(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127171
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】処理工具
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/12 20060101AFI20230906BHJP
B23B 19/02 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
B23Q3/12 A
B23Q3/12 D
B23B19/02 A
B23B19/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030787
(22)【出願日】2022-03-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000132161
【氏名又は名称】株式会社スギノマシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】石谷 彰浩
(72)【発明者】
【氏名】武藤 充
(72)【発明者】
【氏名】山崎 昌英
【テーマコード(参考)】
3C016
3C045
【Fターム(参考)】
3C016FA03
3C016FA18
3C016FA20
3C045FD05
3C045FD07
3C045FD12
(57)【要約】
【課題】
簡易な構造で、工具ホルダを脱着可能で、シャンクに対して工具を軸方向にスライド可能な処理工具を提供する。
【解決手段】
工具5を着脱可能な処理工具10は、ボディ11と、工具ホルダ保持穴16mと、第1回り止め体保持穴17とを有する主軸16と、押さえ面24と、逃し部26とを有するカバー23と、第1回り止め溝37と、工具保持穴35bと、基端部に開口して配置される第1弾性体保持穴35aとを有し、工具ホルダ保持穴16m内に着脱可能に挿入される工具ホルダ35と、第1回り止め溝37と押さえ面24との間で移動し、カバー23が着脱位置3に位置し、工具ホルダ35が工具ホルダ保持穴16mから引き抜かれるときに、逃し部26に収容される回り止め体19と、工具ホルダ35を先端方向に押し付ける弾性体38とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具を着脱可能な処理工具であって、
ボディと、
前記ボディに回転可能に支持された主軸であって、
先端方向に開口を有し、前記主軸に沿って延びる工具ホルダ保持穴と、
径方向に前記主軸を貫通する第1回り止め体保持穴と、
を有する主軸と、
前記主軸の先端部に配置され、前記主軸に沿って加工位置と着脱位置との間を往復するカバーであって、
前記加工位置において、前記第1回り止め保持穴を覆う押さえ面と、
前記カバーの内側に配置され、径方向外側に凹む逃し部と、
を有するカバーと、
前記工具ホルダ保持穴内に着脱可能に挿入される工具ホルダであって、
前記工具ホルダの外周に形成される第1回り止め溝と、
前記工具ホルダの先端部に配置され、前記工具が着脱可能に嵌め込まれる工具保持穴と、
前記工具ホルダの基端部に開口して配置される第1弾性体保持穴と、
を有する工具ホルダと、
前記カバーが前記加工位置に位置するときに、前記第1回り止め体保持穴に支持され、前記第1回り止め溝と前記押さえ面との間で移動する回り止め体であって、前記カバーが前記着脱位置に位置し、前記工具ホルダが前記工具ホルダ保持穴から引き抜かれるときに、前記逃し部に収容される回り止め体と、
前記第1弾性体保持穴と前記工具ホルダ保持穴との間に配置され、前記工具ホルダを先端方向に付勢する弾性体と、
を有する処理工具。
【請求項2】
前記ボディに配置され、前記主軸を回転させるモータを更に有する、
請求項1に記載の処理工具。
【請求項3】
前記カバーは、基端方向に開口し、内周円筒面を有する環状溝である膨張室を有し、
前記ボディは、先端方向に配置され、外周円筒面を有する環状の絞り片であって、前記カバーが前記加工位置にあるときに、前記膨張室内に挿入され、前記内周円筒面と前記外周円筒面との間に隙間を形成する絞り片を有する、
請求項1又は2に記載の処理工具。
【請求項4】
前記ボディは、前記ボディ内に加圧空気を送り込む加圧空気導入口を有し、
前記加圧空気導入口から入れられた加圧空気が前記隙間から排出される、
請求項1~3のいずれかに記載の処理工具。
【請求項5】
前記主軸は、先端部の外周に配置された第1止め輪溝を有し、
前記第1止め輪溝に配置される止め輪であって、前記第1止め輪溝に配置されたときに、前記カバーを前記加工位置に保持する止め輪と、
を更に有する、請求項1~4のいずれかに記載の処理工具。
【請求項6】
前記主軸は、先端部の外周であって、前記第1止め輪溝よりも先端側に配置される第2止め輪溝を有し、
前記止め輪は、前記第1止め輪溝と前記第2止め輪溝との間を移動可能であって、前記第2止め輪溝に配置されたときに、前記カバーを前記着脱位置に保持する、
請求項5に記載の処理工具。
【請求項7】
前記主軸と前記カバーとの間に配置され、前記主軸と前記カバーとの間の隙間を封止するパッキンを更に有する、
請求項1~6のいずれかに記載の処理工具。
【請求項8】
前記第1回り止め溝は、前記主軸と平行に延びる、
請求項1~7のいずれかに記載の処理工具。
【請求項9】
前記主軸は、外周部に配置された第2回り止め体保持穴を有し、
前記カバーは、内周面に、前記主軸に沿って配置された第2回り止め溝を有し、
前記第2回り止め保持穴に支持され、前記第2回り止め保持穴と前記第2回り止め溝との間で移動する第2回り止め体を更に有する、
請求項1~8のいずれかに記載の処理工具。
【請求項10】
第2回り止め溝は、前記主軸と平行に延びる、
請求項9に記載の処理工具。
【請求項11】
前記主軸は、
前記第1回り止め体保持穴において、前記第1回り止め体を保持する回り止め体保持面と、
前記回り止め体保持面に配置され、前記第1回り止め体の抜け止めを防止する回り止め体抜け止め部と、を有する、
請求項1~10のいずれかに記載の処理工具。
【請求項12】
前記回り止め体抜け止め部は、前記第1回り止め体に沿った保持球面を有する、
請求項11に記載の処理工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、刃具のワークに対する押圧力を調整できるバリ取り工具が提案されている(例えば、特許第6025580号)。従来のバリ取り工具は、ステムと、刃具案内手段と、ばね部材と、初期長調整手段とを有する。ステムは、シャンクに対して軸方向に移動自在に内挿される。刃具案内手段は、ステムに対して刃具保持手段を軸方向に移動自在に案内し、回転方向に一体として回転する。ばね部材は、刃具保持手段を、ステムに対してワークに押圧する方向に付勢する。初期長調整手段は、ばね部材の初期長を調整してばね部材による押圧力を調整する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、簡易な構造で、工具ホルダを脱着可能で、ボディに対して工具を軸方向にスライド可能な処理工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一つの観点は、
工具を着脱可能な処理工具であって、
ボディと、
前記ボディに回転可能に支持された主軸であって、
先端方向に開口を有し、前記主軸に沿って延びる工具ホルダ保持穴と、
径方向に前記主軸を貫通する第1回り止め体保持穴と、
を有する主軸と、
前記主軸の先端部に配置され、前記主軸に沿って加工位置と着脱位置との間を往復するカバーであって、
前記加工位置において、前記第1回り止め保持穴を覆う押さえ面と、
前記カバーの内側に配置され、径方向外側に凹む逃し部と、
を有するカバーと、
前記工具ホルダ保持穴内に着脱可能に挿入される工具ホルダであって、
前記工具ホルダの外周に形成される第1回り止め溝と、
前記工具ホルダの先端部に配置され、前記工具が着脱可能に嵌め込まれる工具保持穴と、
前記工具ホルダの基端部に開口して配置される第1弾性体保持穴と、
を有する工具ホルダと、
前記カバーが前記加工位置に位置するときに、前記第1回り止め体保持穴に支持され、前記第1回り止め溝と前記押さえ面との間で移動する回り止め体であって、前記カバーが前記着脱位置に位置し、前記工具ホルダが前記工具ホルダ保持穴から引き抜かれるときに、前記逃し部に収容される回り止め体と、
前記第1弾性体保持穴と前記工具ホルダ保持穴との間に配置され、前記工具ホルダを先端方向に付勢する弾性体と、
を有する処理工具である。
【0005】
処理工具は、例えば、バリ取り工具、穴あけ工具、ねじ切り工具、ブラシである。バリ取り工具は、加工機に取り付けられ、ワークに付着したバリを除去する。加工機は、例えば、旋盤、ターニングセンタ、ロボットである。
説明の都合上、刃具やブラシが取り付けられる側を先端側、その反対側を基端側と呼ぶ。
【0006】
加圧空気導入口は、工具ホルダ保持穴と接続されても良い。このとき、好ましくは、工具ホルダは、工具ホルダ保持穴と工具保持穴とを接続する空気流路を有する。空気流路は、工具ホルダ保持穴の周囲に配置された排出口を有して良い。工具ホルダは、工具を保持するコレットを有して良い。空気流路は、コレットの内部に配置されても良い。加圧空気は、例えば、工場から供給される圧縮空気である。加圧空気は、潤滑油や防錆油のミストを含んでも良い。
【0007】
カバーは、主軸の先端部を覆う傘部を有して良い。膨張室は、傘部に配置されてよい。カバーは、軸部を有して良い。パッキンは、カバーの軸部と主軸との隙間を封止して良い。 主軸は、工具ホルダ保持穴内に配置され、弾性体を保持する第2弾性体保持穴を有しても良い。
【0008】
一つ又は複数の第1回り止め溝が配置されて良い。複数の第1回り止め溝は、主軸に対して回転対称に配置される。第1回り止め溝は、主軸と平行に延びて良い。第1回り止め溝は、先端方向に進むにつれて、主軸の回転方向にねじれた螺旋状でも良い。
【0009】
一つ又は複数の第2回り止め溝が配置されて良い。複数の第2回り止め溝は、主軸に対して回転対称に配置される。好ましくは、第2回り止め溝は、主軸と平行に延びる。第2回り止め溝は、先端方向に進むにつれて、主軸のまわりにねじれた螺旋状でも良い。
【0010】
主軸には、回転バランスを取るために、例えばバランス穴が配置されて良い。バランス穴は、一つの第1回り止め溝と一つの第2回り止め溝と好適に組み合わせられる。
【0011】
第1回り止め体抜け止め部は、第1回り止め体が工具ホルダ保持穴の内部に脱落することを防止する。
主軸は、第2回り止め体保持穴において、第2回り止め体抜け止め部を有しても良い。第2回り止め体抜け止め部は、第2回り止め体が工具ホルダ保持穴の内部に脱落することを防止する。
【0012】
例えば、モータは、電気モータ、エアモータである。モータがエアモータのとき、加圧空気導入口は、エアモータに接続されて良い。処理工具は、排気口を有して良い。エアモータと排気口は、組み合わせて配置されて良い。加圧空気導入口から導入された圧縮空気が、エアモータを回転させる。エアモータからの排気が、カバーとボディとの隙間から排気されて良い。さらに、エアモータからの排気が、工具ホルダ保持穴の排出口から排気されても良い。また、処理工具がエアモータと排気口とを有するときは、エアモータからの排気の大部分が排気口から排出されて良い。
【0013】
モータが電気モータのとき、加圧空気は、ミストエアーに替えてドライエアーでも良い。また、加圧空気は、ミストエアーとドライエアーの2流体を含んでも良い。この場合、ミストエアーは、主軸受や工具ホルダ保持穴に供給され、ドライエアーは、電気モータを冷却し、排気口から排気されて良い。
【0014】
主軸は、第1パッキン溝を有して良い。第1パッキン溝は、主軸の外面に配置される。第1パッキン溝は、円周溝である。
カバーは、第2パッキン溝を有して良い。カバーは、軸部を有しても良い。軸部は、中空の直円柱状である。軸部は、主軸とボディの隙間に挿入される。第2パッキン溝は、カバーの内面に配置される。第2パッキン溝は、円周溝である。第2パッキン溝は、カバーの軸部に配置されても良い。カバーが加工位置にあるときに、第2パッキン溝と第1パッキン溝の軸方向の位置が一致する。このとき、第1パッキン溝と第2パッキン溝は一体となって一つの環状のパッキン溝を形成する。パッキンは、第1パッキン溝に装着される。第2パッキン溝が配置されたときは、パッキンは、第1パッキン溝と第2パッキン溝の間に装着される。
【0015】
好ましくは、回り止め体保持面は、回り止め体の中心を通り、シャンク軸と直交する線に対し傾斜する。
好ましくは、回り止め体保持面は、円筒面である。好ましくは、回り止め体保持穴の中心軸は、主軸の中心軸を通らない。つまり、回り止め体保持穴の中心軸は、主軸の中心軸とねじれ位置にある。
好ましくは、回り止め体保持面は、回り止め体の中心を通り、シャンク軸と直交する線に対し、処理工具の円周方向に傾斜する。
好ましくは、回り止め体が前記カバーの押さえ面と回り止め溝とに接している状態において、回り止め体の中心が回り止め体保持穴に位置する。
例えば、回り止め体は、ボールである。回り止め体は、ピンでも良い。
回り止め溝は、シャンク軸と平行に延びる。回り止め溝は、バリ取り工具の回転方向と逆方向の向きに、基端側に進む螺旋形状でも良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明の処理工具によれば、簡易な構造で、工具ホルダを脱着でき、ボディに対して工具を軸方向にスライドできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態1の処理工具の加工時における縦断面図
【
図5】実施形態1の処理工具の工具着脱時における縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
図1~
図3に示すように、本実施形態の処理工具10は、ボディ11と、主軸受15と、主軸16と、コイルばね(弾性体)38と、カバー23と、工具ホルダ35と、第1ボール(第1回り止め体)19と、を有する。処理工具10は、モータ13と、第2ボール(第2回り止め体)29と、パッキン20と、止め輪31と、入口ポート(加圧空気導入口)39と、出口ポート(排気口)40と、を有して良い。工具5は、工具ホルダ35に装着される。
図1は、
図2のI-I組合せ線による断面図である。便宜上、
図1の下方向を先端、上方向を基端と呼ぶ。
【0019】
ボディ11は、中心軸9を有する中空の直円筒状である。ボディ11は、モータ13や主軸16のケーシングである。また、ボディ11は、処理工具10のシャンクである。例えば、ロボット2は、ボディ11を把持して移動させ、工具5をワーク4に接触させながらワーク4のバリ取り等を行う。入口ポート39は、ボディ11の基端部に配置される。出口ポート40は、ボディ11の基端部に配置される。
【0020】
モータ13は、エアモータである。モータ13は、軸受13cと、ステータ13bと、ロータ13aと、出力軸13dと、を有する。例えば、モータ13は、ボディ11の基端部に埋めこまれる。軸受13cは、ボディ11に配置され、ロータ13aを支持する。ロータ13aは、出力軸13dに締結され、出力軸13dと一体に回転する。出力軸13dは、例えば、セレーション軸である。ステータ13bは、ボディ11に埋めこまれる。ステータ13bは、入口ポート39や出口ポート40と接続される。
【0021】
なお、モータ13は、電気モータでも良い。このとき、出口ポート40は、省いて良い。入口ポート39は、モータ13の先端部に接続しても良い。
また、モータ13は、ボディ11の外部に取り外し可能に配置されても良い。
【0022】
主軸16は、主軸受15を介して、ボディ11の内部に支持される。主軸16は、直円筒状であり、中心軸9を中心に配置される。主軸16は、工具ホルダ保持穴16mと、複数(本実施形態では2つ)の第1ボール保持穴(第1回り止め体保持穴)17を有する。主軸16は、セレーション穴16aと、連通孔16bと、複数(本実施形態では2つ)の第2ボール保持穴(第2回り止め体保持穴)27と、第2ばね保持穴16kと、第1パッキン溝16dと、第1止め輪溝16eと、第2止め輪溝16fと、細径部16nと、を有して良い。
【0023】
工具ホルダ保持穴16mは、主軸16の先端に開口して、中心軸9を中心に配置される。工具ホルダ保持穴16mは、直円筒の有底穴である。工具ホルダ保持穴16mの円筒面は、滑らかに形成される。第2ばね保持穴16kは、有底の直円筒であり、工具ホルダ保持穴16mの底部に配置される。
セレーション穴16aは、主軸16の基端部に、中心軸9を中心に配置される。セレーション穴16aは、出力軸13dと締結する。連通孔16bは、例えば、中心軸9に沿って延びて、セレーション穴16aと工具ホルダ保持穴16mとを接続する。連通孔16bは、第2ばね保持穴16kに接続しても良い。
【0024】
細径部16nは、主軸16の先端部に配置される。細径部16nは、中央部よりも小さい外径を有する。細径部16nの外面の半径は、中心軸9から第1ボール19の最外面までの距離に実質的に等しい。
第2止め輪溝16f、第1止め輪溝16e、第1パッキン溝16dは、主軸16の先端から順に、主軸16の外円筒面に配置される。第2止め輪溝16f、第1止め輪溝16e、第1パッキン溝16dは、角形の断面を有する円周溝である。好ましくは、第2止め輪溝16fは、基端側に向かうにつれて径が大きくなる傾斜部を有する。
【0025】
第1ボール保持穴17は、主軸16の先端部に配置される。第1ボール保持穴17は、軸方向において、第1止め輪溝16eよりも基端側に配置される。好ましくは、第1ボール保持穴17は、軸方向において、第1パッキン溝16dよりも基端側に配置される。第1ボール保持穴17は、主軸16の外面から工具ホルダ保持穴16mに貫通する。
第2ボール保持穴27は、主軸16の先端部の外面に配置される。第2ボール保持穴27は、軸方向において、第1止め輪溝16eよりも基端側に配置される。好ましくは、第2ボール保持穴27は、軸方向において、第1パッキン溝16dよりも基端側に配置される。第2ボール保持穴27は、主軸16の半径方向に延びる。好ましくは、第2ボール保持穴27は、第2ボール抜け止め部(第2回り止め体抜け止め部)27aを有する。第2ボール抜け止め部27aは、工具ホルダ35が取り外されたときに、第2ボール29が工具ホルダ保持穴16mの内部に落下することを防止する。第2ボール保持穴27は、主軸16を貫通しても良い。
【0026】
図2に示すように、第1ボール保持穴17は、ボール保持面(第1回り止め体保持面)17aと、第1ボール抜け止め部17bと、中心軸17cと、保持球面17dと、を有する。第1ボール保持穴17は、直円筒穴であり、半径方向から円周方向に傾斜する。第1ボール保持穴17は、主軸16の横断面上に延びる。第1ボール保持穴17の中心軸17cは、中心軸9とねじれの位置にある。つまり、中心軸17cは、中心軸9と交差しない。
ボール保持面(第1回り止め体保持面)17aは、第1ボール保持穴17の円筒面である。ボール保持面17aの直径は、第1ボール19の直径と実質的に等しい。第1ボール抜け止め部17bは、第1ボール保持穴17の半径方向内側に配置され、保持球面17dを有する。保持球面17dは、工具ホルダ保持穴16mの円筒面と交差する。保持球面17dの直径は、ボール保持面17aの直径と等しい。複数の第1ボール保持穴17は、中心軸9に対して回転対称に配置される。
【0027】
第1ボール19は、第1ボール保持穴17の内部に保持される。カバー23が加工位置1にあるときに、中心軸9からみて、第1ボール19の最外面は、押さえ面24に接する。そして、第1ボール19は、保持球面17dに当接する。このとき、工具ホルダ保持穴16mの半径方向内側に、第1ボール19の一部が突出する。好ましくは、第1ボール19の半径の10~40%程度が、工具ホルダ保持穴16mの内面から突出する。
なお、第1ボール19の代わりに、第1ボール保持穴17の中心軸17cの方向に延びるピンでも良い。ピンである第1回り止め体19の先端面は、球面ではなく平面でも良い。
【0028】
第2ボール29は、第2ボール保持穴27の内部に保持される。第2ボール29は、第2ボール溝25と第2ボール保持穴27の間に収納される。
なお、第2ボール29の代わりに、径方向に延びるピンでも良い。ピンである第2回り止め体29の先端面は、球面ではなく平面でも良い。
【0029】
図1に示すように、カバー23は、逃し部26を有する。カバー23は、傘部23aと、軸部23bと、第2ボール溝(第2回り止め溝)25と、第2パッキン溝23cを有しても良い。
傘部23aは、ボディ11の先端部を覆う。軸部23bは、傘部23aの基端部に配置される。逃し部26は、カバー23の基端部に配置される。軸部23bは、中空の直円筒である。軸部23bの内面が、押さえ面24である。押さえ面24の直径は、細径部16nの直径と実質的に等しい。カバー23が加工位置1にあるときに、第1ボール19は、押さえ面24に当接する。
【0030】
例えば、逃し部26は、台形の断面を有する円周溝である。言い換えると、逃し部26において、軸部23bの内径が拡大している。逃し部26は、カバー23の基端面に開口しても良い。逃し部26は、押さえ面24の基端側に配置される。
第2ボール溝25は、主軸16と平行に延びる。例えば、第2ボール溝25の横断面は半円状である。第2ボール溝25は、中心軸9に対して回転対称に配置される。
第2パッキン溝23cは、軸部23bの内側に配置される。第2パッキン溝23cは、カバー23が加工位置1にあるときに、第1パッキン溝16dと軸方向における位置が一致する。例えば、第2パッキン溝23cの溝深さは、第1パッキン溝16dの溝深さよりも小さい。
なお、第2ボール溝25は、先端方向に進むにつれてねじれる螺旋状でも良い。
【0031】
図3に示すように、カバー23は、膨張室21aを有して良い。膨張室21aは、カバー23の基端面に開口する矩形断面の円周溝である。膨張室21aは、滑らかな内周円筒面21bを持つ。
ボディ11は、絞り弁21cを有して良い。絞り弁21cは、ボディ11の先端に配置された矩形断面の中空円筒である。絞り弁21cは、ボディ11の径方向外側に突出する。絞り弁21cは、滑らかな外周円筒面21dを有する。カバー23が加工位置1にあるときに、絞り弁21cは、膨張室21aの内部に挿入される。このとき、外周円筒面21dと内周円筒面21bとは、わずかな隙間21eを空けて面する。絞り弁21cの先端面と膨張室21aの底面とは、隙間21eに比べて十分に大きい間隔を有する。絞り弁21cと膨張室21aは、アキシャルラビリンスシールを構成する。加圧空気は、膨張室21a内で膨張して、わずかな隙間21eから排出される。これにより、膨張室21a内に流体の乱れが生じ、更に排出速度が上昇する。そして、カバー23とボディ11の隙間からの異物、蒸気や水分の進入を抑制する。
【0032】
工具ホルダ35は、第1ばね保持穴35aと、工具保持穴35bと、外円筒面35cと、第1ボール溝(第1回り止め溝)37と、を有する。工具ホルダ35は、直円筒状である。外円筒面35cは、工具ホルダ保持穴16mに摺動する。工具ホルダ35は、テーパ穴35dと、コレット35eと、を有しても良い。
第1ボール溝37は、外円筒面35c上に配置され、主軸16に沿って延びる。第1ボール溝37の横断面は、半円状である。第1ボール溝37の両端部37a(
図5参照)は、例えば半球状である。複数の第1ボール溝37は、中心軸9に対して回転対称に配置される。
【0033】
第1ばね保持穴35aは、工具ホルダ35の基端面に開口して、中心軸9に沿って延びる。第1ばね保持穴35aは、円筒穴である。第1ばね保持穴35aの内径は、コイルばね38の外径と実質的に等しい。
工具保持穴35bは、工具ホルダ35の先端面に開口して、中心軸9に沿って延びる。工具保持穴35bは、工具5のシャンク径と同径である。例えば、工具保持穴35bは、円筒穴である。工具保持穴35bには、ストレートシャンクを有する工具5が装着される。
【0034】
テーパ穴35dは、円錐台状の穴であり、中心軸9に沿って延びる。例えば、テーパ穴35dは、基端部に雌ねじを有する。コレット35eは、円錐台状であり、テーパ穴35dに嵌め合う。コレット35eは、例えば、摺割りや雄ねじを有し、テーパ穴35dに締め付けられる。これにより、コレット35eの内径を小さくし、工具5を締結する。
なお、第1ボール溝37は、先端方向に進むにつれて、主軸16の回転方向にねじれた螺旋状でも良い。例えば、螺旋のリード角は、60度~80度である。
【0035】
図4に示すように、工具ホルダ35は、空気流路35fを有しても良い。例えば、空気流路35fは、コレット35eの擦り割りでも良い。空気流路35fは、工具ホルダ35の先端部に開口し、工具ホルダ保持穴16mに接続する。加圧空気は、工具ホルダ35の先端から工具5に向かって噴射し、工具5を冷却する。また、加圧空気は、工具ホルダ保持穴16mと工具ホルダ35の外円筒面35cとの隙間から排出される。これにより、工具ホルダ保持穴16mに異物、蒸気や水分等が進入することが抑制される。
【0036】
コイルばね38は、圧縮コイルばねである。コイルばね38に替えて、立体板ばねなどの弾性ばねを利用してもよい。コイルばね38は、工具ホルダ35を先端方向に付勢する。コイルばね38は、第1ばね保持穴35aや第2ばね保持穴16kによって案内される。
【0037】
パッキン20は、Oリング等のリング状のパッキンである。パッキン20は、主軸16とカバー23との隙間を封止する。
【0038】
止め輪31は、円環状のリングである。止め輪31は、例えば、一部が切断された金属リングである。止め輪31は、例えば、同心止め輪である。止め輪31は、第1止め輪溝16e又は第2止め輪溝16fに装着される。第1止め輪溝16eに装着された止め輪31は、カバー23を加工位置1に保持する。止め輪31は、カバー23が着脱位置3へ不意に移動することや、主軸16から脱落することを防止する。
【0039】
モータ13が回転すると、出力軸13dの回転は、セレーション穴16aを介して、主軸16に伝達される。そして、第1ボール保持穴17に保持された第1ボール19と第1ボール溝37を介して、主軸16の回転が工具ホルダ35へ伝達される。また、第2ボール保持穴27に保持された第2ボール29と、第2ボール溝25によって、主軸16の回転がカバー23へ伝達される。そして、主軸16と、工具ホルダ35と、工具5と、カバー23が一体に回転する。
【0040】
ロボット2が処理工具10を移動させて、工具5をワーク4に押しつける。工具5がワーク4に接触すると、工具5はワーク4からスラスト力を受ける。すると、第1ボール19は第1ボール溝37の内部を相対的に移動して、工具ホルダ35が基端部へ移動する。工具ホルダ35は、ワーク4から受けたスラスト力と、コイルばね38の復元力がバランスした位置に到達する。ワーク4には、加工誤差や製造誤差があり、バリ等の除去物の位置や高さが異なる。処理工具10は、ワーク4の除去物の位置が異なる場合であっても、工具ホルダ35が伸縮することによって、工具5とワーク4の除去物との位置関係を自動調整する。これにより、ワーク4を実質的に同一に仕上げることができる。また、ワーク4の除去物の大きさやワーク4の表面の高さの変動を含む場合であっても、工具5の軌跡をワーク4の除去物の大きさやワーク4の表面の高さに追従させることができる。
【0041】
図5及び
図6を参照して、工具ホルダ35の脱着状態における処理工具10を説明する。
図5は、
図6のV-V線組み合わせ断面図である。
作業者やロボット2は、止め輪31を第2止め輪溝16fに移動させる。次いで、作業者やロボット2は、カバー23を加工位置1から先端方向へ移動させる。このとき、カバー23は、止め輪31に突き当たり、着脱位置3で止まる。
【0042】
第2ボール溝25は、主軸16と平行に延びる。そのため、第2ボール保持穴27に保持された第2ボール29と、第2ボール溝25に案内されて、カバー23は、回転せずに、主軸16に沿って先端方向へ移動する。
【0043】
工具ホルダ35は、コイルばね38によって先端方向に付勢される。第1ボール溝37の端部37aは球面状であり、端部37aの縦断面が中心軸9から傾斜する。そのため、工具ホルダ35が押し出されるときに、第1ボール19は、端部37aから径方向外側へ向かうコイルばね38の弾性力の分力を受ける。カバー23が着脱位置3にあるときに、逃し部26は、第1ボール保持穴17の延長上にある。そこで、
図6に示すように、第1ボール19は、第1ボール保持穴17に沿って、径方向外側に移動し、逃し部26内に収納される。このとき、第1ボール19は、工具ホルダ保持穴16mの円筒面の外側に移動し、第1ボール溝37から抜ける。コイルばね38は、引き続き工具ホルダ35を先端方向に付勢し、工具ホルダ35が主軸16から飛び出す。
【0044】
第1ボール保持穴17は、第1ボール抜け止め部17bを有する。そのため、工具ホルダ35が主軸16から取り外されても、第1ボール19は、工具ホルダ保持穴16mの内部に脱落しない。
第2ボール保持穴27は、第2ボール抜け止め部27aを有する。そのため、工具ホルダ35が主軸16から取り外されても、第2ボール29は、工具ホルダ保持穴16mの内部に脱落しない。そして、第2ボール29と第2ボール溝25によって、カバー23の回転方向は保持される。
【0045】
作業者やロボット2は、コイルばね38を第1ばね保持穴35aに挿入し、工具ホルダ35を工具ホルダ保持穴16mに挿入する。第1ボール溝37と第1ボール19の回転方向の位相が一致したときに、作業者やロボット2は、カバー23を着脱位置3から加工位置1に移動できる。次いで、作業者やロボット2は、カバー23が加工位置1にあるときに、止め輪31を第1止め輪溝16eへ移動できる。
【0046】
本実施形態の処理工具10によれば、工具ホルダ35を主軸16から容易に取り外せる。そのため、処理工具10と離れて、工具ホルダ35に対する工具5の装着や、工具5の長さを測定できる。工具5の交換を外段取りに出来るため、工具5を迅速に交換し、工具5の交換に伴う生産ラインの停止時間を短縮できる。
また、第2ボール29によってカバー23と主軸16が一体に回転する。そのため、カバー23と主軸16が相対的に回転することによるカバー23や主軸16の摩耗を抑制できる。
【0047】
工具ホルダ35の脱着時に、止め輪31が第2止め輪溝16fに移動される。そのため、作業者が止め輪31を第1止め輪溝16eに移動することを忘れた場合であっても、止め輪31が第2止め輪溝16fに装着されることによって、カバー23が脱落しない。
【0048】
カバー23は、軸方向に外力を受けていない。また、パッキン20は、主軸16が回転したときに、遠心力によって第2パッキン溝23cや軸部23bに密着する。これにより、パッキン20は、主軸16に対してカバー23が移動することを抑制する。そのため、仮に作業者が止め輪31を第1止め輪溝16eに戻すことを忘れたとしても、モータ13が主軸16を回転したときに、工具ホルダ35が工具ホルダ保持穴16mから脱落しない。
【0049】
<実施形態2>
図7及び
図8に示すように、本実施形態の処理工具100は、ボディ11と、モータ13と、主軸受15と、主軸116と、カバー123と、第1ボール19と、工具ホルダ35と、を有する。
図7は、
図8のVII-VII線組み合わせ断面図である。
図7及び
図8において、中心軸9の右半面は、カバー123が加工位置1にある状態を示す。また、
図7及び
図8において、中心軸9の左半面は、カバー123が着脱位置3にある状態を示す。
【0050】
主軸116は、細径部116nを有する。細径部116nの外面の半径は、中心軸9から第1ボール19の最外面までの距離よりも小さい。そして、カバー123が加工位置1にあるときに、第1ボール19は、中心軸9から見て、細径部116nよりも径方向外側に突出する。
【0051】
カバー123は、押さえ面124及び逃し部126を有する。カバー123の内面は、細径部116nに摺動する。押さえ面124及び逃し部126は、主軸16と平行に延びる。押さえ面124及び逃し部126は、連続した縦溝を形成する。押さえ面124及び逃し部126は、ほぼ半円形の横断面を有する。
カバー123が加工位置1にあるときに、押さえ面124は、第1ボール19と当接する。
図8に示すように、カバー123が加工位置1にあるときに、押さえ面124と第1ボール溝37の横断面は、第1ボール19と実質的に同一の径の円となる。
【0052】
逃し部126は、カバー123を加工位置1から着脱位置3に移動させながら、第1ボール保持穴17に沿って径方向外側に第1ボール19を移動させて、第1ボール19の表面と中心軸9との距離が工具ホルダ保持穴16mの半径に到達するまでの第1ボール19の軌跡と実質的に同一の形状を有する。
図8に示すように、逃し部126の横断面は、第1ボール19が第1ボール保持穴17に沿って工具ホルダ保持穴16mから逃げたときの、第1ボール19の断面と一致する。
図7に示すように、逃し部126と押さえ面124は、なだらかに接続される。
上記以外の処理工具100の構成は、実施形態1の処理工具10と実質的に等しい。
【0053】
作業者又はロボット2がカバー123を加工位置1から着脱位置3に移動させると、工具ホルダ35がコイルばね38によって押し出される。そして、第1ボール19は、第1ボール保持穴17に沿って主軸116からみて径方向外側に逃げて、逃し部126に収容される。第1ボール19が工具ホルダ保持穴16mの外側に移動するため、作業者又はロボット2は、工具ホルダ35を着脱できる。
【0054】
本実施形態によれば、カバー123が加工位置1から着脱位置3に移動するときに、第1ボール19が、一体に形成された押さえ面124及び逃し部126を含む縦溝内を移動する。そのため、カバー123と主軸116との回転位相は、第1ボール19、押さえ面124及び逃し部126によってずれることがない。そのため、第2回り止め体がなくても、主軸116とカバー23の位相が保持される。
【0055】
本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
5 工具
10、100 処理工具
11 ボディ
16、116 主軸
17 第1ボール保持穴(第1回り止め体保持穴)
19 第1ボール(第1回り止め体)
23、123 カバー
24、124 押さえ面
26、126 逃し部
35 工具ホルダ
38 コイルばね(弾性体)
【手続補正書】
【提出日】2022-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディと、
前記ボディに回転可能に支持された主軸であって、
先端方向に開口を有し、前記主軸に沿って延びる工具ホルダ保持穴と、
径方向に前記主軸を貫通する第1回り止め体保持穴と、
を有する主軸と、
工具が装着され、外周に形成される第1回り止め溝を有し、前記工具ホルダ保持穴内に着脱可能に挿入される工具ホルダと、
前記第1回り止め体保持穴に支持される回り止め体と、
前記主軸の先端部に配置され、前記主軸に沿って加工位置と着脱位置との間を往復するカバーであって、前記加工位置において、前記第1回り止め溝に前記回り止め体を突出させ、前記着脱位置において、前記第1回り止め体保持穴に前記回り止め体を収容するカバーと、
前記工具ホルダと前記工具ホルダ保持穴との間に配置され、前記工具ホルダを先端方向に付勢する弾性体と、
を有する処理工具。
【請求項2】
前記主軸は、第1パッキン溝を有し、
前記カバーは、内面であって、前記加工位置にあるときに、前記第1パッキン溝と軸方向において一致する位置に第2パッキン溝を有し、
前記第1パッキン溝に装着され、前記主軸と前記カバーとの間の隙間を封止するパッキンであって、処理工具が回転したときに、遠心力によって前記第2パッキン溝に密着するパッキンを更に有する、
請求項1に記載の処理工具。
【請求項3】
前記カバーは、
前記加工位置において、前記第1回り止め保持穴を覆う押さえ面と、
前記カバーの内側に配置され、径方向外側に凹む逃し部と、を有し、
前記回り止め体は、
前記カバーが前記加工位置に位置するときに、前記第1回り止め体保持穴と前記第1回り止め溝との間に挿入され、
前記カバーが前記着脱位置に位置し、前記工具が前記工具ホルダ保持穴から引き抜かれるときに、前記逃し部に収容される、
請求項1又は2に記載の処理工具。
【請求項4】
前記カバーは、基端方向に開口し、内周円筒面を有する環状溝である膨張室を有し、
前記ボディは、先端方向に配置され、外周円筒面を有する環状の絞り片であって、前記カバーが前記加工位置にあるときに、前記膨張室内に挿入され、前記内周円筒面と前記外周円筒面との間に隙間を形成する絞り片を有する、
請求項1~3のいずれかに記載の処理工具。
【請求項5】
前記ボディは、前記ボディ内に加圧空気を送り込む加圧空気導入口を有し、
前記加圧空気導入口から入れられた加圧空気が前記隙間から排出される、
請求項1~4のいずれかに記載の処理工具。
【請求項6】
前記主軸は、先端部の外周に配置された第1止め輪溝を有し、
前記第1止め輪溝に配置される止め輪であって、前記第1止め輪溝に配置されたときに、前記カバーを前記加工位置に保持する止め輪と、
を更に有する、請求項1~5のいずれかに記載の処理工具。
【請求項7】
前記主軸は、先端部の外周であって、前記第1止め輪溝よりも先端側に配置される第2止め輪溝を有し、
前記止め輪は、前記第1止め輪溝と前記第2止め輪溝との間を移動可能であって、前記第2止め輪溝に配置されたときに、前記カバーを前記着脱位置に保持する、
請求項6に記載の処理工具。
【請求項8】
前記第1回り止め溝は、前記主軸と平行に延びる、
請求項1~7のいずれかに記載の処理工具。
【請求項9】
前記主軸は、外周部に配置された第2回り止め体保持穴を有し、
前記カバーは、内周面に、前記主軸に沿って配置された第2回り止め溝を有し、
前記第2回り止め保持穴に支持され、前記第2回り止め保持穴と前記第2回り止め溝との間で移動する第2回り止め体を更に有する、
請求項1~8のいずれかに記載の処理工具。
【請求項10】
第2回り止め溝は、前記主軸と平行に延びる、
請求項9に記載の処理工具。
【請求項11】
前記ボディに配置され、前記主軸を回転させるモータを更に有する、
請求項1~10のいずれかに記載の処理工具。
【請求項12】
前記主軸は、
前記第1回り止め体保持穴において、前記第1回り止め体を保持する回り止め体保持面と、
前記回り止め体保持面に配置され、前記第1回り止め体の抜け止めを防止する回り止め体抜け止め部と、を有する、
請求項1~11のいずれかに記載の処理工具。
【請求項13】
前記回り止め体抜け止め部は、前記第1回り止め体に沿った保持球面を有する、
請求項12に記載の処理工具。
【請求項14】
前記工具は、前記工具ホルダに着脱可能である、
請求項1~13のいずれかに記載の処理工具。
【請求項15】
工具を着脱可能な処理工具であって、
ボディと、
前記ボディに回転可能に支持された主軸であって、
先端方向に開口を有し、前記主軸に沿って延びる工具ホルダ保持穴と、
径方向に前記主軸を貫通する第1回り止め体保持穴と、
を有する主軸と、
前記主軸の先端部に配置され、前記主軸に沿って加工位置と着脱位置との間を往復するカバーであって、
前記加工位置において、前記第1回り止め保持穴を覆う押さえ面と、
前記カバーの内側に配置され、径方向外側に凹む逃し部と、
を有するカバーと、
工具が装着され、外周に形成される第1回り止め溝を有し、前記工具ホルダ保持穴内に着脱可能に挿入される工具ホルダと、
前記カバーが前記加工位置に位置するときに、前記第1回り止め体保持穴に支持され、前記第1回り止め溝と前記押さえ面との間で移動する回り止め体であって、前記カバーが前記着脱位置に位置し、前記工具ホルダが前記工具ホルダ保持穴から引き抜かれるときに、前記逃し部に収容される回り止め体と、
前記工具ホルダと前記工具ホルダ保持穴との間に配置され、前記工具ホルダを先端方向に付勢する弾性体と、
を有する処理工具。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディと、
前記ボディに回転可能に支持された主軸であって、
先端方向に開口を有し、前記主軸に沿って延びる工具ホルダ保持穴と、
径方向に前記主軸を貫通する第1回り止め体保持穴と、
を有する主軸と、
前記主軸の先端部に配置され、前記主軸に沿って加工位置と着脱位置との間を往復するカバーであって、
前記加工位置において、前記第1回り止め体保持穴を覆う押さえ面と、
前記カバーの内側に配置され、径方向外側に凹む円周溝である逃し部と、
を有するカバーと、
工具が装着され、外周に形成される第1回り止め溝を有し、前記工具ホルダ保持穴内に着脱可能に挿入される工具ホルダと、
前記カバーが前記加工位置に位置するときに、前記第1回り止め体保持穴に支持され、前記第1回り止め溝と前記押さえ面との間で移動する回り止め体であって、前記カバーが前記着脱位置に位置し、前記工具ホルダが前記工具ホルダ保持穴から引き抜かれるときに、前記逃し部に収容される回り止め体と、
前記工具ホルダと前記工具ホルダ保持穴との間に配置され、前記工具ホルダを先端方向に付勢する弾性体と、
を有する処理工具。
【請求項2】
ボディと、
前記ボディに回転可能に支持された主軸であって、
先端方向に開口を有し、前記主軸に沿って延びる工具ホルダ保持穴と、
径方向に前記主軸を貫通する第1回り止め体保持穴と、
を有する主軸と、
工具が装着され、外周に形成される第1回り止め溝を有し、前記工具ホルダ保持穴内に着脱可能に挿入される工具ホルダと、
前記第1回り止め体保持穴に支持される回り止め体と、
前記主軸の先端部に配置され、前記主軸に沿って加工位置と着脱位置との間を往復するカバーであって、前記加工位置において、前記第1回り止め溝に前記回り止め体を突出させ、前記着脱位置において、前記第1回り止め体保持穴に前記回り止め体を収容するカバーと、
前記工具ホルダと前記工具ホルダ保持穴との間に配置され、前記工具ホルダを先端方向に付勢する弾性体と、
を有し、
前記主軸は、第1パッキン溝を有し、
前記カバーは、内面であって、前記加工位置にあるときに、前記第1パッキン溝と軸方向において一致する位置に第2パッキン溝を有し、
前記第1パッキン溝に装着され、前記主軸と前記カバーとの間の隙間を封止するパッキンであって、処理工具が回転したときに、遠心力によって前記第2パッキン溝に密着するパッキンを更に有する、処理工具。
【請求項3】
前記カバーは、
前記加工位置において、前記第1回り止め体保持穴を覆う押さえ面と、
前記カバーの内側に配置され、径方向外側に凹む逃し部と、を有し、
前記回り止め体は、
前記カバーが前記加工位置に位置するときに、前記第1回り止め体保持穴と前記第1回り止め溝との間に挿入され、
前記カバーが前記着脱位置に位置し、前記工具ホルダが前記工具ホルダ保持穴から引き抜かれるときに、前記逃し部に収容される、
請求項2に記載の処理工具。
【請求項4】
前記カバーは、基端方向に開口し、内周円筒面を有する環状溝である膨張室を有し、
前記ボディは、先端方向に配置され、外周円筒面を有する環状の絞り弁であって、前記カバーが前記加工位置にあるときに、前記膨張室内に挿入され、前記内周円筒面と前記外周円筒面との間に隙間を形成する絞り弁を有する、
請求項1~3のいずれかに記載の処理工具。
【請求項5】
前記ボディは、前記ボディ内に加圧空気を送り込む加圧空気導入口を有し、
前記加圧空気導入口から入れられた加圧空気が前記隙間から排出される、
請求項4に記載の処理工具。
【請求項6】
前記主軸は、先端部の外周に配置された第1止め輪溝を有し、
前記第1止め輪溝に配置される止め輪であって、前記第1止め輪溝に配置されたときに、前記カバーを前記加工位置に保持する止め輪と、
を更に有する、請求項1~5のいずれかに記載の処理工具。
【請求項7】
前記主軸は、先端部の外周であって、前記第1止め輪溝よりも先端側に配置される第2止め輪溝を有し、
前記止め輪は、前記第1止め輪溝と前記第2止め輪溝との間を移動可能であって、前記
第2止め輪溝に配置されたときに、前記カバーを前記着脱位置に保持する、
請求項6に記載の処理工具。
【請求項8】
前記第1回り止め溝は、前記主軸と平行に延びる、
請求項1~7のいずれかに記載の処理工具。
【請求項9】
前記主軸は、外周部に配置された第2回り止め体保持穴を有し、
前記カバーは、内周面に、前記主軸に沿って配置された第2回り止め溝を有し、
前記第2回り止め保持穴に支持され、前記第2回り止め保持穴と前記第2回り止め溝との間で移動する第2回り止め体を更に有する、
請求項1~8のいずれかに記載の処理工具。
【請求項10】
第2回り止め溝は、前記主軸と平行に延びる、
請求項9に記載の処理工具。
【請求項11】
前記ボディに配置され、前記主軸を回転させるモータを更に有する、
請求項1~10のいずれかに記載の処理工具。
【請求項12】
前記主軸は、
前記第1回り止め体保持穴において、前記第1回り止め体を保持する回り止め体保持面と、
前記回り止め体保持面に配置され、前記第1回り止め体の抜け止めを防止する回り止め体抜け止め部と、を有する、
請求項1~11のいずれかに記載の処理工具。
【請求項13】
前記回り止め体抜け止め部は、前記第1回り止め体に沿った保持球面を有する、
請求項12に記載の処理工具。
【請求項14】
前記工具は、前記工具ホルダに着脱可能である、
請求項1~13のいずれかに記載の処理工具。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディと、
前記ボディに回転可能に支持された主軸であって、
先端方向に開口を有し、前記主軸に沿って延びる工具ホルダ保持穴と、
径方向に前記主軸を貫通する第1回り止め体保持穴と、
を有する主軸と、
前記主軸の先端部に配置され、前記主軸に沿って加工位置と着脱位置との間を往復するカバーであって、
前記加工位置において、前記第1回り止め体保持穴を覆う押さえ面と、
前記カバーの内側に配置され、径方向外側に凹む円周溝である逃し部と、
を有するカバーと、
工具が装着され、外周に形成される第1回り止め溝を有し、前記工具ホルダ保持穴内に着脱可能に挿入される工具ホルダと、
前記カバーが前記加工位置に位置するときに、前記第1回り止め体保持穴に支持され、前記第1回り止め溝と前記押さえ面との間で移動する回り止め体であって、前記カバーが前記着脱位置に位置し、前記工具ホルダが前記工具ホルダ保持穴から引き抜かれるときに、前記逃し部に収容される回り止め体と、
前記工具ホルダと前記工具ホルダ保持穴との間に配置され、前記工具ホルダを先端方向に付勢する弾性体と、
を有し、
前記カバーは、基端方向に開口し、内周円筒面を有する環状溝である膨張室を有し、
前記ボディは、先端方向に配置され、外周円筒面を有する環状の絞り片であって、前記カバーが前記加工位置にあるときに、前記膨張室内に挿入され、前記内周円筒面と前記外周円筒面との間に隙間を形成する絞り片を有する、
処理工具。
【請求項2】
ボディと、
前記ボディに回転可能に支持された主軸であって、
先端方向に開口を有し、前記主軸に沿って延びる工具ホルダ保持穴と、
径方向に前記主軸を貫通する第1回り止め体保持穴と、
を有する主軸と、
工具が装着され、外周に形成される第1回り止め溝を有し、前記工具ホルダ保持穴内に着脱可能に挿入される工具ホルダと、
前記第1回り止め体保持穴に支持される回り止め体と、
前記主軸の先端部に配置され、前記主軸に沿って加工位置と着脱位置との間を往復するカバーであって、前記加工位置において、前記第1回り止め溝に前記回り止め体を突出させ、前記着脱位置において、前記第1回り止め体保持穴に前記回り止め体を収容するカバーと、
前記工具ホルダと前記工具ホルダ保持穴との間に配置され、前記工具ホルダを先端方向に付勢する弾性体と、
を有し、
前記主軸は、第1パッキン溝を有し、
前記カバーは、内面であって、前記加工位置にあるときに、前記第1パッキン溝と軸方向において一致する位置に第2パッキン溝を有し、
前記第1パッキン溝に装着され、前記主軸と前記カバーとの間の隙間を封止するパッキンであって、処理工具が回転したときに、遠心力によって前記第2パッキン溝に密着するパッキンを更に有する、処理工具。
【請求項3】
前記カバーは、
前記加工位置において、前記第1回り止め体保持穴を覆う押さえ面と、
前記カバーの内側に配置され、径方向外側に凹む逃し部と、を有し、
前記回り止め体は、
前記カバーが前記加工位置に位置するときに、前記第1回り止め体保持穴と前記第1回り止め溝との間に挿入され、
前記カバーが前記着脱位置に位置し、前記工具ホルダが前記工具ホルダ保持穴から引き抜かれるときに、前記逃し部に収容される、
請求項2に記載の処理工具。
【請求項4】
前記カバーは、基端方向に開口し、内周円筒面を有する環状溝である膨張室を有し、
前記ボディは、先端方向に配置され、外周円筒面を有する環状の絞り片であって、前記カバーが前記加工位置にあるときに、前記膨張室内に挿入され、前記内周円筒面と前記外周円筒面との間に隙間を形成する絞り片を有する、
請求項2又は3に記載の処理工具。
【請求項5】
前記ボディは、前記ボディ内に加圧空気を送り込む加圧空気導入口を有し、
前記加圧空気導入口から入れられた加圧空気が前記隙間から排出される、
請求項1又は4に記載の処理工具。
【請求項6】
前記主軸は、先端部の外周に配置された第1止め輪溝を有し、
前記第1止め輪溝に配置される止め輪であって、前記第1止め輪溝に配置されたときに、前記カバーを前記加工位置に保持する止め輪と、
を更に有する、請求項1~5のいずれかに記載の処理工具。
【請求項7】
前記主軸は、先端部の外周であって、前記第1止め輪溝よりも先端側に配置される第2止め輪溝を有し、
前記止め輪は、前記第1止め輪溝と前記第2止め輪溝との間を移動可能であって、前記第2止め輪溝に配置されたときに、前記カバーを前記着脱位置に保持する、
請求項6に記載の処理工具。
【請求項8】
前記第1回り止め溝は、前記主軸と平行に延びる、
請求項1~7のいずれかに記載の処理工具。
【請求項9】
前記主軸は、外周部に配置された第2回り止め体保持穴を有し、
前記カバーは、内周面に、前記主軸に沿って配置された第2回り止め溝を有し、
前記第2回り止め保持穴に支持され、前記第2回り止め保持穴と前記第2回り止め溝との間で移動する第2回り止め体を更に有する、
請求項1~8のいずれかに記載の処理工具。
【請求項10】
第2回り止め溝は、前記主軸と平行に延びる、
請求項9に記載の処理工具。
【請求項11】
前記ボディに配置され、前記主軸を回転させるモータを更に有する、
請求項1~10のいずれかに記載の処理工具。
【請求項12】
前記主軸は、
前記第1回り止め体保持穴において、前記第1回り止め体を保持する回り止め体保持面と、
前記回り止め体保持面に配置され、前記第1回り止め体の抜け止めを防止する回り止め体抜け止め部と、を有する、
請求項1~11のいずれかに記載の処理工具。
【請求項13】
前記回り止め体抜け止め部は、前記第1回り止め体に沿った保持球面を有する、
請求項12に記載の処理工具。
【請求項14】
前記工具は、前記工具ホルダに着脱可能である、
請求項1~13のいずれかに記載の処理工具。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
図3に示すように、カバー23は、膨張室21aを有して良い。膨張室21aは、カバー23の基端面に開口する矩形断面の円周溝である。膨張室21aは、滑らかな内周円筒面21bを持つ。
ボディ11は、
絞り片21cを有して良い。
絞り片21cは、ボディ11の先端に配置された矩形断面の中空円筒である。
絞り片21cは、ボディ11の径方向外側に突出する。
絞り片21cは、滑らかな外周円筒面21dを有する。カバー23が加工位置1にあるときに、
絞り片21cは、膨張室21aの内部に挿入される。このとき、外周円筒面21dと内周円筒面21bとは、わずかな隙間21eを空けて面する。
絞り片21cの先端面と膨張室21aの底面とは、隙間21eに比べて十分に大きい間隔を有する。
絞り片21cと膨張室21aは、アキシャルラビリンスシールを構成する。加圧空気は、膨張室21a内で膨張して、わずかな隙間21eから排出される。これにより、膨張室21a内に流体の乱れが生じ、更に排出速度が上昇する。そして、カバー23とボディ11の隙間からの異物、蒸気や水分の進入を抑制する。