(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126987
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】画像処理部、画像処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 9/31 20060101AFI20230906BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20230906BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20230906BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20230906BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20230906BHJP
G09G 5/377 20060101ALI20230906BHJP
G09G 5/18 20060101ALI20230906BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20230906BHJP
G06T 7/33 20170101ALI20230906BHJP
【FI】
H04N9/31 850
H04N5/74 D
G03B21/14 E
G03B21/00 D
G09G5/00 510V
G09G5/00 510B
G09G5/00 550C
G09G5/36 520M
G09G5/18
G09G5/00 550X
G09G5/00 530H
G09G5/36 520E
G06T7/33
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020128672
(22)【出願日】2020-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】平田 英治
(72)【発明者】
【氏名】海津 俊
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
5C060
5C182
5L096
【Fターム(参考)】
2K203FA82
2K203FA93
2K203FB03
2K203FB08
2K203GB42
2K203GB62
2K203GC16
2K203MA01
5C058BA11
5C058BA27
5C058EA02
5C060CB00
5C060JA01
5C060JB06
5C182AA03
5C182AA04
5C182AA31
5C182AB01
5C182AB02
5C182AB08
5C182AB14
5C182AB15
5C182AB21
5C182AB25
5C182AB37
5C182AC03
5C182BA01
5C182BA03
5C182BA04
5C182BA06
5C182BA14
5C182BA26
5C182BA29
5C182BB04
5C182BC26
5C182CB11
5C182CB13
5C182CB14
5C182CB42
5C182CB47
5C182CB54
5C182CC24
5C182DA25
5C182DA44
5C182DA53
5C182DA62
5C182DA66
5C182DA70
5L096CA02
5L096EA14
5L096FA14
5L096FA69
(57)【要約】
【課題】高品質な画像を投影することを可能とする画像処理部、画像処理方法、及びプログラムを提供すること。
【解決手段】本技術の一形態に係る画像処理装置は、第1の生成部と、第2の生成部とを具備する。前記第1の生成部は、複数の単色プロジェクタの各々に対して、コンテンツ画像を構成する第1の画素領域と、前記第1の画素領域以外の第2の画素領域とを有し、前記第2の画素領域の少なくとも一部が特徴点画像を構成する投影画像を、補正パラメータを用いて生成する。前記第2の生成部は、前記複数の単色プロジェクタの各々により投影された前記投影画像が撮像された撮像画像から前記特徴点画像を検出し、前記特徴点画像の検出結果に基づいて前記補正パラメータを生成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単色プロジェクタの各々に対して、コンテンツ画像を構成する第1の画素領域と、前記第1の画素領域以外の第2の画素領域とを有し、前記第2の画素領域の少なくとも一部が特徴点画像を構成する投影画像を、補正パラメータを用いて生成する第1の生成部と、
前記複数の単色プロジェクタの各々により投影された前記投影画像が撮像された撮像画像から前記特徴点画像を検出し、前記特徴点画像の検出結果に基づいて前記補正パラメータを生成する第2の生成部と
を具備する画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記第1の生成部は、前記複数のプロジェクタにより複数の投影画像が投影された場合に、前記コンテンツ画像が互いに重なり合うように前記投影画像を生成する
画像処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像処理装置であって、さらに、
前記複数の単色プロジェクタの各々により投影される対象となる前記コンテンツ画像を取得する取得部を具備し、
前記第1の生成部は、前記補正パラメータを用いて、取得された前記コンテンツ画像を補正して、前記投影画像を生成する
画像処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記第1の生成部は、所定のフレームレートで前記投影画像を生成し、
前記第2の生成部は、フレームごとに前記補正パラメータを生成する
画像処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像処理装置であって、
前記第2の生成部は、前記特徴点画像の検出結果に基づいて、過去のフレームで生成された前記補正パラメータを更新する
画像処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理装置であって、
前記第2の生成部は、前記特徴点画像の検出結果に基づいて、前記補正パラメータの変化を推測し、前記補正パラメータを更新する
画像処理装置。
【請求項7】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記第2の生成部は、前記複数の単色プロジェクタのうちいずれの単色プロジェクタにより投影された前記特徴点画像であるかを識別し、前記複数の単色プロジェクタの各々に対応する前記特徴点画像の検出結果に基づいて、前記複数の単色プロジェクタの各々に対して前記補正パラメータを生成する
画像処理装置。
【請求項8】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記第2の生成部は、前記複数の単色プロジェクタの各々の焦点距離に関する前記補正パラメータ、又は前記複数の単色プロジェクタと投影面との位置関係に関する前記補正パラメータの少なくとも一方を、動的補正パラメータとして生成し、
前記第1の生成部は、生成された前記動的補正パラメータを用いて、前記投影画像を生成する
画像処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像処理装置であって、さらに、
前記複数の単色プロジェクタの相対的な位置関係に関する前記補正パラメータ、又は前記複数の単色プロジェクタの各々のレンズ歪みに関する前記補正パラメータの少なくとも一方を、共通補正パラメータとして記憶する記憶部を具備し、
前記第1の生成部は、記憶された前記共通補正パラメータを用いて、前記投影画像を生成する
画像処理装置。
【請求項10】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記第1の生成部は、生成された前記補正パラメータに基づいて、前記第2の画素領域における前記特徴点画像の位置を算出する
画像処理装置。
【請求項11】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記第1の生成部は、全画素領域が前記特徴点画像の構成対象となる画像を、所定のフレームにて投影される補正用画像として生成し、
前記第2の生成部は、前記複数の単色プロジェクタの各々により投影された前記補正用画像が撮像された撮像画像に基づいて、前記補正パラメータを更新する
画像処理装置。
【請求項12】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記複数の単色プロジェクタは、赤色光により構成される赤色画像を投影する第1の単色プロジェクタ、緑色光により構成される緑色画像を投影する第2の単色プロジェクタ、及び青色光により構成される青色画像を投影する第3の単色プロジェクタであり、
前記複数の単色プロジェクタにより複数の投影画像が投影された場合に、前記コンテンツ画像が互いに重なり合うことで、カラー画像が表示される
画像処理装置。
【請求項13】
複数の単色プロジェクタの各々に対して、コンテンツ画像を構成する第1の画素領域と、前記第1の画素領域以外の第2の画素領域とを有し、前記第2の画素領域の少なくとも一部が特徴点画像を構成する投影画像を、補正パラメータを用いて生成し、
前記複数の単色プロジェクタの各々により投影された前記投影画像が撮像された撮像画像から前記特徴点画像を検出し、前記特徴点画像の検出結果に基づいて前記補正パラメータを生成する
ことをコンピュータシステムが実行する画像処理方法。
【請求項14】
複数の単色プロジェクタの各々に対して、コンテンツ画像を構成する第1の画素領域と、前記第1の画素領域以外の第2の画素領域とを有し、前記第2の画素領域の少なくとも一部が特徴点画像を構成する投影画像を、補正パラメータを用いて生成するステップと、
前記複数の単色プロジェクタの各々により投影された前記投影画像が撮像された撮像画像から前記特徴点画像を検出し、前記特徴点画像の検出結果に基づいて前記補正パラメータを生成するステップと
をコンピュータシステムに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、プロジェクタによる画像の投影に適用可能な画像処理部、画像処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被投影物が移動した場合に生じる投影映像と被投影物との間のずれを補正し、被投影物が移動しても投影映像と被投影物との間にずれが生じないようにする投影システムについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、プロジェクタによる画像の投影に関して、高品質な画像を投影することを可能とする技術が求められている。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、高品質な画像を投影することを可能とする画像処理部、画像処理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る画像処理装置は、第1の生成部と、第2の生成部とを具備する。
前記第1の生成部は、複数の単色プロジェクタの各々に対して、コンテンツ画像を構成する第1の画素領域と、前記第1の画素領域以外の第2の画素領域とを有し、前記第2の画素領域の少なくとも一部が特徴点画像を構成する投影画像を、補正パラメータを用いて生成する。
前記第2の生成部は、前記複数の単色プロジェクタの各々により投影された前記投影画像が撮像された撮像画像から前記特徴点画像を検出し、前記特徴点画像の検出結果に基づいて前記補正パラメータを生成する。
【0007】
この画像処理装置では、コンテンツ画像を構成する第1の画素領域と、少なくとも一部が特徴点画像を構成する第2の画素領域とを含む投影画像が生成される。そして複数の単色プロジェクタにより投影された投影画像が撮像された撮像画像から特徴点画像が検出され、検出結果に基づいて投影画像を生成するための補正パラメータが生成される。これにより、複数の単色プロジェクタを用いた高品質な画像の投影を実現することが可能となる。
【0008】
前記第1の生成部は、前記複数のプロジェクタにより複数の投影画像が投影された場合に、前記コンテンツ画像が互いに重なり合うように前記投影画像を生成してもよい。
【0009】
前記画像処理装置は、さらに、前記複数の単色プロジェクタの各々により投影される対象となる前記コンテンツ画像を取得する取得部を具備してもよい。この場合、前記第1の生成部は、前記補正パラメータを用いて、取得された前記コンテンツ画像を補正して、前記投影画像を生成してもよい。
【0010】
前記第1の生成部は、所定のフレームレートで前記投影画像を生成してもよい。この場合、前記第2の生成部は、フレームごとに前記補正パラメータを生成してもよい。
【0011】
前記第2の生成部は、前記特徴点画像の検出結果に基づいて、過去のフレームで生成された前記補正パラメータを更新してもよい。
【0012】
前記第2の生成部は、前記特徴点画像の検出結果に基づいて、前記補正パラメータの変化を推測し、前記補正パラメータを更新してもよい。
【0013】
前記第2の生成部は、前記複数の単色プロジェクタのうちいずれの単色プロジェクタにより投影された前記特徴点画像であるかを識別し、前記複数の単色プロジェクタの各々に対応する前記特徴点画像の検出結果に基づいて、前記複数の単色プロジェクタの各々に対して前記補正パラメータを生成してもよい。
【0014】
前記第2の生成部は、前記複数の単色プロジェクタの各々の焦点距離に関する前記補正パラメータ、又は前記複数の単色プロジェクタと投影面との位置関係に関する前記補正パラメータの少なくとも一方を、動的補正パラメータとして生成してもよい。この場合、前記第1の生成部は、生成された前記動的補正パラメータを用いて、前記投影画像を生成してもよい。
【0015】
前記画像処理装置は、さらに、前記複数の単色プロジェクタの相対的な位置関係に関する前記補正パラメータ、又は前記複数の単色プロジェクタの各々のレンズ歪みに関する前記補正パラメータの少なくとも一方を、共通補正パラメータとして記憶する記憶部を具備してもよい。この場合、前記第1の生成部は、記憶された前記共通補正パラメータを用いて、前記投影画像を生成してもよい。
【0016】
前記第1の生成部は、生成された前記補正パラメータに基づいて、前記第2の画素領域における前記特徴点画像の位置を算出してもよい。
【0017】
前記第1の生成部は、全画素領域が前記特徴点画像の構成対象となる画像を、所定のフレームにて投影される補正用画像として生成してもよい。この場合、前記第2の生成部は、前記複数の単色プロジェクタの各々により投影された前記補正用画像が撮像された撮像画像に基づいて、前記補正パラメータを更新してもよい。
【0018】
前記複数の単色プロジェクタは、赤色光により構成される赤色画像を投影する第1の単色プロジェクタ、緑色光により構成される緑色画像を投影する第2の単色プロジェクタ、及び青色光により構成される青色画像を投影する第3の単色プロジェクタであってもよい。この場合、前記複数の単色プロジェクタにより複数の投影画像が投影された場合に、前記コンテンツ画像が互いに重なり合うことで、カラー画像が表示されてもよい。
【0019】
本技術の一形態に係る画像処理方法は、コンピュータシステムにより実行される画像処理方法であって、複数の単色プロジェクタの各々に対して、コンテンツ画像を構成する第1の画素領域と、前記第1の画素領域以外の第2の画素領域とを有し、前記第2の画素領域の少なくとも一部が特徴点画像を構成する投影画像を、補正パラメータを用いて生成することを含む。
前記複数の単色プロジェクタの各々により投影された前記投影画像が撮像された撮像画像から前記特徴点画像が検出され、前記特徴点画像の検出結果に基づいて前記補正パラメータが生成される。
【0020】
本技術の一形態に係るプログラムは、コンピュータシステムに、以下のステップを実行させる。
複数の単色プロジェクタの各々に対して、コンテンツ画像を構成する第1の画素領域と、前記第1の画素領域以外の第2の画素領域とを有し、前記第2の画素領域の少なくとも一部が特徴点画像を構成する投影画像を、補正パラメータを用いて生成するステップ。
前記複数の単色プロジェクタの各々により投影された前記投影画像が撮像された撮像画像から前記特徴点画像を検出し、前記特徴点画像の検出結果に基づいて前記補正パラメータを生成するステップ。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本技術に係る画像投影システムの適用例を説明するための模式図である。
【
図2】本技術の一実施形態に係る画像投影システムの構成例を示す模式図である。
【
図3】第1~第3の単色プロジェクタの各々による単色画像の投影を示す模式図である。
【
図6】画像投影システムの機能的な構成例を示すブロック図である。
【
図7】第1~第3の単色プロジェクタと投影面との投影距離の変化を説明するための模式図である。
【
図8】共通補正パラメータ、及び動的補正パラメータを用いたコンテンツ画像の補正例を示す模式図である。
【
図9】工場出荷時の処理例を示すフローチャートである。
【
図10】電源立ち上げ時の処理例を示すフローチャートである(順次点灯フロー)。
【
図11】電源立ち上げ時の処理例を示すフローチャートである(同時点灯フロー)。
【
図12】コンテンツ画像の投影時の処理例を示すフローチャートである。
【
図13】キャリブレーション画像の投影例を示す模式図である。
【
図14】画像投影システムによる他の画像投影例を説明するための模式図である。
【
図15】コンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0023】
[画像投影システムの適用例]
図1は、本技術に係る画像投影システムの適用例を説明するための模式図である。
図1に示すように、本技術に係る画像投影システムは、スマートフォンやタブレット端末等のモバイル端末1によるカラー画像2の投影に適用することが可能である。
もちろん、本技術の適用対象がモバイル端末1に限定される訳ではない。ウエアラブル情報機器(眼鏡型、リストバンド型)や、ゲーム機器等、任意の電子機器に対して、本技術を適用することが可能である。
【0024】
[画像投影システム]
図2は、本技術の一実施形態に係る画像投影システムの構成例を示す模式図である。
画像投影システム100は、画像投影装置4と、撮像装置5と、画像処理部6とを有する。画像投影装置4及び画像処理部6は、電気的に接続される。また撮像装置5及び画像処理部6も電気的に接続される。
画像投影システム100は、例えば
図1に示すモバイル端末1に搭載される。
【0025】
図2に示すように、画像投影装置4は、複数の単色プロジェクタ7を有する。
単色プロジェクタ7は、単色光により構成される単色画像9を生成して投影することが可能である。
例えば、単色プロジェクタ7は、自発光により単色画像9を生成可能なOLED(Organic Light Emitting Diode)パネル、及び生成された画像光を投影面に投影する投影レンズ部(ともに図示は省略)により構成される。
【0026】
あるいは、単色光を出射する光源部、光源部から出射された単色光を変調し画像画像光を生成する光変調素子、光変調素子により生成された画像光を投影面に投影する投影レンズ部(ともに図示は省略)により、単色プロジェクタ7が構成されてもよい。
光源部としては、例えばLED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)等の固体光源、又は水銀ランプやキセノンランプ等が配置される。
光変調素子としては、例えば液晶パネルやデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)等、任意のデバイスが用いられてよい。
投影レンズ部は、例えば複数の投影レンズ等を含み、具体的な構成は適宜設計されてよい。
その他、単色プロジェクタ7の具体的な構成は限定されず、任意の構成が採用されてよい。
【0027】
本実施形態では、複数の単色プロジェクタ7として、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cが用いられる。第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの各々は、単色画像9を投影可能に構成される。なお本開示において、画像は、静止画像及び動画像(映像)の両方を含む。
第1の単色プロジェクタ7aは、赤色光により構成される赤色画像9aを投影する。
第2の単色プロジェクタ7bは、緑色光により構成される緑色画像9bを投影する。
第3の単色プロジェクタ7cは、青色光により構成される青色画像9cを投影する。
第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cは、相対的な位置関係が定められて配置される。本実施形態では、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cは、一方向に沿って並ぶように配置される。また第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cは、画像光の出射方向が互いにそろえられて配置される。
【0028】
図2に示すように、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cは、RGBの各色の単色画像9a~9cを投影可能な投影範囲10(10a~10c)が、互いに異なるように配置される。また第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cは、投影範囲10(10a~10c)の一部が互いに重なり合うように配置される。
すなわち、第1の単色プロジェクタ7aにより投影される赤色画像9aの一部、第2の単色プロジェクタ7bにより投影される緑色画像9bの一部、及び第3の単色プロジェクタ7cにより投影される青色画像9cの一部が、互いに重なり合って投影される。
従って、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cにより、赤色画像9a、緑色画像9b、及び青色画像9cが投影された場合に、3つの単色画像9a~9cが重なり合う重複範囲11にて、カラー画像2を投影することが可能となる。
すなわち本実施形態では、RGBの3原色の単色画像9a~9cをブレンディングすることで、カラー画像2を投影することが可能となる。画像のブレンディングは、画像合成ともいえる。
以下、カラー画像2が投影される重複範囲11を、同じ符号を用いて、カラー画像2を投影可能な投影可能範囲11と記載する。
なお本実施系形態において、赤色画像9a、緑色画像9b、及び青色画像9cは、複数の投影画像に相当する。
【0029】
図3は、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの各々による単色画像9の投影を示す模式図である。
第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの各々は、コンテンツ画像12が投影される第1の投影領域13と、第1の投影領域13以外の第2の投影領域14とを有する。
コンテンツ画像12は、視聴者の視聴対象となる画像であり、その種類は限定されない。
第1の投影領域13をコンテンツ投影領域と呼ぶことも可能である。また第2の投影領域14を、非コンテンツ投影領域と呼ぶことも可能である。
図3に示すように、第2の投影領域14の少なくとも一部には、特徴点画像15が投影される。
【0030】
図3Aに示すように、第1の単色プロジェクタ7aからは赤色画像9aが投影される。赤色画像9aは、コンテンツ画像12aが投影される第1の投影領域13aと、コンテンツ画像12aが投影されない第2の投影領域14aとを有する。
なお、
図3では、第2の投影領域14aの周縁が線で図示されている。一方、第2の投影領域14aに対しては、特徴点画像15のみを投影することも可能である。この場合、
図3に示す第2の投影領域14aの周縁(線)は、投影されない。このことは、
図3B及びCに示す緑色画像9b及び青色画像9cに関しても同様である。
図3Aに示す例では、赤色画像9aの全体、すなわち赤色画像9aの投影範囲10aに対して、右側の領域が第1の投影領域13aとなり、コンテンツ画像12aが投影される。
【0031】
図3Bに示すように、第2の単色プロジェクタ7bからは緑色画像9bが投影される。緑色画像9bは、コンテンツ画像12bが投影される第1の投影領域13bと、コンテンツ画像12bが投影されない第2の投影領域14bとを有する。
図3Bに示す例では、緑色画像9bの全体、すなわち緑色画像9bの投影範囲10bに対して、中央の領域が第1の投影領域13bとなり、コンテンツ画像12bが投影される。
【0032】
図3Cに示すように、第3の単色プロジェクタ7cからは青色画像9cが投影される。青色画像9cは、コンテンツ画像12cが投影される第1の投影領域13bと、コンテンツ画像12cが投影されない第2の投影領域14cとを有する。
図3Cに示す例では、青色画像9cの全体、すなわち青色画像9cの投影範囲10cに対して、左側の領域が第1の投影領域13cとなり、コンテンツ画像12cが投影される。
【0033】
なお第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cを有する画像投影装置4は、カラー画像2を投影可能なプロジェクタとして機能する。
【0034】
撮像装置5は、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの各々により投影面に投影された赤色画像9a、青色画像9b、及び緑色画像9cを撮像可能に設置される。
撮像装置5としては、例えばCMOS(Complementary-Metal-Oxide Semiconductor)センサやCCD(Charge Coupled Device)センサ等のイメージセンサを備えるデジタルカメラが用いられる。その他、任意の撮像装置が用いられてもよい。
本実施形態では、撮像装置5として、カラーカメラ(RGBカメラ)が用いられる。従って、撮像装置5により撮像される赤色画像9a、青色画像9b、及び緑色画像9cは、RGBのカラーが再現されて撮像される。RGBカメラの具体的な構成は限定されない。
【0035】
画像処理部6は、例えばCPU、GPU、DSP等のプロセッサ、ROMやRAM等のメモリ、HDD等の記憶デバイス等、コンピュータの構成に必要なハードウェアを有する。例えばプロセッサがメモリや記憶デバイスに予め記録されている本技術に係るプログラムをRAMにロードして実行することにより、本技術に係る画像処理方法が実行される。
画像処理部6の構成は限定されず、任意のハードウェア及びソフトウェアが用いられてよい。もちろんFPGA、ASIC等のハードウェアが用いられてもよい。また画像処理部6が構成される位置も限定されず、任意に設計されてよい。
【0036】
図2に示すように、本実施形態では、プロセッサが所定のプログラムを実行することで、機能ブロックとして取得部17、第1の生成部18、及び第2の生成部19が構成される。もちろん機能ブロックを実現するために、IC(集積回路)等の専用のハードウェアが用いられてもよい。
プログラムは、例えば種々の記録媒体を介してインストールされる。あるいは、インターネット等を介してプログラムのインストールが実行されてもよい。
プログラムが記録される記録媒体の種類等は限定されず、コンピュータが読み取り可能な任意の記録媒体が用いられてよい。例えば、コンピュータが読み取り可能な非一過性の任意の記憶媒体が用いられてよい。
【0037】
取得部17は、複数の単色プロジェクタ7の各々により投影される対象となるコンテンツ画像(画像データ)を取得する。本実施形態では、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの各々により投影される対象となるコンテンツ画像(画像データ)が取得される。
なお本開示において、画像の取得は、外部の装置から画像データを受信すること、及び画像データを自ら生成することの両方を含む。
【0038】
第1の生成部18は、複数の単色プロジェクタ7の各々に対して、画像を投影するための投影画像(画像データ)を生成する。本実施形態では、
図4に例示したRGBの各色の単色画像9a~9cを投影するための投影画像(画像データ)が生成される。
第2の生成部19は、第1の生成部18が投影画像を生成するための補正パラメータを生成する。従って、第1の生成部18は、第2の生成部19により生成された補正パラメータを用いて、投影画像を生成する。
【0039】
本実施形態では、画像処理部6が投影されたモバイル端末1が、本技術に係る画像処理装置の一実施形態に相当する。
【0040】
図4及び
図5は、画像処理部6の動作例を説明するための模式図である。
図4に示すように、取得部17により、例えばカラー画像として構成されているコンテンツ画像22(画像データ)が、外部の画像供給装置等により取得される。
取得部17により、カラーのコンテンツ画像22が、RGBの3原色の画像データに分解される。これにより、第1の単色プロジェクタ7aにより投影される対象となるコンテンツ画像22aが取得される。また第2の単色プロジェクタ7bにより投影される対象となるコンテンツ画像22bが取得される。また第3の単色プロジェクタ7cにより投影される対象となるコンテンツ画像22cが取得される。
もちろん、外部の画像供給装置等から、RGBの3原色に分解されたコンテンツ画像22a~22bが取得されてもよい。
【0041】
第1の生成部18は、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの各々に対して、投影画像23(23a~23c)を生成する。
図4に示すように、投影画像23は、コンテンツ画像22(22a~22c)を構成する第1の画素領域26(26a~26c)と、第1の画素領域26以外の第2の画素領域27(27a~27c)とを有し、第2の画素領域27の少なくとも一部が特徴点画像25(25a~25c)を構成する。
コンテンツ画像22が、投影面上のコンテンツ画像12に相当する。また第1の画素領域26が、投影面上の第1の投影領域13に相当する。また第2の画素領域27が、投影面上の第2の投影領域14に相当する。
【0042】
図2に例示するように、第1の生成部18は、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cにより複数の単色画像9a~9cが投影された場合に、コンテンツ画像12a~12cが互いに重なり合うように、投影画像23(23a~23c)を生成する。
なお、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cにより投影される複数の単色画像9は、生成された投影画像23(画像データ)に基づいて投影される複数の投影画像に相当する。
【0043】
第1の生成部18は、投影面においてコンテンツ画像12a~12cが高い精度で重なり合うように、投影画像23a~23cを生成する。そのために、第1の生成部18は、
図4に示すように、補正パラメータ29(29a~29c)を用いて、投影画像23a~23cを生成する。
具体的には、第1の生成部18は、補正パラメータ29a~29cを用いて、取得部17により取得されたコンテンツ画像22a~22bを補正して、投影画像23a~23cを生成する。
【0044】
補正パラメータを用いた補正としては、例えば、投影面の幾何的な位置関係に応じて、コンテンツ画像を歪ませる等の幾何変換が挙げられる。
例えば、補正パラメータを用いたコンテンツ画像22の補正として、以下の式に示すような画像の幾何変換(座標変換)が実行される。
【0045】
【0046】
[数1]式において、座標値(X、Y)は、コンテンツ画像22の各画素の座標値である。コンテンツ画像22の各画素の座標値を変換行列Mcで変換する。そして、変換後の座標値(X'、Y')に対応する投影画像23の画素に、コンテンツ画像22の座標値(X、Y)の画素の画素値を割り当てる。
画像の幾何変換としては、拡大/縮小、平行移動、回転等の線形変換が挙げられる。これに限定されず、射影変換、アフィン変換、非線形変換等を用いた任意の幾何変換が実行されてもよい。
また、変換行列Mcが用いられる場合、変換行列Mcは、補正パラメータ29となる。また、変換行列Mcの要素(成分)も、補正パラメータ29に含まれる。
もちろん、第1の生成部18により実行される、補正パラメータ29を用いた投影画像23の生成が、コンテンツ画像22の幾何変換に限定される訳ではない。他の画像生成方法が用いられてもよい。
また、本技術に係る補正パラメータの一実施形態として、変換行列Mcとは異なるパラメータが用いられてもよい。
【0047】
第1の生成部18により補正されたコンテンツ画像22を構成する画素領域が、第1の画素領域26となる。第1の画素領域26以外の第2の画素領域27の少なくとも一部には、特徴点画像25が設定される。
例えば、画像データの生成に関して、パネルの有効画素領域に対応した領域を、描画領域とする。そして、画素値の設定を、描画領域に対する画像の描画(レンダリング)とする。
この場合、第1の生成部18は、画素領域の一部に補正されたコンテンツ画像22を描画し、コンテンツ画像22が描画されない非コンテンツ画像描画領域の少なくとも一部に、特徴点画像25を描画する。このように表現することも可能である。
【0048】
特徴点画像25としては、任意の形状を有する画像を用いることが可能である。例えばバツ印(クロスマーク)、三角マーク、矩形マーク、円形マーク等が挙げられる。特徴点画像25として、各単色プロジェクタ7による投影面に対する単色画像9の投影状態が検出可能な任意の画像が用いられてもよい。
図4に例示するように、本実施形態では、投影画像23の四隅に近い位置、あるいは、コンテンツ画像22が構成される第1の画素領域26に近い位置に、特徴点画像25が描画される。特徴点画像25の数、構成される位置等は限定されず任意に設定されてよい。
特徴点画像25が、コンテンツ画像22(第1の画素領域26)に近すぎると、RGBの3原色の単色画像9a~9cが投影される際に、ほんの少しのずれ等により他の色の単色画像9のコンテンツ画像12(第1の投影領域13)に、特徴点画像15が重なってしまうこともあり得る。また、コンテンツ画像12の視聴を妨げてしまう可能性もあり得る。
一方で、コンテンツ画像22(第1の画素領域26)から離れた位置のみに特徴点画像25を設定する場合には、投影されたコンテンツ画像12付近の投影状態の検出精度が低下する可能性もあり得る。
従って、コンテンツ画像22(第1の画素領域26)からある程度離れた位置に特徴点画像25を設定することで、投影されたコンテンツ画像12付近の投影状態を精度よく検出することが可能となる。
また、それに加えて、投影画像23の四隅に近い位置に特徴点画像25を設定することで、投影画像23全体の投影状態を精度よく検出することが可能となる。
【0049】
第2の生成部19は、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの各々により投影された単色画像9a~9cが撮像された撮像画像から、特徴点画像15を検出し、特徴点画像15の検出結果に基づいて、投影画像23a~23cを生成するための補正パラメータ29a~29cを生成する。
例えば、撮像画像から特徴点画像15の位置が検出され、当該特徴点画像15の位置に基づいて、補正パラメータ29が生成される。その他、特徴点画像15の検出結果として、特徴点画像15の形状等が用いられてもよい。
【0050】
第2の生成部19は、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cのうちいずれの単色プロジェクタ7により投影された特徴点画像15であるかを識別可能に構成される。
本実施形態では、撮像装置5としてRGBカメラが用いられる。従ってRGBの色情報に基づいて、いずれの単色プロジェクタ7により投影された特徴点画像15かを識別することが可能である。
もちろん、いずれの単色プロジェクタ7により投影された特徴点画像15であるかを識別する方法として、他の任意の方法が用いられてよい。例えば投影される特徴点画像15の形状を単色プロジェクタ7ごとに変えることで、特徴点画像25を投影した単色プロジェクタ7を識別することが可能となる。
第2の生成部19は、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの各々に対応する特徴点画像15の検出結果に基づいて、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの各々に対して補正パラメータ29a~29cを生成する。
【0051】
補正パラメータ29としては、例えば、単色プロジェクタ7のレンズ歪みに起因する成分、各単色プロジェクタ7の幾何的な位置関係に起因する成分、単色プロジェクタ7の焦点距離(レンズフォーカス)に起因する成分、及びハードウェアと投影面の幾何的な位置関係に起因する成分の4つの成分を補正するための補正パラメータ29が挙げられる。
すなわち、補正パラメータ29として、以下の補正パラメータが挙げられる。
第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの相対的な位置関係に関する補正パラメータ。
第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの各々のレンズ歪みに関する補正パラメータ。
第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの各々の焦点距離に関する補正パラメータ。
第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cと投影面との相対的な位置関係に関する補正パラメータ。
もちろん、これらの補正パラメータ29に限定されず、投影画像23を生成するために使用可能な任意の補正パラメータが生成されてよい。また、上記で挙げた種々の補正パラメータのうち少なくとも1つの補正パラメータ29が生成されればよい。
【0052】
図5は、投影画像23の生成例を示す模式図である。
例えば、
図5に示すように、第1の生成部18は、所定のフレームレートで投影画像23a~23cを生成する。フレームレートの具体的な値は限定されない。
【0053】
本実施形態では、撮像装置5により、フレームごとに、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cにより投影される単色画像9a~9cが撮像される。
また第2の生成部19により、フレームごとに撮像画像が取得され、特徴点画像15の検出結果に基づいて、補正パラメータ29a~29cが生成される。なお、補正パラメータ29の生成は、過去のフレームにて生成された補正パラメータ29を更新することを含む。
従って、第2の生成部19により、特徴点画像15の検出結果に基づいて、過去のフレームで生成された補正パラメータ29a~29cが更新されてもよい。また第2の生成部19により、特徴点画像15の検出結果に基づいて、補正パラメータ29a~29cの変化分が推測され、補正パラメータ29a~29cが更新されてもよい。
【0054】
例えば、特徴点画像15の位置に基づいて、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの各々の焦点距離の変化が推測される。当該推測結果に基づいて、焦点距離に関する補正パラメータ29の変化が推測され、補正パラメータ29が更新される。
また、特徴点画像15の位置に基づいて、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cと投影面との相対的な位置関係の変化が推測される。当該推測結果に基づいて、相対的な位置関係に関する補正パラメータ29の変化が推測され、補正パラメータ29が更新される。このような処理も可能である。
【0055】
第1の生成部18は、第2の生成部19により生成された補正パラメータ29を用いて、投影画像23a~23cを生成する。
例えば、
図5に示すように、前フレーム(t-1)にて、投影画像23a~23cに基づいて、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7bにより、RGBの3原色の単色画像9a~9cが投影される。
現フレームにて、投影された単色画像9a~9bの撮像画像に基づいて、補正パラメータ29a~29cが作成さされる。そして補正パラメータ29a~29cが用いられて、現フレームの投影画像23a~23cが生成される。
このように、フレームごとに、特徴点画像15の検出結果に基づいて、補正パラメータ29a~29cが生成される。そして補正パラメータ29a~29cが用いられて、投影画像23a~23cが生成される。
これにより、投影面においてコンテンツ画像12a~12cを高い精度で重ね合わせることが可能となり、高品質なカラー画像2を投影することが可能となる。
【0056】
本技術に係る画像投影システム100の、さらに詳しい実施形態について説明する。
図6は、画像投影システム100の機能的な構成例を示すブロック図である。画像投影装置4、及び撮像装置5については、
図2等を参照して説明した画像投影装置4及び撮像装置5が用いられる。
画像入力部31は、コンテンツ画像22をHDMI(登録商標)やUSB等の各種映像IFを介してモバイル端末1に入力するブロックである。
【0057】
本実施形態では、画像処理部6は、撮像画像入力部32、画像出力部33、タイミング制御部34、キャリブレーション画像生成部35、特徴点検出部36、補正パラメータ演算部37、入力画像変換部38、特徴点画像設定部39、及び投影画像生成部40を有する。
各ブロックは、例えばプロセッサが所定のプログラムを実行することで構成される。もちろんこれらの機能ブロックを実現するために、IC(集積回路)等の専用のハードウェアが用いられてもよい。
【0058】
撮像画像入力部32には、撮像装置5により撮像された撮像画像が入力される。
画像出力部33は、複数の単色プロジェクタ7により投影される対象となる画像データを、画像投影装置4に出力する。
タイミング制御部34は、各フレームにおいて、撮像画像の入力から画像データの出力までの各ブロックの動作を同期させるためのタイミング信号を出力する。
キャリブレーション画像生成部35は、キャリブレーション画像を生成する。
【0059】
特徴点検出部36は、撮像画像から特徴点画像15を検出する。
補正パラメータ演算部37は、特徴点画像15の検出結果に基づいて、補正パラメータ29を生成する。本実施形態では、フレームごとに特徴点画像15の検出結果に基づいた演算が実行され、補正パラメータ29が更新される。
入力画像変換部38は、補正パラメータを用いて、入力される画像に対して、幾何変換を実行する。例えば、入力されるコンテンツ画像22やキャリブレーション画像に対して、幾何変換が実行される。
特徴点画像設定部39は、特徴点画像25の位置及び形状等を設定する。
投影画像生成部40は、幾何変換されたコンテンツ画像22と、設定された特徴点画像25とを含む投影画像23を生成する。すなわち投影画像生成部40により、幾何変換されたコンテンツ画像22と、設定された特徴点画像とが描画(レンダリング)される。
【0060】
図6に示す例では、入力画像変換部38により、
図2に示す取得部17が実現される。
入力画像変換部38、特徴点画像設定部39、及び投影画像生成部40により、
図2に示す第1の生成部18が実現される。
撮像画像入力部32、特徴点検出部36、及び補正パラメータ演算部37により、
図2に示す第2の生成部19が実現される。
【0061】
本実施形態では、投影画像23を生成するための補正パラメータ29が、共通補正パラメータと、動的補正パラメータとに区分される。
共通補正パラメータは、画像処理部6が有するメモリや記憶デバイス(記憶部の一実施形態に相当)により記憶される。そして、フレームごとに、記憶部から読み出され、投影画像23の生成に用いられる。
動的補正パラメータは、フレームごとに、特徴点画像15の検出結果に基づいて生成され、投影画像23の生成に用いられる。
例えば、共通補正パラメータとして変換行列Mc1が用いられ、動的補正パラメータとして変換行列Mc2が用いられるとする。この場合、例えば、以下の式に示すような画像の幾何変換が実行される。
【0062】
【0063】
変換行列Mc1は、フレームごとに記憶部から読み出される。変換行列Mc2は、フレームごとにリアルタイムで生成される。例えば、変換行列Mc2の各成分が適宜更新される。
【0064】
共通補正パラメータとしては、例えば、ハードウェア固有の補正パラメータ等、一度求めてしまえば時々刻々と変化することがあまり見られない補正パラメータが選択される。
例えば、単色プロジェクタ7のレンズ歪みに起因する成分や、各単色プロジェクタ7の幾何的な位置関係に起因する成分については、複雑な補正が必要となる場合が多い。一方で、これらの成分は、画像投影時において、使用環境等に応じて、大きく変化することも少ない。
従って共通補正パラメータとして、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの相対的な位置関係に関する補正パラメータや、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの各々のレンズ歪みに関する補正パラメータ等が選択される。
【0065】
動的補正パラメータとしては、例えば、ハードウェアの使用環境に応じて大きく変化する補正パラメータが選択される。また、単色プロジェクタ7の焦点距離に起因する成分や、ハードウェアと投影面の幾何的な位置関係に起因する成分等の、リアルタイムで比較的容易に補正可能な成分を補正するための補正パラメータが選択される。
例えば、動的補正パラメータとして、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの各々の焦点距離に関する補正パラメータや、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cと投影面との位置関係に関する補正パラメータ等が選択される。
例えば、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの各々の焦点距離の変化に応じて、投影面に投影されるコンテンツ画像12のスケール(ズーム)が変化する。従って、投影されるコンテンツ画像12のスケールの変化を補正可能な補正パラメータ29を動的補正パラメータとして生成する。例えば、スケールの変化を補正可能な補正パラメータ29として、入力されるコンテンツ画像12を拡大/縮小させる変換行列Mc2を用いる。当該変換行列Mc2は、比較的容易にリアルタイムで生成(更新)することが可能である。
【0066】
また
図7に示すように、例えば、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cと投影面との距離が変化すると、投影面に対する各単色プロジェクタ7からの視差の影響により、カラー画像2が投影可能な投影可能範囲11の位置が変化する。従って、投影可能範囲11の位置の変化に対応するための補正パラメータ29を動的補正パラメータとして生成する。
例えば、投影可能範囲11の位置の変化に対応するための補正パラメータ29として、入力されるコンテンツ画像12を平行移動させる変換行列Mc2を用いる。当該変換行列Mc2は、比較的容易にリアルタイムで生成(更新)することが可能である。
もちろん、入力されるコンテンツ画像12に対して、拡大/縮小、及び平行移動の両方を作用させる変換行列Mc2を生成することも可能である。例えば、以下に示すようなアフィン変換行列を用いることが可能となる。なお、式中の(t、u)により平行移動が実現され、(s)により拡大/縮小が実現される。
【0067】
【0068】
図8は、共通補正パラメータ、及び動的補正パラメータを用いたコンテンツ画像22の補正例を示す模式図である。
図8に示す例では、共通補正パラメータとして、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの相対的な位置関係に関する補正パラメータ、及び第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの各々のレンズ歪みに関する補正パラメータが用いられる。
第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの相対的な位置関係に起因する成分、及び第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの各々のレンズ歪みに起因する成分を補正する共通補正パラメータ(例えば変換行列Mc1)が、テーブル情報として予め記憶される。
共通補正パラメータ(例えば変換行列Mc1)は、例えば工場出荷時(製造出荷時)等にてキャリブレーションが実行されることで生成される。もちろんこれに限定される訳ではない。
そして、フレームごとに、テーブル情報が用いられ、コンテンツ画像22が変換される。
【0069】
また、動的補正パラメータとして、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの各々の焦点距離に関する補正パラメータ、及び第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cと投影面と距離(投影距離)に関する補正パラメータが用いられる。
図8に示す例では、焦点距離fに起因する成分、及び投影距離zに起因する成分を補正するための動的補正パラメータ(例えば変換行列Mc2)が生成される。
例えば工場出荷時等にてキャリブレーションが実行されることで、動的補正パラメータの初期値が算出される。例えば[数3]式のアフィン変換行列の成分(t、u、s)の初期値が算出される。算出された初期値は記憶部に記憶される。
【0070】
本画像投影システム100の起動時において、画像投影装置4を使用する環境下にて、キャリブレーションを実行する。これにより、動的補正パラメータ初期値からの差分として、Δf及びΔzが算出される。そして各々の補正関数に基づいて、焦点距離f'及び投影距離z'が算出される。これら焦点距離f'及び投影距離z'が、焦点距離f及び投影距離zとして、改めて保持される。
コンテンツ画像12の投影時には、特徴点画像15の検出結果に基づいて、焦点距離fの変化Δf、及び投影距離zの変化分zの変化Δzが推測される。そして各々の補正関数に基づいて、変化した焦点距離f'及び投影距離z'が算出される。
算出された焦点距離f'及び投影距離z'に基づいて、動的補正パラメータの変化が推測され、動的補正パラメータが更新される。例えば[数3]式のアフィン変換行列の成分(t、u、s)が更新される。
【0071】
図8に例示するように、動的補正パラメータを用いて補正する対象を、焦点距離fに起因する成分、及び投影距離zに起因する成分の2つに設定する。この場合、例えば、[数3]式のアフィン変換行列を用いる場合、未知パラメータを3つの成分(t、u、s)に減らすことが可能となり、コンテンツ画像22の変換処理を安定させることが可能となる。
【0072】
図9~
図12を参照して、画像投影システム100の動作例を説明する。
図9は、工場出荷時の処理例を示すフローチャートである。
第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cのうち任意の単色プロジェクタ1台以外を消灯させる。すなわち、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cのうち任意の1台のみを点灯させる(ステップ101)。
点灯している単色プロジェクタ7により、キャリブレーション画像生成部35により生成されたキャリブレーション画像45が投影される(ステップ102)。
【0073】
図13は、キャリブレーション画像の投影例を示す模式図である。
図13A~Cに例示されるように、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの各々により、順次、キャリブレーション画像45a~45cが投影される。
キャリブレーション画像45は、全画素領域が特徴点画像の構成対象となる画像である。すなわちキャリブレーション画像45は、画像全体に特徴点画像46が配置される画像である。
図13に示す例では、特徴点画像46として、円形マークが投影される。もちろんこれに限定されず、特徴点画像46の形状、サイズ、数、位置等は任意に設定されてよい。
【0074】
ステップ102では、既知の焦点距離、及び既知の投影距離にて、キャリブレーション画像45が投影される。
撮像装置5により、投影されたキャリブレーション画像45が撮像される(ステップ103)。
特徴点検出部36により、撮像画像から特徴点画像46が検出される(ステップ104)。
補正パラメータ演算部37により、特徴点画像46の検出結果に基づいて、初期補正パラメータが生成される(ステップ105)。
【0075】
初期補正パラメータは、共通補正パラメータと、動的補正パラメータの初期値とを含む。
本実施形態では、共通補正パラメータとして、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの相対的な位置関係に関する補正パラメータ、及び第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの各々のレンズ歪みに関する補正パラメータが生成される。ここでは、既知の焦点距離及び既知の投影距離に対する共通補正パラメータが生成される。
また動的補正パラメータとして、焦点距離に関する補正パラメータ、及び投影距離に関する補正パラメータが生成される。既知の焦点距離に対応する補正パラメータ、及び既知の投影距離に対応する補正パラメータが、初期値として取得される。
例えば、特徴点画像46の結果に基づいて、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7c、及び投影面の相対的な位置関係が推測される。当該推測結果に基づいて、共通補正パラメータ、及び動的補正パラメータの初期値が生成される。
【0076】
第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの各々に対して、初期補正パラメータが生成されるまで、処理は繰り返される(ステップ106)。初期補正パラメータは、記憶部に記憶される。
なお、ステップ105にて、カラー画像2が投影される投影可能範囲11に対応する画素領域の情報が、各単色プロジェクタ7に対して取得されてもよい。これらの情報がコンテンツ画像22の幾何変換の際の補正パラメータとして使用されてもよい。
【0077】
図10及び
図11は、本画像投影システム100の起動時における電源立ち上げ時の処理例を示すフローチャートである。
図10は、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cを順次点灯させる場合のフローである。
図11は、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cを同時に点灯させる場合のフローである。
図10に示す順次点灯フロー、又は
図11同時点灯フローのいずれかを選択することが可能である。
【0078】
工場出荷後の電源立ち上げの過程では、起動時の各環境下で、初期補正パラメータからの変化分を演算するフローに移行する。本実施形態では、動的補正パラメータの変化分が演算され、動的補正パラメータが更新される。
【0079】
図10に示す順次点灯フローにおいて、まず、工場出荷時に生成した初期補正パラメータが読み込まれる(ステップ201)。
第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cのうち任意の単色プロジェクタ1台以外を消灯させる(ステップ202)。
入力画像変換部38により、初期補正パラメータに基づいて、キャリブレーション画像45の幾何変換が実行される。幾何変換されたキャリブレーション画像が、点灯している単色プロジェクタ7により投影される(ステップ203)。
本実施形態では、工場出荷時に使用されたキャリブレーション画像45に対して幾何変換が実行される。これに限定されず、他の任意のキャリブレーション画像が用いられてもよい。
【0080】
撮像装置5により、投影されたキャリブレーション画像45が撮像される(ステップ204)。
特徴点検出部36により、撮像画像から特徴点画像46が検出される(ステップ205)。
補正パラメータ演算部37により、特徴点画像46の検出結果に基づいて、動的補正パラメータが更新される。すなわち、初期補正パラメータに含まれる動的補正パラメータの初期値との差分が算出され、動的補正パラメータが更新される(ステップ206)。
第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの各々に対して、動的補正パラメータが更新されるまで、処理は繰り返される(ステップ207)。更新された動的補正パラメータは、記憶部に記憶される。
【0081】
図11に示す同時点灯フローにおいて、まず、工場出荷時に生成した初期補正パラメータが読み込まれる(ステップ301)。
入力画像変換部38により、初期補正パラメータに基づいて、キャリブレーション画像45の幾何変換が実行される。幾何変換されたキャリブレーション画像45が、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの各々により投影される(ステップ302)。
【0082】
撮像装置5により、投影されたキャリブレーション画像45が撮像される(ステップ303)。
特徴点検出部36により、撮像画像から特徴点画像46が検出される。ここでは、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの各々により投影された特徴点画像46が識別可能に検出される。すなわちいずれの単色プロジェクタ7により投影されたものなのかが識別されて検出される(ステップ304)。
補正パラメータ演算部37により、特徴点画像46の検出結果に基づいて、動的補正パラメータが更新される(ステップ305)。このステップ305にて、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの各々に対して、動的補正パラメータが更新される。
【0083】
図12は、コンテンツ画像の投影時の処理例を示すフローチャートである。
入力画像変換部38により、補正パラメータに基づいて、コンテンツ画像22の幾何変換が実行される(ステップ401)。補正パラメータは、共通補正パラメータと、更新された動的補正パラメータとを含む。またコンテンツ画像22の幾何変化は、RGBの3原色のコンテンツ画像22a~22cの各々に対して実行される。
【0084】
特徴点画像設定部39により、特徴点画像25が設定される。
投影画像23に埋め込まれる特徴点画像25の位置(座標位置)は、例えば各単色プロジェクタ7、及び投影面との関係に応じて変化する。
特徴点画像設定部39は、当該幾何位置関係の変化に応じて、特徴点画像25の位置や形状等を適宜指定することが可能である。例えば、特徴点画像設定部39は、補正パラメータ(共通補正パラメータ、及び更新された動的補正パラメータ)を取得することで、現フレームにて最適な特徴点画像25の位置や形状を算出することが可能である。
例えば、過去のフレームにて算出した特徴点画像25の位置等が、補正パラメータに基づいて更新されてもよい。
【0085】
投影画像生成部40により、特徴点画像25が追加されて投影画像23が生成される(ステップ402)。
生成された投影画像23a~23cに基づいて、単色画像9a~9cが投影される(ステップ403)。
図2に例示するように、投影可能範囲11には、カラー画像2が投影される。
【0086】
撮像装置5により、投影された単色画像9a~9cが撮像される(ステップ404)。
特徴点検出部36により、撮像画像から特徴点画像25が検出される。ここでは、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの各々により投影された特徴点画像25a~25cが識別可能に検出される(ステップ405)。
補正パラメータ演算部37により、特徴点画像25の検出結果に基づいて、動的補正パラメータが更新される(ステップ406)。例えば、特徴点画像25の検出結果に基づいて、動的補正パラメータの変化分が算出され、動的補正パラメータが更新される。このステップ406にて、第1~第3の単色プロジェクタ7a~7cの各々に対して、動的補正パラメータが更新される。
ユーザにより終了操作が入力されるまで、処理は繰り返される(ステップ407)。終了操作としては、例えばコンテンツ画像の再生の停止等が挙げられる。
【0087】
このように本実施形態では、フレームごとに動的補正パラメータがリアルタイムで更新され、コンテンツ画像22の幾何変換、及び特徴点画像25の設定が実行される。
また本実施形態では、複雑な補正項となりがちなレンズ歪みに関する成分、及び各単色プロジェクタ7の相対位置に関する成分を補正するための共通補正パラメータは、工場出荷時に事前に取得される。そして、焦点距離に起因する成分、及び投影距離に起因する成分を補正するための動的補正パラメータが、フレームごとにリアルタイムで更新される。
このように共通補正パラメータと動的補正パラメータとを分類することで、フレームごとの投影画像23の生成にかかる全体的な処理負荷を低減することが可能となる。これにより、画像投影装置4を搭載したハードウェア自体が物理的に動いたとしても、補正処理がリアルタイムに追従して動き続け、投影面でブレのないカラー画像2を提供し続けることができるようになる。すなわち安定したカラー画像2の投影を実現することが可能となる。
また、本実施形態では、フレームごとに撮像画像に基づいた動的補正パラメータの更新が実行されるので、いわゆるフィードバック系が形成されることになる。これにより、熱や外力など外的な要因によりハードウェアの変形やデバイス特性のドリフトが生じた場合でも、安定的なカラー画像2の投影を実現することが可能となる。この結果、より高品質なカラー画像2を投影面で得ることが可能となる。
【0088】
以上、本実施形態に係る画像投影システム100では、コンテンツ画像22を構成する第1の画素領域26と、少なくとも一部が特徴点画像25を構成する第2の画素領域27とを含む投影画像23が生成され、複数の単色プロジェクタ7により投影される。投影された単色画像9が撮像された撮像画像から特徴点画像15が検出され、検出結果に基づいて投影画像を生成するための補正パラメータ29が生成される。これにより、複数の単色プロジェクタ7を用いた高品質な画像の投影を実現することが可能となる。
【0089】
近年プロジェクタの小型化が進み、モバイル機器への搭載も実現している。モバイル機器への搭載にあたり、プロジェクタの小型化は機器全体の小型化・低背化につながるため重要な要素である。
既存のカラープロジェクタの小型化は継続的に進んでいるが、その複雑な光学系のために設計制約により、あるサイズ以下に小型化できない可能性もある。このため、本実施形態で提示したような簡易な光学で構成された単色の小型プロジェクタを少なくとも色の三原色分の計3台以上を搭載することにより、プロジェクタ機能部の物理的なサイズの更なる小型化・低背化を実現することが可能となる。
この場合、各色の単色プロジェクタが投影できる投影面の重なり合った領域に対して、投影面上で各プロジェクタが投影する画像を合成することで、結果としてカラー画像2を描画することが可能となる。
一方で、このようなシステムをモバイル機器で使用する場合、投影面と複数の単色プロジェクタ7の幾何関係が時々刻々と変化することも起こりえる。このため、高品質なカラー画像2を安定的に投影し続けるにはリアルタイムに幾何関係を演算する必要がある。
例えば、上記した特許文献1に記載の投影システムでは、赤外線カメラや赤外線プロジェクタが必要など追加する装置が多くなってしまうといったように、消費電力の観点で懸念が生じる。また選択する測距手法次第では精度の限界が測距手法により制限されてしまい、十分高品質な合成画像が得られない懸念がある。
例えば、投影面との幾何的な位置関係を取得する手法として、ToF(Time of Flight)等を用いた測距手法が挙げられる。この手法を用いる場合、やはりToF等の追加の装置が必要となり、消費電力が増加してしまう。またToF等の測距手法は一般に低解像度であるため、これにより得られた補正パラメータでは精度的に限界があり、投影面のカラー画像のエッジに偽色がつくなどの画質劣化が懸念される。
【0090】
本技術を適用することで、コンテンツ画像12が投影されない領域に特徴点画像15が投影される。そして、投影された画像が撮像された撮像結果に基づいて、フレームごとに補正パラメータを更新することが可能となる。
この結果、追加の装置が少なく、消費電力の観点で有利となりうる。また、フィードバック系が形成可能であるので、高い精度でコンテンツ画像22の補正を実行することが可能となる。
また補正可能な精度に関して、例えば撮像装置5及び複数の単色プロジェクタ7の解像度により上限が規定されるが、これらのデバイスに高解像度のものを選ぶのは難しくない。従って、高品質なハードウェアを容易に準備することが可能となり、補正可能な精度を向上させることが可能となる。
【0091】
本技術に係る画像投影システム100を搭載可能な電子機器の種類は限定されない。例えば、携帯電話、スマートフォン、パソコン、ゲーム機、デジタルカメラ、オーディオ機器、TV、プロジェクタ、カーナビ、GPS端末、ウエアラブル情報機器(眼鏡型、リストバンド型)等の電子機器や、インターネット等に接続されたIoT機器等、任意の電子機器に本技術を適用することが可能である。
【0092】
<その他の実施形態>
本技術は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態を実現することができる。
【0093】
図14は、画像投影システム100による他の画像投影例を説明するための模式図である。
例えば第1の生成部18により、全画素領域が特徴点画像の構成対象となるキャリブレーション画像が、所定のフレームにて投影される補正用画像として生成されてもよい。
図14に例示するように、キャリブレーション画像51が、補正用画像として、所定のフレームにて投影される。例えば、
図13に例示するようなキャリブレーション画像45を、数~数十フレームに1度等の低頻度で差し込んで投影させる。
例えば、RGBの3原色のキャリブレーション画像51が同時に投影されてもよい。あるいは、RGBの3原色のキャリブレーション画像51が、1枚ずつ、ローテーションで投影されてもよい。また投影させるキャリブレーション画像51の色がユーザにより選択可能であってもよい。
【0094】
第2の補正部19により、複数の単色プロジェクタ7の各々により投影されたキャリブレーション画像51が撮像された撮像画像に基づいて、補正パラメータが更新される。
例えば、工場出荷時におけるキャリブレーションと同様に、共通補正パラメータ及び動的補正パラメータの両方が更新されてもよい。もちろん、動的補正パラメータのみが更新されてもよい。
【0095】
キャリブレーション画像51を用いたキャリブレーションを挟むことで、カラー画像2が投影される投影可能範囲11を含めた全領域にて補正パラメータを直接算出することが可能となる。これにより、例えば非コンテンツ投影領域(第2の投影領域14)に投影された特徴点画像15に基づいて補正パラメータを生成することにより、仮に誤差が累積してしまうといったことが発生した場合でも、当該誤差を打ち消すことが可能となる。
この結果、より高精度の補正パラメータを取得することが可能となる。
【0096】
本技術の適用において、複数の単色プロジェクタの数7や、単色の組み合わせ等は限定されず、任意に設定可能である。
上記では、モバイル端末1等の1つの装置に、本技術に係る画像投影システム100が搭載される構成を説明した。これに限定されず、撮像装置5や画像投影装置4とは別に、PC等の任意のコンピュータにより、本技術に係る画像処理装置が実現されてもよい。
【0097】
図15は、画像処理装置を実現可能なコンピュータ60のハードウェア構成例を示すブロック図である。
コンピュータ60は、CPU61、ROM(Read Only Memory)62、RAM63、入出力インタフェース65、及びこれらを互いに接続するバス64を備える。入出力インタフェース65には、表示部66、入力部67、記憶部68、通信部69、及びドライブ部70等が接続される。
表示部66は、例えば液晶、EL等を用いた表示デバイスである。入力部67は、例えばキーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、その他の操作装置である。入力部67がタッチパネルを含む場合、そのタッチパネルは表示部66と一体となり得る。
記憶部68は、不揮発性の記憶デバイスであり、例えばHDD、フラッシュメモリ、その他の固体メモリである。ドライブ部70は、例えば光学記録媒体、磁気記録テープ等、リムーバブルの記録媒体71を駆動することが可能なデバイスである。
通信部69は、LAN、WAN等に接続可能な、他のデバイスと通信するためのモデム、ルータ、その他の通信機器である。通信部69は、有線及び無線のどちらを利用して通信するものであってもよい。通信部69は、コンピュータ60とは別体で使用される場合が多い。
上記のようなハードウェア構成を有するコンピュータ60による情報処理は、記憶部68またはROM62等に記憶されたソフトウェアと、コンピュータ60のハードウェア資源との協働により実現される。具体的には、ROM62等に記憶された、ソフトウェアを構成するプログラムをRAM63にロードして実行することにより、本技術に係る情報処理方法が実現される。
プログラムは、例えば記録媒体61を介してコンピュータ60にインストールされる。あるいは、グローバルネットワーク等を介してプログラムがコンピュータ60にインストールされてもよい。その他、コンピュータ読み取り可能な非一過性の任意の記憶媒体が用いられてよい。
【0098】
ネットワーク等を介して通信可能に接続された複数のコンピュータが協働することで、本技術に係る画像処理方法及びプログラムが実行され、本技術に係る画像処理装置が構築されてもよい。
すなわち本技術に係る画像処理方法、及びプログラムは、単体のコンピュータにより構成されたコンピュータシステムのみならず、複数のコンピュータが連動して動作するコンピュータシステムにおいても実行可能である。
なお本開示において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれもシステムである。
コンピュータシステムによる本技術に係る画像処理方法、及びプログラムの実行は、例えばコンテンツ画像の取得、投影画像の生成、特徴点画像の検出、補正パラメータの生成等が、単体のコンピュータにより実行される場合、及び各処理が異なるコンピュータにより実行される場合の両方を含む。また所定のコンピュータによる各処理の実行は、当該処理の一部または全部を他のコンピュータに実行させその結果を取得することを含む。
すなわち本技術に係る画像処理方法及びプログラムは、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成にも適用することが可能である。
【0099】
各図面を参照して説明した画像投影システム、撮像装置、画像投影装置、単色プロジェクタ、画像処理装置、投影画像、キャリブレーション画像の各構成、各処理フロー等はあくまで一実施形態であり、本技術の趣旨を逸脱しない範囲で、任意に変形可能である。すなわち本技術を実施するための他の任意の構成やアルゴリズム等が採用されてよい。
【0100】
本開示において、「略」という文言が使用される場合、これはあくまで説明の理解を容易とするための使用であり、「略」という文言の使用/不使用に特別な意味があるわけではない。
すなわち、本開示において、「中心」「中央」「均一」「等しい」「同じ」「直交」「平行」「対称」「延在」「軸方向」「円柱形状」「円筒形状」「リング形状」「円環形状」等の、形状、サイズ、位置関係、状態等を規定する概念は、「実質的に中心」「実質的に中央」「実質的に均一」「実質的に等しい」「実質的に同じ」「実質的に直交」「実質的に平行」「実質的に対称」「実質的に延在」「実質的に軸方向」「実質的に円柱形状」「実質的に円筒形状」「実質的にリング形状」「実質的に円環形状」等を含む概念とする。
例えば「完全に中心」「完全に中央」「完全に均一」「完全に等しい」「完全に同じ」「完全に直交」「完全に平行」「完全に対称」「完全に延在」「完全に軸方向」「完全に円柱形状」「完全に円筒形状」「完全にリング形状」「完全に円環形状」等を基準とした所定の範囲(例えば±10%の範囲)に含まれる状態も含まれる。
従って、「略」の文言が付加されていない場合でも、いわゆる「略」を付加して表現される概念が含まれ得る。反対に、「略」を付加して表現された状態について、完全な状態が排除される訳ではない。
【0101】
本開示において、「Aより大きい」「Aより小さい」といった「より」を使った表現は、Aと同等である場合を含む概念と、Aと同等である場合を含なまい概念の両方を包括的に含む表現である。例えば「Aより大きい」は、Aと同等は含まない場合に限定されず、「A以上」も含む。また「Aより小さい」は、「A未満」に限定されず、「A以下」も含む。
本技術を実施する際には、上記で説明した効果が発揮されるように、「Aより大きい」及び「Aより小さい」に含まれる概念から、具体的な設定等を適宜採用すればよい。
【0102】
以上説明した本技術に係る特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。すなわち各実施形態で説明した種々の特徴部分は、各実施形態の区別なく、任意に組み合わされてもよい。また上記で記載した種々の効果は、あくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果が発揮されてもよい。
【0103】
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)
複数の単色プロジェクタの各々に対して、コンテンツ画像を構成する第1の画素領域と、前記第1の画素領域以外の第2の画素領域とを有し、前記第2の画素領域の少なくとも一部が特徴点画像を構成する投影画像を、補正パラメータを用いて生成する第1の生成部と、
前記複数の単色プロジェクタの各々により投影された前記投影画像が撮像された撮像画像から前記特徴点画像を検出し、前記特徴点画像の検出結果に基づいて前記補正パラメータを生成する第2の生成部と
を具備する画像処理装置。
(2)(1)に記載の画像処理装置であって、
前記第1の生成部は、前記複数のプロジェクタにより複数の投影画像が投影された場合に、前記コンテンツ画像が互いに重なり合うように前記投影画像を生成する
画像処理装置。
(3)(1)又は(2)に記載の画像処理装置であって、さらに、
前記複数の単色プロジェクタの各々により投影される対象となる前記コンテンツ画像を取得する取得部を具備し、
前記第1の生成部は、前記補正パラメータを用いて、取得された前記コンテンツ画像を補正して、前記投影画像を生成する
画像処理装置。
(4)(1)から(3)のうちいずれか1つに記載の画像処理装置であって、
前記第1の生成部は、所定のフレームレートで前記投影画像を生成し、
前記第2の生成部は、フレームごとに前記補正パラメータを生成する
画像処理装置。
(5)(4)に記載の画像処理装置であって、
前記第2の生成部は、前記特徴点画像の検出結果に基づいて、過去のフレームで生成された前記補正パラメータを更新する
画像処理装置。
(6)(5)に記載の画像処理装置であって、
前記第2の生成部は、前記特徴点画像の検出結果に基づいて、前記補正パラメータの変化を推測し、前記補正パラメータを更新する
画像処理装置。
(7)(1)から(6)のうちいずれか1つに記載の画像処理装置であって、
前記第2の生成部は、前記複数の単色プロジェクタのうちいずれの単色プロジェクタにより投影された前記特徴点画像であるかを識別し、前記複数の単色プロジェクタの各々に対応する前記特徴点画像の検出結果に基づいて、前記複数の単色プロジェクタの各々に対して前記補正パラメータを生成する
画像処理装置。
(8)(1)から(7)のうちいずれか1つに記載の画像処理装置であって、
前記第2の生成部は、前記複数の単色プロジェクタの各々の焦点距離に関する前記補正パラメータ、又は前記複数の単色プロジェクタと投影面との位置関係に関する前記補正パラメータの少なくとも一方を、動的補正パラメータとして生成し、
前記第1の生成部は、生成された前記動的補正パラメータを用いて、前記投影画像を生成する
画像処理装置。
(9)(8)に記載の画像処理装置であって、さらに、
前記複数の単色プロジェクタの相対的な位置関係に関する前記補正パラメータ、又は前記複数の単色プロジェクタの各々のレンズ歪みに関する前記補正パラメータの少なくとも一方を、共通補正パラメータとして記憶する記憶部を具備し、
前記第1の生成部は、記憶された前記共通補正パラメータを用いて、前記投影画像を生成する
画像処理装置。
(10)(1)から(9)のうちいずれか1つに記載の画像処理装置であって、
前記第1の生成部は、生成された前記補正パラメータに基づいて、前記第2の画素領域における前記特徴点画像の位置を算出する
画像処理装置。
(11)(1)から(10)のうちいずれか1つに記載の画像処理装置であって、
前記第1の生成部は、全画素領域が前記特徴点画像の構成対象となる画像を、所定のフレームにて投影される補正用画像として生成し、
前記第2の生成部は、前記複数の単色プロジェクタの各々により投影された前記補正用画像が撮像された撮像画像に基づいて、前記補正パラメータを更新する
画像処理装置。
(12)(1)から(11)のうちいずれか1つに記載の画像処理装置であって、
前記複数の単色プロジェクタは、赤色光により構成される赤色画像を投影する第1の単色プロジェクタ、緑色光により構成される緑色画像を投影する第2の単色プロジェクタ、及び青色光により構成される青色画像を投影する第3の単色プロジェクタであり、
前記複数の単色プロジェクタにより複数の投影画像が投影された場合に、前記コンテンツ画像が互いに重なり合うことで、カラー画像が表示される
画像処理装置。
(13)
複数の単色プロジェクタの各々に対して、コンテンツ画像を構成する第1の画素領域と、前記第1の画素領域以外の第2の画素領域とを有し、前記第2の画素領域の少なくとも一部が特徴点画像を構成する投影画像を、補正パラメータを用いて生成し、
前記複数の単色プロジェクタの各々により投影された前記投影画像が撮像された撮像画像から前記特徴点画像を検出し、前記特徴点画像の検出結果に基づいて前記補正パラメータを生成する
ことをコンピュータシステムが実行する画像処理方法。
(14)
複数の単色プロジェクタの各々に対して、コンテンツ画像を構成する第1の画素領域と、前記第1の画素領域以外の第2の画素領域とを有し、前記第2の画素領域の少なくとも一部が特徴点画像を構成する投影画像を、補正パラメータを用いて生成するステップと、
前記複数の単色プロジェクタの各々により投影された前記投影画像が撮像された撮像画像から前記特徴点画像を検出し、前記特徴点画像の検出結果に基づいて前記補正パラメータを生成するステップと
をコンピュータシステムに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0104】
1…モバイル端末
2…カラー画像
4…画像投影装置
5…撮像装置
6…画像処理部
7…単色プロジェクタ
9…単色画像
10…投影範囲
11…投影可能範囲(重複範囲)
12…コンテンツ画像
13…第1の投影領域
14…第2の投影領域
15…特徴点画像
22…コンテンツ画像(画像データ)
23…投影画像(画像データ)
25…特徴点画像(画像データ)
26…第1の画素領域
27…第2の画素領域
29…補正パラメータ
45、51…キャリブレーション画像
46…特徴点画像
100…画像処理システム