(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012712
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】注射対応衣服
(51)【国際特許分類】
A41D 13/12 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
A41D13/12 145
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116329
(22)【出願日】2021-07-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 電気通信回線を通じた公開 令和3年1月29日 https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=995771640948693&id=100015475982360 電気通信回線を通じた公開 令和3年2月4日 https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=2484357991870437&id=100008887813898 電気通信回線を通じた公開 令和3年5月4日 https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=1052836225242234&id=100015475982360 電気通信回線を通じた公開 令和3年5月6日 https://www.mercari.com/jp/items/m19840518953/ 電気通信回線を通じた公開 令和3年5月6日 https://www.mercari.com/jp/items/m75473391213/ 電気通信回線を通じた公開 令和3年5月7日 https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=1054890618370128&id=100015475982360
(71)【出願人】
【識別番号】521312651
【氏名又は名称】吉田 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】吉田 恵
【テーマコード(参考)】
3B011
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB08
(57)【要約】
【課題】簡易な構造を有するとともに、注射の際に容易に肌を露出させることができる注射対応衣服を提供する。
【解決手段】
使用者が着用可能な衣服体1を備え、衣服体1には、衣服体1を貫通するとともに注射針を挿通可能なスリット30が間隔をあけて複数形成されている。衣服体1は、例えば使用者が上半身に着用可能な身頃部分10および袖部分11を含むとともに身頃部分10に形成された身頃開口2xおよび袖部分11に形成された袖開口2yを有する本体部2と、身頃開口2xおよび袖開口2yを塞ぐとともにスリット30を形成する閉塞部3と、を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が着用可能な衣服体を備え、
前記衣服体には、該衣服体を貫通するとともに注射針を挿通可能なスリットが間隔をあけて複数形成されている注射対応衣服。
【請求項2】
隣接する前記スリット同士の間隔は、10mm以上50mm以下である請求項1に記載の注射対応衣服。
【請求項3】
前記スリットの長さは、20mm以上100mm以下である請求項1または2に記載の注射対応衣服。
【請求項4】
10mm以上50mm以下の間隔をあけて隣接する前記スリットが、三つ以上形成されている請求項2または3に記載の注射対応衣服。
【請求項5】
前記衣服体は、
使用者が上半身に着用可能な身頃部分を少なくとも含むとともに、開口を有する本体部と、
前記開口を塞ぐとともに、前記スリットを形成する閉塞部と、
を有する請求項1から4のいずれか一項に記載の注射対応衣服。
【請求項6】
前記閉塞部は、前記本体部と色彩および/または模様が異なる請求項5に記載の注射対応衣服。
【請求項7】
前記閉塞部は、前記開口に設けられて前記スリットが延びる方向に交差する交差方向に並ぶとともに可撓性を有する材料によって形成された複数のシート状部材を備え、
前記スリットは、複数の前記シート状部材同士の隙間である請求項5または6に記載の注射対応衣服。
【請求項8】
前記シート状部材の各々は、前記スリットの延びる方向が長手方向となる帯形状をなす請求項7に記載の注射対応衣服。
【請求項9】
隣接する前記シート状部材同士で、色彩および/または模様が異なる請求項7または8に記載の注射対応衣服。
【請求項10】
隣接する前記シート状部材同士は、前記衣服体の外面から見て、一部が、前記交差方向にオーバーラップして設けられている請求項7から9のいずれか一項に記載の注射対応衣服。
【請求項11】
前記シート状部材同士の前記交差方向におけるオーバーラップ量が、5mm以上40mm以下である請求項10に記載の注射対応衣服。
【請求項12】
前記本体部は、前記開口として、前記使用者の腹部に対応する位置において前記身頃部分の前面側に設けられた身頃開口を有する請求項5から11のいずれか一項に記載の注射対応衣服。
【請求項13】
前記本体部は、前記身頃部分に連続する袖部分をさらに含み、
前記本体部は、前記開口として、前記使用者の腕に対応する位置において前記袖部分に設けられた袖開口を有する請求項5から12のいずれか一項に記載の注射対応衣服。
【請求項14】
前記本体部は、前記身頃部分に連続する袖部分をさらに含み、
前記本体部は、前記開口として、前記使用者の腹部に対応する位置において前記身頃部分の前面側に設けられた身頃開口、および、前記使用者の腕に対応する位置において前記袖部分に設けられた袖開口を有し、
前記本体部を前面側から見た際に、前記身頃開口は、該本体部の左右中央を基準として左右のうちの一方に形成され、前記袖開口は、前記左右のうちの他方に形成されている請求項5から11のいずれか一項に記載の注射対応衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着衣の状態のまま注射可能な注射対応衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病気の治療や予防のための薬液注入や採血等が注射器を用いて行われている。そして患者等の注射対象者は、注射を行う際に衣服の袖を捲ったり衣服を脱いだりする行為が必要となっている。
【0003】
ところで糖尿病患者においては、インスリン製剤を注射器によって適宜補給する必要がある。しかしながらインスリンの作用が持続する時間の関係により注射頻度が高いのが現状である。したがって注射を行う都度、衣服の袖を捲ったり衣服を脱いだりすることには非常に手間を要し、注射の迅速性や容易性に欠けるといった問題がある。
【0004】
ここで特許文献1には、袖部分にファスナーを設けることによって、注射対象者が着用したまま肌を露出させ、注射を行うことのできる衣服が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1に記載の衣服では、肌を露出させるためにファスナーの開閉作業が必要となり、注射の際には依然として手間を要するだけでなく、衣服にファスナーを設けるため衣服の構造が複雑になるといった問題がある。
【0007】
そこで本発明は、簡易な構造を有するとともに、注射の際に容易に肌を露出可能な注射対応衣服を提供する。
【0008】
本発明の一態様に係る注射対応衣服は、使用者が着用可能な衣服体を備え、前記衣服体には、該衣服体を貫通するとともに注射針を挿通可能なスリットが間隔をあけて複数形成されている。
【0009】
上記注射対応衣服では、隣接する前記スリット同士の間隔は、10mm以上50mm以下であってもよい。
【0010】
上記注射対応衣服では、前記スリットの長さは、20mm以上100mm以下であってもよい。
【0011】
上記注射対応衣服では、10mm以上50mm以下の間隔をあけて隣接する前記スリットが、三つ以上形成されていてもよい。
【0012】
上記注射対応衣服では、前記衣服体は、使用者が上半身に着用可能な身頃部分を少なくとも含むとともに、開口を有する本体部と、前記開口を塞ぐとともに、前記スリットを形成する閉塞部と、を有してもよい。
【0013】
上記注射対応衣服では、前記閉塞部は、前記本体部と色彩および/または模様が異なってもよい。
【0014】
上記注射対応衣服では、前記閉塞部は、前記開口に設けられて前記スリットが延びる方向に交差する交差方向に並ぶとともに可撓性を有する材料によって形成された複数のシート状部材を備え、前記スリットは、複数の前記シート状部材同士の隙間であってもよい。
【0015】
上記注射対応衣服では、前記シート状部材の各々は、前記スリットの延びる方向が長手方向となる帯形状をなしてもよい。
【0016】
上記注射対応衣服では、隣接する前記シート状部材同士で、色彩および/または模様が異なってもよい。
【0017】
上記注射対応衣服では、隣接する前記シート状部材同士は、前記衣服体の外面から見て、一部が、前記交差方向にオーバーラップして設けられていてもよい。
【0018】
上記注射対応衣服では、前記シート状部材同士の前記交差方向におけるオーバーラップ量が、5mm以上40mm以下であってもよい。
【0019】
上記注射対応衣服では、前記本体部は、前記開口として、前記使用者の腹部に対応する位置において前記身頃部分の前面側に設けられた身頃開口を有してもよい。
【0020】
上記注射対応衣服では、前記本体部は、前記身頃部分に連続する袖部分をさらに含み、前記本体部は、前記開口として、前記使用者の腕に対応する位置において前記袖部分に設けられた袖開口を有してもよい。
【0021】
上記注射対応衣服では、前記本体部は、前記身頃部分に連続する袖部分をさらに含み、前記本体部は、前記開口として、前記使用者の腹部に対応する位置において前記身頃部分の前面側に設けられた身頃開口、および、前記使用者の腕に対応する位置において前記袖部分に設けられた袖開口を有し、前記本体部を前面側から見た際に、前記身頃開口は、該本体部の左右中央を基準として左右のうちの一方に形成され、前記袖開口は、前記左右のうちの他方に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0022】
上記の注射対応衣服によれば、簡易な構造を有するとともに、注射の際に容易に肌を露出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係る注射対応衣服の正面図である。
【
図3】上記注射対応衣服における閉塞部の拡大図であって、(a)は注射を行なっていない通常時の状態を示し、(b)は注射時の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(全体構成)
以下、本発明の実施形態に係る注射対応衣服100について説明する。以下、本実施形態における「注射」の概念には「点滴」、「予防接種」、「採血」の行為も含まれる。
注射対応衣服100は、使用者(注射対象者)が着用したまま肌に注射器Sの針を挿入可能な衣服である。
図1および
図2に示すように注射対応衣服100は、使用者が着用する本体部2、および、本体部2に形成された開口2x、2yを塞ぐ閉塞部3によって構成される衣服体1を備えている。
【0025】
(本体部)
本体部2は、例えば白色の繊維によって形成されたシャツ等の上着である。本体部2は使用者が上半身に着用可能な身頃部分10、および身頃部分10に連続する一対の袖部分11を含んでいる。本体部2は、使用者の腹部に対応する位置において身頃部分10の前面側部分(前身頃)に設けられた身頃開口2x、および、使用者の腕に対応する位置において袖部分11に設けられた袖開口2yを有している。本体部2を前面側から見た際に、身頃開口2xは本体部2の左右中央の仮想線Oを基準として左右のうちの一方に形成され、袖開口2yは左右うちの他方の袖部分11に形成されている。例えば使用者の利き手が右手である場合には、本体部2を前面側から見た際に、身頃開口2xが本体部2の左右中央の仮想線Oを基準として左側(使用者から見て右側)に形成され、袖開口2yは仮想線Oを基準として右側(使用者から見て左側)の袖部分11に形成されるとよい。
【0026】
本実施形態において身頃開口2xは、本体部2を前面側から見た時、衣服体1の左右方向に沿う横辺2aと、横辺2aに交差(略直交)して衣服体1の上下方向に沿う縦辺2bとによって構成された四角形状をなして本体部2を貫通している。
【0027】
また本実施形態において袖開口2yは、使用者の上腕に対応する位置において、袖部分11の上半分の領域に形成されている。袖開口2yは、袖部分11の延びる方向に沿う縦辺2cと、縦辺2cに交差(略直交)する横辺2dとによって構成された四角形状をなして本体部を貫通している。
【0028】
(閉塞部)
閉塞部3は身頃開口2x、および袖開口2yのそれぞれに設けられ、これらの開口2x、2yを閉塞している。ここで「閉塞」とは、閉塞部3に外力が作用しない状態で衣服体1の外面から見て衣服体1の内側(例えば下着や使用者の肌)を視認できないか、またはほとんど視認できない状態を意味する。各々の閉塞部3は、例えば繊維等の可撓性を有する材料(本実施形態では綿99%、キュプラ1%)によって形成された複数のシート状部材20を備えている。シート状部材20の各々は矩形の帯形状をなしている。
【0029】
身頃開口2xにおいて各々のシート状部材20は、身頃開口2xの横辺2aおよび縦辺2bに対して傾斜して並んでいる。本実施形態では身頃開口2xに設けられた各々のシート状部材20は、衣服体1を前方から見た際に、下方に向かって左右の一方(本実施形態では身頃開口2xが配置される左側と同じ側となる左方)に傾斜して延びるように設けられている。またこれらシート状部材20同士は、身頃開口2xの横辺2aの延びる方向、すなわち衣服体1の左右方向(交差方向)に略平行に並んでいる。
【0030】
同様に袖開口2yにおいて各々のシート状部材20は、縦辺2cおよび横辺2dに対して傾斜して並んでいる。本実施形態では袖開口2yに設けられた各々のシート状部材20は、着用時の衣服体1を上方から見た際には衣服体1の左右方向に延びるように設けられている。
【0031】
図3(a)および
図3(b)に示すように、身頃開口2xおよび袖開口2yにおいて、シート状部材20同士は衣服体1の外面から見て一部が衣服体1の左右方向にオーバーラップして設けられている(オーバーラップ領域OAを参照)。より具体的には、衣服体1を外面から見た際に、衣服体1の左右方向に隣接するシート状部材20のうちの一方の裏面に、他方の表面の一部が重なるように設けられている。本実施形態では身頃開口2xにおいては、衣服体1を前方から見た際に、例えば左側に配置されたシート状部材20の裏側に、右側に配置されたシート状部材20が重なるように複数のシート状部材20が積層されて設けられている。また図示は省略するが、袖開口2yにおいては、衣服体1を上方から見た際に、例えば前側に配置されたシート状部材20の表側に、後側に配置されたシート状部材20が重なるように複数のシート状部材20が積層されて設けられている。
【0032】
また隣接するシート状部材20同士では色彩が異なっている。本実施形態では、色彩の異なる二色(例えばオレンジ色と黄色)のシート状部材20が交互に並んでいる。本実施形態ではさらに、本体部2とシート状部材20との間でも色彩が異なっている。ここで上述のように本体部2は例えば白色の繊維によって形成されており、複数のシート状部材20によって構成された閉塞部3は、本体部2とは色彩が異なっている。
【0033】
(スリット)
また身頃開口2xにおいて、各々のシート状部材20の長手方向の両端部が、縦辺2bと交わる位置および横辺2aと交わる位置のみにおいて本体部2に縫い付けられることで、シート状部材20が本体部2に接続されている。よって身頃開口2xにおいては、隣接するシート状部材20同士の隙間にスリット30が形成されている。同様に袖開口2yにおいても、隣接するシート状部材20同士の隙間にスリット30が形成されている。
【0034】
したがってスリット30は、身頃開口2xおよび袖開口2yの各々において衣服体1を貫通し、シート状部材20の長手方向に延び、互いに間隔を空けて複数形成されている。本実施形態では、身頃開口2xおよび袖開口2yにおいてそれぞれ二つ以上のシート状部材20が設けられることで、身頃開口2xおよび袖開口2yの各々において、スリット30は三つ以上ずつ形成されている。
図3(b)に示すようにスリット30によって使用者の肌Hを露出可能となっており、スリットには注射器Sの針が挿通可能となっている。より具体的には、隣接するシート状部材20の少なくとも一部を互いに離れるように移動させてスリット30を開き、スリット30内に針を挿入する。
【0035】
ここで隣接するスリット30同士の間隔は、10mm以上50mm以下であるとよい。また、スリット30の長さ(シート状部材20の長手方向に沿う長さ)は20mm以上100mm以下であるとよく、40mm以上100mm以下であるとさらによい。本実施形態では、全てのスリット30のうちで容易に注射可能なスリット30の長さの平均は78mmである。さらに、隣接するスリット30同士のオーバーラップ量は、5mm以上40mm以下であるとよい。本実施形態では、シート状部材20の長手方向に交差(直交)する幅方向の寸法は33mmであり、オーバーラップ量(オーバーラップ領域OAの幅寸法)は10mm以上20mm以下、平均すると13mm程度となっている。このため、本実施形態における隣接するスリット30同士の間隔は13mm以上23mm以下、、平均すると20mm程度となっている。
【0036】
(作用効果)
以上説明した本実施形態の注射対応衣服100によれば、衣服体1にスリット30を形成するといった簡易な構造によって製造コストを抑えつつ、スリット30を介して容易に肌Hを露出させることができる。この結果、使用者が注射対応衣服100を着用したまま注射を行うことができ、注射の際の手間を削減できる。
【0037】
さらにスリット30を複数設けたことで、注射位置の選択幅が広がる。したがって例えばインスリン注射のように頻繁に注射を行わなければならない場合には、注射位置を適宜変更しながら注射を行うことができるため、非常に使い勝手がよい。スリット30同士の間隔が好ましくは10mm以上50mm以下であり、好ましくは三つ以上スリット30が並ぶように形成することで、毎回異なるスリット30に針を挿入するだけで、必然的に毎回異なる位置に注射を行うことができる。またスリット30の長さが好ましくは20mm以上100mm以下であれば、さらに高頻度で注射を行う場合であっても、同じスリット30内で位置をずらしながら注射を行うことも可能である。
【0038】
またスリット30が本体部2の開口2x、2yを塞ぐ閉塞部3によって形成されている。具体的には閉塞部3を構成するシート状部材20同士の隙間、および開口2x、2yとシート状部材20との隙間がスリット30となっている。したがって、複数のシート状部材20を本体部2の開口2x、2yに並べて設けることにより、容易にスリット30を本体部2に形成することができる。また本体部2にスリット30を直接形成する場合に比べて、本体部2とは別部材の閉塞部3を設けてスリット30を形成すれば、視覚的にスリット30の位置を把握し易くなり、注射位置の特定が容易となる。特に本実施形態のように本体部2と閉塞部3との間で色彩が異なれば、スリット30の位置を視覚的にさらに特定し易くなる。
【0039】
また隣合うシート状部材20同士で色彩が異なることで、スリット30の位置を視覚的に特定し易くなるだけでなく、デザイン性も向上できるため違和感なく日常生活において注射対応衣服100を着用することができ、注射対応衣服100の使用性をさらに向上できる。
【0040】
またシート状部材20は帯状をなすため、シート状部材20を移動させ易く、容易にスリット30を大きく開口させることができ、使用者の肌Hを露出させ易くなり、注射が容易となる。
【0041】
またシート状部材20同士は一部がオーバーラップして設けられ、オーバーラップ量が好ましくは5mm以上40mm以下であれば、例えば使用者が体勢を変化させた際や運動時にシート状部材20の位置が変化したとしても、予期せず肌Hが露出してしまうことを回避でき、保温性を確保できる。
【0042】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0043】
例えば、本体部2の開口2x、2yおよび閉塞部3は必須ではなく、スリット30を本体部2に直接形成してもよい。
【0044】
また衣服体1は袖部分11を有さず身頃部分10のみからなっていてもよい。すなわち衣服体1は使用者が着用できるものであれば形状は特に限定されない。よって例えば衣服体1は上半身に着用するものではなく、下半身に着用するズボン等であってもよい。
【0045】
スリット30の位置、すなわち本体部2の開口2x、2yの形成位置や数量は特に限定されず、注射対象となり得る位置に設けられていればよい。すなわち注射の種類に応じて開口2x、2yの位置や数量は適宜選定できる。よって身頃開口2xと袖開口2yとが左右同じ側に配置されていてもよい。
【0046】
また隣接するシート状部材20同士で必ずしも色彩が異なっていなくともよく、すべてのシート状部材20が同じ色彩を有していてもよい。また複数のシート状部材20によって構成される閉塞部3が、必ずしも本体部2と色彩が異なっていなくともよい。さらに、隣接するシート状部材20同士で模様が異なっていてもよいし、色彩および模様が異なっていてもよい。同様に、閉塞部3と本体部2とで模様が異なっていてもよいし、色彩および模様が異なっていてもよい。
【0047】
また隣接するシート状部材20同士がオーバーラップしていなくともよい。すなわち、スリット30を挟んで衣服体1の左右方向にシート状部材20が並んでいてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の注射対応衣服によれば、簡易な構造を有するとともに、注射の際に容易に肌を露出させることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 衣服体
2 本体部
2x 身頃開口
2y 袖開口
3 閉塞部
10 身頃部分
11 袖部分
20 シート状部材
30 スリット
100 注射対応衣服
S 注射器