(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127114
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】ブドウ果汁含有飲料
(51)【国際特許分類】
A23L 2/52 20060101AFI20230906BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
A23L2/52 101
A23L2/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030689
(22)【出願日】2022-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】596126465
【氏名又は名称】アサヒ飲料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】木下 藍子
(72)【発明者】
【氏名】青山 千尋
【テーマコード(参考)】
4B117
【Fターム(参考)】
4B117LC03
4B117LE10
4B117LG01
4B117LK06
4B117LK08
4B117LK12
4B117LP17
(57)【要約】
【課題】ブドウ果汁含有飲料のブドウ果汁含有飲料のぶどうらしさ、コク、後味の強さのバランスを向上できる技術を提供する。
【解決手段】本発明のブドウ果汁含有飲料は、ジヒドロアクチニジオリド(a)を5ppb~50ppmおよび/またはフェニル酢酸(b)を5ppb~700ppb含み、果汁率(ストレート果汁換算)が50%以上、100%未満である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジヒドロアクチニジオリド(a)を5ppb~50ppmおよび/またはフェニル酢酸(b)を5ppb~700ppb含み、
果汁率(ストレート果汁換算)が50%以上、100%未満であり、
非アルコール飲料である、ブドウ果汁含有飲料。
【請求項2】
前記ブドウ果汁が、赤ブドウ果汁と白ブドウ果汁をともに含む、請求項1に記載のブドウ果汁含有飲料。
【請求項3】
容器詰めされた、請求項1または2に記載のブドウ果汁含有飲料。
【請求項4】
ジヒドロアクチニジオリド(a)を5ppb~50ppmおよび/またはフェニル酢酸(b)を5ppb~700ppb含むように調製する工程と、
果汁率(ストレート果汁換算)が50%以上、100%未満となるように調製する工程と、を含み、非アルコール飲料である、ブドウ果汁含有飲料の製造方法。
【請求項5】
ジヒドロアクチニジオリド(a)を5ppb~50ppmおよび/またはフェニル酢酸(b)を5ppb~700ppb含むように調製する工程と、
果汁率(ストレート果汁換算)が50%以上、100%未満となるように調製する工程と、を含み、非アルコール飲料である、ブドウ果汁含有飲料の香味向上方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブドウ果汁含有飲料に関する。より詳細には、ブドウ果汁含有飲料、ブドウ果汁含有飲料の製造方法、ブドウ果汁含有飲料の香味向上方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、果汁含有飲料は、果汁風味が得られる嗜好性飲料として広く親しまれており、果汁らしい風味・香味を向上させるための研究開発が進んでいる。
【0003】
例えば、特許文献1には、果汁含有製品の光劣化臭のマスキング剤として、ジヒドロアクチニジオリド等の香気成分を含有することが開示されている。また、当該文献の実施例16には、ジヒドロアクチニジオリドを50ppb含む果汁率10%のブドウ果汁含有ゼリーが記載されている。また、特許文献2には、フェニル酢酸を有効成分とする甘味増強剤が記載され、実施例にはフェニル酢酸を0.001ppb~10ppm含む果汁率10%のグレープ果汁含有飲料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-170375号公報
【特許文献2】特開2018-130086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1は、光劣化によって生じる劣化臭をマスキングするための技術に関するものであり、光劣化させる前の果汁含有製品の香味を検討するものではなかった。また、特許文献1には、ブドウ果汁含有飲料にジヒドロアクチニジオニドまたはフェニル酢酸を含有させることに関する具体的な記載はなく、その香味に着目する記載もない。また、特許文献2は、甘味を増強することに着目した技術であり、具体的にグレープ果汁飲料におけるぶどうらしさ、コク等について検討したものではなかった。そのため、ブドウ果汁含有飲料の香味向上を向上させる点で改善の余地があった。
【0006】
本発明者らは、ブドウ果汁含有飲料の香味を向上することに着目し検討を行ったところ、ブドウ果汁にジヒドロアクチニジオニドまたはフェニル酢酸を所定量で適用することで、ぶどうらしさ、コク、後味の強さのバランスを向上できることを見出し、本発明を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、以下のブドウ果汁含有飲料、ブドウ果汁含有飲料の製造方法、ブドウ果汁含有飲料の香味向上方法が提供される。
【0008】
[1] ジヒドロアクチニジオリド(a)を5ppb~50ppmおよび/またはフェニル酢酸(b)を5ppb~700ppb含み、
果汁率(ストレート果汁換算)が50%以上、100%未満であり、
非アルコール飲料である、ブドウ果汁含有飲料。
[2] 前記ブドウ果汁が、赤ブドウ果汁と白ブドウ果汁をともに含む、[1]に記載のブドウ果汁含有飲料。
[3] 容器詰めされた、[1]または[2]に記載のブドウ果汁含有飲料。
[4] ジヒドロアクチニジオリド(a)を5ppb~50ppmおよび/またはフェニル酢酸(b)を5ppb~700ppb含むように調製する工程と、
果汁率(ストレート果汁換算)が50%以上、100%未満となるように調製する工程と、を含み、非アルコール飲料である、ブドウ果汁含有飲料の製造方法。
[5] ジヒドロアクチニジオリド(a)を5ppb~50ppmおよび/またはフェニル酢酸(b)を5ppb~700ppb含むように調製する工程と、
果汁率(ストレート果汁換算)が50%以上、100%未満となるように調製する工程と、を含み、非アルコール飲料である、ブドウ果汁含有飲料の香味向上方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ブドウ果汁含有飲料のぶどうらしさ、コク、後味の強さのバランスを向上できる技術が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。
また、「ppb」「ppm」はそれぞれ「質量ppb」「質量ppm」を表す。
【0011】
<ブドウ果汁含有飲料>
本実施形態のブドウ果汁含有飲料は、ブドウ果汁と、ジヒドロアクチニジオリド(a)を5ppb~50ppmおよび/またはフェニル酢酸(b)を5ppb~700ppb含む。これにより、ぶどうらしさ、コク、後味の強さのバランスを向上できる。かかる理由の詳細は明らかではないが、適度な濃度のジヒドロアクチニジオリド(a)、フェニル酢酸(b)とブドウ果汁を組み合わせることによって、ブドウ果汁が有する香味を生かしつつ自然物らしい複雑味を向上するとともに、これらの香味がぶどうらしさ、コク、後味に合致し、これらのバランスを向上しやすくなると推測される。
【0012】
なお、本明細書において「ぶどうらしさ」とは、ぶどう果実そのものを想起させる香味であり、甘み・酸味・渋味等のバランスがぶどう果実に近似する香味を意図する。また、「コク」とは、ぶどう果汁そのものを飲用したときに感じられる深み、味わいを意図する。「後味の強さ」は、本実施形態の飲料を飲用した際の後に感じられるブドウ様の味の強さであり、後味が強いほど、ブドウ様の味の持続性が感じられ、おいしさを高める香味になる。
【0013】
以下、本実施形態のブドウ果汁含有飲料(以下、単に「飲料」とも表記する)に含まれる各成分について説明する。
【0014】
[ブドウ果汁]
本実施形態の飲料は、ブドウ由来の果汁を含む。
本実施形態において果汁とは、果物・果実を破砕して搾汁したり、あるいは裏ごししたりするなどして得られる液体成分をいう。また、果汁には、当該液体成分を濃縮したものや、これらの希釈還元物も含まれてもよく、パルプ分を含むもの、または、ろ過や遠心分離等の処理によりパルプ分を除去したものあってもよい。
また、本実施形態で用いられる果汁としては、ストレート果汁、濃縮果汁、濃縮還元果汁などが挙げられる。また、透明な果汁、半透明な果汁、または不透明な果汁のいずれであってもよく、安定した果汁感、コク、おいしさを得る観点からは透明な果汁であることが好適である。
【0015】
本実施形態の飲料の果汁率(ストレート果汁換算)は、特に限定されないが、好ましくは50%以上、100%未満であり、より好ましくは90%以下であり、さらに好ましくは80%以下である。
果汁率を上記数値範囲内とすることで、ぶどうらしさ、コク、後味の強さのバランスを向上しやすくなる。
【0016】
なお、果汁率とは、果汁を搾汁して得られ、濃縮等の処理を行っていない果汁の搾汁(ストレート果汁)のBrix値または酸度を100%としたときの相対濃度である。果汁率をBrix値または酸度のいずれに基づいて算出するかはJAS規格に基づき果汁の種類ごとに定められている。また、果汁の果汁率をJAS規格のBrix値に基づいて換算する場合、果汁に加えられた糖類、はちみつ等のBrix値は除いて算出される。
【0017】
例えば、ブドウについてはJAS規格のBrix値が11であるため、Brix値が55の濃縮ブドウ果汁を飲料中10質量%配合した場合、50%の果汁率の飲料となる。
【0018】
本実施形態のブドウ果汁に用いられるブドウは、特に限定されないが、例えば、果皮の色味で、黄緑系の白ブドウと、赤系・黒系の赤ブドウとに分類した場合、白ブドウと赤ブドウを共に含むものであってもよく、いずれか一方のみと含むものとしてもよい。飲料の香味を複雑化し、後味の強さを向上する観点からは、白ブドウと赤ブドウを共に含むことが好ましい。
白ブドウと赤ブドウを共に含む場合、その混合比は特に限定されないが、例えば、白ブドウ果汁と赤ブドウ果汁の果汁率(ストレート果汁換算)(%)比が、好ましくは10~90:90~10であり、より好ましくは30~70:70~30であり、さらに好ましくは40~60:60~40である。
【0019】
黄緑系の白ブドウとしては、たとえば、ナイアガラ、ロザリオビアンコ、マスカット、シャルドネ等の品種が挙げられる。赤系・黒系の赤ブドウとしては、たとえば、コンコード、巨峰、ナガノパープル、ピオーネ、スチューベン、藤稔、キャンベル・アーリー等の黒系の赤ブドウ、デラウェア、ロザリオ・ロッソ、甲斐路、ゴルビー等の赤系の赤ブドウが挙げられる。
【0020】
なお、ブドウ果汁の調製に用いることのできるブドウの産地、熟度、大きさなどは特に限定されず、適宜設定することができる。
【0021】
[ジヒドロアクチニジオリド(a)]
ジヒドロアクチニジオリド(Dihydroactinidiolide)(a)は、揮発性のテルペンの一種であり、化学的に合成することもできる。天然香料として、紅茶、緑茶等に含まれ、茶様の芳香を有するものとして知られるが、ブドウ様の香りについては広く知られていない。本実施形態の飲料においては、ジヒドロアクチニジオリド(a)とブドウ果汁との組み合わせことによって、意外にもブドウ果汁含有飲料の香味を向上できる。
【0022】
本実施形態の飲料は、ジヒドロアクチニジオリド(a)濃度が5ppb(0.005ppm)~50ppmである。ジヒドロアクチニジオリド(a)濃度の下限値は、好ましくは50ppb以上であり、より好ましくは150ppb以上であり、さらに好ましくは500ppb以上である。一方、ジヒドロアクチニジオリド(a)濃度の上限値は、好ましくは30ppm以下であり、より好ましくは20ppm以下であり、さらに好ましくは7ppm以下である。
ジヒドロアクチニジオリド(a)濃度を上記下限値以上とすることにより、ぶどうらしさ、コク、および後味の強さをバランスよく向上できる。また、渋味の強さを高めることができ、ブドウ果汁含有飲料らしい味わいを一層強くできる。
一方、ジヒドロアクチニジオリド(a)濃度を上記上限値以下とすることにより、良好なブドウらしさを保持し、ぶどうらしさ、コク、および後味の強さの良好なバランスが得られやすくなる。また、適度な渋味が得られ、飲料としてのおいしさが保持できる。
【0023】
[フェニル酢酸(b)]
フェニル酢酸(Phenylacetic acid)(b)は、α‐トルイル酸とも呼ばれ、化学的に合成することもできる。天然香料として、ライチ、シトラスフルーツ等に含まれ、ハチミツ様、花様、ココア様の芳香を有するものとして知られるが、ブドウ様の香りについては広く知られていない。本実施形態の飲料においては、フェニル酢酸(b)とブドウ果汁との組み合わせことによって、意外にもブドウ果汁含有飲料の香味を向上できる。
【0024】
本実施形態の飲料は、フェニル酢酸(b)濃度が5ppb~700ppbである。フェニル酢酸(b)濃度の下限値は、好ましくは20ppb以上であり、より好ましくは200ppb以上である。一方、フェニル酢酸(b)濃度の上限値は、好ましくは650ppb以下であり、より好ましくは600ppb以下である。
【0025】
フェニル酢酸(b)濃度を上記下限値以上とすることにより、ぶどうらしさ、コク、および後味の強さをバランスよく向上できる。また、味の濃さを高めることができ、ブドウ果汁含有飲料らしい味わいを一層強くできる。
一方、フェニル酢酸(b)濃度を上記上限値以下とすることにより、良好なブドウらしさを保持し、ぶどうらしさ、コク、および後味の強さの良好なバランスが得られやすくなる。また、適度な味の濃さが得られ、飲料としてのおいしさが保持できる。
【0026】
[その他の成分]
本実施形態の果汁含有飲料においては、本発明の効果が奏される限り、上記以外の他の成分を含んでもよい。具体的には、ブドウ果汁以外の果汁、糖類や高甘味度甘味料などの甘味料、酸味料、香料、ビタミン、着色料、食塩、酸化防止剤、乳化剤、保存料、調味料、エキス類、pH調整剤、品質安定化剤、増粘剤などの飲料に通常配合される成分を含有することができる。
【0027】
上記のブドウ果汁以外の果汁としては、例えば、オレンジ果汁、ミカン果汁、マンダリン果汁、グレープフルーツ果汁、レモン果汁、ライム果汁、リンゴ果汁、モモ果汁、イチゴ果汁、バナナ果汁、およびマンゴー果汁等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0028】
上記の甘味料としては、例えば、果糖、ショ糖、ブドウ糖、グラニュー糖、乳糖、および麦芽糖等の糖類、キシリトール、およびD-ソルビトール等の低甘味度甘味料、タウマチン、ステビア抽出物、グリチルリチン酸二ナトリウム、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスパルテーム、サッカリン、ネオテーム、およびサッカリンナトリウム等の高甘味度甘味料などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0029】
上記の酸味料としては、例えば、クエン酸、乳酸、アジピン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、フィチン酸、アスコルビン酸、酢酸、およびリン酸、ならびにそれらの塩類等が挙げられる。
【0030】
[糖度(Brix値)]
本実施形態の飲料(20℃)の糖度(Brix値)は、飲料の嗜好性に応じて適宜設定できるが、例えば、糖度1~20が好ましく、糖度5~15がより好ましく、糖度7~12がさらに好ましい。
糖度を上記数値範囲とすることにより、飲料としての飲みやすさ、飲料らしいおいしさを保持しつつ、ぶどうらしさ、コク、および後味の強さの良好なバランスが得られやすくなる。
糖度(Brix値)は、たとえば、デジタル屈折計Rx-5000α(アタゴ社製)を用いて、20℃における糖用屈折計の示度を測定することができる。
また、糖度は、例えば、上記の甘味料、果汁、その他の各種成分の含有量により調整することができる。
【0031】
[酸度]
本実施形態の飲料の酸度は、0.2g/100ml以上、0.5g/100ml以下であることが好ましい。酸度を、上記下限値以上とすることにより、おいしさが得られるようになる。一方、酸度を、上記上限値以下とすることにより、過度な酸味を抑制し、おいしさを両立できる。
【0032】
酸度は、100ml中に含まれる酸量をクエン酸に換算した場合のグラム数(無水クエン酸g/100ml)で表すことができる。酸度もまた、JAS規格の酸度測定法で定められた方法、具体的には0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液をアルカリ溶液として使用した中和滴定法(定量式)により測定できる。
【0033】
[pH]
本実施形態の飲料の20℃におけるpHは、2.8~4.6であることが好ましく、3.1~4.2であることがより好ましく、3.2~3.5であることがさらに好ましい。これにより、飲料としての良好な外観および飲みやすさを保持しつつ、ぶどうらしさ、コク、および後味の強さの良好なバランスが得られるとともに、おいしさを良好に保持できる。
【0034】
なお、pHの測定は、市販のpH測定器を用いるなどして行うことができる。pHの調整は、例えば、酸味料の量を変えることや、pH調整剤を用いることなどにより行うことができる。
【0035】
[炭酸ガス、アルコール]
また、本実施形態の飲料は、炭酸ガスを含有する炭酸飲料としてもよい。炭酸ガスを飲料中に含有させる方法は特に限定されず、当業者が適宜設定できる。
【0036】
また、本実施形態の飲料は、非アルコール飲料である。非アルコール飲料とは、アルコールを実質的に含有しない飲料をいい、具体的にはエタノールなどのアルコールの含有量が1.0体積/体積%未満である飲料を意味する。
【0037】
[容器]
本実施形態の飲料に用いられる容器は、ガラス、紙、プラスチック(ポリエチレンテレフタレート等)、アルミ、およびスチール等の単体もしくはこれらの複合材料又は積層材料からなる密封容器が挙げられる。また、容器の種類は、特に限定されるものではないが、たとえば、ペットボトル、アルミ缶、スチール缶、紙パック、チルドカップ、瓶等が挙げられる。飲料を外観から視認できる観点からは、ペットボトルが好ましい。
【0038】
飲料の容量としては、特に限定されないが、100~2000mlが好ましく、飲み切りやすい点からは、100~500mlがより好ましい。
【0039】
容器詰めされた飲料の加熱滅菌処理の方法は、特に限定されないが、日本国内においては食品衛生法の規定に従って、加熱滅菌処理される。具体的には、高温で短時間殺菌した後、保存容器に充填する方法と、調合液を缶等の保存容器に充填した後、レトルト処理を行うレトルト殺菌法が挙げられる。
【0040】
<ブドウ果汁含有飲料の製造方法>
本実施形態の非アルコール飲料であるブドウ果汁含有飲料の製造方法は、ジヒドロアクチニジオリド(a)を5ppb~50ppmおよび/またはフェニル酢酸(b)を5ppb~700ppb含むように調製する工程と、果汁率(ストレート果汁換算)が50%以上、100%未満となるように調製する工程と、を含む。これらの工程は、順不同であり、また、同時に行ってもよい。
これにより、ブドウ果汁含有飲料のぶどうらしさ、コク、および後味の強さをバランスよく向上できる。混合方法は特に限定されず公知の方法を用いることができる。なお、飲料に含まれる各成分およびその含有量等は上記飲料と同様である。
【0041】
<ブドウ果汁含有飲料の香味の向上方法>
本実施形態の非アルコール飲料であるブドウ果汁含有飲料の香味向上方法は、ジヒドロアクチニジオリド(a)を5ppb~50ppmおよび/またはフェニル酢酸(b)を5ppb~700ppb含むように調製する工程と、果汁率(ストレート果汁換算)が50%以上、100%未満となるように調製する工程と、を含む。これらの工程は、順不同であり、また、同時に行ってもよい。
これにより、ブドウ果汁含有飲料のぶどうらしさ、コク、および後味の強さをバランスよく向上できる。混合方法は特に限定されず公知の方法を用いることができる。なお、飲料に含まれる各成分およびその含有量等は上記飲料と同様である。
【0042】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例0043】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。特に断りのない限り、「%」は「質量%」を表す。
【0044】
(1)飲料中の香気成分の定量
飲料中のジヒドロアクチニジオリド(a)、フェニル酢酸(b)の濃度(ppb、ppm)について、GC/MS法によって測定した。
【0045】
(2)飲料の官能評価
果汁入り飲料開発に精通した6~8名(n名)のパネルがそれぞれ飲料(20℃)を試飲し、表1~3に示す「おいしさ」「コクの強さ」「ぶどうらしさ」「後味の強さ」「渋味の強さ」「渋味の良さ」「味の濃さ」の各項目について官能試験を実施した。対照例(基準)の全項目を4点とした場合に、それぞれの試験区において、各項目を7段階で評価した。評価基準は以下の通りである。
・評価基準
7点 基準と比較して、非常に良く(強く)感じる。
6点 基準と比較して、良く(強く)感じる。
5点 基準と比較して、やや良く(強く)感じる。
4点 基準
3点 基準と比較して、やや悪く(弱く)感じる。
2点 基準と比較して、悪く(弱く)感じる。
1点 基準と比較して、非常に悪く(弱く)感じる。
【0046】
(3)原料
飲料の原料として、以下のものを用いた。
・68°赤ブドウ透明果汁(コンコード種):糖度68.5
・68°白ブドウ透明果汁:糖度69
・果糖ぶどう糖液糖(55%異性化糖):糖度75.5、酸度0
・クエン酸三ナトリウム
・無水クエン酸
なお、糖度(Brix)は、糖用屈折計(ATAGO RX-5000α)を用いて測定される値、酸度は、クエン酸酸度(g/100ml)とした。
【0047】
(4)実験1(ジヒドロアクチニジオリド(a)濃度の影響)
以下の表1に示す含有量となるように、各原料およびジヒドロアクチニジオリド(a)を混合し、果汁率50%の各飲料を調製した。
各飲料について、対照例1を基準として上記(2)の官能評価を行った。結果を表1に示す。
【0048】
【0049】
(5)実験2(フェニル酢酸(b)濃度の影響)
以下の表2に示す含有量となるように、各原料およびフェニル酢酸(b)を配合し、果汁率50%の各飲料を調製した。
各飲料について、対照例1を基準として上記(2)の官能評価を行った。結果を表2に示す。
【0050】
【0051】
(6)実験3(果汁率の影響)
以下の表3に示す含有量となるように、果汁率を変動させ、各飲料を調製した。
各飲料について、対照例2~5をそれぞれ基準として上記(2)の官能評価を行った。結果を表3に示す。
【0052】