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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127203
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】排気管
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/08 20100101AFI20230906BHJP
【FI】
F01N13/08 A
F01N13/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030836
(22)【出願日】2022-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】川合 大貴
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004DA11
3G004DA14
3G004EA05
3G004GA06
(57)【要約】
【課題】二重管の接続部における保温性の低下を抑制できる排気管を提供する。
【解決手段】本開示の一態様は、第1二重管と第2二重管とを備える排気管である。第1二重管は、第1内管と、第1内管の外周面を囲う第1外管と、第1内管の外周面と第1外管の内周面との間に設けられた第1空間とを有する。第2二重管は、第2内管と第2内管の外周面を囲う第2外管と、第2内管の外周面と第2外管の内周面との間に設けられた第2空間と、を有する。第1空間は、第1二重管と第2二重管との接続部において閉塞される。第1空間の接続部における閉塞端は、第1内管の径方向において第2空間と重なる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1二重管と、
前記第1二重管に接続された第2二重管と、
を備え、
前記第1二重管は、
排気ガスが内部を通過する第1内管と、
前記第1内管の外周面を囲うように配置される第1外管と、
前記第1内管の前記外周面と前記第1外管の内周面との間に設けられた第1空間と、
を有し、
前記第2二重管は、
前記排気ガスが内部を通過する第2内管と、
前記第2内管の外周面を囲うように配置される第2外管と、
前記第2内管の前記外周面と前記第2外管の内周面との間に設けられた第2空間と、
を有し、
前記第1空間は、前記第1二重管と前記第2二重管との接続部において閉塞され、
前記第1空間の前記接続部における閉塞端は、前記第1内管の径方向において前記第2空間と重なる、排気管。
【請求項2】
請求項1に記載の排気管であって、
前記第1二重管は、前記第1二重管の前記接続部とは反対側の端部において前記第1空間内に配置された第1保持部材をさらに有する、排気管。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の排気管であって、
前記第2二重管は、前記第2空間内に配置された第2保持部材をさらに有する、排気管。
【請求項4】
請求項3に記載の排気管であって、
前記第1空間の前記閉塞端は、前記第1内管の径方向において、前記第2空間のうち前記第2保持部材よりも前記第2内管の軸方向内側の領域と重なる、排気管。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の排気管であって、
前記接続部において、前記第1外管の端部の外周面と前記第2内管の端部の内周面とが固定される、排気管。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の排気管であって、
前記第2二重管は、前記第1二重管に対し、前記排気ガスの流れ方向における下流側に配置される、排気管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排気管に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排気システムにおいて、輻射熱を低減して保温性を高めるために内管と外管との間に空間が設けられた二重管が排気管として用いられる。排気ガスの排出経路が長い場合には、複数の二重管が接続された排気管が用いられる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-144710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の排気管では、上流側の二重管と下流側の二重管とが突き合わされて接続されているため、上流側の二重管の内管を通過した排気ガスの一部が上流側の内管と外管との間の空間に進入する。その結果、対流熱によって排気管の保温性が低下するおそれがある。
【0005】
本開示の一局面は、二重管の接続部における保温性の低下を抑制できる排気管を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、第1二重管と、第1二重管に接続された第2二重管と、を備える排気管である。第1二重管は、排気ガスが内部を通過する第1内管と、第1内管の外周面を囲うように配置される第1外管と、第1内管の外周面と第1外管の内周面との間に設けられた第1空間と、を有する。
【0007】
第2二重管は、排気ガスが内部を通過する第2内管と、第2内管の外周面を囲うように配置される第2外管と、第2内管の外周面と第2外管の内周面との間に設けられた第2空間と、を有する。第1空間は、第1二重管と第2二重管との接続部において閉塞される。第1空間の接続部における閉塞端は、第1内管の径方向において第2空間と重なる。
【0008】
このような構成によれば、第1外管の端部が第2内管の端部に固定されると共に、第1空間が接続部において閉塞されることで、排気ガスの第1空間及び第2空間への進入が抑制される。さらに、接続部において第1空間と第2空間とが排気管の軸方向に沿って連続するように配置される。その結果、第1二重管と第2二重管との接続部において、対流熱及び輻射熱による保温性の低下を抑制できる。
【0009】
本開示の一態様では、第1二重管は、第1二重管の接続部とは反対側の端部において第1空間内に配置された第1保持部材をさらに有してもよい。このような構成によれば、第1保持部材によって、第1空間を確保しつつ、第1二重管における第1内管と第1外管との間の熱膨張差を吸収できる。その結果、熱疲労による破損、第1内管と第1外管との接触による異音の発生等を抑制できる。
【0010】
本開示の一態様では、第2二重管は、第2空間内に配置された第2保持部材をさらに有してもよい。このような構成によれば、第2保持部材によって、第2空間を確保しつつ、第2二重管における第2内管と第2外管との間の熱膨張差を吸収できる。その結果、熱疲労による破損、第2内管と第2外管との接触による異音の発生等を抑制できる。
【0011】
本開示の一態様では、第1空間の閉塞端は、第1内管の径方向において、第2空間のうち第2保持部材よりも第2内管の軸方向内側の領域と重なってもよい。このような構成によれば、第2空間のうち第2保持部材によって閉塞されている領域と第1空間とが排気管の軸方向に連続するため、接続部における保温性を高められる。
【0012】
本開示の一態様では、接続部において、第1外管の端部の外周面と第2内管の端部の内周面とが固定されてもよい。このような構成によれば、第1外管を第2内管に対し、例えば溶接によって容易に固定できる。
【0013】
本開示の一態様では、第2二重管は、第1二重管に対し、排気ガスの流れ方向における下流側に配置されてもよい。このような構成によれば、接続部における乱流を抑制できる。その結果、接続部における圧損の上昇を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態の排気システムを示す模式図である。
図2図2は、実施形態の排気管の中心軸を含む模式的な断面図である。
図3図3は、図2の排気管における接続部の模式的な部分拡大断面図である。
図4図4は、図2とは異なる実施形態における排気管の中心軸を含む模式的な断面図である。
図5図5A及び図5Bは、図2とは異なる実施形態における排気管の中心軸を含む模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す排気システム10は、内燃機関100の排気ガス流路を構成している。内燃機関100としては、特に限定されないが、自動車、鉄道、船舶、建機等の輸送機器、発電施設などで駆動用又は発電用として用いられるものが挙げられる。
【0016】
排気システム10は、排気管1と、消音器11とを備える。排気管1は、内燃機関100から排出された排気ガスを、消音器11を介して系外に排出する。消音器11は、排気ガスの通過音を低減する。
【0017】
<排気管>
排気管1は、例えば自動車の内部に配置されるバッテリ101を迂回するように配置される。排気ガスの熱からバッテリ101を保護するために、排気管1は二重管構造を有する。
【0018】
排気管1は、図2に示すように、第1二重管2と、第2二重管3とを備える。なお、排気管1は、第1二重管2の上流側、又は第2二重管3の下流側に接続された他の二重管を備えてもよい。第1二重管2と第2二重管3とは、直列に接続されている。
【0019】
<第1二重管>
第1二重管2は、第1内管21と、第1外管22と、第1空間23と、第1保持部材24とを有する。
【0020】
(第1内管)
第1内管21は、排気ガスGが内部を通過する金属製の筒体である。第1内管21は、排気ガスGを第1内管21の内部に導入する(つまり排気ガスGの流れ方向上流側に配置された)第1内管上流端部21Aと、排気ガスGを第1内管21から排出する(つまり排気ガスGの流れ方向下流側に配置された)第1内管下流端部21Bとを有する。
【0021】
第1内管21の軸方向に直交する断面における外形は、円形であってもよいし、多角形であってもよい。また、第1内管21は湾曲していてもよい。さらに、第1内管21は、内径及び外径が軸方向に沿って一定であってもよいし、内径又は外径が軸方向に沿って変化してもよい。
【0022】
本実施形態では、他の配管との接続のために、第1内管上流端部21Aは、第1外管22よりも軸方向外側(つまり上流側)に突出している。ただし、第1内管上流端部21Aは、必ずしも第1外管22よりも軸方向外側に突出していなくてもよい。
【0023】
(第1外管)
第1外管22は、第1内管21の外周面を囲うように配置された金属製の筒体である。第1外管22の内径は、第1内管21の外径よりも大きい。第1外管22は、排気ガスGの流れ方向上流側に配置された第1外管上流端部22Aと、排気ガスGの流れ方向下流側に配置された第1外管下流端部22Bとを有する。
【0024】
第1外管22の軸方向に直交する断面における外形は、第1内管21の外形と相似形であってもよいし、非相似形であってもよい。また、第1外管22は湾曲していてもよい。さらに、第1外管22の中心軸は、第1内管21の中心軸と一致してもよいし、ずれていてもよい。
【0025】
第1外管下流端部22Bは、排気ガスGの流れ方向下流側に向かって縮径している。さらに、第1外管下流端部22Bの縮径部分は、周方向全体にわたって、内周面が第1内管下流端部21Bの外周面に、例えば溶接によって固定されている。
【0026】
このように、第1二重管2の下流端部(つまり第1二重管2と第2二重管3との接続部4)において、第1外管下流端部22Bは、第1内管下流端部21Bに固定されている。なお、第1内管下流端部21Bが拡径することで、第1外管下流端部22Bに固定されてもよい。
【0027】
一方、第1外管上流端部22Aは、第1保持部材24によって第1内管21に連結されているものの、第1内管21には固定されていない。
【0028】
(第1空間)
第1空間23は、第1内管21の外周面と第1外管22の内周面との間に設けられている。
【0029】
第1空間23は、第1内管21の径方向において第1内管21と第1外管22とに挟まれた空間であり、大気が存在している。第1空間23には、大気以外に、例えば断熱部材等の他の部材が入っていてもよい。第1空間23は、第1内管21を周方向に沿って覆っている。また、第1空間23は、第1内管21の内部には連通していない。
【0030】
本実施形態では、第1空間23は、第1内管21の軸方向に沿って、第1外管上流端部22Aから、第1内管下流端部21Bと第1外管下流端部22Bとの接合部分まで存在している。また、第1空間23は、第1二重管2と第2二重管3との接続部4において閉塞されている。
【0031】
(第1保持部材)
第1保持部材24は、第1二重管2の上流端部(つまり第1二重管2と第2二重管3との接続部4とは反対側の端部)において第1空間23内に配置されている。
【0032】
具体的には、第1保持部材24は、第1外管上流端部22Aにおいて、第1内管21の外周面と、第1外管22の内周面との間に挟み込まれており、第1内管21及び第1外管22に固定されていない。
【0033】
第1保持部材24は、第1内管21の外周面及び第1外管22の内周面の周方向全体に沿って配置されている。つまり、第1保持部材24は、第1内管21と第1外管22との間を閉塞するように配置されている。
【0034】
第1保持部材24は、保温性の観点から、第1内管21と第1外管22との隙間を埋めるリング状であることが好ましい。ただし、第1保持部材24には、周方向の一部に開口が設けられていてもよい。
【0035】
第1保持部材24は、第1内管21と第2外管32との距離を保ち、かつ、少なくとも第1内管21又は第1外管22に対して摺動することができるものであれば、材質等は限定されない。第1保持部材24としては、例えば金属製のワイヤメッシュが好適である。第1保持部材24が第1内管21又は第1外管22と摺動することにより、排気ガスの熱に起因する第1内管21の熱膨張力が第1外管22に伝わりにくくなる。
【0036】
<第2二重管>
第2二重管3は、第1二重管2に接続されている。具体的には、第2二重管3は、第1二重管2に対し、排気ガスGの流れ方向における下流側に配置されている。第2二重管3は、第2内管31と、第2外管32と、第2空間33と、第2保持部材34とを有する。
【0037】
(第2内管)
第2内管31は、第1内管21から排出された排気ガスGが内部を通過する金属製の筒体である。第2内管31は、第1二重管2に連結された(つまり排気ガスGの流れ方向上流側に配置された)第2内管上流端部31Aと、排気ガスGを第2内管31から排出する(つまり排気ガスGの流れ方向下流側に配置された)第2内管下流端部31Bと、を有する。
【0038】
第2内管31の軸方向に直交する断面における外形は、円形であってもよいし、多角形であってもよい。また、第2内管31は湾曲していてもよい。さらに、第2内管31は、内径及び外径が軸方向に沿って一定であってもよいし、内径又は外径が軸方向に沿って変化してもよい。
【0039】
第2内管上流端部31Aは、第1外管下流端部22Bに固定されている。具体的には、第1二重管2と第2二重管3との接続部4において、第1外管下流端部22Bの外周面と第2内管上流端部31Aの内周面とが、例えば溶接によって固定されている。
【0040】
具体的には、第1外管下流端部22Bにおける縮径部分の上流側(つまり縮径されていない部分)は、第2内管上流端部31Aの内周面に固定されている。すなわち、第1外管下流端部22Bは、排気管1の径方向において第2内管上流端部31Aと重なる領域である。一方、第2内管上流端部31Aは、排気管1の径方向において第1外管下流端部22Bと重なる領域である。
【0041】
本実施形態では、第2内管上流端部31Aは、第2外管32よりも軸方向外側(つまり上流側)に突出している。ただし、第2内管上流端部31Aは、必ずしも第2外管32よりも軸方向外側に突出していなくてもよい。
【0042】
(第2外管)
第2外管32は、第2内管31の外周面を囲うように配置された金属製の筒体である。第2外管32の内径は、第2内管31の外径よりも大きい。第2外管32は、排気ガスGの流れ方向上流側に配置された第2外管上流端部32Aと、排気ガスGの流れ方向下流側に配置された第2外管下流端部32Bとを有する。
【0043】
第2外管32の軸方向に直交する断面における外形は、第2内管31の外形と相似形であってもよいし、非相似形であってもよい。また、第2外管32は湾曲していてもよい。さらに、第2外管32の中心軸は、第2内管31の中心軸と一致してもよいし、ずれていてもよい。なお、第2外管32は、インシュレータであってもよい。
【0044】
第2外管下流端部32Bは、排気ガスGの流れ方向下流側に向かって縮径している。さらに、第2外管下流端部32Bの縮径部分は、周方向全体にわたって、内周面が第2内管下流端部31Bの外周面に、例えば溶接によって固定されている。
【0045】
このように、第2二重管3の下流端部において、第2外管下流端部32Bは、第2内管下流端部31Bに固定されている。なお、第2内管下流端部31Bが拡径することで、第2外管下流端部32Bに固定されてもよい。
【0046】
一方、第2外管上流端部32Aは、第2保持部材34によって第2内管31に連結されているものの、第2内管31には固定されていない。
【0047】
(第2空間)
第2空間33は、第2内管31の外周面と第2外管32の内周面との間に設けられている。
【0048】
第2空間33は、第2内管31の径方向において第2内管31と第2外管32とに挟まれた空間であり、大気が存在している。第2空間33には、大気以外に、例えば断熱部材等の他の部材が入っていてもよい。第2空間33は、第2内管31を周方向に沿って覆っている。また、第2空間33は、第2内管31の内部には連通していない。
【0049】
本実施形態では、第2空間33は、第2内管31の軸方向に沿って、第2外管上流端部32Aから、第2内管下流端部31Bと第2外管下流端部32Bとの接合部分まで存在している。また、第2空間33は、第2二重管3の下流側の端部において閉塞されている。
【0050】
(第2保持部材)
第2保持部材34は、第2二重管3の上流端部(つまり第1二重管2と第2二重管3との接続部4)において第2空間33内に配置されている。
【0051】
具体的には、第2保持部材34は、第2外管上流端部32Aにおいて、第2内管31の外周面と、第2外管32の内周面との間に挟み込まれており、第2内管31及び第2外管32に固定されていない。
【0052】
第2保持部材34は、第2内管31の外周面及び第2外管32の内周面の周方向全体に沿って配置されている。つまり、第2保持部材34は、第2内管31と第2外管32との間を閉塞するように配置されている。第2保持部材34の材質及び形状は、第1保持部材24と同様である。
【0053】
<第1二重管と第2二重管との接続部>
図3に示すように、第1二重管2と第2二重管3とは、接続部4において接続されている。
【0054】
接続部4は、第1内管21(具体的には第1内管下流端部21B)と、第2内管31(具体的には第2内管上流端部31A)とが、第1内管21の径方向に重なっている領域である。
【0055】
上述したように、接続部4において、第1外管下流端部22Bは、第2内管上流端部31Aに固定されている。第1外管下流端部22Bと第2内管上流端部31Aとの固定領域(つまり溶接部分)は、第1内管下流端部21Bと第1外管下流端部22Bとの固定領域よりも排気ガスGの流れ方向における上流側に位置する。
【0056】
第1空間23は、接続部4において閉塞されている。第1空間23の接続部4における閉塞端23A(つまり下流端)は、第1内管21の径方向において第2空間33と重なっている。具体的には、第1空間23の閉塞端23Aは、第1内管21の径方向において、第2空間33のうち第2保持部材34よりも第2内管31の軸方向内側(つまり下流側)の領域と重なっている。
【0057】
なお、「閉塞端23Aが第1内管21の径方向において第2空間33と重なっている状態」には、閉塞端23Aが第1内管21の径方向において第2空間33の上流端(本実施形態では第2外管上流端部32Aの縁)と重なっている状態も含む。
【0058】
換言すれば、「閉塞端23Aが第1内管21の径方向において第2空間33と重なっている状態」は、第1空間23と第2空間33とが排気管1の軸方向に沿って連続して(つまり途切れることなく)存在する状態を意味する。
【0059】
[1-2.作用]
第1二重管2の第1内管21に進入した排気ガスGは、接続部4を経て、第2二重管3の第2内管31に流れ込む。
【0060】
接続部4を通過する際、排気ガスGの一部は、第1内管下流端部21Bの径方向外側(つまり第1内管下流端部21Bと第2内管上流端部31Aとの間の空間)に回り込むが、第1空間23が閉塞されているため、第1空間23には排気ガスGが進入しない。
【0061】
また、第2空間33は、第1外管22に接続された第2内管31の外側に設けられているため、接続部4において第2空間33に排気ガスGが進入することもない。そのため、第1空間23及び第2空間33への排気ガスGの進入が抑制される。
【0062】
[1-3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)第1外管22の端部が第2内管31の端部に固定されると共に、第1空間23が接続部4において閉塞されることで、排気ガスの第1空間23及び第2空間33への進入が抑制される。
【0063】
さらに、接続部4において第1空間23と第2空間33とが排気管1の軸方向に沿って連続するように配置される。その結果、第1二重管2と第2二重管3との接続部4において、対流熱及び輻射熱による保温性の低下を抑制できる。
【0064】
(1b)第1保持部材24によって、第1空間23を確保しつつ、第1二重管2における第1内管21と第1外管22との間の熱膨張差を吸収できる。その結果、熱疲労による破損、第1内管21と第1外管22との接触による異音の発生等を抑制できる。
【0065】
(1c)第2保持部材34によって、第2空間33を確保しつつ、第2二重管3における第2内管31と第2外管32との間の熱膨張差を吸収できる。その結果、熱疲労による破損、第2内管31と第2外管32との接触による異音の発生等を抑制できる。
【0066】
(1d)第1空間23の閉塞端23Aが第2空間33のうち第2保持部材34よりも第2内管31の軸方向内側の領域と重なることで、第2空間33のうち第2保持部材34によって閉塞されている領域と第1空間23とが排気管1の軸方向に連続する。その結果、接続部4における保温性を高められる。
【0067】
(1e)第1外管22の端部の外周面と第2内管31の端部の内周面とが固定されることで、第1外管22を第2内管31に対し、例えば溶接によって容易に固定できる。
(1f)第2二重管3が第1二重管2の下流側に配置されることで、接続部4における乱流を抑制できる。その結果、接続部4における圧損の上昇を抑制できる。
【0068】
[2.第2実施形態]
[2-1.構成]
図4に示す排気管1Aは、図2の排気管1に替えて、図1の排気システム10に用いられる。
【0069】
排気管1Aは、第1二重管2と、第2二重管3Aとを備える。第1二重管2は、図2の第1二重管2と同様である。第2二重管3Aは、図2の第2二重管3において、上流側と下流側とを反転させたものである。
【0070】
すなわち、第2二重管3Aは、図2の第2二重管3と同様の第2内管31、第2外管32、第2空間33、及び第2保持部材34を有する。また、第2二重管3Aにおいて、第2内管上流端部31Cは、図2の第2内管下流端部31Bに対応し、第2内管下流端部31Dは、図2の第2内管上流端部31Aに対応し、第2外管上流端部32Cは、図2の第2外管下流端部32Bに対応し、第2外管下流端部32Dは、図2の第2外管上流端部32Aに対応する。
【0071】
第2二重管3Aでは、第1外管下流端部22Bは、第2内管上流端部31Cに固定されている。また、第2二重管3Aでは、第2保持部材34は、第2二重管3Aの接続部4とは反対側の端部(つまり下流側の端部)において第2空間33内に配置されている。さらに、第2二重管3Aでは、第2空間33が、接続部4において閉塞されている。
【0072】
[2-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)第2空間33が接続部4において閉塞されることで、接続部4における保温性を高めることができる。
【0073】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0074】
(3a)上記実施形態の排気管1,1Aにおいて、図5A,5Bに示すように、第2二重管3,3Aは、第1二重管2の上流側に配置されてもよい。つまり、排気管1,1Aは、第2二重管3を通過した排気ガスGが第1二重管2を流れるように構成されてもよい。
【0075】
(3b)上記実施形態の排気管において、第1二重管は必ずしも第1保持部材を有しなくてもよい。例えば、第1内管の両端が第1外管の両端に固定され、第1空間の両端が閉塞されてもよい。
【0076】
(3c)上記実施形態の排気管において、第2二重管は必ずしも第2保持部材を有しなくてもよい。例えば、第2内管の両端が第2外管の両端に固定され、第2空間の両端が閉塞されてもよい。
【0077】
(3d)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0078】
1,1A…排気管、2…第1二重管、3,3A…第2二重管、4…接続部、
10…排気システム、11…消音器、21…第1内管、21A…第1内管上流端部、
21B…第1内管下流端部、22…第1外管、22A…第1外管上流端部、
22B…第1外管下流端部、23…第1空間、23A…閉塞端、24…第1保持部材、
31…第2内管、31A…第2内管上流端部、31B…第2内管下流端部、
31C…第2内管上流端部、31D…第2内管下流端部、32…第2外管、
32A…第2外管上流端部、32B…第2外管下流端部、32C…第2外管上流端部、
32D…第2外管下流端部、33…第2空間、34…第2保持部材、
100…内燃機関、101…バッテリ。
図1
図2
図3
図4
図5