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  • 特開-液体圧送装置のばね固定構造 図1
  • 特開-液体圧送装置のばね固定構造 図2
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  • 特開-液体圧送装置のばね固定構造 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127170
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】液体圧送装置のばね固定構造
(51)【国際特許分類】
   F16T 1/24 20060101AFI20230906BHJP
【FI】
F16T1/24
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030786
(22)【出願日】2022-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(72)【発明者】
【氏名】小西 謙悟
(57)【要約】
【課題】ばね部材の耐久性を向上させることができる液体圧送装置のばね固定構造を提供する。
【解決手段】液体圧送装置1は、容器2の内部に収納されて容器2内に貯留された液体Wの液位WLを検知するフロート24と、フロート24で検知された液位WLに基づいて開閉する開閉弁20,22と、開閉弁20,22とフロート24とを連結する作動機構26とを備えている。作動機構26は、複数のリンク部材28と、ばね部材30とを有している。ばね部材30は、コイルばねからなるばね体52と、ばね体52の一端部52aに当接する第1プラグ54と、ばね体52の他端部52bに当接する第2プラグ56とを有し、ばね体52が、第1プラグ54と第2プラグ56とで挟持されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内に貯留された液体を、容器内に流入された駆動流体により加圧して容器外に排出する液体圧送装置のばね固定構造であって、
前記液体圧送装置は、
前記容器の内部に収納されて、前記容器内に貯留された液体の液位を検知するフロートと、
前記フロートで検知された液位に基づいて開閉する開閉弁と、
前記開閉弁と前記フロートとを連結する作動機構と、を備え、
前記作動機構は、複数のリンク部材と、前記フロートの上下動による前記開閉弁の動作を補助するばね部材とを有し、
前記ばね部材は、コイルばねからなるばね体と、前記ばね体の一端部に当接する第1プラグと、前記ばね体の他端部に当接する第2プラグとを有し、
前記ばね体が、前記第1プラグと前記第2プラグとで挟持されている液体圧送装置のばね固定構造。
【請求項2】
請求項1に記載の液体圧送装置のばね固定構造において、前記第1プラグは、他端が開口した有底の筒状体を有し、この筒状体の内部に前記ばね体が挿通され、前記ばね体の一端が前記筒状体の底壁に当接し、
前記第2プラグは、前記ばね体の中空孔に挿通される軸体を有し、前記軸体の一端部が前記筒状体の底壁を貫通し、前記軸体の他端部に設けられたフランジ部に前記ばね体の他端が当接している液体圧送装置のばね固定構造。
【請求項3】
請求項2に記載の液体圧送装置のばね固定構造において、前記筒状体の外周壁に、ドレンが出入りする貫通孔が設けられている液体圧送装置のばね固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内に貯留された液体を、容器内に流入された駆動流体により加圧して容器外に排出する液体圧送装置のばね固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器内に貯留された液体を、蒸気もしくは圧縮空気を駆動流体として用いて加圧し、容器外に液体を排出する液体圧送装置がある(例えば、特許文献1)。特許文献1のような圧送装置は、ポンピングトラップと呼ばれ、電気が不要の機械式のポンプである。ポンピングトラップは、電気が不要であるので、例えば、電源供給が困難な区域に適用できる利点がある。液体圧送装置の作動工程には、「流入」「昇圧」「排出」「均圧」という4つの工程がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-029187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液体圧送装置では、フロートで検知する液位に基づいて、弁を作動する作動機構の動力は、ばね部材のばね力が用いられている。液体圧送装置の流入工程から昇圧工程へ切り替わる際や、排出工程から均圧工程へ切り替わる際、ばね部材に衝撃力が加わる。図6(A)に示すように、ばね部材100は、ばね体101と、その両端に連結されたプラグ102,102を有し、引張ばね101とプラグ102,102がねじで固定されている。詳細には、図6(B)に示すように、プラグ102がねじ山103を有し、このねじ山103が、ばね体101の端部の連結部104に螺合している。このようなばね部材100に上述のような衝撃力が加わると、ねじ山103のエッジ103aがばね体101に接触し、集中的に荷重がかかる。その結果、ばね部材100の疲労強度が下がり、製品寿命が短くなる。
【0005】
本発明は、ばね部材の耐久性を向上させることができる液体圧送装置のばね固定構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の液体圧送装置のばね固定構造は、容器内に貯留された液体を、容器内に流入された駆動流体により加圧して容器外に排出する液体圧送装置のばね固定構造であって、前記液体圧送装置は、前記容器の内部に収納されて前記容器内に貯留された液体の液位を検知するフロートと、前記フロートで検知された液位に基づいて開閉する開閉弁と、前記開閉弁と前記フロートとを連結する作動機構とを備えている。前記作動機構は、複数のリンク部材と、前記フロートの上下動による前記開閉弁の動作を補助するばね部材とを有している。前記ばね部材は、コイルばねからなるばね体と、前記ばね体の一端部に当接する第1プラグと、前記ばね体の他端部に当接する第2プラグとを有し、前記ばね体が、前記第1プラグと前記第2プラグとで挟持されている。
【0007】
この構成によれば、ばね体が、第1プラグと第2プラグで挟持されているので、ねじ山を用いずに、液体圧送装置の作動機構の動力として、ばね部材を使用することができる。これにより、ばね体とねじ山との強い接触を無くすことができ、ばねの耐久性を向上させることができる。また、ばね体に、ねじ山が螺合される連結部を設ける必要がないので、ばね体の設計の自由度が向上する。
【0008】
本発明において、前記第1プラグは、他端が開口した有底の筒状体を有し、この筒状体の内部に前記ばね体が挿通され、前記ばね体の一端が前記筒状体の底壁に当接しており、前記第2プラグは、前記ばね体の中空孔に挿通される軸体を有し、前記軸体の一端部が前記筒状体の底壁を貫通し、前記軸体の他端部に設けられたフランジ部に前記ばね体の他端が当接していてもよい。この構成によれば、筒状体により、ばね体におけるばね力が付与される方向以外の動作が規制される。これにより、ばね体の動作が安定する。また、第1プラグから第2プラグを取り外すことで、ばね体だけを取り出すことができる。したがって、メンテナンス性もよい。
【0009】
この場合、前記筒状体の外周壁に、ドレンが出入りする貫通孔が設けられていてもよい。この構成によれば、第1プラグの筒状体の内部に浸入したドレンが貫通孔から排出される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の液体圧送装置のばね固定構造によれば、ばね体とねじ山との接触を無くすことができ、ばねの耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】液体圧送装置の基本構造を示す概略構成図である。
図2】同液体圧送装置の図1とは異なる状態を示す概略構成図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るばね固定構造を備えた液体圧送装置を示す縦断面図である。
図4図3のIV-IV線に沿った断面図である。
図5】(A)は同液体圧送装置のばね部材を示す正面図で、(B)はその分解図である。
図6】(A)は従来の液体圧送装置のばね部材を示す正面図で、(B)はその分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。最初に、図1および図2を用いて、液体圧送装置の基本構造について説明する。図1および図2は液体圧送装置を示す概略構成図である。同圧送装置1は、容器2内に貯留された液体Wを、容器2内に導入された駆動流体Fにより加圧して容器2外に排出する。図1は液体Wが流入している状態を示し、図2は液体Wが排出されている状態を示す。液体Wは、例えば、水、詳細には、蒸気配管、蒸気機器などからの復水である。また、駆動流体Fは、例えば、蒸気である。
【0013】
容器2に、液体Wが流入する液体流入口4と、液体Wが流出する液体流出口6が設けられている。液体流入口4に液体流入通路8が接続され、液体流出口6に液体流出通路10が接続されている。液体流入口4と液体流入通路8との間に流入側逆止弁12が接続され、液体流出口6と液体流出通路10との間に流出側逆止弁14が接続されている。
【0014】
容器2の頂部に、容器2内に駆動流体Fを流入させる駆動流体流入口16と、容器2内の駆動流体Fを容器2外に排出する駆動流体流出口18とが設けられている。駆動流体流入口16に駆動流体流入通路17が接続され、駆動流体流出口18に駆動流体流出通路19が接続されている。圧送装置1は、駆動流体流入口16を開閉する駆動弁(吸入弁)20と、駆動流体流出口18を開閉する排気弁22とを有している。
【0015】
容器2の内部に、容器2内に貯留された液体Wの液位WLを検知するフロート24が収納されている。駆動弁20および排気弁22は、作動機構26を介してフロート24のレバー24aに連結されている。作動機構26は、互いに回動自在に連結された複数のリンク部材28と単一のばね部材30とを有している。作動機構26は、フロート24で検知された液位WLに基づいて駆動弁20および排気弁22を作動させる。つまり、駆動弁20および排気弁22が、フロート24で検知された液位WLに基づいて開閉する開閉弁を構成している。
【0016】
図1に示す液位WLが低いとき、液体Wに浮いたフロート24も低い位置にある。このとき、作動機構26の作動により、駆動弁20が閉状態となり、排気弁22は開状態となる。つまり、容器2内への駆動流体Fの流入が阻止され、容器2の内部空間が大気に開放される。液位WLが低い状態では、容器2の内部の圧力が低いので、液体流入通路8の液体Wが、流入側逆止弁12を開いて液体流入口4から容器2内に流入する(流入工程)。一方、容器2の内部の圧力が低いことから、流出側逆止弁14は閉止状態である。
【0017】
液体Wが容器2内に流入すると、液位WLが上昇し、これに伴い、フロート24も上昇する。液位WLが規定値を超えると、図2に示すように、作動機構26の作動により、駆動弁20が開状態となり、排気弁22は閉状態となる。つまり、容器2内へ駆動流体Fが流入し、容器2内の駆動流体Fの外部への排出が阻止される(昇圧工程)。このとき、ばね部材30のばね力により排気弁22が押し付けられることで、気密が保たれる。これにより、容器2の内部の圧力が高くなるので、容器2内の液体Wが、流出側逆止弁14を開いて液体流出口6から液体流出通路10を通って容器2外に排出される(排出工程)。一方、容器2の内部の圧力が高いので、流入側逆止弁12は閉止状態となる。
【0018】
液体Wが容器2外に排出されると、液位WLが下降する(均圧工程)。これに伴い、フロート24も下降し、図1の状態に戻る。以降、図1の状態と図2の状態が繰り返され、液体Wが圧送される。
【0019】
つぎに、図3および4を用いて、本発明の第1実施形態に係る液体圧送装置1を説明する。図3に示すように、容器2にボルトBによりフレームFRが着脱自在に取り付けられ、このフレームFRに作動機構26が取り付けられている。本実施形態では、フレームFRは、金属製の板材からなる。ただし、フレームFRの材質はこれに限定されない。
【0020】
作動機構26は、容器2の内側に配置され、その一端にフロート24が取り付けられ、他端に駆動弁20および排気弁22が取り付けられている。つまり、フロート24、駆動弁20および排気弁22は、作動機構26を介して容器2に支持されている。
【0021】
作動機構26は、複数のリンク部材28を有している。詳細には、作動機構26は、図3に示すフロート24のレバー24aと、レバー24aに回動自在に連結される第1のリンク部材31と、第1のリンク部材31に回動自在に連結される第2のリンク部材32とを有している。第1のリンク部材31は長尺状の板材からなり、第2のリンク部材32は長尺状の棒材からなる。第2のリンク部材32は、上下方向に延びている。
【0022】
第1のリンク部材31の一端部31aがフロート24のレバー24aの先端部に回動自在に連結されている。詳細には、第1のリンク部材31とフロート24のレバー24aは、第1の連結ピン34により、第1の連結ピン34回りに回動自在に連結されている。
【0023】
さらに、第1のリンク部材31とフロート24のレバー24aに、ばね部材30が掛け渡されている。詳細には、ばね部材30の両端部30a,30bが、レバー24aの長手方向中間部と第1のリンク部材31の他端部31bにそれぞれ連結されている。ばね部材30の一端部30aは、第2の連結ピン36によりレバー24aの長手方向中間部に連結されている。一方、ばね部材30の他端部30bは、第3の連結ピン38により第1のリンク部材31の他端部31bに連結されている。
【0024】
第2のリンク部材32の一端部(下端部)32aが、第1のリンク部材31の長手方向中間部に連結されている。詳細には、第1のリンク部材31と第2のリンク部材32は、第4の連結ピン40により、第4の連結ピン40回りに回動自在に連結されている。第2のリンク部材32の他端部(上端部)32bに、ピン42が固定されている。ピン42は、第2のリンク部材32と直交する方向、すなわち水平方向に延びている。
【0025】
図4に示すように、ピン42の一端部42aに駆動弁20が固定され、他端部42bに排気弁22が固定されている。駆動弁20は、駆動流体流入口16に設けられた弁座44に球状の弁体45が上方から着座することで閉弁する。さらに、駆動弁20は、下方から駆動ピン46により弁体45が持ち上げられて弁座44から離れることで開弁する。
【0026】
排気弁22は、駆動流体流出口18に設けられた弁座48に円柱状の弁体50が下方から着座することで閉弁する。さらに、排気弁22は、弁体50が下方に移動して弁座48から離れることで開弁する。ピン42には、駆動弁20の駆動ピン46と排気弁22の弁体50が固定されている。
【0027】
流入工程では、液位WL(図3)が低いので、リンク部材28およびピン42が低い位置にある。つまり、ピン42に固定された駆動弁20の駆動ピン46および排気弁22の弁体50も下方に位置している。したがって、駆動弁20の弁体45は弁座44に着座して閉弁し、排気弁22の弁体50が弁座48から離れることで開弁している。
【0028】
一方、昇圧工程では、液位WL(図3)が高いので、リンク部材28およびピン42が高い位置にある。つまり、ピン42に固定された駆動弁20の駆動ピン46および排気弁22の弁体50も上方に位置している。したがって、駆動弁20の弁体45は駆動ピン46により持ち上げられて弁座44から離れて開弁している。排気弁22は、弁座48に弁体50が着座して閉弁している。
【0029】
図5(A)、(B)を用いて、本実施形態のばね部材30を説明する。図5(B)に示すように、ばね部材30は、コイルばねからなるばね体52と、ばね体52の一端部52aに当接する第1プラグ54と、ばね体52の他端部52bに当接する第2プラグ56とを有している。ばね体52は、第1プラグ54と第2プラグ56とで挟持されている。本実施形態では、ばね体52は、圧縮コイルばねである。
【0030】
第1プラグは、他端が開口した有底の筒状体58を有している。本実施形態では、筒状体58は円筒形である。図5(A)に示すように、この筒状体58の内部にばね体52が収納されている。つまり、筒状体58の内径は、ばね体52の外径よりも大きい。ばね体52の一端52aは、筒状体58の底壁60に当接している。底壁60に、筒状体58の軸心AX方向を向いた挿通孔62が形成されている。
【0031】
筒状体58の外周壁64に貫通孔66が設けられている。貫通孔66は、1つであっても複数であってもよい。貫通孔66を介して、筒状体58の内部にドレンが出入り可能である。筒状体58の外周壁64における他端部に第1軸挿通孔65が形成されている。第1軸挿通孔65に、第2の連結ピン36(図3)または第3の連結ピン38(図3)が挿通される。筒状体58の内周面に環状の係合溝68が形成されている。係合溝68は、第1軸挿通孔65よりもやや一端寄りに設けられている。この係合溝68に、リング状の止め輪69が係止される。
【0032】
図5(B)に示すように、第2プラグ56は、筒状体58の軸心AX方向に延びる軸体70を有している。軸体70の外径は、ばね体(コイルバネ)52の内径よりも若干小さい。したがって、軸体70は、ばね体52の内部に挿通可能である。
【0033】
図5(A)に示すように、軸体70の一端部70aは、筒状体58の底壁60を貫通している。詳細には、ばね体52が筒状体58の内部に収納された状態で、ばね体52の内部に軸体70が他端側(図5(A)の右側)から挿通され、軸体70の一端部70aは筒状体58の底壁60の挿通孔62を通過して、底壁60よりも一端側(図5の左側)に延びている。軸体70の一端部70aに第2軸挿通孔72が形成されている。第1軸挿通孔72に、第2の連結ピン36(図3)または第3の連結ピン38(図3)が挿通される。
【0034】
図5(B)に示すように、軸体70の他端部70bにフランジ部74が設けられている。フランジ部74の外径は、ばね体52の外径よりも大きく、筒状体58の内径よりも小さい。つまり、図5(A)に示すように、ばね体52の他端52bが、フランジ部74に当接する。
【0035】
つぎに、ばね部材30の組立手順を説明する。まず、図5(B)に示すばね体52が、他端側(図5(A)の右側)から筒状体58の内部に挿入される。この状態で、軸体70が他端側(図5(A)の右側)から、ばね体52の内部に挿通される。これにより、図5(A)に示す筒状体58の底壁60と軸体70のフランジ部74とにより、ばね体52が挟持される。さらに、筒状体58の係合溝68に止め輪69が係止される。これにより、ばね体52および軸体70が筒状体58から抜け出ることが阻止される。以上により、ばね部材30が組み立てられる。組み立て状態で、ばね体52は、筒状体58の内周面および軸体70の外面にガイドされて、付勢方向(図5(A)の左右方向)に伸縮自在である。
【0036】
上記構成によれば、ばね体52が第1プラグ54と第2プラグ56で挟持されているので、ねじ山を用いずに、液体圧送装置1の作動機構の動力として、ばね部材30を使用することができる。これにより、ばね体52とねじ山との接触を無くすことができ、ばね体52の耐久性を向上させることができる。また、ばね体52に、ねじ山が螺合される連結部を設ける必要がないので、ばね体52の設計の自由度が向上する。
【0037】
具体的には、液体圧送装置1の流入工程から昇圧工程へ切替える際や、排出工程から均圧工程へ切り替える際、ばね体52に衝撃力が加わる。前述の図6のように、ばね体101の固定にねじを用いると、ねじ山部103のエッジ103aとばね体101が接触して集中荷重がかかる。その結果、ばね体101の疲労強度が下がり、製品寿命が短くなる。本実施形態では、図5(A)に示すように、ばね体52のねじによる固定を無くすことで、この荷重集中を避け、ばね体52の耐久性が向上する。
【0038】
また、ばね体52が筒状体58の内周面および軸体70の外周面にガイドされるので、ばね体52におけるばね力が付与される方向(図5(A)の左右方向)以外の動作が規制される。これにより、ばね体52の動作が安定する。また、止め輪69を外すことで、筒状体58から軸体70およびばね体52を取り外すことができるので、ばね体52だけを交換できる。したがって、メンテナンス性もよい。
【0039】
筒状体58の内部にドレンが入り込むが、筒状体58の外側面に貫通孔66が設けられているので、筒状体58の内部に浸入したドレンを排出できる。
【0040】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。例えば、ばね体52が第1プラグ54と第2プラグ56とで挟持されていればよく、ばね部材30の構造は上記実施形態のものに限定されない。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1 液体圧送装置
2 容器
18 駆動流体流出口
20 駆動弁(開閉弁)
22 排気弁(開閉弁)
24 フロート
26 作動機構
28 リンク部材
30 ばね部材
52 ばね体(コイルばね)
52a ばね体の一端部
52b ばね体の他端部
54 第1プラグ
56 第2プラグ
58 筒状体
60 筒状体の底壁
66 貫通孔
70 軸体(第2プラグ)
70a 軸体の一端部
70b 軸体の他端部
74 フランジ部
F 駆動流体
W 液体(粘性体)
WL 液位
図1
図2
図3
図4
図5
図6