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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126896
(43)【公開日】2023-09-12
(54)【発明の名称】排水口カバーおよび槽体システム
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/22 20060101AFI20230905BHJP
   E03C 1/14 20060101ALI20230905BHJP
   E03C 1/262 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
E03C1/22 B
E03C1/14 A
E03C1/262 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109940
(22)【出願日】2023-07-04
(62)【分割の表示】P 2022043230の分割
【原出願日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】P 2021061540
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
(74)【代理人】
【識別番号】100167966
【弁理士】
【氏名又は名称】扇谷 一
(72)【発明者】
【氏名】山本 大助
(72)【発明者】
【氏名】中島 一彰
(57)【要約】      (修正有)
【課題】排水の際、エアの巻込みを軽減し、水位上昇を抑制することができる排水口カバーおよび当該排水口カバーを有する槽体システムを提供する。
【解決手段】排水口カバーは、排水口を平面視遮蔽することができる覆い体20と、平面視にてこの覆い体20の中心から放射状に3つ以上形成され、覆い体20の下方へ突出するものであり、排水口の外方からの水が衝突することにより水の流れを分散させる分散面24及び水を覆い体20の中心へ案内することにより異なる方向からの水の流れを互いに衝突させて水の下方への落下を促す案内面26を有する案内壁22と、を有する。覆い体20と案内壁22とは一体化されていない。
【選択図】図26
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水口を平面視にて遮蔽することができる覆い体と、
平面視にて前記覆い体の中心から放射状に3つ以上形成され、前記覆い体から下方へ突出するものであり、前記排水口の外方からの水が衝突することにより水の流れを分散させる分散面及び水を前記覆い体の中心へ案内することにより異なる方向からの水の流れを互いに衝突させて水の下方への落下を促す案内面を有する案内壁と、
を備え、
前記覆い体と前記案内壁とは一体化されていない、
排水口カバー。
【請求項2】
排水口を平面視にて遮蔽することができる覆い体と、
平面視にて前記覆い体の中心を通る垂線側から放射状に3つ以上形成され、前記覆い体から下方へ突出し前記排水口の内部まで突出するものであり、前記排水口の外縁に沿った向きに面し外方からの水が衝突することにより水の流れを分散させる分散面及び前記分散面から前記覆い体の中心を通る垂線側へ向けて延出して、水を前記覆い体の中心を通る垂線側へ案内する案内面を有する、概略壁状をなす案内壁と、
を備え、
前記覆い体と前記案内壁とは一体化されていない、
排水口カバー。
【請求項3】
前記覆い体の中心から垂下する基部を、更に備え、
前記覆い体と前記基部と一体化されておらず、
前記案内壁が、前記基部に接続している、
請求項1または2に記載の排水口カバー。
【請求項4】
記案内壁は、隣接する案内壁の間に第1空間部が形成されるように構成され、
前記基部は、器体の内面から前記第1空間部に流れ込んだ水が衝突して、下方の前記排水口に流れるように構成された、
請求項1ないし3のいずれかに記載の排水口カバー。
【請求項5】
前記案内壁は、前記覆い体側寄りに位置する第1平面領域と前記排水口側寄りに位置する第2平面領域とを有し、
前記第2平面領域は、前記排水口に固定され、前記覆い体と前記排水口との間に排水開口を形成し排水を促す排水姿勢をとるように構成された、
請求項3に記載の排水口カバー。
【請求項6】
前記基部は、前記排水口側から押圧されることにより上下動することによって、前記覆い体と前記排水口との間に排水開口を形成し排水を促す排水姿勢と、前記覆い体と前記排水口とを密接させて排水の下方への移動を停止し、前記排水口が設けられた槽体に貯水し得るようにする栓姿勢との間で動作可能に構成されたものである、
請求項3に記載の排水口カバー。
【請求項7】
前記覆い体は、平面視にて概略真円状をなすものであり、
前記案内壁は、前記覆い体の直径の10%以上45%以下に設定された寸法の案内面を有する、
請求項1ないし6のいずれかに記載の排水口カバー。
【請求項8】
排水口が設けられた槽体と、
前記排水口に取付けられた排水口カバーであって、請求項1ないし7のいずれかに記載の排水口カバーとを備えた、
槽体システム。
【請求項9】
前記槽体の下流側に設けられた非サイフォン式トラップを更に有する、
請求項8に記載の槽体システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗面用等に好適に供される排水口カバーおよび槽体システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衛生設備における洗面用設備として、多様な設置環境に対応すべく、形状やサイズなど、種々の態様のものが実用されている。近時、洗面器・手洗い器とも称される槽体のデザイン、形状が多様化している。その背景には、特に、設置場所の狭小化に伴い槽体の大きさの極小化ともとれる小型化の実現があると考えられる。そして、洗面器や手洗いなどの槽体の形状や大小にかかわらず、これまで、槽体に設けられた排水口による排水を促すための技術が種々開示されている。これらの技術は、排水口を設けた箇所の外観を良くする目的及び/又は排水口に一時的に栓をする目的で設けられる排水口栓自体あるいはその近傍に施されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。例えば、特許文献1には、排水口栓の下方に排水の水流を円滑に促すために、所望の水流を発生させる技術が開示されている。また例えば、特許文献2には、排水口栓の下方に排水時に排水用配管側にある空気を外部に逃がすことにより、空気が排水の流れに干渉しないようにする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/135017号 公報
【特許文献2】特開2010-59701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、排水口カバーへと流入する吐水は、水はね低減のために水流を調整されたり、節水の点を鑑みた水量等で排水管から流出されたものであったりすることで、エアを含んだ泡沫吐水の状態になっている場合がある。このような泡沫吐水は、よりエアの巻込みを発生し易くし、円滑な排水の妨げになっている場合がある。すなわち、エア(空気)の巻込みにより、槽体の排水性能が阻害され、水位の上昇の問題が生じているのが現状である。また、水流の方向によっては槽体上に渦流が発生し、当該水流が渦流ごと排水口に流入することで、エア(空気)も巻込まれる事態も生じる。さらには、槽体上で互いに反対方向からの水流が生じ、これら水流同士が衝突することで発生するエアが、当該水流に巻込まれてしまうという事態も生じ、これらの事態も、スムーズな排水を妨げる要因となっていると考えられる。
【0005】
そこで本発明の所期の目的は、上記した問題を解決すべく、排水の際、エアの巻込みを軽減し、水位上昇を抑制することができる排水口カバーおよび当該排水口カバーを有する槽体システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る排水口カバーは、排水口を平面視にて遮蔽することができる覆い体と、平面視にて前記覆い体の中心から放射状に3つ以上形成され、前記覆い体から下方へ突出するものであり、前記排水口の外方からの水が衝突することにより水の流れを分散させる分散面及び水を前記覆い体の中心へ案内することにより異なる方向からの水の流れを互いに衝突させて水の下方への落下を促す案内面を有する案内壁と、を備え、前記覆い体と前記案内壁とは一体化されていない。
【0007】
本発明の請求項2に係る排水口カバーは、排水口を平面視にて遮蔽することができる覆い体と、平面視にて前記覆い体の中心を通る垂線側から放射状に3つ以上形成され、前記覆い体から下方へ突出し前記排水口の内部まで突出するものであり、前記排水口の外縁に沿った向きに面し外方からの水が衝突することにより水の流れを分散させる分散面及び前記分散面から前記覆い体の中心を通る垂線側へ向けて延出して、水を前記覆い体の中心を通る垂線側へ案内する案内面を有する、概略壁状をなす案内壁と、を備え、前記覆い体と前記案内壁とは一体化されていない。
【0008】
本発明の請求項3に係る排水口カバーは、前記覆い体の中心から垂下する基部を、更に備え、前記覆い体と前記基部と一体化されておらず、前記案内壁が、前記基部に接続している。
【0009】
本発明の請求項4に係る排水口カバーは、前記案内壁は、隣接する案内壁の間に第1空間部が形成されるように構成され、前記基部は、器体の内面から前記第1空間部に流れ込んだ水が衝突して、下方の前記排水口に流れるように構成されている。
【0010】
本発明の請求項5に係る排水口カバーは、前記案内壁は、前記覆い体側寄りに位置する第1平面領域と前記排水口側寄りに位置する第2平面領域とを有し、前記第2平面領域は、前記排水口に固定され、前記覆い体と前記排水口との間に排水開口を形成し排水を促す排水姿勢をとるように構成されている。
【0011】
本発明の請求項6に係る排水口カバーは、前記基部は、前記排水口側から押圧されることにより上下動することによって、前記覆い体と前記排水口との間に排水開口を形成し排水を促す排水姿勢と、前記覆い体と前記排水口とを密接させて排水の下方への移動を停止し、前記排水口が設けられた槽体に貯水し得るようにする栓姿勢との間で動作可能に構成されている。
【0012】
本発明の請求項7に係る排水口カバーは、前記覆い体は、平面視にて概略真円状をなすものであり、前記案内壁は、前記覆い体の直径の10%以上45%以下に設定された寸法の案内面を有する。
【0013】
本発明の請求項8に係る槽体システムは、排水口が設けられた槽体と、前記排水口に取付けられた排水口カバーであって、本発明の請求項1ないし7のいずれかに記載の排水口カバーとを備えている。
【0014】
本発明の請求項9に係る槽体システムは、前記槽体の下流側に設けられた非サイフォン式トラップを更に有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、狭小洗面器や種々の形状、サイズを有する槽体においても、排水の際、水位上昇を抑制することができる排水口栓及び排水口栓付き槽体を提供することができる。
【0016】
本発明の上記の目的、その他の目的、特徴及び利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施の形態である洗面・手洗用設備の斜視図解図である。
図2】本発明の一実施の形態である排水口栓付き槽体の斜視図解図である。
図3】本発明の一実施の形態である排水口カバー付き槽体の一部を断面とした正面図解図である。
図4】本発明の一実施の形態である排水管ユニットの一部を断面とした正面図解図である。
図5】本発明の一実施の形態である排水口カバーの斜視図解図である。
図6】本発明の一実施の形態である排水口カバーの図解図であり、(A)は、正面図解図であり、(B)は、側面図解図である。
図7】排水口カバーの平面図解図である。
図8】排水口カバーの底面図解図である。
図9】水の流れを示す、排水口カバーの底面図解図である。
図10】洗面・手洗い用設備の水の流れを示す、一部を断面とした、正面図解図である。
図11】排水口カバーの第2の実施の形態を示す、斜視図解図である。
図12図11図示排水口カバーの底面図解図である。
図13図11図示排水口カバーの正面図解図である。
図14図11図示排水口カバーの平面図解図である。
図15】水の流れを示す、排水口カバーの底面図解図である。
図16】排水口カバーを排水口に嵌め込んだ状態を示す、一部を断面とした正面図解図である。
図17】第3の実施の形態の排水口カバーの斜視面図解図である。
図18図17図示排水口カバーの底面図解図である。
図19図17図示排水口カバーの正面図解図である。
図20図19図示排水口カバーの底面図解図である。
図21】第3の実施の形態の排水口カバー付き槽体の一部を断面とした、正面図解図である。
図22】第4の実施の形態の排水口カバーの斜視図解図である。
図23】第4の実施の形態の排水口カバーの斜視図解図である。
図24図22図示排水口 カバーの図解図であり、(A)は正面図解図であり、(B)は側面図解図である。
図25図22図示排水口カバーの底面図解図である。
図26図22図示覆い体と案内部材との取り付け方を示す斜視図解図である。
図27図22図示排水口カバーを排水口に取り付けた状態を示す、断面図解図である。
図28図22図示排水口カバーの底面図解図である。
図29図22図示排水口カバーを排水口に取り付けた状態を示す、一部を断面とした、正面図解図である。
図30図3ないし8図示実施の形態の変形例の図解図であり、(A)は、斜視図解図であり、(B)は、一部を断面とした正面図解図である。
図31図17ないし19図示実施の形態の変形例の図解図であり、(A)は、斜視図解図であり、(B)は、一部を断面とした正面図解図である。
図32】本発明の第5の実施の形態である槽体システムの一部を断面とした正面図解図である。
図33】本発明の一実施の形態である槽体システムのボトルトラップの一部を断面とした正面図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(定義)
本発明の説明においては、図面を参照して説明する際の方向を以下の通り定義する。すなわち、後述する排水口カバーを後述する排水口に取り付けたときにおける覆い体側を上、上側といい、排水口側を下、下側という。また、鉛直方向における上を上、上側といい、下を下、下側という。
【0019】
排水口カバーを排水口に取り付けたときにおける覆い体から伸びる垂線または鉛直方向に直行または交差する方向を外側、右または左側、径方向という。また、排水口カバーを排水口に取り付けたときにおける排水口の縁側を外側、右または左側、径方向という。
【0020】
以下、本発明に係る排水口カバー及び槽体システムについて、図1図4を参照して説明する。
【0021】
本発明に係る排水口カバー及び槽体システムは、例えば住宅用、店舗用として設置される洗面、手洗い用の衛生設備である洗面手洗い用設備に好適に供される。
【0022】
図1に示す洗面・手洗い用設備10は、特に店舗内の限られた狭小なスペースにおいて設置される、いわゆる省スペース化に好適に対応したものを一例として示している。
【0023】
本発明に係る槽体システムを備える洗面・手洗い用設備10は、この排水口カバー12付きの槽体14と、槽体14に上水を吐出する吐出装置18と、この吐出装置18から排水口カバー12の槽体14へ吐出された水である冷水や温水を槽体14から排出するための排水装置(排水管ユニット)16とを有する。
【0024】
また、洗面・手洗い用設備10は、更に吐出装置18に上水を供給するための図示しない給水装置をさらに有する。
【0025】
洗面・手洗い用設備10は、槽体14の下方において形成された排水開口を構成する排水口14cに排水口カバー12が配設されている。
【0026】
排水口カバー12は、排水口14cに脱着自在又は挿脱自在に構成されている。排水口14cは、下水管に接続するための排水装置(排水管ユニット)16に接続している。
【0027】
本発明に係る排水装置(排水管ユニット)16を構成する排水口カバー12は、例えば、洗面器・手洗い器などを構成する槽体14の器体50の下方部に形成された排水開口を構成する排水口14c及び器体排水口部52に直接または間接的に取り付けられるものである。
【0028】
本発明に係る排水口カバー12は、排水口カバーの本体を構成する覆い体20と、平面視にて、この覆い体20の中心から外側に放射状に延出する態様を有し、3つ以上形成され、覆い体20より下方に突出する案内壁22とを備える。
【0029】
本発明に係る排水口カバー12は、案内壁22により、排水口14cに直接的に支持されるように構成される。案内壁22の上方には覆い体20が配設されている。
【0030】
排水口カバー12の覆い体20は、排水栓または排水皿とも呼ばれ、またブラインドプレートとも言われている平面視円形の皿状のプレート部20aを備え、該プレート部20aが排水口14cを平面視にて、すなわち上から見えないように、排水口14cを覆うとともに、排水口14cの周辺の槽体14の内面54を覆うように構成されている。
【0031】
案内壁22は、排水口14cの外方からの水が衝突することにより水の流れを分散させる分散面24及び水を覆い体20の中心へ案内することにより異なる方向から流れ込む水を互いに衝突させて水の下方への落下を促す案内面26を有する。
【0032】
本発明に係る排水口カバー12は、覆い体20の中心より下方に伸びる柱状体の基部28及び/又は排水口カバー12及び案内壁22を支える支柱状基部28Aを備える。ただし、図4には基部28のみを備えた構成を示した。
【0033】
基部28は、覆い体20の中心に配設され、案内壁22の内側すなわち覆い体20の中心側に配設されており、覆い体20及び案内壁22と一体化されている。
【0034】
図4には示さない、後述の実施の形態にて説明される支柱状基部28Aも、案内壁22と一体化され、覆い体20とは別部材として構成された案内部材34の一部を構成している。支柱状基部28Aは、案内部材34が覆い体20に取り付けられたとき、案内壁22の内側すなわち覆い体20の中心側に配設される。
【0035】
隣接する案内壁22の間には、覆い体20の下方で器体50の内面54につながる空間部48(第1空間部48a)が形成され、また、第1空間部48aの下方には、排水口14cにつながる空間部48(第2空間部48b)が形成されている。
【0036】
槽体システムを構成する排水装置(排水管ユニット)16において、排水口14cより下流側の構成は、以下の通りである。排水口14cは、槽体14の器体排水口部52を閉塞して下方に延出するように設けられた排水管本体60の上端であって、テーパー部分を除いた開口として形成されている。
【0037】
槽体14の直下には排水管本体60が設けられる。排水管本体60は滑りパッキン64、三角パッキン66及びスポンジパッキン68を介して防水性を保持した状態でロックナット62の締結により槽体14に固定される。排水管本体60の下流には排水管70が設けられる。排水管70は、パッキン74を介して防水性を保持した状態で固定ナット72の締結により排水管本体60に固定される。なお、排水管本体60の周面には雄ねじ60bが形成されており、ロックナット62及び固定ナット72が排水管本体60に螺合されるようにしている。
【0038】
更に、槽体システムを構成する排水装置(排水管ユニット)16は、排水管70の下流に設けられたSトラップ78を有する。Sトラップ78は、固定ナット76の締結により排水管70に連結されている。Sトラップ78は、パッキン75を介して外形U字型の二つの配管を固定ナット73により接合した構成を有する。Sトラップ78は、下に凸に湾曲した部分に排水管70からの排水を封水として滞留させることにより、Sトラップ78の更に下流の配管からの臭気やガスが排水管70まで上がってくることを防いでいる。
【0039】
なお、槽体14は上方に水抜きのためのオーバーフロー穴58が設けられている。
【0040】
以下、各実施の形態において、更に詳細な説明を行う。
【0041】
(第1の実施の形態)
次に、本発明に係る第1の実施の形態の排水口カバー12について、主として、図3図10に基づいて説明する。
【0042】
覆い体20は、ブラインドプレートとも言われている平面視にて円形の皿状の外形を有する。プレート部20aは、排水口14c上から見えないように排水口14cを覆うともに、槽体14の排水口14cの周辺の内面54をも覆うように構成されており、排水口カバー12を排水口14cに取付けたとき、排水口14cより浮いた状態で固定される。
【0043】
案内壁22は、平面視では、覆い体20の中心から外側に放射状に延出する態様で、同じ間隔を置いて、4本が配設されている。隣接する案内壁22によって構成される中心角は、45°である。
【0044】
案内壁22は、覆い体20の下側の面から下方に向けて伸び、覆い体20の周及び下方側に向かう広がりを有する板状体である。なお、複数の案内壁22は、略同一の形状を有する。
【0045】
この実施の形態においては、案内壁22は、基部28側とは反対側の外側に形成された外側面の輪郭が、後述する第1稜線領域40、第2稜線領域42及び第3稜線領域46から構成されることで、横幅が段階的に小さくなる平面形状を有する板状体である。
【0046】
案内壁22は、特に図6に示すように、槽体14より排水口14cに流れる水を略水平方向に流れ込ませることができる第1平面領域30と、排水口カバー12を槽体14に固定するために排水口14cに嵌め込まれる第2平面領域32とを備える。
【0047】
第1平面領域30は、平面視で、覆い体20の中心を通る垂線側より排水口14c側に向けて、覆い体20の径方向に伸びる一定の幅及び覆い体20の下面より鉛直方向に伸びる一定の高さを有する外形を備える。第2平面領域32は、平面視で、第1平面領域30の直下で、下端に近い領域で覆い体20の下面より斜行して基部28に向かって幅が減じる外形を備える。
【0048】
特に図6に示すように、案内壁22において、案内壁22の基部28側とは反対側の外側に形成された案内壁22の外側面、すなわち端面は、第1稜線領域40、第2稜線領域42及び第3稜線領域46に分けられる。
【0049】
第1稜線領域40は、覆い体20より一定の幅で下方に伸びる領域であって、排水口14cを覆う覆い体20の外周縁より内側であって、排水口14cの外周縁より若干外側にはみ出した領域である。第2稜線領域42は、案内壁22の下端寄りの側にて覆い体20の中心を通る垂線側にある基部28からの幅が減じる領域であって、排水管排水口部60cのフランジ60aのテーパーを有する内周面に嵌まり込む領域である。第3稜線領域46は、第2稜線領域42の下端から一定の幅で下方に伸びる領域であって、排水管排水口部60cの同一内径の本体部分に嵌まり込む領域である。
【0050】
案内壁22は、特に図5及び6に示すように、その両面は、平面状の案内面26を形成している。案内面26は、覆い体20の中心を通る垂線と略平行な方向にのび且つ略直交する方向に伸びる一方の主面である第1案内面26aと、他方の主面であって、第1案内面26aの裏面に相当する第2案内面26bとを有し、基部28側に向かうにしたがって覆い体20の周方向に拡がるように構成されている。案内壁22は、横断面矩形状であり、その表面に沿って外側より内側に向けて水を案内して旋回流を発生するように構成されている。なお、案内壁22の横断面形状はテーパー状であるとしてもよい。
【0051】
案内壁22の外側面、つまり端面は、その左右面に形成された第1案内面26aの外側の縁と第2案内面26bの外側の縁とを繋ぐ、平らな面状の分散面24を形成している。
【0052】
分散面24は、覆い体20側から下方に伸びる平らな面であり、槽体14の内面54側から排水口14cに向かって流れ込む水が衝突するように構成されている。
【0053】
案内壁22は、この実施の形態においては、覆い体20の中心より下方に伸びる垂線に沿って形成された基部28より外側に向けて伸びており、基部28と一体化されている。また、案内壁22は、この実施の形態においては、覆い体20のプレート部20aの下面より下方に向けて伸びており、覆い体20と一体化されている。
【0054】
案内壁22は、この実施の形態においては、第2稜線領域42及び第3稜線領域46が、排水口14cに嵌合するために形成された固定領域44を構成している。固定領域44は、排水管本体60の排水管排水口部60cに嵌め合う外形を有する領域であって、具体的には、固定領域44は、第2稜線領域42及び第3稜線領域46に相当する部分が排水管本体60の排水管排水口部60cに嵌まり込んだときに、第3稜線領域46が排水管排水口部60cの本体部分に嵌まり込むとともに第2稜線領域42の上端がフランジ60aの上端部分に位置する。更に、第2稜線領域42の上端が、その位置よりも、排水管70の方に下がらないような外形を備える。
【0055】
固定領域44は、複数の案内壁22の適宜な間隔をあけた配置に対応して、環状につらなって連設される。換言すれば、固定領域44は、覆い体20の中心軸から第2稜線領域42までの距離を半径とする周上に等間隔で設けられている。
【0056】
案内壁22は、覆い体20と固定領域44の間に、水が内側に向けて流れ込む空間を形成するように構成され、その空間部分において、分散面24が外側に向くように構成されている。
【0057】
特に図4に示すように、隣接する案内壁22の間には、覆い体20の下方で器体50の内面54につながる空間部48(第1空間部48a)が形成される。また、第1空間部48aの下方には、排水口14cに連通する排水開口となる空間部48(第2空間部48b)が形成されている。
【0058】
案内壁22の、第2稜線領域42に対応する部分は、排水口14cを覆う覆い体20の外周縁より内側であって、排水口14cの外周縁より若干外側にはみ出すように構成されている。
【0059】
この実施の形態における排水口カバー12は、覆い体20の中心であって排水口14c側の面である下側の面より排水口14c側である下の方向に向けて伸びる柱状体の基部28を備える。
【0060】
基部28は、案内壁22の内側すなわち覆い体20の中心側に配設されており、覆い体20及び案内壁22と一体化されている。
【0061】
案内壁22は、外方から流れ込んでくる水を、分散面24によって分散させて、案内面26に沿って、第1空間部48aにおいて水平方向ないしはやや下方に向けて流れ込ませる。そして、流れ込んだ水は基部28に衝突した後、基部28の表面に沿って第2空間部48bから排水口14cに流れ落ちる。すなわち、排水口カバー12は、案内壁22及び基部28によって水を導くように構成されている。
【0062】
換言すれば、案内壁22及び基部28は、外側から流れ込んだ水を隣接する複数の案内壁22の間の第1空間部48aに導き、その水が基部28に衝突した後、基部28及び案内壁22の表面に沿って流れ落ちるように、構成されている。
【0063】
この実施の形態においては、案内壁22の幅すなわち基部28から覆い体20の径方向に向かう長さは、覆い体20の直径の10%以上45%以下に設定されている。
【0064】
また、案内壁22の高さすなわち覆い体20の下部から鉛直方向において下方に至る長さは、覆い体20の直径の70%以上100%以下に設定されている。
【0065】
覆い体20の下側面と槽体14の排水口14cとの間の高さhと、排水口14cの半径rとの関係は、
r/2≦h
を満たすことが好ましい。
【0066】
槽体14を構成する器体50は、すり鉢型であり、断面円弧状ないしは楕円状の内面54を備えている。
【0067】
器体50の内面54は、器体排水口部52に近づくに従って曲率が小さくなり、底面として略平坦面に等しい側底面56を備える。
【0068】
吐出装置18の吐出口92から吐水される吐水は、束状にまとまって流下し、排水口カバー12の覆い体20及び槽体14を構成する器体50の側底面56に衝突する。
【0069】
その流れの束の鉛直に対する角度は、10°以上13°以下である。
【0070】
排水口14cは、槽体14の器体50の器体排水口部52に嵌められた排水装置(排水管ユニット)16の排水管本体60の上部開口の、テーパー部分より奧の部分として成されている。
【0071】
排水口14cは、図2図示のように平面視にて円形であり、その直径(L1の径)は、33mm以上36mm以下であることが好ましい。
【0072】
排水口14cの平面視による面積は、器体50の平面視形状(平面視円形の場合)との面積比で10%以下であることが好ましい。
【0073】
吐出装置18は、図1に示されるように、洗面・手洗い用設備10の近傍に設置される。吐出装置18は、同図では基端から排水口カバー12近傍まで延出し上水を案内する吐出装置本体90と、この吐出装置本体90の先端に設けられ上水を吐出するための吐出口92と、この吐出口92から上水の供給の有無又は有無及び強度を、回転や上下動により操作するための操作部94とを有している。
【0074】
本実施の形態では、吐出装置18は、一例として、例えば使用者の手指等の吐出装置本体90への近接を検知する図示しないセンサを有するものを図示している。すなわち当該センサの検知により、使用者が吐出装置18に触れることなく上水が吐出される態様のものを例示している。
【0075】
この第1の実施の形態によれば、案内壁22が、排水口14cに入る渦の流れを阻害し、エアの巻き込みを防ぐ。そして、案内壁22及び基部28があるので、排水口14cに入る水は、その反対方向から入る水との衝突が防がれて、エアの巻き込みを防ぐ。
【0076】
基部28の近傍における隣接する案内壁22の間の区画すなわち第1空間部48aは、排水が流入するとき、エアの排出口となり、エアの滞留を防ぐ。
【0077】
なお、吐出装置18の態様は図示の態様に限られず、操作部94に加えて、さらに上水において加温された水と加温されていない水とを使用者が所望の割合で混合し、所望の温度の上水を吐出し得るように操作し得るレバーが設けられている態様であってもよい。斯かる場合、上記の吐出装置18に上水を加温、混合し得る格別の装置が設けられていることはいうまでもない。
【0078】
本実施の形態では、図1及び図3に示されるように、排水装置(排水管ユニット)16は、吐出装置18の下方に位置づけられ、かつ、排水口14cの下端において排水装置(排水管ユニット)16と連結している。
【0079】
以下、本発明の槽体システムが含まれる排水装置(排水管ユニット)16の構成を説明する。
【0080】
排水装置(排水管ユニット)16は、下水道側へ連通する排水管70と、排水管70に基端側で接続され且つ先端側で槽体14の器体50に支持・固定するための排水管本体60とを有する。
【0081】
排水管70は、例えばSトラップ78を形成し得る形状をなしながら床面や壁面へ接続し屋外へ排水するように形成される。排水管70は、内面に雌ねじ部分を表出させた固定ナット73と、雌ねじ部分、詳細には排水管本体60の下端に配された環状をなすパッキン75とを介して、排水管本体60の基端側に接続される。
【0082】
排水管本体60は、上端側には拡開したフランジ60aが形成され、フランジ60aの下方に延出する外周面側に雄ねじ60bが形成されている。フランジ60aの内周面側には、排水口カバー12を支持するための段差が設けられている。排水管本体60の表面には、ロックナット62と、滑りパッキン64と、三角パッキン66と、スポンジパッキン68とが係り合う。
【0083】
具体的には、図3及び図4に示されるように、排水管本体60は、上端のフランジ60aを介して槽体14の器体50の器体排水口部52に固定される。そして、排水管本体60の雄ねじ60bは下側から滑りパッキン64、三角パッキン66、スポンジパッキン68を挿通させ、ロックナット62を螺合させる。
【0084】
一方、排水管本体60の下端は、固定ナット72に螺合、固定される。すなわち、排水管本体60と排水管70とは、固定ナット72によって、パッキン74を介して水漏れ無く接続される。
【0085】
他方、排水管本体60のフランジ60aとスポンジパッキン68との間に器体50の器体排水口部52(排水開口)を位置させた状態でロックナット62を上方へ螺合させると、滑りパッキン64、三角パッキン66及びスポンジパッキン68が上方へ移動する。その結果、器体50の器体排水口部52(排水開口)が強く挟持され、固定される。なお、ロックナット62の回転は、滑りパッキン64を回転させつつも、三角パッキン66及びスポンジパッキン68には伝わらない。
【0086】
(水流について)
第1の実施の形態の排水口カバー12においては、図9及び10の図中矢印に示すように、外方から流れ込んでくる水は、案内壁22の分散面24によって分散されて、案内面26に沿って、そして覆い体20の下側の面に導かれて、第1空間部48aにおいて水平方向ないしはやや下方に向けて流れ込む。
【0087】
そして、その流れ込んだ水は、基部28に衝突した後、当該基部28の表面に沿って、且つ表面形状に応じて整流されて更に第2空間部48bを経て排水口14cに流れ落ちる。
【0088】
このとき、覆い体20の下方で隣接する案内壁22の間に形成された空間部48(第1空間部48a)に繋がる器体50の内面54から流れ込んだ水は、空間部48(第1空間部48a)において、旋回流となり、滞留することなく、基部28及び案内壁22の下方に形成された、排水口14cに繋がる空間部48(第2空間部48b)に流れ落ちる。これにより、排水口カバー12に流れ込んだ水は、エア(空気)の巻き込みも殆どなく、空間部48(第2空間部48b)から、スムーズに排水口14cに排水される。
【0089】
(第2の実施の形態)
次に、本発明に係る第2の実施の形態の排水口カバー12について、主として、図11図16に基づいて説明する。
【0090】
第2の実施の形態の排水口カバー12は、基部28を有さず、覆い体20と、覆い体20のプレート部20aから下方に延出する案内壁22とを備える。
【0091】
覆い体20は、ブラインドプレートとも言われている平面視にて円形の皿状の外形を有する。プレート部20aは、排水口14cの上から見えないように排水口14cを覆うともに、槽体14の排水口14cの周辺の内面54をも覆うように構成されており、排水口カバー12を排水口14cに取付けたとき、排水口14cより浮いた状態で固定される。
【0092】
案内壁22は、覆い体20の下側の面から下方に向けて伸び、覆い体20の周及び下方側に沿った広がりを有する板状体である。なお、複数の案内壁22は、略同一の形状を有する。
【0093】
この実施の形態においては、案内壁22は、基部28側とは反対側の外側に形成された蓋側面の輪郭が、後述する第1稜線領域40、第2稜線領域42及び第3稜線領域46から構成されることで、横幅が段階的に小さくなる平面形状を有する板状体である。
【0094】
案内壁22は、特に図7に示すように、槽体14より排水口14cに流れる水を略水平方向に流れ込ませることができる第1平面領域30と、排水口カバー12を槽体14に固定するために排水口14cに嵌め込まれる第2平面領域32とを備える。
【0095】
第1平面領域30は、平面視で、覆い体20の中心を通る垂線側より排水口14c側に向けて、覆い体20の径方向に伸びる一定の幅及び覆い体20の下面より鉛直方向に伸びる一定の高さを有する外形を備える。第2平面領域32は、平面視で、第1平面領域30の直下で、下端に近い領域で覆い体20の下面より斜行して基部28に向かって幅が減じる外形を備える。
【0096】
特に図13に示すように、案内壁22において、案内壁22の基部28側とは反対側の外側に形成された案内壁22の外側面、すなわち端面は、第1稜線領域、第2稜線領域42及び第3稜線領域46に分けられる。
【0097】
第1稜線領域40は、覆い体20より一定の幅で下方に伸びる領域であって、排水口14cを覆う覆い体20の外周縁より内側であって、排水口14cの外周縁より若干外側にはみ出した領域である。第2稜線領域42は、案内壁22の下端寄りの側にて覆い体20の中心を通る垂線側にある基部28からの幅が減じる領域であって、排水管排水口部60cのフランジ60aのテーパーを有する内周面に嵌まり込む領域である。第3稜線領域46は、第2稜線領域42の下端から一定の幅で下方に伸びる領域であって、排水管排水口部60cの同一内径の本体部分に嵌まり込む領域である。
【0098】
案内壁22は、特に図12に示すように、その両面が、平面状の案内面26を形成している。案内面26は、覆い体20の中心を通る垂線と略平行な方向にのび且つ略直交する方向に伸びる一方の主面である第1案内面26aと、他方の主面であって、第1案内面26aの裏面に相当する第2案内面26bとを有し、基部28側に向かうにしたがって覆い体20の周方向に拡がるように構成されている。案内壁22は、横断面矩形状であり、その表面に沿って外側より内側に向けて水を案内するように構成されている。なお、案内壁22の横断面形状はテーパー状であるとしてもよい。
【0099】
案内壁22の外側面は、その左右面に形成された第1案内面26aの外側の縁と第2案内面26bの外側の縁とを繋ぐ、平面状の分散面24を形成している。
【0100】
分散面24は、覆い体20側から下方に伸びる平面であり、槽体14の内面54側から排水口14cに向かって流れ込む水が衝突するように構成されている。
【0101】
案内壁22は、覆い体20の中心を通る垂線側の内側面が略々平面状であり、対向する位置にある案内壁22の各々の内側面の間に空間部48(第3空間部48c)が形成されている。
【0102】
すなわち、案内壁22は、この実施の形態においては、覆い体20の中心より下方に伸びる垂線とは一定の距離を置いて独立して形成された板状体である。上述したように、案内壁22は、覆い体20の中心側から下方に延出し、且つ、当該中心側から外側に向けて広がりを有しており、覆い体20と一体化されている。
【0103】
案内壁22は、この実施の形態においては、第2稜線領域42及び第3稜線領域46が、排水口14cに嵌合するために形成された固定領域44を構成している。固定領域44は、排水管本体60の排水管排水口部60cに嵌め合う外形を有する領域であって、具体的には、固定領域44は、第2稜線領域42及び第3稜線領域46に相当する部分が排水管本体60の排水管排水口部60cに嵌まり込んだときに、第3稜線領域46が排水管排水口部60cの本体部分に嵌まり込むとともに第2稜線領域42の上端がフランジ60aの上端部分に位置する。更に、第2稜線領域42の上端が、その位置よりも、排水管70の方に下がらないような外形を備える。
【0104】
固定領域44は、複数の案内壁22の適宜な間隔をあけた配置に対応して、環状につらなって連設される。換言すれば、固定領域44は、覆い体20の中心軸から第2稜線領域42までの距離を半径とする周上に等間隔で設けられている。
【0105】
案内壁22は、覆い体20と固定領域44の間に、水が内側に向けて流れ込む空間を形成するように構成され、その空間部分において、分散面24が外側に向くように構成されている。
【0106】
案内壁22の第2稜線領域42に対応する部分は、排水口14cを覆う覆い体20の外周縁より内側であって、排水口14cの外周縁より若干外側にはみ出すように構成されている。
【0107】
この第2の実施の形態においては、前記第1の実施の形態における基部28がなく、覆い体20の中心を通る垂線側に案内壁22もなく、各々の案内壁22の内側面の間に空間部48(第3空間部48c)が形成されている。図15及び図16に示すように、分散面24に衝突してから案内壁22の案内面26に沿って中心側に流れ込んだ水及び隣接する案内壁22に流れ込んだ水は、その空間部48(第3空間部48c)において互いに衝突し、下方の排水口14cに流れ落ちる。
【0108】
この第2の実施の形態においては、案内壁22の数が、第1の実施の形態における案内壁22の数より多い。すなわち、案内壁22は、覆い体20の中心から外側に放射状に延出する態様で、同じ間隔を置いて、8本が配設されている。隣接する案内壁22によって構成される中心角は、22.5°である。
【0109】
(第3の実施の形態)
次に、本発明に係る第3の実施の形態の排水口カバー12について、主として、図17ないし図21に基づいて説明する。
【0110】
覆い体20は、ブラインドプレートとも言われている平面視にて円形の皿状の外形を有する。プレート部20aは、排水口14c上から見えないように排水口14cを覆うともに、槽体14の排水口14cの周辺の内面54をも覆うように構成されており、排水口カバー12を排水口14cに取付けたとき、排水口14cより浮いた状態で固定される。
【0111】
案内壁22は、覆い体20の下側の面から下方に向けて伸び、覆い体20の周及び下方側に沿った広がりを有する板状体である。なお、複数の案内壁22は、略同一の形状を有する。
【0112】
この実施の形態においては、案内壁22は、基部28側とは反対側の外側に形成された外側面の輪郭が、後述する第1稜線領域40、第2稜線領域42及び第3稜線領域46から構成されることで、第3稜線領域46に相当する部分を除いてその横幅が小さくなる平面形状を有する板状体である。
【0113】
案内壁22は、特に図13に示すように、槽体14より排水口14cに流れる水を略水平方向に流れ込ませることができる第1曲面領域31と、排水口カバー12を槽体14に固定するために排水口14cに嵌め込まれる第2曲面領域33とを備える。
【0114】
第1曲面領域31は、平面視で、覆い体20の中心を通る垂線側より排水口14c側に向けて、湾曲しながら、覆い体20の径方向に沿って伸びる幅及び覆い体20の下面より鉛直方向に伸びる高さを有する外形を備える。第2曲面領域33は、平面視で、第1曲面領域31の直下で、湾曲しながら、下端に近い領域で覆い体20の下面より斜行して基部28に向かって幅が減じる外形を備える。
【0115】
特に図19に示すように、案内壁22において、案内壁22の基部28側とは反対側の外側に形成された案内壁22の外側面、すなわち端面は、第1稜線領域40、第2稜線領域42及び第3稜線領域46に分けられる。
【0116】
第1稜線領域40は覆い体20より基部28からの幅が減じるよう湾曲しながら下方に伸びる領域であって、排水口14cを覆う覆い体20の外周縁より内側であって、排水口14cの外周縁より若干外側にはみ出した領域である。第2稜線領域42は、案内壁22の下端寄りの側にて覆い体20の中心を通る垂線側にある基部28からの幅が第1稜線領域40より大きく減じるよう湾曲しながら下方に伸びる領域である。第3稜線領域46は、第2稜線領域42の下端から一定の幅で下方に伸びる領域であって、排水管排水口部60cの同一内径の本体内に位置する領域である。
【0117】
案内壁22は、覆い体20側から下方に向けて延出するとともに、その位置が平面視で覆い体20の周方向一方側に向けて徐々に変移するように反りかえった板状体であり、その両面に球面又は曲面状の案内面26を備えている。具体的には、案内面26は、球面又は基部28の中心軸周りに形成された螺旋面又は螺旋面に準じた曲面である。案内面26は、覆い体20の中心を通る垂線と略平行な方向に伸び、且つ略直交する方向に伸びる面である第1案内面26aと他方の主面であって、第1案内面26aの裏面に相当する第2案内面26bとを有し、基部28側に向かうにしたがって覆い体20の周方向に拡がるように構成されている。案内壁22は、横断面が平行面を含んで構成されており、その表面に沿って外側より内側に向けて水を案内するように構成されている。なお、案内壁22の横断面形状はテーパー状であるとしてもよい。
【0118】
案内壁22の第1稜線領域40は、その左右面に形成された第1案内面26aと第2案内面26bとの間を繋ぐ、球面又は曲面状の分散面24を構成している。
【0119】
分散面24は、覆い体20側から下方に伸びる面であり、槽体14の内面54側から排水口14cに向かって流れ込む水が、衝突するように構成されている。
【0120】
特に図19に示すように、隣接する案内壁22の間には、覆い体20の下方で器体50の内面54につながる空間部48(第1空間部48a)が形成される。また、第1空間部48aの下方には、排水口14cに連通する排水開口となる空間部48(第2空間部48b)が形成されており、水が滞留することなく流れ落ちる。
【0121】
案内壁22は、この実施の形態においては、覆い体20の中心より下方に伸びる垂線と平行な鉛直方向に伸びる支柱状基部28Aから、外側方向に伸びるように形成された板状体であり、覆い体20の中心側から外側に向けて伸びており、覆い体20及び支柱状基部28Aと一体化されている。
【0122】
案内壁22は、外方から流れ込んでくる水を、分散面24によって分散させて、案内面26に沿って、第1空間部48aにおいて水平方向ないしはやや下方に向けて流れ込ませる。そして、流れ込んだ水は基部28に衝突した後、基部28の表面に沿って第2空間部48bから排水口14cに流れ落ちる。すなわち、排水口カバー12は、案内壁22及び基部28によって水を導いて旋回流を発生させるように構成されている。
【0123】
換言すれば、案内壁22及び基部28は、外側から流れ込んだ水を隣接する複数の案内壁22の間の第1空間部48aに導き、その水が基部28に衝突した後、基部28及び案内壁22の表面に沿って流れ落ちるように、構成されている。
【0124】
この実施の形態においては、案内壁22の幅すなわち基部28から覆い体20の径方向に向かう長さは、覆い体20の直径の10%以上45%以下に設定されている。
【0125】
また、案内壁22の高さすなわち覆い体20の下部から鉛直方向において下方に至る長さは、覆い体20の直径の70%以上100%以下に設定されている。
【0126】
案内壁22は、この実施の形態においては、第2稜線領域42及び第3稜線領域46が、排水口14cに嵌合するために形成された固定領域44を構成している。固定領域44は、排水管本体60の排水管排水口部60cに嵌め合う外形を有する領域であって、具体的には、固定領域44は、第2稜線領域42が排水管本体60の排水管排水口部60cに嵌まり込んだときに、第3稜線領域46が排水管排水口部60cの本体部分の内周面に非接触な状態で位置するとともに第1稜線領域40の中間部分がフランジ60aの上端部分に位置する。更に、第2稜線領域42が、その位置よりも、排水管70の方に下がらないような外形を備える。
【0127】
固定領域44は、複数の案内壁22の適宜な間隔をあけた配置に対応して、環状につらなって連設される。換言すれば、固定領域44は、覆い体20の中心軸から第2稜線領域42との境界までの距離を半径とする周上に等間隔で設けられている。
【0128】
案内壁22は、覆い体20と固定領域44の間に、水が内側に向けて流れ込む空間を形成するように構成され、その空間部分において、分散面24が外側に向くように構成されている。
【0129】
案内壁22の第1稜線領域40は、排水口14cを覆う覆い体20の外周縁より内側であって、排水口14cの外周縁より若干外側にはみ出すように構成されている。
【0130】
(水流について)
以上のような構成を有する、第3の実施の形態の排水口カバー12においては、図20及び21の図中矢印にて示す向きに外方から流れ込んでくる水は、案内壁22の分散面24によって分散されて、案内面26に沿って、且つ覆い体20の下側の面に導かれて、第1空間部48aにおいて水平方向ないしはやや下方に向けて流れ込む。
【0131】
そして、その流れ込んだ水は、基部28に衝突した後、基部28の表面に沿って、且つ案内壁22によって整流され、更に第2空間部48bを経て排水口14cに流れ落ちる。
【0132】
このとき、覆い体20の下方で隣接する案内壁22の間に形成された空間部48(第1空間部48a)に、器体50の内面54から流れ込んだ水は、空間部48(第1空間部48a)において、旋回流となり、滞留することなく、基部28及び案内壁22の下方に形成された、排水口14cに繋がる空間部48(第2空間部48b)に流れ落ちる。これにより、排水口カバー12に流れ込んだ水は、エア(空気)の巻き込みも殆どなく、空間部48(第2空間部48b)から、スムーズに排水口14cに排水される。
【0133】
(第4の実施の形態)
次に、本発明に係る第4の実施の形態の排水口カバー12について、主として、図22ないし図28に基づいて説明する。
【0134】
覆い体20は、ブラインドプレートとも言われている平面視にて円形の皿状の外形を有する。プレート部20aは、排水口14c上から見えないように排水口14cを覆うともに、槽体14の排水口14cの周辺の内面54をも覆うように構成されており、排水口カバー12を排水口14cに取付けたとき、排水口14cより浮いた状態で固定される。
【0135】
この第4の実施の形態の排水口カバー12は、特に図26に示すように、覆い体20と基部28及び案内壁22とは一体化されておらず、覆い体20に取り付けるように構成された案内部材34に、案内壁22及び基部28を構成する支柱状基部28Aが形成されている。
【0136】
案内部材34は、複数の案内壁22が支柱状基部28Aと一体的に形成されている。
【0137】
案内部材34の上端部は、覆い体20の下側の面に取り付けられるように、平坦な面で構成されている。
【0138】
覆い体20の下側の面には、支柱状基部28Aに設けられた取付け孔44bに嵌合して、案内部材34を固定するための固定部たる突起部20bが設けられている。
【0139】
支柱状基部28Aは、案内壁22と一体化され、覆い体20とは別部材として構成された案内部材34の一部を構成している。基部28を構成する支柱状基部28Aは、案内部材34が覆い体20に取り付けられたとき、覆い体20の中心に配設され、案内壁22の内側すなわち覆い体20の中心側に配設される。
【0140】
特に図23に示すように、隣接する案内壁22の間には、覆い体20の下方で器体50の内面54につながる空間部48(第1空間部48a)が形成され、また、第1空間部48aの下方には、排水口14cにつながる空間部48(第2空間部48b)が形成されている。
【0141】
案内壁22は、覆い体20の下側の面から下方に向けて伸び、覆い体20の周及び下方側に沿った広がりを有する板状体である。なお、複数の案内壁22は、略同一の形状を有する。
【0142】
この実施の形態においては、案内壁22は、基部28側とは反対側の外側に形成された蓋側面の輪郭が、後述する第1稜線領域40、第2稜線領域42及び第3稜線領域46から構成されることで、横幅が段階的に小さくなる平面形状を有する。
【0143】
案内壁22は、特に図24に示すように、槽体14より排水口14cに流れる水を略水平方向に流れ込ませることができる第1平面領域30と、排水口カバー12を槽体14に固定するために排水口14cに嵌め込まれる第2平面領域32とを備える。
【0144】
第1平面領域30は、平面視で、覆い体20の中心を通る垂線側より排水口14c側に向けて、覆い体20の径方向に伸びる一定の幅及び覆い体20の下面より鉛直方向に伸びる一定の高さを有する外形を備える。第2平面領域32は、平面視で、第1平面領域30の直下で、下端に近い領域で覆い体20の下面より斜行して基部28に向かって幅が減じる外形を備える。
【0145】
特に図24に示すように、案内壁22において、案内壁22の基部28側とは反対側の外側に形成された案内壁22の外側面、すなわち端面は、第1稜線領域40、第2稜線領域42及び第3稜線領域46に分けられる。
【0146】
第1稜線領域40は、覆い体20より一定の幅で下方に伸びる領域であって、排水口14cを覆う覆い体20の外周縁より内側であって、排水口14cの外周縁より若干外側にはみ出した領域である。第2稜線領域42は、案内壁22の下端寄りの側にて覆い体20の中心を通る垂線側にある基部28からの幅が減じる領域であって、排水管排水口部60cのフランジ60aのテーパーを有する内周面に嵌まり込む領域である。第3稜線領域46は、第2稜線領域42の下端から一定の幅で下方に伸びる領域であって、排水管排水口部60cの同一内径の本体部分に嵌まり込む領域である。
【0147】
案内壁22は、特に図23及び24に示すように、その両面は、平面状の案内面26を形成している。案内面26は、覆い体20の中心を通る垂線と略平行な方向にのび且つ略直交する方向に伸びる一方の主面である第1案内面26aと、他方の主面であって、第1案内面26aの裏面に相当する第2案内面26bとを有し、基部28側に向かうにしたがって覆い体20の周方向に拡がるように構成されている。案内壁22は、横断面矩形状であり、その表面に沿って外側より内側に向けて水を案内するように構成されている。なお、案内壁22の横断面形状はテーパー状であるとしてもよい。
【0148】
案内壁22の外側面、すなわち第1稜線領域40は、その左右面に形成された第1案内面26aの外側の縁と第2案内面26bの外側の縁とを繋ぐ、平面状の分散面24を形成している。
【0149】
分散面24は、覆い体20側から下方に伸びる平面であり、槽体14の内面54側から排水口14cに向かって流れ込む水が衝突するように構成されている。
【0150】
案内壁22は、この実施の形態においては、覆い体20の中心より下方に伸びる垂線と平行な鉛直方向に伸びる支柱状基部28Aから、外側方向に伸びるように形成された板状体であり、覆い体20の中心側から外側に向けて伸びており、支柱状基部28Aと一体化されている。
【0151】
案内壁22は、外方から流れ込んでくる水を、分散面24によって分散させて、案内面26に沿って、第1空間部48aにおいて水平方向ないしはやや下方に向けて流れ込ませる。そして、流れ込んだ水は基部28に衝突した後、基部28の表面に沿って第2空間部48bから排水口14cに流れ落ちる。すなわち、排水口カバー12は、案内壁22及び基部28によって水を導くように構成されている。
【0152】
換言すれば、案内壁22及び基部28は、外側から流れ込んだ水を隣接する複数の案内壁22の間の第1空間部48aに導き、その水が基部28に衝突した後、基部28及び案内壁22の表面に沿って流れ落ちるように、構成されている。
【0153】
この実施の形態においては、案内壁22の幅すなわち基部28から覆い体20の径方向に向かう長さは、覆い体20の直径の、10%以上45%以下に設定されている。
【0154】
また、案内壁22の高さすなわち覆い体20の下部から鉛直方向において下方に至る長さは、覆い体20の直径の70%以上100%以下に設定されている。
【0155】
案内壁22は、この実施の形態においては、第2稜線領域42及び第3稜線領域46が、排水口14cに嵌合するために形成された固定領域44を構成している。固定領域44は、排水管本体60の排水管排水口部60cに嵌め合う外形を有する領域であって、具体的には、固定領域44は、第2稜線領域42及び第3稜線領域46に相当する部分が排水管本体60の排水管排水口部60cに嵌まり込んだときに、第3稜線領域46が排水管排水口部60cの本体部分に嵌まり込むとともに第2稜線領域42の上端がフランジ60aの上端部分に位置する。更に、第2稜線領域42の上端が、その位置よりも、排水管70の方に下がらないような外形を備える。
【0156】
固定領域44は、複数の案内壁22の適宜な間隔をあけた配置に対応して、環状につらなって連設される。換言すれば、固定領域44は、覆い体20の中心軸から第2稜線領域42までの距離を半径とする周上に等間隔で設けられている。
【0157】
案内壁22は、覆い体20と固定領域44の間に、水が内側に向けて流れ込む空間を形成するように構成され、その空間部分において、分散面24が外側に向くように構成されている。
【0158】
案内壁22の第1稜線領域40が、排水口14cを覆う覆い体20の外周縁より内側であって、排水口14cの外周縁より若干外側にはみ出すように構成されている。
【0159】
(水流について)
第4の実施の形態の排水口カバー12においては、図27及び図28の図中矢印に示すように、外方から流れ込んでくる水は、案内壁22の分散面24によって分散されて、案内面26に沿って、そして覆い体20の下側の面に導かれて、第1空間部48aにおいて水平方向ないしはやや下方に向けて流れ込む。そして、その流れ込んだ水は、基部28に衝突した後、案内壁22の案内面26に沿って、且つ案内面26の表面形状に応じて整流され、更に第2空間部48bを経て排水口14cに流れ落ちる。
【0160】
このとき、覆い体20の下方で隣接する案内壁22の間に形成された空間部48(第1空間部48a)に、器体50の内面54から流れ込んだ水は、空間部48(第1空間部48a)において、旋回流となり、滞留することなく、基部28及び案内壁22の下方に形成された、排水口14cに繋がる空間部48(第2空間部48b)に流れ落ちる。これにより、排水口カバー12に流れ込んだ水は、エア(空気)の巻き込みも殆どなく、空間部48(第2空間部48b)から、スムーズに排水口14cに排水される。
【0161】
(変形例)
次に、本発明に係る第4の実施の形態の変形例である排水口カバー12及びそれを備えた槽体システムとして、排水口カバー12が取り付けられた構造について、主として、図29に基づいて説明する。
【0162】
この第4の実施の形態の変形例である排水口カバー12及びそれを備えた槽体システムは、第4の実施の形態においては、排水口カバー12が、当該排水口カバー12を通じて排水し得る排水姿勢で固定されるのに対し、排水開口を構成する空間部48を通じて排水し得る排水姿勢と、当該排水開口を通じての排水を禁止する栓姿勢との間で動作可能に構成されており、且つ、排水口14cに挿脱自在に形成されている、という相違がある。
【0163】
この実施の形態の変形例の排水装置(排水管ユニット)16を構成する排水口カバー12は、図30に示すように、基部28は、固定構造44Aに柱状部材44aを取り付けるために、取付け孔44bが穿設されている。
【0164】
(槽体)
槽体14を構成する器体50は、すり鉢型であり、断面円弧状ないしは楕円状の内面54を備えている。
【0165】
器体50の内面54は、器体排水口部52に近づくに従って曲率が小さくなり、底面として略平坦面に等しい側底面56を備える。
【0166】
吐出装置18の吐出口92から吐水される吐水は、束状にまとまって流下し、排水口カバー12の覆い体20及び槽体14を構成する器体50の側底面56に衝突する。
【0167】
その流れの束の鉛直に対する角度は、10°以上13°以下である。
【0168】
排水口14cは、槽体14の器体50の器体排水口部52に嵌められた排水装置(排水管ユニット)16の排水管本体60の上部開口の、テーパー部分より奧の部分として構成されている。
【0169】
排水口14cは、図2図示のように平面視にて円形であり、その直径(L1の径)は、33mm以上36mm以下であることが好ましい。
【0170】
排水口14cの平面視による面積は、器体50の平面視形状(平面視円形の場合)との面積比で10%以下であることが好ましい。
【0171】
吐出装置18は、図1に示されるように、洗面・手洗い用設備10の近傍に設置される。吐出装置18は、同図では基端から排水口カバー12近傍まで延出し上水を案内する吐出装置本体90と、この吐出装置本体90の先端に設けられ上水を吐出するための吐出口92と、この吐出口92から上水の供給の有無又は有無及び強度を、回転や上下動により操作するための操作部94とを有している。
【0172】
本実施の形態では、吐出装置18は、一例として、例えば使用者の手指等の吐出装置本体90への近接を検知する図示しないセンサを有するものを図示している。すなわち当該センサの検知により、使用者が吐出装置18に触れることなく上水が吐出される態様のものを例示している。
【0173】
この実施の形態の変形例の排水装置(排水管ユニット)16を構成する排水口カバー12は、図22ないし27図示の第4の実施の形態とは異なり、図29に示すように、案内壁22の外形が、排水口14cに嵌挿することができるように、図22ないし27図示の案内壁22の外形よりやや小さく形成されている。
【0174】
基部28は、固定構造44Aに柱状部材44aを取り付けるために、取付け孔44bが穿設されている。
【0175】
この変形例の槽体システムにおける排水口カバー12の覆い体20は、排水管排水口部60c内に配置された、排水口カバー12を上下動させる機能を有する駆動機構80に取り付けられる。駆動機構80は、円柱状で覆い体20側から排水管70に向けて伸びる、柱状部材44aと一体化した円柱部82と、円柱部82から更に排水管70に向けて伸びる支持部84と、支持部84の一端面に回動自在に接続され且つ支持部84の外周側から径方向に突出した状態で設けられた伝達部材88と、伝達部材88に揺動自在に接続され、上下方向に向けて伸びる操作部材86とを備えている。
【0176】
伝達部材88は、図29中白矢印にて示す操作部材86の上下方向の変位に伴い揺動する。
【0177】
支持部84及び円柱部82は一体として、操作部材86の上下方向の変位に伴う伝達部材88の揺動に連動して、上下動する。
【0178】
排水口カバー12は、駆動機構80による排水口14cの開閉を行うためのユニットである一方、排水管排水口部60cの上方から、排水管排水口部60cの中に設置可能とされると共に、排水管排水口部60cから取り外し可能に構成されている。
【0179】
この実施の形態においては、排水管排水口部60cの上方から、排水口カバー12を嵌入させることにより、排水管排水口部60cに、排水口カバー12を配置させることができる。また、排水管排水口部60cの上方に向けて、排水口カバー12を引き上げることで、排水管本体60から、排水口カバー12を取り外すことができる。
【0180】
排水装置(排水管ユニット)16を構成する排水口カバー12は、上述した、金属、または樹脂などからなる円盤状のブラインドプレートを構成するプレート部20aと、排水口カバー12を構成する覆い体20の下部に取り付けられた、図示しないパッキンとを備えている。
【0181】
パッキンは、弾性変形可能な材料、例えばゴムや樹脂などによって環状に形成されており、覆い体20の下部の突起部20bの外周側に取り付けられている。
【0182】
操作部材86の下方向への変位に伴い、伝達部材88が揺動し、支持部84が上方に移動すると、支持部84に連動して排水口カバー12も上方に移動することで、パッキンは排水管排水口部60cより離間する。これにより、排水口カバー12は、排水管排水口部60cから解放される。
【0183】
一方、操作部材86の上方向への変位に伴い、伝達部材88が揺動し、支持部84が下方に移動すると、支持部84に連動して排水口カバー12も下方に移動することで、パッキンの外周部分の全域は排水管排水口部60cに接触する。これにより、排水口カバー12は、排水管排水口部60cを閉鎖する。
【0184】
(水流について)
以上のような構成を有する、第4の実施の形態の排水口カバー12においては、図27の図中矢印にて示す向きに外方から流れ込んでくる水は、案内壁22の分散面24によって分散されて、案内面26に沿って、且つ覆い体20の下側の面に導かれて、第1空間部48aにおいて水平方向ないしはやや下方に向けて流れ込む。
【0185】
そして、その流れ込んだ水は、基部28に衝突した後、基部28の表面に沿って、且つ案内壁22によって整流され、更に第2空間部48bを経て排水口14cに流れ落ちる。
【0186】
このとき、覆い体20の下方で隣接する案内壁22の間に形成された空間部48(第1空間部48a)に、器体50の内面54から流れ込んだ水は、空間部48(第1空間部48a)において、旋回流となり、滞留することなく、基部28及び案内壁22の下方に形成された、排水口14cに繋がる空間部48(第2空間部48b)に流れ落ちる。これにより、排水口カバー12に流れ込んだ水は、エア(空気)の巻き込みも殆どなく、空間部48(第2空間部48b)から、スムーズに排水口14cに排水される。
【0187】
(変形例)
次に、本発明に係る第4の実施の形態の排水口カバー12を有する槽体システムの変形例である、排水口カバー12が排水装置16に取り付けられた構造について、主として、図31に基づいて説明する。
【0188】
この第4の実施の形態の変形例である排水口カバー12は、第3の実施の形態の排水口カバー12が、排水口カバー12を通じて、排水しうる排水姿勢で固定されるのに対し、排水開口を構成する空間部48を通じて排水しうる排水姿勢と、当該排水開口を通じての排水を禁止する栓姿勢との間で動作可能に構成されており、排水口14cに挿脱自在に形成されているという相違がある。
【0189】
変形例の排水装置(排水管ユニット)16を構成する排水口カバー12は、図17ないし21図示の第3の実施の形態とは異なり、図31に示すように、案内壁22の外形が、排水口14cに嵌挿することができるように、第3の実施の形態の案内壁22の外形よりやや小さく形成されている。
【0190】
基部28は、固定構造44Aに柱状部材44aを取り付けるために、取付け孔44bが穿設されている。この変形例の排水口カバー12を有する槽体システムは、柱状部材44aより下方は、第4の実施の形態の変形例の、図29図示の槽体システムと同様の駆動機構80を備える。したがって、当該駆動機構80の構成及び動作は、当該図29図示の槽体システムと同様であって、当該槽体システムの説明をもってその説明とし、その詳細な説明は省略する。
【0191】
(第5の実施の形態)
次に、本発明に係る第5の実施の形態の槽体システムについて、主として、図32及び33に基づいて説明する。ただし、上記第1の実施の形態と同一又は相当する構成については、同一符号を付し詳細な説明は省略する。
【0192】
本発明に係る第5の実施の形態の槽体システムは、第1の実施の形態の槽体システムにおいて、排水管70の下流に配設したSトラップ78に換えて、ボトルトラップ100を備える。
【0193】
ボトルトラップ100は、排水管70と連通する内筒部101と、内筒部101と同軸配置され、且つ排水管70及び内筒部101の各々より内径が大きく、且つ内筒部101の外周を覆うとともに、内筒部101の半径方向に沿って配設された排水管105に接続される外筒部103と、上流側にて排水管70と接続され、下流側にて内筒部101及び外筒部103を同軸配置した状態で結合させ接続する結合部102とを主要な構成として備える。
【0194】
内筒部101は、排水管70より更に下方に延出する、両端が開放端である管状の部材である。内筒部101の一端で下方に向かう開口である開口部101aは、外筒部103の底面に対向且つ離間した状態で、外筒部103の内部空間103x内に露出している。内筒部101の他端である開口部101bは、排水管70側に対向した状態で、後述する結合部102に接続される。
【0195】
外筒部103は、内筒部101と同軸配置され、内筒部101を内部空間103xに収容する第1の筒体部103aと、第1の筒体部103aの周面から半径方向に向かって突出する第2の筒体部103bとを有し、正面視で概略横T字状の外観を備える。
【0196】
第1の筒体部103aは、両端が開放端である管状の部位であり、一端である下方に向かう開口は第1の閉塞部材104及び第2の閉塞部材106によって閉塞される一方、他端である開口部103yは、排水管70側に対向した状態で、結合部102に接続される。なお、第1の閉塞部材104は、第1の筒体部103aに螺合された第2の閉塞部材106に更に螺合されて、第1の筒体部103aの下端の開口を閉塞している。第1の閉塞部材104及び第2の閉塞部材106は、第1の筒体部103aの底面を構成している。
【0197】
第2の筒体部103bは、両端が開放端である管状の部位であり、一端である開口部103zは第1の筒体部103aの周面を貫通して内部空間103xと第2の筒体部103bとを連通させる。開口部103zは、内筒部101の開口部101aの最下部よりも上方に位置するように設けられている。
【0198】
第2の筒体部103bの他端の開口は、排水管105の一端側の開口部105aを内側に挿入させて、固定ボルト79により締結されることで、第2の筒体部103bと排水管105とを連通させる。なお、排水管105の他端である開口部105bは、図示しない更なる外部配管に接続される。
【0199】
結合部102は両端が開放端である環状の部材であり、特に図33に示すように、上端である開口はパッキン77を介して固定ナット76により締結される。また、結合部102の下端である開口は、結合部102の外側に位置するフランジ102aを介して外筒部103の第1の筒体部103aと結合するとともに、結合部102の内周のねじ102bに内筒部101を螺合させることで、これと結合している。すなわち、結合部102は、その外周と内周とから、外筒部103の第1の筒体部103aと内筒部101とを結合することにより、内筒部101の開口部101aが、外筒部103の底面に対向且つ離間した状態で、外筒部103の内部空間103x内に露出するようにしている。
【0200】
以上の構成を有する、この実施の形態の槽体システムにおいては、排水管70からの排水は、ボトルトラップ100に侵入すると、内筒部101から排出され、外筒部103の第1の筒体部103aの内部空間103x内に滞留する。内部空間103x内に滞留した水の水位が第1の筒体部103aの開口部103zまで達してオーバーフローすると、余剰分の排水は、開口部103zを介して排水管105から外部へ排出される。
【0201】
ボトルトラップ100においては、外筒部103の第2の筒体部103bの開口部103zは、内筒部101の開口部101aの最下部よりも上方に位置するように設けられていることから、内筒部101からの排水は、開口部103zに達するオーバーフロー状態となるまでは、封水として第1の筒体部103aの内部空間103xに滞留するようになっている。これにより、排水管105より下流からの臭気やガスが内筒部101まで上がってくることが防がれる。
【0202】
このようなボトルトラップ100は、図3図示のSトラップ78に対して以下の利点を有する。すなわち、Sトラップ78のようなサイフォン型トラップは、排水経路と封水を蓄積する空間とが、同一内径の管内にて連続的に形成されていることから、排水時に下流の配管の排水速度が速くなり過ぎる等の原因で管内上流に負圧が発生して、管内に空気が巻き込まれて断続的な異音を生じさせたりする恐れがあるのに対し、ボトルトラップ100は、排水経路と封水を蓄積する空間との容積差を大きくとられていることから原理的にそのような現象が生じないので、上述した恐れを抑制できる。
【0203】
とりわけ、本発明の各実施の形態の洗面・手洗い用設備10を店舗内、あるいは玄関やベッドルームその他の限られた狭小なスペースにおいて設置する際は、槽体14の外径が比較的小さく内面の角度も急峻となるため排水の流速が大きくなり易く、上述した異音の発生が問題となる。したがって、異音の発生を抑制できるトラップとしてボトルトラップ100を用いることは、洗面・手洗い用設備10を上記狭小なスペースに設置する際に特に好適である。
【0204】
なお、上記の説明において、ボトルトラップ100は、本発明の非サイフォン式トラップ、すなわち、SトラップやPトラップのようなサイフォン式トラップとは構造及び動作原理が相違して、排水を排水経路に比して大きな容積の空間に封水として滞留させて、当該空間からオーバーフローした水を排水させるトラップの代表例であるが、本発明の非サイフォン式トラップは、他にドラムトラップ、ベルトラップ等として実施してもよい。
【0205】
また、上記の説明においては、ボトルトラップ100は、第1の実施の形態の槽体システムと組み合わせるものとしたが、他の実施の形態の槽体システム及びその変形例と組み合わせるものとしてもよい。
【0206】
以上のように、本発明の実施の形態は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0207】
すなわち、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
【0208】
例えば、排水口カバーは、上述した変形例の他の実施の形態においても、排水口に直接固定するか、それとも排水装置の排水管本体に配設された駆動部材に固定する構造とすることができる。
【0209】
また、覆い体及び案内壁並びに案内部材は、プラスチックで成形してもよく、金属で形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0210】
この発明は、排水口カバー及び槽体システムを洗面用・手洗い用等に好適に利用し得る。
【符号の説明】
【0211】
10 洗面・手洗い用設備、12 排水口カバー、14 槽体、14a 上端、14b 下端、14c 排水口、16 排水装置(排水管ユニット)、18 吐出装置

20 覆い体、20a プレート部、20b 突起部、22 案内壁、24 分散面、26 案内面、26a 第1案内面、26b 第2案内面、28 基部、28A 支柱状基部、30 第1平面領域、31 第1曲面領域、32 第2平面領域、33 第2曲面領域、34 案内部材、40 第1稜線領域、42 第2稜線領域、44 固定領域、44A 固定構造、44a 柱状部材、44b取付け孔、46第3稜線領域、48空間部、48a 第1空間部、48b 第2空間部、48c 第3空間部

50 器体、52 器体排水口部、54 内面、56 側底面、58 オーバーフロー穴

60 排水管本体、60a フランジ、60b 雄ねじ、60c 排水管排水口部、62 ロックナット、64 滑りパッキン、66 三角パッキン、68 スポンジパッキン、70、105 排水管、72、73、76 固定ナット、74、75、77 パッキン、78 Sトラップ

80 駆動機構、82 円柱部、84 支持部、86 操作部材、88 伝達部材、90 吐出装置本体、92 吐出口、94 操作部

100 ボトルトラップ、101 内筒部、101a、101b、103y、103z、105a、105b 開口部、102 結合部、102a フランジ、102b ねじ、103 外筒部、103a 第1の筒体部、103b 第2の筒体部、103x 内部空間、104a 第1の閉塞部材、104b 第2の閉塞部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
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図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33