(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127080
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】超純水製造システム及び超純水の製造方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/42 20230101AFI20230906BHJP
C02F 1/32 20230101ALI20230906BHJP
B01J 20/20 20060101ALI20230906BHJP
B01D 39/16 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
C02F1/42 A
C02F1/32
B01J20/20 D
B01D39/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030638
(22)【出願日】2022-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】星野 隆文
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 匡
【テーマコード(参考)】
4D019
4D025
4D037
4G066
【Fターム(参考)】
4D019AA01
4D019BA13
4D019BB03
4D019BC05
4D025AA04
4D025AB05
4D025AB16
4D025BA17
4D025BB09
4D025CA06
4D025DA03
4D025DA04
4D025DA05
4D025DA06
4D025DA10
4D037AA03
4D037AB18
4D037BA18
4D037CA01
4D037CA02
4D037CA03
4D037CA04
4D037CA15
4G066AA05B
4G066AA43B
4G066BA03
4G066CA01
4G066CA25
4G066DA03
(57)【要約】
【課題】クリーンルーム内などにおいて、ホウ素が十分に除去された超純水を製造する。
【解決手段】外気と連通して一次純水を貯える一次純水タンク20と、一次純水タンク20に接続して超純水を製造するサブシステム30と、を備え、サブシステム30において製造された超純水のうち使用されなかった超純水が一次純水タンク20に循環する超純水製造システムにおいて、サブシステム30は、ホウ素選択性樹脂が充填されたホウ素除去装置33と、ホウ素除去装置の下流に設けられた非再生型イオン交換装置35と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気と連通して一次純水を貯える一次純水タンクと、前記一次純水タンクに接続して超純水を製造するサブシステムと、を備え、前記サブシステムにおいて製造された超純水のうち使用されなかった超純水が前記一次純水タンクに循環する超純水製造システムにおいて、
前記サブシステムが、ホウ素選択性樹脂が充填されたホウ素除去装置と、ホウ素除去装置の下流に設けられた非再生型イオン交換装置と、を有することを特徴とする、超純水製造システム。
【請求項2】
前記一次純水タンクは、エアベントフィルタを介して前記外気に連通する、請求項1に記載の超純水製造システム。
【請求項3】
前記エアベントフィルタは前記外気中のホウ素成分を通過させるフィルタである、請求項2に記載の超純水製造システム。
【請求項4】
前記サブシステムにおいて前記ホウ素除去装置の下流であって前記非再生型イオン交換装置の上流に紫外線酸化装置が設けられている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超純水製造システム。
【請求項5】
供給水から一次純水を生成する一次純水システムを備え、前記一次純水システムで生成された一次純水が前記一次純水タンクに供給される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超純水製造システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の超純水製造システムをクリーンルーム内に設置して超純水を製造する、超純水の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばクリーンルーム内などに設置できる超純水製造システムと、超純水の製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
研究機関の実験室などにおいて手軽に超純水を製造できるシステムとして、例えば特許文献1や特許文献2に記載された純水製造装置がある。特許文献1に記載された純水製造装置は、供給水から一次純水を生成する一次純水システムと、一次純水を貯える一次純水タンクと、一次純水タンクから一次純水が供給されて超純水を生成するサブシステム(二次純水システム)と、サブシステムから超純水が供給されて超純水の採水に用いられる採水ディスペンサーとを備えている。サブシステムは、一次純水タンクから一次純水が供給される紫外線酸化装置と、紫外線酸化装置の後段に設けられた非再生型イオン交換装置とを備えている。サブシステムでは、採水ディスペンサーに供給されなかった超純水が、一次純水タンクに循環し、これにより循環精製が行われる。特許文献1に開示される純水製造装置は、一次純水システムとサブシステムとが同一の筐体に収容されるとともにこの筺体に隣接して一次純水タンクを配置できるように構成されており、卓上型の装置として、実験台の上などに載置することできる。特許文献2に開示された純水製造装置では、サブシステムにおいて純水が循環する配管が採水ディスペンサーにまで引き延ばされ、サブシステムでの純水の循環系統内に採水ディスペンサーも組み込まれている。
【0003】
半導体装置製造に関連する分野において超純水を使用するときは、超純水中のホウ素濃度を極力低減することが求められる。特許文献3は、長期間にわたってホウ素が高度に除去された超純水を得るために、超純水製造システムの一次純水システムに、ホウ素吸着性樹脂と強塩基性アニオン交換樹脂とを混合して充填したイオン交換装置を設けることを開示している。同様に特許文献4は、ホウ素選択性イオン交換樹脂からのTOC(全有機炭素;Total Organic Carbon)成分の溶出が超純水製造システムのサブシステムに与える影響を抑えつつホウ素濃度を低減した超純水を得るために、被処理水の供給側にホウ素選択性イオン交換樹脂が配置され排出側にホウ素選択性イオン交換樹脂以外のイオン交換樹脂が充填されたイオン交換装置を超純水製造システムの一次純水システムに設けることを開示している。
【0004】
一般に半導体装置の製造や半導体装置に関する研究は、クリーンルーム内に行われる。クリーンルームでは、HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air High Filter)やULPAフィルタ(Ultra Low Penetration Air Filter)を使用してその室内の空気を常時濾過することにより、空気中の浮遊粒子(例えば、ごみや塵埃)を除去して清浄な環境を保っている。HEPAフィルタは、定格風量において、粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもつエアフィルタのことであり、ULPAフィルタは、定格風量において、粒径が0.15μmの粒子に対して99.9995%以上の粒子捕集率をもつエアフィルタのことである。HEPAフィルタやULPAフィルタには濾材としてガラスフィルタが使用されていることが多い。非特許文献1には、クリーンルーム内の空気におけるホウ素濃度が、屋外の大気におけるホウ素濃度よりも高いこと、そのホウ素はULPAフィルタに由来すると推定されることが記載されている。非特許文献1には、一例として、屋外の大気におけるホウ素濃度が17ng/m3であったときに、クリーンルーム内の空気におけるホウ素濃度が130ng/m3であったことを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-202293号公報
【特許文献2】特開2020-6295号公報
【特許文献3】特開2016-47496号公報
【特許文献4】特開2018-86619号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Technical News クリーンルーム空気中の微量物質の分析 TN045[online]、株式会社住化分析センター、[2022年1月20日検索]、インターネット<URL: https://www.scas.co.jp/technical-informations/technical-news/pdf/tn045.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1あるいは特許文献2に示されるような装置をクリーンルーム内に配置して超純水を製造すると、得られる超純水におけるホウ素濃度が十分に低下しないことがある。
【0008】
本発明の目的は、ホウ素が十分に除去された超純水を製造することができる超純水製造システムと製造方法とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、クリーンルーム内に製造される超純水におけるホウ素濃度が高くなる現象について検討したところ、次の知見を得た。すなわち、超純水製造システムのサブシステムに設けられる一次純水タンクの液面は、ユースポイントで実際に使用される超純水の量や、そのタンクへの一次純水の供給量によって変動する。大型の超純水製造システムであれば、窒素ガス(N2)パージを行っているので、一次純水タンクにおいて液面上の空間は窒素ガスで満たされているが、卓上型のような小型の超純水製造システムでは、一次純水タンクはエアベントフィルタを介して外気に連通しており、一次純水タンクの液面の変動に伴ってエアベントフィルタを介してタンク外部の空気が一次純水タンクに入り込む。小型の超純水製造システムがクリーンルーム内に設置されていれば、クリーンルーム内の空気に含まれているホウ素成分が一次純水タンク内に侵入して一次純水タンク内の純水に溶解し、サブシステムで得られる超純水におけるホウ素濃度の上昇を引き起こす。サブシステム内では超純水が循環するので、時間の経過とともにホウ素濃度はさらに上昇する。一次純水タンクにおいてホウ素がサブシステムに持ち込まれるので、一次純水システムにおいてホウ素の除去処理を行っても超純水中のホウ素濃度は低下しない。
【0010】
本発明者らは、上記の知見に基づき、本発明を完成させた。すなわち本発明の超純水製造システムは、外気と連通して一次純水を貯える一次純水タンクと、一次純水タンクに接続して超純水を製造するサブシステムと、を備え、サブシステムにおいて製造された超純水のうち使用されなかった超純水が一次純水タンクに循環する超純水製造システムにおいて、サブシステムが、ホウ素選択性樹脂が充填されたホウ素除去装置と、ホウ素除去装置の下流に設けられた非再生型イオン交換装置と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の超純水の製造方法は、本発明の超純水製造システムをクリーンルーム内に設置して超純水を製造する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、クリーンルーム内などにおいて、ホウ素が十分に除去された超純水を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の一形態の超純水製造システムを示すフローシートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の一形態の超純水製造システムを示している。この超純水製造システムは、クリーンルーム内などでの使用に適した例えば卓上型のシステムである。ここでいうクリーンルームとは、JIS B9920-1;2019に規定されるように、「浮遊粒子数濃度によってクラス分類され、粒子の流入、発生及び残留を制御するように設計、建設及び運用されている室」のことである。本実施形態の超純水製造システムが好適に用いられるクリーンルームは、例えば、ISO 14644-1規格で定める空気清浄度クラスにおいて、Class 1からClass 8までに属するクリーンルームである。
【0015】
図示される超純水製造システムは、大別すると、水道水などの供給水が供給されて一次純水を製造する一次純水システム10と、一次純水システム10で製造された一次純水を貯える一次純水タンク20と、一次純水タンクに接続して超純水を製造するサブシステム(二次純水システム)30とを備えている。サブシステム30で製造された超純水は、超純水の採水に用いられる採水ディスペンサー60に供給される。
【0016】
一次純水システムは、活性炭装置やフィルタなどを備えて供給水に対する前処理を行う前処理部11と、前処理部11で処理された供給水を給送するポンプ(P)12と、ポンプ12の二次側に設けられた逆浸透膜装置(RO)13と、逆浸透膜装置13の透過水が供給されてこの透過水に対する脱塩処理を行う電気式脱イオン水製造装置(EDI(Electrodeionization)装置)14とを備えている。電気式脱イオン水製造装置14において脱塩処理を行って得られた処理水が一次純水であり、一次純水タンク20に貯えられる。逆浸透膜装置13から排出される濃縮水は排水として外部に排出される。
【0017】
一次純水タンク20には、その内部の液面の圧力が大気圧となるように、タンク内部において液面よりも上側の空間を外気と連通させる連通管21が取り付けられている。ここでいう外気とは、一次純水タンク20の外側にある空気のことであり、一次純水タンク20がクリーンルーム内に配置されているのであれば、クリーンルーム内の空気のことであって、屋外の大気のことではない。連通管21には、外気中の粒子などが一次純水タンク20内に入り込まないようにするために、エアベントフィルタ22が設けられている。エアベントフィルタ22は、例えば、防塵のためのポリプロピレン製不織布と、揮発性有機物質を吸着除去する活性炭と、二酸化炭素を吸収除去するソーダ石灰とを組み合わせて構成されている。屋外の空気に比べてクリーンルーム内の空気に多く含まれているホウ素成分は、エアベントフィルタ22では除去されない。また、炭酸以外のイオン成分もエアベントフィルタ22では除去されない。
【0018】
サブシステム30は、一次純水タンク20から供給される一次純水をさらに精製して超純水を製造するものであり、製造された超純水のうち使用場所で使用されかなった超純水を一次純水タンク20に循環させることにより、より純度の高い超純水を製造できるように構成されている。上述したように外気に連通する一次純水タンク20では、外気に含まれるホウ素成分がタンク内の純水に混入することは避けられないから、本実施形態の超純水製造システムでは、ホウ素が十分が除去された超純水を得るために、サブシステム30には、ホウ素選択性樹脂が充填されたホウ素除去装置33を備えている。また一次純水タンク20のエアベントフィルタ22を介してイオン成分が系内に持ち込まれる恐れがあるので、サブシステム30にはカートリッジポリッシャーとも呼ばれる非再生型イオン交換装置(CP)35も設けられている。
【0019】
ホウ素除去装置33に充填されるホウ素選択性樹脂は、アニオン交換樹脂におけるイオン交換基の代わりにホウ素選択性を有する多価アルコール基(例えば、N-メチルグルカミン基)を官能基として有するキレート樹脂であり、ホウ素成分を選択的に吸着除去する。ホウ素選択性樹脂としては、例えば、オルガノ社のオルライト(登録商標) X-U653J、オルガノ社のアンバーセップ IRA743、三菱ケミカル社のダイヤイオン(登録商標) CRB03などがある。ホウ素選択性樹脂としては、TOC成分の溶出量が少ないものを用いることが好ましい。具体的には純水を空間速度(SV)が50~200h-1でホウ素選択性樹脂に通水させたときに、通水前に比べた通水後のTOC濃度の上昇量が1ppb未満であるホウ素選択性樹脂を用いることが好ましい。ホウ素選択性樹脂ではない一般的な強塩基性アニオン交換樹脂によってもホウ素成分を除去することができるが、水中においてホウ素は極めて弱い酸であるホウ酸の形態で存在するため、ホウ素成分の除去に一般的な強塩基性アニオン交換樹脂を使用したときは、ホウ素成分に関してはその強塩基性アニオン交換樹脂が早期にブレークして処理水にホウ素成分がリークすることになる。
【0020】
ホウ素選択性樹脂からは、特に通水の初期においてTOC成分の溶出が多く、また若干量の金属成分の溶出がある。ホウ素選択性樹脂では、炭酸の存在によりホウ素の除去率が低下することも知られている。超純水製造のための一般的なサブシステムは、紫外線酸化処理によりTOC成分を分解除去する紫外線酸化装置と、紫外線酸化装置の後段に設けられて金属成分や紫外線酸化装置で発生した炭酸成分を吸着除去する非再生型イオン交換装置とを備えているから、本実施形態におけるサブシステム30では、ホウ素除去装置33の下流に紫外線酸化装置34を設け、紫外線酸化装置34の下流に非再生型イオン交換装置35を設けることが好ましい。
【0021】
したがって本実施形態においてサブシステム30は、一次純水タンク20の出口に接続して一次純水タンク20内の一次純水を給送するポンプ(P)31と、ポンプ31の二次側(すなわち出口)に接続された流量計(FI)32と、流量計32を経て一次純水が供給されるホウ素除去装置(B)33と、ホウ素除去装置33の出口に接続された紫外線酸化装置(UV)34と、紫外線酸化装置34の出口に接続された非再生型イオン交換装置35(CP)とを備えている。非再生型イオン交換装置35の出口からは超純水が流出する。本実施形態では、循環精製のための配管はサブシステム30から採水ディスペンサー60まで延びて設けられているので、非再生型イオン交換装置35から流出する超純水は、供給配管41を介してサブシステム30の循環出口42に送られる。サブシステム30には、採水ディスペンサー60から戻ってきた超純水を受け入れる循環入口43が設けられており、採水ディスペンサー60から戻ってきた超純水は、循環入口43に接続された循環配管44を介して一次純水タンク20に循環する。循環配管44にはリリーフ弁45が設けられている。
【0022】
次に、採水ディスペンサー60について説明する。採水ディスペンサー60は、利用者がビーカーなどの容器への超純水の採水を容易に行うことができるように、実験台などにおいて利用者がアクセスしやすい位置に配置される。そのため、採水ディスペンサー60は、サブシステム30からは若干離れた位置に設けられることがある。採水ディスペンサー60は、超純水を受け入れる入口61と、使用しなった超純水をサブシステム30に戻すための出口62とを備えており、入口61は、サブシステム30の循環出口42に対して配管51により接続し、出口62は循環入口43に対して配管52により接続している。採水ディスペンサー60の内部の配管によって入口61と出口62とは接続点63において接続している。この接続点63から配管64が延び、配管64の先端には超純水を吐出するノズル65が設けられている。配管64には、ノズル65からの超純水の吐出を制御するために電磁弁66が設けられている。
【0023】
サブシステム30においてポンプ31を動作させると一次純水タンク30内の一次純水は、ホウ素除去装置33、紫外線酸化装置34及び非再生型イオン交換装置35を順次通過し、一次純水中のホウ素成分、TOC成分及びイオン成分が除去される。これにより超純水が生成される。超純水は、循環出口42から採水ディスペンサー60に供給され、採水ディスペンサー60内の接続点63を経てサブシステム30の循環入口43に戻り、循環配管44を経て一次純水タンク20に循環する。循環配管44にリリーフ弁45が設けられていることにより、採水ディスペンサー60内での超純水の圧力は一定に保たれる。この状態で電磁弁66を開けると、接続点63から配管64を介してノズル65に向けて超純水が流れ、ノズル65から超純水が吐出する。したがって利用者は、電磁弁66を操作することによって、ホウ素が十分に除去された超純水の採水を行うことができる。
【実施例0024】
以下、実施例及び比較例により、本発明をさらに詳しく説明する。
【0025】
[実施例1]
図1に示す超純水製造システムのうち、一次純水システム10を除いた部分を組み立てて、ISO 14644-1のClass 6(すなわち、Class 1000)基準を満たすクリーンルーム内に設置した。このクリーンルームでは、浮遊粒子の除去のためにHEPAフィルタが使用されている。ホウ素除去装置33に充填されるホウ素選択性樹脂として、オルガノ社のオルライト(登録商標 X-U653Jを使用し、非再生型イオン交換装置35にはオルガノ社のイオン交換樹脂ESP-2が充填されたものを使用した。一次純水タンク20に設けられるエアベントフィルタ22として、ポリプロピレン製不織布、活性炭及びソーダ石灰から構成されているものを使用した。
【0026】
一次純水タンク20に対し、ホウ素濃度が管理されている超純水を供給してサブシステム30を運転し、サブシステム30において超純水が継続して循環するようにした。その結果、非再生型イオン交換装置35の出口水でのホウ素濃度は、運転開始から1か月後の時点で0.1pptであり、運転開始から3か月後の時点で0.1pptであった。
【0027】
[比較例1]
ホウ素除去装置33を備えないほかは実施例1と同一の装置を組み立て、この装置を実施例1と同様に運転した。その結果、非再生型イオン交換装置35の出口水でのホウ素濃度は、運転開始から1ヶ月後の時点において0.3pptであり、運転開始から3か月後の時点で1.3pptであった。
【0028】
以上より、本発明に基づく超純水製造システムによれば、クリーンルーム内で長期にわたって超純水を製造したときであっても、ホウ素が十分に除去された超純水を得ることができることが分かった。