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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127220
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】携帯用乳母車
(51)【国際特許分類】
   B62B 7/14 20060101AFI20230906BHJP
   B62B 7/12 20060101ALI20230906BHJP
   B62B 7/06 20060101ALI20230906BHJP
   B62B 3/02 20060101ALI20230906BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20230906BHJP
   B62B 5/08 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
B62B7/14
B62B7/12
B62B7/06
B62B3/02 F
B62B5/00 K
B62B5/08
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030867
(22)【出願日】2022-03-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 発明した「携帯用乳母車」に係るベビーカーについて、2021年3月10日掲載開始の「ものづくり創造拠点SENTANホームページ」で公開、2021年3月11日と12日の2日間、スカイホール豊田(豊田市総合体育館)で開催された展示会「とよたビジネスフェア2021」(主催:豊田市、豊田商工会議所)のブース「豊田市役所ものづくり産業振興課/ものづくりミライ塾」に出展して公開、2021年11月19日と20日の2日間、ビッグパレットふくしまで開催された展示会「ロボット・航空宇宙フェスタふくしま2021」(主催:福島県)のブース「丸隆工業株式会社」に出展して公開
(71)【出願人】
【識別番号】510128199
【氏名又は名称】豊田市
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大地 晴久
(72)【発明者】
【氏名】坂本 龍法
(72)【発明者】
【氏名】相馬 正樹
(72)【発明者】
【氏名】成田 翔
(72)【発明者】
【氏名】日比野 純己
(72)【発明者】
【氏名】堀尾 敦司
(72)【発明者】
【氏名】近藤 博紀
(72)【発明者】
【氏名】浜田 敏明
【テーマコード(参考)】
3D050
3D051
【Fターム(参考)】
3D050CC06
3D050DD01
3D050EE08
3D050EE15
3D050KK15
3D051AA02
3D051AA06
3D051AA23
3D051BA20
3D051BB26
3D051BB40
3D051CA10
3D051CB02
3D051CB10
3D051CD10
3D051CG04
3D051DD11
(57)【要約】
【課題】乳幼児が乳母車に乗らず使用しない場合でも、同伴者が容易に持ち運ぶことができる携帯用乳母車を提供する。
【解決手段】携帯用ベビーカー1は、車輪51を回転可能に装着したキャスタ50と、中空状に形成された複数のフレーム部材10と、隣接位置にある2以上のフレーム部材10に対し、各端部10Eと接続または解除可能な複数のジョイント部材30(第1ジョイント部材30A、第2ジョイント部材30B、第3ジョイント部材30C、第4ジョイント部材30D)と、伸縮・変形可能な連結紐80と、を有する車体フレーム2と、2層状のシート生地72により、車体フレーム2と着脱可能な座部材70と、を備える。車体フレーム2では、同じ側に位置する前輪51Fと後輪51Rとを結ぶ基準仮想線L上で、第1区間D1と第4区間D4の間で、隣り合う区間の関係にある隣接区間が、フレーム部材10の内部10Nに挿通した連結紐80で、繋がっている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部を含む保持手段により、前輪または後輪として、車輪が回転可能に装着されたキャスタと、
中空状に形成された複数のフレーム部材と、隣接した位置にある2以上の前記フレーム部材に対し、各端部と接続またはその解除を可能とした複数のジョイント部材と、紐状または螺旋状で、自在に伸縮・変形可能な弾性部材と、を有する車体フレームと、
単層状の生地、または前記生地同士を複層状に重ねてなるシート生地により、前記車体フレームと着脱可能に形成された座部材と、を備え、
前記車体フレームでは、2つの前記前輪同士の間に配置される前側連結部、2つの前記後輪同士の間に配置される後側連結部、同じ側にある前記前輪と前記後輪との間に配置される前後連結部、前記前側連結部とその片側で前記前後連結部と隣接して配置される前側座支持部、前記後側連結部とその片側で前記前後連結部と隣接して配置される後側座支持部、及び前記後側座支持部と連結して配置される延伸部が、前記フレーム部材からなり、
第1の前記ジョイント部材は、前記前側連結部、片側の前記前後連結部、及び前記前側連結部と前記片側の前記前後連結部との交差位置にある前記前側座支持部の関節をなし、前記前後連結部と相対的に前記前側座支持部を、屈曲により折り返し可能に形成されていると共に、前記前輪となる前記キャスタの前記支持部と、着脱自在に連結可能な前輪取付部を有すること、
第2の前記ジョイント部材は、前記後側連結部、片側の前記前後連結部、及び前記後側連結部と前記片側の前記前後連結部との交差位置にある前記後側座支持部の関節をなし、前記前後連結部と相対的に前記後側座支持部を、屈曲により折り返し可能に形成されていると共に、前記後輪となる前記キャスタの前記支持部と、着脱自在に連結可能な後輪取付部を有すること、
第3の前記ジョイント部材は、前記後側座支持部と前記延伸部との関節をなし、前記後側座支持部と相対的に前記延伸部を、屈曲により折り返し可能に形成されていること、
前記車体フレームでは、一の前記前輪と同じ側に位置する一の前記後輪とを結ぶ基準仮想線上で、第1の前記ジョイント部材とその反対側にある前記前側座支持部の端部との第1の区間、前記第1のジョイント部材と前記第2のジョイント部材との第2の区間、前記第2のジョイント部材と前記第3のジョイント部材との第3の区間、及び前記第3のジョイント部材とその反対側にある前記延伸部の端部との第4の区間のうち、隣り合う区間の関係にある、少なくとも1箇所の隣接区間が、前記フレーム部材の内部に挿通した前記弾性部材で、繋がっていること、
を特徴とする携帯用乳母車。
【請求項2】
請求項1に記載する携帯用乳母車において、
前記座部材は、前記車体フレームに装着された状態の下、前記前輪側に位置する部分と、前記後輪側に位置する部分に、それぞれ座係留部を有し、
前記前側座支持部の前記端部には、前記前輪側に配置されている前記座係留部と、係留可能な車体フレーム前方係留部を有し、
前記第3のジョイント部材は、前記後輪側に配置されている前記座係留部と、係留可能な車体フレーム後方係留部を有すること、
を特徴とする携帯用乳母車。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する携帯用乳母車において、
前記座部材は、折り畳んだ状態の前記車体フレームと、前記車体フレームから取り外した状態の前記キャスタとを収容する袋に変換可能な態様で、形成されていること、
を特徴とする携帯用乳母車。
【請求項4】
請求項3に記載する携帯用乳母車において、
前記座部材の背もたれ部分には、2つで組をなした安全ベルトが設けられ、
前記安全ベルトは、前記袋のショルダーハーネスとして機能すること、
を特徴とする携帯用乳母車。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載する携帯用乳母車において、
前記弾性部材は、前記ジョイント部材に対し、接続またはその解除を可能とした態様で留められ、
前記車体フレームでは、構成する前記フレーム部材が、選択的に交換できること、
を特徴とする携帯用乳母車。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載する携帯用乳母車において、
前記フレーム部材は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)製であること、
を特徴とする携帯用乳母車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳幼児を乗せるベビーカーとして、必要に応じて、分解と組立てを任意に選択できる構造で構成し、手軽に持ち歩くことも可能な携帯用乳母車に関する。
【背景技術】
【0002】
人が、乳幼児を連れて外出するときに、乳幼児を乳母車(ベビーカー)に乗せて移動することが多々ある。一般的に使用されている多くのベビーカーは、周知の通り、車体フレームにヒンジ機構を設けた部分で、一部のフレームを回動させて折り畳むと共に、車体フレームに装着された柔軟性のある座を、このフレームの回動に基づいて、窄めて畳み込むことで、車全体を、コンパクトに収めることができる折り畳み構造で、構成されている。このような折り畳み式ベビーカーの一例は、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1は、フレーム部分に施したヒンジ機構により、フレームを、所定の方向に回転させてS字状に折り畳むと共に、4つの車輪を、内側に折り込むことができる折り畳み式ベビーカーである。特許文献1のベビーカーは、より大きめのトートバッグに入れて運べる大きさに折り畳むことができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3227010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1を含め、従来の折り畳み構造のベビーカーでは、以下の問題があった。
【0006】
親等の同伴者が、ベビーカーを所持しながら、乳幼児を連れて外出する場合、同伴者の荷物以外に、例えば、ジュースやおかし等の飲食物、おもちゃや絵本等の遊び道具、オムツやおしぼり等の衛生用品に挙げられるように、乳幼児向けの専用荷物が、余分に必要となる。そのため、一般的には、同伴者は外出時に、たくさんの手荷物を携えている。このような状態の下、乳幼児が、ベビーカーを使用しない場合もあり、この場合には、同伴者は、折り畳んだベビーカーを持ちながら、移動することがある。
【0007】
このとき、従来のベビーカーは、たとえ車体フレームで折り畳んでコンパクト化されても、概ね使用形態の半分程度までしか収まらず、袋内に収納して背負って運ぶことができる大きさまで、小さくならない。それ故に、同伴者は、乳幼児を連れて、いくつかの手荷物を携えながら、4つの車輪を内側に折り畳んだまま、フレームを折り畳んだ状態になっているベビーカーを、地面に接地させないよう、持ち上げて移動しなければならず、同伴者の身体的な負担は、極めて大きい。しかも、従来のベビーカーの重さは、4kg以上もあり、同伴者は、ベビーカーを持ち運ぶ上で、特に、階段の昇降や、電車とホームとの間を通過する場合等で、相当な困難を伴う。
【0008】
加えて、特許文献1では、折り畳まれたベビーカーは、大きめのトートバッグに入れて運ぶことができるとされているが、前述したように、乳幼児を連れた同伴者は、他の手荷物を携えていることもあり、このような同伴者には、ベビーカーを収納した大きめのトートバッグは、持ち歩く上で、運び難い。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、乳幼児が乳母車に乗らず使用しない場合でも、乳幼児の同伴者が容易に持ち運ぶことができる携帯用乳母車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る携帯用乳母車は、以下の構成を有する。
(1)支持部を含む保持手段により、前輪または後輪として、車輪が回転可能に装着されたキャスタと、中空状に形成された複数のフレーム部材と、隣接した位置にある2以上の前記フレーム部材に対し、各端部と接続またはその解除を可能とした複数のジョイント部材と、紐状または螺旋状で、自在に伸縮・変形可能な弾性部材と、を有する車体フレームと、単層状の生地、または前記生地同士を複層状に重ねてなるシート生地により、前記車体フレームと着脱可能に形成された座部材と、を備え、前記車体フレームでは、2つの前記前輪同士の間に配置される前側連結部、2つの前記後輪同士の間に配置される後側連結部、同じ側にある前記前輪と前記後輪との間に配置される前後連結部、前記前側連結部とその片側で前記前後連結部と隣接して配置される前側座支持部、前記後側連結部とその片側で前記前後連結部と隣接して配置される後側座支持部、及び前記後側座支持部と連結して配置される延伸部が、前記フレーム部材からなり、第1の前記ジョイント部材は、前記前側連結部、片側の前記前後連結部、及び前記前側連結部と前記片側の前記前後連結部との交差位置にある前記前側座支持部の関節をなし、前記前後連結部と相対的に前記前側座支持部を、屈曲により折り返し可能に形成されていると共に、前記前輪となる前記キャスタの前記支持部と、着脱自在に連結可能な前輪取付部を有すること、第2の前記ジョイント部材は、前記後側連結部、片側の前記前後連結部、及び前記後側連結部と前記片側の前記前後連結部との交差位置にある前記後側座支持部の関節をなし、前記前後連結部と相対的に前記後側座支持部を、屈曲により折り返し可能に形成されていると共に、前記後輪となる前記キャスタの前記支持部と、着脱自在に連結可能な後輪取付部を有すること、第3の前記ジョイント部材は、前記後側座支持部と前記延伸部との関節をなし、前記後側座支持部と相対的に前記延伸部を、屈曲により折り返し可能に形成されていること、前記車体フレームでは、一の前記前輪と同じ側に位置する一の前記後輪とを結ぶ基準仮想線上で、第1の前記ジョイント部材とその反対側にある前記前側座支持部の端部との第1の区間、前記第1のジョイント部材と前記第2のジョイント部材との第2の区間、前記第2のジョイント部材と前記第3のジョイント部材との第3の区間、及び前記第3のジョイント部材とその反対側にある前記延伸部の端部との第4の区間のうち、隣り合う区間の関係にある、少なくとも1箇所の隣接区間が、前記フレーム部材の内部に挿通した前記弾性部材で、繋がっていること、を特徴とする。
(2)(1)に記載する携帯用乳母車において、前記座部材は、前記車体フレームに装着された状態の下、前記前輪側に位置する部分と、前記後輪側に位置する部分に、それぞれ座係留部を有し、前記前側座支持部の前記端部には、前記前輪側に配置されている前記座係留部と、係留可能な車体フレーム前方係留部を有し、前記第3のジョイント部材は、前記後輪側に配置されている前記座係留部と、係留可能な車体フレーム後方係留部を有すること、を特徴とする。
(3)(1)または(2)に記載する携帯用乳母車において、前記座部材は、折り畳んだ状態の前記車体フレームと、前記車体フレームから取り外した状態の前記キャスタとを収容する袋に変換可能な態様で、形成されていること、を特徴とする。
(4)(3)に記載する携帯用乳母車において、前記座部材の背もたれ部分には、2つで組をなした安全ベルトが設けられ、前記安全ベルトは、前記袋のショルダーハーネスとして機能すること、を特徴とする。
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載する携帯用乳母車において、前記弾性部材は、前記ジョイント部材に対し、接続またはその解除を可能とした態様で留められ、前記車体フレームでは、構成する前記フレーム部材が、選択的に交換できること、を特徴とする。
(6)(1)乃至(5)のいずれか1つに記載する携帯用乳母車において、前記フレーム部材は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)製であること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記構成を有する本発明に係る携帯用乳母車の作用・効果について説明する。
【0012】
(1)支持部を含む保持手段により、前輪または後輪として、車輪が回転可能に装着されたキャスタと、中空状に形成された複数のフレーム部材と、隣接した位置にある2以上のフレーム部材に対し、各端部と接続またはその解除を可能とした複数のジョイント部材と、紐状または螺旋状で、自在に伸縮・変形可能な弾性部材と、を有する車体フレームと、単層状の生地、または生地同士を複層状に重ねてなるシート生地により、車体フレームと着脱可能に形成された座部材と、を備え、車体フレームでは、2つの前輪同士の間に配置される前側連結部、2つの後輪同士の間に配置される後側連結部、同じ側にある前輪と後輪との間に配置される前後連結部、前側連結部とその片側で前後連結部と隣接して配置される前側座支持部、後側連結部とその片側で前後連結部と隣接して配置される後側座支持部、及び後側座支持部と連結して配置される延伸部が、フレーム部材からなり、第1のジョイント部材は、前側連結部、片側の前後連結部、及び前側連結部と片側の前後連結部との交差位置にある前側座支持部の関節をなし、前後連結部と相対的に前側座支持部を、屈曲により折り返し可能に形成されていると共に、前輪となるキャスタの支持部と、着脱自在に連結可能な前輪取付部を有すること、第2のジョイント部材は、後側連結部、片側の前後連結部、及び後側連結部と片側の前後連結部との交差位置にある後側座支持部の関節をなし、前後連結部と相対的に後側座支持部を、屈曲により折り返し可能に形成されていると共に、後輪となるキャスタの支持部と、着脱自在に連結可能な後輪取付部を有すること、第3のジョイント部材は、後側座支持部と延伸部との関節をなし、後側座支持部と相対的に延伸部を、屈曲により折り返し可能に形成されていること、車体フレームでは、一の前輪と同じ側に位置する一の後輪とを結ぶ基準仮想線上で、第1のジョイント部材とその反対側にある前側座支持部の端部との第1の区間、第1のジョイント部材と第2のジョイント部材との第2の区間、第2のジョイント部材と第3のジョイント部材との第3の区間、及び第3のジョイント部材とその反対側にある延伸部の端部との第4の区間のうち、隣り合う区間の関係にある、少なくとも1箇所の隣接区間が、フレーム部材の内部に挿通した弾性部材で、繋がっていること、を特徴とする。
【0013】
この特徴により、本発明に係る携帯用乳母車は、使用せずに持ち運ぶ場合、車体フレームから、前輪及び後輪(キャスタ)と座部材とを取外した上で、この車体フレームに対し、図21に例示するように、少なくとも第1のジョイント部材から前側座支持部を、第2のジョイント部材から後側座支持部を、第3のジョイント部材から延伸部を、それぞれ取外すことで、例えば、背中で背負うことができる程、小さな嵩にコンパクト化することができる。そのため、幼児の同伴者(親等)は、折り畳んだ状態のこの携帯用乳母車を、容易に持ち運ぶことが可能になる。
【0014】
従って、本発明に係る携帯用乳母車によれば、乳幼児が乳母車に乗らず使用しない場合でも、乳幼児の同伴者は容易に持ち運ぶことができる、という優れた効果を奏する。
【0015】
(2)に記載する携帯用乳母車において、座部材は、車体フレームに装着された状態の下、前輪側に位置する部分と、後輪側に位置する部分に、それぞれ座係留部を有し、前側座支持部の端部には、前輪側に配置されている座係留部と、係留可能な車体フレーム前方係留部を有し、第3のジョイント部材は、後輪側に配置されている座係留部と、係留可能な車体フレーム後方係留部を有すること、を特徴とする。
【0016】
この特徴により、外出先で、乳幼児の同伴者が、折畳まれていた車体フレームを展開して、座部材を車体フレームに組付けるにあたり、車体フレーム前方係留部と車体フレーム後方係留部とを、前後の座係留部に係留させるだけで、座部材を簡単に取付けることができる。同様に、乳幼児の同伴者が、本発明に係る携帯用乳母車をコンパクト化して持ち運ぶのにあたり、車体フレーム前方係留部と車体フレーム後方係留部とを、前後の座係留部との係留を解除するだけで、車体フレームから座部材を簡単に取外すことができる。
【0017】
(3)に記載する携帯用乳母車において、座部材は、折り畳んだ状態の車体フレームと、車体フレームから取り外した状態のキャスタとを収容する袋に変換可能な態様で、形成されていること、を特徴とする。
【0018】
この特徴により、乳幼児が、本発明に係る携帯用乳母車を使用せず、乳幼児の同伴者が、この携帯用乳母車を持って移動する場合に、同伴者は、コンパクト化した、本発明に係る携帯用乳母車を、その座部材から変換したリュック内に収納し、リュックに背負える態様で持ち運ぶことができる。
【0019】
(4)に記載する携帯用乳母車において、座部材の背もたれ部分には、2つで組をなした安全ベルトが設けられ、安全ベルトは、袋のショルダーハーネスとして機能すること、を特徴とする。
【0020】
この特徴により、安全ベルトがショルダーハーネスと兼用できているため、別途、ショルダーハーネスを設ける必要がない。そのため、使用していない、本発明に係る携帯用乳母車をリュックで背負うにあたり、リュックとしての構成要素が少なくなっている分、軽くなり、同伴者への身体的な負担は、さらに低減できる。
【0021】
(5)に記載する携帯用乳母車において、弾性部材は、ジョイント部材に対し、接続またはその解除を可能とした態様で留められ、車体フレームでは、構成するフレーム部材が、選択的に交換できること、を特徴とする。
【0022】
この特徴により、乗車する乳幼児の成長(乳児から幼児への成長を含む)に合わせて、車体フレームのうち、例えば、前後連結部等をなすフレーム部材を、異なる長さの別のフレーム部材に交換する等、車体フレームを部分的に更新することができる。そのため、幼児の成長に伴い、ベビーカーの買い替えも不要となり、本発明に係る携帯用乳母車は、乳幼児にとって乗車を必要とする時期に、幅広く対応することができる。
【0023】
(6)に記載する携帯用乳母車において、フレーム部材は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)製であること、を特徴とする。
【0024】
この特徴により、フレーム部材の機械的強度をより大きく得ることができている一方、本発明に係る携帯用乳母車の重量の多くを占める車体フレームで、効果的な軽量化が実現できる。そのため、本発明に係る携帯用乳母車の総重量は、一例として、2kg台後半と、3kg下回ることができており、少なくとも4kg以上の総重量とする従来のベビーカーに比して、格段に軽い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態に係る携帯用ベビーカーを示す斜視図である。
図2図1に示す携帯用ベビーカーを前方から視た正面図である。
図3図1に示す携帯用ベビーカーの側面図である。
図4図1に示す携帯用ベビーカーを後方から視た斜視図である。
図5図1中、車体フレームの延伸部を拡大して示す説明図である。
図6】実施形態に係る携帯用ベビーカーを、座部材を分解した状態で示す説明図である。
図7】実施形態に係る携帯用ベビーカーの車体フレームに構成された第1ジョイント部材を、(A)はA視側から、(B)はA視の反対側から、それぞれ示す斜視図である。
図8図7(A)に示す第1ジョイント部材を、一部に断面図を用いて示す説明図である。
図9図8中、I-I矢視断面図である。
図10】実施形態に係る携帯用ベビーカーの車体フレームに構成された第2ジョイント部材を、(A)はB視側から、(B)はB視の反対側から、それぞれ示す斜視図である。
図11図10(A)に示す第2ジョイント部材を、カバーを取り外した状態で示す説明図である。
図12図11中、II-II矢視断面図である。
図13図11中、III-III矢視断面図である。
図14】実施形態に係る携帯用ベビーカーの車体フレームに構成された第3ジョイント部材を、(A)はC視側から、(B)はC視の反対側から、それぞれ示す斜視図である。
図15図14(A)に示す第3ジョイント部材を、一部に断面図を用いて示す説明図である。
図16図15中、IV-IV矢視断面図である。
図17】実施形態に係る携帯用ベビーカーの車体フレームに構成された第4ジョイント部材を、(A)はD視側から、(B)はD視の反対側から、それぞれ示す斜視図である。
図18図17(A)に示す第4ジョイント部材を、カバーを取り外した状態で示す説明図である。
図19図18中、V-V矢視断面図である。
図20】実施形態に係る携帯用ベビーカーを折畳むのにあたり、折畳み前の車体フレームとキャスタを分解するときの要領を示す説明図である。
図21図20中、車体フレーム内で連結紐が張設されている部分を基準仮想線で示す模式図である。
図22図20に続き、車体フレームの折畳み手順を示す説明図である。
図23】実施形態に係る携帯用ベビーカーの座部材を、使用時の状態で示す斜視図である。
図24図23に示す座部材のシート生地を、反転によりリュックに変換した状態を示す斜視図である。
図25】実施形態に係る携帯用ベビーカーを、分解した状態でリュックに収納する様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る携帯用乳母車の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。本発明に係る携帯用乳母車は、乳幼児を乗せるベビーカーである。一般的にベビーカーを使用する乳幼児の対象は、首が座っていない生後間もない乳児や、座ることができていない成長途上にある乳児のほか、自身で歩行できるものの、身体的な疲労を感じて乗車を望む幼児等である。本発明に係る携帯用乳母車は、本実施形態では、主として、このような応急な措置で利用する幼児を対象に、外出時に手軽に使用するためのベビーカーである。
【0027】
はじめに、携帯用ベビーカーの概略について、説明する。図1は、実施形態に係る携帯用ベビーカーを示す斜視図である。図2は、図1に示す携帯用ベビーカーを前方から視た正面図であり、この携帯用ベビーカーの側面図を図3に、後方から視た斜視図を図4に、それぞれ示す。図5は、図1中、車体フレームの延伸部を拡大して示す説明図である。図6は、実施形態に係る携帯用ベビーカーを、座部材を分解した状態で示す説明図である。なお、本実施形態では、図1中、左上‐右下方向を「幅方向X」、左下‐右上方向を「前後方向Y」、上下方向を「高さ方向Z」として、携帯用ベビーカー1の方向を定義する。図2以降の各図面も、図1で定義した方向に準じる。
【0028】
図1図6に示すように、携帯用ベビーカー1(携帯用乳母車)は、大別して、車体フレーム2と、4つのキャスタ50と、座部材70等からなる。キャスタ50は、図2に示すように、支持部52を含む保持手段53により、車輪51を回転可能に装着されたユニットである。携帯用ベビーカー1は、前輪51Fを2つ、後輪51Rを2つ、それぞれ有し、前輪51Fと後輪51Rは、いずれも同じキャスタ50である。
【0029】
<車体フレーム2について>
車体フレーム2は、12本のフレーム部材10と、8つのジョイント部材30と、4本の連結紐80(弾性部材)からなる。連結紐80は、両端部を有した線分状に形成され、自在に伸縮かつ変形を可能としたゴム製の紐である。連結紐80の端部は、後述するように、ジョイント部材30の紐固定部37と係留またはその解除を可能とした紐係留端部81となっている。
【0030】
フレーム部材10は、中空状に形成されたパイプ部材である。図6に示すように、車体フレーム2を構成するフレーム部材10は、全12本で、何れも十数mm程の外周径である。フレーム部材10は、本実施形態では、PAN系炭素繊維(PAN系)、またはピッチ系炭素繊維(ピッチ系)を使用した炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)製である。フレーム部材10は、仕様にも依るが、例えば、比重1.5~2.0(g/cm)、引張強度1000~7000(MPa)、鋼材やアルミニウム材等と比べ、数倍以上の高い振動減衰特性と剛性等、優れた機械的性質を有している。
【0031】
車体フレーム2は、図2図5に示すように、構成上、前側連結部11、後側連結部12、前後連結部13、前側座支持部14、後側座支持部15、延伸部16、押出部17、及び中間連結部18を有する。前側連結部11は、2つの前輪51F同士の間に配置されたフレーム部材10の部分である。後側連結部12は、2つの後輪51R同士の間に配置されたフレーム部材10の部分である。前後連結部13は、同じ側にある前輪51Fと後輪51Rとの間に配置されたフレーム部材10の部分であり、幅方向X両側にそれぞれ1つ有する。
【0032】
前側座支持部14は、前側連結部11とその幅方向X片側で前後連結部13と隣接して配置したフレーム部材10の部分であり、幅方向X両側にそれぞれ1つ有する。この前側座支持部14の一端部には、図6に示すように、凸形状に形成された前方突起部41(車体フレーム前方係留部)が、固設されている。後側座支持部15は、後側連結部12とその幅方向X片側で前後連結部13と隣接して配置したフレーム部材10の部分であり、幅方向X両側にそれぞれ1つ有する。
【0033】
延伸部16は、幅方向X片側で後側座支持部15と連結して配置されたフレーム部材10の部分であり、幅方向X両側にそれぞれ1つ有する。延伸部16は、本実施形態では、図5に例示するように、第1延伸部16aと第2延伸部16bとの2分割でなる。第1延伸部16aをなすフレーム部材10の上方先端部は、第2延伸部16bをなすフレーム部材10の下方先端部内に挿入され、第2延伸部16bに穿孔したピン孔に対し、ピンの係留等、延伸部固定手段16cにより、この下方先端部に固定して接続されている。ピンを係留させる第2延伸部16bのピン孔の位置を変化させて、第1延伸部16aの上方先端部と第2延伸部16bの下方先端部との重合部分の距離を可変させることにより、延伸部16全体の長さが調整可能となっている。なお、延伸部16は、全体長の調整機能を有せず、1つのフレーム部材10だけで構成しても良い。
【0034】
押出部17は、当該携帯用ベビーカー1を人の手で押す部分として、幅方向X両側の延伸部16同士の間に配置したフレーム部材10の部分である。なお、図6に示すように、押出部17に用いるフレーム部材10の外周には、例えば、樹脂製、ゴム製等のハンドグリップがされており、人の手で押出部17が握り易くなっている。中間連結部18は、後側連結部12と押出部17との間で、幅方向Xに沿って配置したフレーム部材10の部分である。
【0035】
<ジョイント部材30について>
ジョイント部材30は、隣接した位置にある2以上のフレーム部材10に対し、各端部と自在に接続、またはその解除可能に形成されている。ジョイント部材30は、図6に示すように、機能別に、第1ジョイント部材30A(第1のジョイント部材)、第2ジョイント部材30B(第2のジョイント部材)、及び第3ジョイント部材30C(第3のジョイント部材)と、第4ジョイント部材30Dの4種に分けられている。
【0036】
<第1ジョイント部材30Aについて>
図7は、実施形態に係る携帯用ベビーカーの車体フレームに構成された第1ジョイント部材を、(A)はA視側から、(B)はA視の反対側から、それぞれ示す斜視図である。図8は、図7(A)に示す第1ジョイント部材を、一部に断面図を用いて示す説明図であり、図8中、I-I矢視断面図を、図9に示す。図6図9に示すように、第1ジョイント部材30A(ジョイント部材30)は、前側連結部11、片側の前後連結部13、及び前側連結部11と、この片側の前後連結部13との交差位置にある前側座支持部14の関節をなす。
【0037】
具体的には、第1ジョイント部材30Aは、図7図9に示すように、第1取付け孔31aのほか、第1取付け孔31aの軸心を中心に、放射状に三方向に穿孔された有底の第2取付け孔31b、第3取付け孔31c、及び第4取付け孔31d(前輪取付部)を有する。第1取付け孔31aには、前側連結部11の片側端部となるフレーム部材10の端部10Eが、挿着され、ネジ締結や圧入等の固定手段により、外れないよう、しっかりと固定した状態で連結されている。
【0038】
前後連結部13の片側端部となるフレーム部材の端部10Eは、底に紐挿通孔35を有した第2取付け孔31bに挿着され、第2取付け孔31bとの嵌合に基づき、着脱可能に取付けられるようになっている。また、前側座支持部14の他端部となるフレーム部材の端部10Eは、底に紐挿通孔35を有した第3取付け孔31cに挿着され、第3取付け孔31cとの嵌合に基づき、着脱可能に取付けられるようになっている。第2取付け孔31bに有する紐挿通孔35と、第3取付け孔31cに有する紐挿通孔35とは、紐挿通路36を介して、連通している。前輪51Fとなるキャスタ50の支持部52は、第4取付け孔31dに挿着され、このキャスタ50は、その支持部52と第4取付け孔31dとの嵌合に基づいて、車体フレーム2と着脱自在に連結可能となっている。
【0039】
<第2ジョイント部材30Bについて>
図10は、実施形態に係る携帯用ベビーカーの車体フレームに構成された第2ジョイント部材を、(A)はB視側から、(B)はB視の反対側から、それぞれ示す斜視図である。図11は、図10(A)に示す第2ジョイント部材を、カバーを取り外した状態で示す説明図であり、図11中、II-II矢視断面図を図12に、図11中、III-III矢視断面図を図13に、それぞれ示す。図6及び、図10図13に示すように、第2ジョイント部材30B(ジョイント部材30)は、後側連結部12、片側の前後連結部13、及び後側連結部12と、この片側の前後連結部13との交差位置にある後側座支持部15の関節をなす。
【0040】
具体的には、第2ジョイント部材30Bは、図10図13に示すように、第1取付け孔32aのほか、第1取付け孔32aの軸心を中心に、放射状に三方向に穿孔された有底の第2取付け孔32b、第3取付け孔32c、及び第4取付け孔32d(後輪取付部)を有する。第1取付け孔32aには、後側連結部12の片側端部となるフレーム部材10の端部10Eが、挿着され、ネジ締結や圧入等の固定手段により、外れないよう、しっかりと固定した状態で連結されている。
【0041】
前後連結部13の片側端部となるフレーム部材の端部10Eは、底に紐挿通孔35を有した第2取付け孔32bに挿着され、第2取付け孔32bとの嵌合に基づき、着脱可能に取付けられるようになっている。また、後側座支持部15の一端部となるフレーム部材の端部10Eは、底に紐挿通孔35を有した第3取付け孔32cに挿着され、第3取付け孔32cとの嵌合に基づき、着脱可能に取付けられるようになっている。第2取付け孔32bに有する紐挿通孔35は、紐挿通路36と連通し、この紐挿通路36の先端側は、連結紐80の紐係留端部81を係留して固定させる紐固定部37となっている。同様に、第3取付け孔32cに有する紐挿通孔35は、紐挿通路36と連通し、この紐挿通路36の先端側は、連結紐80の紐係留端部81を係留して固定させる紐固定部37となっている。
【0042】
後輪51Rとなるキャスタ50の支持部52は、第4取付け孔32dに挿着され、このキャスタ50は、その支持部52と第4取付け孔32dとの嵌合に基づいて、車体フレーム2と着脱自在に連結可能となっている。
【0043】
<第3ジョイント部材30Cについて>
図14は、実施形態に係る携帯用ベビーカーの車体フレームに構成された第3ジョイント部材を、(A)はC視側から、(B)はC視の反対側から、それぞれ示す斜視図である。図15は、図14(A)に示す第3ジョイント部材を、一部に断面図を用いて示す説明図であり、図15中、IV-IV矢視断面図を、図16に示す。図6及び、図14図16に示すように、第3ジョイント部材30C(ジョイント部材30)は、後側座支持部15と延伸部16との関節をなす。
【0044】
具体的には、第3ジョイント部材30Cは、図14図16に示すように、第1取付け孔33aと、第1取付け孔33aを挟む両側に、互いに対向した配置で穿孔された有底の第2取付け孔33b、第3取付け孔33cと、第1取付け孔33aの径外側かつ上向きで、凸形状に形成された後方突起部42(車体フレーム後方係留部)を有する。第1取付け孔33aには、中間連結部18の片側端部となるフレーム部材10の端部10Eが、挿着され、ネジ締結や圧入等の固定手段により、外れないよう、しっかりと固定した状態で連結されている。
【0045】
後側座支持部15の他端部となるフレーム部材の端部10Eは、底に紐挿通孔35を有した第3取付け孔33cに挿着され、第3取付け孔33cとの嵌合に基づき、着脱可能に取付けられるようになっている。また、延伸部16の一端部となるフレーム部材の端部10Eは、底に紐挿通孔35を有した第3取付け孔33cに挿着され、第3取付け孔33cとの嵌合に基づき、着脱可能に取付けられるようになっている。第3取付け孔33cに有する紐挿通孔35と、第3取付け孔33cに有する紐挿通孔35とは、紐挿通路36を介して、連通している。
【0046】
<第4ジョイント部材30Dについて>
図17は、実施形態に係る携帯用ベビーカーの車体フレームに構成された第4ジョイント部材を、(A)はD視側から、(B)はD視の反対側から、それぞれ示す斜視図である。図18は、図17(A)に示す第4ジョイント部材を、カバーを取り外した状態で示す説明図であり、図18中、V-V矢視断面図を、図19に示す。図6及び、図17図19に示すように、第4ジョイント部材30Dは、幅方向X両側の延伸部16同士と押出部17を連結させる接続部をなす。
【0047】
具体的には、第4ジョイント部材30Dは、図17図19に示すように、第1取付け孔34aと、第1取付け孔34aの軸心と垂直に交差する向きに中心を有して穿孔された有底の第2取付け孔34bを有する。第1取付け孔34aには、押出部17の片側端部となるフレーム部材10の端部10Eが、挿着され、ネジ締結や圧入等の固定手段により、外れないよう、しっかりと固定した状態で連結されている。延伸部16の他端部となるフレーム部材の端部10Eは、底に紐挿通孔35を有した第2取付け孔34bに挿着され、第2取付け孔34bとの嵌合に基づき、着脱可能に取付けられるようになっている。図19に示すように、第2取付け孔34bに有する紐挿通孔35は、紐挿通路36と連通し、この紐挿通路36の先端側は、連結紐80の紐係留端部81を係留して固定させる紐固定部37となっている。
【0048】
<車体フレーム2の折畳み構造について>
図20は、実施形態に係る携帯用ベビーカーを折畳むのにあたり、折畳み前の車体フレームとキャスタを分解するときの要領を示す説明図であり、図20中、車体フレーム内で連結紐が張設されている部分を基準仮想線で示す模式図を、図21に示す。図22は、図20に続き、車体フレームの折畳み手順を示す説明図である。
【0049】
本実施形態の携帯用ベビーカー1では、車体フレーム2を、より小さくした態様で折り畳むため、図22に示すように、車体フレーム2では、前後連結部13と相対的に前側座支持部14が、屈曲により折り返し可能に形成されていると共に、前後連結部13と相対的に後側座支持部15が、屈曲により折り返し可能に形成されている。また、後側座支持部15と相対的に延伸部16が、屈曲により折り返し可能に形成されている。
【0050】
具体的に説明する。図20図22に示すように、車体フレーム2には、幅方向X両側とも、本実施形態では、2本の連結紐80が、基準仮想線L上に位置する前側座支持部14、前後連結部13、後側座支持部15、及び延伸部16をなす合計4本のフレーム部材10の内部10Nに張設されている。フレーム部材10の内部10Nに挿通する連結紐80は、1本である。図21に示すように、基準仮想線Lは、車体フレーム2の幅方向X片0側につき、一の前輪51Fと、同じ側に位置する一の後輪51Rとを結ぶ仮想線であり、第1区間D1(第1の区間)と、第2区間D2(第2の区間)と、第3区間D3(第3の区間)と、第4区間D4(第4の区間)を含んでなる。
【0051】
第1区間D1は、第1ジョイント部材30Aの第3取付け孔31cの紐挿通孔35と、前方突起部41側にある前側座支持部の端部14Eとの区間である。第2区間D2は、第1ジョイント部材30Aの第2取付け孔31bの紐挿通孔35と、第2ジョイント部材30Bの第2取付け孔32bの紐挿通孔35との区間である。第3区間D3は、第2ジョイント部材30Bの第3取付け孔32cの紐挿通孔35と、第3ジョイント部材30Cの第2取付け孔33bの紐挿通孔35との区間である。第4区間D4は、第3ジョイント部材30Cの第3取付け孔33cの紐挿通孔35と、延伸部16の端部16Eと接続するジョイント部材30として、第4ジョイント部材30Dの第2取付け孔34bに有する紐挿通孔35との区間である。
【0052】
基準仮想線L上で、隣り合う区間の関係にある隣接区間として、第1区間D1と第2区間D2、第2区間D2と第3区間D3、及び第3区間D3と第4区間D4のうち、本実施形態では、第1区間D1と第2区間D2とが、一の連結紐80で、一続きに繋がっている。また、第3区間D3と第4区間D4とが、他の連結紐80で、一続きに繋がっている。
【0053】
一の連結紐80は、その片側にある紐係留端部81を、図示しない前側座支持部の端部14Eの内部に取付けた状態で、図8図12に示すように、前側座支持部14、第1ジョイント部材30A、及び前後連結部13を経て、第2ジョイント部材30Bの第2取付け孔32bに有する紐挿通孔35に張設されている。第1ジョイント部材30Aでは、一の連結紐80は、図7図9に示すように、第3取付け孔31cに有する紐挿通孔35、紐挿通路36、及び第2取付け孔31bに有する紐挿通孔35に挿通されている。一の連結紐80で、その反対側にある紐係留端部81は、図10図12に示すように、紐挿通孔35より、紐挿通路36を通じて、紐固定部37に係留して固定されている。
【0054】
他の連結紐80は、その片側にある紐係留端部81を、第2ジョイント部材30Bに固定すると共に、後側座支持部15、第3ジョイント部材30C、及び延伸部16を経て、その反対側にある紐係留端部81を、第4ジョイント部材30Dに固定して張設されている。具体的には、他の連結紐80では、片側にある紐係留端部81は、図11及び図13に示すように、第2ジョイント部材30Bの第3取付け孔32cに有する紐挿通孔35より、紐挿通路36を通じて、紐固定部37に係留して固定されている。第3ジョイント部材30Cでは、他の連結紐80は、図14図16に示すように、第2取付け孔33bに有する紐挿通孔35、紐挿通路36、及び第3取付け孔33cに有する紐挿通孔35に挿通されている。他の連結紐80で、その反対側にある紐係留端部81は、図17図19に示すように、第2取付け孔34bに有する紐挿通孔35より、紐挿通路36を通じて、紐固定部37に係留して固定されている。
【0055】
このように、基準仮想線Lに沿う前側座支持部14、前後連結部13、後側座支持部15、及び延伸部16では、連結紐80が、フレーム部材10の内部10Nに挿通され、各ジョイント部材30(第1ジョイント部材30A、第2ジョイント部材30B、第3ジョイント部材30C、第4ジョイント部材30D)に留めて張設されている。連結紐80は、その弾性力により、紐挿通路36より幅広の紐係留端部81を紐固定部37に引き寄せて、紐係留端部81と紐固定部37とを係留させて固定されているため、紐固定部37に対し、例えば、係留している紐係留端部81の向きを変える等により、紐固定部37との係留を自在に解除することができる。紐固定部37との係留を解除した紐係留端部81を、ジョイント部材30から取り外した後、連結紐80を挿通していたフレーム部材10は、ジョイント部材30から取り外すことができる。
【0056】
そのため、車体フレーム2では、携帯用ベビーカー1に乗車する幼児の成長(乳児から幼児への成長を含む)に合わせて、より大きいフレーム部材10に交換する目的で、基準仮想線L上にある前後連結部13、前側座支持部14、後側座支持部15、及び延伸部16のうち、例えば、部分的に前後連結部13だけを交換等、構成するフレーム部材10を、選択的に交換可能とすることができる。
【0057】
なお、本実施形態では、車体フレーム2において、第1区間D1及び第2区間D2と、第3区間D3及び第4区間D4とに分けて、第1区間D1~第4区間D4を、2本の連結紐80で繋いだが、第1区間D1~第4区間D4を、1本の連結紐80で一続きに繋いで、張設されていても良い。
【0058】
ところで、図22に示すように、車体フレーム2を折り畳むのにあたり、第2区間D2に位置する前後連結部13に向けて、第1区間D1に位置する前側座支持部14が、屈曲により、折畳まれると共に、第3区間D3に位置する後側座支持部15も、屈曲により、折畳まれる。さらに、第4区間D4に位置する延伸部16は、屈曲により、折畳まれた後側座支持部15と重ね合わせた形態で折畳まれる。
【0059】
このとき、前側座支持部14は、第1ジョイント部材30Aから外されて、第3取付け孔31cとの接続を解除し、後側座支持部15は、第2ジョイント部材30Bから取り外されて、第3取付け孔32cとの接続を解除する。同様に、延伸部16は、第3ジョイント部材30Cから取り外されて、第3取付け孔33cとの接続を解除する。それ故に、基準仮想線Lのうち、第1区間D1及び第3区間D3が、連結紐80により、第2区間D2と張設された状態にあり、かつ第4区間D4が、連結紐80により、第3区間D3と張設された状態にあると、車体フレーム2を折り畳むときに、前側座支持部14、後側座支持部15、及び延伸部16は、前後連結部13との連結状態は維持できている。従って、人が、携帯用ベビーカー1の使用に合わせて、折り畳まれた状態にある車体フレーム2を展開するとき、その作業を容易に行うことができる。
【0060】
なお、図22に示すように、車体フレーム2が折畳まれた状態にあるとき、第1ジョイント部材30Aと前側連結部11との接続構造では、前側連結部11を第1ジョイント部材30Aから取り外すことができ、第2ジョイント部材30Bと後側連結部12との接続構造では、後側連結部12を第2ジョイント部材30Bから取り外すことができると良い。同様に、第3ジョイント部材30Cと中間連結部18との接続構造では、中間連結部18を第3ジョイント部材30Cから取り外すことができ、第4ジョイント部材30Dと押出部17との接続構造では、押出部17を第4ジョイント部材30Dから取り外すことができると良い。このような接続構造になっていることにより、分解された車体フレーム2全体の嵩が、コンパクト化でき、後述するように、座部材70から変換されたリュック70X(袋)に収まり易くなるからである。
【0061】
<座部材70について>
次に、座部材70について、説明する。座部材70は、本実施形態では、例えば、布、樹脂製生地等、生地同士を2層状(袋状)に重ねたシート生地72により、図1図6に示すように、車体フレーム2と着脱可能に形成されている。具体的には、座部材70は、図4に示すように、2層の生地のうち、片方の生地に蓋部75を有する。
【0062】
また、座部材70は、車体フレーム2に装着された状態の下、前輪51F側に位置するコーナー部と、後輪51R側に位置するコーナー部に、それぞれ2つずつ、合計4つの座係留部71を有している。前輪51F側の座係留部71は、車体フレーム2の前側座支持部14にある前方突起部41と、挿着によって係留可能な孔となっており、前方突起部41に対し、自在に脱着可能である。後輪51R側の座係留部71は、車体フレーム2の第3ジョイント部材30Cにある後方突起部42と、挿着によって係留可能な孔となっており、後方突起部42に対し、自在に脱着可能である。
【0063】
座部材70は、図1図6に示すように、4つの座係留部71を、2つの前方突起部41と、2つの後方突起部42に係留させると、幅方向Xと前後方向Yと高さ方向Zに対し、適度な伸長状態で張設される。これにより、座部材70は、ちょうどバケットシートにように、尻を深くして身体を包み込む体勢で、幼児の乗車を可能とした深底状の形態となる。座部材70の背もたれ部分には、2つで組をなした安全ベルト73が設けられている。この安全ベルト73は、座部材70に座る幼児をしっかりと保持するのに必要な長さと、携帯用ベビーカー1を押す大人の肩に掛けるのに必要な長さの範囲内で、自由に調整できるようになっている。
【0064】
図23は、実施形態に係る携帯用ベビーカーの座部材を、使用時の状態で示す斜視図であり、図23に示す座部材のシート生地を、反転によりリュックに変換した状態を示す斜視図を、図24に示す。図25は、実施形態に係る携帯用ベビーカーを、分解した状態でリュックに収納する様子を示す説明図である。
【0065】
座部材70は、図23図25に示すように、折り畳んだ状態の車体フレーム2と、車体フレーム2から取り外された状態にある4つのキャスタ50とを収容する袋に変換可能な態様で、形成されている。具体的には、図23に示す座部材70は、その背もたれ部分でシート生地72の向きを反転し、2層状をなすシート生地72の生地同士を、互いに引き離して形成された内部空間を、収容部74としたリュック70X(袋)に変換される。座部材70の安全ベルト73は、その長さを調整することにより、リュック70Xのショルダーハーネス73Xとして機能する。リュック70Xは、収容部74とそれを閉塞する蓋部75とを、周知技術による留め部76で係留する。
【0066】
かくして、携帯用ベビーカー1は、図25に示すように、折り畳んだ状態の車体フレーム2と、4つのキャスタ50を分解した状態にして、リュック70Xの収容部74に収納することができる。そして、幼児が、携帯用ベビーカー1を使用しない場合、幼児の同伴者(親等)は、折り畳んだ状態の携帯用ベビーカー1を、リュック70Xに背負う態様で、運ぶことができる。
【0067】
次に、本実施形態に係る携帯用ベビーカー1の作用・効果について、説明する。
【0068】
本実施形態に係る携帯用ベビーカー1は、支持部52を含む保持手段53により、前輪51Fまたは後輪51Rとして、車輪51が回転可能に装着されたキャスタ50と、中空状に形成された複数のフレーム部材10と、隣接した位置にある2以上のフレーム部材10に対し、各端部10Eと接続またはその解除を可能とした複数のジョイント部材30(第1ジョイント部材30A、第2ジョイント部材30B、第3ジョイント部材30C、第4ジョイント部材30D)と、紐状で、自在に伸縮・変形可能な連結紐80と、を有する車体フレーム2と、生地同士を2層状に重ねてなるシート生地72により、車体フレーム2と着脱可能に形成された座部材70と、を備え、車体フレーム2では、2つの前輪51F同士の間に配置される前側連結部11、2つの後輪51R同士の間に配置される後側連結部12、同じ側にある前輪51Fと後輪51Rとの間に配置される前後連結部13、前側連結部11とその片側で前後連結部13と隣接して配置される前側座支持部14、後側連結部12とその片側で前後連結部13と隣接して配置される後側座支持部15、及び後側座支持部15と連結して配置される延伸部16が、フレーム部材10からなり、第1ジョイント部材30Aは、前側連結部11、片側の前後連結部13、及び前側連結部11と片側の前後連結部13との交差位置にある前側座支持部14の関節をなし、前後連結部13と相対的に前側座支持部14を、屈曲により折り返し可能に形成されていると共に、前輪51Fとなるキャスタ50の支持部52と、着脱自在に連結可能な前輪取付部31dを有すること、第2ジョイント部材30Bは、後側連結部12、片側の前後連結部13、及び後側連結部12と片側の前後連結部13との交差位置にある後側座支持部15の関節をなし、前後連結部13と相対的に後側座支持部15を、屈曲により折り返し可能に形成されていると共に、後輪51Rとなるキャスタ50の支持部52と、着脱自在に連結可能な後輪取付部32dを有すること、第3ジョイント部材30Cは、後側座支持部15と延伸部16との関節をなし、後側座支持部15と相対的に延伸部16を、屈曲により折り返し可能に形成されていること、車体フレーム2では、一の前輪51Fと同じ側に位置する一の後輪51Rとを結ぶ基準仮想線L上で、第1ジョイント部材30Aとその反対側にある前側座支持部14の端部14Eとの第1区間D1、第1ジョイント部材30Aと第2ジョイント部材30Bとの第2区間D2、第2ジョイント部材30Bと第3ジョイント部材30Cとの第3区間D3、及び第3ジョイント部材30Cとその反対側にある延伸部16の端部16Eとの第4区間D4のうち、隣り合う区間の関係にある、少なくとも1箇所の隣接区間が、フレーム部材10の内部10Nに挿通した連結紐80で、繋がっていること、を特徴とする。
【0069】
この特徴により、携帯用ベビーカー1は、使用せずに持ち運ぶ場合、車体フレーム2から、前輪51F及び後輪51R(キャスタ50)と座部材70とを取外した上で、この車体フレーム2に対し、図21に示すように、少なくとも第1ジョイント部材30Aから前側座支持部14を、第2ジョイント部材30Bから後側座支持部15を、第3ジョイント部材30Cから延伸部16を、それぞれ取外すことで、例えば、リュック70Xで背負うことができる程、小さな嵩にコンパクト化することができる。そのため、幼児の同伴者(親等)は、折り畳んだ状態の携帯用ベビーカー1を、容易に持ち運ぶことが可能になる。
【0070】
しかも、第1ジョイント部材30Aから前側座支持部14の取外し等で、たとえフレーム部材10とジョイント部材30との接続が解除されても、フレーム部材10とジョイント部材30とは、連結紐80で繋がっているため、完全に分離することはない。そのため、人が、折畳まれた状態の携帯用ベビーカー1を、乗車可能な使用状態に組付ける際、第1ジョイント部材30Aと前側座支持部14との接続等のように、対応するフレーム部材10とジョイント部材30とを、間違えずに接続でき、折畳まれた状態の携帯用ベビーカー1の組付けを、確実にかつ容易に行うことができる。
【0071】
従って、本実施形態に係る携帯用ベビーカー1によれば、幼児が使用しない場合でも、幼児の同伴者(親等)は、折り畳んだ状態の携帯用ベビーカー1を、容易に持ち運ぶことができる、という優れた効果を奏する。
【0072】
また、本実施形態に係る携帯用ベビーカー1では、座部材70は、車体フレーム2に装着された状態の下、前輪51F側に位置する部分と、後輪51R側に位置する部分に、それぞれ座係留部71を有し、前側座支持部14の端部14Eには、前輪51F側に配置されている座係留部71と、係留可能な前方突起部41を有し、第3ジョイント部材30Cは、後輪51R側に配置されている座係留部71と、係留可能な後方突起部42を有すること、を特徴とする。
【0073】
この特徴により、外出先で幼児が、自身の歩行から、身体的な疲労を感じて携帯用ベビーカー1に乗車する場合等、折畳まれていた車体フレーム2を展開して、座部材70を車体フレーム2に組付けるにあたり、幼児の同伴者は、前方突起部41と後方突起部42を、前後の座係留部71に挿入させるだけで、座部材70を簡単に取付けることができる。そのため、応急的な措置で、幼児を速やかに携帯用ベビーカー1に乗車させるような状況下であっても、同伴者は、折畳まれている携帯用ベビーカー1を、手際よく組み立てることができる。
【0074】
その反対に、幼児が、携帯用ベビーカー1から降りて自身で歩行する場合、携帯用ベビーカー1をコンパクト化して持ち運ぶのにあたり、同伴者は、前後の座係留部71を持ち上げて、前方突起部41と後方突起部42から離間させるだけで、車体フレーム2から座部材70を簡単に取外すことができる。その故に、同伴者は、これまで使用していた携帯用ベビーカー1を、手際よく折り畳んで片付けることができる。
【0075】
また、本実施形態に係る携帯用ベビーカー1では、座部材70は、折り畳んだ状態の車体フレーム2と、車体フレーム2から取り外した状態のキャスタ50とを収容するリュック70Xに変換可能な態様で、形成されていること、を特徴とする。
【0076】
この特徴により、幼児が携帯用ベビーカー1を使用せず、幼児の同伴者が、携帯用ベビーカー1を持って移動する場合に、同伴者は、コンパクト化した携帯用ベビーカー1を、その座部材70から変換したリュック70Xの収容部74に収納し、リュック70Xに背負える態様で持ち運ぶことができる。
【0077】
特に、同伴者が、ベビーカーを所持しながら、乳幼児を連れて外出するとき、同伴者の荷物以外に、例えば、ジュースやおかし等の飲食物、おもちゃや絵本等の遊び道具、オムツやおしぼり等の衛生用品に挙げられるように、乳幼児向けの専用荷物が、余分に必要となる。そのため、一般的には、同伴者は外出時に、たくさんの手荷物を携えている。それ故に、同伴者は、幼児を連れて、いくつかの手荷物を携えていても、使用していない携帯用ベビーカー1を、リュック70Xにより、自身の背中に背負って持ち運ぶことで、同伴者の身体的な負担は、従来のベビーカーを持ち運ぶ場合に比べ、著しく軽減できる。加えて、同伴者は、使用していない携帯用ベビーカー1を、リュック70Xにより、自身の背中に背負って持ち運ぶことで、特に、階段の昇降や、電車とホームとの間を通過する場合等でも、苦にすることなく移動することができるようになる。
【0078】
また、本実施形態に係る携帯用ベビーカー1では、座部材70には、2つで組をなした安全ベルト73が、背もたれに部分に設けられ、安全ベルト73は、リュック70Xのショルダーハーネス73Xとして機能すること、を特徴とする。
【0079】
この特徴により、安全ベルト73がショルダーハーネス73Xと兼用できているため、別途、ショルダーハーネスを設ける必要がない。そのため、使用していない携帯用ベビーカー1をリュック70Xで背負うにあたり、リュック70Xとしての構成要素が少なくなっている分、軽くなり、同伴者への身体的な負担は、さらに低減できる。
【0080】
また、本実施形態に係る携帯用ベビーカー1では、連結紐80は、第2ジョイント部材30Bと第4ジョイント部材30Dに対し、接続またはその解除を可能とした態様で留められ、車体フレーム2では、構成するフレーム部材10が、選択的に交換できること、を特徴とする。
【0081】
この特徴により、携帯用ベビーカー1に乗車する幼児の成長(乳児から幼児への成長を含む)に合わせて、車体フレーム2のうち、例えば、前後連結部13等をなすフレーム部材10を、異なる長さの別のフレーム部材10に交換する等、車体フレーム2を部分的に更新することができる。そのため、幼児の成長に伴い、ベビーカーの買い替えも不要となり、携帯用ベビーカー1は、幼児にとって乗車を必要とする時期に、幅広く対応することができる。
【0082】
また、本実施形態に係る携帯用ベビーカー1では、フレーム部材10は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)製であること、を特徴とする。
【0083】
この特徴により、フレーム部材10の機械的強度をより大きく得ることができている一方、携帯用ベビーカー1の重量の多くを占める車体フレーム2で、効果的な軽量化が実現できる。そのため、携帯用ベビーカー1の総重量は、一例として、2kg台後半と、3kg下回ることができており、少なくとも4kg以上の総重量とする従来のベビーカーに比して、格段に軽い。
【0084】
以上において、本発明に係る携帯用乳母車を、実施形態に即して説明したが、本発明に係る携帯用乳母車は、実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
【0085】
(1)例えば、実施形態では、生地同士を2層状(袋状)に重ねたシート生地72で、座部材70と、それから変換させたリュック70Xを形成した。しかしながら、座部材は、単層状の生地とした少し大き目のシート生地に対し、参照する図1中、幅方向X両側に相当する両側面部と、前後方向Y前側に相当する底部とを、背もたれの反対側で、ボタンやホック等の接続手段で繋ぎ合わせることにより、リュック70Xに似た袋に変換しても良い。
【0086】
(2)また、実施形態では、車体フレーム2の折畳み形態を、図22に示したが、車体フレームの折畳み要領のほか、ジョイント部材とフレーム部材との連結部で、双方で接続、またはその解除を行う部位は、実施形態で限定することなく、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 携帯用ベビーカー(携帯用乳母車)
2 車体フレーム
10 フレーム部材
10E フレーム部材の端部
10N フレーム部材の内部
11 前側連結部
12 後側連結部
13 前後連結部
14 前側座支持部
14E 前側座支持部の端部
15 後側座支持部
16 延伸部
16E 延伸部の端部
30 ジョイント部材
30A 第1ジョイント部材(ジョイント部材、第1のジョイント部材)
31d 第4取付け孔(前輪取付部)
30B 第2ジョイント部材(ジョイント部材、第2のジョイント部材)
32d 第4取付け孔(後輪取付部)
30C 第3ジョイント部材(ジョイント部材、第3のジョイント部材)
41 前方突起部(車体フレーム前方係留部)
42 後方突起部(車体フレーム後方係留部)
50 キャスタ
51F 前輪
51R 後輪
52 支持部
53 保持手段
70 座部材
70X リュック(袋)
71 座係留部
72 シート生地
73 安全ベルト
73X ショルダーハーネス
80 連結紐(弾性部材)
L 基準仮想線
D1 第1区間(第1の区間)
D2 第2区間(第2の区間)
D3 第3区間(第3の区間)
D4 第4区間(第4の区間)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
【手続補正書】
【提出日】2022-12-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部を含む保持手段により、前輪または後輪として、車輪が回転可能に装着されたキャスタと、
中空状に形成された複数のフレーム部材と、隣接した位置にある2以上の前記フレーム部材に対し、各端部と接続またはその解除を可能とした複数のジョイント部材と、紐状または螺旋状で、自在に伸縮・変形可能な弾性部材と、を有する車体フレームと、
単層状の生地、または前記生地同士を複層状に重ねてなるシート生地により、前記車体フレームと着脱可能に形成された座部材と、を備え、
前記車体フレームでは、2つの前記前輪同士の間に配置される前側連結部、2つの前記後輪同士の間に配置される後側連結部、同じ側にある前記前輪と前記後輪との間に配置される前後連結部、前記前側連結部とその片側で前記前後連結部と隣接して配置される前側座支持部、前記後側連結部とその片側で前記前後連結部と隣接して配置される後側座支持部、及び前記後側座支持部と連結して配置される延伸部が、前記フレーム部材からなり、
第1の前記ジョイント部材は、前記前側連結部、片側の前記前後連結部、及び前記前側連結部と前記片側の前記前後連結部との交差位置にある前記前側座支持部の関節をなし、前記前後連結部と相対的に前記前側座支持部を、屈曲により折り返し可能に形成されていると共に、前記前輪となる前記キャスタの前記支持部と、着脱自在に連結可能な前輪取付部を有すること、
第2の前記ジョイント部材は、前記後側連結部、片側の前記前後連結部、及び前記後側連結部と前記片側の前記前後連結部との交差位置にある前記後側座支持部の関節をなし、前記前後連結部と相対的に前記後側座支持部を、屈曲により折り返し可能に形成されていると共に、前記後輪となる前記キャスタの前記支持部と、着脱自在に連結可能な後輪取付部を有すること、
第3の前記ジョイント部材は、前記後側座支持部と前記延伸部との関節をなし、前記後側座支持部と相対的に前記延伸部を、屈曲により折り返し可能に形成されていること、
前記車体フレームでは、一の前記前輪と同じ側に位置する一の前記後輪とを結ぶ基準仮想線上で、前記第1のジョイント部材とその反対側にある前記前側座支持部の端部との第1の区間、前記第1のジョイント部材と前記第2のジョイント部材との第2の区間、前記第2のジョイント部材と前記第3のジョイント部材との第3の区間、及び前記第3のジョイント部材とその反対側にある前記延伸部の端部との第4の区間のうち、隣り合う区間の関係にある、少なくとも1箇所の隣接区間が、前記フレーム部材の内部に挿通した前記弾性部材で、繋がっていること、
を特徴とする携帯用乳母車。
【請求項2】
請求項1に記載する携帯用乳母車において、
前記座部材は、前記車体フレームに装着された状態の下、前記前輪側に位置する部分と、前記後輪側に位置する部分に、それぞれ座係留部を有し、
前記前側座支持部の前記端部には、前記前輪側に配置されている前記座係留部と、係留可能な車体フレーム前方係留部を有し、
前記第3のジョイント部材は、前記後輪側に配置されている前記座係留部と、係留可能な車体フレーム後方係留部を有すること、
を特徴とする携帯用乳母車。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する携帯用乳母車において、
前記座部材は、折り畳んだ状態の前記車体フレームと、前記車体フレームから取り外した状態の前記キャスタとを収容する袋に変換可能な態様で、形成されていること、
を特徴とする携帯用乳母車。
【請求項4】
請求項3に記載する携帯用乳母車において、
前記座部材の背もたれ部分には、2つで組をなした安全ベルトが設けられ、
前記安全ベルトは、前記袋のショルダーハーネスとして機能すること、
を特徴とする携帯用乳母車。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載する携帯用乳母車において、
前記弾性部材は、前記第1のジョイント部材、前記第2のジョイント部材、及び前記第3のジョイント部材のうち、少なくとも一つの前記ジョイント部材に対し、接続またはその解除を可能とした態様で留められ、
前記車体フレームでは、構成する前記フレーム部材が、選択的に交換できること、
を特徴とする携帯用乳母車。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載する携帯用乳母車において、
前記フレーム部材は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)製であること、
を特徴とする携帯用乳母車。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部を含む保持手段により、前輪または後輪として、車輪が回転可能に装着されたキャスタと、
中空状に形成された複数のフレーム部材と、隣接した位置にある2以上の前記フレーム部材に対し、各端部と接続またはその解除を可能とした複数のジョイント部材と、紐状または螺旋状で、自在に伸縮・変形可能な弾性部材と、を有する車体フレームと、
単層状の生地、または前記生地同士を複層状に重ねてなるシート生地により、前記車体フレームと着脱可能に形成された座部材と、を備え、
前記車体フレームでは、2つの前記前輪同士の間に配置される前側連結部、2つの前記後輪同士の間に配置される後側連結部、同じ側にある前記前輪と前記後輪との間に配置される前後連結部、前記前側連結部とその片側で前記前後連結部と隣接して配置される前側座支持部、前記後側連結部とその片側で前記前後連結部と隣接して配置される後側座支持部、及び前記後側座支持部と連結して配置される延伸部が、前記フレーム部材からなり、
第1の前記ジョイント部材は、前記前側連結部、片側の前記前後連結部、及び前記前側連結部と前記片側の前記前後連結部との交差位置にある前記前側座支持部の関節をなし、前記前後連結部と相対的に前記前側座支持部を、屈曲により折り返し可能に形成されていると共に、前記前輪となる前記キャスタの前記支持部と、着脱自在に連結可能な前輪取付部を有すること、
第2の前記ジョイント部材は、前記後側連結部、片側の前記前後連結部、及び前記後側連結部と前記片側の前記前後連結部との交差位置にある前記後側座支持部の関節をなし、前記前後連結部と相対的に前記後側座支持部を、屈曲により折り返し可能に形成されていると共に、前記後輪となる前記キャスタの前記支持部と、着脱自在に連結可能な後輪取付部を有すること、
第3の前記ジョイント部材は、前記後側座支持部と前記延伸部との関節をなし、前記後側座支持部と相対的に前記延伸部を、屈曲により折り返し可能に形成されていること、
前記車体フレームでは、一の前記前輪と同じ側に位置する一の前記後輪とを結ぶ基準仮想線上で、前記第1のジョイント部材とその反対側にある前記前側座支持部の端部との第1の区間、前記第1のジョイント部材と前記第2のジョイント部材との第2の区間、前記第2のジョイント部材と前記第3のジョイント部材との第3の区間、及び前記第3のジョイント部材とその反対側にある前記延伸部の端部との第4の区間のうち、隣り合う区間の関係にある、少なくとも1箇所の隣接区間が、前記フレーム部材の内部に挿通した前記弾性部材で、繋がっていること、
を特徴とする携帯用乳母車。
【請求項2】
請求項1に記載する携帯用乳母車において、
前記座部材は、前記車体フレームに装着された状態の下、前記前輪側に位置する部分と、前記後輪側に位置する部分に、それぞれ座係留部を有し、
前記前側座支持部の前記端部には、前記前輪側に配置されている前記座係留部と、係留可能な車体フレーム前方係留部を有し、
前記第3のジョイント部材は、前記後輪側に配置されている前記座係留部と、係留可能な車体フレーム後方係留部を有すること、
を特徴とする携帯用乳母車。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する携帯用乳母車において、
前記座部材は、折り畳んだ状態の前記車体フレームと、前記車体フレームから取り外した状態の前記キャスタとを収容する袋に変換可能な態様で、形成されていること、
を特徴とする携帯用乳母車。
【請求項4】
請求項3に記載する携帯用乳母車において、
前記座部材の背もたれ部分には、2つで組をなした安全ベルトが設けられ、
前記安全ベルトは、前記袋のショルダーハーネスとして機能すること、
を特徴とする携帯用乳母車。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載する携帯用乳母車において、
前記弾性部材は、前記第1のジョイント部材、前記第2のジョイント部材、及び前記第3のジョイント部材のうち、少なくとも一つの前記ジョイント部材に対し、接続またはその解除を可能とした態様で留められ、
前記車体フレームでは、構成する前記フレーム部材が、選択的に交換できること、
を特徴とする携帯用乳母車。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載する携帯用乳母車において、
前記フレーム部材は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)製であること、
を特徴とする携帯用乳母車。