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特開2023-127103点灯装置、照明器具および照明制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127103
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】点灯装置、照明器具および照明制御システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/36 20200101AFI20230906BHJP
   H05B 45/34 20200101ALI20230906BHJP
   H05B 45/345 20200101ALI20230906BHJP
   H05B 45/375 20200101ALI20230906BHJP
【FI】
H05B45/36
H05B45/34
H05B45/345
H05B45/375
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030671
(22)【出願日】2022-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩士
(72)【発明者】
【氏名】相場 明穂
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273BA03
3K273BA24
3K273CA02
3K273CA12
3K273EA06
3K273EA07
3K273EA22
3K273EA24
3K273EA25
3K273EA35
3K273FA13
3K273FA14
3K273FA26
3K273FA27
3K273FA28
3K273FA32
3K273FA40
3K273GA14
3K273GA18
3K273GA25
3K273GA28
(57)【要約】
【課題】光源のちらつきを低減できる点灯装置、照明器具および照明制御システムを得ることを目的とする。
【解決手段】本開示に係る点灯装置は、光源と直列に接続されるスイッチング素子と、前記光源と、前記スイッチング素子と、を含む直列回路の両端に電力を供給し、前記光源を点灯させる電源回路と、リプル抑制有モードでは、前記電源回路を定電圧フィードバック制御しながら、光源電流が予め定められた目標値と一致するように前記スイッチング素子のインピーダンスを変更し、リプル抑制無モードでは、前記スイッチング素子のインピーダンスを固定して、前記光源電流が予め定められた目標値と一致するように前記電源回路を定電流フィードバック制御する制御回路と、を備え、前記制御回路は、前記リプル抑制有モードと前記リプル抑制無モードとを切り替えた後の予め定められた期間で、他の期間よりも前記電源回路のフィードバック周期を短くする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と直列に接続されるスイッチング素子と、
前記光源と、前記スイッチング素子と、を含む直列回路の両端に電力を供給し、前記光源を点灯させる電源回路と、
リプル抑制有モードでは、前記電源回路を定電圧フィードバック制御しながら、前記光源に流れる光源電流が予め定められた目標値と一致するように前記スイッチング素子のインピーダンスを変更し、リプル抑制無モードでは、前記スイッチング素子のインピーダンスを固定して、前記光源電流が予め定められた目標値と一致するように前記電源回路を定電流フィードバック制御する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、前記リプル抑制有モードと前記リプル抑制無モードとを切り替えた後の予め定められた期間で、他の期間よりも前記電源回路のフィードバック周期を短くすることを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
前記期間での前記フィードバック周期は、前記リプル抑制有モードと前記リプル抑制無モードとを切り替えるときに発生する前記光源電流のオーバーシュートまたはアンダーシュートが人の目で検知できないように設定されることを特徴とする請求項1に記載の点灯装置。
【請求項3】
前記期間での前記フィードバック周期は、前記リプル抑制有モードと前記リプル抑制無モードとを切り替えるときに発生する前記光源電流のオーバーシュートまたはアンダーシュートが10ms以下となるように設定されることを特徴とする請求項1または2に記載の点灯装置。
【請求項4】
前記リプル抑制有モードでは、前記制御回路は、前記スイッチング素子に発生する電圧が予め定められた目標電圧と一致するように前記電源回路を定電圧フィードバック制御することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項5】
前記電源回路は交流電源を供給され、
前記電源回路の出力電圧には、前記交流電源の2倍の周波数のリプルが重畳することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項6】
前記電源回路は交流電源を供給され、
前記リプル抑制無モードでは、前記光源電流に前記交流電源の2倍の周波数のリプルが重畳することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載の点灯装置と、
前記光源と、
を備えることを特徴とする照明器具。
【請求項8】
請求項7に記載の照明器具を複数備え、
前記複数の照明器具の制御モードを、前記リプル抑制有モードと前記リプル抑制無モードとの間で切り替えるコントローラを備えることを特徴とする照明制御システム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記複数の照明器具の制御モードを同時に切り替えることを特徴とする請求項8に記載の照明制御システム。
【請求項10】
前記コントローラは、前記複数の照明器具のうち第1照明器具の制御モードを切り替えて、前記第1照明器具で前記リプル抑制有モードと前記リプル抑制無モードとを切り替えるときに発生する前記光源電流のオーバーシュートまたはアンダーシュートが収束した後に、前記複数の照明器具のうち第2照明器具の制御モードを切り替えることを特徴とする請求項8に記載の照明制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、点灯装置、照明器具および照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、交流入力電力を所望の直流出力電力に変換してLED負荷に供給するLED駆動装置が開示されている。このLED駆動装置は、オンオフ制御されるスイッチング素子と、LED負荷に直列に接続され、LED負荷に流れる電流リプルを低減するリプル電流低減部と、制御回路を備える。制御回路は、LED負荷とリプル電流低減部との接続点におけるフィードバック電圧に基づき、スイッチング素子をオンオフ制御することにより、直流出力電力を所定値に制御する。リプル電流低減部は、インピーダンスを可変制御するフィードバック型定電流制御回路を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5110197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるLED駆動装置では、リプル電流低減部を追加することで光源電流リプルを抑制することができる。一方で、リプル電流低減部の追加により、リプル電圧と光源に流れる電流の積に対応する損失が発生する。この為、回路効率が低下するおそれがある。また、リプル抑制機能が予め盛り込まれた環境にLED駆動装置を設置する場合、リプル電流低減部が不要となる可能性がある。
【0005】
よって、使用環境に合わせてリプル電流を低減する動作と高効率動作とを使い分けることが望ましい。つまり、リプル電流低減部によるリプル抑制機能を切替可能であることが望ましい。ここで、リプル電流低減部の前段のスイッチング電源回路から見ると、リプル抑制機能を切り替えることは、負荷が変動することに等しい。負荷変動が生じると、スイッチング電源回路のフィードバック周期により、光源電流にオーバーシュートまたはアンダーシュートが発生する可能性がある。この結果、光源にちらつきが発生するおそれがある。
【0006】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、光源のちらつきを低減できる点灯装置、照明器具および照明制御システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る点灯装置は、光源と直列に接続されるスイッチング素子と、前記光源と、前記スイッチング素子と、を含む直列回路の両端に電力を供給し、前記光源を点灯させる電源回路と、リプル抑制有モードでは、前記電源回路を定電圧フィードバック制御しながら、前記光源に流れる光源電流が予め定められた目標値と一致するように前記スイッチング素子のインピーダンスを変更し、リプル抑制無モードでは、前記スイッチング素子のインピーダンスを固定して、前記光源電流が予め定められた目標値と一致するように前記電源回路を定電流フィードバック制御する制御回路と、を備え、前記制御回路は、前記リプル抑制有モードと前記リプル抑制無モードとを切り替えた後の予め定められた期間で、他の期間よりも前記電源回路のフィードバック周期を短くする。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る点灯装置では、電源回路のフィードバック周期は、リプル抑制有モードとリプル抑制無モードとを切り替えた後の予め定められた期間で、他の期間よりも短い。従って、光源電流のオーバーシュートまたはアンダーシュートを短期間で抑制でき、光源のちらつきを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る照明器具の回路ブロック図である。
図2】制御モード切り替え時の光源電流波形を示す図である。
図3】実施の形態1に係る照明制御システムを示す図である。
図4】実施の形態1に係る照明制御システムにおける制御モードの切り替え方法を説明する図である。
図5】実施の形態1に係る照明制御システムにおける制御モード切り替え時の光源電流波形を示す図である。
図6】実施の形態2に係る照明制御システムにおける制御モードの切り替え方法を説明する図である。
図7】実施の形態2に係る照明制御システムにおける制御モード切り替え時の光源電流波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
各実施の形態に係る点灯装置、照明器具および照明制御システムについて図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明器具100の回路ブロック図である。照明器具100は、点灯装置50と光源80を備える。光源80は、発光素子として直列に接続された複数のLEDを有する。
【0012】
点灯装置50において、ダイオードブリッジDB1の出力側には平滑コンデンサC1とバックコンバータ回路10が接続される。交流電源ACからの交流電圧は、ダイオードブリッジDB1により整流され、平滑コンデンサC1により脈流電圧を伴った直流電圧に変換される。変換された電圧はバックコンバータ回路10に入力される。
【0013】
バックコンバータ回路10は、スイッチング素子Q1、ダイオードD1、インダクタL1および平滑コンデンサC2を有する。スイッチング素子Q1は例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。スイッチング素子Q1はドレイン、ソース、ゲートを備えている。
【0014】
バックコンバータ回路10の出力には光源80とレギュレータ回路20が直列に接続される。レギュレータ回路20は、スイッチング素子Q2と、スイッチング素子Q2と直列に接続された電流検出抵抗R1とを含む。スイッチング素子Q2は例えばMOSFETである。バックコンバータ回路10は、光源80とスイッチング素子Q2と電流検出抵抗R1が形成する直列回路の両端に電力を供給し、光源80を点灯させる電源回路である。
【0015】
制御回路30は例えばマイコンとドライバを含む複合ICである。制御回路30は、スイッチング素子Q1、Q2を駆動させる為のQ1DRV端子、Q2DRV端子を有する。Q1DRV端子、Q2DRV端子はそれぞれスイッチング素子Q1、Q2のゲートに接続される。また、制御回路30は、照明器具100に入力された電圧値を検出する為のVin端子を有する。抵抗R2、R3の直列回路は、平滑コンデンサC1と並列に接続される。抵抗R2、R3の接続点はVin端子に接続される。
【0016】
制御回路30は、スイッチング素子Q2に発生する電圧を検出する為のVOUT端子と、光源80に流れる光源電流を検出するためのIFB端子を有する。VOUT端子はスイッチング素子Q2のドレインに接続される。IFB端子はスイッチング素子Q2と電流検出抵抗R1の接続点に接続される。
【0017】
さらに制御回路30は、スイッチング素子Q1、Q2を駆動させるドライバの電源となるVB端子と、マイコンの電源となるVDD端子を有する。VB端子には、制御電源回路40の出力電圧V1が入力される。VDD端子には、降圧回路42の出力電圧が入力される。
【0018】
制御電源回路40は例えばバックコンバータ回路である。入力電圧Vinは制御電源回路40で予め定められた電圧に降圧される。降圧された電圧が電解コンデンサC3で平滑され、電源電圧V1が生成される。電源電圧V1は例えば13Vである。制御電源回路40は、所望の電圧が得られればフライバック回路などの他の回路であっても良い。降圧回路42は、電源電圧V1から制御回路30用の電源電圧VDDを生成する。降圧回路42は例えばレギュレータ回路である。電源電圧VDDは例えば3.3Vである。
【0019】
制御信号60は例えばシリアル信号である。制御回路30は、外部機器との接続端子Rxを備える。制御回路30は、接続端子Rxを介して外部機器から入力される制御信号60に従い動作する。制御回路30は、制御信号60として、調光状態または後述する制御モードの切り替え信号を受信することで、調光状態または制御モードの切り替えを行うことができる。
【0020】
点灯装置50は、制御モードとして、リプル抑制有モードとリプル抑制無モードを備える。まず、リプル抑制有モードの動作について説明する。交流電源ACから入力電圧Vinが印加されると、制御電源回路40および降圧回路42が動作して、電源電圧V1、VDDを生成する。電源電圧VDDが制御回路30の動作可能電圧まで上昇すると、制御回路30が起動する。制御回路30は入力電圧Vinを検出し、検出した電圧が予め定められた電圧である場合、バックコンバータ回路10およびレギュレータ回路20を動作させる。
【0021】
リプル抑制有モードにおいて、制御回路30は、スイッチング素子Q2に発生する電圧VQ2が予め定められた目標電圧と一致するように、バックコンバータ回路10を定電圧フィードバック制御する。具体的には、制御回路30は、電圧VQ2としてスイッチング素子Q2のドレイン電圧をVOUT端子で検出する。制御回路30は、電圧VQ2と予め制御回路30内に記憶されている目標電圧とを比較し、比較結果に基づいてQ1DRV端子から出力されるPWM(Pulse Width Modulation)信号を調整する。これによりバックコンバータ回路10は、光源80のカソード電圧、すなわち、スイッチング素子Q2のドレイン電圧が一定となるよう定電圧動作を行う。
【0022】
この際のフィードバック周期は、力率改善の為に、商用周波数以下に設定される。このとき、バックコンバータ回路10の出力には、商用成分のリプル電圧を伴った電圧が発生する。具体的には、バックコンバータ回路10の出力電圧には、交流電源ACの2倍の周波数のリプルが重畳する。なお、リプル電圧は平滑コンデンサC2の容量により変化する。リプル電圧をゼロにするには、大容量の平滑コンデンサC2が必要となり、常識的な容量では完全にリプル電圧を除去することはできない。
【0023】
レギュレータ回路20は、光源電流が一定となるよう定電流動作を行う。具体的には制御回路30は、光源80と直列に接続された電流検出抵抗R1に発生する電圧VR1をIFB端子で検出する。制御回路30は、電圧VR1と、予め制御回路30内に記憶されている目標値とを比較し、比較結果に基づいてQ2DRV端子からの出力電圧のレベルを調整する。つまり、制御回路30は、電圧VR1が目標値と一致するように、スイッチング素子Q2のインピーダンスを調整する。
【0024】
このように、リプル抑制有モードにおいて制御回路30は、バックコンバータ回路10を定電圧フィードバック制御しながら、光源電流が予め定められた目標値と一致するようにスイッチング素子Q2のインピーダンスを変更する。このとき、スイッチング素子Q2のインピーダンスがリプル電圧を受け持つことで、光源80に印加される電圧が一定に制御される。すなわち、光源電流におけるリプルが抑制され、光源電流は一定に制御される。
【0025】
次に、リプル抑制無モードの動作について説明する。ここでは、主にリプル抑制有モードと異なる部分を説明する。リプル抑制無モードでは、スイッチング素子Q2のインピーダンスは固定される。制御回路30は、スイッチング素子Q2はインピーダンスを調整せず、例えば最小のインピーダンスに固定する。また、制御回路30は、光源電流が予め定められた目標値と一致するように、バックコンバータ回路10を定電流フィードバック制御する。つまり、制御回路30は、電流検出抵抗R1に発生する電圧をIFB端子で検出し、検出値が一定となるようQ1DRV端子から出力されるPWM信号を調整する。このようにバックコンバータ回路10は定電流制御される。
【0026】
リプル抑制有モードと同様に、バックコンバータ回路10は力率改善動作をしている。このため、バックコンバータ回路10の出力電圧には、交流電源ACの2倍の周波数のリプルが重畳する。また、リプル抑制無モードではスイッチング素子Q2のインピーダンスは固定されている。このため、光源電流にも交流電源ACの2倍の周波数のリプルが重畳する。
【0027】
しかしながら、リプル抑制無モードでは、リプル抑制有モードと比較してスイッチング素子Q2の電圧降下による損失が抑制される。このため、点灯装置50の回路損失は低減され、リプル抑制有モードと比較して高効率となる。
【0028】
以上のようにリプル抑制有モードとリプル抑制無モードでは、回路損失と光源のリプルとがトレードオフの関係がある。このため、制御モードは使用環境に合わせて使い分けることが望ましい。次に、制御モードの切り替えについて説明する。図2は、制御モード切り替え時の光源電流波形を示す図である。
【0029】
まず、本実施の形態の比較例として、単に制御モードを切り替えた場合について説明する。例えばリプル抑制無モードからリプル抑制有モードに切り替えた場合、バックコンバータ回路10から見ると光源80に加え、スイッチング素子Q2のインピーダンスが追加されて負荷が増える。このため、切替直後は負荷に対して供給電力が足りなくなる。従って、光源電流のアンダーシュートが発生する。一方、リプル抑制有モードからリプル抑制無モードに切り替える場合は、バックコンバータ回路10から見ると、スイッチング素子Q2の負荷が軽減される。よって、供給電力に対し軽負荷となり、光源電流のオーバーシュートが発生する。
【0030】
定常時の動作では、バックコンバータ回路10のフィードバック周期は商用周期以下に設定されている。このため、オーバーシュートまたはアンダーシュートが発生してから、フィードバック制御により光源電流を目標値と一致させるまでに時間がかかる。このオーバーシュートまたはアンダーシュートが人の目で検知されることで、使用者からちらつきとして見えてしまうおそれがある。
【0031】
これに対し本実施の形態では、制御モード切り替え時に、一時的にバックコンバータ回路10のフィードバック制御の応答性を向上させる。つまり制御回路30は、リプル抑制有モードとリプル抑制無モードとを切り替えた後の予め定められた一定期間で、他の期間よりもバックコンバータ回路10のフィードバック周期を短くする。これにより、光源電流のオーバーシュートまたはアンダーシュートを短期間で抑制でき、光源80のちらつきを低減できる。
【0032】
制御モード切り替え後の一定期間でのフィードバック周期は、例えば、リプル抑制有モードとリプル抑制無モードとを切り替えるときに発生する光源電流のオーバーシュートまたはアンダーシュートが人の目で検知できないように設定されると良い。具体的には図2に示されるように、当該期間でのフィードバック周期は、オーバーシュートまたはアンダーシュートが10ms以下となるように設定されると良い。すなわち100Hz以上の周波数でオーバーシュートまたはアンダーシュートが安定すると良い。一般に100Hz以上であれば人の目で検出できないため、制御モード切り替え時に使用者がちらつきを認識することを抑制できる。
【0033】
制御回路30は、例えば制御モードの切り替えから一定期間が経過したら、フィードバック周期を元の商用周期以下の周期に戻す。制御回路30は、制御モードの切り替え後、オーバーシュートまたはアンダーシュートが収束して光源電流が目標値に一致すると、フィードバック周期を元の周期に戻しても良い。また、制御回路30は、フィードバック周期を短くしてから制御モードを切り替えても良い。なお、フィードバック周期を切り替えるトリガは、例えば制御信号60である。
【0034】
次に、本実施の形態の照明器具100を備える照明制御システム101について説明する。図3は、実施の形態1に係る照明制御システム101を示す図である。照明制御システム101は、複数の照明器具100、200、300と、複数の照明器具100、200、300の制御モードをリプル抑制有モードとリプル抑制無モードとの間で切り替えるコントローラ500と、を備える。照明器具200、300の構成は、照明器具100の構成と同様である。照明制御システム101が備える照明器具の数は複数であれば良い。
【0035】
フロア内を照らす複数の照明器具のうち1台でもリプル電流が重畳した照明器具があると、カメラにはフリッカとして映ってしまう。よってカメラ等で撮影するフロア内は、全ての照明器具についてリプルが抑制されていると良い。よって、同一フロア内にある照明器具100の制御モードの切り替えは、上流のシステムで行うと良い。上流のシステムは例えばコントローラ500を備える。
【0036】
使用者は携帯端末を使用して、コントローラ500に制御モード切替指令を送信する。制御モード切替指令に応じて、コントローラ500は、接続された照明器具100、200、300に制御モード切替信号を送信する。この制御モード切替信号が制御信号に該当する。各照明器具100、200、300は制御システムからの制御信号に応じ、上述したようにフィードバック応答性向上をしつつ、自己の制御モードを変更する。
【0037】
ここで、本実施の形態の照明器具100単体では、前述のフィードバック応答性の向上により、ちらつきを抑制できる。しかし、フロア内の複数の照明器具の明るさが連続して変動すると、フロア全体の明るさとしての変動期間が長くなり、使用者がちらつきを認識する可能性がある。このように、同一フロア内の照明器具がランダムなタイミングで制御モードを切り替えると、問題となる場合がある。
【0038】
図4は、実施の形態1に係る照明制御システム101における制御モードの切り替え方法を説明する図である。図5は、実施の形態1に係る照明制御システム101における制御モード切り替え時の光源電流波形を示す図である。本実施の形態では、コントローラ500は、複数の照明器具100、200、300の制御モードを同時に切り替える。これにより、照明制御システム101内の照明器具100、200、300は同タイミングで一括して制御モードを変更する。これにより、照明制御システム101全体の明るさの変動期間が長くなることを抑制でき、ちらつきを抑制できる。
【0039】
また、本実施の形態では照明制御システム101から複数の照明器具100、200、300への制御信号の出力タイミングを同一にできる。従って、照明制御システム101を容易に構築できる。
【0040】
本実施の形態の変形例として、バックコンバータ回路10は他の種類の電源回路であっても良い。また、光源80を構成する発光素子は有機ELであっても良い。さらに、制御回路30として複合ICに限らず、フィードバック制御およびスイッチング素子の駆動が可能なあらゆる回路を採用できる。制御回路30は、独立したA/D変換器、論理回路、ゲートアレイ、D/A変換器等のハードウェアにより実現されても良い。
【0041】
また、制御信号はシリアル信号としたが、本実施の形態を満足することができれば他の方式でも問題ない。使用者からの調光指令および制御モード切替指令は、携帯端末に限らず、PCなど据え置きの端末または壁などに据え付けられた装置から送信されても良い。また、携帯端末とコントローラ500の通信、コントローラ500と照明器具100、200、300の通信は、無線方式でも有線方式でも良い。
【0042】
これらの変形は、以下の実施の形態に係る点灯装置、照明器具および照明制御システムについて適宜応用することができる。なお、以下の実施の形態に係る点灯装置、照明器具および照明制御システムについては実施の形態1との共通点が多いので、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0043】
実施の形態2.
図6は、実施の形態2に係る照明制御システム101における制御モードの切り替え方法を説明する図である。図7は、実施の形態2に係る照明制御システム101における制御モード切り替え時の光源電流波形を示す図である。実施の形態1では一括で制御モードを変更する為、一時的に入力電流の乱れが大きくなる可能性がある。これに対し本実施の形態では、コントローラ500は、まず複数の照明器具100、200、300のうち照明器具100の制御モードを切り替える。次にコントローラ500は、照明器具100で光源電流のオーバーシュートまたはアンダーシュートが収束した後に、照明器具200の制御モードを切り替える。同様にコントローラ500は、照明器具200で光源電流のオーバーシュートまたはアンダーシュートが収束した後に、照明器具300の制御モードを切り替える。
【0044】
本実施の形態ではコントローラ500は、照明器具の制御モードを一台ずつ、十分に時間をあけて変更する。これにより、入力電流の乱れを軽減することができる。一方、本実施の形態では、実施の形態1と比較して、システム構築が複雑になる可能性がある。
【0045】
本開示は、上述した実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、各種変更を各実施の形態に施したもの、および、各実施の形態における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態が、本開示の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
10 バックコンバータ回路、20 レギュレータ回路、30 制御回路、40 制御電源回路、42 降圧回路、50 点灯装置、60 制御信号、80 光源、100 照明器具、101 照明制御システム、200、300 照明器具、500 コントローラ、AC 交流電源、C1、C2 平滑コンデンサ、C3 電解コンデンサ、D1 ダイオード、DB1 ダイオードブリッジ、L1 インダクタ、Q1、Q2 スイッチング素子、R1 電流検出抵抗、R2、R3 抵抗、Rx 接続端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7