IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン電子株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電子機器 図1
  • 特開-電子機器 図2
  • 特開-電子機器 図3
  • 特開-電子機器 図4
  • 特開-電子機器 図5
  • 特開-電子機器 図6
  • 特開-電子機器 図7
  • 特開-電子機器 図8
  • 特開-電子機器 図9
  • 特開-電子機器 図10
  • 特開-電子機器 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127261
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20230906BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20230906BHJP
   G06F 3/02 20060101ALI20230906BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20230906BHJP
   F16M 11/20 20060101ALI20230906BHJP
   F16M 11/24 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
H05K5/02 B
G06F1/16 312T
G06F3/02 420
G03B21/14 E
F16M11/20 C
F16M11/24 E
F16M11/20 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030941
(22)【出願日】2022-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】寄川 珠希
【テーマコード(参考)】
2K203
4E360
5B020
【Fターム(参考)】
2K203KA03
2K203KA07
2K203KA73
2K203KA81
4E360AA02
4E360AB08
4E360AB09
4E360AB51
4E360AC05
4E360AC12
4E360AC13
4E360AC16
4E360AC17
4E360BA08
4E360CA02
4E360EA11
4E360EA22
4E360EB03
4E360EC04
4E360EC05
4E360EC12
4E360EC14
4E360EC17
4E360ED02
4E360ED03
4E360ED04
4E360ED07
4E360ED23
4E360ED28
4E360EE02
4E360GA08
4E360GA12
4E360GA60
4E360GB01
4E360GB25
4E360GB45
4E360GB99
4E360GC08
4E360GC14
5B020DD53
5B020DD54
(57)【要約】
【課題】載置面上での電子機器の姿勢に関わらず(特に、電子機器を載置面に対して傾斜した傾斜状態で使用するときに)、載置面上を滑りにくい電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】電子機器100は、載置面1000に載置して用いられる。電子機器100は、筐体10と、筐体10の底板部124に回動可能に支持され、載置面1000に対する筐体10の傾斜角度を変更する脚部170と、底板部124に固定され、筐体10が脚部170によって傾斜した傾斜状態で、脚部170よりも傾斜方向下方に位置する弾性体180とを備える。筐体10は、底板部124に弾性体180が固定される固定面122cを有する。前記傾斜状態で、固定面122cは、載置面1000に対する傾斜角度θ2が筐体10の傾斜角度θ10よりも小さい。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状の載置面に載置して用いられる電子機器であって、
筐体と、
前記筐体の底部に回動可能に支持され、前記載置面に対する前記筐体の傾斜角度を変更する脚部と、
前記底部に固定され、前記筐体が前記脚部によって傾斜した傾斜状態で、前記脚部よりも傾斜方向下方に位置する弾性体と、を備え、
前記筐体は、前記底部に前記弾性体が固定される固定面を有し、
前記傾斜状態で、前記固定面は、前記載置面に対する傾斜角度が前記筐体の傾斜角度よりも小さいことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記固定面は、前記傾斜状態を解除した状態で、前記載置面との間隔が前記脚部と反対側に向かって漸増することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記固定面は、前記底部に対して10度未満傾斜していることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記傾斜状態で前記脚部が前記載置面に接触する接触点は、前記脚部が前記底部に対して回動するときの回動支持点の鉛直下方からズレた位置となることを特徴とする請求項1乃至3のうちの何れか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記脚部の最大回動角度は、90度以上であることを特徴とする請求項1乃至4のうちの何れか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記弾性体は、前記載置面に臨む面が該載置面側に向かって凸状に湾曲した湾曲面を有することを特徴とする請求項1乃至5のうちの何れか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
無線通信可能であり、前記傾斜状態で傾斜方向上方に位置する無線通信部を備えることを特徴とする請求項1乃至6のうちの何れか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
有線接続可能であり、前記傾斜状態で傾斜方向下方に位置する有線接続部を備える請求項1乃至7のうちの何れか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記筐体は、前記底部を有する第1部材と、前記底部と反対側に配置され、前記第1部材を覆う第2部材と、を有し、
前記第2部材の高さは、前記第1部材の高さよりも高いことを特徴とする請求項1乃至8のうちの何れか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
前記第1部材は、前記第2部材側に向かって筒状に突出する第1突出部を有し、
前記第2部材は、前記第1突出部側に向かって筒状に突出する第2突出部を有し、
前記第1突出部と前記第2突出部との間には、筒状のスペーサが配置されることを特徴とする請求項9に記載の電子機器。
【請求項11】
前記筐体は、前記第1部材と前記第2部材とを内側および外側から係合させる係合部を有することを特徴とする請求項9または10に記載の電子機器。
【請求項12】
平面状の載置面に載置して用いられる電子機器であって、
筐体と、
前記筐体の底部に回動可能に支持され、前記載置面に対する前記筐体の傾斜角度を変更する脚部と、
前記底部に固定され、前記筐体が前記脚部によって傾斜した傾斜状態で、前記脚部よりも傾斜方向下方に位置する弾性体と、を備え、
前記弾性体は、中心を境に前記脚部側に位置する第1の部分と、前記脚部とは反対側に位置する第2の部分と、を有し、
水平状態で、前記弾性体の前記載置面に対して接触する部分は、前記第1の部分のみであることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子機器には、例えばテーブルや机(以下「テーブル」を代表する)の上に載置して、高さを調整して用いられるものがある。このような電子機器としては、例えば、パーソナルコンピュータ用の入力手段であるキーボードが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載のキーボードは、その下部(裏面側)に回動可能に支持されたスタンドを有し、キーボードの下部には、摩擦によって滑りにくくするゴム脚が設けられている。このようなスタンドおよびゴム脚を有する電子機器には、特許文献1に記載のキーボードの他に、例えば、カメラやプロジェクタ、その他、赤外線通信(光無線通信)が可能な通信装置等の光学機器もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-163036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した光学機器は、テーブルの上面に対する傾斜角度の大きさ、すなわち、調整する高さによっては、ゴム脚が摩擦手段として十分に機能しない場合があった。
【0005】
本発明は、載置面上での電子機器の姿勢に関わらず(特に、電子機器を載置面に対して傾斜した傾斜状態で使用するときに)、載置面上を滑りにくい電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の電子機器は、平面状の載置面に載置して用いられる電子機器であって、筐体と、筐体の底部に回動可能に支持され、載置面に対する筐体の傾斜角度を変更する脚部と、底部に固定され、筐体が脚部によって傾斜した傾斜状態で、脚部よりも傾斜方向下方に位置する弾性体と、を備え、筐体は、底部に弾性体が固定される固定面を有し、傾斜状態で、固定面は、載置面に対する傾斜角度が筐体の傾斜角度よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、載置面上での電子機器の姿勢に関わらず(特に、電子機器を載置面に対して傾斜した傾斜状態で使用するときに)、載置面上を滑りにくい電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る電子機器の外観を示す斜視図である。
図2図1に示す電子機器の傾き(高さ)を変更した状態を示す斜視図である。
図3図1に示す電子機器が有する脚部およびその周辺の構造(内部構造)を示す斜視図である。
図4図1に示す電子機器の背面図である。
図5図1に示す電子機器の底面図である。
図6図2に示す状態の電子機器にケーブル類を接続した状態を示す側面図である。
図7図6中の一点鎖線で囲まれた領域[A]の拡大断面図((a)は電子機器の水平状態を示し、(b)は電子機器の傾斜状態を示す)である。
図8図1中のB-B線断面図(概略断面図)である。
図9図8中の一点鎖線で囲まれた領域[C]の拡大詳細断面図である。
図10図1中のD-D線断面図である。
図11図10中の一点鎖線で囲まれた領域[E]の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、以下の実施形態に記載されている構成はあくまで例示に過ぎず、本発明の範囲は実施形態に記載されている構成によって限定されることはない。以下では、互いに直交するX方向、Y方向、Z方向を想定する(設定する)。水平方向には、X方向およびY方向が含まれ、鉛直方向がZ方向となっている。また、X方向正側を「前(前方)」または「正面」と言い、X方向負側を「後(後方)」または「背面」と言うことがある。Y方向正側を「右(右方)」と言い、Y方向負側を「左(左方)」と言うことがある。Z方向正側を「上(上方)」または「表」と言い、Z方向負側を「下(下方)」または「裏」と言うことがある。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る電子機器の外観を示す斜視図である。図2は、図1に示す電子機器の傾き(高さ)を変更した状態を示す斜視図である。図3は、図1に示す電子機器が有する脚部およびその周辺の構造(内部構造)を示す斜視図である。図1に示す電子機器100は、光通信機能を有する通信機器(光学機器)であり、平面状の載置面1000上に載置して用いられる。この載置面1000としては、例えば、テーブルや机等の水平な上面である。図1に示すように、電子機器100は、中空の筐体10と、無線通信可能な無線通信部130と、筐体10内に収納された制御基板11とを有する。
【0011】
筐体10は、上下に配置された上ケース(第2部材)110と下ケース(第1部材)120とを有する。下ケース120は、平板状の底板部(底部)124と、底板部124の縁部から上方に向かって突出した壁部125とを有し、全体形状が扁平状をなす部材である。上ケース110は、平板状の天板部126と、天板部126の縁部から下方に向かって突出した壁部127とを有する。この上ケース110は、下ケース120の底板部124と反対側、すなわち、下ケース120の上側に配置され、下ケース120を覆う蓋部材である。そして、上ケース110が下ケース120を覆って、これらのケース同士が組み立てられた状態で、制御基板11等を収納することができる。制御基板11は、無線通信部130や、後述する有線接続部160と電気的に接続されており、これらの通信部の作動を制御する。
【0012】
無線通信部130は、ハンディターミナルである携帯端末装置600(図6参照)と光通信可能に構成されている。本実施形態では、無線通信部130は、赤外線を受発信して、赤外線通信が可能に構成されている。無線通信部130は、赤外線が透過し、可視光を遮断する板状のフィルタ131を有する。フィルタ131は、上ケース110の壁部127の前部に配置されている。なお、携帯端末装置600としては、本実施形態ではハンディターミナルであるが、これに限定されない。また、携帯端末装置600は、無線通信部130との間での光通信時には、電子機器100と同様に、載置面1000上に載置して用いられる。
【0013】
図2に示すように、上ケース110の右側には、天板部126と壁部127とに跨って凹んでいる凹部128が設けられている。この凹部128には、発光部140およびスイッチ部150を有する操作部が配置、固定されている。発光部140およびスイッチ部150は、制御基板11と電気的に接続されている。発光部140は、LEDの光が導光体によって外部に表示を行うように構成されている。スイッチ部150は、電源のON/OFFを切り替える押下式のボタンである。スイッチ部150を操作して、電源をON状態としたときに、発光部140が点灯する。また、電源をOFF状態としたときには、発光部140が消灯する。電子機器100を使用するユーザは、発光部140を視認することにより、電源がON状態となっているか、または、OFF状態となっているのかを確認することができる。また、発光部140は、無線通信が行われているときには、例えば電源がON状態のときとは別の色で点灯する。
【0014】
電子機器100は、携帯端末装置600との間で光通信を行う際には、当該携帯端末装置600に対して、無線通信部130の高さが調整される。これにより、光通信を良好な状態で安定して行うことができる。例えば、携帯端末装置600には、高さ(厚さ)が異なる携帯端末装置600Aと、携帯端末装置600Bとがある(図6参照)。携帯端末装置600Aは、携帯端末装置600Bよりも高さがある。そして、電子機器100は、無線通信部130の高さを調整する構成として、図2図3に示すように、下ケース120の底板部124の前部に回動可能に支持された脚部(回動脚)170を有する。脚部170は、本実施形態ではY方向に離間して2つ配置されているが、脚部170の配置数については、2つに限定されず、例えば、1つまたは3つ以上であってもよい。なお、各脚部170は、底板部124に対して着脱可能となっている。
【0015】
図3に示すように、各脚部170は、板片で構成されており、その上部に一対の軸171が互いに反対方向へ突出して形成されている。各軸171は、Y方向と平行である。また、各脚部170は、一対の軸171の間に2つのスリット172が形成されている。一方、下ケース120の底板部124には、各脚部170に対応し、該脚部170の各軸171が嵌合する軸受け121が設けられている。軸受け121は、底板部124をY方向に貫通する一対の貫通孔で構成されている。そして、脚部170の各軸171を軸受け121に嵌合させる際には、一対の軸171の間をスリット172で一旦接近させた状態することにより、その嵌合を行うことができる。これにより、各脚部170は、Y方向と平行な軸171回りに回動可能に支持されて、図1に示す折り畳み状態(閉状態)と、図2に示す展開状態(開状態)とを取り得る。各脚部170は、折り畳み状態から回動して、その回動が停止した際(回動限界で)、当該停止状態が維持されて、展開状態となる。これにより、載置面1000に対する電子機器100(筐体10)の傾斜角度θ10が変更される(図6参照)。ここで、「傾斜角度θ10」とは、載置面1000と筐体10の前後方向の中心線O10とがなす角度のことを言う。そして、電子機器100は、各脚部170を展開状態、すなわち、傾斜角度θ10を最大として、携帯端末装置600Aとの間での光通信を行うことができる(図6参照)。また、電子機器100は、各脚部170を折り畳み状態、すなわち、傾斜角度θ10が傾斜角度θ10を0度として、携帯端末装置600Bとの間での光通信を行うことができる。なお、電子機器100が脚部170によって傾斜した傾斜状態では、各脚部170が載置面1000に接触する接触点174は、脚部170が底板部124に対して回動するときの回動支持点、すなわち、軸171の鉛直下方から前方にズレた位置となる。これにより、意図せず脚部170が折り畳み状態となるのを防止することでき、よって、電子機器100の傾斜状態を維持して、電子機器100と携帯端末装置600Aとの間の光通信を安定的に継続して行うことができる。
【0016】
なお、展開状態での脚部170の回動角度θ170、すなわち、回動角度θ170の最大(最大回動角度)は、90度以上であるのが好ましく、95度以上100度以下がより好ましい。これにより、例えば、電子機器100の傾斜状態で、各脚部170の接触点174を、軸171の鉛直下方から前方に十分ズレた位置とすることができる。また、各脚部170は、折り畳み状態と展開状態との間の途中の状態でも、回動が停止するよう構成されていてもよい。
【0017】
図4は、図1に示す電子機器の背面図である。図4に示すように、上ケース110の壁部127には、その背面側に上ケース110外周部分よりも凹んだ凹部129が設けられている。この凹部129には、有線接続部160が配置、固定されている。有線接続部160は、DC接続部161、USB接続部162、LANケーブル接続部163を有する。DC接続部161、USB接続部162、LANケーブル接続部163は、制御基板11と電気的に接続されている。DC接続部161には、交流電圧を直流電圧に変換するAC-DCアダプタ200AのDCプラグ(DCジャック)201を接続することができる(図6参照)。また、AC-DCアダプタ200Aの電源プラグ(図示せず)は、コンセントに接続される。これにより、電子機器100は、コンセントからの電力がAC-DCアダプタ200Aを介して供給されて、駆動可能となる。USB接続部162には、USBデバイス(図示せず)を接続することができる。LANケーブル接続部163には、LANケーブル200Bのコネクタ202を接続することができる(図6参照)。LANケーブル200Bは、コネクタ202と反対側のコネクタ(図示せず)がパーソナルコンピュータ等の情報処理端末に接続されている。これにより、電子機器100は、有線接続可能となり、よって、LANケーブル200Bを介して、情報処理端末との間での情報の送受信を行うことができる。
【0018】
図5は、図1に示す電子機器の底面図である。図5に示すように、下ケース120の底板部124の裏側には、その後部に円盤状の弾性体180が固定されている。この弾性体180は、電子機器100の傾斜状態で、脚部170よりも傾斜方向下方に位置する。弾性体180は、載置面1000上での電子機器100の滑りを防止または抑制する機能(以下「滑り止め機能」と言う)を有する。弾性体180の構成材料としては、例えば、ウレタンゴム等のような各種ゴム材料を用いることができる。また、弾性体180は、載置面1000に臨む面が載置面1000側に向かって球面状(凸状)に湾曲した湾曲面182を有する。本実施形態では、弾性体180は、Y方向に離間して2つ配置されている。なお、2つの弾性体180の中心間距離L180は、2つの脚部170の中心間距離L170と同じであるが、これに限定されない。また、弾性体180の配置数は、2つに限定されず、例えば、1つまたは3つ以上であってもよい。
【0019】
下ケース120の底板部124の裏側には、脚部170が1つずつ配置される凹部122aと、弾性体180が1つずつ配置される凹部122bとが設けられている。脚部170は、折り畳み状態で、全体が凹部122aに収納される。これにより、脚部170が凹部122aから下方に突出するのが防止され、よって、電子機器100を載置面1000とほぼ平行な水平状態とすることができる。一方、弾性体180は、一部(後述する湾曲面182)が凹部122bから下方に突出している。これにより、弾性体180は滑り止め機能を発揮することができる。
【0020】
図6は、図2に示す状態の電子機器にケーブル類を接続した状態を示す側面図である。図6に示すように、電子機器100の傾斜状態で、無線通信部130は、傾斜方向上方に位置する。これにより、無線通信部130の高さを、携帯端末装置600Aとの光通信に適した高さに設定することができる。一方、有線接続部160は、傾斜方向下方に位置する。前述したように、有線接続部160には、AC-DCアダプタ200AのケーブルやLANケーブル200Bのケーブル類等を接続することができる。この場合、傾斜状態にある電子機器100は、載置面1000に当接したケーブル類で、後方が載置面1000から浮き上がるおそれがある。しかしながら、脚部170の回動角度θ170の最大(最大回動角度)を90度以上とすることにより、電子機器100の後方を下側に向かって抑え込む力を生じさせることができ、よって、電子機器100の浮き上がりを防止することができる。また、回動角度θ170の最大を90度以上とすることにより、AC-DCアダプタ200AのDCプラグ201やLANケーブル200Bのコネクタ202が載置面1000と干渉するのも防止することができる。
【0021】
図7は、図6中の一点鎖線で囲まれた領域[A]の拡大断面図((a)は電子機器の水平状態を示し、(b)は電子機器の傾斜状態を示す)である。図7(a)、(b)に示すように、底板部124の凹部122bは、弾性体180が固定される平面状の固定面(座面)122cを有する。固定面122cに対する弾性体180の固定方法としては、例えば、接着による固定方法が好ましい。図7(a)に示すように、固定面122cは、電子機器100の水平状態(電子機器100の傾斜状態を解除した状態)で、載置面1000との間隔GP1が後方(脚部170と反対側)に向かって漸増するように、底板部124に対して傾斜している。この傾斜角度θ1は、特に限定されないが、例えば、10度未満が好ましく、3度以上5度以下がより好ましい。これにより、図6図7(b)に示すように、電子機器100の傾斜状態で、固定面122cは、載置面1000に対する傾斜角度θ2が電子機器100の傾斜角度θ10よりも小さくなる。これにより、固定面122cを載置面1000と平行な状態に近づけて、弾性体180を、できる限り湾曲面182の頂部付近で載置面1000と接触させることができる。このような接触により、光通信の最中に仮に電子機器100が前方から押されても、弾性体180の滑り止め機能が発揮されて、当該電子機器100が後方に移動してズレるのを防止することができる。これにより、光通信を安定して行うことができる。また、傾斜した固定面122cと湾曲面182との相乗効果により、弾性体180は、載置面1000上での電子機器100の姿勢に関わらず、すなわち、水平状態、傾斜状態のいずれかの状態であっても、湾曲面182で載置面1000と接することができる。これにより、弾性体180での滑り止め機能が十分に発揮される。
【0022】
また、図7に示すように、弾性体180の湾曲面182は、第1の部分183と第2の部分184とを有する。第1の部分183は、弾性体180(湾曲面182)の中心(中心軸)O180を境に、脚部170側、すなわち、電子機器100の前方に位置する部分である。一方、第2の部分184は、中心O180を境に、脚部170とは反対側、すなわち、電子機器100の後方に位置する部分である。そして、図7(a)に示す水平状態では、弾性体180の載置面1000に対して接触する部分は、第1の部分183のみである。これに対し、図7(b)に示す傾斜状態では、弾性体180の載置面1000に対して接触する部分は、第2の部分184のみである。このような接触により、前述したように、電子機器100が水平状態、傾斜状態のいずれかの状態に関わらず、湾曲面182で載置面1000と接することができ、よって、弾性体180での滑り止め機能が十分に発揮される。
【0023】
なお、湾曲面182には、粗面加工が施されていてもよい。これにより、湾曲面182に微小な凹凸が形成されて、滑り止め機能が向上する。また、例えば下ケース120を金型で成形する場合、傾斜角度θ1を前述した数値範囲にすることにより、離型を容易かつ円滑に行うことができる。
【0024】
図8は、図1中のB-B線断面図(概略断面図)である。図9は、図8中の一点鎖線で囲まれた領域[C]の拡大詳細断面図である。図10は、図1中のD-D線断面図である。図11は、図10中の一点鎖線で囲まれた領域[E]の拡大断面図である。
【0025】
図8図9に示すように、上ケース110の高さは、下ケース120の高さよりも高い。また、下ケース120は、底板部124と一体的に筒状に形成され、上ケース110側に向かって突出する下側筒状部(第1突出部)193を有する。下側筒状部193は、底板部124上の4箇所(四隅)に配置されている。各下側筒状部193は、その上下方向の途中に、内径が急峻に変化した段差部194を有する。上ケース110は、天板部126と一体的に筒状に形成された上側筒状部(第2突出部)195および外側筒状部196を有する。上側筒状部195は、各下側筒状部193側に向かって突出しており、内周部にボルト192のねじ部192aを取り付ける際にセルフタップによって形成された溝195aが形成されている(図9参照)。外側筒状部196は、各上側筒状部195の外側に当該上側筒状部195と同心的に配置されている。また、下側筒状部193と上側筒状部195との間には、筒状のスペーサ191が配置されている。スペーサ191は、上端部が外側筒状部196に挿入されている。また、スペーサ191と下側筒状部193との間には、制御基板11が介在している。そして、下側筒状部193、制御基板11、スペーサ191には、ボルト192が下側から挿通している。このボルト192のねじ部(雄ねじ)192aは、頭部192bが下側筒状部193の段差部194と当接するまで、セルフタップによって取り付けられる。これにより、上ケース110と下ケース120とがボルト192によって締結されて、箱状の筐体10が構成される。
【0026】
ここで、仮にスペーサ191を省略した場合について考えてみる。この場合、スペーサ191を省略した分だけ、下側筒状部193および上側筒状部195のうちの少なくとも一方の全長を延ばす必要がある。例えば下側筒状部193の全長を延ばすと、その分、下側筒状部193の体積が増加する。そして、下ケース120の金型成形時には、下側筒状部193にヒケが生じたり、離型性が低下したりするおそれがある。これに対し、電子機器100は、スペーサ191を有する構成となっていることにより、このような金型成形時の不具合を低減することができる。
【0027】
図8に示すように、上ケース110の壁部127の内側には、複数のリブ112が上下方向に形成されている。下ケース120の壁部125の内側には、複数のリブ123が上下方向に形成されている。各リブ112の下端部は、下ケース120を内側に当接し、各リブ123の上端部は、上ケース110を内側に当接する。これにより、例えば高さが下ケース120よりも高い上ケース110の壁部127を外側から押圧しても、各リブ123で壁部127が撓むのを防止することができる。
【0028】
図10図11に示すように、筐体10は、上ケース110と下ケース120とを内側および外側から係合させる係合部113を有する。本実施形態では、係合部113は、上ケース110に形成された凹部113aと、下ケース120に形成された凸部113bとで構成されている。凹部113aは、上ケース110の壁部127の下端部に形成されている。凸部113bは、下ケース120の壁部125の上端部に形成されており、凹部113aに係合する。これにより、上ケース110と下ケース120とが内側および外側から係合することとなり、例えば、前述した壁部127の撓みを防止することができる。なお、本実施形態では、凹部113aが上ケース110に形成され、凸部113bが下ケース120に形成されているが、これに限定されない。例えば、凹部113aが下ケース120に形成され、凸部113bが上ケース110に形成されていてもよい。
【0029】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。なお、電子機器100は、本実施形態では光通信機能を有する通信機器に適用させているが、これに限定されず、例えば、カメラプロジェクタ等の光学機器や、パーソナルコンピュータ用の情報入力手段であるキーボード等にも適用可能である。また、弾性体180が固定される固定面122cは、平面状に限定されず、例えば、湾曲していてもよい。
【符号の説明】
【0030】
10 筐体
100 電子機器
110 上ケース(第2部材)
120 下ケース(第1部材)
122c 固定面(座面)
124 底板部(底部)
170 脚部(回動脚)
180 弾性体
182 湾曲面
1000 載置面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11