(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127031
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】ブリスタ包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 57/10 20060101AFI20230906BHJP
G01N 21/85 20060101ALI20230906BHJP
B65B 57/00 20060101ALI20230906BHJP
B65B 9/04 20060101ALI20230906BHJP
A61J 1/03 20230101ALI20230906BHJP
【FI】
B65B57/10 D
G01N21/85 A
B65B57/00 A
B65B9/04
A61J1/03 370
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030553
(22)【出願日】2022-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】野田 尚彦
(72)【発明者】
【氏名】畠山 肇
【テーマコード(参考)】
2G051
3E050
4C047
【Fターム(参考)】
2G051AA02
2G051AB02
2G051BA01
2G051CA04
2G051CA07
2G051CB01
2G051DA06
2G051DA13
3E050AA02
3E050AA03
3E050AA08
3E050AB05
3E050AB08
3E050BA12
3E050CA01
3E050CB01
3E050CB03
3E050DA01
3E050DD04
3E050DF02
3E050DF06
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3E050FB01
3E050FB08
3E050FC01
3E050FC02
3E050FC09
3E050FC10
3E050GB02
3E050HA01
3E050HA02
3E050HA03
3E050HB03
3E050HB08
4C047AA25
4C047BB11
4C047CC15
(57)【要約】
【課題】各種コストの増大抑制を図ることができる、錠剤の表裏両面に係る検査が可能なブリスタ包装機を提供する。
【解決手段】ブリスタ包装機としてのPTP包装機は、保持部521のうちの少なくとも一部が光を透過可能な透明部5213により構成され、保持部521によって錠剤5を吸着保持しつつ回転することで錠剤を搬送可能な搬送ドラム52を備える。第一カメラ53によって、錠剤5の表面5b及び裏面5cのうちの一方であって保持部521により吸着保持されている面とは反対側の面を撮像し、第二カメラ54によって、透明部5213を通して、錠剤5の表面5b及び裏面5cのうちの他方であって保持部521により吸着保持されている面が撮像される。錠剤5の被吸着面を反転させるために2つの搬送手段を設ける必要がないため、各種コストの増大抑制を図ることができる。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器フィルムに形成されたポケット部に錠剤が収容されるとともに、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートを製造するためのブリスタ包装機であって、
前記ポケット部に錠剤を充填する充填手段と、
光を透過可能な透明部を有するとともに錠剤を吸着保持可能な保持部が回転方向に並んでなり、該保持部によって錠剤を吸着保持しつつ回転することで該錠剤を前記充填手段側へと搬送可能な搬送手段と、
少なくとも錠剤の表面及び裏面のうちの一方であって前記保持部により吸着保持されている面とは反対側の面を撮像する第一撮像手段と、
前記透明部を通して、少なくとも錠剤の表面及び裏面のうちの他方であって前記保持部により吸着保持されている面を撮像する第二撮像手段と、
前記第一撮像手段及び前記第二撮像手段のそれぞれにより得られた撮像画像に基づき、錠剤の良否を判定する判定手段とを備えることを特徴とするブリスタ包装機。
【請求項2】
前記充填手段による前記ポケット部への充填前に、前記保持部による吸着保持を解除することで、前記判定手段により不良判定された錠剤を個別に系外に排出可能な不良品排出手段を有し、
前記搬送手段は、前記保持部により吸着保持された錠剤の周囲に配置され、前記第一撮像手段及び前記第二撮像手段のうちの少なくとも一方に向けて、該錠剤の側面を映し出すことが可能な側面表示部を備え、
前記第一撮像手段及び前記第二撮像手段のうちの少なくとも一方は、前記側面表示部に映し出された錠剤の側面を撮像可能であることを特徴とする請求項1に記載のブリスタ包装機。
【請求項3】
前記側面表示部は、前記第一撮像手段及び前記第二撮像手段の双方に向けて、錠剤の側面を映し出すことが可能に構成され、
前記第一撮像手段及び前記第二撮像手段の双方が、前記側面表示部に映し出された錠剤の側面を撮像可能とされていることを特徴とする請求項2に記載のブリスタ包装機。
【請求項4】
前記保持部は、該保持部により吸着保持された錠剤の側面と前記側面表示部との間に位置するとともに、該側面表示部に対し相対移動不能であり、かつ、該側面表示部に対する該錠剤の接触を防止する保護部を具備することを特徴とする請求項2又は3に記載のブリスタ包装機。
【請求項5】
前記透明部には、錠剤を吸引するための吸引孔が形成されており、
前記保持部により錠剤を吸着保持した状態においては、該錠剤における外周側に位置する部分のみが前記透明部に対し点接触又は線接触し、前記透明部における前記吸引孔と該錠剤との接触部分との間に位置する環状領域から該錠剤が離間した状態となるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のブリスタ包装機。
【請求項6】
前記第一撮像手段及び前記第二撮像手段は、それぞれ同一の所定の撮像ポジションに配置された錠剤を撮像するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のブリスタ包装機。
【請求項7】
前記搬送手段は、自身の回転方向に並ぶ前記保持部の列を複数備え、該保持部によって錠剤を複数列に並んだ状態で搬送するように構成されており、
前記搬送手段における前記保持部の各列に対し、錠剤を個別に供給可能な錠剤供給手段と、
前記錠剤供給手段から前記保持部の各列に対する錠剤の供給数を調節可能な供給数調節手段と、
前記充填手段による前記ポケット部への充填前に、前記保持部による吸着保持を解除することで、前記判定手段により不良判定された錠剤を個別に系外に排出可能な不良品排出手段と、
前記不良品排出手段よりも下流における錠剤の搬送路を構成するとともに、自身に対応する特定の1の列の前記保持部を利用して搬送された錠剤のみを貯留しながら搬送する貯留搬送部を、前記保持部の列ごとに個別に複数有してなるバッファ手段と、
複数の前記貯留搬送部のそれぞれにおける錠剤の貯留数を把握可能な貯留数把握手段とを備え、
前記供給数調節手段は、前記貯留数把握手段により把握された錠剤の貯留数に基づき、前記錠剤供給手段から前記保持部の各列に対する錠剤の供給数を調節可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のブリスタ包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブリスタシートを製造するためのブリスタ包装機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に医薬品や食料品等の分野において用いられるブリスタシートとしてPTP(プレススルーパック)シートが知られている。PTPシートは、錠剤が収容されるポケット部を有する容器フィルムと、その容器フィルムに対しポケット部の開口側を密封するように取着されるカバーフィルムとを備えている。
【0003】
かかるPTPシートは、ブリスタ包装機の一種であるPTP包装機を用いて製造される。PTP包装機は、容器フィルムに対しポケット部を形成する手段、ポケット部に錠剤を充填する手段、ポケット部の開口側を密封するように容器フィルムに対しカバーフィルムを取着する手段、容器フィルム及びカバーフィルムからなる帯状のPTPフィルムをPTPシート単位に打ち抜く手段等を備えている。
【0004】
さらに、PTP包装機においては、ポケット部に対する充填前に、錠剤の外観(例えば、錠剤における割れ・欠けや異物などの有無、錠剤に設けられた印刷部の良否など)についての検査を行うことがある。このような検査を行う装置としては、上流側回転ドラム、上流側カメラ、下流側回転ドラム及び下流側カメラを備えたものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。上流側回転ドラムは、錠剤における表面及び裏面のうちの一方を吸着保持した状態で該錠剤を搬送する。上流側カメラは、上流側回転ドラムにより搬送される錠剤における表面及び裏面のうちの吸着保持されていない側の面を撮像する。下流側回転ドラムは、上流側回転ドラムにより搬送された錠剤を受け取るとともに、錠剤における表面及び裏面のうちの他方を吸着保持した状態で該錠剤を搬送する。上流側回転ドラムから下流側回転ドラムに対する錠剤の受渡しに伴い、錠剤における吸着保持される面(被吸着面)は反転する。下流側カメラは、下流側回転ドラムにより搬送される錠剤における表面及び裏面のうちの吸着保持されていない側の面を撮像する。
【0005】
上記特許文献1に記載の装置によれば、両カメラによって錠剤における表面及び裏面の双方が撮像される。従って、錠剤の表裏両面に係る検査を行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の装置では、錠剤の被吸着面を反転させるために、2つの搬送手段(上流側回転ドラム及び下流側回転ドラム)を設ける必要がある。従って、装置の大型化や複雑化を招き、装置の製造やメンテナンスに係るコストが増大するおそれがある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、各種コストの増大抑制を図ることができる、錠剤の表裏両面に係る検査が可能なブリスタ包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0010】
手段1.容器フィルムに形成されたポケット部に錠剤が収容されるとともに、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートを製造するためのブリスタ包装機であって、
前記ポケット部に錠剤を充填する充填手段と、
光を透過可能な透明部を有するとともに錠剤を吸着保持可能な保持部が回転方向に並んでなり、該保持部によって錠剤を吸着保持しつつ回転することで該錠剤を前記充填手段側へと搬送可能な搬送手段と、
少なくとも錠剤の表面及び裏面のうちの一方であって前記保持部により吸着保持されている面とは反対側の面を撮像する第一撮像手段と、
前記透明部を通して、少なくとも錠剤の表面及び裏面のうちの他方であって前記保持部により吸着保持されている面を撮像する第二撮像手段と、
前記第一撮像手段及び前記第二撮像手段のそれぞれにより得られた撮像画像に基づき、錠剤の良否を判定する判定手段とを備えることを特徴とするブリスタ包装機。
【0011】
上記手段1によれば、錠剤を吸着保持可能な保持部が搬送手段の回転方向に並んでおり、その保持部は光を透過可能な透明部を有するものとされている。そして、第一撮像手段によって、少なくとも錠剤の表面及び裏面の一方が撮像され、第二撮像手段によって、透明部を通して、少なくとも錠剤の表面及び裏面のうちの他方であって保持部により吸着保持されている面が撮像される。
【0012】
このように透明部を通して、錠剤における保持部により吸着保持されている面を撮像することができるため、1つの搬送手段によって錠剤を搬送している最中に、該錠剤の表裏両面を撮像することができる。従って、錠剤の表裏両面を撮像するために、従来技術のような錠剤の被吸着面を反転させるための2つの搬送手段(錠剤を撮像する際に該錠剤を搬送している搬送手段)を設ける必要がない。これにより、装置の製造やメンテナンスに係るコストの増大抑制を図ることができる。
【0013】
手段2.前記充填手段による前記ポケット部への充填前に、前記保持部による吸着保持を解除することで、前記判定手段により不良判定された錠剤を個別に系外に排出可能な不良品排出手段を有し、
前記搬送手段は、前記保持部により吸着保持された錠剤の周囲に配置され、前記第一撮像手段及び前記第二撮像手段のうちの少なくとも一方に向けて、該錠剤の側面を映し出すことが可能な側面表示部を備え、
前記第一撮像手段及び前記第二撮像手段のうちの少なくとも一方は、前記側面表示部に映し出された錠剤の側面を撮像可能であることを特徴とする手段1に記載のブリスタ包装機。
【0014】
錠剤の検査に係る精度を高めるという点では、錠剤の表裏両面のみならず、錠剤の側面をも検査対象とすることが好ましい。錠剤の側面を検査可能な装置としては、帯状の容器フィルムのポケット部に錠剤を充填した後において、該ポケット部を回転体の孔部に引っ掛けた状態で該容器フィルムを搬送しつつ、孔部に配置された鏡体やプリズムを利用して該ポケット部に充填された錠剤の側面を撮像可能とするものが知られている(例えば、特開2012-145522号公報)。
【0015】
しかしながら、不良品の錠剤が検出されたときには、その不良品の錠剤を排出する必要があるところ、上記装置では、既にポケット部に収容されている錠剤が検査対象であるから、不良品の錠剤のみを排出することは現実的ではなく、打抜後に良品の混ざったブリスタシートの全体を排出せざるを得ない。従って、良品の錠剤やシート材料が無駄になったり、排出されたブリスタシートから良品の錠剤を回収するために余計な手間を要したりするといった不都合が生じるおそれがある。
【0016】
この点、上記手段2によれば、側面表示部によって、錠剤の表面及び裏面のみならず錠剤の側面に係る検査をも行うことが可能であるとともに、ポケット部に充填される前の錠剤が検査対象であるから、不良品排出手段によって、不良判定された錠剤を個別に排出することができる。従って、錠剤の検査精度をより高めつつ、良品の錠剤が無駄になる等の不都合が生じることをより確実に防止できる。
【0017】
また、第一撮像手段及び第二撮像手段のうちの少なくとも一方によって、錠剤の表面又は裏面と、錠剤の側面とを一度に撮像することができる。従って、1の撮像画像によって錠剤の表面又は裏面と側面とを同時に検査することができ、検査効率をより高めることができる。
【0018】
さらに、錠剤の側面を撮像するために、第一撮像手段及び第二撮像手段とは別の撮像手段を設ける必要がないから、装置の大型化や複雑化をより確実に防止することができる。
【0019】
手段3.前記側面表示部は、前記第一撮像手段及び前記第二撮像手段の双方に向けて、錠剤の側面を映し出すことが可能に構成され、
前記第一撮像手段及び前記第二撮像手段の双方が、前記側面表示部に映し出された錠剤の側面を撮像可能とされていることを特徴とする手段2に記載のブリスタ包装機。
【0020】
例えば、第一撮像手段が錠剤の表面及び側面を撮像する構成とした場合、該第一撮像手段によって、錠剤の側面のうち錠剤の裏面側に位置するエッジ部分に係る鮮明な撮像画像を得ることが難しいことがあるが、上記手段3によれば、第二撮像手段によって前記エッジ部分に係る鮮明な撮像画像を得ることが可能となる。すなわち、上記手段3によれば、錠剤の側面に係る撮像画像として、異なる二種類の画像(例えば相互に補完可能な二種類の画像)を得ることができる。これにより、錠剤の側面に係る検査精度を一層高めることができる。
【0021】
手段4.前記保持部は、該保持部により吸着保持された錠剤の側面と前記側面表示部との間に位置するとともに、該側面表示部に対し相対移動不能であり、かつ、該側面表示部に対する該錠剤の接触を防止する保護部を具備することを特徴とする手段2又は3に記載のブリスタ包装機。
【0022】
上記手段4によれば、保持部に設けられた保護部によって、錠剤との接触に伴い側面表示部に傷などがつくことをより確実に防止できる。これにより、傷などがつくことに伴う側面表示部の交換をより確実に防止することができ、メンテナンス等に係るコストの増大抑制を一層図ることができる。尚、保護部は、側面表示部に対し相対移動不能であるため、側面表示部に対し保護部が相対移動することで側面表示部が傷つくこともない。
【0023】
手段5.前記透明部には、錠剤を吸引するための吸引孔が形成されており、
前記保持部により錠剤を吸着保持した状態においては、該錠剤における外周側に位置する部分のみが前記透明部に対し点接触又は線接触し、前記透明部における前記吸引孔と該錠剤との接触部分との間に位置する環状領域から該錠剤が離間した状態となるように構成されていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載のブリスタ包装機。
【0024】
上記手段5によれば、保持部により錠剤を吸着保持した状態においては、該錠剤における外周側に位置する部分のみが透明部と接触し、透明部のうちの吸引孔と錠剤との接触部分との間に位置する環状領域から錠剤が離間した状態となる。従って、吸着保持された錠剤と必ず相対向することとなる前記環状領域において、錠剤との接触に伴う傷がつくことを抑制できる。これにより、透明部を通して錠剤を撮像するときに、受傷の抑えられた良好な部分を通した撮像をより確実に行うことができる。その結果、より良好な検査精度を得ることができるとともに、その良好な検査精度をより長期にわたって維持することができる。
【0025】
さらに、錠剤を吸着保持しているときにおいて、透明部における前記環状領域では、錠剤との間で異物や錠剤に付着した粉などを挟み込むといったことが生じなくなる。加えて、錠剤における外周側に位置する部分が透明部と接触した状態では、前記環状領域と錠剤との間に位置する空間から吸引孔に向けて気体がより効果的に引かれることになる。そして、これらが相乗的に作用することで、錠剤を吸着保持しているときに、前記環状領域に付着した異物や錠剤に付着した粉などをより確実に吸引して除去することができる。これにより、検査精度の更なる向上などを図ることができる。
【0026】
また、吸着保持された錠剤は、その外周側に位置する部分のみが透明部と点接触又は線接触するから、錠剤及び透明部の接触面積が比較的小さなものとなる。従って、錠剤との接触に伴い透明部に付着する粉などを比較的少ないものとすることができる。その結果、検査精度のより一層の向上などを図ることができる。
【0027】
手段6.前記第一撮像手段及び前記第二撮像手段は、それぞれ同一の所定の撮像ポジションに配置された錠剤を撮像するように構成されていることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載のブリスタ包装機。
【0028】
上記手段6によれば、第一撮像手段及び第二撮像手段によって錠剤を同時に撮像することができる。従って、1の錠剤を撮像する際において、両撮像手段における撮像の実行タイミングに係る制御が容易となり、装置の製造やメンテナンスに係るコストの増大抑制をより効果的に図ることができる。
【0029】
手段7.前記搬送手段は、自身の回転方向に並ぶ前記保持部の列を複数備え、該保持部によって錠剤を複数列に並んだ状態で搬送するように構成されており、
前記搬送手段における前記保持部の各列に対し、錠剤を個別に供給可能な錠剤供給手段と、
前記錠剤供給手段から前記保持部の各列に対する錠剤の供給数を調節可能な供給数調節手段と、
前記充填手段による前記ポケット部への充填前に、前記保持部による吸着保持を解除することで、前記判定手段により不良判定された錠剤を個別に系外に排出可能な不良品排出手段と、
前記不良品排出手段よりも下流における錠剤の搬送路を構成するとともに、自身に対応する特定の1の列の前記保持部を利用して搬送された錠剤のみを貯留しながら搬送する貯留搬送部を、前記保持部の列ごとに個別に複数有してなるバッファ手段と、
複数の前記貯留搬送部のそれぞれにおける錠剤の貯留数を把握可能な貯留数把握手段とを備え、
前記供給数調節手段は、前記貯留数把握手段により把握された錠剤の貯留数に基づき、前記錠剤供給手段から前記保持部の各列に対する錠剤の供給数を調節可能に構成されていることを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載のブリスタ包装機。
【0030】
尚、上記手段2における「不良品排出手段」と、上記手段7における「不良品排出手段」とは同じものを指す。従って、上記手段2に上記手段7が従属する場合に、不良品排出手段が複数存在するという訳ではない。
【0031】
上記手段7によれば、供給数調節手段によって、貯留数把握手段により把握された錠剤の貯留数に基づき、錠剤供給手段から保持部の各列に対する錠剤の供給数が調節される。従って、不良品排出手段によって不良品の錠剤が排出されたとしても、各貯留搬送部における錠剤の貯留数に不足が生じることをより確実に防止できる。これにより、不良品の錠剤の排出に伴い、ポケット部に対する錠剤の充填に支障が生じることをより確実に防止でき、生産性(生産効率)をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図4】PTP包装機の概略構成を示す模式図である。
【
図5】検査充填装置の概略構成を示す斜視模式図である。
【
図6】検査充填装置の概略構成を示す正面模式図である。
【
図9】供給装置や搬送ドラムなどの一部破断正面模式図である。
【
図11】第一カメラ及び第二カメラを示すための一部破断斜視模式図である。
【
図12】第一カメラ及び第二カメラによって撮像される錠剤の面について説明するための拡大断面模式図である。
【
図13】第一カメラ及び第二カメラの概略構成を示す斜視模式図である。
【
図14】第二カメラによって得られる撮像画像の模式図である。
【
図15】充填装置などの一部破断斜視模式図である。
【
図16】スプリングシュートの一部破断正面図である。
【
図17】制御装置などの構成を示すブロック図である。
【
図18】別の実施形態において、第一カメラ及び第二カメラによって撮像される錠剤の面や得られる撮像画像に関する説明図である。
【
図19】別の実施形態において、第一カメラ及び第二カメラによって撮像される錠剤の面や得られる撮像画像に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず、「ブリスタシート」としてのPTPシートの構成について説明する。
【0034】
図1,2に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。
【0035】
本実施形態における容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の透明の熱可塑性樹脂材料により形成され、透光性を有している。一方、カバーフィルム4は、例えばポリプロピレン樹脂等からなるシーラントが表面に設けられた不透明材料(例えばアルミニウム箔等)により構成されている。勿論、各フィルム3,4の材料は、これらに限定されるものではなく、他の材質のものを採用してもよい。
【0036】
PTPシート1は、帯状の容器フィルム3及び帯状のカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム6(
図3参照)がシート状に打抜かれることによって製造されるものであり、平面視略矩形状に形成されている。
【0037】
PTPシート1には、その長手方向に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、その短手方向に2列形成されている。つまり、計10個のポケット部2が形成されている。各ポケット部2には、錠剤5が1つずつ収容されている。
【0038】
本実施形態における錠剤5は、平面視円形状をなす円盤状の素錠であって、側面5aと、該側面5aを挟む表面5b及び裏面5cとを有した構成となっている。また、表面5b及び裏面5cは、側面5aに連続する面取り部分をそれぞれ備えている。
【0039】
次に、上記PTPシート1を製造するためのPTP包装機10の概略構成について説明する。本実施形態では、PTP包装機10が「ブリスタ包装機」を構成する。
【0040】
図4に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0041】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置15及びポケット部形成装置16が順に配設されている。そして、加熱装置15によって容器フィルム3が加熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット部形成装置16によって容器フィルム3の所定位置に複数のポケット部2が形成される。ポケット部2の形成は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0042】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の弛みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0043】
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、検査充填装置21及び充填後検査装置22が順に配設されている。
【0044】
検査充填装置21は、錠剤5の検査を行う機能と、検査後の錠剤5をポケット部2に充填する機能とを有する。検査充填装置21の詳細については後述する。
【0045】
充填後検査装置22は、例えば錠剤5が各ポケット部2に確実に充填されているか否か、錠剤5の異常の有無、ポケット部2への異物混入の有無などに関する検査を行う。
【0046】
尚、本実施形態において、フィルム受けロール20には図示しないエンコーダが設けられており、該エンコーダから検査充填装置21(特に後述する制御装置59)へとフィルム受けロール20の回転量(移動量)に関する信号が所定時間毎に送信されるようになっている。これにより、検査充填装置21は、フィルム受けロール20によって搬送される容器フィルム3におけるポケット部2の位置を把握可能となっている。
【0047】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール24によって加熱ロール25の方へと案内されている。
【0048】
加熱ロール25は、前記フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,25間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール20,25間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が取着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる。これにより、錠剤5が各ポケット部2に収容された帯状のPTPフィルム6が製造される。
【0049】
フィルム受けロール20から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール27及び間欠送りロール28の順に掛装されている。間欠送りロール28は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール27は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記フィルム受けロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるPTPフィルム6の弛みを防止してPTPフィルム6を常時緊張状態に保持する。
【0050】
間欠送りロール28から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール31及び間欠送りロール32の順に掛装されている。間欠送りロール32は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール31は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール28,32間でのPTPフィルム6の弛みを防止する。
【0051】
間欠送りロール28とテンションロール31との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、スリット形成装置33及び刻印装置34が順に配設されている。スリット形成装置33は、PTPフィルム6の所定位置に切離用スリットを形成する機能を有する。刻印装置34は、PTPフィルム6の所定位置(例えばタグ部)に刻印を付す機能を有する。尚、
図1等では、切離用スリットや刻印の図示を省略している。
【0052】
間欠送りロール32から送り出されたPTPフィルム6は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール32とテンションロール35との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、シート打抜装置37が配設されている。シート打抜装置37は、PTPフィルム6をPTPシート1単位にその外縁を打抜く機能を有する。
【0053】
シート打抜装置37によりPTPフィルム6を打抜くことで得られたPTPシート1は、コンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に貯留される。但し、充填後検査装置22によって不良判定がなされた場合、この不良判定に係るPTPシート1は、完成品用ホッパ40へ送られることなく、図示しない不良シート排出機構によって別途排出される。
【0054】
前記連続送りロール36の下流側には、裁断装置41が配設されている。そして、シート打抜装置37による打抜き後に帯状に残った残材部(スクラップ部)を構成する不要フィルム部42は、テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置41に導かれる。裁断装置41は、不要フィルム部42を所定寸法に裁断する。裁断された不要フィルム部42(スクラップ)はスクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0055】
次いで、検査充填装置21について詳しく説明する。検査充填装置21は、
図5~7に示すように、供給装置51、搬送ドラム52、第一カメラ53、第二カメラ54、不良品除去装置55、中間搬送装置56、充填装置57及び制御装置59を備えている(但し、
図7では充填装置57等を不図示)。本実施形態では、供給装置51が「錠剤供給手段」を構成し、同様に、搬送ドラム52が「搬送手段」を、第一カメラ53が「第一撮像手段」を、第二カメラ54が「第二撮像手段」を、充填装置57が「充填手段」を、それぞれ構成する。
【0056】
供給装置51は、多数の錠剤5が貯留された図示しない貯留部(例えばホッパ等)から搬送ドラム52へと錠剤5を供給する。供給装置51は、
図8,9に示すように、供給シュート511及びチェッカ512を備えている。
【0057】
供給シュート511は、前記貯留部から供給された錠剤5を、1錠ずつ搬送ドラム52へと受け渡すものであり、搬送ドラム52により搬送される錠剤5の列数と同数(本実施形態では5つ)並んで設けられている。各供給シュート511は、筒状をなしており、錠剤5を鉛直方向に一列で積載できるように構成されている。また、各供給シュート511は、その下側開口部が搬送ドラム52の回転軸の真上よりもやや下流位置である供給ポジションP1において搬送ドラム52に近接した状態で設置されている。
【0058】
さらに、各供給シュート511の下側開口部近傍には、該開口部を開閉可能なシャッタ(不図示)が設けられている。該シャッタの動作による前記開口部の開閉によって、チェッカ512の動作時を除き、錠剤5は、供給シュート511から1錠ずつ落下して搬送ドラム52へと供給される。
【0059】
チェッカ512は、供給シュート511に収容された錠剤5の移動を規制することで、供給シュート511から搬送ドラム52に対する錠剤5の供給を一時的に停止させるためのものである。チェッカ512は、供給シュート511ごとに個別に設けられており、制御装置59(特に後述する供給数調節部595)によって動作制御される。
【0060】
チェッカ512は、供給シュート511の内面(錠剤5の収容空間を形成する面)に対し先端面が出没可能な押さえ部512aを有している。チェッカ512の動作時においては、押さえ部512aの先端面が供給シュート511の内面から突出する。これにより、押さえ部512aの先端面と供給シュート511の内面とで錠剤5が挟み込まれ、供給シュート511から搬送ドラム52に対する錠剤5の供給が一時停止される。従って、チェッカ512の動作を制御することで、供給装置51から、搬送ドラム52における後述する保持部521の各列に対し、錠剤5を個別に供給することが可能である。
【0061】
尚、前記シャッタ及びチェッカ512のうちの一方が、前記シャッタ及びチェッカ512のうちの他方の機能を兼ねる構成としてもよい。この場合、前記シャッタ又はチェッカ512が不要となる。
【0062】
図5~7に戻り、搬送ドラム52は、供給ポジションP1にて供給シュート511から供給された錠剤5を受け取った上で、該錠剤5を吸着保持しつつ下流側(充填装置57側)へと搬送する。搬送ドラム52は、円筒形状をなすとともに、所定の壁部71に固定された円筒状の支持筒72の外周に配置されている。支持筒72には、その長手方向に貫通するケーブル孔72a(
図9参照)が形成されており、該ケーブル孔72aには、搬送ドラム52の内部に配置される装置(第二カメラ54及び後述する不良品用ブローノズル55a)と制御装置59との間で信号の送受信を行うためのケーブル(不図示)が配置されている。尚、
図5等では、第二カメラ54や不良品除去装置55を示すべく、搬送ドラム52の内部空間が外部に開放された状態を示しているが、実際には、該内部空間は密閉された状態となっている。
【0063】
搬送ドラム52は、支持筒72に対し相対回転可能な状態とされており、所定の駆動装置73(例えば速度可変モータなど)の動作に伴い回転する。駆動装置73の動作は、制御装置59(特に後述する供給数調節部595)によって制御される。尚、本実施形態において、搬送ドラム52には図示しないエンコーダが設けられており、該エンコーダから制御装置59へと搬送ドラム52の回転量(移動量)に関する信号が所定時間毎に送信されるようになっている。これにより、制御装置59は、搬送ドラム52によって搬送される錠剤5の位置を把握可能である。
【0064】
さらに、
図8,9に示すように、搬送ドラム52は、錠剤5を吸着保持するための保持部521を備えている。保持部521は、搬送ドラム52の回転方向つまり錠剤5の搬送方向に沿って、等間隔で多数並んで設けられている。そして、搬送ドラム52の回転方向(錠剤5の搬送方向)に沿って並ぶ保持部521の列が複数(本実施形態では5列)形成されている。
【0065】
各保持部521は、
図10に示すように、頂面に錠剤5を収容するための窪み部5211が形成された円錐台形状をなしている。窪み部5211は、底面5211a及び側壁面5211bによって形成されている。
【0066】
底面5211aは、保持部521により吸着保持された錠剤5の表面5b又は裏面5cと相対向する面である。底面5211aは、保持部521の中心軸CLを含む断面において、中心側(次述する吸引孔5212)側に向けて徐々に下がる形状(例えば、円弧状やテーパ状など)をなしている。底面5211aの中心には、保持部521の中心軸CL方向に延びるとともに、保持部521を貫通する吸引孔5212が開口している。吸引孔5212は、搬送ドラム52の内部空間と窪み部5211とを連通する。
【0067】
本実施形態では、所定の吸引機構(不図示)により搬送ドラム52の内部空間に負圧が供給されて、該内部空間が略真空状態となることで、該内部空間に連通する吸引孔5212に負圧が供給されるようになっている。その結果、吸引孔5212で生じる吸引力を利用して、保持部521により錠剤5を吸着保持することが可能となっている。そして、保持部521により錠剤5を吸着保持した状態で搬送ドラム52が回転することによって、該錠剤5が複数列(5列)に並んだ状態で下流の充填装置57側へと搬送される。
【0068】
但し、本実施形態では、前記供給ポジションP1から搬送ドラム52の回転軸の真下に位置する受渡ポジションP3(
図9参照)の直手前までの間に位置する吸引孔5212へと負圧が供給されるように構成されている。そのため、供給ポジションP1から受渡ポジションP3の直手前まで錠剤5が搬送された後、受渡ポジションP3にて該錠剤5の吸着保持が解除される。
【0069】
尚、上記のように負圧の供給対象となる吸引孔5212を調節することに代えて、後述する不良品用ブローノズル55aと同様のブロー装置(例えば
図9において二点鎖線で示すブロー装置525)を、搬送ドラム52内における受渡ポジションP3に対応する位置に設け、該ブロー装置525から吸引孔5212に対しブローを行うことで、受渡ポジションP3にて錠剤5の吸着保持が解除されるようにしてもよい。
【0070】
保持部521の説明に戻り、側壁面5211bは、保持部521により吸着保持される錠剤5の位置決めを行い、該錠剤5を一定範囲内に配置するためのものである。本実施形態において、側壁面5211bは、前記中心軸CL方向に沿って一定の内径を有しており、その内径は、錠剤5の側面5aの外径よりも若干だけ大きい程度に設定されている。
【0071】
加えて、保持部521は、所定の光(例えば白色光)を透過可能な透明部5213を有している。本実施形態では、保持部521の全体が透明材料(例えば透明な樹脂やガラス等)により形成されており、保持部521の全体が透明部5213となっている。そして、この透明部5213に前記吸引孔5212が形成されている。尚、必ずしも保持部521の全体を透明部5213とする必要はなく、保持部521の一部が不透明であってもよい。
【0072】
また、本実施形態では、保持部521の全体が透明部5213であるとともに、底面5211aが上記のように構成されること等によって、保持部521により錠剤5を吸着保持した状態においては、該錠剤5における外周側に位置する部分のみが透明部5213と線接触する。そして、透明部5213における吸引孔5212(の開口)と錠剤5との接触部分との間に位置する環状領域5213aから錠剤5が離間した状態となる。すなわち、保持部521により錠剤5を吸着保持したときには、吸着保持された錠剤5と必ず相対向することとなる前記環状領域5213aに対する錠剤5の接触が抑えられるようになっている。
【0073】
また、保持部521は、吸着保持された錠剤5と次述する側面表示部522とが接触することを防止するための保護部5214を備えている。保護部5214は、保持部521により吸着保持された錠剤5の側面5aと側面表示部522との間に位置することとなる部位であり、側面表示部522に対し相対移動不能な状態で設置されている。
【0074】
さらに、保持部521の外周側には、保持部521により吸着保持された錠剤5の周囲に配置される側面表示部522が設けられている。本実施形態において、側面表示部522は、保持部521の外周面と接する内周面522aに円錐台状のミラーを備えたものである。側面表示部522によって、錠剤5の側面5aからの光が該ミラーによって第二カメラ54側へと反射され、その結果、第二カメラ54に向けて側面5aを映し出すことが可能である。
【0075】
第一カメラ53及び第二カメラ54は、それぞれ搬送ドラム52により搬送されている最中の錠剤5を撮像する。両カメラ53,54は、
図11に示すように、それぞれ保持部521の列数と同数(本実施形態では、5つ)設けられており、搬送ドラム52の幅方向に並んだ状態とされている。1のカメラ53,54は、複数の保持部521の列における1の列に対応する。
【0076】
両カメラ53,54は、カメラレンズ53a,54aと、カメラレンズ53a,54aを通った光を電気信号に変換するための図示しない撮像素子(例えばCMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等)と、カメラレンズ53a,54aの周囲において環状に配置された複数のLED照明53b,54bとを一体的に備えたものである(
図13参照)。LED照明53b,54bは、錠剤5に向けて所定の光(例えば白色光)を照射する。
【0077】
第一カメラ53は、搬送ドラム52の外部において、供給ポジションP1よりも下流の撮像ポジションP2に対応して配設されている(
図9等参照)。第一カメラ53は、
図12に示すように、搬送ドラム52によって搬送されて撮像ポジションP2に到達した錠剤5に対し(前記LED照明53bより)所定の光を照射するとともに、該錠剤5における表面5b又は裏面5cであって保持部521により吸着保持されていない側の面を撮像する。第一カメラ53によって、錠剤5の表面5b及び裏面5cのうちの一方(例えば表面5b)を含む撮像画像(前記撮像素子から入力される画像)が得られる。
【0078】
一方、第二カメラ54は、搬送ドラム52の内部において、撮像ポジションP2に対応して配設されている(
図9等参照)。第二カメラ54は、搬送ドラム52によって搬送されて撮像ポジションP2に到達した錠剤5に対し(前記LED照明54bより)所定の光を照射するとともに、透明部5213を通して、該錠剤5における表面5b又は裏面5cであって保持部521により吸着保持されている側の面を撮像する。また、第二カメラ54は、表面5b又は裏面5cとともに、側面表示部522に映し出された錠剤5の側面5aを撮像する。第二カメラ54によって、錠剤5の表面5b及び裏面5cのうちの他方(例えば裏面5c)と錠剤5の側面5aとを含む撮像画像(
図14参照)が得られる。
【0079】
尚、各カメラ53,54は、後述する撮像制御部591から撮像信号が入力されることで、撮像を行う。各カメラ53,54により得られた撮像画像は、制御装置59へと出力される。
【0080】
不良品除去装置55は、充填装置57によるポケット部2への錠剤5の充填前に、制御装置59の後述する判定部593によって不良品と判定された錠剤5を系外(つまり搬送ドラム52による搬送経路の外)へと取り除くための装置である。
図9に示すように、不良品除去装置55は、搬送ドラム52による錠剤5の搬送方向に沿って、各カメラ53,54よりも下流に設けられている。不良品除去装置55は、不良品用ブローノズル55aと不良品収容部55bとを備えている。本実施形態では、不良品用ブローノズル55aが「不良品排出手段」を構成する。
【0081】
不良品用ブローノズル55aは、吸引孔5212に対しブローを行い錠剤5の吸着保持を解除することで、錠剤5を個別に系外へと排出する。不良品用ブローノズル55aは、保持部521の列数と同数(本実施形態では、5つ)設けられており、搬送ドラム52の内部空間において搬送ドラム52の幅方向(錠剤5の搬送方向と直交する方向)に並んだ状態とされている(
図7,11参照)。各不良品用ブローノズル55aは、搬送ドラム52による搬送方向に沿って並ぶ1列の錠剤5の除去をそれぞれ担当する。これにより、不良品の錠剤5のみを選択的に系外へと除去可能である。
【0082】
不良品収容部55bは、不良品の錠剤5を収容するための箱である。不良品収容部55bは、搬送ドラム52の外周面近傍に位置する投入口を備えている。不良品用ブローノズル55aのブロー動作によって排出された錠剤5は、前記投入口を通って不良品収容部55b内に収容される。
【0083】
中間搬送装置56は、搬送ドラム52から受け渡された錠剤5を充填装置57へと搬送する。中間搬送装置56は、
図15に示すように、中間ドラム561及び中間シュート562を備えている。
【0084】
中間ドラム561は、受渡ポジションP3にて吸着解除された錠剤5を受取るとともに、該錠剤5を中間シュート562側へと搬送する。中間ドラム561は、円筒形状をなすとともに、図示しない駆動手段によって回転可能に構成されている。尚、中間ドラム561は、搬送ドラム52ほど大型なものではない。
【0085】
また、中間ドラム561は、錠剤5を吸着保持するための吸着部561aを備えている。吸着部561aは、中間ドラム561の回転方向つまり錠剤5の搬送方向に沿って、等間隔で多数並んで設けられている。そして、中間ドラム561の回転方向(錠剤5の搬送方向)に沿って並ぶ吸着部561aの列が複数(本実施形態では5列)形成されている。
【0086】
加えて、中間ドラム561は、受渡ポジションP3にて、吸着部561aの移動方向が搬送ドラム52により搬送される錠剤5の移動方向と同一となるように構成されている。また、受渡ポジションP3において、吸着部561aの移動速度と搬送ドラム52により搬送される錠剤5の移動速度とが同一となるように構成されている。
【0087】
さらに、中間ドラム561の内部空間には図示しない吸引機構によって負圧が供給されており、中間ドラム561の回転軸の鉛直上方から中間シュート562(後述する投入口部5621)の直手前のポジションまでの間に位置する吸着部561aに対し負圧が供給されるようになっている。これにより、中間ドラム561は、受渡ポジションP3にて搬送ドラム52から排出された錠剤5を受取って吸着部561aにより該錠剤5を吸着保持するとともに、自身の回転により該錠剤5を中間シュート562側へと搬送する。尚、各列の吸着部561aは、それぞれ搬送ドラム52で搬送される複数列の錠剤5のうち特定の1の列の錠剤5のみを受取可能である。
【0088】
中間シュート562は、中間ドラム561によって搬送された錠剤5が案内される投入口部5621と、投入口部5621に投入された錠剤5を充填装置57側へと搬送するスプリングシュート5622とを備えている。
【0089】
投入口部5621は、それぞれ独立した、吸着部561aの列数と同数の搬送空間5621aを並列に備えている。これら搬送空間5621aは、中間ドラム561による吸着が解除された錠剤5が投入される入口部分を備えており、各搬送空間5621aにおける該入口部分には、それぞれ中間ドラム561で搬送される複数列の錠剤5のうち特定の1の列の錠剤5のみが投入される。搬送空間5621aの前記入口部分に投入された錠剤5は、該搬送空間5621aを通ってスプリングシュート5622の内部へと流下する。
【0090】
スプリングシュート5622は、所定の線材を螺旋状に巻回してなり、内部空間が錠剤5の搬送路を構成するフレキシブルな管状部品である。スプリングシュート5622は、比較的容易に伸縮及び湾曲可能である。
【0091】
スプリングシュート5622は、複数設けられており、各スプリングシュート5622は、それぞれ独立している。スプリングシュート5622は、搬送空間5621aごとに1つずつ設けられている。従って、1の搬送空間5621aを通過した錠剤5は、該搬送空間5621aに対応する1のスプリングシュート5622の内部空間に入るとともに、この内部空間を通って充填装置57側へと搬送される。
【0092】
尚、本実施形態におけるスプリングシュート5622は楕円筒状をなしている。そして、スプリングシュート5622によって、複数の錠剤5はそれぞれ側面5a同士が隣接するようにして1列に並んだ状態で搬送される(
図16参照)。
【0093】
充填装置57は、複数列に並んだ状態で搬送される錠剤5を、帯状の容器フィルム3に形成されたポケット部2へと充填する。充填装置57は、充填用シュート571を備えている。
【0094】
充填用シュート571は、中間搬送装置56により搬送される錠剤5の列数と同数の収容空間571aを並列に備えている。充填用シュート571は、各収容空間571aの最下流部(充填用シュート571の下側開口部)が容器フィルム3に近接した状態で設置されている。また、各収容空間571aは、それぞれ独立しており、各収容空間571aには、中間搬送装置56(スプリングシュート5622)で搬送される複数列の錠剤5のうち特定の1の列の錠剤5のみが収容される。
【0095】
さらに、充填用シュート571の下側開口部近傍には、該開口部を開閉可能なシャッタ(不図示)が設けられている。該シャッタの動作は、制御装置59(特に後述する充填制御部597)によって制御される。該シャッタの動作による前記開口部の開閉によって、錠剤5は、充填用シュート571から1錠ずつ落下してポケット部2へと充填される。
【0096】
本実施形態では、1列分の吸着部561aと、投入口部5621における1の搬送空間5621aと、1のスプリングシュート5622と、充填用シュート571における1の収容空間571aとによって、貯留搬送部581が構成される。貯留搬送部581は、不良品用ブローノズル55aよりも下流における錠剤5の搬送路を構成するとともに、自身に対応する特定の1の列の保持部521を利用して搬送された錠剤5のみを貯留しながら搬送するものである。そして、貯留搬送部581を保持部521の列ごとに個別に複数具備してなる、中間搬送装置56及び充填装置57によってバッファ装置58が構成されている。本実施形態では、バッファ装置58が「バッファ手段」を構成する。
【0097】
制御装置59は、演算手段としてのCPUや、各種プログラムを記憶するROM、各種データを一時的に記憶するRAM、情報を長期記憶するための記憶媒体(例えばハードディスク等)などを備えたコンピュータシステムにより構成されている。制御装置59は、
図17に示すように、撮像制御部591、画像メモリ592、判定部593、検査結果記憶部594、供給数調節部595、排出制御部596、充填制御部597及び貯留数把握部598を備えている。本実施形態では、判定部593が「判定手段」を構成し、同様に、供給数調節部595が「供給数調節手段」を、貯留数把握部598が「貯留数把握手段」を、それぞれ構成する。尚、CPUが所定のプログラムを実行すること等によって、撮像制御部591や判定部593等における後述の各種動作が実行される。
【0098】
撮像制御部591は、カメラ53,54による撮像動作を制御する。より詳しくは、撮像制御部591は、搬送ドラム52に設けられた前記エンコーダからの信号に基づき、錠剤5が撮像ポジションP2に配置されたタイミングで、各カメラ53,54に対し撮像信号を出力する。これにより、各カメラ53,54によって、それぞれ同一の撮像ポジションP2に配置された錠剤5が同時に撮像される。尚、各カメラ53,54に対する撮像信号は同時に出力されるため、カメラ53,54ごとに撮像信号の出力タイミングを調節する必要はない。
【0099】
画像メモリ592は、各カメラ53,54により得られた撮像画像を記憶する。この画像メモリ592に記憶された撮像画像に基づいて錠剤5の検査が実行される。勿論、検査の実行に際し、撮像画像に対し加工処理(マスキング処理やシェーディング補正などの処理)を施してもよい。
【0100】
判定部593は、両カメラ53,54のそれぞれにより得られた撮像画像に基づき、錠剤5の良否を判定する。判定部593では、例えば、撮像画像に対する二値化処理や二値化処理済みの画像に対する塊処理などを行うとともに、予め記憶された各種情報(例えば、良否判定に用いる閾値など)に基づき錠剤5の良否を判定する。判定部593は、両カメラ53,54によって得られた2種類の撮像画像を用いて、錠剤5の全面(側面5a、表面5b及び裏面5c)を対象とした良否判定を行う。尚、判定部593により良否判定される項目(検査項目)としては、例えば、錠剤5の形状、錠剤5の色、錠剤5における傷や欠けの有無などを挙げることができる。勿論、錠剤5に対し、文字や記号などの各種情報を示すための印刷部を設ける場合には、判定部593によって印刷部に係る良否判定を行うようにしてもよい。
【0101】
検査結果記憶部594は、判定部593による錠剤5の良否判定結果に係るデータを記憶する。
【0102】
供給数調節部595は、供給装置51から保持部521の各列に対する錠剤5の供給数を調節する。より詳しくは、供給数調節部595は、チェッカ512(押さえ部512a)の動作制御を行い、保持部521の各列のうちの該チェッカ512に対応する列に対する錠剤5の供給を停止させることで、保持部521の各列に対する錠剤5の供給数を個別に調節する。例えば、不良品用ブローノズル55aによる錠剤5の排出動作に伴い、1の貯留搬送部581にて搬送されている錠剤5の数が、その他の貯留搬送部581にて搬送されている錠剤5の数よりも1つ少ないものになったとする。この場合、供給数調節部595は、錠剤5の数が1つ少ない貯留搬送部581に対応する保持部521の列へと錠剤5を供給する一方、その他の貯留搬送部581に対応する保持部521の列へと錠剤5を供給しないようにチェッカ512の動作を制御する。これにより、各貯留搬送部581にて貯留(搬送)されている錠剤5の数を同一にすることができる。
【0103】
一方で、例えば、上記のようなチェッカ512の動作制御に伴い、各貯留搬送部581にて貯留(搬送)されている錠剤5の数が、予め設定された目標数よりも少ないものになったとする。この場合、供給数調節部595は、駆動装置73等に対し、搬送ドラム52の回転速度を通常動作時の速度よりも若干増大させるなどの制御を行う。これにより、保持部521の各列に対する錠剤5の供給数(単位時間当たりの供給数)が増大し、結果的に、各貯留搬送部581にて搬送されている錠剤5の数を前記目標数以上の数に戻すことができる。尚、各貯留搬送部581にて搬送されている錠剤5の数が前記目標数以上となれば、供給数調節部595は、搬送ドラム52等が通常動作を行うように駆動装置73等を制御する。
【0104】
また、供給数調節部595は、保持部521の列ごとに、錠剤5の供給数をカウントして記憶する。
【0105】
排出制御部596は、不良品の錠剤5を個別に系外へと排出するために、各不良品用ブローノズル55aの動作を個別に制御する。より詳しくは、排出制御部596は、検査結果記憶部594に記憶された錠剤5の良否判定結果に基づき、不良品の錠剤5を特定可能である。そして、排出制御部596は、搬送ドラム52の前記エンコーダからの信号に基づき、不良品の錠剤5が不良品除去装置55に到達するタイミングを算出するとともに、この算出したタイミングで、該錠剤5の吸着を解除するためのブローを行うように不良品用ブローノズル55aを制御する。その結果、不良品の錠剤5は、系外へと排出されて不良品収容部55bに投入される。
【0106】
また、排出制御部596は、保持部521の列ごとに、不良品の錠剤5の排出回数(ブローの実行回数)をカウントして記憶する。
【0107】
充填制御部597は、ポケット部2に対する錠剤5の充填を行うために、充填装置57の動作を制御する。より詳しくは、充填制御部597は、フィルム受けロール20の前記エンコーダからの信号に基づき、ポケット部2が充填装置57(充填用シュート571の鉛直下方)に到達するタイミングを算出するとともに、この算出したタイミングで、充填用シュート571の下側開口部が開くように充填装置57の前記シャッタを制御する。これにより、錠剤5がポケット部2へと充填される。
【0108】
また、充填制御部597は、充填用シュート571(収容空間571a)ごとに、ポケット部2に対する錠剤5の充填回数をカウントして記憶する。
【0109】
貯留数把握部598は、複数の貯留搬送部581における錠剤5の貯留数を把握する。より詳しくは、貯留数把握部598は、供給数調節部595にて記憶された、保持部521の各列に対する錠剤5の供給数と、排出制御部596にて記憶された、保持部521の列ごとの不良品の錠剤5の排出回数と、充填制御部597に記憶された、充填用シュート571(収容空間571a)ごとの錠剤5の充填回数とに基づき、各貯留搬送部581における錠剤5の貯留数を把握する。
【0110】
そして、貯留数把握部598により把握された、各貯留搬送部581における錠剤5の貯留数に基づき、必要に応じて、供給数調節部595は、上記のように、供給装置51から保持部521の各列に対する錠剤5の供給数を調節する。
【0111】
以上詳述したように、本実施形態によれば、透明部5213を通して、錠剤5における保持部521により吸着保持されている面を撮像することができるため、1つの搬送ドラム52によって錠剤5を搬送している最中に、該錠剤5の表裏両面を撮像することができる。従って、錠剤5の表裏両面を撮像するために、錠剤5の被吸着面を反転させるための2つの搬送手段(錠剤を撮像する際に該錠剤を搬送している搬送手段)を設ける必要がない。これにより、装置の製造やメンテナンスに係るコストの増大抑制を図ることができる。
【0112】
加えて、側面表示部522を利用して、錠剤5の表面5b及び裏面5cのみならず錠剤5の側面5aに係る検査をも行うことができる。従って、錠剤5の検査精度をより高めることができる。
【0113】
また、ポケット部2に充填される前の錠剤5が検査対象であるから、不良品用ブローノズル55aによって、不良判定された錠剤5を個別に排出することができ、不良判定された錠剤5を排出するためにPTPシート1全体を排出せずに済む。従って、良品の錠剤5が無駄になる等の不都合が生じることをより確実に防止できる。
【0114】
さらに、第二カメラ54によって錠剤5の表面5b又は裏面5cと、錠剤5の側面5aとを一度に撮像することができる。従って、1の撮像画像によって錠剤5の表面5b又は裏面5cと側面5aとを同時に検査することができ、検査効率をより高めることができる。
【0115】
併せて、錠剤5の側面5aを撮像するために、第一カメラ53及び第二カメラ54とは別の撮像手段を設ける必要がないから、PTP包装機10(特に検査充填装置21)の大型化や複雑化をより確実に防止することができる。
【0116】
また、保持部521に設けられた保護部5214によって、錠剤5との接触に伴い側面表示部522に傷などがつくことをより確実に防止できる。これにより、傷などがつくことに伴う側面表示部522の交換をより確実に防止することができ、メンテナンス等に係るコストの増大抑制を一層図ることができる。尚、保護部5214は、側面表示部522に対し相対移動不能であるため、側面表示部522に対し保護部5214が相対移動することで側面表示部522が傷つくこともない。
【0117】
さらに、吸着保持された錠剤5と必ず相対向することとなる透明部5213の前記環状領域5213aにおいて、錠剤5との接触に伴う傷がつくことを抑制できる。これにより、透明部5213を通して錠剤5を撮像するときに、受傷の抑えられた良好な部分を通した撮像をより確実に行うことができる。その結果、より良好な検査精度を得ることができるとともに、その良好な検査精度をより長期にわたって維持することができる。
【0118】
また、錠剤5を吸着保持しているときにおいて、透明部5213における前記環状領域5213aでは、錠剤5との間で異物や錠剤5に付着した粉などを挟み込むといったことが生じなくなる。さらに、錠剤5における外周側に位置する部分が透明部5213と接触した状態では、前記環状領域5213aと錠剤5との間に位置する空間から吸引孔5212に向けて気体がより効果的に引かれることになる。そして、これらが相乗的に作用することで、錠剤5を吸着保持しているときに、前記環状領域5213aに付着した粉などを一層確実に吸引して除去することができる。これにより、検査精度の更なる向上などを図ることができる。
【0119】
さらに、吸着保持された錠剤5は、その外周側に位置する部分のみが透明部5213と線接触するから、錠剤5及び透明部5213の接触面積が比較的小さなものとなる。従って、錠剤5との接触に伴い透明部5213に付着する粉などを比較的少ないものとすることができる。その結果、検査精度のより一層の向上などを図ることができる。
【0120】
加えて、両カメラ53,54は、それぞれ同一の撮像ポジションP2に配置された錠剤5を撮像するから、各カメラ53,54によって錠剤5を同時に撮像することができる。従って、1の錠剤5を撮像する際において、両カメラ53,54における撮像の実行タイミングに係る制御が容易となり、装置の製造やメンテナンスに係るコストの増大抑制をより効果的に図ることができる。
【0121】
また、供給数調節部595によって、貯留数把握部598により把握された錠剤5の貯留数に基づき、供給装置51から保持部521の各列に対する錠剤5の供給数が調節される。従って、不良品用ブローノズル55aによって不良品の錠剤5が排出されたとしても、各貯留搬送部581における錠剤5の貯留数に不足が生じることをより確実に防止できる。これにより、不良品の錠剤5の排出に伴い、ポケット部2に対する錠剤5の充填に支障が生じることをより確実に防止でき、生産性(生産効率)をより向上させることができる。
【0122】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0123】
(a)上記実施形態において、側面表示部522は、第二カメラ54に向けて錠剤5の側面を映し出すことが可能に構成されている。これに対し、
図18に示すように、側面表示部523をプリズムによって構成し、側面5aからの光が側面表示部523により屈折しつつ第一カメラ53へと到達可能とすることで、第一カメラ53に向けて錠剤5の側面5aを映し出すことが可能となるように構成してもよい。この場合、同図に示すように、第一カメラ53によって、錠剤5の表面5b及び裏面5cのうちの一方と側面5aとを含む撮像画像が得られ、第二カメラ54によって、錠剤5の表面5b及び裏面5cのうちの他方を含む撮像画像が得られる。
【0124】
さらに、
図19に示すように、第一カメラ53及び第二カメラ54の双方に向けて錠剤5の側面5aを映し出すことが可能となるように側面表示部524を構成し、両カメラ53,54によって側面表示部524に映し出された錠剤5の側面5aを撮像可能としてもよい。この場合には、同図に示すように、第一カメラ53によって、錠剤5の表面5b及び裏面5cのうちの一方と側面5aとを含む撮像画像が得られ、第二カメラ54によって、錠剤5の表面5b及び裏面5cのうちの他方と側面5aとを含む撮像画像が得られる。
【0125】
上記のように両カメラ53,54によって側面5aを撮像可能とすることで、錠剤5の側面5aに係る撮像画像として、異なる二種類の画像(例えば相互に補完可能な二種類の画像)を得ることができる。これにより、錠剤5の側面5aに係る検査精度を一層高めることができる。
【0126】
尚、両カメラ53,54によって側面5aを撮像可能とするための側面表示部524は、例えば、保持部521の外周面と接する内周面524aにハーフミラーを設けたプリズムによって構成することができる。ハーフミラーでは、側面5aからの光の一部が反射され、側面5aからの光の一部が透過する。
【0127】
また、上記のようにプリズムを有する側面表示部を用いる場合には、錠剤5に照射される光の波長によって光の屈折態様が変化し、ひいてはその変化による影響が撮像画像にて生じる(例えば、撮像画像における側面5aに対応する部分のサイズなどが変化する)可能性がある。そのため、撮像画像に対し、その影響を取除くための補正を行うようにしてもよい。
【0128】
(b)保持部521や透明部5213の構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更してもよい。例えば、保持部521の底面5211aに、吸引孔5212(の開口)から放射線状に延びるとともに頂部に向けて徐々に幅狭となる複数の突条部を設けることで、保持部521により錠剤5を吸着保持した状態において、該錠剤5における外周側に位置する部分のみが透明部5213に対し点接触するように構成してもよい。
【0129】
また、保持部521における少なくとも錠剤5と接触し得る部位を、例えば透明軟質樹脂などにより形成することで、保持部521との接触に伴う錠剤5の損傷をより確実に防止可能としてもよい。
【0130】
さらに、例えば底面5211aを平坦面状とすることで、保持部521により錠剤5を吸着保持した状態において、該錠剤5の表面5b又は裏面5cが保持部521(透明部5213)に対し面接触するようにしてもよい。
【0131】
(c)上記実施形態では、搬送ドラム52から錠剤5を受取るための中間ドラム561が設けられているが、中間ドラム561を設けないこととしてもよい。例えば、中間ドラム561を省略し、中間シュート562へと錠剤5が直接的に投入されるような構成としてもよい。また、中間ドラム562に代えて、搬送ドラム52から落下した錠剤5を中間シュート562側へと搬送する装置(例えば、直進フィーダなど)を設けてもよい。
【0132】
(d)上記実施形態では、保持部521の列数や貯留搬送部581の数が5とされており、検査充填装置21において、錠剤5は5列に並んだ状態で搬送されているが、容器フィルム3におけるポケット部2の列数などに応じて、検査充填装置21による搬送時の錠剤5の列数を適宜変更してもよい。
【0133】
(e)上記実施形態では、錠剤5として、平面視円形状をなす円盤状の素錠(円盤形状の平錠)が例示されているが、錠剤の種別や形状等については、上記実施形態に限定されるものではない。例えば錠剤には、医薬のみならず、飲食用に用いられる錠剤なども含まれる。また、錠剤には、素錠のみならず、糖衣錠やフィルムコーティング錠、口腔内崩壊錠、腸溶錠、ゼラチン被包錠などが含まれるのは勿論のこと、硬カプセルや軟カプセルなどの各種カプセル錠なども含まれる。
【0134】
さらに、錠剤の形状に関しては、例えば平面視円形状のみならず、平面視多角形状、平面視楕円形状、平面視長円形状等であってもよい。
【0135】
(f)製造されるPTPシートの構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えばPTPシート1単位のポケット部2の配列や個数を適宜変更してもよい。
【0136】
(g)上記実施形態では、ブリスタシートとしてPTPシート1を挙げているが、PTPシート1以外のブリスタシートに対し本発明の技術思想を適用してもよい。
【符号の説明】
【0137】
1…PTPシート(ブリスタシート)、2…ポケット部、3…容器フィルム、4…カバーフィルム、5…錠剤、5a…(錠剤の)側面、5b…(錠剤の)表面、5c…(錠剤の)裏面、10…PTP包装機(ブリスタ包装機)、51…供給装置(錠剤供給手段)、52…搬送ドラム(搬送手段)、53…第一カメラ(第一撮像手段)、54…第二カメラ(第二撮像手段)、55a…不良品用ブローノズル(不良品排出手段)、57…充填装置(充填手段)、58…バッファ装置(バッファ手段)、521…保持部、522,523,524…側面表示部、581…貯留搬送部、593…判定部(判定手段)、595…供給数調節部(供給数調節手段)、598…貯留数把握部(貯留数把握手段)、5212…吸引孔、5213…透明部、5214…保護部、P2…撮像ポジション。