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特開2023-127074乗務員操配システム、乗務員操配方法及び乗務員操配プログラム
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  • 特開-乗務員操配システム、乗務員操配方法及び乗務員操配プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127074
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】乗務員操配システム、乗務員操配方法及び乗務員操配プログラム
(51)【国際特許分類】
   B61L 27/18 20220101AFI20230906BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20230906BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20230906BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20230906BHJP
【FI】
B61L27/18
G06Q50/30
G16Y10/40
G16Y40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030626
(22)【出願日】2022-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 智昭
(72)【発明者】
【氏名】若井 雅宏
(72)【発明者】
【氏名】小西 勇介
(72)【発明者】
【氏名】川崎 健志
(72)【発明者】
【氏名】根本 逸平
【テーマコード(参考)】
5H161
5L049
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161JJ01
5H161JJ21
5H161JJ31
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】列車のダイヤに乱れが生じた際の乗務員の操配に係る負担を低減する。
【解決手段】乗車させる乗務員が決まっていない列車である未充当列車と、乗車する列車が決まっていない乗務員であるフリー乗務員と、の組み合わせのそれぞれについて、重み値情報D7に従って組合せ別合算重み値を決定する数値決定手段(制御部11)と、数値決定手段が決定した組合せ別合算重み値を用いて、未充当列車に乗車させるべきフリー乗務員を決定する最適組合せ決定手段(制御部11)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗車させる乗務員が決まっていない列車である未充当列車と、乗車する列車が決まっていない乗務員であるフリー乗務員と、の組み合わせのそれぞれについて、予め定められた基準に従って数値を決定する数値決定手段と、
前記数値決定手段が決定した前記数値を用いて、前記未充当列車に乗車させるべき前記フリー乗務員を決定する最適組合せ決定手段と、
を備えることを特徴とする乗務員操配システム。
【請求項2】
前記最適組合せ決定手段は、全ての前記未充当列車に前記フリー乗務員を乗車させつつ、前記未充当列車と前記フリー乗務員との組合せのそれぞれに決定された前記数値を合算した値が最も小さくなるように又は最も大きくなるように、前記未充当列車に乗車させるべき前記フリー乗務員を決定することを特徴とする請求項1に記載の乗務員操配システム。
【請求項3】
前記数値決定手段は、複数の条件及び前記条件のそれぞれを満たす場合に付与される値である重み値が予め定められた重み値情報を用いて、前記未充当列車と前記フリー乗務員との組み合わせのそれぞれについて、各組合せが満たしている前記条件に対応した前記重み値を合算することで、前記数値を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の乗務員操配システム。
【請求項4】
前記重み値情報は、前記条件のそれぞれを満たす場合に付与される重み値について複数パターンの情報を含み、
複数パターンの前記重み値の中から、使用する前記重み値のパターンを決定する使用パターン決定手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の乗務員操配システム。
【請求項5】
前記使用パターン決定手段は、列車の運行状況に応じて、使用する前記重み値のパターンを決定することを特徴とする請求項4に記載の乗務員操配システム。
【請求項6】
前記使用パターン決定手段は、列車の運転が止まっている区間が存在する状況と、列車の運転が止まっている区間は存在せず遅延のみが生じている状況と、で使用する前記重み値のパターンを変更することを特徴とする請求項5に記載の乗務員操配システム。
【請求項7】
前記重み値情報に含まれる複数の条件は、乗務員が本来乗務予定であった列車と異なる列車に乗車するという第1条件を含み、列車の運転が止まっている区間が存在する状況と比較して、列車の運転が止まっている区間は存在せず遅延のみが生じている状況において、前記第1条件を満たす場合に付与される前記重み値が高くなることを特徴とする請求項6に記載の乗務員操配システム。
【請求項8】
前記重み値情報は、前記条件のそれぞれを満たす場合に付与される前記重み値について複数パターンの情報を含み、
前記数値決定手段は、複数の前記重み値のパターンを使用して、前記重み値のパターン毎に、前記未充当列車と前記フリー乗務員との組み合わせのそれぞれについて前記数値を決定し、
前記最適組合せ決定手段は、前記数値決定手段が決定した複数の前記数値を用いて、前記数値毎に前記フリー乗務員を抽出した上で、抽出した前記フリー乗務員から、前記未充当列車に乗車させるべき前記フリー乗務員を決定することを特徴とする請求項3から7のいずれか一項に記載の乗務員操配システム。
【請求項9】
前記未充当列車と前記フリー乗務員との組合せから、列車に乗車する乗務員を決定する際に確実に順守する必要のある事項である順守事項を満たすものを抽出する第1抽出手段を備え、
前記数値決定手段は、前記第1抽出手段が抽出した前記未充当列車と前記フリー乗務員との組み合わせのそれぞれについて、予め定められた基準にしたがって数値を決定し、
前記最適組合せ決定手段は、前記第1抽出手段が抽出した組合せに合致する前記未充当列車と前記フリー乗務員との組合せの中からのみ、前記未充当列車に乗車させるべき前記フリー乗務員を決定することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の乗務員操配システム。
【請求項10】
列車のダイヤに係る情報及び乗務員の操配に係る情報と、列車の運転整理に係る情報及び/又は列車の遅延に係る情報を用いて、前記未充当列車及び前記フリー乗務員を抽出する第2抽出手段を備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の乗務員操配システム。
【請求項11】
乗車させる乗務員が決まっていない列車である未充当列車と、乗車する列車が決まっていない乗務員であるフリー乗務員と、の組み合わせのそれぞれについて、予め定められた基準に従って数値を決定する数値決定ステップと、
前記数値決定ステップにおいて決定した前記数値を用いて、前記未充当列車に乗車させるべき前記フリー乗務員を決定する最適組合せ決定ステップと、
を含むことを特徴とする乗務員操配方法。
【請求項12】
コンピュータを、
乗車させる乗務員が決まっていない列車である未充当列車と、乗車する列車が決まっていない乗務員であるフリー乗務員と、の組み合わせのそれぞれについて、予め定められた基準に従って数値を決定する数値決定手段、
前記数値決定手段が決定した前記数値を用いて、前記未充当列車に乗車させるべき前記フリー乗務員を決定する最適組合せ決定手段、
として機能させることを特徴とする乗務員操配プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗務員操配システム、乗務員操配方法及び乗務員操配プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
列車に乗車する乗務員の操配は、各列車に必要な乗務員が確実に乗車できるようになされているが、列車の運行中に事故や車両故障等によってダイヤに乱れが生じた場合には、列車に当初予定されていた乗務員を乗車させることが不可能となる場合があり、この場合、乗務員の再度の操配を行う必要がある。
なお、列車に乗車する乗務員を決定することを、「操配」という。
【0003】
このような乗務員の再度の操配は、乗務員を乗車させることができず、運行できなくなる列車が生じないようにするため、ダイヤに乱れが生じた場合に迅速に行う必要があるが、乗務員の操配を行う担当者が、ダイヤに乱れが生じた際に、様々な条件を考慮の上、どの乗務員をどの列車に乗車させるのが適切であるかを判断し、再度の操配を行うのは非常に手間が掛かる。
【0004】
そこで、このような乗務員の再度の操配時に、操配を行う担当者に対し、各列車に乗車させるべき乗務員の候補を提示することで、乗務員の操配を支援することを目的としたシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-146028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなシステムにおいては、操配を行う担当者に対し、各列車に乗車させるべき乗務員の候補を提示することまではできるものの、提示された候補者から各列車に乗車させるべき乗務員を決定する作業は、当該担当者自身が行うことを要することから、乗務員の操配に係る担当者の負担の低減は十分ではなかった。
【0007】
本発明の課題は、列車のダイヤに乱れが生じた際の乗務員の操配に係る負担を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、乗務員操配システムにおいて、
乗車させる乗務員が決まっていない列車である未充当列車と、乗車する列車が決まっていない乗務員であるフリー乗務員と、の組み合わせのそれぞれについて、予め定められた基準に従って数値を決定する数値決定手段と、
前記数値決定手段が決定した前記数値を用いて、前記未充当列車に乗車させるべき前記フリー乗務員を決定する最適組合せ決定手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の乗務員操配システムにおいて、
前記最適組合せ決定手段は、全ての前記未充当列車に前記フリー乗務員を乗車させつつ、前記未充当列車と前記フリー乗務員との組合せのそれぞれに決定された前記数値を合算した値が最も小さくなるように又は最も大きくなるように、前記未充当列車に乗車させるべき前記フリー乗務員を決定することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の乗務員操配システムにおいて、
前記数値決定手段は、複数の条件及び前記条件のそれぞれを満たす場合に付与される値である重み値が予め定められた重み値情報を用いて、前記未充当列車と前記フリー乗務員との組み合わせのそれぞれについて、各組合せが満たしている前記条件に対応した前記重み値を合算することで、前記数値を決定することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の乗務員操配システムにおいて、
前記重み値情報は、前記条件のそれぞれを満たす場合に付与される重み値について複数パターンの情報を含み、
複数パターンの前記重み値の中から、使用する前記重み値のパターンを決定する使用パターン決定手段を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の乗務員操配システムにおいて、
前記使用パターン決定手段は、列車の運行状況に応じて、使用する前記重み値のパターンを決定することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の乗務員操配システムにおいて、
前記使用パターン決定手段は、列車の運転が止まっている区間が存在する状況と、列車の運転が止まっている区間は存在せず遅延のみが生じている状況と、で使用する前記重み値のパターンを変更することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の乗務員操配システムにおいて、
前記重み値情報に含まれる複数の条件は、乗務員が本来乗務予定であった列車と異なる列車に乗車するという第1条件を含み、列車の運転が止まっている区間が存在する状況と比較して、列車の運転が止まっている区間は存在せず遅延のみが生じている状況において、前記第1条件を満たす場合に付与される前記重み値が高くなることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項3から7のいずれか一項に記載の乗務員操配システムにおいて、
前記重み値情報は、前記条件のそれぞれを満たす場合に付与される前記重み値について複数パターンの情報を含み、
前記数値決定手段は、複数の前記重み値のパターンを使用して、前記重み値のパターン毎に、前記未充当列車と前記フリー乗務員との組み合わせのそれぞれについて前記数値を決定し、
前記最適組合せ決定手段は、前記数値決定手段が決定した複数の前記数値を用いて、前記数値毎に前記フリー乗務員を抽出した上で、抽出した前記フリー乗務員から、前記未充当列車に乗車させるべき前記フリー乗務員を決定することを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載の乗務員操配システムにおいて、
前記未充当列車と前記フリー乗務員との組合せから、列車に乗車する乗務員を決定する際に確実に順守する必要のある事項である順守事項を満たすものを抽出する第1抽出手段を備え、
前記数値決定手段は、前記第1抽出手段が抽出した前記未充当列車と前記フリー乗務員との組み合わせのそれぞれについて、予め定められた基準にしたがって数値を決定し、
前記最適組合せ決定手段は、前記第1抽出手段が抽出した組合せに合致する前記未充当列車と前記フリー乗務員との組合せの中からのみ、前記未充当列車に乗車させるべき前記フリー乗務員を決定することを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれか一項に記載の乗務員操配システムにおいて、
列車のダイヤに係る情報及び乗務員の操配に係る情報と、列車の運転整理に係る情報及び/又は列車の遅延に係る情報を用いて、前記未充当列車及び前記フリー乗務員を抽出する第2抽出手段を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載の発明は、乗務員操配方法において、
乗車させる乗務員が決まっていない列車である未充当列車と、乗車する列車が決まっていない乗務員であるフリー乗務員と、の組み合わせのそれぞれについて、予め定められた基準に従って数値を決定する数値決定ステップと、
前記数値決定ステップにおいて決定した前記数値を用いて、前記未充当列車に乗車させるべき前記フリー乗務員を決定する最適組合せ決定ステップと、
を含むことを特徴とする。
【0019】
請求項12に記載の発明は、乗務員操配プログラムにおいて、
コンピュータを、
乗車させる乗務員が決まっていない列車である未充当列車と、乗車する列車が決まっていない乗務員であるフリー乗務員と、の組み合わせのそれぞれについて、予め定められた基準に従って数値を決定する数値決定手段、
前記数値決定手段が決定した前記数値を用いて、前記未充当列車に乗車させるべき前記フリー乗務員を決定する最適組合せ決定手段、
として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、列車のダイヤに乱れが生じた際の乗務員の操配に係る負担を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係る乗務員操配システムの構成を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る乗務員操配システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図1から図2に基づいて、本発明の実施形態である乗務員操配システム100について説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、図示例に限定されるものではない。
【0023】
[第1 構成の説明]
乗務員操配システム100は、列車のダイヤに乱れが生じた際に、列車に乗車する乗務員の操配を再度行い、各列車に乗車する乗務員を決定するためのシステムであり、図1に示すように、組合せ生成サーバ1、組合せ最適化サーバ2及び操作端末3を備えて構成され、これら装置の間は、通信ネットワークNを介して接続されている。
【0024】
なお、上記各サーバは、必ずしも別個に設けられていることを要せず、単一の装置が、これら複数のサーバとしての機能を兼ねていてもよい。
また、反対に、上記各サーバは、必ずしも単一の装置によって実現されていることを要せず、複数台の装置が通信ネットワークNを介して接続されることで、各サーバとしての機能が実現されていてもよい。
【0025】
[1 組合せ生成サーバ]
組合せ生成サーバ1は、例えば、乗務員操配システム100を管理・運営する企業等が保有するコンピュータであり、後述の本システムの動作のうち、ステップS1からS7及びS12からS13の処理を行う。
組合せ生成サーバ1は、図1に示すように、例えば、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、を備えて構成されている。
【0026】
組合せ生成サーバ1を構成するコンピュータの種類は特に限定されず、一般的な従来型のコンピュータ(古典コンピュータ)を使用すればよい。
【0027】
[(1) 制御部]
制御部11は、組合せ生成サーバ1の動作を制御する部分であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成され、記憶部12に記憶されたプログラムデータとCPUとの協働により、組合せ生成サーバ1の各部を統括制御する。
【0028】
[(2) 記憶部]
記憶部12は、組合せ生成サーバ1の運用に必要となる各種情報が記憶される部分であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリ等により構成され、後述の動作の説明において述べる組合せ生成サーバ1の動作に必要となるデータを、制御部11から読み書き可能に記憶する。
また、記憶部12には、組合せ生成サーバ1を動作させるための制御部11への各種命令を含むプログラムが記憶されており、後述の動作の説明において述べる組合せ生成サーバ1の動作は、記憶部12に記憶されたプログラムに従ってなされることとなる。
【0029】
[(3) 通信部]
通信部13は、組合せ生成サーバ1と、組合せ最適化サーバ2及び操作端末3との間の通信に用いられる部分であり、例えば、通信用IC(Integrated Circuit)及び通信コネクタなどを有する通信インターフェイスであり、制御部11の制御の元、所定の通信プロトコルを用いて、通信ネットワークNを介したデータ通信を行う。
【0030】
[2 組合せ最適化サーバ]
組合せ最適化サーバ2は、例えば、乗務員操配システム100を管理・運営する企業等が保有するコンピュータであり、後述のように、本システムの動作のうち、ステップS8からS11の処理を行う。
組合せ最適化サーバ2は、図1に示すように、組合せ生成サーバ1と同様、例えば、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、を備えて構成されている。
【0031】
組合せ最適化サーバ2を構成するコンピュータの種類は特に限定されないが、後述のような最適な組み合わせの決定に係る処理を迅速に行う観点から、組合せ最適化問題を解くために最適化された処理能力の高いコンピュータであることが好ましい。
【0032】
[3 操作端末]
操作端末3は、乗務員の操配を行う所定の担当者が使用するPC(Personal Computer)等の情報機器であり、後述のように、組合せ生成サーバ1への情報の入力や、組合せ生成サーバ1からの情報の受信等に用いられる。
操作端末3は、図1に示すように、例えば、組合せ生成サーバ1と同様に、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、を備えると共に、さらに、表示部34と、操作部35と、を備えて構成されている。
【0033】
表示部34は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイを備え、制御部31から出力された表示制御信号に基づいた画像を表示画面に表示する。
【0034】
操作部35は、例えば、文字入力キー、数字入力キー、その他各種機能に対応付けられたキーを有するキーボード等を備え、乗務員の操配を行う所定の担当者からの操作入力を受け付けて、操作入力に応じた操作信号を制御部31へと出力する。操作部35は、例えば、表示部34と一体的に形成されたタッチパネル等であってもよく、乗務員の操配を行う所定の担当者からの操作入力を受け付けることができるものであれば特に限定されない。
【0035】
[4 通信ネットワーク]
通信ネットワークNは、例えば、インターネット、電話回線網、携帯電話通信網、無線LAN通信網等であり、図1に示すように、乗務員操配システム100を構成する各装置の間を接続する。
通信ネットワークNとしては、上記のように乗務員操配システム100を構成する各装置間を接続し、これらの間でデータの送受信を行うことが可能なものであれば特に限定されない。
【0036】
[第2 動作の説明]
次に、本実施形態に係る乗務員操配システム100の動作について説明する。
【0037】
本システムによる乗務員の操配の対象とする所定の路線を走行する列車について、事故や車両故障等によってダイヤに乱れが生じた場合、組合せ生成サーバ1は、まず、ダイヤに乱れが生じた路線の列車のダイヤに関する情報である列車ダイヤ情報D1及び当該路線について予め決定している乗務員の操配(どの乗務員がどの列車に乗車するか)に関する情報である乗務員運用情報D2を取得し、記憶部12に記憶させる(ステップS1)。
【0038】
列車ダイヤ情報D1及び乗務員運用情報D2の取得方法は特に限定されず、これら情報を管理する外部のシステムから送信された情報を通信部13によって受信するようにしてもよいし、乗務員の操配を行う担当者が操作端末3の操作部35を用いて入力するようにしてもよい。
【0039】
列車ダイヤ情報D1及び乗務員運用情報D2を取得すると、続いて、組合せ生成サーバ1は、ダイヤに乱れが生じた路線について、列車の運転整理、すなわち、列車の運休、運行区間の変更、臨時の出区等に関する情報である列車運転整理情報D3及び列車の遅延状況、すなわち、当該路線を走行する各列車がそれぞれ何分遅れているかに関する情報である列車遅延情報D4を取得し、記憶部12に記憶させる(ステップS2)。
【0040】
列車運転整理情報D3及び列車遅延情報D4の取得方法も特に限定されず、これら情報を管理する外部のシステムから送信された情報を通信部13によって受信するようにしてもよいし、乗務員の操配を行う担当者が操作端末3の操作部35を用いて入力するようにしてもよい。
【0041】
組合せ生成サーバ1は、ダイヤの乱れが解消するまでの間、所定の時間間隔で繰り返し、当該時点における最新の情報を反映した列車運転整理情報D3及び列車遅延情報D4を取得し、組合せ生成サーバ1が列車運転整理情報D3及び列車遅延情報D4を取得するたびに、以下に述べるステップS3以下の処理が繰り返し行われることとなる。
【0042】
列車運転整理情報D3及び列車遅延情報D4を取得すると、続いて、組合せ生成サーバ1の制御部11は、ステップS1で取得した列車ダイヤ情報D1に、ステップS2で取得した列車運転整理情報D3を反映させる(ステップS3)。
すなわち、列車ダイヤ情報D1に係る列車のダイヤに、列車運転整理情報D3に係る列車の運休や運行区間の変更を反映させ、列車の運休や運行区間の変更が反映されたダイヤを作成する。
【0043】
続いて、組合せ生成サーバ1の制御部11は、ステップS1で取得し、ステップS3で列車運転整理情報D3を反映させた列車ダイヤ情報D1に、ステップS2で取得した列車遅延情報D4を反映させる(ステップS4)。
すなわち、列車ダイヤ情報D1に係る列車のダイヤに、列車遅延情報D4に係る列車の遅延時間を反映させることで、列車の運休や運行区間の変更に加えて、列車の遅延時間が反映されたダイヤを作成する。
【0044】
なお、ステップS3の列車運転整理情報D3の反映及びステップS4の列車遅延情報D4の反映を両方行うことは必須ではなく、例えば、列車に遅延が生じていないことが予め判明している場合には列車運転整理情報D3の反映のみを行うようにしてもよいし、列車に運休や運行区間の変更が生じていないことがあらかじめ判明している場合には列車遅延情報D4の反映のみを行うようにしてもよい。
【0045】
続いて、組合せ生成サーバ1の制御部11は、ステップS3で列車運転整理情報D3を反映させ、ステップS4で列車遅延情報D4を反映させた列車ダイヤ情報D1と、乗務員運用情報D2とを用いて、列車のダイヤの乱れによって従来予定していた乗務員を乗車させることができなくなり、乗車させる乗務員が決まっていない列車(以下、「未充当列車」という。)及びダイヤの乱れによって従来予定していた列車に乗車することができなくなり、乗車する列車が決まっていない乗務員(以下、「フリー乗務員」という。)の抽出を行う(ステップS5)。
【0046】
具体的には、組合せ生成サーバ1の制御部11は、下記のような乗務員及び列車を抽出することによって、未充当列車及びフリー乗務員の抽出を行う。
【0047】
例えば、運休となる列車が生じた場合、当該列車に乗車予定であった乗務員がフリー乗務員となる。また、これによって当該乗務員が当該列車に乗車して移動できず、その次に乗車予定の列車にも乗車できなくなった場合、当該乗務員がフリー乗務員となると共に、次に乗車予定の列車が未充当列車となる。
また、例えば、運行区間が変更となる列車が生じた結果として、当該列車に乗車する乗務員が次に乗車予定の列車に乗車できなくなった場合、当該乗務員がフリー乗務員となると共に、次に乗車予定の列車が未充当列車となる。
また、例えば、列車に遅延が生じた結果として、当該列車に乗車する乗務員が次に乗車予定の列車に乗車できなくなった場合、当該乗務員がフリー乗務員となると共に、次に乗車予定の列車が未充当列車となる。
【0048】
未充当列車及びフリー乗務員の抽出が完了すると、続いて、組合せ生成サーバ1の制御部11は、ステップS5で抽出した未充当列車及びフリー乗務員について、フリー乗務員を未充当列車に乗車させることができる未充当列車とフリー乗務員との組合せを全て抽出する(ステップS6)。
【0049】
具体的には、列車に乗車する乗務員を決定するに際して確実に順守すべきルールに関する情報である順守事項情報D5を記憶部12に記憶させておき、当該ルールに合致する未充当列車及びフリー乗務員の組合せを全て抽出すればよい。
【0050】
この場合の順守事項情報D5に含まれる順守すべきルールとしては、例えば以下のものが挙げられる。
・ 列車のダイヤ及び運転整理に合致すること。
・ 全ての列車に常時運転士(列車を運転できる乗務員)が乗車すること。
・ 乗務担当エリア(各乗務員が乗務担当可能なエリア)及び乗務担当車種(各乗務員が乗務担当可能な車種)に合致すること。
・職場がある駅から乗務を開始し、職場がある駅で乗務終了すること。
・宿泊者数を変更しないこと。
【0051】
フリー乗務員を未充当列車に乗車させることができる未充当列車とフリー乗務員との組合せの抽出が完了すると、続いて、組合せ生成サーバ1の制御部11は、ステップS6で抽出したフリー乗務員と未充当列車との全組合せに係る情報(乗車可能組合せ情報D6)を、通信部13から通信ネットワークNを介して、組合せ最適化サーバ2へと送信する(ステップS7)。
【0052】
通信部23によって、乗車可能組合せ情報D6を受信した組合せ最適化サーバ2においては、制御部21が、適用する重み値を決定する(ステップS8)。
【0053】
すなわち、組合せ最適化サーバ2においては、記憶部22に、複数の条件と各条件をフリー乗務員と未充当列車との組合せが満たす場合に適用される複数パターンの数値(重み地)とが紐付けられた情報(重み値情報D7)を予め記憶させておき、このような複数パターンの重み値から選択することで、適用する重み値を決定する。
【0054】
重み値情報D7に含まれる条件及び各条件に付された重み値としては、例えば以下の表Iに示すものが挙げられる。表Iにおいては、条件が5つ、重み値のパターンが3パターンの場合について図示しているが、条件の種類及び重み値のパターン数はこれに限られるものではなく、例えば、より多数の条件を設けてもよいし、より多数の重み地のパターンを設けてもよい。
【0055】
【表1】
【0056】
なお、表Iにおいて「便乗移動する」とは、乗務員が、列車を運転することなく、乗車予定の場所に到着するために他の乗務員が運転する列車に乗車して移動することを要する場合を指す。乗務員が列車を運転することなく純粋に移動目的のみで列車に乗車するのは非効率であることから、重み値が付されている。
【0057】
「退勤時間に近い」というのは、乗務時間が乗務員の退勤時間から所定の時間以内である場合を指す。乗務時間が退勤時間に近い場合、残業に繋がる可能性があり好ましくないことから、重み値が付されている。
【0058】
「乗務終了箇所以外に向かう」というのは、乗務員が、本来の乗務終了箇所と異なる場所に向かう列車に乗車することを指す。本来の乗務終了箇所と異なる場所に向かうことは好ましくないことから、重み値が付されている。
【0059】
「乗継までの時間」というのは、乗務員が乗務を開始するまでの待機時間が所定の時間を超える場合を指す。待機時間が長くなることは好ましくないことから、重み値が付されている。
【0060】
「所定行路以外に乗務する」というのは、乗務員が本来乗務予定であった列車と異なる列車に乗車することを指す。乗務員が本来乗務予定であった列車と異なる列車に乗車することは好ましくないことから、重み値が付されている。
【0061】
組合せ最適化サーバ2の制御部21は、重み値情報D7に含まれる複数の重み値のパターンから、例えば、ダイヤ乱れが発生した路線における列車の運行の具体的な状況に応じて、適用する重み値のパターンを決定する。
例えば、運転再開前(事故や車両故障等によって列車の運転が止まっている区間が存在する状況)では、重み値1を使用し、運転再開後(運転が止まっている区間は存在しなくなったものの、遅延が残存している状況)では、重み値2を使用するといった形で、適用する重み値を決定することとなる。
【0062】
この際には、運転再開前と比較して、運転再開後において、「所定行路以外に乗務する」という条件を満たす場合に適用される重み値を高くすることが好ましい。
「所定行路以外に乗務する」という条件を満たす場合に適用される重み値を高くし、乗務員を元々乗車予定であった列車に戻す力を徐々に強めることが、乗務員配置の辻褄を合わせ、ステップS6で、特定の未充当列車について、乗車させることができるフリー乗務員が抽出されなくなってしまうことを防止する上で有効だからである。
また、運転再開後においても、「所定行路以外に乗務する」という条件を満たす場合に適用される重み値を段階的に高くしていくことがさらに好ましい。
【0063】
適用する重み値を決定すると、組合せ最適化サーバ2の制御部21は、乗車可能組合せ情報D6に含まれる未充当列車とフリー乗務員との組合せのそれぞれについて、該当する条件に対応した重み値を合算した数値(以下、「組合せ別合算重み値」という。)を算出する(ステップS9)。
このような組合せ別合算重み値が、未充当列車とフリー乗務員との組み合わせのそれぞれについて、重み値情報D7という予め定められた基準に従って決定された数値に該当し、後述の最適な組合せの決定において使用されることとなる。
組合せ別合算重み値は、例えば、表Iに示した重み値1を適用した場合に、「便乗移動する」、「退勤時間に近い」及び「乗務終了箇所以外に向かう」の3つに該当した組合せがあれば、これら条件に付された重み値を合算して、0.3と算出されることとなる。
【0064】
表Iに示した重み値情報D7の重み値1を適用した場合に、乗車可能組合せ情報D6に係る未充当列車とフリー乗務員との組合せのそれぞれについて、組合せ別合算重み値を決定した結果の一例を、表IIに示す。
なお、aからdは未充当列車を指し、AからEはフリー乗務員を指し、これらが交差する箇所に記載された数値が、当該組合せについて、該当する条件に対応した重み値を合算して算出された組合せ別合算重み値である。
また、空欄部分は、ステップS6においてフリー乗務員を未充当列車に乗車させることができる未充当列車とフリー乗務員との組合せとして抽出されなかった組合せである。
【0065】
【表2】
【0066】
続いて、組合せ最適化サーバ2においては、制御部21が、ステップS9で算出した組合せ別合算重み値を用いて、各未充当列車に乗車させるべきフリー乗務員を決定する(ステップS10)。
【0067】
具体的には、ステップS5で抽出された全ての未充当列車に順守事項情報D5に係る順守事項を順守したフリー乗務員を乗車させつつ、未充当列車とフリー乗務員との全組合せに関するステップS9で算出した組合せ別合算重み値を合算した値が最も小さくなるように、各未充当列車に乗車させるべきフリー乗務員を決定する。
【0068】
表IIの例であれば、例えば、未充当列車aにフリー乗務員Aが乗車する組合せ、未充当列車bにフリー乗務員Eが乗車する組合せ、未充当列車cにフリー乗務員Cが乗車する組合せ、未充当列車dにフリー乗務員Bが乗車する組合せが最適な組合せとして、各未充当列車に乗車させるべきフリー乗務員が決定されることとなる。
【0069】
なお、上記においては、重み値情報D7に係る重み値を、好ましくないもの程数値が高くなるように設定したことから、組合せ別合算重み値を合算した値が最も小さくなるように各未充当列車に乗車させるべきフリー乗務員を決定することとしたが、これとは反対に、重み値情報D7に係る重み値を、好ましくないもの程数値が低くなるように設定した上で、組合せ別合算重み値を合算した値が最も大きくなるように各未充当列車に乗車させるべきフリー乗務員を決定することも可能である。
【0070】
なお、このような複数の組合せからの最適な組合せの決定は、いわゆる組合せ最適化問題となり、未充当列車及び/又はフリー乗務員の数が増えると、爆発的に選択肢が増加し、従来型のコンピュータで行うと、処理に非常に長い時間を要する可能性がある。
そこで、上記のように、組合せ最適化サーバ2としては、組合せ最適化問題を解くために最適化された処理能力の高いコンピュータを使用することが好ましい。組合せ最適化サーバ2として、組合せ最適化問題を解くために十分な処理能力を有するコンピュータを使用すれば、未充当列車及び/又はフリー乗務員の数が増えても、最適な組合せの決定を比較的短時間で行うことが可能となる。
【0071】
各未充当列車に乗車させるべきフリー乗務員を決定すると、組合せ最適化サーバ2の制御部21は、通信部23から通信ネットワークNを介して、決定した各未充当列車に乗車させるべきフリー乗務員に関する情報(最適組合せ情報D8)を、組合せ生成サーバ1へと送信し(ステップS11)、通信部13によって最適組合せ情報D8を受信した組合せ生成サーバ1においては、制御部11が、通信部13から通信ネットワークNを介して、最適組合せ情報D8を、操作端末3へと送信する(ステップS12)。
これによって、操作端末3を使用する乗務員の操配を行う所定の担当者が、最適組合せ情報D8を確認することが可能となる。
【0072】
ステップS12まで完了すると、組合せ生成サーバ1においては、制御部11が、ステップS1で列車ダイヤ情報D1を取得した路線についてダイヤの乱れが解消したか否かについて判定し(ステップS13)、ダイヤの乱れが解消したと判定した場合には、処理を終了する。
これに対し、ダイヤの乱れが解消していないと判定した場合には、ステップS2に戻り、組合せ生成サーバ1において、前回の列車運転整理情報D3及び列車遅延情報D4の取得から所定の時間経過後に、当該時点における最新の情報を反映した列車運転整理情報D3及び列車遅延情報D4を取得し、ステップS2からステップS12の処理を、ダイヤの乱れが解消されるまで連続して行うこととなる。
このようにステップS2からステップS12の処理を繰り返す際には、ステップS8で述べたように、列車の運行の具体的な状況に応じて、適用する重み値のパターンが変更されることとなる。
【0073】
[第3 効果の説明]
次に、本実施形態に係る乗務員操配システム100の効果について説明する。
【0074】
本実施形態に係る乗務員操配システム100によれば、組合せ最適化サーバ2において、乗車させる乗務員が決まっていない列車である未充当列車と、乗車する列車が決まっていない乗務員であるフリー乗務員と、の組み合わせのそれぞれについて、重み値情報D7に従って組合せ別合算重み値を決定した上で、決定した組合せ別合算重み値を用いて、未充当列車に乗車させるべきフリー乗務員を決定する。
これによって、列車のダイヤに乱れが生じ、再度の乗務員の操配が必要となった際に、操配を行う担当者に対し、単に各列車に乗車させるべき乗務員の候補を提示するにとどまらず、未充当列車に乗車させるべきフリー乗務員を決定された形で提示することが可能となることから、上記担当者が候補者の中から各未充当列車に乗車させるフリー乗務員を決定する必要がなくなり、列車のダイヤに乱れが生じた際の乗務員の操配に係る担当者の負担を低減することができる。
【0075】
また、組合せ最適化サーバ2において、重み値情報D7に従って、未充当列車とフリー乗務員との組合せのそれぞれについて、各組合せが満たしている条件に対応した重み値を合算して組合せ別合算重み値を算出した上で、全ての未充当列車にフリー乗務員を乗車させつつ、未充当列車とフリー乗務員との組合せのそれぞれについて決定された組合せ別合算重み値を合算した値が最も小さくなるようにして、未充当列車に乗車させるべきフリー乗務員を決定することによって、全体の重み値が最も小さくなる未充当列車とフリー乗務員との組み合わせを決定できる。そして、上記のように、重み値は好ましくない条件を満たす場合に付与される値であることから、このような全体の重み値が最も小さくなる組合せが、フリー乗務員と未充当列車との最適な組合せとなる。
【0076】
また、重み値情報D7が複数パターンの重み値を含み、組合せ最適化サーバ2において、列車の運行状況に応じて、このような複数パターンの重み値の中から使用する重み値のパターンを決定することで、列車の具体的な運行状況に応じて、各条件により適切な重み付けを行って、フリー乗務員と未充当列車との最適な組合せを決定することが可能となる。
【0077】
また、組合せ最適化サーバ2において、このような使用する重み値のパターンの決定時に、列車の運転が止まっている区間が存在する運転再開前の状況と、列車の運転が止まっている区間は存在せず遅延のみが生じている運転再開後の状況と、で使用する重み値のパターンを変更することで、列車の運転再開の前後で、異なる重み値を適用することが可能となる。
すなわち、列車の運転が止まっている区間が存在する状況と、単に遅延が生じているのみの状況とでは、重み値情報D7に含まれる条件ごとの重要性に大きな違いが生じることが予想されるところ、列車の運転が止まっている区間が存在する状況と、単に遅延が生じているのみの状況とで使用する重み値のパターンを使い分けることで、このような条件の重要性の違いに対応することが可能となる。
【0078】
また、重み値情報D7に含まれる条件が、乗務員が本来乗務予定であった列車と異なる列車に乗車する場合を意味する「所定行路以外に乗務する」という条件を含み、適用する重み値の決定時に、列車の運転が止まっている区間が存在する状況と比較して、列車の運転が止まっている区間は存在せず遅延のみが生じている状況において、「所定行路以外に乗務する」という条件を満たす場合に付与される重み値が高くなるようにすることで、列車の運転再開後に、乗務員を元々乗車予定であった列車に戻す力を強めることができ、乗務員配置の辻褄を合わせ、ステップS6で、特定の未充当列車について、乗務させることができるフリー乗務員が抽出されなくなってしまうおそれを低減することができる。
【0079】
また、組合せ生成サーバ1において、未充当列車とフリー乗務員との組合せから、順守事項情報D5に係る順守すべきルールに合致するもののみを予め抽出した上で、組合せ最適化サーバ2において、順守事項情報D5に係る順守すべきルールに合致する未充当列車とフリー乗務員との組み合わせのそれぞれについて組合せ別合算重み値を決定した上で、決定した組合せ別合算重み値を用いて、順守事項情報D5に係る順守すべきルールに合致する未充当列車とフリー乗務員との組み合わせの中からのみ、未充当列車に乗車させるべきフリー乗務員を決定することで、確実に順守する必要のあるルールに合致しない組合せを予め除外し、最終的に決定される未充当列車に乗車させるべきフリー乗務員を、確実にこのようなルールに合致するものとすることができる。
【0080】
また、組合せ生成サーバ1において、列車ダイヤ情報D1、乗務員運用情報D2、列車運転整理情報及D3及び列車遅延情報D4を用いて、未充当列車及びフリー乗務員の抽出を行うことで、列車のダイヤに乱れが生じた際に、いかなる列車が未充当列車となり、いかなる乗務員がフリー乗務員となるかについても本システムによって把握することが可能となり、システムの管理者等が、未充当列車及びフリー乗務員に係る情報を逐一入力する必要がなくなる。
【0081】
[第4 変形例]
次に、本実施形態に係る乗務員操配システム100の変形例について説明する。
【0082】
[1 変形例1:複数パターンの重み値の適用]
上記動作の説明では、ステップS8で、列車の運行の状況に応じて、適用する重み値を1つのパターンに決定する場合について説明したが、適用する重み値の決定方法はこれに限られない。
【0083】
例えば、複数パターンの重み値を適用して重み値のパターン毎に最適な組合せの決定を行った上で、重み値のパターン毎に決定された最適な組合せの中からさらに最適なものを決定するようにしてもよい。
【0084】
この場合、まず、ステップS8の適用する重み値の決定において、複数の重み値のパターンを使用するパターンとして決定する。
続いて、ステップS9の組合せ別合算重み値の算出において、ステップS8で決定した複数の重み値のパターンを使用して、重み値のパターン毎に、乗車可能組合せ情報D6に係る未充当列車とフリー乗務員との組み合わせのそれぞれについて、複数パターンの組合せ別合算重み値を算出する。
続いて、ステップS10の最適な組合せの決定において、ステップS9で算出した複数パターンの組合せ別合算重み値のそれぞれを用いて、ステップS8で使用するパターンとして決定した重み値のパターン毎に未充当列車とフリー乗務員との最適な組合せを決定し、重み値のパターン毎に未充当列車に乗車させるべきフリー乗務員を抽出した上で、このような重み値のパターン毎の最適な組合せから、さらに最適なものを決定することで、未充当列車に乗車させるべきフリー乗務員を決定する。
これによって、複数パターンの重み値から、実際に当該重み値を用いて未充当列車に乗車させるべきフリー乗務員を抽出した結果を踏まえて、最終的に未充当列車に乗車させるべきフリー乗務員の決定に使用される重み値のパターンを選択することが可能となる。
【0085】
[2 変形例2:学習モデルを使用した適用する重み値の決定]
変形例1のように複数パターンの重み値を適用して処理を行うことなく適切な重み値を適用することを可能とするため、予め列車の具体的な運行状況と適用した条件ごとの重み値の値と、未充当列車に乗車させるべきフリー乗務員の決定結果と、を紐づけたデータを使用した機械学習によって学習モデルを作成し、当該学習モデルを使用して、適用する重み値を決定するようにしてもよい。
【0086】
[3 変形例3]
上記動作の説明では、ステップS8において、適用する重み値の数値を、組合せ最適化サーバ2の制御部21が複数のパターンから選択する場合について説明したが、これに加えて、使用する条件自体も、予め複数パターンを記憶させておき、列車の運行状況等の諸条件に応じて、組合せ最適化サーバ2の制御部21が複数パターンの条件から選択して使用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0087】
100 乗務員操配システム
1 組合せ生成サーバ
11 制御部(第1抽出手段、第2抽出手段)
12 記憶部
13 通信部
2 組合せ最適化サーバ
21 制御部(数値決定手段、最適組合せ決定手段、使用パターン決定手段)
22 記憶部
23 通信部
3 操作端末
N 通信ネットワーク
D1 列車ダイヤ情報
D2 乗務員運用情報
D3 列車運転整理情報
D4 列車遅延情報
D5 順守事項情報
D6 乗車可能組合せ情報
D7 重み値情報
D8 最適組合せ情報
図1
図2