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特開2023-126871車両向けの空間インフォテインメントレンダリングシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126871
(43)【公開日】2023-09-12
(54)【発明の名称】車両向けの空間インフォテインメントレンダリングシステム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20230905BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20230905BHJP
   H04R 3/12 20060101ALI20230905BHJP
   G10K 15/04 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
G08G1/16 A
H04R3/00 310
H04R3/12 A
G10K15/04 303E
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023108154
(22)【出願日】2023-06-30
(62)【分割の表示】P 2020533204の分割
【原出願日】2018-12-17
(31)【優先権主張番号】62/611,746
(32)【優先日】2017-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VISUAL BASIC
(71)【出願人】
【識別番号】512168283
【氏名又は名称】ハーマン インターナショナル インダストリーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ライリー ウィントン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー マイケル トレステン
(72)【発明者】
【氏名】クリス ルドヴィグ
(57)【要約】
【課題】好適な車両向けの空間インフォテインメントレンダリングシステムを提供すること。
【解決手段】空間インフォテインメントレンダリングシステムは、車両経路に沿って移動する乗車者に車両内の複数のインフォテインメント位置の1つで情報を提示するように構成された少なくとも1つのインフォテインメントデバイスと、少なくとも1つの空間レンダリングプロセッサとを含み得る。プロセッサは、車両経路上の車両の車両位置及び方向情報を受信し、車両経路に影響を与える可能性のあるイベントを示すイベントデータを受信し、イベントデータに基づいてイベント位置を決定するように構成されてよい。プロセッサはまた、車両の位置及び方向に対するイベント位置に基づいてインフォテインメント位置の1つを選択して、車両経路に対するイベント位置に空間的に関連する位置で、イベントに関連する乗車者にイベント情報を提示するように構成されてよい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2017年12月29日に出願された米国仮出願第62/611,746号の利益を主張し、参照により、その開示内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
車両向け空間インフォテインメントレンダリングシステムを本明細書で開示する。
【背景技術】
【0003】
車両には多くの場合、運転者に情報を提供する様々なシステムが装備されている。そのようなシステムの1つは、運転者を所望の場所に導くために、運転者にどこで曲がるかの指示を出す可聴プロンプトを提供するように構成されたナビゲーションシステムである。ナビゲーションシステムは通常、車両の位置の変化を追跡する全地球測位システム(GPS)を備える。ユーザが所望の目的地を入力すると、ナビゲーションシステムは、車両内の少なくともスピーカで聴覚的に再生される音によって経路を概説し得る。曲がり角ごとの経路はまた、距離情報と、次の曲がり角の鋭さの曲率に関する情報とを含み得る。例えば、コンピュータの音声を介した音声コマンドで、「5マイルの地点で少し左折」または「100フィート先で大きく右折」とアナウンスしてよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
空間インフォテインメントレンダリングシステムは、車両内の複数のインフォテインメント位置の1つで車両経路に沿って移動する乗車者に情報を提示するように構成された少なくとも1つのインフォテインメントデバイスと、少なくとも1つの空間レンダリングプロセッサとを含み得る。プロセッサは、車両経路上の車両の車両位置及び方向情報を受信し、車両経路に影響を与える可能性のあるイベントを示すイベントデータを受信し、イベントデータに基づいてイベント位置を決定するように構成されてよい。プロセッサはまた、車両の位置及び方向に対するイベント位置に基づいてインフォテインメント位置の1つを選択して、車両経路に対するイベント位置に空間的に関連する位置で、イベントに関連する乗車者にイベント情報を提示するように構成されてよい。
【0005】
車両経路上の今後のイベントに関する情報を空間的に提供する方法は、車両経路上の車両の車両位置及び方向情報を受信することと、車両経路に影響を与える可能性があるイベントを示すイベントデータを受信することと、イベントが車両位置から所定の距離内にあるか否かを判断することと、イベントが車両経路上にあるか否かを判断することとを含み得る。方法はまた、イベントが車両位置から所定の距離内にあり、車両経路上にあることに応答して、車両の位置及び方向に対するイベント位置に基づいて車両内のインフォテインメント位置を選択して、車両経路に対するイベント位置に空間的に関連する位置でイベントに関連する乗車者にイベント情報を提示することを含み得る。
【0006】
車両用空間インフォテインメントレンダリングシステムは、車両経路に沿って移動する乗車者に車両内の複数のインフォテインメント位置の1つで情報を提示するように構成された少なくとも1つのインフォテインメントデバイスと、少なくとも1つの空間レンダリングプロセッサとを含み得る。プロセッサは、車両経路上の車両の車両位置及び方向情報を受信し、車両経路に影響を与える可能性のあるイベントを示すイベントデータを受信し、イベントが車両位置から所定の距離内にあるか否かを判断するように構成されてよい。プロセッサはまた、イベントが車両経路上にあるか否かを判断し、イベントが車両位置から所定の距離内にあり、車両経路上にあることに応答して、車両の位置及び方向に対するイベント位置に基づいて車両内のインフォテインメント位置を選択して、車両経路に対するイベント位置に空間的に関連する位置でイベントに関連する乗車者にイベント情報を提示するように構成されてよい。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
車両経路に沿って移動する乗車者に車両内の複数のインフォテインメント位置の1つで情報を提示するように構成された少なくとも1つのインフォテインメントデバイスと、
少なくとも1つの空間レンダリングプロセッサとを含む、空間インフォテインメントレンダリングシステムであって、前記少なくとも1つの空間レンダリングプロセッサは、
前記車両経路上の前記車両の車両位置及び方向情報を受信し、
前記車両経路に影響を与える可能性のあるイベントを示すイベントデータを受信し、
イベントデータに基づいてイベント位置を判断し、且つ、
前記車両の位置及び方向に対する前記イベント位置に基づいて、前記インフォテインメント位置の1つを選択して、前記車両経路に対する前記イベント位置に空間的に関連する位置で、前記イベントに関連する前記乗車者にイベント情報を提示する
ように構成される、前記空間インフォテインメントレンダリングシステム。
(項目2)
前記プロセッサは、前記イベントが前記車両位置から所定の距離内にあるか否かを判断するようにさらに構成される、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記プロセッサは、前記イベントが前記車両経路上にあるか否かを判断するようにさらに構成される、項目1に記載のシステム。
(項目4)
前記少なくとも1つのインフォテインメントデバイスは、前記選択されたインフォテインメント位置に前記イベント情報を視覚的に投影するように構成されたプロジェクタを含む、項目1に記載のシステム。
(項目5)
前記少なくとも1つのインフォテインメントデバイスは、前記選択されたインフォテインメント位置に前記イベント情報を視覚的に表示するように構成されたディスプレイを含む、項目1に記載のシステム。
(項目6)
前記少なくとも1つのインフォテインメントデバイスは、前記選択されたインフォテインメント位置に前記イベント情報を聴覚的に投影するように構成されたスピーカを含む、項目1に記載のシステム。
(項目7)
前記少なくとも1つのインフォテインメントデバイスは、前記車両内に配置された複数の車両スピーカであって、それぞれが可聴信号を再生するように構成された前記複数の車両スピーカを含む、項目1に記載のシステム。
(項目8)
オーディオ信号を選択的に分割するように構成された少なくとも1つのスプリッタをさらに備え、選択されたインフォテインメント位置のスピーカがオーディオ信号を受信する、項目7に記載のシステム。
(項目9)
前記プロセッサは、前記イベントの空間的存在を示すために、前記選択されたインフォテインメント位置のスピーカのゲインを他のスピーカに比べて増加させるようにさらに構成される、項目7に記載のシステム。
(項目10)
前記少なくとも1つのインフォテインメントデバイスは、前記選択されたインフォテインメント位置で前記イベントを前記乗車者に触覚的に警告するように構成された触覚デバイスを含む、項目1に記載のシステム。
(項目11)
車両経路上の今後のイベントに関する情報を空間的に提供する方法であって、
車両経路上の車両の車両位置及び方向情報を受信することと、
前記車両経路に影響を与える可能性のあるイベントを示すイベントデータを受信することと、
前記イベントが前記車両位置から所定の距離内にあるか否かを判断することと、
前記イベントが前記車両経路上にあるか否かを判断することと、
前記イベントが前記車両位置から所定の距離内にあり、前記車両経路上にあることに応答して、車前記両位置及び方向に対する前記イベント位置に基づいて、前記車両内のインフォテインメント位置を選択することと、
前記インフォテインメント位置を選択することに基づいて、前記車両経路に対する前記イベント位置に空間的に関連した位置で前記イベントに関連する乗車者にイベント情報を提示することと、
を含む、前記方法。
(項目12)
イベント情報を前記提示することは、前記選択されたインフォテインメント位置に前記イベント情報を視覚的に投影することを含む、項目11に記載のシステム。
(項目13)
イベント情報を前記提示することは、車両ディスプレイの前記選択されたインフォテインメント位置に前記イベント情報を視覚的に表示することを含む、項目11に記載のシステム。
(項目14)
イベント情報を前記提示することは、前記選択されたインフォテインメント位置に前記イベント情報を聴覚的に投影することを含む、項目11に記載のシステム。
(項目15)
イベント情報を前記提示することは、前記選択されたインフォテインメント位置で前記可聴投影のゲインを増加させることを含む、項目14に記載のシステム。
(項目16)
イベント情報を前記提示することは、前記選択されたインフォテインメント位置で前記イベントを前記乗車者に触覚的に警告することを含む、項目11に記載のシステム。
(項目17)
車両経路に沿って移動する乗車者に前記車両内の複数のインフォテインメント位置の1つで情報を提示するように構成された少なくとも1つのインフォテインメントデバイスと、
少なくとも1つの空間レンダリングプロセッサと、を含む車両用空間インフォテインメントレンダリングシステムであって、前記少なくとも1つの空間レンダリングプロセッサは、
車両経路上の車両の車両位置及び方向情報を受信し、
前記車両経路に影響を与える可能性のあるイベントを示すイベントデータを受信し、
前記イベントが前記車両位置から所定の距離内にあるか否かを判断し、
前記イベントが前記車両経路上にあるか否かを判断し、
前記イベントが前記車両位置から所定の距離内にあり、前記車両経路上にあることに応答して、前記車両の位置及び方向に対する前記イベント位置に基づいて前記車両内のインフォテインメント位置を選択して、前記車両経路に対する前記イベント位置に空間的に関連する位置で前記イベントに関連する乗車者にイベント情報を提示する
ように構成された、前記空間インフォテインメントレンダリングシステム。
(項目18)
前記少なくとも1つのインフォテインメントデバイスは、前記選択されたインフォテインメント位置に前記イベント情報を視覚的に投影するように構成されたプロジェクタを含む、項目17に記載のシステム。
(項目19)
前記少なくとも1つのインフォテインメントデバイスは、前記選択されたインフォテインメント位置に前記イベント情報を視覚的に表示するように構成されたディスプレイを含む、項目17に記載のシステム。
(項目20)
前記少なくとも1つのインフォテインメントデバイスは、前記選択されたインフォテインメント位置に前記イベント情報を聴覚的に投影するように構成されたスピーカを含む、項目17に記載のシステム。
【0007】
本開示の実施形態は、添付の特許請求の範囲で詳細に指摘されている。しかしながら、様々な実施形態の他の特徴は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって、より明らかになり、最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】車両用の例示の空間インフォテインメントレンダリングシステムを示す。
図2図1の空間インフォテインメントレンダリングシステムの例示のブロック図を示す。
図3】車両に関連する例示のイベントを示す。
図4】空間インフォテインメントレンダリングシステムの例示のプロセスを示す。
図5】空間インフォテインメントレンダリングシステムを実施する例示のブロック図を示す。
図6】アンビソニックアップミキサの例示のプロセスを示す。
図7】サラウンドサウンドステレオアップミキサの例示のプロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
必要に応じて、本発明の詳細な実施形態を本明細書に開示するが、開示の実施形態は、様々な且つ代替の形態で実現され得る発明を単に例示したものであることは理解されたい。図は必ずしも縮尺通りではなく、一部の特徴は、特定の構成要素の詳細を示すために誇張または最小化されてよい。従って、本明細書に開示される具体的な構造的及び機能的詳細は、限定のためではなく、本発明を様々に採用する当業者に教示するための代表的な基礎に過ぎないと解釈されたい。
【0010】
車両の運転者と同乗者は、イベントの位置に関してコマンドを運転者がより良く理解できるように、車両オーディオシステムの可聴プロンプトの強化を望む場合がある。本明細書では、車載インフォテインメントシステムの空間レンダリングアプローチを記載する。空間処理で聴覚刺激を再現する技術は、車内全体に空間的にオーディオイベントを配置することが一般的に運転者によって望まれる。運転者は、天気予報、ナビゲーションプロンプト、及びその他のインフォテインメント機能などの刺激のために、車両内で増音を体験する場合がある。この技術は、GPS、カレンダー、ナビゲーション入力などを含むが、これらに限定されない、接続された車のサブシステムからの入力に依存する。例えば、ユーザが北に向かって運転しており、気象情報源が西から大嵐が近づいていることを示す場合、この空間再生システムは、車両内の左側から知覚的に嵐の音声刺激を再生してよい。
【0011】
現行の車両インフォテインメントシステムは、視覚空間と触覚によるユーザインタラクションに大きく依存している。これらの方法は、直接アイコンタクトを必要とするだけでなく、ユーザまたは運転者に大きな認知的負荷をかける。運転という視覚中心のタスクとこれらの現行のユーザインタラクションの間の対立は、現代の運転社会における事故率の増加の主な原因である。本システムは、視覚認知負荷の一部を軽減し、ユーザが自然かつ自動的にプロンプトを非常に合理化された方法で知覚できるようにする。ユーザは、インフォテインメントシステムとのよりシームレスなインタラクションを高く評価し得る。ユーザは自動的に空間プロンプトを知覚し、視覚的な注意や追加の認知処理を必要とせずに必要な対応行動を適用し得る。
【0012】
図1は、車両102の例示的な空間インフォテインメントレンダリングシステム100を示す。空間システム100は、車両102及びリモートネットワーク106を含み得る。車両102は、車両ヘッドユニットまたは車両ECU内に配置されたプロセッサ110を含み得る。プロセッサ110は、図2に関してより詳細に記載するような様々な車両システムを含み得る。プロセッサ110は、車両102内で特定のアラートまたは情報をいつどこで再生するかを決定するように構成される(図2に示すような)空間レンダリングプロセッサ122を含み得る。車両プロセッサ110及び/または空間レンダリングプロセッサ112はそれぞれ、様々な車両システム及びデバイスを制御するように構成されたコントローラ(図示せず)を含み得る。
【0013】
車両102は、複数のインフォテインメントデバイス112を含み得る。インフォテインメントデバイス112は、聴覚、視覚、触覚などのいずれかでユーザに情報を提示するように構成されたデバイスであってよい。例えば、インフォテインメントデバイス112は、車両102内で可聴音を提示するように構成された車両スピーカを含み得る。インフォテインメントデバイス112は、視覚的に情報を提示するように構成されたディスプレイまたはプロジェクタを含み得る。振動、加熱または冷却感覚などを提供する触覚デバイスも含まれてよい。これらのデバイスのうちの1つまたは複数が、インフォテインメントデバイス112を構成してよい。例えば、インフォテインメントデバイス112は、オーディオ情報とビデオ情報の両方を提供するデバイス(例えば、スピーカとディスプレイの両方)を含み得る。
【0014】
インフォテインメントデバイス112は、音声、視覚、及び触覚の形態を含む、上に列挙した形態のいずれかで乗車者に情報を提示してよい。情報は、様々な形態のインフォテインメント、アラートなどを含み得る。一例では、インフォテインメントデバイスは、特定のラジオ局、アーティスト、歌、コンテンツなどのユーザによって要求されたオーディオコンテンツを提示及び再生し得る。他の例においては、情報は、所望の目的地への運転経路によって規定された、要求されたナビゲーションコマンドを提示してよい。本明細書に記載されている例のほとんどは、車両のスピーカを介して聴覚的に提示される情報に関するものであるが、視覚的及び触覚的情報及びアラートも認めてよい。
【0015】
インフォテインメントデバイス112は、車両102全体の様々なインフォテインメント位置114に配置されてよい。各インフォテインメント位置114は、その位置114に配置された1つまたは複数のインフォテインメントデバイス112に関連付けられてよい。例示目的のみで図1に示すように、第1のインフォテインメントデバイス112aは、車両102の前部中央、または第1のインフォテインメント位置114aに配置されてよい。第2のインフォテインメントデバイス112bは、車両102の左前方の運転席側ドアの近く、または第2のインフォテインメント位置114bに配置されてよい。第3のインフォテインメントデバイス112cは、車両102の右前方の助手席側ドアの近く、または第3のインフォテインメント位置114cに配置されてよい。第4のインフォテインメントデバイス112dは、車両102の後部右、または第4のインフォテインメント位置114dに配置されてよい。第5のインフォテインメントデバイス112eは、車両102の後部右、または第4のインフォテインメント位置114eに配置されてよい。
【0016】
これらのインフォテインメント位置114は単なる例である。車両102内の様々な他の位置のより多くのまたはより少ない場所が可能であり得る。例えば、インフォテインメントデバイス112は、運転席及び同乗者の席の背もたれ、車両のセンターコンソール、車両102のルーフ上の車両エンターテインメントセンターなどに配置されてよい。さらに、インフォテインメントデバイス112は、複数のインフォテインメント位置114で情報を提示してよい。インフォテインメントデバイスがプロジェクタである例では、インフォテインメントデバイス112は、車両内の複数の場所に情報を投影し得る。
【0017】
触覚デバイスを含むインフォテインメントデバイス112の例では、触覚デバイスは、車両シートを介して、振動、熱、または冷却感覚をユーザに提供してよい。これらの触覚アラートは、イベントに関連するシートの側で生成されてよい。例えば、イベントが車両の左側にある場合、乗車者のシートの左側が振動してよい。説明したように、複数の形態のアラートまたは情報が乗車者に提示されてよい。乗車者の左側に提示される視覚的表示に加えて、乗車者のシートが振動してよい。
【0018】
図2は、図1の空間インフォテインメントレンダリングシステム100のプロセッサ110の例示のブロック図を示す。空間インフォテインメントレンダリングシステム100は、空間レンダリングプロセッサ122、接続された車両システム124、ナビゲーションシステム126、インフォテインメントデバイス112、及び、アップミキサ128を含み得る。
【0019】
接続された車両システム124は、接続された自動車または接続された車両のテレマティクスを介して促進される1つまたは複数のシステムを含み得る。これらのシステムには、別のモバイルデバイス、通常は運転者のモバイルデバイスで利用可能な機能が含まれてよい。車両102のプロセッサ110は、モバイルデバイス(図示せず)と無線で通信して、運転者のカレンダー、ナビゲーションシステム、GPSアンテナなどのモバイルデバイス内のデータにアクセスしてよい。データは、音楽、写真など、運転者のモバイルデバイスに固有でローカルなデータを含んでよい。データは、気象情報、交通情報などの外部ソースから提供される動的データも含んでよい。この「イベントデータ」は、車両102のナビゲーションに一般的に影響を与えるインスタンスに関連し得る。接続された車両システム124に加えて、またはその代わりに、プロセッサ110は、ネットワーク106、他のモバイルデバイスなどからデータを受信してよい。
【0020】
ナビゲーションシステム126は、現在の車両位置及び車両方向情報を提供するように構成されたGPSモジュールを含み得る。ナビゲーションシステム126は、道路の閉鎖、工事、開口部などの更新されたナビゲーション情報をネットワーク106から受信してよい。ナビゲーションシステム126は、現在の車両の位置とウェイポイントまたは目的地とに基づいて運転経路及び関連する指示を提供するように、インフォテインメントデバイス112を介して表示及び出力するための経路情報及びナビゲーションコマンドを提供してよい。ナビゲーションシステム126は、接続された車両システム124を介して、または車両102のヘッドユニットまたはディスプレイにおけるユーザ入力を介して目的地を受信してよい。
【0021】
空間レンダリングプロセッサ122は、接続された車両システム124及びナビゲーションシステム126から情報を受信するように構成されてよい。この情報は、車両102の現在の位置、車両102の現在の方向または向き、及びイベントデータに関連する情報を含み得る。車両102の現在位置は、車両のGPSモジュールによって決定されてよい。車両102の方向または向きは、時間の経過に伴う車両の位置を検討することにより、ナビゲーションシステム126によって決定されてよい。上記で説明したように、イベントデータは、車両102のナビゲーションまたは経路に影響を及ぼし得る交通情報または気象インスタンスを含み得る。
【0022】
空間レンダリングプロセッサ122は、車両102の現在の方向及び位置を考慮してイベントデータを分析するように構成されてよい。空間レンダリングプロセッサ122は、イベントデータが現在の運転経路に影響を及ぼし得るイベントを示すか否かを判断してよい。例えば、交通により遅延が発生したり、運転経路が変更されたり、嵐、大雨、竜巻などの気象イベントが運転者にも関連する可能性がある。これらのイベントが車両102から所定の距離内にある場合、運転者はこれらのイベントを知らせてほしい場合がある。
【0023】
空間レンダリングプロセッサ122は、イベントが車両102から所定の距離(例えば10マイル)内にあると判断すると、運転者にイベントを警告するイベントアラートを発するようにインフォテインメントデバイス112に指示してよい。例えば、アラートは「10マイル先は悪天候」や「前方で渋滞」を示してよい。アラートと車両のディスプレイによって提供される情報の増加により、このアラートは無視されるか、イベントが発生している場所などの十分な情報を提供できない場合がある。運転者のイベントに対する意識を高めるために、空間レンダリングプロセッサ122は、イベントが車両102に対してどの方向にあるかを判断し、イベントに最も近いインフォテインメントデバイス112の1つを選択してアラートを送信してよい。
【0024】
図3は、車両102に関連する例示的なイベントを示す。図3は、北に向かう車両を示す。第1のイベント134は北東に配置されてよい。図示の例では、第1のイベント134は嵐であってよい。嵐は車両102の北東に位置しているので、空間レンダリングプロセッサ122は、第2の位置114bにある第2のインフォテインメントデバイス112bからイベントアラートを発すべきであると判断し得る。
【0025】
別の例では、第2のイベント136は、北西で生じ得る。図示の例では、第2のイベント136は道路工事であってよい。工事は車両102の北東に位置しているので、空間レンダリングプロセッサ122は、第3の位置114cにある第3のインフォテインメントデバイス112cからイベントアラートを発すべきであると判断してよい。
【0026】
図2に戻ると、空間レンダリングプロセッサ122は、アップミキサ128と通信してよい。アップミキサ128は、イベントアラートに関連するオーディオ信号を受信し、特定のインフォテインメントデバイス112での適切な再生のためにオーディオ信号を処理するように構成された量子論理サラウンドサウンドプロセッサなどのプロセッサであってよい。アップミキサ128は、オーディオ信号のゲインを調整するとともに、ハイシェルフフィルタ及びローシェルフフィルタなどの様々なフィルタを適用して、オーディオ信号に反射を追加してよい。アップミキサ128は、オーディオ信号を複数のインフォテインメントデバイス112に分割し、イベント位置に関連付けられたインフォテインメントデバイス112が車両102に対するイベントの方向を反映する最高のゲインを有するように、各デバイスでゲインを調整してよい。一例では、選択されたインフォテインメントデバイス112に関連付けられた1つの信号のゲインを増加させ、他のすべてのゲインをゼロに減少させる、またはミュートにする。ゲインを調整するプロセスについては、図5に関連して以下でより詳細に記載する。
【0027】
アップミキサ128は、アンビソニックアップミキサ142及び/またはサラウンドサウンドエンジン144を含み得る。アンビソニックアップミキサ142は、リスナーの水平面の上、下、及び水平面内の複数のスピーカ位置を使用して、360度の球形の位置のどこかに音を配置する全球サラウンドサウンド技術であってよい。
【0028】
図6は、アンビソニックアップミキサ142の例示のプロセス600を示す。アンビソニックアップミキサ142は、ナビゲーションシステム126からナビゲーション入力206を受信してよい。アンビソニックアップミキサ142はまた、ナビゲーションシステム126及び/または接続車両システム124から位置及び方向情報202を受信してよい。アンビソニックアップミキサ142は、位置及び方向情報202を適用することによってオーディオ信号を処理し、インフォテインメントデバイス112によって再生されるスピーカイコライザ208に出力してよい。
【0029】
図2に戻ると、アップミキサ128は、サラウンドサウンドステレオアップミキサ144を含み得る。サラウンドサウンドステレオアップミキサ144は、量子論理サラウンドサウンドプロセッサであってよい。
【0030】
図7は、サラウンドサウンドステレオアップミキサ144の例示のプロセス700を示す。オーディオ信号304は、位相パンナ306で受信されてよい。位相パンナ306は、車両102の現在の位置及び方向情報308を受信してよい。パンナ306は、方向情報を使用して、イベントに関連する方向を反映するようにオーディオ信号を修正する。例えば、パンナ306は、車両102の右側で渋滞が近づいていることを知ることができる。この例では、パンナ306は、車両102の右側で知覚されるオーディオ信号の再生を反映するようにオーディオ信号を修正してよい。
【0031】
距離情報301もアップミキサ146に供給されてよく、オーディオ信号は、初期反射を追加してオーディオ信号に奥行き感を追加するようにさらに調整される。オーディオ信号は、スピーカイコライザ312に出力される。ユーザは、プロンプトがインフォテインメントデバイス112で再生されるとき、プロンプトを聞くだけでなく、知覚した音声に基づいて、次のプロンプトの距離及び方向を検出する。
【0032】
図4は、空間インフォテインメントレンダリングシステム100の例示のプロセス400を示す。プロセス400は、405で開始してよく、プロセッサ110が車両の位置及び方向情報を受信し得る。上記で説明したように、車両位置及び方向情報は、ナビゲーションシステム126、接続された車両システム124、または他のシステム及びデバイスから受信されてよい。
【0033】
ブロック410で、プロセッサ110は、イベントデータを受信してよい。イベントデータには、気象や交通量などのイベントの種類と場所が含まれてよい。イベントデータは、ナビゲーションシステム126、接続された車両システム124、または他のシステム及びデバイスから受信されてよい。
【0034】
ブロック415で、プロセッサ110は、イベントデータと位置及び方向情報とを分析して、イベントが車両の現在の経路に影響を与える可能性があるか否かを判断してよい。一例では、プロセッサ110は、イベントが車両位置から所定の距離(例えば、10マイル)内にあるか否かを判断してよい。イベントが現在の経路に影響を及ぼし得る場合、プロセッサ110は、イベントに関連付けられたオーディオ信号を生成してよく、プロセス400はブロック420に進む。そうでない場合、プロセスはブロック405に戻る。
【0035】
ブロック420で、プロセッサ110は、車両102に対するイベントの位置を判断してよい。この判断は、イベントの位置、車両102の現在の位置、及び車両の方向に基づいてよい。
【0036】
ブロック425で、プロセッサ110は、イベント位置に基づいて、1つまたは複数のインフォテインメント位置114と、関連するインフォテインメントデバイスとを選択してよい。
【0037】
ブロック430で、プロセッサ110は、選択されたインフォテインメントデバイス112にオーディオ信号を再生するように指示してよい。
【0038】
その後、プロセス400は終了する。
【0039】
図5は、空間インフォテインメントレンダリングシステム100を実施する例示のブロック図を示す。オーディオ入力506は、車両102から所定の距離内にあるイベント位置に応答して生成されたオーディオ信号を含み得る。オーディオ信号は、「前方渋滞」または「西方に嵐」などの音声再生フレーズを含んでよい。ゲイン504が、入力506に適用されてよい。システム100は、オーディオ信号を分割するように構成されたスプリッタ508を含み得る。スピーカ出力のすべてを信号処理の対象にする必要がないため、信号は分割されてよい。すなわち、インフォテインメントデバイス112の一部のみがオーディオ信号を出力してよく、オーディオ信号は、必要以上の処理を回避するために分割されてよい。
【0040】
システム100は、分割されたオーディオ信号に適用されるフィルタ512を含み得る。フィルタ512は、オーディオ信号に反射を追加するように構成されたハイシェルフフィルタ及びローシェルフフィルタを含み得る。追加された反射は、方向情報に基づいている。ステレオアップミキサ514は、オーディオ信号を複数のスピーカ出力に分割してよく、各出力は、スピーカに固有のゲインを有する。ゲインは、上記のように、イベント位置に関連付けられた方向情報を反映してよい。
【0041】
車両位置からのイベントの距離に基づいて奥行を提供するために、遅延516が現在のオーディオ入力522に追加されてよい。次に、加算器510が、出力を合計してよい。車両音響システムからのオーディオ入力は、ダッカ520にかけられる。ダッカ520は、運転者に対して再生されるイベントアラートに関連しない他のオーディオの再生を低減またはミュートにしてよい。
【0042】
従って、車両に対するイベントの位置に対応する車両内の位置で運転者にアラートを出力するように構成された空間認識システムを本明細書に記載する。
【0043】
本明細書に記載するコンピューティングデバイスは一般に、コンピュータ実行可能命令を含み、命令は、上に列挙されたものなどの1つまたは複数のコンピューティングデバイスまたはハードウェアデバイスによって実行可能であってよい。コンピュータ実行可能命令は、JAVA(登録商標)、C、C++、Visual Basic、Java(登録商標) Script、Perl等を含むが、これらに限定されない、様々なプログラミング言語及び/または技術を単独で、または、組み合わせて使用して作成されたコンピュータプログラムからコンパイルまたは解釈実行されてよい。一般に、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)は、例えば、メモリ、コンピュータ可読媒体などから命令を受信し、これらの命令を実行し、それによって、本明細書に記載のプロセスの1つまたは複数を含む1つまたは複数のプロセスを実行する。そのような命令及び他のデータは、様々なコンピュータ可読媒体を使用して記憶及び送信されてよい。
【0044】
例示的な実施形態を上述したが、これらの実施形態が発明のあらゆる可能な形態を記載するとは意図されない。むしろ、明細書で用いられた言葉は限定ではなく説明のための言葉であり、発明の精神及び範囲を逸脱することなく様々な変更が成されてよいことは理解されている。さらに、様々な実装実施形態の特徴は組み合わされて発明のさらなる実施形態を形成し得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】