(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012713
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】噴霧ノズルユニット
(51)【国際特許分類】
B05B 15/65 20180101AFI20230119BHJP
【FI】
B05B15/65
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116331
(22)【出願日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】397002360
【氏名又は名称】ヤマホ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】今川 良成
【テーマコード(参考)】
4D073
【Fターム(参考)】
4D073AA04
4D073AA05
4D073BB03
4D073CB07
(57)【要約】
【課題】噴霧ノズルユニットのノズル接続口に対して、ノズル接続口との周方向係合部のないノズルを、周方向に位置決めした状態で簡単に接続できるようにする。
【解決手段】ノズル接続口20の先端側の外周におねじを形成して、噴霧パターンの方向性がないノズルを直接ノズル接続口20にねじ結合させて接続できるようにするとともに、そのノズル接続口20のおねじよりも基端側の外周に係合突起20bを設け、そのノズル接続口20のおねじ部分が挿入され、係合突起20bに周方向および軸方向で係合する筒状の中継部材31と、中継部材31に対してノズル50を周方向に位置決めして取り付けるキャップ32とからなる噴霧ノズル取付用アダプタ30を組み込むことにより、ノズル接続口20との周方向係合部のないノズル50も、簡単にノズル接続口20に対して周方向に位置決めした状態で接続できるようにした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部を液体供給源に取り付けられ、液体供給源から供給される液体を通す本体部と、前記本体部の他端側に設けられた円筒状のノズル接続口に接続され、前記ノズル接続口から送り込まれる液体を噴射するノズルとを備えた噴霧ノズルユニットにおいて、
前記ノズル接続口は、その先端側の外周におねじが形成されるとともに、前記おねじよりも基端側の外周に係合突起が設けられたものであり、
前記ノズル接続口のおねじ部分が挿入され、前記係合突起に周方向および軸方向で係合する筒状の中継部材と、前記中継部材に対して前記ノズルを周方向に位置決めして取り付けるキャップとからなる噴霧ノズル取付用アダプタにより、前記ノズル接続口とノズルとが接続されていることを特徴とする噴霧ノズルユニット。
【請求項2】
前記中継部材は、前記ノズル接続口への接続側の端面の内周部から軸方向に延びる案内溝と、前記案内溝の奥側端部から周方向に延びる係合溝が形成されており、前記案内溝の奥側端部まで前記ノズル接続口の係合突起が挿入された状態で回転させることにより、前記係合溝に係合突起が圧入されるものであることを特徴とする請求項1に記載の噴霧ノズルユニット。
【請求項3】
前記中継部材の係合溝は、その延長方向の中央部から前記案内溝との連続端に向かって案内溝の開口側へ徐々に広がっており、延長方向の中央部よりも奥側に前記ノズル接続口の係合突起が圧入されるものであることを特徴とする請求項2に記載の噴霧ノズルユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体散布装置に用いられる噴霧ノズルユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
薬液や水等の散布を行う液体散布装置に用いられる噴霧ノズルユニット(以下、単に「ノズルユニット」とも称する。)は、一端部を噴管等の液体供給源に取り付けられる本体部と、本体部の他端側に設けられたノズル接続口に接続されるノズルとを備え、液体供給源から本体部に供給される液体を、ノズル接続口からノズルに送り込んで噴射するものである。このようなノズルユニットには、本体部のノズル接続口にノズルを着脱可能に取り付け、要求される噴霧形態に応じてノズルを簡単に交換できるようにしたものが多い。
【0003】
また、このようなノズルユニットにおいて、ノズルが噴霧パターンに方向性のあるものである場合には、ノズルをノズル接続口に対して所定の方向に向けた状態で取り付ける必要がある。その取付方法としては、ノズル接続口を円筒状で外周におねじを有するものとし、そのノズル接続口とノズルの両方に形成した周方向係合部(例えば、切欠きとそれに嵌まり込む凸部)を周方向で係合させて、ノズルを周方向に位置決めしたうえで、ノズル接続口のおねじとねじ結合するめねじを有するユニオンナットを用いて、ノズル接続口とノズルとを接続するようにするのが一般的である(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
一方、ノズルが噴霧パターンに方向性のないものの場合は、ノズルをユニオンナットでノズル接続口に接続する際に所定の方向に向ける必要がないので、通常、ノズル接続口とノズルのいずれにも周方向係合部が形成されていない。ところが、ノズルを噴霧パターンに方向性のあるものに交換する必要が生じた場合、その新たなノズルをノズル接続口に対して所定の方向に向けて取り付けることができず、液体を所望の方向に噴射できなくなるおそれがある。
【0005】
このような場合の対策として用いられるダブルナット方式の噴霧ノズル取付用アダプタ(以下、単に「アダプタ」とも称する。)の一例を、
図7および
図8に示す。このアダプタ100は、一端にナット部101aが一体形成された筒状の中継部材101と、中継部材101の他端側に取り付けられるキャップ102と、中継部材101のナット部101aの内側に収納されるパッキン103と、中継部材101のナット部101aと隣接する位置に配される薄肉のナット部材104とからなり、ノズルユニットの本体部110に設けられた円筒状のノズル接続口120とノズル130との間に組み込まれるものである。
【0006】
前記キャップ102は、ノズル130を相対回転不能に保持した状態で、バヨネットロック式の連結機構によって中継部材101に連結されるようになっている。その連結機構は、中継部材101の他端側の外周から突出する係合突起101bと、キャップ102の内周に形成された案内溝102aと、案内溝102aの奥側端部に連続する係合孔102bとで構成されており、中継部材101の係合突起101bをキャップ102の案内溝102aの奥側端部まで挿入した後、キャップ102を回転させてその係合孔102bに係合突起101bを係合させることにより、キャップ102を中継部材101に着脱可能に連結するものである。この連結機構でキャップ102と中継部材101とを連結することにより、ノズル130が中継部材101に対して周方向に位置決めされた状態で取り付けられることになる。
【0007】
前記中継部材101のナット部101aおよびナット部材104は、外周におねじが形成されたノズル接続口120にねじ結合されるものである。そして、そのねじ結合を行う際に、ナット部材104と中継部材101のナット部101aの締付位置を調整することにより、中継部材101にキャップ102を介して取り付けられたノズル130を、ノズル接続口120に対して所定の周方向位置で保持されるように取り付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述したようなダブルナット方式のアダプタを用いたノズルユニットでは、アダプタのキャップと中継部材との連結はワンタッチで簡単に行えるが、中継部材のナット部およびナット部材をノズル接続口にねじ結合させる際に、ノズルの周方向位置の調整に手間がかかるという問題がある。特に、複数の長い噴管をもつブームスプレイヤー等の大型の液体散布装置では、ノズルユニットの数が多いため、ノズル交換の際にこのアダプタを用いると、交換作業全体が非常に手間のかかるものとなってしまう。
【0010】
そこで、本発明は、噴霧ノズルユニットのノズル接続口に対して、ノズル接続口との周方向係合部のないノズルを、周方向に位置決めした状態で簡単に接続できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明は、一端部を液体供給源に取り付けられ、液体供給源から供給される液体を通す本体部と、前記本体部の他端側に設けられた円筒状のノズル接続口に接続され、前記ノズル接続口から送り込まれる液体を噴射するノズルとを備えた噴霧ノズルユニットにおいて、前記ノズル接続口は、その先端側の外周におねじが形成されるとともに、前記おねじよりも基端側の外周に係合突起が設けられたものであり、前記ノズル接続口のおねじ部分が挿入され、前記係合突起に周方向および軸方向で係合する筒状の中継部材と、前記中継部材に対して前記ノズルを周方向に位置決めして取り付けるキャップとからなる噴霧ノズル取付用アダプタにより、前記ノズル接続口とノズルとが接続されている構成を採用した。
【0012】
上記の構成によれば、本体部のノズル接続口の係合突起にアダプタの中継部材を周方向および軸方向で係合させて、ノズル接続口に中継部材を連結するとともに、ノズルをアダプタのキャップで中継部材に対して周方向に位置決めして取り付けるだけで、ノズル接続口に対してノズルを周方向に位置決めした状態で接続することできる。
【0013】
ここで、前記中継部材は、前記ノズル接続口への接続側の端面の内周部から軸方向に延びる案内溝と、前記案内溝の奥側端部から周方向に延びる係合溝が形成されており、前記案内溝の奥側端部まで前記ノズル接続口の係合突起が挿入された状態で回転させることにより、前記係合溝に係合突起が圧入されるものを採用することができる。
【0014】
また上記のような中継部材を採用する場合、前記中継部材の係合溝は、その延長方向の中央部から前記案内溝との連続端に向かって案内溝の開口側へ徐々に広がっており、延長方向の中央部よりも奥側に前記ノズル接続口の係合突起が圧入されるものとするとよい。このようにすれば、パッキン等の弾性シール部材がノズル接続口と中継部材に軸方向で挟まれるように組み込まれている場合、ノズル接続口の係合突起が係合溝の奥側に圧入されたときに、中継部材がノズル接続口側へ軸方向移動することにより弾性シール部材が圧縮されるので、ノズル接続口と中継部材の間のシール性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の噴霧ノズルユニットは、上述したように、本体部のノズル接続口の係合突起にアダプタの中継部材を係合させて、ノズル接続口に中継部材を連結するとともに、ノズルをアダプタのキャップで中継部材に取り付けることにより、ノズル接続口との周方向係合部のないノズルも、簡単にノズル接続口に対して周方向に位置決めした状態で接続することができる。したがって、ノズルを交換する際に、その新たなノズルが噴霧パターンに方向性のあるものであっても、ダブルナット方式のアダプタを用いた場合のようなノズルの周方向位置調整を行う必要がなく、効率よく交換作業を行うことができる。また、新たなノズルが噴霧パターンの方向性がないものであれば、アダプタを取り外して直接ノズル接続口にねじ結合させて接続することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態のノズルユニットの使用状態の下方側から見た平面図
【
図6】(a)~(e)はそれぞれ実施形態のノズルユニットにおけるノズル接続手順の説明図
【
図7】従来のアダプタを組み込んだノズルユニットの要部の正面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、
図1乃至
図6に基づき、本発明の実施形態を説明する。
図1は、液体散布装置の液体供給源としての長尺の噴管Pに、実施形態の噴霧ノズルユニットAを装着した状態を示している。噴管Pは長手方向に所定間隔で噴出孔h(
図2参照)があけられており、その噴出孔hがあけられた位置にそれぞれノズルユニットAが装着されている。
【0018】
このノズルユニットAは、
図1および
図2に示すように、一端部を噴管Pに取り付けられ、噴管Pから供給される液体を通す本体部10と、本体部10の他端側に設けられた2つのノズル接続口20の一方に直接接続されるノズル40と、他方のノズル接続口20にアダプタ30を介して接続されるノズル50とを備えている。
【0019】
図2および
図3に示すように、このノズルユニットAの本体部10は、噴管Pから液体を導出する液体導出路1aを有する取付部材1と、その液体導出路1aと連続する液体通路2aを有する内筒2と、取付部材1と内筒2とを接続するユニオンナット3と、内筒2の径方向外側に配される筒状の回転ヘッド4と、内筒2に対して回転ヘッド4を回転可能な状態で抜け止めするU字状の抜け止め部材5とを備えている。なお、本体部10の液密シールの必要な箇所には、それぞれOリング6が組み込まれている。
【0020】
前記取付部材1は、前記液体導出路1aが形成された第1取付片11と第2取付片12とが、噴管Pを挟持する状態で互いにボルト止めされて一体化されることにより噴管Pに取り付けられている。その第1取付片11には、外周におねじが形成された円筒状の接続口11aと、噴管Pの噴出孔hに差し込まれる差込筒部11bが設けられている。
【0021】
前記内筒2は、その一端部のフランジ2bの一側面に形成された凸部2cを取付部材1の接続口11aの切欠き11cに嵌め込むことによって周方向に位置決めされ、この状態で、内筒2の径方向外側に配したユニオンナット3を取付部材1の接続口11aとねじ結合させることにより、取付部材1と接続されるようになっている。
【0022】
また、内筒2の軸方向中央部には、後述するように回転ヘッド4を抜け止めし、所定の周方向位置で保持するためのフランジ2d、2eと突起2fが設けられている。そして、内筒2の他端側には、液体通路2aに流れ込んだ液体をノズル40、50へ送り出すための流出孔2gがあけられている。
【0023】
前記回転ヘッド4は、一端が開口し他端が閉塞された筒状部材であり、その一端に内筒2の突起2fが入り込む凹部4aが複数設けられ、他端側に2つのノズル接続口20が設けられている。また、軸方向中央部には2つの横孔4bが設けられており、この横孔4bに抜け止め部材5のアーム5aを挿入すると、そのアーム5aが内筒2の軸方向中央部の2つのフランジ2d、2eの間に入り込んで、回転ヘッド4を内筒2に対して回転可能な状態で抜け止めするようになっている。
【0024】
そして、回転ヘッド4は、上記のように抜け止め部材5によって軸方向の移動を規制された状態で、一端側の凹部4aに内筒2の突起2fが嵌まり込むことにより、周方向位置を所定位置で保持されるようになっている。また、ある程度の力を加えて回転させれば、保持位置を変更することもできる。
【0025】
前記回転ヘッド4のノズル接続口20は、内筒2の流出孔2gと同じ軸方向位置付近で外周から突出する円筒状の部位である。その一方(
図2および
図3における上側)のノズル接続口20は、外周におねじが形成されており、先端にはノズル40を周方向に位置決めするための係合部としての切欠き20aが2つ形成されている。また、他方(
図2および
図3における下側)のノズル接続口20は、先端側の外周におねじが形成されており、そのおねじよりも基端側の外周に2つの係合突起20bが設けられている。
【0026】
そして、回転ヘッド4の内周面から各ノズル接続口20の内側へ貫通する流入ポート4hに、ゴム製のバルブ体7とその変形を抑えるためのバルブ押え8が組み込まれている。また、一方のノズル接続口20の内側空間には、三つ切りパッキン21、フィルタ22および環状のパッキン23が組み込まれ、他方のノズル接続口20の内側空間には、2つの環状のパッキン24、25が組み込まれている。
【0027】
この回転ヘッド4の一方のノズル接続口20に直接接続されるノズル40は、そのノズル接続口20とねじ結合するユニオンナット41と、ユニオンナット41によってノズル接続口20に連結されるホルダ42と、ホルダ42の先端側に固定される噴板43と、ホルダ42内に組み込まれるオリフィス板44とで構成されており、その噴板43は噴霧パターンに方向性のあるものが用いられている。そして、噴板43をホルダ42の一端に固定した状態で、ホルダ42の他端に設けられた2つの凸部(図示省略)をそれぞれノズル接続口20の切欠き20aに嵌め込んで(周方向で係合させて)、ノズル40を周方向に位置決めしたうえで、ユニオンナット41をノズル接続口20のおねじとねじ結合させることにより、ノズル40がノズル接続口20に対して所定の方向に向く状態で接続されるようになっている。
【0028】
これに対し、回転ヘッド4の他方のノズル接続口20に接続されるノズル50は、ノズルチップのみからなり、噴霧パターンに方向性のあるものであるが、ノズル接続口20の係合突起20bに係合する部位が形成されていない。これは、ノズル50がノズルユニットAに当初から組み込まれていたものではなく、ノズルの交換によって組み込まれたものであることによる。このため、このノズルユニットAでは、ノズル50および環状のパッキン51とともに、ノズル50を位置決めしてノズル接続口20に接続するアダプタ30が組み込まれている。
【0029】
前記アダプタ30は、他方のノズル接続口20のおねじ部分が挿入され、係合突起20bに周方向および軸方向で係合する円筒状の中継部材31と、中継部材31に対してノズル50を周方向に位置決めして取り付けるキャップ32と、中継部材31とノズル接続口20の先端との間に組み込まれる環状のパッキン33とで構成されている。
【0030】
前記中継部材31は、他方のノズル接続口20への接続側の端面の内周部から軸方向に延びる案内溝31aと、その案内溝31aの奥側端部から周方向に延び、径方向に貫通する係合孔(係合溝)31bが2つずつ形成されている(
図4参照)。各係合孔31bは、その延長方向の中央部から案内溝31aとの連続端に向かって案内溝31aの開口側へ徐々に広がっている。また、中継部材31の軸方向中央部の外周には、中継部材31を回転操作するためのつまみ31cが2つ設けられ、ノズル50が取り付けられる側の端部の外周には、後述するようにキャップ32と係合する2つの係合突起31dが設けられている(
図5参照)。
【0031】
前記キャップ32は、中継部材31と同様、開口側端面の内周部から軸方向に延びる案内溝32aと、その案内溝32aの奥側端部から周方向に延び、径方向に貫通する係合孔32bが2つずつ形成されており(
図5参照)、各係合孔32bは、その延長方向の中央部から案内溝32aとの連続端に向かって案内溝32aの開口側へ徐々に広がっている。また、キャップ32の閉塞側の端面には、ノズル50を周方向に位置決めした状態で突出させるための取付孔32cがあけられ、外周にはキャップ32を回転操作するためのつまみ32dが2つ設けられている。
【0032】
このアダプタ30を用いてノズル50を他方のノズル接続口20に接続する際には、まず、
図6(a)、(b)に示すように、中継部材31をノズル接続口20に被せて、ノズル接続口20の係合突起20bを中継部材31の案内溝31aの奥側端部まで挿入する。そして、
図6(b)、(c)に示すように、中継部材31を回転させ、その係合孔31bの奥部に係合突起20bを圧入して周方向および軸方向で係合させる(
図4参照)。これにより、中継部材31がノズル接続口20に対して周方向に位置決めされた状態で連結される。
【0033】
次に、
図6(c)、(d)に示すように、ノズル50を相対回転不能に保持したキャップ32を中継部材31の係合突起31d側の端部に被せて、その係合突起31dをキャップ32の案内溝32aの奥側端部まで挿入した後、キャップ32を回転させて、
図6(e)に示すように、キャップ32の係合孔32bの奥部に係合突起31dを圧入して周方向および軸方向で係合させる(
図5参照)。これにより、キャップ32が中継部材31に対して周方向に位置決めされて取り付けられ、ノズル50がノズル接続口20に対して周方向に位置決めされた状態で接続されることになる。
【0034】
ここで、中継部材31のノズル接続口20への連結およびキャップ32の中継部材31への取り付けは、いずれもバヨネットロック式の連結機構によるものであり、その操作はワンタッチで簡単に行える。また、中継部材31の係合孔31bが延長方向の中央部から案内溝31aとの連続端に向かって案内溝31aの開口側へ徐々に広がるように形成されているので、ノズル接続口20の係合突起20bを係合孔31bの奥側に圧入したときに、中継部材31がノズル接続口20側へ軸方向移動し、ノズル接続口20と中継部材31に軸方向で挟まれるように組み込まれているパッキン24、25、33が圧縮されて、ノズル接続口20と中継部材31の間で高いシール性が得られる。また、キャップ32の係合孔32bも中継部材31の係合孔31bと同様の形状に形成されているので、キャップ32の取り付け時にパッキン51が圧縮されて、中継部材31とキャップ32の間でも高いシール性が得られる。なお、中継部材31およびキャップ32の係合孔31b、32bは、径方向に貫通しない係合溝に変更することもできる。
【0035】
このノズルユニットAは、上記の構成であり、本体部10の回転ヘッド4をその流入ポート4hのいずれか一方が内筒2の流出孔2gに重なる状態で保持することにより、噴管Pから取付部材1の液体導出路1aを通って内筒2の液体通路2aに流れ込んだ液体を、2つのノズル40、50のいずれか一方から噴射することができる。
図1乃至
図5では下側のノズル50から液体を噴射可能な状態を示しているが、この状態から回転ヘッド4を回転させて、上側のノズル40から液体を噴射可能な状態や、液体の噴射を止める状態とすることもできる。
【0036】
また、このノズルユニットAは、本体部10の他方のノズル接続口20にアダプタ30の中継部材31を連結するとともに、ノズル50をアダプタ30のキャップ32で中継部材31に取り付けることにより、そのノズル接続口20との周方向係合部のないノズル50も、簡単に他方のノズル接続口20に対して周方向に位置決めした状態で接続することができる。したがって、他方のノズル接続口20に接続されているノズルを交換する際に、新たなノズルが噴霧パターンに方向性のあるものであっても、ダブルナット方式のアダプタを用いたもののようにノズルの周方向位置調整を行う必要がなく、交換作業を効率よく行うことができる。
【0037】
そして、ノズル交換の際に新たに取り付けられるノズルが、他方のノズル接続口20のおねじにねじ結合するめねじを有するユニオンナットを備え、噴霧パターンの方向性がないものであれば、アダプタ30を取り外して、他方のノズル接続口20に直接接続することもできる。
【0038】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0039】
例えば、アダプタのキャップは、上述した実施形態ではバヨネットロック式の連結機構によって中継部材に連結されるものを用いたが、中継部材に対してノズルを周方向に位置決めして簡単に取り付けられるものであればよい。
【符号の説明】
【0040】
1 取付部材
2 内筒
3 ユニオンナット
4 回転ヘッド
5 抜け止め部材
10 本体部
20 ノズル接続口
20b 係合突起
30 アダプタ
31 中継部材
31a 案内溝
31b 係合孔(係合溝)
31d 係合突起
32 キャップ
40、50 ノズル
A ノズルユニット
P 噴管(液体供給源)