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特開2023-126811自由空間電力伝送及びデータ通信システムのための送受信機アセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126811
(43)【公開日】2023-09-12
(54)【発明の名称】自由空間電力伝送及びデータ通信システムのための送受信機アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/30 20160101AFI20230905BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20230905BHJP
   H04B 10/80 20130101ALI20230905BHJP
   H04B 10/112 20130101ALI20230905BHJP
【FI】
H02J50/30
H02J50/80
H04B10/80
H04B10/112
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100978
(22)【出願日】2023-06-20
(62)【分割の表示】P 2020567446の分割
【原出願日】2019-02-22
(31)【優先権主張番号】62/634,732
(32)【優先日】2018-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/634,735
(32)【優先日】2018-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】520320424
【氏名又は名称】ファイオン・テクノロジーズ・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】PHION TECHNOLOGIES CORP.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・ナイデル
(72)【発明者】
【氏名】スティーブ・レイバー
(72)【発明者】
【氏名】アラン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】マット・ナイデル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】レーザ光を使用する自由空間電力伝送及びデータ通信のための送受信機アセンブリを提供する。
【解決手段】無線電力伝送システムにおいて。受信機60は、電圧変換器と、発光ダイオード78と、フォトダイオード76と、を含むフォトダイオードアセンブリ63と、を備える。フォトダイオードアセンブリは、送信機からハイパワーレーザビームを受け取り、ハイパワーレーザビームを電気エネルギーに変換する。電圧変換器は、フォトダイオードアセンブリから電圧変換器に電気的に結合されたエネルギー貯蔵装置65への電力伝送を最大にするために、フォトダイオードアセンブリの電圧測定に基づいて入力インピーダンスを調整する。発光ダイオード及びフォトダイオードは、送信機との自由空間光通信を可能にする。発光ダイオードは、少なくともエネルギー貯蔵装置は充電を必要とするときに、送受信機の存在及び位置を示す信号を送信機に送信する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線電力伝送システムのための送受信機アセンブリであって、
前記送受信機アセンブリは送受信機システムを備え、
前記送受信機システムは、
前記送受信機システムとは別体である送信機からレーザビームを受け取り、前記レーザビームを電気エネルギーに変換するように構成されたフォトダイオードアセンブリと、
前記フォトダイオードアセンブリから、電圧変換器に電気的に結合されたエネルギー貯蔵装置への電力伝送を最大化するように、前記フォトダイオードアセンブリの電圧測定に基づいて入力インピーダンスを調整するように構成された電圧変換器とを備え、
前記送受信機システムは、
前記送信機を用いて、自由空間光通信を可能にするように構成された発光ダイオード及びフォトダイオードを備え、
前記発光ダイオードは、少なくとも前記エネルギー貯蔵装置が充電を必要とするときに、前記送受信機システムの存在及び位置を示す信号を前記送信機に送信し、
前記フォトダイオードアセンブリは、前記送受信機システムと他の送受信機システムとの間のランク付けされた優先順位に基づいて、前記エネルギー貯蔵装置を充電するために前記送信機から前記レーザビームを受信する、送受信機アセンブリ。
【請求項2】
前記発光ダイオードは、前記フォトダイオードアセンブリを用いて、情報を含む信号を放射するように構成される請求項1に記載の送受信機アセンブリ。
【請求項3】
前記発光ダイオード及び前記フォトダイオードは、前記フォトダイオードアセンブリの空間平面上に配置される請求項1に記載の送受信機アセンブリ。
【請求項4】
前記エネルギー貯蔵装置は、電池と、コンデンサのバンクと、スーパーコンデンサのバンクとのうちの1つ又はそれ以上である請求項1に記載の送受信機アセンブリ。
【請求項5】
前記電圧変換器はさらに、非エネルギー貯蔵装置に電力を直接に提供する請求項1に記載の送受信機アセンブリ。
【請求項6】
前記フォトダイオードアセンブリのカソードは、前記送受信機システムの接地から電気的に絶縁されるように構成される請求項1に記載の送受信機アセンブリ。
【請求項7】
前記フォトダイオードアセンブリのリード線は、抵抗性損失及び誘導性損失を低減するように構成される請求項1に記載の送受信機アセンブリ。
【請求項8】
前記送受信機システムは、前記エネルギー貯蔵装置の上流にコンデンサをさらに含み、
前記コンデンサは、前記エネルギー貯蔵装置の端子における電流又は電圧の急速な上昇及び下降を減少させるように構成される請求項1に記載の送受信機アセンブリ。
【請求項9】
前記発光ダイオードと前記フォトダイオードの第1のトレースと、前記フォトダイオードアセンブリと前記電圧変換器の第2のトレースとは、互いに物理的に分離されるように構成される請求項1に記載の送受信機アセンブリ。
【請求項10】
前記送受信機システムは、温度センサをさらに備え、
前記発光ダイオードは、前記送受信機システムの周囲の領域における温度を示す信号を放射する請求項1に記載の送受信機アセンブリ。
【請求項11】
前記送信機は、前記温度が所定の制限値を超えるときに、前記レーザビームの送信を中止するように構成される請求項10に記載の送受信機アセンブリ。
【請求項12】
前記送受信機システムは、デバイスに統合されるように構成される請求項1に記載の送受信機アセンブリ。
【請求項13】
前記フォトダイオードアセンブリは、
光露出側と内部側とを有する基板層と、
前記光露出側に隣接し、入射光が光露出側の表面で反射するのを防止するように構成される反射防止層と、
内部に対向する側に隣接するように配置されたヘテロ接合バッファ層と、
前記ヘテロ接合バッファ層に隣接して配置され、入射光からの光子を、遊離した電子正孔対に変換するように構成されるアクティブ領域とを備え、
前記ヘテロ接合バッファ層は、解放された電子正孔対の電子と正孔が基板層に向かって移動するのを防止するように構成され、
前記フォトダイオードアセンブリは、
前記アクティブ領域に隣接して配置されて各n+電極と各p+電極の間にギャップがある交互のパターンで構成される複数のn+電極とp+電極であって、電子と正孔の移動から電流を受信して生成して、電流のための電気経路を提供しかつ熱経路を提供するようにさらに構成される複数のn+電極とp+電極を含み、
前記交互のパターンは、一連のパイ形状のセクションを含み、
前記各パイ形状のセクションは、前記n+電極と前記p+電極の中央領域に隣接する狭い端部を有し、
前記各パイ形状のセクションは、前記n+電極の行と、前記p+電極の行とが交互に配置されて形成され、
前記送受信機システムはさらに、
前記n+電極の行に対応する交互のパターンの一部と整列するように構成されたアノードバックコンタクトと、
前記p+電極の行に対応する交互のパターンの一部と整列するように構成されたカソードバックコンタクトとを備える請求項1に記載の送受信機アセンブリ。
【請求項14】
前記送受信機システムはさらに、前記フォトダイオードアセンブリの非照射側と接触して配置され、熱を逃がすように構成される熱散逸材料を備える請求項13に記載の送受信機アセンブリ。
【請求項15】
前記基板層は、前記入射光の散乱を回避するように構成されたエッチングピッチ密度を有する請求項13に記載の送受信機アセンブリ。
【請求項16】
前記ヘテロ接合バッファ層は、全体にわたって不均一な濃度の材料を含み、より格子状で適合した構造を形成するように構成される請求項13に記載の送受信機アセンブリ。
【請求項17】
前記電流は、各パイ形状のセクションのアノードバックコンタクト及びカソードバックコンタクトのうちの1つ又は複数で測定可能であり、
前記各パイ形状のセクションの測定された電流は、前記各パイ形状のセクションのハイパワーレーザビームからの相対的な照明強度に対応し、
前記各パイ形状のセクションの測定された電流が前記ハイパワーレーザビームの方向を調整するために前記送信機に信号として放射される請求項13に記載の送受信機アセンブリ。
【請求項18】
前記送受信機アセンブリは、入口開口部を画成し、前記入口開口部を出口開口部に接続する曲線内部壁を有する複合放物面集光器ミラーをさらに備え、
前記入口開口部は、前記出口開口部よりも大きく、
前記内部壁は、前記入口開口部に入射するレーザ光の大部分を前記出口開口部に合焦させ、
前記フォトダイオードアセンブリは、前記出口開口部に隣接して配置され、前記出口開口部を出射するレーザ光を受け取るように構成される請求項1に記載の送受信機アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、特にレーザ光を使用する、自由空間電力伝送及びデータ通信のための送受信機アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
無線給電は、電子機器及び電気機器の移動性を高め、それらの利便性を高め、民生用電子機器、産業用機器、物のインターネット(IoT)、ヘルスケアアプリケーションにおいて、デバイス(装置)設計の自由度を高めるための魅力的な解決法を提供する。スマートフォン、時計、その他の携帯機器のような家電製品に関しては、近距離(NFC)無線電力伝送は中間的な解決法であるが、より柔軟で有用な長期的解決策よりも不十分である。近距離無線電力伝送の場合、電力を供給される無線デバイスは、一般的にインピーダンス整合ネットワークに接続された金属コイルと、例えば電池などの電力負荷に使用される整流器とで構成される受信機を含み、給電デバイスは、一般に発振器と電源に接続される受信機と同様のコイルで構成される送信機を含む。送信デバイスに時間依存の電圧と対応する電流が供給されると、コイル電流は周期的にハイとローの状態を交互に駆動される時間依存磁界を発生させ、これにより、受信機のコイルと結合し、送信デバイスから無線デバイスに電力を転送できる。高周波電界に基づく金属電極間の容量性結合は、近接場電力伝送のために同様に利用され得る。どちらの場合でも、無線デバイスは送信デバイスに物理的に近接している必要があり、しばしば正確にアライメント(位置合わせ)される必要があり、このことは技術の有用性を制限する要因である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6633026号明細書
【特許文献2】米国特許第7068991号明細書
【特許文献3】米国特許第7423767号明細書
【特許文献4】米国出願公開第2010/0012819号明細書
【特許文献5】米国特許第5229593号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遠距離無線電力伝送は典型的には、例えば無線周波数、レーザビームなどの電磁放射のビームによって伝送される電力に依存する。遠距離電力伝送に関連する制限要因には、方向性、安全性、及び全体的な電力伝送効率がある。一般に「パワービーム」と呼ばれる、パワーを転送するためのレーザビームの使用は、送信機又は光源と、受信機又は負荷との間に直接の見通しラインが必要であり、このことは、レーザ放射が短い時間間隔のための低電力レベルに曝露されたヒト及び動物における失明を引き起こす可能性があるので、安全上の懸念を引き起こす一方、持続的な曝露期間におけるハイパワーレベルは致命的となる可能性がある。
【0005】
パワービームのいくつかの制限に対するいくつかの可能な解決策が開発された。例えば特許文献1では、仮想絶縁体を形成する単一のパワービームの周りに1つ又はそれ以上の光源が生成される。周囲の光源のいずれかが遮られると、パワービームをオフにするトリガが生成される。このシステムは、この特許では、無線デバイスから物理的に分離し、システムとして主に静止する受信機に依存する。モバイル電子デバイス及び電気機械デバイスを追跡する機能はない。システムはまた、以下の2つの部分からなるプロセスに依存して、パワービームをオンにし、1つは、以前から知られている場所及びパワービームでパワーを必要とする受信機のための第1の光源探索であり、受信機が見つかったら仮想絶縁体をオンにする。特許文献2には、複雑な電力伝送システムが記載されており、当該システムは、マイクロ波又はレーザビームを含み、電力の転送と、データ通信の両方を提供するが、技術的な詳細、つまり電力が伝送されるプロセスについては説明していない。特許文献1と同様に、特許文献2に記載されたシステムは、送信機が優先電力要求信号を受信機に送信することに依存しており、これにより、送信機の範囲内にデバイスがない場合、又は完全に充電されたデバイスのみがある場合に、電力が浪費される。
【0006】
特許文献3には以下の別のアプローチが記載され、受信機を受信電力信号に合わせるために機械的なビームステアリングに依存するが、これはシステムの機械的側面に関連する多くの欠点をもたらす。デバイスの位置特定及び追跡は、当業者が本発明を物理システムに実装するのに十分詳細には説明されていない。この特許は、受信機からの反射に基づいて受信機を検出することのみを説明する。このことは、今度は反射リングの中心点の位置を特定する必要があり、多数のマッピングされたポイントのそれぞれからの反射光を比較する。送信機ビームがリング反射器の中心に近づくと、反射が著しく減少する光起電デバイスに影響を与え、その影響は同様に、送信ビームが半径方向にリングの中心から離れてゆくと、それにより目標を外す。反射は大幅に減少する。これら2つの状態がどのように区別されるかについての説明はない。同様に、特許文献4は、ポインティング機構に装着される透過型レーザとレンズを開示する。説明されるビームステアリング解決法では、例えばフォトダイオードなど、10mm未満のスポットサイズのビームを向けるのに十分な精度の受信機などの光電変換器を見つけるためにカメラが必要である。実際には、このことは、無線デバイスの光学要素に大きなサイズの制約が生じ、すべての安全機能が送信機に課され、その送信機の故障への耐性がない一方、安全性は、ここで説明する発明では送信機と受信機の両方で処理される。特許文献5は、パワービームが受信機によって受信されていないとき、並びに受信されるときに危険なレベルではないときに、安全なレベルで動作する固定式の送信機と受信機が記載される。送信機と受信機の可動性の制限は、家電やモバイル電気機械システムではなく、例えば放送塔又は通信局として恒久的な構造又は端末デバイスに適する。
【0007】
遠方界送電システムの重要な要素は受信機であり、受信機の重要な側面は光エネルギーが電気エネルギーに変換される方法である。電気的変換を最適化するための既存の解決策の1つは、フォトニックセンサの感光領域のサイズを大きくすることである。しかし、これには受信側でより多くの物理スペースが必要であるが、これにより、ユーティリティが削減され、デバイスコストが増加する。例えば太陽電池アレイなどの太陽電池は、電子に光子を変換するにはるかに効率的になるが、一般に可視光用に最適化されており、かなりの量の物理的なスペースが必要であり、例えば屋上設置で使用されるソーラーパネルの平均サイズは65インチ×39インチで、個々の太陽電池は6インチ×6インチである。そのような球は、小さな入口ポートと出口ポートを持つ中空の体積を有し、入射光を内面から反射して、光をエネルギーに変換する光電子デバイスに送る。そのような球は効率が悪い傾向があり、より多くの物理的なスペースを必要とする。一般的には、モバイル機器や他の多くの用途に有用であるためには余りにも大きい。多大の熱発生のため、必要な物理的スペースが少なく、広い帯域幅で動作できるが、光エネルギーを熱に変換した後電気エネルギーに変換するため効率が悪い。光起電モードで動作する多くのセンサは(電気的接続により)感光性領域への入射光を不明瞭にする接触配置を実装しているため、結合効率が低下する。同様のデバイスは、シングルモードライト用に特別に設計された材料構成や幾何学的配置なしで構築され、レーザから放射することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
無線電力伝送システムのための送受信機アセンブリが開示される。前記送受信機アセンブリは送受信機システムを備え、前記送受信機システムは、送信機からハイパワーレーザビームを受け取り、ハイパワーレーザビームを電気エネルギーに変換するように構成されたフォトダイオードアセンブリと、前記フォトダイオードアセンブリから電圧変換器に電気的に結合されたエネルギー貯蔵装置への電力伝送を最大化するように、前記フォトダイオードアセンブリの電圧測定に基づいて入力インピーダンスを調整するように構成された電圧変換器とを備える。前記入力インピーダンスの調整は、前記エネルギー貯蔵装置の充電効率を高める。前記送受信機システムは、前記送信機を用いて、自由空間光通信を可能にするように構成された発光ダイオード及びフォトダイオードを備える。前記発光ダイオードは、少なくとも前記エネルギー貯蔵装置が充電を必要とするときに、前記送受信機の存在及び位置を示す信号を送信機に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る送信機を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る送信機筐体の図である。
図3】実施形態に係る受信機を示すブロック図である。
図4A】実施形態に係る受信機の複合放物面集光ミラーの図である。
図4B】別の実施形態に係る、受信機の先細りした入口を有する複合放物面集光ミラーの図である。
図5】実施形態に係る受信機のフォトダイオードアセンブリの断面図である。
図6】光の侵入深さをその波長の関数として示す。
図7】実施形態に係る、フォトダイオードアセンブリの光吸収及び電子変換機能をよりよく説明するために、図6のフォトダイオードアセンブリの一部をさらに示す断面図である。
図8】実施形態に係る、図5のフォトダイオードアセンブリのPIN構造と、キャリア輸送メカニズムをさらに示す断面図である。
図9A】実施形態に係る、図5のフォトダイオードアセンブリのバックコンタクトパターンの上面図を示す。
図9B】別の実施形態に係る、図5のフォトダイオードアセンブリのバックコンタクトパターンの上面図を示す。
図10】実施形態に係る、プリント回路基板(PCB)構成に統合された図9に図示されたバックコンタクトパターンを用いた図5のフォトダイオードアセンブリの断面図を示す。
図11図10のPCB構成の上面図である。
図12】実施形態に係る、フレネルレンズとフォトダイオードアレイの間の光の相互作のための断面図である。
図13】実施形態に係るレンズスタックの図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の無線電力伝送システムは、送信機と受信機の、2つのコア要素から構成され得る。送信機と受信機は同時に単一の受信機又は複数の受信機に送信機から無線で電力の効率的な伝送を可能にし、コリメートされた赤外線レーザビームを使用する。送信機は静止していて、信頼性の高い電源に接続されており、適度にコストに敏感で、適度なスペースに制約がある。受信機は移動体である場合があり、電池又は容量性電源を含む場合があり(すなわち、そこから電力を供給し、消費する、つまり、出力と入力)、コストに敏感であるペースに制約がある。
【0011】
運用上の観点から、送信機は環境の検知、適切な受信機の存在の検出を担当する場合があり、それらの受信機との双方向通信に参加して、それらの光学素子の正確な位置を決定する。この最初のデバイスの位置の配置中に、以下でさらに説明するように、安全システムが実装され、公称機能中に一定の動作で維持される。送信機は、赤外線(IR)レーザパワービームの送信も制御し、規制の安全要件を満たしている方法で、受信機の光学素子に電力を供給することに関連する光学系を制御する。システムの安全を維持するために、安全システムが中断を検出したとき、送信機は可能な限り短時間でハイパワーレーザビームを遮断するよう努めることができ、予想情報を受信せず、パワービームがずれ又は受信機の位置が失われる。送信機は、接続された受信機に関するデータを受信し、処理し、保存し、集中デジタルデータベースに転送する。
【0012】
受信機は、その存在を環境にブロードキャストし、送信機と双方向通信する能力を有する。送信機は、多数の潜在的な受信者のそれぞれとの資格情報の交換に基づいて、無線電力転送の優先順位を調整する機能を有し、順序を確立するために、各受信機が充電される各受信機の優先度をランク付けすることができる。優先順位の選好は、無線電力伝送システムのユーザ/所有者が設定でき、もしくは、同じ方法で事前にスケジュール設定され、出荷時の設定で決定された状態のままにできる。受信機はまた、受信機の光学要素の正確な位置を決定するために送信機と協働することができる。受信機が送信機と通信するか、送信機との通信を確立すると、連続的に送信機に電力と充電状態情報を転送することができる。
【0013】
電力の安全な無線送信に関連する特定の電力とタイミングの制限を考えると、受信機は、デバイス固有の情報を送信機に返信する(つまり、センサデータは、無線パワー伝送で適切なオーバーヘッドが与えられると、自由空間光通信(FSOC)リンクを介して送信機に渡される)。同様に、送信機は、無線電力伝送に適切なオーバーヘッドの所定の受信機にFSOCリンクを介してコマンド又はデータを通信する。送信機は、無線又は有線接続を介して、システム又はデバイス固有の情報又は診断をクラウド又は接続されたデータベースに送信する。従って、送信機及び受信機は、デバイス自体の電力動作又は位置に関係のないデータの転送を可能にする双方向データ通信チャネルを確立する。種々のIoT又は他の同様のデバイス又はデバイスが、無線電力伝送システムを通じて電力と他のデータ及び/又はコマンドの両方を受信できる。例えば、スマートサーモスタットは、室温情報を無線電力伝送システムに送信し、次いで、無線電力伝送システムはHVACコントローラにその温度情報を転送し、もしくは、無線電力伝送システムを介して給電される自動ウィンドウシェードを転送する。
【0014】
実施形態に係る送信機の図が図2に示される。図のように、送信機10は、電源12と、1つ又はそれ以上のパワービーム及び1つ又はそれ以上の光ビームを発生させるレーザシステム14と、ビームステアリングのための光学機械デバイス(オプトメカニクス)16と、プロセッサ18と、レーザシステム14及び光学機械デバイス16を制御するための関連する電力制御ロジック19とを備え、さらに通信サブシステムと安全サブシステムも備える。送信機10は、システムを正確かつ安全に保つために必要な主要な計算プロセスのすべてを実行することができる。ロジック(論理)レベルでは、ARM Cortexプロセッサなどのプロセッサ18は、送信機が担当する大部分の機能にわたってハイレベルの制御を提供する。プロセッサは、例えばビームステアリング、パワービーム出力制御、FSOCデータ処理、熱制御、センサデータの転送、センサフュージョン、及びシステムレポートなどの種々の送信機機能に固有のコマンドセットを含む。追加のハウスキーピング集積回路(IC)11を利用して、DC/DC変換器/レギュレータ15の過電流及び過電流保護/監視、ならびに全体的な障害管理、報告、及び消去を提供することができる。これは、無線電力伝送システムは、種々の障害のシステムの安全な状態を維持する大きな必要性が存在するときに、医療、航空宇宙及び他のより高いリスク環境を利用するときに関わらず発生する可能性があるときに特に便利であって、これにより、一般にこれらのアプリケーションで使用されるデバイスに関する政府の規制で要求されるフォールトトレラント(耐故障性)システムが作成される。
【0015】
この実施形態では、送信機10の電力は、電力線フィルタ及びESD保護回路13を介してレーザAC/DC電源20に結合された安定した電源12から得られる。電源12は、例えば高電圧電池、壁コンセント又は主電力グリッドから離れた他の2次発電機などの多くの形態であり得る。入力信号はAC120Vacから240Vacで、標準の壁コンセントに差し込むことができ(北米では15A/20A、EUでは16A+)、又は、システム要件に見合った振幅の標準DC電圧である。入力電力12は、電源20を通過することができ、これは、AC電圧をDC電圧に変換する2段変換器を含む場合があり、そして、出力を複数の電圧に調整するためのDC-DC変換器/レギュレータ15を含む。そこから、電圧は必要に応じてダウンコンバートされ、さまざまなサブ回路に供給される。
【0016】
この実施形態では、3つの電源バスを含めることができ、例えば、レーザコンポーネントにバイアスをかけるためのレーザバス、処理及び計算コンポーネントにバイアスをかけるためのロジックバス、電気機械負荷又はサブシステムにバイアスをかけるためのモータバスなどである。送信機10の各サブシステムは、これらの3つのバスの1つから電力を引き出すことができる。ノイズを分離するためには、電力バスは受動部品、分割された理由、又はオンボードシールド(例えば、エッグクレート)を介して互いに分離されてもよい。ロジックバスは、複合プログラマブルロジックデバイス(CPLD)22を介して提供されてもよい。当業者が理解するように、使用するコンポーネント及び変換器に応じて、異なるバス及び/又は配電方法を使用できる。
【0017】
レーザシステム14のレーザダイオードのための電源20は、電流制御モードで動作する高度に調整された(安定化された)電流供給であり得る。供給された電流は、現在の設定点に対して監視され、エラー値を生成する。そのエラー値は、出力を微調整するために、電源ロジック及び/又はコントローラ/レーザダイオードドライバ17にフィードバックされてもよい。電源20及び/又は電源20に結合されたレーザダイオードドライバ17は、安全システムのCPLD22からの出力に関連付けられたコマンド入力を組み込むこともでき、前記安全システムは電源20を無効にするのに役立ち、及び/又は、レーザダイオードドライバ17は、いずれかの部分的又は完全な閉塞の障害光ビームのパス検出又は他の安全上の理由のためにすべきである。電源又はドライバをすばやく遮断するために、電源の帯域幅は5kHzより大きい場合がある。レーザ光源24は、Cマウント/TO-Can/統合モジュールパッケージ上のレーザダイオードであり得るが、これに限定されず、所定の位置に固定され得る。送信機が複数の受信機に対応できるように、同一のレーザダイオード光源24の数(n)は、同一の電源20から、もしくは各レーザダイオードのための別個の電源によって供給されてもよい。電源、レギュレータ、及びドライバコンポーネントを温度調整するために、アクティブな冷却デバイスを備えた、又は備えていないヒートシンクを含めることができる。
【0018】
実施形態では、レーザ光源24の出力は、ビームスプリッタ、光学フィルタ、又はミラーによって2つ以上の別個のビーム経路に分割(分岐)されてもよい。結果として得られるビームは、単一の光源から2つ以上のデバイスに供給するために、個別のパワービームチャネルで使用できる。単一の光源が複数の受信機に供給できる実施形態では、一連のアクティブ光学デバイスは、1つの受信機がブロックされ他の受信機ではブロックされえいないときに単一チャネルのための光出力パワーを減少させるために使用し、これにより、1つのデバイスでブロックが発生した場合に、両方のデバイスへの単一のレーザ光源をオフにする必要がなくなります。
【0019】
パワービームがレーザバスから同じように供給されることに加えて、異なる、より低いパワービームは、1つ又はそれ以上のFSOCレーザによって供給されてもよい。FSOCチャネルは、単一又は複数の発光ダイオード(LED)を用いて、もしくは、光学データを送信するためのローパワーレーザダイオード、及び、光データを受信するための単一又は複数のフォトダイオードを用いて確立することができる。FSOCコンポーネントは、サブシステムの電圧要件と効率に依存して、レーザ又はロジックバスのいずれかで動作するように構成できる。送信機と受信機は、同じFSOCコンポーネントを実装することでモジュール化でき、ここで、送信機からの送信デバイスは、送信機の受信デバイスへの受信機の送信デバイスと同様に、受信機の受信デバイスと通信する。
【0020】
ロジックバスは、ロジック機能を制御するすべてのコンポーネントに基準電圧を提供することができる。これは、(例えばXILINX又はIntelのCPLDのような)CPLD(安全性)22と、(例えばインテル、フリースケールなどの)プロセッサ18と、(例えばARM Cortex又は、XILINX又はNVIDIAによる類似製品のような)マイクロコントローラユニット(MCU)26と、カメラ28と、補助センサ又は2次電源再生器と、最後に、(例えば可変ビームスプリッタ/減衰器、偏光板などの)将来のデバイス機能に必要なアクティブな光学アプリケーションとを含む場合がある。
【0021】
モータバスは、2軸ビームステアリングブラシレスDC(BLDC)モータ30に主要な光学機械部品16として適切な電圧を供給する機能を有する。2軸モータ30は、反射又は屈折光学系を含み、(図2にさらに示されるように)送信機ハウジング32の光インターフェースから段階分けされた部屋の壁及び/又は床の場所まで延在する範囲の広い錐体を提供するように光を投影するために使用する。フィードバックループによる増強モータ30の制御はモータコントローラ31によって提供され、モータコントローラ31はMCUプロセッサ26のロジック駆動コンポーネントである。例えばMEMSミラー、ジンバルアセンブリ、等のリズレープリズム、液晶導波路、光フェーズドアレイ、又は他の固体ビームステアリングアセンブリなどのビームステアリングの代替方法は、当業者によく知られているものを用いることができ、この開示から除外されない。
【0022】
上記のように、プロセッサ18は、送信機と、部分的なFSOCフォトダイオード27とカメラ28の監視、FSOC LED25コマンド、及び光学機械システム16のビームステアリングロジックコマンドのロジック制御のほとんどを提供する。FSOC LED25とFSOCフォトダイオード27との間の通信結合は、IR送受信機29によって提供されてもよく、IR送受信機29はプロセッサ18に結合され、エンコーダ/デコーダを含む。別個のMCUプロセッサ26は、補助入力を光学機械システム16に供給して、ビームステアリング精度及び熱的要件をよりよく支援することができ、前記MCUプロセッサ26は、熱電対又は温度センサ(図示せず)からの熱測定値に基づくファン又は熱発電機(TEG)33又はクーラーのコマンドと、微細な加速度計34のフィードバックに基づくビームステアリングの調整と、潜在的な将来のアクティブな光学系(図示せず)の要件に基づく位置又は構成の変更とを含むがこれに限定されない。TEG33の電力管理は、昇圧変圧器35によって提供されてもよい。
【0023】
直接に受信機距離検出を支援するFSOC LED25の閉ループ制御は、カメラ28によって検出され、プロセッサ18によって処理された、部屋又は場所の事前に調整された照明条件に基づいて、FSOC LED送信信号の必要な強度を決定するコンピュータビジョンベースのアルゴリズムを介して提供される。言い換えると、場合開示された無線電力伝送システムは、有意な周囲温度又はシフト自然光が部屋又は場所で利用され、調整するためにカメラ28によって撮影された画像を利用すること、つまり、FSOC LED25の出力電力を増大することが望ましい場合がある。部屋又は場所の照明が事前に較正された照明条件を下回っていた場合、FSOC LED25の出力電力は減少する可能性がある。必要な出力電力の量を調整することにより、動作環境のフィードバック照明条件に基づいて、伝送効率を実現できる。
【0024】
CPLD22は個別のICであり、その機能がより複雑なICに統合されるか、専のための安全/制御コンポーネントであってもよく、また安全サブシステムの全体的なコマンドと制御を担当する場合がある。このことは、レーザダイオード電源20へのシャットダウンコマンドを含み、当該コマンドは、モニターフォトダイオード又はオプトエレクトロニックセンサ(図示せず)からの光パワーレベルの処理と、プロセッサへのエラー又は障害メッセージの生成18と、ハイパワーレーザビームの衝突の結果としてユーザの安全を維持することに関連する他のアクションに関するものである。CPLD22は、次の2つの信号の存在を必要とする場合がある。最適パワービーミングレベルに到達するためにレーザ光源24を有効にするために、
1)追加のプロセッサ26;及び
2)メインプロセッサ18。
追加の電気素子(ほとんどは表示されていません)は、フィルタリング、接地、シールドなどを担当する受動デバイスと、電力変換、WiFi、Bluetooth、又は専用RFリンクを介したテレメトリの送信のためのデバイスと、初期校正に必要なセンサと、ユーザの利益のために提供される追加のインジケータLED又は画面(システム機能などには必要ありません)とを含む。
【0025】
送信機10の光学的及び光学機械的構成要素は、2つの軸におけるレーザビーム特性を成形及び制御し得る。コリメート光学系40の第1のセットは、レーザダイオード24の端面から離れて配置される。コリメート光学系40は、n個のレンズの成形されたセットであってもよい。ビームステアリングアセンブリへの注入のために2つの軸に平行なビームを生成する機能がある。コリメート光学系40は、ビームを2次元で成形するための高速軸コリメータ(FAC)及びスロー軸レンズを含み得る。FACは、適切な直径と厚さの非球面円筒、ボールレンズ、光ファイバケーブルの小さなセクションで構成でき、又は、組み合わせて又は独立して使用される複数の光学系で構成できる。適切な光ファイバケーブルの小さな切頭部分を、高速軸コリメーションのための安価で迅速なレンズとして使用できる。実施形態では、レーザ端面の長い方の寸法よりも僅かに長い光ファイバケーブルの断面は、長軸が平行と面の長軸に隣接しているようにこの面の前面に機械的手段によって固定される。光ファイバケーブルは、レーザ又はわずかな光源からのすべての発散光線を平行化することにより、非球面円筒レンズと同様に機能する。この方法は、デリケートでしばしば高価な速軸レンズを使用するよりも、コリメーションを達成するためのより速い方法を提供する。
【0026】
レーザダイオード24は、レーザキャビティ領域を独自に成形又は成長させることにより単一偏光を有する光を生成するように独自に設計されてもよい。受信機表面での反射は、ハイパワーの自由空間光学システムでは問題になるため、生成された光が確実にp偏光されるようにすると、ビームの入射角が60度を超えても、反射を減らすことができる。これは、対応する視準光学系40の上に置かれたp偏光波長板42を追加することで実現できる(すなわち、n個の波長板42があってもよく、これはコリメート光学系40とレーザ光源24に対応する)。Vコーティングを施した空間フィルタを追加して、出力ビームのプロファイルを均一にすることもできる。
【0027】
実施形態では、残りの光学系は、光学機械デバイス16の一部で構成してもよい。光学機械デバイス16は、回転BLDCモータ30によって駆動される2軸ガルバノミラーを有するビームステアリングを有するアセンブリ44を含む。ガルバノメータモータ制御は、FSOCフォトダイオード27からの解釈されたフィードバックに基づいて、モータ30へのコマンドを使用して、MCU18によって調整される。光学機械デバイス16の構造はモジュール形式であって、このことは、光学機械デバイス16の構造は、異なるパッケージの内側と外側で挿入されてもよく、従って、複数のデバイス、ハウジング及び筐体で使用することができる。光学機械デバイス16の複数のミラーは、コーティングされたIR波長範囲で最高の応答と環境の耐久性を有して、薄膜、多層銀及び/又は金であってもよい。複数のミラーはモータ30の位置に応じて回転し、ビームを受信機に向けて偏向させる。出力光学系の最後のセットであるアウトレットレンズアセンブリ46は、パワービームをアクティブに集束させるために含まれ得る。このシステムのビーム距離を最大50フィートの範囲に制限すると、ダイナミックフォーカシングが不要になる場合がある。しかし、現在の開示はこの特定の距離に限定されず、より長い自由空間光学用途に使用されてもよい。長波パスフィルタ(図示せず)は、FSOC光学機械デバイスの前段の潜在的なレンズにも使用でき、FSOC光学機械デバイスは、IRカメラ28、FSOCフォトダイオード27及びFSOC LED25を含む。理想的には、これらのフィルタを追加する必要はないが、完全を期すためにここに記載する。
【0028】
送信機筐体32は図2にさらに示され、例えば照明器具、煙探知機、防犯カメラ、ドローン、及びその他のモバイルシステムや静的システムなど、その使のための性質と場所に応じて限定されず、スタンドアロンの構造であるか、又は他のデバイスに組み込まれるかである。物理的構造32は、送信機10のすべての構成要素を収容することができる。機械的構造は、無線パワービームシステムの性能及び環境要件を満たすように設計できる。構造は、パワービームレーザダイオード24及び/又は他の高電流負荷に対する従来の対流及び放射熱散逸を増加させるための機械的特徴と特定の材料とを含む。機械的アイソレータを利用して、例えばHVACシステムなどの機械系の影響とともに、種々の構造の部屋を横切る人間の動きに関連する固有の振動共振からシステムを安定させることができる。実施形態では、筐体32の一部は、可視波長では不透明であり近赤外波長範囲では透明である任意の光ビームが通過する材料で作ることができ、筐体32全体もまた、この材料で作られ得る。そのように、ユーザは、天井の火災感知器の外側ではなく、アクティブ/内部コンポーネントのような、筐体が表示される。材料及び全体的な機械的構造により、複数の環境で使用してもよい。
【0029】
パワービームは人や動物にとって危険な形で送信されるため、システムの安全面は非常に重要である。従って、本開示の実施形態は、安全規制の最も制限的なレベルをトリガする目の安全レベルを超えるレーザ放射への人間、動物、障害物への曝露を防ぐための組み込みの安全システムを含む。本開示によれば、このシステムは、本質的に安全であり、これは、システムのアーキテクチャを参照して次のように定義される。双方向ローパワーレーザビーム、又はFSOCチャネルは送信機と1つ又はそれ以上の遠隔受信機との間に確立され、それらの1つ又は両方がモバイルである可能性がある。チャネルレーザパワーが最大許容露出(MPE)の制限を下回っているため、目の安全に分類され、従って、交差する物体への悪影響を心配することなく、すべての回数で運用することができる。チャネルは、それらは受信機への送信の光インターフェースから実質的に全体の距離をより1~10ミリメートル以上離れていないように、ハイパワーレーザビームと実質的に同一方向に伝播する。それらが近接しているために、ハイパワーレーザビームが遮断される前にローパワーレーザビームが遮断され、ローパワーレーザビームが遮断されるとハイパワービームレーザがシャットダウンされる。知られているように、レーザ放射は、送信機と受信機間の十分に確立された見通しライン(LOS)が存在するときに通信に使用することができる。実施形態では、このLOSが障害物や状況、任意の数のために壊れている場合に、ハイパワーレーザは、最大許容露光量(MPE)の遵守のための時間要件許容アクセ排出制限(AEL)で一致を制限値内で終端するように設計される。クラスIの場合、目の安全な分類、AELはMPEと同等である。LOSはシステムの安全機能と全体的な機能に組み込まれているため、一方は他方なしでは存在できません。従って、システムは「本質的に安全」として分類できる。
【0030】
実施形態では、安全システムのハードウェア及びソフトウェアの実装は、送信ソースを備え、その1つは通常は信頼性が高く安定した電源に接続され、さらに、最小限の電気部品を含み、基本的なデジタル信号処理(DSP)を実装し、ホストデバイスと組み合わせられて統合されるモバイル又は周辺機器の受信機を備える。安全システムのこの実施形態は、近赤外線(NIR)波長領域でのハイパワーレーザビームのために明示的に設計されてもよい。システムのタイミングは、可視光又はUV光に関連するスケーリングの安全要件に対応するために簡単に調整できる。この実施形態におけるシステムの前提は、その最大許容露光量(MPE)レベルのシステム待ち時間の依存性に結合するビーム経路内の障害物の高速かつ正確な検出に依存し得る。以下でさらに説明するように、安全システムの追加の実施形態は、他の理由のためにハイパワーレーザビームダウンを停止するハードウェア及びソフトウェアの実装を含む。
【0031】
背景として、消費者が販売した製品のレーザ安全性及びレーザ安全性認証の現在の統治基準は、「米国内の発光製品の性能基準」と題する21連邦規則(CFR)パート1040と、IEC60825-1であり、そのうちの後者は、欧州におけるレーザ製品の安全性と世界の残りの部分を調整する。2007年、FDAは条件を説明するレーザ通知(LaserNotice)50を発行し、ここでは、どの機器メーカは、IEC60825-1規格に準拠し、米国の通商レーザ製品に導入してもよいことが開示されている。この文書は、ヨーロッパと米国の認証基準を効果的に調和させ、「最も負担の少ないアプローチ」を提供した。レーザ通知50は、IEC60825-1を参照して、ビーム操作の安全性に関与するすべてのシステム遅延と検出メカニズムを確立した。人気のあるANSI Z136.1のドキュメントには、そのようなレーザを分類するためのガイドラインと、その安全な操作に関連する安全/制御手段も記載されていますが、上記の認定を求める製品を比較する認定基準としては適用されません。当然、これらの基準は変更される可能性がある。
【0032】
一般的な認証ガバナンスでは、レーザ製品は、その出力特性によってクラスに離散化される。パルス波又は連続波(一定又はCW)出力に応じて、ワット又はジュール(ワット秒)のいずれかの制限レベルが通常適用される。アクセス可能な排出制限値又は(AEL)は、制限開口と呼ばれる面積係数を掛けた積としてMPEの製品として決定される。
【0033】
本開示に関して、レーザ光源の動作は、CW又はパルスであり得る。CW動作では、多くの場合、平均電力供給はパルスシステムよりもはるかに高くなる。開示を容易にするためにCWシステムについて以下に説明するが、様々なパルス長のパルスシステムはまた、使用することができる。この構成は、(より低い電力定格の)受信機デバイスにも、動的電力制御なしで、送信機で動作中に実装できる。実施形態では、送信機デバイスは、ハイパワーのCW光を放射する。同時に、ハイパワービームと一緒に伝播し、並行して、隣接するローパワーレーザビームも別の電気部品から光学部品に放射されるが、ハイパワー光源から数ミリメートルの範囲内に配置される。ローパワーのレーザビームは、ハイパワーのビームよりもはるかに大きな発散を有し、従って、ハイパワーのビームよりも短い距離で発散することがある。本開示の目的のために、このシステムの動作距離または作動距離は、1フィートから30+フィートの範囲内であり得る。この動作距離により、受信機の低消費電力のフォトダイオードアセンブリは、配置に対する許容度が高くなるが、感度に対する要件が高くなる。共同伝播するローパワーレーザビームは、それにより、動作距離にわたってハイパワービームの周囲に仮想筐体を作成する。 システムが上記で指定された距離などで使用される場合、大気の吸収と散乱は問題を引き起こさない場合がある。
【0034】
システムの有用性と能力を高めるために、デジタルデータストリームは、ローパワーレーザビーム上に変調することができる。変調方式にはさまざまな形式と複雑さがある。効率的なシステムを構築するために、オーバーヘッドの低い電力消費に大きく依存している可能性があり、もしくは換言すれば、可能な限り低いなどの安全システムの他のすべての部分によって使用される電力を維持する。従って、変調方式はバランスをとるために慎重に選択される。
1.消費電力のオーバーヘッドは、処理、データストレージ、A/D又はD/A変換、及び送信を含む。
2.レートであるシリアルデータレートであって、そのシステムが適切に受信情報と送信機を通信し、適切なアクション/コマンドに従うために、上記の情報を解釈できる。
3.部品数/タイプであり、つまり、パーツ数を減少させる。特にモバイル受信側では、そのようなサブシステムの実装に必要なフットプリントとスペースを削減する。
4.複数のアクセス、又は単一の送信機で複数のモバイル受信機に対応する機能。
【0035】
送信機/受信機システムは、固有の周波数、タイミング、又は信号品質を結合されたデバイスに関連付ける結合された変調/復調アーキテクチャを備える。この実施形態では、シリアルデータレート、パルス振幅、または送信のタイミングによって区別される単一の送信機で多数の受信機デバイスをサポートすることが可能である。これは、NTIAのスペクトラム管理局またはFCCがスペクトラムの使用を管理する方法、つまり、トランスミッタがデバイスの波長の使用を管理する方法に似ている。OFDM、OCDMA、又はM-PPMも許容可能な変調方法であり、本開示から除外されない。
【0036】
最も簡単な形式では、ローパワーレーザビームをオン/オフすることで変調(オン/オフキーイング-OOK)を使用して、一連のビット又はビットシーケンスを伝送でき、これは、強度変調/直接検出(IM/DD)スキームにおける一般的な通信プロトコルとして考えられる。送信機と、結合する受信機の両方に既知のビットシーケンスライブラリは、交互のビットシーケンスに意味を提供する。OOKは処理のオーバーヘッド要件を低く保ち、システムの有効帯域幅を増加させ、これにより、信号伝送(シグナリング)の速度が向上し、その結果、遅延が減少する(処理のボトルネックがハードウェア/チップ速度に起因するところまで)。OOKはそのような変調方式の1つであり、通信及び安全要件の完全または部分的な満足として使用できる。同様の目的を達成するために他の変調方式を効果的に使用できることは、当業者には明らかであろう。
【0037】
MPE/AELレベルは、露出が短ければ短いほど、パルス動作の同じエネルギー露出レベルを満たすために許容される光パワーが高くなるように設計されてもよい。本質的に、システムがCW出力で動作している場合でも、送信機によって達成可能なカットオフ時間を考慮して、ビームへの障害物露出はパルス露出と見なすことができる。IR-A及びすべてのIR-B波長の上部波長範囲では、放射線は長波長であるため、一般に眼に安全と見なされ、つまり、眼は網膜に放射線の焦点を合わせず、放射線は浸透せず、表皮のレベルを低下させる。レーザ光線への角膜の露出は、スポット加熱にとって危険であり、同じことがこれらの波長の他の軟組織にも当てはまる。スポット加熱には、指定された時間、小さな表面積に大きな出力のハイパワーレーザ光源を適用する必要がある。従って、このシステムの危険な状態は一時的なものである。本開示のいくつかの実施形態は、そのようなタイミング要件を満たすことを求める。
【0038】
開示されたシステムが、制御されていないと見なされる環境、つまり居住者が名目上レーザ放射への暴露に気づいていない環境に配備される場合、安全性はクラス1のレベルを超えるレーザの要件である。このような状況では、レーザ放射の危険性は、曝露時間、放射パワーレベル、及びレーザ放射の波長に依存する。実施形態では、パワービームレーザの波長は、いくつかの要因に基づいて選択することができる。そのような要因の1つは、知らないユーザにとって放射線の危険が最も少ない波長範囲である。そのような場合、網膜に集束されないレーザの波長はより高い露出制限値を有し、従って、実施形態にとって好ましい。
【0039】
実際、送信機のアーキテクチャは、受信機回路のウォッチドッグとして機能する。送信機が受信機からデータを受信しない所定の期間が経過するか、ビットの欠如が受信機からカウントされるか、特定のビットシーケンスが受信機から送信される場合、送信機はこの不在/ビットシーケンスを特定のメッセージに関連付けて、レーザダイオードをオフにするか、出力をクラス1のレベルに下げる。受信機と送信機の間に一定のフィードバックを提供することにより、システムは安全に機能するだけでなく、受信機を追跡することができます。受信機のフィードバックデータに加えて、送信機内のいくつかの異なる電圧及び/又は電流レベルを無数の目的で監視できるが、以下に限定されない:
1.[送信機]レーザダイオードの前段-電圧と電流;
2.[受信機]フォトダイオードアセンブリの下流-電圧と電流;
3.[受信機]DC/DC変換器の下流-電圧のみ;及び
4.[送信機]FSOCフォトダイオードの下流-電圧のみ。
【0040】
これらの測定は、あらゆる状況でのシステムの安全性に関する決定を行うために必要なすべての情報を生成する。受信機は常に送信機に対してその状態を更新する。その状態の更新の中断、又は受電の理想的なパラメータへの不一致により、ハイパワーレーザビームの出力が低下する。システムのビーム遮断タイミング要件は、レーザダイオードの出力とビームスポットに依存する場合がある。従って、必要に応じて送信機と受信機の間で動的にカットオフ時間を割り当てることが可能である。
【0041】
その完全な実装において、本開示は、故障検出を提供でき、いくつかの例では、フォールトレランス(耐故障性)を提供し得る。すべての重要な安全機能について、ハードウェアとソフトウェアに1つ又はそれ以上のフォールトトレランスが組み込まれている場合がある。危険な状態は送信機、つまりハイパワーレーザビームによってのみ生成されるため、安全上重要なハードウェアはシステムの送信機側に単独で含まれる場合がある。この重要なハードウェアは、光電センサ、オペアンプ、種々の形式で実装可能なプロセッサ、及びレーザダイオード電源を含む。
【0042】
フォールトトレランス条件には、次のようなものがある。
1.光電センサの電気的短絡又は開回路を介した単一障害。このような障害は、開回路の場合、短絡又は浮遊状態の場合、ゼロの電圧出力を引き起こす。いずれかの障害状態では、プロセッサは、ビームのシャットダウンを自動的にトリガする数クロックサイクルにわたって繰り返されるビットシーケンスを認識する。
2.プロセッサ又はレーザ電源のいずれかに単一の障害が発生し、電気的短絡又は開回路が発生した。開回路の場合、そこには電流給電電源回路がないであろう。従って、レーザダイオードへの通電のための可能なメカニズムは存在しないであろう。短絡の場合、プロセッサは、レーザ電源スイッチにプロセッサのトリガ状態に対して、前述の監視対象のレーザダイオード電流のチェックを実行する機能を持っている。現在の読み取り値は、回路に存在する電流又は存在しない電流をそれぞれ表す1又は0として解釈される。そのバイナリ出力は、OR演算を介してプロセッサのトリガ状態と比較できる。この比較は、危険な状況でレーザダイオードへの供給を停止する信号を出力する場合がある。
3.障害状態に関する追加のソフトウェアチェック。これには、レーザのハイパワー供給を開始する前に、割り当てられた予想信号が複数存在する必要がある。これらの特定の信号の不在又は公称外の値があると、レーザダイオードはオフのままになる。
【0043】
実施形態では、安全性光電子部品は、IR波長で特異的に検出するために設計されたが、ハイパワーのレーザ波長とは異なることができる。同じ動作波長に対応するフォトダイオード/LEDペアを使用することで、追加の集束光学素子や調整光学素子を必要とせずに、ほぼ180度の全角視野(FOV)で通信できる。
【0044】
本明細書に記載される安全システムの動作及び実装の方法は、システム状態データの、ユーザインターフェース(UI)を介して決定可能な任意のリモートプロセッサへの通信を同様に可能にする。これは、障害物や中断を手動で削除することにより、潜在的な接続問題を修正するためにさらに使用できる。この実施形態では、特定のビット数(時間)に対するシグナルの欠如は、現在の故障をユーザに通知送信されるUIメッセージにつながる可能性がある。メッセージタイプは、ローパワーレーザビーム、FSOCリンクから受信したデータから解釈される。FSO信号を使用するために大幅に簡略化されるが、内部の電気的変調又はメッセージは、プロセッサに負担をかけることなく、はるかに複雑であることができる。これにより、システムの稼働時間、全体的な機能効率、使いやすさが向上する。
【0045】
次に、図2に最初に示されている受信機に戻り、図3に示すように、受信機又はホスト構造、すなわち受信機60が設置されるデバイスの一部として、受信機60は、フォトダイオードアレイ63を含むフォトダイオードアセンブリ62から構成される。フォトダイオードアレイ63又はダイオードは、ダイオードベースの技術に限定されず、現在存在するかまたは将来開発され、同様に実行することができる代替技術で実装されてもよい。また、フォトダイオードアセンブリ62は、ワイヤレス電力伝達の実施形態に限定されない。本開示のフォトダイオードアセンブリは、正確な位置合わせを必要とする用途、極端な環境での光信号を伴う用途、または同様の実施形態において、電流及び電圧への光の効率的な伝達が望まれる他の様々な実施形態に容易に適合され得る。
【0046】
実施形態では、フォトダイオードアセンブリ63は、電流及び電圧の形式で電力を受け取り、例えばブースト変換器などの電圧と電流を電池充電に使用可能な電圧と電流に変換する光電変換器64と、充電式蓄電デバイス又は電池68に印加される電流とバイアス電圧の流れを制御する電池充電管理部66と、低電力プロセッサ/コントローラ70とを介して、適切に電圧を変換する高光電変換及び関連するパワーエレクトロニクス回路で対応することができる。プロセッサコントローラは、フォトダイオードアセンブリ62と電池充電管理部66の両方からの電圧と電流の出力をサンプリングし、遠隔の送信機ユニットとの間でデジタル信号とアナログ信号をエンコード及び変調/復調し、ローカルバッファから送信されたユーザ情報を、RF接続(これは、Bluetooth、WiFi、又は類似の形式)にプッシュし、温度センサ72を介してフォトダイオードアセンブリのヒートシンクの温度を監視し、アンテナ73又はローパワーレーザビームを介して遠隔の送信機にその状態を通知する。
【0047】
カオス的で予測不可能なユーザ環境に配置されたシステムの使いやすさを向上させるために、RGBステータスLED75などの1つ又はそれ以上のビジュアルUIインジケータを追加できる。実施形態では、メインUI75は、異なる又は類似の状態を有するが、同一の状態ではない視覚的インジケータを表示する。各状態は、単純な意味で、受信機、送信機、又はその両方の全体的な状態を表す。そのような視覚的インジケータを介した複数の状態表現により、ユーザはシステムとより効率的に対話することができる。実施形態では、中央にドットがある小さな円は、視覚的インジケータ及び1つの状態を表す。ドットが点滅している小さな円は、第2の状態を表す。ドットのない円は、第3の状態を表す。点滅する円は4番目の状態を表す。追加の状態を表すために、種々の色を種々の組み合わせで円と点に使用できる。これらの前述の無秩序な環境では、視覚的インジケータがユーザの知識の手がかりを提供する。そのような実装の1つでは、第2の状態は、送信機と受信機の間のLOSに部分的又は完全なブロックがあることを意味する可能性がある。第1の状態は、デバイスが無線電力伝送に従事していることを表し、第3の状態は、送信機が受信機を見つけようとしていることを表し、第4の状態は、送信機と受信機が同期していないことを表す。
【0048】
さらなる受信機60の要素は、以下を含む。
ハイパワーレーザビームを受けたときにフォトダイオードアセンブリの熱特性を制御することができるヒートシンク/スプレッダ要素74;
フォトダイオードアセンブリ63と一緒に配置されたIR通信フォトダイオード76;
フォトダイオードアセンブリ63及び複合放物面集光器(CPC)ミラー要素80と同じ場所に配置されたIRLED78;
反射防止(AR)コーティングされた、引っかき抵抗性のある窓面(図示せず)であって、ミラー要素80上のコレクタ入口にある窓面;
電池68のモジュラアタッチメント又は受信機再充電可能ユニットの組み込みのためのリチウムイオン又はリチウムポリマー電池筐体(図示せず);
上記の要素をパッケージング及び/又は収容するためのデバイス筐体(図示せず)。
実施形態では、受信機デバイスは、家庭用電化製品、医療、又は産業の産業で使用されるより大きなデバイスに統合することができる。
【0049】
フォトダイオードアセンブリ63は、ハイパワー光ビームを捕捉し、電流及び電圧の形式で電力に変換することができる。パワーエレクトロニクス回路は、フォトダイオードアセンブリからの出力電圧および電流を使用し、それを電圧コンバータ64を通して、電池又は再充電可能な負荷インピーダンスに応じて、電池の充電に適用可能な電圧に変換することができる。いくつかの実施形態では、フォトダイオードアセンブリ63の生の出力が、接続されたエネルギー貯蔵装置65の動作電圧及び電流内に収まる場合があるため、電圧変換器64は必要でない場合がある。パワーエレクトロニクス回路はまた、フォトダイオードアセンブリ63の入力インピーダンスを追跡し、このデバイスインピーダンスに基づいて、最大電力点追跡(MPPT)の形式で電圧及び電流を制御し得る。電池充電管理部66の回路は、再充電可能な記憶デバイスの構成毎の最適な充電サイクルに基づいて、再充電可能な記憶デバイス68への電流および電圧を制御することを担当することができる。電池充電管理部66によって出力された電流及び/又は電圧は、電流/電圧測定器67によって測定され得る。フォトダイオードアセンブリからの出力は、受信機システムの他のアクティブ(能動)素子に一時的に電力を供給するために使用することもできる。
【0050】
ARM Cortex又は同様のプロセッサなどのプロセッサ又はコントローラ70は、フォトダイオードアセンブリ63及び電圧変換器64の出力電圧情報からデータを収集し、エンコーダ/デコーダ77を介して、IR送信機82による変調プロセスを介して搬送波にその情報をエンコードすることができる。電圧フィードバック情報は、送信機ビームの着陸精度と緊急又は危険検出信号の解釈を提供する。プロセッサ70はまた、受信された任意の送信機生成信号の復調、その情報の復号、およびその情報に起因する任意の提案されたアクションの処理及び実行を担当することもできる。プロセッサ70はさらに、Bluetooth、WiFi、又は他のRF接続へのその後のプッシュのために、必要な情報に基づいて遠隔の蓄電位置に転送するためのシステム効率及びシステムヘルスに関する情報や統計などの情報を、必要な特定の情報のタイミングに基づいてローカルバッファ(図示せず)に保存する。
【0051】
IRフォトダイオード76は、入射するIRローパワーレーザビーム信号を電気パルスに変換し、電気パルスは増幅されてプロセッサ又はコントローラ70に送られる。IR LED78は、広いFOVで受信機の機械的構造の外部に送信するために、電気パルスを光信号に変換する。CPCデバイス80の入力端子に接続され、フォトダイオードアセンブリ62の上のウィンドウ素子などの光学機械デバイス筐体(図示せず)は、敏感な光学機械デバイスの表面を密封し、受信機/構造の連続的な外部モールドライン(OML)を確保し、入射光と出射光の好ましい光路を確保する。
【0052】
図13のレンズステージによってさらに示されるように、入口を密封するために使用される窓は、CPC80の内部の後方反射が外部環境に集束するのを防ぐために、最外表面近くに分散特性を有することもできる。出口での光の収集を支援するため、最内面近くの集光特性。そのような特性は、図12によってさらに示されるように、フレネルレンズ600の配置で達成することができる。フレネルレンズ600は、入射光をフォトダイオードアセンブリ602に集束させ、CPC80内で反射され、フォトダイオードアセンブリによって捕捉されなかった放射を拡散させる。より具体的には、フレネルレンズ又は他のレンズ600は、入射放射線を入口で出口の開口及びフォトダイオードアセンブリ602に集中させるために正の焦点距離を有することができる。同時に、フレネルレンズの最も内側の表面は、CPC80内の反射された放射をより広い領域にわたってCPC80に拡散させるために、負の焦点距離を有することができる。受信機の入口からの光の発散は、システム全体のレーザの安全性をさらに高める。図13に示すように、1つ又はそれ以上のフレネルレンズ600は、2つのプライマ層602及び604の間、2つの熱硬化ディップコート606及び608の間、2つの硬質反射防止スタック610及び612の間に挟まれ、これらの外面は超撥油性/疎水性トップコート614でコーティングされる。
【0053】
図4A及び図4Bを参照して以下でさらに説明するように、CPCミラー80が使用され、受信機60が配置される筐体に合わせたサイズにされる。CPCミラー80は、純粋な光収集のために、受信機10のFOV光捕捉を増加させるために、及びフォトダイオードアセンブリ63の改善調整された均一な照明のために使用されてもよい。ミラー80の内面は、可能な限り最大限にビーム出力を維持するために、堆積された金属の薄層でコーティングされてもよい。図4Bに示す実施形態では、CPCミラー80は、システムのFOVをさらに増大させるために、入口に向かって浅い角度81で切り取られるか、もしくは延長されてもよい。浅い角度又は面取りされた表面は、CPCの周りに360度又はアプリケーションの優先度が少ない場合もある。完全な受信デバイスに構成可能であって電気的に接続される、リチウムイオン又はLiPo電池セル又はコンデンサのバンク又はスーパー電池を含むが、これらに限定されない、コンパクトなエネルギー貯蔵装置68を収納するための機械的構造を含むモジュラ式電池ハウジング(図示せず)も使用できる。
【0054】
受信機は、電力受信サブシステムと通信サブシステムの2つの主要なサブシステムで構成される。サブシステムの機能は、モジュール間のインターフェース要件を最小限に抑えてモジュール化するように設計できる。モジュールシステム設計の目的は、電源のみの実装又は通信のみの実装、あるいはその両方を可能にすることである。モジュール設計では、他からの入力に基づいて機能タスクを実行するインターフェース(つまり、サブシステムIO)を別のホストシステムに再プログラムするか、開いたままにすることができる。これの技術的な意味は、FSOCサブシステム又は電力受信チェーンだけを複数の上流システムに組み込む能力である。
【0055】
受信機の構成要素は、シンプルさと小さなフォームファクタを念頭に置いて設計できる。受信機を家庭用電化製品に組み込むことにより、サイズ、電力使用量、および電力密度の要件が設定される可能性があり、これらは後でそのようなデバイスの標準に開発できる。ボード/デバイスのスペースと電力消費を減らすために、電気回路はできるだけシンプルに保つことができる。電圧変換器64は、デバイスサイズを減少させることにおいて役割を果たすことができる。ブースト変換器64は、トランスデューサの出力電圧を適切な電池充電電圧に増加させることに関与し得る。すべての変換器ステージでも電力の使用が必要な場合がある(これらはアクティブスイッチング構成要素であるため)。これにより、受信機10の全体的な効率が低下する。この段階で効率の損失を8%未満に減らすために、ブースト変換器64は、太陽電池システムで同様に実装されているが、IRで使用されることが知られていない最大多重電力点追跡(MPPT)を、最初の変換器ステージ内のレーザベースのシステムにおいて使用できる。MPPTアーキテクチャは、回路とデバイスのインピーダンスを確実に一致させることにより、フォトダイオードアセンブリから供給される電力を最大化するために、必要な入力インピーダンスをプローブする「テスト及び調整」タイプである。
【0056】
追加の電池充電管理部66を使用して、リチウムイオン、リチウムポリマー、又は他の電池ケミストリーの完全な充電サイクルに対応できるようにすることができる。ホスト受信機の電池又はストレージデバイスがリチウムベースでない場合、充電管理部は不要である。フォトダイオードアセンブリ62と電圧変換器64との間で、フィルタ電力を電圧変換器64に提供するために、バルク/ストレージコンデンサ84も使用され得る。
【0057】
受信機60の設計はまた、リードをできるだけ短くしてリード抵抗及び分布インダクタンスを最小限に抑えることを求めてもよく、つまり、過渡充電サイクル用に求めてもよい。光/電気変換器の実施形態であるフォトダイオードアセンブリの電圧出力は、プロセッサ70によってサンプリングされてもよく、安全サブシステムの一部とみなすことができる。サンプリングされたデータを保存し、エンコーダ/デコーダ77に転送して、FSOC LED78によって送信される所定のキャリア周波数でビットシーケンスをエンコードすることができる。このアーキテクチャの独自性の1つは、受信機60が単純なビットストリームを送信機10に送信し、メッセージオーバーヘッドをほとんど必要としないメッセージを送信することである。送信機10のプロセッサは、ビットシーケンスを解釈するという点で、重いリフティング動作を実行する。
【0058】
最後に、受信機60のコアロジックは、プロセッサ70で構成してもよい。プロセッサ70は、IR送受信機82及びエンコーダ/デコーダ77からのフィードバックを解釈することができる。受信機60はまた、IrDA(赤外線データ協会)標準に対する改良である通信システムを組み込んでもよい。IrDA規格は1cmから1mの間で動作するように設計されるため、現在開示される技術をより有用かつ際立たせるためには、より広い範囲が必要である。同時に、周囲の光源がセンサを汚染し、小さな光入力信号に干渉を引き起こす可能性がある。実施形態においてこの問題を克服するために、フォトダイオード受信機76上の半球レンズとIRFSOC光の倍率を増加させ、フォトダイオード受信機のバックエンドに狭帯域のバンドパスフィルタを設計することが望ましいかもしれない。DC環境の外部電源と散発的な外部電源の両方を抑圧するときに、バンドパスフィルタを介して、波長の特定の帯域のみを可能にする。FSOC LEDを最大供給レベルで駆動すると、目の安全制限値を維持しながら、距離がさらに増加する場合がある。
【0059】
受信機60の光学アーキテクチャは、図4A図4B及び図13に示されるように、主に、耐スクラッチ性の疎水性、及びおそらく疎油性の反射防止(AR)コーティングされた光学窓90から構成され得る。光学窓90は、レンズスタックとして知られており、受信機60が組み込まれている受信機とインターフェースをとる。受信機と周囲環境との外部光インターフェースは、オフセット又は隆起面(又はドーム面)で発生することがあり傷や破損を回避するように面一であってもよい。窓自体は、ARコーティングされていて、耐スクラッチ性と疎水性/疎油性を示す。これにより、CPCの入口できれいなIR透過面が維持され、光学面の汚れ、湿気、汚れの貯蔵を防ぎながら受信機のフォトダイオードアセンブリへのビーム経路の忠実度が確保される。
【0060】
前述のように、さらに図4A及び図4Bに示すように、CPCミラー80は、その出口で、フォトダイオードアセンブリ63にその入口に入射光の焦点を合わせることができる。光電変換器は、図3のFSOC LED78及びIRフォトダイオード76と結合されてもよい。CPCミラー80は、光コレクタとして独特の形状であってもよく、システム全体のFOVを実質的に増加させ得る。CPCミラーの利点の1つは、フォトダイオードに対する光の合焦のための集光レンズが不要になることである。CPCの内部壁は、100~300nmの銀又は金又はアルミニウムでコーティングされる。部品寿命を延ばすために環境保護層を備えた実施形態に依存する。コーティングの背後にあるポイントは、IRビーム波長範囲全体で最大の反射率を確保することである。この界面での反射又は吸収による損失は1%未満である場合がある。CPCミラー80の全体的な形状は、2つの放物線の交差に基づくことができ、外観のようなコーンやボウルを有することができる。図4Bに示すように、CPCはさらにOML又は増大システムFOVを可能にするための接続に縁端部81をテーパ化することを可能にするために、ミラーの入口側で切りとることもある。
【0061】
フォトダイオードアセンブリ63は、CPCミラー80のベースに統合されて、入射光への最大の露出を確実にすることができる。上述したように、NIRARコーティングは、デバイスの外面と同一平面である上部ウィンドウ表面90に適用されてもよい。確率的なユーザ環境に耐えるために、表面を劣化させ従ってシステムの全体的な有効性を劣化させる表面のスクラッチの可能性を減少させるために、上面にハードコートを維持する必要があるかもしれない。さらに、指紋やその他の環境汚染物質は、部品の寿命中に存在する可能性がある。疎水性表面は、表面汚染を最小限に抑えるのに役立つ。疎水性層は、製造中及び使用中に、一時的及び永続的なコーティングを介して実装可能であり得る。同様の統合を疎油性コーティングに使用することができる。従って、ユーザは必要に応じて光学面を「修正」することができ、これは性能の向上につながる可能性がある。IR LED78及びIR PD76は、受信機60の通信及び安全サブシステムのベースを形成する。前述のように、FSOCローパワーレーザビームはハイパワービームと一緒に伝播して、ハイパワービームの周囲に仮想筐体を形成する。従って、ハイパワーレーザビームの構成要素であるFOVは、ハイパワーレーザビームがFSOCローパワーレーザビームとの通信リンクの光円錐内に含まれたままとなりかつ可能なすべてのパワービーム位置において送信機10との通信リンクが保持されることを確実にするために、ハイパワーレーザビームの構成要素であるFOV以上である必要がある。様々な実施形態では、いずれかのアクティブ又はパッシブレンズや光学材料は、さらに収束させるためFSOCビームを発散し、パワービームに対してそのようなカバレッジを確保するために、ローパワーレーザビームのビーム経路に追加することができる。FSOC光電子部品は、受電フォトダイオードアセンブリのできるだけ近くに配置される。これらの実施形態は、さらに伝送範囲の要件があるアプリケーションを含むかもしれない。
【0062】
統合される受信機の全体的な物理サイズは、その受信機が使用される環境と互換性があるように設計される場合がある。多くのモバイル家電アプリケーションでは、これは、1辺当たりの寸法が10mm以下の範囲であることを意味する。しかしながら、これらの寸法は単なる例示であり、本開示はそのような寸法に限定されない。それでも、小さなボリュームを維持することで、技術をさまざまなハードウェアデバイスに統合できる場合がある。CPCミラー80の全体的な支持構造(図示せず)は、CPC/フォトダイオードアセンブリの安定化を中心とすることができる。CPC自体は個別に製造することも、光学材料でできた立方体から切り出すこともできる。CPCとフォトダイオードの統合は、受信機への統合と同時に、又はそれ以前に行われる場合がある。
【0063】
次に、図5図11を参照して、受信機のフォトダイオードアセンブリ63に移る。フォトダイオードアセンブリ63は、特にハイパワーレーザ光から電気への変換のために設計されたバックコンタクトフォトダイオードアセンブリであり得る。図9A及び図9Bを参照して以下でさらに説明するように、パイウェッジ光子露出を最大化し、部品実装面積を減少させ、さらにはパイウェッジ内の各フォトダイオードからの均一な応答を実現するために、バックコンタクトフォトダイオードアセンブリは、パイウェッジにおいて配置された複数の感光性領域から構成されてもよい。デバイスのバンド構造は、そこから形成されるInGa1-xAs半導体材料の組成の操作により、狭波長の吸収を最適化するように特別に設計できる。つまり、「x」は、光が効率的に(>95%)2~5μmの厚さで吸収されるように慎重に選択され、一方、バンドギャップは光子エネルギーよりわずかに小さいだけで、電力変換効率を最大化できる。電気経路と熱経路の両方として機能するバックコンタクトは、最小の直列抵抗、十分な熱容量、放熱のため、及び大量生産のための大きな表面積を持つサイズにすることができる。これらの各側面について、以下でさらに詳しく説明する。
【0064】
図5に示すように、基板上面100、すなわち、光が入射する面は途切れのない(遮断されない)バルクであって低濃度にドープされたInP基板である。この明細書では、低濃度にドープされたとは、不純物の濃度が<1016原子/cmであることを意味する。入射する放射線がInPの表面で反射するのを防ぐために、上部基板層100は、厚さの薄い反射防止層102で被覆することができ、この厚さは目的の入射放射線の4分の1波長に一致する。反射防止(AR)層102は、屈折率の積(nair×nsemiconductor)の平方根に近い屈折率を有するSi又は別の化合物であってよい。基板100及び下にある層は、InP/InGaAsの材料において、1400~1600nmの光の吸収係数に基づいて、サイズが決められてもよい。波長の関数としての光の侵入深さは、図6にさらに示される。プロットに示されるように、アクティブInGaAs領域200内では、ほとんどの光が数ミクロン以内で完全に吸収される。
【0065】
フォトダイオードアセンブリ63の活性領域に関する追加の考慮事項は、撮像された電子及び正孔がこの領域内の電界設定によりn+及びp+領域に拡散する空乏幅のサイズ又は面積である。この活性領域内では、電界は、電子が電子正孔対を生成するために分離されるように非常に強い可能性がある。分離に必要な対応するエネルギーは、バンドギャップエネルギーとして知られる。バンドギャップエネルギーと入射光の波長の知識を組み合わせると、材料の原子濃度を最適化できる場合がある。基板層100とInGaAs層104との間には、さらに図7に示すように、電子と正孔がInP基板層100に漏れて戻るのを防ぐヘテロ接合バッファ層106がある。言い換えると、106バッファヘテロ接合は、一方向(一番上のInP層ではなく、一番下のn+/p+電極領域108のみ)フォトキャリアの収集を実行する。これは、効率的な光エネルギーから電気エネルギーへの変換を実現するための理想的な状況である。
【0066】
図8にさらに示されるように、電子正孔対は、入射光の関数としてアクティブなn+/p+電極領域108内に生成される。従って、PIN構造は、それらと電極領域108との間に小さな幅を有する交互のn+/p+電極領域108を介して形成することができる。分離距離が短いと、アクティブ領域内の解放された電子114がn+領域に向かって掃引され、アクティブ領域内の正孔116がp+領域に向かって掃引され、安定した電流が生成される。n+及びp+電極領域108は、互いにかみ合ったバックコンタクト110への導電経路が存在するように構成され得る。バックコンタクト間の薄いパッシベーション層112は、電極領域が直接短絡するのを防ぐことができる。パッシベーション層112は、複数の適切な材料(Cu、Al、Agなど)から作製され得る。
【0067】
前述のように、バックコンタクト、指状構造の形態の各々は、p+/n+電極領域108との間の間隔に基づいて噛み合わされる。これは、フォトダイオードアセンブリ63の裏側に等間隔で配置された分散型周期構造を有することにより、収集効率を向上させることができる。バックコンタクトは、直列抵抗を低減するために、パイ形状のセクションに形成された微細構造である場合がある。図9Aに示す実施形態では、交互の嵌合指210と212は、実質的にまっすぐである。図9Bに示す第2の実施形態では、互いに嵌合した指210及び212は、デバイス全体の曲率半径に一致するように形作られてもよい。例えば、図9Bに示すように、各パイ形状のセクション250は、中央領域252に向かって小さく、実質的に長い外側の領域254に向けて指を互いに嵌合するフォトダイオードアセンブリ63の円形の形状に適合するように、わずかに湾曲して互いに嵌合した指を有する。p+/n+領域を成形することにより、当該領域は、フォトダイオードアセンブリ63の円形の形状に適合するように、バックコンタクト電極に隣接し、全体的な捕集効率と電力変換効率を向上させることができる。
【0068】
アノード200は、フォトダイオードアセンブリ63の周りのカソード202ccw(反時計回り)に直列に接続される。シリアル接続により、個々のセクションのそれぞれによって生成されるしきい値電圧を加算することができ、これにより、デバイス端子で総電圧が生成される。アセンブリのセクションは、各セクションの相対的な照度を決定するように、図11の監視ポイント400によって示されるように出力電圧を測定することでさらに監視できる。この電圧情報は、送信機に伝送されて、ビーム指向を改善調整するのに役立つ。微細な指構造は、p+/n+電極領域108の真下に配置され、ここで、最大の写真のコレクション-活性領域内に発生した電子が発生する可能性がある。互いに嵌合した(インターデジタル)設計により、電極領域の指を細かく配置して、n+/p+電極領域108にまたがる連続フィールド構造をセットアップできる。直列抵抗を減らすために指の長さを最小化することができ、周期電極レールセクションにセクションから低抵抗接続を提供する。微細な指構造の短絡、シリコーンポリマ、h-BN、又は同様の電気抵抗材料によるギャップ充填を防ぐため、裏面は、十分なアイソレーション206を提供することができる。上部のInP表面100は、本発明の必要バルク基板100の光電子性能に依存しないので、エッチング又はバックコンタクトパターンのような離散的なセクションに分割する必要がないことに注意すべきである。
【0069】
本開示のフォトダイオードアセンブリ63は、様々な形態で統合され得る。図10にさらに示されるような1つのそのような方法は、アノードとカソードがトレース等のデバイスからルーティングされるようにPCB(プリント回路基板)への統合を含む。この実施形態では、デバイスは、様々な形態で使用されてもよく、例えば、共同設置デバイスに電力を供給するレーザベースの無線電力伝送システム、ハイパワーレーザを含む用途に使用されるセンサで使用される受容体要素、個々のセクションのフィードバックに基づいて、又は複数の他の光学ベースのシステムに基づいて個別に配線した場合において微調整又はアライメントセンサとして使用されてもよい。アプリケーションに基づいて、複雑なシステム又はスタンドアロンシステムへのさらなる統合も可能である。
【0070】
図10及び図11において、InGaAsのアセンブリ/チップ300は、銅薄膜302の小さな部分に接着されてもよい。結合領域は、小さな電気絶縁層(図示せず)を銅薄膜と背面電極接点との間に適用して、フォトダイオードアセンブリ/チップ300の背面全体をカバーしてもよい。銅薄膜302は、熱伝導エポキシ層304によって、PCB上において、ヒートシンク306及び/又はブランク銅注入308に結合されてもよい(その厚さは異なる場合がある)。アノード電極は、チップの側面から出て、トレース又は配線を介してPCBに直接に接続できる。従って、開示されたデバイスは、モジュール性を高め、電極パッドを介したコンポーネントの統合を容易にするためにコンパクトなフォームファクタを維持することができる。開示されたデバイスはまた、負荷の要件と下流の回路への入力の期待に依存して並列配線を可能にすることができる。
【0071】
電力伝送デバイスの全体的な動作は、以下のように説明され得る。受信機は、充電状態(「SOC」)又は電源電圧又は、他の複数のインジケータが、事前定義されたしきい値よりも低いことを認識し、組み込みの無線電力転送ハードウェアに対してpingを送信することでネットワーク接続を確認して起動させる。受信機の前面にあるIR LEDは、近くの送信機への「ビーコン信号」として定期的に光を放射し始める。ビーコン信号は、キャリア信号の上に変調された短いデジタルデータストリームで構成され、デバイスの一意ID(デバイス名、製造元、リビジョン、タイプ等)、充電状態(SOC)の表示、ロックIDを生成するための送信機のための情報を含むFSOC信号である。ロックIDは、受信機の最後の既知の位置の位置ベースのレコード(ビームステアリングサブアセンブリに対する座標)として送信機内で生成されて、FSOCリンクを介して受信機によって確認される。別の実施形態では、受信機は、近くの送信機に状態情報を通信するためにRFアンテナに内蔵されて使用することができる。送信機は、内蔵RFアンテナを使用して、受信機のSOC、電池電圧などをチェックでき、無線電力ビーミングプロセスに参加する受信機の能力を決定する。実施形態では、送信機は、送信機が受信機の電池残量が少ないために有益であると判断した場合において、無線電力ビーム(ビーム操向)工程で受信機と係合しないように選択することができる。送信機は、デバイスの優先順位が次のように設定される場合、特定の受信機との関与を拒否することもできる。
1)他のより重要なユニットは、送信機が要求側デバイスに提供できる以上の電力を必要とする;
2)送信したデバイスIDは、ターゲット送信機によって修理できないと判断される(例えばデバイスのファームウェア又はハードウェアは、認可日切れ又は無認可である);もしくは、
3)受信機において認識エラー状態の集合がある。
次に、送信機は受信機への接続を解放することで、他の受信機の機能は、優先順位を取ることができる。
【0072】
その間、送信機は、ビーコン信号のために、そのIRフォトダイオードを監視し、そのフォトダイオードがビーコン信号によって活性化されるとき、受信機のデジタル情報を処理することができる。ビーコン信号が検出されると、送信機のIRカメラが「アイドル」状態から「アクティブ」状態に切り替わり、受信機からのIRビーコンの位置特定を開始する。IRカメラの状態が変わり、つまり、所定の「検出なし」期間が経過した後にのみアクティブからアイドルに状態が変化する時間は、送信機のIRフォトダイオードが最後に信号を検出した後約30秒になる(時間期間であって、すなわち、本実施形態の方法を変更しないより長い又はより少ない時間である)。
【0073】
送信機のIRカメラがビーコン信号のおおよその位置を特定した後、FSOCを介した継続的な通信リンクを確立できる。送信機のIRローパワーレーザダイオードは、識別された受信機のおおよその位置の近くで、局所的なスキャンパターンを実行し始める。そのスキャンが受信フォトダイオードによってキャッチされると、通信リンク/ハンドシェイクが確立される。リンクを確立するための所定の期間は、「ハンドシェイクイベント時間」と呼ばれる。上述のように、ローパワー送信機のIRビームは送信機のハイパワービームと一致する。送信機のローパワーレーザビームは、受信機のビーコンフォトダイオードで、受信機の出力ビームフォトダイオードで送信機のハイパワービームよりも大きなスポットサイズを生成する。
【0074】
ハンドシェイクのイベントが発生すると、ローパワー設定において送信機のハイパワーレーザビームは、受信機のフォトダイオードに対してビーム放射する電力を見つけるために、送信機のローパワーレーザダイオードによって局所領域を横切って掃引する。ローパワーレーザダイオードは、状態に基づいて出力スポットを変更してもよい。これは、電気的にアクティブ化された光学系を含み、例えば液体レンズであってもよい。受信機のLEDは、確立された通信チャネルを介して、マイクロ秒間隔で送信機にバックパワーデータを報告する。送信機のIRパワービームが極大値を横切って戻ると、受信機IR LEDによって報告され、位置特定は完了したと見なすことができ、デバイスのタイプに合わせてハイパワービーム供給を増やすことができる。ローパワーレーザビームは送信機のフォトダイオードとの連続的な通信を維持することで、転送効率、受信電力、SOC、及びパワーフォトダイオードからの電流と電圧の読み取り値に関する情報を提供する。
【0075】
所定の安全遮断時間よりも長く続く報告された情報の損失は、安全なレベルまでビームパワーを減少させるために、送信機レーザドライバに対して内部で生成危険警告信号を生じさせる。ビームの終わりのアクティビティは、(データの欠落又は特定のビットシーケンスを通じて)受信機のIR LEDによって直接通知され、送信機IRフォトダイオードによって解釈される。ビーム終了アクティビティ信号の持続時間は、所定の安全遮断時間より長くはない。
【0076】
ビーム動作が終了した場合、例えば、受信機電源のフォトダイオードアセンブリからのリンクマージン効率や電圧/電流の統計が違反した場合、送信機は、受信機の最後の既知の位置と、追跡が要求されたときの送信機によって格納された前記ロックIDとを用いて、受信機のパワーのフォトダイオードに対して再び位置特定を試みる。前記同じ送信機のスキャンパターンは、受信機のIR LEDが報告する入射パワーともに用いられる。
【0077】
送信機又は受信機の電子機器が(外部LOSの中断に対する)公称動作が阻害する内部状態を決定した場合、送信機/受信機はそれを受信機/送信機に伝え、フェイルセーフモードに入る。障害が解消されるまで、それ以上の通信や電力伝送は行われない。障害は以下のカテゴリごとに分類される:内部リセット可能、外部リセット可能、ユーザ機器「UE」、交換など。送信機又は受信機のいずれかがフェイルセーフモードであることの表示は、UEに送信し、エラーメッセージに点滅LEDで視覚的に示される。現在説明される動作方法は、本明細書に記載される特に開示された電力伝送システムの文脈で説明されるが、操作方法は、ちょうど記載されたデバイスに限定されるものではなく、本開示に係る電力伝送デバイスの異なるタイプで実現することができる。
【0078】
実施形態では、無線電力伝送システムのための送受信機アセンブリは、送受信機システムを含み、送受信機システムは、
送信機からハイパワーレーザビームを受け取り、ハイパワーレーザビームを電気エネルギーに変換するように構成されたフォトダイオードアセンブリと;
フォトダイオードアセンブリから、電圧変換器に電気的に結合されたエネルギー貯蔵装置への電力伝送を最大化するように、フォトダイオードアセンブリの電圧測定に基づいて、入力インピーダンスを調整するように構成された電圧変換器とを備え、ここで、前記入力インピーダンスの調整は、エネルギー貯蔵装置の充電効率を高め;
送受信機システムは、送信機を用いて、自由空間光通信を可能にするように構成される発光ダイオードとフォトダイオードを備え;
発光ダイオードは、少なくともエネルギー貯蔵装置が充電を必要とするときに、送受信機の存在及び位置を示す信号を送信機に放射する。
【0079】
実施形態では、発光ダイオードは、フォトダイオードアセンブリを用いて、ハイパワーレーザビームのアライメントに関する情報を含む信号を送信するようにさらに構成される。実施形態では、発光ダイオードは、エネルギー貯蔵装置に配信される光パワーの量に関する情報を含む信号を送信するようにさらに構成される。実施形態では、発光ダイオードは、エネルギー貯蔵装置の電圧に関する情報を含む信号を送信するようにさらに構成される。実施形態では、発光ダイオードは、送受信機システムが埋め込まれたデバイスに関する情報を含む信号を送信するようにさらに構成される。
【0080】
実施形態では、発光ダイオードとフォトダイオードは、フォトダイオードアセンブリの空間平面上であって、フォトダイオードアセンブリとできるだけ近接して位置するように配置される。
【0081】
実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、電池、コンデンサのバンク、及びスーパーコンデンサのバンクのうちの1つ又はそれ以上である。
【0082】
実施形態では、電圧変換器はさらに、非エネルギー貯蔵装置に電力を直接に提供する。
【0083】
実施形態では、フォトダイオードアセンブリのカソードは、送受信機システムの低ノイズ動作のための専のためのリターンパスを提供するように、電気的に送受信機システムのための接地から絶縁されるように構成される。
【0084】
実施形態では、フォトダイオードアセンブリのリード線は、抵抗性損失と誘導性損失を減らすように構成される。
【0085】
実施形態では、送受信機システムはさらに、エネルギー貯蔵装置の上流にあるコンデンサを含み、ここで、コンデンサは、エネルギー貯蔵装置の端子における電流又は電圧の急速な上昇及び下降を減少させるように構成される。
【0086】
実施形態では、発光ダイオードとフォトダイオードの第1のトレースとフォトダイオードアセンブリと電圧変換器の第2のトレースは、第1のトレース及び第2のトレースとの間の電気的ノイズの結合を防止するように、物理的に互いに分離されるように構成される。
【0087】
実施形態では、送受信機システムはさらに、所定の制限値を超える、送受信機システムの周囲の温度を示すように構成された温度センサを含み、発光ダイオードは、温度が所定の制限値を超えたときにハイパワーレーザビームの送信を停止するための送信機へのメッセージを含む信号を放射する。
【0088】
実施形態では、送受信機システムは、コンパクトなデバイスに統合されるように構成される。
【0089】
実施形態では、フォトダイオードアセンブリは、
光露出面と内部面を有する基板層と;
光露出面に隣接し、入射光が光露出面の表面で反射するのを防止するように構成される反射防止層と;
内側に隣接して配置されたヘテロ接合バッファ層;
ヘテロ接合バッファ層に隣接して配置され、入射光から光子を分離した電子正孔対に変換するように構成されたアクティブ領域であって、ヘテロ接合バッファが解放された電子正孔対の電子と正孔が基板層に向かって移動するのを防止するように構成され;
フォトダイオードアセンブリは、
アクティブ領域に隣接して配置され、各n+電極と各p+電極の間にギャップがある交互のパターンで構成され、さらに電子と正孔の移動から電流を受信して生成するように構成され、これにより電流のための電気経路を提供し、熱経路を提供する複数のn+電極とp+電極を備え;
交互のパターンは一連のパイ形状のセクションを含み;
各パイ形状のセクションは、n+電極とp+電極の中央領域に隣接する狭い端部を有し;
各パイ形状のセクションは、n+電極の行とp+電極の行とで交互配置されて形成され;
送受信機システムはさらに、
n+電極の行に対応する交互のパターンの一部と整列するように構成されたアノードバックコンタクトと;
p+電極の行に対応する交互のパターンの一部と整列するように構成されたカソードバックコンタクトとを備える。
【0090】
実施形態では、受信機はさらに、フォトダイオードアセンブリの非照射側と接触して配置され、フォトダイオードアセンブリの高強度の露光中に熱を逃がすように構成される薄膜熱散逸材料を含む。実施形態では、基板層は、入射光の散乱を回避するように構成されたエッチピッチ密度を有する。実施形態では、ヘテロバッファ層は、全体の材料の不均一な濃度を含み、よりマッチした構造を形成するように構成される。実施形態では、電流は、アノードバックコンタクトと各パイ形状のセクションのカソードバックコンタクトの一つ以上で測定可能である。各パイ形状のセクションの測定された電流は、各パイ形状のセクションのハイパワーレーザビームからの相対照明強度に対応し、前記各パイ形状のセクションの測定された電流がハイパワーレーザビームの方向を調整するために送信機に信号として出射される。
【0091】
実施形態では、出口開口部への入口開口部を画定し、入口開口部を出口開口部に接続する湾曲した内部壁部を有する複合放物面集光器ミラーをさらに備える。入口開口部は、出口開口部よりも大きく、内部壁部は、入口開口部に入射するレーザ光の大部分を出口開口部に対して合焦させる。フォトダイオードアセンブリは、出口開口に隣接して配置され、出口開口部を出射するレーザ光を受け取るように構成される。
【0092】
以上説明したように、無線電力伝送システムの異なる実施形態及びそれを動作させる方法を説明したが、記載された方法及びデバイスの特定の利点が達成されたことは、当業者には明らかであろう。特に、無線電力伝送システムの送受信機アセンブリを実装することができ、本明細書に記載される異なるタイプのハードウェア、ソフトウェア、及びそれらの組み合わせを使用し、記載されるものとは異なる様々な方法で動作することは当業者によって理解されるべきである。また、本開示の範囲及び趣旨の範囲内で、その様々な修正、適応、及び代替実施形態を行うことができる。
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