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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127026
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】船舶の制動装置
(51)【国際特許分類】
   B63H 25/44 20060101AFI20230906BHJP
   B63H 25/50 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
B63H25/44
B63H25/50
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030541
(22)【出願日】2022-03-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-21
(71)【出願人】
【識別番号】522081185
【氏名又は名称】高月 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100101409
【弁理士】
【氏名又は名称】葛西 泰二
(74)【代理人】
【氏名又は名称】葛西 さやか
(74)【代理人】
【識別番号】100206195
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】高月 昇
(57)【要約】
【課題】航行する船舶を緊急に減速又は停止させる。
【解決手段】
船舶Fの制動装置Sは、船体1に保持され、船体1の表面に沿った待機位置から船体1の表面から突出した作動位置へ移動可能な制動部材11a~12bと、高圧水を生成する第1の高圧水供給手段31a~32bとを備える。第1の高圧水供給手段31a~32bから高圧水を供給すると、制動部材11a~12bが待機位置から作動位置へ移動する。これにより制動部材11a~12bの表面が進行方向Gと交差するように配置されることで流動抵抗を生じさせ、船舶Fを減速又は停止させることができる。又、制動部材11a~12bは船体1の中心線Xに対し左右対称に配置されており、動作を個別に制御可能なので、動作させる制動部材11a~12bの組合せで船舶Fの制動状態を制御できる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体に備えられ、航行する船舶に制動を与えるための船舶の制動装置であって、
前記船体に保持され、前記船体の表面に沿った待機位置から前記船体の表面から突出した作動位置へ移動可能な制動部材と、
前記船体内で高圧水を生成する加圧手段とを備え、
前記生成された前記高圧水が供給されることにより、前記制動部材が前記待機位置から前記作動位置へ移動するように構成された、船舶の制動装置。
【請求項2】
前記制動部材は、前記作動位置において、前記船舶の進行方向と交差するように配置される面を有する、請求項1記載の船舶の制動装置。
【請求項3】
前記船体の中心線に対し左右対称に配置された複数組の前記制動部材を更に含み、
前記制動部材の各々に設けられ、前記制動部材の各々に高圧水を供給する第1の高圧水供給手段を前記加圧手段は含み、
前記各制動部材は、前記高圧水の供給による前記待機位置から前記作動位置への移動を個別に制御可能である、請求項1又は請求項2記載の船舶の制動装置。
【請求項4】
前記船体の中心線に対し左右対称に配置され、前記船舶の進行方向と交差する方向で船外へ高圧水を噴出させる複数組の噴出口、及び、
前記噴出口の各々に設けられ、前記噴出口の各々に高圧水を供給する第2の高圧水供給手段を更に含み、
前記高圧水が供給される前記噴出口を個別に選択可能である、請求項1から請求項3のいずれかに記載の船舶の制動装置。
【請求項5】
前記制動部材を前記作動位置に保持するロック機構を更に備える、請求項1から請求項4のいずれかに記載の船舶の制動装置。
【請求項6】
通常時の船体の外面形状を保持する工程と、
前記船体の急な制動を指令する工程と、
前記指令に応答して生成した高圧水により前記外面形状を変化させて制動力を増加させる工程とを備えた、船舶の制動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は船舶の制動装置及び制動方法に関し、特に航行する船舶に急な制動を与えるための船舶の制動装置及び制動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スクリューで航行する船舶は、停船の際、スクリューを逆回転させて減速するのが一般的である。しかしながら他の船舶や障害物との衝突を回避するため緊急停止が求められた場合、航行中の船舶がスクリューの逆回転だけで直ちに停止することは難しい。
【0003】
そこでスクリューの逆回転以外に船舶を緊急停船させる手段として、例えば特許文献1や特許文献2に記載されるような技術が従来提案されている。
【0004】
特許文献1には、面状体や半通過体等で形成された制動板を、船舶における船体の船側又は船底に格納可能且つ外側へ展開可能に設けた船舶の制動手段が記載されている。これによれば、通常航行時には制動板を船側や船底等に格納しておき、緊急時には、制動板を船側又は船底から外側へ展開させることにより制動力を得て船舶を急減速することができるとされている。尚、制動版は、船体に対しヒンジやリンクで位置移動可能に保持されると共に、シリンダのロッドを進退させることで格納、展開を操作できるように構成されている。
【0005】
特許文献2には、船舶に搭載されたポンプと、ポンプによって高圧状態にされた海水を船体前後の右舷部及び左舷部へ給送する配管と、船体前後の右舷部及び左舷部の4個所において配管端部に配設された可動ノズルと、可動ノズルの開閉を調整する開閉弁とを備えてなる船体の急ブレーキ或いは急速旋回装置が記載されている。これによれば、急速停止或いは急旋回の必要に迫られた際には、ポンプによって高圧状態とした海水を可動ノズルから船外へ噴射することにより、方向転換のための推力を船体に発生させて、船体を急停止或いは旋回退避させることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-253897号公報
【特許文献2】特開平7-108995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された船舶の制動手段は、制動板を外側へ展開させるのにシリンダが用いられ、このシリンダのロッドの進退によって生じる動力を制動板へ伝達するための機械的な構造が必要である。そのため、制動板の取り付け構造が複雑になり、又、制動板を展開位置に保持するために強靭な支持構造が必要であるという問題がある。
【0008】
特許文献2に記載された船体の急ブレーキ或いは急速旋回装置は、1台のポンプで複数のノズルから高圧水を噴射させる構造のため、高出力のポンプが必要であり、比較的大きな船舶には適用するのは現実的には難しい。又、船舶を停止させる場合、船首側のノズルしか使用することができず、船尾側のノズルを活用できないという問題がある。
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、構造が簡単で、船舶の大きさを問わず現実的な実施が可能な船舶の制動装置及び制動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、船体に備えられ、航行する船舶に制動を与えるための船舶の制動装置であって、船体に保持され、船体の表面に沿った待機位置から船体の表面から突出した作動位置へ移動可能な制動部材と、船体内で高圧水を生成する加圧手段とを備え、生成された高圧水が供給されることにより、制動部材が待機位置から作動位置へ移動するように構成されたものである。
【0011】
このように構成すると、制動部材が待機位置から作動位置へ移動することで、航行する船舶に流動抵抗を生じさせる。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、制動部材は、作動位置において、船舶の進行方向と交差するように配置される面を有するものである。
【0013】
このように構成すると、制動部材が作動位置に移動することで、制動部材が制動力を発揮する。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、船体の中心線に対し左右対称に配置された複数組の制動部材を更に含み、制動部材の各々に設けられ、制動部材の各々に高圧水を供給する第1の高圧水供給手段を加圧手段は含み、各制動部材は、高圧水の供給による待機位置から作動位置への移動を個別に制御可能であるものである。
【0015】
このように構成すると、複数の制動部材のうちの所望位置の制動部材を個別に能動化できる。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、船体の中心線に対し左右対称に配置され、船舶の進行方向と交差する方向で船外へ高圧水を噴出させる複数組の噴出口、及び、噴出口の各々に設けられ、噴出口の各々に高圧水を供給する第2の高圧水供給手段を更に含み、高圧水が供給される噴出口を個別に選択可能であるものである。
【0017】
このように構成すると、複数の噴出口のうちから選択した所望の噴出口から高圧水を噴出させる。
【0018】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の構成において、制動部材を作動位置に保持するロック機構を更に備えるものである。
【0019】
このように構成すると、制動部材は、作動位置に移動すると、高圧水の供給の有無にかかわらず作動位置に保持される。
【0020】
請求項6記載の発明は、通常時の船体の外面形状を保持する工程と、船体の急な制動を指令する工程と、指令に応答して生成した高圧水により外面形状を変化させて制動力を増加させる工程とを備えた、船舶の制動方法である。
【0021】
このように構成すると、指令に応答して船体の外面が制動力を増加させる外面形状に変化する。
【発明の効果】
【0022】
請求項1記載の発明によれば、加圧手段から制動部材への高圧水の供給によって、船舶を減速又は停止させることができる。
【0023】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、船舶の進行方向と交差する面で流動抵抗を生じさせるから、制動の信頼性が向上する。
【0024】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、動作させる制動部材の組合せで、状況に応じた制動が可能となる。
【0025】
請求項4記載の発明によれば、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、船舶の航行状態に応じた制御をすることがきる。
【0026】
請求項5記載の発明によれば、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、ロック機構で作動位置に制動部材を保持するから、高圧水の供給を持続させる必要がなくなる。
【0027】
請求項6記載の発明によれば、急な制動の指令に応じて、船体を安定して減速又は停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1の実施の形態による船舶の制動装置の概略構成を示す図であって、(A)は船体の側面側から見た図、(B)は船底側から見た図である。
図2図1の(B)に対応する図であって、制動部材が作動位置にある状態を示す図である。
図3】待機位置にある制動部材を示す図であって、(A)は船体の側面側から見た図、(B)は図(A)のK-K線における拡大した断面図である。
図4】作動位置にある制動部材を示す図であって、(A)は船体の側面側から見た図、(B)は図(A)のL-L線における拡大した断面図である。
図5図1の(B)に対応する図であって、噴出口からの高圧水の噴出により船体を旋回させる態様を示す図である。
図6図1の(B)に対応する図であって、噴出口からの高圧水の噴出と制動部材の作動との協働により船体を旋回させる態様を示す図であって、(A)は船首側の制動部材を作動させて船体を旋回させる状況を示す図、(B)は船尾側の制動部材を作動させて船体を旋回させる状況を示す図である。
図7】本発明の第2の実施の形態に関する図であって、(A)は待機位置の制動部材を示す船舶の進行方向に沿う方向の断面図、(B)は作動位置の制動部材を示す同方向の断面図である。
図8図7の(A)のM-M線における断面図である。
図9】制動部材を待機位置に保持するストッパー機構の例、制動部材を作動位置に保持するロック機構の例、及び、制動部材を作動位置から待機位置へ復帰させる復帰手段の例を示す図であって、(A)は制動部材が待機位置にある状態を示し、(B)は制動部材が作動位置にある状態を示す、船舶の進行方向に沿う方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<第1の実施の形態>
図1は本発明の第1の実施の形態による船舶の制動装置の概略構成を示す図であって、(A)は船体の側面側から見た図、(B)は船底側から見た図である。
【0030】
始めに、本例の船舶の制動装置の構成について説明する。本例の船舶Fの制動装置Sは、航行する船舶Fに制動を与えるためのものである。図1を参照して、本例の制動装置Sは、船体1に保持され、船体1の表面に沿った待機位置から船体1の表面から突出した作動位置へ移動可能な制動部材11a~12bと、船体1内で高圧水を生成する高圧ポンプ等よりなる第1の高圧水供給手段(加圧手段)31a~32bとを備え、制動部材11a~12bは高圧水が供給されると待機位置から作動位置へ移動するように構成されている。尚、本例では、4つの制動部材11a~12bを2個ずつの組として船首側の制動部材11a、11bと船尾側の制動部材12a、12bとに分配し、且つ、各組において2つの制動部材11a、11b及び制動部材12a、12bが船体1の中心線Xに対し互いに左右対称となるように配置されている。
【0031】
又、本例の制動装置Sは、船体1の中心線Xに対し左右対称に配置され、船舶の進行方向Gと交差する方向に船外へ高圧水を噴出させる複数組の噴出口21a~22bと、これら噴出口21a~22bに高圧水を供給する高圧ポンプ等よりなる第2の高圧水供給手段35a~36bとを更に含む。
【0032】
更に、これら制動部材用の第1の高圧水供給手段31a~32b及び噴出口用の第2の高圧水供給手段35a~36bを操作して高圧水の供給状態を制御するための制御手段50が備えられる。
【0033】
制動部材11a~12bは、例えば、船体1の表面にヒンジ等で回動可能に取り付けられた板状体から成り、船体1と同一又は類似の材質を用いて製作される。制動部材11a~12bの船外に面する表面は、待機位置では、船体1の外表面とほぼ段差がなく連続するように形成される。これにより通常時には、制動部材11a~12bが船舶Fの航行に支障を与えることがない。又、制動部材11a~12bは、作動位置に移動したときに、その表面が船舶Fの進行方向Gと交差(本例ではほぼ直交)するように設定される。これにより必要時に作動位置へ移動させると、制動部材11a~12bの表面が船舶Fの航行に対する流動抵抗を生じさせて、確実な制動を与えることができる。
【0034】
本例の第1の高圧水供給手段31a~32bは、例えば制動部材11a~12bごとに船体1内に設けた高圧ポンプ等で構成され、船体1の適所(例えば船底)に形成した吸水口42a、42b、45a、45bから吸い込んだ水を加圧して、待機位置にある制動部材11a~12bに向けて噴射口41a、41b、44a、44bから高圧水を噴射するように構成される。第1の高圧水供給手段31a~32bから供給された高圧水が噴射されることにより、制動部材11a~12bは、待機位置から作動位置へ移動する。尚、第1の高圧水供給手段31a~32bには、噴射口41a、41b、44a、44b及び吸水口42a、42b、45a、45bと接続するための配管や、噴射口41a、41b、44a、44bを形成するための噴射ノズル等も含まれる。
【0035】
本例の制動装置Sは、船体1の中心線Xに対し左右対称に配置され高圧水を船外へ向かって噴出させるための複数組の噴出口21a~22bを備えている。噴出口21a~22bは、船体1の表面に開口部を有する噴出ノズル等によって形成される。噴出口21a~22bへ高圧水を供給する第2の高圧水供給手段35a~36bは、例えば噴出ノズルごとに船体1内に設けられた高圧ポンプ等から成る。第2の高圧水供給手段35a~36bは、噴出ノズル及び船体1の適所(例えば船底)に形成した取水口43a、43b、46a、46bと配管により接続される。噴出口21a~22bから高圧水を噴出させることにより、その反力を船体1に作用させて、船体1の向きを変化させることができる。尚、本例では4つの噴出口21a~22bを2個ずつの組として船首側の噴出口21a、21bと船尾側の噴出口22a、22bとに分配すると共に、各組における2つの噴出口21a、21b及び噴出口22a、22bを船体1の中心線Xに対し互いに左右対称となるように配置した。更に船首側の噴出口21a、21bは、制動部材11a、11bよりも船首寄りに配置され、船尾側の噴出口22a、22bは制動部材12a、12bよりも船尾寄りに配置される。
【0036】
これら噴出口21a~22bに配管接続される第2の高圧水供給手段35a~36bそれぞれは、制御手段50と信号線51等で電気的に接続され、それらの動作を制御手段50により制御することで、高圧水を噴射させる噴出口21a~22bを個別に選択可能となされている。尚、各噴出口21a~22bからの高圧水の噴出方向は、船舶Fの進行方向Gと交差するように設定される。具体的には、船首側の噴出口21a、21bは中心線Xに対し左右に約45°傾斜した前方向、船尾側の噴出口22a、22bは中心線Xに対し左右に約45°傾斜した後方向を向くように設定される。
【0037】
制御手段50は、制動部材用の第1の高圧水供給手段31a~32bの各々及び噴出口用の第2の高圧水供給手段35a~36bの各々の動作を個別に制御するためのものであって、例えばコンピュータやシーケンサ等から成る。制御手段50は、各第1の高圧水供給手段31a~32b及び各第2の高圧水供給手段35a~36bと信号線51を介して電気的に接続されており、図示しない操舵室等における制動ボタン等の操作に従って、第1の高圧水供給手段31a~32b及び第2の高圧水供給手段35a~36bのうち選択した所定のものの動作を制御するよう構成されている。これにより、状況に応じて複数の制動部材11a~12bのうちの所望位置のものを個別に能動化して、船体1に対する制動状態を制御することができる。又、第2の高圧水供給手段35a~36bについても、それらのうちから所望のものを選択して個別に制御できるから、高圧水を噴出させる噴出口21a~22bの選択及び組合せによって、船体1の向きや航行状態を制御することが可能である。
【0038】
図2図1の(B)に対応する図であって、制動部材が作動位置にある状態を示す図であり、図3は待機位置にある制動部材を示す図であって、(A)は船体の側面側から見た図、(B)は図(A)のK-K線における拡大した断面図であり、図4は作動位置にある制動部材を示す図であって、(A)は船体の側面側から見た図、(B)は図(A)のL-L線における拡大した断面図である。尚、図3及び図4において、Pは加圧手段と接続する配管、Qは噴射口を形成する噴射ノズルである。
【0039】
次に、本実施の形態における船舶の制動装置の動作について説明する。船舶Fが通常の航行を行っている場合、図3に示すように、制動部材11aは待機位置にあり、その表面は、船体1の表面に沿うように、好ましくは切れ目なく連続するよう設定されている。そのため、待機位置の制動部材11aは流動抵抗を増大させず、船舶の航行に支障を与えない。
【0040】
例えば船舶Fの進行方向Gの前方に他の船舶や障害物等を発見し、船体1の緊急停止が指令された場合を想定する。本例の制動装置Sにあっては、制動ボタン等の指令に基づき、図2に示すように、制御手段50から第1の高圧水供給手段31a~32bへ動作信号が出力され(信号線51を破線から実線に変化させて示す)、全ての第1の高圧水供給手段31a~32bを起動させる。すると、図4に示すように、生成された高圧水が配管Pを介して各噴射ノズルQへ供給され、高圧水が噴射ノズルQの噴射口41aから制動部材11aへ向かって噴射される。このときの高圧水の噴射方向は、本例では船体1表面に対し約45°に設定した。これにより、図4の(B)に示すように、90°回動した作動位置にある制動部材11aに対する高圧水の噴射角度も約45°となる。
【0041】
図4を参照して、高圧水の水圧により、船体1にヒンジ11pで回動可能に取り付けられた制動部材11aは、待機位置から、船体1から突出する作動位置まで約90°回動する。作動位置に達した制動部材11aの表面は、船舶Fの進行方向Gと直交するように配置される。これにより大きな流動抵抗を生じさせるので、船舶Fを迅速に減速又は停止させることができる。
【0042】
本例の制動装置Sによれば、制動部材を待機位置から作動位置へ移動させるのに水圧を利用するから、従来のような機械的な動力伝達機構が不要となる。このため、制動部材の保持構造を簡略化できるので、制動部材の船体への組付けやメンテナンスが容易になるという利点が得られる。
【0043】
又、高圧水を利用して船尾側でも制動力を得ることができるので、船体の広い範囲に制動を及すことができ、船体を効率よく減速又は停止させることができるのも利点である。
【0044】
図1図4で説明した工程は、通常時の船体の外面形状を保持する工程と、船体の急な制動を指令する工程と、指令に応答して生成した高圧水により外面形状を変化させて制動力を増加させる工程とを備えた船舶の制動方法と言うことができる。この方法により、高圧水が、船体の外面を、通常時の外面形状から制動力を増加させる外面形状に変化させるから、急な制動の指令に応じ、船体を安全に減速又は停止させることができる。
【0045】
ところで制動部材11a~12bは、その動作後、船舶Fが十分に減速又は停止するまで、作動位置に保持されることが望ましい。そのため、制動部材11a~12bを作動位置に保持するロック機構を設けてもよい。このロック機構については後述する。
【0046】
或いは、高圧水の噴射を継続させて制動部材を作動位置に保持するようにしてもよい。この場合において、制動部材11aが図4の作動位置にある状態で、噴射口41aから高圧水の噴射を継続している場合を想定する。このとき船体1に対しては、高圧水を噴射させた際に生じる反作用力が噴射ノズルQを介して作用すると同時に、高圧水が制動部材11aに衝突する際に生じる水圧力が作用する。この反作用力と水圧力とは、互いに向きが反対で大きさがほぼ等しいから、相殺されることになる。即ち、制動部材を作動位置に保持した状態で高圧水の噴射を継続しても、船体の挙動には殆ど影響を与えないと言える。
【0047】
尚、制動部材11aを作動位置に保持するのに要する高圧水の水圧力は、船体1の速度等に応じて変化する。そこで、制動部材11aの位置を検知するセンサ等の位置検知手段を設け、制動部材11aの位置に応じて水圧力を調整するようにしてもよい。
【0048】
ところで本例の制動部材11a~12bは、船首側と船尾側とで回動方向が異なるように構成されている。船首側の制動部材11a、11bのように、回動方向が船尾側から船首側へ向かう方向となるように構成した場合は、制動部材11a、11bが待機位置から作動位置へ向かって回動する際に水を押し込むから、船体1を押し戻す方向の力が発生する。従って、迅速な減速に有利である。又、制動部材11aが、図4の(B)に示す作動位置にある時、制動部材11aには正面側からの流動抵抗力と、背面側からの高圧水の水圧力とが作用し、両者は相殺し合う。このため制動部材11aに実質的に作用する外力が減殺されるから、強靭な支持構造でなくても制動部材11aを確実に支持できるという利点を有している。
【0049】
反対に船尾側の制動部材12a、12bのように、回動方向が船首側から船尾側へ向かう方向となるように構成した場合は、制動部材12a、12bが待機位置から作動位置へ向かって回動する際に水を後方へ押しやるので、船舶Fに対し前進方向の推力を瞬間的に生じさせる。但し、船体1の進行中に発生する抵抗力が、制動部材12a、12bに対し作動位置方向への押圧力として作用するため、制動部材12a、12bを作動位置まで回動させるのに要する水圧力、及び、制動部材12a、12bを作動位置に保持するのに要する水圧力を低く抑えることができるという利点が得られる。
【0050】
図5図1の(B)に対応する図であって、噴出口からの高圧水の噴出により船体を旋回させる態様を示す図である。尚、この図では、使用する噴出口及び第2の高圧水供給手段を分かりやすく示すため、他の手段等については図示を適宜省略した。
【0051】
図5を参照して、例えば制御手段50により第2の高圧水供給手段35a、36bを稼働させて、船首左側の噴出口21a及び船尾右側の噴出口22bから高圧水W1、W2を船外へ噴出させると、高圧水W1、W2の噴出方向とは逆向きの反力H1、H2が船体1に作用する。この反力H1、H2が互いに平行で且つ反対向きであるため、船体1には面舵方向(右向き)の旋回力J1が生じる。仮に反力H1、H2の大きさが等しければ、これらは船体1に対し偶力として作用するから、船体1を所定の旋回中心Cの周りに旋回させることができる。反力H1、H2の大きさが等しくない場合、船体1は、反力H1、H2の大きさの比率に応じて方向転換を行う。これとは反対に、船首右側の噴出口及び船尾左側の噴出口から高圧水を船外へ噴出させた場合は、船体1に取り舵方向(左向き)の旋回力を生じさせることができる。
【0052】
このように、本例の制動装置Sは、特定の位置から特定の方向へ高圧水を噴出する手段を備えるので、適宜選択した位置の噴出口から高圧水を噴出させて船体に旋回力を与えることができる。従って、船舶に通常備えられる舵の操作だけの場合と比較して、急速な旋回を実現可能である。
【0053】
図6図1の(B)に対応する図であって、噴出口からの高圧水の噴出と制動部材の作動との協働により船体を旋回させる態様を示す図であって、(A)は船首側の制動部材を作動させて船体を旋回させる状況を示す図、(B)は船尾側の制動部材を作動させて船体を旋回させる状況を示す図である。尚、この図では、使用する噴出口、第1及び第2の高圧水供給手段、並びに、制動部材を分かりやすく示すため、他の手段等については図示を適宜省略した。
【0054】
本例は、高圧水の噴出と制動部材の動作とを協働させることで、より迅速な船体の旋回を実現するものである。図6の(A)を参照して、例えば制御手段50により第2の高圧水供給手段35b、36aを稼働させて、船首右側の噴出口21b及び船尾左側の噴出口22aから高圧水W3、W4を船外へ噴出させている状態において、更に第1の高圧水供給手段31aを稼働させて船首左側の制動部材11aを作動位置へ移動させる。すると船体1には、高圧水W3、W4の噴出に対する反力H3、H4に加えて、制動部材11aが受ける抵抗力H5が作用し、これらが合わさって発生する旋回力J2で、より急速な旋回又は方向転換を行うことができる。このとき制動部材11aが抵抗力H5を受ける位置は船首に近いため、船体1の旋回中心C′は、反力H3、H4だけの時(図5参照)と比べて船首側に変位した位置となる。
【0055】
図6の(B)を参照して、船首右側の噴出口21b及び船尾左側の噴出口22aから高圧水W3、W4を船外へ噴出させている状態において、船尾左側の制動部材12aを作動位置へ動作させてもよい。この場合、船体1には、高圧水W3、W4の噴出に対する反力H3、H4に加えて、制動部材12aが受ける抵抗力H6が作用し、これらが合わさって発生する旋回力J3が作用することになる。このとき、制動部材12aが抵抗力H6を受ける位置は船尾に近いため、船体1の旋回中心C″は、反力H3、H4だけの時(図5参照)と比べて船尾側に変位した位置となる。
【0056】
このように、本例の制動装置Sは、高圧水の噴出と共に、制動部材による制動を利用するから、両者の協働に基づき、より迅速な急旋回を実現することができる。
【0057】
<第2の実施の形態>
図7は本発明の第2の実施の形態に関する図であって、(A)は待機位置の制動部材を示す船舶の進行方向に沿う方向の断面図、(B)は作動位置の制動部材を示す同方向の断面図であり、図8図7の(A)のM-M線における断面図である。
【0058】
ここでは、制動部材の構成に関する異なる実施の形態を説明する。本例の制動部材80は、ヒンジ部80aで船体1に回動可能に取り付けられ、待機位置(図7の(A)参照)において船体1の表面に沿う面を有する板状の受圧部80bと、受圧部80bの両端縁部に形成されたフランジ部80c、80d(図8参照)とを有している。又、船体1側には、この制動部材80を収納する収納室を形成するための隔壁100が設けられている。本例では、フランジ部80c、80dの端縁がヒンジ部80aを中心とする円弧状に形成され、隔壁100の内面がこれに対応する湾曲面に形成されているので、制動部材80は、ヒンジ部80aを軸として支障なく回動することが可能となっている。
【0059】
このように構成した制動部材80によれば、図7の(A)に示す待機位置において、噴射ノズルQから制動部材80へ向けて高圧水を噴射すると、収納室が高圧になるため、制動部材80は、図7の(B)に示す作動位置へ向かって即座に回動する。その際、受圧部80bに衝突した高圧水が側方へ逃げるのを、受圧部80bの両端縁部に形成したフランジ部80c、80dが抑制する。従って、水圧を効率よく制動部材80へ伝達することができるから、制動部材80を作動位置へ移動させるのに要する水圧を比較的低く抑えることが可能である。
【0060】
<その他の実施の形態>
図9は制動部材を待機位置に保持するストッパー機構の例、制動部材を作動位置に保持するロック機構の例、及び、制動部材を作動位置から待機位置へ復帰させる復帰手段の例を示す図であって、(A)は制動部材が待機位置にある状態を示し、(B)は制動部材が作動位置にある状態を示す、船舶の進行方向に沿う方向の断面図である。
【0061】
ここでは、制動部材を待機位置に保持するストッパー機構、制動部材を作動位置に保持するロック機構、及び、制動部材を作動位置から待機位置へ復帰させる復帰手段の各例について述べる。これらのいずれか1つ又は全部を制動部材は備えることが望ましい。
【0062】
図9を参照して、制動部材60を待機位置に保持するためのストッパー機構としては、例えば、ロッド71を電気的に進退させるソレノイド70を用いてもよい。ヒンジ60aによって回動可能に取り付けられた制動部材60の自由端側に起立部61を設け、この起立部61の適所に、ロッド71を挿通させるための貫通孔62を形成する。そして図9の(A)に示すように、制動部材60が待機位置にあるとき、伸張状態のロッド71が貫通孔62に挿通されるよう構成する。これにより、待機位置の制動部材60は回動が阻止されるので、船舶の通常航行中に制動部材60が不用意に動作するのを防止できる。尚、制動部材60を動作させる場合は、ソレノイド70に電気的信号を与えて、ロッド71を貫通孔62から後退させればよい。
【0063】
制動部材60を作動位置に保持するロック機構としては、例えば、進退するピン73を備えるプランジャ72と、制動部材60におけるヒンジ60aで保持された軸側端部63に形成した段部64とで構成してもよい。図9の(A)を参照して、制動部材60の軸側端部63に、湾曲面から成るカム面63aと、段部64とを形成する。制動部材60が待機位置にあるとき、プランジャ72のピン73はカム面63aに当接して後退している。段部64は、船体1の内面に当接している。制動部材60が作動位置へ向かって回動する間、ピン73はカム面63aに当接した状態を維持する。図9の(B)に示すように、制動部材60が90°回動して作動位置に到達すると、プランジャ72のピン73は、カム面63aから離れ、その先端を段部64に向かって伸張させる。これにより、伸張状態のピン73が制動部材60の段部64と係合するから、制動部材60は回動が阻止されるようになり、作動位置にある状態が保持されることになる。即ち本例では、高圧水の噴射によって制動部材60を作動位置まで一旦移動させたならば、制動部材60はロック機構によってそのまま作動位置に保持されるから、制動部材60の作動位置への到達後は、高圧水の供給が不要となる。その結果、加圧手段の稼働時間を短くして、エネルギーの節減を図れる。
【0064】
制動部材60を、作動位置から待機位置へ復帰させる復帰手段としては、図9に示すような、制動部材60に取り付けたワイヤー75等と、このワイヤー75を巻き取る巻取り手段74とで構成してもよい。本例では、船体1内の適所に巻取り手段74を配置し、この巻取り手段74に巻き付けたワイヤー75の一端を、制動部材60の内面側に適宜設けた連結部65に連結する。そして、制動部材60を作動位置へ移動させた後、船体1の減速又は停止運転が終了したときには、巻取り手段74を駆動してワイヤー75を巻き取ることにより、制動部材60を作動位置から待機位置へ復帰させることが可能である。尚、このとき、制動部材60がロック機構により作動位置に保持されている場合は、待機位置へ復帰させるに先立って、適宜の手段によりロック機構のロック状態を解除しておくことは言うまでもない。
【0065】
尚、上記の各実施の形態において、制動部材は、その表面が平坦であるが、表面の全体又は一部を凸又は凹の湾曲面としてもよい。
【0066】
又、上記の実施の形態では、作動位置における制動部材は、その表面が船体の進行方向とほぼ直交するように配置されるが、制動部材の表面と船体の進行方向との成す角度は例えば80°や60°等でもよく、制動部材の表面が船体の進行方向に対して交差すればよい。
【0067】
又、上記の実施の形態では、制動部材の個数は船首側及び船尾側に各2個ずつであったが、船首側又は船尾側の個数を増やしてもよく、反対に船首側及び船尾側のいずれか一方の制動部材を省略してもよい。更に船体中央部等、船体の複数領域に制動部材を追加して設けてもよい。又、制動部材は、船体の中心線に対し左右対称に2つ配置したが、船体の中央にのみ1つを配置してもよい。
【0068】
又、制動部材の回動方向は、全て同方向となるよう構成してもよい。
【0069】
又、制動部材のヒンジ部等にバネ等を組み込んで、待機位置から作動位置への移動、及び、作動位置での保持を支援するようにしてもよい。
【0070】
又、制動部材は、ヒンジで回動可能に支持する以外に、船体の表面に対しほぼ直交する方向へ直線的に進退させるよう構成してもよい。或いは、制動部材のヒンジの回動軸を船体の進行方向とほぼ平行となるように構成し、制動部材が船体の進行方向とほぼ直交する方向へ回動するよう構成してもよい。或いは、制動部材を、船体の進行方向に向かって開口する空洞部を有るポケット状に形成してもよい。
【0071】
更に、上記の実施の形態では、制動部材ごとに高圧水供給手段を設けていたが、1台の加圧手段で全部の制動部材へ高圧水を供給するように構成してもよい。或いは、複数の制動部材で分担して各制動部材へ高圧水を供給するようにしてもよい。
【0072】
制動部材を待機位置に保持するストッパー機構、作動位置に保持するロック機構、及び、制動部材を作動位置から待機位置へ復帰させる復帰手段については、これらのうちのいずれか1つ又は全部を、制動部材が備えてもよい。
【0073】
ストッパー機構は、ソレノイドのほか、電磁石や、プッシュプルケーブルを利用して構成してもよい。ロック機構は、制動部材の一部を利用するほか、ヒンジ部自体に設けてもよい。
【0074】
高圧水を制動部材に噴射する噴射ノズルの噴射口、船外へ高圧水を噴出する噴出口、船外から水を取り入れるための吸水口及び取水口には、開閉弁を備えてもよい。この開閉弁の開閉は、制御手段によって制御するようにしてもよい。
【0075】
制御手段を省略して、第1及び第2の高圧水供給手段それぞれの動作を、作業者が直接操作するようにしてもよい。
【0076】
加圧手段は、船内に設置するほか、甲板上等に設置してもよい。
【0077】
図6の態様において、噴出口からの高圧水の噴出を省略し、左右いずれか一方側の制動部材だけを動作させるようにしてもよい。これによっても、船体の左右一方側の流動抵抗が増大する結果、船体に旋回力を生じさせることができる。従って、船舶に通常備えられる舵の操作と共に、左右一方側の制動部材を動作させることで、船体の急速旋回が可能となる。
【符号の説明】
【0078】
1…船体
11a~12b…制動部材
21a~22b…噴出口
31a~32b…第1の高圧水供給手段(加圧手段)
35a~36b…第2の高圧水供給手段
F…船舶
G…進行方向
S…制動装置
X…中心線
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-05-26
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
この発明は船舶の制動装置に関し、特に航行する船舶に急な制動を与えるための船舶の制動装置に関するものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、構造が簡単で、船舶の大きさを問わず現実的な実施が可能な船舶の制動装置を提供することを目的とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、船体に備えられ、航行する船舶に制動を与えるための船舶の制動装置であって、船体に保持され、船体の表面に沿った待機位置から船体の表面から突出した作動位置へ移動可能な制動部材と、船体内で高圧水を生成する加圧手段とを備え、生成された高圧水が供給されることにより、制動部材が待機位置から作動位置へ移動するように構成され、船体の中心線に対し左右対称に配置された複数組の制動部材を更に含み、制動部材の各々に設けられ、制動部材の各々に高圧水を供給する第1の高圧水供給手段を加圧手段は含み、各制動部材は、高圧水の供給による待機位置から作動位置への移動を個別に制御可能であるものである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
このように構成すると、制動部材が待機位置から作動位置へ移動することで、航行する船舶に流動抵抗を生じさせる。又、複数の制動部材のうちの所望位置の制動部材を個別に能動化できる。
請求項2記載の発明は、船体に備えられ、航行する船舶に制動を与えるための船舶の制動装置であって、船体に保持され、船体の表面に沿った待機位置から船体の表面から突出した作動位置へ移動可能な制動部材と、船体内で高圧水を生成する加圧手段とを備え、生成された高圧水が供給されることにより、制動部材が待機位置から作動位置へ移動するように構成され、船体の中心線に対し左右対称に配置され、船舶の進行方向と交差する方向で船外へ高圧水を噴出させる複数組の噴出口、及び、噴出口の各々に設けられ、噴出口の各々に高圧水を供給する第2の高圧水供給手段を更に含み、高圧水が供給される噴出口を個別に選択可能であるものである。
このように構成すると、制動部材が待機位置から作動位置へ移動することで、航行する船舶に流動抵抗を生じさせる。又、複数の噴出口のうちから選択した所望の噴出口から高圧水を噴出させる。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、船体の中心線に対し左右対称に配置され、船舶の進行方向と交差する方向で船外へ高圧水を噴出させる複数組の噴出口、及び、噴出口の各々に設けられ、噴出口の各々に高圧水を供給する第2の高圧水供給手段を更に含み、高圧水が供給される噴出口を個別に選択可能であるものである。
このように構成すると、複数の噴出口のうちから選択した所望の噴出口から高圧水を噴出させる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、制動部材は、作動位置において、船舶の進行方向と交差するように配置される面を有するものである。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
請求項1記載の発明によれば、加圧手段から制動部材への高圧水の供給によって、船舶を減速又は停止させることができる。又、動作させる制動部材の組合せで、状況に応じた制動が可能となる。
請求項2記載の発明によれば、加圧手段から制動部材への高圧水の供給によって、船舶を減速又は停止させることができる。又、船舶の航行状態に応じた制御をすることがきる。
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、船舶の航行状態に応じた制御をすることがきる。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
請求項記載の発明によれば、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、船舶の進行方向と交差する面で流動抵抗を生じさせるから、制動の信頼性が向上する。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正18】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体に備えられ、航行する船舶に制動を与えるための船舶の制動装置であって、
前記船体に保持され、前記船体の表面に沿った待機位置から前記船体の表面から突出した作動位置へ移動可能な制動部材と、
前記船体内で高圧水を生成する加圧手段とを備え、
前記生成された前記高圧水が供給されることにより、前記制動部材が前記待機位置から前記作動位置へ移動するように構成され
前記船体の中心線に対し左右対称に配置された複数組の前記制動部材を更に含み、
前記制動部材の各々に設けられ、前記制動部材の各々に高圧水を供給する第1の高圧水供給手段を前記加圧手段は含み、
前記各制動部材は、前記高圧水の供給による前記待機位置から前記作動位置への移動を個別に制御可能である、船舶の制動装置。
【請求項2】
船体に備えられ、航行する船舶に制動を与えるための船舶の制動装置であって、
前記船体に保持され、前記船体の表面に沿った待機位置から前記船体の表面から突出した作動位置へ移動可能な制動部材と、
前記船体内で高圧水を生成する加圧手段とを備え、
前記生成された前記高圧水が供給されることにより、前記制動部材が前記待機位置から前記作動位置へ移動するように構成され
前記船体の中心線に対し左右対称に配置され、前記船舶の進行方向と交差する方向で船外へ高圧水を噴出させる複数組の噴出口、及び、
前記噴出口の各々に設けられ、前記噴出口の各々に高圧水を供給する第2の高圧水供給手段を更に含み、
前記高圧水が供給される前記噴出口を個別に選択可能である、船舶の制動装置。
【請求項3】
前記船体の中心線に対し左右対称に配置され、前記船舶の進行方向と交差する方向で船外へ高圧水を噴出させる複数組の噴出口、及び、
前記噴出口の各々に設けられ、前記噴出口の各々に高圧水を供給する第2の高圧水供給手段を更に含み、
前記高圧水が供給される前記噴出口を個別に選択可能である、請求項1記載の船舶の制動装置。
【請求項4】
前記制動部材は、前記作動位置において、前記船舶の進行方向と交差するように配置される面を有する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の船舶の制動装置。
【請求項5】
前記制動部材を前記作動位置に保持するロック機構を更に備える、請求項1から請求項4のいずれかに記載の船舶の制動装置。