(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127260
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】建築物
(51)【国際特許分類】
E04B 1/20 20060101AFI20230906BHJP
E04B 2/56 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
E04B1/20 F
E04B2/56 643A
E04B2/56 601A
E04B2/56 602B
E04B2/56 604B
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030940
(22)【出願日】2022-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】515210868
【氏名又は名称】株式会社田中構造設計
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】田中 忍
【テーマコード(参考)】
2E002
【Fターム(参考)】
2E002EA01
2E002EB02
2E002EB12
2E002EB13
2E002EC06
2E002HA02
2E002HB07
2E002MA12
(57)【要約】
【課題】ピロティを備えた建築物の強度並びに耐震性を向上させる。
【解決手段】鉄筋コンクリート造の建築物100は、垂直方向に立設された複数の柱1a,1b,1c,1d,1e,1fと、柱1a,1b,1c,1d,1e,1fのうち矢線X方向、Y方向に隣り合う柱を繋いで水平方向に架けられた梁2と、複数の柱1で包囲して構成された吹き抜け空間であるピロティPと、を備え、ピロティPを構成する複数の柱1a~1fのうちの水平方向に隣り合う柱1b,1cの間(柱1e,1fの間)に立設された間柱3b(間柱3a)と、水平方向に隣り合う柱1b,1c(柱1e,1f)の内の一方の柱1c(1e)と間柱3b(3a)との間に設けられた内部耐力壁4b(4a)と、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直方向に立設された複数の柱と、前記柱を繋いで水平方向に架けられた梁と、複数の前記柱で包囲して構成された吹き抜け空間であるピロティと、を備えた鉄筋コンクリート造の建築物であって、
前記ピロティを構成する複数の前記柱のうちの水平方向に隣り合う前記柱の間に立設された間柱と、水平方向に隣り合う前記柱の内の一方の前記柱と前記間柱との間に設けられた内部耐力壁と、を備えた建築物。
【請求項2】
垂直方向に立設された複数の柱と、前記柱を繋いで水平方向に架けられた梁と、複数の前記柱で包囲して構成された吹き抜け空間であるピロティと、を備えた鉄筋コンクリート造の建築物であって、
前記ピロティを構成する少なくとも1本の前記柱から前記ピロティの外側に離れた位置に立設された外柱と、前記柱と前記外柱を繋いで水平方向に架けられた外梁と、前記外柱、前記柱及び前記外梁で囲まれた領域に設けられた外部耐力壁と、を備えた建築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリート造の建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート造の集合住宅やオフィスビルなどの2階以上の階数を有する建築物においては、その1階部分(地上部分)に、壁が無く柱だけで構成された吹き抜け空間であるピロティを備えたものがある。
【0003】
ピロティを備えた建築物については、従来、様々な構造を有するものが提案されているが、本発明に関連するものとして、例えば、特許文献1に記載された「ピロティ階を設けた建築物」がある。
【0004】
この「ピロティ階を設けた建築物」は、複数階からなり梁と柱で構成されるラーメン構造の上層階と、その下層階であって1または複数の階からなるピロティ階とを設けた建築物において、ピロティ階の少なくとも一辺の両端部に立設された構造支持手段と、構造支持手段の上端同士を互いに連結する構造梁と、水平方向に位置する少なくとも2つの上層階の柱の両端間領域の鉛直下方にて構造梁から垂下しかつ構造支持手段のいずれからも離間した構造垂れ壁と、少なくとも2つの上層階の柱よりも少数であって構造垂れ壁の下端のいずれの位置にても接合可能でありかつ該構造垂れ壁の下端からピロティ階の下端まで延びる構造中柱と、を有することを特徴とするものである。
【0005】
そして、この「ピロティ階を設けた建築物」は、ピロティ階において構造柱を減数できると同時に、ピロティ階における構造柱の位置に自由度を付与することができるという長所を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したように、特許文献1に記載された「ピロティ階を設けた建築物」は、ピロティ階における構造柱を減数でき、ピロティ階における構造柱の位置に自由度を付与することができるという長所を備えている。
【0008】
しかしながら、一般にピロティのない建築物に比べ、ピロティを備えた建築物は、強度並びに耐震性が不足する面があるのは否めないことである。
【0009】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ピロティを備えた建築物の強度及び耐震性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る第一の建築物は、垂直方向に立設された複数の柱と、前記柱を繋いで水平方向に架けられた梁と、複数の前記柱で包囲して構成された吹き抜け空間であるピロティと、を備えた鉄筋コンクリート造の建築物であって、
前記ピロティを構成する複数の前記柱のうちの水平方向に隣り合う前記柱の間に立設された間柱と、水平方向に隣り合う前記柱の内の一方の前記柱と前記間柱との間に設けられた内部耐力壁と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る第二の建築物は、垂直方向に立設された複数の柱と、前記柱を繋いで水平方向に架けられた梁と、複数の前記柱で包囲して構成された吹き抜け空間であるピロティと、を備えた鉄筋コンクリート造の建築物であって、
前記ピロティを構成する少なくとも1本の前記柱から前記ピロティの外側に離れた位置に立設された外柱と、前記柱と前記外柱を繋いで水平方向に架けられた外梁と、前記外柱、前記柱及び前記外梁で囲まれた領域に設けられた外部耐力壁と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、ピロティを備えた建築物の強度及び耐震性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る建築物を示す一部省略正面図である。
【
図2】
図1中のA-A線における一部省略平面図である。
【
図3】
図2中のB-B線における一部省略垂直断面図である。
【
図4】
図2中のC-C線における一部省略垂直断面図である。
【
図5】
図2中のD-D線における一部省略垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、
図1~
図5に基づいて、本発明の実施形態である鉄筋コンクリート造の建築物100について説明する。
【0015】
図1,
図2に示すように、本実施形態に係る鉄筋コンクリート造の建築物100は、垂直方向に立設された複数の柱1a,1b,1c,1d,1e,1fと、柱1a,1b,1c,1d,1e,1fのうち矢線X方向、Y方向に隣り合う柱を繋いで水平方向に架けられた梁2と、複数の柱1で包囲して構成された吹き抜け空間であるピロティPと、を備えている。
【0016】
ピロティPを構成する複数の柱1a~1fのうち、建築物100の左側面において矢線Y方向に沿って水平方向に隣り合う柱1e,1fの間には間柱3aが立設され、柱1e,1fの内の建築物100の正面側に位置する一方の柱1eと間柱3aとの間に内部耐力壁4aが設けられている。
【0017】
また、建築物100の右側面において矢線Y方向に沿って水平方向に隣り合う柱1b,1c間には間柱3bが立設され、柱1b,1cの内の建築物100の正面側に位置する一方の柱1cと間柱3bとの間に内部耐力壁4bが設けられている。
【0018】
間柱3aは、柱1e,1f間の中間位置より建築物100の正面寄りの位置に立設され、間柱3bは柱1b,1c間の中間位置より建築物100の正面寄りの位置に立設されているが、間柱3a,3bの位置を限定するものではない。
【0019】
また、建築物100は、ピロティPを構成する複数の柱1a,1b,1c,1d,1e,1fのうちの建築物100の正面に位置する1本の柱1dからピロティPの外側に離れた位置に立設された外柱5と、柱1dと外柱5を繋いで水平方向に架けられた外梁2hと、外柱5、柱1d及び外梁2hで囲まれた領域に設けられた外部耐力壁7と、を備えている。
【0020】
図2に示すように、間柱3aと柱1eとの間は内部耐力壁4aで閉塞され、間柱3bと柱1cとの間は内部耐力壁4bで閉塞されているが、間柱3aと柱1fとの間並びに間柱3bと柱1bとの間はそれぞれ遮蔽物のない水平方向の吹き抜け空間となっているので、ピロティPはピロティ本来の機能を維持することができる。
【0021】
図1~
図5に基づいて説明したように、建築物100は、間柱3aと柱1eとの間に内部耐力壁4aを備え、間柱3bと柱1cとの間に内部耐力壁4bを備えているので、従来のピロティを有する建築物よりも強度が高く、耐震性も優れている。
【0022】
また、
図1,
図2,
図5に示すように、建築物100は、外柱5、柱1d及び外梁2hで囲まれた領域に設けられた外部耐力壁7を備えているので、強度及び耐震性の向上に有効である。
【0023】
さらに、従来のピロティを有する建築物に比べ、建築物100は1階部分の耐震性が高まるので、建物(建築物100)の変形が小さくなるという長所を有する。
【0024】
なお、
図1~
図5に基づいて説明した建築物100は、本発明に係る建築物の一例を示すものであり、本発明に係る建築物は前述した建築物100に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明に係る建築物は、鉄筋コンクリート造の集合住宅やオフィスビルなどの建築物として、土木建設業、土木建築業などの産業分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1a,1b,1c,1d,1e,1f 柱
2a,2b,2c,2d,2e,2f,2g 梁
2h 外梁
3a,3b 間柱
4a,4b 内部耐力壁
5 外柱
7 外部耐力壁
P ピロティ