(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012684
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】地盤調査装置のロッドの接合構造
(51)【国際特許分類】
G01V 3/18 20060101AFI20230119BHJP
E02D 1/00 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
G01V3/18
E02D1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116270
(22)【出願日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591223404
【氏名又は名称】株式会社トラバース
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】二川 和貴
(72)【発明者】
【氏名】仁科 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】相沢 彰彦
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 佳勝
(72)【発明者】
【氏名】大野 真幸
【テーマコード(参考)】
2D043
2G105
【Fターム(参考)】
2D043AA01
2D043AB03
2D043AB04
2D043BA10
2D043BB01
2G105AA02
2G105LL03
2G105LL04
2G105LL05
2G105LL06
(57)【要約】
【課題】ロッドに鉛直方向の荷重が作用した状態であっても、簡単かつ安全にロッドの着脱を行うことができる地盤調査装置のロッドの接合構造を提供する。
【解決手段】対象地盤を調査する際に地盤にロッドを貫入させる地盤調査装置のロッドの接合構造である。
そして、ロッド22の上端治具221を覆うキャップ部41が下端に設けられた接合部材4と、ロッドの軸方向に直交する方向に向けて、キャップ部と上端治具に係合するように挿し込まれるピン部5とを備えている。
このピン部は、上端治具の周面に設けられた一対の凹部221aに沿って配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象地盤を調査する際に地盤にロッドを貫入させる地盤調査装置のロッドの接合構造であって、
前記ロッドの上端部を覆うキャップ部が下端に設けられた接合部材と、
前記ロッドの軸方向に直交する方向に向けて、前記キャップ部と前記上端部に係合するように挿し込まれるピン部とを備え、
前記ピン部は、前記上端部の周面に設けられた一対の窪み又は前記上端部を貫通する貫通穴に沿って配置されることを特徴とする地盤調査装置のロッドの接合構造。
【請求項2】
前記上端部は、前記ロッドの本体に対して着脱自在に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の地盤調査装置のロッドの接合構造。
【請求項3】
前記接合部材の上端には、起振機が取り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の地盤調査装置のロッドの接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象地盤を調査する際に地盤にロッドを貫入させる地盤調査装置のロッドの接合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な地盤調査では、小規模建築物の場合であればスウェーデン式サウンディング(SWS)試験などの原位置試験によって、地盤の強度に関する地盤定数を得ている。そして、長期の荷重に対する地盤の支持性能の検討は、この地盤定数に基づいて行われる。
【0003】
SWS試験は、錘をつけたロッドの貫入抵抗で地盤の硬軟を評価する調査法で、それに使用される地盤調査装置は近年自動化されており、錘の載荷や除荷、回転制御や計測までもが自動化された機器も普及している。
【0004】
他方において、SWS試験で判るのは貫入抵抗であって、その精度には課題も多く、特許文献1では、貫入試験機を利用してそれに振動を与えることによって精度の高い情報を得る方法を提案している。
【0005】
ここで、特許文献1に開示されている手法のように、SWS試験の貫入試験機をそのまま利用して起振機により振動を付与し、動的な貫入量と荷重を確認しようとした場合に、装置本体に直接的に変位計や荷重計を取り付けると、振動が大きく精度や耐久性にも影響を与えかねない課題がある。
【0006】
そこで、特許文献2では、ロッドの中間に簡易なアタッチメントとして変位計等を付けることで、多種多様な調査装置に対応するとともに、簡便かつ高精度で計測を行うことができる地盤調査用計測装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-17112号公報
【特許文献2】特開2019-178490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、一般に、ロッドは両端部がオス、メスのねじで接合される仕様となっている。このため、ロッドの上端に起振機の重量が載荷された状況ではロッドの着脱が難しく、また作業上の危険性も高くなるおそれがある。
【0009】
そこで、本発明は、ロッドに鉛直方向の荷重が作用した状態であっても、簡単かつ安全にロッドの着脱を行うことができる地盤調査装置のロッドの接合構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の地盤調査装置のロッドの接合構造は、対象地盤を調査する際に地盤にロッドを貫入させる地盤調査装置のロッドの接合構造であって、前記ロッドの上端部を覆うキャップ部が下端に設けられた接合部材と、前記ロッドの軸方向に直交する方向に向けて、前記キャップ部と前記上端部に係合するように挿し込まれるピン部とを備え、前記ピン部は、前記上端部の周面に設けられた一対の窪み又は前記上端部を貫通する貫通穴に沿って配置されることを特徴とする。
【0011】
ここで、前記上端部は、前記ロッドの本体に対して着脱自在に設けられている構成とすることができる。また、前記接合部材の上端には、起振機などが取り付けられる。
【発明の効果】
【0012】
このように構成された本発明の地盤調査装置のロッドの接合構造は、ロッドの上端部を覆うキャップ部が下端に設けられた接合部材と、キャップ部と上端部に係合するようにロッドの軸直交方向に挿し込まれるピン部とを備えている。そして、ピン部は、上端部の周面に設けられた一対の窪み又は上端部を貫通する貫通穴に沿って配置される。
【0013】
このため、ロッドに鉛直方向の荷重が作用した状態であっても、ピン部を抜き差しすることで、簡単かつ安全にロッドの着脱を行うことができる。ロッドに鉛直方向の載荷や振動を与える地盤調査装置の場合、鉛直方向の移動を拘束すれば充分である。また、ピン部による固定であれば、ロッドや接合部材に過度な曲げなどの応力を生じさせず、強度上も耐久性上も所望する性能を確保することができる。
【0014】
また、上端部がロッドの本体に対して着脱自在に設けられるのであれば、既製のロッドなど様々なロッドを利用することができるようになる。そして、接合部材の上端に起振機が取り付けられていても、簡単かつ安全にロッドの着脱を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施の形態の地盤調査装置のロッドの接合構造の構成を示した説明図である。
【
図2】地盤調査装置の全体構成を示した説明図である。
【
図4】ロッドの上端部と接合部材との配置関係を示した説明図である。
【
図6】実施例1の接合部材の構成を示した説明図である。
【
図7】実施例1の地盤調査装置の全体構成を示した説明図である。
【
図8】実施例1の別の接合部材の構成を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施の形態で説明する地盤調査装置1を使用した地盤調査は、住宅などの建物を建設する調査の対象地盤Gに対して実施される。調査の対象地盤Gに対しては、通常は、1地点又は複数地点において、直接、貫入試験などの地盤調査が行われる。
【0017】
例えば小規模建築物の場合、一般的に調査の対象地盤Gの1地点又は複数地点において、スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)が行われる。スウェーデン式サウンディング試験とは、JIS A 1221にも規定される静的貫入試験の一種であり、地盤にスクリューポイント23をねじ込む際のロッドの貫入抵抗から地盤の硬軟を推定する地盤調査法である。
【0018】
貫入試験機2は、
図2に示すように、ベースマシン21と、ロッド22と、ロッド22の先端(下端)に取り付けられるスクリューポイント23と、台座部24と、錘部25とによって主に構成される。ベースマシン21は、小規模建築物の地盤調査で実績があるスウェーデン式サウンディング試験機である。
【0019】
一方、錘部25は、スウェーデン式サウンディング(SWS)試験の際に使用されるスクリューポイント23に段階的に荷重を載荷させるために使用される。SWS試験は、基本的に25cm単位で調査結果を評価することになる。ロッド22は、1mや50cmの単位ロッドを連結して構成される。すなわち測定は、単位ロッドを継ぎ足しながら進められる。
【0020】
貫入試験機2に起振機3を取り付けて振動や打撃を加えることで、スウェーデン式サウンディング試験よりも精度良く地盤の支持性能や剛性を評価することができるようになる。そして、地盤の支持性能等を評価するためには、作用荷重と貫入量との正確な計測データが必要になる。
【0021】
すなわち、起振機3による打撃が行われる状況の中で、動的な貫入量と荷重を正確に計測する必要がある。この計測は、もともと貫入試験機2に備わっている変位計や荷重計を利用して行うことができる。
【0022】
また、特許文献2に記載されているように、ロッド22に介在させる短尺ロッドや治具にひずみゲージなどのセンサを取り付けることで、変位計などの計測器にすることともできる。
【0023】
そして、本実施の形態の地盤調査装置1のロッドの接合構造は、
図2に示すように、対象地盤Gを調査する際に地盤に貫入させるロッド22と、その上端に取り付けられる起振機3などとを繋ぐ接合部材4を備えている。
【0024】
詳細には、
図1に示すように、ロッド22の上端部となる上端治具221を覆うキャップ部41が下端に設けられた接合部材4と、ロッド22の軸方向に直交する方向に向けてキャップ部41と上端治具221に係合するように挿し込まれるピン部5とを備えている。
【0025】
接合部材4は、下端のキャップ部41と、起振機3などを上方に接続させる上端のジョイント部43と、キャップ部41とジョイント部43とを繋ぐ軸状の連絡部42とによって構成される。
【0026】
キャップ部41には、円柱状の上端治具221の外形より大きい円柱状の内空411が形成される。また、ジョイント部43には、起振機3などを連結させるための穴431などが設けられる。
【0027】
キャップ部41の内空411に収容されるロッド22の上端治具221には、
図3に示すように、周面に一対の窪みとなる凹部221a,221aが設けられている。一対の凹部221a,221aは、円柱形の上端治具221の対向する同じ高さに、断面視半円形又は断面視円弧状に形成される。
【0028】
本実施の形態のロッド22の上端治具221は、
図4に示すように、下端にオスのねじ部221bが設けられており、ロッド22の本体の上端に設けられたメスねじと着脱自在となるように構成されている。
【0029】
ここで、上端治具221は、起振機3と接続する前にロッド22の上端に取り付けておくもので、起振機3と接続されて荷重が作用した状態のままでロッド22から外すことはない。なお、貫入させるロッド22が1本だけの場合は、上端治具221などのような上端部をロッド22と一体に設けておくこともできる。
【0030】
そして、ピン部5は、上端治具221の凹部221aに沿って配置される円柱状の棒材である。凹部221aは、ピン部5よりも僅かに大きい径の断面視半円形に形成されている。
【0031】
そして、この凹部221aと対峙するキャップ部41の内空411の内周面にも、ピン部5と同じ又は僅かに大きい径の断面視半円形又は断面視円弧状の窪みが形成されている。要するに、凹部221aとキャップ部41の内周面の窪みとによって形成される断面視円形の穴412に、ピン部5が挿し込まれる(
図1参照)。
【0032】
このようにしてキャップ部41に形成される穴412は、ピン部5の外形よりも大きく形成されて双方の間に隙間があくので、ロッド22の軸方向に直交する方向に向けたピン部5を、簡単に抜き差しすることができる。また、連結が回転を許容するピン固定になっていれば、曲げなどによる過度な応力の発生を防ぐことができる。
【0033】
一方、
図1に示すように、キャップ部41の円柱状の内空411に対してピン部5が架け渡されると、キャップ部41と上端治具221とがピン部5によって係合されて、キャップ部41と上端治具221との間での鉛直方向の相対的な移動が制限されることになる。すなわち鉛直方向の荷重に対しては、ピン部5を介してキャップ部41と上端治具221との間で、効率よく力を伝達させることができる。
【0034】
ここまで、上端治具221を挟むように配置される一対のピン部5,5によって係合する構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば
図5に示すように、別の接合部材4Aの構成によって係合させることもできる。
【0035】
この接合部材4Aのキャップ部41Aには、内空411に連通するように中央に、断面視円形の貫通穴412Aが設けられて、1本のピン部5が挿し込まれる。すなわち、キャップ部41Aの内空411に収容されるロッド22の上端治具221Aの中央にも、ピン部5をロッド22の軸直交方向に通すための貫通穴412Aが設けられている。
【0036】
このように構成される接合部材4Aであっても、ピン部5を簡単に抜き差しすることができうえに、キャップ部41Aと上端治具221Aとのピン部5による係合によって、キャップ部41Aと上端治具221Aとの間で効率よく力を伝達させることができる。
【0037】
次に、本実施の形態の地盤調査装置1を使用した地盤の調査方法について説明する。
図2は、1本目の単位ロッドの先端にスクリューポイント23が設けられたロッド22が、起振機3の上下方向の単振動によって、対象地盤Gに貫入されていく状態を示している。
【0038】
具体的には、ロッド22の上端治具221には、接合部材4を介して起振機3が接続されている。そして、起振機3を稼働させると、ロッド22の先端のスクリューポイント23が対象地盤Gに打ち込まれることになる。
【0039】
起振機3によって最上部の単位ロッドの上端の打撃が行われると、ロッド22が徐々に対象地盤Gに押し込まれていき、降下したロッド22に単位ロッドの継ぎ足しを行わなければならない状態になる。
【0040】
このとき、一旦、起振機3の稼働を止めて単位ロッドを継ぎ足すことになるが、起振機3の重量はロッド22に載荷されたままなので、この状態では上端治具221をロッド22の本体から外すことはできない。
【0041】
そこで、ピン部5を接合部材4のキャップ部41から抜いて、接合部材4とロッド22との連結を解除する。ピン部5は、キャップ部41の一回り大きい穴412に挿し込まれているだけなので、ロッド22の軸直交方向(水平方向)に簡単に引き抜くことができる。
【0042】
接合部材4とロッド22との連結が解除されれば、キャップ部41の内空411も上端治具221より一回り大きく形成されているので、接合部材4ごと起振機3を簡単に外すことができる。
【0043】
続いて、ロッド22の上端に露出した上端治具221を取り外し、新たな単位ロッドをロッド22の上方に継ぎ足す。そして、新たに継ぎ足された単位ロッドの上端に上端治具221をねじ込み、接合部材4のキャップ部41を上端治具221に被せることで起振機3を配置する。
【0044】
さらに、ピン部5をキャップ部41の穴412に挿し込むことで、キャップ部41と上端治具221とがピン部5によって係合されることになる。そこで、再び起振機3を稼働させて、対象地盤Gに対するロッド22の貫入を進める。
【0045】
次に、本実施の形態の地盤調査装置のロッドの接合構造の作用について説明する。
このように構成された本実施の形態の地盤調査装置1のロッドの接合構造は、ロッド22の上端部となる上端治具221を覆うキャップ部41が下端に設けられた接合部材4と、キャップ部41と上端治具221に係合するようにロッド22の軸直交方向に挿し込まれるピン部5とを備えている。
【0046】
そして、ピン部5は、上端治具221の周面に設けられた一対の凹部221a又は上端治具221Aを貫通する貫通穴412Aに沿って配置されることで、キャップ部41(41A)の内空411に対して架け渡される。
【0047】
このため、ロッド22に鉛直方向の荷重が作用した状態であっても、ピン部5を抜き差しすることで、簡単かつ安全にロッド22の着脱を行うことができる。ロッド22に鉛直方向の載荷や振動を与える地盤調査装置1の場合、鉛直方向の移動を拘束すれば充分であり、またピン部5による固定を行うことで、ロッド22や接合部材4に過度な曲げなどの応力を生じさせず、強度上も耐久性上も所望する性能を容易に確保することができる。
【0048】
また、上端治具221のようにロッド22の本体に対して着脱自在に設けられるのであれば、既製の単位ロッドなど様々なロッドを利用することができるようになる。そして、接合部材4の上端に起振機3が取り付けられていても、簡単かつ安全に着脱を行うことができる。
【実施例0049】
以下、前記した実施の形態とは別の形態の実施例1について、
図6-
図8を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を付して説明する。
【0050】
前記実施の形態では、起振機3の荷重が載荷された状態であっても、簡単かつ安全にロッド22の着脱を行うことができる接合部材4(4A)の構成について説明した。本実施例1では、放熱機能を備えた接合部材6(6A)について説明する。
【0051】
上述したように起振機3などによってロッド22の上端の打撃を行うと、接合部材4(4A)と起振機3との連結箇所や、接合部材4(4A)とロッド22との連結箇所に生じる摩擦により、長時間の振動を継続することで高温になることがある。
【0052】
一方、荷重を計測する場合に、接合部材に荷重計測部を設けて、ひずみを測定する方法も考えられるが、一般的に用いられるひずみゲージは、温度による影響を受けたり、過度な高温下で損傷することがある。また、熱の伝導により、周辺に取り付けられた変位計などの機器の故障を誘発する可能性もある。
【0053】
そこで、本実施例1では、放熱機能を備えた接合部材6(6A)について説明する。まず
図6及び
図7を参照しながら、接合部材6について説明する。この接合部材6は、ロッド22の上端部221Bを覆うキャップ部61と、起振機3などを上方に接続させる上端のジョイント部63と、放熱部64と、連絡部62とによって構成される。
【0054】
ジョイント部43には、起振機3などを連結させるための穴631などが設けられている。また、キャップ部61には、円柱状の上端部221Bの外形より大きい円柱状の内空611が形成されている。
【0055】
なお、図示していないが、上端部221Bとキャップ部61との連結は、実施の形態で上述したように、ロッド22の軸方向に直交する方向に向けてキャップ部61と上端部221Bとに係合するように挿し込まれるピン部5を介して行う構成とするなど、任意の構造にすることができる。
【0056】
そして、実施例1の接合部材6のジョイント部63の下側には、起振機3の稼働によって生じる熱を効率よく放熱させるための放熱部64が設けられる。詳細には、起振機3が連結されるジョイント部63と連絡部62との間に、放熱部64が設けられる。
【0057】
放熱部64は、連絡部62の延伸方向に延びる軸部640の周囲に、鉛直方向に間隔を置いて設けられる複数の水平フィン641を備えている。水平フィン641は、例えば円柱状の軸部640の周囲にリングの板状に形成された放熱フィンである。
【0058】
ジョイント部63で発生した熱が連絡部62に向けて伝達される際に、軸部640を介して水平方向に広がる水平フィン641にも伝達される。水平フィン641に伝達された熱は、水平フィン641の上面及び下面から放熱されるので、連絡部62に伝達される熱量は大幅に減少することになる。
【0059】
すなわち、環状に広がる上面及び下面を有するとともに複数が設けられる水平フィン641によって、放熱部64の表面積は増加し、効率的に放熱が行われるので、接合部材6の温度上昇を抑えることができる。
【0060】
このような放熱フィンの形態は、水平フィン641に限定されるものではない。例えば
図8に示した接合部材6Aのように、鉛直方向に延びる放熱フィンを設けることもできる。すなわち、接合部材6Aのジョイント部63の下側には、起振機3の稼働によって生じる熱を効率よく放熱させるための放熱部64Aが設けられる。
【0061】
この放熱部64Aは、連絡部62の延伸方向に延びる軸部640の周囲に、周方向に間隔を置いて設けられる複数の鉛直フィン642を備えている。鉛直フィン642は、例えば円柱状の軸部640を中心に放射状に配置される長方形板状に形成された放熱フィンである。
【0062】
このように複数の鉛直フィン642を設けた場合でも、ジョイント部63で発生した熱が連絡部62に向けて伝達される際に、軸部640を介して鉛直フィン642にも伝達され、鉛直フィン642の両側面から放熱される。
【0063】
この結果、連絡部62に伝達される熱量は大幅に減少し、接合部材6Aの温度上昇を抑えることができる。さらに接合部材6Aは、鉛直フィン642による起振機3の打撃に対する補強機能も備えている。
【0064】
すなわち、軸部640だけでなく、その周囲にリブ状に設けられる鉛直フィン642が、ジョイント部63と連絡部62との間で伝達される鉛直方向の荷重や、曲げによって生じる力も受けることができる。この結果、強度や繰り返し荷重に対する耐久性を向上させることができる。
【0065】
このように構成された実施例1の地盤調査装置1のロッドの接合構造は、対象地盤Gを調査する際に地盤にロッド22を貫入させる地盤調査装置1のロッドの接合構造であって、ロッド22の上端部221Bを覆うキャップ部61が下端に設けられるとともに、上端には起振機3などが取り付けられるジョイント部63が設けられた接合部材6,6Aを備えている。
【0066】
そして、接合部材6,6Aには、水平フィン641や鉛直フィン642などの複数の放熱フィンを有する放熱部64,64Aが設けられる。このため、起振機3を稼働させた際の接合部材6,6Aの温度上昇を抑えることができ、各種計測器の計測精度への影響や破損のリスクを大幅に軽減することができる。
【0067】
さらに、鉛直フィン642が設けられた接合部材6Aであれば、曲げ応力に対する強度、及び繰り返し荷重に対する耐久性を向上させることができる。
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態と略同様であるので説明を省略する。
【0068】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態又は実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0069】
例えば、前記実施の形態及び実施例1では、接合部材4,4A,6,6Aの上端に起振機3が取り付けられる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ジョイント部43,63に取り付けられるものは、単位ロッドや計測器を備えた治具や錘の載荷部などであってもよい。