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  • 特開-二重床用パネル 図1
  • 特開-二重床用パネル 図2
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  • 特開-二重床用パネル 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127187
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】二重床用パネル
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/10 20060101AFI20230906BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20230906BHJP
   F24F 13/068 20060101ALI20230906BHJP
   F24F 13/06 20060101ALI20230906BHJP
   F24F 1/0053 20190101ALI20230906BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
F24F13/10 D
F24F13/02 C
F24F13/068 A
F24F13/06 A
F24F1/0053
H05K7/20 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030812
(22)【出願日】2022-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】永廣 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】福光 超
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼塚 俊介
(72)【発明者】
【氏名】河野 千怜
(72)【発明者】
【氏名】キム ボンジュン
【テーマコード(参考)】
3L080
3L081
5E322
【Fターム(参考)】
3L080AC02
3L080BA05
3L080BA09
3L080BB04
3L081AA03
3L081AB06
5E322BA03
5E322BA04
5E322BB02
(57)【要約】
【課題】 風量を容易に変更調整可能な二重床用パネルの一例を開示する。
【解決手段】 二重床用パネル10では、風車11の回転抵抗を変更可能である。これにより、通風抵抗を変更できるので、風量を容易に変更調整でき得る。具体的には、各ブレード11Aは、ボス部11Bに対する取付角度及び投影受風面積が変更可能に構成されている。したがって、風量を容易に変更調整でき得る。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報通信技術用機器が設置されたサーバ室の床を構成する二重床用パネルであって、床下に設けられた冷風供給路と当該サーバ室内とを連通させる連通口が設けられた二重床用パネルにおいて、
前記連通口を流通する空気の動圧を受けて回転可能な軸流ファン状の風車を備え、
前記風車は、当該風車の回転抵抗を変更することが可能な構成であることを特徴する二重床用パネル。
【請求項2】
前記風車の回転軸線と直交する仮想平面に投影された当該風車の面積を投影受風面積としたとき、
前記風車のブレードは、投影受風面積が変更可能に構成されている請求項1に記載の二重床用パネル。
【請求項3】
前記風車は、少なくとも第1風車及び第2風車を有して構成されているとともに、第1状態又は第2状態にて回転可能であって、
前記第1状態は、前記第1風車と前記第2風車とが一体化された状態であり、
前記第2状態は、前記第1風車と前記第2風車とが離間した状態で回転可能となる状態である請求項1に記載の二重床用パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、CPUやGPU等の演算ユニットを備える情報通信技術用機器(以下、ICT機器という。)が設置されたサーバ室の床を構成する二重床用パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、クリーンルームの床部における床下空間と床上空間との空気の流通を制御する床パネルにおいて、床上空間および床下空間を連通させる開口部を有し、当該開口部を通過する空気の流れを受ける抵抗板が取付けられた羽根が、スプリングを介して回転可能に設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63-123930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二重床用パネルから室内に吹き出す冷風の風量は、当該二重床用パネルに設けられた吹出口の開口総面積によって調節される。つまり、開口総面積が小さくなると、通風抵抗が大きくなり、風量が小さくなる。開口総面積が大きくなると、通風抵抗が小さくなり、風量が大きくなる。
【0005】
しかし、上記手法では、開口総面積を変更する際には、開口総面積が異なる他の二重床用パネルに交換する必要がある。本開示は、上記点に鑑み、風量を容易に変更調整可能な二重床用パネルの一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
情報通信技術用機器が設置されたサーバ室(SR)の床を構成する二重床用パネル(10)であって、床下に設けられた冷風供給路(3)と当該サーバ室(SR)内とを連通させる連通口(15A)が設けられた二重床用パネル(10)は、例えば、以下の構成要件を備えることが望ましい。
【0007】
すなわち、当該構成要件は、連通口(15A)を流通する空気の動圧を受けて回転可能な軸流ファン状の風車(11)を備え、風車(11)は、当該風車(11)の回転抵抗を変更することが可能な構成であることである。
【0008】
これにより、風車(11)の回転抵抗を変更することにより、通風抵抗を変更できるので、風量を容易に変更調整でき得る。
【0009】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る空調システムを示す図である。
図2図2A図2Cは、第1実施形態に係る二重床用パネルを示す図である。
図3図3A図3Bは、第2実施形態に係る二重床用パネルを示す図である。
図4図4A図4Bは、第3実施形態に係る二重床用パネルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0012】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。本開示に示された空調装置は、少なくとも図示された構造部位を備える。
【0013】
(第1実施形態)
<1.空調システムの概要(図1参照)>
本実施形態は、通信機器室やサーバ室等(以下、サーバ室SRという。)に冷風を供給する空調システム1に本開示に係る二重床用パネルを適用したものである。
【0014】
サーバ室SRには、少なくとも1つのラックRが設置されている。当該ラックRには、少なくとも1つの情報通信技術用機器(以下、ICT機器と記す。)等が搭載されている。
【0015】
各ICT機器には、CPUやGPU等の演算ユニット(図示せず。)及び冷却用ファン(図示せず。)等が搭載されている。冷却用ファンは、サーバ室SR内の空気を冷却用の空気として演算ユニットに送風する。
【0016】
空調機2は、サーバ室SR内から空気を吸い込むとともに、その吸い込まれた空気を冷却した後、冷却後の空気(以下、冷風という。)を冷風供給路3を介してサーバ室SR内に供給する。
【0017】
具体的には、空調機2は、冷却器2A、送風機2B及びケース2C等を有する。ケース2Cは、冷却器2A及び送風機2Bを収納するとともに、空気の通路を構成する。冷却器2Aは冷熱を発生する。送風機2Bは、サーバ室SR内の空気を吸引して冷却器2Aに供給するとともに、冷風をサーバ室SRに供給する。
【0018】
冷風供給路3は、サーバ室SRの床下に設けられている。そして、冷風供給路3を流通する冷風は、床に設けられた多数の吹出口3Aからサーバ室SR内に吹き出す。それら吹出口3Aは、サーバ室SR内に設定されたコールドアイルに設けられている。
【0019】
コールドアイルとは、サーバ室SR内の空間のうち冷却ファンの吸入側をいう。そして、本実施形態に係るサーバ室SR内は、冷風が供給されるコールドアイルと、演算ユニットを冷却して温度が上昇した空気が吐き出されるホットアイルとに仕切られている。
【0020】
<2.二重床用パネル>
<2.1 二重床用パネルの概要>
サーバ室SRの床には、図1に示されるように、二重床用パネル10が設けられている。当該二重床用パネル10は、冷風供給路3から吹出口3Aに至る空気通路の通風抵抗を変更可能な機構を備える。
【0021】
本実施形態に係る二重床用パネル10は、図2Bに示されるように、風車11及びシュラウド15等を少なくとも備える。風車11は、複数のブレード(羽根)11Aを有する軸流ファン状のプロペラである。
【0022】
シュラウド15は、風車11の外径側を覆うようにして、冷風供給路3から吹出口3Aに至る空気通路を構成するダクト(筒)状の部材である。そして、当該シュラウド15には、冷風供給路3とサーバ室SR内とを連通させる連通口15Aが設けられている。
【0023】
風車11は、連通口15A、つまりシュラウド15を流通する空気の動圧を受けて回転可能である。なお、風車11は、当該風車11の回転軸線が筒状のシュラウド15の中心軸線と略平行となるように配置されている。
【0024】
<2.1 風車の詳細>
風車11は、複数のブレード11A及びボス部11B等を有する。ボス部11Bは、回転軸線を中心としてシュラウド15に回転可能に支持されている。各ブレード11Aは、ボス部11Bに対する取付角度及び投影受風面積が変更可能に構成されている。
【0025】
取付角度とは、ブレード11Aの翼面と回転軸線との角度をいう。なお、本実施形態に係る各ブレード11Aは平板状である。このため、取付角度が0となる場合には、図2Aに示されるように、ブレード11Aの翼面と回転軸線とが略平行となる。
【0026】
そして、取付角度が0となる場合には、シュラウド15内を空気が流通しても風車11を回転させる回転力が殆ど発生しない。図2Bは、取付角度が約45度の状態を示している。この状態では、シュラウド15内を空気が流通すると、風車11を回転させる回転力が発生する。
【0027】
したがって、ブレード11Aの取付角度が変更されると、シュラウド15内を空気が流通する際の通風抵抗が変化する。つまり、ブレード11Aの取付角度が大きくなるほど、シュラウド15内を空気が流通する際の通風抵抗が大きくなる。
【0028】
各ブレード11Aは、図2Cに示されるように、少なくとも2つ翼材(本実施形態では、2つの板材)11C、11Dが連結されて1つのブレード11A構成されている。そして、翼材11Dは、翼材11Cに対して変位可能に翼材11Cに連結されている。
【0029】
具体的には、各ブレード11Aは、航空機の主翼と同様な構造である。つまり、翼材11Cが母翼に相当し、翼材11Dがフラップに相当する。そして、翼材11Dが翼材11Cに対して変位することにより、翼縁の位置及び投影受風面積が変化する。
【0030】
図2Bは、翼材11Dが翼材11Cと重なるように収納され、ブレード11Aの投影受風面積が小さくなった状態を示す。図2Cは、当該収納状態の翼材11Dが展開され、ブレード11Aの投影受風面積が拡大された状態を示す。
【0031】
なお、投影受風面積とは、風車11の回転軸線と直交する仮想平面に投影された当該風車11(図2に示された状態の風車11)の面積をいう。そして、投影受風面積の増大に応じてシュラウド15内を空気が流通する際の通風抵抗が大きくなる。なお、図2Aは、投影受風面積が最も小さくなった状態である。
【0032】
<3.本実施形態に係る二重床用パネルの特徴>
本実施形態に係る二重床用パネル10では、風車11の回転抵抗を変更することにより、通風抵抗を変更できるので、風量を容易に変更調整でき得る。具体的には、本実施形態に係る各ブレード11Aは、ボス部11Bに対する取付角度及び投影受風面積が変更可能に構成されている。したがって、風量を容易に変更調整でき得る。
【0033】
(第2実施形態)
本実施形態に係る二重床用パネル10では、図3Aに示されるように、風車11は、少なくとも第1風車12及び第2風車13を有して構成されているとともに、第1状態又は第2状態にて回転可能である。
【0034】
第1状態は、図3Bに示されるように、第1風車12と第2風車13とが一体化され、恰も1つの風車のごとく回転する状態である。第2状態は、図3Aに示されるように、第1風車12と第2風車13とが回転軸線方向に離間した状態で、互いに独立して回転可能となる状態である。
【0035】
なお、本実施形態では、第1風車12のボス部と第2風車13のボス部とが互いに嵌合可能となっている。そして、双方のボス部が嵌合した状態では第1状態となり、双方のボス部が離間した状態では第2状態となる。
【0036】
これにより、第1状態におけるシュラウド15内を空気が流通する際の通風抵抗が第2状態におけるシュラウド15内を空気が流通する際の通風抵抗より小さくなる。したがって、風量を容易に変更調整でき得る。
【0037】
(第3実施形態)
本実施形態は、風車11の回転を止めるためのロック装置(図示せず。)が設けられたものである。
【0038】
そして、通風抵抗を小さくする場合には、例えば、第1実施形態に係る二重床用パネル10において、ブレード11Aの取付角度を0とし、かつ、図4Aに示されるように、複数の吹出口3Aを区画する複数の桟3Bと各ブレード11Aとが回転軸線方向において重なるように一致させた状態で、上記ロック装置により風車11の回転を止めた状態する。
【0039】
また、上記場合(図4Aに示される状態)より通風抵抗を大きくする場合には、例えば、図4Bに示されるように、桟3Bと各ブレード11Aとが回転軸線方向において不一致とした状態で上記ロック装置により風車11の回転を止めた状態する。なお、図4Bにおいては、ブレード11Aの取付角度を0より大きくすると、上記場合より更に通風抵抗が大きくなる。
【0040】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、ブレード11Aの状態又は回転可能な風車11の個数を変更可能な構成とすることにより、風車11の回転抵抗を変更可能とした。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、ボス部11Bにブレーキ装置を設け、当該ブレーキ装置の制動力(例えば、摩擦抵抗)を変更可能な構成として、風車11の回転抵抗を変更可能としてもよい。
【0041】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1… 空調システム
2… 空調機
2A… 冷却器
2B… 送風機
2C… ケース
3… 冷風供給路
3A… 吹出口
3B… 桟
10… 二重床用パネル
11… 風車
11A… ブレード
11B… ボス部
図1
図2
図3
図4