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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127199
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/18 20060101AFI20230906BHJP
   H01R 4/20 20060101ALI20230906BHJP
   H01R 4/70 20060101ALI20230906BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
H02G15/18
H01R4/20
H01R4/70 F
H01B7/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030830
(22)【出願日】2022-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萩 真博
【テーマコード(参考)】
5E085
5G309
5G375
【Fターム(参考)】
5E085BB02
5E085BB12
5E085CC03
5E085DD16
5E085EE11
5E085HH06
5E085JJ13
5E085JJ50
5G309AA01
5G309AA09
5G375BB48
5G375BB55
5G375CA02
5G375CA13
5G375CB08
5G375DB33
(57)【要約】
【課題】電線を屈曲しやすくする。
【解決手段】ワイヤハーネスWは、第1電線10と、第2電線20と、接続部品30と、を備えている。第1電線10は、第1芯線11を有する。第2電線20は、第2芯線21を有している。接続部品30は、第1芯線11を第2芯線21に電気的に接続させる。接続部品30は、第1接続部31と、第2接続部32と、蛇腹部33と、を有している。第1接続部31は、第1芯線11に電気的に接続されている。第2接続部32は、第2芯線21に電気的に接続されている。蛇腹部33は、第1接続部31と第2接続部32との間に設けられ蛇腹形状をなしている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1芯線を有する第1電線と、
第2芯線を有する第2電線と、
前記第1芯線を前記第2芯線に電気的に接続させる接続部品と、を備え、
前記接続部品は、前記第1芯線に電気的に接続される第1接続部と、前記第2芯線に電気的に接続される第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部との間に設けられ蛇腹形状をなす蛇腹部と、を有するワイヤハーネス。
【請求項2】
前記第1接続部と、前記第2接続部と、前記蛇腹部とは、前記第1芯線及び前記第2芯線の双方に電気的に接続される筒状の導電部と、前記導電部の径方向外側に設けられる絶縁部と、によって構成される請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記第1電線は、前記第1芯線の外周を覆う第1絶縁被覆を有し、
前記第2電線は、前記第2芯線の外周を覆う第2絶縁被覆を有し、
前記第1芯線は、前記第1電線の一端において前記第1絶縁被覆から露出した第1露出部を有し、
前記第2芯線は、前記第2電線の一端において前記第2絶縁被覆から露出した第2露出部を有し、
前記第1接続部は、前記第1露出部に電気的に接続され、
前記第2接続部は、前記第2露出部に電気的に接続される請求項2に記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
前記第1接続部は、前記第1露出部に圧着され、
前記第2接続部は、前記第2露出部に圧着されている請求項3に記載のワイヤハーネス。
【請求項5】
前記第1電線及び前記第2電線の少なくとも一方と前記接続部品との間の隙間を埋める止水剤を備える請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のワイヤハーネス。
【請求項6】
前記止水剤の外周を覆う収縮チューブを備える請求項5に記載のワイヤハーネス。
【請求項7】
収縮チューブに接着剤が塗布された構成をなす接着剤付き収縮チューブを備え、
前記接着剤付き収縮チューブは、前記第1電線及び前記第2電線の少なくとも一方と前記接続部品とに接着され、前記少なくとも一方と前記接続部品との間の隙間を埋めた状態で配置されている請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被覆電線が開示されている。この被覆電線は、絶縁被覆が除去された除去部を有している。除去部は、導体部が扁平につぶれた扁平部を有している。扁平部の外周面には、扁平部の形状を保持する被覆部材が、除去部を覆うように設けられている。この被覆電線は、被覆部材が扁平部の形状を保持するため、剛性が高くなっており、屈曲性に乏しい。
【0003】
これに対し、特許文献2のシールドパイプ付き電線は屈曲しやすくなっている。このシールドパイプ付き電線は、電線と、電線が内部に挿通されたシールドパイプと、を備えている。シールドパイプは、部分的に蛇腹形状を有しており、屈曲しやすくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-95280号公報
【特許文献2】特開2017-143614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2の技術でも、シールドパイプの内部に挿通される電線の屈曲性については考慮されておらず、この点で改善の余地がある。
【0006】
そこで、本開示は、電線を屈曲しやすくすることが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のワイヤハーネスは、第1芯線を有する第1電線と、第2芯線を有する第2電線と、前記第1芯線を前記第2芯線に電気的に接続させる接続部品と、を備え、前記接続部品は、前記第1芯線に電気的に接続される第1接続部と、前記第2芯線に電気的に接続される第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部との間に設けられ蛇腹形状をなす蛇腹部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、電線を屈曲しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1のワイヤハーネスの構成を概略的に示す構成図である。
図2図2は、接続部品の断面図である。
図3図3は、第1電線及び第2電線の平面図である。
図4図4は、第1電線及び第2電線に接続部品が接続された状態を示す断面図である。
図5図5は、第1電線と接続部品との間の隙間、及び第2電線と接続部品との間の隙間に止水剤が塗布された状態を示す断面図である。
図6図6は、止水剤の外周を収縮チューブが覆った状態を示す断面図である。
図7図7は、実施形態2のワイヤハーネスの構成を概略的に示す構成図である。
図8図8は、実施形態3の図6相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0011】
本開示のワイヤハーネスは、
(1)第1芯線を有する第1電線と、第2芯線を有する第2電線と、前記第1芯線を前記第2芯線に電気的に接続させる接続部品と、を備え、前記接続部品は、前記第1芯線に電気的に接続される第1接続部と、前記第2芯線に電気的に接続される第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部との間に設けられ蛇腹形状をなす蛇腹部と、を有する。
【0012】
この構成によれば、第1芯線と第2芯線との間に蛇腹部が設けられるため、第1芯線と第2芯線との間の部位が屈曲しやすくなる。したがって、この構成によれば、第1電線と第2電線と接続部品とによって構成される電線を屈曲しやすくすることができる。
【0013】
(2)前記第1接続部と、前記第2接続部と、前記蛇腹部とは、前記第1芯線及び前記第2芯線の双方に電気的に接続される筒状の導電部と、前記導電部の径方向外側に設けられる絶縁部と、によって構成されていてもよい。
【0014】
この構成によれば、導電部によって第1芯線を第2芯線に電気的に接続させ、絶縁部によって導電部を外部から電気的に絶縁することができる。
【0015】
(3)前記(2)の構成において、前記第1電線は、前記第1芯線の外周を覆う第1絶縁被覆を有し、前記第2電線は、前記第2芯線の外周を覆う第2絶縁被覆を有し、前記第1芯線は、前記第1電線の一端において前記第1絶縁被覆から露出した第1露出部を有し、前記第2芯線は、前記第2電線の一端において前記第2絶縁被覆から露出した第2露出部を有し、前記第1接続部は、前記第1露出部に電気的に接続され、前記第2接続部は、前記第2露出部に電気的に接続されていてもよい。
【0016】
この構成によれば、第1接続部が第1露出部に電気的に接続され、第2接続部が第2露出部に電気的に接続される構成によって、第1芯線を第2芯線に電気的に接続させる構成を実現することができる。
【0017】
(4)前記(3)の構成において、前記第1接続部は、前記第1露出部に圧着され、前記第2接続部は、前記第2露出部に圧着されていてもよい。
【0018】
この構成によれば、圧着によって第1接続部を第1露出部に連結し、第2接続部を第2露出部に連結することができる。
【0019】
(5)前記ワイヤハーネスは、前記第1電線及び前記第2電線の少なくとも一方と前記接続部品との間の隙間を埋める止水剤を備えていてもよい。
【0020】
この構成によれば、上記隙間への浸水を止水剤によって抑制することができる。
【0021】
(6)前記(5)の構成において、前記止水剤の外周を覆う収縮チューブを備えていてもよい。
【0022】
この構成によれば、収縮チューブの収縮力によって止水剤が上記少なくとも一方と接続部品とに密着するため、止水剤による浸水の抑制効果を向上させることができる。
【0023】
(7)前記ワイヤハーネスは、収縮チューブに接着剤が塗布された構成をなす接着剤付き収縮チューブを備えていてもよい。前記接着剤付き収縮チューブは、前記第1電線及び前記第2電線の少なくとも一方と前記接続部品とに接着され、前記少なくとも一方と前記接続部品との間の隙間を埋めた状態で配置されていてもよい。
【0024】
この構成によれば、接着剤付き収縮チューブによって、上記隙間への浸水を抑制することができる。
【0025】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0026】
<実施形態1>
(ワイヤハーネスの構成)
図1には、実施形態1のワイヤハーネスWが開示されている。ワイヤハーネスWは、図1に示すように、第1電線10と、第2電線20と、接続部品30と、を備えている。
【0027】
第1電線10は、被覆電線として構成されている。第1電線10は、図3に示すように、第1芯線11と、第1絶縁被覆12と、を有している。第1芯線11は、導電性を有している。第1芯線11の外周面は、端部を除き第1絶縁被覆12に覆われている。第1芯線11は、第1絶縁被覆12の一端から外周面を露出させた第1露出部13を有している。第1露出部13は、第1芯線11の一端に設けられている。第1絶縁被覆12は、筒状をなしている。
【0028】
第2電線20は、被覆電線として構成されている。第2電線20は、図3に示すように、第2芯線21と、第2絶縁被覆22と、を有している。第2芯線21は、導電性を有している。第2芯線21の外周面は、端部を除き第2絶縁被覆22に覆われている。第2芯線21は、第2絶縁被覆22の一端から外周面を露出させた第2露出部23を有している。第2露出部23は、第2芯線21の一端に設けられている。第2絶縁被覆22は、筒状をなしている。
【0029】
接続部品30は、第1芯線11を第2芯線21に電気的に接続させる部品である。接続部品30は、図2に示すように、第1接続部31と、第2接続部32と、蛇腹部33と、を有している。
【0030】
第1接続部31は、図4に示すように、接続部品30の一端に設けられ、第1電線10に接続されている。第1接続部31は、直線状に延びる筒状をなしており、第1接続部31の一端側の開口から挿入された第1露出部13に圧着されている。
【0031】
第2接続部32は、図4に示すように、接続部品30の他端に設けられ、第2電線20に接続されている。第2接続部32は、直線状に延びる筒状をなしており、第2接続部32の一端側の開口から挿入された第2露出部23に圧着されている。
【0032】
蛇腹部33は、図2に示すように、第1接続部31と第2接続部32との間に設けられている。蛇腹部33は、蛇腹形状をなしている。蛇腹形状とは、軸方向に切断した断面の形状が波形形状、又は凹凸が繰り返される形状のことである。蛇腹部33は、伸縮性を有し、屈曲可能である。蛇腹部33は、軸方向と直交する方向において、一方側の波形形状又は凹凸形状が伸び、他方側の波形形状又は凹凸形状が縮むことで、屈曲する。
【0033】
第1接続部31、第2接続部32、及び蛇腹部33は、図4に示すように、導電部40と、絶縁部41と、によって構成されている。導電部40は、第1芯線11及び第2芯線21の双方に電気的に接続されている。導電部40は、筒状をなしている。導電部40は、例えば金属製であり、板状をなしている。絶縁部41は、導電部40の径方向外側に設けられている。絶縁部41は、筒状をなしている。絶縁部41は、導電部40に接着されている。絶縁部41の皮膜厚は、導電部40の板厚よりも小さい。
【0034】
ワイヤハーネスWは、図6に示すように、止水剤50と、収縮チューブ51と、を備えている。止水剤50は、絶縁性を有する。止水剤50としては、例えば、シリコーン樹脂、グリース、ブチルゴム、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、熱可塑性樹脂、その他、粘性および弾性を有する接着剤、が用いられる。本実施形態では、乾燥により固化するシリコーン樹脂が採用されている。止水剤50は、2カ所に設けられている。一方の止水剤50は、第1電線10と接続部品30(より具体的には、第1接続部31)との間の隙間を埋めている。他方の止水剤50は、第2電線20と接続部品30(より具体的には、第2接続部32)との間の隙間を埋めている。
【0035】
収縮チューブ51は、例えば熱収縮チューブである。収縮チューブ51は、例えば熱可塑性樹脂からなる。収縮チューブ51は、絶縁性を有する。収縮チューブ51は、筒状をなしている。収縮チューブ51は、例えば、押し出し成形によりごく細い筒状に成形された樹脂部材が、加熱された状態で太い筒状へ引き伸ばされた後に冷却されることによって得られる。このようにして得られた収縮チューブ51は、加熱された場合に、引き伸ばされる前の細い筒状まで収縮する形状記憶特性を有する。収縮チューブ51は、2つ設けられている。各々の収縮チューブ51は、各々の止水剤50の外周を覆っている。
【0036】
ワイヤハーネスWは、図1に示すように、第1コネクタ61と、第2コネクタ62と、を備えている。第1コネクタ61は、絶縁性を有している。第1コネクタ61は、合成樹脂製である。上述した第1電線10の他端には、第1コネクタ61が接続されている。第2コネクタ62は、絶縁性を有している。第2コネクタ62は、合成樹脂製である。上述した第2電線20の他端には、第2コネクタ62が接続されている。
【0037】
ワイヤハーネスWは、図1に示すように、シールド部材63と、第1連結部材64と、第2連結部材65と、を備えている。シールド部材63は、導電性を有しており、筒状をなしている。シールド部材63は、編組線である。シールド部材63は、複数の第1電線10と、複数の第2電線20と、複数の接続部品30と、を覆っている。シールド部材63の一端側は、第1連結部材64によって第1コネクタ61の外周面に連結されている。シールド部材63の他端側は、第2連結部材65によって第2コネクタ62の外周面に連結されている。
【0038】
ワイヤハーネスWは、図1に示すように、外装部材66と、第1保護部材67と、第2保護部材68と、を備えている。外装部材66は、絶縁性を有しており、筒状をなしている。外装部材66は、可撓性を有しており、例えばコルゲートチューブとして構成されている。外装部材66は、シールド部材63の外周を覆っている。外装部材66の一端側は、第1保護部材67を介して第1コネクタ61に固定されている。外装部材66の他端側は、第2保護部材68を介して第2コネクタ62に固定されている。第1保護部材67及び第2保護部材68は、絶縁性を有しており、筒状をなしている。第1保護部材67は、第1連結部材64を覆った状態で第1コネクタ61の外周面に固定されている。第2保護部材68は、第2連結部材65を覆った状態で第2コネクタ62の外周面に固定されている。
【0039】
(ワイヤハーネスの製造方法)
ワイヤハーネスWのうち接続部品30は、例えば、以下のように製造される。まず、金属製(例えばアルミ製)の円筒状の部材が製造される。円筒状の部材は、蛇腹形状が形成されるように径方向外側から圧縮される。これにより、接続部品30の導電部40が形成される。導電部40の外周面は、絶縁性塗料によって塗装される。これにより、導電部40の外周面に、絶縁部41からなる絶縁層が形成される。このようにして、接続部品30が製造される。なお、接続部品30の製造方法は、この方法に限らない。例えば、導電部40は、鋳造によって形成されてもよい。
【0040】
第1電線10と第2電線20は、被覆電線の一端の絶縁被覆を除去して、芯線の一端側の外周面を露出させることで形成される(図3参照)。図4に示すように、接続部品30の第1接続部31の内側には、接続部品30の一端側から第1芯線11の第1露出部13が挿入される。第1接続部31は、第1露出部13に圧着される。接続部品30の第2接続部32の内側には、接続部品30の他端側から第2芯線21の第2露出部23が挿入される。第2接続部32は、第2露出部23に圧着される。このとき、第1芯線11と第2芯線21は、互いに間隔を空けて配置される。このため、蛇腹部33の内側には、空間が形成される。したがって、蛇腹部33が屈曲しても蛇腹部33の内周面が第1芯線11及び第2芯線21と干渉せず、蛇腹部33が屈曲しやすい。
【0041】
図5に示すように、止水剤50が、第1電線10と接続部品30との間の隙間、及び第2電線20と接続部品30との間の隙間を埋めるように塗布される。そして、図6に示すように、各々の止水剤50の外周を覆うように収縮チューブ51が取り付けられる。収縮チューブ51が取り付けられることで、止水剤50が第1電線10、第2電線20及び接続部品30に密着して部材間の隙間をより確実に埋める。
【0042】
その後、筒状のシールド部材63が、第1電線10、第2電線20、及び接続部品30の外周を覆うように、第1電線10の他端側又は第2電線20の他端側から挿通される。なお、図1では、第1電線10と第2電線20と接続部品30とによって構成される蛇腹付き電線70が、シールド部材63の内側に2本挿通されている。筒状の外装部材66は、シールド部材63の外周を覆うように挿通される。
【0043】
各第1電線10の他端は、第1コネクタ61に接続され、各第2電線20の他端は、第2コネクタ62に接続される。シールド部材63の一端側は、第1連結部材64によって第1コネクタ61の外周面に連結され、他端側は、第2連結部材65によって第2コネクタ62の外周面に連結される。外装部材66の一端側は、第1保護部材67を介して第1コネクタ61に固定され、外装部材66の他端側は、第2保護部材68を介して第2コネクタ62に固定される。このようにしてワイヤハーネスWが製造される。
【0044】
ワイヤハーネスWは、弾性変形していない状態では、直線状に延びる形態をなしている。ワイヤハーネスWは、接続部品30が設けられる部位が屈曲することで、図1に示す状態となる。ワイヤハーネスWは、接続部品30が屈曲した状態では、自身の弾性力によって元の形状に戻ろうとする。ワイヤハーネスWは、図示しない車体パネルに固定されることで、屈曲した状態で保持される。
【0045】
(ワイヤハーネスの効果の例)
ワイヤハーネスWによれば、第1芯線11と第2芯線21との間に蛇腹部33が設けられるため、第1芯線11と第2芯線21との間の部位が屈曲しやすくなる。したがって、ワイヤハーネスWによれば、第1電線10と第2電線20と接続部品30とによって構成される電線を屈曲しやすくすることができる。
【0046】
更に、第1接続部31と、第2接続部32と、蛇腹部33とは、第1芯線11及び第2芯線21の双方に電気的に接続される筒状の導電部40と、導電部40の径方向外側に設けられる絶縁部41と、によって構成されている。この構成によれば、導電部40によって第1芯線11を第2芯線21に電気的に接続させ、絶縁部41によって導電部40を外部から電気的に絶縁することができる。
【0047】
更に、ワイヤハーネスWによれば、第1接続部31が第1露出部13に電気的に接続され、第2接続部32が第2露出部23に電気的に接続される構成によって、第1芯線11を第2芯線21に電気的に接続させる構成を実現することができる。
【0048】
更に、ワイヤハーネスWによれば、圧着によって第1接続部31を第1露出部13に連結し、第2接続部32を第2露出部23に連結することができる。
【0049】
更に、ワイヤハーネスWによれば、第1電線10と接続部品30との間の隙間への浸水、及び第2電線20と接続部品30との間の隙間への浸水を止水剤50によって抑制することができる。
【0050】
更に、ワイヤハーネスWによれば、収縮チューブ51の収縮力によって止水剤50が第1電線10と第2電線20と接続部品30とに密着するため、止水剤50による浸水の抑制効果を向上させることができる。
【0051】
<実施形態2>
実施形態1では、シールド部材の内側に挿通される電線が、全て蛇腹付き電線である例について説明した。しかし、シールド部材の内側に挿通される電線の一部は、蛇腹付き電線でなくてもよい。実施形態2では、シールド部材の内側に、蛇腹部を有しない蛇腹無し電線が挿通される例について説明する。なお、以下の説明では、実施形態1と同一の構成については同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0052】
実施形態2のワイヤハーネスW2は、図7に示すように、蛇腹付き電線70と、止水剤50と、収縮チューブ51と、蛇腹無し電線71と、第1コネクタ61と、第2コネクタ62と、シールド部材63と、第1連結部材64と、第2連結部材65と、外装部材66と、第1保護部材67と、第2保護部材68と、を備えている。
【0053】
蛇腹無し電線71は、被覆電線として構成されている。蛇腹無し電線71の一端は、第1コネクタ61に接続され、蛇腹無し電線71の他端は、第2コネクタ62に接続されている。図7に示すように、蛇腹付き電線70は、接続部品30が屈曲しており、蛇腹無し電線71は、屈曲した接続部品30よりも外側において屈曲している。仮に、蛇腹付き電線70が、蛇腹無し電線71の外側に配置される場合、蛇腹付き電線70の曲率を蛇腹無し電線71の曲率以上に大きくすることはできない。このため、ワイヤハーネスW2全体の曲率も小さくなってしまう。これに対し、蛇腹付き電線70が、蛇腹無し電線71の内側に配置される場合、蛇腹付き電線70の曲率を蛇腹無し電線71の曲率以上に大きくすることができる。したがって、この構成によれば、ワイヤハーネスW2全体の曲率を大きくすることができる。
【0054】
<実施形態3>
実施形態1では、ワイヤハーネスが止水剤及び収縮チューブを備える構成であった。これに対し、実施形態3では、ワイヤハーネスが止水剤及び収縮チューブに代えて、接着剤付き収縮チューブを備える構成について説明する。なお、以下の説明では、実施形態1と同一の構成については同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0055】
実施形態3のワイヤハーネスは、図8に示すように、第1電線10と、第2電線20と、接続部品30と、接着剤付き収縮チューブ350と、を備えている。
【0056】
接着剤付き収縮チューブ350は、実施形態1で説明した収縮チューブ51の内側に止水剤50が塗布された構成をなしている。接着剤付き収縮チューブ350は、2つ設けられている。一方の接着剤付き収縮チューブ350は、第1電線10と接続部品30とに接着され、第1電線10と接続部品30との間の隙間を埋めた状態で配置されている。他方の接着剤付き収縮チューブ350は、第2電線20と接続部品30とに接着され、第2電線20と接続部品30との間の隙間を埋めた状態で配置されている。この構成によれば、接着剤付き収縮チューブ350によって、第1電線10と接続部品30との間の隙間への浸水、及び第2電線20と接続部品30との間の隙間への浸水を抑制することができる。
【0057】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
(1)上記各実施形態において、ワイヤハーネスは、筒状の導電部の外周面に絶縁塗料を塗布した構成であったが、別の構成であってもよい。例えば、ワイヤハーネスは、樹脂成形された筒状の絶縁部の内周面に金属箔を塗布した構成であってもよい。あるいは、ワイヤハーネスは、二色成形によって筒状の導電部の外周面に絶縁部が設けられた構成であってもよい。
(2)上記各実施形態において、第1接続部は、筒状であったが、別の構成であってもよい。例えば、第1接続部は、オープンバレル状であってもよい。第1接続部は、第1芯線に圧着される構成であったが、別の手段によって第1芯線に電気的に接続される構成であってもよい。例えば、第1接続部は、第1芯線に超音波接合と言った手法で溶接される構成であってもよい。第2接続部についても、第1接続部と同様である。
(3)上記実施形態1において、ワイヤハーネスは、止水剤と収縮チューブとで浸水を抑制する構成であったが、止水剤のみで浸水を抑制する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
10…第1電線
11…第1芯線
12…第1絶縁被覆
13…第1露出部
20…第2電線
21…第2芯線
22…第2絶縁被覆
23…第2露出部
30…接続部品
31…第1接続部
32…第2接続部
33…蛇腹部
40…導電部
41…絶縁部
50…止水剤
51…収縮チューブ
61…第1コネクタ
62…第2コネクタ
63…シールド部材
64…第1連結部材
65…第2連結部材
66…外装部材
67…第1保護部材
68…第2保護部材
70…蛇腹付き電線
71…蛇腹無し電線
350…接着剤付き収縮チューブ
W…ワイヤハーネス
W2…ワイヤハーネス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8