(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127194
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】洗浄システム
(51)【国際特許分類】
A47L 15/24 20060101AFI20230906BHJP
【FI】
A47L15/24
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030823
(22)【出願日】2022-03-01
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000242415
【氏名又は名称】北沢産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 光行
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082AA01
3B082AA04
(57)【要約】
【課題】洗浄システムの占有面積を小さくするとともに、作業効率を高め、省力化を図る。
【解決手段】食器搬送コンベア330は、+X方向に食器を搬送する。食器洗浄機構34は、食器搬送コンベア330によって搬送される食器を洗浄する。ラック搬送コンベア350は、食器搬送コンベア330の+Z方向に配置され、+X方向にラックを搬送する。ラック洗浄機構36は、食器洗浄機構34の上方に配置され、ラック搬送コンベア350によって搬送されるラックに収容された食器を洗浄する。トレー搬送コンベア370は、食器搬送コンベア330の+Y方向に配置され、+X方向にトレーを搬送する。トレー洗浄機構38は、食器洗浄機構34の+Y方向に配置され、トレー搬送コンベア370によって搬送されるトレーを洗浄する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に食器を搬送する食器搬送コンベアと、
前記食器搬送コンベアによって搬送される食器を洗浄する食器洗浄機構と、
前記食器搬送コンベアの上方に配置され、前記所定の方向と同一の方向にラックを搬送するラック搬送コンベアと、
前記食器洗浄機構の上方に配置され、前記ラック搬送コンベアによって搬送されるラックに収容された食器を洗浄するラック洗浄機構と、
前記食器搬送コンベアの側方に配置され、前記所定の方向と同一の方向にトレーを搬送するトレー搬送コンベアと、
前記食器洗浄機構の側方に配置され、前記トレー搬送コンベアによって搬送されるトレーを洗浄するトレー洗浄機構と
を備える、洗浄システム。
【請求項2】
返却されたトレー及び食器を下洗いするための下洗いシンクと、
前記下洗いシンクで下洗いされた食器のうち所定の種類の食器を収容するためのラックを載置するラック載置台と
を更に備え、
前記食器搬送コンベアは、前記下洗いシンクで下洗いされた食器のうち前記所定の種類以外の食器を受け入れるための食器受入部を有し、
前記食器受入部は、前記下洗いシンクの側方に配置され、
前記ラック搬送コンベアは、前記所定の種類の食器を収容した前記ラックを受け入れるためのラック受入部を有し、
前記ラック受入部は、前記食器受入部の上方に配置され、
前記トレー搬送コンベアは、前記下洗いシンクで下洗いされたトレーを受け入れるためのトレー受入部を有し、
前記トレー受入部は、前記下洗いシンクの後方に配置され、
前記ラック載置台は、前記トレー受入部の上方に配置されている、
請求項1の洗浄システム。
【請求項3】
返却された食器が載ったトレーを搬送するためのトレー返却コンベアと、
前記トレー返却コンベアによって搬送されたトレーが載置されるトレー載置台と
を更に備え、
前記トレー載置台は、前記下洗いシンクに対して、前記食器受入部とは反対側の側方に配置されている、
請求項2の洗浄システム。
【請求項4】
前記トレー返却コンベアの側方に配置され、前記トレー返却コンベアへ向けて傾斜したトレー返却台と、
前記トレー返却コンベアの上にトレーが存在する場合に、前記トレー返却台の上に返却されたトレーが前記トレー返却コンベアの上に移動するのを防ぐストッパーと、
前記トレー返却コンベアの上にトレーが存在しない場合に、前記トレー返却台の上に返却されたトレーを前記トレー返却コンベアの上に移動させるトレー移動部と
を更に備える、
請求項3の洗浄システム。
【請求項5】
前記食器洗浄機構は、
前記食器搬送コンベアに沿って配置され、前記食器搬送コンベアによって搬送される食器に洗剤入り洗浄液を噴射して、前記食器を洗浄する食器洗浄部と、
前記食器搬送コンベアに沿って前記食器洗浄部の下流に配置され、前記食器搬送コンベアによって搬送される食器に空気流を吹き付けて、前記食器の高台に溜まった前記洗剤入り洗浄液を吹き飛ばす第一吹付部と、
前記食器搬送コンベアに沿って前記第一吹付部の下流に配置され、前記食器搬送コンベアによって搬送される食器に洗剤なし洗浄液を噴射して、洗剤を洗い流す食器すすぎ部と、
前記食器搬送コンベアに沿って前記食器すすぎ部の下流に配置され、前記食器搬送コンベアによって搬送される食器に空気流を吹き付けて、前記食器に残る水滴を吹き飛ばす第二吹付部と
を有する、
請求項1乃至4いずれかの洗浄システム。
【請求項6】
前記トレー洗浄機構は、
前記トレー搬送コンベアに沿って配置され、前記トレー搬送コンベアによって搬送されるトレーに洗剤入り洗浄液を噴射して、前記トレーを洗浄するトレー洗浄部と、
前記トレー搬送コンベアに沿って前記トレー洗浄部の下流に配置され、前記トレー搬送コンベアによって搬送されるトレーに洗剤なし洗浄液を噴射して、洗剤を洗い流すトレーすすぎ部と、
前記トレー搬送コンベアに沿って前記トレーすすぎ部の下流に配置され、前記トレー搬送コンベアによって搬送されるトレーに空気流を吹き付けて、前記トレーに残る水滴を吹き飛ばすトレー吹付部と
を有する、
請求項1乃至5いずれかの洗浄システム。
【請求項7】
前記食器洗浄機構によって洗浄された食器を搬送する食器収納コンベアと、
前記食器収納コンベアによって搬送される食器の種類を判別する食器判別部と、
前記食器収納コンベアに沿って前記食器判別部の下流に配置され、所定の種類の食器を収納する食器収納機構と、
前記食器判別部によって判別された食器の種類が、前記食器収納機構が収納する食器の種類と一致した場合に、前記食器収納コンベアによって搬送された食器を持ち上げて、前記食器収納機構に収納させる食器持上部と
を更に備える、
請求項1乃至6いずれかの洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器やトレーを洗浄する洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、食器類の洗浄と仕分け処理及びトレイ(トレー)の洗浄を自動的に行う下膳洗浄処理システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された下膳洗浄処理システムは、占有面積が大きいので、狭い場所に設置することができない。
この発明は、例えばこのような課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
洗浄システムは、所定の方向に食器を搬送する食器搬送コンベアと、前記食器搬送コンベアによって搬送される食器を洗浄する食器洗浄機構と、前記食器搬送コンベアの上方に配置され、前記所定の方向と同一の方向にラックを搬送するラック搬送コンベアと、前記食器洗浄機構の上方に配置され、前記ラック搬送コンベアによって搬送されるラックに収容された食器を洗浄するラック洗浄機構と、前記食器搬送コンベアの側方に配置され、前記所定の方向と同一の方向にトレーを搬送するトレー搬送コンベアと、前記食器洗浄機構の側方に配置され、前記トレー搬送コンベアによって搬送されるトレーを洗浄するトレー洗浄機構とを備える。
洗浄システムは、返却されたトレー及び食器を下洗いするための下洗いシンクと、前記下洗いシンクで下洗いされた食器のうち所定の種類の食器を収容するためのラックを載置するラック載置台とを更に備えてもよい。前記食器搬送コンベアは、前記下洗いシンクで下洗いされた食器のうち前記所定の種類以外の食器を受け入れるための食器受入部を有してもよい。前記食器受入部は、前記下洗いシンクの側方に配置されてもよい。前記ラック搬送コンベアは、前記所定の種類の食器を収容した前記ラックを受け入れるためのラック受入部を有してもよい。前記ラック受入部は、前記食器受入部の上方に配置されてもよい。前記トレー搬送コンベアは、前記下洗いシンクで下洗いされたトレーを受け入れるためのトレー受入部を有してもよい。前記トレー受入部は、前記下洗いシンクの後方に配置されてもよい。前記ラック載置台は、前記トレー受入部の上方に配置されてもよい。
洗浄システムは、返却された食器が載ったトレーを搬送するためのトレー返却コンベアと、前記トレー返却コンベアによって搬送されたトレーが載置されるトレー載置台と
を更に備えてもよい。前記トレー載置台は、前記下洗いシンクに対して、前記食器受入部とは反対側の側方に配置されてもよい。
洗浄システムは、前記トレー返却コンベアの側方に配置され、前記トレー返却コンベアへ向けて傾斜したトレー返却台と、前記トレー返却コンベアの上にトレーが存在する場合に、前記トレー返却台の上に返却されたトレーが前記トレー返却コンベアの上に移動するのを防ぐストッパーと、前記トレー返却コンベアの上にトレーが存在しない場合に、前記トレー返却台の上に返却されたトレーを前記トレー返却コンベアの上に移動させるトレー移動部とを更に備えてもよい。
前記食器洗浄機構は、前記食器搬送コンベアに沿って配置され、前記食器搬送コンベアによって搬送される食器に洗剤入り洗浄液を噴射して、前記食器を洗浄する食器洗浄部と、前記食器搬送コンベアに沿って前記食器洗浄部の下流に配置され、前記食器搬送コンベアによって搬送される食器に空気流を吹き付けて、前記食器の高台に溜まった前記洗剤入り洗浄液を吹き飛ばす第一吹付部と、前記食器搬送コンベアに沿って前記第一吹付部の下流に配置され、前記食器搬送コンベアによって搬送される食器に洗剤なし洗浄液を噴射して、洗剤を洗い流す食器すすぎ部と、前記食器搬送コンベアに沿って前記食器すすぎ部の下流に配置され、前記食器搬送コンベアによって搬送される食器に空気流を吹き付けて、前記食器に残る水滴を吹き飛ばす第二吹付部とを有してもよい。
前記トレー洗浄機構は、前記トレー搬送コンベアに沿って配置され、前記トレー搬送コンベアによって搬送されるトレーに洗剤入り洗浄液を噴射して、前記トレーを洗浄するトレー洗浄部と、前記トレー搬送コンベアに沿って前記トレー洗浄部の下流に配置され、前記トレー搬送コンベアによって搬送されるトレーに洗剤なし洗浄液を噴射して、洗剤を洗い流すトレーすすぎ部と、前記トレー搬送コンベアに沿って前記トレーすすぎ部の下流に配置され、前記トレー搬送コンベアによって搬送されるトレーに空気流を吹き付けて、前記トレーに残る水滴を吹き飛ばすトレー吹付部とを有してもよい。
洗浄システムは、前記食器洗浄機構によって洗浄された食器を搬送する食器収納コンベアと、前記食器収納コンベアによって搬送される食器の種類を判別する食器判別部と、前記食器収納コンベアに沿って前記食器判別部の下流に配置され、所定の種類の食器を収納する食器収納機構と、前記食器判別部によって判別された食器の種類が、前記食器収納機構が収納する食器の種類と一致した場合に、前記食器収納コンベアによって搬送された食器を持ち上げて、前記食器収納機構に収納させる食器持上部とを更に備えてもよい。
【発明の効果】
【0006】
食器を搬送する食器搬送コンベアと、ラックを搬送するラック搬送コンベアと、トレーを搬送するトレー搬送コンベアとが、同一の方向へ食器、ラック及びトレーを搬送しながら、食器、ラック及びトレーを洗浄するので、占有面積を小さくすることができるとともに、作業効率が高くなる。このため、食器やトレーの下洗いや分別を人手で行う場合でも、効率よく作業することができ、省力化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】トレー返却部の一例を示す-X側から見た側面図。
【
図3】トレー返却部の一例を示す+X側から見た側面図。
【
図4】トレー返却部の一例を示すVI-VI断面図。
【
図8】洗浄部の一例を示すVIII-VIII断面図。
【
図11】トレー収容部の一例を示す-Y側から見た側面図。
【
図12】転送部の一例を示す-Y側から見た側面図。
【
図13】転送部の一例を示す+X側から見た側面図。
【
図14】転送部の一例を示すXIV-XIV断面図。
【
図15】食器収納部の一例を示す-Y側から見た側面図。
【
図16】食器収納部の一例を示すXVI-XVI断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1を参照して、洗浄システム10について説明する。
洗浄システム10は、例えばフードコートや社員食堂などにある洗浄室91に設置される。洗浄室91の-X側には、喫食者が喫食するための喫食スペース92が設けられている。喫食スペース92で喫食した喫食者は、使用した食器をトレーに載せて返却する。洗浄システム10は、返却されたトレーや食器を洗浄する。
洗浄システム10は、例えば、トレー返却部12と、洗浄部13と、食器収納部14と、転送部15と、トレー収容部17と、移動水切り台18とを有する。
【0009】
トレー返却部12は、例えば洗浄室91と喫食スペース92との間の境界部分に設置され、喫食者がトレーや食器を返却するために使用される。
洗浄部13は、洗浄室91のなかに設置され、喫食者が返却したトレーや食器を洗浄する。
【0010】
食器収納部14は、洗浄室91のなかに設置され、洗浄部13が洗浄した食器の一部を収納する。食器収納部14に収納される食器は、例えば、皿、椀、鉢などの容器類である。
食器収納部14と洗浄部13との間には、例えばトレーや食器を下洗いしたり洗浄システム10を点検したりするための作業スペース911が設けられている。
【0011】
転送部15は、洗浄部13と食器収納部14との間に設置され、洗浄部13が洗浄した食器を食器収納部14に転送する。
トレー収容部17は、洗浄部13が洗浄したトレーを収容する。
移動水切り台18は、洗浄部13が洗浄した食器の一部を食器収納部14から受け取る。
【0012】
図2~4を参照して、トレー返却部12について詳しく説明する。
トレー返却部12は、例えば、トレー返却台21と、ストッパー22a~22hと、トレー移動部23と、トレー返却コンベア24と、トレー載置台25とを有する。
【0013】
トレー返却台21は、-X側、すなわち喫食スペース92側に開口した窓の-Z側の内面に設けられ、喫食室のなかで喫食した喫食者が使用済の食器をトレーに載せて返却するための場所を提供する。
トレー返却台21は、例えば±X方向に延びる四つのレーン211a~211dを有する。レーン211a~211dの幅(±Y方向の長さ)は、それぞれ、トレーの幅よりも少し大きい。なお、レーンの数は、四つに限らず、もっと多くてもよいし、もっと少なくてもよい。
隣接するレーン211a~211dの間の境界部分には、±X方向に延びる仕切り板212a~212cが設けられている。
レーン211a~211dは、それぞれ例えば二つずつのトレー範囲213a~213hに分けられている。トレー範囲213a~213hの奥行(±X方向の長さ)は、それぞれ、トレーの奥行よりも少し大きい。なお、トレー範囲の数は、一つのレーンに対して二つに限らず、もっと多くてもよいし、少なくてもよい。
【0014】
トレー範囲213a~213hの奥側(+X側)には、それぞれ、ストッパー22a~22hが出てくるためのスリットが設けられている。
ストッパー22aは、±Y方向に延びる板状であり、±Z方向に移動可能である。ストッパー22a~22hが+Z方向に上がっている場合、ストッパー22a~22hは、スリットからトレー返却台21の上に突出し、トレー返却台21に載せられたトレーの移動を妨げる。ストッパー22a~22hが-Z方向に下がっている場合、ストッパー22a~22hは、トレー返却台21の下に隠れ、これにより、トレー返却台21に載せられたトレーは、ストッパー22a~22hを超えて、それぞれのレーン211a~211dのなかで±X方向に移動することができる。
【0015】
トレー返却台21は、+X側、すなわち、トレー返却コンベア24が存在する側へ向けて傾斜している。また、トレー返却台21には、±Y方向に平行な軸を中心として自由に回転可能な多数のローラ214が設けられている。これにより、トレー返却台21に載置されたトレーは、自重により+X側へ移動する。もちろん、ストッパー22a~22hが上がっている場合は、トレーがストッパー22a~22hに当たって、+Xが側へ移動できない。
【0016】
通常、ストッパー22a~22hは+Z方向に上がっていて、トレー返却台21は、仕切り板212a~212c及びストッパー22a~22dによって、八つのトレー範囲213a~213hに分けられている。このうち-X側の四つのトレー範囲213a~213dに、喫食者が返却するトレーを載置する。トレー範囲213a~213dの幅及び奥行がトレーとほぼ同じなので、喫食者がトレーを所定の向きと異なる向きに載置するのを防ぐことができる。
【0017】
トレー範囲213a~213hの上には、それぞれ、トレー範囲213a~213hにトレーが載置されているかを検知するトレー検知部(不図示)が設けられている。トレー検知部は、例えば、+Z側からトレー範囲213a~213hに向けて-Z方向へ光を照射し、照射した光がトレー返却台21又はトレーに反射して帰ってきた光を受光することにより、トレー範囲213a~213hにトレーが載置されているか否かを検知する。
【0018】
ストッパー22a~22dは、トレー検知部による検知結果に基づいて制御される。例えば、-X側のトレー範囲213aにトレーがあり、+X側のトレー範囲213eにトレーがない場合、トレー範囲213a,213eの境界に配置されたストッパー22aが-Z方向に下がる。これにより、-X側のトレー範囲213aに載置されたトレーが+X側のトレー範囲213eに移動する。その後、ストッパー22aが+Z方向に上がって元の状態に戻り、次のトレーの移動を阻止する。ストッパー22b~22dについても、同様である。
【0019】
トレー移動部23は、ストッパー22e~22hと連動して、トレー返却台21のトレー範囲213e~213hに載置されたトレーをトレー返却コンベア24の上に移動させる。これは、ストッパー22e~22hを-Z方向に下げただけでは、トレー範囲213e~213hに載置されたトレーがトレー返却コンベア24の上まで確実に移動せず、途中で止まってしまう可能性があるからである。
トレー移動部23は、例えば、板状部231a~231dを有する。トレー範囲213e~213hに載置されたトレーをトレー返却コンベア24の上に移動させるとき、トレー移動部23は、まず、板状部231a~231dをトレー範囲213e~213hの-X側の位置、すなわちストッパー22a~22dがある位置の上方に移動させる。次に、板状部231a~231dを-Z方向に下げて、トレー範囲213e~213hに載置されたトレーとストッパー22a~22dとの間に差し込む。ストッパー22e~22hが-Z方向に下がって、トレー範囲213e~213hに載置されたトレーがトレー返却コンベア24の上に移動できるようにしたのち、板状部231a~231dを+X側へ向けて移動させることにより、トレー範囲213e~213hに載置されたトレーをトレー返却コンベア24の上に押し出し、板状部231a~231dをトレー範囲213e~213hの+X側の位置、すなわちストッパー22e~22hがある位置まで移動させることにより、トレー範囲213e~213hに載置されたトレーをトレー返却コンベア24の上に確実に載せる。その後、ストッパー22e~22hが上がるとともに、板状部231a~231dを上方に退避させる。
【0020】
トレー返却コンベア24は、例えば±Y方向に延びた長尺状であり、トレー返却台21の+X側に隣接して配置されている。トレー返却コンベア24は、その上に載置されたトレー及びその上に載せられた食器を+Y方向へ搬送し、トレー載置台25の上まで移動させる。
トレー返却コンベア24は、例えば、トレー返却コンベア24の上にトレーが載っているか否かを検知するトレー検知部(不図示)を有する。
【0021】
トレー載置台25は、例えばトレー返却コンベア24の+Y側に隣接して配置されている。トレー載置台25には、トレー返却コンベア24によって搬送されたトレーが載置される。トレー載置台25に載置されたトレーや食器は、洗浄部13によって洗浄される前に、作業員によって下洗いされる。
トレー載置台25は、トレー載置台25にトレーが載置されているか否かを検知するトレー検知部(不図示)を有する。
【0022】
トレー返却コンベア24は、トレー検知部による検知結果に基づいて制御される。例えば、トレー載置台25にトレーがなく、トレー返却コンベア24の上にトレーがある場合、トレー返却コンベア24が作動して、トレー返却コンベア24の上に載置されたトレーをトレー載置台25の上に移動させる。トレー載置台25にトレーがある場合や、トレー返却コンベア24の上にトレーがない場合は、トレー返却コンベア24が停止して、電力消費を抑える。
【0023】
また、トレー返却コンベア24の上にトレーがなく、トレー範囲213e~213hのいずれかにトレーがある場合は、トレー移動部23及びストッパー22e~22hが作動して、トレー範囲213e~213hに載置されたトレーをトレー返却コンベア24の上に移動させる。
【0024】
図5~9を参照して、洗浄部13について詳しく説明する。
洗浄部13は、例えば、下洗いシンク31と、ラック載置台32と、食器搬送機構33と、食器洗浄機構34と、ラック搬送機構35と、ラック洗浄機構36と、トレー搬送機構37と、トレー洗浄機構38とを有する。
【0025】
下洗いシンク31は、トレー返却部12に返却されたトレーや食器を作業員が下洗いするためのシンクである。例えば、作業員は、下洗いシンク31を使用して、食器に残った食べ残しを洗い流す。作業員は、下洗いシンク31の-Y側に立って、トレーや食器を下洗いする。下洗いシンク31は、トレー返却部12のトレー載置台25が、下洗いシンク31を使用する作業員の立ち位置のすぐ-X側に位置するよう配置されている。これにより、作業員は、移動することなく、返却されたトレーや食器を下洗いすることができる。
【0026】
ラック載置台32は、ラックを一時的に置いておくための場所である。ラック載置台32には、例えば、空のラックが載置される。作業員は、下洗いシンク31で下洗いした食器のうち、所定の種類のものを分別して、ラック載置台32に載置されたラックに収容する。
ラック載置台32は、下洗いシンク31の+Y側に隣接して配置されたトレー受入部371(後述)の上方に配置されている。これにより、作業員は、移動することなく、下洗いシンク31で下洗いした食器をラックに収容することができる。
ラック載置台32は、例えば三段に分かれていて、それぞれの段にラックを載置できる。例えば、下段には、カトラリーラックを載置する。カトラリーラックには、箸、スプーン、フォークなどのカトラリー類を収容する。中段には、グラスラックを載置する。グラスラックには、グラスを下向きに収容する。中段は、グラスを収容しやすいよう、ラックを手前に向けて斜めに載置できるよう構成してもよい。上段には、予備のラックを載置する。
【0027】
食器搬送機構33は、±X方向に延びる長尺状であり、食器を+X方向に搬送する。
食器搬送機構33は、例えば、食器搬送コンベア330と、食器受入部331と、食器押さえ部332と、食器排出部334とを有する。
食器搬送コンベア330は、±X方向に延び、その上に載せられた食器を+X方向へ搬送する。
【0028】
食器受入部331は、食器搬送コンベア330の-X側の端部に設けられ、作業員が下洗いした食器を食器搬送コンベア330に載せるための部分である。作業員は、例えば皿、椀、鉢など、ラック載置台32に載置されたラックに収容する食器以外の種類の食器を分別して、食器受入部331に載せる。このとき、作業員は、食器を伏せた状態で食器受入部331に載せる。食器受入部331に載せられた食器は、食器搬送コンベア330によって+X方向に搬送される。
食器受入部331は、下洗いシンク31の+X側に隣接して配置されている。これにより、作業員は、移動することなく、下洗いした食器を食器搬送コンベア330に載せることができる。
【0029】
食器押さえ部332は、食器搬送コンベア330の上方(+Z方向)に設けられ、食器搬送コンベア330によって搬送されている食器が食器搬送コンベア330から落ちないように押さえる。食器押さえ部332は、例えば、自由に回転するプーリーの間に比較的緩く掛け渡された無限軌道であり、食器搬送コンベア330の動きに伴って動く。食器搬送コンベア330の上に載せられた食器は、食器搬送コンベア330と食器押さえ部332との間に挟まれて搬送され、これにより、洗浄液や空気流などを食器に吹き付けたとき、食器が食器搬送コンベア330から外れるのを防ぐ。
【0030】
食器排出部334は、食器搬送コンベア330の+X側の端部に設けられ、食器搬送コンベア330によって搬送された食器を+X方向に排出する。
【0031】
食器洗浄機構34は、食器搬送コンベア330に沿って食器搬送コンベア330の周りに配置され、食器搬送コンベア330によって搬送されている食器を洗浄する。食器洗浄機構34は、例えば、食器洗浄部341と、第一吹付部342と、食器すすぎ部343と、第二吹付部344とを有する。
【0032】
食器洗浄部341は、食器搬送コンベア330に沿って食器受入部331の下流(+X方向)に配置され、洗剤を含む洗浄液で食器搬送コンベア330によって搬送されている食器を洗浄する。食器洗浄部341は、例えば、食器に洗浄液を吹き付ける洗浄ノズルを有する。
【0033】
第一吹付部342は、食器搬送コンベア330に沿って食器洗浄部341の下流(+X方向)に配置され、食器搬送コンベア330によって搬送されている食器の高台などに溜まった洗浄液を吹き飛ばす。第一吹付部342は、例えば、食器に空気流を吹き付けるエアノズルを有する。
食器は伏せた状態で食器搬送コンベア330に載せられるので、食器のなかに洗浄液が溜まることはない。しかし、椀など高台を有する食器の場合、高台のなかに洗浄液が溜まる場合がある。そして、これをすすぎだけで完全に除去するには、比較的大量の水が必要になる。
そこで、すすぎ前に高台などのなかに溜まった洗浄液を吹き飛ばす。これにより、すすぎ水を節約することができる。
【0034】
食器すすぎ部343は、食器搬送コンベア330に沿って第一吹付部342の下流(+X方向)に配置され、洗剤を含まないすすぎ水で食器搬送コンベア330によって搬送されている食器をすすぐ。食器すすぎ部343は、例えば、食器にすすぎ水を吹き付けるすすぎノズルを有する。
【0035】
第二吹付部344は、食器搬送コンベア330に沿って食器すすぎ部343の下流(+X方向)に配置され、食器搬送コンベア330によって搬送されている食器についた水滴を吹き飛ばす。第二吹付部344は、例えば、食器に空気流を吹き付けるエアノズルを有する。
【0036】
食器搬送コンベア330によって搬送され食器洗浄機構34によって洗浄された食器は、食器排出部334によって食器転送部15の上に排出される。
【0037】
ラック搬送機構35は、±X方向に延びる長尺状であり、ラックを+X方向に搬送する。ラック搬送機構35は、食器搬送機構33の上方(+Z方向)に配置されている。これにより、洗浄部13の占有面積を小さくすることができる。
ラック搬送機構35は、例えば、ラック搬送コンベア350と、ラック受入部351と、ラック排出部354とを有する。
ラック搬送コンベア350は、±X方向に延び、その上に載せられたラックを+X方向に搬送する。
【0038】
ラック受入部351は、ラック搬送コンベア350の-X側の端部に設けられ、ラックをラック搬送コンベア350に載せるための部分である。作業員は、下洗いシンク31で下洗いしたグラス、カトラリー類などの食器がラック載置台32に載置されたラックに溜まったら、随時、ラック載置台32からラックをラック受入部351に移動する。ラック載置台32の中段や下段に載置されたラックをラック受入部351に移動したのち、ラック載置台32の上段に載置された予備のラックを中段や下段に移動する。これにより、下洗い作業を中断する必要がない。
ラック受入部351に移動されたラックは、ラック搬送コンベア350によって+X方向に搬送される。ラック受入部351は、食器受入部331の上方(+Z方向)に配置されている。これにより、作業員は、移動することなく、下洗いした食器が溜まったラックをラック搬送コンベア350に載せることができる。
【0039】
ラック排出部354は、ラック搬送コンベア350の+X側の端部に設けられ、ラック搬送コンベア350によって搬送されたラックを-Y方向に排出する。
【0040】
ラック洗浄機構36は、ラック搬送コンベア350に沿ってラック搬送コンベア350の周りに配置され、ラック搬送コンベア350によって搬送されているラック及びそのなかに収容されている食器を洗浄する。ラック洗浄機構36は、例えば、ラック洗浄部361と、ラックすすぎ部363とを有する。
【0041】
ラック洗浄部361は、ラック搬送コンベア350に沿ってラック受入部351の下流(+X方向)に配置され、洗剤を含む洗浄液でラック搬送コンベア350によって搬送されているラック及びそのなかに収容されている食器を洗浄する。ラック洗浄部361は、例えば、ラックに洗浄液を吹き付ける洗浄ノズルを有する。
【0042】
ラックすすぎ部363は、ラック搬送コンベア350に沿ってラック洗浄部361の下流(+X方向)に配置され、洗剤を含まないすすぎ水でラック搬送コンベア350によって搬送されているラック及びそのなかに収容されている食器をすすぐ。ラックすすぎ部363は、例えば、ラックにすすぎ水を吹き付けるすすぎノズルを有する。
【0043】
ラック搬送コンベア350によって搬送され、ラック洗浄機構36によって洗浄された食器入りのラックは、ラック搬送コンベア350によって転送部15の上に排出される。
【0044】
トレー搬送機構37は、±X方向に延びる長尺状であり、トレーを+X方向へ搬送する。トレー搬送機構37は、食器搬送機構33の+Y方向に配置されている。
トレー搬送機構37は、例えば、トレー搬送コンベア370と、トレー受入部371と、ガイド板372と、トレーガイド373と、トレー排出部374とを有する。
トレー搬送コンベア370は、±X方向に延び、その上に載せられたトレーを+X方向へ搬送する。トレー搬送コンベア370は、その上に載せられたトレーを立てた状態で搬送する。これにより、洗浄部13の占有面積を小さくすることができる。トレー搬送機構37の-X側の端部は、下洗いシンク31の+Y方向に配置されている。
【0045】
トレー受入部371は、作業員が下洗いしたトレーを受け入れる。トレー受入部371は、例えば、+Y方向に少し傾いた台である。トレー受入部371は、トレー搬送コンベア370の-X側の端部と、下洗いシンク31との間の上方(+Z方向)に配置されている。
ガイド板372は、±X方向及び±Z方向に延びる板であり、±X方向から見たとき+Y方向へ向けて膨らんでいる。ガイド板372は、トレー受入部371の+Y側に近接して配置されている。
作業員は、下洗いシンク31で下洗いしたトレーをトレー受入部371に載せて、+Y方向に押す。すると、トレーの端部がガイド板372に当接し、-Z方向へ向けてガイドされて、トレーが立った状態になり、トレー搬送コンベア370の上に載って、トレー搬送コンベア370によって+X方向に搬送される。
これにより、作業員は、移動することなく、下洗いしたトレーをトレー搬送コンベア370に載せることができる。
【0046】
トレーガイド373は、トレー搬送コンベア370で搬送されるトレーをガイドする。トレーガイド373は、作業員がトレー搬送コンベア370に載せたトレーを立った状態のまま支持し、トレー搬送コンベア370で搬送されている間、トレーが倒れないように支持する。
【0047】
トレー排出部374は、トレー搬送コンベア370の+X側の端部の更に+X側に設けられている。トレー排出部374において、トレーガイド373は、トレー搬送コンベア370によって立った状態で搬送されてきたトレーを裏向きに倒し、伏せた状態で排出する。
【0048】
トレー洗浄機構38は、トレー搬送コンベア370に沿ってトレー搬送コンベア370の周りに配置され、トレー搬送コンベア370によって搬送されているトレーを洗浄する。
トレー洗浄機構38は、例えば、トレー洗浄部381と、トレーすすぎ部383と、トレー吹付部384とを有する。
【0049】
トレー洗浄部381は、トレー搬送コンベア370に沿ってトレー受入部371の下流(+X方向)に配置され、洗剤を含む洗浄液でトレー搬送コンベア370によって搬送されているトレーを洗浄する。トレー洗浄部381は、例えば、トレーに洗浄液を吹き付ける洗浄ノズルを有する。
【0050】
トレーすすぎ部383は、トレー搬送コンベア370に沿ってトレー洗浄部381の下流(+X方向)に配置され、洗剤を含まないすすぎ水でトレー搬送コンベア370によって搬送されているトレーをすすぐ。トレーすすぎ部383は、例えば、トレーにすすぎ水を吹き付けるすすぎノズルを有する。
【0051】
トレー吹付部384は、トレー搬送コンベア370に沿ってトレーすすぎ部383の下流(+X方向)に配置され、トレー搬送コンベア370によって搬送されているトレーについた水滴を吹き飛ばす。トレー吹付部384は、例えば、トレーに空気流を吹き付けるエアノズルを有する。
【0052】
図10,11を参照してトレー収容部17について詳しく説明する。
トレー収容部17は、トレー搬送コンベア370によって搬送され、トレー洗浄機構38によって洗浄されて、トレー排出部374から排出されたトレーを収容する。トレー収容部17は、例えば、トレー載置部71と、支柱72と、車輪73とを有する。
トレー載置部71は、ほぼ水平な台であり、トレー排出部374から排出されたトレーがトレー載置部71の上に積み重ねられる。
支柱72は、トレー載置部71を±Z方向に移動可能に支持する。トレー載置部71は、その上にトレーが積み重なるにつれて、自動的に-Z方向に下がっていくよう構成されている。これにより、洗浄部13から排出されたトレーがトレー載置部71の上にきれいに積み重なる。
車輪73は、トレー収容部17の下部に設けられ、トレー収容部17を移動可能にする。
【0053】
図1に示したように、トレー収容部17には、洗浄システム10の外側912からアクセス可能である。トレー収容部17に積み重ねられたトレーは、作業員(下洗い担当の作業員とは別の作業員であることが好ましい。)によって運び出され、例えば、使用前トレー置き場に運ばれる。あるいは、トレー収容部17を複数用意しておき、トレー収容部17にトレーが溜まったらトレー収容部17を交換してもよく、交換したトレー収容部17をそのまま使用前トレー置き場まで移動させてもよい。
【0054】
図12~14を参照して、転送部15について詳しく説明する。
転送部15は、例えば、食器転送部51と、ラック収容部52とを有する。
【0055】
ラック収容部52は、例えば、±Y方向に延びる長尺状であり、洗浄部13のラック排出部354の-Y側に隣接して配置されている。ラック収容部52は、洗浄部13のラック洗浄機構36で洗浄されラック排出部354から排出されたグラスラックやカトラリーラックを収容する。ラック収容部52は、例えば、±X方向に平行な軸を中心として自由に回転可能な多数のローラを有し、ラック排出部354から排出されたラックは、後続するラックに押されて-Y方向に移動する。ラック収容部52には、例えば、二つから三つほどのラックが収容可能である。したがって、ラック排出部354から排出されたラックをすぐに回収する必要はない。
ラック収容部52に収容されるラックのなかには、下洗い担当の作業員によって仕分けられたグラスやカトラリー類が収容されている。
ラック収容部52には、洗浄システム10の外側912からアクセス可能である。ラック収容部52に排出されたラックは、作業員(下洗い担当の作業員とは別の作業員であることが好ましい。)によって運び出される。例えば、グラスラックは、グラスを収容したまま、使用前グラス置き場に移動させる。カトラリーラックに収容されたカトラリー類は、分別されて、使用前カトラリー置き場に運ばれる。
【0056】
食器転送部51は、例えば、±Y方向に延びる長尺状であり、洗浄部13の食器排出部334の+X側に隣接して配置されている。食器転送部51は、例えば、±X方向に平行な軸を中心として自由に回転可能な多数のローラを有し、-Y方向へ向けて傾斜している。食器排出部334から排出された食器は、転送部15の+Y側の端部に載り、自重により-Y方向へ向けて移動して、食器転送部51の-Y側の端部から排出され、食器収納部14に受け渡される。
【0057】
図15~16を参照して、食器収納部14について詳しく説明する。
食器収納部14は、例えば、食器収納コンベア41と、食器判別部42と、食器収納機構43a~43eと、食器持上部44a~44eとを有する。
【0058】
食器収納コンベア41は、±X方向に延びる長尺状であり、その上の載せられた食器を-X方向に搬送する。食器収納コンベア41は、+X側の端部が食器転送部51の-Y側に隣接して配置され、食器転送部51によって運ばれた食器を受け取る。
【0059】
食器判別部42は、食器収納コンベア41の上に載せられた食器の種類を判別する。食器判別部42は、例えば、食器収納コンベア41の上に載せられた食器を撮影するカメラと、カメラが撮影した画像を解析して食器の種類を判別する画像解析部とを有する。
ここでいう食器の種類とは、主に食器の形状のことである。同じ形状の食器を積み重ねて収容することにより、収容スペースを小さくすることができる。
【0060】
食器収納機構43a~43eは、食器収納コンベア41の上方(+Z方向)に配置され、食器判別部42の下流(-X方向)に位置する。食器収納機構43a~43eは、それぞれ異なる種類の食器を積み重ねて収納する。
食器持上部44a~44eは、それぞれ対応する食器収納機構43a~43eの下方(-Z方向)に配置され、食器収納コンベア41の上に載った食器を持ち上げて、食器収納機構43a~43eに収納する。
【0061】
例えば、食器持上部44a~44eは、上下(±Z方向)に移動可能なアームを有する。このアームの上端には、食器収納コンベア41によって搬送されている食器を止めるためのストッパーが設けられている。
食器収納機構43a~43eの下部には、上へ向けて観音開き状に開く扉が設けられている。この扉の間には、食器持上部44a~44eのアームが通る隙間が存在するが、扉が閉まっている状態では、扉の上に食器が載って、収容される。
【0062】
食器判別部42によって、食器の種類が判別されると、食器持上部44a~44eのうち、判別された食器の種類に対応する食器持上部のアームが上方(+Z方向)に移動し、ストッパー部分だけが食器収納コンベア41の上に突出する。この状態で、食器収納コンベア41が食器を搬送すると、搬送された食器がストッパーに引っかかって止められる。その後、アームが更に上方(+Z方向)に移動して、食器を持ち上げる。食器が食器収納機構43a~43eの扉に当接して、扉を押し開ける。アームが更に上方(+Z方向)に移動して、食器全体が完全に食器収納機構43a~43eのなかに入ると、食器収納機構43a~43eのなかに既に収納されていた食器の一番下に、新たな食器が積み重ねられ、食器の下で扉が閉じる。その後、今度は、アームが下方(-Z方向)に移動すると、アームは、扉の間の隙間から食器収納機構43a~43eの外に出て、食器は、食器収納機構43a~43eのなかにそのまま残る。このようにして、食器収納機構43a~43eのなかに食器が種類ごとに収納される。
【0063】
食器収納機構43a~43eに収納された食器は、作業員(下洗い担当の作業員とは異なる作業員であることが好ましい。)が運び出し、例えば、配膳室の使用前食器置き場などに移動させる。
食器収納機構43a~43eは、収納している食器の数を検知するセンサを有してもよく、もうすぐ満杯になることをセンサが検知した場合に点灯する警告ランプを有してもよい。また、満杯になったことをセンサが検知した場合に、洗浄システム10全体を停止してもよいし、食器収納部14だけを停止してもよい。あるいは、満杯になった食器収納機構43a~43eに収納すべき食器が検出されるまでは、洗浄システム10全体あるいは食器収納部14の動作を継続してもよい。
【0064】
食器判別部42が判別した食器の種類が、食器収納機構43a~43eのいずれに収納される種類とも異なる場合、食器持上部44a~44eは、いずれも作動しない。すなわち、食器持上部44a~44eのアームは、食器収納コンベア41の下に隠れている。したがって、食器収納コンベア41によって搬送される食器は、止まることなく、-X側の端部まで搬送され、食器収納コンベア41から排出される。例えば、積み重ねることができないため食器収納機構43a~43eに収納できない種類の食器や、数が少ないためそれ専用の食器収納機構43a~43eを用意するほどではない種類の食器は、食器収納コンベア41から排出される。
【0065】
食器収納コンベア41から排出された食器は、食器収納コンベア41の-X側に隣接して配置された移動水切り台18の上に排出される。
移動水切り台18の上に排出された食器は、作業員(下洗い担当の作業員とは異なる作業員であることが好ましい。)が運び出し、例えば、配膳室の使用前食器置き場などに移動させる。移動水切り台18を複数用意して、移動水切り台18の上に食器が溜まったら、移動水切り台18を交換してもよく、交換した移動水切り台18をそのまま使用前食器置き場まで移動させてもよい。
【0066】
以上のように、食器洗浄、ラック洗浄、トレー洗浄の三つの機能を一つにし、洗浄部を三つに分けたことにより、洗浄作業の手間を削減できる。
洗浄部を分けずに一つの洗浄部ですべての食器を洗浄することもできるが、そうすると、洗浄が終わったあとで食器を分別する必要がある。洗浄後の食器が出てくる場所は洗浄部の反対側になるので、下洗いシンクから離れている。したがって、下洗い担当の作業員が洗浄後の食器の分別をするためには、下洗いシンク31から離れる必要があり、下洗いに集中することができない。下洗い担当の作業員とは別に食器分別担当の作業員を配置してもよいが、そうすると、人件費が嵩む。
これに対し、洗浄システム10では、下洗い担当の作業員が、下洗いをしながら食器を分別し、分別された食器を異なる洗浄部が洗浄するので、洗浄後に食器を分別する必要がない。したがって、食器分別担当の作業員は必要なく、下洗い担当の作業員一人だけで、食器の洗浄作業をすることができる。
【0067】
また、ラック搬送機構35及びラック洗浄機構36を食器搬送機構33及び食器洗浄機構34の上方に配置することにより、洗浄システム10の占有面積を小さくすることができるとともに、下洗いした食器を食器受入部331に入れ、ラックに溜めた食器をラックごとラック受入部351に入れる動作に無駄がなく、作業の手間を削減することができる。
【0068】
洗浄システムは、トレー、テーブルウェアー(食器)、グラスの3種を1台で洗浄できるTTGトリプル洗浄機である。これは、フードコート等の飲食コーナーの洗浄コーナーに設置される。基本的に、フードコートでは、トレーに食器を載せて返却される。洗浄システムは、返却されたトレー、食器の洗浄を行う。
洗浄システムは、喫食後のトレーが返却されるトレー返却ブースと、トレー、食器及びグラスの洗浄機と、洗浄後の食器収納部(スタッキング)とを有する。
繁忙期は、喫食後の短時間でのトレー返却が多くなり返却スペースが多く必要になる。しかし、常時広い場所を確保することは無駄になり、広い場所に返却されたトレーの処理をするために作業者の移動も発生するため、効率が悪く作業量も多くなる。これを改善するため、トレー返却ブースには置かれたトレーが順次洗浄作業者の手元へ移動する装置を設ける。これにより、返却されたトレーが洗浄機側へ移動するので、作業者の負担が軽減される。処理量によりトレー返却部のスペースを広くすることで、喫食後のトレー返却待ちへの対応も可能になる。
トレー、食器及びグラスの洗浄機に関しては、1台の洗浄機で、トレー、食器、グラス(ラック使用)の洗浄ができる。個々に洗浄ができるので、洗浄後の仕分け、整理が簡便になる。洗浄後の食器は仕分け収納部へ移動し、ラックについてはコンベア上サービステーブルへ移動するまで、待機ができる。
食器のなかで数量が多いものについては、洗浄後、コンベア上で画像処理などにより食器を判別することで同一の食器を積み重ねし収納することができる。食器の積み重ねは、積み重ねが必要な食器の数量の積み重ね装置(スタッキング装置)を設備することができる。数量の少ない物や形状が特別なものは、コンベア末端の水切り台で仕分けして収納する。
【0069】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例である。本発明は、これに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく様々に修正し、変更し、追加し、又は除去したものを含む。これは、以上の説明から当業者に容易に理解することができる。
【符号の説明】
【0070】
10 洗浄システム、12 トレー返却部、21 トレー返却台、211a~211d レーン、212a~212c 仕切り板、213a~213h トレー範囲、214 ローラ、22a~22h ストッパー、23 トレー移動部、231a~231d 板状部、24 トレー返却コンベア、25 トレー載置台、13 洗浄部、31 下洗いシンク、32 ラック載置台、33 食器搬送機構、330 食器搬送コンベア、331 食器受入部、332 食器押さえ部、334 食器排出部、34 食器洗浄機構、341 食器洗浄部、342 第一吹付部、343 食器すすぎ部、344 第二吹付部、35 ラック搬送機構、350 ラック搬送コンベア、351 ラック受入部、354 ラック排出部、36 ラック洗浄機構、361 ラック洗浄部、363 ラックすすぎ部、37 トレー搬送機構、370 トレー搬送コンベア、371 トレー受入部、372 ガイド板、373 トレーガイド、374 トレー排出部、38 トレー洗浄機構、381 トレー洗浄部、383 トレーすすぎ部、384 トレー吹付部、14 食器収納部、41 食器収納コンベア、42 食器判別部、43a~43e 食器収納機構、44a~44e 食器持上部、15 転送部、51 食器転送部、52 ラック収容部、17 トレー収容部、71 トレー載置部、72 支柱、73 車輪、18 移動水切り台、91 洗浄室、911 作業スペース、912 外側、92 喫食スペース。