(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012709
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法および制御システム
(51)【国際特許分類】
G10H 1/00 20060101AFI20230119BHJP
G10H 1/18 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
G10H1/00 Z
G10H1/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116321
(22)【出願日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000116068
【氏名又は名称】ローランド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】武田 明寛
【テーマコード(参考)】
5D478
【Fターム(参考)】
5D478HH11
(57)【要約】
【課題】1つの制御装置と接続できる電子楽器に対し、少なくとも2つの制御装置からの制御を可能とする制御装置、制御方法および制御システムを提供すること。
【解決手段】制御システムSは、ヘッドホン30とペダル装置1とが第1通信w1で通信され、ペダル装置1と携帯端末50とが第2通信w2で通信される。これにより、ヘッドホン30が1つの制御装置のみと接続できる場合であっても、ペダル装置1からの制御指示を第1通信w1を介してヘッドホン30に送信できると共に、携帯端末50からの制御指示を第2通信w2及び第1通信w1を介してヘッドホン30に送信できる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子楽器を制御する制御装置であって、
制御指示を入力する入力手段と、
前記電子楽器と無線通信する第1通信手段と、
前記電子楽器を制御する第2制御装置と無線通信する第2通信手段と、
前記入力手段で入力された制御指示と、前記第2通信手段を介して前記第2制御装置から受信した第2制御指示とを、前記第1通信手段を介して前記電子楽器に送信する指示送信手段と、
を備えていることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記指示送信手段は、前記入力手段で入力された制御指示と、前記第2通信手段を介して前記第2制御装置から受信した第2制御指示とを、シリアルデータ化した上で前記第1通信手段を介して前記電子楽器に送信することを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記第2通信手段を介して前記第2制御装置から受信した第2制御指示が自己への制御指示か否かを判断する判断手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記判断手段によって前記第2通信手段を介して前記第2制御装置から受信した第2制御指示が、自己への制御指示である判断された場合、当該第2制御指示に従って、前記入力手段で入力された制御指示を変更する変更手段を備えていることを特徴とする請求項3記載の制御装置。
【請求項5】
前記第1通信手段は、Bluetooth(登録商標) Low Energy規格に基づいて無線通信することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御指示は、MIDI規格のコントロールチェンジメッセージを用いた指示であり、
前記第2制御指示は、MIDI規格のシステムエクスクルーシブメッセージを用いた指示であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御装置は、ペダル装置であり、
前記第2制御装置は、携帯端末であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の制御装置。
【請求項8】
電子楽器とその電子楽器を制御する第2制御装置とに無線通信を介して接続される制御装置で実行される制御方法であって、
制御指示を入力する入力ステップと、
前記電子楽器と無線通信する第1通信ステップと、
前記電子楽器を制御する第2制御装置と無線通信する第2通信ステップと、
前記入力ステップで入力された制御指示と、前記第2通信ステップを介して前記第2制御装置から受信した第2制御指示とを、前記第1通信ステップによって前記電子楽器に送信する指示送信ステップと、
を備えていることを特徴とする制御方法。
【請求項9】
前記指示送信ステップは、前記入力ステップで入力された制御指示と、前記第2通信ステップによって前記第2制御装置から受信した第2制御指示とを、シリアルデータ化した上で前記第1通信ステップによって前記電子楽器に送信することを特徴とする請求項8記載の制御方法。
【請求項10】
前記第2通信ステップによって前記第2制御装置から受信した第2制御指示が自己への制御指示か否かを判断する判断ステップを備えていることを特徴とする請求項8又は9に記載の制御方法。
【請求項11】
前記判断ステップによって第2通信ステップで前記第2制御装置から受信した第2制御指示が自己への制御指示である判断された場合、当該第2制御指示に従って、前記入力ステップで入力された制御指示を変更する変更ステップを備えていることを特徴とする請求項10記載の制御方法。
【請求項12】
電子楽器と、その電子楽器を制御する第2制御装置と、前記電子楽器および前記第2制御装置に無線通信を介して接続される制御装置とを備えた制御システムであって、
前記第2制御装置は、第2制御指示を前記制御装置に送信する送信手段を備え、
前記制御装置は、
制御指示を入力する入力手段と、
前記電子楽器と無線通信する第1通信手段と、
前記第2制御装置と無線通信する第2通信手段と、
前記入力手段で入力された制御指示と、前記第2通信手段を介して前記第2制御装置から受信した第2制御指示とを、前記第1通信手段を介して前記電子楽器に送信する指示送信手段と、
を備えていることを特徴とする制御システム。
【請求項13】
前記制御装置の前記指示送信手段は、前記入力手段で入力された制御指示と、前記第2通信手段を介して前記第2制御装置から受信した第2制御指示とを、シリアルデータ化した上で前記第1通信手段を介して前記電子楽器に送信することを特徴とする請求項12記載の制御システム。
【請求項14】
前記制御装置は、前記第2通信手段を介して前記第2制御装置から受信した第2制御指示が自己への制御指示か否かを判断する判断手段を備えていることを特徴とする請求項12又は13に記載の制御システム。
【請求項15】
前記制御装置は、前記判断手段によって第2通信手段を介して前記第2制御装置から受信した第2制御指示が自己への制御指示である判断された場合、当該第2制御指示に従って、前記入力手段で入力された制御指示を変更する変更手段を備えていることを特徴とする請求項14記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法および制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、携帯端末とペアリングして使用するヘッドホンが開示されている。当該ヘッドホンは、ペアリングした携帯端末へのタッチパネル操作によって、音量や、内蔵する音響効果の効果量等を制御できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】[令和3年7月8日検索]、インターネット<URL:https://static.roland.com/assets/media/pdf/WAZA-AIR_jpn04_W.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今、電子楽器には、携帯端末のような手元で操作する制御装置による操作のみならず、ペダル装置のような足元で操作する制御装置によっても音量等を制御したいという要望が高まっている。しかしながら、非特許文献1のヘッドホンは、ペアリングによって接続できる制御装置は1つであるため、1つの制御装置からヘッドホンを制御できるものの、複数の制御装置からヘッドホンを制御できないという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、1つの制御装置と接続できる電子楽器に対し、少なくとも2つの制御装置からの制御を可能とする制御装置、制御方法および制御システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明の制御装置は、電子楽器を制御する装置であり、制御指示を入力する入力手段と、前記電子楽器と無線通信する第1通信手段と、前記電子楽器を制御する第2制御装置と無線通信する第2通信手段と、前記入力手段で入力された制御指示と、前記第2通信手段を介して前記第2制御装置から受信した第2制御指示とを、前記第1通信手段を介して前記電子楽器に送信する指示送信手段と、を備えている。
【0007】
本発明の制御方法は、電子楽器とその電子楽器を制御する第2制御装置とに無線通信を介して接続される制御装置で実行される方法であって、制御指示を入力する入力ステップと、前記電子楽器と無線通信する第1通信ステップと、前記電子楽器を制御する第2制御装置と無線通信する第2通信ステップと、前記入力ステップで入力された制御指示と、前記第2通信ステップを介して前記第2制御装置から受信した第2制御指示とを、前記第1通信ステップによって前記電子楽器に送信する指示送信ステップと、を備えている。
【0008】
また、本発明の制御システムは、電子楽器と、その電子楽器を制御する第2制御装置と、前記電子楽器および前記第2制御装置に無線通信を介して接続される制御装置とを備えた制御システムであって、前記第2制御装置は、第2制御指示を前記制御装置に送信する送信手段を備え、前記制御装置は、制御指示を入力する入力手段と、前記電子楽器と無線通信する第1通信手段と、前記第2制御装置と無線通信する第2通信手段と、前記入力手段で入力された制御指示と、前記第2通信手段を介して前記第2制御装置から受信した第2制御指示とを、前記第1通信手段を介して前記電子楽器に送信する指示送信手段と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】(a)は、ペダル装置の左方向における側面図であり、(b)は、ペダル装置の右方向における側面図であり、(c)は、ペダル装置の背面図であり、(d)は、ヘッドホンの外観図である。
【
図3】(a)は、ペダル装置とヘッドホンとの通信の確立手順を説明する図であり、(b)は、ペダル装置と携帯端末との通信の確立手順を説明する図である。
【
図4】(a)は、携帯端末のヘッドホンからのインクワイアリーメッセージの取得を説明する図であり、(b)は、携帯端末のペダル装置からのインクワイアリーメッセージの取得を説明する図である。
【
図5】(a)は、携帯端末の操作によるヘッドホンの制御を説明する図であり、(b)は、携帯端末の操作によるペダル装置の制御を説明する図である。
【
図6】(a)は、ペダル装置の操作によるヘッドホンの制御を説明する図であり、(b)は、制御指示および更新指示の送信タイミングが重複する場合を説明する図である。
【
図8】制御システムの電気的構成を示すブロック図である。
【
図10】(a)は、ペリフェラル接続処理のフローチャートであり、(b)は、素性リクエスト応答処理のフローチャートである。
【
図11】(a)は、ペダル処理のフローチャートであり、(b)は、セントラル接続処理のフローチャートである。
【
図12】ペダル装置送受信処理のフローチャートである。
【
図14】携帯端末送受信処理のフローチャートである。
【
図15】変形例における制御システムの概要を表す図である。
【
図16】変形例における制御システムの電気的構成を示すブロック図である。
【
図17】変形例におけるシンセサイザの固有処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。
図1を参照して、本実施形態の制御システムSの概要を説明する。
図1は、制御システムSの概要を表す図である。制御システムSは、ペダル装置1と、ヘッドホン30と、携帯端末50とで構成される。ペダル装置1とヘッドホン30とは無線通信によって接続され、ペダル装置1と携帯端末50とも無線通信によって接続される。
【0011】
ペダル装置1は、演奏を行うユーザHから、演奏に関する設定(例えば、音量や音響効果のレベル等)の操作を入力し、その操作量に従ったパラメータに基づき、他の装置(具体的にはヘッドホン30及び携帯端末50)に制御を指示する情報である制御指示を作成して送信する装置である。ペダル装置1はまた、携帯端末50から送信された制御指示をヘッドホン30に送信する機能と、ヘッドホン30から送信された携帯端末50の制御指示に対する応答を携帯端末50に送信する機能とを有する。これらの送信については、
図3~
図6で後述する。
【0012】
ヘッドホン30は、ユーザHの電気ギターGの演奏に基づく演奏音を出力する電子楽器である。電気ギターGとヘッドホン30とは、電気ギターGに接続される楽器用送信装置Gtによって無線接続される。ユーザHが電気ギターGを演奏することで出力される演奏信号が、楽器用送信装置Gtを介してヘッドホン30に送信される。
【0013】
ヘッドホン30では、受信した演奏信号に応じた演奏音がスピーカR,Lから出力される。この際、出力される演奏音には、ディレイやディストーションといった音響効果が付加できるように構成され、その音響効果の度合いがペダル装置1や携帯端末50からのパラメータに応じて変化される。
【0014】
なお、ヘッドホン30に演奏信号を送信するのは楽器用送信装置Gtを接続した電気ギターGに限られず、例えば、楽器用送信装置Gtを接続した電子ドラムや、電子吹奏楽器等の他の電気楽器や電子楽器でも良い。
【0015】
携帯端末50は、上記したペダル装置1及びヘッドホン30への制御指示を送信する情報処理装置(コンピュータ)である。携帯端末50から入力された制御指示が、ペダル装置1を介してヘッドホン30に送信される。これによって、携帯端末50からのペダル装置1およびヘッドホン30の制御が可能となる。
【0016】
ここで
図2を参照して、ペダル装置1及びヘッドホン30の構成を説明する。
図2(a)は、ペダル装置1の左方向における側面図であり、
図2(b)は、ペダル装置1の右方向における側面図であり、
図2(c)は、ペダル装置1の背面図である。ペダル装置1には、ペダルスイッチ15と、操作子16と、LED17と、DC入力端子18と、外部のMIDI(Musical Instrument Digital Interface)規格の装置と有線接続するためのMIDI出力端子19と、外部の情報処理装置と有線接続するための通信端子20とが設けられる。
【0017】
ペダルスイッチ15は、ペダル装置1の上部に設けられ、ユーザHの足で踏み込まれた際の角度を検出する装置である。ペダルスイッチ15は、所定の位置を支点とした「シーソー」のように構成され、ユーザHの足で踏み込まれた際に変化するペダルスイッチ15の角度に応じたパラメータが出力される。当該パラメータが無線通信を介してヘッドホン30及び携帯端末50に送信される。本実施形態において、ペダル装置1からは、ペダルスイッチ15に基づいて取得されたパラメータを含めて構成されるMIDI規格のコントロールチェンジメッセージ(以下「CCメッセージ」と略す)が送信される。
【0018】
ペダル装置1は、最大のパラメータを出力するペダルスイッチ15の角度と、最小のパラメータを出力するペダルスイッチ15の角度とが較正できるように構成される。また、ペダルスイッチ15における先端側(
図2(a)の紙面左側)を所定以上の踏力で踏み込むことで、CCメッセージの「ナンバー」を所定値に切り替えることができる。
【0019】
操作子16は、ユーザHからの他の装置とのペアリングの開始指示等を入力する入力装置であり、ペダル装置1の背面に設けられる。LED17は、ペダル装置1の状態やヘッドホン30及び携帯端末50との接続状態を点灯色や点滅で出力する装置であり、ペダル装置1の左右の側面および背面に設けられる。DC入力端子18は、ペダル装置1に直流電流を入力する端子であり、ペダル装置1の背面に設けられる。DC入力端子18から入力される電力がペダル装置1の電源に用いられる。図示しないが、ペダル装置1には電池が内蔵され、DC入力端子18から直流電流が入力されない場合は、該電池から供給される電力がペダル装置1の電源に用いられる。
【0020】
なお、ペダル装置1から送信されるデータはMIDI規格のCCメッセージに限られず、システムエクスクルーシブメッセージ(以下「SysExメッセージ」と略す)等、他のMIDI規格のメッセージでも良い。
【0021】
次に、ヘッドホン30を説明する。
図2(d)は、ヘッドホン30の外観図である。ヘッドホン30には、上記したスピーカR,Lに加え、操作子37とヘッドホン30の状態やペダル装置1との接続状態を、点灯色や点滅で出力するLED38とが設けられる。
【0022】
操作子37は、ユーザHからのスピーカR,Lで出力される演奏音の音量や、演奏音に付加される音響効果の切り替え、ペダル装置1との接続開始指示等の各種の指示を入力するための入力装置であり、ヘッドホン30に複数設けられる。ヘッドホン30によって音楽を再生する場合は、操作子37は再生/停止、早送り等の音楽の再生を制御するものとして機能する。
【0023】
次に、
図3~
図6を参照して、ペダル装置1、ヘッドホン30及び携帯端末50の通信の確立手順および情報の送受信を説明する。まず、
図3(a)を参照し、ペダル装置1とヘッドホン30との通信の確立手順を説明する。
【0024】
図3(a)は、ペダル装置1とヘッドホン30との通信の確立手順を説明する図である。本実施形態のペダル装置1、ヘッドホン30及び携帯端末50といった通信装置には、通信モードが設定され、設定された通信モードに従って通信が行われる。通信モードには、他の通信装置への指示を行う「セントラル」と、そのセントラルが設定された他の通信装置からの指示に応じた応答を行う「ペリフェラル」とが設けられる。
【0025】
本実施形態の携帯端末50には、セントラルが設定され、ヘッドホン30にはペリフェラルが設定されている。ペダル装置1では、セントラルの携帯端末50と通信する場合は、ペリフェラルが用いられ、ペリフェラルのヘッドホン30と通信する場合は、セントラルが用いられる。即ちペダル装置1は、通信相手の通信モードに応じて、セントラルとペリフェラルとが切り替え可能に、又は、同時に動作可能に構成される。
【0026】
ペダル装置1は、ヘッドホン30及び携帯端末50と通信を確立するに当たり、まずは、ペリフェラルが設定されているヘッドホン30との通信の確立を試みる。この際、ペダル装置1はセントラルの通信装置とされ、アドバタイジングパケットADを受信したかを確認する。アドバタイジングパケットADは、ペリフェラルの通信装置が、セントラルの通信装置との通信を確立する際に送信される信号である。ペダル装置1は、アドバタイジングパケットADを受信した場合に、そのアドバタイジングパケットADの発信元の通信装置との通信を確立する。
【0027】
図3(a)においては、ヘッドホン30から送信されたアドバタイジングパケットADをペダル装置1が受信することで、ヘッドホン30との通信である第1通信w1が確立され、ヘッドホン30とペダル装置1とがペアリングされる。この場合のユーザHのペダル装置1への操作を説明する。
【0028】
まず、ユーザHが操作子16をダブルクリックすることで、セントラル機能と、ペリフェラル機能とが交互に(トグルで)切り替わる。セントラル機能は、ペダル装置1がペリフェラルの通信装置と接続する機能であり、ペリフェラル機能は、ペダル装置1がセントラルの通信装置と接続する機能である。ペダル装置1においてセントラル機能が設定された場合にはLED17の点灯色が白色となり、セントラル機能が設定された場合にはLED17の点灯色が青色となる。
【0029】
まず、セントラル機能を説明する。操作子16がダブルクリックされることで、セントラル機能に切り替わった場合、ペリフェラルの通信装置、即ちヘッドホン30から送信されるアドバタイジングパケットADの受信を待機する「受信待機モード」に切り替わる。この受信待機モードにおいては、LED17が白色でゆっくり点滅する。
【0030】
受信待機モードの状態で、操作子16をシングルクリックすることで、ヘッドホン30からのアドバタイジングパケットADを受信する「スキャンモード」に切り替わる。このスキャンモードでは、LED17が白色で早く点滅する。スキャンモードにおいて、ヘッドホン30からのアドバタイジングパケットADを受信することでヘッドホン30とペアリングができた場合は、「接続完了モード」に切り替わる。この接続完了モードでは、LED17が白色で点灯する。このようなLED17の白色の点灯または点滅状態によって、ユーザHはヘッドホン30とのペアリング状況を把握できる。
【0031】
このように確立された第1通信w1を介して、セントラルのペダル装置1からの制御指示がヘッドホン30に送信され、ヘッドホン30からはその制御指示への応答がペダル装置1に送信される。
【0032】
なお、ペダル装置1と第1通信w1を確立するのは、ヘッドホン30に限られず、ペリフェラルが設定された他の通信装置、例えば、
図3(a)における携帯型のエフェクタ300や、床に据え置く種類のエフェクタ310等でも良い。これらエフェクタ300,310は、いずれも電気ギターG(
図1参照)に接続され、電気ギターGからの演奏信号に応じた演奏音を音響効果を付加して出力する装置である。
【0033】
次に、
図3(b)を参照して、ペリフェラル機能によるペダル装置1と携帯端末50との通信の確立手順を説明する。
図3(b)は、ペダル装置1と携帯端末50との通信の確立手順を説明する図である。ペダル装置1は、ペリフェラル機能によってセントラルの通信装置、即ち携帯端末50との接続を行う。
【0034】
操作子16がダブルクリックされることで、ペリフェラル機能に切り替わった場合、携帯端末50へのアドバタイジングパケットADの送信を待機する「送信待機モード」に切り替わる。送信待機モードでは、LED17が青色でゆっくり点滅する。
【0035】
送信待機モードの状態で、操作子16をシングルクリックすることで、携帯端末50にアドバタイジングパケットADを送信する「アドバタイジングモード」に切り替わる。このアドバタイジングモードでは、LED17が青色で早く点滅する。アドバタイジングモードの状態において、ペダル装置1が送信したアドバタイジングパケットADを受信した携帯端末50とペアリングできた場合は、「接続完了モード」に切り替わる。この接続完了モードでは、LED17が青色で点灯する。このようなLED17の青色の点灯または点滅状態によって、ユーザHは携帯端末50とのペアリング状況を把握できる。
【0036】
このように確立された第2通信w2を介して、セントラルの携帯端末50からの制御指示がペダル装置1に送信され、ペダル装置1からは当該制御指示に応じた応答が携帯端末50に送信される。本実施形態では、第1通信w1及び第2通信w2は共に、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)規格に基づいて通信されるものとするが、第1通信w1又は第2通信w2をBLE規格以外の通信規格に基づいて通信しても良い。
【0037】
第2通信w2が確立された際に、携帯端末50においては、アドバタイジングパケットADにヘッドホン30との通信が確立している旨の情報が含まれている場合は、携帯端末50においてペダル装置1を介してヘッドホン30と通信可能と判断できる。かかる場合に携帯端末50のLCD57に「ABC+」と表示される。一方で、アドバタイジングパケットADにヘッドホン30との通信が確立している旨の情報が含まれていない場合にLCD57に「ABC」(図示せず)と表示される。
【0038】
ここで「ABC」は機器を識別するための名称であり、例えば型番、プロダクトID、又はその略称が採用される。LCD57に表示される「ABC+」又は「ABC」によって、ユーザHは、ペダル装置1がヘッドホン30との通信確立を完了しているかどうかを一目で判断することができる。
【0039】
ここで、携帯端末50とヘッドホン30とが、ペダル装置1を介して接続されているかどうかは、ペダル装置1のLED17の点灯色や点灯または点滅状態を確認することでも把握できる。具体的に、ペダル装置1がヘッドホン30とのペアリングを試み、ペアリングできたことをLED17の青色の点灯で確認した後、ペダル装置1が携帯端末50とのペアリングを試み、ペアリングできたことをLED17の白色の点灯で確認すれば、携帯端末50とヘッドホン30とが接続されていることが確認できる。しかしながら、ペダル装置1はユーザHの足元に置かれるため、電気ギターGを演奏するユーザHは、電気ギターGを一旦置き、LED17を視認できるように身をかがめる等、姿勢を変えなければならない。
【0040】
これに対して、携帯端末50は、ユーザHの手元に配置できるので、ユーザHは演奏している電気ギターを置くことなく、更には姿勢を変えることなく、「ABC+」又は「ABC」の表示によって、ペダル装置1がヘッドホン30との通信確立を完了しているかどうかを確認できる。また、これらが表示されるLCD57は、LED17と比べて柔軟かつ多彩な表示が可能なので、ヘッドホン30と携帯端末50とが接続されているかを視認性良くユーザHに提示できる。
【0041】
なお、アドバタイジングパケットADにヘッドホン30との通信が確立している旨の情報が含まれている場合/当該情報が含まれていない場合を、LCD57に表示するものに限られず、例えば、音声で出力しても良いし、他の手法を用いて出力しても良い。音声で出力する際は、当該情報が含まれている場合は「ABC+」と音声で出力し、当該情報が含まれていない場合は「ABC」と音声で出力すれば良い。
【0042】
また、携帯端末50では、ペダル装置1及びヘッドホン30のうち、制御対象とする通信装置がアプリケーション(以下「アプリ」と略す)の切り替えによって選択可能に構成される。
図3(b)では、携帯端末50においてヘッドホン30を制御対象とするアプリが実行されているので、LCD57に「ヘッドホン」と表示される。一方で、携帯端末50においてペダル装置1を制御対象とするアプリが実行されている場合は、LCD57に「ペダル装置」(
図4(b)参照)と表示される。
【0043】
このように、第1通信w1と第2通信w2とが確立できた後、携帯端末50から制御対象の通信装置から、制御プログラム32a,52a(
図8参照)のバージョン情報等の通信装置に関する情報であるMIDI規格のインクワイアリーメッセージIQを取得する。インクワイアリーメッセージIQの取得に関して、
図4を参照して説明する。
【0044】
図4(a)は、携帯端末50のヘッドホン30からのインクワイアリーメッセージIQの取得を説明する図であり、
図4(b)は、携帯端末50のペダル装置1からのインクワイアリーメッセージIQの取得を説明する図である。
図4(a)において、携帯端末50がヘッドホン30にインクワイアリーメッセージIQを要求する場合、まず携帯端末50はインクワイアリーメッセージIQの要求を指示する素性リクエストデータSRを作成する。
【0045】
素性リクエストデータSRには、インクワイアリーメッセージIQを要求する通信装置、即ち携帯端末50が制御対象としている通信装置の名称や種類を表す「モデルID」が含まれる。
図4(a)では、携帯端末50の制御対象がヘッドホン30なので、素性リクエストデータSRのモデルIDには、ヘッドホン30を特定するユニークなIDが設定される。
【0046】
このように作成された素性リクエストデータSRがまず、携帯端末50と第2通信w2を確立しているペダル装置1へ送信される。ペダル装置1では、受信した素性リクエストデータSRを第1通信w1によってヘッドホン30に送信すると共に、素性リクエストデータSRに含まれるモデルIDを確認する。
【0047】
図4(a)においては、素性リクエストデータSRに含まれるモデルIDが「ヘッドホン」なので、ペダル装置1は受信した素性リクエストデータSRが自身が対象のものではないと判断し、受信した素性リクエストデータSRを破棄する。即ちペダル装置1は受信した素性リクエストデータSRをヘッドホン30に素通り(スルー)させる。
【0048】
ヘッドホン30は、ペダル装置1から受信した素性リクエストデータSRのモデルIDを確認し、それが自身のものである場合に、自身のインクワイアリーメッセージIQをペダル装置1に送信する。かかるインクワイアリーメッセージIQには、素性リクエストデータSRと同様に、ヘッドホン30のモデルIDが含まれる。
【0049】
ヘッドホン30からインクワイアリーメッセージIQを受信したペダル装置1は、そのインクワイアリーメッセージIQを携帯端末50に送信すると共に、インクワイアリーメッセージIQに含まれるモデルIDが自身のものかを確認する。
図4(a)においては、インクワイアリーメッセージIQに含まれるモデルIDがヘッドホン30を特定するIDなので、ペダル装置1は受信したインクワイアリーメッセージIQが自身が対象のものではないと判断し、受信したインクワイアリーメッセージIQを破棄する。
【0050】
ペダル装置1からインクワイアリーメッセージIQを受信した携帯端末50は、インクワイアリーメッセージIQに含まれるモデルIDが自身のものかを確認する。
図4(a)においては、インクワイアリーメッセージIQに含まれるモデルIDが、ヘッドホン30を特定するIDである。この場合、携帯端末50は、インクワイアリーメッセージIQに含まれるヘッドホン30に関する情報を取得し、その後のヘッドホン30への制御指示に用いられる。
【0051】
また
図4(b)に示す通り、携帯端末50の制御対象をペダル装置1とし、該ペダル装置1のインクワイアリーメッセージIQを要求する場合も同様に、携帯端末50から送信される素性リクエストデータSRのモデルIDに、ペダル装置1を特定するユニークなIDが設定され、その素性リクエストデータSRがペダル装置1に送信される。
【0052】
ペダル装置1は、受信した素性リクエストデータSRをヘッドホン30に送信すると共に、素性リクエストデータSRのモデルIDを確認する。
図4(b)においては、素性リクエストデータSRのモデルIDがペダル装置1を特定するIDであるので、自身のインクワイアリーメッセージIQを携帯端末50に送信する。かかるインクワイアリーメッセージIQには、ペダル装置1のモデルIDが含まれる。
【0053】
ペダル装置1からインクワイアリーメッセージIQを受信した携帯端末50は、インクワイアリーメッセージIQに含まれるモデルIDが自身のものかを確認し、
図4(b)においては、インクワイアリーメッセージIQに含まれるモデルIDが、ペダル装置1を特定するIDである。この場合、携帯端末50は、インクワイアリーメッセージIQに含まれるペダル装置1に関する情報を取得し、その後のペダル装置1への制御指示に用いられる。
【0054】
一方で、ペダル装置1から素性リクエストデータSRを受信したヘッドホン30においても、素性リクエストデータSRのモデルIDが確認される。
図4(b)においては、受信した素性リクエストデータSRのモデルIDが「ペダル装置」であり、ヘッドホン30のものと一致しないので、受信した素性リクエストデータSRが破棄される。
【0055】
このように、携帯端末50においては、ペダル装置1との第2通信w2が確立された後に、制御対象とされるペダル装置1又はヘッドホン30からインクワイアリーメッセージIQから取得し、その後の制御指示に用いられる。これにより、制御対象との通信が確立した直後から、制御対象が有する機能や仕様に応じた適切な制御指示を送信することができる。
【0056】
特に、携帯端末50の制御対象がヘッドホン30である場合に、ペダル装置1を介して接続される通信装置が、ヘッドホン30であることを具体的に把握できる。また、インクワイアリーメッセージIQによって、ヘッドホン30の制御プログラム32a(
図8参照)のバージョン情報が取得されるので、該制御プログラム32aが適正なバージョンにアップデートされているかを携帯端末50から確認できる。
【0057】
次に、
図5を参照して、携帯端末50の操作によるヘッドホン30及びペダル装置1の制御を説明する。
図5(a)は、携帯端末50の操作によるヘッドホン30の制御を説明する図であり、
図5(b)は、携帯端末50の操作によるペダル装置1の制御を説明する図である。
【0058】
図5(a)においては、携帯端末50からヘッドホン30で出力される演奏音の音量を変更する場合を例示している。なお、携帯端末50からヘッドホン30を操作する対象はこれに限られず、例えば、携帯端末50からヘッドホン30で出力される演奏音の音響効果の度合いを操作しても良いし、その他のヘッドホン30の設定を操作しても良い。
【0059】
図5(a)において、タッチパネル56(
図8参照)を介して、ユーザHから携帯端末50にヘッドホン30の音量を35に更新する指示が入力された場合、携帯端末50は、その指示をヘッドホン30に要求するための制御指示RSを作成する。制御指示RSは、更新するパラメータ(
図5(a)においては「音量・35」)と、制御対象のモデルID(
図5(a)においてはヘッドホン30を特定するID)とが含まれる。携帯端末50は、このような制御指示RSを含めて構成されるMIDI規格のSysExメッセージをペダル装置1に送信する。
【0060】
SysExメッセージを受信したペダル装置1は、該SysExメッセージをヘッドホン30に送信すると共に、該SysExメッセージの制御指示RSに含まれるモデルIDを確認する。
図5(a)においては、該制御指示RSに含まれるモデルIDはヘッドホン30を特定するIDであり、ペダル装置1に対する要求ではないため、ペダル装置1は受信したSysExメッセージを破棄する。
【0061】
SysExメッセージをペダル装置1から受信したヘッドホン30は、該SysExメッセージの制御指示RSに含まれるモデルIDを確認する。
図5(a)においては、該制御指示RSに含まれるモデルIDはヘッドホン30を特定するIDであるため、ヘッドホン30は制御指示RSに含まれるパラメータ(「音量・35」)を用いて、自身の音量を更新する。これにより、携帯端末50からの要求に応じ、ヘッドホン30の音量が更新される。
【0062】
図5(b)においては、ペダル装置1で制御する音響効果の種類を、携帯端末50から変更する場合を例示している。なお、携帯端末50から変更するのは、ペダル装置1の操作によって制御する音響効果の種類に限られない。例えば、ペダル装置1で制御する対象を音響効果から音量に変更しても良いし、その他の設定項目に変更しても良い。
【0063】
図5(b)において、タッチパネル56を介して、ユーザHから携帯端末50に、ペダル装置1で制御する音響効果を「リバーブ」に変更する指示が入力された場合、携帯端末50は、更新するパラメータ(
図5(b)においては「音響効果(図中では「FX」と表す)・リバーブ」)と、制御対象のモデルID(
図5(b)においてはペダル装置1を特定するID)とが含まれる制御指示RSを作成する。作成された制御指示RSを含めて構成されるMIDI規格のSysExメッセージをペダル装置1に送信する。
【0064】
SysExメッセージを受信したペダル装置1は、該SysExメッセージをヘッドホン30に送信すると共に、該SysExメッセージの制御指示RSに含まれるモデルIDを確認する。
図5(b)においては、該制御指示RSに含まれるモデルIDはペダル装置1を特定するIDであるため、ペダル装置1は制御指示RSに含まれるパラメータ(音響効果・リバーブ」)を用いて、自身のペダルスイッチ15の操作によって制御する音響効果を変更する。これにより、携帯端末50からの要求に応じ、ペダル装置1で制御する音響効果が変更される。
【0065】
次に、
図6(a)を参照して、ペダル装置1の操作によるヘッドホン30の制御を説明する。
図6(a)は、ペダル装置1の操作によるヘッドホン30の制御を説明する図である。
図6(a)においては、ペダル装置1のペダルスイッチ15の操作に応じた、ヘッドホン30の音量の更新を例示している。この際、携帯端末50においてもヘッドホン30を制御対象とするアプリが実行されているものとする。
【0066】
ユーザHの足でペダル装置1のペダルスイッチ15が踏み込まれると、そのペダルスイッチ15の角度に応じたパラメータがヘッドホン30及び携帯端末50に送信される。この際、ヘッドホン30及び携帯端末50には、取得されたパラメータを含めたMIDI規格のCCメッセージが送信される。
【0067】
ヘッドホン30は、ペダル装置1から更新指示CCを含むCCメッセージを受信すると、その更新指示CCに含まれるパラメータを用いて自身の音量を更新する。
【0068】
そして、更新指示CCに含まれるパラメータと、自身のモデルIDとを含んだ応答指示PSを作成し、その応答指示PSを含めたMIDI規格のSysExメッセージをペダル装置1へ送信する。
【0069】
応答指示PSを含むSysExメッセージを受信したペダル装置1は、該SysExメッセージを携帯端末50に送信すると共に、該SysExメッセージの応答指示PSに含まれるモデルIDを確認する。
図6(a)においては、該応答指示PSに含まれるモデルIDはヘッドホン30を特定するIDであり、ペダル装置1に対する要求ではないため、ペダル装置1は受信したSysExメッセージを破棄する。
【0070】
携帯端末50においては、ペダル装置1から更新指示CCと応答指示PSを含むSysExメッセージとが送信される。このうち、携帯端末50は更新指示CCを破棄する一方で、応答指示PSを含むSysExメッセージを取得する。取得したSysExメッセージの応答指示PSのモデルIDを確認し、自身の制御対象と一致する場合は(
図6(a)においてはヘッドホン30)、該応答指示PSのパラメータを用いて対応する設定(
図6(a)においては音量)を更新する。
【0071】
即ち携帯端末50においては、ペダル装置1からのペダルスイッチ15に基づく更新指示CCを破棄する一方で、ヘッドホン30においてペダル装置1からのペダルスイッチ15に基づく更新指示CCに基づき、パラメータが更新された際に送信される応答指示PSによって、自身の設定が更新される。従って、ペダル装置1の更新指示CCによってヘッドホン30の設定が更新されたことをもって、携帯端末50の設定が更新される。これにより、ペダル装置1の更新指示CCをヘッドホン30と携帯端末50との設定に確実に反映させることができる。
【0072】
ここで一般的に、ヘッドホン30は、1台の通信装置にのみとしか通信できない。これに対し、本実施形態の制御システムSでは、ヘッドホン30とペダル装置1とが第1通信w1で通信され、ペダル装置1と携帯端末50とが第2通信w2で通信される。
【0073】
これにより、セントラルのペダル装置1からの制御指示をヘッドホン30に送信できると共に、第2通信w2及び第1通信w1を介してセントラルの携帯端末50からの制御指示をヘッドホン30に送信できる。よって、携帯端末50、ペダル装置1及びヘッドホン30による柔軟な機能を提供できると共に、2台のセントラルのペダル装置1及び携帯端末50と、1台のペリフェラルのヘッドホン30とを、他の通信装置を介することなく通信させることができるので、通信装置の構成およびそのコストを必要最小限にすることができる。
【0074】
また、本実施形態の第1通信w1及び第2通信w2は、携帯端末50からの制御指示RSとペダル装置1からの更新指示CCとを、同一の通信経路によって送信することができる。
【0075】
ところで本実施形態では、ペダル装置1及び携帯端末50のそれぞれから制御指示RSまたは更新指示CCが入力可能とされるため、ペダル装置1においては、携帯端末50からの制御指示RSをヘッドホン30に送信するタイミングと、ペダルスイッチ15に基づく更新指示CCがヘッドホン30に送信されるタイミングとが重複する場合がある。かかる場合の処理について、
図6(b)を参照して説明する。
【0076】
図6(b)は、制御指示RS及び更新指示CCの送信タイミングが重複する場合を説明する図である。
図6(b)においては、ペダル装置1によって先に携帯端末50からの制御指示RSがヘッドホン30に送信され、その送信中にペダルスイッチ15が操作され、それに基づく更新指示CCが作成された場合を表している。
【0077】
かかる場合、先に送信されている制御指示RSの送信が完了した後に、更新指示CCの送信が開始される。これにより、制御指示RSとペダル装置1からの更新指示CCとをヘッドホン30に送信するタイミングが重複した場合でも、制御指示RS及び更新指示CCの両方またはいずれか一方を欠損させることなく、これらのヘッドホン30への送信を確実に完了させることができる。
【0078】
次に、
図7を参照して、ペダル装置1の機能を説明する。
図7は、ペダル装置1の機能ブロック図である。
図7に示すように、ペダル装置1は、第1通信手段501と、受信バッファ502と、送信バッファ503と、第2通信手段504と、受信バッファ505と、送信バッファ506と、指示送信手段507と、上記したペダルスイッチ15と、第1記憶部508と、判断手段509と、変更手段510と、MIDIメッセージ生成部511と、上記した操作子16と、ペアリングモード遷移部512と、第2記憶部513と、第1通信確立判断部514と、アドバタイジングパケット生成部515とを有する。
【0079】
第1通信手段501は、ヘッドホン30と無線通信する手段であり、
図8で後述のCPU10で実現される。受信バッファ502は、その第1通信手段501で受信したデータを一時的に記憶するものであり、
図8で後述のRAM12で実現される。送信バッファ503は、第1通信手段501で送信するデータを一時的に記憶するものであり、RAM12で実現される。
【0080】
第2通信手段504は、携帯端末50と無線通信する手段であり、CPU10で実現される。受信バッファ505は、その第2通信手段504で受信したデータを一時的に記憶するものであり、RAM12で実現される。送信バッファ506は、第2通信手段504で送信するデータを一時的に記憶するものであり、RAM12で実現される。また、第1通信手段501で受信され、受信バッファ502に記憶されたヘッドホン30からのSysExメッセージ等のデータは、送信バッファ506に送られ、そのデータが送信バッファ506から第2通信手段504を介して携帯端末50に転送される。
【0081】
指示送信手段507は、ペダルスイッチ15からの入力に基づきMIDIメッセージ生成部511で作成されたCCメッセージ(制御指示)と、第2通信手段504を介して携帯端末50から受信したSysExメッセージ(第2制御指示)とを、第1通信手段501を介してヘッドホン30に送信する手段であり、CPU10で実現される。指示送信手段507は、MIDIメッセージ生成部511で作成されたCCメッセージと、第2通信手段504を介して携帯端末50から受信したSysExメッセージとをシリアルデータ化するシリアライズ部507aを有する。シリアライズ部507aでシリアルデータ化されたCCメッセージ及びSysExメッセージが、送信バッファ503及び第1通信手段501を介してヘッドホン30に送信される。
【0082】
このように、ペダルスイッチ15からの入力に基づくCCメッセージと、第2通信手段504を介して携帯端末50から受信したSysExメッセージとが、第1通信手段501を介してヘッドホン30に送信される。これにより、ヘッドホン30が1つの制御装置とのみ接続できる場合でも、ペダル装置1及び携帯端末50の2つの制御装置からヘッドホン30を制御することができる。
【0083】
更に、シリアライズ部507aによって、MIDIメッセージ生成部511で作成されたCCメッセージと、第2通信手段504を介して携帯端末50から受信したSysExメッセージとをシリアルデータ化することで、CCメッセージとSysExメッセージとを、第1通信手段501の同一の通信経路で送信することができる。
【0084】
次に、上記したCCメッセージの作成を説明する。第1記憶部508は、ペダル装置1のモデルIDやバージョン情報を記憶するものであり、
図8で後述するフラッシュROM11で実現される。判断手段509は、第2通信手段504及び受信バッファ505を介して携帯端末50から受信したSysExメッセージが、自己への制御指示か否かを判断する手段であり、CPU10で実現される。
【0085】
変更手段510は、判断手段509によって第2通信手段504を介して受信したSysExメッセージが、自己への制御指示である判断された場合、当該SysExメッセージに従って、ペダルスイッチ15に基づいてMIDIメッセージ生成部511で生成されるCCメッセージを変更する手段であり、CPU10で実現される。
【0086】
MIDIメッセージ生成部511は、ペダルスイッチ15から入力されたパラメータと、第1記憶部508のモデルIDやバージョン情報に基づきCCメッセージを作成するものであり、CPU10で実現される。MIDIメッセージ生成部511においては、変更手段510によって、判断手段509によって第2通信手段504を介して受信したSysExメッセージが、自己への制御指示である判断された場合、当該SysExメッセージに従って、ペダルスイッチ15に基づいてMIDIメッセージ生成部511で生成されるCCメッセージが変更される。これにより、携帯端末50からのSysExメッセージによって、ペダルスイッチ15の操作に基づき制御される制御対象を変更することができる。
【0087】
次に、携帯端末50との通信の確立時の動作を説明する。ペアリングモード遷移部512は、操作子16がダブルクリックやシングルクリックされることで、
図3(b)で上記したアドバタイジングモードに遷移したかを判断するものであり、CPU10で実現される。第2記憶部513は、ペダル装置1自身の情報(「ABC」)と、ペダル装置1自身の情報およびヘッドホン30との通信が確立していることを示す情報(「ABC+」)とを記憶するものであり、フラッシュROM11で実現される。
【0088】
第1通信確立判断部514は、第1通信手段501によるヘッドホン30との通信が確立しているか否かに応じて、第2記憶部513から情報を取得するものであり、CPU10で実現される。具体的に、第1通信確立判断部514は、第1通信手段501によるヘッドホン30との通信が確立していない場合は、第2記憶部513からペダル装置1自身の情報を取得し、第1通信手段501によるヘッドホン30との通信が確立している場合は、第2記憶部513からペダル装置1自身の情報およびヘッドホン30との通信が確立していることを示す情報を取得する。
【0089】
アドバタイジングパケット生成部515は、ペアリングモード遷移部512によってアドバタイジングモードであると判断された場合に、第1通信確立判断部514から取得された情報に基づいてアドバタイジングパケットADを作成し、第2通信手段504を介して携帯端末50に送信するものであり、CPU10で実現される。アドバタイジングパケット生成部515で生成されたアドバタイジングパケットADが、送信バッファ506及び第2通信手段504を介して携帯端末50に送信される。
【0090】
即ちアドバタイジングパケット生成部515から携帯端末50に送信されるアドバタイジングパケットADには、第1通信手段501によるヘッドホン30との通信が確立している場合にペダル装置1自身の情報およびヘッドホン30との通信が確立していることを示す情報が含まれる。これにより、ペダル装置1を介してヘッドホン30と接続される携帯端末50は、ヘッドホン30と実際に通信可能であることを判断できる。
【0091】
次に、
図8を参照して制御システムSの電気的構成を説明する。
図8は、制御システムSの電気的構成を示すブロック図である。ヘッドホン30は、CPU31と、フラッシュROM32と、RAM33とを有し、これらはバスライン34を介して入出力ポート35にそれぞれ接続されている。入出力ポート35には更に、楽器用受信装置36と、上記した操作子37及びLED38と、アンプ39と、ペダル装置1と無線通信するための無線通信装置40と、ジャイロセンサ41とが接続される。
【0092】
CPU31は、バスライン34により接続された各部を制御する演算装置である。フラッシュROM32は、CPU31により実行されるプログラムや固定値データ等を格納した書き換え可能な不揮発性の記憶装置であり、制御プログラム32aと、上記したヘッドホン30のモデルIDが記憶されるモデルIDデータ32bとが記憶される。CPU31によって制御プログラム32aが実行されると、
図9のヘッドホン処理が実行される。RAM33は、CPU31がプログラムの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するためのメモリである。
【0093】
楽器用受信装置36は、上記した楽器用送信装置Gtから無線通信された演奏信号を受信する装置である。アンプ39は、CPU31で作成された演奏音を増幅する装置である。アンプ39には、上記したスピーカR,Lが接続され、アンプ39によって増幅された演奏音がスピーカR,Lに出力される。ジャイロセンサ41は、角速度を検出するセンサであり、ヘッドホン30を装着するユーザHの頭部の上下、前後、左右への移動量、傾き、回転がそれぞれ検出される。
【0094】
ヘッドホン30は、楽器用受信装置36を介して電気ギターGから入力された演奏信号に基づく演奏音(「第1の楽音」)と、携帯端末50等から無線通信装置40を介して入力された楽音(「第2の楽音」)との混合音が出力可能に構成される。
【0095】
更に混合音において、第1の楽音と、第2の楽音との少なくとも一方について、それらの楽音が出力される仮想的な位置を、ジャイロセンサ41で検出されたユーザHの頭部の移動量や傾き等に応じて変更できるように構成される。例えば、第2の楽音をドラム音とし、そのドラム音が出力される仮想的な位置を、電気ギターGを演奏するユーザHの背後に設定することで、ヘッドホン30を装着し電気ギターGを演奏するユーザHの頭部の傾き等が変わった場合でも、該ユーザHは、ドラム音が常に背後から出力されるように聞こえる。
【0096】
次に、制御システムSのペダル装置1の電気的構成を説明する。ペダル装置1は、CPU10と、フラッシュROM11と、RAM12とを有し、これらはバスライン13を介して入出力ポート14にそれぞれ接続されている。入出力ポート14には更に、上記したペダルスイッチ15、操作子16及びLED17と、ヘッドホン30及び携帯端末50と無線通信するための無線通信装置22とが接続される。
【0097】
CPU10は、バスライン13により接続された各部を制御する演算装置である。フラッシュROM11は、CPU10により実行されるプログラムや固定値データ等を格納した書き換え可能な不揮発性の記憶装置であり、制御プログラム11aと、上記したヘッドホン30のモデルIDが記憶されるモデルIDデータ11bとが記憶される。CPU10によって制御プログラム11aが実行されると
図11(a)のペダル処理が実行される。
【0098】
RAM12は、CPU10がプログラムの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するためのメモリであり、ヘッドホン30又は携帯端末50から受信したSysExメッセージとその送信先とが記憶される転送データメモリ12aと、ペダルスイッチ15に基づいて作成されるCCメッセージが記憶される演奏データメモリ12bとが設けられる。
【0099】
次に、制御システムSの携帯端末50の電気的構成を説明する。携帯端末50は、CPU51と、フラッシュROM52と、RAM53とを有し、これらはバスライン54を介して入出力ポート55にそれぞれ接続されている。入出力ポート55には更に、ペダル装置1と無線通信するための無線通信装置58と、ユーザHからの指示が入力されるタッチパネル56と、上記したLCD57とが接続される。
【0100】
CPU51は、バスライン54により接続された各部を制御する演算装置である。フラッシュROM52は、CPU51により実行されるプログラムや固定値データ等を格納した書き換え可能な不揮発性の記憶装置であり、制御プログラム52aが記憶される。CPU51によって制御プログラム52aが実行されると、
図13の携帯端末処理が実行される。より具体的に、制御プログラム52aには、上記したペダル装置1を制御対象とするアプリと、ヘッドホン30を制御対象とするアプリとが含まれ、タッチパネル56の操作に応じて起動されたアプリに応じた携帯端末処理が実行される。携帯端末処理の詳細は
図13で後述する。
【0101】
RAM53は、CPU51がプログラムの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するためのメモリであり、上記したインクワイアリーメッセージIQが記憶されるIQメモリ53aが設けられる。
【0102】
次に、
図9~13を参照して、制御システムSの処理を説明する。まず、ヘッドホン30のCPU31で実行される処理を説明する。
図9は、ヘッドホン処理のフローチャートである。ヘッドホン処理は、ヘッドホン30の電源が投入された場合に、実行される処理である。
【0103】
ヘッドホン処理はまず、ユーザHから操作子37にペダル装置1等の他の通信装置との接続を開始する指示する接続開始操作がされたかを確認する(S1)。具体的に、操作子37が長押しされた場合に、接続開始操作がされたと判断される。S1の処理において、接続開始操作がされた場合は(S1:Yes)、ペリフェラル接続処理(S2)を実行する。ここで、
図10(a)を参照して、ペリフェラル接続処理を説明する。
【0104】
図10(a)は、ペリフェラル接続処理のフローチャートである。ペリフェラル接続処理は、ヘッドホン30のCPU31で実行される他、同等の処理がペダル装置1のCPU10でも実行される。
【0105】
ペリフェラル接続処理はまず、
図3で上記したアドバタイジングパケットADを他の通信装置に送信する(S20)。アドバタイジングパケットADの他の通信装置への送信は、ヘッドホン30の場合は無線通信装置40を用いて行われ、ペダル装置1の場合は無線通信装置22を用いて行われる。以下、ペリフェラル接続処理における他の通信装置との通信は、ヘッドホン30の場合は無線通信装置40を用いて行われ、ペダル装置1の場合は無線通信装置22を用いて行われるものとする。
【0106】
S20の処理の後、S20の処理で送信したアドバタイジングパケットADに応じて、他の通信装置からの接続要求が受信されたかを確認する(S21)。S21の処理において、接続要求を受信した場合は(S21:Yes)、該接続要求が送信された他の通信装置(即ちペダル装置1又は携帯端末50)との接続処理を行う(S22)。
【0107】
一方、S21の処理において、接続要求を受信していない場合は(S21:No)、S20の処理においてアドバタイジングパケットADの送信開始から所定時間以上が経過したかを確認する(S23)。S23の処理において、アドバタイジングパケットADの送信開始から所定時間以上が経過していない場合は(S23:No)、S20以下の処理を再実行する。S22の処理の後、または、S23の処理において、アドバタイジングパケットADの送信開始から所定時間以上が経過した場合は(S23:Yes)、ペリフェラル接続処理を終了する。
【0108】
図9に戻る。S1の処理において、接続開始操作がされない場合(S1:No)、または、S2のペリフェラル接続処理の後、
図4で上記した素性リクエストデータSRを受信したかを確認する(S3)。S3の処理において、素性リクエストデータSRを受信した場合は(S3:Yes)、素性リクエスト応答処理(S4)を実行する。ここで、
図10(b)を参照して、素性リクエスト応答処理を説明する。
【0109】
図10(b)は、素性リクエスト応答処理のフローチャートである。素性リクエスト応答処理は、ヘッドホン30のCPU31で実行される他、同等の処理がペダル装置1のCPU10でも実行される。
【0110】
素性リクエスト応答処理はまず、受信した素性リクエストデータSRのモデルIDが自身のものかを確認する(S30)。具体的には、素性リクエストデータSRに含まれるモデルIDと、自身のモデルID、即ちヘッドホン30の場合は、モデルIDデータ32bのモデルID又はペダル装置1の場合は、モデルIDデータ11bのモデルIDとが比較され、これらが一致するかが確認される。
【0111】
S30の処理において、素性リクエストデータSRのモデルIDが自身のものである場合は(S30:Yes)、自身のインクワイアリーメッセージIQ(
図4参照)を作成し、作成したインクワイアリーメッセージIQを素性リクエストデータSRの送信元、即ちペダル装置1又は携帯端末50に送信(返送)する(S31)。この送信は、ヘッドホン30の場合は無線通信装置40を用いて行われ、ペダル装置1の場合は無線通信装置22を用いて行われるものとする。
【0112】
一方で、S30の処理において、素性リクエストデータSRのモデルIDが自身のものでない場合は(S30:No)、受信した素性リクエストデータSRを破棄する(S32)。S31,S32の処理の後、素性リクエスト応答処理を終了する。
【0113】
図9に戻る。S3の処理において、素性リクエストデータSRを受信していない場合、または、S4の処理の後、SysExメッセージを受信したかを確認する(S5)。S5の処理において、SysExメッセージを受信した場合は(S5:Yes)、SysExメッセージにおける制御指示RSのモデルIDが、モデルIDデータ32bのモデルIDと一致するかを確認する(S6)。
【0114】
S6の処理において、SysExメッセージにおける制御指示RSのモデルIDが、モデルIDデータ32bのモデルIDと一致する場合は(S6:Yes)、該SysExメッセージの制御指示RSに含まれるパラメータを用いて自身の設定を更新する(S7)。一方で、SysExメッセージにおける制御指示RSのモデルIDが、モデルIDデータ32bのモデルIDと一致しない場合は(S6:No)、受信したSysExメッセージを破棄する(S8)。
【0115】
S5の処理において、SysExメッセージを受信していない場合(S5:No)、または、S7,S8の処理の後、
図6で上記したCCメッセージ(
図6(a)参照)を受信したかを確認する(S9)。S9の処理において、CCメッセージを受信した場合は(S9:Yes)、ヘッドホン30が受信したCCメッセージによって自身の設定を更新するモードかどうかを確認する(S10)。
【0116】
S10の処理において、受信したCCメッセージによって自身の設定を更新するモードである場合は(S10:Yes)、CCメッセージに含まれる更新指示CCのパラメータを用いて自身の設定を更新する(S11)。
【0117】
S11の処理の後、S9の処理で受信したCCメッセージの更新指示CCのパラメータと、モデルIDデータ32bのモデルIDとから応答指示PS(
図6(a)参照)を作成し、その応答指示PSを組み込んだSysExメッセージをCCメッセージの送信元、即ちペダル装置1に送信(返送)する(S12)。一方でS10の処理において、受信したCCメッセージによって自身の設定を更新するモードはない場合は(S10:No)、受信したCCメッセージを破棄する(S13)。
【0118】
S9の処理において、CCメッセージを受信していない場合(S9:No)、S12,S13の処理の後、固有処理(S14)を実行する。固有処理は、ヘッドホン30で行われるその他の処理であり、例えば、楽器用受信装置36を介して電気ギターGから入力した演奏信号に基づく演奏音や、ペダル装置1を介して携帯端末50から入力された演奏音をアンプ39を介してスピーカR,Lに出力すること等が挙げられる。S14の固有処理の後、S1以下の処理を繰り返す。
【0119】
次に、ペダル装置1のCPU10で実行される処理を説明する。
図11(a)は、ペダル処理のフローチャートである。ペダル処理は、ペダル装置1の電源が投入された場合に、実行される処理である。
【0120】
ペダル処理はまず、他の通信装置(具体的にはヘッドホン30)からのアドバタイジングパケットADの受信の開始を指示する接続スキャン開始操作がされたかを確認する(S50)。具体的に、
図3(a)で上記したように、LED17の点灯色が白色(即ちセントラル機能)となるまでユーザHが操作子16をダブルクリックし、その後、ユーザHが操作子16をシングルクリックすることで、スキャンモードに遷移した場合に、接続スキャン開始操作がされたと判断される。S50の処理において、接続スキャン開始操作がされた場合は(S50:Yes)、セントラル接続処理(S51)を実行する。ここで、
図11(b)を参照して、セントラル接続処理を説明する。
【0121】
図11(b)は、セントラル接続処理のフローチャートである。セントラル接続処理は、ペダル装置1のCPU10で実行される他、同等の処理が携帯端末50のCPU51でも実行される。セントラル接続処理はまず、アドバタイジングパケットADの受信を開始する(S70)。アドバタイジングパケットADの受信は、ペダル装置1の場合は無線通信装置22を用いて行われ、携帯端末50の場合は無線通信装置58を用いて行われる。以下、セントラル接続処理における他の通信装置との通信は、ペダル装置1の場合は無線通信装置22を用いて行われ、携帯端末50の場合は無線通信装置58を用いて行われるものとする。
【0122】
S70の処理の後、他の通信装置からアドバタイジングパケットADを受信したかを確認する(S71)。S71の処理において、アドバタイジングパケットADを受信した場合は(S71:Yes)、アドバタイジングパケットADを受信した通信装置に接続要求を送信し(S72)、当該通信装置との接続処理を行う(S73)。
【0123】
S71の処理において、アドバタイジングパケットADを受信していない場合は(S71:No)、S70の処理によるアドバタイジングパケットADの受信開始から所定時間以上経過したかを確認する(S74)。S74の処理において、アドバタイジングパケットADの受信開始から所定時間以上経過していない場合は(S74:No)、S70以下の処理を繰り返す。
【0124】
一方で、S74の処理において、アドバタイジングパケットADの受信開始から所定時間以上経過した場合(S74:Yes)、または、S73の処理の後、セントラル接続処理を終了する。かかるセントラル接続処理と上記したペリフェラル接続処理とにより、ヘッドホン30とペダル装置1との第1通信w1や、ペダル装置1と携帯端末50との第2通信w2が確立される。
【0125】
図11(a)に戻る。S50の処理において、接続スキャン開始操作がされない場合(S50:No)、または、S51のセントラル接続処理の後、操作子16から接続開始操作がされたかを確認する(S52)。具体的に、
図3(b)で上記したように、LED17の点灯色が青色(即ちペリフェラル機能)となるまでユーザHが操作子16をダブルクリックし、その後、ユーザHが操作子16をシングルクリックすることで、アドバタイジングモードに遷移した場合に、接続開始操作がされたと判断される。S52の処理において、接続開始操作がされた場合は(S52:Yes)、S51のセントラル接続処理で他の通信装置と通信が確立済みかを確認する(S53)。
【0126】
S53の処理において、セントラル接続処理で他の通信装置と通信が確立済みである場合は(S53:Yes)、アドバタイジングパケットADに自身の情報と通信が確立された通信装置の情報(
図3(b)参照)とを付加する(S54)。S53の処理において、セントラル接続処理で他の通信装置と通信が確立済みではない場合は(S53:No)、アドバタイジングパケットADに自身の情報を付加する(S55)。S54,S55の処理の後、上記のS2のペリフェラル接続処理を実行する。
【0127】
S52の処理において、接続開始操作がされない場合(S52:No)、または、S2の処理の後、素性リクエストデータSR(
図4参照)を受信したかを確認する(S56)。S55の処理において、素性リクエストデータSRを受信した場合は(S56:Yes)、上記の素性リクエスト応答処理(S4)を実行する。S56の処理において、素性リクエストデータSRを受信していない場合は(S56:No)、S4の処理をスキップする。S4,S56の処理の後、ペダル装置送受信処理(S57)を実行し、S50以下の処理を繰り返す。ここで、
図12を参照して、ペダル装置送受信処理を説明する。
【0128】
図12は、ペダル装置送受信処理のフローチャートである。ペダル装置送受信処理はまず、SysExメッセージを受信したかを確認する(S80)。S80の処理において、SysExメッセージを受信した場合は(S80:Yes)、受信したSysExメッセージと、そのSysExメッセージの送信先と転送データメモリ12aに保存する(S81)。SysExメッセージの送信先とは、具体的に、SysExメッセージを携帯端末50から受信した場合は、ヘッドホン30が設定され、SysExメッセージをヘッドホン30から受信した場合は、携帯端末50が設定される。
【0129】
S81の処理の後、SysExメッセージにおける制御指示RSのモデルIDが、モデルIDデータ11bのモデルIDと一致するかを確認する(S82)。S82の処理において、SysExメッセージにおける制御指示RSのモデルIDが、モデルIDデータ11bのモデルIDと一致する場合は(S82:Yes)、該SysExメッセージの制御指示RSに含まれるパラメータを用いて自身の設定を更新する(S83)。これによって、例えば、携帯端末50から受信したSysExメッセージの制御指示RSが、ペダル装置1で制御する音響効果が「ディレイ」に変更するものであった場合、これ以降は、ペダル装置1のペダルスイッチ15によって効果量を制御する音響効果が「ディレイ」に変更される。
【0130】
一方で、SysExメッセージにおける制御指示RSのモデルIDが、モデルIDデータ11bのモデルIDと一致しない場合は(S82:No)、受信したSysExメッセージを破棄する(S84)。
【0131】
S80の処理において、SysExメッセージを受信していない場合(S80)、S83,S84の処理の後、ペダルスイッチ15が操作されたかを確認する(S85)。S85の処理において、ペダルスイッチ15が操作された場合は(S85:Yes)、ペダルスイッチ15からその角度に応じたパラメータを取得し、取得したパラメータに基づき更新指示CCを作成する。作成した更新指示CCを含めたCCメッセージを作成する(S86)。S86の処理の後、作成されたCCメッセージを演奏データメモリ12bに保存する(S87)。
【0132】
S85の処理において、ペダルスイッチ15が操作されていない場合(S85:No)、または、S87の処理の後、転送データメモリ12aに未送信または送信中のSysExメッセージがあるかを確認する(S88)。S88の処理において、転送データメモリ12aに未送信または送信中のSysExメッセージがある場合は(S88:Yes)、転送データメモリ12aのSysExメッセージを、転送データメモリ12aに記憶されている送信先に送信する(S89)。
【0133】
一方で、S88の処理において、転送データメモリ12aに未送信または送信中のSysExメッセージがない場合は(S88:No)、演奏データメモリ12bに未送信または送信中のCCメッセージがあるかを確認する(S90)。
【0134】
S90の処理において、演奏データメモリ12bに未送信または送信中のCCメッセージがある場合は(S90:Yes)、演奏データメモリ12bのCCメッセージを、ペダル装置1に接続されている通信装置のそれぞれに送信する(S91)。一方で、S90の処理において、演奏データメモリ12bに未送信または送信中のCCメッセージがない場合は(S90:No)、S91の処理をスキップする。
【0135】
即ち携帯端末50やヘッドホン30からSysExメッセージを受信し、受信したSysExメッセージが未送信または送信中の状態で、ペダルスイッチ15が操作され、CCメッセージが作成された場合でも、先に受信したSysExメッセージの送信完了後に、後に作成されたCCメッセージの送信が開始される。このように受信したSysExメッセージとCCメッセージとを、送信用にシリアライズ化することで、同一の通信経路(第1通信w1または第2通信w2)によってSysExメッセージとCCメッセージとを送信することができる。
【0136】
S89,S90,S91の処理の後、ペダル装置送受信処理を終了する。
【0137】
次に、携帯端末50のCPU51で実行される処理を説明する。
図13は、携帯端末処理のフローチャートである。携帯端末処理は、タッチパネル56を介したユーザHの操作により、ペダル装置1を制御対象とするアプリ又はヘッドホン30を制御対象とするアプリの起動指示が入力された場合に実行される処理である。
【0138】
携帯端末処理はまず、タッチパネル56から、他の通信装置(具体的にはペダル装置1)からのアドバタイジングパケットADの受信の開始を指示する接続スキャン開始操作がされたかを確認する(S100)。具体的に、携帯端末50において、ペダル装置1を制御対象とするアプリ又はヘッドホン30を制御対象とするアプリの起動後に、LCD57に表示される接続スキャンを開始するボタン(図示せず)が表示され、タッチパネル56を介してそのボタンが選択された場合に、接続スキャン開始操作がされたと判断される。S100の処理において、接続スキャン開始操作がされた場合は(S100:Yes)、上記したセントラル接続処理(S51)を実行する。
【0139】
S51のセントラル接続処理の後、該セントラル接続処理で受信したアドバタイジングパケットADに通信が確立した通信装置の情報が含まれるかを確認する(S101)。S105の処理において、アドバタイジングパケットADに通信が確立した通信装置の情報が含まれる場合は(S101:Yes)、LCD57に「ABC+」を表示する(S102)。一方で、S105の処理において、アドバタイジングパケットADに通信が確立した通信装置の情報が含まれない場合は(S101:No)、LCD57に「ABC」を表示する(S103)。
【0140】
S102,S103の処理の後、起動しているアプリの制御対象(即ちペダル装置1又はヘッドホン30)のモデルIDに基づき、素性リクエストデータSRを作成し、接続された通信装置(具体的にはペダル装置1)に送信する(S104)。
【0141】
S100の処理において、接続スキャン開始操作がされなかった場合(S100:No)、または、S104の処理の後、インクワイアリーメッセージIQを受信したかを確認する(S105)。SS105の処理において、インクワイアリーメッセージIQを受信した場合は(S105:Yes)、受信したインクワイアリーメッセージIQをIQメモリ53aに保存する(S106)。一方で、S105の処理において、インクワイアリーメッセージIQを受信しなかった場合は(S105:No)、S106の処理をスキップする。
【0142】
S105,S106の処理の後、携帯端末送受信処理(S107)を実行し、S100以下の処理を繰り返す。ここで、
図14を参照して、携帯端末送受信処理を説明する。
【0143】
図14は、携帯端末送受信処理のフローチャートである。携帯端末送受信処理はまず、SysExメッセージを受信したかを確認する(S120)。S120の処理において、SysExメッセージを受信した場合は(S120:Yes)、SysExメッセージにおける制御指示RSのモデルIDが、起動しているアプリの制御対象のモデルIDと一致するかを確認する(S121)。
【0144】
S121の処理において、SysExメッセージにおける制御指示RSのモデルIDが、起動しているアプリの制御対象のモデルIDと一致する場合は(S121:Yes)、該SysExメッセージの制御指示RSに含まれるパラメータを用いて自身の設定を更新する(S122)。一方で、SysExメッセージにおける制御指示RSのモデルIDが、起動しているアプリの制御対象のモデルIDと一致しない場合は(S121:No)、受信したSysExメッセージを破棄する(S123)。
【0145】
S120の処理において、SysExメッセージを受信していない場合(S120:No)、または、S122,S123の処理の後、CCメッセージを受信したかを確認する(S124)。S124の処理において、CCメッセージを受信した場合は(S124:Yes)、CCメッセージによって自身の設定を更新するモードかどうかを確認する(S125)。
【0146】
S125の処理において、CCメッセージによって自身の設定を更新するモードである場合は(S125:Yes)、CCメッセージに含まれる更新指示CCのパラメータを用いて自身の設定を更新する(S126)。
一方でS125の処理において、受信したCCメッセージによって自身の設定を更新するモードはない場合は(S125:No)、受信したCCメッセージを破棄する(S127)。
【0147】
S124の処理において、CCメッセージを受信した場合(S124:Yes)、または、S126,S127の処理の後、タッチパネル56を介してユーザHからパラメータ(例えば、
図5(a)における音量や、
図5(b)における音響効果の種類)が入力されたかを確認する(S128)。S128の処理において、パラメータが入力された場合は(S128:Yes)、入力されたパラメータを用いて自身の設定を更新する(S129)。
【0148】
S129の処理の後、入力されたパラメータ、起動しているアプリの制御対象のモデルID、及び、IQメモリ53aのインクワイアリーメッセージIQから制御指示RSを作成する。作成した制御指示RSを含めたSysExメッセージを作成し、接続されている通信装置(具体的にはペダル装置1)に送信する(S130)。これにより、携帯端末50からの制御指示RSがペダル装置1及びヘッドホン30に送信される。
【0149】
S128の処理において、タッチパネル56からパラメータが入力されない場合(S128:No)、または、S130の処理の後、携帯端末送受信処理を終了する。
【0150】
以上、上記実施形態に基づき説明したが、種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0151】
上記実施形態では、ペダル装置1及び携帯端末50と接続される装置として、ヘッドホン30やエフェクタ300,310(
図3(a)参照)を例示したが、これに限られない。ヘッドホン30やエフェクタ300,310以外の電子楽器、例えば、
図15に示すシンセサイザ350を接続しても良い。即ち
図15に表す制御システムS’は、シンセサイザ350とペダル装置1とで上記した第1通信w1が確立される。
【0152】
変形例における携帯端末50のLCD57には、楽譜が表示される。タッチパネル56の操作により、表示される楽譜の位置が変化するように構成される。この際、ペダル装置1のペダルスイッチ15に操作によっても、LCD57に表示される楽譜の位置が変化するように構成される。
【0153】
変形例におけるシンセサイザ350には、主に鍵盤354と、各種設定を入力する設定キー355と、楽譜LCD356とが配設される。鍵盤354には、複数の鍵354aが配設され、ユーザHの演奏による演奏情報を取得するための入力装置である。ユーザHによる鍵354aの押鍵/離鍵操作に応じたMIDI規格の演奏情報が、CPU351(
図16参照)へ出力される。
【0154】
楽譜LCD356は、上記した携帯端末50のLCD57に表示される楽譜と同一の楽譜が表示される表示装置である。楽譜LCD356に表示される楽譜およびその表示位置は、携帯端末50及びペダル装置1から送信される。
【0155】
即ち携帯端末50で楽譜の表示位置を変えた場合、または、ペダル装置1のペダルスイッチ15によって楽譜の表示位置を変えた場合、楽譜LCD356には、携帯端末50のLCD57に表示される楽譜と同等の楽譜が表示される。これにより、2台の携帯端末50およびペダル装置1から1台のシンセサイザ350の楽譜の表示位置を変更することができる。特に、ペダル装置1のペダルスイッチ15はユーザHの足踏みによって操作されるので、ユーザHは鍵盤354から手を離すことなく、楽譜LCD356の楽譜の表示位置を変更することができる。
【0156】
次に、
図16を参照して、変形例における制御システムS’の電気的構成を説明する。
図16は、制御システムS’の電気的構成を示すブロック図である。制御システムS’のシンセサイザ350は、CPU351と、フラッシュROM352と、RAM353とを有し、それぞれバスライン357を介して接続される。バスライン357には、更に、上記した鍵盤354、設定キー355及び楽譜LCD356と、ペダル装置1と無線通信する無線通信装置358と、音源359と、Digital Signal Processor360(以下「DSP360」と称す)とが接続される。DSP360は、音源359とも接続される。
【0157】
CPU351は、バスライン357により接続された各部を制御する演算装置である。フラッシュROM352は、CPU351により実行されるプログラムや固定値データ等を格納した書き換え可能な不揮発性の記憶装置であり、制御プログラム352aと、モデルIDが記憶されるモデルIDデータ352bとが記憶される。CPU351によって制御プログラム352aが実行されると、
図9のヘッドホン処理と同等の処理が実行される。なお、ヘッドホン処理における固有処理(S14)は、シンセサイザ350固有の処理が実行されるが、詳細は
図17で後述する。
【0158】
RAM353は、CPU351がプログラムの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するためのメモリである。音源359は、CPU351から入力される演奏情報に応じた波形データを出力する装置である。DSP360は、音源359から入力された波形データを演算処理するための演算装置である。そのDSP360には、デジタルアナログコンバータ(DAC)361が接続され、そのDAC361にはアンプ362が接続され、そのアンプ362にはスピーカ363が接続される。
【0159】
次に、シンセサイザ350のCPU351で実行される処理を説明する。シンセサイザ350における、ペダル装置1及び携帯端末50との通信に関する処理は、上記実施形態における
図9のヘッドホン処理の接続開始操作(S1)と固有処理(S14)とを除き、ヘッドホン30の処理と略同一である。シンセサイザ350においては、所定の設定キー355を長押しすることで、ヘッドホン処理のS1の処理における接続開始操作がされたと判断される。
【0160】
次に、シンセサイザ350の固有処理(S14)を説明する。
図17は、変形例におけるシンセサイザ350の固有処理のフローチャートである。シンセサイザ350の固有処理はまず、スイッチイベント処理を行う(S200)。スイッチイベント処理では、設定キー355が操作されたかどうかが確認され、設定キー355が操作された場合は、その設定キー355に応じた処理が行われる。
【0161】
S200の処理の後、鍵盤イベント処理(S201)を行う。鍵盤イベント処理は、鍵盤354において、どの鍵354aが押されたのか又は離されたのかが検出される。S201の処理の後、MIDI処理を行う(S202)。MIDI処理では、S201の処理で検出された鍵354aの操作に応じて演奏音の出力および出力の停止を行うと共に、ペダル装置1からの更新指示CCや、携帯端末50の制御指示RSに含まれるパラメータから楽譜LCD356に表示する楽譜や楽譜の表示位置が取得される。
【0162】
S202の処理の後、自動演奏処理(S203)を行う。この自動演奏処理では、コンサートマジック演奏処理、自動伴奏処理、デモンストレーション処理等が行われる。S203の処理の後、楽譜表示処理(S204)を行う。楽譜表示処理では、MIDI処理で取得した楽譜や楽譜の表示位置に基づき楽譜の画像が作成され、楽譜LCD356に表示される。これにより、携帯端末50のLCD57に表示される楽譜と同等の楽譜が楽譜LCD356に表示される。S204の処理の後、シンセサイザ350に関するその他処理(S205)を行い、固有処理を終了する。
【0163】
なお、変形例では、携帯端末50のLCD57に表示される楽譜をシンセサイザ350の楽譜LCD356に表示し、ペダル装置1及び携帯端末50からの操作によって楽譜LCD356に表示される楽譜の位置を変更するものを例示したが、これに限られない。例えば、LCD57及び楽譜LCD356に表示される楽譜において、現在演奏すべき音符等の表示態様(例えば、色や音符等の大きさ、マーキング)を変更可能に構成し、携帯端末50及びペダル装置1の操作によって表示態様を変更する音符等を変更(前進、後退等)させても良い。また、携帯端末50及びペダル装置1の操作によって、シンセサイザ350で出力される演奏音の音量や、演奏音に付加される音響効果の度合いや種類を変更できるように構成しても良い。
【0164】
上記実施形態では、制御装置としてペダルスイッチ15を有するペダル装置1を例示したが、これに限られない。例えば、制御装置を、オンオフ状態を切り替えるスイッチを有する装置としても良いし、出力するパラメータを可変に制御できる「つまみ」やフェーダーを有する装置としても良い。また、センサ情報を利用する装置(例えば、加速度センサの変化量を取得し、その変化量に応じて制御対象を制御する装置)を制御装置としても良いし、その他のパラメータを設定可能な装置を制御装置としても良い。
【0165】
上記実施形態では、ヘッドホン30及びペダル装置1に制御指示を送信するセントラルの通信装置として、制御プログラム52aを実行する携帯端末50を例示したが、これに限られない。例えば、制御プログラム52aをPCやタブレット端末等の情報処理装置で実行することで、これらをヘッドホン30及びペダル装置1に制御指示を送信するセントラルの通信装置としても良い。また、制御プログラム52aをROM等に記憶し、制御プログラム52aのみを実行する専用装置を、ヘッドホン30及びペダル装置1に制御指示を送信するセントラルの通信装置としても良い。
【符号の説明】
【0166】
30 ヘッドホン(電子楽器)
300,310 エフェクタ(電子楽器)
350 シンセサイザ(電子楽器)
50 携帯端末(第2制御装置)
1 ペダル装置(制御装置)
S 制御システム
15 ペダルスイッチ(入力手段の一部)
S85~S87 入力手段、入力ステップ
S89 第1通信手段、指示送信手段、第1通信ステップ、指示送信ステップ
S91 第2通信手段、指示送信手段、第2通信ステップ、指示送信ステップ
S82 判定手段、判定ステップ
S83 変更手段、変更ステップ