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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127166
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】壁紙糊付機
(51)【国際特許分類】
   B44C 7/04 20060101AFI20230906BHJP
   B05C 1/08 20060101ALI20230906BHJP
   E04F 21/18 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
B44C7/04
B05C1/08
E04F21/18 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030777
(22)【出願日】2022-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000163121
【氏名又は名称】極東産機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉田 哲士
【テーマコード(参考)】
4F040
【Fターム(参考)】
4F040AA22
4F040AB01
4F040AC01
4F040BA25
4F040CB22
4F040CB36
(57)【要約】
【課題】
糊付けローラーとドクターローラーとの隙間で絞られた剰糊が糊箱の外へ垂れ落ちないこと。作業者が糊箱を装着した時に、糊上げローラーを糊付けローラーに所定の隙間をあけて確実に定置できること。糊の流動により、糊上げローラーを境に生じる糊の液面の上昇を少なくすること。
【解決手段】
糊箱の側面板に、糊箱の側面板の上辺を外側に膨らませた形状の糊受け部を設け、糊箱が壁紙糊付機の本体に装着された時に、糊受け部がドクターローラーの軸と糊付けローラーの軸の下方に配置され、糊受け部が、ドクターローラーの軸と糊付けローラーの軸から垂れ落ちる糊を受け止め、糊箱に回収する。

【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糊箱に貯留した糊を糊上げローラーにより汲み上げ、
ドクターローラーと糊付けローラーの隙間により定めた厚みの糊を壁紙に塗布する壁紙糊付機であって、
前記糊箱の側面板に、前記糊箱の側面板の上辺を外側に膨らませた形状の糊受け部を設け、
前記糊箱が壁紙糊付機の本体に装着された時に、前記糊受け部が前記ドクターローラーの軸と前記糊付けローラーの軸の下方に配置され、
前記糊受け部が、前記ドクターローラーの軸と前記糊付けローラーの軸から垂れ落ちる糊を受け止め、前記糊箱に回収することを特徴とする壁紙糊付機。
【請求項2】
本体部に装着した糊箱に貯留した糊を糊上げローラーにより汲み上げ、
ドクターローラーと糊付けローラーの隙間により定めた厚みの糊を壁紙に塗布する壁紙糊付機であって、
前記本体部に、下り勾配傾斜面と、登り勾配傾斜面を有するガイドレールを設け、
前記糊箱の側板に、前記糊箱を所定の位置に定置するための位置決め用突起を設け、
前記糊箱の底板に、糊箱足を設け、
前記位置決め用突起が、前記ガイドレール下り勾配傾斜面に沿って下り、登り勾配傾斜面に沿って上ることにより、前記糊箱は糊付けローラーの下をくぐり抜け、
前記位置決め用突起が、前記ガイドレールの終端の登り勾配傾斜面に当接し、
前記糊箱足が前記本体部の下部ステーに当接することにより、前記糊箱を所定の位置に定置することを特徴とする壁紙糊付機。
【請求項3】
糊箱に貯留した糊を糊上げローラーにより汲み上げ、
ドクターローラーと糊付けローラーの隙間により定めた厚みの糊を壁紙に塗布する壁紙糊付機であって、
前記糊上げローラーは、第1糊上げローラーと第2糊上げローラーで構成され、
前記第2糊上げローラーは、前記第1糊上げローラーよりも直径が小さく、
前記第2糊上げローラーは、前記第1糊上げローラーの下方、かつ、第1糊上げローラーよりも後方に軸支され、
前記第2糊上げローラーは、前記第1糊上げローラーと反対の方向に、前記第1糊上げローラーよりも高速で回転することにより、
前記第1糊上げローラーの前に溜まっている糊を後方へ流動させ、前記第1糊上げローラーの前に溜まる糊の液面の上昇を抑えることを特徴とする壁紙糊付機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部屋の天井や壁面に所定の厚みで糊を塗布するための壁紙糊付機であり、詳しくは、糊箱に貯留した糊を有効に使うことができる糊箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のローラーにより壁紙を搬送して、壁紙の裏面に糊を塗布して、所定の長さの糊付き壁紙を得るための壁紙糊付機には、糊を貯留するための糊箱が装備されている。
糊箱の形状は、天面が解放された蓋のない略直方体の容器であり、内部に設けられた糊上げローラーが回転して糊を汲み上げ、本体部の糊付けローラーに糊を転写し、ドクターローラーと糊付けローラーの隙間により定められた厚みの糊が壁紙に塗布され、ドクターローラーと糊付けローラーの隙間を通過しなかった糊は垂れ落ちて再び貯留される。
また、糊箱は、糊付け作業が終わった時に、糊箱内部に残っている糊を別の容器に移し替えて、糊箱内部を洗浄するために、壁紙糊付機の本体部から簡単に取り外せる構造になっており、作業者が糊箱を出し入れする時に、少し斜めになった場合でも、糊箱が突っ張らないようにするために、糊箱側板と本体下部フレームとの間に所定の隙間が設けられて装着されている。
また、糊箱は簡単に脱着可能な構造であるが、本体部に装着された時には、糊箱に設けられている糊上げローラーを、本体部の糊付けローラーの下方に所定の隙間を設けて、確実に定置するための精度が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4696315号
【0004】
【特許文献2】特許第4280844号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような糊箱に関する課題は、糊箱に貯留した糊を有効に使うことができること。
糊箱に貯留した糊の量が少なくなった時に糊上げローラーに接触する圧力の減少などで汲み上げらないで残ってしまう糊を少なくすること(無効糊量の低減)。
糊付けローラーとドクターローラーとの隙間で絞られた糊が糊箱の外へ垂れ落ちないこと(無効糊量の低減)。
作業者が糊箱を装着した時に、糊上げローラーを糊付けローラーに所定の隙間をあけて確実に定置できること(無効糊量の低減)。
また、糊を汲み上げている最中の糊の流動により、糊上げローラーを境に生じる糊の液面の上昇を少なくして、糊が貯留できる量(貯留糊量)を増やし、
(貯留糊量)-(無効糊量)=(有効糊量)を増やすことが、更なる改善事項として要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
糊箱に貯留した糊を糊上げローラーにより汲み上げ、
ドクターローラーと糊付けローラーの隙間により定めた厚みの糊を壁紙に塗布する壁紙糊付機であって、
糊箱の側面板に、糊箱の側面板の上辺を外側に膨らませた形状の糊受け部を設け、
糊箱が壁紙糊付機の本体に装着された時に、糊受け部がドクターローラーの軸と糊付けローラーの軸の下方に配置され、
糊受け部が、ドクターローラーの軸と糊付けローラーの軸から垂れ落ちる糊を受け止め、糊箱に回収することを特徴とする。
【0007】
本体部に装着した糊箱に貯留した糊を糊上げローラーにより汲み上げ、
ドクターローラーと糊付けローラーの隙間により定めた厚みの糊を壁紙に塗布する壁紙糊付機であって、
本体部に、下り勾配傾斜面と、登り勾配傾斜面を有するガイドレールを設け、
糊箱の側板に、糊箱を所定の位置に定置するための位置決め用突起を設け、
糊箱の底板に、糊箱足を設け、
位置決め用突起がガイドレールの下り勾配傾斜面に沿って下り、登り勾配傾斜面に沿って上ることにより、糊箱は糊付けローラーの下をくぐり抜け、
位置決め用突起が、ガイドレールの終端の登り勾配傾斜面に当接し、
糊箱足が本体部の下部ステーに当接することにより、糊箱を所定の位置に定置することを特徴とする。
【0008】
糊箱に貯留した糊を糊上げローラーにより汲み上げ、
ドクターローラーと糊付けローラーの隙間により定めた厚みの糊を壁紙に塗布する壁紙糊付機であって、
糊上げローラーは、第1糊上げローラーと第2糊上げローラーで構成され、
第2糊上げローラーは、第1糊上げローラーよりも直径が小さく、
第2糊上げローラーは、第1糊上げローラーの下方、かつ、第1糊上げローラーよりも後方に軸支され、
第2糊上げローラーは、第1糊上げローラーと反対の方向に、第1糊上げローラーよりも高速で回転することにより、
第1糊上げローラーの前に溜まっている糊を後方へ流動させ、第1糊上げローラーの前に溜まる糊の液面の上昇を抑えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
糊箱に貯留した糊を糊上げローラーにより汲み上げ、
ドクターローラーと糊付けローラーの隙間により定めた厚みの糊を壁紙に塗布する壁紙糊付機であって、
糊箱の側面板に、糊箱の側面板の上辺を外側に膨らませた形状の糊受け部を設け、
糊箱が壁紙糊付機の本体に装着された時に、糊受け部がドクターローラーの軸と糊付けローラーの軸の下方に配置され、
糊受け部が、ドクターローラーの軸と糊付けローラーの軸から垂れ落ちる糊を受け止め、糊箱に回収することを特徴とするので、
ドクターローラーの軸から垂れ落ちる糊と糊付けローラーの軸から垂れ落ちる糊は糊箱に貯留され、再び汲み上げられて糊付けローラーに転写され、壁紙に塗布されるので、無効糊量を少なくすることができる。
【0010】
本体部に装着した糊箱に貯留した糊を糊上げローラーにより汲み上げ、
ドクターローラーと糊付けローラーの隙間により定めた厚みの糊を壁紙に塗布する壁紙糊付機であって、
本体部に、下り勾配傾斜面と、登り勾配傾斜面を有するガイドレールを設け、
糊箱の側板に、糊箱を所定の位置に定置するための位置決め用突起を設け、
糊箱の底板に、糊箱足を設け、
位置決め用突起がガイドレールの下り勾配傾斜面に沿って下り、登り勾配傾斜面に沿って上ることにより、糊箱は糊付けローラーの下をくぐり抜け、
位置決め用突起が、ガイドレールの終端の登り勾配傾斜面に当接し、
糊箱足が本体部の下部ステーに当接することにより、糊箱を所定の位置に定置することを特徴とするので、
作業者が、糊箱を本体部に容易に装着することができ、糊箱を所定の位置に定置でき、糊上げローラーが汲み上げた糊を確実に糊付けローラーに転写することができるので、無効糊量を少なくすることができる。
【0011】
糊箱に貯留した糊を糊上げローラーにより汲み上げ、
ドクターローラーと糊付けローラーの隙間により定めた厚みの糊を壁紙に塗布する壁紙糊付機であって、
糊上げローラーは、第1糊上げローラーと第2糊上げローラーで構成され、
第2糊上げローラーは、第1糊上げローラーよりも直径が小さく、
第2糊上げローラーは、第1糊上げローラーの下方、かつ、第1糊上げローラーよりも後方に軸支され、
第2糊上げローラーは、第1糊上げローラーと反対の方向に、第1糊上げローラーよりも高速で回転することにより、
第1糊上げローラーの前に溜まっている糊を後方へ流動させ、第1糊上げローラーの前に溜まる糊の液面の上昇を抑えることを特徴とするので、
糊が溢れ難くなるので、糊箱に貯留できる貯留糊量を増やすことができ、有効糊量を増やすことができる。
また、糊が少なくなってきた時でも、糊が糊上げローラーに付着しやすくなるので、残留する無効糊量を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の壁紙糊付機の構成を説明するためのであり、図1(a)は正面図であり、図1(b)は側面図である。
図2図2は、本発明の壁紙糊付機の構成を説明するための断面図であり、図1(a)は糊箱を装着していない状態であり、図1(b)は糊箱を装着している状態である。
図3図3は、本発明の壁紙糊付機の機能ブロック図である。
図4図4は、本発明の壁紙糊付機の糊箱を説明するためのであり、図4(a)は糊箱の左側の上面図であり、図4(b)は糊箱の左側の側面図である。
図5図5は、本発明の壁紙糊付機の糊箱を説明するためのであり、図5(a)は糊箱の右側の上面図であり、図5(b)は糊箱の右側の側面図である。
図6図6は、本発明の壁紙糊付機の糊箱と本体下部フレームとの隙間を説明するための図であり、図6(a)は右側の上面図であり、図6(b)は右側の側面図である。
図7図7は、本発明の壁紙糊付機の糊箱の出し入れを説明するための図であり、図7(a)は装着の始めであり、図7(b)は移動の途中である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1図2を用いて本発明の壁紙糊付機(1)の構成を説明する。
図1(a)は正面図、 図1(b)は左から見た側面図、図2は、断面図である。
壁紙糊付機(1)は、本体部(1)と脚部(3)と制御装置(4)とスリッター(6)からなり、
本体部(2)は、左右一対の上部フレーム(6)を上部ステーで接続し、その間に複数のローラーが軸支されており、
上部フレーム(6)には、検尺ローラー(13)とハイテンションローラー(15)と押さえローラー(16)が軸支され、
左右一対の下部フレーム(7)を本体下部ステー(8)で接続し、その間に送り出しローラー(12)とドクターローラー(11)と糊付けローラー(10)とナラシローラー(17)が軸支されている(図2では、ドクターローラー(11)と糊付けローラー(10)以外のローラーの軸は省略している)。
【0014】
これらの複数のローラーのうち、送り出しローラー(12)とドクターローラー(11)と糊付けローラー(10)とナラシローラー(17)は、複数の歯車(図示せず)により、
モーター(47)の回転駆動が伝達されており、
検尺ローラー(13)とハイテンションローラー(15)と押さえローラー(16)は搬送される壁紙に従動して回転する。
【0015】
また、運搬用の取手(18)が左右一対設けられている。
【0016】
また、左側の下部フレーム(7)には、壁紙糊付機(1)を制御する制御装置(4)が装着されている。
【0017】
また、左右一対の下部フレーム(7)の間には、糊を貯留する為の糊箱(51)が脱着自在に装着されており、糊箱(51)に貯留された糊は第1糊上げローラー(57)により汲み上げられて糊付けローラー(10)に転写され、ドクターローラー(11)と糊付けローラー(10)の隙間によって定められた所定の厚みの糊が壁紙Aの裏面に塗布される。
【0018】
また、検尺ローラー(13)の軸端には検尺部(45)が設けられており、検尺ローラー(13)の回転に比例した検尺信号(46)が生成され、搬送した壁紙の長さが算出される。
【0019】
また、本体部(1)の後部(壁紙搬送の上流側)にはスリッター(5)が装着され、壁紙原反から引き出された壁紙Aの左右側縁部が切断される。
【0020】
また、制御装置(4)には、図3の機能ブロック図に示す機能が備わっている。
表示操作部(40)は、液晶表示器とLEDと複数のキースイッチからなり、作業者が設定した「設定糊付け長さ」や、作業者が設定した「設定枚数」や、糊付け実行速度などの作動条件や、補助機能の設定内容などを入出力するためのものである。
【0021】
モーター(47)はDCブラシレスモーターであり、内部に実装されたホール素子によりローターの位置を検出して回転方向と回転速度に比例した信号を出力する機能を有している。
【0022】
モーター制御部(44)はモーター(47)から出力される回転方向や回転速度に比例した信号によりモーター(47)を速度制御する。
【0023】
記憶部(42)は、演算部(43)が実行する複数の処理を記憶し、処理を実行する為に必要な変数や、作動条件などのデータや糊付実行レコード等のデーターを記憶するためのRAMとROMである。
【0024】
検尺部(45)は、搬送される壁紙に従動回転する検尺ローラー(13)の回転に比例する検尺信号(46)を生成する。
【0025】
インターフェイス部(48)は、制御装置(4)とは別体の装置とデーターを送受信するためのものである。
【0026】
演算部(43)は、主にワンチップマイコンからなり、予め定められたシーケンスを実行することにより、壁紙糊付機(1)を制御するものであり、
検尺部(35)により生成される検尺信号(46)を計数して搬送した壁紙Aの「実行糊付け長さ」を算出する。演算部(43)は、検尺信号(47)を1つ計数する毎に、第1のカウンタとしてのパラメータtを、t←t+1として加算し、「実行糊付け長さ」Lを、L=t×P、(Pは検尺信号(37)を1つ計数した場合の壁紙Aの移動距離(検尺ローラー(13)の直径に基づき定めている定数))として求める。
また、演算部(43)は、表示操作部(40)やモーター制御部(44)やインターフェイス部(48)などを制御する機能を有している。
【0027】
続いて、図4図5を用いて、糊箱(51)を説明する。
図4(a)は、糊箱(51)の左端の上面図であり、図4(b)は、左側面図であり、
図5(a)は、糊箱(51)の右端の上面図であり、図5(b)は、右側面図である。
図4では左側が糊箱(51)の後方であり、図5では右側が糊箱(51)の後方である。
糊箱(51)は本体部(51)に装着された時に、壁紙糊付機(1)の後側(壁紙原反側(壁紙搬送経路での上流))になる後面板(54)と正面側になる正面板(53)と、左右一対の側板(52)と 底板(55)からなる、上側が解放された箱型の容器であり、
【0028】
左右一対の側板(52)の外側の面には本体部(51)に装着された時に、糊上げローラー(詳細は後述)と糊付けローラー(10)の間を所定の隙間に設定して保持して装着するための位置決め用突起(61)と、出し入れを補助するための補助突起(62)が設けられている。位置決め用突起(61)は第1糊上げローラー軸(57a)よりも後方に設けられ、補助突起(62)は第1糊上げローラー軸(57a)よりも前方に設けらている。
また、 糊箱(51)の底板(55)の左右端には糊箱足(63)が設けられ、糊箱足(63)には段差部(63a)が設けられている。
【0029】
糊上げローラーについて説明する。貯留されている糊を汲み上げて糊付けローラー(10)に転写するための第1糊上げローラー(57)が、左右一対の側板(52)に設けられた第1糊上げローラー軸受(59)により軸支され、
糊を流動させるための第2糊上げローラー(58)が、左右一対の側板(52)に設けられた第2糊上げローラー軸受(60)により軸支されている。
第2糊上げローラー(58)は第1糊上げローラー(57)よりも下方(底板(55)側)、かつ、第1糊上げローラー(57)よりも後方(壁紙原反側(壁紙搬送経路での上流))に軸支されている(図4では左側が後方、図5では右側が後方)
また、第1糊上げローラー軸(57a)には第1糊上げローラー歯車(57b)取り付けられ、第2糊上げローラー軸(58a)には第2糊上げローラー歯車(58b)が取り付けられており、
本体部(2)の糊付けローラー(10)に設けられた歯車(図示せず)と噛合して回転する。
また、第2糊上げローラー(58)は、第1糊上げローラー(57)よりも直径が小さく、
、かつ、第1糊上げローラー(57)よりも高速で回転する。
第2糊上げローラー(58)は、第1糊上げローラー(57)とは反対の方向に回転する。
また、第2糊上げローラー(58)は第2糊上げローラー軸受(60)から脱着可能、
第1糊上げローラー(57)は第1糊上げローラー軸受(59)から脱着可能に軸支されている。
【0030】
また、糊箱(51)には、ドクターローラーの軸(11a)と糊付けローラーの軸(10a)から垂れ落ちる糊を受け止めるための糊受け部(56)が設けられている。
糊受け部(56)は、図4(a)と図5(a)に示すように、糊箱(51)の左右一対の側板(52)の側板上辺(52a)を外側に膨らませた形状(底板(55)よりも外側へ張り出した形状)で、膨んでいる部分は斜面を形成している(段差ではない)。
この糊受け部(56)の糊箱(51)の前後方向の幅は、側板前端(52b)と側板後端(52c)には至らず、中央付近のみが外側へ膨らんだ形状である。
また、糊受け部(56)の上下方向の深さは、底板(55)にまでは至っていない。
また、糊受け部(56)の膨らみは、糊箱(51)が本体部(2)に装着された時に、下部フレーム(7)に接触する位置までは膨らんでいない。
【0031】
本体部(2)には、糊箱(51)を脱着可能に装着するためのガイドレールが備えられている。図2(a)用いて説明する。
ガイドレールは、第1ガイドレール(30)と第2ガイドレール(31)が連なって1つのガイドレールとなっており、左右の下部フレーム(7)の内側にそれぞれ設けられている。
図2(a)は、本体部(2)の右側の下部フレーム(7)の内側であるが、左側の下部フレーム(7)も同様のガイドレールが設けられている。)
図2(a)では、右側が壁紙糊付機(1)の正面側であり、糊箱(51)は図2(a)の右側から左側に押し込まれて装着される。
【0032】
第1ガイドレール(30)と第2ガイドレール(31)の連なりにより形成された1本のガイドレールは、第1ガイドレール(30)のガイドレール起点(30a)から左方向へほぼ水平な道で、糊付けローラー(10)の下方は下り勾配の傾斜面(30b)となり、
ドクターローラー(11)を過ぎてから登り勾配の傾斜面(31a)となり、
第2ガイドレール(31)のガイドレール終点(31b)はほぼ垂直な斜面になっている。
糊箱(51)の側板(52)の位置決め用突起(61)が、この斜面に沿って滑って移動し、ガイドされ(案内され)、糊付けローラー(10)の下方をくぐり抜けて所定の位置にたどり着いて保持される。
このような方法により、糊箱(51)は、左右一対の下部フレーム(7)を本体下部ステー(8)で接続した空間に脱着可能に装着される。
【0033】
続いて、糊箱(51)を所定の位置に装着されている時の各部位と部位の接触状態を図2(b)用いて説明する。
ガイドレールに案内されながら押し込まれた糊箱(51)は、糊箱(51)の位置決め用突起(61)がガイドレール終点(31b)の斜面に当接し、糊箱(51)の糊箱足(63)の段差部(63a)が本体部(2)の本体下部ステー(8)の角に当接して、所定の位置に定置され保持される(以下では、この位置を糊付け位置と称する)。
糊付け位置では、糊箱(51)には、自重(糊を入れている時は糊の重さも加算される)による下方向への力が生じ、位置決め用突起(61)がガイドレール終点(31b)の斜面に当接していることによる前方向への力が生じ、前方向の力を本体下部ステー(8)が受け止めて、糊箱(51)は制止している。
また、糊付け位置では、糊箱(51)の補助突起(62)が、第1ガイドレール(30)の窪み部(30c)に軽く接触している。
【0034】
糊箱(51)を取り外す場合、作業者により、前方が持ち上げられれば、糊箱足(63)の段差部(63a)が本体下部ステー(8)から離れるので、糊箱(51)は前へ飛び出す。
【0035】
続いて、糊付け位置での、糊付けローラー(10)と第1糊上げローラー(57)の位置関係を説明する。
第1糊上げローラー(57)により汲み上げた糊を糊付けローラー(10)に適切な量で転写しなければ、余剰糊の量が増え、無効糊が増える原因になるので、糊付けローラー(10)の隙間が全幅に渡って適切な隙間になるように、組立担当者により、隙間ゲージ等を用いて微調整が行われる。
そのために、第2ガイドレール(31)は、丸穴(31d)を中心(支点)に、縦方向の長穴(31c)により上下方向に移動できるようになっており、
ガイドレール終点(31b)付近の斜面が位置決め用突起(61)に当接する位置を変化させることによって、
糊箱(51)が、糊箱足(63)の段差部(63a)を支点に上下に動いて、第1糊上げローラー(57)と糊付けローラー(10)の隙間が調整できる構造となっている。
また、当接位置の微調整が行われた後に、第2ガイドレール(31)が振動などで位置ずれしないようにするために、固定具(32)が横方向の長穴(32a)により、横方向に位置調整されて、第2ガイドレール(31)を支える構造となっている。
第1ガイドレール(30)と第2ガイドレール(31)と固定具(32)は、ネジ(図示せず)により固定される。
このように調整された後は、糊付け作業者により糊箱(51)が出し入れされた場合でも、第1糊上げローラー(57)は糊付けローラー(10)の下方に適切な隙間で配置される。
【0036】
続いて、図7を用いて糊箱(51)の出し入れを説明する。
作業者により、位置決め用突起(61)が第1ガイドレール(30)の上に乗せられて、押し込まれる(図7(a))。
【0037】
更に押し込まれると、位置決め用突起(61)は、下向きに傾斜している傾斜面(30b)に沿って下降し、糊箱(51)の後面板(54)と第1糊上げローラー(57)は、糊付けローラー(10)に接触することなく、糊付けローラー(10)をくぐり抜けて通過する(図7(b))。
【0038】
図7(b)の位置から更に押し込まれると、位置決め用突起(61)は、傾斜面(31a)に沿って上昇し、糊付け位置に移動する(図2(b))。
以上のように、位置決め用突起(61)が、下り勾配傾斜面である傾斜面(30b)に沿ってに下り、登り勾配傾斜面である傾斜面(31a)を登り、ガイドレールの終端であるガイドレール終点(31b)に当接し、糊箱足(63)が本体部(2)の本体下部ステー(8)に当接することにより、糊箱(51)はを所定の位置に定置される。
【0039】
糊付け実行途中で糊が無くなった場合は、作業者により、糊箱(51)の前方が持ち上げられると、位置決め用突起(61)は登り勾配傾斜面である傾斜面(31a)を下り、糊箱(51)は図7(b)の位置まで引き出されて糊が補充される。
【0040】
以上で説明した本発明の糊箱(51)は、第1ガイドレール(30)と第2ガイドレール(31)との組み合わせの作用により、出し入れの際には、糊付けローラー(10)に接触することなくくぐり抜けて通過して糊付け位置に到達し、
糊付け位置では、位置決め用突起(61)がガイドレール終点(31b)に当接し、
糊箱足(63)が本体下部ステー(8)に当接して、第1糊上げローラー(57)が、糊付けローラー(10)の下方に、所定の隙間を設けて、定置されるのもであり、作業者が気にすることなく糊箱(51)を装着した場合でも、確実に、糊を糊付けローラー(10)に転写できるので、無効糊の発生を防ぐことができる。
【0041】
続いて、糊箱(51)が本体部(2)に装着された時の糊受け部(56)の位置について
図6(a)と図6(b)と図2(b)を用いて説明する。
図6(a)は、隙間が判るようにするために、上部フレーム(6)とドクターローラー(11)と糊付けローラー(10)は図示していない。)。
【0042】
糊箱(51)と本体部(2)の隙間を上から見た場合(図6(a))、
糊受け部(56)の膨らみの前後方向の幅は、糊箱(51)の中央から前方への膨らみは側板前端(52b)までは至らず、かつ、中央から後方への膨らみは側板後端(52c)にも至っていないので、作業者が糊箱(51)を出し入れする時に、糊箱(51)が斜めになった場合でも突っ張って引っかかることがなく、容易に出し入れができる。
【0043】
隙間を前から見た場合(図6(b))、
側板上辺(52a)に設けられた糊受け部(56)の外側への膨らみ(開口部)が、
ドクターローラーの軸(11a)と糊付けローラーの軸(10a)の軸方向(ローラーの幅方向)の全て、下部フレーム(7)ぎりぎりまで受けるように配置されている。
【0044】
横から見た場合(図2(b))、
糊受け部(56)は、ドクターローラーの軸(11a)と糊付けローラーの軸(10a)の下方に配置され、側板上辺(52a)に設けられた糊受け部(56)の外側への膨らみ(開口部)の前後方向の幅は、ドクターローラーの軸(11a)と糊付けローラーの軸(10a)の距離よりも広く、膨らみの後方端はドクターローラーの軸(11a)よりも後ろで、かつ、膨らみの前方端は糊付けローラーの軸(10a)よりも前である。
【0045】
上記の配置により、糊受け部(56)の外側への膨らみ(斜面)は、ドクターローラーの軸(11a)と糊付けローラーの軸(10a)の下方に配置されるので、
ドクターローラーの軸(11a)から垂れ落ちる糊と糊付けローラーの軸(10a)から垂れ落ちる糊は、糊受け部(56)により受け止められ、糊受け部(56)の斜面を流れ落ちて糊箱(51)に再び貯留される。ドクターローラーの軸(11a)と糊付けローラーの軸(10a)から垂れ落ちた糊は、回収され再び汲み上げられて利用されるので無効糊の発生を防ぐことができる。
また、糊箱(51)の外側や脚部(3)への付着がなくなり、汚れが防止できる。
【0046】
続いて、糊箱(51)が糊付け位置に装着され、糊付けが実行されている時の糊上げローラーの作用を図2(b)を用いて説明する(図2(b)では左側が後方)。
図2(b)の方向から見た場合、第1糊上げローラー(57)は反時計回りに回転し、第2糊上げローラー(58)は時計回りに回転している。
第2糊上げローラー(58)は、第1糊上げローラー(57)の前に溜まっている糊を掻き寄せて、底板(55)と第1糊上げローラー(57)の隙間から後方へ流動させるので、
糊が少なくなった場合でも、糊が第1糊上げローラー(57)に付着しやすくなるので無効糊量を減少させることができる。
また、第1糊上げローラー(57)の前方に溜まる糊の液面の上昇を抑えることができ、糊が溢れ難くなるので、糊箱(51)に貯留する糊量を増やすことができ、有効糊量を増やすことができる。
【符号の説明】
【0047】
1 壁紙糊付機
2 本体部
3 脚部
4 制御装置
5 スリッター
6 上部フレーム
7 下部フレーム
8 本体下部ステー
9 脚部ステー
10 糊付けローラー
10a 糊付けローラーの軸
11 ドクターローラー
11a ドクターローラーの軸
12 送り出しローラー
13 検尺ローラー
15 ハイテンションローラー
16 押さえローラー
17 ナラシローラー
18 取手
19 原反受け
20 原反芯棒
21 サイド板
30 第1ガイドレール
30a ガイドレール起点
30b 傾斜面
30c 窪み部
31 第2ガイドレール
31a 傾斜面
31b ガイドレール終点
31c 長穴
31d 丸穴
32 固定具
32a 長穴
40 表示操作部
41 インターフェイス部
42 記憶部
43 演算部
44 モーター制御部
45 検尺部
46 検尺信号
47 モーター
51 糊箱
52 側板
52a側板上辺
52b側板前端
52c側板後端
53 正面板
54 後面板
55 底板
56 糊受け部
57 第1糊上げローラー
57a第1糊上げローラー軸
57b第1糊上げローラー歯車
58 第2糊上げローラー
58a 第2糊上げローラー軸
58b第2糊上げローラー歯車
59 第1糊上げローラー軸受
60 第2糊上げローラー軸受
61 位置決め用突起
62 補助突起
63 糊箱足
63a 段差部
A 壁紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7