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  • 特開-車両監視システム 図1
  • 特開-車両監視システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127165
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】車両監視システム
(51)【国際特許分類】
   B61D 37/00 20060101AFI20230906BHJP
   B61L 23/00 20060101ALI20230906BHJP
   B61K 13/04 20060101ALI20230906BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20230906BHJP
【FI】
B61D37/00 G
B61L23/00 Z
B61K13/04
H04N5/232 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030776
(22)【出願日】2022-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】520445439
【氏名又は名称】株式会社MCS
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100194777
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 憲治
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 拓史
【テーマコード(参考)】
5C122
5H161
【Fターム(参考)】
5C122DA11
5C122FA18
5C122GC09
5C122GC19
5C122GC52
5C122GE07
5H161AA01
5H161MM11
5H161NN10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】車両内、特に鉄道車両内において、カメラによって撮影された画像の通信費を軽減することができる車両監視システムを提供する。
【解決手段】車両監視システムは、各々の車両10に設置される複数のカメラ付きLED照明装置2と、各々の車両10に設置され、複数のカメラ付きLED照明装置2と短距離無線通信により接続されるルータ3、ルータ3と遠距離無線通信により接続される外部サーバとを備えている。ルータ3は、追加のLED照明装置に取付けられている。カメラ付きLED照明装置2で撮影された画像は、同じ車両10に設置されたルータ3に短距離無線通信を介して送信され、ルータ3から遠距離無線通信を介して外部サーバに送信される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両を連結した列車で用いられる車両監視システムであって、
各々の車両に設置される複数のカメラ付きLED照明装置と、
各々の車両に設置され、前記複数のカメラ付きLED照明装置と短距離無線通信により接続されるルータと、
前記ルータと遠距離無線通信により接続される外部サーバとを備える、車両監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両監視システムであって、さらに、
各々の車両に設置される追加のLED照明装置を備え、
前記ルータは、前記追加のLED照明装置に取付けられる、車両監視システム。
【請求項3】
請求項2に記載の車両監視システムであって、
前記複数のカメラ付きLED照明装置は各々、カメラ収容部を有し、
前記追加のLED照明装置は、ルータ収容部を有し、
前記カメラ収容部の奥行き寸法と前記ルータ収容部の奥行き寸法との差は、5cm以内である、車両監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、主として複数の鉄道車両を連結した列車内で用いられる車両監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄道車両内において、犯罪及びトラブルの発生の抑制、並びに、犯罪及びトラブルの早期発見及び正確な状況把握を目的として、鉄道車両内に監視カメラが設置される傾向にある。
【0003】
特許第6654767号公報(特許文献1)は、LED照明システムを開示している。LED照明システムは、LEDが組み込まれた照明部と、照明部の周りの外部情報をリアルタイムで取得する外部情報取得部(撮像部)及び外部情報を解析サーバに送信する無線通信部を有する機能部と、を備えている。
【0004】
特許第6868290号公報(特許文献2)は、照明範囲監視・警報システムを開示している。照明範囲監視・及び警報システムは、小型カメラを備えた多機能LEDランプとホストコンピュータ・端末装置を備えている。小型カメラによって撮影された画像は、直接的に通信ネットワークを介して多機能LEDランプからホストコンピュータ・端末装置に送信されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6654767号公報
【特許文献2】特許第6868290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のLED照明システムは、複数の機能部から解析サーバに直接的に外部情報を送信している。無線通信部は、例えば、LTE(登録商標)を通信方式としたものを用いている。そのため、LED照明システムは、通信費が増大するという問題があった。
【0007】
また、特許文献2の照明範囲監視・警報システムは、小型カメラによって撮影された画像を多機能LEDランプからホストコンピュータ・端末装置に直接的に送信している。そのため、照明範囲監視・警報システムは、通信費が増大するという問題があった。
【0008】
そこで、本開示は、車両内、特に鉄道車両内において、カメラによって撮影された画像(静止画像及び動画像を含む。以下、同じ。)の通信費を軽減することができる車両監視システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本開示は次のように構成した。すなわち、本開示に係る車両監視システムは、複数の車両を連結した列車に用いられる車両監視システムであってよい。各々の車両に設置される複数のカメラ付きLED照明装置と、各々の車両に設置され、複数のカメラ付きLED照明装置と短距離無線通信により接続されるルータと、ルータと遠距離無線通信により接続される外部サーバとを備えてよい。
【0010】
これにより、車両監視システムは、カメラ付きLED照明装置で撮影された画像を、同じ車両に設置されたルータに短距離無線通信を介して送信し、ルータから遠距離無線通信を介して外部サーバに送信するため、通信費を軽減することができる。
【0011】
車両監視システムは、さらに、各々の車両に設置される追加のLED照明装置を備えてよい。ルータは、追加のLED照明装置に取付けられてよい。車両内において、ルータを設置するスペースはそれほどない。追加のLED照明装置にルータを取付けることにより、通信費を軽減しながら、車両内のスペースを有効活用することができ、かつ、外観的な違和感を乗客に抱かせにくい。
【0012】
複数のカメラ付きLED照明装置は各々、カメラ収容部を有してよい。追加のLED照明装置は、ルータ収容部を有してよい。カメラ収容部の奥行き寸法とルータ収容部の奥行き寸法との差は、5cm以内であってよい。これにより、さらに外観的な違和感を乗客に抱かせることなくルータを取付けることができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示の車両監視システムによれば、通信費を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本実施形態に係る車両監視システムのブロック図である。
図2図2は、車両内におけるカメラ付きLED照明装置及びルータの配置状態を示す模式図である。
図3図3は、カメラ付きLED照明装置の外観斜視図である。
図4図4は、ルータ及びLED照明装置の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示に係る本実施形態の車両監視システム1について、図1~4を用いて具体的に説明する。図1に示すように、車両監視システム1は、列車100を構成する各々の車両10に設置された複数のカメラ付きLED照明装置2と、各々の車両に設置されるルータ3、外部サーバ4と、端末5とを備える。
【0016】
車両10は、鉄道車両である。列車100は、車両10を連結することにより構成される。
【0017】
カメラ付きLED照明装置2は、図2に示すように、各々の車両の天井に複数並設される。カメラ付きLED照明装置2は、カメラ21と、LED直管ランプ22とを有する。カメラ21は、LED直管ランプ22の一方の端部に設けられる。カメラ21は、LED直管ランプ22の軸心に直交する方向に向かって撮影する。撮影された画像は、短距離無線通信6を介してルータへ送信される。複数のカメラ付きLED照明装置2は、各々を識別するための識別情報が与えられる。例えば、列車100の先頭車両10であれば、進行方向Aの前方から順に、「カメラ1-1」、「カメラ1-2」、「カメラ1-3」、「カメラ1-4」という識別番号が付与される。また、先頭から2両目の車両であれば、進行方向Aの前方から順に、「カメラ2-1」「カメラ2-2」「カメラ2-3」「2-4」という識別番号が付与される。このように、複数のカメラ付きLED照明装置2は、車両10ごとに分類されている。なお、カメラ21は、図3を参照して、LED直管ランプ22の軸心の周方向に回転自在に取り付けられる。
【0018】
短距離無線通信6は、例えば、wifi(登録商標)である。短距離無線通信6は、wifiに限られるものではなく、車両10内に設置されたカメラ付きLED照明装置2とルータ3とを接続できれば、特に限定されるものではない。
【0019】
ルータ3は、各々の車両10に1つ設置される。図2に示すように、ルータ3は、追加のLED照明装置8に取付けられる。言い換えれば、ルータ付きLED照明装置である。ルータ3は、車両10の進行方向Aの前方及び後方の壁面内部等、カメラ付きLED照明装置2と短距離無線通信6より接続できれば車両10のいずれに設置されてもよい。ただし、車両10においてルータ3を設置できるスペースは限られている。すなわち、車両10の壁面内部にはそれほどスペースがなく、また、車両10の壁面から車両10内部に突出するようにルータ3を設置すると乗客の邪魔になる。そのため、ルータ3は、追加のLED照明装置8に取付けられるのがよい。ルータ3は、カメラ付きLED照明装置2から受信した画像を遠距離無線通信7を介して外部サーバ4に送信する。
【0020】
遠距離無線通信7は、例えば、LTEである。遠距離無線通信7は、LTEに限定されるものではなく、外部サーバ4とインターネット接続できれば特に限定されるものではない。
【0021】
外部サーバ4は、車両10の外部に設置される。図示しない記憶部を有する。ルータ3から送信された画像を受信し、記憶部に記憶する。外部サーバ4に記憶された画像は、各々の端末5に送信される。
【0022】
端末5は、例えば、スマートフォン等の移動携帯端末又はパソコン等である。端末5は、図示しない表示部を有する。外部サーバ4から送られてきた画像は、端末5の表示部に表示される。これにより、端末5の利用者(車両監視システム1の利用者)は、カメラ21により撮影された画像を確認することができる。利用者は、端末5にダウンロードした専用アプリ又はブラウザを用いて、複数のカメラ付きLED照明装置2のうち所望のカメラ付きLED照明装置2に対して画像を要求する。所望のカメラ付きLED照明装置2は、上述の識別情報により識別される。端末5は、所望のカメラ付きLED照明装置2からルータ3及び外部サーバ4を介して所望の画像を受け取り、画像を表示部に表示させる。
【0023】
このように、カメラ付きLED照明装置2とルータ3とを短距離無線通信6により接続し、かつ、ルータ3と外部サーバ4とを遠距離無線通信7により接続したことにより、各々のカメラ付きLED照明装置2と外部サーバ4とを直接的に遠距離無線通信7により接続するのに比べて通信費を軽減することができる。
【0024】
また、図2に示すように、ルータ3を追加のLED照明装置8に取付けたことにより、車両10内のスペースを有効活用でき、他のカメラ付きLED照明装置2又はLED照明装置8と外観的な違和感を乗客に抱かせることなく、ルータ3を車両10内に設置することができる。
【0025】
図2に示すように、車両10は、車両10の進行方向Aの前方及び後方の少なくともいずれか一方の設けられる連結部11と、車両10の進行方向Aの左右に設けられる複数の座席12と、車両10の進行方向Aの左右に設けられる複数のドア13と、カメラ付きLED照明装置2と、ルータ3と、追加のLED照明装置8とを備える。なお、車両10内の複数の破線矢印は、短距離無線通信6を示す。
【0026】
カメラ付きLED照明装置2及び追加のLED照明装置8は、車両10の進行方向Aに沿って左右に一対ずつ並設される。カメラ付きLED照明装置2は、各々のドア13の近傍において、車両10の進行方向Aにおいて左右交互に設置されている。これにより、車両10内を比較的広い範囲を効率的に撮影できるだけでなく、犯罪及びドラブル等が生じ易いドア13の周辺を効果的に撮影することができる。
【0027】
ルータ3は、追加のLED照明装置8に取付けられている。ルータ3は、進行方向Aに沿って並設された追加のLED照明装置8のうち、進行方向Aの中央近傍に位置する追加のLED照明装置8に取付けられる。これにより、短距離無線通信6によるカメラ付きLED照明装置2とルータ3との接続が安定する。
【0028】
図3に示すように、カメラ付きLED照明装置2は、カメラ21を収容するカメラ収容部23を有する。カメラ収容部23は、LED直管ランプ22の一方の端部に設けられる。カメラ収容部23は、カメラ21の他、図示しない回路基板及び配線等を収容している。カメラ収容部23は、撮影方向に向かってカメラレンズ211を露出させている。カメラ収容部23は、奥行き寸法W1を有する。奥行き寸法W1は、カメラ収容部23において、LED直管ランプ22の軸心Cに直交する方向の最大寸法である。
【0029】
図4に示すように、ルータ3は、追加のLED照明装置8に取付けられている。追加のLED照明装置8は、LED直管ランプ81及びルータ3を収容するルータ収容部82を有する。ルータ収容部82は、LED直管ランプ81の一方の端部に設けられる。ルータ収容部82は、ルータ3の他、図示しない配線等を収容している。ルータ収容部82は、奥行き寸法W2を有する。奥行き寸法W2は、ルータ収容部82において、LED直管ランプ81の軸心Cに直交する方向の最大寸法である。
【0030】
奥行き寸法W1と奥行き寸法W2との差は、5cm以内である。これにより、車両10内において、より外観的な違和感を乗客に抱かせることなく、カメラ収容部23及びルータ収容部82を設置することができる。なお、奥行き寸法W1と奥行き寸法W2との差は、好ましくは3cm以内、より好ましくは、1cm以内とするのがよい。
【0031】
本開示の車両監視システム1は、鉄道車両に限られず、バス又はモノレール等、多数の乗客を乗せる種々の車両において利用することができる。
【0032】
以上、実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 車両監視システム
2 カメラ付きLED照明装置
21 カメラ
22 LED直管ランプ
23 カメラ収容部
3 ルータ
4 外部サーバ
5 端末
6 短距離無線通信
7 遠距離無線通信
8 LED照明装置
81 LED直管ランプ
82 ルータ収容部
10 車両
100 列車
図1
図2
図3
図4