(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126992
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】冷却部材
(51)【国際特許分類】
H01L 23/473 20060101AFI20230906BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020131229
(22)【出願日】2020-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】503190785
【氏名又は名称】尼得科超▲しゅう▼科技股▲ふん▼有限公司
【住所又は居所原語表記】No.184-3,Zhongxing N.St.,Sanchong Dist.,New Taipei City 24158,Taiwan
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高尾 征志
(72)【発明者】
【氏名】楊 仕▲ゆ▼
(72)【発明者】
【氏名】小関 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】花野 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】石田 淳一
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA05
5E322AA11
5E322AB11
5E322DA00
5E322FA01
5F136BA04
5F136BA22
5F136CB07
5F136CB08
5F136CC14
5F136FA02
5F136FA03
5F136GA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】冷却効率を向上させることが可能な冷却部材を提供する。
【解決手段】冷却部材1は、発熱体と接触する支持部2Aと、発熱体の上側に配置される複数のフィン31と、フィン31を覆い、内部に冷媒が流通する冷媒流路5を有するカバー4と、を有する。カバー4は、冷媒流路5の一端側に配置されて冷媒流路5に冷媒が流入する流入口411と、冷媒流路5の他端側に配置されて冷媒流路5から冷媒が流出する流出口412と、を有する。複数のフィン31は、冷媒流路5の冷媒流通方向Dfと直交する冷媒流路5の幅方向Dwに並んで配置されるとともに、幅方向Dwに延びる接続部32よって互いに接続される。流入口411は、上壁部41に配置され、上下方向から見て少なくとも一部がフィン31及び接続部32と離れて配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体と接触する支持部と、
前記支持部の上側に配置されて上下方向に延びる複数のフィンと、
前記フィンを覆い、内部に冷媒が流通する冷媒流路を有するカバーと、
を有し、
前記カバーは、
前記支持部と上下方向に対向して前記複数のフィンの上側を覆う上壁部と、
前記上壁部の外縁部から下側に延びて前記支持部に接続される側壁部と、
前記冷媒流路の一端側に配置されて前記冷媒流路に前記冷媒が流入する流入口と、
前記冷媒流路の他端側に配置されて前記冷媒流路から前記冷媒が流出する流出口と、
を有し、
前記複数のフィンは、前記冷媒流路の冷媒流通方向と直交する前記冷媒流路の幅方向に並んで配置されるとともに、前記幅方向に延びる接続部よって互いに接続され、
前記流入口は、前記上壁部に配置されるとともに、上下方向から見て少なくとも一部が前記フィン及び前記接続部と離れて配置される、
冷却部材。
【請求項2】
前記流出口は、前記上壁部に配置されるとともに、上下方向から見て少なくとも一部が前記フィン及び前記接続部と離れて配置される、請求項1に記載の冷却部材。
【請求項3】
前記複数のフィンは、前記流入口に対して前記冷媒流路の下流側に向かって延びる、請求項1または請求項2に記載の冷却部材。
【請求項4】
前記複数のフィンは、前記流出口に対して前記冷媒流路の上流側に向かって延びる、請求項1から請求項3のいずれかに記載の冷却部材。
【請求項5】
前記支持部は、前記発熱体が取り付けられる発熱体取付部を有し、
前記流入口及び前記流出口の少なくとも一方は、上下方向から見て少なくとも一部が前記発熱体取付部と重なる、請求項1から請求項4のいずれかに記載の冷却部材。
【請求項6】
前記流入口は、前記冷媒流路内の前記冷媒の流通経路の上流端部に配置され、
前記流出口は、前記冷媒流路内の前記冷媒の流通経路の下流端部に配置される、請求項1から請求項5のいずれかに記載の冷却部材。
【請求項7】
前記支持部は、金属板である、請求項1から請求項6のいずれかに記載の冷却部材。
【請求項8】
前記支持部は、筐体内に熱を輸送する作動媒体を密閉した熱伝導部材である、請求項1から請求項6のいずれかに記載の冷却部材。
【請求項9】
前記冷媒流路は、前記冷媒の流通経路が屈曲する屈曲部を有する、請求項1から請求項8のいずれかに記載の冷却部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発熱体の冷却に冷却部材が用いられる。冷却部材は、複数の金属板それぞれの間に伝熱フィンを介在させて重ね合わせ、周囲を側板にて囲うことで、密閉空間を形成している。密閉空間には、冷媒が流入する配管と、冷媒が流出する配管と、がそれぞれ接続される。発熱体から発せられた熱は、金属板を介して冷媒に伝達され、冷却部材の外部へ流出した冷媒から放熱される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷媒流路に配置されるフィンは、冷媒を所定の方向に流通させるために、複数が整然と配列される。複数のフィンは、互いの間を所定の間隔で保持するために、配列方向に延びる接続部等によって接続されることがある。従来の冷却部材の場合、この接続部に関して配慮がなされておらず、例えば配管から密閉空間内に冷媒が流入するときに、流入する冷媒が直接接続部に当たり、冷媒を速やかに流入させることができないことに課題があった。これにより、冷媒の好適な流通が妨げられ、冷却効率が低下する虞があった。
【0005】
上記の点に鑑み、本発明は、冷却効率を向上させることが可能な冷却部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的な冷却部材は、発熱体と接触する支持部と、前記支持部の上側に配置されて上下方向に延びる複数のフィンと、前記フィンを覆い、内部に冷媒が流通する冷媒流路を有するカバーと、を有する。前記カバーは、前記支持部と上下方向に対向して前記複数のフィンの上側を覆う上壁部と、前記上壁部の外縁部から下側に延びて前記支持部に接続される側壁部と、前記冷媒流路の一端側に配置されて前記冷媒流路に前記冷媒が流入する流入口と、前記冷媒流路の他端側に配置されて前記冷媒流路から前記冷媒が流出する流出口と、を有する。前記複数のフィンは、前記冷媒流路の冷媒流通方向と直交する前記冷媒流路の幅方向に並んで配置されるとともに、前記幅方向に延びる接続部よって互いに接続される。前記流入口は、前記上壁部に配置されるとともに、上下方向から見て少なくとも一部が前記フィン及び前記接続部と離れて配置される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の構成によれば、冷却効率を向上させることが可能な冷却部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態の冷却部材の上側から見た分解斜視図である。
【
図2】
図2は、冷却部材の下側から見た斜視図である。
【
図5】
図5は、変形例1の冷却部材の縦断面図である。
【
図6】
図6は、変形例2の冷却部材の横断面図である。
【
図7】
図7は、変形例3の冷却部材の横断面図である。
【
図8】
図8は、変形例4の冷却部材の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0010】
本書では、後述する発熱体10A、10B、10Cに対して冷却部材1が配置された側を「上側」と称し、冷却部材1に対して発熱体10A、10B、10Cが配置された側を「下側」と称する。支持部2Aの発熱体10A、10B、10Cと対向する一面の法線方向が「上下方向」であり、支持部2Aの延伸方向が上下方向と直交する「水平方向」である。すなわち、
図4における上下方向が冷却部材1の上下方向であり、
図4における左右横方向が冷却部材1の水平方向である。これらの方向に基づき、冷却部材の各部の形状及び位置関係を説明する。なお、これらの方向の定義は、冷却部材の使用時の向き及び位置関係を限定するものではない。
【0011】
また、本書では、上下方向に平行な断面を「縦断面」と呼び、上下方向と直交する断面を「横断面」と呼ぶ。また、本書で用いる「平行」、「直交」は、厳密な意味で平行、直交を表すものではなく、略平行、略直交を含む。
【0012】
<1.冷却部材の概略構成>
図1は、本発明の一実施形態の冷却部材1の上側から見た分解斜視図である。
図2は、冷却部材1の下側から見た斜視図である。
【0013】
冷却部材1は、本実施形態において、複数の発熱体10A、10B、10Cを冷却する部材である。発熱体10A、10B、10Cは、例えば車両の車輪を駆動するためのトラクションモータに備えられるインバータのパワートランジスタである。このパワートランジスタは、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。この場合、冷却部材1は、トラクションモータに搭載される。なお、発熱体の個数は、3個に限定されるわけではなく、1個、2個、或いは4個以上であっても良い。
【0014】
冷却部材1は、支持部2Aと、フィン部3と、カバー4と、を有する。
【0015】
支持部2Aは、例えばアルミニウム合金により形成される金属板である。支持部2Aは、フィン部3及びカバー4の下側に配置される。支持部2Aは、例えば上下方向から見て長方形状である。
【0016】
支持部2Aは、下面に発熱体取付部21を有する。発熱体取付部21は、例えば発熱体10A、10B、10Cの数に合わせて、3つ設けられる。3つの発熱体取付部21それぞれには、発熱体10A、10B、10Cが取り付けられる。すなわち、支持部2Aは、下面において発熱体10A、10B、10Cと接触する。
【0017】
フィン部3は、支持部2Aの上側に配置される。フィン部3は、複数のフィン31によって構成される。すなわち、複数のフィン31は、発熱体10A、10B、10Cの上側に配置される。複数のフィン31は、上下方向に延びる。
【0018】
カバー4は、支持部2Aの上側に配置される。カバー4は、底壁部が開口した直方体の箱形状である。カバー4は、支持部2Aに接続することで、内部にフィン部3を収容する閉鎖された空間を形成する。カバー4は、上壁部41と、側壁部42と、を有する。
【0019】
上壁部41は、例えば上下方向から見て長方形状であり、支持部2Aと上下方向に対向する。上壁部41は、複数のフィン31の上側を覆う。側壁部42は、上壁部41の外縁部から下側に延びて支持部2Aに接続される。詳細に言えば、側壁部42の下端部は、支持部2Aの上面に接合される。これにより、カバー4は、フィン31を覆い、内部に冷媒が流通する冷媒流路5を有する。
【0020】
上壁部41は、流入口411と、流出口412と、を有する。流入口411及び流出口412は、上壁部41を上下方向に貫通し、開口する。流入口411及び流出口412は、例えば送液チューブを介してポンプ及び放熱部に接続される(いずれも不図示)。ポンプを駆動させることで、冷媒が冷却部材1と放熱部との間を循環する。
【0021】
<2.冷却部材の詳細構成>
図3は、冷却部材1の横断面図である。
図4は、冷却部材1の縦断面図である。
【0022】
<2-1.フィン部の詳細構成>
フィン部3は、冷媒流路5内に配置される。フィン部3は、複数のフィン31によって形成された複数のフィン群3A、3B、3Cを有する。フィン群3A、3B、3Cは、上下方向から見て長方形状である支持部2Aの長手方向に沿って、所定の間隔をあけて配列される。
【0023】
なお、フィン群の個数は、3個に限定されるわけではなく、1個、2個、或いは4個以上であっても良い。また、フィン群3A、3B、3Cを構成する複数のフィン31は、
図1、
図3及び
図4に記載された形状、大きさ、数量に限定されるわけではなく、適宜任意に変更することができる。
【0024】
フィン群3A、3B、3Cを構成する複数のフィン31それぞれは、上下方向、且つ支持部2Aの長手方向に沿って平行に延びる。支持部2Aの長手方向に沿うフィン31の延伸方向は、冷媒流路5の冷媒流通方向Dfである。複数のフィン31は、冷媒流路5の冷媒流通方向Dfと直交する冷媒流路5の幅方向Dwに並んで配置される。冷媒は、複数のフィン31それぞれの間と、カバー4の内面とフィン31との間と、を流通する。
【0025】
フィン部3は、接続部32を有する。接続部32は、例えばフィン31の上端部の、冷媒流通方向Dfの中央部に配置される。接続部32は、冷媒流路5の幅方向Dwに延びる。詳細に言えば、接続部32は、例えば冷媒流路5の幅方向Dw及び冷媒流通方向Dfに延びる板形状であり、例えばカシメ等の接続方法によって互いが接続される接続片である。接続部32は、フィン31に一体として設け、冷媒流路5の幅方向Dwに折り曲げて形成しても良いし、フィン31とは別体として形成してフィン31に接合しても良い。フィン群3A、3B、3Cを構成する複数のフィン31は、接続部32よって互いに接続される。これにより、複数のフィン31は、冷媒流路5の幅方向Dwにおける互いの間が所定の間隔で保持される。
【0026】
<2-2.カバーの詳細構成>
流入口411及び流出口412は、冷媒流路5の両端側に配置される。流入口411は、冷媒流路5の一端側に配置され、冷媒流路5に冷媒が流入する。流出口412は、冷媒流路5の他端側に配置され、冷媒流路5から冷媒が流出する。冷媒は、冷媒流路5の、流入口411側から流出口412側に向かう冷媒流通方向Dfに沿って流通する。
【0027】
流入口411は、上壁部41に配置される。流入口411は、冷媒流路5の上流部に配置されたフィン群3Aよりも冷媒流通方向Dfの上流側に配置される。
図3及び
図4に示すように、流入口411は、上下方向から見てフィン群3Aのフィン31と離れて配置される。なお、流入口411は、上下方向から見て少なくとも一部がフィン群3Aのフィン31と離れて配置されることが好ましい。そして、流入口411は、上下方向から見てフィン群3Aの接続部32と離れて配置される。なお、流入口411は、上下方向から見て少なくとも一部がフィン群3Aの接続部32と離れて配置されることが好ましい。
【0028】
<3.冷却部材の作用>
ポンプ(不図示)を駆動させることで、冷却部材1の冷媒流路5には、流入口411から冷媒が流入する。冷媒は、冷媒流路5の幅方向Dw及び冷媒流通方向Dfの全域にわたって流通する。冷媒は、冷媒流路5を流通する間に、支持部2Aと、フィン部3と、を冷却する。支持部2A及びフィン部3を冷却した冷媒は、流出口412を通って、冷媒流路5から冷却部材1の外部へと流出する。発熱体10A、10B、10Cは、冷媒によって冷却された支持部2Aに吸熱されることで冷却される。
【0029】
上記の構成によれば、流入口411を通って冷媒流路5に流入する冷媒の少なくとも一部は、直接接続部32に当たらない。これにより、冷媒は、接続部32に妨げられることなく、複数のフィン31それぞれの間などに流入する。したがって、冷媒を速やかに冷媒流路5に流入させることができ、冷却部材1の冷却効率を向上させることが可能である。
【0030】
流出口412は、上壁部41に配置される。流出口412は、冷媒流路5の下流部に配置されたフィン群3Cよりも冷媒流通方向Dfの下流側に配置される。
図3及び
図4に示すように、流出口412は、上下方向から見てフィン群3Cのフィン31と離れて配置される。なお、流出口412は、上下方向から見て少なくとも一部がフィン群3Cのフィン31と離れて配置されることが好ましい。そして、流出口412は、上下方向から見てフィン群3Cの接続部32と離れて配置される。なお、流出口412は、上下方向から見て少なくとも一部がフィン群3Cの接続部32と離れて配置されることが好ましい。
【0031】
上記の構成によれば、流出口412を通って冷媒流路5から流出する冷媒の少なくとも一部の流通経路は、接続部32によって遮られない。これにより、冷媒は、接続部32に妨げられることなく、複数のフィン31それぞれの間などから流出する。したがって、冷媒を速やかに冷媒流路5から流出させることができ、冷却部材1の冷却効率を向上させることが可能である。
【0032】
また、複数のフィン31は、流入口411に対して冷媒流路5の下流側に向かって延びることがより好ましい。すなわち、すべてのフィン31は、上下方向から見て流入口411と重ならず、流入口411に対して冷媒流路5の上流側に配置されていない。
【0033】
この構成によれば、冷媒が冷媒流路5の上流部に滞留することを抑制することができる。さらに、流入口411から冷媒流路5内に流入した冷媒を、冷媒流路5の幅方向Dwの全域に行き渡らせることができる。したがって、冷却部材1の冷却効率を向上させることが可能である。
【0034】
また、複数のフィン31は、流出口412に対して冷媒流路5の上流側に向かって延びることがより好ましい。すなわち、すべてのフィン31は、上下方向から見て流出口412と重ならず、流出口412に対して冷媒流路5の下流側に配置されていない。
【0035】
この構成によれば、冷媒が冷媒流路5の下流部に滞留することを抑制することができる。さらに、冷媒流路5の幅方向Dwの全域に流通する冷媒を、滞らせることなく流出口412に導くことができる。したがって、冷却部材1の冷却効率を向上させることが可能である。
【0036】
支持部2Aは、下面に、発熱体10A、10B、10Cが取り付けられる発熱体取付部21を有する。
【0037】
流入口411は、上下方向から見て少なくとも一部が発熱体取付部21と重なる。この構成によれば、冷媒が流入口411から冷媒流路5に流入したときに、冷媒による発熱体10Aに対する冷却作用を高めることができる。また、冷却部材1の小型化を図ることができる。
【0038】
流出口412は、上下方向から見て少なくとも一部が発熱体取付部21と重なる。この構成によれば、小型化が図られた構成で、冷媒が流出口412から流出する直前まで、発熱体10Cに対して冷媒による冷却を行うことができる。したがって、冷却部材1の冷却効率を向上させることが可能である。
【0039】
なお、流入口411及び流出口412の少なくとも一方が、上下方向から見て発熱体取付部21と重なることにしても良い。また、流入口411及び流出口412は、全体が上下方向から見て発熱体取付部21と重なることにしても良い。
【0040】
また、支持部2Aは金属板であるので、簡便な構成で、発熱体10A、10B、10Cの熱を効率良く冷媒に伝達することができる。これにより、冷却部材1の冷却効率を向上させることが可能である。
【0041】
<4.変形例>
続いて、冷却部材1の変形例について説明する。なお、変形例の基本的な構成は、
図1から
図4を用いて説明した上記実施形態と同じであるので、共通する構成要素には前と同じ符号または前と同じ名称を付してその説明を省略する場合がある。
【0042】
<4-1.変形例>
図5は、変形例1の冷却部材1の縦断面図である。なお、
図5は、説明の便宜上、支持部2Bを拡大して模式的に示している。
【0043】
変形例1の冷却部材1は、
図5に示す支持部2Bを有する。支持部2Bは、
図1から
図4に示した冷却部材1の支持部2Aに代えて、複数のフィン31の下側、且つ発熱体10A、10B、10Cの上側に配置される。なお、支持部2Bは、支持部2Aの下面に接触させて配置しても良い。
【0044】
支持部2Bは、
図5に示すように、筐体22と、ウィック構造体23と、作動媒体24と、を有する。支持部2Bは、筐体22内に熱を輸送する作動媒体24を密閉した熱伝導部材である。
【0045】
筐体22は、例えば銅などの金属により形成され、内部に空間22Sを有する。空間22Sは、密閉空間であり、例えば大気圧よりも気圧が低い減圧状態に維持される。空間22Sが減圧状態であることにより、空間22Sに収容される作動媒体24は蒸発し易くなる。
【0046】
筐体22の空間22Sには、ウィック構造体23と、作動媒体24とが収容される。ウィック構造体23は、例えば多孔質の銅の焼結体で構成され、作動媒体24を輸送する。作動媒体24は、例えば水であるが、アルコールなどの他の液体であっても良い。作動媒体24は、ウィック構造体23内を含む空間22S内を移動することで、熱を輸送する。
【0047】
筐体22は、第1金属板221を有する。第1金属板221は、筐体22の下部に配置される。第1金属板221は、ウィック構造体23を下側から支持する。すなわち、ウィック構造体23は、筐体22の内面に配置される。
【0048】
筐体22は、第2金属板222をさらに有する。第2金属板222は、筐体22の上部に配置される。第2金属板222は、第1金属板221に対して上側に配置され、上下方向において第1金属板221と対向する。第2金属板222は、第1金属板221上のウィック構造体23の上側を覆う。
【0049】
第2金属板222は、複数のリブ222rを有する。リブ222rは、第2金属板222の下面から下側に延びてウィック構造体23に接触する。リブ222rは、例えば上下方向から見て円形の円柱に形成される。リブ222rは、第2金属板222の延伸方向において2次元的に、規則的な間隔で配列される。上下方向においてリブ222rがウィック構造体23と接触することにより、筐体22の上下方向の厚みが一定に保たれる。なお、リブ222rは、第2金属板222と同一部材で形成しても良いし、第2金属板222と別部材で形成しても良い。
【0050】
筐体22は、接合部22Cをさらに有する。接合部22Cは、第1金属板221と第2金属板222とをそれぞれの外縁でつなぎ合わせる接合構造である。接合部22Cは、上下方向から見てウィック構造体23の周囲に配置され、第1金属板221と第2金属板222とを接合する。第1金属板221と第2金属板222との接合方法は、特に限定されない。接合部22Cは、例えば熱と圧力を加えて接合する方法、拡散接合、ろう材を用いた接合、などの様々な接合方法が用いられても良い。
【0051】
なお、接合部22Cは、封止部を含んでいても良い。封止部は、例えば支持部2Bの製造過程において、作動媒体24を筐体22内に注入するための注入口を溶接によって封止した箇所である。
【0052】
筐体22は、下面に発熱体取付部21を有する。発熱体取付部21は、例えば発熱体10A、10B、10Cの数に合わせて、3つ設けられる。これにより、筐体22及びウィック構造体23は、複数の発熱体10A、10B、10Cに跨って配置される。すなわち、ウィック構造体23は、上下方向から見て発熱体10A、10B、10Cと重なる。
【0053】
図5には、作動媒体24が気化して生成される蒸気の流れを、支持部2B内の黒矢印で示した。また、
図5には、液状の作動媒体24の流れを、支持部2B内の白抜き矢印で示した。
【0054】
発熱体10A、10B、10Cの熱は、第1金属板221を介してウィック構造体23に伝達される。ウィック構造体23が温度上昇すると、ウィック構造体23に含まれた液状の作動媒体24が気化し、蒸気が生成される。作動媒体24の蒸気の熱は、第2金属板222を介してフィン部3に伝達される。第2金属板222及びフィン部3は、冷媒流路5を流通する冷媒によって冷却される。このようにして、支持部2Bは、発熱体10A、10B、10Cの熱を冷媒に伝える。
【0055】
作動媒体24の蒸気は、第2金属板222に吸熱されることで液化する。なおここで、発熱体10A、10B、10Cに対する冷媒による冷却効果は、冷媒流通方向Dfの上流側に近いほど高い。したがって、筐体22の空間22Sでは、冷媒流通方向Dfの上流側で液化する蒸気量が、冷媒流通方向Dfの下流側で液化する蒸気量よりも多い。これにより、空間22Sの内圧は、冷媒流通方向Dfの上流側において下流側よりも低くなる。したがって、冷媒流通方向Dfの下流側で液化しなかった蒸気の一部は、空間22Sを流通して冷媒流通方向Dfの上流側へ移動し、液化する。
【0056】
液化した作動媒体24は、毛細管現象によってウィック構造体23中を、冷媒による冷却効果が低い冷媒流通方向Dfの下流側に向かって移動する。上記のように作動媒体24が状態変化を伴いながら移動することにより、支持部2Bでは、冷媒流通方向Dfの下流側から上流側への熱の輸送が連続的に行われる。特に、筐体22及びウィック構造体23は、複数の発熱体10A、10B、10Cに跨って配置されており、支持部2Bは、熱輸送を効率的に行うことができる。これにより、冷却部材1は、冷媒流通方向Dfにおける冷却効果の偏りを低減することができ、冷却性能を向上させることが可能である。
【0057】
<4-2.変形例>
図6は、変形例2の冷却部材1の横断面図である。変形例2の冷却部材1は、
図6に示す流入口411及び流出口412を有する。流入口411及び流出口412は、上下方向から見て長方形状である冷媒流路5の対角となる位置に、それぞれ配置される。
【0058】
冷媒は、冷媒流路5の上流部において、流入口411から流入してすぐにフィン部3に進入する流通経路と、流入口411から流入してすぐ冷媒流路5の幅方向Dwに進んでからフィン部3に進入する流通経路と、これらの経路の間の流通経路と、をたどる。また、冷媒は、冷媒流路5下流部において、フィン部3を退出してすぐに流出口412から流出する流通経路と、フィン部3を退出した後に冷媒流路5の幅方向Dwに進んで流出口412から流出する流通経路と、これらの経路の間の流通経路と、をたどる。
【0059】
流入口411は、冷媒流路5内の冷媒の流通経路の上流端部に配置される。流出口412は、冷媒流路5内の冷媒の流通経路の下流端部に配置される。この構成によれば、冷却部材1において、流入口411から流出口412までの冷媒の流通経路を最も長くすることができる。したがって、冷却部材1の冷却効率を向上させることが可能である。
【0060】
<4-3.変形例>
図7は、変形例3の冷却部材1の横断面図である。変形例3の冷却部材1は、
図7に示す2つの流出口412を有する。2つの流出口412は、冷媒流路5の幅方向Dwに並置される。この構成によれば、冷媒流路5の下流部まで到達した冷媒を、速やかに冷媒流路5の外部へと流出させることができる。これにより、冷媒流路5における冷媒の滞留を抑制することができ、冷却部材1の冷却効率を向上させることが可能である。
【0061】
<4-4.変形例>
図8は、変形例4の冷却部材1の横断面図である。変形例4の冷却部材1は、
図8に示す冷媒流路5と、流入口411と、流出口412と、フィン群3D、3Eと、を有する。流入口411は、冷媒流路5の上流端部に配置される。流出口412は、冷媒流路5の下流端部に配置される。冷媒流路5は、屈曲部5cと、隔壁部5wと、を有する。
【0062】
屈曲部5cは、冷媒流路5における流入口411から流出口412までの冷媒の流通経路の中央部に配置される。屈曲部5cは、冷媒の流通経路が屈曲している。
【0063】
隔壁部5wは、流入口411から屈曲部5cまでの冷媒流路5の上流部5uと、屈曲部5cから流出口412までの冷媒流路5の下流部5dとの間に配置される。冷媒流路5の上流部5uにおける冷媒流通方向Df1と、冷媒流路5の下流部5dにおける冷媒流通方向Df2とは、上下方向から見て互いに反対方向を向いている。すなわち、冷媒流路5は、上下方向から見てU字形状に形成されている。
【0064】
フィン群3Dは、冷媒流路5の上流部5uに配置される。フィン群3Eは、冷媒流路5の下流部5dに配置される。フィン群3D、3Eそれぞれにおいて、複数のフィン31は接続部32よって互いに接続される。
【0065】
流入口411は、冷媒流路5の上流端部に配置される。流出口412は、冷媒流路5の下流端部に配置される。流入口411及び流出口412はともに、上下方向から見て長方形状である冷却部材1の長手方向の一端部側に配置される。なお、屈曲部5cは、上下方向から見て長方形状である冷却部材1の長手方向の他端部側に配置される。
【0066】
流入口411は、上下方向から見てフィン群3Dのフィン31と重ならず、上下方向から見てフィン群3Dの接続部32と重ならない。流出口412は、上下方向から見てフィン群3Eのフィン31と重ならず、上下方向から見てフィン群3Eの接続部32と重ならない。
【0067】
上記の構成によれば、冷媒流路5が屈曲部5cを有する場合であっても、冷媒流路5に流入する冷媒は、直接接続部32に当たらない。これにより、冷媒は、接続部32に妨げられることなく、複数のフィン31それぞれの間などに流入する。したがって、冷却部材1の冷却効率を向上させることが可能である。また、冷媒流路5が屈曲部5cを有する場合であっても、流出口412を通って冷媒流路5から流出する冷媒の流通経路は、接続部32によって遮られない。これにより、冷媒は、接続部32に妨げられることなく、複数のフィン31それぞれの間などから流出する。したがって、冷却部材1の冷却効率を向上させることが可能である。
【0068】
<5.その他>
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換及び他の種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、例えば各種発熱体の冷却に利用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1・・・冷却部材、2A、2B・・・支持部、3・・・フィン部、3A、3B、3C、3D、3E・・・フィン群、4・・・カバー、5・・・冷媒流路、5c・・・屈曲部、5d・・・下流部、5u・・・上流部、5w・・・隔壁部、10A、10B、10C・・・発熱体、21・・・発熱体取付部、22・・・筐体、22C・・・接合部、22S・・・空間、23・・・ウィック構造体、24・・・作動媒体、31・・・フィン、32・・・接続部、41・・・上壁部、42・・・側壁部、221・・・第1金属板、222・・・第2金属板、222r・・・リブ、411・・・流入口、412・・・流出口、Df、Df1、Df2・・・冷媒流通方向、Dw・・・幅方向