経口)での使用に適合されるべきである。そのような適合性は、特に本明細書で提供される教示を考慮して、当業者によって容易に認識されるであろう。薬学的に許容される担体または賦形剤は、好ましくは毒物学的および製造試験の必要な基準を満たし、および/または米国食品医薬品局によって作成された不活性成分ガイドに含まれている。
【0071】
治療に関して、本明細書で使用される「有効量」とは、特定の状態(例えば、癌)またはその症状の1つまたは複数について所望の薬理学的および/または生理学的効果をもたらす量、および/または状態またはその症状の発生または再発を完全または部分的に防止するための量を指し、ならびに/あるいは、状態の部分的または完全な治癒および/または状態に起因する副作用(たとえば癌)に関して治療的であり得る量を指す。本明細書に記載の状態(例えば、癌)に関して、薬学的または治療的有効量は、とりわけ、癌細胞の数を減らすため、腫瘍サイズを縮小するため、末梢臓器への癌細胞の浸潤を阻害するため(すなわち、ある程度遅く、好ましくは停止するため)。腫瘍の転移を阻害するため(すなわち、ある程度遅く、好ましくは停止するため)、腫瘍の増殖をある程度阻害するため、既存の癌細胞の成長を防止しおよび/または殺傷するため、細胞増殖抑制性および/または細胞毒性であるため、血管拡張の障害または損失を防止するため、腫瘍の負担の軽減のため、罹患率および/または死亡率の減少のため、癌に関連する1つ以上の症状をある程度緩和するために十分な量を含み得る。
【0072】
有効量は、無増悪生存期間を延長し(例えば、固形腫瘍の応答評価基準、RECIST、またはCA-125の変化により測定)、客観的応答(部分的応答または完全な応答を含む)をもたらし、全体的な生存期間を増加し、および/または癌の1つ以上の症状を改善し得る(例:FOSIによる評価)。特定の実施形態では、薬学的に有効な量は、個体に予防的に投与される場合のように、状態を予防するのに十分である。有効量には、治療される根底にある状態の根絶または改善、および/または根底にある状態に関連する1つまたは複数の症状の根絶または改善が含まれ、その結果、個体が依然として根底にある疾患になお苦しんでいる可能性があるにもかかわらず、個体は感覚または状態の改善を報告する(例えば、疼痛強度および/または期間の減少)。有効量には、疾患または状態の改善が実現したかどうかに関係なく、疾患(例えば、癌)の進行を停止または遅らせることも含まれる。
【0073】
「有効量」は、投与される組成物、治療/予防されている状態(例、癌の種類)、治療または予防されている状態の重症度、個人の年齢、体の大きさ、体重、および相対的な健康状態、投与経路および投与形態、主治医または獣医(該当する場合)、ならびに本明細書で提供される教示を考慮して当業者によって認識される他の要因に応じて異なり得る。有効量は、例えば、1つまたは複数の臨床的、生理学的、生化学的、組織学的、電気生理学的、および/または行動評価からのデータを使用することにより評価され得る。
【0074】
当技術分野で理解されているように、「有効量」は1回以上の用量で投与することができ、すなわち、所望の治療終点を達成するために単回用量または複数回用量が必要となることがある。有効量は、1つまたは複数の追加の医薬品を投与する文脈で考慮され、結晶は有効量で投与されると見なされ、1つまたは複数の追加の医薬品と併せる場合、1つまたは複数の望ましいまたは有益な結果が達成される可能性があるか、または達成されている。
【0075】
本明細書に記載の治療/予防の方法ならびに結晶形態およびその組成物の使用に関して使用される場合、「それを必要とする個体」は、治療される状態(例えば、癌などの増殖性疾患)を有すると診断され、以前に治療され、および/または疑われる個体であり得る。予防に関して、それを必要とする個体は、状態のリスク(例えば、状態の家族歴、状態のリスクを示すライフスタイル要因など)がある個体であってもよい。
【0076】
いくつかの態様において、個体は、ウシ、ウマ、ネコ、ウサギ、イヌ、げっ歯類、または霊長類を含むがこれらに限定されない哺乳動物である。いくつかの実施形態では、哺乳動物は霊長類である。いくつかの実施形態では、霊長類はヒトである。
いくつかの実施形態では、個体は、成人、子供、幼児、および未熟児を含むヒトである。いくつかの実施形態では、個体は非哺乳動物である。いくつかのバリエーションでは、霊長類はチンパンジーや他の類人猿や猿種などの非ヒト霊長類である。いくつかの実施形態において、哺乳動物は、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、およびブタなどの家畜;ウサギ、犬、および猫などのペット;ラット、マウス、モルモットなどのげっ歯類を含む実験動物などである。いくつかの実施形態において、個体は、鳥などを含むがこれらに限定されない非哺乳類である。「個体」という用語は、特定の年齢や性別を示すものではない。
【0077】
本明細書に記載の結晶形態に関して、「併用療法」は、疾患および状態を、治療、安定化、予防、および/または遅らせるために有用な第2の治療(例えば、手術および/または追加の薬剤)と併せて結晶を含む第1の治療を意味する。別の化合物との「併用」投与には、同じまたは異なる経路を介した逐次的、同時的、または連続的のいずれかの、同じまたは異なる組成物での投与が含まれる。いくつかの実施形態において、併用療法は、1つ以上の薬学的に許容される担体または賦形剤、非医薬的に活性な化合物、および/または不活性物質を任意に含む。
【0078】
本明細書で使用される場合、本明細書に記載の結晶形態に関する「追加の医薬品」という用語は、特定の結晶形態以外の活性剤(例えば、薬物および/または異なる結晶形態)を指し、これは、治療効果を引き出すために投与される。医薬品は、結晶が治療または予防を意図している状態(例えば、癌)に関連する治療効果に向けられてもよく、または、医薬品は、根底にある症状(例えば、腫瘍の成長、出血、潰瘍、痛み、リンパ節の拡大、咳、黄疸、腫れ、体重減少、悪液質、発汗、貧血、腫瘍随伴現象、血栓症など)の徴候を治療または予防し、または結晶形態の副作用の外観または重症度をさらに軽減することを意図する場合がある。
【0079】
本明細書における「約」値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータ自体に向けられたバリエーションを含む(および説明する)。例えば、「約Y」に言及する記述は、「Y」の記述を含む。測定値と組み合わせて使用する場合、「約」には、特定の値を測定する方法に関連する不確実性を少なくとも含む範囲が含まれ、指定された値の前後に1~2個の標準偏差の範囲を含めることができる。推定値または化合物の投与量を記述するために使用される場合、それは規定値のプラスまたはマイナス10%の範囲、またはいくつかの実施形態では規定値の前後にプラスまたはマイナス5%の範囲を含む。特に、PXRDからの結果を説明するために使用される場合、「約」という用語は、+/-0.2°(つまり°2θ)のデータの変動を指す。DSCからの結果を記述するために使用される場合、約という用語は+/-3°(つまり℃)のデータの変動を指す。
【0080】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「or」、および「the」は、文脈からそうでないことが明確に示されない限り、複数の指示対象を含む。本明細書に記載の態様およびバリエーションは、「からなる」および/または「から本質的になる」態様およびバリエーションを含むことが理解される。用語「a」および「an」は、量の制限を示すのではなく、参照される品目の少なくとも1つが存在することを示す。用語「a」および「an」は、「1つ以上」または「少なくとも1つ」と交換可能に使用される。用語「または」または「および/または」は、2つの単語または表現が一緒にまたは個別に取られることを示すための機能語として使用される。「含む」、「有する」、「含む」、および「含有する」という用語は、オープンエンドの用語(つまり、「含むが、これに限定されない」という意味)と解釈されるものである。同じコンポーネントまたはプロパティに向けられたすべての範囲のエンドポイントは、包括的かつ独立して組み合わせ可能である。
【0081】
「本発明の塩形態」、「これらの塩形態」、「そのような塩形態」、「塩形態」、および「本塩形態」という用語は、アモルファス塩形態または結晶塩形態など、本明細書に記載の塩形態を指す。さらに、本塩形態は、CK2タンパク質、Pimタンパク質またはその両方の生物活性を調節、すなわち阻害または増強することができ、それによって、本明細書では「モジュレーター」または「CK2および/またはPimモジュレーター」とも呼ばれる。
【0082】
特に定義されない限り、または文脈によって明確に示されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語および略語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0083】
N-メチル-2-(4-メチル-1,4-ジアゼパン-1-イル)の多相形態
ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-A][1,8]ナフチリジン-6-カルバキソミド(化合物I)
N,N-ジメチルホルムアミド(5.0mL)中の2-(4-メチル-[1,4]ジアゼパン-1-イル)-1,7,11b-トリアザベンゾ[c]フルオレン-6-カルボン酸ナトリウム塩(1A、99mg、0.25mmol)、メチルアミン塩酸塩(25mg、0.38mmol、1.5当量)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム 3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU、144mg、0.38mmol、1.5当量)およびジイソプロピルエチルアミン(49mg、0.38mmol、1.5当量)を合わせ、室温で1時間撹拌した。
【0084】
次いで、反応混合物を水(8mL)に注ぎ、16時間4℃に冷却した。沈殿物を収集し、4:1 水:N、N-ジメチルホルムアミド(1mL)および水(1mL)で洗浄した。固形物を水(200μL)に懸濁し、20%炭酸ナトリウム水溶液(200μL)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。次に、固形物を収集し、水(3×1mL)で洗浄して、化合物(I)の多相形態(16mg、0.041mmol、16%)を黄色の結晶性固形物として得た。
【0085】
LCMS: 100%, Rt: 1.678 min, ESMS m z 389.1 (M+H). 1H NMR (300 MHz, CDCI- ) δ 10.56 - 10.34 (m, 1H), 8.99 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 8.64 (s, 1H), 7.96 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 7.95 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.57 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.47 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 6.71 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 4.41 - 3.69 (m, 4H), 3.21 (d, J = 4.8 Hz, 3H), 3.00 - 2.81 (m, 2H), 2.74 -2.58 (m, 2H), 2.44 (s, 3H), 2.27 - 2.07 (m, 2H).
【0086】
多相形態のN-メチル-2-(4-メチル-1,4-ジアゼパン-1-イル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-A][1,8]ナフチリジン-6-カルバキソミド(化合物I)
化合物(I)は、PXRD分析により示されるように高度に結晶性である(図1を参照)。
【0087】
偏光顕微鏡法は、化合物(I)が、定義された形態のない小さな複屈折粒子からなることを示している(図2を参照)。
【0088】
熱重量分析(TGA)は、150℃まで質量損失がないことを示し、一方、DTトレースは、214.8℃でピークに達する212.9℃で開始する鋭い吸熱を示す(図3を参照)。200℃までは著しい劣化は見られない。
【0089】
示差走査熱量測定(DSC)分析は、214℃でピークに達する211.4℃で開始する最初の加熱サイクルで鋭く、明確な吸熱ピークを示す(図4を参照)。小さな発熱ピークも、133.4℃で始まり143.5℃でピークとなる2番目の加熱サイクルで観察され、再結晶を示している可能性がある(図5を参照)。これに続いて吸熱ピークが観察され、211.3℃で開始し、214.1℃でピークになり、融解事象を示す。
【0090】
重量蒸気吸着(GVS)分析はまた、化合物(I)が0.8%から90%までの相対湿度(RH)の質量吸収を示し、それにより化合物(I)が非吸湿性であることを示唆する(図6を参照)。
【0091】
N-メチル-2-(4-メチル-1,4-ジアゼパン-1-イル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-A][1,8]ナフチリジン-6-カルバキソミドの化合物I)の結晶形態1
化合物(I)の結晶形態1は、200mgの化合物(I)を2.4mLのアセトンに添加することにより、アセトン中の化合物(I)の混合物(例えば、スラリー)を調製することにより作製した。次いで、得られたスラリーを約72時間にわたって約5℃から25℃までの温度サイクルに供した。スラリーの溶媒としてアセトン、アセトニトリル、tBME、ジメチルホルムアミド、エタノール、酢酸エチル、ヘプタン、メタノール、プロパン-2-オール、テトラヒドロフラン、およびトルエンを使用して、この手順を繰り返した(図8を参照)。
【0092】
形態1はまた、アセトンスラリーからより大規模スケールで再現された。PXRD分析はは、形態1のきれいな形成が再現可能であることを示す。PXRD2θディフラクトグラムは、複数のピークの違いがある多相出発物質に類似していることが観察されている。最も顕著なのは、2θ=約12°でのピークの欠如である(図18を参照)。
【0093】
PLM分析は、乾燥前および乾燥後の両方で明確な形態のない複屈折を示す粒子を示す(図19および図20を参照)。
【0094】
TGA(図21を参照)は、214.1℃にピークを有する吸熱事象まで質量損失がないことを示している(DTAトレース)。この吸熱の周辺で質量のわずかな増加が観察される。
【0095】
DSC分析(第1の加熱サイクル)は、211.6℃で開始し、214.9℃でピークを有する吸熱を示す(図22を参照)。この吸熱事象は、結晶化した化合物(I)の融解に関連する可能性が高く、関連するエンタルピーは82.6mJ/mgである。
【0096】
第2の加熱サイクルでは、発熱事象も観察され、開始は141.3℃であり、ピークは151.1℃であり、これは形態1の再結晶化に起因する。第2の吸熱事象が観察され、開始は211.1℃であり、ピークは214.2℃であった(図23を参照)。これは、第1の加熱サイクルの吸熱現象と密接に関連しており、結晶化した化合物(I)の融解に関連している可能性がある。
【0097】
H NMR分析により、形態1として結晶化したときの化合物(I)の構造的完全性が確認された(図24を参照)。
【0098】
形態1は、アセトンスラリーにより1g規模で再現された。PXRD分析により、形態1が1gスケールで再現可能であることが確認された(図61を参照)。
【0099】
PLM分析は、明確な形態のない小さな複屈折粒子の存在を示している(図62を参照)。
【0100】
TGAは、214.1℃にピークを有する吸熱事象まで質量損失を示さない(DTAトレース)(図63を参照)。この吸熱の周辺で質量のわずかな減少が観察される。
【0101】
第1の加熱サイクルのDSC分析は、211.5℃の開始および214.4℃でのピークを伴う吸熱を示す(図64を参照)。この吸熱事象は、おそらく化合物(I)の融解に関連する。
【0102】
冷却サイクルでは、185.2℃の開始で発熱事象が観察され、179.8℃でピークとなる(図65を参照)。これは、化合物(I)の再結晶化に起因するようである。
【0103】
第2の加熱サイクルでは、211.5℃の開始で吸熱が観察され、214.3℃でピークとなる。これは、再結晶した化合物(I)の融解によるものと思われる(図66を参照)。
【0104】
図67は、大規模スケールアップからの形態1のH NMR分析(CDCL 500MHz)からの結果を提供する。
【0105】
形態1は安定であり、周囲条件(閉じたバイアル)および40℃/75%RH(閉じたバイアル)下で7日間保存した後、その形態を維持する。形態1の保管後PXRD分析の結果を図52に示す。
【0106】
形態1は安定であり、40℃/75%RH、50℃およびRT下で2週間および4週間の貯蔵後にその形態を維持する。PXRDディフラクトグラムは、形態1が形態を変更せず、安定性試験後の結晶化度の変化も受けないことを示す(図68を参照)。
【0107】
図69~74に提供されるNMR分析(CDC1 500MHz)は、形態1がその構造的完全性を維持し、さらなる安定性試験後に劣化しないことを実証している。具体的には、図69は、40℃、相対湿度75%で2週間保管した後の形態1のHMR分析を示す。図70は、40℃、相対湿度75%で4週間保管した後の形態1のHMR分析を示す。図71は、50℃で2週間保存した後の形態1のHMR分析を示す。図72は、50℃で4週間保管した後の形態1のHMR分析を示す。図73は、室温で2週間保管した後の形態1のHMR分析を示す。図74は、室温で4週間保管した後の形態1のHMR分析を示す。
【0108】
表5および図75~80に提供される高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析は、形態1が、2週間と4週間の両方の時点で、50℃および室温で、40℃で高レベルの純度と75%の相対湿度を維持することを実証する。
【0109】
具体的には、図75は、室温で2週間保存した後の形態1のHPLC純度分析を示す。図76は、室温で4週間保管した後の形態1のHPLC純度分析を示す。図77は、40℃、相対湿度75%で2週間保存した後の形態1のHPLC純度分析を示す。図78は、40℃、相対湿度75%で4週間保存した後の形態1のHPLC純度分析を示す。図79は、50℃で2週間保存した後の形態1のHPLC純度分析を示す。図80は、50℃で4週間保存した後の形態1のHPLC純度分析を示す。
表5:安定性試験後の形態1のHPLC純度
【0110】
【表1】
【0111】
N-メチル-2-(4-メチル-1,4-ジアゼパン-1-イル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-A][1,8]ナフチリジン-6-カルバキソミド(化合物I)の結晶形態2
化合物(I)の形態2は、200mgの化合物(I)を2.4mLの1,4-ジオキサンに加えることにより、化合物(I)の1,4-ジオキサン中の混合物(例えば、スラリー)を調製することにより作製した。その後、このスラリーを72時間の時間にわたって5℃から25℃の温度サイクルに供する。形態2のPXRD分析を図9に示す。
【0112】
形態2は、1,4-ジオキサンスラリーから大規模に再現された。PXRD分析では、スラリー化72時間後の分析後、形態2は最初は再現可能ではないことが示される(図25、二次スクリーン結晶化#1)。
【0113】
しかしながら、さらに72時間後、形態2が生成される(図25、二次スクリーン結晶化#2を参照)。
【0114】
PLM分析は、形態2が、乾燥前および乾燥後の両方で、明確な形態の小さな複屈折粒子からなることを示している(図26および図27を参照)。
【0115】
TG/DTAは、64.4℃の開始を伴う吸熱事象までの0.1%の初期質量損失を示し、74.3℃でピークに達する(図28を参照)。11.6%の質量損失がこの事象に関連していることが観察された。これは、おそらく溶媒損失に相当する。
【0116】
次に、化合物(I)の融解を示す、210.1℃で開始し、213.3℃でピークとなる第2の吸熱が観察された。最初の加熱サイクルのDSC分析は、TGAトレースと比較した場合、59.3℃の開始と68.8℃でのピークを伴う最初の発熱事象を示し、これは形態2の脱溶媒和に対応すると予想される(図29を参照)。
【0117】
211.1℃で開始し、213.6℃でピークとなる第2の発熱事象が観察された。
【0118】
第2の加熱サイクルで、138.5℃で開始し、151.6℃でピークとなる、化合物(I)の再結晶化に関連すると思われる発熱事象が、観察された(図30を参照)。これにより、化合物(I)の融解に起因する211℃の開始と213℃でのピークを伴う吸熱事象が発生する。
【0119】
H NMR分析により、形態2の化合物(I)の構造的完全性が確認された(図31を参照)。1,4-ジオキサンの存在は3.64ppmで見られる。
【0120】
形態2は安定であり、周囲条件下で7日間保管(密閉バイアル)した後、その形態を維持する。40℃/75%RHで7日間保管(密閉バイアル)した後、形態2は形態1に移行する。形態2の保管後のPXRD分析の結果を図52に示す。
【0121】
N-メチル-2-(4-メチル-1,4-ジアゼパン-1-イル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-A][1,8]ナフチリジン-6-カルバキソミド(化合物I)の結晶形態3
化合物(I)の形態3は、200mgの化合物(I)を400マイクロリットルのジクロロメタンに添加することにより、ジクロロメタン中の化合物(I)の混合物(例えば、スラリー)を調製することにより作製した。次に、得られたスラリーを約72時間、約5℃から25℃の温度サイクルにかけた。
【0122】
形態3のPXRD分析を図82に示す。図12は、蒸発して形態3を残したジクロロメタン冷却結晶化のPXRD分析を示す。
【0123】
最初に、形態3の生成は再現可能であるようには見えなかった(図13を参照)。図13に示すように、引き続く繰り返しで異なる形態が生成された。二次結晶形態スクリーンの開始前にTG/DTAおよびDSC分析を実施できるように、一次結晶形態スクリーンで十分な量の形態3を調製した。
【0124】
TG/DTAは、60.1℃の開始および66.6℃でのピークを伴う吸熱前の0.1%の初期質量損失(DTAトレース)を示し、それは14.9%の重量損失と一致し、それにより材料の脱溶媒和を示す。材料の(図14を参照)。浅い発熱事象が85.3℃から124.1℃の間に発生し、続いて207.7℃の開始を伴う吸熱事象が発生し、212.9℃でピークに達する。これは、結晶化した化合物(I)の融解に関連すると予想される。
【0125】
第1の加熱サイクルのDSC分析は、開始が54.4℃でピークが61℃の広範な吸熱事象を示す(図15を参照)。
【0126】
第2の吸熱事象は、209.5℃で始まり、213.2℃でピークに達する。冷却サイクルでは、潜在的には、化合物(I)の再結晶に起因して、149.1℃で開始し、153.5℃でピークとなる小さな発熱が観察される(図16を参照)。
【0127】
第2の加熱サイクルは、138.6℃の開始および154.3℃のピークを伴う発熱事象を示した。これにより、210℃の開始と213.4℃のピークを有する第2の吸熱事象が発生し、形態3の融解に対応すると予想される。図17は、一次結晶形態スクリーンからの形態3材料の第2の加熱サイクルのDSC分析を示す。
【0128】
形態3は、ジクロロメタンスラリーから大規模に製造された。PXRD分析は、形態3のきれいな形成が再現可能であることを示す(図32を参照)。
【0129】
PLM分析は、乾燥前の小さな複屈折粒子からなり、乾燥後の大きな棒状粒子を伴う明確な形態のない粒子の混合物からなる形態3を示す(図33図34、および図35を参照)。
【0130】
TG/DTAは、開始は49.2℃およびピークは68.5℃である、吸熱事象の開始まで約0.5%の初期の質量損失を示す(図36を参照)。約4.5%のさらなる質量損失がこの事象に関連していることが観察されており、おそらく溶媒の損失に対応している。第2の吸熱事象は207.7℃の開始および212℃のピークで観察され、化合物(I)の融解を示す。
【0131】
最初の加熱サイクルのDSC分析は、52.9℃の開始および67.7℃のピークを伴う初期の広い吸熱事象を示し、TGAトレースと比較した場合、これは形態3の脱溶媒和に対応すると予測される(図37を参照))。小さな発熱事象は149.6℃の開始および、ピーク153.2℃の小さな発熱事象を伴う。融解による最終的な吸熱事象は、開始は210.4℃で、ピークは214.0℃である。
【0132】
第2の加熱サイクルで、151℃の開始を伴う発熱事象が観察され、162℃でピークとなり、形態3の再結晶化に関連するようである(図38を参照)。これは、209.2℃の開始と214℃のピークを伴う吸熱イベントをもたらし、結晶化した形態3の融解を示します。
【0133】
H NMR分析は、形態3の化合物(I)の構造的完全性を示している(図39を参照)。ジクロロメタンの存在は5.30ppmに見ることができる。
【0134】
形態3は安定であり、周囲条件下で7日間貯蔵した後もその形態を維持する(閉じたバイアル)。40℃/75%RHで7日間保管した後(閉じたバイアル)、形態3は形態1に移行する。図52は、形態3の保管後のPXRD分析の結果を提供する。
【0135】
N-メチル-2-(4-メチル-1,4-ジアゼパン-1-イル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-A][1,8]ナフチリジン-6-カルバキソミド(化合物I)の結晶形態4
化合物(I)の形態4は、200mgの化合物(I)を2.2mLのジクロロメタンに溶解することにより作製された。得られた懸濁液を濾過し、キャップを外したバイアル内にて周囲条件で蒸発結晶化させた。形態4のPXRD分析を図10に示す。
【0136】
形態4は、ジクロロメタン中の化合物(I)からの蒸発結晶化から大規模に生成された。
【0137】
PXRD分析は、一次スクリーニングから生成された形態が再現不可能であることを示した(図40を参照)。しかし、2次スクリーンは、一次スクリーンの繰り返しと同じ形式を生成した(図39、DCM蒸発反復#1を参照)。この結晶形態は、この実験の2回の繰り返しで生成された物質の混合物のように見える(図39、反復#1と反復#2を参照)。
【0138】
PLM画像は、形態4が、明確な形態でない小さな複屈折粒子からなることを示す(図41を参照)。
【0139】
形態4のTG/DTAは、9.75%の質量損失を示し、59.6℃の開始を伴い、72℃でピークに達する吸熱事象と一致する(図42を参照)。これらの事象は、材料の脱溶媒化を示す。
【0140】
第2の吸熱事象は、おそらく材料の融解が211.2℃で開始し、ピークが214.2℃であることに起因する。第1の加熱サイクルのDSC分析では、46.4℃で小さな吸熱事象が示され、62.9℃でピークに達する(図43を参照)。TGAトレースと比較すると、形態4の脱溶媒和に対応すると予測される。化合物(I)の融解による第2の吸熱事象は、211℃で始まり、213.7℃でピークに達する。
【0141】
第2の加熱サイクルで、160.1℃の開始で発熱事象が観察され、166.1℃でピークになり、おそらく形態4の再結晶化に関連する(図44を参照)。これは、化合物(I)の融解に対応する、209.3℃の開始で、213.8℃でピークとなる吸熱事象をもたらす。
【0142】
H NMRスペクトルは、形態4内の化合物(I)の化学的完全性を示す(図45を参照)。ジクロロメタンの存在は5.3ppmで見ることができる。
【0143】
形態4は安定であり、周囲条件下で7日間貯蔵した後、その形態を維持する(閉じたバイアル)。40℃/75%RHで7日間保管した後(閉じたバイアル)、形態4は形態1に移行する。図52は、形態4の保管後のPXRD分析の結果を提供する。
【0144】
N-メチル-2-(4-メチル-1,4-ジアゼパン-1-イル)ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-A][1,8]ナフチリジン-6-カルバキソミド(化合物I)の結晶形態5
化合物(I)の形態5は、200mgの化合物(I)を2.2mLのジクロロメタンに溶解することにより作製した。得られた懸濁液に20mLのヘプタンを加えて、溶液から材料を沈殿させた。形態5のPXRD分析を図11に示す。
【0145】
形態5は大規模に製造された。PXRD分析は、形態5が最初は大規模に再現可能でなかったことを確認する(図46、DCM貧溶媒 即時を参照)。
【0146】
ジクロロメタン/ヘプタン溶液を一晩放置し、分析時に形態5への遷移が観察された(翌日、DCM-貧溶媒二次スクリーン)。
【0147】
PLM分析は、乾燥後複屈折を示す大きな棒状粒子からなる形態5を示す(図47を参照)。
【0148】
TGAトレースは、形態5が300℃まで0.2%の質量損失を示すことを示しているが、しかし、これは、本当の事象ではなく、形態5が融解するときにパンにおいて起こる事象による可能性が高い(図48を参照)。211.5℃の開始で吸熱事象が観察され、化合物(I)の融解を示す213.5℃でピークに達する。
【0149】
第1の加熱サイクルのDSC分析は、211.4℃の開始を伴う1つの吸熱事象を伴ってきれいであり、材料の融解を示す213.5℃でピークに達する(図49を参照)。第2の加熱サイクルは、2つの発熱ピークを示す。第1の発熱事象は151.8℃で開始し、ピークは165.8℃であり、これは、開始が178.5℃、ピークが182.7℃の小さな発熱事象を直接もたらす。209.1℃の開始で吸熱事象が観察され、ピークは212.2℃であり、これはおそらく化合物(I)の融解によるものである。
【0150】
H NMRスペクトルは、形態5の化学構造を示す(図51を参照)。ジクロロメタンの存在は5.30ppmで見られる。
【0151】
形態5は安定であり、周囲条件下および40℃/75%RH(閉じたバイアル)下で7日間保存した後、その形態を維持する。
【0152】
医薬組成物
本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)は、本明細書に記載の治療方法、投与方法、および投与計画で使用するために、記載の結晶形態を、当該技術分野で知られている,1つまたは複数の薬学的に許容される担体、賦形剤、安定化剤、および/または他の薬剤と組み合わせることにより、医薬組成物などの組成物の調製に使用することができる。
【0153】
組成物は、治療される状態、投与される化合物の量、個体の状態、および本明細書に提供される教示に鑑みて当業者に容易に明らかとなる他の変数に従って変化または調整され得る。結晶形態は、例えば、錠剤、丸剤、粉末、液体溶液または懸濁液などの固体、半固体、および液体剤形(例えば、表面相互作用阻害剤とともに製剤化される場合)、坐剤、注射剤注入可能な溶液、およびスプレーとして製剤化することができる。好ましい形態は、意図される投与様式および治療用途に依存する。以下の組成物、添加剤、および方法は単なる例示であり、決して限定するものではない。
【0154】
本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)で使用される添加剤は、例えば、1つ以上の賦形剤(例えば1つ以上の賦形剤)、抗酸化剤(例えば1つ以上の酸化防止剤)または安定剤(例えば、1つまたは複数の安定剤)、防腐剤(たとえば、1つまたは複数の防腐剤)、pH調整および緩衝剤(たとえば、1つまたは複数のpH調整剤および/または緩衝剤)、等張性調整剤(たとえば、1つまたは複数の等張性調整剤)、増粘剤(例えば、1つまたは複数の増粘剤)、懸濁剤(例えば、1つまたは複数の懸濁剤)、結合剤(例えば、1つまたは複数の結合剤)、粘度上昇剤(例えば、1つまたは複数の粘度上昇剤)、表面相互作用阻害剤などを、単独でまたは1つまたは複数の追加の医薬品と一緒に含み、但し、追加の成分は、治療される特定の疾患(例えば、癌)に対して薬学的に許容可能であることを条件とする。いくつかの実施形態において、組成物は、本明細書に記載の2つ以上の追加成分(例えば、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上の追加成分)の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、隣接粒子間に物理的障壁を作り出す表面相互作用阻害剤と組み合わせた結晶形態を含んでもよい。いくつかの実施形態において、添加剤は、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、単糖類、二糖類、デンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストロース、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ポリビニルピロリジノン、低融点ワックス、イオン交換樹脂など、およびそれらの任意の2つ以上の組み合わせなどの処理剤および薬物送達調整剤および促進剤を含む。他の適切な薬学的に許容される賦形剤は、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES, Merck Pub. Co., New Jersey 18th edition (1996), and REMINGTON: THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, 20th edition (2003) and 21st edition (2005); Rowe, Raymond C; Sheskey, Paul J; Cook, Walter G; Fenton, Marian E., Handbook of Pharmaceutical Excipients, Seventh editionに記載されている。
【0155】
経口投与に適した組成物は、例えば、(a)液体溶液(例えば、表面相互作用阻害剤を伴う、1つ以上の溶媒と組み合わせた結晶形態)、例えば、希釈剤、例えば、水、生理食塩水、またはオレンジジュースなどの中に溶解された、有効量の化合物、(b)所定量の有効成分を固体または顆粒としてそれぞれ含むカプセル、サシェ剤または錠剤、(c)適切な液体中の懸濁液(マイクロ懸濁液を含む)、(d)適切なエマルジョン、および(e)粉末を含むことができる。錠剤形態には、乳糖、マンニトール、コーンスターチ、ジャガイモ澱粉、微結晶セルロース、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、および他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤、香料、および薬理学的に適合する賦形剤。の1つ以上が含まれ得る。ロゼンジの形態は、香料中の有効成分、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカント、ならびに不活性基剤、例えばゼラチンおよびグリセリン中の有効成分、またはスクロースおよびアカシア、エマルジョン、ゲルなどを含むことができ、活性成分に加えて、当技術分野で知られているようなこのような賦形剤を含むトローチを含む。
【0156】
本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)は、硬カプセルまたは軟カプセルに封入されてもよく、錠剤に圧縮されてもよく、または飲料もしくは食品に組み込まれてもよく、またはそれ以外の方法で食物に組み込まれる。カプセルは、結晶形態を不活性な医薬希釈剤と混合し、混合物を適切なサイズの硬ゼラチンカプセルに挿入することにより製剤化することができる。軟カプセルが望ましい場合、許容される植物油、軽油または他の不活性油を含む結晶形態のスラリーを機械によってゼラチンカプセルにカプセル化することができる。
【0157】
経口投与用の液体剤形には、水などの当技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤を含む薬学的に許容されるエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルが含まれ得る。そのような製剤は、表面相互作用阻害剤、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、シクロデキストリン、ならびに甘味料、香味料、および香料などのアジュバントも含み得る。当業者は、結晶または非晶質固体の完全な溶媒和は本発明に包含されず、特定の組成物に使用される結晶形態を維持するために結晶形態は担体に不溶性であるはずであることを認識する。
【0158】
非経口投与に適した組成物には、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、および製剤を意図するレシピエントの血液と適合させる溶質を含むことができる水性および非水性の等張滅菌注射溶液、ならびに、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、および防腐剤を含むことができる水性および非水性滅菌懸濁液が含まれる。組成物は、治療方法、投与方法、および使用直前の注射のための本明細書に記載の投与計画(すなわち、水)において、アンプルやバイアルなどの単位用量または複数用量の密封容器に入れて提供することができ、滅菌液体賦形剤の追加のみを必要とする凍結乾燥(凍結乾燥)状態で保存することができる。即時注射溶液および懸濁液は、前述の種類の滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製され得る。
【0159】
注射用調製物(例えば、滅菌注射用水性または油性懸濁液)は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して、既知の技術に従って製剤化することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の非晶質塩形態または結晶形態などの本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)は、マイクロ懸濁液として製剤化される(例えば、非経口投与用、経口投与、またはその他)。微小懸濁液は、微結晶の熱力学的に安定した分散液であり、分散剤として機能する界面活性剤分子の界面膜によって安定化される場合がある(Encyclopedia of Pharmaceutical Technology(New York:Marcel Dekker、1992)、volume 9参照、その内容は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0160】
滅菌注射用調製物はまた、例えばプロピレングリコール中の溶液として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液であってもよい。
滅菌注射製剤は、投与前に許容可能なビヒクルを使用して再構成される滅菌粉末であってもよい。使用可能な許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液、および等張性塩化ナトリウム溶液がある。加えて、無菌の固定油が溶媒または懸濁媒体として従来から使用されている。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含む、刺激の少ない固定油を使用することができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸を注射剤の調製に使用してもよい。
【0161】
液体形態(経口投与、非経口投与、またはその他)で製剤化された本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)に由来する組成物は、約3.5から約9.0、例えば、約5.0から約8.0、約6.5から約7.5、および約6.5から約7.0のいずれかのpH範囲を含む。いくつかの実施形態では、組成物のpHは、例えば、約6.5、7、または8(例えば、約8)以上のいずれかを含む、約6以上に処方される。組成物はまた、グリセロールなどの適切な張度調節剤を添加することにより、血液と等張性にすることができる。
【0162】
本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)は、吸入による投与用に製剤化することもできる。結晶形態を含むエアロゾル投与に適した組成物には、例えば、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、および溶質、ならびに、水性および非水性滅菌懸濁液を含むことができる水性および非水性等張滅菌溶液が含まれ得る、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、および防腐剤を単独でまたは他の適切な成分と組み合わせて含むことができ、これらは、吸入により投与されるエアロゾル組成物にすることができる。
これらのエアロゾル製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの加圧許容噴射剤に入れることができる。また、ネブライザーやアトマイザーなどの非加圧製剤用の医薬品として処方することもできる。
【0163】
薬物のための様々な持続放出システムも考案されており、本発明の塩形態に適用することができる。例えば、米国特許第4,983,831号を参照。その方法は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0164】
本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)は、直腸投与用の坐剤の形態で製剤化することもできる。これらは、薬剤を、室温では固体であるが直腸温度では液体であり、したがって直腸で溶けて薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤と混合することにより調製できる。そのような材料には、カカオバター、蜜蝋、ポリエチレングリコールが含まれる。
【0165】
本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)は、眼、皮膚、または下部腸管の病気を含む、特に治療の標的が局所適用により容易にアクセス可能な領域または器官を含む場合、局所投与用に製剤化することもできる。適切な局所用組成物は、これらの領域または器官のそれぞれに対して容易に調製される。
【0166】
下部腸管への局所適用は、直腸坐剤製剤(上記参照)または適切なかん腸製剤で実施することができる。局所経皮パッチも使用できる。
【0167】
本明細書に記載の組成物(例えば、本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)を含む組成物)を含む単位剤形も提供される。これらの単位剤形は、単一または複数の単位剤形で適切なパッケージに保管することができ、さらに滅菌および密封することもできる。例えば、医薬製剤(例えば、医薬組成物の投与量または単位投与形態)は、(i)結晶形態および(ii)医薬的に許容される担体を含み得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、特定の状態(例えば、癌)を治療するのに有用な1つまたは複数の他の化合物(またはその薬学的に許容される塩)も含む。
【0168】
様々な変形形態では、組成物中の結晶形態の量は、以下の範囲のいずれかに含まれる:約5~約50mg、約20~約50mg、約50~約100mg、約100~約125mg、約125~約150mg、約150~約175mg、約175~約200mg、約200~約225mg、約225~約250mg、約250~約300mg、約300~約350mg、約350~約400mg、約400~約450mg、または約450~約500mg。いくつかの実施形態では、組成物中の結晶形態(例えば、投薬量または単位投薬形態)の量は、約5mg~約500mg、例えば約30mg~約300mgまたは約50mg~約200mgの範囲である。いくつかの実施形態では、組成物および担体は経口投与に適している。いくつかの実施形態において、結晶形態は、組成物に含まれる状態(例えば、癌)の治療のための唯一の薬学的に活性な薬剤である。
【0169】
(キット)
また、本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)に反応する疾患(例えば、癌)の治療に有用な材料を含むキットも提供される。キットは、本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)を含み、任意に使用説明書(例えば、結晶形態を含む組成物の調製および/または投与に関する説明書)を含んでもよい。組成物の考えられる副作用を詳述する情報、およびその他の関連情報も含まれている場合がある。説明書は、印刷物、ビデオテープ、コンピューター読み取り可能ディスク、光ディスク、またはインターネットベースの説明書への方向付けを含むがこれらに限定されない、任意の適切な形式であり得る。
【0170】
一態様において、本明細書に開示の製剤の投与量を含む第1の容器および使用説明書を含む、本明細書に記載の疾患または状態(例えば、癌)に罹患しているかまたは罹患しやすい個体を治療するためのキットが提供される。容器は、当業者に公知であり、静脈内製剤の貯蔵および送達に適したもののいずれかであり得る。特定の実施形態では、キットは、個体に投与される製剤を調製するための薬学的に許容される担体、希釈剤、アジュバントなどを含む第2の容器をさらに含む。
【0171】
いくつかの実施形態では、キットはラベル付きの容器を含む。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、および試験管が含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどのさまざまな材料から形成されてもよい。容器は、本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)またはその組成物を保持してもよい。容器のラベルは、結晶形態、組成物、または薬学的に活性な薬剤(化合物(I))が、化合物(I)に反応する状態(例えば、癌)の治療または抑制のために使用されることを示し、また、本明細書に記載されているような、インビボまたはインビトロのいずれかでの使用に関する指示も示してもよい。
【0172】
キットは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、および本明細書に記載のいずれかの方法を実施するための指示書を含む添付文書を含む、商業的およびユーザーの観点から望ましい他の材料をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、キットは上記の容器と緩衝液を含む第2の容器を含む。
【0173】
キットは、本明細書に記載の製剤と併せて使用するための追加の医薬品を含んでもよい。いくつかのバリエーションでは、追加の医薬品は、1つまたは複数の抗癌剤であり得る。これらの薬剤は、別個の形態で提供されるか、本明細書に記載の医薬形態または製剤のいずれかの有効性を低下させず、投与経路に適合する場合、本明細書に記載の結晶形態と混合することができる。同様に、キットは、補助療法のための追加の薬剤、または本明細書に記載の状態(例えば、癌)の治療または予防に有効であると当業者に知られている他の薬剤を含み得る。
【0174】
本明細書に記載の化合物(その組成物を含む)の十分な用量を含むキットを提供して、長期間、例えば、1~3日、1~5日、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9ヶ月以上にわたって個体に効果的な治療を提供することもできる。
【0175】
キットは、単位剤形または複数回使用形態のいずれかで包装された本明細書に記載の組成物を含んでもよい。キットは、単位投与形態の複数の単位を含んでもよい。キットは、例えば、癌を有する個体を治療すること、または癌を遅らせることを含む、本明細書に記載される方法のいずれかに使用されてもよい。特定の実施形態では、キットは、本明細書に開示される少なくとも1つの製剤の投与量を含み得る。キットは、その組成物の送達のための手段も含み得る。
【0176】
(治療方法)
本明細書に記載され得る本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)、またはその薬学的に許容される塩は、POL1転写の阻害から利益を得る哺乳動物の疾患または状態の治療のための医薬品の調製に使用される。そのような治療を必要とする哺乳動物において本明細書に記載の疾患または状態のいずれかを治療する方法は、前記哺乳動物に対して治療有効量で、本明細書に記載の少なくとも1つの結晶形態またはその薬学的に許容可能な塩、活性代謝産物、プロドラッグ、または薬学的に許容可能な溶媒和物を含む医薬組成物の投与を含む。
【0177】
いくつかの実施形態では、本発明は、必要とする患者に本発明の結晶形態の有効量を投与することを含む、ポリメラーゼI転写に関連する状態を治療する方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、酵素を本発明の活性型と接触させることを含む、ポリメラーゼI転写を阻害する方法を提供する。さらなる態様において、本発明は、インビボで本発明の活性形態に変換される第1の結晶形態を対象に投与することを含む、ポリメラーゼI転写を阻害する方法を提供する。
【0178】
「ポリメラーゼI転写に関連する状態」には、ポリメラーゼI転写の阻害が、癌、アレルギー/喘息、免疫系の疾患および状態、炎症、中枢神経系(CNS)の疾患および状態、心血管疾患、ウイルス感染、皮膚病、ならびに制御されない血管新生に関連する疾患および状態などの治療的利益を提供する障害および疾患が含まれる。ポリメラーゼI転写に関連する状態を説明するために本明細書で一般用語が使用される場合、様々な診断マニュアルおよび他の資料で言及されるより具体的に説明される状態が本発明の範囲内に含まれることが理解される。
【0179】
本明細書で使用される「癌」という用語は、制御されない方法で増殖し、場合によっては転移(拡散)する傾向がある細胞の異常な成長を指す。癌の種類には、固形腫瘍(膀胱、腸、脳、乳房、子宮内膜、心臓、腎臓、肺、リンパ組織(リンパ腫)、卵巣、膵臓、または他の内分泌器官(甲状腺)、前立腺、皮膚(黒色腫)または血液腫瘍(白血病など)が含まれるがこれらに限定されない。Ding XZ et al.,Anticancer Drugs。2005 June; 16(5):467-73.Review; Chen X et al。、 Clin Cancer Res.2004 Oct. 1; 10(19):6703-9を参照、これらはそれぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0180】
例えば、癌の治療には、組織病理学的外観に関係なく、すべての新生物の治療が含まれることが理解される。特に、治療できる癌には、骨髄線維症、白血病(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病を含む)を含む血液の癌、メラノーマ、基底細胞癌、および扁平上皮癌を含む皮膚の癌、骨、肝臓、肺(小細胞肺腫瘍、非小細胞肺癌および気管支肺胞癌を含む)、脳、乳房、前立腺、喉頭、胆嚢、膵臓、直腸、胆管、副甲状腺、甲状腺、副腎、神経組織、膀胱、脾臓、顎、口、鼻を含む頭頸部、結腸、胃、精巣、食道、子宮、子宮頸部および外陰部、結腸直腸、気管支、胆管、膀胱、腎臓、卵巣、膵臓、多発性骨髄腫、リンパ腫、基底細胞癌、潰瘍性および乳頭型の両方の扁平上皮癌、骨肉腫、ユーイング肉腫、小胞細胞肉腫、骨髄腫、巨細胞腫瘍、膵島細胞腫瘍、急性および慢性リンパ球性および顆粒球性腫瘍、有毛細胞腫瘍、腺腫、過形成、髄様癌、褐色細胞腫、粘膜ニューロン、腸神経節腫、過形成角膜神経腫瘍、マルファノイド生息腫瘍、ウィルムス腫瘍、セミノーマ、卵巣腫瘍、平滑筋腫腫瘍、子宮頸部異形成および上皮内癌、神経芽細胞腫、網膜芽腫、骨髄異形成症候群、真菌症殺菌剤、横紋筋肉腫、星状細胞腫、非ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、骨原性およびその他の肉腫、悪性高カルシウム血症、真性赤血球増加症、腺癌、多形膠芽腫、神経膠腫、リンパ腫、類表皮癌、およびその他の癌腫および肉腫が含まれるが、これらに限定されない。
【0181】
良性腫瘍もまた、本発明の結晶形態によって治療することができ、これらには、血管腫、肝細胞腺腫、海綿状血管腫、限局性結節性過形成、聴神経腫、神経線維腫、胆管腺腫、胆管嚢腫、線維腫、脂肪腫、平滑筋腫、中皮腫、奇形腫、粘液腫、結節再生過形成、トラコーマ、化膿性肉芽腫、および化膿性肉芽腫など、ポイツ・ジェガーズ症候群(PJS)、コーデン病、バンナヤン・ライリー・ルバルカバ症候群(BRRS)、プロテウス症候群、レルミット・デュクロス病、結節性硬化症(TSC)などの過誤腫状態が含まれるが、これらに限定されない。
【0182】
本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)はまた、手術中の身体組織に対する傷害による異常な細胞増殖を治療するために使用され得る。これらの傷害は、関節手術、腸手術、およびケロイド瘢痕などのさまざまな外科手術の結果として発生する場合がある。線維組織を生成する疾患には、肺気腫が含まれる。本発明を使用して治療することができる反復運動障害には、手根管症候群が含まれる。
【0183】
本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)は、再狭窄の予防においても有用であり得、この再狭窄は、血管疾患の治療におけるステントの導入に応答した、血管系における正常細胞の望ましくない増殖の制御である。
【0184】
本発明のPolI転写阻害剤を使用して治療することができる臓器移植に関連する増殖反応には、潜在的な臓器拒絶または関連する合併症に寄与する増殖反応が含まれる。詳細には、これらの増殖反応は、心臓、肺、肝臓、腎臓、および他の身体器官または器官系の移植中に発生する可能性がある。
【0185】
本明細書に記載の結晶形態(例えば、形態1、2、3、4、および5)は、以下を含む異常な血管新生の治療にも有用であり得る:関節リウマチに伴う異常な血管新生、虚血性再灌流に関連する脳浮腫および損傷、皮質虚血、卵巣過形成および血管過多、(多嚢胞性卵巣症候群)、子宮内膜症、乾癬、糖尿病性網膜症、および未熟児網膜症(後水晶体繊維増殖症)などの眼の他の血管新生疾患、黄斑変性症、角膜移植片拒絶、神経筋緑内障、オスターウェバー症候群、網膜/脈絡膜血管新生および角膜血管新生、ベスト病、近視、視神経窩、スターガート病、パジェット病、静脈閉塞、動脈閉塞、鎌状赤血球貧血、サルコイド、梅毒、弾性黄色仮性頸動脈閉塞性疾患、慢性ブドウ膜炎/硝子体炎、マイコバクテリア感染症、ライム病、全身性エリテマトーデス、未熟児網膜症、エールズ病、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、ベチェス病、網膜炎または脈絡膜炎を引き起こす感染症、推定される眼球ヒスト炎、扁平部扁平炎、慢性網膜剥離、高粘度症候群、トキソプラズマ症、外傷およびレーザー後合併症、ルベシスに関連する疾患(角の血管新生)、増殖性硝子体網膜症のすべての形態を含む線維血管または線維性組織の異常増殖に起因する疾患、アトピー性角膜炎、上辺縁性角膜炎、翼状片角膜炎、シェーグレン、酒さ性ざ瘡、フィレクテヌローシス、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、角膜移植片拒絶、モーレン潰瘍、テリエン辺縁変性、辺縁性角質溶解、多発動脈炎、ウェゲナーサルコイドーシス、強膜炎、放射状角膜周囲角膜切開術、新生血管緑内障および水晶体後線維形成、梅毒、マイコバクテリア感染、脂質変性、化学熱傷、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペス感染、帯状疱疹感染、原虫感染、カポジ肉腫、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、てんかん、発作、ハンチントン病、ポリグルタミン病、外傷性脳損傷、虚血性および出血性脳卒中、脳虚血、または、外傷性損傷、急性低酸素、虚血もしくはグルタミン酸神経毒性によって引き起こされるアポトーシス性神経変性疾患を含む神経変性疾患。
【0186】
例えば、炎症の治療には、急性膵炎、慢性膵炎、喘息、アレルギー、慢性閉塞性肺疾患、制御されない血管新生に関連する成人呼吸窮迫症候群および慢性炎症性疾患、クローン病および潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患、乾癬、サルコイドーシス(sarcoidois)、関節リウマチ、サルコイドーシス(sarcoidosis)、および多系統肉芽腫性疾患が含まれるが、これらに限定されないことが理解される。
【0187】
例えば、自己免疫の治療には、糸球体腎炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、慢性甲状腺炎、グレーブス病、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、アトピー性皮膚炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、多発性硬化症、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬、移植片対宿主病、多発性硬化症、またはシェーグレン症候群が含まれるが、これらに限定されないことが理解される。
【0188】
特定の実施形態において、本明細書に記載の結晶形態を含む組成物は、予防的および/または治療的処置のために投与される。特定の治療用途では、組成物は、疾患または状態の症状の少なくとも1つを治癒または少なくとも部分的に阻止するのに十分な量で、すでに疾患または状態に苦しんでいる患者に投与される。この使用に効果的な量は、疾患または状態の重症度と経過、以前の治療、患者の健康状態、体重、薬物に対する反応、および治療する医師の判断に依存する。治療的有効量は、用量漸増および/または用量範囲臨床試験を含むがこれらに限定されない方法により任意に決定される。
【0189】
予防的用途において、本明細書に記載の結晶形態を含む組成物は、特定の疾患、障害または状態にかかりやすいか、またはそうでなければリスクがある患者に投与される。そのような量は、「予防的に有効な量または用量」と定義される。この使用において、正確な量は、患者の健康状態、体重などにも依存する。患者に使用する場合、この使用の有効量は、疾患、障害または状態の重症度と経過、以前の治療、患者の健康状態と薬物に対する反応、および治療する医師の判断に依存する。一態様では、予防的治療は、治療される疾患の少なくとも1つの症状を以前に経験し、現在、寛解期にある哺乳動物に、疾患または状態の症状の再発を予防するために、本明細書に記載の結晶形態またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む。
【0190】
患者の状態が改善しない特定の実施形態では、医師の裁量により、結晶形態の投与が慢性的に、すなわち、患者の疾患または状態の症状を改善、またはさもなくば制御もしくは制限するために患者の人生の期間全体を含む長期間にわたって投与される。
【0191】
患者の状態が改善する特定の実施形態では、投与される薬物の用量は、特定の期間(すなわち、「薬物休暇」)の間、一時的に減少または一時的に中断される。特定の実施形態では、休薬期間の長さは2日から1年の間であり、ほんの一例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、または28日以上を含む。休薬期間中の減量は、ほんの一例として、10%-100%であり、一例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、および100%を含む。
【0192】
患者の状態の改善が発生すると、必要に応じて維持量が投与される。続いて、特定の実施形態では、症状の関数として、改善された疾患、障害または状態が保持されるレベルまで、投与量または投与頻度、またはその両方が低減される。しかし、特定の実施形態では、患者は症状の再発時に長期的に断続的な治療を必要とする。
【0193】
そのような量に対応する所定の薬剤の量は、特定の結晶形態、疾患状態およびその重症度、治療を必要とする対象または宿主の同一性(例えば、体重、性別)などの要因に依存して変化するが、それにもかかわらず、例えば、投与される特定の薬剤、投与経路、治療される状態、および治療される対象または宿主を含む、症例を取り巻く特定の状況に従って決定される。
【0194】
しかし、一般に、成人の治療に使用される用量は、典型的には1日あたり0.01mgから5000mgの範囲である。一態様では、成人の治療に使用される用量は、1日あたり約1mgから約1000mgである。一実施形態では、所望の用量は、単一用量で、または同時にまたは適切な間隔で、例えば1日当たり2、3、4またはそれ以上のサブ用量として投与される分割用量で都合よく提示される。
【0195】
一実施形態では、本明細書に記載の結晶形態またはその薬学的に許容される塩に適した日用量は、体重あたり約0.01から約50mg/kgである。いくつかの実施形態では、投与形態中の一日投与量または活性物質の量は、個々の治療計画に関する多くの変数に基づいて、本明細書で示される範囲よりも低いかまたは高い。様々な実施形態において、一日投与量および単位投与量は、使用される結晶形態の活性、治療される疾患または状態、投与方法、個々の被験者の要件、治療される疾患または状態の重症度、および医師の判断を含むがこれらに限定されない多くの変数に応じて変更される。
【0196】
そのような治療レジメンの毒性および治療効果は、LD50およびED50の決定を含むがこれらに限定されない、細胞培養または実験動物における標準的な製薬手順によって決定される。毒性効果と治療効果の用量比は治療指数であり、LD50とED50の比として表される。特定の実施形態では、細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトを含む哺乳動物で使用するための治療も有効な一日の用量範囲および/または治療有効単位用量の処方に使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の結晶形態の一日投与量は、毒性が最小のED50を伴う循環濃度の範囲内にある。特定の実施形態では、一日投与量範囲および/または単位投与量は、使用される剤形および利用される投与経路に応じてこの範囲内で変化する。
【0197】
前述の態様のいずれかは、本明細書に記載の結晶形態(例えば、形態1、2、3、4、および5)またはその薬学的に許容される塩の有効量が、(a)哺乳類に全身投与され、および/または(b)哺乳動物に経口投与され、および/または(c)哺乳動物に静脈内投与され、および/または(d)哺乳動物に注射によって投与され、および/または(e)哺乳動物に局所投与され、および/または(f)哺乳動物に非全身的または局所的に投与される、実施形態である。
【0198】
前述の態様のいずれかは、本明細書に記載の結晶形態(例えば、形態1、2、3、4、および5)の有効量の単回投与を含むさらなる実施形態であり、これには、(i)本明細書に記載の結晶形態(例えば、形態1、2、3、4、および5)が1日1回投与され、または(ii)本明細書に記載の結晶形態(例えば、形態1、2、3、4、および5)を1日にかけて哺乳動物に複数回投与される、さらなる実施形態が含まれる。
【0199】
前述の態様のいずれかは、(i)本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)は、連続的または断続的に投与される:単回投与として、(ii)複数の投与間の時間は6時間ごとでである、(iii)本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)は、8時間ごとに哺乳動物に投与される、(iv)本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)は、12時間ごとに哺乳動物に投与される、(v)本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)は、24時間ごとに哺乳動物に投与される、さらなる実施形態を含む、本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)の有効量の複数回投与を含むさらなる実施形態がある。さらなるまたは代替の実施形態では、この方法は休薬期間を含み、ここで、本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)の投与は一時的に中断されるか、投与される用量が一時的に減少され、休薬期間の終わりに、投薬が再開される。一実施形態では、休薬期間の長さは2日から1年まで変化する。
【0200】
特定の例において、本明細書に記載の少なくとも1つの結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)、またはその薬学的に許容される塩を、1つ以上の他の治療薬と組み合わせて投与することが適切である。特定の実施形態において、医薬組成物は、1つ以上の抗癌剤をさらに含む。
【0201】
一実施形態では、本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)のうちの1つの治療効果は、アジュバントの投与により増強される(すなわち、それ自体によりアジュバントは治療上の利点は最小限であるが、別の治療薬と組み合わせることで、患者に対する全体的な治療上の利点が向上する)。または、いくつかの実施形態では、患者が経験する利益は、本明細書に記載の形態の1つを、治療的利益も有する別の薬剤(これはまた治療レジメンも含む)とともに投与することにより増加する。
【0202】
多種多様な治療薬は、本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)との治療的相加効果または相乗効果を有し得る。本明細書に記載の1つまたは複数の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)を1つまたは複数の他の治療薬と含む併用療法は、例えば、以下に使用することができる:(1)本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)、および/または1つ以上の他の治療薬の治療効果を増強する、(2)本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)、および/または1つまたは複数の他の治療薬によって示される副作用を低減する;ならびに/または(3)本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)、および/または1つまたは複数の他の治療薬の有効用量を減少させる。併用療法は、薬剤が互いの前または後に投与される場合(逐次療法)および薬剤が同時に投与される場合を網羅することを意図していることに留意されたい。
【0203】
本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)と組み合わせて使用できるそのような治療薬の例には、抗細胞増殖剤、抗癌剤、アルキル化剤、抗生剤、代謝拮抗剤、ホルモン剤、植物由来の薬剤、および生物学的薬剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0204】
本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)と組み合わせて有用な抗細胞増殖剤は、以下であるがこれらに限定されない:レチノイド酸およびその誘導体、2-メトキシエストラジオール、ANGIOSTATIN(商標)タンパク質、ENDOSTATIN(商標)タンパク質、スラミン、スクアラミン、メタロプロテイナーゼ-Iの組織阻害剤、メタロプロテイナーゼ-2の組織阻害剤、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤-1、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤-2、軟骨-誘導阻害剤、パクリタキセル、血小板因子4、硫酸プロタミン(クルペイン)、硫酸化キチン誘導体(女王ガニの殻から調製)、硫酸化多糖ペプチドグリカン複合体(sp-pg)、スタウロスポリン、マトリックス代謝のモジュレーター、例えばプロリン類似体((l-アゼチジン-2-カルボン酸(LACA)、シスヒドロキシプロリン、d、l-3,4-デヒドロプロリン、チアプロリン、フマル酸ベータ-アミノプロピオニトリル、4-プロピル-5-(4-ピリジニル)-2(3H)-オキサゾロン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ヘパリン、インターフェロン、2マクログロブリン血清、チンプ-3、キモスタチン、ベータ-シクロデキストリンテトラデカサルフェート、エポネマイシン;フマギリン、金チオリンゴ酸ナトリウム、d-ペニシラミン(CDPT)、ベータ-1-アンチコラゲナーゼ血清、アルファ-2-抗プラスミン、ビサントレン、ロベンザリット二ナトリウム、n-(2-カルボキシフェニル-4-クロロアントロニル酸二ナトリウムまたは「CCA」、サリドマイド、アンゴスタットステロイド、カルボキシナミノールイミダゾール、BB94などのメタロプロテイナーゼ阻害剤。使用可能な他の抗血管新生剤には、抗体、好ましくは、血管新生成長因子:bFGF、aFGF、FGF-5、VEGFアイソフォーム、VEGF-C、HGF/SFおよびAng-1/Ang-2に対するモノクローナル抗体が含まれる。
【0205】
mTOR、PI3K、MEK、MAPK、PIMまたはERKキナーゼの阻害剤は、本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4および5)と組み合わせて有用である。具体的には、(R)-3-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-6-フルオロ-5-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-8-メチルピリド[2,3d]ピリミジン-4,7(3H、8H)-ジオン、ヘッジホッグキナーゼの阻害剤は、本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)と組み合わせて有用である。プロテアソーム阻害剤、特にボルテゾミブは、本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)と組み合わせて有用である。
【0206】
NAE阻害剤、VPS34阻害剤、オーロラA阻害剤を含むオーロラキナーゼ、およびEGFR阻害剤(抗体およびキナーゼ阻害剤の両方)は、本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5と組み合わせて)有用である。
【0207】
本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)と組み合わせて有用なアルキル化剤には、以下が含まれるが、これらに限定されない:ビスクロロエチルアミン(クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、ウラシルマスタードなどの窒素マスタード)、アジリジン(チオテパなど)、アルキルアルケン(alkone)スルホネート(ブスルファンなど)、ニトロソ尿素(カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、非古典的アルキル化剤(アルトレタミン、ダカルバジン、およびプロカルバジン)、白金化合物(カルボプラスチンおよびシスプラチン)。ポリメラーゼI阻害剤とアルキル化剤を含む併用療法は、癌の治療に治療上の相乗効果をもたらし、これらの化学療法剤に関連する副作用を軽減すると予想される。
【0208】
本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)と組み合わせて有用な抗生物質の例には、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシンおよびアントラセンジオン)、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、プリカトマイシンが含まれるが、これらに限定されない。これらの抗生物質は、異なる細胞成分を標的とすることにより、細胞の成長を妨げる。
【0209】
本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)と組み合わせて有用な代謝拮抗剤には、フルオロウラシル(5-FU)、フロクスウリジン(5-FUdR)、メトトレキサート、ロイコボリン、ヒドロキシ尿素、チオグアニン(6-TG)、メルカプトプリン(6-MP)、シタラビン、ペントスタチン、フルダラビンリン酸、クラドリビン(2-CDA)、アスパラギナーゼ、およびゲムシタビンが挙げられるがこれらに限定されない。代謝拮抗薬との併用療法は、癌に対する治療上の相乗効果があり、これらの化学療法薬に関連する副作用を軽減することが期待される。
【0210】
本明細書に記載される結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)と組み合わせて有用なホルモン剤には、合成エストロゲン(例えば、ジエチルスチベストロール)、抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン、トレミフェン、フルオキシメステロールおよびラロキシフェン)、抗アンドロゲン(ビカルタミド、ニルタミド、およびフルタミド)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アミノグルテチミド、アナストロゾール、テトラゾール)、ケトコナゾール、酢酸ゴセレリン、ロイプロリド、酢酸メゲストロール、およびミフェプリストンが挙げられるがこれらに限定されない。本明細書に開示される結晶形態およびホルモン剤を含む併用療法は、癌に対する治療相乗効果を有し、これらの化学療法剤に関連する副作用を低減すると予想される。
【0211】
本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)と組み合わせて有用な植物由来の薬剤には、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビンゾリジンおよびビノレルビン)、ポドフィロトキシン(例、エトポシド(VP-16)およびテニポシド(VM-26))、タキサン(例、パクリタキセルおよびドセタキセル)が挙げられるがこれらに限定されない。これらの植物由来の薬剤は一般に、チューブリンに結合して有糸分裂を阻害する抗有糸分裂剤として作用する。エトポシドなどのポドフィロトキシンは、トポイソメラーゼIIと相互作用することでDNA合成を妨害し、DNA鎖の切断をもたらすと考えられている。本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)および植物由来の薬剤を含む併用療法は、癌に対する治療相乗効果を有し、これらの化学療法剤に関連する副作用を低減すると予想される。
【0212】
いずれの場合でも、治療される疾患、障害または状態に関係なく、患者が経験する全体的な利益は単に2つの治療薬の相加的であるか、または患者が相乗的利益を経験する。
【0213】
特定の実施形態において、本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)の異なる治療有効用量は、追加の治療上有効な薬物、アジュバントなどの1つまたは複数の追加の薬剤と組み合わせて投与する場合、医薬組成物の処方および/または治療レジメンで利用される。併用治療レジメンで使用するための薬物および他の薬剤の治療上有効な投与量は、活性物質自体について上記で述べたものと同様の手段によって任意に決定される。さらに、本明細書に記載の予防/治療の方法は、メトロノーム的な投与の使用、すなわち、毒性副作用を最小限に抑えるために、より頻繁でより低い用量を提供することを含む。いくつかの実施形態では、併用治療レジメンは、本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)またはその薬学的に許容される塩の投与が、本明細書に記載の第2の薬剤による治療前、治療中または治療後に開始され、および第2の薬剤による治療中または第2の薬剤による治療の終了後の任意の時点まで継続する治療レジメンを包含する。また、本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)、またはその薬学的に許容される塩、および組み合わせて使用される第2の薬剤が、同時にもしくは異なる時点で、および/または治療期間中の時間間隔を減少もしくは増加させて投与される治療を含む。併用療法はさらに、患者の臨床管理を支援するために、さまざまな時間に開始および停止する定期的な治療がさらに含まれる。
【0214】
救済が求められる状態を治療、予防、または改善するための投薬レジメンは、様々な要因(例えば、対象が苦しむ疾患、障害または状態;被験体の年齢、体重、性別、食事、病状)に従って改変されることが理解される。したがって、いくつかの例では、実際に使用される投与レジメンは変化し、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の投与計画から逸脱する。
【0215】
本明細書に記載の併用療法の場合、同時投与される化合物の用量は、使用される同時薬物の種類、使用される特定の薬物、治療される疾患または状態などに応じて変化する。
さらなる実施形態において、1つ以上の他の治療薬と共投与される場合、本明細書で提供される結晶形態は、1つ以上の他の治療薬と同時に、または連続してのいずれかで投与される。
【0216】
併用療法では、複数の治療薬(そのうちの1つは本明細書に記載の結晶形態である)は、任意の順序で、または同時にさえ投与される。投与が同時である場合、複数の治療薬は、例としてのみ、単一の統一された形態で、または複数の形態で(例えば、単一の丸薬または2つの別々の丸薬として)提供される。
【0217】
本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)、またはその薬学的に許容される塩、ならびに併用療法は、疾患または状態の発症前、発症の間または発症後に投与され、結晶形態を含む組成物を投与するタイミングはさまざまである。したがって、一実施形態では、本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)は予防薬として使用され、疾患や状態の発生を防ぐために、症状または疾患を発症する傾向のある対象に連続的に投与される。別の実施形態において、本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)および組成物は、徴候の発症の間または発症後できるだけ早く被験者に投与される。特定の実施形態において、本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)は、疾患または状態の発症が検出されたかまたは疑われた後、実行可能な限りすぐに、病気の治療に必要な長期間、投与される。いくつかの実施形態では、治療に必要な長さは様々であり、治療の長さは各被験者の特定のニーズに合うように調整される。例えば、特定の実施形態では、本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)または結晶形を含む製剤は、少なくとも2週間、約1ヶ月~約5年間投与される。
【0218】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の結晶形態(例えば、結晶形態1、2、3、4、および5)、またはその薬学的に許容される塩は、化学療法、ホルモン遮断療法、放射線療法、モノクローナル抗体、またはそれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
【0219】
本発明は、例示として提供され、本発明を限定することを意図しない以下の実施例を参照することにより、より容易に理解される。
【実施例0220】
実施例1:化合物(I)の合成-多相形態
【0221】
エチル1H-ベンズイミダゾール-2-イルアセテートの合成
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【0222】
エタノール(200ml)中のSM1(40g、370mmol)およびSM2(73g、373mmol)の混合物を90℃で一晩撹拌した。反応物を室温に冷却し、溶媒を真空で除去した。水(300ml)およびDCM(500ml)を残渣に加えた。有機層を分離し、NaSOで乾燥させ、溶媒を除去して、酢酸エチル1H-ベンズイミダゾール-2-イル(40g、収率53%)を淡黄色固形物として得た。
【0223】
エチル2-(4-メチル-[1,4]ジアゼパン-1-イル)-1,7,11b-トリアザベンゾ[c]フルオレン-6-カルボン酸の合成
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【0224】
エタノール(400mL)中のSM1(25.9g、148mmol)およびSM2(30g、147mmol)の懸濁液に、SM3(33.5g、394mmol)を加え、混合物を室温で20分撹拌した。反応混合物を6時間加熱還流した。次に、混合物を20℃に冷却し、沈殿物を濾過により収集して、エチル2-(4-メチル-[1,4]ジアゼパン-1-イル)-1,7,11b-トリアザベンゾ[c]フルオレン-6-カルボン酸(40g、68%収率)を淡黄色固形物として得た。
【0225】
【化2】
【0226】
CHNH/EtOH中のエチル2-(4-メチル-[1,4]ジアゼパン-1-イル)-1,7,11b-トリアザベンゾ[c]フルオレン-6-カルボン酸(40g、99mmol)の懸濁液(2M、400ml、800mmol)を6時間加熱還流した。次に、混合物を20℃に冷却し、沈殿物を濾過により収集して、粗2Gを淡黄色固形物として得た(35g、収率86%)。粗生成物をDCM(500ml)に溶解し、水(3回)、ブラインで洗浄し、乾燥させ、濃縮して、化合物I(30.2g、収率=78%)を淡黄色固形物として得た。
【0227】
H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.18 (1H, d, J = 4.8 Hz), 8.91 (1H, d, J = 6.0 Hz), 8.58 (1H, s), 8.25 (1H, d, J = 8.8 Hz), 7.91 (1H,d, J = 8.0 Hz), 7.55 (1H, t, J = 7.6 Hz), 7.47 (1H, t, J = 7.6 Hz), 6.99 (1H, d, J = 88 Hz), 4.06 ~3.95 (4H, m), 3.03 (3H, d, J = 4.8 Hz), 2.79~2.76 (2H, m), 2.50 (2H, m), 2.28 (3H, s), 2.02 (2H, br s). LC-MS: Rt=9.160 min, 389.5[M+H]
【0228】
実施例2:分析方法
粉末X線回折(PXRD)
【0229】
PXRD分析は、PANalytical X’pert proで実行され、サンプルを2θが3から35°の間でスキャンした。
【0230】
サンプルを支持するために、カプトンポリマーフィルム(Kapton polymer film)を備えたマルチウェルプレートに材料を充填した。次に、マルチウェルプレートを透過モードで動作するPANalytical回折計に充填し、次の実験条件を使用して分析した。
【0231】
【表2】

【0232】
偏光顕微鏡(PLM)
結晶化度(複屈折)の存在は、Moticカメラおよび画像キャプチャソフトウェア(Motic Images Plus 2.0)を備えたOlympus BX50偏光顕微鏡を使用して決定された。特に明記しない限り、すべての画像は20倍の対物レンズを使用して記録された。
【0233】
熱重量分析(TGA)
約5mgの材料を開いたアルミニウムパンに量り入れ、同時熱重量/示差熱分析器(TG/DTA)に装填し、室温で保持した。次に、サンプルを10℃/分の速度で25℃から300℃に加熱し、サンプル重量の変化を温度差事象(DTA)とともに記録した。窒素をパージガスとして300cm/分の流量で使用した。
【0234】
示差走査熱量測定(DSC)
約5mgの材料を秤量してアルミニウムDSCパンに入れ、穴を開けたアルミニウム蓋で非密閉した。次に、冷却して25℃に保ったSeiko DSC6200(クーラー装備)にサンプル受け皿を装填した。一度、安定した熱流応答が得られたら、サンプルとリファレンスを10℃/分のスキャン速度で最大280℃に加熱し、結果の熱流応答をモニタリングした。
【0235】
H核磁気共鳴(H NMR)
H-NMR実験は、Bruker PRO500(周波数:500MHz)で実施された。実験は重水素化クロロホルム中で行い、各サンプルは約10mM濃度で調製した。
【0236】
重量蒸気吸着(GVS)
約10-20mgのサンプルをメッシュ蒸気吸着天秤皿に入れ、ハイデンアナリティカル(Hiden Analytical)社製のIGAsorp Moisture Sorption Analyzer天秤に充填した。
【0237】
サンプルを40%から90%の相対湿度(RH)まで10%増加する傾斜プロファイルに供し、安定した重量が達成されるまで各ステップでサンプルを保持した(98%のステップ完了)。吸着サイクルの完了後、サンプルを同じ手順を使用して0%RHに乾燥させ、最終的に40%RHの開始点に戻した。吸着/脱着サイクル中の重量変化をプロットし、サンプルの吸湿性を測定できるようにした。
【0238】
高速液体クロマトグラフィー-紫外線検出(HPLC-UV)
機器:HPLC - UV検出器を備えたアジレント 1100(Agilent 1100)
カラム: Waters X-Terra MSC18 (ISO x 4.6 x 5μm
カラム温度:30℃
オートサンプラー温度:周囲温度
UV波長:220 nm
注入量:5μm
流量:1mL/分
移動相A:HO中の0.1%TFA
移動相B:MeCNで0.1%TFA
勾配プログラム:
【0239】
【表3】
【0240】
実施例3:初期特徴付け
実施例1に記載された方法により調製された化合物(I)は、PXRD、PLM、TG/DTAおよびDSCにより特徴付けられた。
【0241】
実施例4:迅速な溶媒溶解度スクリーン
迅速な溶媒溶解度スクリーンのために、13個の溶媒を選択した(表1を参照)。実施例1に従って調製された10mgの多相化合物(I)を13個のバイアルのそれぞれに入れ、適切な溶媒系の5体積アリコートを各バイアルに加えた。
【0242】
各添加の間に、混合物の溶解をチェックし、もし溶解が明らかでない場合、混合物を40℃に加熱し再度チェックした。溶解が観察されるまで、または100容量の溶媒が添加されるまで、この手順を続けた。
【0243】
【表4】
【0244】
実施例5:一次結晶形態スクリーン
溶解度スクリーンについて調査した13個の溶媒を、一次結晶形態スクリーンに使用した。実施例1に従って調製された化合物(I)の飽和溶液は、15mgのサンプルに各溶媒の体積を加えることにより作成された。
【0245】
次に、これらの溶液を(1)冷却(2)クラッシュ冷却(3)蒸発(4)貧溶媒添加実験のために4つの異なるバイアルに分けた。得られた固形物を、最初の例でPXRDによって分析した。
【0246】
温度サイクリング
溶解度スクリーンからの結果に基づいて、適切な体積の溶媒を、実施例1に従って調製された15mgの多相化合物(I)に加えた。得られたスラリーを、ホットプレート上で72時間、5℃-25℃の温度サイクルにかけた。
【0247】
温度サイクリング後、固形物サンプルを溶液から分離し、分析のためにPXRDプレートに移した。
【0248】
冷却(4℃)
サブサンプルを、一次結晶形態スクリーンからの各飽和溶液バイアルから採取し、4℃の冷蔵庫で保管して冷却した。
【0249】
クラッシュ冷却(-20℃)
サブサンプルは、一次結晶形態スクリーンからの各飽和溶液バイアルから採取され、-20℃の冷凍庫で保管して冷却した。
【0250】
蒸発
サブサンプルは、一次結晶形態スクリーンからの各飽和溶液バイアルから採取し、室温条件でキャップを外したバイアル内での蒸発により結晶化させた。
【0251】
貧溶媒の追加
サブサンプルは、一次結晶形態スクリーンからの各飽和溶液バイアルから採取され、沈殿が止まるまで、またはバイアルが最大容量2.4mLを含むまで、貧溶媒(ヘプタンまたはtBME)を50mLアリコートで添加した。
【0252】
実施例6:二次結晶形態スクリーン
一次結晶形態スクリーンからのポジティブな「ヒット」は、再現性を試験するためにスケールアップした。PXRD、PLM、TG/DTA、およびDSCを使用して、乾燥した固形物で固形物サンプルの完全な特性評価を実施した。
【0253】
実施例7:40℃および75%相対湿度での7日間の安定性試験
10mgの形態1、2、3、4および5を秤量して別々のバイアルに入れた。
【0254】
各バイアルを、40℃および75%相対湿度のオーブンに7日間入れた。完了した後、これらの各サンプルでPXRD分析を実行した。
【0255】
実施例8:形態1と形態5の競合的スラリー化
多相形態の化合物(I)の飽和溶液は、それぞれジクロロメタン、ヘプタンおよびメタノールの2つの溶液で作成された。
【0256】
10mgの形態1および形態5を各バイアルに加えた。各バイアルを周囲条件で24時間攪拌し、他のヘプタンおよびメタノールバイアルを60℃で24時間攪拌した。
【0257】
残りのジクロロメタンバイアルを35℃で24時間撹拌した。得られたサンプルをPXRDで分析した後、サンプルのDSC分析の前に真空ポンプで一晩乾燥させた。
【0258】
実施例9:形態1の大規模スケールアップ
スラリーを作成するために、実施例1に従って調製された1.236gの多相化合物(I)を含むバイアルにアセトン(3.5mL)を添加した。次いで、得られた溶液を24時間温度サイクルリングに供した。
【0259】
次に、PXRD、TGA、DSC、およびPLMを使用して、結晶化度形態を確認した。
【0260】
実施例10:さらなる安定性研究-形態1
10mgの形態1を12個のバイアルのそれぞれに量り分けた。4個のバイアルを次の各保管条件:(1)40℃でキャップを開けた状態;(2)75%RHでキャップが開いている状態;(3)50℃でキャップを閉じた状態;および(4)室温でキャップを閉じた状態に付した。
【0261】
2つの(2)のバイアルを、2週間および4週間の各時点でを抽出し、PXRD、NMRおよびHPLC分析を実施した。
【0262】
実施例11:迅速な溶媒溶解度スクリーン
化合物(I)は、評価した溶媒の大部分においてほとんど不溶性(<10mg/mL)であることが見出された。2つの溶媒は>10mg/mlの溶解性を示し、化合物(I)はジクロロメタンに非常に良く溶解し(200mg/mL)、メタノールにわずかに溶解した(12.5mg/mL)。
【0263】
PXRD分析は、溶解度スクリーンの非溶解サンプルで実施した。溶解度スクリーンからの未溶解サンプルのPXRDはすべて、多相形態と明確な類似性を持つ同じ形態を示した。溶媒は、2θ=12および28.5°のピークで明確に現れる。
【0264】
【表5】
【0265】
図7は、溶解度スクリーンからの未溶解物質サンプルのPXRD分析からの結果を提供する。
【0266】
実施例12:一次結晶形態スクリーン
化合物(I)の5つの結晶形態が一次スクリーニング中に発見された(表3)。
【0267】
形態1は、最も一般的に同定された形態であることが見出され、アセトンのスラリーから単離され;アセトニトリル;tBME;ジメチルホルムアミド;エタノール;酢酸エチル;ヘプタン;メタノール;プロパン-2-オール;テトラヒドロフラン;およびトルエン(図8を参照)。
【0268】
形態2は、1,4-ジオキサンのスラリーから単離され、形態3は、ジクロロメタンのスラリーから単離された(図9を参照)。
【0269】
形態4は、蒸発性のジクロロメタンのスラリーから単離された(図10を参照)。
【0270】
形態5は、ジクロロメタン貧溶媒のスラリーから単離された(図11を参照)。
【0271】
【表6】
【0272】
大部分の溶媒系における化合物(I)の不溶性により、ジクロロメタンのみが、蒸発、貧溶媒添加およびクラッシュ冷却実験で分析するのに十分な物質を生成した。
【0273】
実施例13:形態1と形態5の競合的なスラリー化
湿ったスラリー残留物のPXRD分析は、すべての実験が形態5から形態1への移行を促進したことを示した(図53を参照)。
【0274】
表4は、二次スクリーニングから特定された形態1および形態5のDSC痕跡(それぞれ、図22および48を参照)と比較した競合的なスラリーサンプルのDSC痕跡(図54-59を参照)を示している。
【0275】
図53は、形態1および形態5の競合的なスラリー化のPXRDを示す。
【0276】
図54は、ヘプタン周囲温度の競合的なスラリーからのサンプルのDCS分析を示す。
【0277】
図55は、ヘプタン60℃の競合的なスラリーからのサンプルのDSC分析を示す。
【0278】
図56は、メタノール周囲温度の競合的なスラリーからのサンプルのDSC分析を示す。
【0279】
図57は、メタノール60℃の競合的なスラリーからのサンプルのDSC分析を示す。
【0280】
図58は、DCM周囲温度のスラリーからのサンプルのDSC分析を示す。ジクロロメタンの周囲温度でのDSC痕跡が最初の吸熱事象を示していることが分かる。
【0281】
乾燥サンプルのその後のPXRD分析は、乾燥プロセス中に形態1と形態3の混合物に移行したことを示した(図60を参照)。
【0282】
【表7】
【0283】
本明細書で図示し議論した実施形態は、本発明の作成および使用方法を当業者に教示することのみを意図している。本発明の実施形態を説明する際に、明確にするために特定の用語が使用される。しかしながら、本発明は、そのように選択された特定の用語に限定されることを意図していない。本発明の上記の実施形態は、上記の教示に照らして当業者によって理解されるように、本発明から逸脱することなく修正または変更することができる。したがって、特許請求の範囲およびそれらの同等物の範囲内で、本発明は、具体的に記載されたものとは別の方法で実施できることを理解されたい。
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【手続補正書】
【提出日】2023-01-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式1に示す化合物
【化1】
N-メチル-2-(4-メチル-1,4-ジアゼパン-1-イル)ベンゾ[4,5]イミ ダゾ[1,2-a][1,8]ナフチリジン-6-カルボキサミドの結晶形態であって、 当該結晶形態は、実質的に図81に示される粉末X線回折(PXRD)パターンを有す る結晶形態1を有することを特徴とする、結晶形態。
【請求項2】
前記結晶形態1が、約10.0°および20.7°(±0.2°2θ)に2-シータの 粉末X線回折(PXRD)パターンのピークを有する、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項3】
前記結晶形態1が、約6.7°、8.6°、10.0°、11.2°、16.2°、2 0.7°、22.7°、25.6°、および27.6°(±0.2°2θ)に2シータの 粉末X線回折パターンピークを有する、請求項1又は請求項2に記載の結晶形態。
【請求項4】
前記結晶形態1が、DSCにより示されるように、212~216℃に吸熱ピークを有 するとしてさらに特徴付けられる、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項5】
前記結晶形態1が、DSCにより示されるように、209~212℃で吸熱を開始する としてさらに特徴付けられる、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項6】
前記結晶形態1が、室温および40℃/75%RH(閉じたバイアル)で7日間の貯蔵 後にその型を維持している、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の結晶形態および薬学的に許容される担体を含む 医薬組成物。
【請求項8】
必要とする被験体において癌を治療する方法で使用するための、請求項1乃至6のいず
か1項に記載の結晶形態または請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
癌が、乳房、肺、結腸直腸、肝臓、膵臓、リンパ節、結腸、前立腺、脳、頭頸部、皮膚 、腎臓、血液または心臓の癌である、請求項8に記載の使用するための結晶形態または医 薬組成物。
【外国語明細書】