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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126959
(43)【公開日】2023-09-12
(54)【発明の名称】蓋体
(51)【国際特許分類】
   B65D 43/08 20060101AFI20230905BHJP
   B65D 3/00 20060101ALI20230905BHJP
   B65D 43/03 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
B65D43/08 200
B65D3/00 B
B65D43/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112006
(22)【出願日】2023-07-07
(62)【分割の表示】P 2023502516の分割
【原出願日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】P 2021028020
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021045599
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】320007734
【氏名又は名称】株式会社KY7
(72)【発明者】
【氏名】高野 朗
(57)【要約】      (修正有)
【課題】紙系素材を用いて容器口部の密閉性に優れた蓋体を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の蓋体は、容器口部に着脱自在に取り付けられる蓋体であって、紙系素材からなる天蓋部材の周縁を下方に曲げ形成して、天面部と、その周囲に形成された垂下片とを有する天蓋部と、紙系素材からなる側壁部材の両端部を接合して形成されて前記天蓋の天面部周囲を囲繞する側壁部とを有し、前記側壁部は、上端側から下端側に向かって先細り傾斜状に形成されて、側壁部の内面において前記天蓋部の垂下片と接合され、前記天蓋部の天面部は、上側に持ち上がり形成されていることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器口部に着脱自在に取り付けられる蓋体であって、
該蓋体は、紙系素材からなる天蓋部材の周縁を下方に曲げて、天面部と、その周縁に形成された垂下片とを有する天蓋部と、紙系素材からなる側壁部材の両端部を接合して形成れて前記天蓋部の天面部周囲を囲繞する側壁部とを有し、
前記側壁部は、上端側から下端側に向かって先細り傾斜状に形成されて、該側壁部の内面において前記天蓋部の垂下片と接合され、
前記天蓋部の天面部は、上側に持ち上がり形成されていることを特徴とする蓋体。
【請求項2】
前記容器口部を封止した状態において、前記上端側から下端側に向かって先細り傾斜状に形成された前記側壁部と、前記天蓋部の垂下片とが接合された下部壁内面側に前記容器口部が接触する請求項1記載の蓋体。
【請求項3】
前記下部壁内面には、前記容器口部と嵌合する嵌合部が形成されている請求項2記載の蓋体。
【請求項4】
前記嵌合部は、口部にカール部を有する容器のカール部と嵌合する形状に形成されている請求項3記載の蓋体。
【請求項5】
前記下部壁の嵌合部は、前記下部壁内面を押圧プレスして形成した環状凹溝よりなる請求項3記載の蓋体。
【請求項6】
前記下部壁の下端部の内寸法は、前記容器口部の外寸法よりも小さく形成されている請求項2記載の蓋体。
【請求項7】
前記側壁は、蓋体が取り付けられる容器壁部の傾斜角と同等ないし前記容器壁部の傾斜角よりも小さい傾斜角で傾斜状に形成されている請求項1記載の蓋体。
【請求項8】
前記容器口部に取り付けた際に、前記下部壁の下端部が容器壁部と非接触状態で取り付けられる請求項1記載の蓋体。
【請求項9】
前記側壁部の傾斜角未満の傾斜角に曲げ形成された前記天蓋部の垂下片を、側壁内面に沿って接合して、前記側壁部と前記天蓋部とが一体に接合されている請求項1記載の蓋体。
【請求項10】
前記側壁部の上端側は、前記天面部より上方に突出した上部側壁を形成している請求項1記載の蓋体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙系素材よりなる蓋体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等では飲食料品を簡易容器に入れて販売する販売形態が広く行われている。例えばコンビニエンスストアでは、コーヒーなどの飲料を紙やプラスチックからなるカップ形状容器に入れて販売することが行われているが、購入者がコーヒー等の飲料を持ち帰る際に、内容物が溢れ出ないようにするため、容器口部を覆うための蓋も各種提案されている。この種の蓋としては、従来よりプラスチック成形体からなるものが広く用いられていた。しかしながら、プラスチック製品は各種の環境問題を引き起こす虞があることから、近年、使い捨てされる飲食料品用の簡易容器や蓋の原材料としてプラスチック使用の削減が叫ばれている。このため、プラスチック製の蓋にかわって紙製の蓋も提案されているが、紙材料はプラスチック材料に比べて素材の弾力性が低く、成形性も低くプラスチックのような複雑な形状に成形することは困難であるため、プラスチック製の蓋のように、容器口部を高い密閉性をもって確実に閉蓋でき、容器内容物が液体であっても漏れる虞のない形状・構造を有する紙製の蓋を得ることは容易ではなかった。
【0003】
従来より、紙製の蓋の容器口部への密着性を高めるために、構造上の工夫が種々なされており、特許文献1には、紙製容器の円錐状の本体部の内面形状と同様の外面を有する壁面部と、その壁面部に囲まれた天蓋部とを有し、容器口部の内側にはまり込んで容器口部を塞ぐように構成された蓋(便宜上、内嵌合蓋と言う。)が記載されている。また特許文献2には天板と、天板の周りに下向きに設置される側壁とで構成され、側壁を補強する補強材の内上端と天板との間の収納部に、容器の容器口部を外側から塞ぐように構成された蓋(便宜上、外嵌合蓋と言う。)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-248530号公報
【特許文献2】特表2012-513940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1、2に記載の紙蓋は、閉蓋時の容器口部との間の密着性が十分とは言い難く、容器内の液体が漏れ出る虞があり、特に特許文献1に記載の蓋体のように、容器本体の内側に嵌まり込んで容器を塞ぐように構成された内嵌合蓋は、容器口部に嵌めやすい反面、蓋が外れ易く、しかも容器内壁部と紙蓋の壁面部との間から、容器内の液体が漏れ出し易いと言う問題があった。一方、特許文献2に記載されている紙蓋のように、容器口部周縁に設けられているカール部に嵌まり込む構造の外嵌合蓋は、特許文献1記載の内嵌合蓋に比べて容器の密閉性に優れている。しかしながら、外嵌合蓋は容器口部に嵌め込む際に、蓋を部分的に変形させながら容器口部に嵌め込む必要があるが、紙製の蓋はプラスチック製の蓋のような弾力性、易変形性を有していないため、容器口部に外嵌合させて嵌め込むことは容易ではない。特に、特許文献2に記載されているような天板の周囲が側壁で囲まれた構造の紙蓋は側壁部分の強度が高いため、容器口部に嵌め込む際の変形性が乏しく、このため容器口部への嵌め込みを容易にするためには、容器口部の外側寸法に対する蓋体の内側寸法を大き目に設計せざるを得ず、容器の密閉性が低下して内容物が漏れ易くなるという問題があった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、天蓋部の周縁に形成された垂下片が側壁部の下部壁内面に接合して一体化され、容器口部を外側から塞ぐように構成された紙系素材からなる蓋体であって、容器口部への嵌め込み、取り外しを容易に行うことができるにもかかわらず、容器の密閉性に優れ、液体系の内容物を収納した容器に用いても、内容物が漏れ出る虞が極めて少ない蓋体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明は、
(1)容器口部に着脱自在に取り付けられる蓋体であって、該蓋体は、紙系素材からなる天蓋部材の周縁を下方に曲げて、天面部と、その周縁に形成された垂下片とを有する天蓋部と、紙系素材からなる側壁部材の両端部を接合して形成されて前記天蓋部の天面部周囲を囲繞する側壁部とを有し、前記側壁部は、上端側から下端側に向かって先細り傾斜状に形成されて、該側壁部の内面において前記天蓋部の垂下片と接合され、前記天蓋部の天面部は、上側に持ち上がり形成されていることを特徴とする蓋体、
(2)前記容器口部を封止した状態において、前記上端側から下端側に向かって先細り傾斜状に形成された前記側壁部と、前記天蓋部の垂下片とが接合された下部壁内面側に前記容器口部が接触する上記(1)記載の蓋体、
(3)前記下部壁内面には、前記容器口部と嵌合する嵌合部が形成されている上記(2)記載の蓋体、
(4)前記嵌合部は、口部にカール部を有する容器のカール部と嵌合する形状に形成されている上記(3)記載の蓋体、
(5)前記下部壁の嵌合部は、前記下部壁内面を押圧プレスして形成した環状凹溝よりなる上記(3)記載の蓋体、
(6)前記下部壁の下端部の内寸法は、前記容器口部の外寸法よりも小さく形成されている上記(2)記載の蓋体、
(7)前記側壁は、蓋体が取り付けられる容器壁部の傾斜角と同等ないし前記容器壁部の傾斜角よりも小さい傾斜角で傾斜状に形成されている上記(1)記載の蓋体、
(8)前記容器口部に取り付けた際に、前記下部壁の下端部が容器壁部と非接触状態で取り付けられる上記(1)記載の蓋体、
(9)前記側壁部の傾斜角未満の傾斜角に曲げ形成された前記天蓋部の垂下片を、側壁内面に沿って接合して、前記側壁部と前記天蓋部とが一体に接合されている上記(1)記載の蓋体、
(10)前記側壁部の上端側は、前記天面部より上方に突出した上部側壁を形成している上記(1)記載の蓋体、
を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の蓋体は、紙系素材からなる側壁部材の両端部を接合して、上端側から下端側に向かって先細り傾斜状に形成した側壁部の内面に、天面部の周縁に垂下片を形成した天蓋部を、側壁部の内面側に接合してなり、容器口部に外嵌合する構造の蓋体であり、側壁部が下方に向かって先細り傾斜状になっていることにより、容器口部への嵌合性が高く、容器の密閉性に優れる。本発明の蓋体は、天面部周囲の垂下片を側壁部内面に接合して天蓋部と側壁部とを一体化した蓋体であり、容器口部に外嵌合する側壁下側部分が側壁部材と天蓋部の垂下片とが重なった構造であり、側壁部の強度が高いため、容器への嵌合、取り外しに際して蓋体の変形が生じ難い構造の蓋体でありながら、天面部が内側方向に向かって、湾曲面状に上方に持ち上がり形成されていることにより、容器に蓋体を嵌合させる際には、蓋体が変形し易く、容器口部への嵌め込みが容易に行えるとともに、容器口部への嵌合性が優れるため、一旦、容器に嵌合した蓋体は、不用意に外れて容器内容物が漏れ出る等の虞が極めて少ない。このため、熱いコーヒー等が収納された容器の場合のように、容器内圧力が高くなった場合でも蓋体が容易に外れ易くなる等の虞がないばかりか、容器内圧が天面部に加わると、嵌合力を高める方向への力が増加するため、容器へのより高い嵌合性を実現でき、大型の容器の蓋体として用いる場合にも効果的である。しかも、容器口部への嵌合性が高いにも関わらず、取り外す際の力に対しては蓋体の天面部等が変形し易く取り外しも容易に行える等の効果を奏する。このため、容器口部の外径よりやや小さめに蓋体のサイズを形成した場合でも、容器口部への嵌め込みや取り外しを容易に行えるため密閉性の高い蓋体を提供することができる。また側壁部が先細り傾斜状に形成されていることで、嵌合性に加えて蓋体のスタッキング性が良好であり、蓋体の保管、運搬時の省スペース化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の蓋体で容器を閉蓋した状態を示す斜視図である。
図2図1のII-II線に沿う縦断面図である。
図3】蓋体を容器に嵌め込んだ状態における嵌合部付近の拡大断面図である。
図4】蓋体の異なる実施形態の縦断面図である。
図5】蓋体の更に異なる実施形態の縦断面図である。
図6】蓋体の更に異なる実施形態の縦断面図である。
図7】蓋体の更に異なる実施形態の縦断面図である。
図8】蓋体の更に異なる実施形態の縦断面図である。
図9】蓋体の更に異なる実施形態の縦断面図である。
図10図2に示す実施形態の蓋体を重ね合わせた状態の縦断面図である。
図11】蓋体を容器へ取付、取り外す際の作用の説明図である。
図12】開閉片にラベルを取り付けた蓋体の斜視図である。
図13図12の蓋体の開閉片を開いた状態を示す斜視図である。
図14】ラベルの形態の異なる蓋体の平面図である。
図15】ラベルの形態の異なる実施形態の蓋体を示す斜視図である。
図16図15の蓋体の開閉片を開いた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の蓋体について図面に基づき説明する。
【0011】
図1は本発明の一実施態様の蓋体1で容器2に嵌め込んだ状態を示し、図2は蓋体1の縦断面図を示す。
蓋体1は、側壁部3と該側壁部3に囲まれて側壁部3に接合一体化された天蓋部4とで形成されている。側壁部3は、上端側の弧形状の長さが下端側の弧形状の長さよりも長い扇状の側壁部材の両端部(側壁部材の孤形状の上下端側とは異なる側)を接合して環状に形成され、側壁部3は上端側から下端側(容器2の口部方向)に向かって先細り傾斜状に(図2の矢印a方向に全体的に傾斜状に)形成され、天蓋部4の垂下片6の外面側は側壁部3の内面側に接合されている。側壁部3の下部壁8は、下端側内寸法d2が、上端側内寸法d1より小さくなるように形成されている。天蓋部4は、例えば円形状等に形成した天蓋部材の周縁を下方に折り曲げる等によって天面部5の周縁に垂下片6が形成されており、天面部5は中央方向に向かって上側に向かって持ち上がり状に(天面部5が上面側に膨出した形状に)形成されている。またこの実施態様の蓋体1は、側壁部3の下端部は、天蓋部4の垂下片6の内面側に折り曲げられて折り返し部7を形成し、通常、折り返し部7は垂下片6の内面側に接合されて下部壁8(天面部5よりも下側に位置する側壁部分)を構成している。蓋体1の側壁部3の下部壁8の内側は、容器2の口部(図2に示す容器の場合、カール部9)に嵌合するための嵌合部10となっている。本発明の蓋体1は、容器口部を封止した状態において、前記上端側から下端側に向かって先細り傾斜状に形成された側壁部3と、前記天蓋部4の垂下片6とが接合されている下部壁8の内面側に容器2の口部が接触する構成を有している。図2に示した蓋体1のように、側壁部3の下端側が天蓋部4の垂下片6側に折り返された折り返し部7を形成した蓋体1では、折り返し部7の内面に容器2の口部が接するようになっている。側壁部3の上部壁11(側壁部3の天面部5よりも上側に位置する部分)の上端部には必要によりカール部12が形成されている。蓋体1を、コーヒー等の飲料容器に用いる場合、天蓋部4の天面部5には、必要に応じて開閉片を有する飲み口16を設けても良い。尚、飲み口16等の形状、大きさは図1に示したものに限らず、任意の形状、大きさとすることができる。
【0012】
本実施形態の蓋体1では、容器2の口部(カール部9)と、天蓋部4の垂下片6の内面側に折り曲げられた側壁部3の下端部の折り返し部7との接触部が嵌合部10となるように構成され、閉蓋時には容器2の口部は、蓋体1の側壁部3の折り返し部7と接している。本発明の蓋体1は下部壁8の内寸法を、容器口部の外寸法よりも小さ目に形成することにより、容器口部との嵌合強度が高められるが、側壁部3の下端を内側に折り返した折り返し部7を有する蓋体の場合、下部壁8の硬さが高いため、下部壁8の内寸法を、容器口部の外寸法よりも小さ目に形成することで、蓋体1と容器口部との嵌合強度を高めることができる。また、図3に示すように、蓋体1の側壁部3の傾斜角:αが、容器2の側壁2aの傾斜角:βより小さくなるようにすると(容器2の側壁2aの傾斜より蓋体1の側壁部3の傾斜が大きい場合)には、蓋体1の容器2への嵌合力がより高くなり、密閉性が高められる。尚、蓋体1の側壁部3の傾斜角:αと、容器2の側壁2aの傾斜角:βは、同じであっても異なっていても良く、α>βとなっていても良いが、α<βとなるようにすると、容器2に対する蓋体1の嵌合強度が高められる。側壁部3の傾斜角:αは2.5°~10°とすることが好ましく、3°~9°とすることがより好ましく、更に好ましくは4.5°~8.5°である。
蓋体1の下部壁8の内寸法を、容器2の口部の外寸法よりも小さく形成したり、側壁部3の傾斜角αを容器側壁2の傾斜角βよりも小さくすることで、容器2に対する蓋体1の嵌合力は高められるが、容器2の口部への嵌合時に蓋体1は、より大きな変形が必要となる。しかしながら本発明の蓋体1は、天面部5が上反り状に形成されていることで、下部壁8が側壁部3と天蓋部4の垂下片6とが接合して構成され強度が高くなっているにも関わらず、蓋体1の容器2への嵌合、取り外しの際に蓋体1が容易に変形可能であるため蓋体1の容器への嵌合、取り外しが容易に行える。
側壁部3の下端部に切り込み17を設けた蓋体1は、飲料等の液体が収納された容器2の口部を閉止した場合、容器2を傾けた際に該容器2内の液体が漏れ出る虞を低減することができる。特に容器2の口部の外寸法に対して、蓋体1の下端部側の内寸法が小さくなるようにした蓋体1は、容器2の口部への蓋体1の密着性に優れるが、容器2を傾けた際に容器2内の液体が漏れ出し易い傾向がある。この点、側壁部3の下端部側に切れ込み17を設けることで、容器2内の液体の漏れ出しを防止することができる。図示したごとく飲み口16を設けた蓋体1の場合、切り込み17は、飲み口16と反対側の位置に設けると容器2内の液体の漏れ出しを効果的に抑止することができる。切り込み17の形状、数は特に限定されず、切り込み17は一箇所のみ設ける場合に限らず、複数箇所に設けても良い。切り込み17を設ける数が多くなりすぎると、蓋体1の閉まり状態が不安定となりやすいので、切り込み17を設ける場合には、切り込み17は1~3箇所程度設けることが好ましい。
なお、蓋体1の側壁部3の傾斜角:αは、側壁部3の全体に亘り同じ角度となるように形成しても、側壁部3の場所に応じて角度を異ならせてもよい。例えば、図1等に示すように蓋体1が円形状の場合には、側壁部3の傾斜角:αは同じ角度となるように形成してもよい。また、蓋体が円形状以外の形状、例えば長方形状や正方形状のような四角形状をはじめとする多角形状、楕円形状などのように蓋体1の形状が円形状以外の形状である場合には、側壁部3の傾斜角:αを側壁部3の場所に応じて異なるようにしてもよい。このように側壁部3の傾斜角:αを異ならせることによって、容器2の形状を問わずに良好な密閉性を維持することができる。なお、蓋体1、容器2の形状については、上記したものに限定されず、他の形状であってもよい。
【0013】
本発明の蓋体1は、側壁部3が傾斜状に形成されているためスタッキング性に優れ、図10に示すように複数の蓋体1を上下に積み重ね合わせることができ、このため少ないスペースでの保管、運搬が可能となり、保管、運搬コストの低減化を図ることができる。
【0014】
側壁部3は、側壁部材の両端部を接合して環状又は筒状に形成されているため、図2に示す蓋体1のように容器2の口部(カール部9)と接する嵌合部10が、側壁部3の一部(下部壁8)よりなる場合、即ち、側壁部3の下端部の折り返し部7に容器口部が接するように嵌合部10が形成されている場合、嵌合部10には側壁部材の接合部が存在し、閉蓋時にこの接合部に容器2の口部が接することとなるため、接合部の段差によって嵌合部10とカール部9との間に隙間が生じて容器の密閉性の低下をきたす虞がある。このため、側壁部3の下部壁8の内周面を押圧プレスすると、折り返し部7の接合部の段差を小さくすることができ、蓋体1と容器2との間に隙間が形成され難く、蓋体1による密閉性が向上される。図4は側壁部3の下部壁の内周面を押圧プレス等により圧縮して、圧縮度の小さい部分に凸条部13を形成し、凸条部13と天面部5との間に嵌合部10が形成されるようにした態様を、図5は押圧プレス等によって環状凹溝条状の嵌合部10を形成した態様を示す。図4に示すように天面部5と凸条部13との間に嵌合部10を形成したり、図5に示すように環状凹溝条状の嵌合部10を形成すると、側壁部3の接合部分の段差を少なくすることができ、容器口部のカール部9との嵌合性が高められて、密閉性の向上を図ることができる。また凸条部13は、押圧プレス等の際の圧縮度の違いで形成する場合に限らず、別部材を接合する等により設けても良く、凸条部13や凹溝条状の嵌合部等の形成方法は押圧プレス等に限らず、別体の部材を接合して凸条部を形成する等、任意の方法を採用することができる。また、嵌合部10は容器口部に嵌合することができれば、その形状、構造は任意に形成することができる。
尚、側壁部3の接合部における段差を小さくするためには、押圧プレスして段差を低減する方法に限らず、側壁部3を形成するための矩形状や扇形状の紙系素材の両端部を接合する前に、当該両端部付近を端縁部方向(側壁部3の周方向)に向かって厚みが漸次薄くなるように圧縮した後、両端部を接合して側壁部3を形成するようにしても良い。
【0015】
本発明の蓋体1は、嵌合部10を容器口部(カール部9)に嵌合させて閉蓋した際に、蓋体1の下部壁8の下端部8aが容器2の側壁2aと接しないように形成されていることが好ましく、蓋体1を取り外す際に、下部壁8の下端部8aに指等を掛けて引き上げることができるため蓋体1の取り外しが容易となる。
【0016】
本発明の蓋体1における、側壁部3を形成するための側壁部材の両端部の接合、天蓋部4の垂下片6と側壁部3の内面との接合は、公知の接合方法により行うことができる。接合方法としては、通常の接着剤やホットメルト接着剤、二液型接着剤、ヒートシール、超音波接合等の方法が挙げられるが、少なくとも天蓋部4の垂下片6と側壁部3の接合面がヒートシール性を有していると、ヒートシールにより接合ができるため、製造効率上好ましい。ヒートシール性は、ヒートシール性を有する樹脂を積層したりコートする等により付与することができる。
【0017】
側壁部3が上端側から下端側に向かって先細り傾斜状に形成され、天蓋部4における天面部5が上側に持ち上がり形成された本発明の蓋体1は、例えば、天蓋部材の周縁を下方に折り曲げて、天面部5の周囲に垂下片6を形成する際に、垂下片6を側壁部3の傾斜角未満の角度となるように、より好ましくは、天面部5の上面側と垂下片6の外面側のなす角度が90°以下、更に好ましくは、90°未満となるように折り曲げ形成した後、垂下片6の外面側が側壁部3の内面に沿うように更に曲げながら、垂下片6と側壁部3の内面とを接合する等の方法により、天面部5が上側に持ち上がり形成された蓋体1を形成することができる。また天面部5の外寸を、天蓋部4が接合される側壁部3の内寸よりも大きめに設計する等によって天面部5が上側に持ち上がり形成された本発明の蓋体1を得ることもできる。本発明の蓋体1は、従来の紙製容器の製造技術と同様の技術を応用することで容易に製造することができる。
【0018】
本発明の蓋体1は、天面部5が上側へ持ち上がり形成されていれば良いが、持ち上がり度は0.3mm以上が好ましく、より好ましくは0.5mm以上、更に好ましくは0.8mm以上、特に好ましくは1mm以上である。また持ち上がり度の上限は蓋体1の大きさにもよって異なるが、通常は6mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましく、4mm以下が更に好ましい。上記持ち上がり度とは、図2に示すように、天蓋部4における天面部5の上面と垂下片6の境界部分(天面部5において最も低い部分)と、天面部5の持ち上がり部分の最大の高さ部分との間の差:hである。天面部5の持ち上がり高さの調節は、例えば天面部5の周囲に形成する垂下片6の傾斜角度と、天面部5の外寸と、天蓋部4が接合される側壁部3の内寸とを組み合わせて調節することにより設定することができる。
【0019】
本発明の蓋体1の側壁部3、天蓋部4を構成する紙系素材としては、繊維原料のスラリーを網上に抄き取り、乾燥ないし押圧乾燥、抄紙してシート状にして得られる、いわゆる紙材料や、パルプ系繊維等からなる原料シートを粉砕機で粉砕して得られる粉砕パルプ等の開繊繊維原料を空気流によって積繊し、積繊体の繊維相互をバインダーで固定して得られるいわゆるエアレイドシート等や、これらを複数枚積層したもの等が挙げられる。また、セルロースナノファイバー(セルロースミクロフィブリル)よりなる所謂透明紙等も用いることができる。紙系素材としては、パルプだけからなるもののほか、非パルプ系の繊維や合成繊維、再生繊維等の繊維を含むものであっても良いが、パルプ以外の天然繊維や天然分解性繊維が好ましい。またパルプを50質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むものがより好ましく、更に80質量%以上含むものが好ましいが、特にパルプ100質量%からなるものが好ましい。紙系素材は、合成樹脂や天然樹脂のフィルムや不織布、木箔等の木質系素材等、さらにはアルミ箔等の素材との複合材料も用いることができるが、複合材料とする場合、複合材料全体としてパルプや天然繊維、天然分解性樹脂分等を50質量%以上含有することが好ましく、特に80質量%以上のパルプを含むものが好ましい。パルプ等の天然分解性成分の含有率の高いほど、紙系素材が生分解されやすくなるため好ましい。特にパルプ分の割合が95質量%以上であることが好ましい。
【0020】
パルプとしては、木材パルプ、非木材パルプ、古紙パルプ等から得られるものが挙げられる。パルプは、赤松、トド松、エゾ松、ダグラスファー、ヘムロック、スプルース等の針葉樹パルプ、ブナ、ナラ、カバ、ユーカリ、ポプラ、アルダー等の広葉樹パルプ、針葉樹パルプと広葉樹パルプの混合物等の木材パルプ、ケナフ、バガスパルプ、タケパルプ、シリアルパルプ、ワラパルプ、アバカパルプ、木綿パルプ等の非木材パルプ、古紙パルプ等を用いることができる。針葉樹パルプは広葉樹パルプに比べて繊維長が長いため、針葉樹パルプ等の繊維長の長いパルプを用いた紙材料は、繊維相互の絡み具合が高まり、また針葉樹パルプ等を用いた原料シートを粉砕した粉砕パルプも、広葉樹パルプからなる原料シートを粉砕した粉砕パルプに比べて繊維長が長いため、繊維相互の絡み合いにより紙系素材の強度が向上する。
【0021】
紙系素材は耐水性を有することが好ましく、耐水紙等のあらかじめ耐水性が付与された素材を用いたり、少なくとも紙系素材の容器側に位置する表面にコート層を設けたものを用いても良い。コート層は、フィルムを貼着したり、塗工剤を塗布することにより設けることができるが、塗工剤の塗布により設けることが好ましい。コート層は、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル系樹脂であるポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体等、ポリエチレンテレフタレート、セロファン、ナイロン、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリメチルペンテン、ポリ酢酸ビニル、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、デンプン系樹脂等により形成することができ、2種以上を併用して形成しても良いが、中でもアクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、生分解性樹脂等が好ましく、特に、例えばセルロース誘導体、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、ポリブチレンサクシネート系樹脂、変性ポリエチレンテレフタレート、ポリグリコール酸、デンプン系樹脂、生分解性ウレタン樹脂等の生分解性樹脂と呼ばれている樹脂で形成すると、天然分解性が向上するため好ましい。
本発明の蓋体1に用いる紙系素材としては、目付量150~400g/m程度のものを用いることができるが、160~360g/mのものがより好ましく、170~350g/mのものが更に好ましい。
【0022】
(他の実施形態)
上記した蓋体1では、閉蓋時に容器2の口部が側壁部3の折り返し部7と接するように構成されているが、図6に示すように容器2の口部が天蓋部4の垂下片6と接するように構成されていても良い。図6は本発明の蓋体1の異なる実施形態を示し、この実施形態の蓋体1は、側壁部3の下端部の折り返し部7を短く形成し、折り返し部7の先端部分と、天蓋部4の垂下片6との間に嵌合部10が形成されるようにしたものである。この形態の蓋体1における嵌合部10は、折り返し部7の先端部分と、垂下片6の表面との間に形成され、閉蓋時に容器口部のカール部9は、垂下片6の内面と、折り返し部7の先端部分に接している。尚、垂下片6の内面を押圧プレスする等により、凹溝条状としての嵌合部10を形成しても良い(図示せず)。図6に示す蓋体1は、閉蓋時に容器口部(カール部9)が天蓋部4の垂下片6の内面と接するように構成されており、垂下片6の表面には素材の接合部分に起因した段差がないため、容器2の口部との間に隙間が形成される虞が少なく、密閉性が高い利点を有する。また垂下片6の内面側を更に押圧プレスする等により、垂下片6内面側の平滑性を高めると、更に密閉性が向上する。
【0023】
図7は、図6に示す形態の蓋体1において、天面部5と垂下片6との境界部付近に天面部5の上面側の周囲に沿う囲繞状の膨出条部14を形成した例を示す。このような囲繞状の膨出条部14を天面部5の上面側の周囲に沿って設けると、蓋体1に設けた飲み口(図示せず)から容器内のコーヒー等の飲料を飲んだ際に、飲み残った飲料が飲み口から容器内に戻りやすく、天面部5の周縁部に飲料が溜まる虞が少なくなる。この実施形態の蓋体1においても、嵌合部10は、押圧プレスする等により凹溝条に形成しても良い。また本実施形態の蓋体に限らず(例えば図2図4図5に示す形態の蓋体等)、天面部5の周囲に囲繞状の膨出条部14を形成することにより、天面部5の周縁部に飲料の溜まりを抑制することができる。この形態の蓋体1では、天面部5の持ち上がり度:hは、図7に示すように天面部5と膨出条部14の立ち上がり部分との境界部における高さと、天面部5の最大の高さとの間の差である。
尚、膨出条部14は、側壁部3と天面部5の境界部分に設けられるが、膨出条部14と側壁部3との間に多少の隙間が形成されていても良い。
【0024】
本発明の蓋体1は、図8に示すように、側壁部3の下端部の折り返し部7を設けず、側壁部3の内面側に天蓋部4の垂下片6の外面側を接合したものであっても良い。図8に示す形態の蓋体1は、押圧プレス等により垂下片6の表面に凹溝条が形成されているが、図9に示す蓋体1のように押圧プレス等によって側壁部3の外側に膨出15が形成されていても良い。また凹溝条状の嵌合部10を形成する場合に限らず、押圧プレス等により凸条部を形成して嵌合部としても良く、容器2の口部に確実に蓋体1を嵌合させることができれば、嵌合部10は任意の形態に構成することができる。図8図9示す蓋体1は、閉蓋時に容器2の口部は天蓋部4の垂下片6の表面とのみ接しており、側壁部3との接点は有していない。図8図9に示す蓋体1も、図7に示す蓋体1と同様に、閉蓋時に容器口部(カール部9等)は、垂下片6の内面部と接するため、容器2に対する密閉性が高く、垂下片6の内面側を押圧プレスする等により平滑性を高めると、更に密閉性が向上する。
【0025】
本発明の蓋体1における側壁部3、天蓋部4は、同一の紙系素材を用いて形成しても、異なる紙系素材を用いて形成しても良いが、製造コストの低減化を図る上からは同一の紙系素材を用いることが好ましい。本発明の蓋体1をコーヒー等の飲料用容器の蓋として用いる場合、天面部5に図示しない飲み口が設けられていても良い。また内容物を目視確認することのできるように、合成樹脂、セロファン紙、パラフィン紙、グラシン紙、硫酸紙等の透明、半透明のフィルムやシートからなる窓を天面部5に設けることもできる。本発明の蓋体1は、コーヒーカップやカップヌードルの容器のように側壁2aが傾斜した形状の容器に限らず、ナッツ缶等のような円筒状容器であっても良い。本発明の蓋体1は、紙容器、プラスチック容器、発泡プラスチック容器、金属缶等の種々の容器に使用することでき、液体物を収納する容器に限らず、総菜や弁当といった各種の食料品の容器や乾燥した食品等の収納容器、非食品容器等の蓋体としても用いることができる。
【0026】
上記各実施形態の蓋体1では、側壁部3は、天面部5の周囲に上面側に突出した上部壁11を有しているが、側壁部3は必ずしも上部壁11を有していなくても良い。側壁部3の上端は天面部5と略面一になるように構成されていても良いが、飲料容器の蓋体として用いる場合には、天面部5の上面に突出した上部壁を形成することが好ましい。更に側壁部3の上端側にはカール部12を有していなくても良く、特に図示しないが、カール部12を設ける代わりに、側壁部3の上端部分を外側又は内側に折り曲げた折り曲げ部を設けても良い。蓋体1をコーヒー等の飲料を収納した容器の蓋体として用いる場合、飲料を飲む時に蓋体の側壁部の上端部分に口を当てた際に、カール部12や折り曲げ部を有していと、容器内容物がコーヒー等の液体飲料の場合、飲料を飲む際の口当たり感が良好となる。
【0027】
上記した各実施形態の蓋体1では、天面部5を円形状に形成した場合について示したが、本発明の蓋体1は、楕円状や矩形状等の任意の形状に形成することもできる。前記した例では、容器2として口部にカール部9を設けたものを用いた場合について説明したが、本発明の蓋体1は、カール部9を有する容器に限らず適用することができ、本発明の蓋体1を適用することができる容器の口部形状は任意である。
【0028】
飲み口16等を形成するための開閉片16aを設ける場合、該開閉片16aを開閉するための摘みを設けると、該摘みを摘まんで開閉片の引き上げ(飲み口16の開口)、開閉片の引き下げ(飲み口16の閉止)操作を容易かつ衛生的に引き上げることができる。摘みを設ける方法としては、例えば図12に示すように開閉片16aにラベル18を接合して設けることにより実施できる。図示した例では、ラベル18の一端部18aを開閉片16aとの接合部として設け、ラベル18の他端部18bである自由端側に摘み部19が形成されている。ラベル18には、保持部20が切り込み形成されており、一方、天面部5には前記保持部20の保持受け部21が切り込み形成されており、図13に示すようにラベル18の摘み部19を摘まんで開閉片16aを引き上げて飲み口16を開口させた際に、ラベル18の保持部20を天面部5に形成された保持受け部21に差し込み保持させることで、開閉片16aが開いた状態(飲み口16が開口した状態)に保持することができる。ラベル18の一端部を開閉片16aに接合する方法としては、例えば接着剤による接合、ヒートシール接合、超音波接合、高周波接合等、任意の方法を採用することができる。
【0029】
以下、図12から図16を用いて、飲み口16等を形成するための開閉片16aを設けた例を説明する。なお、図12から図16では、側壁部3の上部壁11にカール部12が形成されていない蓋体1を示すが、先に説明したとおり、カール部12が上部壁11に形成されていてもよいし、またカール部12以外の形状として、例えば上部壁11の上端部をフランジ状に形成してもよい。また、これら以外の形状に形成してもよい。図12図13に示した例では、天面部5に該天面部5とは別体のラベル18を設けている。ラベル18は、一端部18aが開閉片16aに接合され、他端部18b(非接合側端部)に摘み部19が形成されている。このラベル18の一端部18aと他端部18bとの間には保持部20が形成されており、該ラベル18に設けた保持部20を天面部5に切り込み形成した保持受け部21に差し込んで保持するようにした場合を示したが、別体のラベル18を接合して摘み部19を設ける場合に限らず、開閉片16aと一体の摘み部を形成することもできる。また開閉片16aを引き上げた状態に保持する方法としては、ラベル18に切り込み形成した保持部20を天面部5に切り込み形成した保持受け部21に差し込んで保持する場合に限らず、ラベル18等に粘着剤層を設けてラベル18等を天面部5や側壁部3等に粘着保持させて開閉片16aを開いた状態に保つ等、公知の保持手段を任意に採用することができる。更にラベル18に保持部20を切り込み形成する場合も、保持部20の形状は図示したようにV字状に切り込み形成する場合に限らず、任意の形状に切り込み形成することができる。またラベル18は図示したように開閉片16aの開く方向に沿って引き上げるように設ける場合に限らず、開閉片16aの開く方向に対して斜め方向、横方向等に引き上げるように構成することもでき、開閉片16aを引き上げ可能であれば、開閉片16aを引き上げるためのラベル18の引き上げ方向は任意である。
【0030】
図14はラベル18に設ける保持部20の異なる態様を示し、この例では保持部20を切り込み形成する代わりに、ラベル18の自由端側(非接合部側)の側辺部に図示したような凹状の切り込みを22を形成して摘み部19付近の一部を保持部20とし、ラベル18を捻って、前記保持部20を天面部5の保持受け部21に差し込んで保持するようにしても良い。またラベル18に凹状の切り込み22を設けて保持部20を形成する場合、該保持部20を天面部5に切り込み形成した保持受け部21に差し込んで保持する場合に限らず、凹状の切り込み22を、側壁部3の上端縁部(上端部3a)に係止させて保持するようにしても良い。図15図16は、ラベル18の摘み部19付近に凹状の切り込み22を設け、ラベル18の摘み部19付近を折り線23に沿って折り曲げ、凹状の切り込み22を側壁部3の上端部3aに係止させて保持するようにした態様を示す。尚、この場合も、ラベル18に設けた凹状の切り込み22の先端側を、天面部5に切り込み形成した保持受け部に差し込んで保持するようにしても良く、開閉片16aを開いた状態に保持するための手段、構造は任意に選択することができる。
【0031】
また、図12から図16において説明した例では、開閉片16aにラベル18を設け、このラベル18に形成された摘み部19を摘んで操作することによって開閉片16aを引き上げて飲み口16を開口させる態様であったが、開閉片16aにラベルを設けず、該開閉片16aの先端側端部を保持部20とし、天面部5に形成された保持受部21に挿し込む等により飲み口16が開口した状態を維持することができるように構成してもよい。なお、保持部20となるのは開閉片16の先端側端部に限定されるものではなく、保持受部21によって飲み口16が開口した状態を維持することができるように構成されていれば、先端側端部以外の箇所を保持部20としてもよい。ここで、開閉片16aの先端及び基端については、開閉片16aが天面部5と連続している側の端部(開閉時にヒンジ状に機能する箇所)を基端といい、この基端とは反対側の端部のことを先端という。
【0032】
本発明の蓋体1は、嵌合させる際に、蓋体1は全体的に上反り状に変形し易く、図11に示すように蓋体1の一端側の嵌合部10を、容器2のカール部9に嵌め込み、次いで、天蓋部4を反らせるようにして、蓋体1の反対側に向けて嵌合部10を順次、カール部9嵌め込んで行くことで、容器2の口部への蓋体1の嵌合を、容易かつ確実に行うことができる。
【符号の説明】
【0033】
1 蓋体
2 容器
2a 容器の側壁
3 側壁部
3a 側壁上端部
4 天蓋部
5 天面部
6 垂下片
7 側壁部の下端部の折り返し部
8 下部壁
8a 下部壁の下端部
9 容器のカール部
10 嵌合部
11 上部壁
12 蓋体のカール部
13 凸条部
14 膨出条部
15 膨出
16 飲み口
17 切り込み
18 ラベル
19 摘み部
20 保持部
21 保持受け部
22 凹状の切り込み
23 折り線

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図16