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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012685
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】杭の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/30 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
E02D5/30 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116271
(22)【出願日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】322004843
【氏名又は名称】ジャパンホームシールド株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592140919
【氏名又は名称】株式会社スパンクリートコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大和 眞一
(72)【発明者】
【氏名】内山 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】武智 耕太郎
(72)【発明者】
【氏名】菊池 透
【テーマコード(参考)】
2D041
【Fターム(参考)】
2D041AA02
2D041BA31
2D041CA02
2D041CB06
2D041DB06
2D041DB07
(57)【要約】
【課題】杭の製造において、経済性及び生産性を向上させる。
【解決手段】板状コンクリートパネル40を成型した後、板状コンクリートパネル40を長手方向に沿って切断して杭形状とする。杭成型のための型枠を使用しないため、大幅なコスト低減が可能となる。また、型枠を用いて1本ずつ成型する必要がないため、生産性が向上する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状コンクリートパネルを成型するパネル成型工程と、
前記板状コンクリートパネルを長手方向に沿って切断して杭形状とする切断工程と、
を含む杭の製造方法。
【請求項2】
前記パネル成型工程では、
成型台と、前記成型台に対して前記成型台の長手方向に相対移動可能な移動部とを備え、前記移動部には、コンクリートを放出するコンクリート放出部と、前記コンクリートパネルの側部に対応する成型板と、前記コンクリート放出部から放出されたコンクリートに対して下方に向けて圧力をかける締め固め部とを備える成型装置を用い、
前記成型台に対して前記移動部を水平方向に相対移動させながら、前記コンクリート放出部からコンクリートを放出してコンクリートパネルの外形を成型する
請求項1に記載の杭の製造方法。
【請求項3】
前記成型装置には、前記移動部の移動方向に延在する小孔成型用治具を備え、
前記パネル成型工程では、前記外形の成型と並行して、前記コンクリートパネルの長手方向に貫通する小孔を形成する
請求項2に記載の杭の製造方法。
【請求項4】
前記パネル成型工程の前に、PC鋼線又は鉄筋のいずれか一方を敷設する敷設工程が実施される
請求項1、2又は3のいずれか1項に記載の杭の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軟弱な地盤の改良等を目的として、住宅などの基礎の下方に杭が埋設されることがある。この杭としては、コンクリート製のものが用いられ、型枠にコンクリートを注入することによって1本ずつ製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-101716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、形状、長さ、太さ等が異なる杭ごとに型枠を準備する必要があるため、コストがかかる。また、型枠にコンクリートを注入することにより杭を1本ずつ成型するため、生産性も高いとはいえない。
【0005】
本発明は、このような問題にかんがみなされたもので、杭の製造において、経済性及び生産性の向上を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、板状コンクリートパネルを成型するパネル成型工程と、前記板状コンクリートパネルを長手方向に沿って切断して杭形状とする切断工程と、を含む杭の製造方法である。
前記パネル成型工程では、成型台と、前記成型台に対して前記成型台の長手方向に相対移動可能な移動部とを備え、前記移動部には、コンクリートを放出するコンクリート放出部と、前記コンクリートパネルの側部に対応する成型板と、前記コンクリート放出部から放出されたコンクリートに対して下方に向けて圧力をかける締め固め部とを備える成型装置を用い、前記成型台に対して前記移動部を水平方向に相対移動させながら、前記コンクリート放出部からコンクリートを放出してコンクリートパネルの外形を成型することが望ましい。
前記成型装置には、前記移動部の移動方向に延在する小孔成型用治具を備え、前記パネル成型工程では、前記外形の成型と並行して、前記コンクリートパネルの長手方向に貫通する小孔を形成してもよい。
前記パネル成型工程の前に、PC鋼線又は鉄筋のいずれか一方を敷設する敷設工程が実施されてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、板状コンクリートパネルを成型した後、板状コンクリートパネルを長手方向に沿って切断して杭形状とする。したがって、杭成型用の型枠を使用しないため、大幅なコスト低減が可能となる。また、型枠を用いて1本ずつ成型する必要がないため、生産性が向上する。
成型装置を用いて、コンクリートを放出しながら移動部を成型台に対して水平方向に移動させながらコンクリートパネルを成型することにより、効率的にコンクリートパネルを成型することができる。
外形の成型と並行して、前記コンクリートパネルの長手方向に貫通する小孔を形成することにより、小孔付き杭の元になる板状コンクリートパネルを形成することができる。
パネル成型工程の前に、PC鋼線又は鉄筋のいずれか一方を敷設する敷設工程が実施されることにより、PC鋼線又は鉄筋が内部に配設された板状コンクリートパネルを効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】成型台上にPC鋼線を敷設した状態を示す斜視図である。
図2】成型台上にPC鋼線を2段に敷設した状態を示す側面図である。
図3】成型装置の構成を略示的に示す側面図である。
図4】成型装置の構成を略示的に示す縦端面図である。
図5】製造されたコンクリートパネルの例を示す斜視図である。
図6】切断工程の例を示す斜視図である。
図7】製造された杭の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1 敷設工程
図1に示すように、成型台11の上方に複数のPC(Prestressed Concrete)鋼線30を敷設する。成型台11は、幅が例えば約1m、長手方向の長さが例えば約150mほどである。PC鋼線30は、例えばワイヤーランナーを成型台11の長手方向に沿って走行させることによって敷設される。このPC鋼線30は、図2に示すように、両端部のステー12及び途中のワイヤーガイド13によって支持されており、成型台10の上面よりも所定高さ上方の位置に敷設される。PC鋼線30は、緊張した後、両端部がワイヤーチャック14によって固定される。図1の例ではPC鋼線30が1段となっているが、図2の例のように2段に設けてもよい。なお、PC鋼線30に代えて鉄筋を敷設することもある。
【0010】
2 パネル成型工程
次に、図3に示す成型装置1を用いてPC鋼線30を含む板状コンクリートパネルを成型する。
成型装置1は、図1及び図2にも示した成型台11と、成型台11に対して成型台11の長手方向に相対移動可能な移動部15とを備えている。
成型台11は、上面が平面状に形成され、内部には温水を通す温水用養生用パイプ16が設けられている。
移動部15は、コンクリートを投入する第1投入部161、第2投入部162及び第3投入部163を備えており、第1投入部161は第1放出部171に、第2投入部162は第2放出部172に、第3投入部163は第3放出部173にそれぞれ連通している。第1放出部171、第2放出部172、第3放出部173の上下位置関係は、下から順に、第1放出部171、第2放出部172、第3放出部173の順となっている。一方、第1放出部171、第2放出部172、第3放出部173の水平位置関係は、移動部15の移動方向下流側から、第1放出部171、第2放出部172、第3放出部173の順になっている。
【0011】
移動部15が図3における矢印A方向に移動しながら、第1投入部161、第2投入部162、第3投入部163にそれぞれゼロスランプコンクリート(超硬練りコンクリート、以下、単に「コンクリート」という。)を投入して第1放出部171、第2放出部172、第3放出部173からそれぞれコンクリートを放出する。最も下方かつ下流側に位置する第1放出部171から放出されたコンクリートが成型台11の上に敷設されてボトム層181を形成し、2番目に下方かつ下流側に位置する第2放出部172から放出されたコンクリートがボトム層181の上のミドル層182を形成し、最も上方かつ上流側に位置する第3放出部173から放出されたコンクリートがミドル層182の上のトップ層183を形成する。
【0012】
第1放出部171、第2放出部172、第3放出部173には、それぞれ締め固め部191,192、193を備えており、それぞれの放出部171、172、173から放出されたコンクリートに対して締め固め部191、192、193がそれぞれ下方に向けて圧力をかけることにより、3層のコンクリートが平面状に成型される。
図3の例のように、PC鋼線30が2段に敷設されている場合は、上側のPC鋼線30の上にトップ層183が敷設される。
【0013】
第2放出部172には、移動部15の移動方向に延在する筒状の複数の空洞成型用治具20を備えている。複数の空洞成型用治具20は、図4に示すように、移動部15の幅方向(移動方向に対して水平な方向に直交する方向)に等間隔に整列した状態で配設されている。第2投入部162から投入されたコンクリートは、空洞成型用治具20を通るため、ミドル層182には、ミドル層182の長手方向に貫通する空洞184が形成される。
【0014】
図4に示すように、移動部15の幅方向の両端には、成型板21が垂下した状態で設けられている。第1放出部171、第2放出部172、第3放出部173からそれぞれ放出されたコンクリートは、成型板21によって側部が成型される。
また、移動部15には、円筒状の小孔成型用治具22が複数設けられている。小孔成型用治具22は、隣り合う2つの空洞成型用治具20の中間部に位置しており、全体として移動部15の幅方向に等間隔に整列した状態で配設されている。
【0015】
図3に示した移動部15を矢印A方向に移動させながら、第1投入部161、第2投入部162及び第3投入部163にそれぞれコンクリートを投入し、第1放出部171、第2放出部172、第3放出部173からそれぞれコンクリートを放出すると、空洞成型用治具20及び小孔成型用治具22によって、図5に示す空洞184及び小孔185が形成されつつ、外形が成型されて、図5に示す板状コンクリートパネル40が形成される。
【0016】
3 切断工程
次に、図6に示すように、板状コンクリートパネル40を基台の上に載せ、ダイヤモンドブレード50と板状コンクリートパネル40とを板状コンクリートパネル40の長手方向に相対移動させることにより、空洞184の中心を通る線に沿って、板状コンクリートパネル40を棒状に切断する。
【0017】
こうして板状コンクリートパネル40を一定間隔ごとに切断していくと、上面及び下面が平面状に形成され、側面が切り欠かれることにより断面がH型に形成され、長手方向に空洞184及び小孔185が形成された複数の杭60が形成される。杭の幅は、例えば、100mm、150mm、200mm等である。
こうして成型された杭60は、その後運搬されて、住宅などの基礎の下に杭打ち機を用いて埋設される。
【0018】
なお、最終的に製造される杭の断面形状は、H型には限られない。例えば、空洞成型用治具20を用いない場合は、側面が平坦な杭となる。
また、小孔成型用治具22を用いない場合は、小孔185が形成されていない杭が成型される。
【0019】
上記実施形態では、成型装置1を用いて板状コンクリートパネル40を成型したが、板状コンクリートパネル40の成型方法は、これには限られない。例えば、板状の型枠にコンクリートを注入することによってコンクリートパネル40を成型してもよい。この場合においても、杭ごとの型枠は不要となるため、経済性及び生産性を高めることができる。
【符号の説明】
【0020】
1:成型装置
11:成型台 12:ステー 13:ワイヤーガイド 14:ワイヤーチャック
15:移動部 16:温水用養生用パイプ
161:第1投入部 162:第2投入部 163:第3投入部
171:第1放出部 172:第2放出部 173:第3放出部
181:ボトム層 182:ミドル層 183:トップ層
184:空洞 185:小孔
20:空洞成型用治具 21:成型板 22:小孔成型用治具
30:PC鋼線
40:板状コンクリートパネル
50:ダイヤモンドブレード
60:杭
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7