(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127153
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】乾燥装置
(51)【国際特許分類】
F26B 23/10 20060101AFI20230906BHJP
F16L 5/02 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
F26B23/10 Z
F16L5/02 E
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030756
(22)【出願日】2022-03-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000176752
【氏名又は名称】三菱化工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100183357
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義美
(72)【発明者】
【氏名】鎌谷 彰人
(72)【発明者】
【氏名】ブイ クオック ビエット
(72)【発明者】
【氏名】小川 健太郎
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA06
3L113AC16
3L113AC45
3L113AC46
3L113AC67
3L113BA02
3L113DA06
3L113DA07
3L113DA22
(57)【要約】
【課題】熱媒配管を乾燥装置のケーシングに貫通させる部分において、各部品の製作誤差や組付け誤差、温度変化による各部品の変形等の影響による、組付け不良や過大な応力による部品の破損、気密性の悪化等のトラブルを抑制する。
【解決手段】本発明は、乾燥対象物を乾燥するためにケーシング2内に設置された乾燥部10に熱媒を流す乾燥装置であって、ケーシング2に設けられた貫通孔3aと、乾燥部に備えられた熱媒収容部12と、熱媒収容部と連通して備えられたジョイント部13と、貫通孔3aを介して挿入され、乾燥部のジョイント部に接続して熱媒を流す熱媒配管40と、熱媒配管をケーシング2に保持する熱媒配管保持部64と、を備え、熱媒配管保持部は、ジョイント部13の熱媒配管が接続可能な嵌入孔13aの位置に適応して熱媒配管が変位されることが可能なシール手段(Oリング65)を持つ可動部80を設けた。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥対象物を乾燥するためにケーシング内に設置された乾燥部に熱媒を流す乾燥装置であって、
前記ケーシングに設けられた貫通孔と、
前記乾燥部に備えられた熱媒収容部と、
前記熱媒収容部と連通して備えられたジョイント部と、
前記貫通孔を介して挿入され、前記乾燥部のジョイント部に接続して熱媒を流す熱媒配管と、
前記熱媒配管を前記ケーシングに保持する熱媒配管保持部と、を備え、
前記熱媒配管保持部は、前記ジョイント部の前記熱媒配管が接続可能な嵌入孔の位置に適応して前記熱媒配管が変位されることを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
乾燥対象物を乾燥するためにケーシング内に設置された乾燥部に熱媒を流す乾燥装置であって、
前記ケーシングに設けられた貫通孔と、
前記乾燥部に備えられた熱媒収容部と、
前記熱媒収容部と連通して備えられたジョイント部と、
前記貫通孔を介して挿入され、前記乾燥部のジョイント部に接続して熱媒を流す熱媒配管と、
前記熱媒配管を前記ケーシングに保持する熱媒配管保持部と、を備え、
前記熱媒配管保持部と前記熱媒配管との間に、前記ジョイント部の前記熱媒配管が接続可能な嵌入孔の位置に適応して前記熱媒配管が変位可能なシール手段を持つ可動部を設けたことを特徴とする乾燥装置。
【請求項3】
前記シール手段は、Oリングであることを特徴とする請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記可動部は、前記シール手段を格納するシール溝が形成された山形突起状の側壁に沿って所定の配管角度を変位することを特徴とする請求項2乃至3に記載の乾燥装置。
【請求項5】
ケーシング内部側の第1フランジとケーシング外部側の第2フランジとを備え、
前記第2フランジに締結固定される押え部と、
前記押え部の内面と前記第2フランジの外面との間で周方向に連続して形成される環状の鍔部収容領域内に収容される環状の鍔部と、
前記鍔部は、前記熱媒配管の外径周方向に連続して突設され、
前記鍔部収容領域内で、前記鍔部が、第2フランジ又は押え部と当接することで前記熱媒配管の可動が制限されことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥装置、特に医薬品などの粉体や粒体の乾燥に用いられる乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の乾燥装置として、例えば、特許文献1では、乾燥待ちの医薬品を回転可能な乾燥筒の中に入れ、加熱ブロックから出た熱で乾燥を行い、乾燥筒が間欠的に回転することによって医薬品をひっくり返して乾燥を均一にする医薬品用乾燥装置が開示されている。
しかしながら、回転可能な乾燥筒の中に入れ医薬品をひっくり返して熱で乾燥をする方法、或いは、ケーシングに設置されたジャケット内に熱媒を流し、ケーシングの内壁を電熱面として乾燥対象を加熱または冷却する方法において乾燥または冷却を十分に行うために伝熱面積がさらに大きいサイズの装置が考えられるが、設置面積等との関係もあって装置のサイズを無制限に大きくすることはできず、このまま伝熱面積が小さい乾燥装置だと乾燥対象を十分に加熱できず、長時間の乾燥が必要または乾燥不足が生じることがある。
【0003】
そこで、乾燥または冷却において、より伝熱面積を増すために、ケーシングだけでなく例えば、棚板や攪拌羽等、ケーシング内に設置された乾燥部の内部にも熱媒を流している。その際、ケーシング内の気密性を確保しつつ、熱媒配管をケーシング外からケーシング内に通す方法が考えられている。ここでの乾燥部としては、乾燥板がある。
また、一般的に配管に係る継手構造として、特許文献2のパイプ用継手で、2つのパイプの継手部の突き合わせ部をバンドで覆い突き合わせ部のシールリングでシールする技術や、特許文献3の排気管の接続装置で係合部材をシール部材に接触させた排気管接続構造が従来から開示されている。
この他に、例えば、第一にケーシングに貫通させた熱媒配管をケーシングに溶接する方法、第二にケーシングにフランジ等の継手を備えて熱媒配管をケーシング開口部に通し、継手同士を、ガスケット等を介して固定する方法、第三にケーシングにOリング等のシール部品を端面に設置した開口部を設け、熱媒配管をケーシング開口部に貫通させる方法がある。また、第四にケーシングに開口部を設け、熱媒配管をケーシング開口部に通したうえで、ケーシングと熱媒配管とをベローズ(ジャバラ)等の伸縮継手とする方法もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6764083号公報
【特許文献2】国際公開 WO2015/019623
【特許文献3】特開2008-88954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の第一から第三の方法にあっては、ケーシングと熱媒配管、熱媒を流す乾燥部の内部構造の位置を正確に合わせるために各部品の製作精度、組付け精度を高めなければならず、コストアップの要因や、各部品の温度変化により各部品の変形が生じ、熱媒配管の接続部分に過大な応力が掛り、リークや破損原因となる課題がある。
また、上記の特許文献2,3や第四の方法にあっては、伸縮継手は構造が複雑なため洗浄性が悪く、製品に不純物が混入するコンタミのリスクが高い。そして、伸縮継手は比較的変形に大きな力が必要であり、周辺部品に負荷が掛り、部品の破損のリスクがある。このような伸縮継手は比較的柔軟性の低いものが多く、各部品の製作精度や組付け精度のレベルや、熱変形の程度によっては、各部品に強度な応力が加わり、破損の原因となる。さらに、ゴムや樹脂製の比較的柔軟性の高い伸縮継手は大きな圧力差に耐えられず、真空乾燥等の圧力差が生じる乾燥装置には使用できない、等の課題がある。
すなわち、医薬品などの高付加価値製品を乾燥する乾燥装置には、乾燥時の不純物の混入を防ぐためや乾燥効率の維持のため、ケーシングの高い気密性が求められると同時に、設備の清浄度維持のための頻繁かつ完全な洗浄が必要であるため、分解のし易さや部品形状の単純さが求められている。
【0006】
そこで、本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、ケーシング内に設置された乾燥部に熱媒を供給する熱媒配管を乾燥装置のケーシングに貫通させる部分において、各部品の製作誤差や組付け誤差、温度変化による各部品の変形等の影響による、組付け不良や過大な応力による部品の破損、気密性の悪化等のトラブルを抑制することを目的とする。
具体的には、第一に熱媒配管の外周部に有するシール溝にOリングが装着されたシール手段を有した状態で、ケーシングに熱媒配管を貫通させるために、各部品の製作精度や組付け精度を高める必要が無いため、設備のコストダウンが可能である、第二に熱媒配管をケーシング内の内部構造と接続することが容易となり、接続後も環境条件や運転条件に伴う、各部品の温度変化や、ケーシング内の圧力変化による部品の変形があっても、ケーシングと熱媒配管との接続部の自由度のため変形を吸収し、各部品の破損を防止することが可能である、第三に熱媒配管の着脱が容易のため、設備の分解洗浄時等のメンテナンス性が高く、第四にケーシング内の構造が単純なため洗浄時の洗浄が容易となり高い洗浄性を有する、第五に伸縮継手等の高価な部品を設置する必要が無いため、設備のコストダウンを可能である。第六に熱媒配管の可動範囲を制限することにより、熱媒配管が抜けたり、リークが発生したりするリスクが低減できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題の目的を達成する第一の発明は、乾燥対象物を乾燥するためにケーシング内に設置された乾燥部に熱媒を流す乾燥装置であって、
前記ケーシングに設けられた貫通孔と、
前記乾燥部に備えられた熱媒収容部と、
前記熱媒収容部と連通して備えられたジョイント部と、
前記貫通孔を介して挿入され、前記乾燥部のジョイント部に接続して熱媒を流す熱媒配管と、
前記熱媒配管を前記ケーシングに保持する熱媒配管保持部と、を備え、
前記熱媒配管保持部は、前記ジョイント部の前記熱媒配管が接続可能な嵌入孔の位置に適応して前記熱媒配管が変位されることを特徴とする。
第二の発明は、乾燥対象物を乾燥するためにケーシング内に設置された乾燥部に熱媒を流す乾燥装置であって、
前記ケーシングに設けられた貫通孔と、
前記乾燥部に備えられた熱媒収容部と、
前記熱媒収容部と連通して備えられたジョイント部と、
前記貫通孔を介して挿入され、前記乾燥部のジョイント部に接続して熱媒を流す熱媒配管と、
前記熱媒配管を前記ケーシングに保持する熱媒配管保持部と、を備え、
前記熱媒配管保持部と前記熱媒配管との間に、前記ジョイント部の前記熱媒配管が接続可能な嵌入孔の位置に適応して前記熱媒配管が変位可能なシール手段を持つ可動部を設けたことを特徴とする。
第三の発明は、第二の発明において、前記シール手段は、Oリングであることを特徴とする。
第四の発明は、第二の発明乃至第三の発明のいずれかにおいて、前記可動部は、前記シール手段を格納するシール溝が形成された山形突起状の側壁に沿って所定の配管角度を変位することを特徴とする。
第五の発明は、第二の発明乃至第四の発明のいずれかにおいて、前記熱媒配管保持部である、ケーシング内部側の第1フランジとケーシング外部側の第2フランジとを備え、
前記第2フランジに締結固定される押え部と、
前記押え部の内面と前記第2フランジの外面との間で周方向に連続して形成される環状の鍔部収容領域内に収容される環状の鍔部と、
前記鍔部は、前記熱媒配管の外径周方向に連続して突設され、
前記鍔部収容領域内で、前記鍔部が、第2フランジ又は押え部と当接することで前記熱媒配管の可動が制限されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、棚板に熱媒を供給する熱媒配管を、乾燥装置のケーシングに貫通させる部分において、各部品の製作誤差や組付け誤差、温度変化による各部品の変形等の影響による、組付け不良や過大な応力による部品の破損、気密性の悪化等のトラブルを抑制することができる。
具体的には、第一に熱媒配管の外周部に有するシール溝にOリングが装着されたシール手段を有した状態で、ケーシングに熱媒配管を貫通させるために、各部品の製作精度や組付け精度を高める必要が無いため、設備のコストダウンが可能で、第二に熱媒配管をケーシング内の内部構造と接続することが容易となり、接続後も環境条件や運転条件に伴う、各部品の温度変化や、ケーシング内の圧力変化による部品の変形があっても、ケーシングと熱媒配管との接続部の自由度のため変形を吸収し、各部品の破損を防止することが可能で、第三に熱媒配管の着脱が容易のため、設備の分解洗浄時等のメンテナンス性が高く、第四にケーシング内の構造が単純なため洗浄時の洗浄が容易となり高い洗浄性を有し、第五に伸縮継手等の高価な部品を設置する必要が無いため、設備のコストダウンが可能である。第六に熱媒配管の可動範囲を制限することにより、熱媒配管が抜けたり、リークが発生したりするリスクを低減できる、熱媒配管を備えている乾燥装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第一実施形態の乾燥装置を示す概略全体斜視図である。
【
図2】第一実施形態の乾燥装置における概略縦断斜視図である。
【
図3】第一実施形態の乾燥装置における概略縦断正面図である。
【
図4】本発明に係る第一実施形態の熱媒配管がケーシングに保持された構造を示す略断面図と(a)、(b)、(c)、(d)は要部部分拡大図である。
【
図5】(a)は熱媒配管の変位前中立の状態、(b)は熱媒配管全体の変位が下側に向かっている状態、(c)は熱媒配管全体の変位が上側に向かっている状態、(d)は熱媒配管の先端側変位が下側に向かっている状態、(e)は熱媒配管の先端側変位が上側に向かっている状態、(f)は熱媒配管が回転する状態を示す略断面図である。
【
図6】本発明に係る第二実施形態の乾燥装置の熱媒配管を示す断面図である。
【
図7】本発明に係る第三実施形態で、(a)は熱媒配管の変位前中立の状態、(b)は熱媒配管先端の変位が下側の状態、(c)は熱媒配管先端の変位が上側の状態を示す略断面図である。
【
図8】(a)は、本発明の熱媒用乾燥装置の熱媒配管の接続気密性試験における配管の変位前の中立の状態を示す略断面である。(b)は、本発明の熱媒用乾燥装置の熱媒配管の接続気密性試験における配管の角度変位の状態を示す略断面図である。
【
図9】第一実施形態の乾燥装置において、他のブレード形態を組み込んでなる他の実施の一形態を示す概略縦断正面図である。
【
図10】第一実施形態の乾燥装置において、他のブレード形態を組み込んでなる他の実施の一形態を部分的に示す概略斜視図である。
【
図11】他の実施形態の乾燥装置における乾燥媒体掻き取り状況を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明乾燥装置の一実施形態について説明する。
なお、本実施形態は本発明乾燥装置の一実施形態に過ぎず、本実施形態に何等限定解釈されるものではなく本発明の範囲内で適宜設計変更可能である。以下なお、本明細書の実施形態においては、全体を通じて、同一の部材には同一の符号を付している。
【0011】
[第一実施形態の乾燥装置]
図1乃至
図3は、本発明の第一実施形態の乾燥装置を示す概略全体斜視図、概略縦断斜視図および概略縦断正面図である。
本実施形態の乾燥装置は、矩形状に組み合わされてなる枠部1と、枠部1の内方に配設されるケーシング2と、ケーシング2内に配設され、湿潤状態の乾燥媒体(以下、単に乾燥媒体ともいう。)を乾燥させる乾燥部10と、乾燥媒体を投入する乾燥媒体投入部32と、乾燥媒体投入部32から投入された乾燥媒体を受け、乾燥部10へと案内する乾燥媒体分散部19と、を含み、分離(分解)・組立可能に構成されている。
なお、本実施形態では、乾燥媒体として粉状の医薬品(粉体)を想定している。
【0012】
ケーシング2は、上下端を開放した円筒状の側板部3と、側板部3の開放上端を密閉する天板部4と、側板部3の開放下端を密閉する底板部5とで構成されている(例えば
図2参照)。
なお、ケーシング2の材質は、錆びにくく耐食性のある、例えばSUS316Lを用いているが、これに限定されない。
【0013】
側板部3には、鉛直方向Hで同一線上に所定間隔を空けて貫通形成された複数個の貫通孔(送出し側の熱媒配管組み込み孔部)3aと、その複数個の貫通孔3aと相対向して貫通形成された複数個の貫通孔(排出側の熱媒配管組み込み孔部)3bと、を備え、それぞれ熱媒配管40を挿入する。貫通孔3aと貫通孔3bは、それぞれ熱媒配管40の外径よりも大径を有する短尺円筒状に貫通形成されている(例えば
図3,4参照)。
本実施形態では、
図4に示すように、熱媒配管40が、ケーシング2内部側の第1フランジ50とケーシング2外部側の第2フランジ56を介して貫通孔3aと貫通孔3bにそれぞれ着脱可能に取り付けられている。第1フランジ50と第2フランジ56は、熱媒配管保持部64として機能する。
【0014】
天板部4は、小径円板状の平坦面部4aと、平坦面部4aの外周から下り傾斜状に形成された傾斜面部4bとにより断面視で円錐台状に形成されており、平坦面部4aの中心には軸受部を介して主軸8が回転可能に保持されている。主軸8は、天板部4の外方領域にて駆動部9と連結され、ケーシング2の内方中心領域にて回転可能に配されている。また、平坦面部4aには、分散誘導部27を内方に吊り下げ保持するブレード保持部30が、等間隔で四箇所に着脱可能に固着されている。さらに、乾燥媒体(粉体)供給手段とケーシング2の外方にて連結された乾燥媒体投入部32が、平坦面部4aを貫通してケーシング2内に配設されている(例えば
図3参照)。
なお、乾燥媒体(粉体)供給手段は特に限定解釈されるものではなく、本発明の範囲内で、ロータリーバルブ、スクリューフィーダー、テーブルフィーダーなどが適宜選択して採用される。乾燥媒体(粉体)供給手段は、連続的に乾燥媒体を供給する機能、あるいは断続的に供給する機能を有するもののいずれであってもよく、断続的に供給するものにあっては、主軸8の位相を検知して乾燥媒体の供給を制御する機能を有するものとしてもよい。
【0015】
底板部5は、中心領域に排出部6が設けられており、洗浄工程時において、洗浄液の液切れをよくするため、排出部6に向けて下りテーパ状の面部を有する円錐状に形成されている。
排出部6は、最下段の乾燥部10(本実施形態では第六乾燥部10f)から落下する乾燥処理済みの乾燥媒体を装置外方へと案内する機能を有している。
排出部6は、下方に行くにしたがって窄まり状に形成された上下端を開放した円筒状に形成されている。排出部7の開放上端の内径は、最下段の乾燥部10の乾燥板部11(本実施形態では第六乾燥部10fの第六の乾燥板部11f)の乾燥媒体落下孔部110から垂設されたシューター17の下端内径よりも大径に形成されており、落下する乾燥処理後の乾燥媒体が外方に零れ落ちないようにしている。
これら乾燥媒体の一連の概略の流れは、
図3にて矢印にて示す。具体的には、乾燥板部11上の乾燥媒体は円周方向に回転移動しながら、円周方向にも渦巻き状に移動して、下方に位置する乾燥板部に、
図3にて示す矢印の方向に落下する。
なお、排出部6の形態は特に図示形態に限定されず本発明の範囲内で適宜設計変更可能である。
【0016】
乾燥部10は、鉛直方向Hで第一乾燥部から第n乾燥部まで多段状に構成されており、本実施形態では、第一乾燥部10a、第二乾燥部10b、第三乾燥部10c、第四乾燥部10d、第五乾燥部10e、第六乾燥部10fまでの六段の棚段式に構成されている。
【0017】
それぞれの乾燥部10(第一乾燥部10aから第六乾燥部10f)はそれぞれ、鉛直方向Hで上方から落下する乾燥媒体を受けて乾燥せしめる乾燥板部(伝熱板部)11と、乾燥板部11上の乾燥媒体を順次下段の乾燥部10へと落下せしめる掻き取り誘導部18と、を含んで構成されている。
【0018】
乾燥板部11は、円板状に形成されており、天板部4に固定されてケーシング2内に鉛直方向Hに配設される複数本の柱部7に固定され、鉛直方向Hで所定間隔をあけてそれぞれ水平状に保持されている。
本実施形態では、第一乾燥部10aを構成している第一の乾燥板部11aから第六乾燥部10fを構成している第六の乾燥板部11fまで、小径の乾燥板部、大径の乾燥板部と、交互に繰り返すようにそれぞれの板の大きさを変えている。
すなわち、鉛直方向H上段から、第一の乾燥板部11aを小径に、第二の乾燥板部11bを大径に、第三の乾燥板部11cを小径に、第四の乾燥板部11dを大径に、第五の乾燥板部11eを小径に、第六の乾燥板部11fを大径に、と形成している。
【0019】
本実施形態では、小径の乾燥板部11(第一の乾燥板部11a、第三の乾燥板部11c、第五の乾燥板部11e)は、その内径全域に、主軸8方向に向けて昇り傾斜状の乾燥媒体落下防止カバー部(不図示)を備えているが、外径側はフラットである。
他方、大径の乾燥板部11(第二の乾燥板部11b、第四の乾燥板部11d、第六の乾燥板部11f)は、その外径全域に、ケーシング2の側板方向に向けて昇り傾斜状の乾燥媒体落下防止カバー部(不図示)を備えているが、内径側はフラットで、大きな乾燥媒体落下孔部110が形成されている。
【0020】
乾燥板部11は、その下面に板部と略同径の熱媒収容部12を備え、流入する熱媒によって板部全域に熱が伝達されるように構成されている。
熱媒収容部12は、ケーシング2の外方に配設される熱媒供給管と連絡した熱媒配管40を嵌入して接続し、熱媒を熱媒収容部12内に流入させるジョイント部13を備え、ジョイント部13と相対向する熱媒収容部12の所定位置には、熱媒収容部12内からの熱媒を流出させるための熱媒配管40を嵌入して接続するジョイント部14を備えている(例えば
図3,4参照)。
ジョイント部13及びジョイント部14は、熱媒収容部12内と連通して管状に形成するとともに、熱媒収容部12から水平状に突出しており、その突出端に、熱媒配管40を接続可能な嵌入孔13a(14a)を備えている。
本実施形態では、乾燥媒体を加熱乾燥させるため、熱媒として例えば温水を用いている。なお、熱媒は蒸気、あるいは油であってもよく、または冷水であってもよく、仕様によって適宜変更可能である。
また、熱媒収容部12の大きさ・形状などの形態は、本実施形態に限定されず本発明の範囲内で適宜設計変更可能である。
【0021】
第六の乾燥部10f(最下段の乾燥部10)を構成する第六の乾燥板部11fの乾燥媒体落下孔部110には、開放上端を連続して垂設された下端窄まり状のシューター17が一体に取り付けられている。
【0022】
掻き取り誘導部18は、主軸8に基端側を固定するとともに、他端側を乾燥板部11の外径方向に延設した腕部180と、腕部180から一体に垂設されて乾燥板部11の上面に摺接するブレード部181と、で構成されており、主軸8の回転動作に同期して乾燥板部11上を所定方向に摺動する。ブレード部181は、腕部180の長さ方向に所定長さをもって形成された一枚の長尺ブレード状のものを想定している(
図3参照。)。
なお、後述する通り、短尺のブレード(短冊状ブレード)が腕部の長さ方向に複数枚取り付けられているものであっても構わない。本発明の範囲内で適宜最適な形態のブレードが採用可能である。
【0023】
[第一実施形態の熱媒配管]
次に、本発明の第一実施形態の乾燥装置における熱媒配管について説明する。このような熱媒配管は、ケーシング2の外方から差し込まれ、乾燥板部11のジョイント部13(14)に接続される熱媒配管40のケーシング2への組み込み位置が鉛直方向や水平方向の相対位置だけでなく相対角度においてもずれてしまうことがある。
【0024】
このようなことから、熱媒配管40とケーシング2との取付構造に特有の構成を備えている。すなわち、ケーシング2、熱媒配管40、第1フランジ50及び第2フランジ56において、ジョイント部13(14)との接続嵌合を可能とする構成を採用することにした。以下、説明する。
【0025】
図4は、本発明に係る第一実施形態の熱媒配管40がケーシング2に保持された構造を示す略断面図である。この熱媒配管40は、ケーシング2の熱媒入力側と熱媒排出において同一の実施形態であるので、入力側の熱媒配管40について説明を行うことにする。また、当該熱媒は、温水を用いた一実施形態である。なお、本実施形態では側板部3に設けられた貫通孔3a(3b)に配置される熱媒配管40で説明しているが、側板部3に限定されず天板部4や底板部6を含むケーシングの所定箇所に適用可能である。
【0026】
本発明は、
図4に示すように、乾燥時に乾燥対象物を加熱するために、ケーシング2内に設置された乾燥部10に熱媒を流す乾燥装置であって、ケーシング2の側板部3に設けられた貫通孔3a(3b)と、乾燥部10に備えられた熱媒収容部12と、熱媒収容部12と連通して備えられたジョイント部13(14)と、貫通孔3a(3b)を介して挿入され、乾燥部10のジョイント部に接続して熱媒を流す熱媒配管40と、熱媒配管40をケーシング2に保持する一対の第1フランジ50、第2フランジ56からなる熱媒配管保持部64と、を備えている。そして、熱媒配管保持部64の第1フランジ50にはOリング(シール手段)55が格納されている。
【0027】
ケーシング2は、金属製の外筒体であって、その鉛直方向Hの側板部3に熱媒配管40の外径よりも大きい内径の円形状の貫通孔3a(3b)を形成している。そして、熱媒を通す熱媒配管40は、ケーシング2の貫通孔3a(3b)に組立時に挿入される。なお、ケーシング2の材質は、錆びにくく耐食性のある例えばSUS316Lを用いているが、これに限定されない。
【0028】
熱媒配管40は、熱媒ノズルであって、一本の略筒状に形成され、その内部(空洞)には熱媒流路が形成されている。熱媒は、本実施形態では、乾燥対象物が医薬品粉体であるため温水が用いられているが、乾燥対象物に応じて温水に限定されず、例えばオイルや蒸気等でも構わない。
なお、熱媒配管40の材質は、錆びにくく耐食性のある金属製の例えばSUS316Lを用いているが、これに限定されない。例えば、樹脂製であっても本実施範囲内である。
【0029】
熱媒配管40は、
図4(a)の円内部分拡大図で示されるように、外周面の先端側領域、すなわち、乾燥板部11のジョイント部13(14)に嵌入される先端外周領域40aには、環状のシール溝が外径周方向に連続して凹設されている。本実施形態では、軸方向(矢印Lで示す水平方向(
図4参照。))に複数本のシール溝41が所定間隔で設けられている。各シール溝41には、シール手段としてのOリング42が、その一部を外方に突出するようにして嵌め込まれている。
【0030】
これにより、熱媒配管40とジョイント部13(14)との接続部分における気密性が保たれる。
また、ジョイント部13(14)と熱媒配管40のシール溝67は、ボルト等で固定されるのではなく、熱媒配管40と接続が可能なように、熱媒配管40と外周にはOリングが複数個備えられているが(本実施形態では、3個のシール溝67にOリングが装着)、これに限定されない。例えば、ジョイント部13(14)側の接合部分との長さに対応して、熱媒配管40のシール溝67とOリングを1個、2個或いは4個以上としても構わない。
【0031】
この場合、Oリング42が1個でも熱媒配管40の軸方向に位置調整は可能であるが、Oリングを複数個設置していることにより確実にシールを行うことができる。また、Oリング42が2個以上の方が熱媒配管40とジョイント部13(14)との平行が保たれ易いため、両部品の接触による破損や金属コンタミの発生リスクが減少される。
【0032】
なお、組立作業において、ケーシング2に熱媒配管40を挿入するとき、ケーシング2と熱媒配管40との密閉は、第1フランジ50とOリング55、65を介して密閉される。これは、内部から外部への流出を封じ込めるため、外部からの異物混入を防止するため、および所望の圧力下で乾燥を行うためである。
さらに、医薬品のような高付加価値製品を乾燥する乾燥装置においては、高薬理活性医薬品等が外部に流出すると危険な粉体を乾燥する場合の封じ込めや乾燥時の不純物の混入を防ぐためや乾燥効率の維持のため、ケーシングに高い気密性が求められると同時に、設備の清浄度維持のための頻繁かつ完全な洗浄が必要であるため、分解のし易さや部品形状の単純さがシール手段にも要求されるからである。
【0033】
また、本実施形態のOリングの材質はフッ素ゴム(FKM)でリング状に形成されている。なお、Oリングの材質は、フッ素ゴム(FKM)に特に限定されない、例えば、パーフルオロエラストマー(FFKM)でも構わない。
【0034】
また、ジョイント部13(14)は、相互に接続し易いように、ベローズ(ジャバラ)等の伸縮継手とする従来方法があるが、本実施形態では、乾燥装置内部の洗浄が複雑化により長時間とならないように、また、ベローズは洗浄不良による異物混入のリスクがあるため金属製或いは樹脂製のパイプジョイントとしている。
したがって、ジョイント部13(14)を大きく曲げたりなどの接続の調整が難しいため、熱媒配管40側においてジョイント部13(14)との接続嵌合を可能とすることにしている。
【0035】
また、
図4(b)の円内部分拡大図で示されるように、熱媒配管40の外周面の略中央領域、すなわち、第1フランジ50の内周面と摺接する中央外周領域40bには、環状のシール装着突部43が外径周方向に連続して突設されている。シール装着突部43は、断面視で先細り状の山形突起状に形成され、Oリング65を嵌合するシール溝44が先端から鉛直方向Hに凹設されている。シール溝44の外側に位置する側壁45,45は、先端(上端)から下り傾斜状の曲面をもって形成されている。側壁45,45の先端領域も曲面に形成されている。
【0036】
このような山形突起状の側壁45,45を有していることにより、第1フランジ50と側壁45,45とは接触せず揺動可能となるため、熱媒配管40の先端はフレキシブルに変位することができ、可動部80として機能する。この可動部80により、ジョイント部13(14)側との相対位置関係によって熱媒配管40の設置位置は定まり、分解洗浄後等の組み立て作業が容易かつ確実になし得る。
【0037】
さらに、
図4(c)の円内部分拡大図で示されるように、熱媒配管40の後端外周領域40c、すなわち、第2ボルト70により第2フランジ56に締結され固定され熱媒配管40を保持する押え部60の内面と第2フランジ56の外面との間で周方向に連続して形成される環状の鍔部収容領域S内にて遊びをもって収容される環状の鍔部46が周方向に連続して突設されている。
【0038】
鍔部46は、本実施形態では、熱媒配管40の外周面から断面視で台形状に突設された外周方向に連続した突条に形成(突設)されている。
鍔部46は、第2フランジ56と対向する側の第一の立上がり周面部47は、熱媒配管40の外周面から鉛直方向Hで直角に所定高さ立ち上げられ、押え部60と対向する側の第二の立上がり周面部48は、熱媒配管40の外周面から昇り傾斜状に所定高さ立ち上げられ、第一の立上がり周面部47の上端と、第二の立上がり周面部48の上端とにわたって連続して設けられる上端面部49は断面視で平坦面に形成されている。鍔部46は熱媒配管40と同心円に形成されている。
【0039】
本実施形態では、押え部60の端部61を面取りすることで曲面形状としている。熱媒配管40が角度変化により変位する際に、鍔部収容領域Sの範囲内で鍔部46の第二の立上がり周面部48と端部61とが接触する可能性があるが、端部61を面取りしているため、鍔部収容領域Sの範囲内で押え部60と鍔部46とが、滑らかに接触することができるため、互いの損傷を緩和することができる。
また、第二の立上がり周面部48を曲面(丸みがある傾斜面)状に形成することも可能である。
【0040】
このように、鍔部収容領域S内で、鍔部46が、第2フランジ56又は押え部60と当接することで熱媒配管40の可動が制限される。すなわち、熱媒配管40の軸方向およびその先端が位置調整する際にシール機能を損なうような過度の変位を防止するように熱媒配管40のストッパー機能をする環状の鍔部46が熱媒配管40の外周面に形成されている。
なお、傾斜面について、必ずしも曲面形状でなくテーパ形状(直線的傾斜面)であっても熱媒配管40の位置調整は可能である。
【0041】
熱媒配管保持部64は、第1フランジ50、第2フランジ56の一対で構成されている。第1フランジ50は、所定厚さ及び所定外径の円環状に形成され、ケーシング2の側板部3の内面に設けられた窪み領域Qに当接して配設される。窪み領域Qは貫通孔3a(3b)を囲むように貫通孔3a(3b)よりも大径円筒状に形成されている。なお、窪み領域Qを鉛直方向に一直線上に配置された熱媒配管保持部64をまとめた一体構造とする場合は、鉛直方向縦長の窪みとなる長方形状に形成しても良い。
また、第1フランジ50の内径側には、熱媒配管40の外周に設けたシール装着突部43がOリングを介して摺接する配管摺接孔部51が形成されている。
第1フランジ50は、第2フランジ56の外方から第1ボルト52を介して連結するための連結孔部53を所定数設けている。連結孔部53は、貫通孔3a(3b)に対向する面部の所定位置に非貫通状に穿設され、その内面には第1ボルト52の雄ネジが螺合可能な雌ネジが形成されている。
【0042】
また、
図4(d)の円内部分拡大図で示されるように、窪み領域Qに当接する第1フランジ50の面部には、断面略凹字状の環状シール溝54が形成されており、環状シール溝54にOリング55が装着されている。これにより、ケーシング2と第1フランジ50との当接領域における気密性が保たれる。なお、本実施形態では、環状シール溝54とOリング55とからなる一組のシール領域が備えられているが、シール領域は複数組あっても良い。
【0043】
この窪み領域Qの内径D1は第1フランジ50の外径D2よりも大きく、第1フランジ50の肉厚分と略同一分の長さだけ窪ませている
また、第1フランジ50には、相対向する第2フランジ56と連結する連結ボルト用の連結孔部53を有している。
【0044】
第1フランンジ50の外径D2は、窪み領域Qの内径D1よりも小さく、その差分の範囲において、ジョイント部13(14)と熱媒配管40との間で、第1フランジ50の平面方向の360度全方向においてずれが生じている場合であっても、ジョイント部13(14)の熱媒配管40が接続可能な嵌入孔13a(14a)の位置に適応して熱媒配管40が変位され移動が可能となっている。
これにより、分解洗浄作業の後、再度組み立て作業をする際に、ジョイント部13(14)と熱媒配管40との相対位置関係によって熱媒配管40の設置位置は定まり接続組み立て作業が容易かつ確実になし得る。
【0045】
第2フランジ56は、所定厚さ及び所定外径の円環状に形成され、その外径D3は、ケーシング2の側板部3に設けた貫通孔3a(3b)よりも大径で、内径は貫通孔3a(3b)よりも小径に形成されており、内径側には、熱媒配管40の外周面との間に所定の隙間を有するように形成された配管遊挿孔部57を備えている。
【0046】
第2フランジ56は、第1フランジ50の連結孔部53に第1ボルト52を螺合して、第1フランジ50と第2フランジ56とで、ケーシング2の側板部3を連結するための連結孔部58を所定数設けている。連結孔部58は、貫通孔3a(3b)に対向する面部の所定位置に貫通状に穿設され、その内面には雌ネジは形成されていない。
また、第2フランジ56には、外方に備えられる押え部60を第2フランジ56に連結固定するための複数個の第二連結孔部59が、連結孔部58を避けた位置に所定数設けられている。第二連結孔部59の内面には第2ボルト70が螺合する雌ネジが形成されている。
【0047】
押え部60は、軸方向Lに所定厚さ及び鉛直方向Hに所定長さの矩形板状に形成され、その鉛直方向H長さは、第2フランジ56の外径D3よりも短く、中央領域には、第2フランジ56の配管遊挿孔部57と同一の内径とした第二の配管遊挿孔部62を備えている。
【0048】
押え部60の内面には、第2フランジ56の配管遊挿孔部57よりも大径の内周を有する窪み領域Q2が形成されており、第2フランジ56の外面との間で環状の鍔部収容領域Sが形成される。
また、押え部60を第2フランジ56に第2ボルト70を介して連結固定するための複数個の第三連結孔部63が貫通形成されており、その内面には雌ネジは形成されていない。
【0049】
この鍔部収容領域Sは、遊びをもって環状の鍔部46が収容される領域で、
図4(c)の円内部分拡大図に示すように、熱媒配管40の相対角度の変位を調整する際に、シール機能を損なうような過度の変位とならないように、鍔部収容領域S内で、鍔部46の第一の立上がり周面部47や第二の立上がり周面部48が、第2フランジ56や押え部60と当接することで、熱媒配管40の押え部60と鍔部46がストッパーとして機能する。さらに加えて、熱媒配管40の抜け防止のストッパーとして機能する。
【0050】
さらに、ケーシング2を含む熱媒配管保持部64と乾燥部と一体のジョイント部13(14)との、中心軸方向の相対位置のバラツキを吸収するために、中立状態にて熱媒配管の先端が、ジョイント部の受口の奥までは突き当たらないように接続用の隙間Rを設けている。
これにより、熱媒配管40とジョイント部13との接続部に、中心軸方向の相対位置の自由度が出来て位置誤差を吸収する。
また、押え部60は、熱媒配管40の角度変化を一定範囲内に収めると同時に、熱媒配管40は、ジョイント部13(14)や第一フランジ50から抜けてしまい熱媒配管40に設置されているOリング65と42のシールが損なわれることを防止する機能を有している。
【0051】
[熱媒配管の取り付け手順]
次に、熱媒配管40の取り付け手順の一例を概略して説明する。
(1)天板部4に保持される乾燥部10を含めた全ての部品一式を、ケーシング2外で組み付ける。
(2)ケーシング2の貫通孔3aに、第1フランジ50と第2フランジ56を落下しない程度(手で動かせる程度)に軽く取り付ける。
(3)ケーシング2に、天板部4に保持された部品一式を、双方の中心軸と位相とを合わせて挿入し、ボルトを締結して天板部4をケーシング2に固定する。
(4)第1フランジ50と第2フランジ56をスライドさせ、両フランジ50,56の中心軸と、ジョイント部13の挿入口の中心軸とを目視で大まかに合わせる。
(5)熱媒配管40を両フランジ50,56とジョイント部13に挿入する。
(6)第1フランジ50と第2フランジをケーシング2に保持する第1ボルト52を増し締めして固定する。
(7)押え部60を第2フランジに第2ボルト70で取り付ける。
(8)熱媒配管40にフレシキブルキホース(図示せず、以下同じ。)を取り付ける。
この上記手順の中では、手順(4)での1対のフランジ単体での粗い位置調整を行うが、手順(3)によってジョイント部13とケーシング2との相対位置が定まり、手順(5)によって熱媒配管と、ジョイント部13とケーシング2との相対位置が定める。
つまり、熱媒配管40が熱媒配管保持部64を経由して乾燥部10のジョイント部13(14)に挿入することにより相対位置が定まる。
【0052】
図5を用いて、ジョイント部13(14)の熱媒配管40が接続可能な嵌入孔13a(13b)の位置に適応して熱媒配管40が変位され相対位置が定まるまでの位置調整の一例について説明する。
図5(a)は熱媒配管40が変位前(適応前)の中立状態を示し、
図5(b)と
図5(c)は中立状態から上下方向の変位のみ(適応後)、
図5(d)と
図5(e)は中立状態から角度のみを変位(傾斜)させた場合(適応後)における相対位置を示している。
図5(f)は熱媒配管40が回転するケース(適応後)を示している。
すなわち、各部品の製作精度や組付け精度に起因するケーシング2とジョイント部13(14)との相対位置のバラツキには、位置だけでは無く角度も含まれることがあるため、フランジ50,56を増し締めする前の熱媒配管40をジョイント部13(14)に挿入した時点でも、
図5(b)や
図5(c)だけでなく、
図5(d)や
図5(e)のような相対角度誤差を吸収するための位置関係が起こり得るからである。一方で、フランジ50,56を増し締めして密閉状態を作った後、例えば、装置稼働後の温度変化やケーシング2内の圧力変化等による部品の変形に起因する誤差に対しては、相対角度と熱媒配管の軸方向変化に対する追従と、回転のみが可能となる。
なお、
図5(a)乃至
図5(e)において記載されていない符号については、必要に応じて
図4の符号を参照する。以下、順に説明する。なお、本実施形態では側板部3に設けられた貫通孔3a(3b)に配置される熱媒配管40で説明しているが、側板部3に限定されず天板部4や底板部6を含むケーシングの所定箇所に適用可能である。
本実施形態は、ケーシング2の上下端を開放した円筒状の側板部3に設けられた貫通孔3a(3b)と、貫通孔3a(3b)に乾燥部10のジョイント部13(14)に接続されるまで挿入され、熱媒を流す熱媒配管40と、熱媒配管40をケーシング2に保持する一対の第1フランジ50と第2フランジ56からなる熱媒配管保持部64と、を備え、嵌入孔13a(14a)に接続された熱媒配管40の位置に、熱媒配管保持部64が適応する。すなわち、嵌入孔13a(14a)の位置(角度)によって熱媒配管40の位置(角度)が決まり、その熱媒配管40の位置(角度)に、熱媒配管保持部が適応する。
すなわち、ジョイント部13(14)の熱媒配管40が接続可能な嵌入孔13a(14a)の位置に適応して熱媒配管40が変位される。これにより、各部品の製作精度や組付け精度に起因する、ケーシング2と加熱部のジョイント部13(14)との相対位置のバラツキに対する追従に有効である。
なお、ジョイント部13(14)の熱媒配管40が接続可能な嵌入孔13a(14a)の位置に適応して熱媒配管40が変位される全ての動きの事例についての説明は内容が重複するため略し、先ず、
図5(b)において、第1フランジ50と第2フランジ56でケーシング2を挟み込み、熱媒配管保持部64が側板部10に沿って熱媒配管40を鉛直上下方向に変位し熱媒配管40の相対位置が定まるまでの位置調整の変位適応される実施態様の各事例について、以下に説明する。
【0053】
[熱媒配管が鉛直上下方向に変位適応の実施態様]
上記手順(5)において、熱媒配管40を両フランジ50,56とジョイント部13に挿入した場合に変位前の中立位置の状態での熱媒配管40の中心軸と、ジョイント部13の受口の中心軸が平行の場合において、接続相手側のジョイント部13(14)の受口が熱媒配管40の軸方向の中心線L0(中立位置状態での熱媒配管の中心軸、以下同じ)よりも鉛直方向Hの下側にあった場合(ジョイント部の受口の中心軸の中心線L1)、窪み領域Qの径D1の範囲内で第1フランジ50と第2フランジ56(熱媒配管保持部64)を鉛直方向Hの下方向(矢印符号)へ可動(変位)し、熱媒配管40の相対位置が定まるまで位置調整される(
図5(b)参照)。図面では、ケーシング2の窪み領域Qに位置する第1フランジ50が窪み領域Q内を下方に移動した動きを示している。
または、接続相手側のジョイント部13(14)の受口が熱媒配管の軸方向の中心線L0よりも鉛直方向Hの上側にあった場合(中心線L2)、窪み領域Qの径D1の範囲内で第1フランジ50と第2フランジ56(熱媒配管保持部64)を鉛直方向Hの上方向(矢印符号)へ可動させることで達成できる(
図5(c)参照)。図面では、ケーシング2の窪み領域Qに位置する第1フランジ50が窪み領域Q内を上方に移動した動きを示している。
その後、上記手順(6)のとおり、第1フランジ50と第2フランジをケーシング2に保持する第1ボルト52を増し締めして固定する。
また、フレシキブルホースに接続した後に、熱媒配管40を回転される動きを取ることも可能である(
図5(f)参照)。これにより、熱媒配管40のジョイント部13(14)と反対側(
図4での熱媒配管40の左端)のヘルール継手にフレシキブルホース等を接続した後に発生した、フレシキブルホースのねじれを、各部品を分解することなく吸収し、フレシキブルホースの破損を防ぐ等の効果を奏する。
【0054】
[熱媒配管の先端を上下に傾ける変位適応の実施態様]
各部品の製作精度や組付け精度に起因するケーシングと加熱部のジョイント部との相対位置のずれが生じている場合には、相対角度誤差を吸収する必要がある。このため熱媒配管40と、熱媒配管40をケーシング2に保持する熱媒配管保持部64と熱媒配管40との間に、ジョイント部13(14)の熱媒配管40が接続可能な嵌入孔13a(14a)の位置に適応して熱媒配管が変位可能なシール手段(Oリング65)を持つ可動部80を備えている。
【0055】
本可動部80によれば、熱媒配管40の外周のOリング65を、第一フランジ50に当接させ、熱媒配管の角度を可変とした機構で、各部品の製作精度や組付け精度に起因するケーシングと加熱部のジョイント部との相対位置のバラツキに対する追従に有効であるとともに、装置稼働後の温度変化やケーシング内の圧力変化等による部品の変形に起因する、ケーシングと加熱部のジョイント部との相対位置の変化に対する追従にも有効である。
【0056】
なお、ジョイント部13(14)の熱媒配管40が接続可能な嵌入孔13a(14a)の位置に適応して熱媒配管40が変位される全ての動きの実施態様についての説明は内容が重複するため略し、
図5(d)において、熱媒配管40が位置調整される一例について、以下に説明する。
上記手順(5)において、
図5(d)に示すように、熱媒配管40を両フランジ50,56とジョイント部13に挿入した場合に中立位置の熱媒配管40の中心軸と、ジョイント部13の受口の中心軸が平行でない場合(変位状態での熱媒配管の中心軸の中心線L3)、ジョイント部13(14)が熱媒配管40の中立位置状態での熱媒配管の中心軸の中心線L0よりも配管角度θ1だけ下方にあった場合、第2フランジ56の内周のジョイント側の内周面と熱媒配管の外周面とが当接する範囲内において、Oリングを回転中心軸とし、熱媒配管40の先端を上側に傾け配管角度θ1分だけ戻すように変位する位置調整がなされることで達成できる。
このように配管角度θ1分だけ変位されるときは、収納領域S内の鍔部46が押え部60と当接してシール機能を損なう過度の可動とならないストッパーの役割をしている。具体的には、本発明の乾燥装置の熱媒配管40は、シール機能を損なわない範囲として配管角度がθ1(例えば、下方の角度変位を―(マイナス)とした-5°)内となるように制限されている。
【0057】
また、上記手順(5)熱媒配管40を両フランジ50,56とジョイント部13に挿入した場合に中立位置の熱媒配管40の中心軸と、ジョイント部13の受口の中心軸が平行でない場合(中心線L4)、
図5(e)において、ジョイント部13(14)が熱媒配管40の軸方向(水平方向)Lの中心線L0よりも配管角度θ2だけ上方にあった場合、第2フランジ56の内径のジョイント側の内周面と熱媒配管の外周面とが当接する範囲内において、Oリングを回転中心軸とし、熱媒配管40の先端を下側に傾け配管角度θ2分だけ変位させることで達成できる。
このように配管角度θ2分だけ戻すように変位されるときは、収納領域S内の鍔部46が押え部60と当接してシール機能を損なう過度の可動とならないストッパーの役割をしている。
具体的には、本発明の乾燥装置の熱媒配管40は、シール機能を損なわない範囲として配管角度がθ2(例えば、下方の角度変位を+(プラス)とした+5°)内となるように制限されている。
また、
図5(f)に示しているとおり熱媒配管40が回転されながら位置調整することも可能である(中心線L5)。
【0058】
以上の説明のとおり、ジョイント部13a(14a)の熱媒配管40が接続可能な嵌入孔13a(14a)の位置に適応して熱媒配管40が変位されること、例えば、熱媒配管40の先端を上下に傾け配管角度を変位し位置調整されることは、第2フランジ部56及び押え部60をボルト締結して熱媒配管40を配設した状態後においても、窪み領域Q2の鍔部収容領域S内において、鍔部46の移動許容範囲内で熱媒配管40の角度を変位されることで可能となる。さらに、乾燥装置稼働後の温度変化やケーシング2内の圧力変化等による部品の変形に起因する、ケーシング2とジョイント部13(14)との相対位置の変化に対する追従についても適応可能である。
【0059】
[Oリングの配管接続気密性試験]
ケーシング2に対して、熱媒配管40を傾けた場合、過度の変位はシール機能を損なうことになるため、本試験用に製作した
図8の試験器具を用いてOリングの配管接続気密性試験を行った。ここで、
図8(a)は熱媒配管40が中立(中心線L0)の状態を表しており、
図8(b)は配管角度θ7だけ下方に変位(中心線L6)した状態を表している。上方へ変位はOリング93で対象的な動きであることから重複した説明になるため省略する。また、その試験結果を表1に示す。表2は、表1を棒グラフ化したものである。なお、図中のFKMはフッ素、およびVMQはシリコンのOリング材質をあらわしている。
【0060】
先ず、本試験の実施態様の構成について説明する。
図8(a)は、真空容器92を本発明のケーシング2にみたて、円柱状部材90を本発明の熱媒配管40にみたて、円柱状部材90の突起部の側壁91,91に設けられたシール溝94にOリング93が装着されている。
図8(b)は、真空容器の壁面(Oリング93を略中心軸)に対して配管角度θ7の変位後の状態を示している。また、真空容器92の壁面92aと接する円柱状部材90の先端部分は傾きを阻害しないように曲面Rに形成されて、円柱状部材90のストッパーの役割も有している。
本発明におけるケーシング2と熱媒配管40との配管角度は、5°乃至7°を可動範囲としている。そのうち、配管角度θ7が5°のケースについて、Oリング93の気密性試験を行った結果を表1に示す。表1のOリング93の材質は、(FKM-70:4種D/4D/フッ素ゴム/バイトン)FKM-90(90°FKM/高硬度フッ素ゴム/バイトン90))とシリコン(VMQ-50:半透明SI50、シリコン50°)を用い、真空ポンプによる減圧後に、真空容器~真空ポンプ間のバルブを閉じ、真空度が下がっていく時間を測定した。ここでは、一事例として、-90キロパスカル(kPa)からスタートさせ-89キロパスカル(kPa)になるまで(1kPa下がる)の時間(秒,s)を測定した。
【0061】
実験の結果、表1の記載のとおり、No.1のFKM-70で配管角度0°のとき、1kPa下がるのに100sであったのに対して、No.2のFKM-70で配管角度5°のとき、1kPa下がるのに99sであった。0°と5°との差は-1sとなる。
No.3のVMQ-70で配管角度0°のとき、1kPa下がるのに97sであったのに対して、No.4のVMQ-70で配管角度5°のとき、1kPa下がるのに97sであった。0°と5°との差は0sとなり、両者に差が認められない。
No.5のFMK―90で配管角度0°のとき、1kPa下がるのに101sであったのに対して、No.6のFMK-90で配管角度5°のとき、1kPa下がるのに100sであった。0°と5°との差は-1sとなる。
No.7のVMQ-50で配管角度0°のとき、1kPa下がるのに95sであったのに対して、No.8のVMQ-50で配管角度5°のとき、1kPa下がるのに98sであった。0°と5°との差は+3sとなる。
このような試験結果から、Oリングの配管接続気密性は、配管角度が±5°になっても十分に保つことができ、シール機能に問題ないことが明らかとなった。
【0062】
【0063】
【0064】
[分離する工程と再度組み立てる工程の全体的な流れ]
ここで、ケーシング2と乾燥部10とを分離する工程と、分離後に再度組み立てる工程とについて、上述の実施形態に基づいて全体的な説明を行う。
【0065】
本発明の乾燥装置にあっては、上述した通り、GMPに準拠するため乾燥処理工程を経た後、装置を洗浄処理することが望ましい。
【0066】
そこで、まず、ケーシング2と、ケーシング2内に配設されている乾燥部10及び乾燥媒体分散部19等の内部構造(洗浄対象構成)とを分離する工程を説明する。なお、分離する工程に先立ち、最初に、熱媒を抜き取る工程とフレシキブルホースを外す工程が終えられている。
【0067】
押え部60を第2フランジ56に締結固定している第2ボルト70を全て取り外し、押え部60を取り外す。これにより、鍔部46の軸方向(水平方向)L移動の制限が解除されるため、熱媒配管40の先端外周領域40aをジョイント部(ジョイント部13、ジョイント部14)の嵌入孔13a(14a)から抜き外し、第1フランジ50の配管摺接孔部51、ケーシング2の側板部3の貫通孔3a(3b)、及び第2フランジ56の配管遊挿孔部57を介して熱媒配管40を取り外す。この工程を繰り返し行い、全てのジョイント部13及びジョイント部14に接続されている全ての熱媒配管40を取り外す。
なお、場合によっては、押え部60を外した後に、第1ボルトを緩める工程がある。
【0068】
上述した工程を終えることにより、天板部4に取り付けた状態の主軸8に乾燥媒体分散部19及び乾燥部10などの内部構造が一体になった状態で、側板部3と分離可能となるため、例えば、天板部4ごと鉛直方向Hで上方に吊り上げて内部構造を側板部3と分離させることで洗浄作業が極めて容易に行い得る。
【0069】
そして、乾燥媒体分散部19及び乾燥部10などの内部構造の洗浄工程を終えて、天板部4、内部構造及び側板部3とを再度組み立てる工程に移る。なお、側板部3及び底板部5にあっても別途洗浄工程を施す。
【0070】
吊り下げ状態であった天板部4及び天板部4と一体となっている内部構造を降ろしていき、側板部3内に内部構造を上方から挿入し、側板部3の各貫通孔3a(3b)と、各乾燥板部11のジョイント部13(14)との位置合わせを行い、このとき、側板部3の各貫通孔3a(3b)と、各乾燥板部11のジョイント部13(14)との間で、周方向のずれが生じていた場合、位相を合わせた位置になるように配置を合わせる。
次に、側板部3と天板部4とを一体的に締結する工程を行う。
【0071】
そして、第2フランジ56の配管遊挿孔部57、ケーシング2の側板部3の貫通孔3a(3b)、及び第1フランジ50の配管摺接孔部51を介して熱媒配管40をケーシング2の側板部3の内方へと挿入する。
そして、その状態でずれが生じず、乾燥板部11のジョイント部13(14)の嵌入孔13a(14a)に熱媒配管40の先端外周領域40aの位置合わせができていれば、熱媒配管40の先端外周領域40aをジョイント部13(14)の嵌入孔13a(14a)にそのまま差し込み嵌入すればよい。
しかし、乾燥板部11のジョイント部13(14)の嵌入孔13a(14a)に熱媒配管40の先端外周領域40aとの間において角度の変位によるずれが生じている場合がある。
【0072】
このような場合には、窪み領域Q2の鍔部収容領域S内において、鍔部46移動許容範囲内で熱媒配管40の角度を変位可能であるため、ずれの調整を図ることができる。
このとき、熱媒配管40を過度に変位させようとしても、鍔部46が窪み領域Q2内で第2フランジ56や押え部60に当接し、熱媒配管40の可動が制限されるストッパーとして機能するため損傷等を抑止することができる。
【0073】
なお、再度組み立てを行うとき、具体的には、熱媒配管40をジョイント部13(14)に挿入するときは、原則として第1ボルト52を緩める必要がある。
側板部3、第1フランジ部50、第2フランジ部56及び押え部60をボルト締結して熱媒配管40を配設した状態であっても、ジョイント部13(14)と熱媒配管40との接続領域部分の軸方向(水平方向)Lにおける位置合わせが可能で、かつ窪み領域Q2の鍔部収容領域S内において、鍔部46の移動許容範囲内で熱媒配管40の角度を変位させて挿入角度を調整することも可能であるからである。
【0074】
本実施形態によれば、上述のとおりの構成を採用していることから、分離後の組立作業において簡単かつ確実に組み込み位置調整がなし得る。また、本実施形態によれば、主軸8などを回転駆動させる駆動部9を天板部4の上方に配設する構成を採用し、天板部4とともに内部構造を吊り上げる際に、駆動部9も併せて上方に吊り上げられるため、分解・洗浄作業が容易である。
【0075】
また、駆動部9を天板部4の上方に配設して、汚れやすい底板部5には、軸封等の複雑な構造を備えない構造としたため、軸封等の漏れ等を気にせずに洗浄液に側板部3と底板部5とを浸漬させて洗浄することができる。従って、側板部3と底板部5との洗浄作業性を向上させることができる。
【0076】
[第二実施形態の熱媒配管]
本実施形態は、
図6に示すように、ケーシング2の側板部3の貫通孔3a(3b)に熱媒配管40を挿入して、第1フランジ50と第2フランジ56とでケーシング2を挟んで、これらを第1ボルト52で締結している構成は、第一実施形態と同じである。
また、シール手段は、第1フランジ50とケーシング2との間にOリング55を備えている点、当該熱媒配管40とジョイント部13(14)との接続部分にもOリング42を備えている点でも、第一実施形態と同じ態様である。
【0077】
相違している点は、熱媒配管40の外周側にシール溝を設けるのではなく第1フランジ50の内周側にシール溝67を備えている点で異なる。すなわち、本実施形態では第1フランジ50の内周面側にシール溝67を設けOリング66を装着していること、さらに、このシール溝67が形成されている位置は、第1フランジ50の内周面の中央部ではなく、ジョイント部13(14)側寄りにある。この結果、ジョイント部13(14)側寄りの第1フランジ50の肉厚が薄くなっている。
シール溝67を第1フランジ50のジョイント部13(14)側寄りにしている理由は、(分解しない状態での)機内洗浄性の向上や、残留物の堆積抑える目的で、ケーシング2内に極力、窪み等の入り組んだ部分を作らない様にするためである。その結果として、θ3は第一フランジの肉厚の厚い部分によって定まる。
【0078】
このように、第1フランジ50のOリング66が装着されるシール溝の形成位置による肉厚の違いがあることから、熱媒配管40とジョイント部13(14)を接続において、熱媒配管40を配管角度θ3だけ傾斜することできる。すなわち、シール手段のOリングは熱媒配管40の配管角度を変位できる可動部を有している。この場合の配管角度θ3は、上記の試験結果のとおり、5°乃至7°が許容範囲である。
【0079】
また、第一実施形態における押え部60が第二実施形態では設けていない点も相違する。つまり、第二実施形態では熱媒配管40の過度の変位を制限するストッパー機能を有していないことになるが、熱媒配管40とジョイント部13(14)が接続することでストッパー機能を代替させ、または、熱媒配管のジョイント部との接続側と反対の接続部に、配管や硬質のホースを接続することで、ストッパー機能を代替させることもできる。これにより、部品点数が少ない構成とし簡略化させた形態としている。このような第二実施形態においても熱媒配管40は、水平方向を維持して垂直上下方向、軸方向、回転方向などの360度のいずれのズレにおいても、ジョイント部13(14)の熱媒配管40が接続可能な嵌入孔13a(14a)の位置に適応して熱媒配管40が変位される全ての動きについて変位は可能である。
【0080】
したがって、簡単な構成により設備のコストダウンが可能とし、また、押え部60がないことから熱媒配管の着脱が容易にでき、設備の分解洗浄時等のメンテナンス性が高くなる。
【0081】
[第三実施形態の熱媒配管]
本実施形態は、
図7に示すように、ケーシング2の側板部3の貫通孔3a(3b)に熱媒配管40を挿入して、第1フランジ50と第2フランジ56とでケーシング2を挟んで、これら第1ボルト52で締結している構成は、第一実施形態と同じである。
また、シール手段において、第1フランジ50とケーシング2との間にOリング55を備えている点、第1フランジ50と熱媒配管40との間にOリング65を備えている点、当該熱媒配管40とジョイント部13(14)との接続部分にもOリング42を備えている点でも、第一実施形態と同じ態様である。
【0082】
本実施形態では、第一実施形態における押え部60が第二実施形態と同様に設けていない点も相違する。つまり、本実施形態でも熱媒配管40の過度の変位を制限するストッパー機能を有していないことになるが、熱媒配管40とジョイント部13(14)が接続することでストッパー機能を代替させ、または、熱媒配管のジョイント部との接続側と反対の接続部に、配管や硬質のホースを接続することで、ストッパー機能を代替させることもできる。これにより、部品点数が少ない構成とし簡略化させた形態としている。このような本実施形態においても、熱媒配管40は、水平方向L維持のまま鉛直方向Hの上側下側、軸方向(水平方向L)、回転方向などにおいても、ジョイント部13(14)の熱媒配管40が接続可能な嵌入孔13a(14a)の位置に適応して熱媒配管40がいずれにも変位は可能である。以下、
図7を用いて、これらの変位について説明をする。
【0083】
図7(a)は、ケーシング2に対して熱媒配管40が変位前の中立位置の状態を示す、
図8(b)は、熱媒配管40をケーシング2の側板部3に対して鉛直方向Hの上側に向けてやや移動させた後、第1フランジ50と第2フランジ56で熱媒配管40をケーシング2に固定するとともに、熱媒配管40の先端を鉛直方向Hの下側にθ5だけ下げている。また、
図8(c)は、熱媒配管40をケーシング2の側板部3に対して鉛直方向Hの下側に向けてやや移動させた後、第1フランジ50と第2フランジ56で熱媒配管40をケーシング2に固定するとともに、熱媒配管40の先端を鉛直方向Hの上側にθ6だけ上げている。この場合の配管角度θ5、θ6は、上記の試験結果のとおり、5°乃至7°が許容範囲である。
また、軸方向、回転方向にもいずれにも制限することも無いことからこれらの変位は可能である。
【0084】
以上の説明のとおり、熱媒配管40のシール溝にOリングが装着されたシール手段を有した状態で、ケーシング2に熱媒配管40を組み立てるだけで、各部品の製作精度や組付け精度を高める必要が無いため、設備のコストダウンが可能である。また、押え部60がないことから、さらに熱媒配管40の着脱が容易のため、乾燥装置の分解洗浄時等のメンテナンス性が高くなる。また、伸縮継手等の高価な部品を設置する必要が無いため、設備のコストダウンが可能である。
【0085】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形や変更が可能である。
【0086】
[乾燥装置のブレードの他の実施形態]
図3に示す実施の形態では、ブレード部は腕部の長さ方向に所定長さをもって形成された長尺ブレード状のものを説明したが、ここでは、短冊状のブレード部を組み込んでなる他の実施の一形態について
図9及び
図10により以下に説明する。
【0087】
図9及び
図10で示す実施の形態におけるブレード部181は、複数個の短尺状(短冊状)ブレード181a……からなるものを想定している。本実施形態では、複数個の短冊状ブレード部181a……が、所定の間隔を空けてかつ所定の傾斜角度をもって腕部180に配設されている。短冊状ブレード部181aは、平板四角形状に形成されており、乾燥板部11上に配設されている。
また、本実施形態では、短冊状ブレード部181aは、腕部180に対して着脱可能で、かつ配設傾斜角度も調節可能である。
【0088】
例えば、第一の掻き取り誘導部18a、第三の掻き取り誘導部18c、及び第五の掻き取り誘導部18eの各短冊状ブレード181aは、一端側を腕部180に取り付けると共に、他端側を乾燥板部10aの外径方向に向けて傾斜状となるように配設している。
具体的には、第一の掻き取り誘導部18a、第三の掻き取り誘導部18c、及び第五の掻き取り誘導部18eのそれぞれの腕部180と、それぞれの短冊状ブレード部181aの掻き取り面181bとで交差して形成される角度a1が鋭角となるように傾斜状に配設されている(
図11(a)参照。)。なお、図中矢印R2は、第一の掻き取り誘導部18a、第三の掻き取り誘導部18c、及び第五の掻き取り誘導部18eの各短冊状ブレード181aの回転方向を示す。
【0089】
また、例えば、第二の掻き取り誘導部18b、第四の掻き取り誘導部18d、及び第六の掻き取り誘導部18fの各短冊状ブレード181aは、一端側を腕部180に取り付けると共に、他端側を乾燥板部10aの内径方向に向けて傾斜状となるように配設している。
具体的には、第二の掻き取り誘導部18b、第四の掻き取り誘導部18d、及び第六の掻き取り誘導部18fのそれぞれの腕部180と、それぞれの短冊状ブレード部181aの掻き取り面181bとで交差して形成される角度a2が鋭角となるように傾斜状に配設されている(
図11(b)参照。)。なお、図中矢印R2は、第二の掻き取り誘導部18b、第四の掻き取り誘導部18d、及び第六の掻き取り誘導部18fの各短冊状ブレード181aの回転方向を示す。
【0090】
本件他の実施形態における作動は、上記実施形態と同様で、すなわち、第一乾燥部10aの乾燥板部11上に分散して落下した乾燥媒体は、所定温度の加熱状態の乾燥板部11上(伝熱面上)で乾燥処理されつつ、回転板部20と同期して回転動作している第一の掻き取り誘導部18a・18a・18a・18aの各短冊状ブレード181aの掻き取り面181bに沿って、乾燥板部11の外径方向に順次誘導案内され、乾燥板部11の外径側から、下方に位置する第二乾燥部10bの乾燥板部11上へと落下する(
図9、
図10及び
図11(a)参照。)。
そして、第二乾燥部10bの乾燥板部11上へと落下した乾燥媒体は、次に第二の掻き取り誘導部18b・18b・18b・18bの各短冊状ブレード部181aの掻き取り面181bに沿って、乾燥板部11の内径方向に順次誘導案内され、乾燥板部11の内径側の乾燥媒体落下孔部110(
図9参照。)を介して下方に位置する第三乾燥部10cの乾燥板部11上へと落下する(
図9、
図10及び
図11(b)参照。)。この作動を第三乾燥部10cから第六乾燥部10fまで交互に繰り返していき、第六乾燥部10fの乾燥媒体落下孔部110からシューター17、排出部6を介して乾燥処理済みの乾燥媒体を装置外方へと案内する(
図9参照。)。
なお、短冊状ブレード部181aの形状、配設枚数、あるいは配設間隔や傾斜角度などは仕様に応じて本発明の範囲内で設計変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の乾燥装置は、その乾燥対象物が活性炭、硫黄、炭酸アンモニウム、リグニン硫酸塩、合成樹脂、プラスティック粉末、ナイロン、ABS樹脂、農薬原料などの化学系原料、医薬品、砂糖、酵母、クエン酸等の食品にも広く利用可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 枠部
2 ケーシング
3 側板部
3a 貫通孔
3b 貫通孔
4 天板部
5 底板部
6 排出部
7 柱部
8 主軸
9 駆動部
10 乾燥部
11 乾燥板部
12 熱媒収容部
13 ジョイント部(流入)
13a 嵌入孔
14 ジョイント部(排出)
14a 嵌入孔
18 掻き取り誘導部
19 乾燥媒体分散部
40 熱媒配管
40a 先端外周領域
40b 中央外周領域
40c 後端外周領域
41 シール溝
42 Oリング(シール手段)
43 シール装着突部
44 シール溝
45 側壁
46 鍔部
47 周面部
48 周面部
49 上端面部
50 第1フランジ
51 配管摺接孔部
52 第1ボルト
53 連結孔部
54 環状シール溝
55 Oリング(シール手段)
56 第2フランジ
57 配管遊挿孔部
58 連結孔部
59 第二連結孔部
60 押え部
61 端部
62 第二の配管遊挿孔部
63 第三連結孔部
64 熱媒配管保持部
65 Oリング(シール手段)
66 Oリング(シール手段)
67 シール溝
70 第2ボルト
80 可動部
90 円柱状部材
91 側壁
92 真空容器
93 Oリング(シール手段)
94 シール溝
180 腕部
181 ブレード部
H 鉛直方向
L 軸方向
Q 窪み領域
Q2 窪み領域
R 接続用の隙間R
S 鍔部収容領域
【手続補正書】
【提出日】2022-08-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング内にて鉛直方向で多段状に設置され、鉛直方向で上方から落下する乾燥媒体を、熱媒を介して加熱された乾燥部上にて乾燥させる乾燥装置であって、
前記乾燥部は、
第一乾燥部から第n乾燥部まで間隔をあけて多段に構成される乾燥板部と、
前記ケーシング外に配設した熱媒供給管から供給される熱媒によってそれぞれの乾燥板部全域に熱伝達されるように、それぞれの乾燥板部の下面に熱媒収容部と、を備え、
さらに、
前記ケーシングに設けられた貫通孔と、
前記熱媒収容部と連通して備えられたジョイント部と、
前記貫通孔を介して挿入され、前記ジョイント部に接続して熱媒を流す熱媒配管と、
前記貫通孔位置で前記熱媒配管を挿通すると共に、前記ケーシングを内外から挟持して取り付ける第1フランジ及び第2フランジとからなる熱媒配管保持部と、を含み、
前記熱媒配管は、前記熱媒の流路で一本の略筒状に形成され、
前記第1フランジは、前記熱媒配管の外周面が摺接する配管摺接孔部を有すると共に、前記配管摺接孔部と前記熱媒配管の外周面との摺接領域には、Oリングからなるシール手段を持つ可動部を備えており、
前記第2フランジは、前記熱媒配管の外径よりも大径の内周面を有することにより、前記熱媒配管の外周面との間に隙間を形成すると共に、前記貫通孔を挿通して第1フランジとボルト連結することで前記ケーシングに締結調整する第一締結部を有し、
前記第1フランジと前記第2フランジとは、前記第一締結部を緩めて前記熱媒配管の鉛直方向の位置を上下に変位可能な第一変位機構を有し、
前記第2フランジは、前記第一締結部を締めて前記熱媒配管の上下位置を調整した後であっても、前記ジョイント部の位置変化に適応して前記熱媒配管の位置を変化可能な第二変化機構を有することを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
前記乾燥板部は、それぞれの板部の外径が、直近の下方の板部の外径と比して、小径状、大径状と交互になるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記ケーシングの内面側には、前記貫通孔を囲むようにして、前記貫通孔よりも大径に形成された窪み領域が形成されており、
前記窪み領域の内径をD1、前記第1フランジの外径をD2とした時に、
D1>D2の関係を有し、
前記D1とD2との差分の範囲において、前記熱媒配管の鉛直方向の変位が可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記第2フランジに締結固定される押え部と、
前記押え部の内面と前記第2フランジの外面との間で周方向に連続して形成される環状の鍔部収容領域内に収容される環状の鍔部と、
前記鍔部は、前記熱媒配管の外径周方向に連続して突設され、
前記鍔部収容領域内で、
前記ジョイント部の嵌入孔の位置に適応して前記鍔部が変位可能とされ、
さらに、前記鍔部が、前記第2フランジ又は前記押え部と当接することで前記熱媒配管の可動が制限されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記熱媒配管の先端部分が前記ジョイント部に嵌入される接合部分には、
前記熱媒配管と前記ジョイント部とをシールするOリングが少なくとも一つ以上が設けられ、
前記熱媒配管の先端が前記ジョイント部の受口の奥までは突き当らない隙間が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項6】
乾燥対象物を乾燥するためにケーシング内に設置された乾燥部のジョイント部に熱媒を流す熱媒配管を挿入する乾燥装置の熱媒配管の変位適応方法であって、
前記ケーシング内部側の第1フランジと前記ケーシング外部側の第2フランジとが落下しない程度に前記ケーシングに取り付けられる仮締のステップと、
前記熱媒配管が前記ジョイント部の嵌入孔の位置に適応して、前記第1フランジが前記ケーシングの側板部に沿って鉛直方向上下に変位するに伴い前記熱媒配管全体が変位して前記熱媒配管がジョイント部の嵌入孔へと挿入されるステップと、
前記第1フランジと前記第2フランジが前記ケーシングに組付け固定のための増締めされるステップと、
前記の増締めされたステップ後においても、前記熱媒配管が前記ジョイント部と接続嵌入孔の変位に適応して、前記熱媒配管の外周面との間に隙間と前記熱媒配管の外径周方向にOリングからなるシール手段を持つ可動部とにより変位可能に適応されるステップとからなることを特徴とする乾燥装置の熱媒配管の変位適応方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
前記課題の目的を達成する第一の発明は、ケーシング内にて鉛直方向で多段状に設置され、鉛直方向で上方から落下する乾燥媒体を、熱媒を介して加熱された乾燥部上にて乾燥させる乾燥装置であって、
前記乾燥部は、
第一乾燥部から第n乾燥部まで間隔をあけて多段に構成される乾燥板部と、
前記ケーシング外に配設した熱媒供給管から供給される熱媒によってそれぞれの乾燥板部全域に熱伝達されるように、それぞれの乾燥板部の下面に熱媒収容部と、を備え、
さらに、
前記ケーシングに設けられた貫通孔と、
前記熱媒収容部と連通して備えられたジョイント部と、
前記貫通孔を介して挿入され、前記ジョイント部に接続して熱媒を流す熱媒配管と、
前記貫通孔位置で前記熱媒配管を挿通すると共に、前記ケーシングを内外から挟持して取り付ける第1フランジ及び第2フランジとからなる熱媒配管保持部と、を含み、
前記熱媒配管は、前記熱媒の流路で一本の略筒状に形成され、
前記第1フランジは、前記熱媒配管の外周面が摺接する配管摺接孔部を有すると共に、前記配管摺接孔部と前記熱媒配管の外周面との摺接領域には、Oリングからなるシール手段を持つ可動部を備えており、
前記第2フランジは、前記熱媒配管の外径よりも大径の内周面を有することにより、前記熱媒配管の外周面との間に隙間を形成すると共に、前記貫通孔を挿通して第1フランジとボルト連結することで前記ケーシングに締結調整する第一締結部を有し、
前記第1フランジと前記第2フランジとは、前記第一締結部を緩めて前記熱媒配管の鉛直方向の位置を上下に変位可能な第一変位機構を有し、
前記第2フランジは、前記第一締結部を締めて前記熱媒配管の上下位置を調整した後であっても、前記ジョイント部の位置変化に適応して前記熱媒配管の位置を変化可能な第二変化機構を有することを特徴とする。
第二の発明は、第一の発明において、前記乾燥板部は、それぞれの板部の外径が、直近の下方の板部の外径と比して、小径状、大径状と交互になるように構成されていることを特徴とする。
第三の発明は、第一の発明又は第二の発明において、前記ケーシングの内面側には、前記貫通孔を囲むようにして、前記貫通孔よりも大径に形成された窪み領域が形成されており、
前記窪み領域の内径をD1、前記第1フランジの外径をD2とした時に、
D1>D2の関係を有し、
前記D1とD2との差分の範囲において、前記熱媒配管の鉛直方向の変位が可能であることを特徴とする。
第四の発明は、第一の発明乃至第三の発明のいずれかにおいて、前記第2フランジに締結固定される押え部と、
前記押え部の内面と前記第2フランジの外面との間で周方向に連続して形成される環状の鍔部収容領域内に収容される環状の鍔部と、
前記鍔部は、前記熱媒配管の外径周方向に連続して突設され、
前記鍔部収容領域内で、
前記ジョイント部の嵌入孔の位置に適応して前記鍔部が変位可能とされ、
さらに、前記鍔部が、前記第2フランジ又は前記押え部と当接することで前記熱媒配管の可動が制限されることを特徴とする。
第五の発明は、第一の発明乃至第四の発明のいずれかにおいて、前記熱媒配管の先端部分が前記ジョイント部に嵌入される接合部分には、
前記熱媒配管と前記ジョイント部とをシールするOリングが少なくとも一つ以上が設けられ、
前記熱媒配管の先端が前記ジョイント部の受口の奥までは突き当らない隙間が設けられていることを特徴とする。
第六の発明は、乾燥対象物を乾燥するためにケーシング内に設置された乾燥部のジョイント部に熱媒を流す熱媒配管を挿入する乾燥装置の熱媒配管の変位適応方法であって、
前記ケーシング内部側の第1フランジと前記ケーシング外部側の第2フランジとが落下しない程度に前記ケーシングに取り付けられる仮締のステップと、
前記熱媒配管が前記ジョイント部の嵌入孔の位置に適応して、前記第1フランジが前記ケーシングの側板部に沿って鉛直方向上下に変位するに伴い前記熱媒配管全体が変位して前記熱媒配管がジョイント部の嵌入孔へと挿入されるステップと、
前記第1フランジと前記第2フランジが前記ケーシングに組付け固定のための増締めされるステップと、
前記の増締めされたステップ後においても、前記熱媒配管が前記ジョイント部と接続嵌入孔の変位に適応して、前記熱媒配管の外周面との間に隙間と前記熱媒配管の外径周方向にOリングからなるシール手段を持つ可動部とにより変位可能に適応されるステップとからなることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
これにより、熱媒配管40とジョイント部13(14)との接続部分における気密性が保たれる。
また、ジョイント部13(14)と熱媒配管40のシール溝41は、ボルト等で固定されるのではなく、熱媒配管40と接続が可能なように、熱媒配管40と外周にはOリングが複数個備えられているが(本実施形態では、3個のシール溝41にOリングが装着)、これに限定されない。例えば、ジョイント部13(14)側の接合部分との長さに対応して、熱媒配管40のシール溝41とOリングを1個、2個或いは4個以上としても構わない。