(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127249
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
D06F 37/28 20060101AFI20230906BHJP
【FI】
D06F37/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030915
(22)【出願日】2022-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】小室 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】久野 功二
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 啓太
(72)【発明者】
【氏名】西村 博司
(72)【発明者】
【氏名】池田 陽祐
【テーマコード(参考)】
3B165
【Fターム(参考)】
3B165AA12
3B165AA15
3B165AB22
3B165AB33
3B165AE01
3B165AE02
3B165AE07
3B165BA43
3B165BA45
3B165BA83
3B165CA01
3B165CA02
3B165CA05
3B165CA11
3B165CB01
3B165CB02
3B165CB31
3B165CB59
3B165DW03
3B165DW05
3B165EW01
3B165EW03
3B165EW05
3B165GA02
(57)【要約】
【課題】乾燥運転時間を短縮しつつ、簡単な構成で製造コストを抑えた衣類処理装置を提供する。
【解決手段】衣類処理装置は、本体と、本体の内部に設けられた水槽と、水槽の上部を覆う水槽カバーと、水槽に温風を供給する温風供給装置と、水槽の外周部に設けられ水槽から排出された空気が通る風路と、風路に冷却水を供給する給水装置と、を備える。水槽カバーは、給水装置から水の滴下を受ける滴下部を有し、滴下された水を貯留する受水部と、滴下部と風路との間に設けられ風路の内側周壁に沿って延びるリブと、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体の内部に設けられた水槽と、
前記水槽の上部を覆う水槽カバーと、
前記水槽に温風を供給する温風供給装置と、
前記水槽の外周部に設けられ前記水槽から排出された空気が通る風路と、
前記風路に冷却水を供給する給水装置と、を備え、
前記水槽カバーは、
前記給水装置から水の滴下を受ける滴下部を有し、滴下された水を貯留する受水部と、
前記滴下部と前記風路との間に設けられ前記風路の内側周壁に沿って延びるリブと、を有する、
衣類処理装置。
【請求項2】
前記リブは前記水槽カバーと一体に形成されている、請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記リブは、幅方向に分散して設けられた複数のスリットを有する、請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項4】
前記複数のスリットの各々は、上端部の幅が下端部の幅よりも広く設定されている、請求項3に記載の衣類処理装置。
【請求項5】
前記スリットの下端部の高さ位置は、前記滴下部の高さ位置よりも低く設定されている、
請求項3又は4に記載の衣類処理装置。
【請求項6】
前記スリットの下端部の高さ位置は前記受水部の底面の高さ位置以下に設定されている、請求項3又は4に記載の衣類処理装置。
【請求項7】
前記複数のスリットにより形成される開口密度は、前記リブの幅方向に関して変動するように設定される、請求項3又は4に記載の衣類処理装置。
【請求項8】
前記滴下部からの水の移動距離が長いほど前記複数のスリットの幅が広く設定される、
請求項7に記載の衣類処理装置。
【請求項9】
前記受水部は、前記滴下部と前記リブとの間に、水の流れを遮るガイド部を有する
請求項1から4のいずれか一項に記載の衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
縦型の洗濯乾燥機の乾燥方式としてヒータの熱源を利用する方式がある。ヒータ方式は更に大きく2つに大別され、外気を取り込みヒータで温め、温めた空気を脱水槽内の湿った衣類へ当てて乾燥させ、乾燥時に出る湿気を機外又は機内に排出して除湿する排気式と、循環する風路を備え、ヒータで温めた空気を脱水槽内の湿った衣類へ当てて乾燥させ、乾燥時に出る湿気を風路内に設けた水冷式の熱交換器で除湿する水冷式とがある。
【0003】
水冷式の熱交換器の構造も更に大きく2つに大別される。1つ目は、水槽と別体の熱交換器とをダクトでつなぎ、循環風路を形成する別体タイプであり、2つ目は、水槽の側壁に風路と兼用の熱交換器を形成する一体タイプである。
【0004】
別体タイプでは、風路面積を大きく取れるために風量が確保できるが、外箱内部に熱交換器を配置するためには、筐体サイズが大きくなる傾向がある。また、蛇腹のダクト等で循環風路を繋がなければならないため、部品点数が増え、製造コストが余計にかかることになる。一体タイプの場合には、部品点数が抑えられるが、風路面積を大きくすることが難しい。
【0005】
別体タイプ、一体タイプいずれも、熱交換器内で湿気を含んだ空気と除湿するための冷却水とを上手く接触させることが乾燥効率の向上には欠かせない。そのため、例えば風路内に満遍なく散水するためのノズルや、湿気と水との接触を増やすための金属製の冷却板や、風路内に滴下した水を撥ねさせ水飛沫を発生させるための部材を設けた洗濯乾燥機や、風路内に水飛沫を発生させるための飛沫発生板を差し込んだ熱交換器を搭載した洗濯乾燥機等が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一体タイプの熱交換器を有する衣類処理装置は、湿気を含んだ空気と除湿するための水との接触を向上するために冷却板や、飛沫発生板等の別部材が設けられている。この場合、乾燥運転の時間を短縮することができる一方、部品点数の増加により、製造コストも増加する虞がある。
【0008】
そこで、乾燥運転時間を短縮しつつ、簡単な構成で製造コストを抑えた衣類処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の衣類処理装置は、本体と、前記本体の内部に設けられた水槽と、前記水槽の上部を覆う水槽カバーと、前記水槽に温風を供給する温風供給装置と、前記水槽の外周部に設けられ前記水槽から排出された空気が通る風路と、前記風路に冷却水を供給する給水装置と、を備える。前記水槽カバーは、前記給水装置から水の滴下を受ける滴下部を有し、滴下された水を貯留する受水部と、前記滴下部と前記風路との間に設けられ前記風路の内側周壁に沿って延びるリブと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態による洗濯機の一例の外観を示すもので、洗濯機蓋が開いた状態を示す斜視図
【
図2】第1実施形態による洗濯機の一例の内部構成を概略的に示す図
【
図3】第1実施形態による洗濯機の一例の水槽及び水槽カバーの構成を示す斜視図
【
図4】第1実施形態による洗濯機の一例の水槽及び水槽カバーを示す平面図
【
図5】第1実施形態による洗濯機の一例の受水部周辺の構成を概略的に示す斜視図
【
図6】
図5の楕円I内を拡大して受水部周辺の構成を概略的に示す斜視図
【
図7】第1実施形態による洗濯機の一例の受水部付近の構成を
図4のII-II線に沿って概略的に示す部分縦断面図
【
図8】第2実施形態による洗濯機の一例の受水部付近の構成を概略的に示す部分縦断面図(
図7相当図)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、複数の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各実施形態において同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0012】
(第1実施形態)
図1から
図7を参照して第1実施形態について説明する。
図1又は
図2に示す衣類処置装置としての洗濯乾燥機10は、本体20、水槽11、回転槽12、モータ13、排水弁14、水槽カバー15、給水装置30、及び温風供給装置40を備えている。なお、
図1の左側を洗濯乾燥機10の前側とし、
図1の右側を洗濯乾燥機10の後側とする。また、洗濯乾燥機10の設置面側つまり鉛直下側を、洗濯乾燥機10の下側とし、設置面と反対側つまり鉛直上側を、洗濯乾燥機10の上側とする。そして、洗濯乾燥機10の前後方向及び上下方向に対して直角方向を、洗濯乾燥機10の幅方向すなわち左右方向とする。洗濯乾燥機10は、回転槽12の回転軸が鉛直方向を向いたいわゆる縦軸型の洗濯乾燥機である。
【0013】
本体20は、
図1又は
図2等に示すように、箱体21、トップカバー22、バックカバー23、及び洗濯機蓋24を有している。箱体21は、洗濯乾燥機10の外殻を構成している。箱体21は、例えば鋼板等によって略矩形の箱状に形成されており、上側が開口している。水槽11は、本体20の内部すなわち箱体21の内部に収容されている。回転槽12は、水槽11の内部に収容されている。水槽11は、上側が開口した有底円筒形状に形成されている。同様に、回転槽12も、上側が開口した有底円筒形状に形成されている。
【0014】
回転槽12の底面及び側面には、多数の孔部121が形成されている。孔部121は、洗濯運転時には通水し、乾燥運転時には通気する。水槽11は、排気口111を有する。排気口111は、水槽11の側壁の下部に設けられた開口であり、乾燥運転時に水槽11からの空気の出口となる。
【0015】
トップカバー22の外形は、箱体21の外形に沿った形状に形成されており、内側に
図2に示すように開口部221を有している。トップカバー22は、箱体21の上部に設けられている。バックカバー23は、全体として洗濯乾燥機10の左右方向に長い矩形状に構成されている。バックカバー23は、
図1に示すように、トップカバー22の後方に設けられている。バックカバー23の内部には、給水装置30や温風供給装置40の一部が収容される。
【0016】
洗濯機蓋24は、トップカバー22に回動可能に支持されており、トップカバー22の開口部221を開閉する。洗濯機蓋24は、バックカバー23の前側に位置している。なお、洗濯機蓋24は、前後方向の中心部で2つに折り曲げ可能に構成されている。
【0017】
モータ13は、水槽11の底部の外側に設けられており、水槽11を貫いて回転槽12に接続されている。モータ13は、例えばアウターロータ型のDCブラシレスモータで構成することができる。モータ13は、回転槽12を回転させる。
【0018】
排水弁14は、電磁駆動可能な液体用の開閉弁であり、図示しない制御装置によって駆動制御される。排水弁14の入力側は、水槽11内に接続されており、排水弁14の出力側は、洗濯乾燥機10の外部に接続されている。排水弁14は、水槽11内に貯留されている水を機外の外部に排水するための排水経路を開閉する。排水弁14が閉じると、水槽11内は水を貯留可能な状態となる。また、排水弁14が開くと、水槽11内に貯留された水が機外へ排水可能となる。
【0019】
図1から
図5等に示すように、水槽カバー15は、トップカバー22の下方であって水槽11の上方に配置されている。水槽カバー15は、外形が概ね円形に形成されて、水槽11の上部の開口を開閉する。水槽カバー15は、水槽カバー本体151と、開口部152と、内蓋153とを有する。水槽カバー本体151は、外形が概ね円形に形成されて水槽カバー15の主体を構成し、中央部に開口部152が形成されている。開口部152は、例えば半円形、長円形、楕円形などに形成されて、水槽11及び回転槽12内部との空間と、洗濯乾燥機10外部とを連通する。内蓋153は、水槽カバー本体151に回動可能に支持されて、開口部152を開閉する。
【0020】
水槽カバー本体151の開口部152とトップカバー22の開口部221とは、共に、ユーザが洗濯物を回転槽12に出し入れする際に洗濯物の出入口となる。洗濯運転又は乾燥運転中は、内蓋153及び洗濯機蓋24が閉じられている。
【0021】
水槽カバー本体151には、給水口16と、給気口17と、受水部50と、が設けられている。給水口16は、給水装置30によって供給される洗濯運転用の水の水槽11及び回転槽12への入口となる。給気口17は、温風供給装置40によって供給される温風の水槽11及び回転槽12への入口となる。受水部50は、給水装置30から除湿に用いる冷却水の供給を受ける機能を有する。給水口16と、給気口17と、受水部50とは、開口部152の後方に位置している。
【0022】
給水装置30は、本体20内の上側後部でかつトップカバー22及びトップカバー22の内部に設けられている。給水装置30は、
図2に示すように、給水弁31と、冷却水ホース32とを有している。給水装置30は、詳細は図示しないが、給水ホースを介して水道の蛇口など外部の水源に接続される。
【0023】
給水弁31は、電磁駆動可能な液体用の開閉弁であり、図示しない制御装置によって駆動制御される。給水弁31の入力側は、水道等の外部の水源に接続されており、給水弁31の出力側は、冷却水ホース32に接続されている。なお、給水弁31は、水道等の外部の水源から図示しない注水ケースを介して水槽11内へ給水するための給水経路を開閉する洗濯用給水弁を兼ねていても良いし、洗濯乾燥機10は、洗濯用給水弁を更に備えていてもよい。
【0024】
温風供給装置40は、バックカバー23の内部に設けられている。温風供給装置40は、
図2に示すように、ファン41、ヒータ42、給気ダクト43、及び排気ダクト44を有している。ファン41は、バックカバー23に設けられた外気導入口231から外気を導入して、排気ダクト44を通って戻って来た空気と共にヒータ42に送る。ヒータ42は、ファン41によって送られた空気を加熱する。加熱された空気は、ファン41の働きにより、給気ダクト43を通って、給気口17から水槽11及び回転槽12に供給される。給気ダクト43は、ヒータ42と給気口17とを接続する。回転槽12内に収容された洗濯物を温め、洗濯物から蒸発した湿度を含んだ空気は、排気口111から排気ダクト44に排出される。排気ダクト44は、空気の流れに関して排気口111とファン41との間に設けられ、排気口111から排出された空気の通り道となる。
【0025】
ファン41の下流側には、図示しないフィルタ装置が設けられていて、循環する空気に含まれるリントなどの異物を捕捉する。本実施形態では、排気ダクト44を通過した空気は、ファン41によってヒータ42に送られるが、これに限らない。例えば、他の実施形態では、排気ダクト44を通過した空気はその一部又は全部が箱体21の外部に排出される構成であっても良い。また、外気導入口231にダンパを設けて、必要に応じて制御装置によってダンパの開閉を調節しても良い。
【0026】
排気ダクト44は、水槽11の側壁から外側に膨出して水槽11と一体に形成されている。本実施形態では、排気ダクト44は、水槽11の背部に形成されている。排気ダクト44は、内側周壁441と、外側周壁442と、上部開口443とを有する。内側周壁441は、水槽11の筒状に形成された側壁の一部を構成して、水槽11の内部と、排気ダクト44の内部とを隔てる。外側周壁442は、排気ダクト44の外周側の面を形成し、排気ダクト44の内部と、排気ダクト44の外部であってかつ箱体21の内部の空間とを隔てる。内側周壁441と外側周壁442とは、共に排気ダクト44の周壁を形成する。上部開口443は、排気ダクト44の上部に開いた開口で、排気ダクト44の内部と外部とを連通する。上部開口443の上方には、詳細は図示しないダクトカバーが設けられている。
【0027】
乾燥運転時、排気ダクト44には、冷却水ホース32を通して冷却水が上方から供給される。冷却水は、排気ダクト44を通過する空気を冷却することで、洗濯物から蒸発した水分を含んだ空気から水分を除去する機能を有する。排気ダクト44を落下した冷却水は、排気口111から水槽11に入り、排水弁14を通過して機外に排出される。
【0028】
洗濯乾燥機10は、洗い工程、濯ぎ工程、脱水工程などを含む洗濯運転と、乾燥工程を含む乾燥運転と、洗濯運転及び乾燥運転を両方含む洗濯乾燥運転を実行可能である。乾燥工程において、図示しない制御装置はファン41を駆動して空気を図の黒矢印の向きに循環させる。また、制御装置はヒータ42を通電駆動し、外部から取り込んだ又は排気ダクト44を通って戻って来た空気を加熱する。更に、制御装置は、給水弁31を開いて、冷却水ホース32から受水部50に水を供給する。受水部50に貯留された水は、上部開口443から排気ダクト44に供給されて、排気ダクト44内の湿った空気を冷却して除湿する。
【0029】
続いて、
図6及び
図7も参照して受水部50の構成について説明する。受水部50は、水槽カバー本体151の背部に位置し排気ダクト44の上部開口443に対面している。受水部50は、第1面51と、第2面52と、第3面53と、側壁54と、リブ55と、ガイド部56と、を有する。第1面51と、第2面52と、第3面53とは、共に受水部50の底面を形成する。第1面51は、受水部50のうち水槽カバー15の中央部寄りに位置する。第2面52は、第1面51と第3面53との間に位置する。第3面53は、受水部50のうち外縁部この場合背部に位置する。側壁54は、受水部50の周囲に水槽カバー本体151から上方に突出して形成されている。側壁54によって、滴下された水が受水部50内に貯留され、周囲に広がることが抑制される。リブ55は、受水部50の外縁部この場合背部に設けられている。リブ55は、受水部50と排気ダクト44との間に位置し、水槽カバー本体151から上方に突出して受水部50と排気ダクト44とを隔てている。ガイド部56は、受水部50の中央部に位置し、水槽カバー本体151から上方に突出して、水の流れを遮ってガイドする機能を有する。
【0030】
第1面51と、第3面53とは、概ね水平方向に延びる面を形成している。第1面51は、第3面53よりも床面からの高さが高く設定されている。また、第2面52は、第1面51と第3面53とを繋ぐ斜面を形成する。この場合、第2面52は、洗濯乾燥機10の外側に向かうほどつまり背方に向かうほど下がる斜面を形成している。本実施形態では、冷却水ホース32から滴下された水を受ける滴下部511は、第1面51に位置する。より具体的には、滴下部511は、第1面51の左端寄りに位置する。つまり、冷却水ホース32の先端部は、第1面51の左端寄りに向けて冷却水を滴下する。
【0031】
リブ55は、第3面53の背縁部から上方に突出して、水槽11の側面に沿って概ね上下方向に延びる面を形成する。リブ55は、受水部50が冷却水ホース32から供給を受けた冷却水を、一度に排気ダクト44に供給せずに少しずつ供給するために堰き止める機能を有する。
【0032】
ガイド部56は、滴下部511よりも外側この場合背方であってリブ55よりも水槽カバー15の中央部寄りこの場合前方に設けられている。この場合、ガイド部56は、第1面51と第2面52との境界に位置している。ガイド部56は、水槽カバー本体151から上方に突出してリブ55と概ね平行で上下方向に延びる面を形成する。ガイド部56は、滴下部511に供給された水が過度に勢いよくガイド部56に流れ込まないように、水を一部堰き止める機能を有する。
【0033】
リブ55は、排気ダクト44の内側周壁441の幅つまり周方向の寸法一杯に亘って形成されている。つまり、リブ55は、左右の両端が側壁54に接続されている。これにより、リブ55と側壁54との間に隙間がある場合と比較して、効果的に水を一度堰き止める機能が発揮される。また、リブ55は、樹脂などにより水槽カバー本体151と一体に成形されている。これにより、リブ55と水槽カバー本体151との間に隙間がある場合と比較して、隙間から想定外に水が漏れてしまうことが抑制される。なお、側壁54も水槽カバー本体151と一体に成形されている。
【0034】
リブ55の上部の高さ位置は、側壁54の上部の高さ位置以下に設定されている。これにより、リブ55を超えて排気ダクト44に落下するよりも先に側壁54を超えて受水部50外部に水が溢れてしまうことが抑制される。本実施形態では、リブ55の上部の高さ位置は、側壁54の上部の高さ位置よりも低く設定されている。これにより、側壁54から受水部50の外部に水が溢れてしまうことがより抑制される。
【0035】
なお、リブ55の下端部と、内側周壁441の上端部とは近接しているが接触はしていない。リブ55の下端部と、内側周壁441の上端部との間には、隙間Cが形成され、大量の泡が発生して排気ダクト44を上昇して来た場合に水槽11内に泡を戻す戻り口として機能する。
【0036】
また、リブ55は、一又は複数この場合四つのスリット551を有している。スリット551は、リブ55の上部の一部を切り欠いて形成されている。受水部50に供給された水は、リブ55の上部を超えて又はスリット551を通って排気ダクト44に落下する。好ましくは、受水部50に供給された水は、スリット551を通って排気ダクト44に落下する。
【0037】
スリット551は、複数設けられ、排気ダクト44の幅方向に分散して配置されることが好ましい。これにより、排気ダクト44のできるだけ広範囲に分散して冷却水を供給することができ、効率よく除湿することが可能となる。また、スリット551の個数が多すぎる場合、各スリット551の幅が狭くなる。各スリット551の幅寸法が狭すぎると、水の表面張力が重力よりも勝り、受水部50に水が一部残ってしまう虞がある。そのため、スリット551の個数は、冷却水の広範囲への分散と残水の抑制の観点から設定することができる。スリット551の個数は、例えば2個から15個の範囲内に設定することができる。スリット551の個数は、好ましくは例えば4個から9個の範囲内に設定することができる。
【0038】
本実施形態では、四つのスリット551が、内側周壁441の幅方向つまりリブ55の幅方向に等間隔に分散して配置されている。この場合、スリット551とスリット551との間の間隔は一定に設定されている。また、各スリット551の形状は、同一に形成されている。
【0039】
各スリット551の幅寸法つまり水槽カバー15の周方向に関する寸法は、上端部551aにおいて下端部551bよりも大きくなるように設定されている。これにより、受水部50に貯留された水が多く水深が深い場合には、スリット551から排気ダクト44に落下する水の流量が多くなる。また、受水部50に貯留された水が少なく水深が浅くなると、スリット551から排気ダクト44に落下する水の流量が抑制されて、冷却水がない状態で乾燥運転が実行され乾燥性能が低下することが抑制される。本実施形態では、各スリット551は、径方向視で上底が下底よりも長い台形に形成されている。他の実施形態では、各スリット551をV字溝状、又はU字溝状に形成しても良い。
【0040】
各スリット551の上端部551aにおける幅寸法Waは、例えば7mm~16mmの範囲内に設定することができる。また、各スリット551の下端部551bにおける幅寸法Wbは、例えば2mm~8mmの範囲内に設定することができる。
【0041】
スリット551の下端部551bの高さ位置は、第3面53の位置以下に設定されている。本実施形態では、下端部551bの高さ位置は、第3面53の位置と同一に設定されている。これにより、受水部50内部の水はスリット551から排水されるため、受水部50内部に水が溜まったままとなりカビや異臭の元となるなど、不衛生になることが抑制される。
【0042】
ガイド部56は、受水部50の幅いっぱいに亘って形成されていない。ガイド部56は、少なくとも滴下部511から第3面53への直線的な水の流れを抑制する。本実施形態では、ガイド部56の左端部561は、側壁54に接続され、右端部562は、側壁54に接続されていない。つまり、ガイド部56は、側壁54から右方向に、受水部50の幅の半分程度の位置まで延びている。
【0043】
滴下部511に滴下された水は、ガイド部56に沿ってガイド部56の右端部562まで右方向に流れる。ガイド部56の右端部562を周回した水は、第2面52の傾斜に沿って流れ落ち、第3面53に至る。第3面53に至った水は、スリット551から排気ダクト44に落下する。
【0044】
ガイド部56の右端部562は、受水部50の幅の半分程度に位置しているため、右端部562から最も左に位置するスリット551へ進む水と、最も右に位置するスリット551へ進む水との移動距離は概ね同一となる。そのため、ガイド部56が設けられていない場合や、右端部562が側壁54に近接している場合と比較して、排気ダクト44の広い範囲に対して、均等に冷却水が供給され易くなる。
【0045】
ここで、受水部50と排気ダクト44との間にリブ55が設けられていない場合について検討する。この場合、受水部50に滴下された水は、一度に排気ダクト44に落下してしまう。そのため、水分を含んだ空気を長期間にわたって除湿冷却するためには、給水弁31の開放状態を維持し続けなければならず、水の消費量が多くなる虞がある。
【0046】
本実施形態によれば、衣類処理装置としての洗濯乾燥機10は、本体20と、水槽11と、水槽カバー15と、温風供給装置40と、風路としての排気ダクト44と、給水装置30と、を備える。水槽11は、本体20の内部に設けられている。水槽カバー15は、水槽11の上部を覆う。温風供給装置40は、水槽11に温風を供給する。排気ダクト44は、水槽11の外周部に設けられ水槽11から排出された空気が通る経路となる。給水装置30は、排気ダクト44に冷却水を供給する。水槽カバー15は、給水装置30から水の滴下を受ける滴下部511を有し、滴下された水を貯留する受水部50と、滴下部511と排気ダクト44との間に設けられ、排気ダクト44の内側周壁441に沿って延びるリブ55と、を有する。
【0047】
これにより、受水部50に供給された水はリブ55によって一度堰き止められるため、直接排気ダクト44に流されない。リブ55によって一度水を溜めてから少量ずつ排気ダクト44に落下させることで、比較的長期間にわたって冷却水の供給を維持することができる。そのため、少量の水を使用して効率的に除湿冷却することができる。また、リブ55は排気ダクト44の内側周壁441に沿って設けられているので、冷却水を排気ダクト44の一部だけでなく広範囲に対して供給することができる。したがって、簡単な構成で、製造擦ると抑えつつ冷却効率ひいては乾燥効率を向上する衣類処理装置が提供される。
【0048】
ここで、リブ55と水槽カバー15とを別体に構成して組み立てることもできる。この場合、リブ55と水槽カバー15との間には、僅かながらも隙間が生じることとなる。また、長期間の使用の結果、回転槽12の回転時の振動等によって、隙間が広がる虞がある。この場合、リブ55と水槽カバー15との間の隙間に冷却水が侵入して、場合によっては予期せず回転槽12内に冷却水が到達してしまう虞がある。この場合、回転槽12内の洗濯物が再度濡れてしまうので不都合である。
【0049】
それに対し、本実施形態によれば、リブ55は水槽カバー15と一体に形成されている。
【0050】
リブ55と水槽カバー15との間に隙間が生じない。したがって、予期せず回転槽12内に冷却水が侵入することを抑制できる。したがって、冷却効率を一層向上することができる。
【0051】
リブ55は、幅方向に分散して設けられた複数のスリット551を有する。つまり、リブ55に設けられた複数のスリット551は、排気ダクト44の内側周壁441の幅方向に分散して配置されている。
【0052】
これによれば、リブ55を通り抜けて排気ダクト44に供給する冷却水を、より広範囲に分散させて供給することができる。したがって、一度により多くの空気を冷却除湿することができ、冷却効率ひいては乾燥効率が向上する。
【0053】
ここで、スリット551の形状を、上端部551aから下端部551bまで一定の幅に形成することも考えられる。この場合、水圧の差を考慮しなければ、スリット551から落下する水の流量は、受水部50に貯留された水の量つまり水深によらずに一定となる。
【0054】
これに対して、複数のスリット551の各々は、上部の幅が下部の幅よりも広く設定されている。
【0055】
そのため、受水部50に溜まっている水が多い時はスリット551を通して落下する水量が多くなり、水がスリット551以外の部分から溢れ出て、想定以外の場所に水が浸入する事態が抑制される。一方、受水部50に貯留されている水が少ない時はスリット551を通して落下する水量が低減される。そのため、受水部50から排気ダクト44に供給される水が一度に枯渇し除湿性能が低下することを抑制する。したがって、冷却効率ひいては乾燥効率が更に向上される。
【0056】
スリット551の下端部551bの高さ位置は、滴下部511の高さ位置よりも低く設定されている。
【0057】
これによれば、冷却水は上方の滴下部511から下方のスリット551に流れるため、滴下部511周辺に水が残ってしまうことが抑制される。したがって、排気ダクト44に十分な量の冷却水が供給されずに除湿乾燥機能が低下してしまうことや残水によるカビや異臭の発生等が抑制される。
【0058】
スリット551の下端部551bの高さ位置は、受水部50の底面を形成する第1面51,第2面52,第3面53の高さ位置以下に設定されている。
【0059】
これによれば、受水部50の内部に水が残ってしまうことが抑制される。したがって、排気ダクト44に十分な量の冷却水が供給されずに除湿乾燥機能が低下してしまうことや残水によるカビや異臭の発生等が抑制される。
【0060】
ここで、ガイド部56が設けられていない場合について検討する。この場合、滴下部511から直接水がリブ55を通って排気ダクト44に向かうこととなる。リブ55が内側周壁441に沿って延び、複数のスリット551が分散して設けられていたとしても、滴下部511から近いスリット551へ水流の方向が集中し、滴下部511から遠いスリット551には水が進まない可能性がある。その結果、排気ダクト44内で冷却水が通過する部分が一部に偏ってしまう虞がある。
【0061】
それに対して、本実施形態によれば、受水部50は、滴下部511とリブ55との間に水の流れを遮るガイド部56を有する。
【0062】
これによれば、滴下部511に滴下された水の少なくとも一部は、直接リブ55に到達せず、ガイド部56によって流れの向きがガイドされて、右端部562を迂回してリブ55に到達する。そのため、水は広範囲に広がりやすくなり、リブ55のより広い範囲を超えて、排気ダクト44のより広い範囲内において空気を冷却除湿することができる。したがって、したがって、冷却効率ひいては乾燥効率が更に向上される。
【0063】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について
図8を参照して説明する。本実施形態において、リブ55は複数のスリット551に替えて、分散して配置される複数この場合5つのスリット60を有する。複数のスリット60により形成される水が通過する開口の密度は、リブ55の幅方向つまり排気ダクト44の幅方向に関して変動するように設定される。
【0064】
この場合、開口密度を変化させるためには、例えば単位長さ当たりのスリット60の個数を増減しても良いし、各スリット60の面積を増減しても良い。本実施形態では、各スリット60の面積を増減することにより、開口密度を変化させる。また、本実施形態では、滴下部511からの水の移動距離が長くなるほど空隙の密度が大きくなるように複数のスリット60の面積がそれぞれ設定されている。これにより、複数のスリット60の各々から排気ダクト44に落下する水の量をできるだけ均等にすることができる。そのため、排気ダクト44内の広い範囲において空気を冷却除湿することができる。
【0065】
複数のスリット60を、左側から順にスリット601,602,603,604,605と称する。スリット603は、リブ55の幅方向の中心に位置しており、ガイド部56の右端部562からの距離が最も近い。つまり、スリット603を通る場合、滴下部511からの水の移動距離が最も短くなる。スリット602とスリット604とは、スリット603の左右方向に位置しており、ガイド部56の右端部562からの距離がスリット603について短い。そのため、スリット602又はスリット604を通る場合、滴下部511からの水の移動距離がスリット603に次いで短くなる。スリット601とスリット605とは、リブ55の両端部に位置しており、ガイド部56の右端部562からの距離が最も長い。そのため、スリット601又はスリット605を通る場合、滴下部511からの水の移動距離が最も長くなる。なお、本実施形態では、各スリット601,602,603,604,605は、中心間の距離が概ね等間隔になるように配置されている。
【0066】
本実施形態では、台形状のスリット601,602,603,604,605の上端部601a,602a,603a,604a,605aにおける幅寸法と下端部601b,602b,603b,604b,605bにおける幅寸法とを増減することにより、各スリット601,602,603,604,605の面積を変化させている。各スリット601,602,603,604,605の上端部601a,602a,603a,604a,605aにおける幅寸法をそれぞれ幅W1a,W2a,W3a,W5a,W5aとする。各スリット601,602,603,604,605の下端部601b,602b,603b,604b,605bにおける幅寸法をそれぞれ幅W1b,W2b,W3b,W4b,W5bとする。
【0067】
各上端部601a,602a,603a,604a,605aにおける幅寸法の大小関係は、W3a<W2a=W4a<W1a=W5aのように設定されている。また、各下端部601b,602b,603b,604b,605bにおける幅寸法の大小関係は、W3b<W2b=W4b<W1b=W5bのように設定されている。例えば、幅W3aは7mm~12mmの範囲内に、幅W2a,W4aは、9mm~14mmの範囲内に、幅W1a,W5aは、10mm~16mmの範囲内に設定することができる。また、幅W3bは2mm~4mmの範囲内に、幅W2b,W4bは、4mm~6mmの範囲内に、幅W1b,W5bは、6mm~8mmの範囲内に設定することができる。
【0068】
なお、他の実施形態では、各下端部601b,602b,603b,604b,605bの幅寸法を一定にして各上端部601a,602a,603a,604a,605aの幅寸法を変更させることによって、各スリット601,602,603,604,605の面積を変化させても良い。
【0069】
本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0070】
更に、本実施形態によれば、複数のスリット601,602,603,604,605により形成される開口密度は、リブ55の幅方向に関して変動するように設定される。
【0071】
これにより、除湿効果を促進するように、空隙の相対密度つまりリブ55の全体の面積に対する水が通過する開口部分の密度を設定することができる。例えば、滴下部511からの距離が短い位置では、スリット60の個数を減らしたり、スリット60の面積を小さく設定したりすることで、滴下部511からの距離が長い位置よりも流量を低減することができる。これにより、冷却水が受水部50から一度に流出してしまうことを抑制できる。また、例えば、排気ダクト44のうち空気の流量が高い部分に対向する位置では、スリット60の個数を増やしたり、スリット60の面積を大きく設定したりすることで、空気の流量が低い部分に対向する位置よりも多くの水を流すことができる。そのため、冷却除湿効率を更に向上することができる。
【0072】
更に又、滴下部511からの水の移動距離が長いほど複数のスリット601,602,603,604,605の幅W1a,W2a,W3a,W4a,W5a,W1b,W2b,W3b,W4b,W5bが広く設定される。
【0073】
これにより、複数のスリット601,602,603,604,605の各々から排気ダクト44に落下する水の量をできるだけ均等にすることができる。そのため、排気ダクト44内の広い範囲において空気を冷却除湿することができる。その結果、冷却水による除湿効果ひいては乾燥効率が向上する。
【0074】
なお、上記各実施形態は、相互に組み合わせることができる。また、2以上の実施形態の特徴部分のみを抽出して組み合わせることもできる。
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
10…洗濯乾燥機、11…水槽、15…水槽カバー、20…洗濯機本体、30…給水装置、40…温風供給装置、44…排気ダクト、441…内側周壁、442…外側周壁、443…上部開口、50…受水部、51…第1面(底面)、511…滴下部、52…第2面(底面)、53…第3面(底面)、55…リブ、551…スリット、551a…上端部、551b…下端部、56…ガイド部、60,601,602,603,604,605…スリット、601a,602a,603a,604a,605a…上端部、601b,602b,603b,604b,605b…下端部