(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127278
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】冷水生成装置
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20230906BHJP
【FI】
F25D11/00 102A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030973
(22)【出願日】2022-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 建吾
(72)【発明者】
【氏名】太田 憲利
(72)【発明者】
【氏名】早川 理々花
【テーマコード(参考)】
3L045
【Fターム(参考)】
3L045AA04
3L045BA04
3L045CA01
3L045DA02
3L045PA04
(57)【要約】
【課題】効率よく排熱できる冷水生成装置を提供する。
【解決手段】冷水生成装置1は、流入した水の熱を吸収して冷水を生成する冷水生成部10と、冷水生成部10を収納する箱部20と、箱部20の上部(天面21)に開口し、箱部20内の空気を外部に排出する排気部30と、を備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入した水の熱を吸収して冷水を生成する冷水生成部と、
前記冷水生成部を収納する箱部と、
前記箱部の上部に開口し、前記箱部内の空気を外部に排出する排気部と、
を備えている、冷水生成装置。
【請求項2】
前記箱部は、平面視において一方の方向に長い薄型である請求項1に記載の冷水生成装置。
【請求項3】
前記箱部の側面に設けられ、設置場所に固定するための固定部を備えている請求項1及び請求項2のいずれか一項に記載の冷水生成装置。
【請求項4】
所定の機能を発揮可能な機能部を備え、
前記箱部は、平面視において一方の方向に長い薄型の直方体状をなしており、
前記機能部は、前記箱部の四方の側面のうち、平面視における長手方向の端部に位置する側面に設けられている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の冷水生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷水生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、キッチンに組み込まれるビルトイン型の加熱調理器を開示している。この加熱調理器は冷却ファンを備えている。冷却ファンは、本体背面に形成された吸気口から吸い込んだ空気によって内部を冷却する。内部を流通した空気は、本体背面の排気口から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キッチン等の狭小空間に設置される機器としては、例えば、冷水生成装置等が挙げられる。このような機器においては、排熱の一層の効率化が常に求められている。
【0005】
本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、効率よく排熱できる冷水生成装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本開示の一実施形態に係る冷水生成装置は、流入した水の熱を吸収して冷水を生成する冷水生成部と、前記冷水生成部を収納する箱部と、前記箱部の上部に開口し、前記箱部内の空気を外部に排出する排気部と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態1に係る冷水生成装置が設置されたキッチンキャビネットを示す正面断面図であり、一部を破断して示す。
【
図2】実施形態1に係る冷水生成装置をキッチンキャビネットに設置した状態を示す側面断面図である。
【
図3】実施形態1に係る冷水生成装置を示す正面斜視図である。
【
図4】実施形態1に係る冷水生成装置を示す背面斜視図である。
【
図5】実施形態1に係る冷水生成装置の設置を説明するための図である。
【
図6】実施形態1に係る冷水生成装置が設置された他のキッチンキャビネットを示す正面断面図であり、一部を破断して示す。
【
図7】実施形態2に係る冷水生成装置を示す正面斜視図である。
【
図8】実施形態3に係る冷水生成装置を示す正面斜視図である。
【
図9】実施形態4に係る冷水生成装置を示す正面斜視図である。
【
図10】実施形態5に係る冷水生成装置を示す正面斜視図である。
【
図11】実施形態6に係る冷水生成装置を示す正面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の冷水生成装置を具体化した実施形態1から実施形態6について、図面を参照しつつ説明する。
【0009】
<実施形態1>
実施形態1に係る冷水生成装置1は、
図1及び
図2に示すように、キッチンキャビネット100内に設置される。キッチンキャビネット100は、床面F上に載置されるとともに、釘やビス等の固定手段によって建物躯体の壁面Wに固定されて設置される。キッチンキャビネット100は、シンク110と、このシンク110を上部に固定したキャビネット本体120とを有して構成されており、全体として箱状をなしている。
【0010】
以下の説明において、上下、左右、前後の各方向は、キッチンキャビネット100に正対した使用者から見た方向をそのまま上下方向及び左右方向として説明する。前後の方向については、キッチンキャビネット100に正対した使用者の方向を前方、その反対方向を後方とする。各図に示すX軸、Y軸、及びZ軸は、それぞれ前後方向、左右方向、及び上下方向を表す。X軸、Y軸、及びZ軸において、各軸の正方向をそれぞれ前方、左方、及び上方とする。
【0011】
シンク110は、中央部において凹状に窪んだ凹部111と、この凹部111の周縁上端から外方に拡がるフランジ状の周縁部112を有している。シンク110は、周縁部112においてキャビネット本体120の上端部に支持されている。シンク110は、凹部111の外周面とキャビネット本体120の各壁部との間に隙間を形成して配置される。本実施形態の場合、シンク110はステンレス製であり、熱伝導率が比較的大きい。
【0012】
凹部111の後部中央には排水口113が形成されている。排水口113には排水管Pが接続されている。排水口113の左方には水栓130が取り付けられている。水栓130には、冷水生成装置1によって生成された冷水が供給される配管の他、水道水、温水等がそれぞれ供給される図示しない配管がキャビネット本体120内から接続されている。
【0013】
キャビネット本体120は、左右の側壁120A,120Bと、後壁120Cと、下壁120Dとを有する箱状である。キャビネット本体120は、これら左右の側壁120A,120B、後壁120C、及び下壁120Dと、上部のシンク110とによって仕切られた内部空間を形成している。キャビネット本体120内には複数の引出し121,122,123が収納されている。複数の引出し121,122,123は、収納状態においてシンク110の下方に上下に並んで配置される。各引出し121,122,123は、左右の側壁120A,120Bにおいて引出し自在に支持されている。左右の側壁120A,120Bは、複数の引出し121,122,123を支持するため、後壁120Cや後述する仕切部材124と比較して高い強度で設けられている。
【0014】
キャビネット本体120には給排水用の配管空間S1が設けられている。配管空間S1は、複数の引出し121,122,123の後方に設けられている。配管空間S1は、複数の引出し121,122,123が収納状態にある状態においても、排水管Pや図示しない給水配管と各引出し121,122,123との接触を回避するために設けられている。本実施形態に係るキッチンキャビネット100に限らず、他のキッチンキャビネットにおいても同様の配管スペースが設けられていることが一般的である。配管空間S1は、キャビネット本体120の左右長さの全体に渡って形成されている。配管空間S1は、左右方向の長さと比べて前後方向の長さが小さい狭小な空間である。
【0015】
配管空間S1には、薄板状の仕切部材124が着脱自在に配置されている。仕切部材124は、配管空間S1を上下に仕切るとともに、上下に仕切った配管空間S1のうちの下側の空間と配管空間S1の前方の空間とを仕切る断面逆L字状をなしている。仕切部材124は、奥行寸法が110mm程度、高さ寸法が215mm程度である。仕切部材124は、キャビネット本体120における左右の側壁120A,120Bの間の全体に渡って配置されている。仕切部材124によって仕切られた内部の空間には、図示しない給水源と冷水生成装置1及び水栓130とを接続する給水配管や、排水管Pに接続される排水配管、冷水生成装置1等への給電用の電線等が隠蔽配置される。
【0016】
図1及び
図2に示すように、冷水生成装置1は、キッチンキャビネット100内における配管空間S1に設置される。上述のように、配管空間S1は、左右方向に長尺な空間である。冷水生成装置1は、配管空間S1における仕切部材124の上方において、左右いずれかの側壁120A,120B側に寄せて配置される。本実施形態の場合、冷水生成装置1は、
図1及び
図2に示すように、後述する取付ブラケット90によって、キャビネット本体120の右側壁120Bに固定されている。
【0017】
冷水生成装置1は、
図3及び
図4に示すように、冷水生成部10と、箱部20と、排気部30と、固定部40と、機能部50とを備えている。冷水生成部10は、図示しない圧縮器、凝縮器、熱交換器等を有して構成され、流入した水の熱を吸収して冷水を生成する。冷水生成部10は、入水部11及び出水部12を有している。これら入水部11及び出水部12は、箱部20の表面から突出して設けられている。冷水生成部10は、入水部11に接続される図示しない給水配管から水が供給される。冷水生成部10は、出水部12に接続される図示しない出水配管を介して水栓130に接続されている。
【0018】
箱部20は冷水生成部10を収納する。箱部20は、設置状態で上方から見た平面視において、一方の方向に長い薄型である。具体的には、箱部20は、平面視における長手方向の長さAが短手方向の長さBよりも2倍以上長い薄型である。本実施形態の場合、箱部20は、
図3及び
図4に示すように、平面視における長手方向の長さをA、短手方向の長さをBとする直方体状をなしている。本実施形態の場合、箱部20の高さCは、短手方向の長さBよりも3倍以上長く設定されている。具体的には、箱部20は、長さAが235mm、長さBが110mm、長さCが350mmである。箱部20は、平面視における短手方向の長さBを上述した仕切部材124の幅寸法と同等の大きさで形成している。
【0019】
図3及び
図4に示すように、箱部20は、天面21と、底面22と、四方の側面23とを有している。天面21及び底面22は、設置状態の冷水生成装置1において、それぞれ上向き及び下向きに配置される面である。天面21及び底面22は、それぞれ長手方向の長さをA、短手方向の長さをBとする長方形状をなしている。天面21には、入水部11、出水部12、及び排気部30が設けられている。底面22は、全体的に平坦な意匠を有する外観であり、図示は省略する。
【0020】
図3及び
図4に示すように、箱部20における四方の側面23のうち、平面視において長手方向の両端に位置する2つの側面23A,23Bは、それぞれ横方向の長さをA、高さをCとする長方形状をなしている。これら側面23A.23Bのうち、側面23Aには機能部50及び後述する吸気部80が配置されており、側面23Bには固定部40が配置されている。以下の説明では、箱部20における四方の側面23うち、機能部50が設けられた側面を正面23A、固定部40が設けられた側面を背面23Bとして説明する。
【0021】
図3及び
図4に示すように、箱部20における四方の側面23のうち、平面視において短手方向の両端に位置する2つの側面23C,23Dは、それぞれ横方向の長さをB、高さをCとする長方形状をなしている。これら2つの側面23C,23Dは、全体的に平坦な意匠を有する外観であり、機能部等は何も配置されていない。
【0022】
図3及び
図4に示すように、排気部30は、箱部20における上部に開口している。本実施形態の場合、排気部30は、箱部20における天面21に開口している。排気部30は、箱部20内の空気を外部に排出する。排気部30は、冷水生成部10によって水から吸収された熱、冷水生成部10自体の駆動によって発生する熱等、箱部20の内部において発生する熱によって加熱された空気を箱部20の外部に放出する。排気部30は、天面21における背面23B寄りの位置に設けられている。排気部30は正方形状の開口である。排気部30にはルーバー31が嵌め込まれている。ルーバー31は、排気部30の開口に対して90°毎に向きを変えて嵌め込むことができ、排気方向を変更可能である。ルーバー31の内側には図示しないフィルタが取り付けられている。
【0023】
図4に示すように、固定部40は箱部20の側面23に設けられている。本実施形態の場合、固定部40は、箱部20における背面23Bに設けられている。固定部40は、背面23Bに開口する角孔状である。固定部40は、背面23Bにおいて上下に並んで2つ形成されている。各固定部40には、取付ブラケット90における後述する引っ掛け部93が挿入されて引っ掛けられる。
【0024】
機能部50は、冷水生成装置1において所定の機能を発揮する。本実施形態の場合、機能部50は、起動ボタン51、接続ポート52、電源コード53、プラグ受け54等を有している。起動ボタン51は、押圧操作されることによって冷水生成装置1に電源投入する。接続ポート52は、冷水生成装置1の各種設定等に用いる図示しない外部機器を接続する。電源コード53は、プラグ53Aを介して商用電源に接続され、冷水生成装置1に電源供給する。プラグ受け54は、他の機器のプラグを差し込むことによって、電源コード53を介して接続された商用電源に他の機器を接続することができる。プラグ受け54は、例えば浄水器等、冷水生成装置1とは別体の他の機器をキッチンキャビネット100内に設置する場合等において利用できる。機能部50は、箱部20における四方の側面23のうち、正面23Aのみに設けられている。
【0025】
吸気部80は、箱部20内に外部から空気を吸入する。吸気部80は、排気部30から排出される空気量に応じて空気を吸入する。本実施形態の場合、吸気部80は、
図3に示すように、箱部20における正面23Aに開口している。吸気部80は、正面23Aにおける機能部50の下方であって、正面23Aの下端部に形成されている。吸気部80は、排気部30と同様に、正方形状の開口であり、向きを変更可能なフィルタ付きルーバー81が嵌め込まれている。
【0026】
取付ブラケット90は、
図4に示すように、断面L字状に折り曲げられた板金製の部材である。取付ブラケット90は、キャビネット本体120の内壁に取り付けられる取付部91と、取付部91の下端から延出する支持部92とを有している。取付部91には、2つの引っ掛け部93が上下に並んで形成されている。各引っ掛け部93は断面鈎状に形成されている。2つの固定部40は、これら2つの引っ掛け部93に引っ掛けられる。支持部92は、箱部20を下方から支持する。支持部92は、箱部20における固定部40が引っ掛け部93に正規に引っ掛けられた状態において、底面22に接触する。
【0027】
上記構成の冷水生成装置1の設置について説明する。冷水生成装置1の設置に際しては、
図5に示すように、最初に、取付ブラケット90をキャビネット本体120の内壁に取り付ける。上述のように、本実施形態の場合、冷水生成装置1は、配管空間S1における右側壁120B寄りに配置される。したがって、取付ブラケット90は、右側壁120Bに取り付けられる。取付ブラケット90は、右側壁120Bにビス止めによって取り付けられる。この時、取付ブラケット90は、支持部92を仕切部材124の上面から僅かに浮かせた状態で右側壁120Bに固定する。
【0028】
そして、冷水生成装置1における2つの固定部40を、取付ブラケット90における2つの引っ掛け部93に各々引っ掛ける。具体的には、各固定部40の開口に各引っ掛け部93をそれぞれ挿入したのち、冷水生成装置1全体を下方に引き下ろす。これによって、鈎状をなす引っ掛け部93に対して固定部40における開口の上部周縁が引っ掛けられ、冷水生成装置1が取付ブラケット90を介して右側壁120Bに固定される。この状態において、底面22は取付ブラケット90における支持部92に接触する。このため、冷水生成装置1は、箱部20における背面23B及び底面22の両方において取付ブラケット90に支持され、安定的に配置される。
【0029】
上記構成の冷水生成装置1の作用について説明する。
図1及び
図2に示すように、冷水生成装置1は、薄型に形成したことによって、キッチンキャビネット100内の後部の狭小空間である配管空間S1に設置可能である。このため、このような配管を配置するための空間は、一般的な多くのキッチンキャビネットにおいて設定されている。このため、冷水生成装置1は、他のキッチンキャビネットにおいても同様の狭小空間に設置でき、汎用性に優れる。
【0030】
特に、冷水生成装置1は、平面視における短手方向の長さBが、仕切部材124の幅寸法、すなわち配管空間S1の奥行寸法と同等の大きさで形成されている。このため、配管空間S1における仕切部材124の上方に配置された冷水生成装置1は、キッチンキャビネット100内において空間効率よく配置される。
【0031】
排気部30は、箱部20内の空気を外部に排出する。排気部30から排出される空気は、冷水生成部10において水から吸収された熱を含んでいる。冷水生成装置1は、排気部30を箱部20の上部に設けたことによって、箱部20内の加熱された空気をキッチンキャビネット100内の上部の空間に排気する。このため、排気部30から排出される熱を帯びた排気はキッチンキャビネット100内において上方に滞留し、キッチンキャビネット100内下方の相対的に温度の低い空気との混合が抑制される。
【0032】
箱部20内の空気は、排気部30から排出された分、吸気部80から新たに吸入される。吸気部80は、正面23Aの下端部に形成されているため、キッチンキャビネット100内の空気のうち比較的温度の低い空気を吸入する。このため、冷水生成装置1は、冷水生成部10における熱交換を良好な効率で実行可能である。
【0033】
排気部30から排出された空気は、相対的に温度が高いため、キッチンキャビネット100内の空間の上部に溜まる。キッチンキャビネット100の上部にはシンク110が配置されている。このため、排気部30からの空気に含まれる熱は、キッチンキャビネット100内の上部の空間において、シンク110、水栓130、配管部材等に吸収される。すなわち、キッチンキャビネット100の上部に配置されるシンク110等の部材は、いわゆるヒートシンクとして機能し、排気部30から排出された空気中の熱を吸収する。これによって、シンク110、水栓130等を介して、キッチンキャビネット100内の熱が外部に放出され、キッチンキャビネット100内の温度上昇が効果的に抑制される。
【0034】
キッチンキャビネット100において、シンク110における凹部111の周囲には隙間が形成されている。排気部30から排出された空気は、この隙間に進入して熱を効果的に吸収される。この吸熱作用は、ステンレス製、真鍮製等、一般的に金属が用いられるシンク、水栓において一層大きく作用する。
【0035】
設置状態にある冷水生成装置1は、キッチンキャビネット100内の右奥の隅に設置され、背面23Bを右側壁120Bに対向させ、正面23Aを左方に向けている。冷水生成装置1における機能部50は、箱部20の正面23Aに設けられているため、配管空間S1における中央部の開放された方向を向いて配置される。このため、冷水生成装置1は、機能部50に対するアクセシビリティが良好である。
【0036】
冷水生成装置1は、箱部20の側面23である背面23Bにおいて、キャビネット本体120の右側壁120Bに取付ブラケット90を介して固定される。キャビネット本体120の左右の側壁120A,120Bは、複数の引出し121,122,123を支持するために十分な強度で設けられている。冷水生成装置1は、この十分な強度を有する右側壁120Bに対して固定される。取付ブラケット90は、冷水生成装置1における固定部40に引っ掛けられる引っ掛け部93を有する取付部91と、冷水生成装置1を下方から支持する支持部92とを有して構成されている。このため、冷水生成装置1は、取付ブラケット90によって右側壁120Bに強固に固定される。
【0037】
設置状態にある冷水生成装置1は、側面23Dを後壁120Cに対向させている。この側面23Dは、側面23Cとともに、機能部等は何も配置されていない側面である。このため、冷水生成装置1は、側面23Dを後壁120Cに寄せて配置することによって、機能上の問題なく、空間効率よく配置可能である。
【0038】
冷水生成装置1は、配管空間S1における左側壁120A寄りの位置に配置することもできる。本実施形態において、冷水生成装置1を配管空間S1における右側に配置した意図は、冷水生成装置1と、シンク110の左寄りに配置された水栓130の接続配管との接触を回避するためである。冷水生成装置1は、例えば
図6に示すように水栓130がシンク110の右寄りに配置される場合等においては、配管空間S1の左側壁120A寄りに設置することによって、右側に設置された水栓130に接続される配管との接触を回避することができる。
【0039】
冷水生成装置1は、左側壁120Aに固定される場合、側面23Cを後壁120Cに対向させた形態である。この側面23Cは、側面23Dと同様に、機能部等は何も配置されていない側面である。このため、冷水生成装置1は、配管空間S1における左側壁120Aに固定される場合であっても、機能上の問題なく、空間効率よく後壁120Cに寄せて配置可能である。このように、冷水生成装置1は、配管空間S1のような狭小空間における設置に際しての自由度が確保されている。
【0040】
以上のように、実施形態1に係る冷水生成装置1は、冷水生成部10と、箱部20と、排気部30とを備えている。冷水生成部10は、流入した水の熱を吸収して冷水を生成する。箱部20は冷水生成部10を収納する。排気部30は、箱部20の上部に開口し、箱部20内の空気を外部に排出する。
【0041】
このような構成により、冷水生成装置1は、冷水生成部10において発生した熱を含んだ空気を箱部20の上部から外部に排気することができる。これによって、冷水生成装置1は、排気部30から排出される熱を帯びた空気が、下方の相対的に温度の低い空気と混合されるのを抑制することができる。その結果、冷水生成装置1は、キッチンキャビネット100のような狭い空間に設置した場合でも、吸気と排気の温度差が確保され、効率よく排熱できる。
【0042】
冷水生成装置1において、箱部20は、平面視において一方の方向に長い薄型である。このため、冷水生成装置1は、キッチンキャビネット100における配管空間S1のような狭小空間であっても設置スペースを確保でき、容易に設置することができる。
【0043】
冷水生成装置1は、冷水生成装置1を設置場所に固定するための固定部40を備えている。固定部40は、箱部20の側面である背面23Bに設けられている。このため、冷水生成装置1は、キッチンキャビネット100における配管空間S1のような狭小空間であっても容易に設置することができる。例えば、冷水生成装置1の設置に際し、本実施形態の配管空間S1のように底面22を固定に利用できない場合でも、キャビネット本体120の右側壁120Bのような設置場所における側壁を利用して固定することで、冷水生成装置1を容易に固定することができる。
【0044】
冷水生成装置1は、起動ボタン51等、所定の機能を発揮可能な機能部50を備えている。機能部50は、箱部20における正面23Aに設けられている。箱部20における正面23Aとは、箱部20における四方の側面23のうち、平面視における長手方向の端部に位置する面である。このため、冷水生成装置1は、配管空間S1のような狭小空間に設置した場合でも、機能部50を狭小空間の長手方向に向けて配置することができる。これによって、冷水生成装置1は、機能部50が箱部20における側面23C,23Dに設けられている場合とは異なり、設置場所における左右の方向性を問わず、機能部50に対するアクセシビリティを確保して設置することができる。
【0045】
<実施形態2>
実施形態2に係る冷水生成装置201は、実施形態1と同様に、キッチンキャビネット100内に設置される。冷水生成装置201は、実施形態1に係る冷水生成装置1の構成に加え、
図7に示すように、規制部260と、吸熱板270とを備える。実施形態1と同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0046】
規制部260は、排気部30から排出される空気の排出方向を規制する。規制部260は、柱部材261と、板部材262とを有している。柱部材261は、箱部20における天面21上に配置される。柱部材261は4つ設けられている。4つの柱部材261は、排気部30の四隅にそれぞれ配置される。各柱部材261は円柱状をなしている。
【0047】
板部材262は、排気部30の開口形状よりも僅かに大きな平面視正方形状をなす板状に形成されている。板部材262は、柱部材261の上端に載せられている。これによって、板部材262は、排気部30の上方に配置されて排気部30の開口を覆う。
【0048】
吸熱板270は金属製の平板である。吸熱板270は、排気部30から排出された空気の熱を吸収するため、キャビネット本体120の内壁に取り付けられる。本実施形態の場合、吸熱板270は、冷水生成装置1が固定される内壁において、取付状態にある冷水生成装置1における天面21よりも上方の位置に取り付けられる。吸熱板270は、キャビネット本体120の内壁の任意に位置に取り付けてもよい。
【0049】
上記構成の実施形態2の冷水生成装置201は、実施形態1と同様の作用及び効果を奏する。
【0050】
冷水生成装置201は、規制部260を備えたことによって、排気部30から排出される空気の排出方向を規制することができる。本実施形態の規制部260の場合には、排気部30からの排気が上方へ直接的に排出されるのを規制し、排気部30の四方に分散させることができる。その結果、排気によるキッチンキャビネット100内の局所的な温度の上昇を抑制できる。
【0051】
冷水生成装置201は、吸熱板270を備えたことによって、排気部30から排出された空気の熱を吸収することができる。その結果、排気によるキッチンキャビネット100内の急激な温度の上昇を抑制できる。
【0052】
<実施形態3>
実施形態3に係る冷水生成装置301は、上記各実施形態と同様に、キッチンキャビネット100内に設置される。冷水生成装置301は、
図8に示すように、実施形態2に係る規制部260とは異なる規制部360を備えている。その他、上記各実施形態と同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0053】
規制部360は、2つの柱部材261と、板部材362とを備えて構成されている。板部材362は、実施形態2の板部材262の構成に加え、折り曲げ部363、及び開口362A,362Bを有して構成されている。折り曲げ部363は、板部材362が断面L字状をなすように、板部材362の一端側を折り曲げ成形してなる。折り曲げ部363は、柱部材261の軸方向の長さと同等の長さで折り曲げられている。
【0054】
開口362A,362Bは複数形成されている。複数の開口362A,362Bは、それぞれ板部材362を板厚方向に貫通して形成されている。複数の開口362A,362Bのうち、開口362Aはスリット状の角孔形状に形成され、開口362Bは円形状に形成されている。
【0055】
開口362Aは、板部材362の上面における折り曲げ部363側の位置に形成されている。開口362Aは、折り曲げ部363の延伸方向に沿って延びている。開口362Aは3つ形成されており、互いに平行に並んでいる。開口362Bは、板部材362の上面における折り曲げ部363とは反対側の位置において、折り曲げ部363の延伸方向に沿って3つ並んで形成されている。
【0056】
本実施形態の場合、規制部360は、折り曲げ部363によって排気部30における背面23B側の開口縁を覆うように、板部材362の向きを設定している。これによって、規制部360は、排気部30から右側壁120B側に排出される排気の流れを折り曲げ部363によって0遮断する。すなわち、規制部360は、折り曲げ部363を設けたことによって、特定の排出方向への空気の流れを規制している。規制部360は、例えば、折り曲げ部363が排気部30における側面23D側の開口縁を覆うように板部材362を配置する等、板部材362の配置方向を排気の流れの規制を所望する任意の向きに配置可能である。
【0057】
上記構成の実施形態3の冷水生成装置301は、実施形態1と同様の作用及び効果を奏する。
【0058】
冷水生成装置301は、規制部360における板部材362に折り曲げ部363を設けたことによって、排気部30から排出される空気が特定方向に向かうのを好適に規制することができる。
【0059】
冷水生成装置301は、規制部360における板部材362に複数の開口362A,362Bを形成したことによって、排気部30から排出される空気の排出方向や、各開口362A,362Bを通過して各方向に向かう排気の量的比率を制御することができる。
【0060】
<実施形態4>
実施形態4に係る冷水生成装置401は、上記各実施形態と同様に、キッチンキャビネット100内に設置される。冷水生成装置401は、
図9に示すように、実施形態2に係る規制部260、及び実施形態3に係る規制部360とは異なる規制部460を備えている。その他、上記各実施形態と同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0061】
規制部460は、排気部30から排出される空気の排出方向を一方の方向のみに規制する。
図9に示すように、規制部460は、一方の方向のみに開口するフード状に形成されている。具体的には、規制部460は、それぞれ三角形状をなして対向配置される一対の側板461と、これら一対の側板461における一辺同士を連結する連結板462とを有している。規制部460は、一対の側板461において排気部30を跨ぐようにして配置される。これによって、連結板462は、排気部30の上方に傾斜して配置される。
【0062】
上記構成の実施形態4の冷水生成装置401は、実施形態1と同様の作用及び効果を奏する。
【0063】
冷水生成装置401は、規制部460を備えたことによって、排気部30から排出される空気の排出方向を規制することができる。本実施形態の規制部460の場合には、排気部30からの排気を、いずれか一方の斜め上方に向けて排出するように規制することができる。その結果、排気部30からの排気を所望の方向に向けて確実に排気することができる。
【0064】
<実施形態5>
実施形態5に係る冷水生成装置501は、上記各実施形態と同様に、キッチンキャビネット100内に設置される。冷水生成装置501は、排気部の配置という点で実施形態1と相違する。その他、実施形態1と同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0065】
図10に示すように、冷水生成装置501は排気部530を備えている。排気部530は、実施形態1の排気部30と同様に、箱部20の上部に開口している。排気部530は、実施形態1に係る排気部30が天面21に開口しているのに対し、箱部20の側面23に開口している。詳細には、排気部530は、箱部20の四方の側面23のうち、平面視における長手方向の端部に位置する側面である正面23Aに開口している。
【0066】
このような排気部530を備えた冷水生成装置501は、実施形態1の冷水生成装置1と同様、狭小空間に設置した場合でも吸気と排気の温度差が確保され、効率よく排熱できる。排気部530は、箱部20の四方の側面23のうち、正面23Aに開口している。この正面23Aは、機能部50が設けられた面である。このように、冷水生成装置501は、排気部530と機能部50とを同じ面に集約して設けたことによって、機能部50へのアクセシビリティのための空間と、排気部530からの排気を排出するための空間と、一方の方向にのみ確保すればよい。このため、冷水生成装置501は、装置の配置自由度の向上を図ることができる。
【0067】
<実施形態6>
実施形態6に係る冷水生成装置601は、実施形態1に係る排気部30に替えて、
図11に示すように、排気部630を備える点で実施形態1と相違する。その他、実施形態1と同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0068】
図11に示すように、冷水生成装置601は排気部630を備えている。排気部630は、実施形態1の排気部30と同様に、箱部20の上部に開口している。排気部630は、実施形態1に係る排気部30が天面21に開口しているのに対し、箱部20の側面23に開口している。詳細には、排気部630は、箱部20の四方の側面23のうち、平面視における短手方向の端部に位置する側面23Dに開口している。排気部630は、側面23Dにおける背面23B寄りの位置に設けられている。
【0069】
このような排気部630を備えた冷水生成装置601は、実施形態1の冷水生成装置1と同様、狭小空間に設置した場合でも吸気と排気の温度差が確保され、効率よく排熱できる。冷水生成装置601は、開き戸式等、内部の空間に引出しの設けられていないキッチンキャビネットに好適に設置できる。例えば、
図11に示すキッチンキャビネット600は、左側壁620Aと、後壁620Cと、図示しない右側壁と、によって三方を囲まれた空間を形成している。この空間の前側には図示しない開閉扉が設けられており、引出し等は配置されていない。
【0070】
図11において、冷水生成装置601は、キッチンキャビネット600における下壁620Dに底面22を接触させて設置されている。冷水生成装置601は、箱部20の四方の側面23のうちの正面23Aを前方、背面23Bを後方に向けるとともに、側面23Cを左側壁620Aに対向させて配置されている。これによって、冷水生成装置601は、上記各実施形態と同様に、排気部630をキッチンキャビネット600内後部の配管空間に向けて配置することができる。その結果、冷水生成装置601は、効率よく排熱できる。
【0071】
冷水生成装置601において、排気部630は、例えば、箱部20の四方の側面23のうちの側面23Cに設けられていてもよい。この場合、冷水生成装置601は、キッチンキャビネット600における図示しない右側壁に側面23Dを対向させて配置するのに好適である。
【0072】
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0073】
本開示に係る冷水生成装置の設置場所としては、上記各実施形態において例示したキッチンキャビネットの他、例えば、洗面所のキャビネット等を挙げることができる。
【0074】
本開示に係る冷水生成装置がキッチンキャビネット内の空間に設置される場合、キッチンキャビネットの構成等は、上記各実施形態に限定されない。キッチンキャビネットとしては、例えば、実施形態1から実施形態5において例示した引き出し式と、実施形態6において例示した開き戸式とを組み合わせたキッチンキャビネット等であってもよい。
【0075】
キッチンキャビネットにおけるシンク、水栓等の構成、材質等は上記各実施形態に限定されない。シンクは、例えば、アクリル系、ポリエステル系等の樹脂を主成分としたいわゆる人造大理石製、ホーロー製、セラミック製等であってもよい。シンク及び水栓は、熱伝導率の観点において、ステンレス、真鍮等の金属製であることが好ましい。
【0076】
本開示に係る箱部の構成、形状等は上記各実施形態に限定されない。箱部は、例えば、平面視において三角形状、五角形状等の多角形状をなす柱状体等であってもよい。箱部は、例えば、少なくとも1つの曲面状の面を有する立体形状であってもよい。箱部は、例えば、平面形状が長円形状、D字状、扇状等をなしていてもよい。
【0077】
冷水生成装置は、薄型であることは必須ではない。冷水生成装置が薄型に形成されている場合の「薄型」とは、例えば、平面視における長手方向の長さ(実施形態における長さAに相当する長さ)が短手方向の長さ(実施形態における長さBに相当する長さ)の2倍以上5倍以下であることができる。この範囲であれば、冷水生成装置を空間効率よく設置できて好ましい。
【0078】
冷水生成装置が薄型である場合、上記実施形態において例示した平面視における短手方向の長さBに相当する部分の寸法が、一般的なキッチンキャビネットにおける配管空間の奥行寸法である110mmから150mmに収まる寸法であることが好ましい。すなわち、冷水生成装置は、平面視における短手方向の長さをBとした場合、B≦150mmであることが好ましく、B≦120mmであることが更に好ましく、B≦110mmであることが一層好ましい。長さBの下限値としては、B≧50mm以上であることが好ましく、B≧80mmであることが更に好ましい。この範囲であれば、冷水生成部等の構成部品を内部に好適に収納することができる。
【0079】
冷水生成装置が固定部を備える場合、固定部が設けられる部位は箱部の側面に限定されず、例えば、箱部の底面等であってもよい。固定部が箱部の側面に設けられる場合の「側面」は、平面視における箱部の長手方向の端部に位置する側面に限定されず、例えば、短手方向の端部に位置する側面であってもよい。固定部が平面視における箱部の長手方向の端部に位置する側面に設けられる場合には、箱部の短手方向の端部に位置する側面に設けられる場合と比較して、設置場所の壁面に対する設置面積を抑えて設置することができて好ましい。
【0080】
冷水生成装置が機能部を備える場合、機能部の機能は、上記各実施形態に例示した機能に限定されない。冷水生成装置が機能部を備える場合、機能部が設けられる箱部の側面としては、平面視における箱部の短手方向の端部に位置する側面であってもよい。
【0081】
本開示に係る冷水生成装置は、冷水を生成するのみならず、例えば、浄水、温水等の改質水を生成していてもよい。冷水生成装置が他の改質水を生成する場合、その生成部は、箱部内に収納されていてもよいし、箱部の外部に配置されて入水部、出水部等を介して接続されていてもよい。他の改質水の生成部が箱部の外部に配置される場合は、箱部内に他の改質水の生成部の設置スペースを設ける必要がないため、箱部の大型化を回避することができる。他の改質水の生成部が箱部の外部に配置される場合、種々の大きさのキッチンキャビネットに対して、大型化が回避された箱部は容易に設置でき、別体の他の改質水の生成部は別途キッチンキャビネット内のデッドスペースに配置する等によって対応できる。このため、冷水生成装置の設置に際しての汎用性を向上させることができる。
【0082】
本開示に係る冷水生成装置が規制部を備える場合、その構成、形状等は、排気部から排出される空気の排出方向を規制する限り特に限定されない。規制部に開口を形成する場合の開口の形状、大きさ、個数等も特に問わない。
【符号の説明】
【0083】
1,201,301,401,501,601…冷水生成装置、10…冷水生成部、20…箱部、23…箱部の側面(23A,23B…箱部の長手方向の端部に位置する側面)、30,530,630…排気部、40…固定部、50…機能部