(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127177
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】通信方法および通信システム
(51)【国際特許分類】
H04M 3/487 20060101AFI20230906BHJP
【FI】
H04M3/487
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030796
(22)【出願日】2022-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 優樹
(72)【発明者】
【氏名】岩田 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】井本 智大
【テーマコード(参考)】
5K201
【Fターム(参考)】
5K201BA06
5K201BB08
5K201BC27
5K201CB05
5K201CB06
5K201CC04
5K201ED05
(57)【要約】
【課題】ユーザから施設の関係者への連絡を容易にする。
【解決手段】通信システム1において、A駅S1の音響設備E1の放音装置EAは、A駅S1内に認証情報を送信する。通信システム1は、音響設備E1により送信された認証情報を受信したユーザ端末10-1から送信される接続要求に応じて、A駅S1の関係者C1が保持する関係者端末20-1とユーザ端末10-1との通信を開始する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内の送信機から前記施設内に認証情報を送信し、
前記送信機により送信された前記認証情報を受信したユーザ端末から送信される接続要求に応じて、前記施設の関係者が保持する関係者端末と前記ユーザ端末との通信を開始する
通信方法。
【請求項2】
前記認証情報の送信は、第1施設内の第1送信機から前記第1施設内に第1認証情報を送信することと、第2施設内の第2送信機から前記第2施設内に第2認証情報を送信することと、を含み、
前記通信の開始は、前記第1送信機により送信された前記第1認証情報を受信した第1ユーザ端末から送信される接続要求に応じて、前記第1施設および前記第2施設に関係する関係者端末と前記第1ユーザ端末との通信を開始することと、前記第2送信機により送信された前記第2認証情報を受信した第2ユーザ端末から送信される接続要求に応じて、前記関係者端末と前記第2ユーザ端末との通信を開始することと、を含む
請求項1記載の通信方法。
【請求項3】
前記接続要求は、前記ユーザ端末の位置を示す位置情報を含み、
前記関係者端末との通信において、前記関係者端末に前記ユーザ端末の位置が通知される
請求項1または2記載の通信方法。
【請求項4】
前記認証情報に基づいて、当該認証情報が送信される場所を特定可能であり、
前記位置情報は、前記ユーザ端末が受信した前記認証情報である
請求項3記載の通信方法。
【請求項5】
前記認証情報は、当該認証情報が送信される場所ごとに異なり、
前記認証情報に基づいて、前記関係者端末として接続する端末装置を特定する
請求項1から4のいずれか1項記載の通信方法。
【請求項6】
ユーザから、前記関係者端末との通信において用いるコミュニケーション態様の指定を受け付け、
前記関係者端末と前記ユーザ端末との通信において、前記ユーザが指定した前記コミュニケーション態様に対応するユーザインターフェースが前記関係者端末および前記ユーザ端末で起動する
請求項1から5のいずれか1項記載の通信方法。
【請求項7】
前記関係者端末との通信において用いる言語の選択をユーザから受け付け、
前記ユーザが選択した前記言語に基づいて、前記関係者端末として接続する端末装置を特定する
請求項1から6のいずれか1項記載の通信方法。
【請求項8】
前記認証情報は、第3認証情報であり、
前記通信の開始においては、前記第3認証情報を受信し、かつ前記施設内で取得可能な第4認証情報を有する前記ユーザ端末から送信される接続要求に応じて、前記関係者端末と前記ユーザ端末との通信を開始する
請求項1から7のいずれか1項記載の通信方法。
【請求項9】
施設内に設けられ、前記施設内に認証情報を送信する送信機と、
前記送信機により送信された前記認証情報を受信したユーザ端末から送信される接続要求に応じて、前記施設の関係者が保持する関係者端末と前記ユーザ端末との通信を開始する通信装置と、
を備える通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザが携帯するユーザ端末と施設の関係者が保持する関係者端末とを接続する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、施設を訪れたユーザが施設の関係者と会話するために、施設にインターホンが設けられている場合がある。例えば、下記特許文献1に開示された来訪者対応システムは、インターホンの玄関子機と、来訪者が居住者を呼び出す来訪者端末と、来訪者からの呼び出しに居住者が応答する居住者端末と、外部ネットワークに配置されたクラウドサーバを備える。玄関子機が、玄関子機の識別情報を含む情報コードを表示部に表示し、来訪者端末が、カメラで該情報コードを読み取り、呼出部を用いてクラウドサーバを介して居住者端末を呼び出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1では、玄関子機に表示された情報コードを読み取ることにより、来訪者が実際に居住者宅を訪れていることを確認している。特許文献1のような形態は、例えば住宅のような小規模かつ来訪者の移動経路が概ね定まっている施設では有効である。一方で、特許文献1を駅等の大規模な施設に適用した場合、ユーザは、情報コードの表示場所を特定し、表示場所まで移動しなければならない。施設の規模によっては、ユーザが情報コードにたどり着くことができず、関係者と連絡を取ることができない可能性がある。
【0005】
本開示の一つの態様は、ユーザから施設の関係者への連絡を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本開示のひとつの態様に係る通信方法は、施設内の送信機から前記施設内に認証情報を送信し、前記送信機により送信された前記認証情報を受信したユーザ端末から送信される接続要求に応じて、前記施設の関係者が保持する関係者端末と前記ユーザ端末との通信を開始する。
【0007】
また、本開示のひとつの態様に係る通信システムは、施設内の送信機から前記施設内に認証情報を送信する送信部と、前記送信機により送信された前記認証情報を受信したユーザ端末から送信される接続要求に応じて、前記施設の関係者が保持する関係者端末と前記ユーザ端末との通信を開始する接続部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る通信システム1の構成を例示する図である。
【
図2】音響設備E1,E2の構成を示すブロック図である。
【
図3】ユーザ端末10-1のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】ユーザ端末10-1の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図5】関係者端末20-1のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図6】関係者端末20-1の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図7】認証情報データベースDB1の一例を示す図である。
【
図8】案内サービスの表示画面を例示する図である。
【
図9】案内サービスの表示画面を例示する図である。
【
図10】案内サービスの表示画面を例示する図である。
【
図11】案内サービスの表示画面を例示する図である。
【
図12】案内サービスの表示画面を例示する図である。
【
図13】案内サービスの表示画面を例示する図である。
【
図14】関係者端末20-1の表示画面を例示する図である。
【
図15】制御装置11が案内サービスの関係者通信機能を実行する処理の具体的な手順を例示するフローチャートである。
【
図16】第2実施形態に係る通信システム2の構成を例示する図である。
【
図17】第2実施形態における認証情報データベースDB2の一例を示す図である。
【
図18】関係者端末20-1の表示画面を例示する図である。
【
図19】第3実施形態に係る通信システム3の構成を例示する図である。
【
図20】第3実施形態における認証情報データベースDB3の一例を示す図である。
【
図21】変形例における認証情報データベースDB4の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A:第1実施形態
図1は、第1実施形態に係る通信システム1の構成を例示する図である。通信システム1は、ユーザ端末10(10-1または10-2)と、関係者端末20(20-1または20-2)との間で通信を行うためのシステムである。ユーザ端末10-1,10-2および関係者端末20-1,20-2は、それぞれ通信網Nに接続されている。通信網Nは、インターネット等の広域網であってもよいし、施設の構内網(LAN:Local Area Network)であってもよい。
【0010】
ユーザ端末10-1は、ユーザU1が携帯する情報処理端末である。ユーザ端末10-1の位置と、ユーザU1の位置とは、同一視できるものとする。ユーザ端末10-2は、ユーザU2が携帯する情報処理端末である。ユーザ端末10-2の位置と、ユーザU2の位置とは、同一視できるものとする。ユーザ端末10-1,10-2は、例えばスマートフォン、タブレット、ノートパソコン等である。本実施形態では、ユーザ端末10-1,10-2はスマートフォンであるものとする。ユーザU1は、A駅S1に位置する。ユーザU2は、B駅S2に位置する。A駅S1およびB駅S2は鉄道の駅であり、ユーザU1,U2は鉄道の利用者であるものとする。
【0011】
A駅S1およびB駅S2は、施設の一例である。施設は、ユーザU1,U2が何らかの目的を持って滞在する場所である。施設は、例えばショッピングモール、デパート、コンビニエンスストア等、商品を販売する販売施設であってもよいし、遊園地、駅、病院等、商用サービスを提供するサービス施設であってもよいし、役所、図書館、公園等の公共サービスを提供する公共施設であってもよい。施設は、建屋を有していてもよいし、建屋を有していなくてもよい。
【0012】
A駅S1には、音響設備E1が設けられており、B駅S2には、音響設備E2が設けられている。
図2は、音響設備E1,E2の構成を示すブロック図である。音響設備E1,E2は、駅構内の相異なる場所に設置された少なくとも1つの放音装置(例えばスピーカ装置)EAと、放音装置EAから出力する音を再生する音響機器EBとを備える。本実施形態では、A駅S1およびB駅S2には、それぞれ複数の放音装置EAが設置されているものとする。音響設備E1,E2は、例えば駅構内におけるアナウンス音声を出力する。
【0013】
また、音響設備E1,E2は、駅毎に設定された認証情報を、駅構内に送信する。本実施形態では、音響設備E1,E2は、空気振動としての音波を伝送媒体とした音響通信で駅構内に認証情報を送信する。すなわち、放音装置EAは、施設内に設けられ、施設内に認証情報を送信する送信機として機能する。認証情報は、例えば駅毎に定められたコード等である。認証情報は、特定の範囲に限定的に送信される。例えばA駅S1の認証情報は、A駅S1の構内のみに送信され、B駅S2の認証情報は、B駅S2の構内のみに送信される。したがって、例えばA駅S1の認証情報を受信できたユーザ端末10‐1は、A駅S1の近傍に位置することが保証される。したがって、認証情報は、当該認証情報を送信する場所を識別するための情報である。
【0014】
認証情報の音響成分は、可聴帯域外の成分である。音響設備E1,E2は、例えば上述したアナウンス音声とともに認証情報を送信する。また、音響設備E1,E2は、周期的に認証情報を送信する。1個の音響設備E1またはE2における複数の放音装置EAからは、共通の認証情報が送信されてもよいし、別個の認証情報が送信されてもよい。本実施形態では、A駅S1の音響設備E1の複数の放音装置EAは、同一の認証情報(A駅S1の認証情報)を送信する。また、B駅S2の音響設備E2の複数の放音装置EAは、同一の認証情報(B駅S2の認証情報)を送信する。
【0015】
関係者端末20-1は、A駅S1の関係者C1が保持する情報処理端末である。関係者端末20-2は、B駅S2の関係者C2が保持する情報処理端末である。例えばスマートフォン、タブレット、ノートパソコン、デスクトップパソコン、電話機等である。本実施形態では、関係者端末20-1,20-2はタブレットであるものとする。関係者端末20-1は、第1関係者拠点K1に配置されている。第1関係者拠点K1は、A駅S1から離れた遠隔地に設けられていてもよいし、A駅S1内に設けられていてもよい。例えば、第1関係者拠点K1が、A駅S1内の駅員室であってもよい。また、関係者端末20-2は、第2関係者拠点K2に配置されている。第2関係者拠点K2は、B駅S2から離れた遠隔地に設けられていてもよいし、B駅S2内に設けられていてもよい。例えば、第2関係者拠点K2が、B駅S2内の駅員室であってもよい。
【0016】
関係者C1は、A駅S1に関係する人物である。関係者C1は、A駅S1に関する問い合わせに答えられる人材が好ましい。関係者C1は、例えばA駅S1の駅員、A駅S1内の店舗の従業員、A駅S1の管理者、A駅S1の管理者から委託を受けた者、鉄道事業者の職員等である。第1実施形態では、関係者C1は、A駅S1の駅員であるものとする。同様に、関係者C2は、B駅S2に関係する人物である。
【0017】
図3は、ユーザ端末10-1のハードウェア構成を示すブロック図である。ユーザ端末10-2も、同様の構成を有する。ユーザ端末10-1は、制御装置11と、記憶装置12と、収音装置13と、放音装置14と、操作装置15と、表示装置16と、通信装置17と、撮像装置18とを備える。
【0018】
制御装置11は、ユーザ端末10-1の各要素を制御する単数または複数のプロセッサで構成される。例えば、制御装置11は、CPU(Central Processing Unit)、SPU(Sound Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の1種類以上のプロセッサにより構成される。
【0019】
記憶装置12は、制御装置11が実行するプログラムを記憶する、単数または複数のメモリである。記憶装置12は、例えば磁気記録媒体もしくは半導体記録媒体等の公知の記録媒体、または、複数種の記録媒体の組合せで構成される。なお、ユーザ端末10-1に対して着脱される可搬型の記録媒体、または通信網を介して制御装置11が書込または読出を実行可能な記録媒体(例えばクラウドストレージ)を、記憶装置12として利用してもよい。
【0020】
本実施形態では、記憶装置12が記憶するプログラムは、駅の案内サービスを提供するためのプログラム(案内プログラム)を含む。案内サービスは、A駅S1を停車駅として含む鉄道の運営会社が提供する、鉄道路線上の各駅の案内を行うサービスである。案内サービスは、ユーザU1の位置に関わらず利用可能である。ユーザU1は、例えば案内サービスを用いて、鉄道に乗る前に自宅で降車駅の構内案内図を確認したり、降車後に駅周辺の地図を確認することができる。また、案内サービスは、ユーザ端末10-1と関係者端末20-1とを通信網Nを介して接続する関係者通信機能を有する。関係者通信機能を用いることにより、ユーザU1と駅の関係者C1とがリアルタイムにコミュニケーションを取ることが可能となる。
【0021】
収音装置13は、周囲の音(空気振動)を検出して音響信号として出力する。収音装置13は、例えばマイクロホンである。なお、ユーザ端末10-1とは別体の収音装置13を、ユーザ端末10-1に対して有線または無線により接続してもよい。
【0022】
放音装置14は、音響信号が表す音を再生する。放音装置14は、例えばスピーカまたはヘッドホンである。なお、音響信号をデジタルからアナログに変換するD/A変換器と、音響信号を増幅する増幅器とは、便宜的に図示が省略されている。また、ユーザ端末10-1とは別体の放音装置14を、ユーザ端末10-1に対して有線または無線により接続してもよい。
【0023】
操作装置15は、ユーザU1からの指示を受け付ける入力機器である。操作装置15は、例えば、ユーザU1が操作する操作子、または、ユーザU1による接触を検知するタッチパネルである。本実施形態では、操作装置15としてタッチパネルT1(
図8等参照)を用いるものとする。この場合、タッチパネルT1は、操作装置15と後述する表示装置16を兼ねている。なお、ユーザ端末10-1とは別体の操作装置15(例えばマウスまたはキーボード)を、ユーザ端末10-1に対して有線または無線により接続してもよい。
【0024】
表示装置16は、制御装置11による制御のもとで画像を表示する。例えば液晶表示パネルまたは有機EL(Electroluminescence)パネル等の各種の表示パネルが表示装置16として利用される。なお、ユーザ端末10-1とは別体の表示装置16を、ユーザ端末10-1に対して有線または無線により接続してもよい。
【0025】
通信装置17は、通信網Nを介して関係者端末20-1と通信する。撮像装置18は、レンズ等の受光光学系と、受光光学系で集光される光を電気信号に変換する撮像素子等を含み、ユーザ端末10-1周辺を撮像した撮像画像を生成する。
【0026】
図4は、制御装置11の機能的な構成を例示するブロック図である。制御装置11は、上記プログラムを実行することにより、表示制御部110、設定受付部111、案内情報取得部112、認証情報取得部114および通信制御部116として機能する。
【0027】
表示制御部110は、タッチパネルT1の表示を制御する。設定受付部111は、案内サービスに関する各種設定をユーザU1から受け付ける。案内情報取得部112は、案内サービス実行時にユーザU1によって指定された案内情報を取得する。認証情報取得部114は、駅構内で送信される認証情報を取得する。通信制御部116は、通信装置17を用いた通信を制御する。本実施形態では、通信制御部116は、通信装置17を用いたユーザ端末10-1と関係者端末20-1との間の通信を制御する。
【0028】
図5は、関係者端末20-1のハードウェア構成を示すブロック図である。関係者端末20-2も、同様の構成を有する。関係者端末20-1は、制御装置21と、記憶装置22と、収音装置23と、放音装置24と、操作装置25と、表示装置26と、通信装置27と、撮像装置28とを備える。
【0029】
制御装置21は、関係者端末20-1の各要素を制御する単数または複数のプロセッサで構成される。例えば、制御装置21は、CPU、SPU、DSP、FPGA、またはASIC等の1種類以上のプロセッサにより構成される。
【0030】
記憶装置22は、制御装置21が実行するプログラムと、制御装置21が使用する各種のデータとを記憶する単数または複数のメモリである。記憶装置22は、例えば磁気記録媒体もしくは半導体記録媒体等の公知の記録媒体、または、複数種の記録媒体の組合せで構成される。なお、関係者端末20-1に対して着脱される可搬型の記録媒体、または通信網を介して制御装置21が書込または読出を実行可能な記録媒体(例えばクラウドストレージ)を、記憶装置22として利用してもよい。
【0031】
本実施形態では、記憶装置22が記憶するプログラムは、案内サービスの関係者通信機能を用いた、ユーザ端末10-1との通信を実行するためのプログラムを含む。
【0032】
収音装置23は、周囲の音(空気振動)を検出して音響信号として出力する。収音装置23は、例えばマイクロホンである。なお、関係者端末20-1とは別体の収音装置23を、関係者端末20-1に対して有線または無線により接続してもよい。
【0033】
放音装置24は、音響信号が表す音を再生する。放音装置24は、例えばスピーカまたはヘッドホンである。なお、音響信号をデジタルからアナログに変換するD/A変換器と、音響信号を増幅する増幅器とは、便宜的に図示が省略されている。また、関係者端末20-1とは別体の放音装置24を、関係者端末20-1に対して有線または無線により接続してもよい。
【0034】
操作装置25は、関係者C1からの指示を受け付ける入力機器である。操作装置25は、例えば、関係者C1が操作する操作子、または、関係者C1による接触を検知するタッチパネルである。本実施形態では、操作装置25としてタッチパネルT2(
図14等参照)を用いるものとする。この場合、タッチパネルT2は、操作装置25と後述する表示装置26を兼ねている。なお、関係者端末20-1とは別体の操作装置25(例えばマウスまたはキーボード)を、関係者端末20-1に対して有線または無線により接続してもよい。
【0035】
表示装置26は、制御装置21による制御のもとで画像を表示する。例えば液晶表示パネルまたは有機ELパネル等の各種の表示パネルが表示装置26として利用される。なお、関係者端末20-1とは別体の表示装置26を、関係者端末20-1に対して有線または無線により接続してもよい。
【0036】
通信装置27は、通信網Nを介してユーザ端末10-1と通信する。撮像装置28は、レンズ等の受光光学系と、受光光学系で集光される光を電気信号に変換する撮像素子等を含み、関係者端末20-1の周辺を撮像した撮像画像を生成する。
【0037】
図6は、制御装置21の機能的な構成を例示するブロック図である。制御装置21は、上記プログラムを実行することにより、表示制御部210および通信制御部212として機能する。
【0038】
表示制御部210は、タッチパネルT2の表示を制御する。通信制御部212は、通信装置27を用いた通信を制御する。本実施形態では、通信制御部212は、通信装置27を用いた関係者端末20-1とユーザ端末10-1との間の通信を制御する。
【0039】
つぎに、案内サービスおよび関係者通信機能の詳細について説明する。以下では、主にA駅S1に位置するユーザ端末10-1と、関係者端末20-1との間の通信を例にして説明する。
【0040】
図8~
図13は、案内サービスの表示画面を例示する図である。ユーザU1がユーザ端末10-1上で案内サービスを起動させると、表示制御部110は、
図8に示す表示画面SC1をタッチパネルT1に表示する。表示画面SC1は、鉄道の駅名表示SI(SI1~SI5)と、設定ボタンTIとを含む。
【0041】
表示画面SC1において、ユーザU1が案内を受けたい駅の駅名表示SIをタップすると、表示制御部110は、
図9に示す表示画面SC2をタッチパネルT1に表示する。表示画面SC2は、A駅S1に対応する駅名表示SI1がタップされた場合に表示される画面である。表示画面SC2は、案内対象である駅の駅名を示す駅名表示NEと、案内メニューME(ME1~ME5)を含む。案内メニューMEは、案内ボタンME1、地図ボタンME2、時刻表ボタンME3、Q&AボタンME4、呼び出しボタンME5を含む。
【0042】
案内ボタンME1が選択されると、案内情報取得部112は、A駅S1の構内案内図を取得する。表示制御部110は、案内情報取得部112が取得した構内案内図をタッチパネルT1に表示する。同様に、地図ボタンME2が選択されると、案内情報取得部112がA駅S1の周辺地図を取得し、表示制御部110が周辺地図をタッチパネルT1に表示する。時刻表ボタンME3が選択されると、案内情報取得部112がA駅S1の時刻表を取得し、表示制御部110が時刻表をタッチパネルT1に表示する。
【0043】
Q&AボタンME4が選択されると、案内情報取得部112がA駅S1に関する問答集を取得し、表示制御部110が問答集をタッチパネルT1に表示する。問答集の内容は、例えば「おむつ交換台はありますか?」など、A駅S1の設備に関する質問等が想定される。なお、問答集は、複数の質問の中からユーザU1が参照したい質問を選択する形態に限らず、例えばAI(Artificial Intelligence)チャットボットのような対話式の形態であってもよい。
【0044】
案内情報取得部112が取得する、構内案内図、周辺地図、時刻表および問答集を、「案内情報」とする。案内情報は、比較的変化が少ない情報である。よって、例えば案内サービスで使用するデータの一部として、案内情報を記憶装置12に記憶してもよい。この場合、案内情報取得部112は、記憶装置12から案内情報を読み出す。または、通信網Nに接続された情報提供サーバ(図示なし)を設け、案内情報を記憶するようにしてもよい。この場合、案内情報取得部112は、情報提供サーバから案内情報を受信する。
【0045】
呼び出しボタンME5が選択されると、通信制御部116は、ユーザ端末10-1と関係者端末20-1との間の通信を開始する。すなわち、呼び出しボタンME5が選択された場合、駅の関係者C1を呼び出して、ユーザU1と駅の関係者C1とがリアルタイムにコミュニケーションを取ることが可能となる。以下、ユーザ端末10-1と関係者端末20-1との間で通信する機能を「関係者通信機能」という。
【0046】
関係者通信機能は、例えば駅構内でユーザU1にトラブルが生じた場合や、案内メニューME1~ME4を選択して表示される情報を参照してもユーザU1の知りたい情報が得られなかった場合の利用が想定される。一方で、関係者通信機能を常時有効にすると、いたずらや誤操作での呼び出しにより、関係者C1の業務に支障が生じる可能性がある。よって、通信制御部116は、ユーザ端末10-1がA駅S1に位置する場合のみ、関係者端末20-1との通信を有効とする。
【0047】
通信制御部116は、認証情報取得部114が取得する認証情報を用いてユーザU1がA駅S1にいるか否かを判断する。本実施形態では、認証情報取得部114は、音響設備E1から音響通信により送信される認証情報を受信する。より詳細には、認証情報取得部114は、収音装置13で収音されたユーザ端末10-1の周囲の音を示す音響信号を取得する。認証情報取得部114は、音響信号に音響通信の成分が含まれている場合、当該音響信号に対する所定の信号処理により認証情報を抽出する。音響通信は、音響設備E1から出力される音の届く範囲が通信範囲となる。よって、ユーザ端末10-1が、A駅S1に対応する認証情報を受信している場合には、ユーザ端末10-1およびユーザU1はA駅S1にいると判断できる。一方、ユーザ端末10-1が、A駅S1に対応する認証情報を受信していない場合には、ユーザ端末10-1およびユーザU1はA駅S1にいないと判断できる。
【0048】
音響通信を用いて認証情報を送信することにより、ユーザU1は自発的に認証情報を取得する必要がなく、ユーザU1の利便性を向上させることができる。特に、例えばユーザU1がユーザ端末10-1の操作に不慣れな場合や、駅構内でのスムーズな移動が困難な場合等に有効である。なお、ユーザU1が自発的に認証情報を取得する例としては、例えばA駅S1に表示された情報コードをユーザ端末10-1の撮像装置18で読み取る等が挙げられる。
【0049】
また、音響通信を用いることにより、例えばGPS(Global Positioning System)の位置情報を用いるのと比較して、より高精度にユーザ端末10-1がA駅S1に位置するのを検出できる。例えば、一般に、駅のホームは線路の延在方向に数十メートルの長さを有する。よって、A駅S1の代表地点の位置情報と、A駅S1のホームの端部の位置情報とが一致せず、ホームの端部にいるユーザ端末10-1がA駅S1に位置すると認識できない場合がある。これに対して、A駅S1のホームの各所に配置された放音装置EAから認証情報を送信すれば、ホームに位置する端に位置するユーザ端末10-1でも認証情報を受信することができ、ユーザ端末10-1がA駅に位置するのを検出できる。
【0050】
図7は、認証情報データベースDB1の一例を示す図である。認証情報データベースDB1は、記憶装置12に記憶されている。認証情報データベースDB1は、例えば案内プログラムに予め含まれていてもよい。また、認証情報データベースDB1は、認証情報の取得をトリガーとして、またはユーザU1の指示により、図示しない認証情報提供サーバから取得されてもよい。
【0051】
認証情報データベースDB1は、駅名情報D1と、認証情報D2と、接続先情報D3とを含んだレコードR(R1~R3)を含む。駅名情報D1は、施設の識別子である駅名を示す。認証情報D2は、駅毎に定められたコードである。接続先情報D3は、各駅の関係者端末20-1,20-2を通信網N上で識別するためのアドレスである。なお、接続先情報D3は、例えばIPアドレスであってもよいし、関係者端末20-1,20-2が電話機である場合には電話番号であってもよい。
【0052】
図7に示すように、認証情報D2は、当該認証情報が送信される場所(駅)ごとに異なる。また、関係者端末は各駅に対応して設けられており、それぞれ接続先情報D3が異なる。ユーザ端末10-1は、認証情報を受信することにより、複数の関係者端末の中から、A駅S1に対応する関係者端末20-1を特定することができる。すなわち、ユーザ端末10-1は、認証情報に基づいて、関係者端末として接続する端末装置を特定する。
【0053】
なお、認証情報D2は、所定時間毎に変更されてもよい。これは、例えば過去にA駅S1に立ち寄ったユーザ端末10-1が、A駅S1を離れた後も繰り返しA駅S1の認証情報を使用して関係者通信機能を有効にするのを防止するためである。
【0054】
通信制御部116は、認証情報取得部114が取得した認証情報が、認証情報データベースDB1のいずれかのレコードRの認証情報D2と一致するか否かを判断する。認証情報取得部114が取得した認証情報が、いずれかのレコードRの認証情報D2と一致する場合、通信制御部116は、当該レコードRの駅名情報D1が示す駅名と、案内サービス上で選択されている駅の駅名とが一致するか否かを判断する。駅名が一致する場合、通信制御部116は、当該駅の関係者に対する関係者通信機能を有効にする。また、駅名が一致しない場合、または認証情報を取得できない場合、通信制御部116は、駅の関係者に対する関係者通信機能を無効にする。
【0055】
例えば、ユーザ端末10-1で、A駅S1の認証情報を取得できない場合、通信制御部116は、A駅S1の関係者C1に対する関係者通信機能を無効にする。表示制御部110は、例えば
図10に示す表示画面SC3のように、呼び出しボタンME5をグレーアウトして表示する。ユーザU1は、呼び出しボタンME5がグレーアウトして表示されていることから、A駅S1の関係者C1に対する関係者通信機能が無効であることを認識することができる。この場合、ユーザU1が呼び出しボタンME5をタップしても、関係者通信機能は起動しない。
【0056】
なお、関係者通信機能の無効を通知する方法は、呼び出しボタンME5のグレーアウトに限らない。例えば、ユーザU1が呼び出しボタンME5を選択したタイミング、または呼び出しボタンME5を選択後、通信の開始をユーザU1が指示したタイミングで「この機能はA駅外では使用できません」などのエラーメッセージを表示してもよい。
【0057】
一方、ユーザ端末10-1で、A駅S1の認証情報を取得できる場合、通信制御部116は、A駅S1の関係者C1に対する関係者通信機能を有効にする。表示制御部110は、呼び出しボタンME5は、他の案内メニューME1~ME4と同様に、グレーアウトせずに表示する。ユーザU1は、呼び出しボタンME5が他の案内メニューME1~ME4と同様に表示されていることから、関係者通信機能が有効であることを認識することができる。ユーザU1が呼び出しボタンME5をタップすると、関係者通信機能が起動する。
【0058】
関係者通信機能が起動すると、表示制御部110は、予めユーザU1が指定したコミュニケーション態様に対応するユーザインターフェースを表示させる。コミュニケーション態様とは、例えばユーザU1と関係者C1とがコミュニケーションを取る際に用いる言語および手法である。コミュニケーション態様の指定は、例えば
図8に示す表示画面SC1の設定ボタンTIを選択することによって行うことができる。
【0059】
図8に示す表示画面SC1の設定ボタンTIが選択されると、表示制御部110は、
図11に示す設定画面SC4を表示する。設定画面SC4は、言語設定表示SE1と、コミュニケーション手法設定表示SE2とを含む。本実施形態では、ユーザU1は、言語として、日本語または英語を指定可能であるものとする。ユーザU1は、言語設定表示SE1において、日本語または英語のいずれかのラジオボタンを選択することにより、言語を指定する。設定受付部111は、ユーザU1が指定した言語の設定を受け付ける。すなわち、設定受付部111は、関係者端末20-1との通信において用いる言語の選択をユーザU1から受け付ける。
【0060】
なお、言語の指定を案内サービス上で行うのではなく、例えばユーザ端末10-1のオペレーションシステムで指定された言語に基づいて、自動的に言語を識別してもよい。また、言語設定表示SE1で英語が選択された場合、例えば
図9に示す表示画面SC2の案内メニューME1~ME5等、案内サービスで表示される文字表記が英語に変更されてもよい。
【0061】
また、本実施形態では、ユーザU1は、コミュニケーション手法として、音声通話、テレビ通話、テキストチャットのいずれかを選択可能であるものとする。ユーザU1は、コミュニケーション手法設定表示SE2において、音声通話、テレビ通話、テキストチャットのうち、いずれかのラジオボタンを選択することにより、コミュニケーション手法を指定する。設定受付部111は、ユーザU1が指定したコミュニケーション手法の設定を受け付ける。
【0062】
例えば、コミュニケーション手法としてテレビ通話が選択されている場合、関係者通信機能が起動されると、表示制御部110は、
図12に示す表示画面SC5を表示する。表示画面SC5は、ユーザU1を撮像した撮像画像であるユーザ画像PC1と、通話先である関係者C1の画像が表示される表示領域PC2と、通話開始ボタンBT1とを含む。ユーザ画像PC1は、ユーザ端末10-1の撮像装置18により撮像される。通話開始ボタンBT1がタッチされると、通信制御部116は、
図7に示す認証情報データベースDB1のうち、A駅S1に対応するレコードR1の接続先情報D3が示す送信先に対して、接続要求を発信する。レコードR1の接続先情報D3は、関係者端末20-1のアドレスである。
【0063】
接続要求とは、端末間での通信を開始する際に、一方の端末が他方の端末へと送信する情報である。他方の端末が接続要求を了承した場合、端末間での通信が可能となる。接続要求には、例えばユーザ端末10-1を識別する端末識別情報を含めてもよい。端末識別情報を関係者端末20-1で表示することにより、例えばいたずら通話を繰り返すユーザからの接続要求を、関係者C1が拒否することができる。また、接続要求には、ユーザ端末10-1で指定されているコミュニケーション手法を示す情報を含めてもよい。これにより、当該コミュニケーション手法に即したインターフェースを関係者端末20-1で表示したり、関係者C1が当該コミュニケーション手法に対応する準備を行うことができる。
【0064】
なお、コミュニケーション手法として、音声通話が選択されている場合、関係者通信機能が起動されると、表示制御部110は、タッチパネルT1に通話開始ボタンBT1を表示する。また、コミュニケーション手法として、テキストチャットが選択されている場合、関係者通信機能が起動されると、表示制御部110は、タッチパネルT1にテキスト入力領域と、ソフトウェアキーボードと、送信ボタンとを表示する。ユーザU1がテキストを入力後、送信ボタンをタッチすると、通信制御部116は、レコードR1の接続先情報D3に対して接続要求を発信する。なお、ソフトウェアキーボードに代えて、音声入力を選択できるようにしてもよいし、手書き入力(筆談)を選択できるようにしてもよい。
【0065】
また、言語の種類として、手話が指定できてもよい。言語の種類として手話が選択されている場合には、コミュニケーション手法がテレビ通話に自動選択されてもよい。
【0066】
図14は、関係者端末20-1の表示画面を例示する図である。ユーザ端末10-1からの接続要求を受信すると、関係者端末20-1の表示制御部210は、タッチパネルT2に
図14に示す表示画面SD1を表示する。表示画面SD1は、ユーザ端末10-1からのテレビ通話での呼び出し(着信)があることを示すメッセージMC1と、ユーザ端末10-1の端末識別子MC2と、関係者C1を撮像した撮像画像である関係者画像PC3と、通話先であるユーザU1の画像が表示される表示領域PC4と、通話開始ボタンBT3と、通話拒否ボタンBT4とを含む。関係者画像PC3は撮像装置28により撮像される。関係者C1が通話開始ボタンBT3をタッチすると、接続要求が了承され、通信制御部212は、ユーザ端末10-1との通信を開始する。これにより、ユーザU1と関係者C1とが通話可能となる。
【0067】
関係者C1が通話開始ボタンBT3をタッチすると、ユーザ端末10-1のタッチパネルT1には、
図13に示す表示画面SC6が表示される。表示画面SC6は、ユーザ画像PC1と、関係者C1を撮像した関係者画像PC3と、通話終了ボタンBT2とを含む。ユーザU1は、関係者画像PC3を参照しながら、関係者C1と会話することができる。ユーザU1と関係者C1との会話に際しては、ユーザU1が発話した音声はユーザ端末10-1の収音装置13により収音され、関係者端末20-1の放音装置24から放音される。また、関係者C1が発話した音声は関係者端末20-1の収音装置23により収音され、ユーザ端末10-1の放音装置14から放音される。通話終了ボタンBT2がタッチされた場合、または、関係者端末20-1側から通話が終了された場合、通信制御部116は、関係者端末20-1との通信を終了する。
【0068】
なお、
図14の表示画面SD1で、関係者C1が通話拒否ボタンBT4をタッチすると、ユーザ端末10-1との通信が開始されず、例えばユーザ端末10-1に「通話が拒否されました」等のメッセージが表示される。
【0069】
以上のように、通信システム1において、音響設備E1の放音装置EAは、A駅S1内に認証情報を送信する。関係者端末20-1の通信制御部212は、音響設備E1により送信された認証情報を受信したユーザ端末10-1から送信される接続要求に応じて、A駅S1の関係者C1が保持する関係者端末20-1とユーザ端末10-1との通信を開始する。
【0070】
また、設定受付部111は、ユーザU1から、関係者端末20-1との通信において用いるコミュニケーション態様の指定を受け付ける。表示制御部110および210は、関係者端末20-1とユーザ端末10-1との通信において、ユーザU1が指定したコミュニケーション態様に対応するユーザインターフェース(例えば、
図12の表示画面SC5および
図14の表示画面SD1)を関係者端末20-1およびユーザ端末10-1で起動する。
【0071】
図15は、制御装置11が案内サービスの関係者通信機能を実行する処理の具体的な手順を例示するフローチャートである。例えば操作装置15に対するユーザU1からの指示を契機として案内サービスが起動される。なお、
図15の処理と平行して、制御装置11は、案内サービスの関係者通信機能以外の処理も実行する。すなわち、制御装置11(案内情報取得部112)は、ユーザU1により指定された案内情報を取得する。また、制御装置11(表示制御部110)は、取得した案内情報をタッチパネルT1に表示する。
【0072】
案内サービスの起動中、制御装置11(認証情報取得部114)は、音響通信を用いて送信される認証情報を取得したか否かを判断する(ステップS100)。認証情報を取得した、とは、音響通信により何らかの情報を受信し、かつその情報が認証情報データベースDB1のいずれかのレコードRの認証情報D2と一致することに対応する。
【0073】
認証情報を取得した場合(ステップS100:YES)、制御装置11(通信制御部116)は、取得した認証情報と、案内サービス上で現在選択されている駅の認証情報とが一致するか否かを判断する(ステップS102)。具体的には、制御装置11(通信制御部116)は、取得した認証情報と一致する認証情報D2を有するレコードRの駅名情報D1が示す駅名と、案内サービス上で現在選択されている駅の駅名とが一致するかを判断する。
【0074】
認証情報が一致する場合(ステップS102:YES)、制御装置11(通信制御部116)は、当該駅に対する関係者通信機能を有効にする(ステップS104)。この場合、表示制御部110は、
図9に示すように、選択されている駅における呼び出しボタンME5を他の案内メニューME1~ME4と同様に表示する。
【0075】
一方、認証情報が一致しない場合(ステップS102:NO)、または、ステップS100で認証情報を取得できない場合(ステップS100:NO)、制御装置11(通信制御部116)は、当該駅に対する関係者通信機能を無効にする(ステップS106)。この場合、表示制御部110は、
図10に示すように、呼び出しボタンME5をグレーアウトして表示する。
【0076】
ステップS104で関係者通信機能が有効となった場合、ユーザU1から関係者端末20-1への通信の開始が指示されると(ステップS108:YES)、制御装置11(通信制御部116)は、関係者端末20-1に接続要求を発信する(ステップS110)。制御装置11(通信制御部116)は、関係者端末20-1が接続要求に応答するまで待機し(ステップS112:NO)、関係者端末20-1が接続要求に応答すると(ステップS112:YES)、関係者端末20-1との間で通信を行う(ステップS114)。なお、関係者端末20-1からの応答が所定時間以上ない場合、制御装置11(通信制御部116および表示制御部110)は、接続要求を取り消し、タッチパネルT1に「応答がありません」等のメッセージを表示してもよい。
【0077】
制御装置11(通信制御部116)は、ユーザU1または関係者端末20-1から通信の終了が指示されるまでは(ステップS116:NO)、ステップS114に戻り、通信を継続する。ユーザU1または関係者端末20-1から通信の終了が指示されると(ステップS116:YES)、制御装置11(通信制御部116)は、関係者端末20-1との通信を終了して(ステップS118)、処理をステップS100に戻す。なお、ステップS108でユーザU1から通信の開始が指示されない場合も(ステップS108:NO)、制御装置11は、処理をステップS100に戻す。
【0078】
なお、ステップS102の処理は省略されてもよい。例えば、制御装置11(通信制御部116および表示制御部110)は、認証情報を受信した場合(ステップS100:YES)、関係者通信機能を有効とし(ステップS104)、通信開始ボタンをタッチパネルT1に表示する。この通信開始ボタンは、ユーザ端末10-1が受信した認証情報に対応する関係者端末への通信を開始するためのボタンである。例えば、A駅S1にいるユーザU1が、案内サービス上でB駅S2に関する情報を見ている場合であっても、通信開始ボタンをタップすると(ステップS108:YES)、A駅S1の関係者端末20-1への接続要求が発信される(ステップS110)。
【0079】
以上の通り、第1実施形態においては、A駅S1の音響設備E1から認証情報が送信されるので、例えば認証情報をA駅S1内の特定の箇所に表示するのと比較して、ユーザU1が容易に認証情報を得ることができ、関係者C1との通信を容易に行うことができる。また、第1実施形態においては、関係者端末20-1は、認証情報を受信したユーザ端末10-1からの接続要求に応じて、通信を開始する。よって、認証情報を受信していないユーザ端末10-1、すなわち施設に位置しないユーザ端末10-1からの通信は開始されない。よって、悪意あるいたずら通信や悪意のない間違え通信を防止することができる。
【0080】
また、第1実施形態においては、ユーザ端末10-1の場所に基づいて関係者端末20-1が特定される。すなわち、ユーザ端末10-1がA駅S1に位置する場合は、A駅S1に対応する関係者端末20-1が通信の接続先となり、ユーザ端末10-1がB駅に位置する場合は、関係者端末20-2が通信の接続先となる。これにより、ユーザは、必要とする情報を短時間で得られる可能性が高くなり、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0081】
また、第1実施形態においては、関係者通信機能において、ユーザU1が指定したコミュニケーション態様のユーザインターフェースが起動する。これにより、ユーザU1は、自身が指定した態様で関係者C1と円滑にコミュニケーションを取ることができる。
【0082】
B:第2実施形態
第2実施形態を説明する。なお、以下に例示する各態様において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明と同様の符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0083】
第1実施形態では、ユーザ端末10-1,10-2と関係者端末20-1,20-2とが1対1で接続されていた。すなわち、A駅S1に位置するユーザ端末10-1の接続先として関係者端末20-1が特定され、B駅S2に位置するユーザ端末10-2の接続先として関係者端末20-2が特定された。第2実施形態では、A駅S1に位置するユーザ端末10-1の接続先と、B駅S2に位置するユーザ端末10-2の接続先とが、関係者端末20-1である場合について説明する。
【0084】
図16は、第2実施形態に係る通信システム2の構成を例示する図である。通信システム2は、A駅S1およびB駅S2に対応する関係者拠点として、第1関係者拠点K1のみが設けられている。第2実施形態において、関係者C1は、A駅S1およびB駅S2に関係する人物である。第2施形態では、関係者C1は、鉄道事業者の職員であるものとする。
【0085】
図17は、第2実施形態における認証情報データベースDB2の一例を示す図である。認証情報データベースDB2は、記憶装置12に記憶されている。認証情報データベースDB2において、A駅S1に対応するレコードR1の接続先情報D3と、B駅S2に対応するレコードR2の接続先情報D3とは、同一となっている。この接続先情報D3は、関係者端末20-1のアドレスである。よって、A駅S1に位置するユーザ端末10-1で関係者通信機能を用いた場合の接続先と、B駅S2に位置するユーザ端末10-2で関係者通信機能を用いた場合の接続先とは、同じ関係者端末20-1となる。
【0086】
第2実施形態において、A駅S1は第1施設の一例であり、音響設備E1の放音装置EAは第1送信機の一例であり、
図17に示す認証情報データベースDB2のレコードR1の認証情報D2は第1認証情報の一例である。また、B駅S2は第2施設の一例であり、音響設備E2の放音装置EAは第2送信機の一例であり、認証情報データベースDB2のレコードR2の認証情報D2は第2認証情報の一例である。
【0087】
すなわち、第2実施形態において、関係者端末20-1の通信制御部212は、音響設備E1により送信されたA駅S1の認証情報を受信したユーザ端末10-1から送信される接続要求に応じて、A駅S1およびB駅S2に関係する関係者端末20-1とユーザ端末10-1との通信を開始する。また、通信制御部212は、音響設備E2により送信された認証情報を受信したユーザ端末10-2から送信される接続要求に応じて、関係者端末20-1とユーザ端末10-2との通信を開始する。
【0088】
第2実施形態において、ユーザ端末10-1,10-2から関係者端末20-1に送信する接続要求には、端末識別情報の他、ユーザ端末10-1,10-2の位置を示す位置情報を含めてもよい。接続要求に位置情報を含めるのは、関係者C1が、通信の発信地を特定しやすくするためである。通信の開始前に通信の発信地を特定することによって、ユーザU1,U2からの問い合わせへの対応を円滑に行うことができる。なお、接続要求に含める位置情報は、例えばユーザ端末10-1,10-2が受信した認証情報であってもよい。関係者端末20-1の記憶装置22に、認証情報と、当該認証情報が送信される駅の駅名とを対応付けるテーブルを記憶させることによって、関係者端末20-1は、接続要求に含まれる認証情報に基づいて、ユーザ端末10-1,10-2が位置する駅の駅名を特定可能である。上記テーブルは、認証情報データベースDB2であってもよい。
【0089】
図18は、関係者端末20-1の表示画面を例示する図である。例えばユーザ端末10-1が、接続要求に位置情報を含めて送信した場合、接続要求を受信した関係者端末20-1のタッチパネルT2には、表示画面SD2が表示される。表示画面SD2は、
図14に示す表示画面SD1と同様のメッセージMC1、端末識別子MC2、関係者画像PC3、表示領域PC4、通話開始ボタンBT3および通話拒否ボタンBT4の他、ユーザ端末10-1の位置情報が発信位置情報MC3として表示される。
【0090】
関係者C1は、ユーザU1との通信を開始する前に発信位置情報MC3を確認して、当該通信の発信者がA駅S1またはB駅S2のどちらにいるかを把握することができる。これにより、関係者C1は、ユーザU1に対する対応をスムーズに行うことができる。なお、表示画面SD2に、ユーザ端末10-1が位置する駅の構内案内図や周辺地図へのリンクが自動的に表示されるようにすれば、ユーザU1への対応をよりスムーズに行うことができる。
【0091】
以上の通り、第2実施形態においては、A駅S1およびB駅S2に関係する関係者端末20-1が配置されており、A駅S1で送信される第1認証情報を受信したユーザU1からの接続要求、およびB駅S2で送信される第2認証情報を受信したユーザU2からの接続要求は、いずれも関係者端末20-1に接続される。よって、ユーザ端末10-1,10-2からの接続要求の接続先となる端末を駅ごとに配置する必要がなく、端末に関するコスト(設備的コストおよび人的コスト)を低減することができる。
【0092】
また、第2実施形態においては、関係者端末20-1に、通信の発信元のユーザ端末10-1または10-2がいる場所が通知される。これにより、関係者C1は、ユーザ端末10-1または10-2の場所を把握することができ、ユーザU1またはU2とのコミュニケーションを円滑に図ることができる。また、第2実施形態においては、認証情報を位置情報の代わりに用いるので、例えばGPS受信機等の位置情報取得装置をユーザ端末10-1が備えていない場合でも、ユーザ端末10-1の位置を特定することができる。
【0093】
C:第3実施形態
第3実施形態を説明する。なお、以下に例示する各態様において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明と同様の符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0094】
第3実施形態では、1つの施設に対して、複数の関係者拠点が対応付けられる場合について説明する。すなわち、A駅S1に対して、第1関係者拠点K1と第3関係者拠点K3とが対応付けられる場合について説明する。
【0095】
図19は、第3実施形態に係る通信システム3の構成を例示する図である。
図19では、B駅S2に関係する構成は図示を省略している。通信システム3は、A駅S1に対応する関係者拠点として、第1関係者拠点K1および第3関係者拠点K3が設けられている。第3関係者拠点K3には、関係者端末20-3が配置されている。関係者端末20-3は、A駅S1の関係者C3が保持する情報処理端末であり、例えばスマートフォン、タブレット、ノートパソコン、デスクトップパソコン、電話機等である。本実施形態では、関係者端末20-3はタブレットであるものとする。関係者端末20-3の構成は、
図5および
図6に示す関係者端末20-1の構成と同様である。
【0096】
第3関係者拠点K3は、A駅S1から離れた遠隔地に設けられていてもよいし、A駅S1内に設けられていてもよい。また、第3関係者拠点K3と第1関係者拠点K1とが同じ場所であってもよい。この場合、関係者端末20-3と関係者端末20-1とが同じ場所(例えば、A駅S1内の駅員室など)に配置されている。関係者C3は、英語による会話およびテキストチャットに対応可能である。また、関係者C1は、日本語による会話およびテキストチャットに対応可能である。
【0097】
図20は、第3実施形態における認証情報データベースDB3の一例を示す図である。認証情報データベースDB3は、記憶装置12に記憶されている。認証情報データベースDB3は、駅名情報D1と、認証情報D2と、接続先情報D3の他、言語情報D4を含んだレコードR(R4~R7)を含む。言語情報D4は、
図11に示す設定画面SC4において、ユーザU1が関係者C1,C3とコミュニケーションを取る際に用いる言語として指定した言語を示す。例えばレコードR4およびR5は、どちらも駅名情報D1はA駅S1であり、認証情報D2も共通している。一方で、レコードR4の言語情報D4は日本語であり、レコードR5の言語情報D4は英語である。そして、レコードR4の接続先情報D3と、レコードR5の接続先情報D3とは、異なっている。レコードR4の接続先情報D3は、関係者端末20-1のアドレスであり、レコードR4の接続先情報D3は、関係者端末20-3のアドレスである。
【0098】
よって、A駅S1に位置するユーザ端末10-1が、言語を日本語に指定している場合には、ユーザ端末10-1からの通信は関係者端末20-1に接続される。また、A駅S1に位置するユーザ端末10-1が、言語を英語に指定している場合には、ユーザ端末10-1からの通信は関係者端末20-3に接続される。すなわち、第3実施形態において、ユーザ端末10-1の通信制御部116は、ユーザU1が選択した言語に基づいて、関係者端末として接続する端末装置を、関係者端末20-1または20-3から特定する。このように接続先を変更することで、関係者通信機能において様々な言語への問い合わせに対応可能となり、ユーザU1の利便性を向上させることができる。
【0099】
また、レコードR6およびR7は、どちらも駅名情報D1はB駅S2であり、認証情報D2も共通している。レコードR6の言語情報D4は日本語であり、レコードR7の言語情報D4は英語である。ここで、レコードR6の接続先情報D3は、レコードR4の接続先情報D3とは異なるが、レコードR7の接続先情報D3は、レコードR5の接続先情報D3と同じ関係者端末20-3のアドレスである。すなわち、日本語での問い合わせを行う場合には、A駅S1から発信した場合と、B駅S2から発信した場合とで通信の接続先が異なるが、英語での問い合わせを行う場合には、A駅S1から発信した場合と、B駅S2から発信した場合とで通信の接続先が同じになる。
【0100】
このようにすることで、日本国内では日本語での問い合わせよりも頻度が低い英語での問い合わせに対して効率的に対応することができる。より詳細には、A駅S1およびB駅S2が日本国内にある場合、英語によるコミュニケーションが可能な人材は、日本語によるコミュニケーションが可能な人材よりも少ない。また、英語での問い合わせは、日本語での問い合わせと比べて少ないことが予測される。よって、A駅S1およびB駅S2の両駅に対応して英語によるコミュニケーションを可能な人材を配置するのは効率的ではない場合がある。A駅S1から発信された英語での問い合わせと、B駅S2から発信された英語での問い合わせの両方を、関係者C3が対応することによって、鉄道事業者のコストを抑えつつ、ユーザU1の利便性を向上させることができる。
【0101】
なお、上記では言語設定に基づいて、接続先とする端末を関係者端末20-1または関係者端末20-3から決定したが、ユーザU1が設定したコミュニケーション手段に基づいて、接続先とする端末を決定してもよい。これにより、例えば視覚に障害がある職員は音声通話に対応し、聴覚に障害がある職員はテキストチャットに対応する、などの分業が可能となる。
【0102】
以上の通り、第3実施形態においては、ユーザU1が指定した言語に基づいて、ユーザ端末10-1からの通信の接続先となる関係者端末20-1または20-3が選択される。これにより、ユーザU1が選択した言語を使用可能な関係者C1またはC3が保持する関係者端末20-1または20-3を、ユーザ端末10-1の接続先として選択することができ、関係者C1またはC3とユーザU1とが、円滑にコミュニケーションを図ることができる。
【0103】
D:変形例
以上に例示した各態様に付加される具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された複数の態様を、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合してもよい。
【0104】
[1]前述の各形態においては、認証情報が音響設備E1,E2から音響通信によって送信された。これに限らず、例えばビーコンまたはNFC(Near Field Communication)など、他の通信方式を用いて認証情報を送信してもよい。
【0105】
[2]前述の各形態においては、放音装置EAから送信された認証情報のみを用いて、ユーザ端末10-1がA駅S1に位置していることが確認された。これに限らず、放音装置EAから送信された認証情報と、A駅S1内で取得可能な他の認証情報とを組み合わせて、ユーザ端末10-1がA駅S1に位置していることが確認されてもよい。他の認証情報は、例えばビーコンまたはNFC等、他の通信方式を用いてA駅S1にいるユーザ端末10-1に送信された情報コードであってもよいし、GPSによって特定されたユーザ端末10-1の位置情報であってもよい。また、他の認証情報は、A駅S1に表示された情報コードであってもよい。この場合、ユーザ端末10-1は、撮像装置18を用いて情報コードの表示を読み取ってもよい。
【0106】
放音装置EAから送信された認証情報を第3認証情報とし、他の認証情報を第4認証情報とする。接続要求を送信するユーザ端末10-1は、第3認証情報を受信し、かつA駅S1内で取得可能な第4認証情報を有する端末である。関係者端末20-1の通信制御部212は、以上のユーザ端末10-1から送信される接続要求に応じて、関係者端末20-1とユーザ端末10-1との通信を開始する。
【0107】
上記の変形例によれば、第1認証情報と第2認証情報とを用いて、ユーザ端末10-1がA駅S1内に位置することをより確実に確認することができる。
【0108】
[3]前述の各形態においては、ユーザ端末10-1が、認証情報の受信の有無に基づいて、関係者通信機能を有効にするか否かを判断した。これに限らず、例えば関係者端末20-1が、ユーザ端末10-1との通信の開始の可否を判断してもよい。この場合、例えばユーザ端末10-1は、関係者端末20-1に対して送信する接続要求に、A駅S1で取得した認証情報を含めて送信する。関係者端末20-1は、A駅に対応する認証情報が接続要求に含まれている場合には、ユーザ端末10-1との通信を開始する。ユーザ端末10-1がA駅にいない場合には、A駅に対応する認証情報を接続要求に含めることができないので、関係者端末20-1とユーザ端末10-1との通信は開始されない。
【0109】
上記の変形例によれば、ユーザ端末10-1の処理負荷を軽減することができる。また、例えば所定時間毎に認証情報を変更する態様において、ユーザ端末10-1に変更後の認証情報を通知する必要がないため、通信システム全体の処理負荷を軽減することができる。
【0110】
[4]前述の各形態においては、1つの施設に対応して1つの認証情報を用いる場合について説明した。例えば、A駅S1の認証情報は、A駅S1全体で1つであるものとした。これに限らず、1つの施設内においても、場所によって認証情報を異ならせてもよい。例えば、A駅S1の1番線ホームと、2番線ホームと、改札内コンコースと、改札外コンコースとに、それぞれ異なる認証情報を割り当ててもよい。
【0111】
図21は、変形例における認証情報データベースDB4の一例を示す図である。認証情報データベースDB4は、記憶装置12に記憶されている。認証情報データベースDB4は、駅名情報D1と、認証情報D2と、接続先情報D3の他、場所情報D5を含んだレコードR(R8~R11)を含む。場所情報D5は、A駅S1内の場所を識別する情報である。なお、駅名情報D1を場所情報D5に含めてもよい。場所情報D5に示される各場所には、それぞれ異なる認証情報D2が割り当てられている。接続先情報D3については、場所毎に異なる接続先が割り当てられてもよいし、複数の場所に同一の接続先が割り当てられてもよい。例えば認証情報データベースDB4では、1番線ホーム、2番線ホームおよび改札内コンコースは、関係者端末20-1が接続先として割り当てられている。また、改札外コンコースは、関係者端末20-1とは異なる端末が接続先として割り当てられている。
【0112】
1番線ホームに設置された放音装置EAからは1番線ホームの認証情報D2が送信される。2番線ホームに設置された放音装置EAからは2番線ホームの認証情報D2が送信される。改札内コンコースおよび改札外コンコースも同様である。ユーザ端末10-1が1番線ホームに位置する場合、ユーザ端末10-1の収音装置13は、1番線ホームの認証情報を受信する。ユーザ端末10-1の制御装置11は、受信した認証情報を認証情報データベースDB4と照合することによって、ユーザ端末10-1の位置が1番線ホームであることを特定することができる。例えば、ユーザ端末10-1から関係者端末20-1に接続要求を送信する場合、位置情報として「1番線ホーム」を含めてもよい。ユーザ端末10-1からの接続要求に対応して、関係者端末20-1で「1番線ホーム」を表示する(例えば
図18に示す発信位置情報MC3を表示する)ことによって、関係者C1は、接続要求を送信したユーザ端末10-1がA駅S1内のどこに位置するかを知ることができる。
【0113】
また、関係者端末20-1の記憶装置22に認証情報データベースDB4を記憶させ、ユーザ端末10-1から関係者端末20-1に接続要求を送信する場合、位置情報として認証情報を含めてもよい。この場合、関係者端末20-1は、接続要求に含まれる認証情報を認証情報データベースDB4と照合することによって、接続要求を送信したユーザ端末10-1の位置が1番線ホームであることを特定することができる。
【0114】
このように、1つの施設内において場所によって認証情報を異ならせることによって、施設内におけるユーザ端末10-1の位置をより詳細に把握することができ、関係者C1は、ユーザU1からの問い合わせに、効率的に対応することができる。
【0115】
例えば、施設がショッピングセンターである場合において、食品売り場や紳士服売り場などの売り場ごとに異なる認証情報を割り当て、認証情報毎に各売り場の担当者が保持する端末を関係者端末として接続先として指定するようにしてもよい。これにより、売り場の知識を持ち合わせた担当者がユーザからの問い合わせに即座に対応することができ、ユーザおよび担当者双方の利便性を向上させることができる。
【0116】
[5]関係者通信機能を用いてユーザU1と関係者C1との間で交わされた会話の内容を解析して、例えば
図9に示すQ&AボタンME4を選択して表示される問答集の内容に反映させてもよい。特に、問答集がAIチャットボットの形態である場合には、AIの学習データとしてユーザU1と関係者C1との間で交わされた会話を利用してもよい。これにより、問答集の内容が実際にあった問い合わせに基づいて更新され、ユーザU1の利便性を向上させることができる。
【0117】
[6]ユーザ端末10-1において設定された言語が、関係者C1では対応できない言語である場合、例えば通信網Nに接続された図示しない翻訳サーバで翻訳を行ってもよい。この場合、ユーザ端末10-1からの送信データ(通話音声データ、テレビ通話データ、テキストデータなど)を、一旦翻訳サーバが受信し、翻訳を行った上で関係者端末20-1に送信する。また、関係者端末20-1からの送信データも、一旦翻訳サーバが受信し、翻訳を行った上でユーザ端末10-1に送信する。または、関係者端末20-1に翻訳アプリケーションを導入し、ユーザ端末10-1からの送信データを翻訳アプリケーションで翻訳した上で、関係者C1に出力してもよい。
【0118】
また、ユーザ端末10-1において設定された言語が、関係者C1では対応できない言語である場合、当該言語に対応可能な翻訳者の保持する翻訳者端末(図示なし)も関係者端末として指定してもよい。この場合、ユーザ端末10-1と、駅員が保持する関係者端末20-1と、翻訳者が保持する翻訳者端末との間で通信が行われる。
【0119】
上記の変形例によれば、関係者C1が、ユーザ端末10-1において設定された言語に対応可能でない場合にも、ユーザU1からの問い合わせに対応することができ、ユーザU1の利便性を向上させることができる。
【0120】
[7]前述の各形態においては、1台の関係者端末20-1に対して、1台のユーザ端末10-1を接続する場合について説明した。これに限らず、例えば1台の関係者端末に対して、施設内で送信される認証情報を受信した複数台のユーザ端末が同時に接続できるようにしてもよい。
【0121】
例えば施設が博物館である場合には、学芸員を関係者、学芸員が保持する端末を関係者端末とし、博物館のガイドツアーへの参加者の端末をユーザ端末とする。そして、博物館のガイドツアー中に、解説を行う学芸員の関係者端末と、ガイドツアーの参加者全員のユーザ端末とを接続する。これにより、ガイドツアーの参加者が多い場合でも、学芸員による解説を全ての参加者が聞きやすくなる。また、互いの声が聞きやすくなるので、参加者が学芸員に対する質問が行いやすくなる。
【0122】
また、学芸員の使用言語と参加者の使用言語とが異なる場合、上記[6]のように、関係者端末とユーザ端末との間のやり取りを、翻訳サーバ(または翻訳者端末)を介して行うようにしてもよい。これにより、学芸員の使用言語と参加者の使用言語とが異なる場合でも、参加者が学芸員による解説を理解したり、参加者が学芸員に対して質問することができ、参加者は展示の内容の理解を深めることができる。
【0123】
[8]ユーザ端末10-1,10-2の機能(表示制御部110、設定受付部111、案内情報取得部112、認証情報取得部114および通信制御部116)は、前述の通り、制御装置11を構成する単数または複数のプロセッサと、記憶装置12に記憶されたプログラムとの協働により実現される。また、関係者端末20-1,20-2の機能(表示制御部210および通信制御部212)は、前述の通り、制御装置21を構成する単数または複数のプロセッサと、記憶装置22に記憶されたプログラムとの協働により実現される。
【0124】
以上のプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に格納された形態で提供されてコンピュータにインストールされ得る。記録媒体は、例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、CD-ROM等の光学式記録媒体(光ディスク)が好例であるが、半導体記録媒体または磁気記録媒体等の公知の任意の形式の記録媒体も包含される。なお、非一過性の記録媒体とは、一過性の伝搬信号(transitory, propagating signal)を除く任意の記録媒体を含み、揮発性の記録媒体も除外されない。また、配信装置が通信網を介してプログラムを配信する構成では、当該配信装置においてプログラムを記憶する記録媒体が、前述の非一過性の記録媒体に相当する。
【0125】
E:付記
以上に例示した形態から、例えば以下の構成が把握される。
【0126】
本開示のひとつの態様(態様1)に係る通信方法は、施設内の送信機から前記施設内に認証情報を送信し、前記送信機により送信された前記認証情報を受信したユーザ端末から送信される接続要求に応じて、前記施設の関係者が保持する関係者端末と前記ユーザ端末との通信を開始する。以上の態様によれば、施設の送信機から認証情報が送信されるので、例えば認証情報を施設内の特定の箇所に表示するのと比較して、ユーザが容易に認証情報を得ることができ、関係者との通信を容易に行うことができる。また、認証情報を受信したユーザ端末からの接続要求に応じて、関係者端末との通信が開始されるので、認証情報を受信していないユーザ端末、すなわち施設に位置しないユーザ端末からの通信は開始されない。よって、悪意あるいたずら通信や悪意のない間違え通信を防止することができる。
【0127】
態様1の具体例(態様2)において、前記認証情報の送信は、第1施設内の第1送信機から前記第1施設内に第1認証情報を送信することと、第2施設内の第2送信機から前記第2施設内に第2認証情報を送信することと、を含み、前記通信の開始は、前記第1送信機により送信された前記第1認証情報を受信した第1ユーザ端末から送信される接続要求に応じて、前記第1施設および前記第2施設に関係する関係者端末と前記第1ユーザ端末との通信を開始することと、前記第2送信機により送信された前記第2認証情報を受信した第2ユーザ端末から送信される接続要求に応じて、前記関係者端末と前記第2ユーザ端末との通信を開始することと、を含む。以上の態様によれば、第1施設および第2施設に関係する関係者端末が配置されており、第1施設で送信される第1認証情報を受信した第1ユーザからの接続要求、および第2施設で送信される第2認証情報を受信した第2ユーザからの接続要求は、いずれも関係者端末に接続される。よって、ユーザ端末からの接続要求の接続先となる端末を施設ごとに配置する必要がなく、端末に関するコスト(設備的コストおよび人的コスト)を低減することができる。
【0128】
態様1または態様2の具体例(態様3)において、前記接続要求は、前記ユーザ端末の位置を示す位置情報を含み、前記関係者端末との通信において、前記関係者端末に前記ユーザ端末の位置が通知される。以上の態様によれば、関係者は、ユーザ端末の場所を把握することができ、ユーザとのコミュニケーションを円滑に図ることができる。
【0129】
態様3の具体例(態様4)において、前記認証情報に基づいて、当該認証情報が送信される場所を特定可能であり、前記位置情報は、前記ユーザ端末が受信した前記認証情報である。以上の態様によれば、認証情報を位置情報の代わりに用いるので、例えばGPS受信機等の位置情報取得装置をユーザ端末が備えていない場合でも、ユーザ端末の位置を特定することができる。
【0130】
態様1から態様4のいずれか1つの具体例(態様5)において、前記認証情報は、当該認証情報が送信される場所ごとに異なり、前記認証情報に基づいて、前記関係者端末として接続する端末装置を特定する。以上の態様によれば、ユーザ端末の場所に基づいて関係者端末が特定される。これにより、ユーザは、必要とする情報を短時間で得られる可能性が高くなり、利便性が向上する。
【0131】
態様1から態様5のいずれか1つの具体例(態様6)において、ユーザから、前記関係者端末との通信において用いるコミュニケーション態様の指定を受け付け、前記関係者端末と前記ユーザ端末との通信において、前記ユーザが指定した前記コミュニケーション態様に対応するユーザインターフェースが前記関係者端末および前記ユーザ端末で起動する。以上の態様によれば、ユーザが指定したコミュニケーション態様のユーザインターフェースが起動する。これにより、ユーザは、自身が指定した態様で関係者と円滑にコミュニケーションを取ることができる。
【0132】
態様1から態様6のいずれか1つの具体例(態様7)において、前記関係者端末との通信において用いる言語の選択をユーザから受け付け、前記ユーザが選択した前記言語に基づいて、前記関係者端末として接続する端末装置を特定する。以上の態様によれば、ユーザが指定した言語に基づいて、関係者端末が選択される。これにより、ユーザが選択した言語を使用可能な関係者が保持する関係者端末を、ユーザ端末の接続先として選択することができ、関係者とユーザとが、円滑にコミュニケーションを図ることができる。
【0133】
態様1から態様7のいずれか1つの具体例(態様8)において、前記認証情報は、第3認証情報であり、前記通信の開始においては、前記第3認証情報を受信し、かつ前記施設内で取得可能な第4認証情報を有する前記ユーザ端末から送信される接続要求に応じて、前記関係者端末と前記ユーザ端末との通信を開始する。以上の態様によれば、第3認証情報と第4認証情報とを用いて、関係者端末とユーザ端末との通信を開始する。よって、ユーザ端末が施設内に位置することをより確実に確認することができる。
【0134】
本開示のひとつの態様(態様9)に係る通信システムは、施設内に設けられ、前記施設内に認証情報を送信する送信機と、前記送信機により送信された前記認証情報を受信したユーザ端末から送信される接続要求に応じて、前記施設の関係者が保持する関係者端末と前記ユーザ端末との通信を開始する通信装置とを備える。
【符号の説明】
【0135】
1,2,3…通信システム、10(10-1,10-2)…ユーザ端末、11,21…制御装置、12,22…記憶装置、13,23…収音装置、14,24…放音装置、15,25…操作装置、16,26…表示装置、17,27…通信装置、18,28…撮像装置、20(20-1,20-2,20-3)…関係者端末、110,210…表示制御部、111…設定受付部、112…案内情報取得部、114…認証情報取得部、116,212…通信制御部、C1,C2,C3…関係者、DB1~DB4…認証情報データベース、E1,E2…音響設備、EA…放音装置、EB…音響機器、K1…第1関係者拠点、K2…第2関係者拠点、K3…第3関係者拠点、N…通信網、S1…A駅、S2…B駅、U1,U2…ユーザ。