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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127022
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/54 20200101AFI20230906BHJP
   D06F 39/08 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
D06F33/54
D06F39/08 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030534
(22)【出願日】2022-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】下野 暢之
(72)【発明者】
【氏名】辰巳 昌隆
【テーマコード(参考)】
3B166
3B167
【Fターム(参考)】
3B166AA15
3B166AC21
3B166AD03
3B166AE05
3B166AE12
3B166BA10
3B166BA45
3B166CA02
3B166CA11
3B166CA21
3B166CB01
3B166CB12
3B166DA01
3B166DC03
3B166DC13
3B166DC22
3B166DC40
3B166DC43
3B166DC47
3B166DE00
3B166FA01
3B166FA12
3B166FB01
3B166FB05
3B166GA02
3B166GA04
3B166GA12
3B166GA27
3B166JM01
3B166JM02
3B166JM03
3B167AA15
3B167AC21
3B167AD03
3B167AE05
3B167AE12
3B167BA10
3B167BA45
3B167JA56
3B167KA18
3B167KA23
3B167KB02
3B167LA03
3B167LA08
3B167LA14
3B167LC09
3B167LC12
3B167LE05
3B167LF28
3B167LG08
(57)【要約】
【課題】給水時間の短縮と、洗剤による被洗濯物の変色の抑制と、の両立を図ることができる洗濯機を提供する。
【解決手段】洗濯機は、水道からの給水を制御するバルブユニットと、洗濯槽に溜められた水の水位を検知する水位検知部と、水位が第1水位となるまで前記洗濯槽に水を溜める給水処理を行う給水制御部と、を備え、前記バルブユニットは、第1給水口と、前記第1給水口よりも単位時間当たりの吐出量が少ない第2給水口と、前記第1給水口を開閉する第1給水弁と、前記第2給水口を開閉する第2給水弁と、を有し、前記給水制御部は、前記給水処理において、洗剤の供給が開始される前に開始し、水位が前記第1水位よりも低い第2水位に達する前に前記第1給水弁を開き、水位が前記第2水位に達したタイミングで洗剤の供給量が所定量未満である場合、洗剤の供給量が前記所定量となるまで前記第2給水弁を開く。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道からの給水を制御するバルブユニットと、
洗濯槽に溜められた水の水位を検知する水位検知部と、
前記水位検知部の検知結果に基づいて前記バルブユニットを制御することにより、水位が第1水位となるまで前記洗濯槽に水を溜める給水処理を行う給水制御部と、を備え、
前記バルブユニットは、
前記水道からの水を吐出する第1給水口と、
前記水道からの水を吐出し、前記第1給水口よりも単位時間当たりの吐出量が少ない第2給水口と、
前記第1給水口を開閉する第1給水弁と、
前記第2給水口を開閉する第2給水弁と、を有し、
前記給水制御部は、前記給水処理において、
洗剤の供給が開始される前に開始し、
水位が前記第1水位よりも低い第2水位に達する前に前記第1給水弁を開き、
水位が前記第2水位に達したタイミングで洗剤の供給量が所定量未満である場合、洗剤の供給量が前記所定量となるまで前記第2給水弁を開く、
洗濯機。
【請求項2】
前記給水制御部は、前記給水処理において、水位が前記第2水位に達するまでの期間に、前記第1給水弁と前記第2給水弁との一方のみを開く給水調整期間が含まれる、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記給水制御部は、前記給水調整期間において、前記第1給水弁と前記第2給水弁とを順に一方ずつ開く、
請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記給水制御部は、前記給水調整期間において、前記第2給水弁のみを開いた後に、前記第1給水弁のみを開く、
請求項3に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記給水制御部は、前記給水調整期間において、前記第2給水弁のみを所定期間開いた後、水位が前記第2水位に達するまで前記第1給水弁のみを開く、
請求項4に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記給水制御部は、前記給水処理において、水位が前記第2水位に達するまで前記第1給水弁と前記第2給水弁との両方を開く、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記給水制御部は、前記給水処理において、水位が前記第2水位に達したタイミングで洗剤の供給量が前記所定量未満である場合、洗剤の供給量が前記所定量に達し、かつ、水位が前記第2水位に達してからの経過時間が所定時間に達するまで前記第2給水弁を開く、
請求項1~6のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記給水制御部は、前記給水処理において、水位が前記第2水位に達したタイミングで洗剤の供給量が前記所定量未満である場合、洗剤の供給量が前記所定量に達し、かつ、水位が前記第1水位に達するまで前記第1給水弁と前記第2給水弁との両方を開く、
請求項1~6のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項9】
前記洗濯槽内に設けられ、上下方向に延びる軸部と、
前記軸部から前記洗濯槽の内周面側に延びるブラシユニットと、を備え、
前記第2水位は、前記ブラシユニットの上下方向の中央部の位置である、
請求項1~8のいずれか1項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯機に液体洗剤を供給する洗濯機用液体洗剤投入装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この洗濯機用液体洗剤投入装置では、液体洗剤は、容器内に収容され、容器に接続される管を通り全自動洗濯機に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-229293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
洗濯機において、洗い工程にかける時間を確保するために、給水時間が短いほうが好ましい。しかしながら、給水時間が短過ぎることによって、給水時間中に洗剤の供給が完了しなかった場合、被洗濯物に洗剤が直接付着し変色するおそれがあった。
【0006】
本開示は、給水時間の短縮と、洗剤による被洗濯物の変色の抑制と、の両立を図ることができる洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る洗濯機は、水道からの給水を制御するバルブユニットと、洗濯槽に溜められた水の水位を検知する水位検知部と、前記水位検知部の検知結果に基づいて前記バルブユニットを制御することにより、水位が第1水位となるまで前記洗濯槽に水を溜める給水処理を行う給水制御部と、を備え、前記バルブユニットは、前記水道からの水を吐出する第1給水口と、前記水道からの水を吐出し、前記第1給水口よりも単位時間当たりの吐出量が少ない第2給水口と、前記第1給水口を開閉する第1給水弁と、前記第2給水口を開閉する第2給水弁と、を有し、前記給水制御部は、前記給水処理において、洗剤の供給が開始される前に開始し、水位が前記第1水位よりも低い第2水位に達する前に前記第1給水弁を開き、水位が前記第2水位に達したタイミングで洗剤の供給量が所定量未満である場合、洗剤の供給量が前記所定量となるまで前記第2給水弁を開く。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る洗濯機の一部破断した外観斜視図である。
図2図2は、同上の洗濯機が備えるバルブユニット及びバルブユニットを制御する給水制御部のブロック図である。
図3図3は、同上の給水制御部による給水処理のタイムチャートである。
図4図4は、同上の給水制御部による第1変形例の給水処理のタイムチャートである。
図5図5は、同上の給水制御部による第2変形例の給水処理のタイムチャートである。
図6図6は、同上の給水制御部による第3変形例の給水処理のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、実施形態及び変形例に限定されない。この実施形態及び変形例以外であっても、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0010】
(実施形態)
以下、本実施形態に係る洗濯機1について、図1図3を参照して説明する。以下では、図1に示す上下左右前後それぞれの方向を基準にして説明する。ただし、これらの方向は、説明の便宜上設定した方向であって、使用時の方向を規定するものではない。
【0011】
図1は、洗濯機1の斜視図である。図1では、洗濯機1の内部構造を図示するため、洗濯機1の右前部分が取り除かれた縦断面が示されている。
【0012】
本実施形態の洗濯機1は、いわゆる縦型洗濯機であって、上面が開口した洗濯槽112を備えている。また、洗濯機1は、被洗濯物として靴を想定した靴洗濯機である。なお、被洗濯物は、靴に限らず、立体形状の有体物であればよい。
【0013】
図1に示すように、洗濯機1は、外箱110、上面部材120、上蓋130、ベース部材140、駆動機構150等を含む。外箱110の外形は、上下に開口する角筒状である。外箱110の上側に上面部材120が設けられ、外箱110の下側にベース部材140が設けられる。上蓋130は、上面部材120を上下方向に貫通する開口部を開閉可能である。水槽111は、外箱110内に配置され、上方に開口した略有底円筒状である。水槽111の底部には、水槽111内の水を排水するための排水部が設けられている。
【0014】
水槽111内には、被洗濯物である靴が入れられる洗濯槽112が設けられる。洗濯槽112は、水槽111と同様に上方に開口した略有底円筒状であり、水槽111に対して回転可能である。洗濯槽112の回転中心を通る軸線Oは、上下方向に延びる。洗濯槽112の底部には水抜部が形成され、且つ洗濯槽112の周壁や上端部には複数の排水孔が形成されている。洗濯槽112の上端開口を介して、洗濯槽112内に上方から靴が出し入れされる。洗濯槽112の上端開口縁に沿って、バランスリング114が設けられる。
【0015】
洗濯機1は、洗濯槽112の底部に配置され、上下方向に延びる軸線を中心に回転する回転体113を含む。例えば回転体113は、洗濯槽112内の水を撹拌するための円盤状のパルセータである。回転体113は、洗濯槽112に対して回転可能である。回転体113の回転中心を通る軸線は、洗濯槽112の軸線Oと略一致している。洗濯槽112の下方には、洗濯槽112と回転体113とを回転駆動する駆動機構150が設けられる。駆動機構150と、洗濯槽112及び回転体113との間には、クラッチ151が設けられている。駆動機構150の動力が洗濯槽112及び回転体113に伝達される状態と、駆動機構150の動力が回転体113のみに伝達される状態とが、クラッチ151によって切り替えられる。
【0016】
図1に示すように、洗濯機1は、ブラシホルダ103を備える。ブラシホルダ103は、回転体113の上側に固定された軸部160と、軸部160から洗濯槽112の内周面112A側に延びるブラシユニット107とを有し、回転体113と共に回転する。ブラシユニット107は、軸部160の上端部から下端部にわたって設けられている。ブラシホルダ103の回転中心を通る軸線は、軸部160の中心を通り、洗濯槽112の軸線Oと略一致している。したがって、洗濯槽112、回転体113、及びブラシホルダ103は、何れも軸線Oを中心に回転可能である。軸線Oを中心とした回転方向は、洗濯槽112の周方向と略一致する。
【0017】
また、本実施形態の洗濯機1は、上面部材120の上面に設けられた硬貨処理装置100を有しており、例えばコインランドリーに設置される。洗濯機1は、硬貨処理装置100に所定金額の硬貨が投入されると、外部から供給される水及び液状の洗剤を用いて、靴の洗濯を行う。
【0018】
洗濯機1は、外部から供給された水と洗剤とを合わせて洗濯槽112に投入する給水ユニット2を備えている。
【0019】
給水ユニット2は、上面部材120の内側に設けられている。給水ユニット2は、水を供給するための給水ホース301、及び洗剤を供給するための洗剤ホース401が接続される。
【0020】
図2に示すように、給水ユニット2は、バルブユニット3と、投入ケース4と、を有している。
【0021】
投入ケース4は、バルブユニット3を介して水道から水が供給される。また、投入ケース4は、洗剤ポンプ61を介して洗剤タンク400から洗剤が供給される。投入ケース4は、供給された水及び洗剤を合わせて洗濯槽112に投入する。
【0022】
バルブユニット3は、給水ホース301を介して水栓300に接続される。バルブユニット3は、水道からの給水を制御する。バルブユニット3は、給水ホース接続部31と、第1給水口32と、第2給水口33と、第1給水弁34と、第2給水弁35と、を有する。
【0023】
給水ホース接続部31は、図1に示すように、洗濯機1の上面部材120から上方に向かって露出しており、給水ホース301が接続される。給水ホース301は、給水ホース接続部31と反対側の端部が水栓300に接続される。給水ホース接続部31は、給水ホース301を介して水道から水が供給される。給水ホース接続部31に供給された水は、第1給水口32、及び第2給水口33から吐出される。第1給水口32及び第2給水口33から吐出された水は、投入ケース4を介して洗濯槽112に投入される。
【0024】
第1給水口32と第2給水口33とは、単位時間当たりの吐出量が異なる。第2給水口33は、第1給水口32よりも単位時間当たりの吐出量が少ない。例えば、第1給水口32の単位時間当たりの吐出量は、19[リットル/分]であり、第2給水口33の単位時間当たりの吐出量は、4[リットル/分]である。なお、当該数値は一例であり、単位時間当たりの吐出量は、例えば水道の水圧などによって変動する。特に、第1給水口32の単位時間当たりの吐出量は、第2給水口33に比べて大きく、水圧による影響を受けやすい。
【0025】
第1給水バルブは、例えば電磁バルブであって、第1給水口32を開閉するように構成されている。第2給水バルブは、例えば電磁バルブであって、第2給水口33を開閉するように構成されている。第1給水バルブ及び第2給水バルブは、給水制御部51によって開閉制御される。給水制御部51については後述する。
【0026】
また、投入ケース4は、洗剤ホース接続部40が設けられている。洗剤ホース接続部40には、洗剤ホース401が接続される。洗剤ホース401は、洗剤ポンプ61を介して洗剤タンク400に接続されている。洗剤タンク400は、洗濯機の外側に設けられており、洗剤を収容している。洗剤ポンプ61は、硬貨処理装置100(図1参照)内に設けられており、稼働することにより、洗剤タンク400内の洗剤を投入ケース4に供給するように構成されている。洗剤ポンプ61は、洗剤制御部52によって制御される。洗剤制御部52については後述する。
【0027】
また、洗剤ホース401には、洗剤センサ62が設けられている。洗剤センサ62は、硬貨処理装置100内に設けられており、洗剤ポンプ61による洗剤の供給量(以降、洗剤供給量という)を検知する。洗剤センサ62は、例えば発光素子と受光素子を備えた光センサである。洗剤ホース401は、透光性を有している。洗剤センサ62は、発光素子と受光素子とで洗剤ホース401を挟み込むように設けられている。洗剤ホース401内の洗剤の有無に応じて発光素子が出射光の受光状態が変化する。本実施形態では、受光素子は、洗剤ホース401を洗剤が通過している場合、発光素子の出射光を受光する。洗剤センサ62は、受光素子が光を受光している受光時間の累積を、洗剤供給量として検知する。
【0028】
また、上面部材120の内側には、処理装置5が設けられている。処理装置5は、給水制御部51、及び洗剤制御部52を有している。処理装置5は、例えば、プロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータで構成されている。つまり、処理装置5は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムで実現されている。そして、プロセッサが適宜のプログラムを実行することにより、給水制御部51、及び洗剤制御部52として機能する。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。例えば、給水制御部51、及び洗剤制御部52は、複数のマイクロコンピュータで実現されていてもよい。
【0029】
給水制御部51は、硬貨処理装置100に所定金額の硬貨が投入されると、給水処理を実行する。給水処理とは、第1給水バルブ及び第2給水バルブを開閉制御することによって、洗濯槽112に第1水位まで水を溜める処理である。第1水位は、洗い工程を行う際に必要な水位であって、例えば洗濯槽に水が24リットル溜められた場合の水位である。また、洗濯機は、洗濯槽112に溜められた水の水位を検知する水位検知部63を備えている。水位検知部63は、洗濯槽112の水位に応じて水が浸入するチューブを備えており、チューブ内の空気圧を洗濯槽112の水位として検知する。給水制御部51は、水位検知部63の検知結果を用いて給水処理を実行する。
【0030】
また、洗剤制御部52は、硬貨処理装置100に所定金額の硬貨が投入されると、洗剤供給処理を実行する。洗剤供給処理とは、洗剤ポンプ61を稼働させ、所定量の洗剤を供給させる処理である。洗剤制御部52は、洗剤センサ62の検知結果を用いて、洗剤供給処理を実行する。また、洗剤制御部52は、給水制御部51が給水処理の開始後に、洗剤供給処理を開始する。
【0031】
以下に、給水処理及び洗剤供給処理について、図3に示す動作例を参照して詳細に説明する。
【0032】
ユーザによって硬貨処理装置100に所定金額の硬貨が投入され、洗濯機に対して所定操作が行われると、給水制御部51は、給水処理を開始する。
【0033】
まず、時間t0において、給水制御部51は、第1給水弁34及び第2給水弁35の両方を開く。これにより、第1給水口32及び第2給水口33から水が吐出される。第1給水口32及び第2給水口33から吐出された水は、投入ケース4を介して洗濯槽112に投入される。したがって、洗濯槽112に水が溜められる。
【0034】
時間t1において、洗濯槽112の水位が水検知水位に達する。水検知水位は、第1水位よりも低い水位であって、例えば洗濯槽112に水が5リットル溜められた場合の水位である。給水制御部51、及び洗剤制御部52は、水位が水検知水位に達すると、洗濯槽112への給水が正常に行われていると判断する。
【0035】
給水制御部51は、水位が水検知水位に達すると、第1給水弁34を閉じる。したがって、時間t1以降、第2給水口33からの給水のみが継続される。
【0036】
また、洗剤制御部52は、水位が水検知水位に達した時間t1において、洗剤供給処理を開始し、洗剤ポンプ61の稼働を開始させる。これにより、洗剤タンク400から投入ケース4に洗剤が供給される。上述したように、洗剤供給処理を開始する前から給水が開始されており、洗剤供給処理の開始後も給水が継続している。したがって、投入ケース4内において、水が流れている状態で洗剤が供給されるので、水と洗剤とが合わさって洗濯槽112に供給される。これにより、被洗濯物に洗剤のみ付着することによる、被洗濯物の変色等を抑制することができる。
【0037】
また、洗剤供給処理が開始されることによって、洗剤センサ62における受光時間の累積が開始される。なお、洗剤ポンプ61の開始直後は、洗剤ホース401内の泡によって洗剤検知が不安定になる場合がある。よって、洗剤供給処理の開始から所定時間(例えば5秒程度)をマスク時間として受光時間の累積から除外してもよい。
【0038】
給水制御部51は、水位が水検知水位に達した時間t1から、所定の第1期間T1が経過するまで、第1給水弁34を閉じ、第2給水弁35のみを開く。第1期間T1は、例えば30秒である。時間t1から第1期間T1が経過した時間t2において、給水制御部51は、第1給水弁34を開き、第2給水弁35を閉じる。したがって、時間t2において、第2給水口33の給水から、第1給水口32の給水に切り替わる。
【0039】
給水制御部51は、水位が第2水位に達するまで第1給水弁34を開く。第2水位は、水検知水位よりも高く、第1水位よりも低く、第1水位の約9割程度の水位である。第2水位は、例えば洗濯槽112に水が22リットル溜められた場合の水位である。また、洗濯槽112に第2水位まで水が溜められている場合、ブラシユニット107(図1参照)の上下方向の中央部まで水に浸かる。つまり、第2水位は、ブラシユニット107の上下方向の中央部の位置である。
【0040】
また、本実施形態の洗濯機では、水位が第2水位に達するまでに、回転体113の低速回転が開始される。例えば、洗濯槽112に水が8リットル溜められた場合の水位に達した場合、回転体113の低速回転が開始される。これにより、洗濯槽112内において水と洗剤と混ぜ合わさり、被洗濯物になじませることができる。
【0041】
水位が第2水位に達した時間t3において、給水制御部51は、第1給水弁34を閉じることにより、第1給水口32からの給水を停止する。上述したように、第1給水口32の単位時間当たりの吐出量は、例えば水道の水圧などによって変動する場合がある。したがって、時間t2から時間t3までの第2期間T2は、第1給水口32の単位時間当たりの吐出量によって定まる。本動作例では、第2期間T2は、47秒であるとする。
【0042】
ここで、本動作例では、水位が第2水位に達した時間t3において、洗剤供給量が所定量未満であるとする。洗剤の供給速度は、洗剤ポンプ61の能力等によって定まる。本実施形態では、洗剤ポンプ61から洗剤が正常に供給されている場合、洗剤供給量が所定量に達するのに1分40秒程度かかるとする。本動作例では、洗剤供給処理を開始した時間t1から、水位が第2水位に達する時間t3までの期間(第1期間T1+第2期間T2)は、1分17秒である。したがって、時間t3では、洗剤供給量が所定量に達していない。なお、洗剤ホース401内に泡などがあると、洗剤供給量が所定量に達するまでの時間が正常時よりも長くかかる場合がある。
【0043】
給水制御部51は、水位が第2水位に達した時間t3において、洗剤供給量が所定量に達していない場合、少なくとも洗剤供給量が所定量に達するまでの期間、第2給水弁35を開き、第2給水口33からの給水を行う。これにより、洗剤供給処理中において、給水が継続されるので、被洗濯物に洗剤のみ付着することによる、被洗濯物の変色等を抑制することができる。
【0044】
洗剤供給量が所定量に達した時間t4において、洗剤制御部52は、洗剤供給処理を終了する。つまり、時間t4において、洗剤ポンプ61が停止する。また、時間t4において、給水制御部51は、第2給水弁35を閉じることにより、第2給水口33からの給水を停止する。したがって、時間t4において、第1給水弁34及び第2給水弁35の両方が閉じられ、洗濯槽112への給水が停止する。
【0045】
そして、水位が第2水位に達した時間t3から、所定の第3期間T3が経過した時間t5において、給水制御部51は、第1給水弁34を開き、第1給水口32からの給水を開始させる。第3期間T3は、洗剤供給処理の完了を待つ待機時間であって、例えば30秒である。
【0046】
給水制御部51は、水位が第1水位に達するまで第1給水弁34を開く。給水制御部51は、水位が第1水位に達した時間t6において、第1給水弁34を閉じることにより、第1給水口32からの給水を停止させる。これにより、給水処理が終了し、回転体113を回転させて被洗濯物を洗う洗濯処理が開始される。なお、水位が第1水位に達した後、給水制御部51は、第1給水弁34を短時間だけ開いて、第1給水口32から少量の給水を行ってもよい。これにより、投入ケース4への洗剤の残留を抑制することができる。
【0047】
なお、例えば水道の水圧が低い場合、水位が水検知水位に達し洗剤供給処理が開始された時間t1から、水位が第2水位に達する時間t3までの期間が長くなるので、この期間に洗剤供給処理が完了する場合がある。この場合、給水制御部51は、時間t3において洗剤供給量が所定量に達しているため、第2給水弁35を閉じたままとし、第2給水口33からの給水を行わない。そして、給水制御部51は、時間t3から第3期間T3が経過した時間t5から、水位が第1水位に達するまで第1給水弁34を開く。
【0048】
このように、本実施形態の洗濯機では、洗い工程に必要な第1水位よりも低い第2水位に洗濯槽112の水位が達したタイミング(時間t3)で、洗剤供給量が所定量に達しているか否かを判定する。洗剤供給量が所定量に達していない場合、洗剤供給量が所定量に達するまで第2給水口33からの給水が行われる。第2給水口33は、第1給水口32に比べて単位時間当たりの吐出量が少ないため、水位がゆっくり上昇する。したがって、水位が第1水位に達して給水が停止する前に、洗剤供給量が所定量に達し、洗剤供給処理を完了することができる。これにより、被洗濯物に洗剤のみ付着することによる、被洗濯物の変色等を抑制することができる。
【0049】
また、給水処理において、水位が第2水位に達するまで期間に第1給水弁34が開かれ、第1給水口32から給水が行われている期間(第2期間T2)が含まれている。第1給水口32は、第2給水口33に比べて単位時間当たりの吐出量が多い。そのため、第2給水口33からの給水のみで第2水位まで水を溜める場合に比べて、時間の短縮を図ることができる。これにより、第1水位まで水を溜める給水時間も短縮することができるので、洗い工程にかける時間をより多く確保することができる。
【0050】
つまり、本実施形態では、洗い工程に必要な第1水位よりも僅かに低い第2水位に洗濯槽112の水位が達するまでは、第1給水口32からの給水により給水速度を高めて第2水位に達するまでの時間の短縮を図る。そして、水位が第2水位に達したタイミングで、洗剤供給処理が完了していない場合、第2給水口33からの給水に切り替えて給水速度を抑えることにより、洗剤供給処理が完了するための時間を確保する。これにより、洗濯槽112の水位が第1水位に達するまでの給水時間の短縮と、被洗濯物に洗剤のみが付着することによる被洗濯物の変色の抑制と、の両立を図ることができる。
【0051】
また、本実施形態では、水位が水検知水位に達し洗剤供給処理が開始された時間t1から、水位が第2水位に達する時間t3までの給水調整期間T10(第1期間T1+第2期間T2)において、第1給水弁34と第2給水弁35との一方のみを開いている。具体的には、給水調整期間T10において、第1給水弁34と第2給水弁35とを順に一方ずつ開いている。これにより、給水調整期間T10が短くなり過ぎることが抑制され、この給水調整期間T10において洗剤供給処理の時間をある程度確保することができる。したがって、水位が第2水位に達した時間t3から洗剤供給処理が完了する時間t4までの期間を短くすることができ、第3期間T3内に収めることができる。また、水道の水圧が低い場合は、給水調整期間T10が長くなるので、給水調整期間T10内に洗剤供給処理を完了することも可能となる。
【0052】
また、本実施形態では、給水調整期間T10において、第2給水弁35を開いた後に、第1給水弁34を開いている。つまり、給水調整期間T10において、第2給水口33からの給水を行った後に、第1給水口32からの給水に切り替えている。第2給水口33は、第1給水口32に比べて単位時間当たりの吐出量が少ないため、第2給水弁35を開く第1期間T1の時間長を調整しやすくなる。そのため、第1給水口32からの単位時間当たりの吐出量が多く、第1給水弁34を開く第2期間T2が短い場合であっても、第2給水弁35を開く第1期間T1を長く設定しておくことによって、洗剤供給処理の時間をある程度確保することができる。なお、第1給水口32からの単位時間当たりの吐出量が少ない場合は、第2期間T2が長くなるため、給水調整期間T10内に洗剤供給処理を完了することができる。
【0053】
(変形例)
なお、給水制御部51による給水処理は上記の例に限らない。以下に、給水処理の各種変形例について説明する。
【0054】
(第1変形例)
上述した例では、水位が水検知水位に達し洗剤供給処理が開始された時間t1から、水位が第2水位に達する時間t3までの給水調整期間T10において、第1給水弁34と第2給水弁35とを順に一方ずつ開いていたが、これに限らない。図4に示すように、給水制御部51は、第1変形例の給水処理において、給水調整期間T10において、第1給水弁34と第2給水弁35との両方を開いてもよい。つまり、給水制御部51は、給水処理において、水位が第2水位に達するまで第1給水弁34と第2給水弁35との両方を開く。これにより、給水調整期間T10において、第1給水口32と第2給水口33との両方から給水が行われる。例えば、洗濯機1の設置者は、洗濯機1を設置した環境における水道の水圧が低い場合、給水制御部51が第1変形例の給水処理を行うように設定する。これにより、給水調整期間T10が長くなり過ぎることが抑制され、水位が第1水位に達するまでの時間が不要に長くなることを抑制することができる。
【0055】
(第2変形例)
上述した例では、水位が第2水位に達した時間t3を起点とした第3期間T3において、洗剤供給処理が完了した時間t4以降は、給水が停止していたが、これに限らない。図5に示すように、給水制御部51は、第2変形例の給水処理において、第3期間T3内で洗剤供給量が所定量に達した時間t4以降も、第2給水弁35の開状態を継続して第2給水口33からの給水を継続する。これにより、第3期間T3後から水位が第1水位に達するまでの時間を短縮することができる。
【0056】
給水制御部51は、給水処理において、第3期間T3内で洗剤供給量が所定量に達した時間t4以降、第1給水弁34と第2給水弁35との両方を開いてもよい。この場合、第3期間T3内において、水位が第1水位に達する可能性がある。この場合、給水制御部51は、水位が第1水位に達すると、第1給水弁34及び第2給水弁35を閉じる。
【0057】
また、給水制御部51は、第3期間T3後から水位が第1水位に達するまで第1給水弁34と第2給水弁35との両方を開いてもよい。
【0058】
(第3変形例)
上述した例では、水位が第2水位に達したタイミングで洗剤供給量が所定量未満である場合、洗剤供給量が所定量に達するまで第2給水弁35のみを開いていたが、これに限らない。図6に示すように、給水制御部51は、第3変形例の給水処理において、水位が第2水位に達したタイミング(時間t3)で洗剤供給量が所定未満である場合、洗剤供給量が所定量に達し、かつ、水位が第1水位に達する時間t6まで第1給水弁34と第2給水弁35との両方を開く。例えば、洗濯機1の設置者は、洗濯機1を設置した環境における水道の水圧が低い場合、給水制御部51が第1変形例の給水処理を行うように設定する。これにより、水位が第1水位に達するまでの時間の短縮を図ることができる。
【符号の説明】
【0059】
1 洗濯機
3 バルブユニット
32 第1給水口
33 第2給水口
34 第1給水弁
35 第2給水弁
51 給水制御部
63 水位検知部
107 ブラシユニット
112 洗濯槽
160 軸部
T10 給水調整期間
図1
図2
図3
図4
図5
図6