(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126725
(43)【公開日】2023-09-08
(54)【発明の名称】包装体、フィルム
(51)【国際特許分類】
B65D 71/08 20060101AFI20230901BHJP
B65D 25/20 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
B65D71/08
B65D25/20 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116392
(22)【出願日】2023-07-18
(62)【分割の表示】P 2021203817の分割
【原出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】504440133
【氏名又は名称】株式会社ポケモン
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉村 勇人
(72)【発明者】
【氏名】林 揚恩
(72)【発明者】
【氏名】揚村 依美佳
(57)【要約】
【課題】販売されたことが容易に把握可能な包装体を提供する。
【解決手段】包装体は、フィルムと、物品とを具備する。フィルムは、物品をシュリンク包装するためのフィルムであって、少なくとも一部に、包装する物品に関する識別コードの読み取りを遮蔽するための遮蔽領域が印刷されている。物品は、単体で1つの商品であるが、複数の小物品を内包する物品である。小物品それぞれは外観から判別不可能に異なるアイテムを内包し、内包するアイテムが偏らないように調整されている。フィルムの表側の面には、識別コードは印刷されていない。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品をシュリンク包装するためのフィルムであって、少なくとも一部に、包装する物品に関する識別コードの読み取りを遮蔽するための遮蔽領域が印刷されているフィルムと、
単体で1つの商品であるが、複数の小物品を内包する物品であって、前記小物品それぞれは外観から判別不可能に異なるアイテムを内包し、内包するアイテムが偏らないように調整されている物品と
を具備し、
前記フィルムの表側の面には、前記識別コードは印刷されていない包装体。
【請求項2】
物品は、所定のステータスにある物品である請求項1記載の包装体。
【請求項3】
アイテムには希少性があり、物品は、希少性の高いアイテムを少なくとも1つ内包する請求項1又は2に記載の包装体。
【請求項4】
前記物品に、当該物品に関する識別コードが印刷されている請求項1乃至3のいずれかに記載の包装体。
【請求項5】
前記遮蔽領域の、物品を包装した際に物品と対向する側の面には、物品に関する識別コードが印刷されている請求項1乃至3のいずれかに記載の包装体。
【請求項6】
前記遮蔽領域の一部は、前記識別コードを露出可能にめくれるようになっている請求項5記載の包装体。
【請求項7】
前記遮蔽領域には、前記識別コードと対応する位置に印が設けられている請求項1乃至6のいずれかに記載の包装体。
【請求項8】
前記印は、印刷又は物理加工である請求項7記載の包装体。
【請求項9】
前記フィルムの裏側の面には、前記物品と接着するための貼付部が設けられている請求項1乃至8のいずれかに記載の包装体。
【請求項10】
貼付部は、前記物品から前記フィルムを剥がされた際に、接着されていたことを表す痕跡を、物品に残すことが可能である請求項9記載の包装体。
【請求項11】
物品をシュリンク包装するためのフィルムであって、
少なくとも一部に、包装する物品に関する識別コードの読み取りを遮蔽するための遮蔽領域が印刷されており、
物品を包装した際に表側に面する位置には、物品に関する識別コードは印刷されておらず、
前記物品は、単体で1つの商品であるが、複数の小物品を内包し、
前記小物品それぞれは外観から判別不可能に異なるアイテムを内包し、内包するアイテムが偏らないように調整されているフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包装体、フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
個々に販売可能な商品を複数個、一体的に包装して販売する場合、個々の商品のバーコードが読み取られないように、一部に彩色部を有するシュリンクフィルムで物品を包装する技術がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、複数の物品を包装するシュリンクフィルムに、複数の物品を一つの商品として販売するための識別コードが印刷されている。複数の物品からなる一つの商品を販売する際、店員は、シュリンクフィルムに印刷されている識別コードを読み取り、商品を識別する。
【0005】
しかしながら、先行文献1に記載する技術では、販売された商品であることを表そうとすると、例えば、会計後の商品に、会計済みの商品であることを表すシール等を貼付する必要がある。
【0006】
本開示の目的は、販売されたことが容易に把握可能な包装体、フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
包装体は、フィルムと、物品とを具備する。フィルムは、物品をシュリンク包装するためのフィルムであって、少なくとも一部に、包装する物品に関する識別コードの読み取りを遮蔽するための遮蔽領域が印刷されている。物品は、単体で1つの商品であるが、複数の小物品を内包する物品である。小物品それぞれは外観から判別不可能に異なるアイテムを内包し、内包するアイテムが偏らないように調整されている。フィルムの表側の面には、識別コードは印刷されていない。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、販売されたことが容易に把握可能なフィルムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る包装体10の外観を表す模式図である。
【
図2】本実施形態に係る包装体10の外観を表す模式図である。
【
図3】
図1、
図2において、フィルム20によりシュリンク包装される物品30の底面側からの外観を表す模式図である。
【
図4】包装体10において、フィルム20を破った状態を表す模式図である。
【
図5】包装体10において、フィルム20を破った状態を表す模式図である。
【
図6】包装体10において、フィルム20を破った状態を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0011】
<概略>
本実施形態に係る包装体は、単体で一つの商品となる物品を、シュリンクフィルムによってシュリンク包装することで形成される。シュリンクフィルムには、物品に関する情報を遮蔽可能な領域が印刷されている。包装体である商品を購入する際、物品に関する情報を読み取る必要がある。購入者、又は店員は、シュリンクフィルムを破り、物品に関する情報を露出させ、会計端末に情報を読み取らせる。
【0012】
<構成>
図1、
図2は、本実施形態に係る包装体10の外観を表す模式図である。
図3は、
図1、
図2において、フィルム20によりシュリンク包装される物品30の底面側からの外観を表す模式図である。
【0013】
図1、
図2に示す例では、包装体10は、透明なフィルム状のフィルム20と、フィルム20によってシュリンク包装される物品30とを含む。フィルム20は、シュリンクフィルムと称してもよい。シュリンク包装しているため、フィルム20は物品30に密着している。
図1、
図2では、視認性を向上させるため、フィルム20が物品30よりもわずかに大きいものとして表記している。
【0014】
図1、
図2では、直方体の物品30がフィルム20により包装される例を表している。フィルム20により包装される物品30は、直方体に限らない。物品30は、円、円柱、三角錐、三角柱、四角錐等、直方体以外のいかなる立体形状を取ってもよい。
【0015】
フィルム20により包装される物品30は、例えば、単体で一つの物品である。つまり、複数の物品が一つにまとめられて一つの商品を形成するものではない。具体的には、例えば、物品30は、単体で物品として扱われ得るが、箱形状をしており、内部に複数の小物品を内包する物品である。
物品30に内包される複数の小物品は、例えば、単体で販売対象となり得、所定のアイテムを外観からは把握不可能に内包している。小物品の外観は、それぞれ同一であることが好ましいが、いくつかのパターンはあってもよい。小物品には、複数種類のアイテムのうちいずれか一つがランダムで入っている。物品30に内包される小物品は、小物品に内包されるアイテムに偏りが発生しないように、つまり、物品30を購入した際に入手できるアイテムの種類がばらけるように調整されている。また、アイテムには希少性があり、内包される可能性が高いアイテムもあれば、低いアイテムも存在する。物品30内には少なくとも1つは希少性の高いアイテムを内包する小物品が入っており、物品30を購入する興趣性を高めるようにしている。
【0016】
図1~
図3では、物品30の表面にデザインがされていない場合を示しているが、実際には物品30の表面、例えば、上面、及び側面にはデザインが施されている。デザインには、例えば、物品の名称、又は内包されているアイテムに関連するデザイン等が含まれる。また、デザインには、小物品の外観に関連するデザインが含まれてもよい。
【0017】
図1は、包装体10を上面側から見た外観を表す。
図2は、包装体10を底面側から見た外観を表す。
図2に示すように、包装体10の底面に位置するフィルム20の底面領域20Aには、遮蔽領域21が印刷されている。遮蔽領域21は、
図3に示す物品30の底面30Aに印刷される識別コード31を遮蔽するように印刷されている。識別コード31は、商品としての物品に関する情報が含まれており、例えば、バーコード、又はQRコード(登録商標)等により実現される。本実施形態において、遮蔽とは、視覚的に遮蔽するものに限られず、識別コード31を読み込むリーダーから照射される光を遮蔽することを意味する。なお、
図2では、遮蔽領域21が底面領域20Aに印刷され、識別コード31が物品30の底面30Aに形成される場合を示しているが、これに限定されない。識別コード31は、物品30の上面、又は側面等に印刷されてもよい。このとき、遮蔽領域21は、識別コード31が印刷されている場所に合わせた領域に印刷される。
【0018】
図2では、遮蔽領域21は、識別コード31と同程度の大きさで、識別コード31を丁度覆い隠すように印刷されている。しかしながら、遮蔽領域21が印刷される範囲は、これに限定されない。遮蔽領域21は、識別コード31よりも広い範囲に印刷されてもよい。例えば、遮蔽領域21は、底面領域20Aを覆うように印刷されてもよいし、底面領域20A以外にも物品30の側面を覆うように印刷されていてもよい。ただし、物品30の表面に印刷されている商品名等の表示の視認性を下げないことが望ましい。
【0019】
フィルム20に印刷された遮蔽領域21の広さによっては、物品30に印刷された識別コード31よりも遮蔽領域21が大幅に広いこともあり得る。このような場合、フィルム20のどこを破れば識別コード31を露出させることができるか困惑するおそれがある。このような事態を避けるため、フィルム20の表側の面には、識別コード31の位置がわかるような印が設けられていてもよい。印は、印刷であってもよいし、ミシン目のような物理的な加工であってもよい。印刷である場合、フィルム20の両面からその印を視認可能であるとより望ましい。これにより、フィルム20を破る位置を容易に把握可能となり、会計がスムーズとなる。
【0020】
遮蔽領域21に印刷される色は、単一色に限定されない。識別コード31を遮蔽可能であれば、複数色であってもよい。また、識別コード31を遮蔽可能であれば、パターンであってもよいし、所定のデザインであってもよい。遮蔽領域21で識別コード31を遮蔽することにより、フィルム20の上から物品30の識別コード31を読み込むことは不可能となる。
【0021】
図4は、包装体10において、フィルム20を破った状態を表す模式図である。フィルム20を破り、遮蔽領域21をめくると、遮蔽領域21により隠されていた識別コード31が表面に露出される。
【0022】
<梱包方法>
包装体10は、例えば、次のようにして梱包される。
【0023】
まず物品30を矩形のシート状をなすフィルム20の上に載せる。このとき、フィルム20に印刷された遮蔽領域21に対し、物品30の底面30Aに印刷された識別コード31が重なるように、物品30の位置を適切に設定する。なお、フィルム20の内側面に識別コード31との位置を併せるための印がある場合、その印が識別コード31と重なるように、物品30の位置を適切に設定する。
【0024】
次に、このフィルム20を物品30の稜に沿って折り込み、相互に重なり合う接合部分、すなわち加熱接合部を熱融着する。さらに、フィルム20が物品30の表面に密着するように、物品30に対して弛んでいるフィルム20の部分、すなわち熱収縮部を加熱して熱収縮させる。
【0025】
フィルム20によりシュリンク包装される物品30は、所定のステータスにある物品であってよい。所定のステータスにある物品とは、例えば、人気のある物品、販売数に制限がある物品、在庫が少なくなっている物品等である。つまり、所定のステータスにない物品は、遮蔽領域21が印刷されていないフィルムによりシュリンク包装される。所定のステータスにある物品30を本実施形態に係るフィルム20によりシュリンク包装することで、物品が所定のステータスにあることが明らかになると共に、特殊なステータスの物品に対して会計がされたか否かを容易に視認可能となる。
【0026】
<会計時の動作>
包装体10の会計時、店員等は、例えば以下のように動作する。
【0027】
まず包装体10の購入者は、例えば、包装体10を会計エリアにおけるレジカウンターへ持っていく。会計端末を操作する店員は、客から包装体10を受け取ると、
図4に示すように、フィルム20を破り、遮蔽領域21をめくる。店員は、露出された識別コード31を会計端末に設けられているリーダーにより読み取る。会計端末は、リーダーが読み取った識別コード31に基づき、商品としての物品に関する情報、例えば、商品IDを取得する。
【0028】
以上のように、本実施形態では、物品30に印刷されている識別コード31が、包装体10の陳列状態においては遮蔽領域21により遮蔽されている。つまり、物品30をフィルム20により包装した包装体10の表面から識別コード31を確認することはできず、会計がまだ済んでいないものであるということがわかる。店員は、包装体10の会計の際にフィルム20を破り、表面に露出される識別コード31をリーダーで読み取る。これにより、会計の際には、必ずフィルム20が破られることになる。つまり、フィルム20が破られた包装体10は、会計が済んだものであることが明らかとなる。
【0029】
したがって、本実施形態に係る包装体10によれば、販売されたことが容易に把握できる。
【0030】
また、物品30には、取得できるアイテムの種類がばらけるように小物品が内包されている。また、物品30には、少なくとも1つは希少性の高いアイテムが含まれるように小物品が内包されている。購入者は、取得できるアイテムに偏りが少なく、少なくとも1つは希少性の高いアイテムを取得できる期待から、小物品を個別で複数購入するよりも、物品30を購入している。
【0031】
フィルム20は、未開封である物品30の価値を保証するものとして扱われている。フィルム20がまだ剥がされていない場合、物品30はまだ開封されておらず、内包される小物品についての調整内容が維持されているからである。一方、フィルム20が破かれている場合、物品30内の小物品がすり替えられていることが想定できる。つまり、物品30を開き、希少性の高いアイテムが取得できたら、個別の小物品を物品30に入れることで、物品30内の小物品の数を元に戻す行為も想定できる。このようなすり替え行為により、同じ物品30であるが、アイテムの偏り、希少性の高いアイテムの存在において、物品30としての価値が、フィルム20が付いていない物品30は、フィルム20が付いている物品30よりも低くなる。
【0032】
本実施形態に係る包装体10によれば、購入時はフィルム20が付されているため、物品30の価値は維持されている。一方、会計時に識別コード31の読み取りのためにフィルム20を剥がす。このため、購入者以外の者に対しては、物品30の価値が下がることになる。購入者が物品30に内包されるアイテムを実際に欲しい場合には、内包されているアイテム自体に変化はないため、会計前後における物品30の対外的な価値の低下は無関係である。一方、購入者以外の者に対しては、会計前後における物品30の対外的な価値の低下は問題であり、二次流通市場での購入者の購入意欲を削ぐ要因となる。本実施形態では、会計時にフィルム20が必ず破られるため、物品30の対外的な価値が低下する。そのため、アイテムを自己で所有しようとする者以外の者が物品30を購入するのをためらわせる、さらには、アイテムを自己で所有しようとする者以外の者が購入する物品30の数を減らすことが可能となる。
【0033】
(変形例1)
上記実施形態では、物品30に識別コード31が印刷され、識別コード31が遮蔽領域21により遮蔽される場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。物品30の識別コード31は、フィルム20に印刷されてもよい。
【0034】
図5は、包装体10において、フィルム20を破った状態を表す模式図である。
【0035】
図5に示すように、物品30には、識別コードが印刷されていない。フィルム20に印刷される遮蔽領域22の物品30と接する側の面に、物品30の識別コード32が印刷されている。物品30にフィルム20が包装されている際には、
図2に示すように、物品30の表面と、識別コード32とが対向することとなり、識別コード32を視認することはできない。一方、フィルム20を破り、遮蔽領域22を裏返すと、識別コード32が現れる。遮蔽領域22の周囲には、フィルム20を破いて遮蔽領域22を裏返すことが容易になるように、ミシン目等の切取線が設けられていてもよい。
【0036】
フィルム20に印刷された遮蔽領域22の広さによっては、物品30側に印刷された識別コード32よりも遮蔽領域22が大幅に広いこともあり得る。このような場合、フィルム20のどこを破れば識別コード32を露出させることができるか困惑するおそれがある。このような事態を避けるため、フィルム20の表側の面には、裏側に印刷されている識別コード32の位置がわかるような印が設けられていてもよい。印は、印刷であってもよいし、ミシン目のような物理的な加工であってもよい。これにより、フィルム20を破る位置を容易に把握可能となり、会計がスムーズとなる。
【0037】
包装体10の会計時の店員等の動作について説明する。包装体10の購入者は、例えば、包装体10を会計エリアにおけるレジカウンターへ持っていく。会計端末を操作する店員は、客から包装体10を受け取ると、
図5に示すように、フィルム20を破り、遮蔽領域22をめくる。店員は、めくった遮蔽領域22の物品30側の面に印刷されている識別コード32を会計端末に設けられているリーダーにより読み取る。会計端末は、リーダーが読み取った識別コード32に基づき、商品としての物品に関する情報、例えば、商品IDを取得する。
【0038】
このように、変形例1では、物品30の識別コード32が遮蔽領域22の物品30側の面に印刷され、包装体10の陳列状態においては遮蔽領域22により遮蔽されている。つまり、物品30をフィルム20により包装した包装体10の表面から識別コード32を確認することはできず、会計がまだ済んでいないものであるということがわかる。店員は、包装体10の会計の際にフィルム20を破り、表面に露出される識別コード32をリーダーで読み取る。これにより、会計の際には、必ずフィルム20が破られることになる。つまり、フィルム20が破られた包装体10は、会計が済んだものであることが明らかとなる。
【0039】
(変形例2)
上記実施形態では、物品30をフィルム20によりシュリンク包装する場合を例に説明した。しかしながら、フィルム20の一部は物品30に貼り付けられており、フィルム20と物品30とが離れると物品30の表面に、フィルム20が貼り付けられていた痕跡が残るようにしても構わない。
【0040】
図6は、包装体10において、フィルム20を破った状態を表す模式図である。
【0041】
図6に示すように、フィルム20には、貼付部23が設けられている。物品30がフィルム20によりシュリンク包装されると、貼付部23は、物品30の表面に貼り付けられる。つまり、貼付部23は、包装体10の表面から見たときに、フィルム20の裏側の面、言い換えると、物品30の表面側の位置に設けられている。これにより、フィルム20が破られると、貼付部23は物品30の表面から剥がされる。貼付部23が剥がされると、物品30の表面に施された印刷が剥がれ、貼付部23が貼られていた痕跡33が残る。
【0042】
貼付部23は、フィルム20が破られた際に、フィルム20と物品30とが接触していたことを表す痕跡が物品30に残るものであればよい。つまり、貼付部23は、フィルム20と物品30とを単純に貼り付けるものであってもよいし、フィルム20が破られ、フィルム20と物品30とが離れた際に、一方にシールの一部が残るものであってもよい。この種のシールは、例えば、改ざん防止シール、開封厳禁ラベル、再貼付不可シール等のように表現され得る。シールは、例えば、シールを剥がした際に残骸が残る側の面が物品30に接触するようにフィルム20に形成される。
【0043】
貼付部23は、識別コード31と接触する位置でなければ任意の位置に設けられてよい。ただし、物品30には、物品の名称が印刷されていることがある。貼付部23が設けられていると、貼付部23が設けられている領域は物品30の視認性が下がることが想定される。そのため、貼付部23は、商品を選ぶ客の目につく位置を避けて設けることが望ましい。例えば、貼付部23は、物品の側面、又は底面等に設けることが望ましい。
【0044】
貼付部23は、フィルム20を剥がした際に物品30の表面に痕跡が残るのであればいかなる大きさであってもよい。ただし、貼付部23を大きくすると、粘着力が上がり、フィルム20を剥がした際に物品30にフィルム20の残骸が残ることもあり得る。貼付部23は、フィルム20を剥がした際に物品30にフィルム20の残骸が残るほど大きくしない方が望ましい。
【0045】
このように、変形例2では、貼付部23によりフィルム20と物品30とが貼り付けられることで、フィルム20が物品30から剥がされると、物品30にフィルム20が接触していた痕跡33が残るようになっている。これにより、フィルム20が破られた包装体10は、会計が済んだものであることが明らかとなることに加え、会計が済んだ包装体10を再度所定のフィルムによりシュリンク包装したとしても、残っている痕跡33により、会計が済んだものであることは明らかとなる。
【0046】
物品30内の小物品をすり替えた後、シュリンクフィルムで再度物品30を包装することもあり得る。こうすることで、すり替え行為をした物品30であっても、外観的には未開封の物品30に見えるため、対外的な物品30の価値を維持できるからである。物品30に痕跡33が残っていれば、シュリンクフィルムが付いていたとしても、一度フィルム20を剥がした物品30であることが明らかとなる。これにより、未開封の物品30であることの偽造を防ぐことが可能となる。
【0047】
貼付部23は、変形例1で説明したフィルム20に設けてもよい。このとき、貼付部23は、例えば、遮蔽領域22の近傍に設けられる破る領域を明示するための印の範囲内に設けられるとより好適である。
【0048】
以上、本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0049】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を以下に付記する。
【0050】
(付記1)
物品をシュリンク包装するためのフィルムであって、少なくとも一部に、包装する物品に関する識別コードの読み取りを遮蔽するための遮蔽領域が印刷されているフィルムと、単体で1つの商品であるが、複数の小物品を内包する物品であって、小物品それぞれは外観から判別不可能に異なるアイテムを内包し、内包するアイテムが偏らないように調整されている物品とを具備し、フィルムの表側の面には、識別コードは印刷されていない包装体。
(付記2)
物品は、所定のステータスにある物品である(付記1)に記載の包装体。
(付記3)
アイテムには希少性があり、物品は、希少性の高いアイテムを少なくとも1つ内包する(付記1)又は(付記2)に記載の包装体。
(付記4)
物品に、当該物品に関する識別コードが印刷されている(付記1)乃至(付記3)のいずれかに記載の包装体。
(付記5)
遮蔽領域の、物品を包装した際に物品と対向する側の面には、物品に関する識別コードが印刷されている(付記1)乃至(付記3)のいずれかに記載の包装体。
(付記6)
遮蔽領域の一部は、識別コードを露出可能にめくれるようになっている(付記5)記載の包装体。
(付記7)
遮蔽領域には、識別コードと対応する位置に印が設けられている(付記1)乃至(付記6)のいずれかに記載の包装体。
(付記8)
印は、印刷又は物理加工である(付記7)に記載の包装体。
(付記9)
前記フィルムの裏側の面には、前記物品と接着するための貼付部が設けられている(付記1)乃至(付記8)のいずれかに記載の包装体。
(付記10)
貼付部は、前記物品から前記フィルムを剥がされた際に、接着されていたことを表す痕跡を、物品に残すことが可能である(付記9)に記載の包装体。
(付記11)
物品をシュリンク包装するためのフィルムであって、少なくとも一部に、包装する物品に関する識別コードの読み取りを遮蔽するための遮蔽領域が印刷されており、物品を包装した際に表側に面する位置には、物品に関する識別コードは印刷されておらず、物品は、単体で1つの商品であるが、複数の小物品を内包し、小物品それぞれは外観から判別不可能に異なるアイテムを内包し、内包するアイテムが偏らないように調整されているフィルム。
【符号の説明】
【0051】
10…包装体
20…フィルム
20A…底面領域
21…遮蔽領域
22…遮蔽領域
23…貼付部
30…物品
30A…底面
31…識別コード
32…識別コード
33…痕跡